画像読み取り装置及びその画像読み取り方法
【課題】光源のフリッカによる画像ノイズを低減する。
【解決手段】調整時、選択手段1cは、設定テーブル記憶手段1dに記憶する設定テーブルを1つ指定し、画像読み取り手段1aは、指定された設定テーブルに基づいて調整用媒体のイメージ画像を読み取る。評価手段1bは、そのイメージ画像の輝度分布を算出し、輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。選択手段1cは、算出された評価値と判定基準を照合し、評価値が判定基準を満たしているときは、この設定テーブルを対象媒体の読み取り用として選択する。満たしていないときは、次の設定テーブルで同様の処理を行う。
【解決手段】調整時、選択手段1cは、設定テーブル記憶手段1dに記憶する設定テーブルを1つ指定し、画像読み取り手段1aは、指定された設定テーブルに基づいて調整用媒体のイメージ画像を読み取る。評価手段1bは、そのイメージ画像の輝度分布を算出し、輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。選択手段1cは、算出された評価値と判定基準を照合し、評価値が判定基準を満たしているときは、この設定テーブルを対象媒体の読み取り用として選択する。満たしていないときは、次の設定テーブルで同様の処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置及びその画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類等の対象媒体から文字や画像等のイメージ画像を読み取る画像読み取り装置として、イメージセンサ部が対象媒体を置く台座から離れた高さに配置されるスタンド型の画像読み取り装置がある。このようなスタンド型の画像読み取り装置は、対象媒体とイメージセンサ部との間が離れていることにより、例えば、厚みのある帳票といった対象媒体の読み取りもできるといった利点がある。
【0003】
しかし、スタンド型の画像読み取り装置は、その構造から読み取り時の特性が設置場所の照明環境に影響を受ける。また、その光源は商用交流電源により点灯している天井灯等である場合が多く、光源に商用交流電源の周波数に応じた明るさのフリッカ現象が発生する。エリアイメージセンサで対象媒体の2次元イメージ画像を得る画像読み取り装置では、フィールドごとの露光タイミングが異なるため、周期的な輝度レベルの変動による縞模様が生じる。一般に、この縞模様状の画像ノイズは、光源を点灯する商用交流電源の周波数に応じて画像読み取り装置ごとに決まる。そこで、予め商用交流電源の周波数に応じて、イメージセンサの設定状態を調整する設定テーブルを用意しておき、設定テーブルを適宜選択することにより、光源のフリッカによるイメージ画像の劣化を防止する方法がある。また、フリッカの位相を検出する位相検出器を設け、フリッカの位相に同期させて補正演算処理を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。さらに、フリッカセンサを設け、フリッカセンサ出力と画像明るさの関係に基づき、画像の明るさを補正する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−203864号公報
【特許文献2】特開2000−244706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の画像読み取り装置では、光源のフリッカ周期に合わせて画像読み取り装置を調整することが容易ではないという問題点がある。
前述のように、光源を点灯する商用交流電源の周波数に対応する設定テーブルを用いて画像読み取り時の設定を調整することによって、光源のフリッカによる画像ノイズを低減することができる。しかし、別途センサを設けない場合、画像読み取り装置では商用交流電源の周波数を検知することができない。このため、設定テーブルの選択は、利用者に任されている場合が多く、選択された設定テーブルが設置環境の商用交流電源の周波数と合っていない場合も多かった。設定テーブルが商用交流電源の周波数と一致しなかった場合、イメージ画像から光源のフリッカによる縞模様状の画像ノイズを除去できない。例えば、金融機関等でこの画像読み取り装置を用いて帳票から印鑑の画像を読み取り、予め登録された印鑑画像と照合するような場合、読み取ったイメージ画像に縞模様状の画像ノイズが発生すると、印鑑照合の際の照合率が低下するという問題があった。
【0006】
一方、画像読み取り装置にフリッカの位相検出器やフリッカセンサを別途設けるとなると、装置の大型化やコスト増を招くという問題点がある。
このような点に鑑み、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる画像ノイズを低減することが可能な画像読み取り装置及びその画像読み取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、設定テーブル記憶手段、画像読み取り手段、評価手段及び選択手段を有し、対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置が提供される。設定テーブル記憶手段は、フリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれるフリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブルを記憶する。画像読み取り手段は、指定された設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行う。評価手段は、調整時に画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得し、イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出する。そして、輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。調整時に設定テーブル記憶手段に記憶する設定テーブルを画像読み取り手段に順次指定する。また、指定した設定テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像に対する評価値を評価手段から取得して判定基準と照合し、評価値が判定基準を満たすときは、この設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する。
【0008】
このような画像読み取り装置によれば、調整時、選択手段は、設定テーブル記憶手段に記憶する設定テーブルを画像読み取り手段に指定する。画像読み取り手段は、指定された設定テーブルに基づく設定でイメージ画像の読み取り処理を行う。評価手段は、画像読み取り手段が読み取ったイメージ画像データを取得し、このイメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出する。さらに、この輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。選択手段は、指定した設定テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像データに対する評価値を評価手段から取得し、判定基準と照合する。評価値が判定基準を満たすときは、このときの設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用として選択する。選択しないときは、次の設定テーブルを指定し、同様の手順を繰り返す。
【0009】
また、上記課題を解決するために、上記の画像読み取り装置と同様の処理手順を実行する画像読み取り方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の画像読み取り装置及び画像読み取り方法によれば、読み取ったイメージ画像の輝度分布の特徴に基づいて、光源のフリッカ周期に適した設定テーブルを選択することができる。これにより、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる影響を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に適用される発明の概念図である。
【図2】実施の形態の画像読み取り装置の構成の一例を示す図である。
【図3】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態の画像読み取り装置のソフトウェア構成例を示した図である。
【図5】露出テーブルとイメージ画像データの輝度分布との関係の一例を示した図である。
【図6】露出テーブルの判定基準の一例を示した図である。
【図7】露出テーブル選択処理の手順を示したフローチャートの一例である。
【図8】第2の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図9】シェーディング補正を説明する図である。
【図10】第3の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図11】線強調処理を説明する図である。
【図12】線強調処理前と線強調処理後における輝度分布の変化の一例を示した図である。
【図13】露出時間に応じた判定閾値テーブルの例を示した図である。
【図14】第4の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図15】ラインサンプリング処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態に適用される発明の概念図である。
画像読み取り装置1は、画像読み取り手段1a、評価手段1b、選択手段1c及び設定テーブル記憶手段1dを有し、商用交流電源により点灯する照明を光源としてイメージ画像の読み取り処理を行う。光源には、光源を点灯する商用交流電源の周波数(以下、電源周波数とする)に応じて明るさのフリッカ現象が発生する。また、画像読み取り装置1では、対象媒体の読み取りを行う前には、画像読み取り手段1aの設定状態を画像読み取り装置1の設置場所に合わせるための調整が行われる。調整時には、媒体全体で反射率が一様な調整用媒体、例えば、無地の白色の用紙等を用いてイメージ画像の読み取り処理を行い、画像読み取り用の各種設定を調整する。
【0013】
画像読み取り手段1aは、撮像素子を有し、帳票類や冊子等の対象媒体の2次元イメージ画像を読み取る。読み取り時の露出等は、選択手段1cの指定した設定テーブルに基づいて決定する。
【0014】
評価手段1bは、調整時、選択手段1cの指定した設定テーブルを用いて画像読み取り手段1aが調整用媒体から読み取ったイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像の輝度分布を算出し、輝度分布の特徴に基づいて、イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。一般に、無地で白色の調整用媒体のイメージ画像を読み取った場合、理想的には、イメージ画像の各画素の輝度は高い方に分布し、かつ同じような輝度になる。したがって、イメージ画像データに画像ノイズが含まれていないとき、画素の輝度分布のばらつきは低くなる。一方、イメージ画像に画像ノイズ(輝度の低い画素として表れる)が含まれると、イメージ画像の輝度はばらつき、画像ノイズが多く含まれるほどばらつきは大きくなる。そこで、この輝度分布のばらつき(散布度)をイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値として用いる。例えば、輝度分布の標準偏差を算出する。なお、評価手段1bは、調整用媒体全体のイメージ画像データで評価を行うばかりでなく、予め決められた調整用媒体の一部(これをサンプリング領域とする)を対象とし、評価を行うとしてもよい。
【0015】
選択手段1cは、調整時、設定テーブル記憶手段1dに記憶する設定テーブルのうちの1つを選択して画像読み取り手段1aに指定する。そして、この設定テーブルに基づいて、画像読み取り手段1aが読み取ったイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を評価手段1bから取得する。そして、取得した評価値を、イメージ画像に含まれる画像ノイズが基準値以下であると認められるときの判定基準と照合する。評価値が判定基準を満たしていると判定したときは、このとき用いた設定テーブルを対象媒体の読み取り用に選択する。評価値が判定基準を満たしていないと判定したときは、次の設定テーブルを画像読み取り手段1aに指定し、同様の手順を繰り返す。こうして、光源のフリッカによる画像ノイズを基準値以下とすることができる設定テーブルを選択する。
【0016】
設定テーブル記憶手段1dは、光源のフリッカ周期に対応付けて、フリッカ現象による画像ノイズを軽減するための設定テーブルを記憶する。
このような構成の画像読み取り装置1の動作について説明する。
【0017】
画像読み取り装置1の調整時には、調整用媒体を画像読み取り装置1の原稿台にセットする。選択手段1cは、画像読み取り手段1aに対し、設定テーブル記憶手段1dに記憶される設定テーブルの1つを指定する。設定テーブルは、光源のフリッカ現象による画像ノイズを軽減するための読み取り設定が登録されるテーブルで、光源を点灯する電源周波数に応じて予め設定され、設定テーブル記憶手段1dに格納されている。画像読み取り手段1aは、指定された設定テーブルに登録された設定によって、調整用媒体のイメージ画像を読み取り、イメージ画像データを生成する。評価手段1bは、イメージ画像データを取得し、輝度分布の特徴に基づくイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値、例えば標準偏差を算出する。選択手段1cは、評価手段1bの評価結果を取得し、算出された評価値が判定基準を満たしているかどうかチェックする。判定基準を満たしているときは、この設定テーブルを用いたときの画像ノイズは基準値以下であると判定し、この設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する。そうでなければ、次の設定テーブルを指定し、設定テーブルが選択されるまで、上記の処理を繰り返す。
【0018】
こうして、調整が終了し、選択された設定テーブルを用いて対象媒体のイメージ画像読み取りが可能となる。
このような画像読み取り装置1によれば、読み取ったイメージ画像に基づいて、光源のフリッカによる画像ノイズを軽減する最適な設定テーブルを選択することができる。フリッカの位相検出器等のセンサを用いないため、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる影響を低減することが可能となる。
【0019】
なお、上記の説明では、標準偏差を用いて輝度分布の特徴を表すとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、あるデータ群のばらつき具合を表す散布度として、標準偏差以外にも分散、平均偏差、変動係数等が知られており、これらの散布度を適宜用いて輝度分布の特徴を捉えることができる。
【0020】
以下、発明を、露出テーブルを選択して光源のフリッカによる画像ノイズを軽減する画像読み取り装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
図2は、実施の形態の画像読み取り装置の構成の一例を示す図である。
【0021】
画像読み取り装置は、対象媒体のイメージ画像の読み取りを制御する制御装置10と、イメージ画像を読み取るイメージリーダ20と、を有し、所定の電源周波数の光源30を用いてイメージ画像の読み取りを行う。
【0022】
制御装置10は、通信路24を介してイメージリーダ20に接続し、イメージリーダ20が読み取った対象媒体のイメージ画像データを取得する。通常時には、取得したイメージ画像の表示や記憶装置に記憶する等の処理を行う。また、例えば、文字認識処理や、印鑑画像の照合のように予め登録された画像との照合処理等を行うこともできる。調整時には、各種読み取りパラメータの調整を行うとともに、設置環境の光源の電源周波数に合った露出テーブルを選択し、イメージリーダ20に指定する。
【0023】
