説明

画像読取装置及びその方法

【課題】画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【解決手段】スキャナ装置10は、ネガの透過原稿では、第1素子列36Rと第2素子列36Gと第3素子列36Bとの電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に設定し、この設定した蓄積時間に基づいて第1素子列36Rに蓄積した読取画像用の電荷を読出しているときには第2素子列36G及び第3素子列36Bが読取画像用の電荷を蓄積し、第2素子列36Gに蓄積した読取画像用の電荷を読出しているときには第3素子列36Bが読取画像用の電荷を蓄積し、その後第3素子列36Bに蓄積した読取画像用の電荷をこの第3素子列36Bから読出すよう、即ち、線順次でイメージセンサ36を制御する。一方、ネガ以外の原稿では、電荷の蓄積開始タイミング、読出開始タイミング及び蓄積時間をすべて同じに設定し、この設定した内容で読み出すよう、即ち点順次でイメージセンサ36を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置としては、読取対象が階調の小さな暗部の領域を多く含む画像(例えばネガなど)であるときには、赤(R)、緑(G)、青(B)の撮像素子をそれぞれ備えた読取センサのいずれかの電荷の蓄積時間を通常の読取対象より長い時間に設定し、電荷を蓄積するよう読取センサを駆動し、十分大きな各色の出力値を得ることにより、ガンマ補正などにより後で出力値を増幅する場合に起きるノイズの影響などを抑制し、読取画質の低下を抑制するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−77545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、画像読取装置では、複数色の各読取センサからの電荷は、例えば、R読取センサの先頭の撮像素子、G読取センサの先頭の撮像素子、B読取センサの先頭の撮像素子、R読取センサの2番目の撮像素子、G読取センサの2番目の撮像素子、…というように、予め定められた読取センサの順、且つその読取センサに含まれる予め定められた撮像素子の順(以下、点順次と称することがある)に読み出す場合がある。この特許文献1に記載された画像読取装置においても、このような読取処理を行うが、ネガなどの読取の際には、蓄積時間が長い時間であると共に、蓄積時間の経過後にR,G,Bの各読取センサからまとめて電荷が出力されるため、読取処理の負荷が極端に高くなったり低くなったりすることがあった。また、通常よりも長い蓄積時間を経過したあと蓄積された電荷を出力し画像データなどへの変換処理を行うことがあり、読取処理に時間がかかることがあった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる画像読取装置及びその方法を提供することを目的の一つとする。また、画像の読取処理に要する時間をより短くすることができる画像読取装置及びその方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の画像読取装置は、
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段と、
読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定する設定手段と、
前記設定された抑制原稿用蓄積時間に基づいて前記第1素子列に蓄積した画像用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した画像用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した画像用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御する制御手段と、
を備えたものである。
【0007】
この画像読取装置では、読取対象が抑制原稿であるときに第1素子列と第2素子列と第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間に蓄積時間を設定し、この設定した抑制原稿用蓄積時間に基づいて第1素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第1素子列から読出しているときには第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、第2素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第2素子列から読出しているときには第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後第3素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第3素子列から読出すよう制御する。このように、第1素子列と第2素子列と第3素子列との画像用の電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に定めるため、各素子列に適した電荷を蓄積することにより読取画質の低下を抑制することができる。また、各素子列に蓄積した画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。ここで、「抑制原稿」とは、例えばネガの透過原稿などとしてもよい。
【0008】
あるいは、本発明の画像読取装置は、
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段と、
読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定する設定手段と、
読取対象が前記抑制原稿であるときに蓄積した電荷を各素子列ごとに読出す線順次を用い、前記設定された抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御する制御手段と、
を備えたものとしてもよい。
【0009】
この画像読取装置では、読取対象が抑制原稿であるときに第1素子列と第2素子列と第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を蓄積時間に設定し、読取対象が抑制原稿であるときに各素子列ごとに蓄積した電荷を読出す線順次を用い、設定した抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう制御する。このように、第1素子列と第2素子列と第3素子列との画像用の電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に定めるため、各素子列に適した電荷を蓄積することにより読取画質の低下を抑制することができる。また、この線順次では、各素子列ごとに電荷を読み出すことから、各々の素子列の読出開始タイミングが異なるものとなる。こうして、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【0010】
本発明の画像読取装置において、前記制御手段は、読取対象が前記抑制原稿であるときに前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とが同じタイミングで画像用の電荷の蓄積を開始するよう前記読取手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、画像用の電荷の蓄積を開始しやすい。
【0011】
