説明

画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】簡単な構成でLED基板や導光板の温度上昇による熱変形を抑えて画像不良の発生を防ぐことができる画像読取装置を提供すること。
【解決手段】複数のLED54を主走査方向に列状に実装して成るLED基板53と、該LED基板53上の前記LED54の光出射方向前方に配置された導光板55と、原稿からの反射光を偏光するミラーを含んで構成される光学系ユニットを副走査方向に移動させながら原稿画像を読み取る画像読取装置において、前記導光板55の主走査方向複数箇所を押圧部材58によって前記LED基板53上に押圧する。又、前記押圧部材58の押圧側の面に白塗装を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源として原稿画像を読み取る画像読取装置とこれを備えた複写機やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置には原稿画像を光学的に読み取るための画像読取装置が設置されるが、この画像読取装置は、一般的には光源やミラー等を備えた光学系キャリッジを有しており、この光学系キャリッジを箱状構造体である光学フレーム内で副走査方向に移動させることによって、CCD等の撮像素子によって原稿画像を読み取るよう構成されている。
【0003】
ところで、近年、斯かる画像読取装置の光源には、立ち上がり時間が短く、省エネルギ化と長寿命化が可能なLED(発光ダイオード)が採用されつつある。この場合、高い原稿面照度を確保するために複数のLEDがLED基板上に主操作方向に列状に実装される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
点光源である複数のLEDをLED基板上に主操作方向に列状に実装して成る光源を使用する場合、主走査方向にLEDのピッチに相当するリップル状の照度ムラが現れる。このため、LED基板上のLEDの光出射方向前方に導光板を配置し、LEDから出射される光を導光板によって拡散して照度を主走査方向に均一化して照度ムラを無くすことが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、LEDを光源として用いる画像読取装置においては、LEDから出射される指向性の高い光を原稿面と反射板に効率的に導くため、導光板はLED基板上にその全面が貼り付けられる等の方法によって密着状態で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−180841号公報
【特許文献2】特開2008−172564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像読取装置の光源としてLEDを使用する場合、LEDの発熱量が大きいため、該LEDを実装するLED基板や該LED基板上に全面密着状態で配置された導光板の温度上昇が著しく、これらのLED基板や導光板に熱変形が生じる。このようにLED基板や導光板が熱変形すると、設計通りの光照射が行われず、原稿面への照射光量が不足したり、部分的な光量不足が発生し、画像不良の発生を招くという問題が生ずる。
【0008】
そこで、従来、LED基板や導光板に熱変形を防ぐために冷却ファンを設けてLED基板や導光板を冷却してそれらの温度上昇を抑えたり、LED基板や導光板を取り付けるための取付板の形状を工夫することによってLED基板や導光板の冷却効果を高める等の工夫がなされている。
【0009】
ところが、近年、画像読取装置の小型化や高速化に伴い筐体である光学フレーム内の温度も上昇傾向にあり、LED基板や導光板の或る程度の温度上昇は避けられないのが実情である。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成でLED基板や導光板の温度上昇による熱変形を抑えて画像不良の発生を防ぐことができる画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数のLEDを主走査方向に列状に実装して成るLED基板と、該LED基板上の前記LEDの光出射方向前方に配置された導光板と、原稿からの反射光を偏光するミラーを含んで構成される光学系ユニットを副走査方向に移動させながら原稿画像を読み取る画像読取装置において、前記導光板の主走査方向複数箇所を押圧部材によって前記LED基板上に押圧したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記押圧部材をバネ部材で構成するとともに、前記LED基板を支持する支持部材の副走査方向端縁に形成されたフランジ部に前記押圧部材の基端部を取り付け、各押圧