画像読取装置及びこれを備えた複写機、並びに画像読取方法
【課題】照射光の有効利用を図りながら、受光面全体における受光センサの受光量の均一化を図った画像読取装置の提供。
【解決手段】 主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置。
【解決手段】 主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びこれを備えた複写機、並びに画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置において画像読み取りを行う読取光学系は、基本的な構成として図10に示すようになっている。図10に従って説明すると、原稿台であるコンタクトガラス3の上に配置された原稿2の光軸P付近の原稿2a上の画像に光源1zから光を照射し、原稿2a上の画像の反射光を読取光学系の光軸P上を反射鏡15a,15b,15cを介してレンズ14に導き、この画像をレンズ14により光量センサ4上に結像させる。光量センサ4は、受光素子、CCD、CCD素子、イメージセンサ等ともいわれる固体撮像素子である。なお、リフレクタ13は、光源1zから光を有効に原稿2に照射するための反射鏡である。
【0003】
通常の画像読取装置は、原稿の一点のみの画像を読み取るのではなく、平面(二次元)の画像を読み取るように構成されている。そのための方法として、まず図10における左右方向(画像読取装置におけるこの方向を副走査方向という。)の原稿の画像を読み取る工夫がなされている。そのひとつは、コンタクトガラス3上の原稿2を副走査方向に沿って移動しながら、光軸P上に到達した原稿2a上の画像情報を光量センサ4によって読み取っていけば、時系列的に副走査方向の画像情報を読み取ることができる。この方法は、原稿自動送りによる画像読み取りといわれている。
【0004】
また、別の副走査方向の画像読取方法として、原稿2をコンタクトガラス3上に固定したまま、副走査方向に画像を読み取っていく方法がある。この画像読取方法では、原稿2はレンズ14及び光量センサ4に対し相対的に固定されており、光源1zと反射鏡15a及びリフレクタ13が一体となって副走査方向に、例えば図10の左から右へ移動する。そうすると、原稿2上の光源1zが照射する位置も左から右へ移動する。同時に、反射鏡15aと原稿2との間の光軸Pも左から右へ移動し、原稿2と光軸Pとの交点2aが常に光量センサ4の画像読み取り位置になる。このようにすれば、原稿を移動させなくても、原稿上の画像情報を副走査方向に読み取っていくことができる。さらに、反射鏡15aの移動速度の1/2の速さで、反射鏡15b,15cを反射鏡15aと平行に移動させることにより、原稿2からレンズ14までの光軸の距離を一定に保つことができ、原稿2の発光光量に対するレンズ14面の受光光量の比率を一定とすることができる。
【0005】
次に、原稿の読み取りにおける主走査方向(主走査方向とは、原稿読み取りにおいて、原稿に対して光源及び/又は反射鏡が相対的に移動する方向(副走査方向)に垂直な方向であり、図10における紙面に垂直な方向に相当する。)の読み取り方法について説明する。図11は、図10に示した読み取り光学系を側面から見たところを説明する図である。但し、説明をし易くするため、光源1zは原稿の上に記載し、反射鏡15a,15b,15cは省いており、この読取光学系は原稿2からレンズ14までの光軸の長さを表すように、光軸を縦に真っ直ぐ引き延ばして記載している。この読取光学系は、図11からも判るように、原稿2の画像の主走査方向への拡がりに対しては、レンズ14によって縮小して光量センサ4が主走査方向に平行に複数配列されたラインセンサ4h上に結像させている。そして、ラインセンサ4h上に結像した画像情報は、各々の光量センサ4により読み取られる。このため、このような読取光学系を縮小光学系ともいう。このようにして、画像読取装置では平面(二次元)の画像を主走査方向と副走査方向とに区別して読み取っている。なお、主走査方向については、原理的には、時間差がなく読み取ることができるが、光量センサで読み取った情報を電子情報などに変換して、処理したり記憶したりする都合上、時系列的に読み取っていることが多い。そうすれば、二次元の画像情報を時系列的に読み取り、処理、記憶などをすることが容易にできる。
【0006】
原稿照明に使用される光源としては、キセノンランプ、冷陰極管、ハロゲンランプといった棒状の光源装置が、主走査方向全体を照射するように配置されていることが多い。これらの光源装置は、部分的に光量を調整することができず、基本的には光源装置の長さ方向である主走査方向に均一な光量の照射光で原稿を照射している。光源は、主走査方向に均一であっても、受光素子上は均一でない場合があるため、そのときには、機械的に照射光の一部を遮ること(メカシェーディング)で、必要な照射光量の調整を図る手法が取られていた。
【0007】
また、上述した棒状のランプ光源にかわって、高輝度化したLED(発光ダイオード)を平行に複数個並べて棒状光源とした光源が採用されるようになってきている。ここで、均一な光量のLEDを並べただけでは原稿面での光量は一定であり、照射光の調整にはメカシェーディングが必要になり、照射光の有効利用にはつながらない。そこで、光源の長さ方向に個々のLEDの発光量を調整できる利点を利用して、個々のLEDの発光量を制御してやれば、照射光の有効利用が可能となる。
【0008】
例えば、特許文献1には、両開きにした厚手の本をそのまま読み取るときのように、均一な平面にならない読み取り原稿からの画像読取において、原稿からの反射光量の不均一性をなくす目的で、ランプ光源に代えて複数個のLEDを用いた照明系を構成し、ラインセンサの読取方向である主走査方向に対して平行に判列されたLEDを、両開きした本の中央部分に相当する読み取り画像の中央部分の反射光量を補うために、個々に又は各ブロック毎に中央の照射光量を増加させる光量調整する方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、複数のLEDを用いた照射装置で照射する読み取り光学系において、原稿上への照射光のリップル現象(照射光量の不均一化現象)を改善する目的で、リフレクタにより原稿への照射光量の均一化を図る方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−314760号公報
【特許文献2】特開2003−245955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1においては、平面状にできない原稿のように原稿そのものに画像読み取り上の問題がある原稿に対処する方法であり、原稿にはいろいろなものがあるので、大まかな照射光量の調整しかできない。また、読み取り画像の状況は一回ごとに異なるので、それ以上の調整をしても労力の割に効果が少ない。そこで、この特許文献においてはLEDの調整については、詳細な開示はされていない。また、読み取り原稿の本を開いた中央線は、主走査方向に垂直に配置されていることが前提となる。
【0011】
特許文献2における画像読取装置は、原稿全体への均一照射の付与を目的とするものである。
【0012】
ところで、この画像読取装置の縮小光学系においては、原稿2の主走査方向への拡がりは、レンズ14に入射する光線の角度の拡がりとして比較的広いものである。このようにレンズ14に入射する光線が光軸に対し比較的大きな角度を持つと、レンズの一般的な光学特性として、光軸に対し比較的大きな角度を持つ光線は透過光量が低下する現象がある。これを図11(b)に表した。図11(b)は、均一な光学特性を持つ、例えば白基準板のような原稿に均一な光量の照明を当てて、レンズ14を含む縮小光学系で、ラインセンサ4h上に原稿2上の画像情報を結像させたときの、受光素子毎の受光量を定性的に示している。原稿2から照射する光線の光量が一定でも、ラインセンサ4h上の受光量は、レンズ14の光量減衰特性に従って、光軸Pから遠ざかるほど大きくなっている。言い換えれば、このような縮小光学系では、原稿2に均一な光を照射しても、レンズ14の光学特性により、光軸から離れた位置の原稿2からの光線は、ラインセンサに到達する比率が少ない。すなわち、縮小光学系、特にレンズ系においては、光軸から離れた位置の原稿2からの光線は、透過光量の減衰が起こりやすい特性がある。
【0013】
ラインセンサ4hにおける各光量センサ4は、シェーディング補正を行うことで、受光した光量を、例えば電気的に増幅して補償することができる。その点では、レンズ14による光量減衰があっても問題はない。しかし、光量センサ4における光電変換や、光量センサ4が受光した画像情報の増幅による補償前において何らかのノイズが発生すると、S/N(シグナル/ノイズ比)が大きくなってしまい、ノイズの影響が大きくなってしまう。そうすると、読み取られた画像情報としては、原稿中心部に近い部分は良質でノイズの少ない(S/Nの大きい)情報であっても、光軸から離れた原稿端部の画像情報はノイズの影響の大きい(S/Nの小さい)品質の劣った情報となってしまう。そして、画像情報全体としては、好ましくない情報となってしまう。
【0014】
この原稿端部のS/N低下による画質のばらつきを避けるため、従来はメカ的に中央の光を部分的に遮ること(メカシェーディング)で、中央部と端部との受光量の均一化を図る手法が取られていた。この場合、全体の受光量の均一化はできるが、受光する光量は端部の低い部分に合わせている。そうすれば、全体のS/Nが低い状態に合わせているので、その分光源ランプの発光量を増加して、原稿からの出射光量を増加させている。しかし、光源ランプの発光量には限界があり、また光源ランプの発光量を増加すれば、光源ランプが高発熱となるため冷却機能の追加が必要となる。さらに光源ランプの発光量を増加させるためには、駆動するインバータなどの付属機器を高価なものにする必要がありコスト高になってくる。また、光エネルギーの有効利用という観点からも、発光量を上げてメカシェーディングするということは好ましくない。
【0015】
本発明は、上述の問題点に鑑み、照射光の有効利用を図りながら、受光面全体における受光センサの受光量の均一化を図った画像読取装置、及びこれを備えた複写機並びに画像読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置である。
【0017】
好ましい本発明は、前記縮小光学系の光学特性は、前記原稿の主走査方向における各位置からの反射光に対する前記縮小光学系での減衰光量であることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0018】
好ましい本発明は、前記複数の点光源は、配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、各ブロック毎に照射光量が制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0019】
