画像読取装置および画像形成装置
【課題】搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】デジタル複写機は、デジタル複写機内における温度環境の変化により、搬送駆動ローラ26A、30Aのローラ外径が膨張、収縮して、原稿の搬送速度が変化した場合に、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数とブラケット67の線膨張係数とを設定し、ねじの頭部の向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられる。
【解決手段】デジタル複写機は、デジタル複写機内における温度環境の変化により、搬送駆動ローラ26A、30Aのローラ外径が膨張、収縮して、原稿の搬送速度が変化した場合に、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数とブラケット67の線膨張係数とを設定し、ねじの頭部の向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単体のスキャナ装置および複写機やファクシミリ装置に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置およびこの画像読取装置を備えた複写機や複合機等の画像形成装置に関し、特に、原稿画像を主走査方向に分割された複数の読取手段によって読み取るようにした画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単独のスキャナ装置または、複写機、ファクシミリ装置に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置は、図16に示すように、原稿テーブル8に載置され、挿入方向に挿入された原稿を搬送する搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bと、コンタクトガラス4の下方から原稿の画像面を読み取るための読取センサ3(光源5、セルフォックレンズ6、電荷結合素子等の受光素子7を含む)とを備えている。
【0003】
ここで、搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外周部にはゴム層が設けられており、このゴム層は、周囲の温度変化によって収縮または膨張するので、温度変化により搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外径は変動することになる。
【0004】
また、読取センサ3の長手方向(原稿の幅方向)の長さは、図17(a)に示すように、読取対象の原稿9の最大幅を満たすように設定されていた。このような読取センサ3を備えることにより、簡単な構成および画像処理で、搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外径変動に影響されることなく、高品質の画像が得られる。
【0005】
ところで、読取センサの部品コストは、幅方向の長さに対して等比級数的に増大するので、図17(a)に示す1つの読取センサ3によって読取部を構成した場合には、画像読取装置のコストアップにつながってしまう。
【0006】
そこで、図17(b)に示すように、原稿9の最大幅よりも短い複数の読取センサ3a、3bを、所謂、千鳥状に2列に配した構成としているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ここで、図16に示す画像読取装置に、図17(b)に示す読取センサ3a、3bを適用した場合は、複数の読取センサ3a、3bにより異なるタイミングで取得され、それぞれアナログ処理、アナログ・デジタル変換等の処理がなされた複数のデジタル画像データを合成するための画像処理手段を設け、複数の画像が正常に繋がるように、複数の読取センサ3a、3bの位置精度を確保する必要がある。なお、複数の読取センサ3a、3bの位置精度は、部品精度、取付けの調整等で確保するようになっている。
【0008】
ところが、このような従来の画像読取装置では、原稿を読取位置に搬送する搬送駆動ローラ1a、2aの外径が温度変化によって変動するために、原稿の最大幅よりも短い複数の読取センサ3a、3bを千鳥状に配置した場合は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化に応じて原稿の送り速度も変化し、複数の読取センサ3a、3bで読み取られた画像の繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるという問題があった。
【0009】
ここで、前述した画像ずれの一例を図18に示す。図18(a)の画像9a(斜線で示す)は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化による影響がなく、複数の読取センサにより取得された画像データが正常に合成されたものである。
【0010】
図18(b)の画像9b(斜線で示す)は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化に応じて原稿の送り速度が変化した場合、前記画像処理手段により、複数の読取センサ3a、3bの搬送方向の距離Lに起因する遅延時間Tを見込んで画像合成したにも拘らず、画像繋ぎ部(図中、点線で示す)に搬送方向(副走査方向)の画像ずれが生じたものである。
【0011】
このように搬送駆動ローラ1a、1bの外径の変化に応じて原稿の送り速度が変化した場合に、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるのを防止するものとして、特許文献2に示すようなものが知られている。
【0012】
特許文献2に示すものは、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1のセンサと、第1のセンサよりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2のセンサと、原稿を第1のセンサおよび第2のセンサに搬送する搬送駆動ローラおよび搬送駆動ローラを回転させるように搬送駆動ローラが固定される芯金と、副走査方向における第1のセンサと第2のセンサとの設定間隔に応じて第1のセンサの出力信号を遅延する遅延手段と、遅延手段で遅延された第1のセンサの出力信号と第2のセンサの出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段と、搬送駆動ローラによる搬送速度の変化に応じて第1のセンサと第2のセンサとの間隔を調整する調整手段とを備えた画像読取装置を有している。
【0013】
この画像読取装置は、搬送駆動ローラの熱膨張・熱収縮による搬送速度の変化に応じて第1のセンサと第2のセンサとの間隔(設定間隔)が変化するので、遅延手段に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1のセンサにより読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2のセンサにより読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに搬送方向に画像ずれが生じることを回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の画像読取装置にあっては、搬送駆動ローラを芯金に固定する際に、芯金が撓むのを防止する工夫がされていなかった。
【0015】
具体的には、外周面が原稿に接触するように回転軸に複数の搬送駆動ローラを取付ける場合には、搬送駆動ローラの主走査方向に小径回転部を形成するとともに、この小径回転部にねじが挿通される貫通孔を形成する。
【0016】
また、回転軸の軸線方向と直交する一方の面にねじが螺合されるねじ穴を回転軸の軸線方向に離隔するように形成する。
そして、搬送駆動ローラを回転軸に取付ける場合には、回転軸に搬送駆動ローラを装着した後、回転軸の一方の面からねじを貫通孔に挿通して回転軸のねじ穴に螺合する。
【0017】
このようにして搬送駆動ローラを回転軸に取付けることにより、ねじの頭部が原稿に接触するように搬送駆動ローラの外周面から外方に突出するのを防止することができる。
【0018】
ところが、搬送駆動ローラを回転軸に取付ける際に、回転軸の一方の面からねじが取付けられることになるため、回転軸の一方の面にのみ締結力が加わることになる。
【0019】
このため、回転軸が回転中心から直交する方向に湾曲してしまい、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまう。したがって、回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまう分だけ、搬送駆動ローラの熱膨張・熱収縮による搬送速度の変化が大きくなってしまい、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるのを防止することができないおそれがある。
【0020】
特に、読取幅の大きいサイズの原稿を読み取る場合には、回転軸の長さを長くして多数の搬送駆動ローラを回転軸に取付ける必要があるため、長尺な回転軸の場合には、回転軸の撓みがより一層顕著なものとなってしまう。
【0021】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の画像読取装置は、上記目的を達成するため、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取手段と、原稿搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ、主走査方向に延在し、前記搬送駆動ローラが軸線方向に離隔して固定されて前記搬送駆動ローラを回転させる回転軸および前記搬送駆動ローラに連れ回りする搬送従動ローラを有し、原稿を前記第1の読取手段および前記第2の読取手段に搬送する搬送手段と、前記第1の読取手段および前記第2の読取手段が一定の間隔を維持するように前記第1の読取手段および前記第2の読取手段をそれぞれ固定する金属製の保持手段と、副走査方向における前記第1の読取手段と前記第2の読取手段との設定間隔に応じて前記第1の読取手段の出力信号を遅延する遅延手段と、前記遅延手段で遅延された前記第1の読取手段の出力信号と前記第2の読取手段の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段とを備え、温度環境の変化による前記搬送駆動ローラの外径の変化量と前記第1の読取手段および前記第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、前記搬送駆動ローラの線膨張係数と前記保持手段の線膨張係数とを設定した画像読取装置であって、前記回転軸が、前記回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、前記搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、前記大径回転部から主走査方向に突出し、前記大径回転部よりも小径の小径回転部と、前記小径回転部に形成され、前記ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、前記ねじの頭部の向きが前記回転軸の軸線方向に沿って前記回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、前記搬送駆動ローラが前記回転軸に取付けられるものから構成されている。
【0023】
この画像読取装置は、温度環境の変化による搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取手段および第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、搬送駆動ローラの線膨張係数と保持手段の線膨張係数とを設定したので、遅延手段に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1の読取手段により読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2の読取手段により読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに、原稿の搬送方向に画像ずれが生じることを回避できる。
【0024】
また、回転軸が、回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、大径回転部から主走査方向に突出し、大径回転部よりも小径の小径回転部と、小径回転部に形成され、ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、ねじの頭部の向きが回転軸の軸線方向に沿って回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラが回転軸に取付けられるため、搬送駆動ローラをねじによって回転軸に固定するときに、回転軸の一方の外周面と他方の外周面からねじの締結力を加えることができる。
【0025】
このため、回転軸が撓んでしまうのを防止することができ、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのを防止することができる。
【0026】
したがって、搬送手段による搬送速度の変化に応じた第1の読取手段と第2の読取手段との間隔のずれを、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。この結果、読取画像品質をより確実に維持することができる。
【0027】
また、回転軸の長さを長くして多数の搬送駆動ローラを回転軸に取付ける場合であっても、回転軸が撓むのを防止することができるため、読取幅の大きいサイズの原稿の読取画像品質もより確実に維持することができる。
【0028】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部の原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されるものから構成されている。
この画像読取装置は、大径回転部の原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されるので、大径回転部の外周部をコーティング層を介して原稿に高摩擦で接触させることができ、原稿を確実に搬送することができる。
【0029】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部は、前記コーティング層の焼き付け工程を経ても外径精度を維持する材料から構成される。
【0030】
この画像読取装置は、コーティング層と大径回転部との密着力を得ることができる。
【0031】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部が肉抜きされるものから構成されている。
この画像読取装置は、大径回転部が肉抜きされるので、搬送駆動ローラの軽量化を図ることができ、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んでしまうのを防止することができる。
【0032】
すなわち、多数の搬送駆動ローラを回転軸の軸線方向に固定する場合には、回転軸を両持ち支持すると、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んでしまうことが考えられる。
【0033】
本発明では、軽量な樹脂性の搬送駆動ローラの大径回転部を肉抜きすることで、搬送駆動ローラのより一層の軽量化を図ることができるため、回転軸が撓んでしまうのを確実に防止することができる。
【0034】
このため、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのをより確実に防止することができる。
【0035】
本発明の画像形成装置は、上記目的を達成するため、上述した画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取られ、合成された画像を所定の記録媒体に形成する画像形成手段とを備えたものから構成されている。