イメージリーダ20は、画像生成部21、台座22及びスタンド23を有し、通信路24を介して制御装置10に接続する。画像生成部21は、スタンド23によって台座22から所定の距離の高さに固定され、光源30の下で、台座22上に置かれた対象媒体のイメージ画像を読み取る。画像生成部21は、撮像素子が2次元的にマトリクッス状に配列されたエリアイメージセンサを有している。撮像素子には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を用いる。図2の例では、タイミング1において全体画像の中から、第1フィールド40にあたる画素を読み出す。次のタイミング2で全体画像の中から第2フィールドの画素を読み出す。同様にしてフィールドライン数だけ読み出しを行うことで、対象媒体から2次元のイメージ画像を取得する。画像生成部21から出力される2次元のイメージ画像には、光源30のフリッカによるイメージ画像の周期的な明るさの強弱が縞模様状に表れる。以下、これを縦線ノイズとする。前述のように、2次元画像に出現する縦線ノイズの周期は、一般的に光源30を点灯する電源周波数に応じて決まる。そこで、イメージリーダ20には、電源周波数ごとにイメージ画像読み取り時の露出値を調整する設定テーブルを用意する。以下、この設定テーブルを、露出テーブルと呼ぶ。露出値はCCDに当たる光の量を調整するパラメータであり、露出テーブルには縦線ノイズの周期に応じた露出値のパターンが、電源周波数に対応付けて登録されている。露出値によって露光時間が決定されるが、露光時間がフリッカ周期の倍数でない場合、同じ時間露光したとしても露光のタイミングによって受ける光の量が変化してしまい、縦線ノイズが発生する。露出テーブルは、その電源周波数においてどのタイミングで露光してもCCDの受ける光の量が同じとなるような、適正な露光時間を得られる露出値のパターンが設定されている。
【0024】
なお、上記の構成例では、制御装置10とイメージリーダ20とを別装置としたが、同一の装置に双方の機能を組み込むとしてもよい。
ここで、制御装置10のハードウェア構成について説明する。図3は、制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0025】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、及び通信インタフェース106が接続されている。
【0026】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。HDD103には、OSやアプリケーションのプログラムが格納される。グラフィック処理装置104には、モニタ108が接続されており、CPU101からの命令に従って画像をモニタ108の画面に表示させる。入力インタフェース105には、キーボード109aやマウス109bが接続されており、キーボード109aやマウス109bから送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。通信インタフェース106は、通信路24を介してイメージリーダ20に接続されており、通信路24を介してイメージリーダ20との間でデータの送受信を行う。
【0027】
このようなハードウェア構成によって、制御装置10の処理機能を実現することができる。
次に、制御装置10及びイメージリーダ20のソフトウェア構成について説明する。最初に、第1の実施の形態として、イメージ画像に複数のサンプリング領域を設定し、サンプリング領域のイメージ画像データに基づき、露出テーブルを選択する構成について説明する。図4は、第1の実施の形態の画像読み取り装置のソフトウェア構成例を示した図である。
【0028】
イメージリーダ20は、画像取得部210、露出テーブル調整部220及び露出テーブル記憶部230を有する。画像取得部210は、画像生成部21を制御して、台座22に置かれた対象媒体または調整用媒体のイメージ画像を読み取る。読み取ったイメージ画像データは、制御装置10に出力する。露出テーブル調整部220は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを露出テーブル記憶部230から読み出し、読み出した露出テーブルに基づいて画像取得部210の露出調整を行う。露出テーブル記憶部230には、光源30を点灯する電源周波数に対応付けて、光源30のフリッカによる縦線ノイズを低減する露出パターンが記憶されている。ここでは、電源周波数が50ヘルツ(以下、Hzとする)のときの露出パターンと、60Hzのときの露出パターンとが記憶されているとする。
【0029】
制御装置10はイメージ画像に含まれる縦線ノイズの評価値を算出する評価部110と、評価部110の算出した評価値に基づいて最適な露出テーブルを選択する露出テーブル選択部120と、を有する。そして、設置場所に合わせて露出設定などを調整するキャリブレーション処理の実行時、反射率が一様な調整用媒体を用いて、設置場所に適した露出テーブルを選択する処理を行う。ここでは、キャリブレーションに用いる調整用媒体を、無地の白色の用紙(以下、キャリブレーションシート)とする。
【0030】
評価部110は、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出するサンプリングデータ抽出部111と、サンプリング領域の輝度分布の標準偏差を算出する標準偏差算出部112とを有する。サンプリングデータ抽出部111は、画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、予め決められたサンプリング領域のイメージ画像データを抽出してサンプリングデータとする。サンプリング領域は、イメージ画像の任意の箇所に設定することができるが、各サンプリング領域内に光源のフリッカ周期に応じた縦線ノイズが検出できるように設定することが好ましい。ここでは、イメージ画像全体の特徴を把握するため、イメージ画像の左上、右上、中心、左下及び右下の5箇所にサンプリング領域を設定する。標準偏差算出部112は、サンプリング領域ごとに、サンプリング領域のイメージ画像に含まれる画素の輝度分布の標準偏差を算出する。サンプリング領域のイメージ画像に画像ノイズが含まれていないとき、画素の輝度は均一になり、標準偏差は小さくなる。サンプリング領域のイメージ画像データに画像ノイズが含まれているとき、画素の輝度は均一とならないため、標準偏差は大きくなる。露出テーブル選択部120は、イメージリーダ20に対して露出テーブルを指定し、キャリブレーションシートのイメージ画像データの読み取りを実行させる。そして、取得したイメージ画像データについて評価部110が算出した評価値が判定基準を満たしているか否かに基づき、選択する露出テーブルを決定する。判定基準は、例えば、「サンプリング領域ごとの標準偏差に基づき、サンプリング領域5箇所中、4箇所以上のサンプリング領域の標準偏差が判定閾値より小さいとき、取得したイメージ画像データに縦線ノイズがない」とする。そして、この判定基準を満たしたときの露出テーブルを選択する。この判定基準を判定基準1とする。算出された輝度分布の標準偏差が判定基準1を満たさないときは、第2の判定基準である判定基準2と比較する。判定基準2として、例えば、50Hzの全サンプリング領域の標準偏差の平均と、60Hzの全サンプリング領域の標準偏差の平均と、を比較し、最適な方を選択する。選択方法の詳細は後述する。こうして、選択した露出テーブルを通常の読み取り処理用の露出テーブルとしてイメージリーダ20に指定し、以降、この露出テーブルを用いて画像読み取り処理が行われる。
【0031】
次に、上記の構成の画像読み取り装置の動作について詳細に説明する。
イメージリーダ20は、設置場所の照明環境によって読み取ったイメージ画像の画質が大きく影響される。そこで、設置する場所や照明環境が変わったときには、キャリブレーションが行われる。キャリブレーションシートが台座22にセットされ、キャリブレーション指示が行われると、制御装置10はイメージリーダ20の動作を制御し、キャリブレーション処理を開始する。キャリブレーション処理では、イメージリーダ20が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像に基づき、倍率の補正や露出の設定等を構成するとともに、光源30の電源周波数に応じた露出テーブルを選択する露出テーブル選択処理が行われる。以下、露出テーブル選択処理について説明する。
【0032】
露出テーブル選択部120は、露出テーブル記憶部230に記憶される光源30の電源周波数に応じた露出テーブルから1つを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。ここでは、50Hzの露出テーブルの指定を行うとする。露出テーブル調整部220は、50Hzの露出テーブルを露出テーブル記憶部230から読み出し、画像取得部210に設定する。こうして画像取得部210は、50Hzの露出テーブルの露出設定に従ってキャリブレーションシートのイメージ画像を読み取り、評価部110に出力する。評価部110では、サンプリングデータ抽出部111が、取得したキャリブレーションシートのイメージ画像データから、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出し、標準偏差算出部112へ出力する。標準偏差算出部112は、各サンプリング領域に含まれる画素の輝度分布の標準偏差を算出する。露出テーブル選択部120は、各サンプリング領域の標準偏差を取得し、露出テーブルの適否を判定する。
【0033】
図5は、露出テーブルとイメージ画像データの輝度分布との関係の一例を示した図である。(A)は、正しい露出テーブルのときの輝度分布、(B)は、異なる露出テーブルのときの輝度分布を示している。なお、「正しい露出テーブル」とは、光源の電源周波数と露出テーブルの電源周波数とが一致しているときを言い、「異なる露出テーブル」とは、光源の電源周波数と露出テーブルの電源周波数とが一致していないときを言う。
【0034】
(A)正しい露出テーブルのときの輝度分布は、光源の電源周波数と、露出テーブルの電源周波数とが一致しているときのイメージ画像と、その輝度分布の例を示している。イメージ画像400には、サンプリング領域401,402,403,404,405が設置されている。正しい露出テーブルのときは、露出テーブルに基づく露出設定によって、イメージ画像から光源30のフリッカによる縦線ノイズは除去されている。このため、サンプリング領域401,402,403,404,405のいずれにも縦線ノイズは発生していない。分布図500は、サンプリング領域401,402,403,404,405の輝度分布である。横軸は、サンプリング領域401,402,403,404,405に含まれる画素の輝度を表しており、右側へいくほど輝度が高くなる(明るくなる)。縦軸は、画素数を表しており、上へいくほど画素数が多くなる。標準偏差501は、サンプリング領域401,402,403,404,405内の画素の輝度のばらつきを示し、画像にノイズが多くなるほど大きくなる評価値である。イメージ画像400のように縦線ノイズがないときは、各画素の輝度は均一で、標準偏差は小さい。
【0035】
(B)異なる露出テーブルのときの輝度分布は、光源の電源周波数と、使用した露出テーブルの電源周波数と、が異なっているときのイメージ画像と、その輝度分布の例を示している。イメージ画像410には、サンプリング領域411,412,413,414,415が設置されている。これらは、イメージ画像400のサンプリング領域401,402,403,404,405と同じ位置にある。異なる露出テーブルのときは、露出テーブルに基づく露出設定と光源30のフリッカ周期とがずれるため、光源30のフリッカによる縦線ノイズは除去されない。このため、サンプリング領域411,412,413,414,415のいずれにも縦線ノイズ419が発生する。分布図510は、サンプリング領域411,412,413,414,415の輝度分布である。横軸及び縦軸は、分布図500と同様である。標準偏差511は、サンプリング領域411,412,413,414,415内の画素の輝度のばらつきを示す指標である。イメージ画像410のように、縦線ノイズ419が発生しているときは、サンプリング領域内に明るさの強弱が生じ、輝度にばらつきが出る。したがって、標準偏差511は、縦線ノイズ419がないときの分布図500の標準偏差501よりも大きくなる。
【0036】
露出テーブル選択部120は、各サンプリング領域の標準偏差を取得し、判定基準1に基づいて縦線ノイズがあるか否かを判定する。判定基準1には、縦線ノイズがあるか否かを判定する判定閾値と、いくつのサンプリング領域で標準偏差が判定閾値を超えなかったとき縦線ノイズなしとするかと、が予め決められている。露出テーブル選択部120では、各サンプリング領域の標準偏差と判定閾値とを比較し、判定閾値を超えているか否かを判定する。5箇所のサンプリング領域のうち、例えば、4箇所のサンプリング領域について標準偏差が閾値よりも小さいとき、縦線ノイズは発生していないと判定する。そして、このときイメージ画像の読み取りに指定した露出テーブルは正しいと判定し、通常処理における対象媒体の読み取り用の露出テーブルとして選択する。選択結果を露出テーブル調整部220に通知し、露出テーブルの選択処理を終了する。イメージ画像410に示したように、縦線ノイズ419は、イメージ画像410の縦方向に上端から下端までの線で周期的に、かつ全領域に発生する。このため、少なくとも一部のサンプリング領域で、縦線ノイズ419の発生が検出できる。
【0037】
一方、5箇所のサンプリング領域のうち、標準偏差が閾値よりも小さいものが規定数の4箇所に足りなかったとする。この場合は、縦線ノイズが発生したと判定し、このときに設定した露出テーブルは正しくないと判定する。そして、露出テーブルを他方(50Hzを指定していたので、次は60Hzの露出テーブル)に指定し、上記と同様の手順を繰り返す。他方の露出テーブルが正しいと判定されたときは、これを対象媒体の読み取り用の露出テーブルとして選択する。
【0038】
いずれの判定でも露出テーブルが決まらなかったときは、判定基準2に基づいて、50Hzまたは60Hzの露出テーブルのいずれかを選択する。判定基準2に基づく選択では、それぞれの露出テーブルを用いて得られた標準偏差の差が判定閾値より大きく、かつ、小さい側の標準偏差が判定基準1に基づく許容範囲内であるとき、小さい側の標準偏差であった露出テーブルを選択する。標準偏差の差が一定値以上であれば、露出テーブルによる縦線ノイズ低減の差が認められる。また、許容範囲内によって、判定基準1よりも縦線ノイズの低減度合いが低いものも選択できるようにする。判定基準2に基づく選択では、50Hz及び60Hzそれぞれの露出テーブルで算出された全サンプリング領域の標準偏差の平均値を算出して比較する。50Hz時の標準偏差の平均値と、60Hz時の標準偏差の平均値との差が予め決められた閾値よりも大きく、かつ、小さい側の標準偏差の平均値が、平均の標準偏差が小さい方を選択する。そして、選択を露出テーブル調整部220に通知し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0039】
ここで、露出テーブルの選択の際の判定基準について説明する。図6は、露出テーブルの判定基準の一例を示した図である。
判定基準600では、判定基準は判定基準1と、判定基準2の2段階に分けて判定する。判定基準1を満たす場合には、判定基準1に基づいて露出テーブルを選択する。判定基準1が成立しない場合には、判定基準2に基づいて露出テーブルを選択する。
【0040】
判定基準1の判定条件は、「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」というものである。この条件が成立したときにイメージリーダ20に設定されていた露出テーブルが50Hzであるときは、50Hzの露出テーブルを選択する。60Hzであるときは、60Hzの露出テーブルを選択する。判定条件となる標準偏差「4.0」は、そのサンプリング領域のサンプリングデータに縦線ノイズが含まれないと認められる数値で、画像読み取り装置ごとに適宜設定する。また、「4」箇所以上という条件も適宜設定することができる。
【0041】
判定基準2の判定条件は、「50Hzの標準偏差平均と、60Hzの標準偏差平均を比較して、差が『0.5』以上、かつ小さい方が『4.5』以下」というものである。これは、判定基準1は満たさないが、50Hz、60Hzそれぞれの露出テーブルを用いた時の標準偏差の差がある程度あるときは、標準偏差が小さい方の露出テーブルの方が、より正しいと推定できることによる。この条件が成立したときに、50Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均の方が、60Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均よりも小さいときは、50Hzの露出テーブルを選択する。60Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均の方が、50Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均よりも小さいときは、60Hzの露出テーブルを選択する。なお、判定条件となる差「0.5」と、小さい方の標準偏差「4.5」の数値は、画像読み取り装置ごとに適宜設定する。また、判定基準2として、より多くのサンプリング領域で判定基準1を満たす側の露出テーブルを選択するという判定条件としてもよい。このように判定基準は適宜設定することができる。
【0042】
