説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】画像信号に含まれる黒レベルの大きさに関わらず、光源の光量を最適化することができる画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】演算部307は、第1光量で照明された基準白色部材を読み取ることで得られる第1画像信号と第2光量で照明した基準白色部材を読み取ることで得られる第2画像信号との差分、および、第1光量と第2光量との差分に基づいて、目標とする光量である第3光量を算出する。光量設定部308は、演算部307が算出した第3光量をレジスタに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像情報を光学的に読み取る画像読取装置が知られている。この種の画像読取装置では、原稿の搬送路に直交する主走査方向に沿って延設された光源を用いて原稿に光を照射し、照射された原稿から反射した反射光をイメージセンサにて受光することで、原稿上の画像を読み取っている。また、近年では、装置の小型化を目的として、形状の小さい発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源に使用し、等倍結像系の光学系を介してラインセンサに画像を結像させるCIS(Contact Image Sensor)方式の画像読取装置も実用化されている。
【0003】
画像読取装置は、一般に、イメージセンサから出力される原稿のアナログ画像信号をAFE(Analog Front End)回路にてゲイン調整およびAD変換し、デジタル画像処理回路にて所定の画像処理を行った後、フレームメモリに保存する。ここで、AD変換後のデジタル画像信号の階調再現性(分解能)を高め、高品位な画像を得るためには、AD変換のダイナミックレンジを最大限に利用できるような調整を行うことが望まれる。このような調整は、一般的には、AD変換の前段で行われるゲイン調整によって、AD変換後のデジタル画像信号が飽和しない範囲で、アナログ画像信号を増幅するといった方法で実施される。
【0004】
しかしながら、ゲイン調整によりアナログ画像信号を増幅すると、アナログ画像信号に含まれる黒レベル等のノイズ成分も同じゲインで増幅され、S/Nの低下を招く。そこで、本願発明者は、AD変換のダイナミックレンジを最大限に利用できるような光源の光量の調整方法を提案している(特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、所定の光量で照明された基準白板を読み取ったときにイメージセンサから出力される画像信号のピーク値が、基準白板の反射率に応じて定められる目標値になるように、光源の光量を調整するようにしている。具体的には、所定の光量を1としたときに、基準白板の画像信号のピーク値が150、目標値が200、画像信号に含まれる黒レベル(光量が0のときのイメージセンサの出力)が10であったとする。この場合、(200−10)÷(150−10)≒1.36より、所定の光量を約1.36倍した光量となるように、光源の光量を調整する。
【0006】
この特許文献1に記載の手法によれば、AD変換後のデジタル画像信号が飽和しない範囲で画像信号の信号成分のみを大きくし、AD変換のダイナミックレンジを最大限に利用できるため、S/Nの低下を招くことなく、AD変換後のデジタル画像信号の階調再現性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の技術は、画像信号に含まれる黒レベルが一定であることを前提としている。しかしながら、例えば、上述したCIS方式の画像読取装置など、主走査方向に並べた複数のセンサチップの出力を合成することで主走査1ライン分の画像信号を得る構成の場合、各センサチップが備える出力バッファの個体差などから、センサチップごとに黒レベルが異なる。また、センサチップとしてCMOSセンサを用いる場合、CMOSセンサでは画素ごとに出力バッファを持ち、各出力バッファに個体差があることから、画素ごとに黒レベルが異なる。このため、特許文献1に記載の技術をそのまま適用して光源の光量を最適化することはできない。
【0008】
ここで、黒レベルのばらつき範囲はセンサチップごとに決まっているため、発生しうる最大の黒レベルを想定することにより、特許文献1に記載の技術を適用した光源の光量調整も可能である。しかしながら、この場合には、AD変換のダイナミックレンジを十分に有効利用できない。一方、黒レベルの値を最大の黒レベルよりも低い値に想定して光源の光量調整を行うと、反射率の高い原稿を読み取った際に、AD変換後のデジタル画像信号が飽和してしまって、画質の劣化を招く場合がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像信号に含まれる黒レベルの大きさに関わらず、光源の光量を最適化することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像読取装置は、光源と、前記光源により照明された読取対象の画像信号を出力するイメージセンサと、所定の基準部材を第1光量で照明したときに前記イメージセンサから出力される第1画像信号と前記基準部材を第2光量で照明したときに前記イメージセンサから出力される第2画像信号との差分、および、前記第1光量と前記第2光量との差分に基づいて、目標とする光量である第3光量を算出する第1算出手段と、原稿を前記読取対象とするときの前記光源の光量を前記第3光量に設定する光量設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像読取装置と、前記画像読取装置から出力される原稿の画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像信号に含まれる黒レベルの大きさに関わらず、光源の光量を最適化して、AD変換後のデジタル画像信号が飽和しない範囲で画像信号の信号成分のみを大きくし、AD変換のダイナミックレンジを有効に利用することができる。したがって、AD変換後のデジタル画像信号の階調再現性を高めて、高品位な画像を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る複写機の概略構成を示す構成図である。
【図2】図2は、複写機が備えるADFの詳細な構成を示す構成図である。
【図3】図3は、ADFの制御系のブロック図である。
【図4】図4は、ADFの第2画像読取部に関わる電気回路の要部を説明する図である。
【図5】図5は、光源部の光量を制御する方法の一例を説明する図である。
【図6】図6は、コントローラおよび画像処理部において実現される光量調整に関わる機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第3光量の算出方法の具体例を説明する図である。
【図8】図8は、コントローラおよび画像処理部において実行される光量調整動作の一連の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第2の実施形態の第2画像読取部が基準白色部材を読み取ることで得られる画像信号の一例を示す図である。
【図10】図10は、第3光量を適切に算出できないケースを説明する図である。
【図11】図11は、第3の実施形態のコントローラおよび画像処理部において実現される光量調整に関わる機能構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、コントローラおよび画像処理部において実行される第3の実施形態の光量調整動作の一連の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像読取装置および画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を複写機に適用した例であるが、本発明は以下で例示する形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態での実施が可能である。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る複写機1の概略構成を示す構成図である。図1に示すように、複写機1は、画像読取装置としての機能を有する自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)100と、給紙部2と、画像形成部3とを備えている。
【0016】
