説明

画像読み取り装置および画像形成装置

【課題】受光部に入射する正反射光の量を測定することができ、画像の本来の色や濃度をより正確に読み取ることができる画像読み取り装置等を提供する。
【解決手段】画像が形成された用紙に対して光を照射する光源110と、用紙により反射された光を受光するCCD141と、CCD141に受光される光の中から光源110からの正反射光の量を測定するための黒色の反射面を有する読み取り精度測定ユニット120と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ、コンピュータ入力用のスキャナ等として、画像が形成された用紙の画像情報を読み取る画像読み取り装置が用いられている。この種の画像読み取り装置では、用紙の搬送路に配される光源から光を照射し、用紙から反射した反射光をイメージセンサにて受光することで、用紙上の画像を読み取っている。
【0003】
特許文献1には、光源手段により照明された原稿面からの光束を第1ハーフミラーと移動可能な反射部材で反射させ、元の光路に戻して折り返しミラー部を介して結像手段により受光手段の第1受光部へ結像させると共に原稿面上を走査しながら原稿面を読み取る読取系と、発光部より原稿面の一領域を照明し、一領域からの反射光束を波長選択手段を介した後、読取系の一部の光路を経て結像手段により受光手段の第2受光部に結像させ、第2受光部からの信号に基づいて演算手段により原稿面から所定面までの距離情報を求め、距離情報を利用して補正手段により反射部材を光軸上移動させて原稿面から第1受光部までの光路長を調整する自動合焦系とを有している画像読取装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−294999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば、光源から照射され用紙により反射された正反射光が、予め定められた範囲の量を超えて受光部に入射すると画像を正常に読み取れないことがある。この例のように、画像読み取りに際して正反射光の量が関係することから、受光部に入射する正反射光の量を測定して、画像の本来の色や濃度をより正確に読み取ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像が形成された記録材に対して光を照射する光源と、前記記録材により反射された光を受光する受光部と、前記受光部に受光される光の中から前記光源からの正反射光の量を測定するための反射面を有する反射部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記反射部に配された前記反射面は、拡散光の吸収面であることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、前記反射部に配された前記反射面の少なくとも1つは、予め定められた面に対し傾斜して配されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、前記受光部により受光した光から前記記録材に形成された画像の調整を行なうための情報および前記正反射光の量を測定するための情報を作成する処理部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読み取り装置である。
請求項5に記載の発明は、前記反射部は、前記光源からの光が記録材に照射されるときは、当該記録材と非接触の位置に待避することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読み取り装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記記録材に形成された画像の調整を行なうために当該記録材の画像を読み取る読み取り手段と、を備え、前記読み取り手段は、画像が形成された前記記録材に対して光を照射する光源と、前記記録材により反射された光を受光する受光部と、前記受光部に受光される光の中から正反射光の量を測定するための反射面を有する反射部と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、前記画像形成部は、トナー像を形成させるトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段により形成された前記トナー像を前記記録材に転写する転写手段と、前記転写手段により転写された前記トナー像を前記記録材に定着する定着手段と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記反射部に配された前記反射面は、拡散光の吸収面であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、受光部に入射する正反射光の量を測定することができ、画像の本来の色や濃度をより正確に読み取ることができる画像読み取り装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、正反射光の量の測定誤差をより小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、用紙が傾斜して搬送される場合でも正反射光の量をより正確に測定することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、画像の調整を行ないやすくなる。
請求項5の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、用紙と読み取り精度測定ユニットとの干渉が生じにくくなる。