好ましい本発明は、前記点光源毎又はブロック毎の照射光量を制御する照射光量制御手段を、さらに備えたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0020】
好ましい本発明は、前記点光源は、指向性を有することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0021】
好ましい本発明は、前記原稿の読取位置を照射するそれぞれの点光源又はブロックの照射光量は、前記縮小光学系の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量と、前記光軸位置から前記読取位置までの距離と、前記原稿から前記レンズまでの光軸の距離とに応じて制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0022】
好ましい本発明は、前記原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源又はブロックの照射光量Axは、下記の式(1)に従って制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
但し、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。
【0023】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、前記光量センサの受光量が均一になるよう、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0024】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、すべての前記光量センサの受光量が所定値以上となるように、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0025】
本発明は、主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、前記光源により照射された原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取る、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサと、前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備える画像読取装置であって、前記照射光量制御手段は、前記光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して、所定の点光源で照射したときの光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、前記受光量記憶手段により記憶された受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えることを特徴とする画像読取装置である。
【0026】
好ましい本発明は、前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0027】
好ましい本発明は、前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御する前記画像読取装置である。
【0028】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して最大照射光量で点灯した点光源からの照射光を受光する光量センサの受光量が、所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0029】
好ましい本発明は、前記各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0030】
好ましい本発明は、前記各点光源の照射光量を表す指標を表示可能としたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0031】
本発明は、前記画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えた複写機である。
【0032】
本発明は、主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取方法であって、前記縮小光学系の光学特性に基づいて前記点光源毎の照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする画像読取方法である。
【0033】
好ましい本発明は、前記複数の点光源を配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、ブロック毎に照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする前記画像読取方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、照射光の有効利用を図りながら、受光面全体における受光センサの受光量の均一化を図った画像読取装置、及びこれを備えた複写機並びに画像読取方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の画像読取装置は、原稿の読み取り方向である主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成され光源により照射された前記原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によってラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置である。そして、この画像読取装置は、前記レンズの光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が個々に又はブロック毎に制御されていることを特徴とする。点光源としては、通常LED(発光ダイオード)が使用されるが、有機EL(有機発光素子)などを使用してもよい。
【0036】
画像読取装置における縮小光学系は、レンズを含んでいると、光軸付近の交線に対し、光軸から離れた位置に結像する光線は透過光量が減少する特性がある。本発明の画像読取装置は、この透過光量の減少を補償するように、光軸から離れた位置の読み取り画像を照射する点光源の照射光量が制御されている。この制御方法においては、画像読取装置の製造時に点光源を調整して設定してもよいし、画像読取装置に点光源の発光量を調整する照射光量制御手段を備えて、この照射光量制御手段により発光量を制御してもよい。発光量の制御方法としては、点光源がLEDの場合には、LEDへの印加電流制御によれば容易である。
【0037】
棒状のランプ光源にかわって高輝度化したLEDを平行に複数個並べて、棒状光源として採用されるようになってきているが、従来のランプ光源と比べてLEDを複数個並べて構成した場合の利点は、光源の長さ方向に個々のLEDの発光量を調整できることが挙げられる。
【0038】
一般に、点光源としてのLEDは指向性を有し非常に小さいので、主走査方向全体を照射する棒状の照射装置を形成するためには、多数のLEDを使用する必要がある。そこで、LED一つ一つの光量をそれぞれに設定したり制御したりしてもよいし、同じ部分を照射するLEDをひとまとめのブロックとして、ブロックごとに照射光量を設定したり、制御したりしてもよい。
【0039】
さらに、光源の照射効率を向上させるためには、LEDそのものの指向性をさらに向上させたり、リフレクタを利用して光源の指向性を向上させたりすることが好ましい。
【0040】
図1を用いて、本発明の画像読取装置の概略を説明する。図1は、本発明の画像読取装置の機能ブロック図の例である。この画像読取装置においては、光源1は原稿2の主走査方向に対して同時に照射できる長さを有するLEDの集合体で形成されており、それぞれのLEDの照射光量は、光量算出手段6で算出された光量を基に、光量調整手段7、光量制御手段8により調整される。これらの光量算出手段6、光量調整手段7、光量制御手段8が、全体として照射光量制御手段である。光源から照射された光は、コンタクトガラス3上の原稿2を照射し、原稿2から反射した画像情報の光は、後述するレンズを含む縮小光学系を介して光量センサであるイメージセンサ4に受光される。イメージセンサ4で受光された光は、光電変換され、さらにアナログデジタル変換器9でデシタル信号とされ、データ処理部10において画像補正処理され記憶部12に記憶される。出力レベル検出手段は、照射光に対する反射率が一定である標準原稿とすることができる白基準板を読み取った際の出力レベルを検出する。制御部5は、これらの各手段や各機器を全体として制御して画像読取装置として機能させている。
【0041】
図2,3を参照して本発明の画像読取装置における読取光学系を説明する。図2は、本発明の画像読取装置における読取光学系を主走査方向側から見た構成図である。図3は、この読取光学系を副走査方向から見た縮小光学系の図であるが、図11と同じように、光軸を真っ直ぐに伸ばした状態にして記載している。図2において、光源装置は、光源1と、光源1の照射効率を向上させるリフレクタ13と、照射効率の向上とともに光源の指向性を向上させるリフレクタ13bとを備えている。この為、点光源1は、原稿2のほぼ一点である原稿と光軸との交点2aを照射している。原稿上の点2aに照射された光は、原稿により反射されて画像情報を有する光となり、反射鏡15a,15b,15cを介してレンズ14到達する。レンズ14では集光されて光量センサ4上のほぼ一点に結像する。図2において、光源1、リフレクタ13,13b、反射鏡15aは、一体に支持されて図の左右方向に移動可能になっており、原稿2上を例えば左から右へと照射しながらその画像情報を光量センサ4に送り、原稿の左右方向の画像を読み取っていくことができる。なお、この際、反射鏡15b,15cを反射鏡15aのちょうど半分の速度で、平行に移動させることにより、原稿からレンズまでの光軸の距離を常に一定に保つことができる。
【0042】
次に、図3を参照にして、主走査方向の読取光学系の説明をする。原稿2の主走査方向における画像情報の読み取りは、縮小光学系を用いて、主走査方向の読み取り幅全体をラインセンサ4hにより読み取る。すなわち、原稿中心部の光軸Pに近い部分は、ラインセンサ4hの中央部の光量センサで読み取り、原稿端部は光軸Pに角度θを有する光線により、ラインセンサ4hの端部の光量センサで読み取る。この為、主走査方向における原稿の読み取りにおいては、すでに説明したように、レンズの光学特性により、原稿端部の受光効率が原稿中央部の受光効率よりも低下している。