【0036】
この画像形成装置は、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置を有するので、画像読取装置によって読み取られた画像品質の高い画像を記録媒体に記録することができ、良好な記録画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、デジタル複写機の概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の要部斜視図である。
【図4】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、一方の搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の斜視図である。
【図5】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、(a)は、一方の搬送駆動ローラの斜視図、(b)は、一方の搬送駆動ローラの正面図、(c)は、一方の搬送駆動ローラの断面図である。
【図6】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、他方の搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の斜視図である。
【図7】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、(a)は、他方の搬送駆動ローラの斜視図、(b)は、他方の搬送駆動ローラの正面図、(c)は、他方の搬送駆動ローラの断面図である。
【図8】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、駆動軸の正面図である。
【図9】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の要部斜視図である。
【図10】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、第1の読取センサおよび第2の読取センサの構成を示す画像読取装置の要部平面図である。
【図11】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、第1の読取センサおよび第2の読取センサの構成を示す画像読取装置の要部側面図である。
【図12】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、デジタル複写機の回路構成を示す図である。
【図13】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、搬送駆動ローラの径が特定条件にあるとき、搬送駆動ローラと最適な組合せとなるEPDMゴムおよびウレタンゴムのそれぞれの温度と厚みの関係を示す図である。
【図14】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んだ状態を示す図である。
【図15】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、線膨張係数と、比重と、搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の撓み量と搬送駆動ローラを構成する材質との適正を示す図である。
【図16】従来の画像読取装置の概略構成図である。
【図17】従来の読取センサの構成を示す斜視図である。
【図18】従来の画像読取装置における画像ずれを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図15は、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をスキャナ装置等の画像読取装置を備えた広幅のデジタル複写機に適用した例を示している。
【0040】
なお、本実施の形態では本発明の画像形成装置がデジタル複写機である構成について説明するが、画像形成装置としては、ファクシミリ装置、ファクシミリ機能と複写機能を含んだ複合機等の画像形成装置であってもよい。
【0041】
まず、構成を説明する。
図1において、デジタル複写機21は、給紙装置22の上部に複写機本体23が設置されており、この複写機本体23の上部に画像読取装置としてのスキャナ装置24が設置され、全体としてデジタル複写機21を構成している。
【0042】
スキャナ装置24は、原稿載置台25上に画像面が下向きになるように載置された原稿を、搬送ローラ対26により1枚ずつ原稿搬送路27に対して給紙するようになっており、原稿搬送路27において第1の読取手段としての第1の読取センサ28および第2の読取手段としての第2の読取センサ29により、原稿の画像が読み取られる。
【0043】
画像の読取りが終了した原稿は、搬送ローラ対30により排紙トレイ31、32のいずれかに排紙されるようになっている。なお、搬送ローラ対26、30は、搬送手段を構成している。
【0044】
複写機本体23は、作像部33、定着部34、排紙部35を具備しており、後述する第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により読み取られた画像信号を画像処理し、処理された画像信号に基づいて動作するLED書込装置36により、表面が均一に帯電された感光体37上に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像部38によってトナー現像して顕像化するようになっている。
【0045】
感光体37に形成されたトナー像は、転写部39において、給紙装置22から給送され、かつレジストローラ40によって作像タイミングとの同期が取られて給紙装置22から搬送される記録媒体に対して転写される。
【0046】
本実施の形態では、感光体37、現像部38、転写部39が作像部33を構成しており、この作像部33が画像形成手段を構成している。
【0047】
トナー像が転写された後の用紙は、分離部41により感光体37から分離されて搬送ベルト42で定着部34に導かれ、定着部34において加熱加圧されて定着処理が施される。
【0048】
定着後の記録媒体は、複数の排紙ローラ43、44からなる排紙部35によって、複写機本体23の上面あるいは複写機本体23の後方に設けられた排紙台45または排紙トレイ46に排出される。また、排紙部35において、記録媒体の排紙方向は、分岐爪47の回動により排紙台45または排紙トレイ46に切換られる。
【0049】
また、給紙装置22は、上下2段のロール紙トレイ48、49を有している。このロール紙トレイ48、49は、給紙装置22の本体から図1中、左方向に引き出し可能となっており、ロール紙トレイ48、49を引き出した状態でロール紙のセットやジャム処理を行うように構成されている。
【0050】
ロール紙トレイ48、49には、それぞれ2つずつロール紙50、51をセットすることができるようになっており、各ロール紙50、51に対する給紙ローラ52〜55がロール紙50、51の近傍に配設されている。
【0051】
各給紙ローラ52〜55により送り出された記録媒体は、図1中、左側(正面側)のトレイに設けられたロールカッターユニット56、57によって一定の長さに切断され、シート状の記録用紙として搬送ローラ58、59により複写機本体23に搬送される。
【0052】
図2において、搬送ローラ対26の上流には第1の原稿センサ63が設けられており、この第1の原稿センサ63は、原稿載置台25から挿入された原稿が、搬送駆動ローラ26Aおよび搬送駆動ローラ26Aに連れ回りする搬送従動ローラ26Bからなる搬送ローラ対26の原稿の搬送方向上流の所定位置に達したことを検知するものである。以下、原稿の搬送方向を単に搬送方向という。
【0053】
第2の原稿センサ64は、第1の原稿センサ63よりも副走査方向下流に設けられており、原稿載置台25から挿入された原稿が、搬送ローラ対26の搬送方向下流の所定位置に達したことを検知するものである。なお、副走査方向と原稿の搬送方向とは同一方向である。
【0054】
一方、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、スキャナ装置24の下部構造体24Bの一部を構成する支持台60に取付けられており、支持台60の上面にはコンタクトガラス61が取付けられている。
【0055】
また、図3に示すように、スキャナ装置24は、下部構造体24Bを開放および閉塞自在な上部構造体24Aを備えており、この上部構造体24Aに図3に示す圧板62が取付けられている。なお、図3は、下部構造体24Bから搬送駆動ローラ26A、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を覆う部材を取り外した状態を示している。
【0056】
圧板62は、搬送ローラ対26によって搬送されてきた原稿をコンタクトガラス61の読取位置に案内するとともに、画像読取りの白色基準として使用されるものである。
【0057】
支持台60には、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29等が収容されており、これらの第1の読取センサ28および第2の読取センサ29等の部品は、搬送される原稿をコンタクトガラス61の下方から読み取るようになっている。
【0058】
すなわち、第1の読取センサ28は、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取るようになっており、第2の読取センサ29は、第1の読取センサ28よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取るようになっている。本実施の形態では、図3に示すように、3つの第1の読取センサ28および2つの第2の読取センサ29が支持台60に千鳥状に取付けられている。
【0059】
なお、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、筐体28a、29a内に公知の光源(露光ランプ)と、セルフォックレンズアレイと、電荷結合素子(CCD)等によって構成された直線状のリニアセンサ部と含んだものから構成されている。
【0060】
一方、搬送駆動ローラ26Aは、原稿載置台25から挿入された原稿をコンタクトガラス61上の読取位置に搬送するように駆動回転するものであり、搬送駆動ローラ26Aは、下部構造体24Bに回転自在に設けられている。
【0061】
搬送従動ローラ26Bは、搬送駆動ローラ26Aと所定のニップ圧で接触して従動回転し、原稿載置台25から挿入された原稿をコンタクトガラス61上の読取位置に搬送するものであり、搬送従動ローラ26Bは、上部構造体24Aに設けられている。
【0062】
また、搬送ローラ対30は、読取り後の原稿をコンタクトガラス61上の読取位置から排紙位置に搬送するものであり、下部構造体24Bに設けられた搬送駆動ローラ30Aと、上部構造体24Aに設けられ、搬送駆動ローラ30Aと所定のニップ圧で接して従動回転して読取り後の原稿をコンタクトガラス61上の読取位置から排紙部に搬送する搬送従動ローラ30Bとを備えている。
【0063】
搬送ローラ対26の搬送駆動ローラ26Aは、図2、図4に示すように、金属製の回転軸65に取付けられており、回転軸65の軸線方向(主走査方向)に離隔して8個取付けられている。
【0064】
搬送駆動ローラ26Aは、PPS等の樹脂材料から構成されており、図5に示すように、搬送駆動ローラ26Aは、外周面が原稿と接する大径回転部26aと、大径回転部26aから主走査方向に突出し、大径回転部26aよりも小径の小径回転部26b、26cとを備えており、小径回転部26bには図4に示すねじ66が挿通される貫通孔26dが形成されている。なお、貫通孔26dは、小径回転部26cには形成されていない。
【0065】
また、搬送駆動ローラ26Aの回転中心部には貫通穴26eが形成されており、この貫通穴26eには回転軸65が挿通されるようになっている。
また、搬送駆動ローラ26Aは、切削等によって加工されており、切削加工時に大径回転部26aには肉抜き加工が施されている。
【0066】
また、搬送駆動ローラ30Aは、PPS等の樹脂材料から構成されており、搬送駆動ローラ30Aは、図6、図7に示すように、外周面が原稿と接する大径回転部30aと、大径回転部30aから主走査方向に突出し、大径回転部30aよりも小径の小径回転部30b、30cとを備えており、小径回転部30b、30cには図6に示すねじ66が挿通される貫通孔30dが形成されている。また、このねじ66は、頭部66aを有し、この頭部66aに工具を作用させることにより、ねじ止めされるものである。
【0067】
また、搬送駆動ローラ30Aの回転中心部には貫通穴30eが形成されており、この貫通穴30eには回転軸65が挿通されるようになっている。
【0068】
また、搬送駆動ローラ30Aは、切削等によって加工されており、切削加工時に大径回転部30aには肉抜き加工が施されている。
【0069】
また、図8に示すように、回転軸65にはねじ締結部としてのねじ穴65a、65bが形成されており、このねじ穴65a、65bは、回転軸65の軸線方向(主走査方向)に離隔し、回転軸65の軸線方向と直交する方向に貫通されている。
【0070】
したがって、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に取付ける場合には、貫通穴26eに回転軸65を挿通した後、貫通孔26dにねじ66を挿通し、このねじ66をねじ穴65a、65bに螺合させることにより、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に強固に固定することができる。
【0071】
また、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に取付ける場合には、貫通穴30eに回転軸65を挿通した後、貫通孔30dにねじ66を挿通し、このねじ66をねじ穴65a、65bに螺合させることにより、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に強固に固定することができる。
【0072】
また、搬送駆動ローラ26Aおよび搬送駆動ローラ30Aは、樹脂材料から構成されているため、ゴムと比較すると大径回転部26a、30aの外周面の摩擦抵抗が小さく、原稿の搬送力を確保しきれないおそれがある。
【0073】
本実施の形態では、大径回転部26a、30aの原稿と接触する外周面に摩擦抵抗の大きい別材料層のコーティング層26f、30fが設けられており、このコーティング層26f、30fとして摩擦抵抗の大きいウレタン材がコーティングされている。
【0074】
なお、このコーティング層26f、30fは、大径回転部26aとの密着力を確保するために、100℃以上の焼き付け工程によって大径回転部26a、30aにコーティングされている。このため、コーティング層26f、30fと大径回転部26a、30aとの密着力を得ることができる。
【0075】
本実施の形態では、コーティング層26f、30fがウレタンから構成されるため、100℃以上の焼き付け工程時に変形することなく、大径回転部26a、30aを切削で加工したときに得た外径精度を維持することができるように、搬送駆動ローラ26A、30AがPPS等の樹脂材料から構成されている。
【0076】
図9〜図11に示すように、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、鋼板からなるブラケット67によって支持台60に取付けられている。なお、ブラケット67は、保持手段を構成している。
【0077】
すなわち、ブラケット67は、第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aの主走査方向の両端部に設けられており、上端部に嵌合穴67aが形成されている。
【0078】
また、第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aには突起28b、29bが形成されており、突起28b、29bが嵌合穴67aに嵌合されることにより、筐体28a、29aが突起28b、29bを主走査方向の回転中心として回動するようにブラケット67に取付けられる。