請求項6の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、画像の色や濃度について、よりばらつきが少ない画像形成装置を提供することができる。
請求項7の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、トナー像形成手段の調整をより精度よく行なうことができる。
請求項8の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、正反射光の量の測定誤差をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態に係る画像読み取り装置が適用される画像形成装置について説明した図である。
【図2】定着ユニットの構成を説明するための断面構成図である。
【図3】本実施の形態の画像読み取り装置について説明した図である。
【図4】読み取り精度測定ユニットについて説明した図である。
【図5】正反射光測定チャートを設けた測定面について説明した図である。
【図6】正反射光測定チャートの第1の例について説明した斜視図である。
【図7】正反射光測定チャートの第2の例について説明した斜視図である。
【図8】画像形成ユニットを調整する手順について説明したフローチャートである。
【図9】光源からの正反射光の量の測定を行なう手順について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<画像形成装置の説明>
図1は、本実施の形態に係る画像読み取り装置100が適用される画像形成装置1について説明した図である。
画像形成装置1は、所謂「タンデム型」のカラープリンタであり、画像データに基づき記録材の一例としての用紙に画像を形成する画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ(PC)等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する主制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部90と、画像形成部10により用紙に形成された画像の調整を行なうために用紙の画像を読み取る読み取り手段の一例としての画像読み取り装置100と、を備えている。
【0014】
<画像形成部の説明>
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置されるトナー像形成手段の一例としての6つの画像形成ユニット11C,11M,11HC,11HM,11Y,11K(以下、「画像形成ユニット11」)と、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に転写(一次転写)する一次転写ロール21と、を備えている。さらに、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を用紙に一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を用紙に定着させる定着手段(定着装置)の一例としての定着ユニット60と、を備えている。なお二次転写ロール22が配置され、中間転写ベルト20上の各色トナー像が用紙に二次転写される領域を、以下、「二次転写領域Tr」という。
【0015】
また画像形成部10は、定着ユニット60にて用紙上に定着された各色トナー像を冷却し、用紙上への各色トナー像の定着を促進する冷却部の一例としての冷却ユニット80と、用紙の曲がり(カール)を矯正するカール矯正ユニット85とを備えている。なお本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール21、および二次転写ロール22によりトナー像を用紙に転写する転写手段が構成される。
【0016】
<画像形成ユニットの説明>
各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、静電潜像が形成され、その後に各色トナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16と、を備えている。
各画像形成ユニット11の現像器15各々は、各色トナーを貯蔵するトナー容器17C,17M,17HC,17HM,17Y,17K(以下、「トナー容器17」)とトナー搬送路(不図示)で連結されている。そして、トナー搬送路中に設けられた補給用スクリュー(不図示)によりトナー容器17から現像器15に各色トナーが補給されるように構成されている。
【0017】
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがC(シアン)色、M(マゼンタ)色、HC(高彩度シアン)色、HM(高
彩度マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色のトナー像を形成する。ここでのHC色は、シアン色系の色相を有し、C色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いシアン色であり、HM色は、マゼンタ色系の色相を有し、M色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いマゼンタ色である。
【0018】
<定着ユニットの説明>
図2は、定着ユニット60の構成を説明するための断面構成図である。
この定着ユニット60は、用紙を加熱する定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に対して接離自在に構成された加圧ロール62とで主要部が構成されている。