給紙部2は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21,22と、給紙カセット21,22に収納された記録紙を画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
【0017】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部3は、ADF100内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
【0018】
図2はADF100の詳細な構成を示す構成図であり、図3はADF100の制御系のブロック図である。ADF100は、図2に示すように、原稿束110がセットされる原稿セット部Aと、セットされた原稿束110から一枚ごとに原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿を一次突当整合するとともに整合後の原稿を引き出し搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を第1画像読取部131による読取り側(図中の下方)に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方から第1画像読取部131により読み取る第1読取搬送部Eと、表面画像が読み取られた後の原稿の裏面画像を第2画像読取部135により読み取る第2読取搬送部Fと、表裏の画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部Gと、排出された原稿を積載保持するスタック部Hとを備える。
【0019】
また、ADF100は、図3に示すように、上記各部における駆動を行うモータ101〜105と、一連の動作を制御するコントローラ150を備える。コントローラ150は、I/F107を介して複写機1の全体制御を行う本体制御部10に接続されている。また、本体制御部10には、I/F108を介して、ユーザが各種操作を行う操作部11が接続されている。
【0020】
原稿セット部Aには、読み取りを行う原稿束110がセットされる。原稿束110がセットされるのは、可動原稿テーブル111を含む原稿テーブル112上である。原稿テーブル112上には、原稿束110が原稿面を上向きの状態でセットされる。このとき、原稿束110の幅方向は、図示しないサイドガイドによって搬送方向と直交する方向に位置決めされる。また、原稿束110のセットは、セットフィラー113およびセットセンサ114によって検知され、原稿束110がセットされたことを示す情報が、コントローラ150からI/F107を介して本体制御部10に送信される。
【0021】
さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ115,116により、原稿束110の搬送方向長さの概略が判定される。なお、原稿長さ検知センサ115,116としては、例えば、反射型センサまたは原稿1枚でも検知可能なアクチェータタイプのセンサが用いられる。また、原稿長さ検知センサ115,116の配置は、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能な配置としておく必要がある。
【0022】
可動原稿テーブル111は、底板上昇モータ105により図2中のa,b方向に上下動可能な構成となっている。原稿テーブル112上に原稿束110がセットされていないとき、可動原稿テーブル111は下降した状態であり、この状態は底板HPセンサ117により検知される。コントローラ150は、原稿テーブル112上に原稿束110がセットされたことが前記セットフィラー113およびセットセンサ114により検知されると、底板上昇モータ105を正転させて原稿束110の最上面が分離給送部Bのピックアップローラ118と接触するように、可動原稿テーブル111を上昇させる。ピックアップローラ118は、ピックアップモータ101によりカム機構の作用で図2中のc,d方向に動作するとともに、可動原稿テーブル111が上昇して可動原稿テーブル111上の原稿束110上面によって押されることで図2中のc方向に上昇し、給紙適正位置センサ119により上限を検知可能となっている。
【0023】
ユーザにより操作部11のプリントキーが押下され、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ118は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル112上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
【0024】
給紙ベルト120は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動される。また、リバースローラ121は、給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動される。これにより、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ121は、給紙ベルト120と所定圧で接し、給紙ベルト120と直接または原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト120の回転につられて反時計方向に連れ回りする。一方、原稿が2枚以上給紙ベルト120とリバースローラ121の間に進入したときは、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ121は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0025】
給紙ベルト120とリバースローラ121との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト120によってレジスト部C側へと送られ、突き当てセンサ122によって先端が検知された後、さらに進んで停止しているプルアウトローラ123に突き当たる。その後、原稿は、突き当てセンサ122の検知から所定量定められた距離送られ、プルアウトローラ123に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることによって、給紙ベルト120の駆動が停止する。このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ118を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト120の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ123の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0026】
プルアウトローラ123は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ124まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、給紙モータ102の逆転時には、プルアウトローラ123と中間ローラ124は駆動されるが、ピックアップローラ118と給紙ベルト120は駆動されない。
【0027】
原稿幅センサ125は図2の奥行き方向に複数個並べて設けられ、プルアウトローラ123により搬送された原稿の搬送方向と直交する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端後端を突き当てセンサ122で読み取ることにより、モータパルスから原稿の長さが検知される。
【0028】
プルアウトローラ123及び中間ローラ124の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を画像読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿の先端が読取入口センサ126により検出されると、読取入口ローラ127の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ127、読取出口ローラ128、CIS出口ローラ129を駆動する。コントローラ150は、原稿の先端をレジストセンサ130にて検知すると、所定の搬送距離をかけて原稿の搬送速度を減速し、第1画像読取部131の手前で原稿を一時停止させるとともに、本体制御部10にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0029】