本発明の画像読取装置において、前記制御手段は、読取対象が前記抑制原稿であるときに前記素子列のうち蓄積時間が最も大きい前記第3素子列が常に画像用の電荷を蓄積するよう前記読取手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、無駄な時間がなく、画像の読取処理に要する時間をより短くすることができる。
【0012】
本発明の画像読取装置は、読取対象が前記抑制原稿であるか否かを判定する判定手段、を備え、前記設定手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間をそれぞれ同じ時間である通常蓄積時間に設定し、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿であると判定されたときには前記蓄積時間を前記抑制原稿用蓄積時間に設定し、前記制御手段は、前記設定された蓄積時間に基づいて前記読取手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、読取対象が抑制原稿でない場合と抑制原稿である場合とに応じて電荷の蓄積時間を切り替えて読み取りを行うため、それぞれの読取対象を適切に読み取ることができる。このとき、前記制御手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列に含まれる光電変換素子、前記第2素子列に含まれる光電変換素子、前記第3素子列に含まれる光電変換素子という順で且つ各素子列に含まれる各光電変換素子の順に前記蓄積された電荷を読み出す点順次を用い、前記設定された通常蓄積時間に基づいて蓄積した画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御するものとしてもよい。読取対象が抑制原稿でない場合には、各素子列から読み出された電荷に基づいて生成される各々の画像同士のズレを防止する観点から、点順次で電荷を読み出すことが好ましい。このとき、前記制御手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とに同じタイミングで電荷を蓄積すると共に前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とから同じタイミングで該蓄積した電荷を読み出すよう前記読取手段を制御することにより前記読取対象の読取処理前に所定の白基準を読み取る基準処理を実行し、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿であると判定されたときには前記第1素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2素子列が前記基準処理用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が前記基準処理用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御することにより前記読取対象の読取処理前に所定の白基準を読み取る基準処理を実行するものとしてもよい。こうすれば、白基準を読み取る基準処理を読取対象を読み取るときと同様のタイミングで実行するから、処理が簡便であるし、基準処理をより的確に読取対象の読取処理に反映させることができる。
【0013】
本発明の画像読取装置において、前記制御手段は、前記設定手段が設定する最大の蓄積時間と該最大蓄積時間の次に長い蓄積時間との差分である差分時間よりも前記第1素子列第2素子列と第3素子列とに蓄積した電荷をすべて読み出す時間である総読出時間が長い時間で前記読取手段を制御するものとしてもよい。このように、差分時間よりも総読出時間が長いときには、電荷の蓄積処理と蓄積したすべての素子列の電荷を読み出す読出処理とを分けて行う必要があり読取処理に時間がかかることがあるが、本発明では、読出開始タイミングを各々異なるものとすることにより画像の読取処理に要する時間を更に短くすることができる。
【0014】
本発明の画像読取方法は、
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段を備えた画像読取装置を用いた画像読取方法であって、
(a)読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定するステップと、
(b)前記ステップ(a)で設定した抑制原稿用蓄積時間に基づいて前記第1素子列に蓄積した画像用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した画像用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した画像用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御するステップと、
を含むものである。
【0015】
この画像読取方法では、読取対象が抑制原稿であるときに第1素子列と第2素子列と第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を蓄積時間に設定し、この設定した抑制原稿用蓄積時間に基づいて第1素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第1素子列から読出しているときには第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、第2素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第2素子列から読出しているときには第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後第3素子列に蓄積した画像用の電荷をこの第3素子列から読出すよう制御する。このように、第1素子列と第2素子列と第3素子列との画像用の電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に定めるため、各素子列に適した電荷を蓄積することにより読取画質の低下を抑制することができる。また、各素子列に蓄積した画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。なお、この画像読取方法において、上述した画像読取装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像読取装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0016】
あるいは、本発明の画像読取方法は、
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段を備えた画像読取装置を用いた画像読取方法であって、
(a)読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を蓄積時間に設定するステップと、
(b)読取対象が前記抑制原稿であるときに、蓄積した電荷を各素子列ごとに読出す線順次を用い、前記ステップ(a)で設定した抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御するステップと、
を含むものとしてもよい。
【0017】