定着ベルトモジュール61は、定着ベルト610と、定着ベルト610を張架しながら回転動作し、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接(互いに押圧されながら接触)する領域であるニップ部Nにて定着ベルト610を内側から加熱する定着ロール611と、定着ベルト610を内側から張架しながら定着ベルト610を加熱する内部加熱ロール612、定着ベルト610を外側から張架しながら定着ベルト610を加熱する外部加熱ロール613と、を備えている。また、定着ベルトモジュール61は、定着ロール611と内部加熱ロール612との間(ニップ部Nの上流側)で定着ベルト610を張架する張架ロール614と、ニップ部N内の下流側領域であって定着ロール611の近傍位置に配置された剥離パッド64と、ニップ部Nの下流側において定着ベルト610を張架する張架ロール615と、を備えている。また定着ロール611、内部加熱ロール612、および外部加熱ロール613には、加熱源として内部にハロゲンヒータ71、ハロゲンヒータ72、ハロゲンヒータ73がそれぞれ配置されている。
【0019】
<画像形成装置における用紙搬送系の説明>
また、画像形成部10は、用紙搬送系として、用紙を収容する複数(本実施の形態では2個)の用紙収容容器40A,40Bと、この用紙収容容器40A,40Bに収容された用紙を繰り出して搬送する繰出しロール41A,41Bと、用紙収容容器40Aからの用紙を搬送する第1搬送路R1と、用紙収容容器40Bからの用紙を搬送する第2搬送路R2と、を備えている。さらに、画像形成部10は、用紙収容容器40Aおよび用紙収容容器40Bからの用紙を二次転写領域Trに向けて搬送する第3搬送路R3と、を備えている。加えて、画像形成部10は、二次転写領域Trにて各色トナー像が転写された用紙を定着ユニット60、冷却ユニット80、カール矯正ユニット85、および画像読み取り装置100を通過するように搬送する第4搬送路R4と、画像読み取り装置100からの用紙を画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5と、を備えている。
第1搬送路R1から第5搬送路R5は、それぞれに沿って搬送ロールや搬送ベルトが配置され、送られてくる用紙を順次、搬送する。
【0020】
<両面搬送系の説明>
また、画像形成部10は、両面搬送系として、定着ユニット60で第1面に各色トナー像が定着された用紙を一旦保持する中間用紙収容容器42と、画像読み取り装置100からの用紙を中間用紙収容容器42に向けて搬送する第6搬送路R6と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を上記の第3搬送路R3に向けて搬送する第7搬送路R7と、を備えている。さらに、画像形成部10は、画像読み取り装置100の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙を用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5と中間用紙収容容器42に搬送する第6搬送路R6とに選択的に振り分ける振分機構部43と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を繰り出して第7搬送路R7に向けて搬送する繰出しロール45と、を備えている。
【0021】
<画像形成動作の説明>
次に、図1および図2を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置1での基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりC色,M色,HC色,HM色,Y色,K色の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に一次転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送される。
【0022】
一方、用紙搬送系では、各画像形成ユニット11での画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール41A,41Bが回転動作し、用紙収容容器40Aおよび用紙収容容器40Bの中から例えばUI部90にて指定された方の用紙が繰出しロール41A,41Bにより繰り出される。繰出しロール41A,41Bにより繰り出された用紙は、第1搬送路R1または第2搬送路R2と、第3搬送路R3とに沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された合成トナー像が用紙に一括して二次転写される。
【0023】
その後、合成トナー像が転写された用紙は、中間転写ベルト20から分離され、第4搬送路R4に沿って定着ユニット60のニップ部Nに向けて搬送される。そして、ニップ部Nを通過する用紙表面の未定着トナー像は、主としてロールニップ部N1に作用する圧力と熱とにより用紙に定着される。
【0024】
すなわち、本実施の形態の定着ユニット60では、ロールニップ部N1に作用する熱は主に定着ベルト610によって供給される。定着ベルト610は、定着ロール611の内部に配置されたハロゲンヒータ71から定着ロール611を介して供給される熱と、内部加熱ロール612の内部に配置されたハロゲンヒータ72から内部加熱ロール612を介して供給される熱と、外部加熱ロール613の内部に配置されたハロゲンヒータ73から外部加熱ロール613を介して供給される熱とによって加熱される。それにより、定着ロール611だけでなく、内部加熱ロール612および外部加熱ロール613からも熱エネルギーが補給されるので、ロールニップ部N1においては、プロセススピードが高速であっても充分な熱量が確保される。