続いて、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に読取開始信号が送信されると、コントローラ150は、レジスト停止していた原稿を、第1画像読取部131の位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。このとき、読取モータ103のパルスカウントにより原稿先端の位置が検出され、原稿先端が第1画像読取部131に到達するタイミングで、本体制御部10に対して原稿の表面の副走査方向(原稿の搬送方向と同じ方向)の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第1画像読取部131を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取入口ローラ127および読取出口ローラ128の駆動により搬送される間に、第1画像読取部131によって原稿の表面画像が読み取られる。
【0030】
片面原稿読取りの場合には、第1読取搬送部Eの第1画像読取部131による表面画像の読み取りが終了した原稿は、第2読取搬送部Fをそのまま通過して排紙部Gへと搬送される。この際、コントローラ150は、排紙センサ132により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ133を反時計方向に回転させる。また、コントローラ150は、排紙センサ132による原稿の先端検知からの排紙モータ104のパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ133の上下ローラ対のニップから抜ける直前に、排紙モータ駆動速度を減速させて、スタック部Hの排紙トレイ134上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。
【0031】
一方、両面原稿読取りの場合には、排紙センサ132にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスカウントにより搬送中の原稿先端の位置が検出され、第2読取搬送部Fの第2画像読取部135の位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ150から第2画像読取部135に対して、原稿の裏面の副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第2画像読取部135を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取出口ローラ128およびCIS出口ローラ129の駆動により搬送される間に、原稿流し読み方式(シートスルー読取)で、第2画像読取部135によって原稿の裏面画像が読み取られる。
【0032】
第2画像読取部135と対向配置される第2読取ローラ136は、第2画像読取部135における原稿の浮きを抑えると同時に、基準白色部材を兼ねるものである。つまり、後述の第2画像読取部135における光源部200の光量を調整する光量調整動作を行う際に、第2読取ローラ136の表面を基準白色部材として利用し、この基準白色部材の読み取りが行われる。基準白色部材とは、第2画像読取部135によって読み取られる全領域が一様な高反射率を持つ部材である。第2画像読取部135が基準白色部材を読み取ることで得られる画像信号は、照明の照度ムラや黒レベルのばらつきが存在しない場合は、読取領域の全域において出力レベルが等しいフラットな信号となる。なお、この第2画像読取部135が基準白色部材を読み取ることで得られる画像信号は、光源部200の光量調整のほか、白シェーディング補正を行うためのシェーディングデータとしても利用される。白シェーディング補正により、上記の照度ムラがあった場合でも、その照度ムラの影響による画像信号の誤差が補正されることになる。
【0033】
本実施形態に係る複写機1では、上述したADF100の第2画像読取部135が、CIS方式により原稿を読み取る画像読取装置として構成されている。以下、この第2画像読取部135および第2画像読取部135に関わる制御系の構成について、さらに詳しく説明する。
【0034】
図4は、第2画像読取部135に関わる電気回路の要部を説明する図である。同図に示すように、第2画像読取部135は、LEDアレイ等からなる光源部200と、複数のセンサチップが主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並べられてなるラインセンサ201と、ラインセンサ201の各センサチップに個別に接続された複数のアンプ回路202と、各アンプ回路202に接続された複数のA/Dコンバータ203とを備える。ラインセンサ201が備える各センサチップは、等倍密着イメージセンサと称されるセンサチップであり、画素に対応して主走査方向に直線状に並べられた複数の光電変換素子と集光レンズとを具備している。
【0035】
また、第2画像読取部135の出力は、デジタル信号処理部210に接続されている。デジタル信号処理部210は、A/Dコンバータ203の出力信号を入力して原稿の画像データを生成する画像処理部205と、画像処理部205により生成される画像データをフレーム単位で保持するフレームメモリ206と、画像データの出力を制御する出力制御回路207およびI/F回路208とを備える。
【0036】
ADF100では、第2画像読取部135による読取位置(第2画像読取部135の読取面と対向する位置)に原稿が進入するのに先立って、コントローラ150から光源部200に点灯ON信号が送られる。これにより、光源部200が点灯し、その光を第2画像読取部135の読取位置(読取面と対向する位置)に進入した原稿に向けて照射する。原稿で反射した反射光は、ラインセンサ201が備える各センサチップにおいて、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。ラインセンサ201の各センサチップで読み取られた画像信号は、アンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタルデータに変換される。
【0037】
A/Dコンバータ203から出力される各デジタルデータは、画像処理部205に入力される。画像処理部205では、入力されたデジタルデータに黒補正(黒シェーディング補正)、白シェーディング補正などを施した後、原稿の画像データとしてフレームメモリ206に一時的に格納する。
【0038】
その後、フレームメモリ206に格納された原稿の画像データは、出力制御回路207によって本体制御部10に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路208を経由して本体制御部10に出力される。
【0039】
上述した第2画像読取部135やデジタル信号処理部210の動作は、コントローラ150により統括的に制御される。例えば、コントローラ150は、原稿の先端が第2画像読取部135による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や、ラインセンサ201の各センサチップを駆動するためのタイミング信号(後述の「XLSYNC」)、光源部200の点灯信号(後述の「LED_ON」)などを出力して、第2画像読取部135やデジタル信号処理部210の動作を制御する。また、第2画像読取部135やデジタル信号処理部210への電源供給は、コントローラ150の制御のもとで行われる。
【0040】
ここで、第2画像読取部135内の光源部200の光量を制御する方法の具体例について説明する。図5は、光源部200の光量を制御する方法の一例を説明する図である。図5中の「XLSYNC」は、1ラインの同期信号であり、ラインの先頭で数画素相当期間“L”レベルとなる信号である。この「XLSYNC」の1周期がライン周期であり、ラインセンサ201の各センサチップの光蓄積時間となる。また、図5中の「LED_ON」は、「XLSYNC」の立ち上がりに同期して、光源部200(本実施形態では光源部200にLEDアレイを用いることを想定している)の点灯期間“H”レベルとなる信号である。この「LED_ON」が“H”レベルとなっている期間であるアサート期間が、光源部200の点灯期間となる。
【0041】