【0043】
これをレンズの光学特性を示す図4により説明すると、原稿面に照射される照射光が主走査線上の全ての位置で100%として、白基準板の原稿面から画像情報として反射される光がレンズを透過して受光素子(光量センサ)に到達する光の受光量は、光軸上において100%とすれば、光軸から離れるほど少なくなっていき、例えば光軸から100mm離れた位置の原稿からの光の受光量は70%となっている。実際の読み取り原稿においても、原稿面から画像情報として反射される光がレンズを透過して受光素子に到達する光の受光量は、光軸上において70%とすれば、光軸から離れるほど少なくなっていき、光軸から100mm離れた位置の原稿からの光の受光量は約50%となってしまう。
【0044】
このように、原稿の主走査方向においては、位置によって原稿からの光の受光効率が異なってしまう。受光効率の変化だけであれば、受光素子が受けた信号情報を受光位置に応じて増幅すれば、信号レベルを回復することができる。しかし、この場合、受光素子が受けた信号情報を受光位置に応じて、増幅するまでに発生したノイズについても増幅してしまうことになる。すなわちS/N(信号/ノイズ比)を改善することはできない。このため、増幅した部分の画像情報の品質は劣化したままである。
【0045】
本発明の画像読取装置では、受光素子が受けた信号情報を増幅するのではなく、レンズの透過特性の劣る光軸から離れた部分の原稿によって反射する光の光量を上げるため、その部分に照射する照射光の光量を増加させている。従来のような棒状のランプ光源ではこのような光源の光量調整は不可能であったが、LEDのような点光源であれば、原稿端部を照射する端部のLEDのみの光量を増加させることで、光源の光量調整が可能となる。
【0046】
さらに精密に調整するためには、標準原稿の役目を果たす装置内部に設けられた白基準板を用いて、全ての受光素子の受光量が同じになるように点光源を調整すればよい。そうすれば、従来のように、強すぎる受光量に対してメカシェーディング等により、光を遮ってひかりエネルギーの浪費をすることもなくなる。
【0047】
図5は、本発明の画像読取装置における、点光源を用いたライン状の光源1hの構成図の例である。ここで、光源1a,1b,1b',1c,1c',1d等は、個々の光源であったり光源グループであったりすればよい。
【0048】
図6は、図5に示したライン状光源1hを備えた縮小光学系の説明図である。図6(a)は、図3に示した縮小光学系と同じように、光軸Pから遠ざかる原稿位置ほど、レンズ14への入射角θが大きくなっていることを示している。図6(b)は、ライン状の光源1hの角光源1a,1b,1b'等の照射光量が調整されており、原稿2から反射する光の光量が光軸との交点である中心から遠ざかるほど多くなっていることを示している。逆に、レンズ14は光軸と大きな角度をなす光ほど透過効率が悪いことを示している。結果として、原稿2から反射してきた光は、レンズ14を通ってラインセンサ4hの各受光素子上では同じ光量の光となっていることを示している。
【0049】
図7には、この関係をグラフとして示した。それぞれ光軸上の光量を1として基準化しているが、レンズの光学特性による主走査方向の光透過量の低下を補償するように、照射光量を増加させて、受光素子の受光量を常に一定となるようにしている。このようにすることで縮小光学系の反射又は透過による光量低下の影響を除いて、原稿に照射した光を最大限利用することになり、エネルギー利用効率、発光素子の有効利用の観点からも好適な光学系を構築できる。
【0050】
次に、この光学系における、個々の点光源の具体的な照射光量の決定方法について説明する。第一の照射光量の決定方法は、点光源毎の照射光量を下記の式(1)により算出して決定する。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
ここで、Axは原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源の照射光量、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源の照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。
【0051】
上式(1)において、tan−1(X/L)は図6におけるθに相当し、COS4(tan−1(X/L)は角度θ(=tan−1(X/L))から入射する光線の光量に対する出射する光量の比である。このCOS4(tan−1(X/L)は、光軸上すなわちθ=0のとき1であり、θが大きくなるほど小さくなる凸レンズにみられる光学特性を示している。
【0052】
このレンズの光学特性を利用すれば、レンズと原稿との光学的な距離と原稿上の主走査方向における光軸位置からの距離が決まれば、原稿上の特定の位置を照射する点光源の発光量を算出できる。
【0053】
本発明の画像読取装置は、この算出した点光源の発光量をそれぞれ予め設定しておいてもよいし、レンズ中心から原稿面までの光軸の距離Lを記憶しておき、原稿毎の主走査方向の幅に従って点光源の発光量を算出して設定してもよい。点光源の発光量の変更は点光源に対する印加電流値によって制御することができる。
【0054】
発光素子毎の発光量を制御する他の方法は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して前記ラインセンサが読み取った画像情報における各光量センサの受光量が、均一又は所定値以上となるように前記各点光源の照射光量を制御することある。各光量センサの受光量が、均一又は所定値以上となれば、同じノイズの大きさに対して、所定のS/N以上とすることができるので、全ての光量センサの画像情報が所定以上の品質を保つことができる。なお、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して各光量センサの受光量が均一でないときには、その受光比率に応じて光量センサからの受光信号を増幅又は減少させて均一化させればよい。なお、ここで用いる標準原稿は、通常の紙の原稿の形態をしている必要はなく、装置に備え付けられた白基準板のような照射光に対する反射率が均一な部材についても一種の標準原稿とみなすことができる。
【0055】
具体的に白基準板等を用いて点光源の発光光量を制御する方法について説明する。図8は、指向性を有する光源1a,1b,1cからなる光源と、それぞれの光源1a,1b,1cにより照射された原稿2の受光光量(原稿2が白基準板であれば、原稿の反射光量でもある。)A,B,Cの重なりを模式的に表したものである。光源1a,1b,1cをひとつずつ点灯して、原稿2を出力レベル200/(250)の白基準板とした場合の、原稿2上の各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量を測定する。その結果が、例えば、光源1a点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が120,30,0、光源1b点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が20,150,20、光源1c点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が0,35,130であったとする。
【0056】
このような光源を備えた光学系において、光源1a,1b,1cを全部点灯すれば、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量は、加成性が成り立ち、140,215,150となる。そこで各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量を全て200とするための、光源1a,1b,1cの当初発光量に対する調整比率を求めると、
120X+20Y=200
30X+150Y+35Z=200
20Y+130Z=200
(X:光源1aの調整比率,Y:光源1bの調整比率,Z:光源1cの調整比率)
からX,Y,Zを求めればよい。
【0057】
演算すれば、X=1.576,Y=0.540,Z=1.4545となる。すなわち、この例においては、点光源1a,1b,1cは、1.576:0.540:1.4545の比率で照射強度を設定すればよい。このように、光学的に均一な基準板を使用してそれぞれの点光源の照射強度を測定して演算すれば、COS4θの演算をしなくとも、容易に各点光源の必要な光源強度が設定できる。なお、この場合も、点光源はひとつずつの点光源でなくても、グループ化した光源を点光源とみなして計算してもよい。
【0058】
LEDの場合、印加電流と発光光度は比例している場合もあるが、そうでない場合もある。このような場合は、発光光度と印加電流の関係を照射光量制御手段等に記憶させておけば、容易に正確な印加電流が算出できる。
【0059】
本発明の画像読取装置を他の観点から説明すると、原稿の読み取り方向である主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、前記光源により照射された前記原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取るラインセンサと、前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備えており、前記照射光量制御手段は、前記ラインセンサ上に配置した各光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して所定の照射光量の点光源で照射したとき、前記受光量検出手段により検出した各光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、前記受光レベル記憶手段により記憶しておいた、それぞれの点光源による照射に対して各光量センサが受光した受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えていることを特徴とする。このような画像読取装置であれば、上記のような光量調整が可能である。
【0060】
さらに、前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えていることが好ましい。各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えていれば、一旦各点光源の照射光量を算出して記憶しておけば、つねにその記憶値を使用して照射光量を設定できる。
【0061】