【0025】
ロールニップ部N1を通過した後には、用紙は剥離パッドニップ部N2に搬送される。剥離パッドニップ部N2は、加圧ロール62に剥離パッド64が押圧されて、定着ベルト610が加圧ロール62に圧接するように構成されている。したがって、ロールニップ部N1は定着ロール611の曲率によって下に凸である湾曲した形状を有するのに対し、剥離パッドニップ部N2は加圧ロール62の曲率によって上に凸である湾曲した形状を有している。
そのため、ロールニップ部N1において定着ロール611の曲率のもとで加熱加圧された用紙は、剥離パッドニップ部N2において加圧ロール62による相反する方向に向いた曲率に進行方向が変化させられる。その際に、用紙上のトナー像と定着ベルト610表面との間で微小なマイクロスリップが生じる。それによって、トナー像と定着ベルト610との付着力が弱められ、用紙は定着ベルト610から剥離され易い状態が形成される。このように、剥離パッドニップ部N2は、最終の剥離工程で確実に剥離が行なわれるための準備工程にも位置付けられる。
【0026】
そして、剥離パッドニップ部N2の出口では、定着ベルト610は剥離パッド64に巻き付くように搬送されるので、定着ベルト610の搬送方向はそこで急激に変化する。すなわち、定着ベルト610は剥離パッド64の外側面に沿って移動するため、定着ベルト610の屈曲は大きなものとなる。そのため、剥離パッドニップ部N2内において定着ベルト610との付着力が予め弱められた用紙は、用紙自身が有している紙のコシによって定着ベルト610から分離する。
【0027】
そして、定着ベルト610から分離された用紙は、剥離パッドニップ部N2の下流側に配置された剥離案内板69により、その進行方向が導かれる。剥離案内板69により案内された用紙は、その後、排紙ベルト79によって冷却ユニット80に向けて搬送され、冷却ユニット80にて冷却される。そしてカール矯正ユニット85にて用紙の曲がりが矯正され、画像読み取り装置100により用紙に記録された画像が読み取られた後、画像読み取り装置100を通過した用紙は、振分機構部43により、片面印刷時には第5搬送路R5に導かれて、用紙積載部44に向けて搬送される。
なお、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれクリーナ16、およびベルトクリーナ26によって除去される。
【0028】
一方、両面印刷時には、上述した過程によって用紙の第1面上に定着画像が形成された用紙は、画像読み取り装置100を通過した後、振分機構部43により第6搬送路R6に導かれ、第6搬送路R6を中間用紙収容容器42に向けて搬送される。そして再び、各画像形成ユニット11による第2面の画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール45が回転し、中間用紙収容容器42から用紙が繰り出される。繰出しロール41A,41Bにより繰り出された用紙は、第7搬送路R7および第3搬送路R3に沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、第1面の場合と同様にして、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された第2面の各色トナー像が用紙に一括して二次転写される。
【0029】
そして、両面にトナー像が転写された用紙は、第1面の場合と同様に定着ユニット60にて定着され、冷却ユニット80にて冷却され、さらにはカール矯正ユニット85にて用紙の曲がりが矯正され、画像読み取り装置100により用紙に記録された画像が読み取られる。その後、画像読み取り装置100を通過した用紙は、振分機構部43により第5搬送路R5に導かれて、用紙積載部44に向けて搬送される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0030】
<画像読み取り装置の説明>
図3は、本実施の形態の画像読み取り装置100について説明した図である。
本実施の形態において画像読み取り装置100は、定着ユニット60によりトナー像が定着された用紙の画像を読み取る読み取り手段の一例である。そして画像読み取り装置100は、画像が形成された用紙に対して光を照射する光源110と、画像読み取り装置100を調整するために種々の測定面を有する反射部の一例としての読み取り精度測定ユニット120と、用紙や読み取り精度測定ユニット120で反射した光を導く光学系130と、光学系130で導かれた光を光量データに変換するCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサ140とを備える。
【0031】
光源110は、本実施の形態では、一対の直管のキセノン蛍光ランプ111a,111bにより構成される。そしてガイド面101に案内されて搬送面を通過する用紙に対し光を照射し、用紙に形成された画像の情報としての反射光を生成させる。
本実施の形態において、光源110を一対のキセノン蛍光ランプ111a,111bにより構成することで、用紙が搬送面から傾いて搬送される場合でも用紙に照射される光の照度に変化が生じにくくなる。即ち、キセノン蛍光ランプが1つであると用紙が傾いたときに用紙に照射される光の照度に変化が生じやすく、この場合、画像を正常に読み取れないときがある。
【0032】
図4は、読み取り精度測定ユニット120について説明した図である。