【0079】
また、図2、図11に示すように支持台60にはピント調整ねじ68が螺合しており、このピント調整ねじ68は、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を下方から上方に押圧することにより、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の回動位置を調整して第1の読取センサ28および第2の読取センサ29とコンタクトガラス61との距離(ピント)を調整するようになっている。
【0080】
また、図9、図10に示すように第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aの主走査方向両端部には押圧ばね69、70が設けられており(図11では図示略)、この押圧ばね69、70は、筐体28a、29aの上端に当接して筐体28a、29aを下方に付勢することにより、筐体28a、29aをピント調整ねじ68aの上端に押圧している。
【0081】
このため、筐体28a、29aは、突起28b、29bを支点として回動することが規制されてブラケット67に固定される。
【0082】
また、筐体28a、29aの主走査方向の略中央部には押圧ばね71が設けられており、この押圧ばね71は、筐体28a、29aを副走査方向に押圧して筐体28a、29aを副走査方向に位置決めしている。
【0083】
このように第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、ブラケット67に保持されることにより、副走査方向に一定の間隔を介して支持台60に取付けられる。
【0084】
また、搬送従動ローラ26Bおよび搬送従動ローラ30Bは、回転軸65の外周に固定されたゴムローラから構成されている。
【0085】
また、デジタル複写機21の温度環境の変化による搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数と、ブラケット67の線膨張係数とが設定されている。
【0086】
具体的には、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aおよび小径回転部26b、26c、30b、30cを金属材料の線膨張係数に近いPPSから構成し、ブラケット67を構成する金属をPPSの線膨張係数に近い材料から選定する。
【0087】
このように、搬送駆動ローラ26A、30Aとブラケット67との線膨張係数を設定することにより、温度環境の変化による搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一とすることで、搬送駆動ローラ26A、30Aによる原稿の搬送速度が変化した場合でも、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを、従来の技術に比べて殆ど目立たなくすることができる。
【0088】
また、大径回転部26a、30aの外周面に設けられたコーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数は、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができるものに設定されている。
【0089】
具体的には、コーティング層26f、30fの厚みが薄いと耐磨耗性が低下するおそれがある。また、コーティング層26f、30fの厚みが厚いと、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径がコーティング層26f、30fを加えた分だけより大きく変化してしまい、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが大きく異なってしまうことになり、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれが目立ってしまうおそれがある。
【0090】
このため、本実施の形態では、大径回転部26a、30aの外周面に設けられたコーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数は、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができるものに設定している。
【0091】
なお、搬送従動ローラ26B、30Bは、搬送駆動ローラ26A、30Aに連れ回りするものであるため、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径が変化しても原稿の搬送速度の変化に与える影響は小さいものとなるため、搬送駆動ローラ26B、30Bの線膨張係数をブラケット67の線膨張係数に対して考慮する必要はない。
【0092】
次に、図12に基づいてデジタル複写機21の回路構成を説明する。
図12において、制御部80は、CPU、メモリ(ROM/RAM、不揮発性メモリ等)、入出力部(I/O)、インタフェース部等からなり、操作表示部81からのモード設定信号や第1の原稿センサ63、第2の原稿センサ64等からの検出信号が入力され、その情報に基づいてON/OFF制御のための切換信号やクロック信号を出力するようになっている。
【0093】
こうして、制御部80は、同期信号発生回路82、85(画像合成手段に含まれる)、遅延回路88(遅延手段に含まれる)、画像処理回路89(画像合成手段に含まれる)の制御、ステッピングモータ駆動回路90を介してのステッピングモータ91の起動制御、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の光源92の点滅制御、フィードクラッチ(CL)93および排出クラッチ(CL)94の切換制御等を実行する。
【0094】
このような制御により、本実施の形態のデジタル複写機21は、予め設定された速度で原稿の搬送動作、読取動作を含む各動作を行うことになる。
【0095】
また、同期信号発生回路82は、第1の読取センサ28、アナログ処理回路83(画像合成手段に含まれる)、A/D変換回路84(画像合成手段に含まれる)にクロック、アドレス等の信号を供給する。
【0096】
また、同期信号発生回路85は、第2の読取センサ29、アナログ処理回路86(画像合成手段に含まれる)、A/D変換回路87(画像合成手段に含まれる)にクロック、アドレス等の信号を供給する。
【0097】
また、アナログ処理回路83は、第1の読取センサ28からのアナログ画像信号(出力信号に含まれる)のレベルを調整し、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)を行う機能を有する。
【0098】
また、アナログ処理回路86は、第2の読取センサ29からのアナログ画像信号(出力信号に含まれる)のレベルを調整し、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)を行う機能を有する。
【0099】
また、A/D変換回路84、87は、それぞれアナログ処理回路83、86からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号(256階調)に変換する。
【0100】
なお、図示しないオート・ゲイン・コントロール(AGC)回路は、原稿が圧板62の下になく、圧板62が白部にセットされているとき、A/D変換回路84、87の出力の主走査方向での最大値が予め決められた値(例えば、220)になるよう、AGC増幅を制御する。
【0101】
また、AGC動作は、画像読取装置を起動するメインスイッチ(SW)ON時のタイミングで実施してもよい。
また、図示しないシェーディング補正回路は、光源92の光量の主走査方向の分布バラツキや第1の読取センサ28、第2の読取センサ29を構成する電荷結合素子(CCD)からA/D変換回路84、87の出力までの特性に起因する主走査方向の画像信号のバラツキを補正する。
【0102】
遅延回路88は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との副走査方向の間隔(図18に示した距離Lに相当する)に起因する搬送方向の画像ずれを補正するために、1ラインごとに第1の読取センサ28で取得されてA/D変換回路84により変換されたデジタル画像信号(出力信号に含まれる)を、遅延回路88のメモリに一時保持する。これにより、前記デジタル画像信号を予め設定された遅延時間T(図18に示す)に応じて遅延させるものである。
【0103】
画像処理回路89には、1ラインごとに、遅延回路88からのデジタル画像信号と、A/D変換回路87からのデジタル画像信号とを合成する合成回路部(画像合成手段に含まれる)を有する。
【0104】
また、画像処理回路89は、前記合成回路部で順次取得された1ライン分のデジタル画像信号からデジタル画像データを生成し、原稿の全体画像を取得するものである。なお、前記合成回路部を含む合成回路を独立に設け、この合成回路の下流後段に画像処理回路を設けてもよい。
【0105】
また、フィードクラッチ93は、搬送駆動ローラ26Aとステッピングモータ91を連結する。 そして、フィードクラッチ93がONの場合のみ、ステッピングモータ91の回転動力を伝達することになる。
【0106】
また、排出クラッチ94は、搬送駆動ローラ30Aとステッピングモータ91とを連結する。そして、排出クラッチ94がONの場合のみ、ステッピングモータ91の回転動力を伝達することになる。
【0107】
また、操作表示部81には、図示しないスタート/ストップキー、テンキー、ファンクションキー、Yes/Noキー、カーソルキー等のキー群、LCD、LED等の表示器、音声出力装置等を備え、モード設定機能、動作開始指示機能等を有する。
次に、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に組み付ける方法を説明する。なお、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に付ける方法は、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に組み付ける方法と同一であるため、説明を省略する。
【0108】
搬送駆動ローラ26Aをねじ66によって回転軸65に固定するときには、まず、貫通穴26eを通して複数(8個)の搬送駆動ローラ26Aに回転軸65を挿通する。このとき、搬送駆動ローラ26Aの貫通孔26dの向きが回転軸65の軸線方向と直交する一方側と他方側とが交互になるようにする。
【0109】
その後、小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する一方側からねじ66を挿通してねじ穴65aにねじ66を締結し、次いで、この締結された搬送駆動ローラ26Aに隣接する搬送駆動ローラ26Aの小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する他方側からねじ66を挿通してねじ穴65bにねじ66を締結する。
【0110】
次いで、回転軸65にねじ66によって締結された当該搬送駆動ローラ26Aに隣接する搬送駆動ローラ26Aの小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する一方側からねじ66を挿通してねじ穴65aにねじ66を締結する。このねじ止め作業を回転軸65の軸線方向に対して回転軸65の軸線方向と直交する一方側と他方側から交互に行うことにより、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に取付ける。
【0111】
この結果、ねじ66の頭部66aの向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられる。
【0112】
次に、本実施の形態の画像読取時の原稿の搬送動作を説明する。
1枚の原稿が原稿載置台25で挿入および搬送方向(図1、図2中、右方向)に向かって挿入されると、第1の原稿センサ63が原稿の先端を検知してONとなる。
【0113】
ここで、原稿先端を搬送ローラ対26に対して突き当てるための所定時間が経過すると、制御部80の制御でステッピングモータ91を正転駆動し、フィードクラッチ93をONして搬送駆動ローラ26Aに駆動力を伝達する。こうして、搬送駆動ローラ26Aは、搬送方向に回転駆動される。
【0114】
次いで、第2の原稿センサ64が原稿先端を検知すると、ステッピングモータ91の駆動に合わせて、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の光源92を点灯すると共に、排出クラッチ94がONして搬送ローラ対30に駆動力を伝達し、搬送駆動ローラ30Aおよび搬送従動ローラ30Bを搬送方向に回転駆動させる。
【0115】
このような原稿の搬送過程で、コンタクトガラス61、圧板62に挟まれた部分で、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により、原稿画像が副走査方向に分割されて読み取られる。 この後、原稿読取りが終了すると光源92をOFFする。
【0116】
また、原稿が搬送ローラ対26を通過するタイミングで、フィードクラッチ93はOFFされる。
次いで、読取り後の原稿後端が第2の原稿センサ64で検知され、その読取り後の原稿の後端が搬送ローラ対30を通過する直前に、ステッピングモータ91、排出クラッチ94をOFFする。
【0117】
こうして搬送ローラ対30の回転を停止することにより、原稿後端を搬送ローラ対30で挟んだ状態を保持する。
こうして原稿読取工程の搬送動作を終了し、待機状態となる。
【0118】
さらに、前述した原稿読取工程において、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により読み取られた原稿画像に対する画像処理を説明する。
【0119】
第1の読取センサ28で1ラインごとに読み取られた原稿の画像は、アナログ画像信号としてアナログ処理回路83に入力される。
次いで、アナログ処理回路83は、第1の読取センサ28からのアナログ画像信号のレベルを調整して、サンプルホールド、可変ゲインの増幅に(AGC)等の処理を施し、処理後のアナログ画像信号をA/D変換回路84に送出する。
【0120】
次いで、A/D変換回路84は、アナログ処理回路83からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号に変換し、遅延回路88に送出する。
遅延回路88は、A/D変換回路84からのデジタル画像信号を遅延回路88のメモリに保持し、遅延時間Tの経過後に前記デジタル画像信号を画像処理回路89に送出する。
【0121】
なお、遅延時間Tは、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との間隔に応じ、遅延回路88およびA/D変換回路87からのデジタル画像信号が同期して画像処理回路89に入力されるように設定されている。
【0122】
本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aの外径が周囲の温度環境により変化したときに、ブラケット67の原稿の搬送方向の長さも変化するので、遅延時間Tの設定を大径回転部26a、30aの外径の変化に合わせて大幅に変更する必要はなくなる。
【0123】
一方、第1の読取センサ28よりも搬送方向下流で、第2の読取センサ29により1ラインごとに読み取られた原稿の画像は、アナログ画像信号としてアナログ処理回路86に入力される。
【0124】
次いで、アナログ処理回路86は、第2の読取センサ29からのアナログ画像信号のレベルを調整して、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)等の処理を施し、処理後のアナログ画像信号をA/D変換回路87に送出する。
次いで、A/D変換回路87は、アナログ処理回路86からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号に変換し、画像処理回路89に送出する。
【0125】
