説明

画像読取装置、その処理方法及びプログラム

【課題】
プレスキャン時における解析能力を向上させるようにした画像読取装置、その処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】
画像読取装置は、第1の読取動作と、第1の読取動作に引き続いて第1の読取動作よりも高い解像度で読み取りを行なう第2の読取動作とにより、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取り、当該読み取られた画像データを解析し、第2の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に第1の読取動作で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、その処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像読取装置(例えば、イメージスキャナ)では、入力された画像データに基づいて様々な画像特性を解析している。画像読取装置では、例えば、画像の読み取りに際して、まず、予備スキャン(以下、プレスキャンと呼ぶ)を行なう。プレスキャンでは、粗い解像度で原稿台全面を読み取る。そして、読み込んだ画像データを装置内若しくは接続されているコンピュータ内のメモリに格納し、その格納した画像データに基づいて画像読取装置の圧着板と紙原稿との境界を自動的に判別し原稿領域を特定する。この原稿領域の特定は、メモリに格納された画像データに対してエッジ抽出等の手法を施すことにより行なわれる。画像読取装置は、原稿領域を特定すると、原稿台との相対的な角度を計算し、所定の回転補正を行なう。これにより、使用者が原稿をセットする時に生じた角度差を補正する。
【0003】
プレスキャンによりメモリに格納された画像データ(プレスキャン画像)は、原稿領域の特定以外にも様々な解析がなされる。例えば、下地除去処理や階調補正処理、色変換処理等の画像補正を行なうのに必要とされる情報の解析が行なわれる。下地除去処理では、プレスキャン時の紙原稿の下地を推測して濃度値が高くグレーになっている紙の下地を白に近づけるように輝度値の補正が行なわれる。階調補正処理では、原稿領域が写真なのか文書原稿なのかを判定し、判定結果に適切な階調に補正が行なわれる。また、色変換処理では、原稿が写真原稿と判定された場合に、写真を記録している記録方式が銀塩方式による写真なのか、インクジェット記録による写真なのかを判定して記録方式に適切な色変換テーブルの特定が行なわれる。
【0004】
このようなプレスキャンを行なった後、画像読取装置は、特定した原稿領域に対して、所定の解像度により2度目のスキャン(以下、本スキャンと呼ぶ)を行なう。そして、本スキャンにより読み取った高解像度の画像データに対して前述した補正処理を行なった後、その補正後の画像データをメモリ内に格納する。なお、記録装置を有する画像読取装置、例えば、複写機では、読み取った高解像度の画像データをメモリに格納せず、併設された記録装置において、インクジェット方式や電子写真方式等の方式を用いて複写を行なう場合もある。
【0005】
さて、プレスキャン画像に基づいて原稿の配置された領域を特定する技術は、従来、数多く提案されている。特許文献1では、画像読取装置の圧着板と補色関係にある光源を使用することにより原稿領域を精度良く分離する技術が開示されており、特許文献2では、着色された着色部材を原稿台背面に設置することにより所定の原稿領域を分離する技術が開示されている。また、特許文献3では、原稿押さえ面を原稿とは異なる色で着色し、プラテンカバーの開放状態と閉鎖状態とを判別して両状態における原稿エッジ検出に基づいて原稿領域を特定する技術が開示されている。
【0006】
更に、画像読取装置の圧着板に特殊な色材を着色せずに、読み取り画素値のわずかな差分から原稿領域を推測する技術も知られている。例えば、ラプラシアン等のエッジ検出フィルタを施し、複数検出されたエッジの連続性や直線性を評価することにより原稿の端部を推測する方法がある。また、例えば、ハフ変換等の直線抽出法を用いて各辺を検出し、各辺が交差する点を頂点と見なして原稿の直角性を判断し、原稿位置を推測する方法等がある。
【特許文献1】特開昭62−170948号公報
【特許文献2】特公昭56−22424号公報
【特許文献3】特開平3−54966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述した技術では、以下に示す問題点が挙げられる。例えば、画像読取装置の圧着板に特殊な色材を着色する場合、薄い原稿のときには、原稿が透けてしまい圧着板の特殊な色が原稿に映ってしまう。また、特殊加工により生じるコストの増加や、原稿の周辺に特殊な色材の圧着板の色が縁取りされて残ってしまう等の問題がある。
【0008】
また、エッジ検出フィルタやハフ変換等を用いた場合には、汎用性が高くコスト的にも廉価となるが、検出精度に難点がある。すなわち、プレスキャンされた低解像の画像データに基づいて原稿領域を特定するため、紙の端部のエッジが顕著に出ない場合がある。また更に、画像読取装置では、スキャンやコピーに要する時間の短縮が求められているため、画像解析処理を迅速に行なう必要があるが、この処理を実施した場合、時間がかかってしまう。また、コンピュータと画像読取装置とを接続し、コンピュータ内で各種複雑な画像処理演算を行なう場合には特に問題はないが、画像読取装置で画像処理を行なう場合には、処理時間の増加や演算精度が悪くなってしまう。これは、画像読取装置には、コスト的な要因によりコンピュータと比較して、低速なCPUや少ないメモリ容量が搭載されている場合が多いためである。
【0009】