本実施の形態において読み取り精度測定ユニット120は、側部に12の面を有する十二面柱ロールである。そしてこの面が画像読み取り装置100を調整するための種々の測定面となっている。読み取り精度測定ユニット120は、例えば、アルミニウムからなり、切削加工により12の面が加工される。そして測定誤差を抑制する観点から、表面を黒色アルマイト処理し、予め定められた面に測定用チャートを両面テープ等により貼り付けることにより作製される。そして読み取り精度測定ユニット120は、軸部121にステッピングモータ(図示せず)および減速ギヤ(図示せず)が接続されており、軸部121を中心に回転可能となっている。そしてこれにより画像読み取り装置100を調整するために必要な測定面を用紙の搬送面側に向けることができる。
【0033】
測定面は、例えば、白色の色校正を行なう白色基準板を設けた面や、カラーの色校正を行なうために種々のカラーパターンを設けた面である。加えて本実施の形態では、詳しくは後述するが、1つの測定面123に光源110からの正反射光の量を測定するための反射面の一例である正反射光測定チャートを設けている。
【0034】
なお本実施の形態において、読み取り精度測定ユニット120には、測定面の他に待避面122および用紙保持面124が設けられている。
待避面122は、読み取り精度測定ユニット120と用紙との干渉を避けるための面である。詳しくは後述するが、本実施の形態において画像読み取り装置100が動作するのは、例えば画像形成装置1の電源がONになったときなどに、画像読み取り装置100や画像形成ユニット11のキャリブレーションを行なう場合である。そのため通常の画像形成時は、画像読み取り装置100は、動作せず、用紙は画像読み取り装置100を通過するだけとなる。そのため通常の画像形成時は、読み取り精度測定ユニット120は、用紙と非接触の位置に待避することが好ましい。待避面122は、他の測定面に比較してより大きい面積の面を形成させた面であり、読み取り精度測定ユニット120の側部の12の面を作製する際に、他の面よりも、より多く切削加工を行なうことで作成することができる。そして、読み取り精度測定ユニット120を回転させ、この待避面122を用紙の搬送面側に向けた際には、待避面122は、用紙の搬送面より下側となり、用紙と待避面122とは、干渉しなくなる。これにより読み取り精度測定ユニット120は、通常の画像形成時は、用紙と非接触の位置に待避することができる。
【0035】
用紙保持面124は、画像形成ユニット11のキャリブレーションを行なう際に、用紙の搬送面側に向ける面である。用紙保持面124を用紙の搬送面側に向けた場合、用紙保持面124は、用紙の搬送面よりわずかに上になるように形成される。そして用紙が画像読み取り装置100を通過する際には、ガイド面101と共に用紙を案内することで、用紙が予め定められた搬送面に対して、より合致するように用紙を通過させることができる。そのため、用紙の画像を読み取る際に、読み取りのばらつきをより少なくすることができる。
【0036】
図3に戻り、光学系130は、ミラー131,132,133と、絞り134と、レンズ135とから構成される。用紙や読み取り精度測定ユニット120の測定面で反射した光は、ミラー131,132,133により反射された後、絞り134により予め定められた光量に減光される。絞り134は、中心部に窓部134aを有し、窓部134aの部分を中心に矢印方向に回転可能となっている。そのため絞り134を回転させることで、窓部134aを通過する光量を変化させ、予め定められた光量に減光させることができる。そして光は、レンズ135により、ライン状に集光され、CCDセンサ140に結像する。ここで集光されるラインは、例えば、図3の紙面に対し、垂線方向である。
【0037】
CCDセンサ140には、用紙により反射された光を受光する受光部の一例としてのCCD141がライン状に配されている。本実施の形態では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応するCCD141が、3列に配列し、用紙に記録された画像をRGBの各色で測定することが可能となっている。つまり3ラインカラーCCDとなっている。そしてCCD141により受光した光は、光電変換されて電荷となる。この電荷は、処理部142に転送される。
【0038】
処理部142では、CCD141から転送された電荷を検出し電気信号とする。この電気信号は、画像形成ユニット11の調整を行なうための情報である光量データとなる。つまり処理部142では、CCD141により受光した光から用紙に形成された画像の調整を行なうための情報および正反射光の量を測定するための情報を作成する。ここで情報は、光量データに対応する。
【0039】
<測定面123の説明>
次に読み取り精度測定ユニット120の正反射光測定チャート125を設けた測定面123について更に詳しく説明を行なう。
図5は、正反射光測定チャート125を設けた測定面123について説明した図である。
図5に示した測定面123には、測定面123の長尺方向に対し正反射光測定チャート125が2箇所に設けられる。
【0040】
図6は、正反射光測定チャート125の第1の例について説明した斜視図である。
図6に示すように正反射光測定チャート125は、CCD141に受光される光の中から光源110からの正反射光の量を測定するための反射面の一例である正反射光測定面125aを備える。本実施の形態では、正反射光測定面125aは、拡散光の吸収面であり、中でも黒色の面であることが好ましい。
【0041】
このような正反射光測定面125aを使用することで光源110の正反射光が測定できる。即ち光源110からの光を画像が形成された用紙に照射した場合、用紙の表面で反射される正反射光と、用紙の内部に侵入してから外部に放射される拡散光に分かれる。ここで正反射光は、光源110とほぼ同じスペクトル分布を有する光であり、光源110としてキセノン蛍光ランプ111a,111bを使用した場合は、白色となる。対して、拡散光は、用紙の画像の情報を有する光であり、光源110からの光が照射された部分の色や濃度の情報を含む。