部材のバネ部先端を前記導光部材に押圧したことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記押圧部材の押圧側の面に白塗装を施したことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記押圧部材と前記LED基板との間に所要の絶縁距離が確保されるよう前記押圧部材に傾斜を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1〜4の何れかに記載の画像読取装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、導光板の主走査方向複数箇所を押圧部材によってLED基板上に押圧したため、LEDから発生する熱によってLED基板や導光板の温度が上昇しても、これらの熱変形が押圧部材による導光板のLED基板への押圧によって抑えられ、押圧部材を用いた簡単な構成で画像不良の発生が防がれる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、LED基板を支持する支持部材の副走査方向端縁に形成されたフランジ部に押圧部材の基端部を取り付けることによって該押圧部材を支持部材に簡単に固定することができ、各押圧部材のバネ力によって導光板を押圧してこれをLED基板上に密着させることができるため、両者の熱変形を抑制することができる。又、押圧部材を熱伝導率の高い金属で構成すれば、該押圧部材の放熱作用によってLED基板や導光板の温度上昇を抑えてそれらの熱変形を一層効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、押圧部材の押圧側の面に白塗装を施したため、導光板から漏れる光を押圧部材によって反射させて導光板に戻し、この光を原稿面の照射に有効に利用することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、押圧部材の傾斜によって該押圧部材とLED基板との間に所要の絶縁距離が確保されるため、LED基板が押圧部材に対して確実に電気的に絶縁され、該LED基板が押圧部材から電気的な悪影響を受けることがない。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、画像読取装置のLED基板や導光板の温度上昇による熱変形を簡単な構成で抑えて高質画像を安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置(複合機)の縦断面図である。
【図2】本発明に係る画像読取装置の縦断面図である。
【図3】本発明に係る画像読取装置の第1光学系ユニットの縦断面図である。
【図4】本発明に係る画像読取装置の第1光学系ユニットの斜視図である。
【図5】本発明に係る画像読取装置の第1光学系ユニットを底面側が見た斜視図である。
【図6】本発明に係る画像読取装置に使用される押圧部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明に係る画像形成装置の縦断面図であり、図示の画像形成装置1は、複写機能とプリンタ機能及びファクシミリ機能を兼備した複合機であって、用紙の両面に画像を形成することができる装置である。この画像形成装置1は、装置本体2とその上部に配された自動原稿搬送装置(ADF)3及び本発明に係る画像読取装置4を備えており、装置本体2の内部上方には、画像形成部5が配され、装置本体2内の下半部には用紙収納部6が配されている。又、装置本体2内の画像形成部5と用紙収納部6の間には転写搬送ユニット7と両面搬送ユニット8が配されており、転写搬送ユニット7には反転手段を構成する反転ローラ36と反転コロ37が備えられている。
【0024】
上記画像読取装置4は、原稿画像を光学的に読み取るための装置であって、その構成の詳細は後述する。
【0025】
前記画像形成部5は、電子写真方式によって画像を形成するものであって、回転可能に配された像担持体としての感光ドラム9と、その周囲に配された帯電器10、現像装置11、転写ローラ12及びクリーニング装置13の他、現像装置11に現像剤であるトナーを補給するためのトナーホッパー14を備えている。尚、画像形成部5の横には、走査光学手段であるレーザースキャナユニット(LSU)15が配置されている。
【0026】
前記用紙収納部6は、複数枚の用紙が積層収容された着脱可能な4つの給紙カセット16,17,18,19を備えており、各給紙カセット16〜19の近傍には、各給紙カセット16〜19内の用紙を上位のものから順次取り出すピックローラ20と、取り出された用紙を1枚ずつ分離して送り出すフィードローラ21とリタードローラ22がそれぞれ配設されている。又、バイパストレイ23の近傍には、バイパス搬送手段としてのピックローラ20、フィードローラ21、リタードローラ22及び搬送ローラ24が設けられている。尚、図1において25,26,27は搬送ローラである。