この画像読取方法では、読取対象が抑制原稿であるときに第1素子列と第2素子列と第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を蓄積時間に設定し、読取対象が抑制原稿であるときに各素子列ごとに蓄積した電荷を読出す線順次を用い、設定した抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう制御する。このように、第1素子列と第2素子列と第3素子列との画像用の電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に定めるため、各素子列に適した電荷を蓄積することにより読取画質の低下を抑制することができる。また、この線順次では、各素子列ごとに電荷を読み出すことから、各々の素子列の読出開始タイミングが異なるものとなる。こうして、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。なお、この画像読取方法において、上述した画像読取装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像読取装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるスキャナ装置10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、AFE27の構成の概略を示すブロック図である。本実施形態のスキャナ装置10は、図1に示すように、ガラス板である読取面12に載置された読取原稿の画像を読み取るキャリッジ30と、装置全体の制御を司る制御ユニット20と、を備えている。また、このスキャナ装置10は、筐体上面14のキャリッジ30側に設けられた白基準板16と、読取原稿の上方に配置され透過原稿を読み取るときに用いられる透過原稿用光源32と、キャリッジ30を移動する駆動モータ39とを備えている。
【0019】
キャリッジ30は、読取原稿の下方に配置されており、読取面12に載置された原稿に光を照射する反射原稿用光源31と、原稿で反射又は透過した光をミラー33及び集光レンズ34を介して受けることにより画像を読み取るイメージセンサ36とを備えている。反射原稿用光源31は、1個又は複数の白色LEDからの光が線状に読取面12へ照射されるように構成されている。なお、赤色LED、緑色LED、青色LEDや水銀ランプなどにより白色光を照射するものとしてもよい。また、透過原稿用光源32も反射原稿用光源31と同様の構成とした。イメージセンサ36は、複数の撮像素子が設けられ赤色(R)の信号を出力する第1素子列36Rと、複数の撮像素子が設けられ緑色(G)の信号を出力する第2素子列36G、複数の撮像素子が設けられ青色(B)の信号を出力する第3素子列36Bを備えている。第1素子列36Rは、画素に対応する光電変換素子であり露光されたときの光を電荷に変換して蓄積する複数のフォトダイオード41a,41b、41c、41d…と、各フォトダイオードごとに形成されフォトダイオードから受け取った電荷を垂直方向及び水平方向に転送可能な複数のCCD42a,42b、42c、42d…とを備えている。また、第2素子列36Gは、フォトダイオード43a,43b、43c、43d…と、CCD44a,44b、44c、44d…とを備え、第3素子列36Bは、フォトダイオード45a,45b、45c、45d…と、CCD46a,46b、46c、46d…とを備えており、第1素子列36Rと同様に構成されている。本実施形態では、複数のフォトダイオード41a…の全体をフォトダイオード41と称し、複数のCCD42a…の全体をCCD42と称し、複数のフォトダイオード43a…の全体をフォトダイオード43と称し、複数のCCD44a…の全体をCCD44と称し、複数のフォトダイオード45a…の全体をフォトダイオード45と称し、複数のCCD46a…の全体をCCD46と称することとする。CCD42,44,46は、電子シャッタ機能を有しており、この電子シャッタ機能により電荷を図示しない基板へ逃がすことができるようになっている。キャリッジ30は、スキャナ装置10の筐体の一端に取り付けられた駆動モータ39と筐体の他端側に取り付けられた従動ローラ38aとの間に架設されたキャリッジベルト38が駆動モータ39によって駆動されるのに伴ってキャリッジ移動方向(副走査方向)へ移動する。なお、ここではイメージセンサ36としてCCDイメージセンサを例示したが、CMOS型のイメージセンサを採用してもよい。また、主走査方向に各色の素子列36R,36G,36Bを1列ずつ配列したイメージセンサ36を例示したが各色の素子列を2列以上配列してもよい。
【0020】
制御ユニット20は、装置全体の制御を司るメインコントローラ21と、イメージセンサ36を駆動制御するCCDコントローラ25と、イメージセンサ36の種々の動作の開始タイミングなどをイメージセンサ36に出力するタイミングジェネレータ(TG)26と、イメージセンサ36から出力された電気信号を増幅してデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE)27と、AFE27から入力した信号にガンマ補正など所定の処理を実行してデジタル画像データを作成する画像処理部28と、を備えている。メインコントローラ21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM23と、データを一時的に記憶するRAM24と、ユーザパソコン(PC)50などの外部機器と接続可能なインタフェース(I/F)29と、図示しない入出力ポートとを備えている。メインコントローラ21には、I/F29からの読取指令など各種の信号や画像処理部28からデジタル画像データの信号などが入力される。また、メインコントローラ21からは、反射原稿用光源31や透過原稿用光源32への点灯信号や、駆動モータ39への駆動信号、AFE27へのゲイン調整信号、I/F29へのデジタル画像データの信号、CCDコントローラ25へのメインクロックや読取指令の信号などが出力される。
【0021】
CCDコントローラ25は、メインコントローラ21から入力したメインクロックに基づいて作成したイメージセンサ36の読出開始タイミングに相当する駆動信号などをTG26へ出力するものであり、イメージセンサ36を点順次で駆動する点順次制御部25aとイメージセンサ36を線順次で駆動する線順次制御部25bとを備えている。ここで、「点順次」とは、第1素子列36Rに含まれる1番目のフォトダイオード41a、第2素子列36Gに含まれる1番目のフォトダイオード43a、第3素子列36Bに含まれる1番目のフォトダイオード45a、第1素子列36Rに含まれる2番目のフォトダイオード41b、第2素子列36Gに含まれる2番目のフォトダイオード43b、というように素子列の順で且つ各素子列に含まれる各フォトダイオードの順に蓄積された電荷を読み出すことをいう。また、「線順次」とは、第1素子列36Rに含まれるフォトダイオード41a、41b、41c、41d…の順に蓄積された電荷を第1素子列36Rからすべて読み出したあと、第2素子列36Gに含まれるフォトダイオード43a、43b、43c、43d…の順に蓄積された電荷を第2素子列36Gからすべて読み出し、第3素子列36Bに含まれるフォトダイオード45a、45b、45c、45d…の順に蓄積された電荷を第3素子列36Bからすべて読み出すことをいう。このCCDコントローラ25は、読取原稿がネガ以外のものであるときは、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの電荷の蓄積時間(露光時間)が、1:1:1の比になるよう設定し(これを通常蓄積時間と称する)、読取原稿がネガであるときには、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの電荷の蓄積時間が、1:2:3の比になるよう設定する(これをネガ用蓄積時間と称する)。読取原稿が階調の小さな暗部の領域を多く含むネガの透過原稿であるときは、光が通過しにくい緑及び青を読み取る第2素子列36G及び第3素子列36Bの電荷の蓄積時間を通常より長い時間に設定し、電荷を蓄積するようイメージセンサ36を駆動し、十分大きな各色の出力値が得られるように設定されている。TG26は、シフト信号の出力タイミングなどをイメージセンサ36に出力するものである。なお、イメージセンサ36は、シフト信号がTG26から入力されると、フォトダイオードに蓄積した電荷をCCDへ移動させ、駆動信号がTG26から入力されると、CCDにある電荷をAFE27へ出力するよう構成されている。