また、前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御できることが好都合である。その点LEDは、印加する電力量により照射光量の制御が容易であり、好適な光源とすることができる。LEDは、その他にも指向性があり、発熱が少なく、複数個をグルーブ化して取り扱いやすい点からも本発明における点光源として好適である。
【0062】
本発明の画像読取装置は、例えば白基準板のような所定の原稿に対して、最大照射光量とした点光源に対応する受光センサの受光量が所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えることが好ましい。点光源を最大照射光量としても対応する受光センサの受光量が所定値以上とならない場合は、点光源の照射能力が落ちており、又はなくなっており、点光源を交換する必要がある。受光センサの受光量によりこの不具合を判断できる点光源判定手段を備え手おれば、点光源の不具合を容易に判定できる。
【0063】
なお、本発明の画像読取装置は、白色(全波長を含む色)に係るものであってもよいが、複数の色(波長)に係る複数の光学系を有する画像読取装置であってもよい。複数の色に係る画像読取装置の場合、各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することになる。例えば、Y,C,Mの三色それぞれに光学系及びラインセンサを備えた画像読取装置がある。
【0064】
また、本発明の画像読取装置は、各点光源の照射光量を表す指標を表示可能とすることが好ましい。このようにすることで、設定されている各点光源の照射光量を認識することができ、以上の発見が容易であるだけでなく、各点光源の負荷の状況を確認することもできる。
【0065】
図9に示したフローチャートに基づいて、LED光源の光量調整方法について説明する。図9(a)は、画像読取装置が照射光量制御手段を備えており、照射光量制御手段にはすでに各点光源の各指定位置の出力レベルが記憶されている。この場合は、画像読取装置をスタートさせると、照射光量制御手段から記憶していた点光源の各指定位置の出力レベルを読み出して(S1)、読み出した点光源の各指定位置の出力レベルに調整して点灯させる(S2)。そして、原稿の画像情報を読み取ればよい。
【0066】
次に、図9(b)に示したLED光源の光量調整方法について説明する。まず、調整前に原稿として白基準板をセットしておく。そして、光量調整をスタートする。白基準板に対する点光源の位置情報からLEDの電流値を演算する(S11)。そして各LEDを点灯する(S12)。各LEDを点灯したら、ラインセンサにより各指定位置の出力レベルを検出する(S13)。各指定位置の出力レベルが所定の範囲内であれば、各指定位置の光量は正常であるのでLED光源の光量調整は終了する(S14のY)。各指定位置の出力レベルが所定の範囲内になければ(S14のN)、指定された任意のLEDのみ点灯して他は消灯する点灯テストを行う(S15)。このLEDに対応する指定位置の受光素子の受光レベルを検出して記憶しておく(S16)、指定位置の受光素子の受光レベルが所定値以上であることを確認する(S17のY)。指定位置の受光素子の受光レベルが所定値以上でなければ(S17のN)、LEDの故障と判断する(S22)。全てのLEDについて点灯テストを行うまで(S18のN)LEDを代えて点灯テストを続ける(S21)。全てのLEDについて点灯テストを行ったら(S18のY)、すでに説明した方法により、各受光素子が所定値又は所定値以上の受光量を満足するようにLEDの発光光量を電流値として算出し記憶しておく(S19)。この算出又は記憶した電流値を各LEDに印加する(S20)ことでLED光源の光量調整は終了する。
【0067】
本発明の複写機は、上述の画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えている。画像形成装置としては、どのようなタイプの物でもよいが、例えば、電子写真方式の画像形成装置やインクジェットタイプの画像形成装置などが挙げられる。また、複写機としては、画像読み取りと読み取った画像情報から画像の形成という複写機能を有する機械という意味であり、その他に印刷やファクシミリや画像投影や音声受発信機能などの、各種機能が付加された装置でもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の画像読取装置の機能ブロック図
【図2】本発明の画像読取装置における読取光学系の構成図
【図3】縮小光学系の模式図
【図4】レンズにおける光学特性を示す図
【図5】複数の点光源を用いたライン状光源の構成図
【図6】本発明の画像読取装置の光量調整に係る説明図
【図7】主走査方向に対するレンズの光等価特性の調整を示す図
【図8】3個の点光源を用いて照射光源を構成した場合の各点光源からの光の重なりを示す図
【図9】LED光源の光量調整を示すフローチャート
【図10】従来の画像読取装置の読み取り光学系を説明する図
【図11】従来の画像読み取り装置の縮小光学系を説明する図
【符号の説明】
【0069】
1,1h,1z 光源
1a〜1d,1a'〜1c' 点光源
2 原稿
2a 原稿と光軸との交点
3 コンタクトガラス
4 光量センサ(受光素子、イメージセンサ)
4h ラインセンサ
5 制御部
6 光量算出手段
7 光量調整手段
8 光量制御手段
9 アナログデジタル変換器
10 データ処理部
11 出力レベル検出手段(受光量検出手段)
12 記憶部(受光量記憶手段、照射光量記憶手段を含む)
13、13b リフレクタ
14 レンズ
15a,15b,15c 反射鏡
P 光軸
L レンズ中心から原稿面までの光軸の距離
X 原稿面における読取位置の光軸からの距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びこれを備えた複写機、並びに画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置において画像読み取りを行う読取光学系は、基本的な構成として図10に示すようになっている。図10に従って説明すると、原稿台であるコンタクトガラス3の上に配置された原稿2の光軸P付近の原稿2a上の画像に光源1zから光を照射し、原稿2a上の画像の反射光を読取光学系の光軸P上を反射鏡15a,15b,15cを介してレンズ14に導き、この画像をレンズ14により光量センサ4上に結像させる。光量センサ4は、受光素子、CCD、CCD素子、イメージセンサ等ともいわれる固体撮像素子である。なお、リフレクタ13は、光源1zから光を有効に原稿2に照射するための反射鏡である。
【0003】
通常の画像読取装置は、原稿の一点のみの画像を読み取るのではなく、平面(二次元)の画像を読み取るように構成されている。そのための方法として、まず図10における左右方向(画像読取装置におけるこの方向を副走査方向という。)の原稿の画像を読み取る工夫がなされている。そのひとつは、コンタクトガラス3上の原稿2を副走査方向に沿って移動しながら、光軸P上に到達した原稿2a上の画像情報を光量センサ4によって読み取っていけば、時系列的に副走査方向の画像情報を読み取ることができる。この方法は、原稿自動送りによる画像読み取りといわれている。
【0004】
また、別の副走査方向の画像読取方法として、原稿2をコンタクトガラス3上に固定したまま、副走査方向に画像を読み取っていく方法がある。この画像読取方法では、原稿2はレンズ14及び光量センサ4に対し相対的に固定されており、光源1zと反射鏡15a及びリフレクタ13が一体となって副走査方向に、例えば図10の左から右へ移動する。そうすると、原稿2上の光源1zが照射する位置も左から右へ移動する。同時に、反射鏡15aと原稿2との間の光軸Pも左から右へ移動し、原稿2と光軸Pとの交点2aが常に光量センサ4の画像読み取り位置になる。このようにすれば、原稿を移動させなくても、原稿上の画像情報を副走査方向に読み取っていくことができる。さらに、反射鏡15aの移動速度の1/2の速さで、反射鏡15b,15cを反射鏡15aと平行に移動させることにより、原稿2からレンズ14までの光軸の距離を一定に保つことができ、原稿2の発光光量に対するレンズ14面の受光光量の比率を一定とすることができる。
【0005】
次に、原稿の読み取りにおける主走査方向(主走査方向とは、原稿読み取りにおいて、原稿に対して光源及び/又は反射鏡が相対的に移動する方向(副走査方向)に垂直な方向であり、図10における紙面に垂直な方向に相当する。)の読み取り方法について説明する。図11は、図10に示した読み取り光学系を側面から見たところを説明する図である。但し、説明をし易くするため、光源1zは原稿の上に記載し、反射鏡15a,15b,15cは省いており、この読取光学系は原稿2からレンズ14までの光軸の長さを表すように、光軸を縦に真っ直ぐ引き延ばして記載している。この読取光学系は、図11からも判るように、原稿2の画像の主走査方向への拡がりに対しては、レンズ14によって縮小して光量センサ4が主走査方向に平行に複数配列されたラインセンサ4h上に結像させている。そして、ラインセンサ4h上に結像した画像情報は、各々の光量センサ4により読み取られる。このため、このような読取光学系を縮小光学系ともいう。このようにして、画像読取装置では平面(二次元)の画像を主走査方向と副走査方向とに区別して読み取っている。なお、主走査方向については、原理的には、時間差がなく読み取ることができるが、光量センサで読み取った情報を電子情報などに変換して、処理したり記憶したりする都合上、時系列的に読み取っていることが多い。そうすれば、二次元の画像情報を時系列的に読み取り、処理、記憶などをすることが容易にできる。
【0006】
原稿照明に使用される光源としては、キセノンランプ、冷陰極管、ハロゲンランプといった棒状の光源装置が、主走査方向全体を照射するように配置されていることが多い。これらの光源装置は、部分的に光量を調整することができず、基本的には光源装置の長さ方向である主走査方向に均一な光量の照射光で原稿を照射している。光源は、主走査方向に均一であっても、受光素子上は均一でない場合があるため、そのときには、機械的に照射光の一部を遮ること(メカシェーディング)で、必要な照射光量の調整を図る手法が取られていた。
【0007】
また、上述した棒状のランプ光源にかわって、高輝度化したLED(発光ダイオード)を平行に複数個並べて棒状光源とした光源が採用されるようになってきている。ここで、均一な光量のLEDを並べただけでは原稿面での光量は一定であり、照射光の調整にはメカシェーディングが必要になり、照射光の有効利用にはつながらない。そこで、光源の長さ方向に個々のLEDの発光量を調整できる利点を利用して、個々のLEDの発光量を制御してやれば、照射光の有効利用が可能となる。
【0008】