【0027】
前記転写搬送ユニット7は、用紙収納部6から送り出された用紙を適当なタイミングで画像形成部5へと搬送するとともに、画像形成部5において画像が形成された用紙を不図示の排紙トレイへと排出するものであって、用紙収納部6から画像形成部5に至る第1搬送経路S1に配置されたレジストローラ28、前記転写ローラ12、画像形成部5から排紙手段としての後述の排紙ローラ31に至る第2搬送経路S2に設けられた定着装置29と搬送ローラ30及び排紙ローラ31を備えている。ここて、定着装置29は、圧接状態で互いに回転する定着ローラ29aと加圧ローラ29bを備えている。
【0028】
又、転写搬送ユニット7は画像形成装置本体2に対して着脱可能であって、該転写搬送ユニット7には、第2搬送経路S2から分岐して両面搬送ユニット8の反転ローラ36と反転コロ37に至る横U字状の第3搬送経路S3が設けられており、その途中には搬送ローラ32が設けられている。又、転写搬送ユニット7には前記第3搬送経路S3とは別に反転搬送経路S3’が第2搬送経路S2から分岐して下方に延びており、その途中には搬送ローラ33が設けられている。そして、第2搬送経路S2と第3搬送経路S3との分岐部には、用紙の搬送方向を切り換えるためのフラッパ34が回動可能に設けられている。
【0029】
前記両面搬送ユニット8は、画像形成部5において画像が形成された用紙の表裏を反転させるものであって、前記第3搬送経路S3と反転搬送経路S3’に連なる中間トレイ35とその下方に配された第4搬送経路S4を備えており、中間トレイ35には、正逆転可能な反転ローラ36と、該反転ローラ36に対して圧接/離間する反転コロ37が設けられている。
【0030】
又、両面搬送ユニット8には大径の再給紙ローラ38が回転可能に設けられており、この再給紙ローラ38の外周には小径のローラ39,40が回転可能に当接している。尚、再給紙ローラ38には不図示の一方向クラッチが設けられている。そして、反転手段を構成する前記反転ローラ36と反転コロ37からは第4搬送経路S4が延びており、この第4搬送経路S4は前記第1搬送経路S1に合流している。
【0031】
上記第4搬送経路S4には、互いに当接する搬送ローラ42と搬送コロ41が用紙搬送方向に沿って3組設けられている。又、再給紙ローラ38の近傍には、中間トレイ35に一旦引き込まれた用紙の搬送方向を切り換えるためのフラッパ43が回動可能に設けられている。尚、本実施の形態では、両面搬送ユニット8の第4搬送経路S4には、2枚以上の用紙を保留可能な2つ以上の用紙保留位置が備えられている。
【0032】
ここで、本発明に係る前記画像読取装置4の構成を図2〜図6に基づいて説明する。
【0033】
図2は本発明に係る画像読取装置の縦断面図、図3は同画像読取装置の第1光学系ユニットの縦断面図、同画像読取装置の第1光学系ユニットの斜視図、図5は同第1光学系ユニットを底面側が見た斜視図、図6は同画像読取装置に使用される押圧部材の斜視図である。
【0034】
図2に示すように、画像読取装置4は、筐体を構成する箱状構造体である光学フレーム44を備えており、この光学フレーム44の上面にはコンタクトガラス4aが設けられている。
【0035】
又、光学フレーム44の内部には、コンタクトガラス4a上に載置された原稿Gに向けて光を照射して該原稿Gを照明する照明部45と、原稿Gにて反射した照射光を90°方向に反射させる第1反射ミラー46とで構成される第1光学系ユニット47と、第1反射ミラー46にて反射した反射光を90°方向に反射させる第2反射ミラー48と、該第2反射ミラー48にて反射した反射光を更に90°方向に反射させる第3反射ミラー49とで構成される第2光学系ユニット50が不図示のガイドレールに沿って副走査方向(図2の左右方向)に移動可能に収容されている。
【0036】
更に、光学フレーム44の内部には結像レンズ51と撮像素子であるCCD52が収容されており、前記第3反射ミラー49にて反射した原稿Gからの反射光は、結像レンズ51によって収束した後にCCD52に入射し、該CCD52上に結像される。
【0037】
ところで、前記照明部45は、図3及び図4に示すように、光源としてLED基板53上に主走査方向に列状(アレイ状)に実装された複数のLED54を使用するものであって、LED基板53上のLED54の光出射方向前方(図3の左方)には主走査方向(図3の紙面垂直方向)に長い導光板55がその全面をLED基板53に密着した状態で貼り付けられて配置されている。そして、多数のLED54が実装されたLED基板53と導光板55は、板金のプレス成型品である支持部材56上に水平に取付支持されている。尚、導光板55は透明樹脂によって構成されており、これには拡散シートの貼付、表面処理、レンズカット等の拡散処理がなされている。