【0022】
AFE27は、図2に示すように、イメージセンサ36から読み出された電荷を画像アナログ信号として相関二重サンプラ(CDS)処理回路27aを経てノイズを抑えて読み込み、適正な信号レベルに増幅する可変増幅アンプ27bを経てA/D変換部27cにより10〜16ビット程度のデジタル信号に変換するものである。このAFE27では、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bからの電荷を切替スイッチ27dにより切り替えて入力する構成となっている。画像処理部28は、AFE27から入力したデジタル信号に対して所定の処理を施して画像データを生成するものである。ここで、所定の処理としては、黒色レベルの値を減算処理するオプティカルブラック処理や、ホワイトバランスを補正するホワイトバランス処理、画像の輪郭を強調するシャープネス処理、画像のコントラストなどを調整するガンマ補正処理、デジタル信号を一般的な形式のデジタル画像に変換する画像データ生成処理などを含む。
【0023】
このスキャナ装置10では、AFE27が3つの素子列を切り替えながら電荷を入力することから、イメージセンサ36に蓄積された電荷をイメージセンサ36から読み出す読出速度は、AFE27や画像処理部28での処理速度に適した値に設定されている。ここでは、第1素子列36Rを蓄積時間tsとすると、最大の蓄積時間(第3素子列36Bの蓄積時間=3ts)とこの最大蓄積時間の次に長い蓄積時間(第2素子列36Gの蓄積時間=2ts)との差分である差分時間tdよりも、総読出時間trが長い時間に設定されている(後述の図7参照)。なお、ここでは、差分時間tdは、電荷の蓄積時間tsと等しい時間となっている。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態のスキャナ装置10の動作、特に読取面12に載置された読取原稿を読み取る動作について説明する。図3は、メインコントローラ21のCPU22により実行されるスキャン処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、ROM23に記憶され、ユーザPC50からの画像読取指令を受信したあと実行される。このルーチンが実行されると、CPU22は、受信した画像読取指令の設定値の内容から読取原稿の種類を調べる(ステップS100)。読取原稿がネガの透過原稿以外であるとき、即ち、ポジの透過原稿及び反射原稿であるときには、CPU22は、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの蓄積時間を通常蓄積時間に設定すると共に、イメージセンサ36の駆動を点順次に設定する(ステップS110)。ここでは、図4に示すように、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36B(図1参照)について、電荷の蓄積開始タイミングはいずれも同じタイミング(時刻t1,t3)とし、フォトダイオードからCCDに移動した電荷を読み出す読出開始タイミングもいずれも同じタイミング(時刻t2,t4)とし、読取画像用の電荷を蓄積する時間はいずれも同じ蓄積時間tsに設定すると共に、CCDコントローラ25の点順次制御部25aにイメージセンサ36を駆動させるよう設定する。図4は、点順次による反射原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。なお、読取原稿がポジの透過原稿及び反射原稿であるときに点順次に設定する理由については詳しくは後述する。次に、CPU22は、AFE27のゲイン・オフセット調整処理を実行する(ステップS120)。ここでは、イメージセンサ36からの出力値とAFE27のリファレンス値との違いからAFE27に設定すべき適切なゲインを調節する処理を行う。
【0025】
次に、CPU22は、シェーディング設定処理を実行する(ステップS130)。このシェーディング設定処理は、所定の白基準及び黒基準の読み取りを行い、その結果を基準として各フォトダイオードの感度のばらつきや反射原稿用光源31及び透過原稿用光源32の主走査方向の光量のばらつきなどを補正する処理である。具体的には、反射原稿の場合、キャリッジ30を白基準板16の読取位置に移動し、反射原稿用光源31を点灯しイメージセンサ36で白基準板16を読み取り、読み取った値を白のシェーディング設定値(白基準)とする。次に、反射原稿用光源31を消灯した状態で白基準板16を読み取り、読み取った値を黒のシェーディング設定値(黒基準)とする。この白基準と黒基準とを用いてイメージセンサ36の補正を行う。また、ポジの透過原稿の場合、原稿がない位置にキャリッジ30を移動し、透過原稿用光源32を点灯しこれをイメージセンサ36で読み取り、読み取った値を白基準とする。次に、透過原稿用光源32を消灯した状態で読み取り、読み取った値を黒基準とする。白基準の点順次の読み取り(基準読み取り)においては、図4に示すように、CCDコントローラ25は、すべての素子列へシフト信号を出力する(時刻t1)。すると、すべての素子列が同じタイミングで読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、読出開始タイミングに至ると、すべての素子列へシフト信号と駆動信号とを出力する(時刻t2)。すると、各々の素子列では、フォトダイオードに蓄積された電荷をCCDに移動し、CCDに入った電荷を第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの順、且つ各素子列の撮像素子の順に、即ち点順次で読み出す処理を行う(時刻t2〜t3)。点順次では、上述したように、イメージセンサ36からは「R」「G」「B」「R」「G」「B」…、の順で電荷が出力され、すべての電荷を出力してこの処理を終了する。また、シェーディング設定処理では、1回の電荷の蓄積と1回の電荷の読出とを行うものとした。なお、電荷の蓄積と蓄積した電荷の読み出しとを複数回にわたって行いその平均値を算出して白基準及び黒基準としてもよい。
【0026】