光源部200の光量の制御は、「LED_ON」のアサート期間を調整することにより実現する。「LED_ON」は、コントローラ150内部の基準クロックをもとに生成される。「LED_ON」のアサート期間の調整は、例えば、コントローラ150内部にクロック数を設定するレジスタを設け、該レジスタに設定されているクロック数分の基準クロックをカウントしている間、「LED_ON」をアサートする構成において、レジスタに設定するクロック数を調整することで実現できる。つまり、レジスタに設定するクロック数を大きくすることで、光源部200の点灯時間を長くして光量を増加させることができ、レジスタに設定するクロック数を小さくすることで、光源部200の点灯時間を短くして光量を減少させることができる。
【0042】
次に、A/Dコンバータ203によるAD変換のダイナミックレンジを有効利用するための光源部200の光量調整について、具体的な例を挙げながら詳細に説明する。
【0043】
図6は、コントローラ150および画像処理部205において実現される光量調整に関わる機能構成を示すブロック図である。コントローラ150は、光量調整に関わる機能構成として、調整動作制御部301および光量設定部308を備える。また、画像処理部205は、光量調整に関わる機能構成として、ピーク値検出部302、第1ピーク値保持部303、第2ピーク値保持部304、第1光量設定値保持部305、第2光量設定値保持部306、および演算部307を備える。なお、図6中のDinは、光量調整動作の実行中に第2画像読取部135から画像処理部205に入力される画像信号を表している。
【0044】
調整動作制御部301は、光源部200の光量を調整するための光量調整動作の全体を制御する。調整動作制御部301は、光量調整動作の開始のトリガを検出すると、まず、光源部200の光量を予め定めた第1光量とするためのクロック数(以下、第1光量設定値という。)をレジスタに設定して第1光量設定値に応じた「LED_ON」を光源部200に出力するとともに、「XLSYNC」をラインセンサ201に出力する。これにより、ラインセンサ201の各センサチップは、第1光量で照明された基準白色部材の読み取りを行って、第1光量で照明された基準白色部材の画像信号(以下、第1画像信号という。)を出力する。この第1画像信号は、A/Dコンバータ203でAD変換された後、画像処理部205に入力される。また、画像処理部205には、調整動作制御部301が設定した第1光量設定値も入力される。なお、本実施形態では、上述したように、第2画像読取部135と対向配置される第2読取ローラ136を基準白色部材として利用する。
【0045】
また、調整動作制御部301は、第1光量で照明された基準白色部材の読み取りが終了すると、光源部200の光量を第1光量とは異なる第2光量とするためのクロック数(以下、第2光量設定値という。)をレジスタに設定して第2光量設定値に応じた「LED_ON」を光源部200に出力するとともに、「XLSYNC」をラインセンサ201に出力する。これにより、ラインセンサ201の各センサチップは、第2光量で照明された基準白色部材の読み取りを行って、第2光量で照明された基準白色部材の画像信号(以下、第2画像信号という。)を出力する。この第2画像信号は、A/Dコンバータ203でAD変換された後、画像処理部205に供給される。また、画像処理部205には、調整動作制御部301が設定した第2光量設定値も入力される。
【0046】
ピーク値検出部302は、第2画像読取部135から第1画像信号が入力されると、この第1画像信号のピーク値を検出する。ピーク値は、ラインセンサ201の主走査方向における全有効画素の画素出力をAD変換した値(画素値)のうち、最も高い値である。ピーク値検出部302が検出した第1画像信号のピーク値(以下、第1ピーク値という。)は、第1ピーク値保持部303に入力される。
【0047】
また、ピーク値検出部302は、第2画像読取部135から第2画像信号が入力されると、この第2画像信号のピーク値を検出する。ピーク値検出部302が検出した第2画像信号のピーク値(以下、第2ピーク値という。)は、第2ピーク値保持部304に入力される。
【0048】
第1ピーク値保持部303は、ピーク値検出部302により検出された第1ピーク値を保持する。また、第2ピーク値保持部304は、ピーク値検出部302により検出された第1ピーク値を保持する。
【0049】
第1光量設定値保持部305は、コントローラ150から入力された第1光量設定値を保持する。また、第2光量設定値保持部306は、コントローラ150から入力された第2光量設定値を保持する。
【0050】
演算部307は、第1ピーク値と第2ピーク値との差分、および、第1光量設定値と第2光量設定値との差分に基づいて、目標とする光量である第3光量を実現するためのクロック数(以下、第3光量設定値という。)を算出する。目標とする光量(第3光量)とは、A/Dコンバータ203によるAD変換のダイナミックレンジを有効に利用できるようにするための最適光量であり、例えば、基準白色部材の画像信号のピーク値が基準白色部材の反射率に応じて定めた目標値になる光量である。演算部307により算出された第3光量設定値は、コントローラ150に入力される。なお、演算部307による第3光量設定値の算出方法の具体例は後述する。
【0051】
光量設定部308は、演算部307により算出された第3光量設定値を、原稿読取時の光源200の光量設定値としてレジスタに設定する。光量設定部308が第3光量設定値をレジスタに設定すると、光量調整動作が終了する。光量調整動作の終了後は、原稿の読取時に、レジスタに設定された第3光量設定値に応じた「LED_ON」がコントローラ105から光源部200に出力され、第3光量で照明された原稿の読み取りが行われる。
【0052】
次に、演算部307による第3光量の算出方法の具体例について説明する。図7は、第3光量の算出方法の具体例を説明する図である。なお、図7に示す例では、説明を簡便にするために、光量調整動作の実行中に第2画像読取部135から画像処理部205に入力される画像信号は、黒レベルを除く白レベル(信号成分)が主走査全画素において共通であるものとする。
【0053】
図7(a)は、第2画像読取部135から画像処理部205に入力される第1画像信号の例を示し、図7(b)は、第2画像読取部135から画像処理部205に入力される第2画像信号の例を示している。なお、第1光量設定値は1000[CLK]であり、第2光量設定値は1500[CLK]であるものとする。これら第1光量設定値および第2光量設定値はコントローラ150から画像処理部205に通知され、第1光量設定値は第1光量設定値保持部305、第2光量設定値は第2光量設定値保持部306にそれぞれ保持される。
【0054】
また、基準白色部材の反射率に応じて定めた目標値は200であり、基準白色部材の画像信号のピーク値が200となる光量が第3光量となる。図7(c)は、第3光量で照明された基準白色部材の画像信号の例を表している。
【0055】
図7(a)に示す第1画像信号が画像処理部205に入力されると、ピーク値検出部302が、第1画像信号に含まれる主走査全画素の画素値のうち、最も高い出力レベルを示す画素値を第1ピーク値として検出する。図7(a)に示す例では、第1ピーク値=140である。ピーク値検出部302が検出した第1ピーク値は、第1ピーク値保持部303に保持される。
【0056】
また、図7(b)に示す第2画像信号が画像処理部205に入力されると、ピーク値検出部302が、第2画像信号に含まれる主走査全画素の画素値のうち、最も高い出力レベルを示す画素値を第2ピーク値として検出する。図7(b)に示す例では、第2ピーク値=170である。ピーク値検出部302が検出した第2ピーク値は、第2ピーク値保持部304に保持される。
【0057】
演算部307は、第1ピーク値保持部303に保持された第1ピーク値、第2ピーク値保持部304に保持された第2ピーク値、第1光量設定値保持部305に保持された第1光量設定値、および第2光量設定値保持部305に保持された第2光量設定値の4つの情報を用いて、例えば、以下に示す方法により第3光量設定値を算出する。
【0058】
第1ピーク値(本例では140)と第2ピーク値(本例では170)との差分、および、第1光量設定値(本例では1000[CLK])と第2光量設定値(本例では1500[CLK])との差分から、基準クロック1周期相当の光量変化量(単位光量変化量)あたりの画像信号(白レベル)の変化量を以下のように求めることができる。
(170−140)/(1500−1000)≒0.06
【0059】
したがって、例えば図7(b)に示した画像信号の第2ピーク値を、図7(c)に示すように目標値(本例では200)となるようにするための第3光量設定値は、以下のように求めることができる。
(200−170)/0.06+1500=2000[CLK]
なお、第2ピーク値および第2光量設定値に代えて第1ピーク値および第1光量設定値を用いて演算を行っても、上記と同じ結果となる。