また、画像読取装置で使用されうる紙種は数が多く、圧着板とほとんど色差が替わらない紙種もある。更に、はがきやカード、写真専用紙等では紙厚がある程度あり、影が発生し易いため、エッジ検出の精度が好ましくない場合がある。例えば、ラプラシアンを用いたエッジ検出により原稿端部のエッジを検出する場合、検出したエッジ量を所定の閾値(比較閾値)と比較し、エッジであるか否かの判定を行なうため、このような影響を受け易い。
【0010】
以上から、装置設計者は、使用環境、装置の仕向け地に関わらず全ての紙種において偏りのない中庸な比較閾値を設定せざるを得ず、全く使用することのない紙種までも考慮した装置設計を行なわなければならない。そのため、このような装置設計は、精度向上の阻害要因につながる。実際には、使用環境により使用される紙種は偏りがある。例えば、新聞紙ばかりをコピーする使用環境においては、新聞紙だけを自動的に切り抜きするような設定が要望されるが、違う環境においては、写真専用紙ばかりを重視してコピーが行なえるようような設定が要望される。また、オフィス環境で使用する場合には、オフィス全体で特定紙種(例えば、再生紙等)を大量に購入し、オフィス内ではその紙種しか用いないという事例も数多い。更に、使用する国や地域でも特定紙種が頻度高く使われるという事例もある。
【0011】
この使用環境での差異により生じる最適な設定からのずれは、原稿の切り出し以外にも、前述した原稿種の特定や、階調補正等、全ての画像解析に当てはまる。プレスキャンによる画像解析時に用いるパラメータは、装置設計者が実験的に設計した工場出荷時の初期設定のまま使用せざるを得なかった。そのため、使用環境に適応させた画像解析能力の向上は不可能であると言わざるを得なかった。
【0012】
また、昨今、市場には、装置に学習機能を持たせて使用者毎にカスタマイズした製品が投入されている。例えば、携帯電話等の文字入力時の漢字変換では、過去に入力した文字の漢字変換例が上位に表示されるようにした製品が提供されている。ただこのような表示(設定)の変更は、使用者が設定した優先順位を入れ替えているだけであり、使用者の全く意識しない装置の解析能力の向上を図るものではない。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プレスキャン時における解析能力を向上させるようにした画像読取装置、その処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による画像読取装置は、第1の読取動作と、該第1の読取動作に引き続いて該第1の読取動作よりも高い解像度で読み取りを行なう第2の読取動作とにより、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた画像データを解析する画像処理手段と、前記第2の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取動作で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新手段とを具備し、前記画像処理手段は、前記パラメータ更新手段により更新されたパラメータを用いて前記第1の読取動作で読み取られた画像データを解析することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、画像読取装置における処理方法であって、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る第1の読取工程と、前記第1の読取工程よりも高い解像度で前記読み取りを行なう第2の読取工程と、前記読み取られた画像データを解析する画像処理工程と、前記第2の読取工程で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取工程で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新工程とを含み、前記画像処理工程では、前記パラメータ更新工程で更新されたパラメータを用いて前記第1の読取工程で読み取られた画像データを解析することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様によるプログラムは、第1の読取動作と、該第1の読取動作に引き続いて該第1の読取動作よりも高い解像度で読み取りを行なう第2の読取動作とにより、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る読取手段を有する画像読取装置に内蔵されたコンピュータを、前記読取手段により読み取られた画像データを解析する画像処理手段、前記第2の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取動作で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新手段として機能させ、前記画像処理手段は、前記パラメータ更新手段により更新されたパラメータを用いて前記第1の読取動作で読み取られた画像データを解析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の読取動作により読み取られた画像に基づく解析に際して、第2の読取動作により読み取った(第1の読取動作により読み取った画像よりも)高解像度の画像の解析結果を利用する。これにより、第1の読取動作時における解析能力を向上させられるため、第2の読取動作による読み取り性能の向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係わる画像読取装置、その処理方法及びプログラムの一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下、実施形態においては、本発明に係わる画像読取装置を適用したマルチファンクションプリンタ装置(以下、MFP装置と呼ぶ)を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係わるMFP装置100の概観斜視の一例を示す図である。