【0038】
又、上記支持部材56上の前記導光板55に対向する位置には、主走査方向(図3の紙面垂直方向)に長い反射板57が斜めに取り付けられて配置されている。尚、この反射板57は、図2及び図3に矢印にて示すようにLED54から導光板55を通って出射した光L1を反射させてコンタクトガラス4a上の原稿Gに照射するためのものである。又、LED54から導光板55を通って出射した光L2は、コンタクトガラス4a上の原稿Gに向けて照射され、原稿Gにて反射した光L3は鉛直下方に向かい第1反射ミラー46によって90°方向に反射される。
【0039】
而して、本実施の形態では、図3〜図5に示すように、導光板55の主走査方向(長手方向)複数箇所(本実施の形態では5箇所)がバネ部材である押圧部材58によってLED基板53上に押圧されている。ここで、押圧部材58は、図6に示すように、板金をL字状に折り曲げて構成され、その基部58Aの幅方向中央には円孔状のビス孔58aが形成され、その両側には長孔状の位置決め58bと切欠き状の回り止め孔が形成されている。又、押圧部材58の押圧側の面(図6において斜線を付した面)には反射処理としての白塗装が施されている。
【0040】
そして、図3に示すように、押圧部材58には、該押圧部材58とLED基板53との間に所要の絶縁距離が確保されるよう傾斜が設けられている。
【0041】
他方、前記支持部材56の副走査方向端縁(図3の右端縁)には垂直上方に直角に折り曲げられたフランジ部56Aが形成されており、図4及び図5に示すように、フランジ部56Aの主走査方向(長手方向)複数箇所に5つの押圧部材58がその基部58Aをビス孔58aに挿通するビス59によって螺着されることによって取り付けられており、各押圧部材58のバネ部58Bの先端が導光板55の上面をLED基板53側(下方)へと押圧している。ここで、本実施の形態では、5つの押圧部材58が支持部材56の主走査方向(長手方向)に等間隔で取り付けられるが、支持部材58のフランジ部56Aの各押圧部材58が取り付けられる箇所にはピン状のボス56a,56bがそれぞれ突設されている。そして、一方のボス56aは押圧部材58の位置きめ孔58bに嵌合し、他方のボス56bは押圧部材58の回り止め孔58cに係合しており、これによって各押圧部材58の位置決めと回り止めがなされている。尚、本実施の形態では、押圧部材58を板金製としたが、押圧部材58を樹脂製としても良い。
【0042】
次に、以上のように構成された図1に示す画像形成装置1の画像形成動作について説明する。
【0043】
例えば、自動原稿搬送装置3の原稿トレイ3aにセットされた原稿Gが原稿読取部であるコンタクトガラス4a上に自動的に搬送され、その原稿Gの画像が画像読取装置4によって光学的に読み取られる。即ち、第1光学系ユニット47と第2光学系ユニット50が不図示のガイドレールに沿って副走査方向(図1の左右方向)に移動しながらコンタクトガラス4a上に載置された原稿Gを走査すると、第1光学系ユニット47のLED54から導光板55を通過して原稿Gに向かう光L2と反射板57にて反射して原稿Gに向かう光L1によって原稿Gが照射され、原稿Gにて反射した反射光L3は第1光学系ユニット47の第1反射ミラー46にて90°方向に反射する。そして、この光L3は、第2光学系ユニット50の第2反射ミラー48と第3反射ミラー49にて90°方向にそれぞれ反射し、結像レンズ51によって収束した後にCCD52に入射し、該CCD52によって読み取られて電気信号に変換される。
【0044】
上述のようにして原稿Gの画像が画像読取装置4によって光学的に読み取られると、画像形成部5においては、感光ドラム9が不図示の駆動手段によって図1の矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その表面が帯電器10によって所定の電位に一様に帯電される。そして、画像読取装置4から送信される電気信号に基づくレーザー光がレーザースキャナユニット15から出力されて感光ドラム9上に照射されると、該感光ドラム9上に静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム9上に形成された静電潜像は、現像装置11によってトナーを用いて現像されてトナー像として可視像化される。
【0045】
ところで、カセット給紙を行う場合、用紙収納部6の例えば給紙カセット16内に収容された用紙は、ピックローラ20によって最上位のものから1枚ずつピックアップされ、フィードローラ21とリタードローラ22によって1枚ずつ分離されて搬送ローラ25,26によって第1搬送経路路S1をレジストローラ28へと搬送される。そして、レジストローラ28においては、用紙は、一時待機状態とされた後、感光ドラム9上のトナー像に同期する所定のタイミングで画像形成部5へと供給される。