次に、制御装置10の処理手順を、フローチャートを用いて説明する。図7は、露出テーブル選択処理の手順を示したフローチャートの一例である。
キャリブレーションシートが置かれ、キャリブレーションが開始されると、露出テーブル選択処理も開始される。
【0043】
[ステップS01] 露出テーブル選択部120は、初期値として50Hzの露出テーブルを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。露出テーブル調整部220は、50Hzの露出テーブルに基づく露出設定を画像取得部210に行う。
【0044】
[ステップS02] 評価部110は、ステップS01で指定された50Hzの露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出する。そして、サンプリング領域ごとに標準偏差を算出する。
【0045】
[ステップS03] 露出テーブル選択部120は、50Hzの露出テーブルを用いたときに判定基準1が成立するかどうか、すなわち、イメージ画像に縦線ノイズがあるかどうか(露出テーブルが光源30の電源周波数とあっているか)を判定する。サンプリング領域ごとに算出された標準偏差を判定基準1の判定閾値と比較し、規定数以上のサンプリング領域の標準偏差が閾値以下であるかどうか調べる。規定数以上のサンプリング領域で判定閾値以下であるときは、縦線ノイズが検出されないと判定し、処理をステップS04に進める。それ以外のときは、縦線ノイズの疑い有として処理をステップS05に進める。
【0046】
[ステップS04] 露出テーブル選択部120は、サンプリング領域のイメージ画像に縦線ノイズが検出されないと判定したときは、50Hzの露出テーブルが正しい(光源30の電源周波数と一致している)と判定する。そして、通常処理用として50Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0047】
[ステップS05] 露出テーブル選択部120は、縦線ノイズの疑いがあるときは、評価部110が算出した50Hzの露出テーブルのときの各サンプリング領域の標準偏差の値を記憶手段に一時的に格納しておく。次に、60Hzの露出テーブルを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。露出テーブル調整部220は、60Hzの露出テーブルに基づく露出設定を画像取得部210に行う。
【0048】
[ステップS06] 評価部110は、ステップS05で指定された60Hzの露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出する。そして、サンプリング領域ごとに標準偏差を算出する。
【0049】
[ステップS07] 露出テーブル選択部120は、60Hzの露出テーブルを用いたときに判定基準1が成立するかどうか、すなわち、イメージ画像に縦線ノイズがあるかどうか(露出テーブルが光源30の電源周波数とあっているか)を判定する。サンプリング領域ごとに算出された標準偏差を判定基準1の判定閾値と比較し、規定数以上のサンプリング領域の標準偏差が閾値以下であるかどうか調べる。規定数以上のサンプリング領域で判定閾値以下であるときは、縦線ノイズが検出されないと判定し、処理をステップS08に進める。それ以外のときは、縦線ノイズの疑い有として処理をステップS09に進める。
【0050】
[ステップS08] 露出テーブル選択部120は、縦線ノイズが検出されないと判定したときは、60Hzの露出テーブルが正しい(光源30の電源周波数と一致している)と判定する。そして、通常処理用として60Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0051】
[ステップS09] 露出テーブル選択部120は、ステップS07において縦線ノイズの疑い有のときは、判定基準2を用いて、どちらの露出テーブルが光源30の電源周波数に適しているのかを決めるため、それぞれの標準偏差の平均値を算出する。ステップS07で算出した60Hzの露出テーブルを使用したときの標準偏差の平均値を算出する。同様に、ステップS05で記憶手段に格納しておいた50Hzの露出テーブルを使用したときの標準偏差から、その平均値を算出する。
【0052】
[ステップS10] 露出テーブル選択部120は、ステップS09で算出した50Hz、60Hzそれぞれの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値に基づき、判定基準2が成立するかどうかを判定する。すなわち、50Hzのときの標準偏差の平均値と、60Hzのときの標準偏差の平均値との差が予め決められた閾値よりも大きく、かつ、小さい方の標準偏差が判定基準2の判定閾値よりも小さいかどうかを判定する。判定基準2が成立するときは処理をステップS11に進める。判定基準2が成立しないときは、処理をステップS14に進める。
【0053】
[ステップS11] 露出テーブル選択部120は、判定基準2が成立するときは、どちらの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が小さいかを判定する。50Hzよりも60Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が小さいときは、処理をステップS12に進める。そうでないときは、処理をステップS13に進める。
【0054】
[ステップS12] 露出テーブル選択部120は、60Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値の方が50Hzの場合よりも小さいときは、60Hzを正しい露出テーブルと判定する。そして、通常処理用として60Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0055】
[ステップS13] 露出テーブル選択部120は、50Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値の方が60Hzの場合よりも小さいときは、50Hzを正しい露出テーブルと判定する。そして、通常処理用として50Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0056】
[ステップS14] 露出テーブル選択部120は、それぞれの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が閾値よりも小さいときは、どちらが適しているのかを判定することはできない。そこで、初期値である50Hzの露出テーブルを通常処理用として露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0057】
以上の処理手順が実行されることにより、それぞれの露出テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像データに基づき、光源の電源周波数に一致する露出テーブルを選択することができる。
【0058】
なお、ステップS01において、初期値を60Hzの露出テーブルとすることもできる。この場合、以降の処理手順の50Hzと、60Hzとが入れ替わる。
このように、第1の実施の形態の画像読み取り装置によれば、キャリブレーションシートを用いたイメージ画像読み取り結果に基づいて、露出テーブルを選択するので、光源のフリッカ周期を検出するセンサ等を別途設ける必要がない。また、実際に読み取ったイメージ画像に基づいて画像ノイズを低減する露出テーブルを選択するため、最適な露出テーブルを選択することができる。
【0059】
次に、第2の実施の形態として評価部110の評価の前に、画像取得部210から取得したイメージ画像を補正する場合について説明する。図8は、第2の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0060】
第2の実施の形態の画像読み取り装置の制御装置10aは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素に、シェーディング補正部130が加わった構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10a及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0061】
シェーディング補正部130は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像データに対し、イメージ画像全体の明るさのむらを補正するシェーディング補正を行い、評価部110に出力する。
【0062】
制御装置10aの動作について説明する。制御装置10aでは、評価部110によるイメージ画像データの評価の前に、シェーディング補正部130がイメージ画像データのシェーディング補正を行う。図9は、シェーディング補正を説明する図である。(A)はシェーディング補正前のイメージ画像、(B)はシェーディング補正後のイメージ画像の一例を示した図である。
【0063】
図9(A)シェーディング補正前のイメージ画像420には、縦線ノイズはないが、画像の下側に影部分がある。上方の影のない明るい部分にはサンプリング領域421,422が存在し、下方の影部分にはサンプリング領域424,425が存在する。また、サンプリング領域423には、明るい部分と影部分とが混在する。明るい部分にあるサンプリング領域421,422及びサンプリング領域423の上方の画素の輝度は相対的に高くなり、影部分にあるサンプリング領域424,425及びサンプリング領域423の下方の画素の輝度は相対的に低くなる。このため、分布図520に示したサンプリング領域全体の輝度分布には、輝度分布に2つのピークが発生し、標準偏差521はピークが1つの場合と比べ、相対的に大きくなる。このため、縦線ノイズがないにもかかわらず、縦線ノイズ有と判定されてしまう恐れがある。そこで、影部分の明るさを影がない部分と同じ明るさとなるように、シェーディング補正を行う。シェーディング補正は、イメージ画像に示したイメージ画像420に、光源のフリッカによる周期的な明暗のレベル変化とは異なる明るさのむらを検出したとき、行うとしてもよい。
【0064】
図9(B)シェーディング補正後のイメージ画像に示したイメージ画像430は、イメージ画像420についてシェーディング補正を行った後のイメージ画像である。サンプリング領域431,432,433,434,435は、それぞれイメージ画像420のサンプリング領域421,422,423,424,425に対応する。シェーディング補正によってイメージ画像430の影部分が除去され、サンプリング領域431,432,433,434,435の明るさのむらがなくなっている。分布図530に示したシェーディング補正後の輝度分布では、影部分に対応するピークがなくなり、1つのピークだけになっている。また、標準偏差もシェーディング補正前に比べて小さくなっている。
【0065】
露出テーブルの選択処理については、図6に示した第1の実施の形態と同じである。評価部110による評価では、イメージ画像データから影部分が除去され、サンプリング領域に影があった場合にも正しい標準偏差を算出することができる。このように、影部分の影響によって、縦線ノイズがない場合にも標準偏差が大きくなってしまう事態を防止し、影部分を縦線ノイズと認識しないようにできる。これにより、露出テーブル選択部120において、誤った露出テーブルを選択してしまう可能性を減らすことができる。
【0066】
次に、第3の実施の形態として評価部110の評価の前に、画像取得部210から取得したイメージ画像を第2の実施の形態とは異なる方法で補正する場合について説明する。
図10は、第3の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0067】
第3の実施の形態の制御装置10bは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素に、線強調処理部140が加わった構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10b及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0068】
線強調処理部140は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像データに基づき、イメージ画像から縦線を検出し、その縦線を強調する線強調処理を行う。なお、縦線は、輝度が低い画素が縦または横に並んでできる線で、光源30のフリッカ現象による縦線ノイズである可能性が高い。線強調処理では、画素と周辺画素との間の輝度の差を方向ごとに比較して線を検出する。ある画素について、横方向の周辺画素との輝度の差と、縦方向の周辺画素との間の輝度の差と、を検出し、差の小さい方を線の一部と見なす。その線の一部が連続して検出されたとき、線が形成されていると判断する。そして、検出した線部分を強調する補正処理を行い、線強調を施したイメージ画像データを評価部110に出力する。
【0069】
制御装置10bの動作について説明する。制御装置10bでは、評価部110によるイメージ画像データの評価の前に、線強調処理部140がイメージ画像データの線強調処理を行う。図11は、線強調処理を説明する図である。(A)は線強調処理前のイメージ画像、(B)は線強調処理後のイメージ画像の一例を示した図である。
【0070】
図11(A)線強調処理前のイメージ画像に示したイメージ画像(部分)440は、線強調処理前のイメージ画像に含まれる対象画素とその周辺画素とを示した図である。対象画素441に対し、上の周辺画素442、下の周辺画素443、左の周辺画素444及び右の周辺画素445がある。線強調処理部140は、対象画素441に対して縦方向にある上の周辺画素442及び下の周辺画素443の色と対象画素441の色の近さと、対象画素441に対して横方向にある左の周辺画素444及び右の周辺画素445と対象画素441の色の近さとを比較する。そして、対象画素441は、色の近い方向の線の一部であると判定する。例えば、図11の例では、対象画素441に対し、縦方向の周辺画素442,443の色の方が、横方向の周辺画素444,445の色よりも近い。そこで、対象画素441は、縦方向の線の一部であると判定する。続けて、対象画素441の下の周辺画素443を対象画素として同様の判定を行う。ここでも縦方向の線の一部であると判定されたとする。こうして、予め決められた所定の数の対象画素が連続して縦方向の線の一部であると判定されたとき、縦線が形成されていると判定し、この線上にある画素の列を黒色(最も輝度の低い色)に置き換える。また、その左右の画素の列を白色(最も輝度の高い色)に置き換える。このような手順によって縦線を検出し、検出した縦線を強調する。横方向の線が検出されたときも同様に、この横線上にある画素の列を黒色に置き換え、その上下の画素の列を白色に置き換える。
【0071】
図11(B)線強調処理後のイメージ画像に示したイメージ画像(部分)450は、線強調処理後のイメージ画像に含まれる対象画素とその周辺画素とを示した図である。対象画素451は対象画素441に、周辺画素452,453,454,455は周辺画素442,443,444,445にそれぞれ対応する。線強調処理後のイメージ画像(部分)450では、縦線として検出された画素451,452,453は黒色に置き換えられ、その左右の画素454,455は白色に置き換えられている。これにより、縦線ノイズの可能性が高い縦線または横線が強調される。
【0072】
露出テーブルの選択処理については、図6に示した第1の実施の形態と同じである。評価部110による評価では、イメージ画像データの縦線ノイズの可能性が高い縦線または横線が強調されているので、縦線ノイズがある場合と、ない場合における標準偏差の差を大きくすることができる。これによって、露出テーブル選択部120では、縦線ノイズの有無の判断の誤りを低減し、正しい露出テーブルが選択しやすくなる。なお、上記の説明では、対象画素と周辺画素との色の近さを判断していたが、輝度を用いても同様に処理を行うことができる。
【0073】
また、上記の処理では、線強調処理を対象画素と周辺画素との色の類似性に基づいて線を検出していたが、画像取得部210から取得したイメージ画像データに対し2値化処理を行って、線を強調するとしてもよい。2値化処理では、画像取得部210から取得したキャリブレーションシートを読み取ったイメージ画像データを取得し、所定の閾値で2値化する。2値化処理によって、イメージ画像データの所定の閾値よりも輝度の低い画素が黒色に置き換えられる。また、所定の閾値よりも明るい画素が白色に置き換えられる。このため、線のある部分が縦線ノイズとして強調される。これにより、評価部110による評価では、イメージ画像データに縦線ノイズがある場合と、ない場合における標準偏差の差を大きくすることができる。また、露出テーブル選択部120では、縦線ノイズの有無の判断の誤りを低減し、正しい露出テーブルが選択しやすくなる。
【0074】