次に、CPU22は、読取原稿の読取処理(本読み取り)を実行する(ステップS140)。ここでは、図4に示すように、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36B(図1参照)の蓄積開始タイミング(時刻t1,t3)、読出開始タイミング(時刻t2,t4)及び蓄積時間tsを同じにし、キャリッジ30を副走査方向に移動しながら、原稿を透過又は反射した光をイメージセンサ36が電荷として蓄積し、蓄積した電荷をこのイメージセンサ36から読み出すのである。イメージセンサ36から電荷を入力すると、CPU22は、AFE27及び画像処理部28に、読み出した電荷を画像データへ変換させる(ステップS150)。画像データへの変換は、「R」「G」「B」の各色のプレーンを画像処理部28の図示しないメモリ上に設け、AFE27から「R」「G」「B」の順に入力した値を各色のプレーンに1画素ずつ入れていく処理を行う。なお、最終的には各プレーンの画素が埋まると、ライン間補正を行って各色のプレーンを重ね合わせることにより画像データを生成する。そして、読取処理が終了したか否かを、読取指定された範囲をすべて走査したか否かに基づいて判定し(ステップS160)、読取処理が終了していないときにはステップS140以降の処理を実行し、読取処理が終了したときにはこのルーチンを終了する。このステップS140,S160の処理について図4を用いて説明する。ポジの透過原稿及び反射原稿の本読み取りにおいては、まず、CCDコントローラ25は、すべての素子列へシフト信号を出力する(時刻t1)。すると、すべての素子列が同じタイミングで読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、読出開始タイミングに至ると、すべての素子列へシフト信号と駆動信号とを出力する(時刻t2)。すると、各々の素子列では、フォトダイオードに蓄積された電荷をCCDに移動し、CCDに移動した電荷を第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの順、且つ各素子列の撮像素子の順に、即ち点順次で読み出す処理を行う(時刻t2〜t3)。続いて、上述と同様に、電荷の読み出しが終了するタイミングですべての素子列へシフト信号を出力し(時刻t3)、すべての素子列に読取画像用の電荷の蓄積を開始させ、読出開始タイミングに至ると、すべての素子列へシフト信号と駆動信号とを出力し(時刻t4)、各々の素子列に蓄積した電荷を点順次で読み出させるのである(時刻t4〜t5)。上記処理を読取指定された範囲に対して繰り返し実行する。このように、反射原稿やポジの透過原稿では、「R」「G」「B」に対して同じタイミングや同じ露光時間を設定して点順次で読出処理を行うのである。
【0027】
一方、ステップS100で読取原稿がネガの透過原稿であるときには、CPU22は、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの蓄積時間をネガ用蓄積時間に設定すると共に、イメージセンサ36の駆動を線順次に設定する(ステップS170)。ここでは、CCDコントローラ25の線順次制御部25bにイメージセンサ36を駆動させるよう設定する。次に、CPU22は、ステップS120と同様にAFE27のゲイン・オフセット調整処理を実行する(ステップS180)。次に、CPU22は、シェーディング設定処理を実行する(ステップS190)。ここでの処理は、イメージセンサ36の駆動が線順次である以外は、ステップS130のポジ透過原稿と同様である。図5は、線順次によるシェーディング設定処理の読取タイミングを示すタイミングチャートである。ネガの透過原稿の白基準の線順次の読み取り(基準読み取り)においては、まず、CCDコントローラ25(図1参照)は、第1素子列36Rへシフト信号を出力する(時刻t6)。すると、第1素子列36Rが読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、第1素子列36Rの読出開始タイミングに至ると第1素子列36Rへシフト信号及び駆動信号を出力すると共に、第2素子列36Gへシフト信号を出力する(時刻t7)。すると、フォトダイオード41に蓄積された電荷をCCD42に移動し(時刻t7)、CCD42に移動した電荷を読み出すと共に、第2素子列36Gが読取画像用の電荷の蓄積を開始する(時刻t7〜t8)。続いて、第2素子列36Gの読出開始タイミングに至ると、第2素子列36Gへシフト信号及び駆動信号を出力すると共に、第3素子列36Bへシフト信号を出力する(時刻t8)。すると、CCD42からの電荷の読出が終了し、フォトダイオード43に蓄積された電荷をCCD44に移動し(時刻t8)、CCD44に移動した電荷を読み出すと共に、第3素子列36Bが読取画像用の電荷の蓄積を開始する(時刻t8〜t9)。続いて、第3素子列36Bの読出開始タイミングに至ると、第3素子列36Bへシフト信号及び駆動信号を出力する(時刻t9)。すると、CCD44からの電荷の読出が終了し、フォトダイオード45に蓄積された電荷をCCD46移動し(時刻t9)、CCD46に移動した電荷を読み出す(時刻t9〜t10)。そして、CCD46からの電荷の読出が終了すると、そのままこの処理を終了する(時刻t10)。このように、線順次では、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの電荷を蓄積する時間は同じ蓄積時間tsであるが、電荷の蓄積開始タイミング及びCCDに移動した電荷を読み出す読出開始タイミングもいずれも異なるタイミングに設定されている。線順次では、上述したように、イメージセンサ36からは「R」「R」「R」…、「G」「G」「G」…、の順で電荷を出力し、イメージセンサ36のすべての電荷を出力してこの処理を終了する。
【0028】
次に、CPU22は、読み取り原稿の読取処理(本読み取り)を実行する(ステップS200)。図6は、線順次によるネガ透過原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。ここでは、図6に示すように、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36B(図1参照)の蓄積時間はそれぞれ1:2:3の比になるよう設定されており、蓄積開始タイミング(時刻t11,t14)が同じになるように設定されており、読出開始タイミングはそれぞれ異なるタイミング(時刻t11,t12,t13,t14,t15,t16)になるよう設定されている。そして、キャリッジ30を副走査方向に移動しながら、設定された値に基づいて、原稿から透過又は反射した光をイメージセンサ36が電荷として蓄積し、蓄積した電荷をこのイメージセンサ36から読み出すのである。イメージセンサ36から電荷を入力すると、CPU22は、AFE27及び画像処理部28に、読み出した電荷を画像データへ変換させる(ステップS210)。画像データへの変換は、「R」「G」「B」の各色のプレーンを画像処理部28の図示しないメモリ上に設け、AFE27から入力した値を各色のプレーンに素子列の1列分の画素を入れる処理を行う。そして、読取処理が終了したか否かを、読取指定された範囲を走査したか否かに基づいて判定し(ステップS220)、読取処理が終了していないときにはステップS200以降の処理を実行し、読取処理が終了したときにはこのルーチンを終了する。
【0029】
このステップS200,S220での処理について図6を用いて説明する。ネガの透過原稿の本読み取りにおいては、まず、CCDコントローラ25は、同じタイミングですべての素子列へシフト信号を出力する(時刻t11)。すると、各素子列では、読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、第1素子列36Rの読出開始タイミングに至ると、第1素子列36Rへシフト信号と駆動信号とを出力する。すると、第1素子列36Rでは、フォトダイオード41に蓄積された電荷をCCD42に移動し(時刻t12)、CCD42に入った電荷を読み出す(時刻t12〜t13)。このとき、第2素子列36G及び第3素子列36Bは読取画像用の電荷の蓄積を継続している。次に、第2素子列36Gの読出開始タイミングに至ると、第2素子列36Gへシフト信号と駆動信号とを出力する。すると、第2素子列36Gでは、フォトダイオード43に蓄積された電荷をCCD44に移動し(時刻t13)、CCD44に移動した電荷を読み出す(時刻t13〜t14)。このとき、第1素子列36Rは読取画像用の電荷を蓄積しておらず、第3素子列36Bは読取画像用の電荷の蓄積を継続している。続いて、第3素子列36Bの読出開始タイミングに至ると、すべての素子列へシフト信号を出力すると共に、第3素子列36Bへ駆動信号を出力する。