【0046】
画像形成部5においては、感光ドラム9と転写ローラ12との間の転写ニップへと供給された用紙は、転写ローラ12によって感光ドラム9に押し付けられながら搬送されることによって、その表面(第1面)に感光ドラム9上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された用紙は、定着装置29へと搬送され、この定着装置29の定着ローラ29aと加圧ローラ29b間の定着ニップを通過する過程で加熱及び加圧されてトナー像の定着を受ける。尚、用紙へのトナー像の転写後に感光ドラム9の表面に残留するトナー(転写残トナー)はクリーニング装置13によって除去される。
【0047】
而して、定着装置29にて表面にトナー像が定着された用紙は、フェースアップ排紙(FU排紙)が選択されている場合には、フラッパ34によってその搬送方向が決定され、用紙は第2搬送経路S2をそのまま排紙ローラ31に向かって搬送され、排紙ローラ31によって画像面を上にして不図示の排紙トレイへと排出される。
【0048】
一方、フェースダウン排紙(FD排紙)又は両面画像モードが選択された場合には、フラッパ34が動作して用紙の搬送方向が切り換えられ、定着装置29を通過した用紙は横U字状の第3搬送経路S3を通って両面搬送ユニット8へと搬送される。
【0049】
両面搬送ユニット8においては、反転コロ37は反転ローラ36から離間した状態で待機しており、用紙が両面搬送ユニット8に或る一定以上送られると、反転コロ37は反転ローラ36に圧接される。このように反転コロ37が反転ローラ36に圧接されると、反転ローラ36が正転されて用紙が送られてきた方向に引き込まれ、用紙が或る一定以上引き込まれると反転ローラ36が逆転されて用紙がスイッチバックされて反転搬送経路S3又は第4搬送経路S4へと送られる。即ち、フェースダウン排紙が選択されている場合には、フラッパ43によって用紙の搬送方向が反転搬送経路S3へと切り換えられ、用紙は画像面を下にした状態で排紙ローラ31によって不図示の排紙トレイへと排出される。
【0050】
又、両面画像モードが選択されている場合には、フラッパ43によって用紙の搬送方向が第4面搬送経路S4の方向に切り換えられ、用紙は、再給紙ローラ38と反転コロ41及び搬送ローラ42によって第4搬送経路S4を画像面を上にして搬送され、第4搬送経路S4から第1搬送経路S1へと受け渡されることによって表裏が反転されて画像面を下にした状態でレジストローラ28へと送られる。そして、以後は前述と同様のプロセスを経て用紙の反対面(第2面)にトナー像が形成され、このトナー像が形成された用紙は、定着装置29によってトナー像の定着を受けた後に排紙ローラ対31によって不図示の排紙トレイへと排出され、該用紙の両面に画像が形成される。
【0051】
尚、以上はカセット給紙を行う場合について説明したが、手差し給紙を行う場合には、バイパストレイ23上にセットされた用紙は、ピックローラ20によって最上位のものから1枚ずつピックアップされ、フィードローラ21とリタードローラ22によって1枚ずつ分離されて搬送ローラ24によって第1搬送経路S1をレジストローラ28へと搬送され、以後は前記と同様のプロセスを経て該用紙に画像が形成される。
【0052】
而して、以上のプロセスを経て用紙に画像を形成する画像形成装置1に設けられた本発明に係る画像読取装置4においては、導光板55の主走査方向(長手方向)複数箇所(本実施の形態では5箇所)を押圧部材58によってLED基板53上に押圧したため、LED54から発生する熱によってLED基板53や導光板55の温度が上昇しても、これらの熱変形(特に上に凸の湾曲)が押圧部材58による導光板55のLED基板53への押圧によって抑えられ、押圧部材58を用いた簡単な構成で画像不良の発生を防ぐことができる。
【0053】
又、本実施の形態では、LED基板53を支持する支持部材56の副走査方向端縁に形成されたフランジ部56Aに押圧部材58の基端部58Aをビス59によって取り付けることによって該押圧部材58を支持部材56に簡単に固定することができ、各押圧部材58のバネ力によって導光板55を押圧してこれをLED基板53上に密着させることができるため、両者の熱変形を抑制することができる。そして、本実施の形態では、押圧部材58を熱伝導率の高い金属で構成したため、該押圧部材58の放熱作用によってLED基板53や導光板55の温度上昇を抑えてそれらの熱変形を一層効果的に抑制することができる。
【0054】