図12は、線強調処理前と線強調処理後における輝度分布の変化の一例を示した図である。(A)はノイズがあるときの線強調処理による輝度分布の変化、(B)はノイズがないときの線強調処理による輝度分布の変化である。なお、線強調処理による輝度分布の変化は、対象画素と周辺画素との色の類似に基づく線検出の場合も、イメージ画像データの2値化処理の場合も同様である。
【0075】
図12(A)ノイズがあるときの線強調処理による輝度分布の変化は、イメージ画像データに縦線ノイズがあるときの線強調処理前の輝度分布を示した分布図550aと、線強調処理後の輝度分布を示した分布図560aとを示している。縦線ノイズがある場合には、線強調処理により線と認識された縦線ノイズが黒画素に置き換えられている。このため、分布図550aに示した線強調処理前の輝度分布における標準偏差551aに対し、分布図560aに示した線強調処理後の輝度分布では黒画素のピークが高くなるため、標準偏差561aが大きくなる。
【0076】
図12(B)ノイズがないときの線強調処理による輝度分布の変化は、イメージ画像データに縦線ノイズがないときの線強調処理前の輝度分布を示した分布図550bと、線強調処理後の輝度分布を示した分布図560bとを示している。イメージ画像データに縦線ノイズがない場合には、線強調処理において線と認識される縦線ノイズがないため、黒画素に置き換えられる画素はわずかであり、多くは白画素に置き換えられる。このため、分布図550bに示した線強調処理前の輝度分布における標準偏差551bに対し、分布図560bに示した線強調処理後の輝度分布では白画素のピークが高くなり、標準偏差561bは小さくなる。
【0077】
このように、線強調処理部140による線強調処理が施されたイメージ画像データについて、評価部110で標準偏差を算出した場合、縦線ノイズのあるイメージ画像データの標準偏差(例えば、図12の分布図560aの標準偏差561a)と、縦線ノイズのないイメージ画像データの標準偏差(例えば、図12の分布図560bの標準偏差561b)との差は、線強調処理を行わない場合と比較し、より大きくなる。これにより、露出テーブル選択部120では、光源30の電源周波数に適した露出テーブルを誤選択する可能性を減らすことができる。
【0078】
ところで、イメージリーダ20が読み取るイメージ画像データの画質は、設置環境、特に光源30の影響を大きく受けることは述べたが、光源30のフリッカによる影響ばかりではなく、光源30の明るさそのものにも影響を受ける。そこで、露出テーブルに適しているか否かの判定に用いる判定基準の値を、光源30の明るさに応じて適宜設定することにより、露出テーブル選択時の判定をより正確に行うことができる。図13は、露出時間に応じた判定閾値テーブルの例を示した図である。
【0079】
光源30が明るい環境下で読み取ったイメージ画像の輝度分布は、明暗のレベル変化がより強くなるため、画素の輝度分布の範囲(分布図の横軸方向)は広くなる傾向にある。一方、光源30が暗い環境下で読み取ったイメージ画像の輝度分布の範囲は狭くなる傾向にある。言い換えると、光源30が明るい環境下では、縦線ノイズのないときであっても、画素の輝度にばらつきが発生し、標準偏差が大きくなる傾向にある。一方、光源30が暗い環境下では、縦線ノイズが発生している状態であっても、画素の輝度にばらつきが少なく、標準偏差が小さくなる傾向にある。このため、露出テーブル選択部120において、例えば、図6に示したように「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」とする判定基準1を用いた場合、光源30が明るい環境下で読み取ったイメージ画像では、縦線ノイズがないイメージ画像であっても条件を満たさない恐れがある。一方、光源30が暗い状態で読み取ったイメージ画像では、縦線ノイズがあるイメージ画像データであっても条件を満たす恐れがある。また、縦線ノイズがある状態のイメージ画像の標準偏差と、縦線ノイズがない状態のイメージ画像の標準偏差との差も、光源30が明るい環境下では大きくなり、暗い環境下では小さくなる傾向にある。
【0080】
そこで、判定閾値テーブル610に示したように、露出時間に応じて判定基準値の設定を変えることにより、正しい露出テーブルが選択されるようにする。
判定閾値テーブル610は、露出時間611、判定基準1(612)、判定基準2(差)613及び判定基準2(閾値)614を有し、露出時間に応じた最適な判定閾値が登録されている。露出時間611は、キャリブレーション処理によって決められた露出時間「短い」、「標準」、「長い」に分類している。露出時間は、光源30の明るさに応じて決まり、露出時間が「短い」は、明るい環境下であることを示す。露出時間が「長い」は、暗い環境下であることを示す。
【0081】
判定基準1は、図6に示した判定基準1の「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」における標準偏差の判定基準値である。露出時間が「短い」場合は、標準偏差を標準時の「4.0」よりも大きい「6.0」を用いる。露出時間が「長い」場合は、標準時よりも小さい「2.0」を用いる。判定基準2は、図6に示した判定基準2の「50Hzの標準偏差平均と、60Hzの標準偏差平均を比較して差が『0.5』以上、かつ『4.5』以下」における差と閾値の判定基準値である。露出時間が「短い」場合は、差を標準時の「0.5」よりも大きい「0.7」とし、閾値を標準時の「6.0」よりも大きい「6.5」とする。露出時間が「長い」場合は、差を標準時よりも小さい「0.3」とし、閾値を標準時よりも小さい「2.5」とする。
【0082】
このように、イメージリーダ20が設置される環境に応じて最も適した判定閾値を選択することにより、露出テーブル選択部120の選択精度を向上させることができる。
次に、第4の実施の形態としてサンプリング領域をライン状に取る場合について説明する。図14は、第4の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0083】
第4の実施の形態の制御装置10cは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素の評価部110を評価部150に置き換えた構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10c及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0084】
評価部150は、ラインサンプリング抽出部151と、標準偏差算出部152とを有する。ラインサンプリング抽出部151は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、画像生成部21のエリアイメージセンサのフィールドライン数に合わせて、同じタイミングでスキャンされるフィールドラインをまとめ、1つのラインブロックを形成する。そして、同じラインブロックごとに、標準偏差算出部152に出力する。標準偏差算出部152は、ラインサンプリング抽出部151が抽出したラインブロックごとに、このブロックのイメージ画像データに含まれる画素について、輝度分布の標準偏差を算出する。
【0085】
露出テーブル選択部160は、ラインブロックごとに算出された輝度分布の標準偏差を取得し、その差を調べる。各ラインブロックの輝度分布の標準偏差の差が予め決められた判定基準よりも小さいときは、イメージ画像データに縦線ノイズがないと判定する。また、差が判定基準よりも大きいときは、イメージ画像データに縦線ノイズがあると判定する。縦線ノイズが発生していないときは、イメージ画像データに含まれる画素の輝度はほぼ均一になるため、各ラインブロックの標準偏差も同様の値になる。これに対し、縦線ノイズは、一定周期、すなわち一定ラインブロックごとに発生するため、縦線ノイズが発生したラインブロックでは、標準偏差が大きくなる。そこで、各ラインブロックの標準偏差を比較することにより、縦線ノイズの有無を検出することができる。
【0086】
制御装置10cの動作について説明する。制御装置10cでは、評価部150において、ラインサンプリング抽出部151は、キャリブレーションシートのイメージ画像データを画像取得部210より取得してラインブロックごとに分け、標準偏差算出部152は、ラインブロックごとの標準偏差を算出する。
【0087】
図15は、ラインサンプリング処理を示した図である。図の例のイメージセンサは3フィールド読み取りを行っている。
図15の例では、周期aでは、フィールド482,485,488のイメージ画像が読み取られる。同様に、周期bではフィールド483,486,489、及び周期cではフィールド481,484,487のイメージ画像が読み取られる。そこで、ラインサンプリング抽出部151では、周期aのフィールド482,485,488に含まれる画素を1つのラインブロックにまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。同様に、周期bのフィールド483,486,489に含まれる画素をまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。周期cについても同様に、フィールド481,484,487に含まれる画素をラインブロックにまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。標準偏差算出部152は、それぞれのラインブロックの標準偏差を算出する。
【0088】
露出テーブル選択部120では、周期a,b,cそれぞれのラインブロックについて算出された標準偏差を比較する。そして、3つの標準偏差の差が基準値を超えているときは、縦線ノイズ有と判定する。基準値を超えていなければ、縦線ノイズ無と判定する。縦線ノイズがないときは、各ラインブロックの画素の輝度はほぼ均一になるため、標準偏差も同様の値になる。縦線ノイズは、一定ラインブロックごとに発生するので、縦線ノイズが発生するラインブロックの標準偏差は、他のラインブロックと比較して大きな値となる。図15の例では、周期cにおいて縦線ノイズが発生しており、他のラインブロックの画素の輝度に比べて、輝度の低い方の画素数が多くなり、従って標準偏差も大きくなる。露出テーブル選択部120では、他のラインブロックと比較して大きな標準偏差を有するラインブロックが検出された場合は、縦線ノイズがあると判定する。
【0089】
このように、一定ラインブロックごとに発生する縦線ノイズの特徴に合わせてラインブロックごとにサンプリングを行うことにより、高い精度で縦線ノイズを検出することが可能となる。この結果、露出テーブル選択部120では、最適な露出テーブルの選択が可能となる。
【0090】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、画像読み取り装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0091】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0092】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。
【符号の説明】
【0093】
1 画像読み取り装置
1a 画像読み取り手段
1b 評価手段
1c 選択手段
1d 設定テーブル記憶手段
【技術分野】
【0001】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置及びその画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類等の対象媒体から文字や画像等のイメージ画像を読み取る画像読み取り装置として、イメージセンサ部が対象媒体を置く台座から離れた高さに配置されるスタンド型の画像読み取り装置がある。このようなスタンド型の画像読み取り装置は、対象媒体とイメージセンサ部との間が離れていることにより、例えば、厚みのある帳票といった対象媒体の読み取りもできるといった利点がある。
【0003】
しかし、スタンド型の画像読み取り装置は、その構造から読み取り時の特性が設置場所の照明環境に影響を受ける。また、その光源は商用交流電源により点灯している天井灯等である場合が多く、光源に商用交流電源の周波数に応じた明るさのフリッカ現象が発生する。エリアイメージセンサで対象媒体の2次元イメージ画像を得る画像読み取り装置では、フィールドごとの露光タイミングが異なるため、周期的な輝度レベルの変動による縞模様が生じる。一般に、この縞模様状の画像ノイズは、光源を点灯する商用交流電源の周波数に応じて画像読み取り装置ごとに決まる。そこで、予め商用交流電源の周波数に応じて、イメージセンサの設定状態を調整する設定テーブルを用意しておき、設定テーブルを適宜選択することにより、光源のフリッカによるイメージ画像の劣化を防止する方法がある。また、フリッカの位相を検出する位相検出器を設け、フリッカの位相に同期させて補正演算処理を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。さらに、フリッカセンサを設け、フリッカセンサ出力と画像明るさの関係に基づき、画像の明るさを補正する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−203864号公報
【特許文献2】特開2000−244706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の画像読み取り装置では、光源のフリッカ周期に合わせて画像読み取り装置を調整することが容易ではないという問題点がある。
前述のように、光源を点灯する商用交流電源の周波数に対応する設定テーブルを用いて画像読み取り時の設定を調整することによって、光源のフリッカによる画像ノイズを低減することができる。しかし、別途センサを設けない場合、画像読み取り装置では商用交流電源の周波数を検知することができない。このため、設定テーブルの選択は、利用者に任されている場合が多く、選択された設定テーブルが設置環境の商用交流電源の周波数と合っていない場合も多かった。設定テーブルが商用交流電源の周波数と一致しなかった場合、イメージ画像から光源のフリッカによる縞模様状の画像ノイズを除去できない。例えば、金融機関等でこの画像読み取り装置を用いて帳票から印鑑の画像を読み取り、予め登録された印鑑画像と照合するような場合、読み取ったイメージ画像に縞模様状の画像ノイズが発生すると、印鑑照合の際の照合率が低下するという問題があった。
【0006】
一方、画像読み取り装置にフリッカの位相検出器やフリッカセンサを別途設けるとなると、装置の大型化やコスト増を招くという問題点がある。
このような点に鑑み、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる画像ノイズを低減することが可能な画像読み取り装置及びその画像読み取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、設定テーブル記憶手段、画像読み取り手段、評価手段及び選択手段を有し、対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置が提供される。設定テーブル記憶手段は、フリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれるフリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブルを記憶する。画像読み取り手段は、指定された設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行う。評価手段は、調整時に画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得し、イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出する。そして、輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。調整時に設定テーブル記憶手段に記憶する設定テーブルを画像読み取り手段に順次指定する。また、指定した設定テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像に対する評価値を評価手段から取得して判定基準と照合し、評価値が判定基準を満たすときは、この設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する。
【0008】
