説明

画像読取装置

【課題】 照明光源を構成する複数の発光素子の配置間隔を疎密に配置した場合であっても、色味分布を均一にし、良好な光量分布を得ること。
【解決手段】 ランプユニット203,210を構成する複数のLEDの配置間隔は疎密に配置され、LEDの配置間隔が密となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積は、LEDの配置間隔が疎となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン状の照明光源を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置には、読取ライン毎に原稿を照明する照明光源が設けられており、この照明光源には、複数のLED(発光ダイオード)等を一直線上に配列したLEDアレイを用いるものがある。
【0003】
上記LEDアレイはLEDが等間隔となるように配列されていて、各LEDが読み取るべき原稿の紙面に対してそれぞれ一定となるように配置されている。このようなLEDアレイで原稿を照明した場合、原稿からの反射光をイメージセンサへと導く読取レンズは、光軸部より周辺部の光量が低下する特性を有することから、読取ライン両端近傍おいてはイメージセンサの出力が低下してしまう。
【0004】
上記の対策として、ライン状光源を複数のブロックに分割してブロック毎に発光光量の調整を行うものや、LED個々に発光光量の調整を行うことで、ライン状光源の光量分布を最適化するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−233142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術を利用した場合、ライン状光源を構成するLEDを個々又はブロック毎に発光光量を調整するための制御手段が必要となり、装置の規模が大きくなってしまい、かつ、コストも高いものとなってしまう。
【0006】
また、その対策として、LEDの配列ピッチを変えて光量分布を作り出そうとすると、LEDは発熱を伴って色味や光量が変化するため、配置間隔が異なると発熱分布も不均一となるため、色味が不均一となる上に、所望の光量分布が得られなくなる。
【0007】
そこで、本発明は、照明光源を構成する複数の発光素子の配置間隔を疎密に配置した場合であっても、色味分布を均一にし、良好な光量分布を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、複数の発光素子が直線状に並べられ、原稿を照明する照明手段と、前記照明手段により照明された原稿の画像を読み取る読取手段と、を有し、前記照明手段を構成する、前記複数の発光素子の配置間隔は疎密に配置され、前記発光素子の配置間隔が密となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積は、前記発光素子の配置間隔が疎となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光素子の配置間隔が密となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積は、前記発光素子の配置間隔が疎となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積よりも大きくしたものである。これによって、装置の規模を大きくすることなく、色味分布を均一にし、良好な光量分布を得ることで、読取画質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本実施形態における画像読取装置の断面図である。
【0011】
自動原稿送り装置であるADF100において、原稿トレイ20上に表面を上に向けてセットされた原稿束Sは、ピックアップローラ1により最上位の原稿から分離部2へと繰り出される。分離部2は、上方に分離ローラ、下方に分離パッドが配置されており、原稿束Sの最上紙より一枚ずつ分離を行う。
【0012】
片面原稿で表面の画像を読み取る場合は、分離された原稿は、第1レジストローラ3に先端が突き当てられることにより斜行補正された後、第2レジストローラ4、第1搬送ローラ5により搬送される。
【0013】
そして、原稿が読取ローラ7により読取位置Rを搬送されている間に、原稿の表面の画像が読み取られる。読取位置Rを通過した原稿は、第2搬送ローラ6により搬送され、排紙ローラ8により、排紙トレイ21上に原稿表面を下に向けて順番に排出される。
【0014】
両面原稿で表裏両面の画像を読み取る場合は、分離された原稿は、第1レジストローラ3に先端が突き当てられることにより斜行補正された後、第2レジストローラ4、第1搬送ローラ5により搬送される。
【0015】
そして、原稿が読取ローラ7により読取位置Rを搬送されている間に、原稿の表面の画像が読み取られる。読取位置Rを通過した原稿は、第2搬送ローラ6により搬送され、その後排紙ローラ8により一旦原稿端部が排紙トレイ21上に搬送される。そして、原稿後端が排紙ローラ8にニップされた状態で搬送が停止される。
【0016】
その後、排紙ローラ8が逆回転することにより原稿をスイッチバック搬送する。スイッチバック搬送された原稿は、第2レジストローラ4に先端が突き当てられることにより再度斜行補正が行われた後、第1搬送ローラ5により搬送される。そして、原稿が読取ローラ7により読取位置Rを搬送されている間に、原稿の裏面の画像が読み取られる。
【0017】