【0020】
MFP装置100は、画像読取機能(後述する画像読取部200)、画像処理機能(後述する画像処理部600)、画像記録機能(後述する画像記録部700)等を具備して構成される。詳細については後述するが、画像読取部200は、画像原稿(以下、原稿と呼ぶ)をスキャンして画像データを読み取り、画像処理部600は、当該読み取られた画像データに対して下地除去処理や階調補正処理、色変換処理等の画像処理を行なう。また、画像記録部700は、画像処理部600により処理された画像データに基づいて用紙などの記録媒体に画像を記録する。
【0021】
MFP装置100は、例えば、画像読取部200から入力される画像データに基づいて記録媒体に画像を記録する。なお、画像データの入力先は、画像読取部200に限られず、例えば、画像データを格納したメモリカードであってもよいし、また、ホスト(不図示)からであってもよいが、本実施形態においては、画像読取部200から入力される場合を説明する。
【0022】
ここで、図1(a)は原稿カバー103が閉じられた状態を示しており、図1(b)は記録媒体の載置トレー101、排紙トレー102、及び原稿カバー103が開けられた状態を示している。
【0023】
画像読取部200は、コンタクトイメージセンサ(CIS)ユニットを備えて構成されており、原稿台を光学的に走査することで原稿を読取り、赤(R)、緑(G)及び青(B)色のアナログ輝度信号を出力する。ここで、画像読取部200による読取動作は、例えば、2つの動作に大別される。第1の読取動作としては、予備スキャン、すなわち、プレスキャン動作が挙げられる。プレスキャン動作では、粗い解像度(低解像度)で原稿台全面を読み取る。このとき、読み取られた画像データは、例えば、原稿領域の特定等の解析に用いられる。また、第2の読取動作としては、本スキャン動作が挙げられる。本スキャン動作は、プレスキャン後行なわれ、高解像度で原稿台に載置された原稿を読み取る。
【0024】
カードインタフェイス9は、例えば、デジタルスチルカメラ(不図示)で撮影された画像ファイルを記録したメモリカードなどの挿入に用いられる。カードインタフェイス9にメモリカードが挿入されると、MFP装置100は、使用者からの操作部4を用いた操作に従って、このカードインタフェイス9を介してメモリカードから画像データを読み込む。
【0025】
この他、MFP装置100には、表示装置110が搭載される。表示装置110は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、操作部4からの設定内容や機能を選択するための画面等の表示を行なう。
【0026】
図2は、図1に示すMFP装置100に設けられた画像読取部200の概略を示す断面図である。
【0027】
画像読取部200は、本体部210と読取対象の原稿を押さえつけ外部からの光を遮光する圧板230とを具備して構成される。圧板230は、原稿カバー103の裏面に設けられる。本体部210には、光学ユニット240、光学ユニット240と電気的に接続された回路基板250、光学ユニット240を走査させる際のレールとなるスライディングロッド260、原稿台ガラス270が備えられる。光学ユニット240は、原稿に光を照射し、その反射光を受光して電気信号に変換するするコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニット300を内蔵して構成される。画像の読み取りに際しては、原稿台ガラス270に置かれた原稿を光学ユニット240が矢印Bの方向(副走査方向)に走査することにより原稿に記録された画像の読み取りが行なわれる。
【0028】
図3は、図2に示すコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニット300の概略を示す断面図である。
【0029】
CISユニット300は、複数のLED(Light Emitting Diode)を具備して構成される。具体的には、R(レッド)色の光を発光する赤色LED303と、G(グリーン)色の光を発光する緑色LED304と、B(ブルー)色の光を発光する青色LED305とが設けられる。原稿読取時には1ライン毎に各色LEDを時分割で点灯させ、点灯した光を導光体302を通して均一に原稿に向けて照射する。そして、その反射光をセルフォックレンズ301で画素毎に集光し、ユニット内の光電変換素子(不図示)上に結像することにより、その光を電気信号に変換する。このようにしてCISユニット300は、RGB3色成分の色信号からなる1ライン分の画像信号を出力する。また、CISユニット300は、原稿全面から画像の読み取りを行なうため、副走査方向に移動させられる。なお、本実施形態においては、セルフォックレンズ301の各セルの配列方向を示す矢印Aの方向を主走査方向と呼ぶ。主走査方向と副走査方向とは互いに直交している。図2では、主走査方向は紙面に対して垂直方向となる。
【0030】
図4は、図2に示す画像読取部200の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。なお、上述した図1〜図3において説明した構成要素には同じ参照番号を付し、その説明については省略する。
【0031】
CISユニット300は、LED駆動回路403の制御の下、1ライン毎に各色のLED303〜305を切り替えて点灯し、線順次にカラー画像を読み取る。LED303〜305は、原稿の照射光量を変化させることできる光源で構成される。なお、LED駆動回路403は、LED303〜305を任意に点灯させることもできる。すなわち、LED303〜305を1チャネルずつ順次点灯させることも、2チャネルずつ順次点灯させることも、場合によっては3チャネル全て点灯させることもできる。