【0060】
演算部307により以上のように算出された第3光量設定値(本例では2000[CLK])は、画像処理部205からコントローラ150に通知され、光量設定部308によりコントローラ150内のレジスタに設定される。
【0061】
なお、上述した目標値は、例えば、反射率100%の原稿を読み取った場合でも1画素の瞬時の画素値(平均化しない画素値)が255を超えないようにするとの観点から、基準白色部材の反射率に応じて定められる。上記の例では、基準白色部材の反射率が79%であるものとし、255×0.79≒200から、目標値を200としている。ただし、目標値を決定する方法はこの限りではなく、反射率以外の他の要因も考慮して決定するようにしてもよい。
【0062】
図8は、コントローラ150および画像処理部205において実行される光量調整動作の一連の手順を示すフローチャートである。この図8のフローチャートで示す光量調整動作は、調整動作制御部301が光量調整動作の開始のトリガを検出した際に開始される。
【0063】
光量調整動作が開始されると、まず、コントローラ150の調整動作制御部301が、第1光量設定値をレジスタに設定する(ステップS101)。調整動作制御部301が設定した第1光量設定値は画像処理部205に通知され、画像処理部205内の第1光量設定値保持部305に保持される(ステップS102)。
【0064】
次に、調整動作制御部301が、光源部200に対して第1光量設定値に応じた点灯信号(「LED_ON」)を出力し、光源部200を第1光量で点灯させる(ステップS103)。また、調整動作制御部301は、ラインセンサ201に対してタイミング信号を出力し、第1光量で照明された基準白色部材(本実施形態では第2読取ローラ136)の読み取りを行わせる(ステップS104)。読み取りの結果は、第1画像信号として画像処理部205に入力される。
【0065】
次に、画像処理部205のピーク値検出部302が、第1画像信号に含まれる主走査全画素の画素値のうち、最も高い出力レベルを示す画素値を第1ピーク値として検出する(ステップS105)。ピーク値検出部302が検出した第1ピーク値は、第1ピーク値保持部303に保持される(ステップS106)。
【0066】
次に、コントローラ150の調整動作制御部301が、第2光量設定値をレジスタに設定する(ステップS107)。調整動作制御部301が設定した第2光量設定値は画像処理部205に通知され、画像処理部205内の第2光量設定値保持部306に保持される(ステップS108)。
【0067】
次に、調整動作制御部301が、光源部200に対して第2光量設定値に応じた点灯信号(「LED_ON」)を出力し、光源部200を第2光量で点灯させる(ステップS109)。また、調整動作制御部301は、ラインセンサ201に対してタイミング信号を出力し、第2光量で照明された基準白色部材(本実施形態では第2読取ローラ136)の読み取りを行わせる(ステップS110)。読み取りの結果は、第2画像信号として画像処理部205に入力される。
【0068】
次に、画像処理部205のピーク値検出部302が、第2画像信号に含まれる主走査全画素の画素値のうち、最も高い出力レベルを示す画素値を第2ピーク値として検出する(ステップS111)。ピーク値検出部302が検出した第2ピーク値は、第2ピーク値保持部304に保持される(ステップS112)。
【0069】
次に、演算部307が、第1ピーク値保持部303に保持された第1ピーク値、第2ピーク値保持部304に保持された第2ピーク値、第1光量設定値保持部305に保持された第1光量設定値、および第2光量設定値保持部306に保持された第2光量設定値の4つの情報を用い、例えば上述した方法により、第3光量設定値を算出する(ステップS113)。演算部307が算出した第3光量設定値は、画像処理部205からコントローラ150に通知される。
【0070】
最後に、コントローラ150の光量設定部308が、画像処理部205から通知された第3光量設定値をコントローラ150内のレジスタに設定し(ステップS114)、一連の光量調整動作が終了する。
【0071】
以上のような光量調整動作は、一例として、第2画像読取部135の電源がオフからオンに切り替わるたびに行われる。つまり、コントローラ150の調整動作制御部301は、第2画像読取装置135に対する電源供給が開始されるタイミングを、光量調整動作の開始のトリガとして検出し、上述した光量調整動作を開始させる。
【0072】
第2画像読取部135の光源部200に用いられる白色LEDやキセノンランプなどの光源は、経時的に劣化が生じる。このため、例えば、製品の出荷時に上述した光量調整動作を行ったとしても、以後、光量調整動作を行わないとすると、製品出荷後の初期段階ではA/Dコンバータ203によるAD変換のダイナミックレンジを有効利用できていても、時間の経過とともに利用範囲が狭くなっていき、徐々に画質が劣化していく懸念がある。
【0073】
これに対して、第2画像読取部135の電源がオフからオンに切り替わるたびに上述した光量調整動作を行うようにすれば、経時的な光源の劣化が生じたとしても、A/Dコンバータ203によるAD変換のダイナミックレンジを有効利用できる状態を維持することができ、高品位な画像を継続的に得ることが可能となる。
【0074】
また、第2画像読取部135を備える複写機1が、その動作モードとして、第2画像読取部135に対する電源供給を遮断する省エネルギモードを有する場合、複写機1の動作モードが省エネルギモードに移行するときに上述した光量調整動作を行い、複写機1の動作モードが省エネルギモードから復帰するときには、上述した光量調整動作を行わないようにしてもよい。
【0075】
複写機1の動作モードが省エネルギモードから復帰する状況は、ユーザがすぐに複写機1を使用したいと考えている状況であることが多い。このため、複写機1の動作モードが省エネルギモードから復帰して第2画像読取部135の電源がオンになったときに上述した光量調整動作を行うと、ユーザが複写機1を使用できるようになるまでの待機時間が長くなり、ユーザにストレスを与えてしまう要因となることが想定される。
【0076】
このような問題を回避するには、複写機1の動作モードが省エネルギモードに移行するときに上述した光量調整動作を行い、複写機1の動作モードが省エネルギモードから復帰するときには、上述した光量調整動作を行わないようにすることが有効である。つまり、コントローラ150の調整動作制御部301は、複写機1の動作モードを、第2画像読取部135に対する電源供給を遮断する省エネルギモードに移行させる指令を、光量調整動作の開始のトリガとして検出し、上述した光量調整動作を開始させる。そして、光量調整動作が終了した後に、第2画像読取部135に対する電源供給を遮断させる。
【0077】
このとき、省エネルギモードが、第2画像読取部135に対する電源供給の遮断と併せてコントローラ150に対する電源供給も遮断するものである場合には、演算部307により算出された第3光量設定値を、コントローラ150の内部または外部に設けられた不揮発性メモリに保存しておき、複写機1の動作モードが省エネルギモードから復帰したときに、不揮発性メモリから第3光量設定値を読み出してコントローラ150内のレジスタに設定すればよい。
【0078】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態によれば、演算部307が、第1ピーク値と第2ピーク値との差分、および、第1光量設定値と第2光量設定値との差分に基づいて、目標とする光量である第3光量を実現するための第3光量設定値を算出する。そして、光量設定部308が第3光量設定値をレジスタに設定し、原稿の読み取りを行う際は、光源部200が第3光量で原稿を照明するようにしている。したがって、画像信号に含まれる黒レベルの大きさに関わらず、光源部200の光量を最適化して、AD変換後のデジタル画像信号が飽和しない範囲で画像信号の信号成分のみを大きくし、AD変換のダイナミックレンジを有効に利用することができ、AD変換後のデジタル画像信号の階調再現性を高めて、高品位な画像を得ることができる。
【0079】
(変形例)
なお、以上の説明では、ピーク値検出部302が、第2画像読取部135から1ライン分の画像信号を入力して、この画像信号に含まれる主走査方向の全有効画素の画素値のうち、最も高い値を第1ピーク値や第2ピーク値として検出する場合を想定している。しかしながら、以上のように1ライン分の画像信号から第1ピーク値や第2ピーク値を検出するようにした場合、ランダムノイズの影響により第1ピーク値や第2ピーク値の検出精度が低下する懸念がある。
【0080】