次いで、画像処理回路89は、遅延回路88およびA/D変換回路87からのデジタル画像信号が1ライン分ずつ同期して入力されると、それぞれのデジタル画像信号から1ライン分のデジタル画像データを順次、前記合成回路部にて合成し、さらに1ライン分のデジタル画像データを複数ライン分、合わせて原稿のデジタル画像データを生成する。この生成されたデジタル画像データは、図示しない記憶装置に記憶される。
【0126】
以上のように、本実施の形態のデジタル複写機21は、原稿を主走査方向に分割したときの原稿の一部領域を読み取る第1の読取センサ28と、第1の読取センサ28よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取センサ29と、原稿の搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ26A、30A、主走査方向に延在し、搬送駆動ローラ26A、30Aが軸線方向に離隔して固定されて搬送駆動ローラ26Aを回転させる回転軸65および搬送駆動ローラ26A、30Aに接触して連れ回りする搬送従動ローラ26B、30Bを有し、原稿を第1の読取センサ28および第2の読取センサ29に搬送する搬送手段と、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29が一定の間隔を維持するように第1の読取センサ28および第2の読取センサ29をそれぞれ固定するブラケット67と、副走査方向における第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との設定間隔に応じて第1の読取センサ28の出力信号を遅延する遅延回路88と、遅延回路88で遅延された第1の読取センサ28の出力信号と第2の読取センサ29の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像処理回路89と、デジタル複写機21内における温度環境の変化により、搬送駆動ローラ26A、30Aのローラ外径が膨張、収縮して、原稿の搬送速度が変化した場合に、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数とブラケット67の線膨張係数とを設定した。
【0127】
このため、搬送駆動ローラ26A、30Aによる搬送速度の変化に応じて第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との設定間隔を変化させることができる。
【0128】
したがって、遅延回路88に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1の読取センサ28により読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2の読取センサ29により読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに搬送方向の画像ずれが生じることを回避できる。
【0129】
また、本実施の形態では、ねじ66の頭部66aの向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられるので、搬送駆動ローラ26A、30Aをねじ66によって回転軸65に固定するときに、回転軸65の一方の外周面と他方の外周面からねじの締結力を加えることができる。
【0130】
このため、回転軸65が撓んでしまうのを防止することができ、回転軸65の回転時に回転軸65が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのを防止することができる。
【0131】
したがって、搬送ローラ対26、30による搬送速度の変化に応じた第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との間隔のずれを、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。この結果、読取画像品質をより確実に維持することができる。
【0132】
また、回転軸65の長さを長くして多数の搬送駆動ローラ26A、30Aを回転軸65に取付ける場合であっても、回転軸65が撓むのを防止することができるため、読取幅の大きいサイズの原稿の読取画像品質もより確実に維持することができる。
【0133】
また、本実施の形態では、大径回転部26a、30aの原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層26f、30fを形成したので、大径回転部26a、30aの外周部をコーティング層26f、30fを介して原稿に高摩擦で接触させることができ、原稿を確実に搬送することができる。
【0134】
ここで、コーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数と大径回転部26a、30aの径と線膨張係数との最適な組合せについて説明する。
【0135】
搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aの外径をφ32とし、大径回転部26a、30aの樹脂材料の線膨張係数を0.000020/degとした場合に、摩擦抵抗の大きいコーティング層26f、30fを図13に示すように、EPDMゴムまたはウレタンゴムを用いたものを考える。
【0136】
図13では、温度変化とEPDMゴムまたはウレタンゴムの厚みとの関係を示す図であり、「○」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが5μm以下、「△」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが10μm以下(約1/4dot)、「×」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが20μm以下(約1/2dot)、「××」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが40μm以下(約1dot)、「×××」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが40μm以上であることを示している。
【0137】
PPSからなる搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを径φ32、大径回転部26a、30aの線膨張係数=0.000020/deg、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の副走査方向の間隔を27mm、コーティング層26f、30fの厚さを0.03mm、鋼板からなるブラケット67の線膨張係数を0.0000117/degとしたときに、デジタル複写機21内の温度変化が20degであった場合を考える。
【0138】
このとき、搬送駆動ローラ26A、30Aは、熱膨張して約10.8μmだけ副走査方向に径が変動し、ブラケット67が熱膨張することにより、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔が6.3μm変動することになる。
【0139】
この場合、解像度600dpi(1ドット42.3μm)で原稿を読み取ると、搬送方向の画像ずれ量は「10.8μm−6.3μm=4.5μm」に軽減され、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれは、目立たないものになる。
【0140】
したがって、上述したように大径回転部26a、30aの径および線膨張係数を考慮すると、図13に示すように、コーティング層26f、30fの厚みが0.05mm以下であれば、デジタル複写機21の温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができる。
【0141】
このようにコーティング層26f、30fの厚みは、大径回転部26a、30aの径および線膨張係数を考慮して最適な厚みに設定することが好ましいのである。
【0142】
また、本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを肉抜きしたので、搬送駆動ローラ26A、30Aのより一層の軽量化を図ることができ、搬送駆動ローラ26A、30Aの自重によって回転軸65が撓んでしまうのを防止することができる。
【0143】
すなわち、多数の搬送駆動ローラ26Aを回転軸65の軸線方向に固定する場合には、図14に示すように、搬送駆動ローラ26Aを下部構造体24Bに両持ち支持すると、搬送駆動ローラ26Aの自重によって回転軸65が撓んでしまうことが考えられる。
【0144】
ここで、図15に示すように、搬送駆動ローラの材料をそれぞれ黄銅、樹脂、ゴムとしたときの線膨張係数、比重、搬送駆動ローラを回転軸65に取付けた組立体の回転軸65の撓み量(回転軸65の両端と回転軸65の軸線方向中心部との高さ)を示す。なお、図15の「◎」は最適、「○」は良好、「×」は不可を示している。
【0145】
図15に示すように、線膨張係数に関しては、鋼板から構成されるブラケット67の線膨張係数に対して黄銅および樹脂の線膨張係数が略同等であるため、黄銅または樹脂を用いた搬送駆動ローラは、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一にすることができるため、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。
【0146】
これに対して、ゴムの線膨張係数は、鋼板に対して一桁大きいため、従来のようにゴム用いた搬送駆動ローラは、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが大きく異なってしまい、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じてしまうことになる。
【0147】
一方、黄銅からなる搬送駆動ローラは、樹脂またはゴムからなる搬送駆動ローラに比べて比重が4倍〜8倍程度、大きいため、回転軸65に取付けたときに回転軸65が撓んでしまう(撓み量が約8mm)。
【0148】
これに対して、樹脂またはゴムからなる搬送駆動ローラは、黄銅からなる搬送駆動ローラに比べて比重が4倍〜8倍程度、小さいため、回転軸65に取付けたときに回転軸65が撓むのを抑制することができる(撓み量、約3mm)。
【0149】
ところが、ゴムからなる搬送駆動ローラは、軽量化を図ることができるが、上述したように搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量が大きく異なってしまうおそれがある。
【0150】
したがって、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一にすること、および回転軸65の撓みが発生しないようにすることの両立を図ることができるようにするためには、本実施の形態で示すように、搬送駆動ローラを樹脂から構成することが好ましい。
【0151】
これに加えて、本実施の形態では、軽量な樹脂性の搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを肉抜きすることで、搬送駆動ローラ26A、30Aのより一層の軽量化を図ることができるため、回転軸65が撓んでしまうのを確実に防止することができる。
【0152】
このため、回転軸65の回転時に回転軸65が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのをより確実に防止することができる。
【0153】
また、搬送駆動ローラ26A、30Aを樹脂から構成することにより、切削加工性を良好にすることができるとともに、材料費を金属と比較して低減することができる。
【0154】
また、本実施の形態では、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により原稿を主走査方向に分割して読み取るために、原稿の最大幅よりも短い第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を千鳥状に配置するので、原稿の最大幅分の読取手段を1つ用いる場合に比べ、部品コストを低減できる。
【0155】
また、本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30AをPPSから構成しているが、ブラケット67を構成する金属材料と線膨張係数が近い材料であれば、その他の樹脂を用いてもよい。
【0156】
また、ねじ穴65a、65bは、回転軸65の軸線方向と直交する方向に貫通された貫通孔から構成されているが、回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面に形成された所定の深さの穴と、回転軸65の軸線方向と直交する他方の外周面に形成された所定の深さの穴とから構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置は、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができるという効果を有し、原稿画像を主走査方向に分割された複数の読取手段によって読み取るようにした画像読取装置および画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0158】
21 デジタル複写機(画像形成装置)
24 スキャナ装置(画像読取装置)
26、30 搬送ローラ対(搬送手段)
26A、30A 搬送駆動ローラ
26B、30B 排紙従動ローラ
26a、30a 大径回転部
26b、26c、30b、30c 小径回転部
26d、30d 貫通孔
26f、30f コーティング層
33 作像部(画像形成手段)
65 回転軸
65a、65b ねじ穴(ねじ締結部)
67 ブラケット(保持手段)
82、85 同期信号発生回路(画像合成手段)
83、86 アナログ処理回路(画像合成手段)
84、87 A/D変換回路(画像合成手段)
88 遅延回路(遅延手段)
89 画像処理回路(画像合成手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【特許文献1】特開昭59−105762号公報
【特許文献2】特許第3756474号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、単体のスキャナ装置および複写機やファクシミリ装置に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置およびこの画像読取装置を備えた複写機や複合機等の画像形成装置に関し、特に、原稿画像を主走査方向に分割された複数の読取手段によって読み取るようにした画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単独のスキャナ装置または、複写機、ファクシミリ装置に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置は、図16に示すように、原稿テーブル8に載置され、挿入方向に挿入された原稿を搬送する搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bと、コンタクトガラス4の下方から原稿の画像面を読み取るための読取センサ3(光源5、セルフォックレンズ6、電荷結合素子等の受光素子7を含む)とを備えている。
【0003】
ここで、搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外周部にはゴム層が設けられており、このゴム層は、周囲の温度変化によって収縮または膨張するので、温度変化により搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外径は変動することになる。
【0004】
また、読取センサ3の長手方向(原稿の幅方向)の長さは、図17(a)に示すように、読取対象の原稿9の最大幅を満たすように設定されていた。このような読取センサ3を備えることにより、簡単な構成および画像処理で、搬送駆動ローラ1aおよび搬送従動ローラ1bと、搬送駆動ローラ2aおよび搬送従動ローラ2bとの外径変動に影響されることなく、高品質の画像が得られる。
【0005】