【0032】
増幅器(AMP)404は、CISユニット300より出力された信号を増幅する。A/D変換器405は、その増幅された電気信号をA/D変換して、例えば、各画素各色成分16ビットのデジタル画像データを出力する。
【0033】
画像処理部600は、A/D変換器405によって変換されたデジタル画像データを処理する。インタフェイス制御回路406は、画像処理部600から画像データを読み込み、外部装置412又は画像記録部700との間で制御データの授受や画像データの出力を行なう。なお、外部装置412は、例えば、ホストであるパーソナルコンピュータ(不図示)に相当する。
【0034】
407は、基準信号発信器(OSC)であり、例えば、水晶発信器などで構成される。408は、タイミング信号発生回路であり、RAM411の設定に応じて基準信号発信器407の出力を分周して動作の基本となる各種タイミング信号を発生する。LED414は、表示装置110(例えば、LCD)のバックライト光源となるLEDであり、タイミング信号発生回路408から出力される点灯信号により点灯制御される。
【0035】
画像記録部700は、インタフェイス制御回路406からのデータを画素毎に「記録する」「記録しない」の2値データに変換し、記録媒体に記録材料を用いて記録する装置である。このような装置には、例えば、インクジェット型のプリンタや電子写真方式を用いたレーザビームプリンタ、更には昇華型プリンタなどが挙げられるが、ここでは詳細については割愛する。
【0036】
以上のような各種構成要素による一連の処理は、動作内容によって大別すると2種類の制御系で説明できる。ここでは、MFP単体としてコピーやスキャン動作を行なう場合について説明する。この場合は、操作部4によって動作指示が定まる。ここで操作部4について詳細に述べる。図5は、操作部4の概略構成の一例である。操作部4からの出力信号は、CPU409の入力ポートに入力される。
【0037】
ボタン501は、電源キーである。ボタン502は、機能選択ボタンである。ボタン502の押下回数に応じて各種機能内容が表示装置110に表示される。表示された機能内容に従って操作を加え、決定ボタン503を押下すれば、その内容がRAM411にセットされる。ボタン504は、キャンセルボタンである。ボタン505が押下されると、RAM411の設定に従ってカラーコピー動作が開始する。ボタン506が押下されると、RAM411の設定に従いモノクロコピー動作が開始する。ボタン507は、枚数指定や濃度の指定等といった量的指定に際して押下される。ボタン508は、リセットボタンであり、スキャンや印刷をキャンセルする際に押下される。図5に示す操作部4からの動作指示は、例えば、マイクロコンピュータ形態のCPU409により制御される。その制御は、ROM(Read Only Memory)410に格納されたプログラム(後述する制御プログラム670)をCPU409が読み出し、RAM(Random Access Memory)411を作業領域として実行することで実現される。
【0038】
なお、MFP装置100が外部装置412からの指示に基づいて動作する場合には、コピー、スキャン等の指示がインタフェイス制御回路406を介して、CPU409に発令される。それ以降の動作は、MFP単体としてコピーやスキャン動作を行なう場合と同じである。
【0039】
次に、図4に示す画像処理部600について説明する。図6は、画像処理部600の構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
シェーディング補正部610には、A/D変換器405によって変換されたデジタル画像データが入力される。シェーディング補正部610は、画像読取部200の原稿台ガラス270に貼り付けられた指標板(不図示)の裏面に貼り付けられた標準白色板(不図示)を読み取ることによりシェーディング補正を行なう。また、このシェーディング補正に用いるデータは、ROM410に格納されているシェーディングデータ611を用いる。
【0041】
プレガンマ変換部620には、シェーディング補正を経たデジタル画像データが入力される。プレガンマ変換部620は、視覚的に好適と輝度分布となるようにガンマ補正を行なう。また、プレガンマ変換部620で用いるデータは、ROM410に格納されているプレガンマデータ621を用いる。
【0042】
色補正処理部630には、プレガンマ変換を経たデジタル画像データは入力される。色補正処理部630は、プレガンマ変換を経たデジタル画像データを好適な色彩となるように変換処理する。また、色補正処理部630で用いるデータは、ROM410に格納されている色補正データ631を用いる。
【0043】
フィルタ処理部640には、色補正処理部630を経たデジタル画像データが入力される。フィルタ処理部640では、デジタル画像データに対してエッジ強調やノイズリダクションなどのフィルタ処理が行われる。このフィルタ処理で用いられるデータは、ROM410に格納されているフィルタデータ641を用いる。
【0044】
ポストガンマ変換部650には、フィルタ処理部640を経たデジタル画像データが入力される。ポストガンマ変換部650は、入力されたデジタル画像データの輝度特性を用途に応じて再度微調整する。ポストガンマ変換部650で用いるデータは、ROM410に格納されているポストガンマデータ651を用いる。
【0045】
解析・補正処理部690には、ポストガンマ変換部650を経たデジタル画像データが入力される。解析・補正処理部690は、読み取った画像データから原稿を切出すための原稿端を検出するための解析や、原稿が網点原稿、銀塩写真、文書原稿、手書き原稿などの原稿の種類に対する解析とその解析結果に基づく補正や加工を行なう。
【0046】