このような画像読み取り装置によれば、調整時、選択手段は、設定テーブル記憶手段に記憶する設定テーブルを画像読み取り手段に指定する。画像読み取り手段は、指定された設定テーブルに基づく設定でイメージ画像の読み取り処理を行う。評価手段は、画像読み取り手段が読み取ったイメージ画像データを取得し、このイメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出する。さらに、この輝度分布の特徴に基づいてイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。選択手段は、指定した設定テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像データに対する評価値を評価手段から取得し、判定基準と照合する。評価値が判定基準を満たすときは、このときの設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用として選択する。選択しないときは、次の設定テーブルを指定し、同様の手順を繰り返す。
【0009】
また、上記課題を解決するために、上記の画像読み取り装置と同様の処理手順を実行する画像読み取り方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の画像読み取り装置及び画像読み取り方法によれば、読み取ったイメージ画像の輝度分布の特徴に基づいて、光源のフリッカ周期に適した設定テーブルを選択することができる。これにより、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる影響を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に適用される発明の概念図である。
【図2】実施の形態の画像読み取り装置の構成の一例を示す図である。
【図3】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態の画像読み取り装置のソフトウェア構成例を示した図である。
【図5】露出テーブルとイメージ画像データの輝度分布との関係の一例を示した図である。
【図6】露出テーブルの判定基準の一例を示した図である。
【図7】露出テーブル選択処理の手順を示したフローチャートの一例である。
【図8】第2の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図9】シェーディング補正を説明する図である。
【図10】第3の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図11】線強調処理を説明する図である。
【図12】線強調処理前と線強調処理後における輝度分布の変化の一例を示した図である。
【図13】露出時間に応じた判定閾値テーブルの例を示した図である。
【図14】第4の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【図15】ラインサンプリング処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態に適用される発明の概念図である。
画像読み取り装置1は、画像読み取り手段1a、評価手段1b、選択手段1c及び設定テーブル記憶手段1dを有し、商用交流電源により点灯する照明を光源としてイメージ画像の読み取り処理を行う。光源には、光源を点灯する商用交流電源の周波数(以下、電源周波数とする)に応じて明るさのフリッカ現象が発生する。また、画像読み取り装置1では、対象媒体の読み取りを行う前には、画像読み取り手段1aの設定状態を画像読み取り装置1の設置場所に合わせるための調整が行われる。調整時には、媒体全体で反射率が一様な調整用媒体、例えば、無地の白色の用紙等を用いてイメージ画像の読み取り処理を行い、画像読み取り用の各種設定を調整する。
【0013】
画像読み取り手段1aは、撮像素子を有し、帳票類や冊子等の対象媒体の2次元イメージ画像を読み取る。読み取り時の露出等は、選択手段1cの指定した設定テーブルに基づいて決定する。
【0014】
評価手段1bは、調整時、選択手段1cの指定した設定テーブルを用いて画像読み取り手段1aが調整用媒体から読み取ったイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像の輝度分布を算出し、輝度分布の特徴に基づいて、イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する。一般に、無地で白色の調整用媒体のイメージ画像を読み取った場合、理想的には、イメージ画像の各画素の輝度は高い方に分布し、かつ同じような輝度になる。したがって、イメージ画像データに画像ノイズが含まれていないとき、画素の輝度分布のばらつきは低くなる。一方、イメージ画像に画像ノイズ(輝度の低い画素として表れる)が含まれると、イメージ画像の輝度はばらつき、画像ノイズが多く含まれるほどばらつきは大きくなる。そこで、この輝度分布のばらつき(散布度)をイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値として用いる。例えば、輝度分布の標準偏差を算出する。なお、評価手段1bは、調整用媒体全体のイメージ画像データで評価を行うばかりでなく、予め決められた調整用媒体の一部(これをサンプリング領域とする)を対象とし、評価を行うとしてもよい。
【0015】
選択手段1cは、調整時、設定テーブル記憶手段1dに記憶する設定テーブルのうちの1つを選択して画像読み取り手段1aに指定する。そして、この設定テーブルに基づいて、画像読み取り手段1aが読み取ったイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を評価手段1bから取得する。そして、取得した評価値を、イメージ画像に含まれる画像ノイズが基準値以下であると認められるときの判定基準と照合する。評価値が判定基準を満たしていると判定したときは、このとき用いた設定テーブルを対象媒体の読み取り用に選択する。評価値が判定基準を満たしていないと判定したときは、次の設定テーブルを画像読み取り手段1aに指定し、同様の手順を繰り返す。こうして、光源のフリッカによる画像ノイズを基準値以下とすることができる設定テーブルを選択する。
【0016】
設定テーブル記憶手段1dは、光源のフリッカ周期に対応付けて、フリッカ現象による画像ノイズを軽減するための設定テーブルを記憶する。
このような構成の画像読み取り装置1の動作について説明する。
【0017】
画像読み取り装置1の調整時には、調整用媒体を画像読み取り装置1の原稿台にセットする。選択手段1cは、画像読み取り手段1aに対し、設定テーブル記憶手段1dに記憶される設定テーブルの1つを指定する。設定テーブルは、光源のフリッカ現象による画像ノイズを軽減するための読み取り設定が登録されるテーブルで、光源を点灯する電源周波数に応じて予め設定され、設定テーブル記憶手段1dに格納されている。画像読み取り手段1aは、指定された設定テーブルに登録された設定によって、調整用媒体のイメージ画像を読み取り、イメージ画像データを生成する。評価手段1bは、イメージ画像データを取得し、輝度分布の特徴に基づくイメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値、例えば標準偏差を算出する。選択手段1cは、評価手段1bの評価結果を取得し、算出された評価値が判定基準を満たしているかどうかチェックする。判定基準を満たしているときは、この設定テーブルを用いたときの画像ノイズは基準値以下であると判定し、この設定テーブルを対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する。そうでなければ、次の設定テーブルを指定し、設定テーブルが選択されるまで、上記の処理を繰り返す。
【0018】
こうして、調整が終了し、選択された設定テーブルを用いて対象媒体のイメージ画像読み取りが可能となる。
このような画像読み取り装置1によれば、読み取ったイメージ画像に基づいて、光源のフリッカによる画像ノイズを軽減する最適な設定テーブルを選択することができる。フリッカの位相検出器等のセンサを用いないため、装置の大型化やコスト増を伴わず、光源のフリッカによる影響を低減することが可能となる。
【0019】
なお、上記の説明では、標準偏差を用いて輝度分布の特徴を表すとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、あるデータ群のばらつき具合を表す散布度として、標準偏差以外にも分散、平均偏差、変動係数等が知られており、これらの散布度を適宜用いて輝度分布の特徴を捉えることができる。
【0020】
以下、発明を、露出テーブルを選択して光源のフリッカによる画像ノイズを軽減する画像読み取り装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
図2は、実施の形態の画像読み取り装置の構成の一例を示す図である。
【0021】
画像読み取り装置は、対象媒体のイメージ画像の読み取りを制御する制御装置10と、イメージ画像を読み取るイメージリーダ20と、を有し、所定の電源周波数の光源30を用いてイメージ画像の読み取りを行う。
【0022】
制御装置10は、通信路24を介してイメージリーダ20に接続し、イメージリーダ20が読み取った対象媒体のイメージ画像データを取得する。通常時には、取得したイメージ画像の表示や記憶装置に記憶する等の処理を行う。また、例えば、文字認識処理や、印鑑画像の照合のように予め登録された画像との照合処理等を行うこともできる。調整時には、各種読み取りパラメータの調整を行うとともに、設置環境の光源の電源周波数に合った露出テーブルを選択し、イメージリーダ20に指定する。
【0023】
イメージリーダ20は、画像生成部21、台座22及びスタンド23を有し、通信路24を介して制御装置10に接続する。画像生成部21は、スタンド23によって台座22から所定の距離の高さに固定され、光源30の下で、台座22上に置かれた対象媒体のイメージ画像を読み取る。画像生成部21は、撮像素子が2次元的にマトリクッス状に配列されたエリアイメージセンサを有している。撮像素子には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を用いる。図2の例では、タイミング1において全体画像の中から、第1フィールド40にあたる画素を読み出す。次のタイミング2で全体画像の中から第2フィールドの画素を読み出す。同様にしてフィールドライン数だけ読み出しを行うことで、対象媒体から2次元のイメージ画像を取得する。画像生成部21から出力される2次元のイメージ画像には、光源30のフリッカによるイメージ画像の周期的な明るさの強弱が縞模様状に表れる。以下、これを縦線ノイズとする。前述のように、2次元画像に出現する縦線ノイズの周期は、一般的に光源30を点灯する電源周波数に応じて決まる。そこで、イメージリーダ20には、電源周波数ごとにイメージ画像読み取り時の露出値を調整する設定テーブルを用意する。以下、この設定テーブルを、露出テーブルと呼ぶ。露出値はCCDに当たる光の量を調整するパラメータであり、露出テーブルには縦線ノイズの周期に応じた露出値のパターンが、電源周波数に対応付けて登録されている。露出値によって露光時間が決定されるが、露光時間がフリッカ周期の倍数でない場合、同じ時間露光したとしても露光のタイミングによって受ける光の量が変化してしまい、縦線ノイズが発生する。露出テーブルは、その電源周波数においてどのタイミングで露光してもCCDの受ける光の量が同じとなるような、適正な露光時間を得られる露出値のパターンが設定されている。
【0024】
なお、上記の構成例では、制御装置10とイメージリーダ20とを別装置としたが、同一の装置に双方の機能を組み込むとしてもよい。
ここで、制御装置10のハードウェア構成について説明する。図3は、制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0025】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、及び通信インタフェース106が接続されている。
【0026】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。HDD103には、OSやアプリケーションのプログラムが格納される。グラフィック処理装置104には、モニタ108が接続されており、CPU101からの命令に従って画像をモニタ108の画面に表示させる。入力インタフェース105には、キーボード109aやマウス109bが接続されており、キーボード109aやマウス109bから送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。通信インタフェース106は、通信路24を介してイメージリーダ20に接続されており、通信路24を介してイメージリーダ20との間でデータの送受信を行う。
【0027】
このようなハードウェア構成によって、制御装置10の処理機能を実現することができる。
次に、制御装置10及びイメージリーダ20のソフトウェア構成について説明する。最初に、第1の実施の形態として、イメージ画像に複数のサンプリング領域を設定し、サンプリング領域のイメージ画像データに基づき、露出テーブルを選択する構成について説明する。図4は、第1の実施の形態の画像読み取り装置のソフトウェア構成例を示した図である。
【0028】
イメージリーダ20は、画像取得部210、露出テーブル調整部220及び露出テーブル記憶部230を有する。画像取得部210は、画像生成部21を制御して、台座22に置かれた対象媒体または調整用媒体のイメージ画像を読み取る。読み取ったイメージ画像データは、制御装置10に出力する。露出テーブル調整部220は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを露出テーブル記憶部230から読み出し、読み出した露出テーブルに基づいて画像取得部210の露出調整を行う。露出テーブル記憶部230には、光源30を点灯する電源周波数に対応付けて、光源30のフリッカによる縦線ノイズを低減する露出パターンが記憶されている。ここでは、電源周波数が50ヘルツ(以下、Hzとする)のときの露出パターンと、60Hzのときの露出パターンとが記憶されているとする。
【0029】
制御装置10はイメージ画像に含まれる縦線ノイズの評価値を算出する評価部110と、評価部110の算出した評価値に基づいて最適な露出テーブルを選択する露出テーブル選択部120と、を有する。そして、設置場所に合わせて露出設定などを調整するキャリブレーション処理の実行時、反射率が一様な調整用媒体を用いて、設置場所に適した露出テーブルを選択する処理を行う。ここでは、キャリブレーションに用いる調整用媒体を、無地の白色の用紙(以下、キャリブレーションシート)とする。
【0030】
評価部110は、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出するサンプリングデータ抽出部111と、サンプリング領域の輝度分布の標準偏差を算出する標準偏差算出部112とを有する。サンプリングデータ抽出部111は、画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、予め決められたサンプリング領域のイメージ画像データを抽出してサンプリングデータとする。サンプリング領域は、イメージ画像の任意の箇所に設定することができるが、各サンプリング領域内に光源のフリッカ周期に応じた縦線ノイズが検出できるように設定することが好ましい。ここでは、イメージ画像全体の特徴を把握するため、イメージ画像の左上、右上、中心、左下及び右下の5箇所にサンプリング領域を設定する。標準偏差算出部112は、サンプリング領域ごとに、サンプリング領域のイメージ画像に含まれる画素の輝度分布の標準偏差を算出する。サンプリング領域のイメージ画像に画像ノイズが含まれていないとき、画素の輝度は均一になり、標準偏差は小さくなる。サンプリング領域のイメージ画像データに画像ノイズが含まれているとき、画素の輝度は均一とならないため、標準偏差は大きくなる。露出テーブル選択部120は、イメージリーダ20に対して露出テーブルを指定し、キャリブレーションシートのイメージ画像データの読み取りを実行させる。そして、取得したイメージ画像データについて評価部110が算出した評価値が判定基準を満たしているか否かに基づき、選択する露出テーブルを決定する。判定基準は、例えば、「サンプリング領域ごとの標準偏差に基づき、サンプリング領域5箇所中、4箇所以上のサンプリング領域の標準偏差が判定閾値より小さいとき、取得したイメージ画像データに縦線ノイズがない」とする。そして、この判定基準を満たしたときの露出テーブルを選択する。この判定基準を判定基準1とする。算出された輝度分布の標準偏差が判定基準1を満たさないときは、第2の判定基準である判定基準2と比較する。判定基準2として、例えば、50Hzの全サンプリング領域の標準偏差の平均と、60Hzの全サンプリング領域の標準偏差の平均と、を比較し、最適な方を選択する。選択方法の詳細は後述する。こうして、選択した露出テーブルを通常の読み取り処理用の露出テーブルとしてイメージリーダ20に指定し、以降、この露出テーブルを用いて画像読み取り処理が行われる。
【0031】
次に、上記の構成の画像読み取り装置の動作について詳細に説明する。