ところで、読取センサの部品コストは、幅方向の長さに対して等比級数的に増大するので、図17(a)に示す1つの読取センサ3によって読取部を構成した場合には、画像読取装置のコストアップにつながってしまう。
【0006】
そこで、図17(b)に示すように、原稿9の最大幅よりも短い複数の読取センサ3a、3bを、所謂、千鳥状に2列に配した構成としているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ここで、図16に示す画像読取装置に、図17(b)に示す読取センサ3a、3bを適用した場合は、複数の読取センサ3a、3bにより異なるタイミングで取得され、それぞれアナログ処理、アナログ・デジタル変換等の処理がなされた複数のデジタル画像データを合成するための画像処理手段を設け、複数の画像が正常に繋がるように、複数の読取センサ3a、3bの位置精度を確保する必要がある。なお、複数の読取センサ3a、3bの位置精度は、部品精度、取付けの調整等で確保するようになっている。
【0008】
ところが、このような従来の画像読取装置では、原稿を読取位置に搬送する搬送駆動ローラ1a、2aの外径が温度変化によって変動するために、原稿の最大幅よりも短い複数の読取センサ3a、3bを千鳥状に配置した場合は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化に応じて原稿の送り速度も変化し、複数の読取センサ3a、3bで読み取られた画像の繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるという問題があった。
【0009】
ここで、前述した画像ずれの一例を図18に示す。図18(a)の画像9a(斜線で示す)は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化による影響がなく、複数の読取センサにより取得された画像データが正常に合成されたものである。
【0010】
図18(b)の画像9b(斜線で示す)は、搬送駆動ローラ1a、2aの外径の変化に応じて原稿の送り速度が変化した場合、前記画像処理手段により、複数の読取センサ3a、3bの搬送方向の距離Lに起因する遅延時間Tを見込んで画像合成したにも拘らず、画像繋ぎ部(図中、点線で示す)に搬送方向(副走査方向)の画像ずれが生じたものである。
【0011】
このように搬送駆動ローラ1a、1bの外径の変化に応じて原稿の送り速度が変化した場合に、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるのを防止するものとして、特許文献2に示すようなものが知られている。
【0012】
特許文献2に示すものは、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1のセンサと、第1のセンサよりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2のセンサと、原稿を第1のセンサおよび第2のセンサに搬送する搬送駆動ローラおよび搬送駆動ローラを回転させるように搬送駆動ローラが固定される芯金と、副走査方向における第1のセンサと第2のセンサとの設定間隔に応じて第1のセンサの出力信号を遅延する遅延手段と、遅延手段で遅延された第1のセンサの出力信号と第2のセンサの出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段と、搬送駆動ローラによる搬送速度の変化に応じて第1のセンサと第2のセンサとの間隔を調整する調整手段とを備えた画像読取装置を有している。
【0013】
この画像読取装置は、搬送駆動ローラの熱膨張・熱収縮による搬送速度の変化に応じて第1のセンサと第2のセンサとの間隔(設定間隔)が変化するので、遅延手段に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1のセンサにより読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2のセンサにより読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに搬送方向に画像ずれが生じることを回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の画像読取装置にあっては、搬送駆動ローラを芯金に固定する際に、芯金が撓むのを防止する工夫がされていなかった。
【0015】
具体的には、外周面が原稿に接触するように回転軸に複数の搬送駆動ローラを取付ける場合には、搬送駆動ローラの主走査方向に小径回転部を形成するとともに、この小径回転部にねじが挿通される貫通孔を形成する。
【0016】
また、回転軸の軸線方向と直交する一方の面にねじが螺合されるねじ穴を回転軸の軸線方向に離隔するように形成する。
そして、搬送駆動ローラを回転軸に取付ける場合には、回転軸に搬送駆動ローラを装着した後、回転軸の一方の面からねじを貫通孔に挿通して回転軸のねじ穴に螺合する。
【0017】
このようにして搬送駆動ローラを回転軸に取付けることにより、ねじの頭部が原稿に接触するように搬送駆動ローラの外周面から外方に突出するのを防止することができる。
【0018】
ところが、搬送駆動ローラを回転軸に取付ける際に、回転軸の一方の面からねじが取付けられることになるため、回転軸の一方の面にのみ締結力が加わることになる。
【0019】
このため、回転軸が回転中心から直交する方向に湾曲してしまい、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまう。したがって、回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまう分だけ、搬送駆動ローラの熱膨張・熱収縮による搬送速度の変化が大きくなってしまい、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じるのを防止することができないおそれがある。
【0020】
特に、読取幅の大きいサイズの原稿を読み取る場合には、回転軸の長さを長くして多数の搬送駆動ローラを回転軸に取付ける必要があるため、長尺な回転軸の場合には、回転軸の撓みがより一層顕著なものとなってしまう。
【0021】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の画像読取装置は、上記目的を達成するため、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取手段と、原稿搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ、主走査方向に延在し、前記搬送駆動ローラが軸線方向に離隔して固定されて前記搬送駆動ローラを回転させる回転軸および前記搬送駆動ローラに連れ回りする搬送従動ローラを有し、原稿を前記第1の読取手段および前記第2の読取手段に搬送する搬送手段と、前記第1の読取手段および前記第2の読取手段が一定の間隔を維持するように前記第1の読取手段および前記第2の読取手段をそれぞれ固定する金属製の保持手段と、副走査方向における前記第1の読取手段と前記第2の読取手段との設定間隔に応じて前記第1の読取手段の出力信号を遅延する遅延手段と、前記遅延手段で遅延された前記第1の読取手段の出力信号と前記第2の読取手段の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段とを備え、温度環境の変化による前記搬送駆動ローラの外径の変化量と前記第1の読取手段および前記第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、前記搬送駆動ローラの線膨張係数と前記保持手段の線膨張係数とを設定した画像読取装置であって、前記回転軸が、前記回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、前記搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、前記大径回転部から主走査方向に突出し、前記大径回転部よりも小径の小径回転部と、前記小径回転部に形成され、前記ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、前記ねじの頭部の向きが前記回転軸の軸線方向に沿って前記回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、前記搬送駆動ローラが前記回転軸に取付けられるものから構成されている。
【0023】
この画像読取装置は、温度環境の変化による搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取手段および第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、搬送駆動ローラの線膨張係数と保持手段の線膨張係数とを設定したので、遅延手段に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1の読取手段により読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2の読取手段により読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに、原稿の搬送方向に画像ずれが生じることを回避できる。
【0024】
また、回転軸が、回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、大径回転部から主走査方向に突出し、大径回転部よりも小径の小径回転部と、小径回転部に形成され、ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、ねじの頭部の向きが回転軸の軸線方向に沿って回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラが回転軸に取付けられるため、搬送駆動ローラをねじによって回転軸に固定するときに、回転軸の一方の外周面と他方の外周面からねじの締結力を加えることができる。
【0025】
このため、回転軸が撓んでしまうのを防止することができ、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのを防止することができる。
【0026】
したがって、搬送手段による搬送速度の変化に応じた第1の読取手段と第2の読取手段との間隔のずれを、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。この結果、読取画像品質をより確実に維持することができる。
【0027】
また、回転軸の長さを長くして多数の搬送駆動ローラを回転軸に取付ける場合であっても、回転軸が撓むのを防止することができるため、読取幅の大きいサイズの原稿の読取画像品質もより確実に維持することができる。
【0028】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部の原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されるものから構成されている。
この画像読取装置は、大径回転部の原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されるので、大径回転部の外周部をコーティング層を介して原稿に高摩擦で接触させることができ、原稿を確実に搬送することができる。
【0029】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部は、前記コーティング層の焼き付け工程を経ても外径精度を維持する材料から構成される。
【0030】
この画像読取装置は、コーティング層と大径回転部との密着力を得ることができる。
【0031】
また、本発明の画像読取装置は、前記大径回転部が肉抜きされるものから構成されている。
この画像読取装置は、大径回転部が肉抜きされるので、搬送駆動ローラの軽量化を図ることができ、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んでしまうのを防止することができる。
【0032】
すなわち、多数の搬送駆動ローラを回転軸の軸線方向に固定する場合には、回転軸を両持ち支持すると、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んでしまうことが考えられる。
【0033】
本発明では、軽量な樹脂性の搬送駆動ローラの大径回転部を肉抜きすることで、搬送駆動ローラのより一層の軽量化を図ることができるため、回転軸が撓んでしまうのを確実に防止することができる。
【0034】
このため、回転軸の回転時に回転軸が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのをより確実に防止することができる。
【0035】
本発明の画像形成装置は、上記目的を達成するため、上述した画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取られ、合成された画像を所定の記録媒体に形成する画像形成手段とを備えたものから構成されている。
【0036】
この画像形成装置は、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置を有するので、画像読取装置によって読み取られた画像品質の高い画像を記録媒体に記録することができ、良好な記録画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、デジタル複写機の概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の要部斜視図である。
【図4】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、一方の搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の斜視図である。
【図5】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、(a)は、一方の搬送駆動ローラの斜視図、(b)は、一方の搬送駆動ローラの正面図、(c)は、一方の搬送駆動ローラの断面図である。
【図6】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、他方の搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の斜視図である。
【図7】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、(a)は、他方の搬送駆動ローラの斜視図、(b)は、他方の搬送駆動ローラの正面図、(c)は、他方の搬送駆動ローラの断面図である。
【図8】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、駆動軸の正面図である。
【図9】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像読取装置の要部斜視図である。
【図10】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、第1の読取センサおよび第2の読取センサの構成を示す画像読取装置の要部平面図である。
【図11】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、第1の読取センサおよび第2の読取センサの構成を示す画像読取装置の要部側面図である。
【図12】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、デジタル複写機の回路構成を示す図である。
【図13】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、搬送駆動ローラの径が特定条件にあるとき、搬送駆動ローラと最適な組合せとなるEPDMゴムおよびウレタンゴムのそれぞれの温度と厚みの関係を示す図である。
【図14】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、搬送駆動ローラの自重によって回転軸が撓んだ状態を示す図である。