ここで光源110からの光を正反射光測定面125aに照射した場合、正反射光測定面125aが黒色の面であると、拡散光は、正反射光測定面125a内部に侵入すると吸収されて強度が弱められ、ほとんど放射しない。一方、正反射光は、強度が強く、CCD141に達する光のほとんどは正反射光である。そのためCCDセンサ140により生成された光量データは、そのまま正反射光の強度であるとみなすことができる。つまり本実施の正反射光測定面125aを使用することで、正反射光の量を測定することができる。
【0042】
このようにして測定された正反射光の量が、予め定められた範囲を超えると、画像読み取り装置100により正常に画像を読み取れないときがある。つまり、正反射光は用紙に記録された画像の情報を含まない光であるため、正反射光が予め定められた範囲の量を超えてCCD141に到達すると、画像の本来の色や濃度を読み取ることができない。そのため正反射光の量を測定することにより、画像読み取り装置100が正常に画像を読み取れているか否かを確認することができる。
【0043】
なお正反射光測定面125aは、黒色であることに限定されるわけではない。ただし黒色以外の色を有する場合は、正反射光測定面125aからは拡散光も放射されることになるため、CCD141に入射する拡散光の量を予め知っておく必要がある。一方、正反射光測定面125aが黒色であれば、CCD141に入射する光は、上述の通りほとんどが正反射光であると考えられるため、CCDセンサ140により生成された光量データをそのまま利用できるという点でより有利である。またこの場合、測定誤差もより小さくなる。
【0044】
なお本実施の形態では、上述したように正反射光測定面125aは、測定面123の長尺方向に対し2箇所設けられる。そのためそれぞれの位置において正反射光の量を測定することができる。よって正反射光が、測定面123の長尺方向の一部で予め定められた範囲を超える場合でも、それを検出することができる。
【0045】
図7は、正反射光測定チャート125の第2の例について説明した斜視図である。
図7に示した正反射光測定チャート125は、正反射光測定面125a、125bを備える。そして正反射光測定面125a、125bは、予め定められた面に対し傾斜して配される。本実施の形態の場合、予め定められた面は、用紙の搬送面である。そして正反射光測定面125aは、光源110のキセノン蛍光ランプ111aの方向に向けて予め定められた角度で傾斜して配され、正反射光測定面125bは、光源110のキセノン蛍光ランプ111bの方向に向けて予め定められた角度で傾斜して配される。この角度は、例えば、6°である。そして正反射光測定面125a,125bは、例えば、濃度が均一の黒色で着色された面である。
【0046】
このような正反射光測定面125a,125bを使用することで、用紙が予め定められた搬送面から傾いて搬送された場合に対する正反射光の量を測定することができる。
つまり本実施の形態では、画像読み取り装置100を用紙が通過する際には、上述した通りガイド面101に案内されるが、用紙が通過する搬送路には余裕が設けられているため、予め定められた搬送面を正確に通過するとは限らない。そのため用紙が通過する際には、傾斜しつつ搬送されることがある。そしてこの傾斜角度は、本実施の形態では、キセノン蛍光ランプ111a,111bの方向に対しては、予め定められた搬送面に対し、±6°以内である。そのため上述したように正反射光測定面125a,125bをそれぞれ6°ずつキセノン蛍光ランプ111aおよびキセノン蛍光ランプ111bの方向に傾斜させる。そしてこれにより用紙が傾斜して搬送された場合でも、用紙により反射される正反射光が、予め定められた範囲内であるかを確認することができる。
【0047】
<画像形成ユニット11の調整の説明>
次に画像読み取り装置100を利用して画像形成ユニット11を調整する手順について説明する。
【0048】
図8は、画像形成ユニット11を調整する手順について説明したフローチャートである。
まず読み取り精度測定ユニット120の測定面および待避面122が搬送面側にある場合は、読み取り精度測定ユニット120を回転させ、用紙保持面124を搬送面側に向ける。(ステップ101)。そして画像が形成された用紙が搬送されると、光源110により光を用紙に照射する(ステップ102)。この画像は、通常予め定められたパターンが記録されたテストパターンである。用紙により反射された光は、光学系130により導かれ、CCDセンサ140がこの反射光を受光して光量データを作成する(ステップ103)。この光量データは、画像形成装置1の主制御部50に送られる(ステップ104)。そして主制御部50は、光量データから、用紙に形成された画像の色や濃度について算出を行なう(ステップ105)。更に主制御部50は、算出された色や濃度が予め定められた範囲内であるかを予め定められた閾値を参照して判定する(ステップ106)。そして予め定められた範囲内に収まらなかった場合は、画像形成ユニット11で形成されるトナー像の調整を行なう(ステップ107)。また予め定められた範囲内であった場合は、調整を終了する。
【0049】
この一連の動作は、画像形成ユニット11のキャリブレーションを行なうときに行なわれる。即ち、画像形成装置1の電源がONになったときなどに予め画像形成ユニット11の調整を行なうことで、色や濃度についてよりばらつきが少ない画像を形成することができる。なおキャリブレーションを行なうのは、画像形成ユニット11に限らず、転写手段など他の箇所に対して行なってもよい。
【0050】
<光源110からの正反射光の量の測定の説明>
次に正反射光測定チャート125を設けた測定面123を利用して正反射光の量の測定を行なう手順について説明を行なう。
【0051】