インタフェイス制御回路406には、補正加工された画像データが出力される。これらデータのROM410から各処理部へのセットは、制御プログラム670の内容をCPU409が読み出して実行することで実現する。
【0047】
図7は、MFP装置100におけるコピー動作時の動作手順の一例を示すフローチャートである。なお、図7〜図9、図11に示す処理は、ROM410に格納された制御プログラム670をCPU409が読み出し実行することにより実現される。ここでは、全てのコピー動作時における動作手順についての説明は省略し、使用者による一部の設定による動作手順について説明する。
【0048】
この処理は、使用者により原稿台に原稿が載置され、操作部4からコピー命令がなされると開始する。例えば、図5に示す操作部4からボタン505が押下されると、その押下とともに、MFP装置100は、コピー命令(例えば、カラーコピー)を受け付ける(S701)。
【0049】
コピー命令を受け付けると、MFP装置100は、プレスキャン画像解析パラメータをロードする(S702)。具体的には、プレスキャン画像解析に係わるパラメータを読み書き可能な不揮発性メモリ(不図示)からロードする。なお、読み書き可能な不揮発性メモリは、RAM411、ROM410とは別にNVRAM、フラッシュメモリ等を保持するのが好ましいが、これらメモリからロードするようにしてもよい。プレスキャン画像解析パラメータは、工場出荷時には、装置設計者が設定した値が格納されている。
【0050】
続いて、MFP装置100は、プレスキャンを実施する(S703)。プレスキャンでは、所定の解像度(例えば、75dpi(ドットパーインチ))で予備のスキャン動作を行ない、そのスキャン動作により読み込んだ画像データ(プレスキャン画像)を一時的にメモリに格納する。
【0051】
プレスキャンが済むと、MFP装置100は、プレスキャンで読み取った画像データ(プレスキャン画像)を解析する(S704)。この解析は、S702でロードしたパラメータに基づいて行なわれる。なお、このプレスキャン画像解析処理についての詳細については後述するが、この処理により原稿領域が特定され、原稿領域が決められる。なお、本実施形態に係わるプレスキャン画像解析処理は、原稿領域を特定するために行なう。勿論、これ以外の解析を行なってもかまわない。
【0052】
続いて、MFP装置100は、S704の処理により決定した原稿領域を基に本スキャン時に走査する領域を決定し(S705)、その領域に対して本スキャンを実施する(S706)。本スキャンでは、画像読取部200が有する所定の解像度(例えば、600dpi(ドットパーインチ))により原稿領域の画像データの読み取りが行なわれる。読み取った画像データは、画像記録部700に送信され(S707)、当該画像データに基づく記録がなされた記録紙が出力される。
【0053】
本スキャンの後、MFP装置100は、本スキャンにより読み取った画像データの解析を行なう(S708)。すなわち、本実施形態においては、記録動作開始後に、本スキャン画像データに対して画像解析を行なう工程する。
【0054】
本スキャン画像データの解析後、MFP装置100は、その解析結果を受けて、プレスキャン画像解析パラメータを更新し(S709)、その更新後のパラメータを、例えば、NVRAM等の不揮発性メモリにストアする(S710)。なお、プレスキャン画像解析パラメータは、不揮発性メモリ内に格納されるため、電源のオンオフに関わらず、その更新後のパラメータは保持される。そして、次回のコピー時やスキャン時に、この更新されたパラメータがロードされ解析が行なわれることになる。
【0055】
ここで、図8を用いて、図7に示すS704におけるプレスキャン画像解析処理の動作手順の一例を示すフローチャートについて説明する。
【0056】
この処理では、まず、エッジ検出フィルタリング処理を行なう(S801)。すなわち、ラプラシアンのエッジ検出フィルタを読み取った画像全面に対してフィルタリングしていく工程である。画像全面の輝度値に関しては、カラー画像であるR、G、B各々のチャンネルに対してフィルタリングする方法を用いてもよいし、R、G、Bの画素値から例えば(式1)の演算式により算出した輝度信号Y1チャンネル分に対してフィルタリングしてもよい。
【0057】
Y=0.3×R+0.6×G+0.1×B・・・(式1)
続いて、MFP装置100は、フィルタリングしたエッジ画像を閾値と比較する(S802)。この閾値には、図7に示すS702の処理においてロードされたプレスキャン画像解析パラメータを用いる。そして、閾値よりも大きかった画素位置をエッジ位置として特定する(S803)。
【0058】
エッジ位置の特定が済むと、MFP装置100は、画像全体に渡って特定された複数のエッジ位置に対して直線を形成できるか否かを判定する(S804)。直線性判定に関しては、エッジ強度の高い位置から近傍を探索していく方法や、複数のエッジを集めて最小ニ乗法を利用して直線からの距離を判定する方法等、様々な方法が考えられる。
【0059】
続いて、MFP装置100は、S804で決定された直線を基に、各直線の交点を求め矩形の4頂点を決定する(S805)。これにより、原稿領域が特定されることになる。
【0060】
次に、図9を用いて、図7に示すS708における本スキャン画像解析処理の動作手順の一例を示すフローチャートについて説明する。
【0061】
MFP装置100は、まず、本スキャン画像からその輝度値を読み込む(S901)。すなわち、本スキャンで読み込んだ各色チャンネル(R、G、B)毎の輝度値を読み込む。そして、ヒストグラムを作成するとともに(S902)、下地領域を特定する(S903)。下地の特定は、例えば、各チャンネルの輝度値から頻度を算出し、頻度の高い高輝度値を下地の輝度値と判定することで行なわれる。なお、ヒストグラム作成、下地領域の特定処理までは、プレスキャン画像を用いてもよい。また、本スキャン画像データを所定比率で平均的に間引いて画素数を減少させた情報を基にして演算を簡単にしてもよい。