【図15】本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、線膨張係数と、比重と、搬送駆動ローラおよび駆動軸の組立体の撓み量と搬送駆動ローラを構成する材質との適正を示す図である。
【図16】従来の画像読取装置の概略構成図である。
【図17】従来の読取センサの構成を示す斜視図である。
【図18】従来の画像読取装置における画像ずれを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図15は、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をスキャナ装置等の画像読取装置を備えた広幅のデジタル複写機に適用した例を示している。
【0040】
なお、本実施の形態では本発明の画像形成装置がデジタル複写機である構成について説明するが、画像形成装置としては、ファクシミリ装置、ファクシミリ機能と複写機能を含んだ複合機等の画像形成装置であってもよい。
【0041】
まず、構成を説明する。
図1において、デジタル複写機21は、給紙装置22の上部に複写機本体23が設置されており、この複写機本体23の上部に画像読取装置としてのスキャナ装置24が設置され、全体としてデジタル複写機21を構成している。
【0042】
スキャナ装置24は、原稿載置台25上に画像面が下向きになるように載置された原稿を、搬送ローラ対26により1枚ずつ原稿搬送路27に対して給紙するようになっており、原稿搬送路27において第1の読取手段としての第1の読取センサ28および第2の読取手段としての第2の読取センサ29により、原稿の画像が読み取られる。
【0043】
画像の読取りが終了した原稿は、搬送ローラ対30により排紙トレイ31、32のいずれかに排紙されるようになっている。なお、搬送ローラ対26、30は、搬送手段を構成している。
【0044】
複写機本体23は、作像部33、定着部34、排紙部35を具備しており、後述する第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により読み取られた画像信号を画像処理し、処理された画像信号に基づいて動作するLED書込装置36により、表面が均一に帯電された感光体37上に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像部38によってトナー現像して顕像化するようになっている。
【0045】
感光体37に形成されたトナー像は、転写部39において、給紙装置22から給送され、かつレジストローラ40によって作像タイミングとの同期が取られて給紙装置22から搬送される記録媒体に対して転写される。
【0046】
本実施の形態では、感光体37、現像部38、転写部39が作像部33を構成しており、この作像部33が画像形成手段を構成している。
【0047】
トナー像が転写された後の用紙は、分離部41により感光体37から分離されて搬送ベルト42で定着部34に導かれ、定着部34において加熱加圧されて定着処理が施される。
【0048】
定着後の記録媒体は、複数の排紙ローラ43、44からなる排紙部35によって、複写機本体23の上面あるいは複写機本体23の後方に設けられた排紙台45または排紙トレイ46に排出される。また、排紙部35において、記録媒体の排紙方向は、分岐爪47の回動により排紙台45または排紙トレイ46に切換られる。
【0049】
また、給紙装置22は、上下2段のロール紙トレイ48、49を有している。このロール紙トレイ48、49は、給紙装置22の本体から図1中、左方向に引き出し可能となっており、ロール紙トレイ48、49を引き出した状態でロール紙のセットやジャム処理を行うように構成されている。
【0050】
ロール紙トレイ48、49には、それぞれ2つずつロール紙50、51をセットすることができるようになっており、各ロール紙50、51に対する給紙ローラ52〜55がロール紙50、51の近傍に配設されている。
【0051】
各給紙ローラ52〜55により送り出された記録媒体は、図1中、左側(正面側)のトレイに設けられたロールカッターユニット56、57によって一定の長さに切断され、シート状の記録用紙として搬送ローラ58、59により複写機本体23に搬送される。
【0052】
図2において、搬送ローラ対26の上流には第1の原稿センサ63が設けられており、この第1の原稿センサ63は、原稿載置台25から挿入された原稿が、搬送駆動ローラ26Aおよび搬送駆動ローラ26Aに連れ回りする搬送従動ローラ26Bからなる搬送ローラ対26の原稿の搬送方向上流の所定位置に達したことを検知するものである。以下、原稿の搬送方向を単に搬送方向という。
【0053】
第2の原稿センサ64は、第1の原稿センサ63よりも副走査方向下流に設けられており、原稿載置台25から挿入された原稿が、搬送ローラ対26の搬送方向下流の所定位置に達したことを検知するものである。なお、副走査方向と原稿の搬送方向とは同一方向である。
【0054】
一方、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、スキャナ装置24の下部構造体24Bの一部を構成する支持台60に取付けられており、支持台60の上面にはコンタクトガラス61が取付けられている。
【0055】
また、図3に示すように、スキャナ装置24は、下部構造体24Bを開放および閉塞自在な上部構造体24Aを備えており、この上部構造体24Aに図3に示す圧板62が取付けられている。なお、図3は、下部構造体24Bから搬送駆動ローラ26A、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を覆う部材を取り外した状態を示している。
【0056】
圧板62は、搬送ローラ対26によって搬送されてきた原稿をコンタクトガラス61の読取位置に案内するとともに、画像読取りの白色基準として使用されるものである。
【0057】
支持台60には、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29等が収容されており、これらの第1の読取センサ28および第2の読取センサ29等の部品は、搬送される原稿をコンタクトガラス61の下方から読み取るようになっている。
【0058】
すなわち、第1の読取センサ28は、原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取るようになっており、第2の読取センサ29は、第1の読取センサ28よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取るようになっている。本実施の形態では、図3に示すように、3つの第1の読取センサ28および2つの第2の読取センサ29が支持台60に千鳥状に取付けられている。
【0059】
なお、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、筐体28a、29a内に公知の光源(露光ランプ)と、セルフォックレンズアレイと、電荷結合素子(CCD)等によって構成された直線状のリニアセンサ部と含んだものから構成されている。
【0060】
一方、搬送駆動ローラ26Aは、原稿載置台25から挿入された原稿をコンタクトガラス61上の読取位置に搬送するように駆動回転するものであり、搬送駆動ローラ26Aは、下部構造体24Bに回転自在に設けられている。
【0061】
搬送従動ローラ26Bは、搬送駆動ローラ26Aと所定のニップ圧で接触して従動回転し、原稿載置台25から挿入された原稿をコンタクトガラス61上の読取位置に搬送するものであり、搬送従動ローラ26Bは、上部構造体24Aに設けられている。
【0062】
また、搬送ローラ対30は、読取り後の原稿をコンタクトガラス61上の読取位置から排紙位置に搬送するものであり、下部構造体24Bに設けられた搬送駆動ローラ30Aと、上部構造体24Aに設けられ、搬送駆動ローラ30Aと所定のニップ圧で接して従動回転して読取り後の原稿をコンタクトガラス61上の読取位置から排紙部に搬送する搬送従動ローラ30Bとを備えている。
【0063】
搬送ローラ対26の搬送駆動ローラ26Aは、図2、図4に示すように、金属製の回転軸65に取付けられており、回転軸65の軸線方向(主走査方向)に離隔して8個取付けられている。
【0064】
搬送駆動ローラ26Aは、PPS等の樹脂材料から構成されており、図5に示すように、搬送駆動ローラ26Aは、外周面が原稿と接する大径回転部26aと、大径回転部26aから主走査方向に突出し、大径回転部26aよりも小径の小径回転部26b、26cとを備えており、小径回転部26bには図4に示すねじ66が挿通される貫通孔26dが形成されている。なお、貫通孔26dは、小径回転部26cには形成されていない。
【0065】
また、搬送駆動ローラ26Aの回転中心部には貫通穴26eが形成されており、この貫通穴26eには回転軸65が挿通されるようになっている。
また、搬送駆動ローラ26Aは、切削等によって加工されており、切削加工時に大径回転部26aには肉抜き加工が施されている。
【0066】
また、搬送駆動ローラ30Aは、PPS等の樹脂材料から構成されており、搬送駆動ローラ30Aは、図6、図7に示すように、外周面が原稿と接する大径回転部30aと、大径回転部30aから主走査方向に突出し、大径回転部30aよりも小径の小径回転部30b、30cとを備えており、小径回転部30b、30cには図6に示すねじ66が挿通される貫通孔30dが形成されている。また、このねじ66は、頭部66aを有し、この頭部66aに工具を作用させることにより、ねじ止めされるものである。
【0067】
また、搬送駆動ローラ30Aの回転中心部には貫通穴30eが形成されており、この貫通穴30eには回転軸65が挿通されるようになっている。
【0068】
また、搬送駆動ローラ30Aは、切削等によって加工されており、切削加工時に大径回転部30aには肉抜き加工が施されている。
【0069】
また、図8に示すように、回転軸65にはねじ締結部としてのねじ穴65a、65bが形成されており、このねじ穴65a、65bは、回転軸65の軸線方向(主走査方向)に離隔し、回転軸65の軸線方向と直交する方向に貫通されている。
【0070】
したがって、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に取付ける場合には、貫通穴26eに回転軸65を挿通した後、貫通孔26dにねじ66を挿通し、このねじ66をねじ穴65a、65bに螺合させることにより、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に強固に固定することができる。
【0071】
また、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に取付ける場合には、貫通穴30eに回転軸65を挿通した後、貫通孔30dにねじ66を挿通し、このねじ66をねじ穴65a、65bに螺合させることにより、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に強固に固定することができる。
【0072】
また、搬送駆動ローラ26Aおよび搬送駆動ローラ30Aは、樹脂材料から構成されているため、ゴムと比較すると大径回転部26a、30aの外周面の摩擦抵抗が小さく、原稿の搬送力を確保しきれないおそれがある。
【0073】
本実施の形態では、大径回転部26a、30aの原稿と接触する外周面に摩擦抵抗の大きい別材料層のコーティング層26f、30fが設けられており、このコーティング層26f、30fとして摩擦抵抗の大きいウレタン材がコーティングされている。
【0074】
なお、このコーティング層26f、30fは、大径回転部26aとの密着力を確保するために、100℃以上の焼き付け工程によって大径回転部26a、30aにコーティングされている。このため、コーティング層26f、30fと大径回転部26a、30aとの密着力を得ることができる。
【0075】
本実施の形態では、コーティング層26f、30fがウレタンから構成されるため、100℃以上の焼き付け工程時に変形することなく、大径回転部26a、30aを切削で加工したときに得た外径精度を維持することができるように、搬送駆動ローラ26A、30AがPPS等の樹脂材料から構成されている。
【0076】
図9〜図11に示すように、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、鋼板からなるブラケット67によって支持台60に取付けられている。なお、ブラケット67は、保持手段を構成している。
【0077】
すなわち、ブラケット67は、第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aの主走査方向の両端部に設けられており、上端部に嵌合穴67aが形成されている。
【0078】
また、第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aには突起28b、29bが形成されており、突起28b、29bが嵌合穴67aに嵌合されることにより、筐体28a、29aが突起28b、29bを主走査方向の回転中心として回動するようにブラケット67に取付けられる。
【0079】
また、図2、図11に示すように支持台60にはピント調整ねじ68が螺合しており、このピント調整ねじ68は、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を下方から上方に押圧することにより、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の回動位置を調整して第1の読取センサ28および第2の読取センサ29とコンタクトガラス61との距離(ピント)を調整するようになっている。
【0080】
また、図9、図10に示すように第1の読取センサ28の筐体28aおよび第2の読取センサ29の筐体29aの主走査方向両端部には押圧ばね69、70が設けられており(図11では図示略)、この押圧ばね69、70は、筐体28a、29aの上端に当接して筐体28a、29aを下方に付勢することにより、筐体28a、29aをピント調整ねじ68aの上端に押圧している。
【0081】
このため、筐体28a、29aは、突起28b、29bを支点として回動することが規制されてブラケット67に固定される。
【0082】
また、筐体28a、29aの主走査方向の略中央部には押圧ばね71が設けられており、この押圧ばね71は、筐体28a、29aを副走査方向に押圧して筐体28a、29aを副走査方向に位置決めしている。
【0083】
このように第1の読取センサ28および第2の読取センサ29は、ブラケット67に保持されることにより、副走査方向に一定の間隔を介して支持台60に取付けられる。
【0084】
また、搬送従動ローラ26Bおよび搬送従動ローラ30Bは、回転軸65の外周に固定されたゴムローラから構成されている。
【0085】
また、デジタル複写機21の温度環境の変化による搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数と、ブラケット67の線膨張係数とが設定されている。
【0086】
具体的には、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aおよび小径回転部26b、26c、30b、30cを金属材料の線膨張係数に近いPPSから構成し、ブラケット67を構成する金属をPPSの線膨張係数に近い材料から選定する。
【0087】
このように、搬送駆動ローラ26A、30Aとブラケット67との線膨張係数を設定することにより、温度環境の変化による搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一とすることで、搬送駆動ローラ26A、30Aによる原稿の搬送速度が変化した場合でも、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを、従来の技術に比べて殆ど目立たなくすることができる。
【0088】
また、大径回転部26a、30aの外周面に設けられたコーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数は、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができるものに設定されている。