例えば、特許文献1には、両開きにした厚手の本をそのまま読み取るときのように、均一な平面にならない読み取り原稿からの画像読取において、原稿からの反射光量の不均一性をなくす目的で、ランプ光源に代えて複数個のLEDを用いた照明系を構成し、ラインセンサの読取方向である主走査方向に対して平行に判列されたLEDを、両開きした本の中央部分に相当する読み取り画像の中央部分の反射光量を補うために、個々に又は各ブロック毎に中央の照射光量を増加させる光量調整する方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、複数のLEDを用いた照射装置で照射する読み取り光学系において、原稿上への照射光のリップル現象(照射光量の不均一化現象)を改善する目的で、リフレクタにより原稿への照射光量の均一化を図る方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−314760号公報
【特許文献2】特開2003−245955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1においては、平面状にできない原稿のように原稿そのものに画像読み取り上の問題がある原稿に対処する方法であり、原稿にはいろいろなものがあるので、大まかな照射光量の調整しかできない。また、読み取り画像の状況は一回ごとに異なるので、それ以上の調整をしても労力の割に効果が少ない。そこで、この特許文献においてはLEDの調整については、詳細な開示はされていない。また、読み取り原稿の本を開いた中央線は、主走査方向に垂直に配置されていることが前提となる。
【0011】
特許文献2における画像読取装置は、原稿全体への均一照射の付与を目的とするものである。
【0012】
ところで、この画像読取装置の縮小光学系においては、原稿2の主走査方向への拡がりは、レンズ14に入射する光線の角度の拡がりとして比較的広いものである。このようにレンズ14に入射する光線が光軸に対し比較的大きな角度を持つと、レンズの一般的な光学特性として、光軸に対し比較的大きな角度を持つ光線は透過光量が低下する現象がある。これを図11(b)に表した。図11(b)は、均一な光学特性を持つ、例えば白基準板のような原稿に均一な光量の照明を当てて、レンズ14を含む縮小光学系で、ラインセンサ4h上に原稿2上の画像情報を結像させたときの、受光素子毎の受光量を定性的に示している。原稿2から照射する光線の光量が一定でも、ラインセンサ4h上の受光量は、レンズ14の光量減衰特性に従って、光軸Pから遠ざかるほど大きくなっている。言い換えれば、このような縮小光学系では、原稿2に均一な光を照射しても、レンズ14の光学特性により、光軸から離れた位置の原稿2からの光線は、ラインセンサに到達する比率が少ない。すなわち、縮小光学系、特にレンズ系においては、光軸から離れた位置の原稿2からの光線は、透過光量の減衰が起こりやすい特性がある。
【0013】
ラインセンサ4hにおける各光量センサ4は、シェーディング補正を行うことで、受光した光量を、例えば電気的に増幅して補償することができる。その点では、レンズ14による光量減衰があっても問題はない。しかし、光量センサ4における光電変換や、光量センサ4が受光した画像情報の増幅による補償前において何らかのノイズが発生すると、S/N(シグナル/ノイズ比)が大きくなってしまい、ノイズの影響が大きくなってしまう。そうすると、読み取られた画像情報としては、原稿中心部に近い部分は良質でノイズの少ない(S/Nの大きい)情報であっても、光軸から離れた原稿端部の画像情報はノイズの影響の大きい(S/Nの小さい)品質の劣った情報となってしまう。そして、画像情報全体としては、好ましくない情報となってしまう。
【0014】
この原稿端部のS/N低下による画質のばらつきを避けるため、従来はメカ的に中央の光を部分的に遮ること(メカシェーディング)で、中央部と端部との受光量の均一化を図る手法が取られていた。この場合、全体の受光量の均一化はできるが、受光する光量は端部の低い部分に合わせている。そうすれば、全体のS/Nが低い状態に合わせているので、その分光源ランプの発光量を増加して、原稿からの出射光量を増加させている。しかし、光源ランプの発光量には限界があり、また光源ランプの発光量を増加すれば、光源ランプが高発熱となるため冷却機能の追加が必要となる。さらに光源ランプの発光量を増加させるためには、駆動するインバータなどの付属機器を高価なものにする必要がありコスト高になってくる。また、光エネルギーの有効利用という観点からも、発光量を上げてメカシェーディングするということは好ましくない。
【0015】
本発明は、上述の問題点に鑑み、照射光の有効利用を図りながら、受光面全体における受光センサの受光量の均一化を図った画像読取装置、及びこれを備えた複写機並びに画像読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置である。
【0017】
好ましい本発明は、前記縮小光学系の光学特性は、前記原稿の主走査方向における各位置からの反射光に対する前記縮小光学系での減衰光量であることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0018】
好ましい本発明は、前記複数の点光源は、配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、各ブロック毎に照射光量が制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0019】
好ましい本発明は、前記点光源毎又はブロック毎の照射光量を制御する照射光量制御手段を、さらに備えたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0020】
好ましい本発明は、前記点光源は、指向性を有することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0021】
好ましい本発明は、前記原稿の読取位置を照射するそれぞれの点光源又はブロックの照射光量は、前記縮小光学系の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量と、前記光軸位置から前記読取位置までの距離と、前記原稿から前記レンズまでの光軸の距離とに応じて制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0022】
好ましい本発明は、前記原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源又はブロックの照射光量Axは、下記の式(1)に従って制御されることを特徴とする前記画像読取装置である。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
但し、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。
【0023】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、前記光量センサの受光量が均一になるよう、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0024】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、すべての前記光量センサの受光量が所定値以上となるように、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0025】
本発明は、主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、前記光源により照射された原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取る、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサと、前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備える画像読取装置であって、前記照射光量制御手段は、前記光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して、所定の点光源で照射したときの光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、前記受光量記憶手段により記憶された受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えることを特徴とする画像読取装置である。
【0026】
好ましい本発明は、前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えることを特徴とする前記画像読取装置である。
【0027】
好ましい本発明は、前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御する前記画像読取装置である。
【0028】
好ましい本発明は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して最大照射光量で点灯した点光源からの照射光を受光する光量センサの受光量が、所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0029】
好ましい本発明は、前記各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することを特徴とする前記画像読取装置である。
【0030】
好ましい本発明は、前記各点光源の照射光量を表す指標を表示可能としたことを特徴とする前記画像読取装置である。
【0031】
本発明は、前記画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えた複写機である。
【0032】
本発明は、主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取方法であって、前記縮小光学系の光学特性に基づいて前記点光源毎の照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする画像読取方法である。
【0033】