すると、第3素子列36Bでは、フォトダイオード45に蓄積された電荷をCCD46に移動し(時刻t14)、CCD46に移動した電荷を読み出す(時刻t14〜t15)。このとき、すべての素子列で、読取画像用の電荷の蓄積を開始する。なお、第1素子列36Rの時刻t12〜t14でフォトダイオード41に蓄積した電荷と、第2素子列36Gの時刻t13〜t14でフォトダイオード43に蓄積した電荷とは、時刻t14のシフト信号により各々のCCDへ移動し、読取画像に用いない不要な電荷として、電子シャッタ機能により消去される。なお、線順次による電荷の読み出しでは、図2に示したように、AFE27において切替スイッチ27dが接続されている色に対応する電荷だけが読み出されるから、不用な電荷を消去しなくてもよい。続いて、上述と同様に、第1素子列36Rの読出開始タイミングに至ると、第1素子列36Rへシフト信号と駆動信号とを出力し(時刻t15)、フォトダイオード41に蓄積された電荷をCCD42に移動させ(時刻t15)、CCD42に入った電荷を線順次で読み出させる(時刻t15〜t16)。上記処理を読取指定された範囲に対して繰り返し実行する。なお、一番電荷の蓄積時間が長い第3素子列36Bでは、常に読取画像用の電荷の蓄積処理を行うように設定されている。このように、ネガの透過原稿では、「R」「G」「B」に対して異なる読出開始タイミングや異なる蓄積時間を設定して線順次で読出処理を行うのである。
【0030】
ここで、ネガの透過原稿を線順次で読み出しする理由について説明する。図7は、点順次によるネガ透過原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。図7に示すように、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの蓄積時間をそれぞれ1:2:3の比になるように設定し、ネガの透過原稿を点順次で読み出ししようとすると、各々の素子列の読取画像用の電荷の蓄積開始タイミングはそれぞれ異なるものとなる一方(時刻t20,t21,t22)、すべての素子列の読出開始タイミングが同じタイミングとなる(時刻t23)。また、最大の蓄積時間(第3素子列36Bの蓄積時間=3ts)とこの最大蓄積時間の次に長い蓄積時間(第2素子列36Gの蓄積時間=2ts)との差分である差分時間td(ここでは電荷の蓄積時間tsと等しい:時刻t25−時刻t24)よりも、総読出時間trが長い時間であることから、点順次によれば読取画像用の電荷の蓄積処理と蓄積した電荷の読出処理とを別々に行わなければならない(時刻t23〜t25)。例えば、時刻t24〜t25の間で、すべての素子列から電荷を読み出す読出処理と第3素子列36Bの読取画像用の電荷の蓄積処理とを並行して行うと、読出処理中に第2素子列36Gのシフト信号を出力しなければならなくなるから、これらの処理を並行して行うことができない。このため、点順次による電荷の蓄積処理と電荷の読出処理との全体での処理時間Tは、(3ts+tr)となる。一方、線順次による電荷の蓄積処理と電荷の読出処理との全体での処理時間Tは、図6に示すように、(3ts)であるため、点順次に比してより短い時間で処理できることになる。更に、線順次による電荷の読出処理は、読取画像用の電荷の蓄積処理と並行して実行可能であり、読出開始タイミングが各々異なるものとなるため、点順次に比して平均的に処理を行うことが可能である。一方、すべての素子列の蓄積時間を同じ蓄積時間tsに設定し、反射原稿を線順次で読み出ししようとすると、図5に示すように、電荷の蓄積処理と電荷の読出処理との全体での処理時間Tは、少なくとも(3ts)以上となり、点順次の処理時間(ts+tr)よりも長い時間がかかることになる。また、電荷の蓄積開始タイミングと読出開始タイミングがすべての素子列で異なるため、各素子列の画像のズレの影響が大きくなることがある。このため、反射原稿やポジの透過原稿では、点順次で電荷をイメージセンサ36から読み出すように設定するのである。
【0031】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフォトダイオード41a…が本発明の第1の光電変換素子に相当し、第1素子列36Rが第1素子列に相当し、フォトダイオード43a…が第2の光電変換素子に相当し、第2素子列36Gが第2素子列に相当し、フォトダイオード45a…が本発明の第3の光電変換素子に相当し、第3素子列36Bが第3素子列に相当し、イメージセンサ36が読取手段に相当し、制御ユニット20が設定手段、制御手段及び判定手段に相当する。また、ネガの透過原稿が抑制原稿に相当し、1:1:1の比になる蓄積時間が通常蓄積時間に相当し、1:2:3の比になるネガ用蓄積時間が抑制原稿用蓄積時間に相当する。なお、本実施形態では、スキャナ装置10の動作を説明することにより本発明の画像読取方法の一例も明らかにしている。
【0032】
以上詳述した本実施形態のスキャナ装置10によれば、読取対象がネガの透過原稿であるときに第1素子列36Rと第2素子列36Gと第3素子列36Bとの電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる蓄積時間に設定し、この設定した蓄積時間に基づいて第1素子列36Rに蓄積した読取画像用の電荷をこの第1素子列36Rから読出しているときには第2素子列36G及び第3素子列36Bが読取画像用の電荷を蓄積し、第2素子列36Gに蓄積した読取画像用の電荷をこの第2素子列36Gから読出しているときには第3素子列36Bが読取画像用の電荷を蓄積し、その後第3素子列36Bに蓄積した読取画像用の電荷をこの第3素子列36Bから読出すよう、即ち、線順次でイメージセンサ36を制御する。このように、第1素子列36Rと第2素子列36Gと第3素子列36Bとの読取画像用の電荷の蓄積時間をそれぞれ異なる値に定めるため、各素子列に適した電荷を蓄積することにより読取画質の低下を抑制することができる。また、各素子列に蓄積した読取画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【0033】
また、読取対象がネガであるときに第1素子列36Rと第2素子列36Gと第3素子列36Bとが同じタイミングで読取画像用の電荷の蓄積を開始するため、共通のシフト信号を用いて読取画像用の電荷の蓄積を開始しやすい。更に、各素子列のうち蓄積時間が最も大きい第3素子列36Bが常に読取画像用の電荷を蓄積するようイメージセンサ36を制御するため、無駄な時間がなく、画像の読取処理に要する時間をより短くすることができる。更にまた、読取対象がネガでないときには第1素子列36Rと第2素子列36Gと第3素子列36Bとの電荷の蓄積時間をそれぞれ同じ蓄積時間に設定し、読取対象がネガであるときには各々の素子列の蓄積時間を異なる時間に設定し、この設定された蓄積時間に基づいてイメージセンサ36を制御するため、それぞれの読取対象を適切に読み取ることができる。そして、読取対象がネガでないときには、点順次で蓄積された電荷を読み出すため、各素子列から読み出された電荷に基づいて生成される各々の画像同士のズレを防止する観点から、好ましい。そしてまた、シェーディング設定処理における白基準の読取と原稿の読取とを、ネガの原稿では線順次に統一し、ネガ以外の原稿では又は点順次に統一して実行するため、処理が簡便であるし、シェーディング設定処理をより的確に読取対象の読取処理に反映させることができる。