しかし、このまま第2搬送ローラ6及び排紙ローラ8により、排紙トレイ21上に原稿表面を上に向けて排出すると、原稿トレイ20上にセットされたページ順と逆順に積載されてしまうので、再度原稿の表裏を反転させる必要がある。
【0018】
そこで、裏面を読み取られた原稿は、第2搬送ローラ6、排紙ローラ8により、再度原稿端部が排紙トレイ21上に搬送され、原稿後端が排紙ローラ8にニップされた状態で停止する。
【0019】
その後、排紙ローラ8が逆回転することにより原稿をスイッチバック搬送する。スイッチバック搬送された原稿は、第2レジストローラ4に先端が突き当てられることにより再度斜行補正が行われた後、第1搬送ローラ5により搬送される。そして、原稿が第2搬送ローラ6により搬送され、排紙ローラ8により排紙トレイ21上に表面を下に向けて順番に排出される。なお、原稿が読取位置Rを搬送されている間であっても、この間は、原稿画像の読み取りは行われない。
【0020】
リーダー部200は、原稿に記録された画像情報を光学的に読み取り、光電変換して画像データとして入力するものである。リーダー部200は、ADF原稿用プラテンガラス201(以下、ADFプラテン)、ブック原稿用プラテンガラス202(以下、ブック用プラテン)、スキャナーユニット209、ミラー205、206、レンズ207、CCDセンサ208等を有している。スキャナーユニット209は、ランプユニット203、210、及びミラー204を有する。
【0021】
リーダー部200は、ADF100から搬送されてくる原稿の画像を読み取る場合は、スキャナーユニット209をADF用プラテン201の下に移動して停止させ、原稿が読取位置R上を搬送されている間、画像情報を読み取る。
【0022】
また、ブック用プラテン202上に載置された原稿の画像を読み取る場合は、スキャナーユニット209を図示しない原稿セット基準から副走査方向に移動させ、原稿の画像情報を読み取る(圧板モードスキャン)。
【0023】
原稿の画像情報の読み取りは、ランプユニット203が点灯し原稿を照射する。原稿からの反射光は、ミラー204、205、206及びレンズ207を介して、CCDセンサ208に入力される。そして、CCDセンサ208に入力された原稿からの反射光は、ここで光電変換等の電気処理が行われ、通常のデジタル処理が施される。
【0024】
なお、本発明はリーダー部200と、ADF100が一体化された読み取り装置としても適用可能である。
【0025】
図2は、ADF100の制御ブロック図である。
【0026】
中央演算処理装置であるCPU800は、リードオンリーメモリ(以下、ROM)801、及びランダムアクセスメモリ(以下、RAM)802と接続され、出力ポート、及び入力ポートを備えている。ROM801には、制御用プログラムが格納されており、RAM802には、入力データや作業用データが格納されている。
【0027】
また、出力ポートには、分離モータM1、給紙モータM2、排紙モータM3、離間ソレノイドSL、給紙クラッチCLが接続されている。入力ポートには、分離後センサ10、レジストセンサ11、リードセンサ12、排紙センサ13、原稿検知センサ14、原稿長検知センサ15、図示しない原稿幅検知センサ16がそれぞれ接続されている。
【0028】
CPU800は、ROM801に格納された制御プログラムにしたがって分離モータM1、給紙モータM2、排紙モータM3、離間ソレノイドSL、給紙クラッチCLを制御する。CPU800は、リーダー部200のCPU900とシリアル通信を行い、リーダー部200との間で制御データの授受を行うようになっている。
【0029】
なお、本発明はリーダー部200と、ADF100が一体化された読み取り装置としても適用する場合は、通信を行うことなく、1つのCPUで構成しても良い。
【0030】
図3は、リーダー部200の機能ブロック図である。
【0031】
中央演算処理装置であるCPU900は、ROM901及びRAM902と接続され、出力ポート、及び入力ポートを備えている。CPU900は、ランプユニット203、210の点灯制御を行う回路である照明制御回路305、スキャナーユニット209を移動させるための光学系移動モータM4、CCDセンサ208と接続されている。また、画像処理回路304は、CCDセンサ208からのアナログ信号の補正、A/D変換等を行う回路である。
【0032】
なお、ランプユニット203、210の制御は、照明制御回路305を構成せずに、CPU900によって直接制御を行うような構成にしてもよい。
【0033】
図4は、ランプユニット203、210の外観図を示す。
【0034】
ランプユニット203及び201は、発光ダイオード(以下、LED)401がライン状に配置されている。LED401からの光を反射板402、403によって反射及び拡散し、原稿面に照射する。本図ではLED401はLEDチップを表現しているが、ディスクリートタイプのLEDを用いても構わない。更には、カラー原稿を読み取り可能な画像読取装置とするには、LED401は白色LEDを使用するのが望ましい。
【0035】
図5は、ランプユニット203、210の制御ブロック図を示す。
【0036】
照明制御回路305は、CPU900からの命令によりLED401を点灯させる。省電力化とLED401の高寿命化を図るために、短い周期で点滅駆動を行うことも可能としている。図5(a)は各LEDの駆動を並列駆動とした場合、図5(b)はLEDの駆動を直列駆動とした場合の制御ブロック図を表している。
【0037】
図6は、ランプユニット203、210を構成するLEDの配列ピッチを表した図である。
【0038】