【0062】
続いて、画像処理部600は、特定した下地領域の特徴量を既存の特徴量と比較する(S904)。すなわち、装置設計者は、予め複数の紙種に対して紙種を特定できる特徴量を設定しておく。特徴量に関しては、様々な物理量が考えられるが、本実施形態では下地と想定される局所的な輝度の最大値Dmaxと最小値Dminとの差分値及び、輝度の平均値を特徴量として比較する。この差分値は、紙の繊維の影の出方に依存し、また、輝度の平均値は元々の紙の濃度に依存する。また、これら2種の値は、テーブルとして保持されている。
【0063】
ここで、MFP装置100は、このテーブル値を用いて紙種を判定する(S905)。この処理は、TBL値との距離(2種の値のTBL値との差分値の2乗和)が短かった既存値を持つ紙種を判定することにより行われる。そして、この画像解析処理は終了する。なお、前述したDmaxと最小値Dminとの差分値を用いて紙種を特定する方法は、特開2003−302885号公報に詳細が開示されているが、紙種の特定にはこれ以外の方法を用いてもよく、特に問わない。例えば、特開平11−271037号公報に開示されるフラクタル次元を用いて紙種を特定してもよい。
【0064】
次に、図10、図11を用いて、図7に示すS709におけるプレスキャン画像解析パラメータ更新処理について説明する。
【0065】
まず、図10を用いて、プレスキャン画像解析パラメータの初期設定、その更新の概要について説明する。
【0066】
原稿領域の特定(画像切り出し)に際しては、紙種に応じて最適なプレスキャン画像解析パラメータ(例えば、エッジ検出パラメータ)が異なってくる。装置設計者は、使用者が使うと思われる複数の紙種の使用比率を経験的に予測し、検出率と誤検出率を割り出し、最も性能の高かったパラメータを初期値として設定する。
【0067】
図10では説明を簡単にするため、A紙とB紙の2種に対して設定を行なった例を一次元の図で表現している。一次元状の目盛りは、どのような使用比率によりパラメータを最適化したかを示しており、左に行くほどA紙の使用比率を大きくしたパラメータ、右に行くほどB紙の使用比率を大きくしたパラメータを示している。設計者は、例えば、A紙、B紙ともに1:1の割合で使用されることを想定し、その割合に最適なパラメータを設定する。実際に市場で全ての使用者がこの割合で使用するのであれば、初期設定値のままであるのが最適となるが、使用者の使用環境、使用地域、使用用途によって使用紙種に偏りが生じる。
【0068】
そこで、本実施形態では、初期設定値(図中の1:1の比率)以外にも、例えば、A紙のみ(A紙100%)で最適化したパラメータ、B紙のみ(B紙100%)で最適化したパラメータを予め設定しておく。また更に、A:B=15:1からA:B=1:15まで紙種の使用比率を変化させたパラメータも予め設定しておく。すなわち、使用される紙種の比率に応じてプレスキャン画像解析パラメータを予め複数設けておく。なお、この設定値(複数のプレスキャン画像解析パラメータ)は、例えば、ROM410等のメモリ内に格納されている。
【0069】
初期設定値は、1:1の設定値であるが、MFP装置100では、使用された紙種に係わる情報を履歴として不揮発性メモリ(例えば、NVRAM等)に管理し、過去にどの位の比率でA紙、B紙が使用されたのかを把握する。すなわち、図7に示すS709の処理では、過去の紙種使用率を計算し、図10の目盛り(設定した比率)のどこに最も近いのかを判定する。例えば、過去のA紙、B紙の使用比率が1:4に近い場合には、初期設定値から右に4目盛りずれた設定値になるし、使用比率が1:15に近い場合にはB紙で最適化したパラメータの1目盛り左にずれた設定値になる。すなわち、使い始めは初期設定値からは大きくずれないが、B紙だけを使用していれば、徐々に左の目盛りに移行し、B紙に最適化されたパラメータに更新される。
【0070】
なお、図10の説明では、設計者が複数の使用比率のパラメータをセットしていたが、設計者はA紙最適パラメータ、B紙最適パラメータの2種のみをセットしておいて、パラメータ間の演算により使用比率に適応した最適パラメータを作成するようにしてもよい。この場合にも同様の効果が得られる。
【0071】
また、図10の実施形態では説明を容易にする為に2種のパラメータのみで説明したが、当然2種には限定しない。また、目盛りの更新も所定枚数までは初期設定値のまま移動させずに、所定枚数を超えてから使用比率を計算して反映させても良い。
【0072】
ここで、図11を用いて、プレスキャン画像解析パラメータ更新処理の動作手順の一例を示すフローチャートについて説明する。
【0073】
MFP装置100は、まず、本スキャン画像解析処理による解析により、使用された用紙の紙種を特定し、その特定結果を紙種使用履歴としてメモリ(例えば、NVRAM等)に格納する(S1101)。そして、紙種使用履歴から紙種使用率を算出する(S1102)。すなわち、紙種使用率を計算し、どのような紙種の使用頻度が高いのかを求める。
【0074】
この算出が済むと、MFP装置100は、紙種の使用率に対応して設けられた複数のパラメータの中からいずれかのパラメータを更新パラメータとして決定する(ステップS1103)。更新パラメータの決定は、ステップS1102で算出した紙種使用率に基づいて行なう。更新パラメータが決定すると、MFP装置100は、その更新パラメータを用いて現在設定されているプレスキャン画像解析パラメータを更新する(S1104)。
【0075】
以上説明したように本実施形態によれば、プレスキャン動作により読み取られた低解像度の画像に基づく解析に際して、本スキャン動作により読み取った高解像度の画像の解析結果を利用する。これにより、プレスキャン時の解析能力を向上させられるため、その結果として、本スキャン動作による読み取り性能(例えば、原稿領域特定処理、下地除去処理、階調補正処理、色変換処理等)の向上を図れる。また、コスト増も招かない、