そこで、ピーク値検出部302の内部に平均化回路を設けるようにし、ピーク値検出部302が、複数ライン分の画像信号を入力して、画素ごとの画素値の平均値(複数ラインの画素値の平均値)を求め、求めた平均値のうちで最も高い値を第1ピーク値や第2ピーク値として検出するようにしてもよい。これにより、ランダムノイズの影響を抑制して、より高精度に第1ピーク値や第2ピーク値を検出することが可能となる。
【0081】
また、以上の説明では、第1ピーク値と第2ピーク値との差分を、第1光量と第2光量との差分で除算することにより、基準クロック1周期相当の光量変化量(単位光量変化量)あたりの画像信号(白レベル)の変化量を求めるようにしているが、基準クロック1周期相当の光量変化量あたりの画像信号の変化量を求めるために、必ずしも第1ピーク値と第2ピーク値との差分を用いる必要はない。例えば、主走査全画素の中で、演算に使用する画素を対象画素として予め定めておき、第1光量で照明された基準白色部材の読み取りによって得られる対象画素の出力レベルと、第2光量で照明された基準白色部材の読み取りによって得られる対象画素の出力レベルとの差分を求め、この差分を、第1光量と第2光量との差分で除算することによっても、基準クロック1周期相当の光量変化量あたりの画像信号の変化量を求めることができる。
【0082】
また、以上の説明では、光量調整動作の際の第2画像読取部135の読取対象として基準白色部材(第2読取ローラ136)を用いているが、第2画像読取部135によって読み取られる全領域が一様な反射率を持つような部材(光量変化に応じた画像信号の変化を判定するための基準となり得る基準部材)であれば、高反射率を有する基準白色部材に限らず様々な部材を、光量調整動作の際の第2画像読取部135の読取対象として用いることができる。この場合、光量調整動作の際の第2画像読取部135の読取対象として用いる基準部材の反射率に合わせて、基準部材の画像信号のピーク値の目標値を定めておけば、基準白色部材を読取対象として用いる場合と同様に、目標とする第3光量を算出することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、ラインセンサ201がRGB(Red、Green、Blue)の3つの色成分に対応した3つのラインセンサを有する場合の例である。第2の実施形態において、複写機1、第2画像読取部135、画像処理部205、およびコントローラ150の基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同様である。ただし、第2の実施形態では、画像処理部205のピーク値検出部302が、RGBの3つの色成分ごとに第1ピーク値および第2ピーク値をそれぞれ検出するようにしている。また、演算部307が、RGBの3つの色成分のうち、第1ピーク値または第2ピーク値と目標値との差分が最も小さい色成分を特定し、この色成分に対応する第3光量設定値を算出するようにしている。以下、第2の実施形態において特徴的な部分についてのみ説明し、第1の実施形態と重複した説明は省略する。
【0084】
図9は、本実施形態の第2画像読取部135が基準白色部材を読み取ることで得られる画像信号の例である。第2画像読取部135のラインセンサ201が、RGBの3つの色成分に対応した3つのラインセンサを有する場合、光源部200から所定の光量にて白色光を照射しても、各色成分に分解すると、各色成分に対するセンサの分光感度特性の差などによって、基準白色部材を読み取ることで得られた画像信号の各色成分の出力レベルは不均一となる。図9に示す例では、RGBの各色成分の画像信号のうち、G成分の画像信号の出力レベルが最も高く、R成分の画像信号の出力レベルがG成分の次に高く、B成分の画像信号の出力レベルが最も低くなっている。
【0085】
この場合、例えばB成分の第1ピーク値または第2ピーク値を目標値とするような第3光量を算出して、光源部200の光量をこの第3光量に設定すると、反射率の高い部分を含む原稿の読み取りが行われたときに、G成分やR成分の出力が飽和してしまい、原稿の反射率を忠実に反映した出力が得られなくなる懸念がある。
【0086】
そこで、本実施形態では、画像処理部205の演算部307が、以下のような方法により第3光量を算出することで、上記の弊害を未然に防止できるようにしている。
【0087】
第1ピーク値をPK1_*、第2ピーク値をPK2_*、第1光量設定値をα1、第2光量設定値をα2、目標値をTARGET_*、基準クロック1周期相当の光量変化量あたりの画像信号の変化量をΔW_*、光量調整値(第1ピーク値または第2ピーク値を目標値にするための光量の調整量)をΔα_*、第3光量の光量設定値をα3とする。なお、*は、R成分、G成分、B成分のいずれかであることを意味する。
【0088】
本実施形態では、まず、第1ピーク値PK1_*と、第2ピーク値PK2_*と、第1光量設定値α1と、第2光量設定値α2とから、基準クロック1周期相当の光量変化量あたりの画像信号の変化量ΔW_*を、以下のように求める。
ΔW_*=(PK2_*−PK1_*)/(α2−α1)
【0089】
次に、第2ピーク値を目標値にするための光量調整量Δα_*を、以下のように求める。
Δα_*=(TARGET_*−PK2_*)/ΔW_*
【0090】
次に、各色成分ごとに求めた光量調整量Δα_*、つまりΔα_R、Δα_G、Δα_Bのうち、最も値の小さいもの(Δαmin)を選択し、最終的に、以下のように第3光量の光量設定値α3を求める。
α3=α2+Δαmin
なお、上記の例では、第2ピーク値を目標値にするように演算を行っているが、第2ピーク値に代えて第1ピーク値を目標値にするような演算を行っても、上記と同じ結果となる。
【0091】
以上のように、本実施形態では、演算部307が、RGBの3つの色成分のうち、第1ピーク値または第2ピーク値と目標値との差分が最も小さい色成分を特定し、この色成分に対応する第3光量設定値を算出するようにしているので、原稿の読み取りにより得られる画像信号のうち、いずれかの色成分の出力が飽和してしまって、原稿の反射率を忠実に反映した出力が得られなくなるといった弊害を未然に防止することができる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、光量調整動作において、第3光量で照明された基準白色部材の読み取りをさらに行い、第3光量で照明された基準白色部材の画像信号(以下、第3画像信号という。)を取得する。そして、第3画像信号のピーク値(以下、第3ピーク値という。)を検出して、検出した第3ピーク値が目標値を超えているか否かを判定し、第3ピーク値が目標値を超えている場合には、第2ピーク値と第3ピーク値との差分、および、第2光量と第3光量との差分に基づいて、新たな目標とする光量である第4光量を実現するための第4光量設定値を算出するようにしている。第3の実施形態における複写機1、第2画像読取部135の基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第3の実施形態において特徴的な部分についてのみ説明し、第1の実施形態と重複した説明は省略する。
【0093】
第1の実施形態では、基準白色部材の読み取りによって得られる画像信号の白レベル(光信号成分)が、主走査全画素に共通である場合を例に説明した。これは、光源部200が基準白色部材の読取領域の全域に亘って照度ムラのない均一な照明を行うことができる場合を想定したものである。しかしながら、実際には、照度ムラのない均一な照明を行うことは難しく、画像信号の白レベルは画素によってばらつきが生じる場合が多い。また、画像信号に含まれる黒レベルについても、主走査全画素で一定にならずに画素によってばらつきが生じることは、上述した通りである。
【0094】
このため、稀に、第1ピーク値を出力する画素位置と、第2ピーク値を出力する画素位置が異なってしまい、第1の実施形態で説明した方法では第3光量を適切に算出できない場合がある。
【0095】
図10は、以上のような第3光量を適切に算出できないケースを例示したものである。なお、図10に示す例では、説明を簡便にするために、画像信号に含まれる主走査全画素の出力のうち、特に出力レベルが高い2つの画素出力のみを図示している。
【0096】
図10(a)は、第2画像読取部135から画像処理部205に入力される第1画像信号のうち、画素mの出力と画素nの出力とを示し、図10(b)は、第2画像読取部135から画像処理部205に入力される第2画像信号のうち、画素mの出力と画素nの出力とを示している。ここで、図10(a)の画素mの出力は、白レベル成分が80、黒レベル成分が20であり、図10(a)の画素nの出力は、白レベル成分が60、黒レベル成分が50である。また、図10(b)の画素mの出力は、白レベル成分が160、黒レベル成分が20であり、図10(b)の画素nの出力は、白レベル成分が120、黒レベル成分が50である。なお、第1光量設定値は1000[CLK]であり、第2光量設定値は2000[CLK]であるものとする。また、基準白色部材の反射率に応じて定めた目標値は200である。