好ましい本発明は、前記複数の点光源を配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、ブロック毎に照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする前記画像読取方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、照射光の有効利用を図りながら、受光面全体における受光センサの受光量の均一化を図った画像読取装置、及びこれを備えた複写機並びに画像読取方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の画像読取装置は、原稿の読み取り方向である主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成され光源により照射された前記原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によってラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置である。そして、この画像読取装置は、前記レンズの光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が個々に又はブロック毎に制御されていることを特徴とする。点光源としては、通常LED(発光ダイオード)が使用されるが、有機EL(有機発光素子)などを使用してもよい。
【0036】
画像読取装置における縮小光学系は、レンズを含んでいると、光軸付近の交線に対し、光軸から離れた位置に結像する光線は透過光量が減少する特性がある。本発明の画像読取装置は、この透過光量の減少を補償するように、光軸から離れた位置の読み取り画像を照射する点光源の照射光量が制御されている。この制御方法においては、画像読取装置の製造時に点光源を調整して設定してもよいし、画像読取装置に点光源の発光量を調整する照射光量制御手段を備えて、この照射光量制御手段により発光量を制御してもよい。発光量の制御方法としては、点光源がLEDの場合には、LEDへの印加電流制御によれば容易である。
【0037】
棒状のランプ光源にかわって高輝度化したLEDを平行に複数個並べて、棒状光源として採用されるようになってきているが、従来のランプ光源と比べてLEDを複数個並べて構成した場合の利点は、光源の長さ方向に個々のLEDの発光量を調整できることが挙げられる。
【0038】
一般に、点光源としてのLEDは指向性を有し非常に小さいので、主走査方向全体を照射する棒状の照射装置を形成するためには、多数のLEDを使用する必要がある。そこで、LED一つ一つの光量をそれぞれに設定したり制御したりしてもよいし、同じ部分を照射するLEDをひとまとめのブロックとして、ブロックごとに照射光量を設定したり、制御したりしてもよい。
【0039】
さらに、光源の照射効率を向上させるためには、LEDそのものの指向性をさらに向上させたり、リフレクタを利用して光源の指向性を向上させたりすることが好ましい。
【0040】
図1を用いて、本発明の画像読取装置の概略を説明する。図1は、本発明の画像読取装置の機能ブロック図の例である。この画像読取装置においては、光源1は原稿2の主走査方向に対して同時に照射できる長さを有するLEDの集合体で形成されており、それぞれのLEDの照射光量は、光量算出手段6で算出された光量を基に、光量調整手段7、光量制御手段8により調整される。これらの光量算出手段6、光量調整手段7、光量制御手段8が、全体として照射光量制御手段である。光源から照射された光は、コンタクトガラス3上の原稿2を照射し、原稿2から反射した画像情報の光は、後述するレンズを含む縮小光学系を介して光量センサであるイメージセンサ4に受光される。イメージセンサ4で受光された光は、光電変換され、さらにアナログデジタル変換器9でデシタル信号とされ、データ処理部10において画像補正処理され記憶部12に記憶される。出力レベル検出手段は、照射光に対する反射率が一定である標準原稿とすることができる白基準板を読み取った際の出力レベルを検出する。制御部5は、これらの各手段や各機器を全体として制御して画像読取装置として機能させている。
【0041】
図2,3を参照して本発明の画像読取装置における読取光学系を説明する。図2は、本発明の画像読取装置における読取光学系を主走査方向側から見た構成図である。図3は、この読取光学系を副走査方向から見た縮小光学系の図であるが、図11と同じように、光軸を真っ直ぐに伸ばした状態にして記載している。図2において、光源装置は、光源1と、光源1の照射効率を向上させるリフレクタ13と、照射効率の向上とともに光源の指向性を向上させるリフレクタ13bとを備えている。この為、点光源1は、原稿2のほぼ一点である原稿と光軸との交点2aを照射している。原稿上の点2aに照射された光は、原稿により反射されて画像情報を有する光となり、反射鏡15a,15b,15cを介してレンズ14到達する。レンズ14では集光されて光量センサ4上のほぼ一点に結像する。図2において、光源1、リフレクタ13,13b、反射鏡15aは、一体に支持されて図の左右方向に移動可能になっており、原稿2上を例えば左から右へと照射しながらその画像情報を光量センサ4に送り、原稿の左右方向の画像を読み取っていくことができる。なお、この際、反射鏡15b,15cを反射鏡15aのちょうど半分の速度で、平行に移動させることにより、原稿からレンズまでの光軸の距離を常に一定に保つことができる。
【0042】
次に、図3を参照にして、主走査方向の読取光学系の説明をする。原稿2の主走査方向における画像情報の読み取りは、縮小光学系を用いて、主走査方向の読み取り幅全体をラインセンサ4hにより読み取る。すなわち、原稿中心部の光軸Pに近い部分は、ラインセンサ4hの中央部の光量センサで読み取り、原稿端部は光軸Pに角度θを有する光線により、ラインセンサ4hの端部の光量センサで読み取る。この為、主走査方向における原稿の読み取りにおいては、すでに説明したように、レンズの光学特性により、原稿端部の受光効率が原稿中央部の受光効率よりも低下している。
【0043】
これをレンズの光学特性を示す図4により説明すると、原稿面に照射される照射光が主走査線上の全ての位置で100%として、白基準板の原稿面から画像情報として反射される光がレンズを透過して受光素子(光量センサ)に到達する光の受光量は、光軸上において100%とすれば、光軸から離れるほど少なくなっていき、例えば光軸から100mm離れた位置の原稿からの光の受光量は70%となっている。実際の読み取り原稿においても、原稿面から画像情報として反射される光がレンズを透過して受光素子に到達する光の受光量は、光軸上において70%とすれば、光軸から離れるほど少なくなっていき、光軸から100mm離れた位置の原稿からの光の受光量は約50%となってしまう。
【0044】
このように、原稿の主走査方向においては、位置によって原稿からの光の受光効率が異なってしまう。受光効率の変化だけであれば、受光素子が受けた信号情報を受光位置に応じて増幅すれば、信号レベルを回復することができる。しかし、この場合、受光素子が受けた信号情報を受光位置に応じて、増幅するまでに発生したノイズについても増幅してしまうことになる。すなわちS/N(信号/ノイズ比)を改善することはできない。このため、増幅した部分の画像情報の品質は劣化したままである。
【0045】
本発明の画像読取装置では、受光素子が受けた信号情報を増幅するのではなく、レンズの透過特性の劣る光軸から離れた部分の原稿によって反射する光の光量を上げるため、その部分に照射する照射光の光量を増加させている。従来のような棒状のランプ光源ではこのような光源の光量調整は不可能であったが、LEDのような点光源であれば、原稿端部を照射する端部のLEDのみの光量を増加させることで、光源の光量調整が可能となる。
【0046】
さらに精密に調整するためには、標準原稿の役目を果たす装置内部に設けられた白基準板を用いて、全ての受光素子の受光量が同じになるように点光源を調整すればよい。そうすれば、従来のように、強すぎる受光量に対してメカシェーディング等により、光を遮ってひかりエネルギーの浪費をすることもなくなる。
【0047】
図5は、本発明の画像読取装置における、点光源を用いたライン状の光源1hの構成図の例である。ここで、光源1a,1b,1b',1c,1c',1d等は、個々の光源であったり光源グループであったりすればよい。
【0048】
図6は、図5に示したライン状光源1hを備えた縮小光学系の説明図である。図6(a)は、図3に示した縮小光学系と同じように、光軸Pから遠ざかる原稿位置ほど、レンズ14への入射角θが大きくなっていることを示している。図6(b)は、ライン状の光源1hの角光源1a,1b,1b'等の照射光量が調整されており、原稿2から反射する光の光量が光軸との交点である中心から遠ざかるほど多くなっていることを示している。逆に、レンズ14は光軸と大きな角度をなす光ほど透過効率が悪いことを示している。結果として、原稿2から反射してきた光は、レンズ14を通ってラインセンサ4hの各受光素子上では同じ光量の光となっていることを示している。
【0049】
図7には、この関係をグラフとして示した。それぞれ光軸上の光量を1として基準化しているが、レンズの光学特性による主走査方向の光透過量の低下を補償するように、照射光量を増加させて、受光素子の受光量を常に一定となるようにしている。このようにすることで縮小光学系の反射又は透過による光量低下の影響を除いて、原稿に照射した光を最大限利用することになり、エネルギー利用効率、発光素子の有効利用の観点からも好適な光学系を構築できる。
【0050】
次に、この光学系における、個々の点光源の具体的な照射光量の決定方法について説明する。第一の照射光量の決定方法は、点光源毎の照射光量を下記の式(1)により算出して決定する。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
ここで、Axは原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源の照射光量、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源の照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。
【0051】
上式(1)において、tan−1(X/L)は図6におけるθに相当し、COS4(tan−1(X/L)は角度θ(=tan−1(X/L))から入射する光線の光量に対する出射する光量の比である。このCOS4(tan−1(X/L)は、光軸上すなわちθ=0のとき1であり、θが大きくなるほど小さくなる凸レンズにみられる光学特性を示している。
【0052】
このレンズの光学特性を利用すれば、レンズと原稿との光学的な距離と原稿上の主走査方向における光軸位置からの距離が決まれば、原稿上の特定の位置を照射する点光源の発光量を算出できる。
【0053】
本発明の画像読取装置は、この算出した点光源の発光量をそれぞれ予め設定しておいてもよいし、レンズ中心から原稿面までの光軸の距離Lを記憶しておき、原稿毎の主走査方向の幅に従って点光源の発光量を算出して設定してもよい。点光源の発光量の変更は点光源に対する印加電流値によって制御することができる。
【0054】