そして更に、読取対象がネガであるときに設定する最大の蓄積時間とこの最大蓄積時間の次に長い蓄積時間との差分である差分時間(蓄積時間tsに相当する)よりも、すべての素子列の電荷をすべて読み出す時間である総読出時間trが長い時間であるときには、電荷の蓄積処理と蓄積したすべての素子列の電荷を読み出す読出処理とを分けて行う必要があり読取処理全体で時間がかかることがあるが、本発明では、読出開始タイミングを各々異なるものとし蓄積処理と読出処理とを並行することにより読取処理に要する時間を更に短くすることができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、緑や青の光の透過が抑制されるネガの透過原稿のときに、透過が抑制されにくい第1素子列36Rの蓄積時間よりも、透過が抑制される第2素子列36Gや第3素子列36Bの蓄積時間を長いものとし、線順次でイメージセンサ36を駆動してこの原稿を読み取るものとしたが、これに限定されず、特定色の透過が抑制されるような原稿のときに、この特定色に対応する素子列の蓄積時間を長いものとし、線順次でイメージセンサ36を駆動してこの原稿を読み取るものとしてもよい。例えば、赤の光の透過が抑制されるような原稿では、第2素子列36Gや第3素子列36Bの電荷の蓄積時間よりも第1素子列36Rの電荷の蓄積時間を長いものとし、第2素子列36G、第3素子列36B、第1素子列36Rなどの順で線順次でこの原稿を読み取るのである。こうしても、各素子列に蓄積した読取画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【0036】
上述した実施形態では、読取原稿がネガの透過原稿であるか否かを判定しネガの場合線順次でイメージセンサ36を駆動するものとしたが、読取原稿をネガの透過原稿だけにしこの判定を省略する、即ちネガの透過原稿の読取専用のスキャナ装置としてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、シェーディング設定処理と本読み取り処理とは、点順次又は線順次のいずれかを同じく用いて行うものとしたが、どちらで行うようにしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、通常蓄積時間を第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bの通常蓄積時間を、1:1:1の比とし、第1素子列36R,第2素子列36G及び第3素子列36Bのネガ用蓄積時間を、1:2:3の比となるよう設定するものとしたが、これに限られず、通常蓄積時間をそれぞれ異なる値にしてもよいし、図8に示すように、ネガ用蓄積時間の比を上記以外の異なる値(例えば、1:1:3や1:2:4など)に設定するものとしてもよい。図8は、別の線順次によるネガ透過原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。この図8は、ネガ用蓄積時間の比を1:1:3としたときの説明図である。このとき、CCDコントローラ25は、第1素子列36Rと第3素子列36Bとへシフト信号を出力して読取画像用の電荷の蓄積を開始させる(時刻t30)。次に、第1素子列36Rの読出開始タイミングに至ると、第1素子列36Rへシフト信号と駆動信号とを出力すると共に、第2素子列36Gへ読取画像用の電荷の蓄積を開始させるシフト信号を出力する。すると、第1素子列36Rでは、フォトダイオード41に蓄積された電荷をCCD42に移動し(時刻t31)、CCD42に入った電荷を読み出し(時刻t31〜t32)、第2素子列36Gでは読取画像用の電荷の蓄積を開始する(時刻t31)。このとき、第3素子列36Bは読取画像用の電荷の蓄積を継続している。次に、第2素子列36Gの読出開始タイミングに至ると、第2素子列36Gへシフト信号と駆動信号とを出力する。すると、第2素子列36Gでは、フォトダイオード43に蓄積された電荷をCCD44に移動し(時刻t32)、CCD44に移動した電荷を読み出す(時刻t32〜t33)。以下、図6に示したタイミングチャートと同様の処理を行う。こうしても、上述した実施形態と同様に、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。なお、上述した実施形態では、差分時間tdと蓄積時間tsとは同じ時間としたが、異なる時間としても構わない。
【0039】
上述した実施形態では、第1素子列36R、第2素子列36G及び第3素子列36Bの3種類の素子列を備えるものとしたが、他種の素子列を更に1つ以上備えるものとしてもよい。この場合、読取原稿がネガの透過原稿などであるときに、上述した実施形態に準じて各素子列の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間に設定し、より蓄積時間の短い素子列から線順次で電荷の読出処理を行うようにすればよい。
【0040】
上述した実施形態では。差分時間tdより総読出時間trが長いものとしたが、差分時間tdより総読出時間trが短いものとしてもよい。こうしても、各素子列に蓄積した読取画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【0041】
上述した実施形態では、読取原稿がネガ以外のときには点順次でイメージセンサ36を駆動するものとしたが、線順次でイメージセンサ36を駆動しても構わない。
【0042】
上述した実施形態では、第3素子列36Bは、常に読取画像用の電荷の蓄積処理を行うものとしたが、所定の間隔を開けて読取画像用の電荷の蓄積処理を行うようにしても構わない。こうしても、各素子列に蓄積した読取画像用の電荷の読出開始タイミングが各々異なることから、読み出した電荷に対するその後の処理が重なることを抑制可能であるため、画像の読取処理の負荷の平滑化を図ることができる。
【0043】
上述した実施形態では、読取原稿がネガの透過原稿であるときには、電荷の蓄積開始タイミングをすべての素子列で同じタイミングにするものとしたが(図6の時刻t11,t14参照)、このタイミングをずらしても構わない。
【0044】
上述した実施形態では、本発明の画像読取装置をスキャナ装置10として説明したが、印刷装置を備えたマルチファンクションプリンタとしてもよいし、FAX装置としてもよい。また、スキャナ装置10の態様で本発明を説明したが、画像読取方法の態様としてもよいし、この方法のプログラムの態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】スキャナ装置10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】AFE27の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】スキャン処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図4】点順次による反射原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。
【図5】線順次によるシェーディング設定処理の読取のタイミングチャートである。
【図6】線順次によるネガ透過原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。
【図7】点順次によるネガ透過原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。