【0089】
具体的には、コーティング層26f、30fの厚みが薄いと耐磨耗性が低下するおそれがある。また、コーティング層26f、30fの厚みが厚いと、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径がコーティング層26f、30fを加えた分だけより大きく変化してしまい、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが大きく異なってしまうことになり、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれが目立ってしまうおそれがある。
【0090】
このため、本実施の形態では、大径回転部26a、30aの外周面に設けられたコーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数は、温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができるものに設定している。
【0091】
なお、搬送従動ローラ26B、30Bは、搬送駆動ローラ26A、30Aに連れ回りするものであるため、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径が変化しても原稿の搬送速度の変化に与える影響は小さいものとなるため、搬送駆動ローラ26B、30Bの線膨張係数をブラケット67の線膨張係数に対して考慮する必要はない。
【0092】
次に、図12に基づいてデジタル複写機21の回路構成を説明する。
図12において、制御部80は、CPU、メモリ(ROM/RAM、不揮発性メモリ等)、入出力部(I/O)、インタフェース部等からなり、操作表示部81からのモード設定信号や第1の原稿センサ63、第2の原稿センサ64等からの検出信号が入力され、その情報に基づいてON/OFF制御のための切換信号やクロック信号を出力するようになっている。
【0093】
こうして、制御部80は、同期信号発生回路82、85(画像合成手段に含まれる)、遅延回路88(遅延手段に含まれる)、画像処理回路89(画像合成手段に含まれる)の制御、ステッピングモータ駆動回路90を介してのステッピングモータ91の起動制御、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の光源92の点滅制御、フィードクラッチ(CL)93および排出クラッチ(CL)94の切換制御等を実行する。
【0094】
このような制御により、本実施の形態のデジタル複写機21は、予め設定された速度で原稿の搬送動作、読取動作を含む各動作を行うことになる。
【0095】
また、同期信号発生回路82は、第1の読取センサ28、アナログ処理回路83(画像合成手段に含まれる)、A/D変換回路84(画像合成手段に含まれる)にクロック、アドレス等の信号を供給する。
【0096】
また、同期信号発生回路85は、第2の読取センサ29、アナログ処理回路86(画像合成手段に含まれる)、A/D変換回路87(画像合成手段に含まれる)にクロック、アドレス等の信号を供給する。
【0097】
また、アナログ処理回路83は、第1の読取センサ28からのアナログ画像信号(出力信号に含まれる)のレベルを調整し、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)を行う機能を有する。
【0098】
また、アナログ処理回路86は、第2の読取センサ29からのアナログ画像信号(出力信号に含まれる)のレベルを調整し、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)を行う機能を有する。
【0099】
また、A/D変換回路84、87は、それぞれアナログ処理回路83、86からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号(256階調)に変換する。
【0100】
なお、図示しないオート・ゲイン・コントロール(AGC)回路は、原稿が圧板62の下になく、圧板62が白部にセットされているとき、A/D変換回路84、87の出力の主走査方向での最大値が予め決められた値(例えば、220)になるよう、AGC増幅を制御する。
【0101】
また、AGC動作は、画像読取装置を起動するメインスイッチ(SW)ON時のタイミングで実施してもよい。
また、図示しないシェーディング補正回路は、光源92の光量の主走査方向の分布バラツキや第1の読取センサ28、第2の読取センサ29を構成する電荷結合素子(CCD)からA/D変換回路84、87の出力までの特性に起因する主走査方向の画像信号のバラツキを補正する。
【0102】
遅延回路88は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との副走査方向の間隔(図18に示した距離Lに相当する)に起因する搬送方向の画像ずれを補正するために、1ラインごとに第1の読取センサ28で取得されてA/D変換回路84により変換されたデジタル画像信号(出力信号に含まれる)を、遅延回路88のメモリに一時保持する。これにより、前記デジタル画像信号を予め設定された遅延時間T(図18に示す)に応じて遅延させるものである。
【0103】
画像処理回路89には、1ラインごとに、遅延回路88からのデジタル画像信号と、A/D変換回路87からのデジタル画像信号とを合成する合成回路部(画像合成手段に含まれる)を有する。
【0104】
また、画像処理回路89は、前記合成回路部で順次取得された1ライン分のデジタル画像信号からデジタル画像データを生成し、原稿の全体画像を取得するものである。なお、前記合成回路部を含む合成回路を独立に設け、この合成回路の下流後段に画像処理回路を設けてもよい。
【0105】
また、フィードクラッチ93は、搬送駆動ローラ26Aとステッピングモータ91を連結する。 そして、フィードクラッチ93がONの場合のみ、ステッピングモータ91の回転動力を伝達することになる。
【0106】
また、排出クラッチ94は、搬送駆動ローラ30Aとステッピングモータ91とを連結する。そして、排出クラッチ94がONの場合のみ、ステッピングモータ91の回転動力を伝達することになる。
【0107】
また、操作表示部81には、図示しないスタート/ストップキー、テンキー、ファンクションキー、Yes/Noキー、カーソルキー等のキー群、LCD、LED等の表示器、音声出力装置等を備え、モード設定機能、動作開始指示機能等を有する。
次に、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に組み付ける方法を説明する。なお、搬送駆動ローラ30Aを回転軸65に付ける方法は、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に組み付ける方法と同一であるため、説明を省略する。
【0108】
搬送駆動ローラ26Aをねじ66によって回転軸65に固定するときには、まず、貫通穴26eを通して複数(8個)の搬送駆動ローラ26Aに回転軸65を挿通する。このとき、搬送駆動ローラ26Aの貫通孔26dの向きが回転軸65の軸線方向と直交する一方側と他方側とが交互になるようにする。
【0109】
その後、小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する一方側からねじ66を挿通してねじ穴65aにねじ66を締結し、次いで、この締結された搬送駆動ローラ26Aに隣接する搬送駆動ローラ26Aの小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する他方側からねじ66を挿通してねじ穴65bにねじ66を締結する。
【0110】
次いで、回転軸65にねじ66によって締結された当該搬送駆動ローラ26Aに隣接する搬送駆動ローラ26Aの小径回転部26bの貫通孔26dに回転軸65の軸線方向と直交する一方側からねじ66を挿通してねじ穴65aにねじ66を締結する。このねじ止め作業を回転軸65の軸線方向に対して回転軸65の軸線方向と直交する一方側と他方側から交互に行うことにより、搬送駆動ローラ26Aを回転軸65に取付ける。
【0111】
この結果、ねじ66の頭部66aの向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられる。
【0112】
次に、本実施の形態の画像読取時の原稿の搬送動作を説明する。
1枚の原稿が原稿載置台25で挿入および搬送方向(図1、図2中、右方向)に向かって挿入されると、第1の原稿センサ63が原稿の先端を検知してONとなる。
【0113】
ここで、原稿先端を搬送ローラ対26に対して突き当てるための所定時間が経過すると、制御部80の制御でステッピングモータ91を正転駆動し、フィードクラッチ93をONして搬送駆動ローラ26Aに駆動力を伝達する。こうして、搬送駆動ローラ26Aは、搬送方向に回転駆動される。
【0114】
次いで、第2の原稿センサ64が原稿先端を検知すると、ステッピングモータ91の駆動に合わせて、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の光源92を点灯すると共に、排出クラッチ94がONして搬送ローラ対30に駆動力を伝達し、搬送駆動ローラ30Aおよび搬送従動ローラ30Bを搬送方向に回転駆動させる。
【0115】
このような原稿の搬送過程で、コンタクトガラス61、圧板62に挟まれた部分で、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により、原稿画像が副走査方向に分割されて読み取られる。 この後、原稿読取りが終了すると光源92をOFFする。
【0116】
また、原稿が搬送ローラ対26を通過するタイミングで、フィードクラッチ93はOFFされる。
次いで、読取り後の原稿後端が第2の原稿センサ64で検知され、その読取り後の原稿の後端が搬送ローラ対30を通過する直前に、ステッピングモータ91、排出クラッチ94をOFFする。
【0117】
こうして搬送ローラ対30の回転を停止することにより、原稿後端を搬送ローラ対30で挟んだ状態を保持する。
こうして原稿読取工程の搬送動作を終了し、待機状態となる。
【0118】
さらに、前述した原稿読取工程において、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により読み取られた原稿画像に対する画像処理を説明する。
【0119】
第1の読取センサ28で1ラインごとに読み取られた原稿の画像は、アナログ画像信号としてアナログ処理回路83に入力される。
次いで、アナログ処理回路83は、第1の読取センサ28からのアナログ画像信号のレベルを調整して、サンプルホールド、可変ゲインの増幅に(AGC)等の処理を施し、処理後のアナログ画像信号をA/D変換回路84に送出する。
【0120】
次いで、A/D変換回路84は、アナログ処理回路83からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号に変換し、遅延回路88に送出する。
遅延回路88は、A/D変換回路84からのデジタル画像信号を遅延回路88のメモリに保持し、遅延時間Tの経過後に前記デジタル画像信号を画像処理回路89に送出する。
【0121】
なお、遅延時間Tは、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との間隔に応じ、遅延回路88およびA/D変換回路87からのデジタル画像信号が同期して画像処理回路89に入力されるように設定されている。
【0122】
本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aの外径が周囲の温度環境により変化したときに、ブラケット67の原稿の搬送方向の長さも変化するので、遅延時間Tの設定を大径回転部26a、30aの外径の変化に合わせて大幅に変更する必要はなくなる。
【0123】
一方、第1の読取センサ28よりも搬送方向下流で、第2の読取センサ29により1ラインごとに読み取られた原稿の画像は、アナログ画像信号としてアナログ処理回路86に入力される。
【0124】
次いで、アナログ処理回路86は、第2の読取センサ29からのアナログ画像信号のレベルを調整して、サンプルホールド、可変ゲインの増幅(AGC)等の処理を施し、処理後のアナログ画像信号をA/D変換回路87に送出する。
次いで、A/D変換回路87は、アナログ処理回路86からのアナログ画像信号を8ビットのデジタル画像信号に変換し、画像処理回路89に送出する。
【0125】
次いで、画像処理回路89は、遅延回路88およびA/D変換回路87からのデジタル画像信号が1ライン分ずつ同期して入力されると、それぞれのデジタル画像信号から1ライン分のデジタル画像データを順次、前記合成回路部にて合成し、さらに1ライン分のデジタル画像データを複数ライン分、合わせて原稿のデジタル画像データを生成する。この生成されたデジタル画像データは、図示しない記憶装置に記憶される。
【0126】
以上のように、本実施の形態のデジタル複写機21は、原稿を主走査方向に分割したときの原稿の一部領域を読み取る第1の読取センサ28と、第1の読取センサ28よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取センサ29と、原稿の搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ26A、30A、主走査方向に延在し、搬送駆動ローラ26A、30Aが軸線方向に離隔して固定されて搬送駆動ローラ26Aを回転させる回転軸65および搬送駆動ローラ26A、30Aに接触して連れ回りする搬送従動ローラ26B、30Bを有し、原稿を第1の読取センサ28および第2の読取センサ29に搬送する搬送手段と、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29が一定の間隔を維持するように第1の読取センサ28および第2の読取センサ29をそれぞれ固定するブラケット67と、副走査方向における第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との設定間隔に応じて第1の読取センサ28の出力信号を遅延する遅延回路88と、遅延回路88で遅延された第1の読取センサ28の出力信号と第2の読取センサ29の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像処理回路89と、デジタル複写機21内における温度環境の変化により、搬送駆動ローラ26A、30Aのローラ外径が膨張、収縮して、原稿の搬送速度が変化した場合に、搬送駆動ローラ26A、30Aの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが略同一となるように、搬送駆動ローラ26A、30Aの線膨張係数とブラケット67の線膨張係数とを設定した。
【0127】
このため、搬送駆動ローラ26A、30Aによる搬送速度の変化に応じて第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との設定間隔を変化させることができる。
【0128】
したがって、遅延回路88に予め設定された遅延時間を適用しながら、第1の読取センサ28により読み取られた一部画像(一部領域の画像)と第2の読取センサ29により読み取られた一部画像(前記一部領域以外の他領域の画像)とを合成したときに搬送方向の画像ずれが生じることを回避できる。
【0129】
また、本実施の形態では、ねじ66の頭部66aの向きが回転軸65の軸線方向に沿って回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、搬送駆動ローラ26Aが回転軸65に取付けられるので、搬送駆動ローラ26A、30Aをねじ66によって回転軸65に固定するときに、回転軸65の一方の外周面と他方の外周面からねじの締結力を加えることができる。
【0130】
このため、回転軸65が撓んでしまうのを防止することができ、回転軸65の回転時に回転軸65が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのを防止することができる。
【0131】