【0097】
図10に示す例の場合、図10(a)の画素nの出力が第1ピーク値となり、第1ピーク値=110である。また、図10(b)の画素mの出力が第2ピーク値となり、第2ピーク値=180である。
【0098】
ここで、第1の実施形態と同様に、第1ピーク値(本例では110)と第2ピーク値(本例では180)との差分、および、第1光量設定値(本例では1000[CLK])と第2光量設定値(本例では2000[CLK])との差分から、基準クロック1周期相当の光量変化量(単位光量変化量)あたりの画像信号(白レベル)の変化量を算出すると、以下のようになる。
(180−110)/(2000−1000)≒0.07
【0099】
したがって、第1の実施形態と同様に第3光量設定値を算出すると、第3光量設定値は以下のようになる。
(200−180)/0.07+2000=2286[CLK]
【0100】
以上のように求めた第3光量設定値(2286[CLK])は、第1光量設定値(1000[CLK])の2.286倍である。したがって、第3光量で照明された基準白色部材の画像信号のうち、画素mの出力(第3ピーク値)は、80×2.286+20≒203となり、図10(c)に示すように、第3ピーク値が目標値である200を超えてしまうことになる。このように、第3ピーク値が目標値を超えるような第3光量は、光源部200の光量として適切でない。つまり、このような第3光量の照明下で反射率の高い部分を含む原稿の読み取りが行われると、反射率の高い部分に対応する出力が飽和してしまうことになる。
【0101】
そこで、本実施形態では、光量調整動作において、第3光量で照明された基準白色部材の読み取りを行って第3画像信号を取得し、第3ピーク値が目標値を超えているか否かを判定して、第3ピーク値が目標値を超えている場合には、第2ピーク値と第3ピーク値との差分、および、第2光量設定値と第3光量設定値との差分に基づいて、新たな目標とする光量である第4光量を実現するための第4光量設定値を算出するようにしている。
【0102】
図11は、本実施形態のコントローラ150’および画像処理部205’において実現される光量調整に関わる機能構成を示すブロック図である。コントローラ150’は、光量調整に関わる機能構成として、調整動作制御部301’および光量設定部308’を備える。また、画像処理部205’は、光量調整に関わる機能構成として、ピーク値検出部302’、第1ピーク値保持部303、第2ピーク値保持部304、第1光量設定値保持部305、第2光量設定値保持部306、第3ピーク値保持部309、第3光量設定値保持部310、および演算部307’を備える。なお、第1ピーク値保持部303、第2ピーク値保持部304、第1光量設定値保持部305、および第2光量設定値保持部306は、第1の実施形態と同様である。
【0103】
調整動作制御部301’は、第1の実施形態における調整動作制御部301と同様に、光量調整動作の全体を制御する。ただし、本実施形態の調整動作制御部301’は、光量設定部308’が第3光量を実現するためのクロック数(第3光量設定値)をレジスタに設定した際、この第3光量設定値に応じた「LED_ON」を光源部200に出力するとともに、「XLSYNC」をラインセンサ201に出力して、第3光量で照明された基準白色部材の読み取りを行わせる。
【0104】
ピーク値検出部302’は、第1の実施形態における調整動作制御部301と同様に、第2画像読取部135から第1画像信号が入力されると、第1ピーク値を検出して第1ピーク値保持部303に入力するとともに、第2画像読取部135から第2画像信号が入力されると、第2ピーク値を検出した第2ピーク値保持部304に入力する。また、ピーク値検出部302’は、第2画像読取部135から第1画像信号が入力されると、第3ピーク値を検出する。ピーク値検出回路302’は、内部に比較回路が設けられており、第3ピーク値を検出した場合、比較回路を用いて第3ピーク値が目標値を超えているか否かを判定する。そして、ピーク値検出回路302’は、第3ピーク値が目標値を超えていると判定した場合には、第3ピーク値を第3ピーク値保持部309に入力する。
【0105】
第3ピーク値保持部309は、ピーク値検出部302’により検出された第3ピーク値を保持する。また、第3光量設定値保持部310は、演算部307’の第3光量算出部307aで算出された第3光量の設定値(第3光量設定値)を保持する。
【0106】
演算部307’は、第3光量算出部307aと第4光量算出部307bとを有する。第3光量算出部307aは、第1の実施形態の演算部307と同様に、第1ピーク値保持部303に保持された第1ピーク値と、第2ピーク値保持部304に保持された第2ピーク値と、第1光量設定値保持部305に保持された第1光量設定値と、第2光量設定値保持部306に保持された第2光量設定値との4つの情報を用いて、第3光量設定値を算出する。第3光量算出部307aにより算出された第3光量設定値は、コントローラ150’に通知されるとともに、第3光量設定値保持部310に入力されて、第3光量設定値保持部310により保持される。
【0107】
第4光量算出部307bは、ピーク値検出部302’により第3ピーク値が目標値を超えていると判定されて、第3ピーク値が第3ピーク値保持部309に保持された場合に機能するものである。第4光量算出部307bは、第2ピーク値保持部304に保持された第2ピーク値と、第3ピーク値保持部309に保持された第3ピーク値と、第2光量設定値保持部306に保持された第2光量設定値と、第3光量設定値保持部310に保持された第3光量設定値との4つの情報を用いて、新たに目標とする光量である第4光量を実現するための第4光量設定値を算出する。なお、第4光量算出部307bによる第4光量設定値の算出方法は、第1ピーク値が第2ピーク値、第2ピーク値が第3ピーク値、第1光量設定値が第2光量設定値、第2光量設定値が第3光量設定値にそれぞれ変わるだけで、基本的な算出方法は、第3光量算出部307aによる第3光量設定値の算出方法、つまり、第1の実施形態で説明した方法と同様である。
【0108】
光量設定部308’は、演算部307’の第3光量算出部307aにより第3光量設定値が算出され、第3光量設定値がコントローラ150’に通知されると、この第3光量設定値をコントローラ150’内のレジスタに設定する。また、光量設定部308’は、演算部307’の第4光量算出部307bにより第4光量設定値が算出され、第4光量設定値がコントローラ150’に通知されると、この第4光量設定値をコントローラ150’内のレジスタに設定する。
【0109】
図12は、コントローラ150’および画像処理部205’において実行される本実施形態の光量調整動作の一連の手順を示すフローチャートである。この図12のフローチャートで示す光量調整動作は、調整動作制御部301’が光量調整動作の開始のトリガを検出した際に開始される。なお、図12のステップS201からステップS213までの処理は、図8のステップS101からステップS113までの処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0110】
本実施形態では、演算部307’の第3光量算出部307aにより第3光量設定値が算出されると、この第3光量設定値が第3光量設定値保持部310に保持される(ステップS214)。また、コントローラ150’の光量設定部308’が、第3光量設定値をレジスタに設定する(ステップS215)。そして、調整動作制御部301’が、光源部200に対して第3光量設定値に応じた点灯信号(「LED_ON」)を出力し、光源部200を第3光量で点灯させる(ステップS216)。また、調整動作制御部301’は、ラインセンサ201に対してタイミング信号を出力し、第3光量で照明された基準白色部材の読み取りを行わせる(ステップS217)。読み取りの結果は、第3画像信号として画像処理部205’に入力される。
【0111】