イメージリーダ20は、設置場所の照明環境によって読み取ったイメージ画像の画質が大きく影響される。そこで、設置する場所や照明環境が変わったときには、キャリブレーションが行われる。キャリブレーションシートが台座22にセットされ、キャリブレーション指示が行われると、制御装置10はイメージリーダ20の動作を制御し、キャリブレーション処理を開始する。キャリブレーション処理では、イメージリーダ20が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像に基づき、倍率の補正や露出の設定等を構成するとともに、光源30の電源周波数に応じた露出テーブルを選択する露出テーブル選択処理が行われる。以下、露出テーブル選択処理について説明する。
【0032】
露出テーブル選択部120は、露出テーブル記憶部230に記憶される光源30の電源周波数に応じた露出テーブルから1つを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。ここでは、50Hzの露出テーブルの指定を行うとする。露出テーブル調整部220は、50Hzの露出テーブルを露出テーブル記憶部230から読み出し、画像取得部210に設定する。こうして画像取得部210は、50Hzの露出テーブルの露出設定に従ってキャリブレーションシートのイメージ画像を読み取り、評価部110に出力する。評価部110では、サンプリングデータ抽出部111が、取得したキャリブレーションシートのイメージ画像データから、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出し、標準偏差算出部112へ出力する。標準偏差算出部112は、各サンプリング領域に含まれる画素の輝度分布の標準偏差を算出する。露出テーブル選択部120は、各サンプリング領域の標準偏差を取得し、露出テーブルの適否を判定する。
【0033】
図5は、露出テーブルとイメージ画像データの輝度分布との関係の一例を示した図である。(A)は、正しい露出テーブルのときの輝度分布、(B)は、異なる露出テーブルのときの輝度分布を示している。なお、「正しい露出テーブル」とは、光源の電源周波数と露出テーブルの電源周波数とが一致しているときを言い、「異なる露出テーブル」とは、光源の電源周波数と露出テーブルの電源周波数とが一致していないときを言う。
【0034】
(A)正しい露出テーブルのときの輝度分布は、光源の電源周波数と、露出テーブルの電源周波数とが一致しているときのイメージ画像と、その輝度分布の例を示している。イメージ画像400には、サンプリング領域401,402,403,404,405が設置されている。正しい露出テーブルのときは、露出テーブルに基づく露出設定によって、イメージ画像から光源30のフリッカによる縦線ノイズは除去されている。このため、サンプリング領域401,402,403,404,405のいずれにも縦線ノイズは発生していない。分布図500は、サンプリング領域401,402,403,404,405の輝度分布である。横軸は、サンプリング領域401,402,403,404,405に含まれる画素の輝度を表しており、右側へいくほど輝度が高くなる(明るくなる)。縦軸は、画素数を表しており、上へいくほど画素数が多くなる。標準偏差501は、サンプリング領域401,402,403,404,405内の画素の輝度のばらつきを示し、画像にノイズが多くなるほど大きくなる評価値である。イメージ画像400のように縦線ノイズがないときは、各画素の輝度は均一で、標準偏差は小さい。
【0035】
(B)異なる露出テーブルのときの輝度分布は、光源の電源周波数と、使用した露出テーブルの電源周波数と、が異なっているときのイメージ画像と、その輝度分布の例を示している。イメージ画像410には、サンプリング領域411,412,413,414,415が設置されている。これらは、イメージ画像400のサンプリング領域401,402,403,404,405と同じ位置にある。異なる露出テーブルのときは、露出テーブルに基づく露出設定と光源30のフリッカ周期とがずれるため、光源30のフリッカによる縦線ノイズは除去されない。このため、サンプリング領域411,412,413,414,415のいずれにも縦線ノイズ419が発生する。分布図510は、サンプリング領域411,412,413,414,415の輝度分布である。横軸及び縦軸は、分布図500と同様である。標準偏差511は、サンプリング領域411,412,413,414,415内の画素の輝度のばらつきを示す指標である。イメージ画像410のように、縦線ノイズ419が発生しているときは、サンプリング領域内に明るさの強弱が生じ、輝度にばらつきが出る。したがって、標準偏差511は、縦線ノイズ419がないときの分布図500の標準偏差501よりも大きくなる。
【0036】
露出テーブル選択部120は、各サンプリング領域の標準偏差を取得し、判定基準1に基づいて縦線ノイズがあるか否かを判定する。判定基準1には、縦線ノイズがあるか否かを判定する判定閾値と、いくつのサンプリング領域で標準偏差が判定閾値を超えなかったとき縦線ノイズなしとするかと、が予め決められている。露出テーブル選択部120では、各サンプリング領域の標準偏差と判定閾値とを比較し、判定閾値を超えているか否かを判定する。5箇所のサンプリング領域のうち、例えば、4箇所のサンプリング領域について標準偏差が閾値よりも小さいとき、縦線ノイズは発生していないと判定する。そして、このときイメージ画像の読み取りに指定した露出テーブルは正しいと判定し、通常処理における対象媒体の読み取り用の露出テーブルとして選択する。選択結果を露出テーブル調整部220に通知し、露出テーブルの選択処理を終了する。イメージ画像410に示したように、縦線ノイズ419は、イメージ画像410の縦方向に上端から下端までの線で周期的に、かつ全領域に発生する。このため、少なくとも一部のサンプリング領域で、縦線ノイズ419の発生が検出できる。
【0037】
一方、5箇所のサンプリング領域のうち、標準偏差が閾値よりも小さいものが規定数の4箇所に足りなかったとする。この場合は、縦線ノイズが発生したと判定し、このときに設定した露出テーブルは正しくないと判定する。そして、露出テーブルを他方(50Hzを指定していたので、次は60Hzの露出テーブル)に指定し、上記と同様の手順を繰り返す。他方の露出テーブルが正しいと判定されたときは、これを対象媒体の読み取り用の露出テーブルとして選択する。
【0038】
いずれの判定でも露出テーブルが決まらなかったときは、判定基準2に基づいて、50Hzまたは60Hzの露出テーブルのいずれかを選択する。判定基準2に基づく選択では、それぞれの露出テーブルを用いて得られた標準偏差の差が判定閾値より大きく、かつ、小さい側の標準偏差が判定基準1に基づく許容範囲内であるとき、小さい側の標準偏差であった露出テーブルを選択する。標準偏差の差が一定値以上であれば、露出テーブルによる縦線ノイズ低減の差が認められる。また、許容範囲内によって、判定基準1よりも縦線ノイズの低減度合いが低いものも選択できるようにする。判定基準2に基づく選択では、50Hz及び60Hzそれぞれの露出テーブルで算出された全サンプリング領域の標準偏差の平均値を算出して比較する。50Hz時の標準偏差の平均値と、60Hz時の標準偏差の平均値との差が予め決められた閾値よりも大きく、かつ、小さい側の標準偏差の平均値が、平均の標準偏差が小さい方を選択する。そして、選択を露出テーブル調整部220に通知し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0039】
ここで、露出テーブルの選択の際の判定基準について説明する。図6は、露出テーブルの判定基準の一例を示した図である。
判定基準600では、判定基準は判定基準1と、判定基準2の2段階に分けて判定する。判定基準1を満たす場合には、判定基準1に基づいて露出テーブルを選択する。判定基準1が成立しない場合には、判定基準2に基づいて露出テーブルを選択する。
【0040】
判定基準1の判定条件は、「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」というものである。この条件が成立したときにイメージリーダ20に設定されていた露出テーブルが50Hzであるときは、50Hzの露出テーブルを選択する。60Hzであるときは、60Hzの露出テーブルを選択する。判定条件となる標準偏差「4.0」は、そのサンプリング領域のサンプリングデータに縦線ノイズが含まれないと認められる数値で、画像読み取り装置ごとに適宜設定する。また、「4」箇所以上という条件も適宜設定することができる。
【0041】
判定基準2の判定条件は、「50Hzの標準偏差平均と、60Hzの標準偏差平均を比較して、差が『0.5』以上、かつ小さい方が『4.5』以下」というものである。これは、判定基準1は満たさないが、50Hz、60Hzそれぞれの露出テーブルを用いた時の標準偏差の差がある程度あるときは、標準偏差が小さい方の露出テーブルの方が、より正しいと推定できることによる。この条件が成立したときに、50Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均の方が、60Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均よりも小さいときは、50Hzの露出テーブルを選択する。60Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均の方が、50Hzの露出テーブルを用いたときの標準偏差平均よりも小さいときは、60Hzの露出テーブルを選択する。なお、判定条件となる差「0.5」と、小さい方の標準偏差「4.5」の数値は、画像読み取り装置ごとに適宜設定する。また、判定基準2として、より多くのサンプリング領域で判定基準1を満たす側の露出テーブルを選択するという判定条件としてもよい。このように判定基準は適宜設定することができる。
【0042】
次に、制御装置10の処理手順を、フローチャートを用いて説明する。図7は、露出テーブル選択処理の手順を示したフローチャートの一例である。
キャリブレーションシートが置かれ、キャリブレーションが開始されると、露出テーブル選択処理も開始される。
【0043】
[ステップS01] 露出テーブル選択部120は、初期値として50Hzの露出テーブルを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。露出テーブル調整部220は、50Hzの露出テーブルに基づく露出設定を画像取得部210に行う。
【0044】
[ステップS02] 評価部110は、ステップS01で指定された50Hzの露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出する。そして、サンプリング領域ごとに標準偏差を算出する。
【0045】
[ステップS03] 露出テーブル選択部120は、50Hzの露出テーブルを用いたときに判定基準1が成立するかどうか、すなわち、イメージ画像に縦線ノイズがあるかどうか(露出テーブルが光源30の電源周波数とあっているか)を判定する。サンプリング領域ごとに算出された標準偏差を判定基準1の判定閾値と比較し、規定数以上のサンプリング領域の標準偏差が閾値以下であるかどうか調べる。規定数以上のサンプリング領域で判定閾値以下であるときは、縦線ノイズが検出されないと判定し、処理をステップS04に進める。それ以外のときは、縦線ノイズの疑い有として処理をステップS05に進める。
【0046】
[ステップS04] 露出テーブル選択部120は、サンプリング領域のイメージ画像に縦線ノイズが検出されないと判定したときは、50Hzの露出テーブルが正しい(光源30の電源周波数と一致している)と判定する。そして、通常処理用として50Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0047】
[ステップS05] 露出テーブル選択部120は、縦線ノイズの疑いがあるときは、評価部110が算出した50Hzの露出テーブルのときの各サンプリング領域の標準偏差の値を記憶手段に一時的に格納しておく。次に、60Hzの露出テーブルを選択し、露出テーブル調整部220に指定する。露出テーブル調整部220は、60Hzの露出テーブルに基づく露出設定を画像取得部210に行う。
【0048】
[ステップS06] 評価部110は、ステップS05で指定された60Hzの露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得し、サンプリング領域のイメージ画像データを抽出する。そして、サンプリング領域ごとに標準偏差を算出する。
【0049】
[ステップS07] 露出テーブル選択部120は、60Hzの露出テーブルを用いたときに判定基準1が成立するかどうか、すなわち、イメージ画像に縦線ノイズがあるかどうか(露出テーブルが光源30の電源周波数とあっているか)を判定する。サンプリング領域ごとに算出された標準偏差を判定基準1の判定閾値と比較し、規定数以上のサンプリング領域の標準偏差が閾値以下であるかどうか調べる。規定数以上のサンプリング領域で判定閾値以下であるときは、縦線ノイズが検出されないと判定し、処理をステップS08に進める。それ以外のときは、縦線ノイズの疑い有として処理をステップS09に進める。
【0050】
[ステップS08] 露出テーブル選択部120は、縦線ノイズが検出されないと判定したときは、60Hzの露出テーブルが正しい(光源30の電源周波数と一致している)と判定する。そして、通常処理用として60Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0051】
[ステップS09] 露出テーブル選択部120は、ステップS07において縦線ノイズの疑い有のときは、判定基準2を用いて、どちらの露出テーブルが光源30の電源周波数に適しているのかを決めるため、それぞれの標準偏差の平均値を算出する。ステップS07で算出した60Hzの露出テーブルを使用したときの標準偏差の平均値を算出する。同様に、ステップS05で記憶手段に格納しておいた50Hzの露出テーブルを使用したときの標準偏差から、その平均値を算出する。
【0052】
[ステップS10] 露出テーブル選択部120は、ステップS09で算出した50Hz、60Hzそれぞれの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値に基づき、判定基準2が成立するかどうかを判定する。すなわち、50Hzのときの標準偏差の平均値と、60Hzのときの標準偏差の平均値との差が予め決められた閾値よりも大きく、かつ、小さい方の標準偏差が判定基準2の判定閾値よりも小さいかどうかを判定する。判定基準2が成立するときは処理をステップS11に進める。判定基準2が成立しないときは、処理をステップS14に進める。
【0053】
[ステップS11] 露出テーブル選択部120は、判定基準2が成立するときは、どちらの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が小さいかを判定する。50Hzよりも60Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が小さいときは、処理をステップS12に進める。そうでないときは、処理をステップS13に進める。
【0054】
[ステップS12] 露出テーブル選択部120は、60Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値の方が50Hzの場合よりも小さいときは、60Hzを正しい露出テーブルと判定する。そして、通常処理用として60Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0055】
[ステップS13] 露出テーブル選択部120は、50Hzの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値の方が60Hzの場合よりも小さいときは、50Hzを正しい露出テーブルと判定する。そして、通常処理用として50Hzの露出テーブルを露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0056】
[ステップS14] 露出テーブル選択部120は、それぞれの露出テーブルを用いたときのサンプリング領域の標準偏差の平均値が閾値よりも小さいときは、どちらが適しているのかを判定することはできない。そこで、初期値である50Hzの露出テーブルを通常処理用として露出テーブル調整部220に指定し、露出テーブルの選択処理を終了する。
【0057】
以上の処理手順が実行されることにより、それぞれの露出テーブルに基づいて読み取られたイメージ画像データに基づき、光源の電源周波数に一致する露出テーブルを選択することができる。
【0058】
なお、ステップS01において、初期値を60Hzの露出テーブルとすることもできる。この場合、以降の処理手順の50Hzと、60Hzとが入れ替わる。