【図8】別の線順次によるネガ原稿の読取タイミングのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 スキャナ装置、12 読取面、14 筐体上面、16 白基準板、20 制御ユニット、21 メインコントローラ、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 CCDコントローラ、25a 点順次制御部、25b 線順次制御部、26 タイミングジェネレータ(TG)、27 アナログフロントエンド(AFE)、27a 相関二重サンプラ(CDS)処理回路、27b 可変増幅アンプ、27c A/D変換部、27d 切替スイッチ、28 画像処理部、29 インタフェース(I/F)、30 キャリッジ、31 反射原稿用光源、32 透過原稿用光源、33 ミラー、34 集光レンズ、36 イメージセンサ、36R 第1素子列、36G 第2素子列、36B 第3素子列、38 キャリッジベルト、38a 従動ローラ、39 駆動モータ、41,43,45,41a〜41d,43a〜43d,45a〜45d フォトダイオード、42,44,46,42a〜42d,44a〜44d,46a〜46d CCD、50 ユーザパソコン(PC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段と、
読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定する設定手段と、
前記設定された抑制原稿用蓄積時間に基づいて前記第1素子列に蓄積した画像用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した画像用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した画像用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御する制御手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段と、
読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定する設定手段と、
読取対象が前記抑制原稿であるときに蓄積した電荷を各素子列ごとに読出す線順次を用い、前記設定された抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御する制御手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、読取対象が前記抑制原稿であるときに前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とが同じタイミングで画像用の電荷の蓄積を開始するよう前記読取手段を制御する、請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、読取対象が前記抑制原稿であるときに前記素子列のうち蓄積時間が最も大きい前記第3素子列が常に画像用の電荷を蓄積するよう前記読取手段を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像読取装置であって、
読取対象が前記抑制原稿であるか否かを判定する判定手段、を備え、
前記設定手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間をそれぞれ同じ時間である通常蓄積時間に設定し、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿であると判定されたときには前記蓄積時間を前記抑制原稿用蓄積時間に設定し、
前記制御手段は、前記設定された蓄積時間に基づいて前記読取手段を制御する、
画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列に含まれる光電変換素子、前記第2素子列に含まれる光電変換素子、前記第3素子列に含まれる光電変換素子という順で且つ各素子列に含まれる各光電変換素子の順に前記蓄積された電荷を読み出す点順次を用い、前記設定された通常蓄積時間に基づいて蓄積した画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御する、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿でないと判定されたときには前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とに同じタイミングで電荷を蓄積すると共に前記第1素子列と第2素子列と第3素子列とから同じタイミングで該蓄積した電荷を読み出すよう前記読取手段を制御することにより前記読取対象の読取処理前に所定の白基準を読み取る基準処理を実行し、前記判定手段によって前記読取対象が前記抑制原稿であると判定されたときには前記第1素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2素子列が前記基準処理用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が前記基準処理用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した前記基準処理用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御することにより前記読取対象の読取処理前に所定の白基準を読み取る基準処理を実行する、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記設定手段が設定する最大の蓄積時間と該最大蓄積時間の次に長い蓄積時間との差分である差分時間よりも前記第1素子列第2素子列と第3素子列とに蓄積した電荷をすべて読み出す時間である総読出時間が長い時間で前記読取手段を制御する、請求項1〜7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段を備えた画像読取装置を用いた画像読取方法であって、
(a)読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定するステップと、
(b)前記ステップ(a)で設定した抑制原稿用蓄積時間に基づいて前記第1素子列に蓄積した画像用の電荷を該第1素子列から読出しているときには前記第2及び第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、前記第2素子列に蓄積した画像用の電荷を該第2素子列から読出しているときには前記第3素子列が画像用の電荷を蓄積し、その後前記第3素子列に蓄積した画像用の電荷を該第3素子列から読出すよう前記読取手段を制御するステップと、
を含む画像読取方法。
【請求項10】
光電変換し電荷を蓄積する第1の光電変換素子を複数有する第1素子列と光電変換し電荷を蓄積する第2の光電変換素子を複数有する第2素子列と光電変換し電荷を蓄積する第3の光電変換素子を複数有する第3素子列とを各々1以上備えている読取手段を備えた画像読取装置を用いた画像読取方法であって、
(a)読取対象が特定色の透過が抑制される抑制原稿であるときに前記第1素子列と前記第2素子列と前記第3素子列との電荷の蓄積時間のうち少なくとも一つを異なる時間とする抑制原稿用蓄積時間を該蓄積時間に設定するステップと、
(b)読取対象が前記抑制原稿であるときに、蓄積した電荷を各素子列ごとに読出す線順次を用い、前記ステップ(a)で設定した抑制原稿用蓄積時間の短い素子列から順に画像用の電荷を読出すよう前記読取手段を制御するステップと、
を含む画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−205668(P2008−205668A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37398(P2007−37398)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】