次に、画像処理部205’のピーク値検出部302’が、第3画像信号に含まれる主走査全画素の画素値のうち、最も高い出力レベルを示す画素値を第3ピーク値として検出する(ステップS218)。そして、ピーク値検出部302’は、検出した第3ピーク値が、基準白色部材の反射率に応じて定めた目標値を超えているか否かを判定する(ステップS219)。ここで、第3ピーク値が目標値を超えていなければ(ステップS219:No)、そのまま光量調整動作が終了する。つまり、この場合はコントローラ150’内のレジスタに第3光量設定値が設定された状態が維持され、光量調整動作の終了後は、原稿の読取時に、レジスタに設定された第3光量設定値に応じた「LED_ON」がコントローラ150’から光源部200に出力され、第3光量で照明された原稿の読み取りが行われることになる。
【0112】
一方、第3ピーク値が目標値を超えている場合は(ステップS219:Yes)、ピーク値検出部302が検出した第3ピーク値が、第3ピーク値保持部309に保持される(ステップS220)。そして、演算部307’の第4光量算出部307bが、第2ピーク値保持部304に保持された第2ピーク値、第3ピーク値保持部309に保持された第3ピーク値、第2光量設定値保持部306に保持された第2光量設定値、および第3光量設定値保持部310に保持された第3光量設定値の4つの情報を用い、第4光量設定値を算出する(ステップS221)。演算部307’の第4光量算出部307bが算出した第4光量設定値は、画像処理部205’からコントローラ150’に通知される。
【0113】
最後に、コントローラ150’の光量設定部308’が、画像処理部205’から通知された第4光量設定値をコントローラ150’内のレジスタに設定し(ステップS222)、一連の光量調整動作が終了する。
【0114】
以上のように、本実施形態では、光量調整動作において第3光量で照明された基準白色部材の読み取りも行うようにしている。そして、ピーク値検出部302’が第3ピーク値を検出して、第3ピーク値が目標値を超えるか否かを判定し、第3ピーク値が目標値を超える場合には、演算部307’の第4光量算出部307bが、第2ピーク値、第3ピーク値、第2光量設定値、および第3光量設定値の4つの情報を用いて、新たな目標とする光量である第4光量を実現するための第4光量設定値を算出するようにしている。したがって、本実施形態によれば、基準白色部材の読み取りによって得られる画像信号の白レベルに画素ごとのばらつきが生じていたとしても、AD変換のダイナミックレンジを有効に利用することができるように光源部200の光量を最適化することができ、AD変換後のデジタル画像信号の階調再現性を高めて、高品位な画像を得ることができる。
【0115】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上記の実施形態では、CIS方式の第2画像読取部135に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、CIS方式の画像読取装置に限らず様々な方式の画像読取装置に適用することができる。したがって、複写機1の第2画像読取部135だけでなく、第1画像読取部131に対しても本発明を適用することも可能である。
【0116】
また、上記の実施形態は、本発明を複写機1に適用した例であるが、本発明は、光学的に原稿の読み取りを行う画像読取装置を備えた画像形成装置、例えば、ファクシミリ装置や複合機など、様々な形態の画像形成装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 複写機
3 画像形成部
100 ADF
135 第2画像読取部
136 第2読取ローラ
150,150’ コントローラ
200 光源部
201 ラインセンサ
205,205’ 画像処理部
301,301’ 調整動作制御部
302,302’ ピーク値検出部
303 第1ピーク値保持部
304 第2ピーク値保持部
305 第1光量設定値保持部
306 第2光量設定値保持部
307,307’ 演算部
307a 第3光量算出部
307b 第4光量算出部
308,308’ 光量設定部
309 第3ピーク値保持部
310 第3光量設定値保持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開2007−81696号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源により照明された読取対象の画像信号を出力するイメージセンサと、
所定の基準部材を第1光量で照明したときに前記イメージセンサから出力される第1画像信号と前記基準部材を第2光量で照明したときに前記イメージセンサから出力される第2画像信号との差分、および、前記第1光量と前記第2光量との差分に基づいて、目標とする光量である第3光量を算出する第1算出手段と、
原稿を前記読取対象とするときの前記光源の光量を前記第3光量に設定する光量設定手段と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1算出手段は、前記第1画像信号のピーク値と前記第2画像信号のピーク値との差分、および、前記第1光量と前記第2光量との差分に基づいて、前記第3光量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1算出手段は、前記第1画像信号のピーク値と前記第2画像信号のピーク値との差分を、前記第1光量と前記第2光量との差分で除算することで、単位光量変化量あたりの画像信号の変化量を求め、前記第1画像信号のピーク値または前記第2画像信号のピーク値と所定の目標値との差分を、前記単位光量変化量あたりの画像信号の変化量で除算することで、前記第1画像信号のピーク値または前記第2画像信号のピーク値を前記目標値にするために必要な光量変化量を求め、求めた光量変化量を前記第1光量または前記第2光量に加算することで、前記第3光量を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記イメージセンサは、主走査方向に並ぶ複数の画素からライン周期ごとにそれぞれ画素値を出力して、1ラインごとの画像信号を出力するラインセンサであり、
前記第1画像信号のピーク値および前記第2画像信号のピーク値は、前記イメージセンサの各画素から複数のライン周期において出力される画素値の平均値のうち、最も大きい値であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記イメージセンサは、RGBの各色成分ごとに前記第1画像信号および前記第2画像信号を出力し、
前記第1算出手段は、RGBの各色成分のうち、前記第1画像信号のピーク値または前記第2画像信号のピーク値と前記目標値との差分が最も小さい色成分に対応する前記第3の光量を算出することを特徴とする請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記基準部材を前記第3光量で照明したときに前記イメージセンサから出力される第3画像信号が所定の目標値を超えている場合に、前記第2画像信号と前記第3画像信号との差分、および、前記第2光量と前記第3光量との差分に基づいて、新たな目標とする光量である第4光量を算出する第2算出手段をさらに備え、
前記光量設定手段は、前記第2算出手段が前記第4光量を算出した場合、原稿を前記読取対象とするときの前記光源の光量を前記第4光量に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記イメージセンサは、複数のセンサチップを有し、
前記画像信号は、前記複数のセンサチップの出力を合成して生成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置の前記イメージセンサから出力される原稿の画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記第1算出手段は、前記画像読取装置の電源がオフからオンに切り替わるたびに前記第3光量の算出を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、動作モードの1つとして前記画像読取装置に対する電力の供給を遮断する省エネルギモードを有し、
前記第1算出手段は、前記画像形成装置の動作モードが前記省エネルギモードに移行するときに前記第3光量の算出を行い、前記画像形成装置の動作モードが前記省エネルギモードから復帰するときは前記第3光量の算出を行わないことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−42377(P2013−42377A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178097(P2011−178097)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】