このように、第1の実施の形態の画像読み取り装置によれば、キャリブレーションシートを用いたイメージ画像読み取り結果に基づいて、露出テーブルを選択するので、光源のフリッカ周期を検出するセンサ等を別途設ける必要がない。また、実際に読み取ったイメージ画像に基づいて画像ノイズを低減する露出テーブルを選択するため、最適な露出テーブルを選択することができる。
【0059】
次に、第2の実施の形態として評価部110の評価の前に、画像取得部210から取得したイメージ画像を補正する場合について説明する。図8は、第2の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0060】
第2の実施の形態の画像読み取り装置の制御装置10aは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素に、シェーディング補正部130が加わった構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10a及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0061】
シェーディング補正部130は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像データに対し、イメージ画像全体の明るさのむらを補正するシェーディング補正を行い、評価部110に出力する。
【0062】
制御装置10aの動作について説明する。制御装置10aでは、評価部110によるイメージ画像データの評価の前に、シェーディング補正部130がイメージ画像データのシェーディング補正を行う。図9は、シェーディング補正を説明する図である。(A)はシェーディング補正前のイメージ画像、(B)はシェーディング補正後のイメージ画像の一例を示した図である。
【0063】
図9(A)シェーディング補正前のイメージ画像420には、縦線ノイズはないが、画像の下側に影部分がある。上方の影のない明るい部分にはサンプリング領域421,422が存在し、下方の影部分にはサンプリング領域424,425が存在する。また、サンプリング領域423には、明るい部分と影部分とが混在する。明るい部分にあるサンプリング領域421,422及びサンプリング領域423の上方の画素の輝度は相対的に高くなり、影部分にあるサンプリング領域424,425及びサンプリング領域423の下方の画素の輝度は相対的に低くなる。このため、分布図520に示したサンプリング領域全体の輝度分布には、輝度分布に2つのピークが発生し、標準偏差521はピークが1つの場合と比べ、相対的に大きくなる。このため、縦線ノイズがないにもかかわらず、縦線ノイズ有と判定されてしまう恐れがある。そこで、影部分の明るさを影がない部分と同じ明るさとなるように、シェーディング補正を行う。シェーディング補正は、イメージ画像に示したイメージ画像420に、光源のフリッカによる周期的な明暗のレベル変化とは異なる明るさのむらを検出したとき、行うとしてもよい。
【0064】
図9(B)シェーディング補正後のイメージ画像に示したイメージ画像430は、イメージ画像420についてシェーディング補正を行った後のイメージ画像である。サンプリング領域431,432,433,434,435は、それぞれイメージ画像420のサンプリング領域421,422,423,424,425に対応する。シェーディング補正によってイメージ画像430の影部分が除去され、サンプリング領域431,432,433,434,435の明るさのむらがなくなっている。分布図530に示したシェーディング補正後の輝度分布では、影部分に対応するピークがなくなり、1つのピークだけになっている。また、標準偏差もシェーディング補正前に比べて小さくなっている。
【0065】
露出テーブルの選択処理については、図6に示した第1の実施の形態と同じである。評価部110による評価では、イメージ画像データから影部分が除去され、サンプリング領域に影があった場合にも正しい標準偏差を算出することができる。このように、影部分の影響によって、縦線ノイズがない場合にも標準偏差が大きくなってしまう事態を防止し、影部分を縦線ノイズと認識しないようにできる。これにより、露出テーブル選択部120において、誤った露出テーブルを選択してしまう可能性を減らすことができる。
【0066】
次に、第3の実施の形態として評価部110の評価の前に、画像取得部210から取得したイメージ画像を第2の実施の形態とは異なる方法で補正する場合について説明する。
図10は、第3の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0067】
第3の実施の形態の制御装置10bは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素に、線強調処理部140が加わった構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10b及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0068】
線強調処理部140は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、取得したイメージ画像データに基づき、イメージ画像から縦線を検出し、その縦線を強調する線強調処理を行う。なお、縦線は、輝度が低い画素が縦または横に並んでできる線で、光源30のフリッカ現象による縦線ノイズである可能性が高い。線強調処理では、画素と周辺画素との間の輝度の差を方向ごとに比較して線を検出する。ある画素について、横方向の周辺画素との輝度の差と、縦方向の周辺画素との間の輝度の差と、を検出し、差の小さい方を線の一部と見なす。その線の一部が連続して検出されたとき、線が形成されていると判断する。そして、検出した線部分を強調する補正処理を行い、線強調を施したイメージ画像データを評価部110に出力する。
【0069】
制御装置10bの動作について説明する。制御装置10bでは、評価部110によるイメージ画像データの評価の前に、線強調処理部140がイメージ画像データの線強調処理を行う。図11は、線強調処理を説明する図である。(A)は線強調処理前のイメージ画像、(B)は線強調処理後のイメージ画像の一例を示した図である。
【0070】
図11(A)線強調処理前のイメージ画像に示したイメージ画像(部分)440は、線強調処理前のイメージ画像に含まれる対象画素とその周辺画素とを示した図である。対象画素441に対し、上の周辺画素442、下の周辺画素443、左の周辺画素444及び右の周辺画素445がある。線強調処理部140は、対象画素441に対して縦方向にある上の周辺画素442及び下の周辺画素443の色と対象画素441の色の近さと、対象画素441に対して横方向にある左の周辺画素444及び右の周辺画素445と対象画素441の色の近さとを比較する。そして、対象画素441は、色の近い方向の線の一部であると判定する。例えば、図11の例では、対象画素441に対し、縦方向の周辺画素442,443の色の方が、横方向の周辺画素444,445の色よりも近い。そこで、対象画素441は、縦方向の線の一部であると判定する。続けて、対象画素441の下の周辺画素443を対象画素として同様の判定を行う。ここでも縦方向の線の一部であると判定されたとする。こうして、予め決められた所定の数の対象画素が連続して縦方向の線の一部であると判定されたとき、縦線が形成されていると判定し、この線上にある画素の列を黒色(最も輝度の低い色)に置き換える。また、その左右の画素の列を白色(最も輝度の高い色)に置き換える。このような手順によって縦線を検出し、検出した縦線を強調する。横方向の線が検出されたときも同様に、この横線上にある画素の列を黒色に置き換え、その上下の画素の列を白色に置き換える。
【0071】
図11(B)線強調処理後のイメージ画像に示したイメージ画像(部分)450は、線強調処理後のイメージ画像に含まれる対象画素とその周辺画素とを示した図である。対象画素451は対象画素441に、周辺画素452,453,454,455は周辺画素442,443,444,445にそれぞれ対応する。線強調処理後のイメージ画像(部分)450では、縦線として検出された画素451,452,453は黒色に置き換えられ、その左右の画素454,455は白色に置き換えられている。これにより、縦線ノイズの可能性が高い縦線または横線が強調される。
【0072】
露出テーブルの選択処理については、図6に示した第1の実施の形態と同じである。評価部110による評価では、イメージ画像データの縦線ノイズの可能性が高い縦線または横線が強調されているので、縦線ノイズがある場合と、ない場合における標準偏差の差を大きくすることができる。これによって、露出テーブル選択部120では、縦線ノイズの有無の判断の誤りを低減し、正しい露出テーブルが選択しやすくなる。なお、上記の説明では、対象画素と周辺画素との色の近さを判断していたが、輝度を用いても同様に処理を行うことができる。
【0073】
また、上記の処理では、線強調処理を対象画素と周辺画素との色の類似性に基づいて線を検出していたが、画像取得部210から取得したイメージ画像データに対し2値化処理を行って、線を強調するとしてもよい。2値化処理では、画像取得部210から取得したキャリブレーションシートを読み取ったイメージ画像データを取得し、所定の閾値で2値化する。2値化処理によって、イメージ画像データの所定の閾値よりも輝度の低い画素が黒色に置き換えられる。また、所定の閾値よりも明るい画素が白色に置き換えられる。このため、線のある部分が縦線ノイズとして強調される。これにより、評価部110による評価では、イメージ画像データに縦線ノイズがある場合と、ない場合における標準偏差の差を大きくすることができる。また、露出テーブル選択部120では、縦線ノイズの有無の判断の誤りを低減し、正しい露出テーブルが選択しやすくなる。
【0074】
図12は、線強調処理前と線強調処理後における輝度分布の変化の一例を示した図である。(A)はノイズがあるときの線強調処理による輝度分布の変化、(B)はノイズがないときの線強調処理による輝度分布の変化である。なお、線強調処理による輝度分布の変化は、対象画素と周辺画素との色の類似に基づく線検出の場合も、イメージ画像データの2値化処理の場合も同様である。
【0075】
図12(A)ノイズがあるときの線強調処理による輝度分布の変化は、イメージ画像データに縦線ノイズがあるときの線強調処理前の輝度分布を示した分布図550aと、線強調処理後の輝度分布を示した分布図560aとを示している。縦線ノイズがある場合には、線強調処理により線と認識された縦線ノイズが黒画素に置き換えられている。このため、分布図550aに示した線強調処理前の輝度分布における標準偏差551aに対し、分布図560aに示した線強調処理後の輝度分布では黒画素のピークが高くなるため、標準偏差561aが大きくなる。
【0076】
図12(B)ノイズがないときの線強調処理による輝度分布の変化は、イメージ画像データに縦線ノイズがないときの線強調処理前の輝度分布を示した分布図550bと、線強調処理後の輝度分布を示した分布図560bとを示している。イメージ画像データに縦線ノイズがない場合には、線強調処理において線と認識される縦線ノイズがないため、黒画素に置き換えられる画素はわずかであり、多くは白画素に置き換えられる。このため、分布図550bに示した線強調処理前の輝度分布における標準偏差551bに対し、分布図560bに示した線強調処理後の輝度分布では白画素のピークが高くなり、標準偏差561bは小さくなる。
【0077】
このように、線強調処理部140による線強調処理が施されたイメージ画像データについて、評価部110で標準偏差を算出した場合、縦線ノイズのあるイメージ画像データの標準偏差(例えば、図12の分布図560aの標準偏差561a)と、縦線ノイズのないイメージ画像データの標準偏差(例えば、図12の分布図560bの標準偏差561b)との差は、線強調処理を行わない場合と比較し、より大きくなる。これにより、露出テーブル選択部120では、光源30の電源周波数に適した露出テーブルを誤選択する可能性を減らすことができる。
【0078】
ところで、イメージリーダ20が読み取るイメージ画像データの画質は、設置環境、特に光源30の影響を大きく受けることは述べたが、光源30のフリッカによる影響ばかりではなく、光源30の明るさそのものにも影響を受ける。そこで、露出テーブルに適しているか否かの判定に用いる判定基準の値を、光源30の明るさに応じて適宜設定することにより、露出テーブル選択時の判定をより正確に行うことができる。図13は、露出時間に応じた判定閾値テーブルの例を示した図である。
【0079】
光源30が明るい環境下で読み取ったイメージ画像の輝度分布は、明暗のレベル変化がより強くなるため、画素の輝度分布の範囲(分布図の横軸方向)は広くなる傾向にある。一方、光源30が暗い環境下で読み取ったイメージ画像の輝度分布の範囲は狭くなる傾向にある。言い換えると、光源30が明るい環境下では、縦線ノイズのないときであっても、画素の輝度にばらつきが発生し、標準偏差が大きくなる傾向にある。一方、光源30が暗い環境下では、縦線ノイズが発生している状態であっても、画素の輝度にばらつきが少なく、標準偏差が小さくなる傾向にある。このため、露出テーブル選択部120において、例えば、図6に示したように「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」とする判定基準1を用いた場合、光源30が明るい環境下で読み取ったイメージ画像では、縦線ノイズがないイメージ画像であっても条件を満たさない恐れがある。一方、光源30が暗い状態で読み取ったイメージ画像では、縦線ノイズがあるイメージ画像データであっても条件を満たす恐れがある。また、縦線ノイズがある状態のイメージ画像の標準偏差と、縦線ノイズがない状態のイメージ画像の標準偏差との差も、光源30が明るい環境下では大きくなり、暗い環境下では小さくなる傾向にある。
【0080】
そこで、判定閾値テーブル610に示したように、露出時間に応じて判定基準値の設定を変えることにより、正しい露出テーブルが選択されるようにする。
判定閾値テーブル610は、露出時間611、判定基準1(612)、判定基準2(差)613及び判定基準2(閾値)614を有し、露出時間に応じた最適な判定閾値が登録されている。露出時間611は、キャリブレーション処理によって決められた露出時間「短い」、「標準」、「長い」に分類している。露出時間は、光源30の明るさに応じて決まり、露出時間が「短い」は、明るい環境下であることを示す。露出時間が「長い」は、暗い環境下であることを示す。
【0081】
判定基準1は、図6に示した判定基準1の「サンプリング領域5箇所中、4箇所以上が標準偏差『4.0』以下」における標準偏差の判定基準値である。露出時間が「短い」場合は、標準偏差を標準時の「4.0」よりも大きい「6.0」を用いる。露出時間が「長い」場合は、標準時よりも小さい「2.0」を用いる。判定基準2は、図6に示した判定基準2の「50Hzの標準偏差平均と、60Hzの標準偏差平均を比較して差が『0.5』以上、かつ『4.5』以下」における差と閾値の判定基準値である。露出時間が「短い」場合は、差を標準時の「0.5」よりも大きい「0.7」とし、閾値を標準時の「6.0」よりも大きい「6.5」とする。露出時間が「長い」場合は、差を標準時よりも小さい「0.3」とし、閾値を標準時よりも小さい「2.5」とする。
【0082】
このように、イメージリーダ20が設置される環境に応じて最も適した判定閾値を選択することにより、露出テーブル選択部120の選択精度を向上させることができる。
次に、第4の実施の形態としてサンプリング領域をライン状に取る場合について説明する。図14は、第4の実施の形態の画像読み取り装置の構成図である。
【0083】
第4の実施の形態の制御装置10cは、図4に示した第1の実施の形態の構成要素の評価部110を評価部150に置き換えた構成であり、他の構成要素は第1の実施の形態の構成要素と同様である。また、イメージリーダ20が有する処理機能の構成要素は、図4に示した第1の実施の形態の構成要素と同様である。そこで、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図4に示した構成要素の符号を用いて、制御装置10c及びイメージリーダ20の動作を説明する。
【0084】
評価部150は、ラインサンプリング抽出部151と、標準偏差算出部152とを有する。ラインサンプリング抽出部151は、露出テーブル選択部120が指定した露出テーブルを用いて画像取得部210が読み取ったキャリブレーションシートのイメージ画像データを取得する。そして、画像生成部21のエリアイメージセンサのフィールドライン数に合わせて、同じタイミングでスキャンされるフィールドラインをまとめ、1つのラインブロックを形成する。そして、同じラインブロックごとに、標準偏差算出部152に出力する。標準偏差算出部152は、ラインサンプリング抽出部151が抽出したラインブロックごとに、このブロックのイメージ画像データに含まれる画素について、輝度分布の標準偏差を算出する。
【0085】