図9は、光源110からの正反射光の量の測定を行なう手順について説明したフローチャートである。
まず読み取り精度測定ユニット120の測定面123を搬送面側に向ける(ステップ201)。そして光源110により測定面123に光を照射する(ステップ202)。そして測定面123に設けられた正反射光測定チャート125により反射された正反射光は、光学系130により導かれ、CCDセンサ140がこの正反射光を受光して光量データを作成する(ステップ203)。この光量データは、画像形成装置1の主制御部50に送られる(ステップ204)。そして主制御部50は、光量データから正反射光測定面125a,125bの反射率等を算出する(ステップ205)。そして主制御部50は、予め定められた閾値を参照してこの値が、予め定められた範囲内(例えば、正反射光測定面125a,125bの反射率が2%以内)であるか否かを判定する(ステップ206)。そして反射率等が、この範囲内に収まらなかった場合は、主制御部50は、正反射光の量が規定値外であると判断し、画像読み取り装置100のメンテナンスを促す警告を出力させる(ステップ207)。また予め定められた範囲内であった場合は、図8で説明した用紙の画像を読み取るプロセスに移る。
【0052】
この一連の動作は、画像読み取り装置100のキャリブレーションを行なうときに行なわれる。即ち、画像読み取り装置100により上述した画像形成ユニット11のキャリブレーションを行なう前に、画像読み取り装置100の調整を予め行なうことで、画像形成ユニット11のキャリブレーションの精度を向上させることができる。
【0053】
なお上述した主制御部50が行なっていたプロセスは、画像読み取り装置100内で行なうことが可能である。即ち、これらのプロセスを行なうための演算部等を画像読み取り装置100内に別途設け、主制御部50と同様のプロセスを行なわせればよい。
【0054】
以上詳述した画像読み取り装置100は、画像形成装置1の画像形成ユニット11の調整を行なうための装置であるとして説明を行なったが、これに限られるものではない。例えば、プラテンガラス上に原稿等の画像が形成された用紙を載せ、光源によりこの原稿に光を照射して、反射光をCCDセンサ等で読み取る一般的なスキャナ等の画像読み取り装置でも適用可能である。
【0055】
また以上詳述した画像読み取り装置100は、トナー像を形成させることで画像を形成する画像形成装置に対して適用されるものとして説明を行なったが、これに限られるものではない。例えば、インクジェット方式により画像を形成させる画像形成装置に対しても適用が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…画像形成装置、11…画像形成ユニット、100…画像読み取り装置、110…光源、120…読み取り精度測定ユニット、125…正反射光測定チャート、125a,125b…正反射光測定面、140…CCDセンサ、141…CCD、142…処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された記録材に対して光を照射する光源と、
前記記録材により反射された光を受光する受光部と、
前記受光部に受光される光の中から前記光源からの正反射光の量を測定するための反射面を有する反射部と、
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記反射部に配された前記反射面は、拡散光の吸収面であることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記反射部に配された前記反射面の少なくとも1つは、予め定められた面に対し傾斜して配されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記受光部により受光した光から前記記録材に形成された画像の調整を行なうための情報および前記正反射光の量を測定するための情報を作成する処理部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記反射部は、前記光源からの光が記録材に照射されるときは、当該記録材と非接触の位置に待避することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記記録材に形成された画像の調整を行なうために当該記録材の画像を読み取る読み取り手段と、を備え、
前記読み取り手段は、
画像が形成された前記記録材に対して光を照射する光源と、
前記記録材により反射された光を受光する受光部と、
前記受光部に受光される光の中から正反射光の量を測定するための反射面を有する反射部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
トナー像を形成させるトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段により形成された前記トナー像を前記記録材に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写された前記トナー像を前記記録材に定着する定着手段と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記反射部に配された前記反射面は、拡散光の吸収面であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−60352(P2012−60352A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200732(P2010−200732)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】