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0076】
例えば、上述した説明では、画像読取部200、画像処理部600、画像記録部700を有するMFP装置100を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、MFP装置100の替わりに、画像読取部や画像処理部を有する画像読取装置を用いて上述した処理を実施してもかまわない。
【0077】
また、上述した説明では、プレスキャン画像の解析により原稿領域を特定(原稿の切り出し)する場合を例に挙げて説明したが、プレスキャン画像は、勿論、これ以外の解析に利用されてもよい。例えば、図10に示すA紙、B紙を普通用紙、写真専用紙と仮定する。この場合、プレスキャン画像の解析により、文字や線画が中心の文書原稿なのか、写真なのかが識別が行なえる。このような識別を行なう場合には、更に、下地を除去する時の下地量を変更させた設定がなされた複数のプレスキャン画像解析パラメータを用意しておく。すると、文書原稿と識別された場合は大きく下地を飛ばし、写真原稿と識別された場合は全く下地を飛ばさないといった処理が可能になる。これにより、例えば、文書原稿ばかりをコピーするような使用環境では、装置を使用する毎に下地が飛びやすい設定に移行していくことになる。また、文書原稿で使用する紙種に偏りがあったとしても、下地の色や濃度値を解析できるので、最適なパラメータを設定することができる。また、図10に示すA紙、B紙をインクジェット写真用紙、銀塩写真用紙であると仮定した場合には、各記録方式に最適な色変換パラメータにおいて変換処理を行なうこともできる。
【0078】
また、上述した説明では、本スキャン画像の解析により紙種を特定し、その結果に基づいてプレスキャン時の解析パラメータの設定を更新する場合を例に挙げて説明したが、本スキャン画像は、勿論、これ以外の解析に利用されてもよい。例えば、文書原稿、写真原稿の使用比率や、使用されている網点の線数、記録されている記録方式、記録解像度等、様々な解析が考えられる。
【0079】
また、上述した説明では、単に過去の使用紙種の使用比率だけに基づいてプレスキャン時の解析に用いるパラメータを決定していたが、過去の使用紙種に対して時間軸で重み付し、時間軸をも考慮してパラメータを更新するようにしてもよい。すなわち、過去全ての使用紙種に基づいてパラメータを決定するのではなく、直近の使用紙種のみを用いたり、直近のデータに対して重みを大きくして更新パラメータを決定してもよい。
【0080】
また、上述した説明では、説明を簡単にするために、プレスキャン、本スキャンと光学系が2回走査する例について説明したが、これに限られない。例えば、機械的には1回の走査で高解像情報を取得し、1度目は高解像情報から間引きをした低解像度情報の解析、2度目は格納した高解像情報の解析という2段階の解析を行なってもよい。この場合でも2度目の解析は、時間軸で考えると次回以降のスキャン時の画像解析に有効となるデータを蓄積できるため、記録紙への記録開始後に行なうのが使用者の利便性にとっても好ましい。
【0081】
なお、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体等としての実施態様を採ることもできる。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0082】
また、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0083】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0084】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0085】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0086】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0087】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0088】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU(Central Processing Unit)などが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態に係わるMFP装置100の概観斜視の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示すMFP装置100に設けられた画像読取部200の概略を示す断面図である。
【図3】図2に示すコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニット300の概略を示す断面図である。
【図4】図2に示す画像読取部200の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す操作部4の概略構成の一例を示す図である。
【図6】図4に示す画像処理部600の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図1に示すMFP装置100におけるコピー動作時の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示すS704におけるプレスキャン画像解析処理の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図7に示すS708における本スキャン画像解析処理の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】プレスキャン画像解析パラメータの概要を示す図である。