発光素子毎の発光量を制御する他の方法は、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して前記ラインセンサが読み取った画像情報における各光量センサの受光量が、均一又は所定値以上となるように前記各点光源の照射光量を制御することある。各光量センサの受光量が、均一又は所定値以上となれば、同じノイズの大きさに対して、所定のS/N以上とすることができるので、全ての光量センサの画像情報が所定以上の品質を保つことができる。なお、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して各光量センサの受光量が均一でないときには、その受光比率に応じて光量センサからの受光信号を増幅又は減少させて均一化させればよい。なお、ここで用いる標準原稿は、通常の紙の原稿の形態をしている必要はなく、装置に備え付けられた白基準板のような照射光に対する反射率が均一な部材についても一種の標準原稿とみなすことができる。
【0055】
具体的に白基準板等を用いて点光源の発光光量を制御する方法について説明する。図8は、指向性を有する光源1a,1b,1cからなる光源と、それぞれの光源1a,1b,1cにより照射された原稿2の受光光量(原稿2が白基準板であれば、原稿の反射光量でもある。)A,B,Cの重なりを模式的に表したものである。光源1a,1b,1cをひとつずつ点灯して、原稿2を出力レベル200/(250)の白基準板とした場合の、原稿2上の各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量を測定する。その結果が、例えば、光源1a点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が120,30,0、光源1b点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が20,150,20、光源1c点灯の場合、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量が0,35,130であったとする。
【0056】
このような光源を備えた光学系において、光源1a,1b,1cを全部点灯すれば、各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量は、加成性が成り立ち、140,215,150となる。そこで各点2a,2b,2cに対応する受光素子の受光量を全て200とするための、光源1a,1b,1cの当初発光量に対する調整比率を求めると、
120X+20Y=200
30X+150Y+35Z=200
20Y+130Z=200
(X:光源1aの調整比率,Y:光源1bの調整比率,Z:光源1cの調整比率)
からX,Y,Zを求めればよい。
【0057】
演算すれば、X=1.576,Y=0.540,Z=1.4545となる。すなわち、この例においては、点光源1a,1b,1cは、1.576:0.540:1.4545の比率で照射強度を設定すればよい。このように、光学的に均一な基準板を使用してそれぞれの点光源の照射強度を測定して演算すれば、COS4θの演算をしなくとも、容易に各点光源の必要な光源強度が設定できる。なお、この場合も、点光源はひとつずつの点光源でなくても、グループ化した光源を点光源とみなして計算してもよい。
【0058】
LEDの場合、印加電流と発光光度は比例している場合もあるが、そうでない場合もある。このような場合は、発光光度と印加電流の関係を照射光量制御手段等に記憶させておけば、容易に正確な印加電流が算出できる。
【0059】
本発明の画像読取装置を他の観点から説明すると、原稿の読み取り方向である主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、前記光源により照射された前記原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取るラインセンサと、前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備えており、前記照射光量制御手段は、前記ラインセンサ上に配置した各光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して所定の照射光量の点光源で照射したとき、前記受光量検出手段により検出した各光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、前記受光レベル記憶手段により記憶しておいた、それぞれの点光源による照射に対して各光量センサが受光した受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えていることを特徴とする。このような画像読取装置であれば、上記のような光量調整が可能である。
【0060】
さらに、前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えていることが好ましい。各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えていれば、一旦各点光源の照射光量を算出して記憶しておけば、つねにその記憶値を使用して照射光量を設定できる。
【0061】
また、前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御できることが好都合である。その点LEDは、印加する電力量により照射光量の制御が容易であり、好適な光源とすることができる。LEDは、その他にも指向性があり、発熱が少なく、複数個をグルーブ化して取り扱いやすい点からも本発明における点光源として好適である。
【0062】
本発明の画像読取装置は、例えば白基準板のような所定の原稿に対して、最大照射光量とした点光源に対応する受光センサの受光量が所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えることが好ましい。点光源を最大照射光量としても対応する受光センサの受光量が所定値以上とならない場合は、点光源の照射能力が落ちており、又はなくなっており、点光源を交換する必要がある。受光センサの受光量によりこの不具合を判断できる点光源判定手段を備え手おれば、点光源の不具合を容易に判定できる。
【0063】
なお、本発明の画像読取装置は、白色(全波長を含む色)に係るものであってもよいが、複数の色(波長)に係る複数の光学系を有する画像読取装置であってもよい。複数の色に係る画像読取装置の場合、各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することになる。例えば、Y,C,Mの三色それぞれに光学系及びラインセンサを備えた画像読取装置がある。
【0064】
また、本発明の画像読取装置は、各点光源の照射光量を表す指標を表示可能とすることが好ましい。このようにすることで、設定されている各点光源の照射光量を認識することができ、以上の発見が容易であるだけでなく、各点光源の負荷の状況を確認することもできる。
【0065】
図9に示したフローチャートに基づいて、LED光源の光量調整方法について説明する。図9(a)は、画像読取装置が照射光量制御手段を備えており、照射光量制御手段にはすでに各点光源の各指定位置の出力レベルが記憶されている。この場合は、画像読取装置をスタートさせると、照射光量制御手段から記憶していた点光源の各指定位置の出力レベルを読み出して(S1)、読み出した点光源の各指定位置の出力レベルに調整して点灯させる(S2)。そして、原稿の画像情報を読み取ればよい。
【0066】
次に、図9(b)に示したLED光源の光量調整方法について説明する。まず、調整前に原稿として白基準板をセットしておく。そして、光量調整をスタートする。白基準板に対する点光源の位置情報からLEDの電流値を演算する(S11)。そして各LEDを点灯する(S12)。各LEDを点灯したら、ラインセンサにより各指定位置の出力レベルを検出する(S13)。各指定位置の出力レベルが所定の範囲内であれば、各指定位置の光量は正常であるのでLED光源の光量調整は終了する(S14のY)。各指定位置の出力レベルが所定の範囲内になければ(S14のN)、指定された任意のLEDのみ点灯して他は消灯する点灯テストを行う(S15)。このLEDに対応する指定位置の受光素子の受光レベルを検出して記憶しておく(S16)、指定位置の受光素子の受光レベルが所定値以上であることを確認する(S17のY)。指定位置の受光素子の受光レベルが所定値以上でなければ(S17のN)、LEDの故障と判断する(S22)。全てのLEDについて点灯テストを行うまで(S18のN)LEDを代えて点灯テストを続ける(S21)。全てのLEDについて点灯テストを行ったら(S18のY)、すでに説明した方法により、各受光素子が所定値又は所定値以上の受光量を満足するようにLEDの発光光量を電流値として算出し記憶しておく(S19)。この算出又は記憶した電流値を各LEDに印加する(S20)ことでLED光源の光量調整は終了する。
【0067】
本発明の複写機は、上述の画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えている。画像形成装置としては、どのようなタイプの物でもよいが、例えば、電子写真方式の画像形成装置やインクジェットタイプの画像形成装置などが挙げられる。また、複写機としては、画像読み取りと読み取った画像情報から画像の形成という複写機能を有する機械という意味であり、その他に印刷やファクシミリや画像投影や音声受発信機能などの、各種機能が付加された装置でもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の画像読取装置の機能ブロック図
【図2】本発明の画像読取装置における読取光学系の構成図
【図3】縮小光学系の模式図
【図4】レンズにおける光学特性を示す図
【図5】複数の点光源を用いたライン状光源の構成図
【図6】本発明の画像読取装置の光量調整に係る説明図
【図7】主走査方向に対するレンズの光等価特性の調整を示す図
【図8】3個の点光源を用いて照射光源を構成した場合の各点光源からの光の重なりを示す図
【図9】LED光源の光量調整を示すフローチャート
【図10】従来の画像読取装置の読み取り光学系を説明する図
【図11】従来の画像読み取り装置の縮小光学系を説明する図
【符号の説明】
【0069】
1,1h,1z 光源
1a〜1d,1a'〜1c' 点光源
2 原稿
2a 原稿と光軸との交点
3 コンタクトガラス
4 光量センサ(受光素子、イメージセンサ)
4h ラインセンサ
5 制御部
6 光量算出手段
7 光量調整手段
8 光量制御手段
9 アナログデジタル変換器
10 データ処理部
11 出力レベル検出手段(受光量検出手段)
12 記憶部(受光量記憶手段、照射光量記憶手段を含む)
13、13b リフレクタ
14 レンズ
15a,15b,15c 反射鏡
P 光軸
L レンズ中心から原稿面までの光軸の距離