露出テーブル選択部160は、ラインブロックごとに算出された輝度分布の標準偏差を取得し、その差を調べる。各ラインブロックの輝度分布の標準偏差の差が予め決められた判定基準よりも小さいときは、イメージ画像データに縦線ノイズがないと判定する。また、差が判定基準よりも大きいときは、イメージ画像データに縦線ノイズがあると判定する。縦線ノイズが発生していないときは、イメージ画像データに含まれる画素の輝度はほぼ均一になるため、各ラインブロックの標準偏差も同様の値になる。これに対し、縦線ノイズは、一定周期、すなわち一定ラインブロックごとに発生するため、縦線ノイズが発生したラインブロックでは、標準偏差が大きくなる。そこで、各ラインブロックの標準偏差を比較することにより、縦線ノイズの有無を検出することができる。
【0086】
制御装置10cの動作について説明する。制御装置10cでは、評価部150において、ラインサンプリング抽出部151は、キャリブレーションシートのイメージ画像データを画像取得部210より取得してラインブロックごとに分け、標準偏差算出部152は、ラインブロックごとの標準偏差を算出する。
【0087】
図15は、ラインサンプリング処理を示した図である。図の例のイメージセンサは3フィールド読み取りを行っている。
図15の例では、周期aでは、フィールド482,485,488のイメージ画像が読み取られる。同様に、周期bではフィールド483,486,489、及び周期cではフィールド481,484,487のイメージ画像が読み取られる。そこで、ラインサンプリング抽出部151では、周期aのフィールド482,485,488に含まれる画素を1つのラインブロックにまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。同様に、周期bのフィールド483,486,489に含まれる画素をまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。周期cについても同様に、フィールド481,484,487に含まれる画素をラインブロックにまとめ、標準偏差算出部152へ出力する。標準偏差算出部152は、それぞれのラインブロックの標準偏差を算出する。
【0088】
露出テーブル選択部120では、周期a,b,cそれぞれのラインブロックについて算出された標準偏差を比較する。そして、3つの標準偏差の差が基準値を超えているときは、縦線ノイズ有と判定する。基準値を超えていなければ、縦線ノイズ無と判定する。縦線ノイズがないときは、各ラインブロックの画素の輝度はほぼ均一になるため、標準偏差も同様の値になる。縦線ノイズは、一定ラインブロックごとに発生するので、縦線ノイズが発生するラインブロックの標準偏差は、他のラインブロックと比較して大きな値となる。図15の例では、周期cにおいて縦線ノイズが発生しており、他のラインブロックの画素の輝度に比べて、輝度の低い方の画素数が多くなり、従って標準偏差も大きくなる。露出テーブル選択部120では、他のラインブロックと比較して大きな標準偏差を有するラインブロックが検出された場合は、縦線ノイズがあると判定する。
【0089】
このように、一定ラインブロックごとに発生する縦線ノイズの特徴に合わせてラインブロックごとにサンプリングを行うことにより、高い精度で縦線ノイズを検出することが可能となる。この結果、露出テーブル選択部120では、最適な露出テーブルの選択が可能となる。
【0090】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、画像読み取り装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0091】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0092】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。
【符号の説明】
【0093】
1 画像読み取り装置
1a 画像読み取り手段
1b 評価手段
1c 選択手段
1d 設定テーブル記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置において、
フリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれる前記フリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブルを記憶する設定テーブル記憶手段と、
指定された前記設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行う画像読み取り手段と、
調整時に前記画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得して前記イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出し、前記輝度分布の特徴に基づいて前記イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する評価手段と、
調整時に前記設定テーブル記憶手段に記憶する前記設定テーブルを前記画像読み取り手段に順次指定するとともに、指定した前記設定テーブルに基づいて読み取られた前記イメージ画像に対する評価値を前記評価手段から取得して判定基準と照合し、該評価値が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する選択手段と、
を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記イメージ画像の一部領域をサンプリング領域として複数の前記サンプリング領域を設定しておき、前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データから前記サンプリング領域のイメージ画像データを抽出し、抽出した前記サンプリング領域のイメージ画像データを用いて前記サンプリング領域ごとの評価値を算出し、
前記選択手段は、前記サンプリング領域ごとの評価値を前記判定基準と照合し、照合結果に基づいて該設定テーブルを選択するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記判定基準を満たす前記設定テーブルが検出できなかったときは、それぞれの前記設定テーブルについて算出された前記評価値を比較して前記設定テーブルの選択候補を1つ選び、該選択候補の評価値と他の設定テーブルの評価値との差が所定の閾値よりも大きく、かつ、前記設定テーブルの選択候補の評価値が予め決められた前記判定基準の許容範囲内であれば、該設定テーブルを選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記光源の明るさに応じて、前記評価値と照合する前記判定基準の判定閾値を変動させる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データに対し、前記イメージ画像の非周期的な輝度ムラを軽減するシェーディング補正を施し、前記シェーディング補正を施した前記イメージ画像データを前記評価手段に出力する第1の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データの画素のうち、所定の輝度よりも低い輝度の画素を対象画素とし、該対象画素と周辺画素との輝度の差を縦方向と横方向について算出して比較し、差が少ない方向の画素列を線の一部と推定し、該対象画素から規定数以上連続して同一方向に該線の一部が検出されたときは、該線の一部が検出された方向に線があると判定し、前記線に含まれる画素を予め決められた低い輝度の画素に置き換えて前記線を強調する補正を施し、前記線を強調する補正を施した前記イメージ画像データを前記評価手段に出力する第2の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データに2値化処理を施して、所定の閾値よりも輝度の低い画素を予め決められた低い輝度の画素に置き換えて強調する補正を施し、前記評価手段に出力する第3の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記評価手段は、前記画像読み取り手段が、撮像素子が2次元的に配置されるイメージセンサを前記対象媒体及び前記調整用媒体に対し、相対的に所定の読み取り方向に移動しながら部分イメージ画像を順次読み取って前記イメージ画像データを読み取るとき、同一周期で読み取りが行われる領域をラインブロックとして、前記ラインブロックごとに前記評価値を算出し、
前記選択手段は、前記評価手段が算出した前記ラインブロックごとに評価値を比較し、前記評価値の差を予め決められた前記評価値の差の判定基準と照合し、該評価値の差が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り方法において、
調整時に、選択手段が、設定テーブル記憶手段に記憶されるフリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれる前記フリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブル群から、設定テーブルを指定し、
画像読み取り手段が、指定された前記設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行い、
評価手段が、前記画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得して前記イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出し、前記輝度分布の特徴に基づいて前記イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出し、
前記選択手段が、指定した前記設定テーブルに基づいて読み取られた前記イメージ画像に対する評価値を前記評価手段から取得して判定基準と照合し、該評価値が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択し、前記判定基準を満たさないときは、該設定テーブルを除く前記設定テーブル群を対象として、前記設定テーブルの指定からの手順を繰り返す、
ことを特徴とする画像読み取り方法。
【請求項1】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り装置において、
フリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれる前記フリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブルを記憶する設定テーブル記憶手段と、
指定された前記設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行う画像読み取り手段と、
調整時に前記画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得して前記イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出し、前記輝度分布の特徴に基づいて前記イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出する評価手段と、
調整時に前記設定テーブル記憶手段に記憶する前記設定テーブルを前記画像読み取り手段に順次指定するとともに、指定した前記設定テーブルに基づいて読み取られた前記イメージ画像に対する評価値を前記評価手段から取得して判定基準と照合し、該評価値が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する選択手段と、
を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記イメージ画像の一部領域をサンプリング領域として複数の前記サンプリング領域を設定しておき、前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データから前記サンプリング領域のイメージ画像データを抽出し、抽出した前記サンプリング領域のイメージ画像データを用いて前記サンプリング領域ごとの評価値を算出し、
前記選択手段は、前記サンプリング領域ごとの評価値を前記判定基準と照合し、照合結果に基づいて該設定テーブルを選択するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記判定基準を満たす前記設定テーブルが検出できなかったときは、それぞれの前記設定テーブルについて算出された前記評価値を比較して前記設定テーブルの選択候補を1つ選び、該選択候補の評価値と他の設定テーブルの評価値との差が所定の閾値よりも大きく、かつ、前記設定テーブルの選択候補の評価値が予め決められた前記判定基準の許容範囲内であれば、該設定テーブルを選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記光源の明るさに応じて、前記評価値と照合する前記判定基準の判定閾値を変動させる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データに対し、前記イメージ画像の非周期的な輝度ムラを軽減するシェーディング補正を施し、前記シェーディング補正を施した前記イメージ画像データを前記評価手段に出力する第1の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データの画素のうち、所定の輝度よりも低い輝度の画素を対象画素とし、該対象画素と周辺画素との輝度の差を縦方向と横方向について算出して比較し、差が少ない方向の画素列を線の一部と推定し、該対象画素から規定数以上連続して同一方向に該線の一部が検出されたときは、該線の一部が検出された方向に線があると判定し、前記線に含まれる画素を予め決められた低い輝度の画素に置き換えて前記線を強調する補正を施し、前記線を強調する補正を施した前記イメージ画像データを前記評価手段に出力する第2の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記画像読み取り手段から取得した前記イメージ画像データに2値化処理を施して、所定の閾値よりも輝度の低い画素を予め決められた低い輝度の画素に置き換えて強調する補正を施し、前記評価手段に出力する第3の補正手段、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記評価手段は、前記画像読み取り手段が、撮像素子が2次元的に配置されるイメージセンサを前記対象媒体及び前記調整用媒体に対し、相対的に所定の読み取り方向に移動しながら部分イメージ画像を順次読み取って前記イメージ画像データを読み取るとき、同一周期で読み取りが行われる領域をラインブロックとして、前記ラインブロックごとに前記評価値を算出し、
前記選択手段は、前記評価手段が算出した前記ラインブロックごとに評価値を比較し、前記評価値の差を予め決められた前記評価値の差の判定基準と照合し、該評価値の差が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
対象媒体からイメージ画像を読み取る画像読み取り方法において、
調整時に、選択手段が、設定テーブル記憶手段に記憶されるフリッカ現象を有する光源のフリッカ周期に対応付けて、読み取ったイメージ画像に含まれる前記フリッカ現象による画像ノイズを低減する読み取り設定を登録した設定テーブル群から、設定テーブルを指定し、
画像読み取り手段が、指定された前記設定テーブルの読み取り設定に基づき、イメージ画像の読み取り処理を行い、
評価手段が、前記画像読み取り手段から調整用媒体のイメージ画像データを取得して前記イメージ画像に含まれる画素の輝度分布を算出し、前記輝度分布の特徴に基づいて前記イメージ画像に含まれる画像ノイズの評価値を算出し、
前記選択手段が、指定した前記設定テーブルに基づいて読み取られた前記イメージ画像に対する評価値を前記評価手段から取得して判定基準と照合し、該評価値が前記判定基準を満たすときは、該設定テーブルを前記対象媒体のイメージ画像読み取り用に選択し、前記判定基準を満たさないときは、該設定テーブルを除く前記設定テーブル群を対象として、前記設定テーブルの指定からの手順を繰り返す、
ことを特徴とする画像読み取り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−176559(P2011−176559A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38568(P2010−38568)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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