したがって、搬送ローラ対26、30による搬送速度の変化に応じた第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との間隔のずれを、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。この結果、読取画像品質をより確実に維持することができる。
【0132】
また、回転軸65の長さを長くして多数の搬送駆動ローラ26A、30Aを回転軸65に取付ける場合であっても、回転軸65が撓むのを防止することができるため、読取幅の大きいサイズの原稿の読取画像品質もより確実に維持することができる。
【0133】
また、本実施の形態では、大径回転部26a、30aの原稿と接する外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層26f、30fを形成したので、大径回転部26a、30aの外周部をコーティング層26f、30fを介して原稿に高摩擦で接触させることができ、原稿を確実に搬送することができる。
【0134】
ここで、コーティング層26f、30fの厚みおよび線膨張係数と大径回転部26a、30aの径と線膨張係数との最適な組合せについて説明する。
【0135】
搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aの外径をφ32とし、大径回転部26a、30aの樹脂材料の線膨張係数を0.000020/degとした場合に、摩擦抵抗の大きいコーティング層26f、30fを図13に示すように、EPDMゴムまたはウレタンゴムを用いたものを考える。
【0136】
図13では、温度変化とEPDMゴムまたはウレタンゴムの厚みとの関係を示す図であり、「○」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが5μm以下、「△」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが10μm以下(約1/4dot)、「×」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが20μm以下(約1/2dot)、「××」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが40μm以下(約1dot)、「×××」は、第1の読取センサ28と第2の読取センサ29との継ぎ目の搬送方向の画像ずれが40μm以上であることを示している。
【0137】
PPSからなる搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを径φ32、大径回転部26a、30aの線膨張係数=0.000020/deg、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の副走査方向の間隔を27mm、コーティング層26f、30fの厚さを0.03mm、鋼板からなるブラケット67の線膨張係数を0.0000117/degとしたときに、デジタル複写機21内の温度変化が20degであった場合を考える。
【0138】
このとき、搬送駆動ローラ26A、30Aは、熱膨張して約10.8μmだけ副走査方向に径が変動し、ブラケット67が熱膨張することにより、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔が6.3μm変動することになる。
【0139】
この場合、解像度600dpi(1ドット42.3μm)で原稿を読み取ると、搬送方向の画像ずれ量は「10.8μm−6.3μm=4.5μm」に軽減され、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれは、目立たないものになる。
【0140】
したがって、上述したように大径回転部26a、30aの径および線膨張係数を考慮すると、図13に示すように、コーティング層26f、30fの厚みが0.05mm以下であれば、デジタル複写機21の温度環境の変化により大径回転部26a、30aの外径が変化した場合であっても、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の継ぎ目の搬送方向の画像ずれを目立たないようにすることができる。
【0141】
このようにコーティング層26f、30fの厚みは、大径回転部26a、30aの径および線膨張係数を考慮して最適な厚みに設定することが好ましいのである。
【0142】
また、本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを肉抜きしたので、搬送駆動ローラ26A、30Aのより一層の軽量化を図ることができ、搬送駆動ローラ26A、30Aの自重によって回転軸65が撓んでしまうのを防止することができる。
【0143】
すなわち、多数の搬送駆動ローラ26Aを回転軸65の軸線方向に固定する場合には、図14に示すように、搬送駆動ローラ26Aを下部構造体24Bに両持ち支持すると、搬送駆動ローラ26Aの自重によって回転軸65が撓んでしまうことが考えられる。
【0144】
ここで、図15に示すように、搬送駆動ローラの材料をそれぞれ黄銅、樹脂、ゴムとしたときの線膨張係数、比重、搬送駆動ローラを回転軸65に取付けた組立体の回転軸65の撓み量(回転軸65の両端と回転軸65の軸線方向中心部との高さ)を示す。なお、図15の「◎」は最適、「○」は良好、「×」は不可を示している。
【0145】
図15に示すように、線膨張係数に関しては、鋼板から構成されるブラケット67の線膨張係数に対して黄銅および樹脂の線膨張係数が略同等であるため、黄銅または樹脂を用いた搬送駆動ローラは、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一にすることができるため、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じない程度のものにすることができる。
【0146】
これに対して、ゴムの線膨張係数は、鋼板に対して一桁大きいため、従来のようにゴム用いた搬送駆動ローラは、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とが大きく異なってしまい、画像繋ぎ部に搬送方向の画像ずれが生じてしまうことになる。
【0147】
一方、黄銅からなる搬送駆動ローラは、樹脂またはゴムからなる搬送駆動ローラに比べて比重が4倍〜8倍程度、大きいため、回転軸65に取付けたときに回転軸65が撓んでしまう(撓み量が約8mm)。
【0148】
これに対して、樹脂またはゴムからなる搬送駆動ローラは、黄銅からなる搬送駆動ローラに比べて比重が4倍〜8倍程度、小さいため、回転軸65に取付けたときに回転軸65が撓むのを抑制することができる(撓み量、約3mm)。
【0149】
ところが、ゴムからなる搬送駆動ローラは、軽量化を図ることができるが、上述したように搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量が大きく異なってしまうおそれがある。
【0150】
したがって、搬送駆動ローラの外径の変化量と第1の読取センサ28および第2の読取センサ29の間隔の変化量とを略同一にすること、および回転軸65の撓みが発生しないようにすることの両立を図ることができるようにするためには、本実施の形態で示すように、搬送駆動ローラを樹脂から構成することが好ましい。
【0151】
これに加えて、本実施の形態では、軽量な樹脂性の搬送駆動ローラ26A、30Aの大径回転部26a、30aを肉抜きすることで、搬送駆動ローラ26A、30Aのより一層の軽量化を図ることができるため、回転軸65が撓んでしまうのを確実に防止することができる。
【0152】
このため、回転軸65の回転時に回転軸65が回転中心から直交する方向にぶれてしまうのをより確実に防止することができる。
【0153】
また、搬送駆動ローラ26A、30Aを樹脂から構成することにより、切削加工性を良好にすることができるとともに、材料費を金属と比較して低減することができる。
【0154】
また、本実施の形態では、第1の読取センサ28および第2の読取センサ29により原稿を主走査方向に分割して読み取るために、原稿の最大幅よりも短い第1の読取センサ28および第2の読取センサ29を千鳥状に配置するので、原稿の最大幅分の読取手段を1つ用いる場合に比べ、部品コストを低減できる。
【0155】
また、本実施の形態では、搬送駆動ローラ26A、30AをPPSから構成しているが、ブラケット67を構成する金属材料と線膨張係数が近い材料であれば、その他の樹脂を用いてもよい。
【0156】
また、ねじ穴65a、65bは、回転軸65の軸線方向と直交する方向に貫通された貫通孔から構成されているが、回転軸65の軸線方向と直交する一方の外周面に形成された所定の深さの穴と、回転軸65の軸線方向と直交する他方の外周面に形成された所定の深さの穴とから構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置は、搬送駆動ローラの外径の変化に柔軟に対応して読取画像品質をより確実に維持することができるという効果を有し、原稿画像を主走査方向に分割された複数の読取手段によって読み取るようにした画像読取装置および画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0158】
21 デジタル複写機(画像形成装置)
24 スキャナ装置(画像読取装置)
26、30 搬送ローラ対(搬送手段)
26A、30A 搬送駆動ローラ
26B、30B 排紙従動ローラ
26a、30a 大径回転部
26b、26c、30b、30c 小径回転部
26d、30d 貫通孔
26f、30f コーティング層
33 作像部(画像形成手段)
65 回転軸
65a、65b ねじ穴(ねじ締結部)
67 ブラケット(保持手段)
82、85 同期信号発生回路(画像合成手段)
83、86 アナログ処理回路(画像合成手段)
84、87 A/D変換回路(画像合成手段)
88 遅延回路(遅延手段)
89 画像処理回路(画像合成手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【特許文献1】特開昭59−105762号公報
【特許文献2】特許第3756474号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1の読取手段と、
前記第1の読取手段よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取手段と、
原稿搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ、主走査方向に延在し、前記搬送駆動ローラが軸線方向に離隔して固定されて前記搬送駆動ローラを回転させる回転軸および前記搬送駆動ローラに連れ回りする搬送従動ローラを有し、原稿を前記第1の読取手段および前記第2の読取手段に搬送する搬送手段と、
前記第1の読取手段および前記第2の読取手段が一定の間隔を維持するように前記第1の読取手段および前記第2の読取手段をそれぞれ固定する金属製の保持手段と、
副走査方向における前記第1の読取手段と前記第2の読取手段との設定間隔に応じて前記第1の読取手段の出力信号を遅延する遅延手段と、
前記遅延手段で遅延された前記第1の読取手段の出力信号と前記第2の読取手段の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段とを備え、
温度環境の変化による前記搬送駆動ローラの外径の変化量と前記第1の読取手段および前記第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、前記搬送駆動ローラの線膨張係数と前記保持手段の線膨張係数とを設定した画像読取装置であって、
前記回転軸が、前記回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、
前記搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、前記大径回転部から主走査方向に突出し、前記大径回転部よりも小径の小径回転部と、前記小径回転部に形成され、前記ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、
前記ねじの頭部の向きが前記回転軸の軸線方向に沿って前記回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、前記搬送駆動ローラが前記回転軸に取付けられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記大径回転部の外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記大径回転部は、前記コーティング層の焼き付け工程を経ても外径精度を維持する材料から構成されることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記大径回転部が肉抜きされることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取られ、合成された画像を所定の記録媒体に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
原稿を主走査方向に分割した一部領域を読み取る第1の読取手段と、
前記第1の読取手段よりも副走査方向下流で、前記一部領域以外の他領域を読み取る第2の読取手段と、
原稿搬送時に外周面が原稿と接する複数の樹脂性の搬送駆動ローラ、主走査方向に延在し、前記搬送駆動ローラが軸線方向に離隔して固定されて前記搬送駆動ローラを回転させる回転軸および前記搬送駆動ローラに連れ回りする搬送従動ローラを有し、原稿を前記第1の読取手段および前記第2の読取手段に搬送する搬送手段と、
前記第1の読取手段および前記第2の読取手段が一定の間隔を維持するように前記第1の読取手段および前記第2の読取手段をそれぞれ固定する金属製の保持手段と、
副走査方向における前記第1の読取手段と前記第2の読取手段との設定間隔に応じて前記第1の読取手段の出力信号を遅延する遅延手段と、
前記遅延手段で遅延された前記第1の読取手段の出力信号と前記第2の読取手段の出力信号とを合成して画像信号を取得する画像合成手段とを備え、
温度環境の変化による前記搬送駆動ローラの外径の変化量と前記第1の読取手段および前記第2の読取手段の間隔の変化量とが略同等となるように、前記搬送駆動ローラの線膨張係数と前記保持手段の線膨張係数とを設定した画像読取装置であって、
前記回転軸が、前記回転軸の軸線方向に離隔して形成された複数のねじ締結部を有し、
前記搬送駆動ローラが、外周面が原稿と接する大径回転部と、前記大径回転部から主走査方向に突出し、前記大径回転部よりも小径の小径回転部と、前記小径回転部に形成され、前記ねじ締結部にねじ止めされるねじが挿通される貫通孔とを含んで構成され、
前記ねじの頭部の向きが前記回転軸の軸線方向に沿って前記回転軸の軸線方向と直交する一方の外周面と他方の外周面とに交互に位置するように、前記搬送駆動ローラが前記回転軸に取付けられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記大径回転部の外周面に摩擦抵抗の大きいコーティング層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記大径回転部は、前記コーティング層の焼き付け工程を経ても外径精度を維持する材料から構成されることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記大径回転部が肉抜きされることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取られ、合成された画像を所定の記録媒体に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−94994(P2012−94994A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238765(P2010−238765)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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