【図11】図7に示すS709におけるプレスキャン画像解析パラメータ更新処理の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
4 操作部
100 MFP装置
101 載置トレー
102 排紙トレー
103 原稿カバー
110 表示装置(LCD)
200 画像読取部
600 画像処理部
700 画像記録部
300 CISユニット
403 LED駆動回路
404 増幅器(AMP)
405 A/D変換器
406 インタフェイス制御回路
407 基準信号発信器(OSC)
408 タイミング信号発生回路(TG)
409 CPU
410 ROM
411 RAM
412 外部装置
610 シェーディング補正部
620 プレガンマ変換部
630 色補正処理部
640 フィルタ処理部
650 ポストガンマ変換部
690 解析・補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の読取動作と、該第1の読取動作に引き続いて該第1の読取動作よりも高い解像度で読み取りを行なう第2の読取動作とにより、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた画像データを解析する画像処理手段と、
前記第2の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取動作で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新手段と
を具備し、
前記画像処理手段は、
前記パラメータ更新手段により更新されたパラメータを用いて前記第1の読取動作で読み取られた画像データを解析する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
不揮発性の格納手段
を更に具備し、
前記画像処理手段は、
前記第2の読取動作で読み取られた画像データの解析により用紙である前記記録媒体の紙種を特定するとともに、その特定結果を紙種使用履歴として前記格納手段に格納し、
前記パラメータ更新手段は、
前記格納手段に格納された紙種使用履歴に基づいて前記更新を行なう
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記パラメータは、
使用される紙種の比率に応じて予め複数設けられており、
前記パラメータ更新手段は、
前記紙種使用履歴に基づいて前記複数のパラメータの中からいずれかのパラメータを用いて前記更新を行なう
ことを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記パラメータ更新手段は、
前記原稿台に置かれた記録媒体の領域を特定する際に用いられるパラメータを更新する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、
前記第1の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて前記第2の読取動作で読み取られた画像データの下地除去処理、階調補正処理、色変換処理の少なくとも1つを実施する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1の読取動作は、プレスキャン動作であり、
前記第2の読取動作は、プレスキャン後のスキャン動作である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
画像読取装置における処理方法であって、
原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る第1の読取工程と、
前記第1の読取工程よりも高い解像度で前記読み取りを行なう第2の読取工程と、
前記読み取られた画像データを解析する画像処理工程と、
前記第2の読取工程で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取工程で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新工程と
を含み、
前記画像処理工程では、
前記パラメータ更新工程で更新されたパラメータを用いて前記第1の読取工程で読み取られた画像データを解析する
ことを特徴とする画像読取装置における処理方法。
【請求項8】
第1の読取動作と、該第1の読取動作に引き続いて該第1の読取動作よりも高い解像度で読み取りを行なう第2の読取動作とにより、原稿台を光学的に走査して記録媒体から画像データを読み取る読取手段を有する画像読取装置に内蔵されたコンピュータを、
前記読取手段により読み取られた画像データを解析する画像処理手段、
前記第2の読取動作で読み取られた画像データの解析結果に基づいて次回以降に前記第1の読取動作で読み取られる画像データの解析に用いるパラメータを更新するパラメータ更新手段
として機能させ、
前記画像処理手段は、
前記パラメータ更新手段により更新されたパラメータを用いて前記第1の読取動作で読み取られた画像データを解析する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−10839(P2010−10839A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165090(P2008−165090)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】