更に、本実施の形態では、各押圧部材58の押圧側の面に白塗装を施したため、導光板55から漏れる光を押圧部材58によって反射させて導光板55に戻し、この光を原稿Gの照射に有効に利用することができるという効果も得られる。
【0055】
以上のように、本発明に係る画像読取装置4によれば、押圧部材58で導光板55の複数箇所を押圧するという簡単な構成でLED基板53や導光板55の温度上昇による熱変形を抑えることができるため、該画像読取装置4を備えた図1に示す画像形成装置1によって用紙に高質画像を安定的に形成することができる。
【0056】
又、本実施の形態では、図3に示すように、押圧部材58の傾斜によって該押圧部材58とLED基板53との間に所要の絶縁距離が確保されるため、LED基板53が押圧部材58に対して確実に電気的に絶縁され、該LED基板53が押圧部材58から電気的な悪影響を受けることがないという効果も得られる。
【0057】
尚、本実施の形態では、本発明を複合機及びこれに備えられた画像読取装置に対して適用した例について説明したが、本発明は、単体としての複写機、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置及びこれに備えられた画像読取装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。又、本実施の形態では、導光板55の5箇所を押圧部材58によって押圧する構成を採用したが、導光板55を押圧する箇所の数は任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
3 自動原稿搬送装置
3a 原稿トレイ
4 画像読取装置
4a コンタクトガラス
5 画像形成部
6 用紙収納部
7 転写搬送ユニット
8 両面搬送ユニット
9 感光ドラム
10 帯電器
11 現像装置
12 転写ローラ
13 クリーニング装置
14 トナーホッパー
15 レーザースキャナユニット(LSU)
16〜19 給紙カセット
20 ピックローラ
21 フィードローラ
22 リタードローラ
23 バイパストレイ
24〜27 搬送ローラ
28 レジストローラ
29 定着装置
29a 定着ローラ
29b 加圧ローラ
30 搬送ローラ
31 排紙ローラ
32,33 搬送ローラ
34 フラッパ
35 中間トレイ
36 反転ローラ
37 反転コロ
38 再給紙ローラ
39,40 ローラ
41 搬送コロ
42 搬送ローラ
43 フラッパ
44 光学フレーム
45 照明部
46 第1反射ミラー
47 第1光学系ユニット
48 第2反射ミラー
49 第3反射ミラー
50 第2光学系ユニット
51 結像レンズ
52 CCD
53 LED基板
54 LED
55 導光板
56 支持部材
56A 支持部材のフランジ部
56a,56b 支持部材のボス
58 押圧部材
58A 押圧部材の基部
58B 押圧部材のバネ部
58a 押圧部材のビス孔
58b 押圧部材の位置決め孔
58c 押圧部材の回り止め孔
59 ビス
G 原稿
L1〜L3 光
S1 第1搬送経路
S2 第2搬送経路
S3 第3搬送経路
S3’ 反転搬送経路
S4 第4搬送経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを主走査方向に列状に実装して成るLED基板と、該LED基板上の前記LEDの光出射方向前方に配置された導光板と、原稿からの反射光を偏光するミラーを含んで構成される光学系ユニットを副走査方向に移動させながら原稿画像を読み取る画像読取装置において、
前記導光板の主走査方向複数箇所を押圧部材によって前記基板上に押圧したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記押圧部材をバネ部材で構成するとともに、前記LED基板を支持する支持部材の副走査方向端縁に形成されたフランジ部に前記押圧部材の基端部を取り付け、各押圧部材のバネ部先端を前記導光部材に押圧したことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記押圧部材の押圧側の面に白塗装を施したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記押圧部材と前記LED基板との間に所要の絶縁距離が確保されるよう前記押圧部材に傾斜を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−49808(P2011−49808A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196415(P2009−196415)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】