各LEDは、中央部よりも端部の配置間隔が小さくなるように配列される。このように配置することで、中央部に対して端部の光量が大きくなるような光量分布が得られるが、LEDは発光の際に発熱も伴う。
【0039】
図7は、LEDの温度特性図を示す図である。
【0040】
この図に示されるように、LEDの自己発熱及び隣り合うLEDからの熱によって周囲温度が変化すると光量も変化する。したがって、LEDの配置間隔どおりの配光特性を得ることができない。また、温度差による色むらも発生する。
【0041】
図8は、ランプユニット203、210の配線パターンの一例である。
【0042】
LEDの配列ピッチを中央部に対し、端部の配置間隔が小さくなるように配列していることに対し、配線パターンの面積は中央部を小さく、端部が大きくなるように設ける。より具体的には、ランプユニット203、210を構成する各LEDに接続される配線パターンの面積は、配列間隔と反比例となるような面積とする。
【0043】
配線パターンの面積が大きいと、配線パターンからの放熱効率が高くなるので、LEDが密に配置されて高温となるランプユニット端部での放熱効率が高くなる。これにより、ランプユニット上での温度の均一化が図られ、発熱による色むら及び光量むらを防止することができる。
【0044】
上記の結果、図9に示すように、ランプユニットの端部付近の光量が大きくなるような配光分布が得られる。一方、原稿からの反射光をCCDセンサ208へ集光するレンズ207は、シェーディング特性により図10に示すように、透過光量が中央部側は大きく、周辺部で小さくなる特性を持っている。
【0045】
したがって、CCDセンサ208には、図9に示す照度分布の反射光と、図10に示すシェーディング特性が合成された光が入射されるため、図11に示すように、CCDセンサ208の受光面にはほぼ均一に補正された分布の光が到達することになる。
【0046】
その結果、CCDセンサ208の端部のセンサ出力が低下することもなく、画像読み取りに良好な読み取り装置を実現できる。
【0047】
また、本実施の形態により、従来、ライン状の発光素子列における、端部付近の発光素子駆動電圧を高くすることによって実現していた構成に対し、電源を複数持つ必要がなく、装置の規模が大きくなってしまうこともない。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、複数の発光素子を直線状に並べた照明光源(ランプユニット)を構成する複数の発光素子(LED)の配置間隔を疎密に配置している。そして、発光素子の配置間隔が密となっている箇所の配線パターンの面積を、発光素子の配置間隔が疎となっている箇所の配線パターンの面積よりも大きくする。この構成によって、装置の規模を大きくすることなく、照明光源の端部の光量を大きくし、レンズ特性による端部の光量落ち込みを補正して、良好な読み取り画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】画像読取装置の断面図
【図2】ADFのブロック図
【図3】リーダー部の機能ブロック図
【図4】ランプユニットの外観図
【図5】ランプユニットの制御ブロック図
【図6】LEDの配列図
【図7】LEDの温度特性図
【図8】ランプユニットの配線図
【図9】ランプユニットの照度分布図
【図10】レンズの光学特性図
【図11】CCDに入射される光分布図
【符号の説明】
【0050】
100 自動原稿送り装置(ADF)
200 リーダー
203、210 ランプユニット
207 レンズ
208 CCDセンサ
209 スキャナーユニット
302 光学系移動モータ
304 画像処理回路
305 照明制御回路
401 LED
402、403 反射板
900 CPU
901 ROM
902 RAM
R 読取位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が直線状に並べられ、原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿の画像を読み取る読取手段と、を有し、
前記照明手段を構成する、前記複数の発光素子の配置間隔は疎密に配置され、前記発光素子の配置間隔が密となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積は、前記発光素子の配置間隔が疎となっている箇所の発光素子に接続される配線パターンの面積よりも大きいことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、前記照明手段の中央部よりも端部の方が密に配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記発光素子に接続される配線パターンの面積は、前記配置間隔と反比例となるような面積とすることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取手段に原稿からの反射光を集光する集光手段を有し、
前記集光手段を透過する光の透過光量は、中央部よりも周辺部の方が小さいことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−10699(P2009−10699A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170234(P2007−170234)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】