X 原稿面における読取位置の光軸からの距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、
前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記縮小光学系の光学特性は、前記原稿の主走査方向における各位置からの反射光に対する前記縮小光学系での減衰光量であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の点光源は、配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、各ブロック毎に照射光量が制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記点光源毎又はブロック毎の照射光量を制御する照射光量制御手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記点光源は、指向性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿の読取位置を照射するそれぞれの点光源又はブロックの照射光量は、前記縮小光学系の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量と、前記光軸位置から前記読取位置までの距離と、前記原稿から前記レンズまでの光軸の距離とに応じて制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源又はブロックの照射光量Axは、下記の式(1)に従って制御されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
(但し、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。)
【請求項8】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、前記光量センサの受光量が均一になるよう、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、すべての前記光量センサの受光量が所定値以上となるように、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、
前記光源により照射された原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、
前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取る、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサと、
前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備える画像読取装置であって、
前記照射光量制御手段は、
前記光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、
照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して、所定の点光源で照射したときの光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、
前記受光量記憶手段により記憶された受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して最大照射光量で点灯した点光源からの照射光を受光する光量センサの受光量が、所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記各点光源の照射光量を表す指標を表示可能としたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えた複写機。
【請求項17】
主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取方法であって、
前記縮小光学系の光学特性に基づいて前記点光源毎の照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする画像読取方法。
【請求項18】
前記複数の点光源を配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、ブロック毎に照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする請求項17に記載の画像読取方法。
【請求項1】
主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取装置であって、
前記縮小光学系の光学特性に対応して、前記点光源毎の照射光量が制御されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記縮小光学系の光学特性は、前記原稿の主走査方向における各位置からの反射光に対する前記縮小光学系での減衰光量であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の点光源は、配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、各ブロック毎に照射光量が制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記点光源毎又はブロック毎の照射光量を制御する照射光量制御手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記点光源は、指向性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿の読取位置を照射するそれぞれの点光源又はブロックの照射光量は、前記縮小光学系の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量と、前記光軸位置から前記読取位置までの距離と、前記原稿から前記レンズまでの光軸の距離とに応じて制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記原稿上の光軸位置から離間した読取位置を照射する点光源又はブロックの照射光量Axは、下記の式(1)に従って制御されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
Ax=A0×(2−COS4(tan-1(X/L))) ・・・・・式(1)
(但し、A0は原稿上の光軸位置を照射する点光源又はブロックの照射光量、Xは原稿上の光軸位置から読取位置までの距離、Lはレンズ中心から原稿面までの光軸の距離を表す。)
【請求項8】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、前記光量センサの受光量が均一になるよう、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿からの反射光に対して、すべての前記光量センサの受光量が所定値以上となるように、前記点光源又はブロックの照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
主走査方向に配列した複数の点光源で構成された光源と、
前記光源により照射された原稿の画像情報を縮小して結像させる、レンズを含む縮小光学系と、
前記縮小光学系によって結像された画像情報を読み取る、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサと、
前記点光源毎の照射光量を制御する照射光量制御手段とを備える画像読取装置であって、
前記照射光量制御手段は、
前記光量センサの受光量を検出する受光量検出手段と、
照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して、所定の点光源で照射したときの光量センサの受光量を記憶する受光量記憶手段と、
前記受光量記憶手段により記憶された受光量を基に、各光量センサが所定の受光量を確保できる各点光源の照射光量を算出する照射光量算出手段とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
前記照射光量制御手段は、前記照射光量算出手段により算出した各点光源の照射光量を記憶する照射光量記憶手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記点光源は、照射光量を点光源に印加する電力量により制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
照射光に対する反射率が均一な標準原稿に対して最大照射光量で点灯した点光源からの照射光を受光する光量センサの受光量が、所定値以上であることを判定する点光源判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記各光量センサは、複数の色につき受光量を読み取り、それぞれの色毎に前記点光源の照射光量を制御することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記各点光源の照射光量を表す指標を表示可能としたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像読取装置、及び前記画像読取装置により作成された画像情報を基に画像を形成する画像形成装置を備えた複写機。
【請求項17】
主走査方向に平行に配列した複数の点光源で構成された光源により照射された原稿の画像情報を、レンズを含む縮小光学系によって、複数の光量センサを主走査方向に平行に配列したラインセンサ上に結像させて前記画像情報を読み取る画像読取方法であって、
前記縮小光学系の光学特性に基づいて前記点光源毎の照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする画像読取方法。
【請求項18】
前記複数の点光源を配置位置毎に纏めて複数のブロックとし、ブロック毎に照射光量を制御して前記原稿の画像情報を読み取ることを特徴とする請求項17に記載の画像読取方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−219105(P2009−219105A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318867(P2008−318867)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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