説明

画像読取装置

【課題】画像読取装置において、原稿の読取効率を向上させること。
【解決手段】複合機1は、原稿ガイド13を有しており、原稿を矢印81で示す搬送方向に搬送しながら、読取部60を用いて原稿を読み取っている。この複合機1では、原稿の主走査幅Wが第1閾値K1を超えると判断される場合に、原稿の搬送及び読取部60による原稿の読取を一時停止し、ユーザに対して原稿ガイド13を広げるように報知する。そして、ユーザによって矢印86に示すように原稿ガイド13が広げられたとの入力を受け付けた場合に、原稿の搬送及び原稿の読取を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を搬送しながら読み取る画像読取装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿を搬送しながら読み取る画像読取装置において、原稿ガイドを備えた装置が知られている。この装置では、原稿ガイドを用いて搬送前の原稿の姿勢を適切に保っている。しかし、原稿は搬送中に傾くことがあり、原稿が斜行すると原稿ガイド等の装置と干渉してしまい、ジャムが発生することがある。搬送中の原稿のジャム発生を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、搬送中の原稿の傾きを検出し、傾きが検出された場合に原稿の搬送及び読み取りを中止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、原稿が傾いていても、原稿のサイズや傾きによっては原稿の搬送や読み取りが可能な場合もある。従来技術のように、このような場合にも一律に原稿の搬送及び読み取りを中止してしまうこととすると、実際にはジャムが発生しないような場合であっても原稿の搬送及び読み取りを中止しなければならず、原稿の読取効率が低下する問題が生じていた。
【0005】
本発明は、画像読取装置において原稿の読取効率を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像読取装置は、原稿を搬送方向に搬送する搬送部と、前記原稿の前記搬送方向に直交する直交方向における移動を制限する原稿ガイドと、搬送中の前記原稿を読み取る読取部と、前記原稿の原稿幅を検出する原稿幅検出部と、前記原稿の先端部から前記原稿の原稿傾きを検出する傾き検出部と、検出された前記原稿幅と前記原稿傾きから前記直交方向において前記原稿が搬送される幅である主走査幅を算出する算出部と、前記主走査幅が前記原稿幅に基づいて設定される第1閾値を超えるか否かを判断する判断部と、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、ユーザに対して報知する報知部と、前記主走査幅が前記第1閾値を超えると判断部が判断した場合に、前記搬送部による前記原稿の搬送及び前記読取部による前記原稿の読取を一時停止し、前記報知部を用いて前記原稿ガイドを広げるように報知し、前記入力部を介して入力を受け付けた場合に、前記原稿の搬送及び前記原稿の読取を再開させるように制御する制御部と、を備える。
【0007】
また、上記の画像読取装置では、前記原稿ガイドのガイド幅を検出するガイド幅検出部と、をさらに備え、前記第1閾値は前記ガイド幅検出部が検出した前記ガイド幅を用いて設定される構成としても良い。
【0008】
また、上記の画像読取装置では、前記傾き検出部は、前記読取部が前記原稿の先端部を読み取った読取結果から前記原稿傾きを検出する構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像読取装置では、前記原稿幅検出部は、前記読取部が前記原稿の先端部を読み取った読取結果から前記原稿幅を検出する構成としても良い。
【0010】
また、上記の画像読取装置では、前記判断部は、前記第1閾値よりも大きな値であり、前記読取部の前記直交方向における読取幅に設定されている第2閾値を有しており、前記制御部は、前記主走査幅が前記第2閾値より小さい場合に前記制御を実行する構成としても良い。
【0011】
また、上記の画像読取装置では、前記原稿ガイドと前記読取部の前記搬送方向における距離は、前記原稿の原稿長よりも短い構成としても良い。
【0012】
また、上記の画像読取装置では、前記読取部は、前記原稿の一方の面を読み取る第1読取部と、前記搬送方向において前記第1読取部より下流側に設けられ、前記原稿の他方の面を読み取る第2読取部と、を備えており、前記読取結果は、前記第1読取部が前記原稿の先端部を読み取ったものとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される画像読取装置では、各種検出部を用いて検出した原稿幅及び原稿傾きから主走査幅を算出し、この主走査幅が第1閾値を超える場合には、原稿の搬送及び原稿の読取を一時停止し、ユーザに原稿ガイドを広げる処理を実行させ、その後、再び原稿の搬送及び原稿の読取を再開する。この画像読取装置によれば、原稿ガイドに起因してジャムが発生することを回避した上で、ジャムが発生しないような場合に、原稿の搬送及び読み取りを再開することで、原稿の読取効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複合機1の斜視図
【図2】複合機1の斜視図
【図3】複合機1の概略的な断面図
【図4】複合機1の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図5】読取処理を示すフローチャート
【図6】読取処理を説明する図
【図7】読取処理を説明する図
【図8】読取処理を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図8を用いて説明する。
【0016】
1.複合機の外観構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例である複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は、その原稿カバー48を上げた状態を示す斜視図である。この複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた多機能周辺装置である。図3は、閉姿勢における画像読取装置3の断面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、複合機1は、本体部2の上方に原稿を読み取るための画像読取装置3を備えている。画像読取装置3は、後述する読取部30、原稿自動送り装置40、原稿載置部(以下、ADF)50等を含む。読取部30は、第2読取部の一例である。
【0018】
原稿載置部50は、台枠51、透明なガラス板からなる第1プラテンガラス52、第2プラテンガラス53、及びこれらのガラス52、53の中間に配置された中間枠54を含む。原稿載置部50は、原稿カバー48によって開閉可能に覆われている。
【0019】
原稿カバー48は、原稿載置部50を覆う閉姿勢と原稿載置部50を開放する開姿勢とに回動可能であり、入力部11、表示部12等が設けられる側を前側とする複合機1の本体部2の後側に連結されている。原稿カバー48上に、ADF40が設けられている。
【0020】
図3に示すように、ADF40は、ADFカバー41、原稿トレイ42、押圧部材43、44、各種ローラ46、排紙トレイ47、Rセンサ14、透明なガラス板からなる第3プラテンガラス55、読取部60等を含む。読取部60は、第1読取部の一例である。
【0021】
ADF40には、ローラ46等によって原稿が原稿トレイ42から排紙トレイ47へと搬送される経路である搬送路45が設けられている。以後、搬送路45に沿った方向を搬送方向と呼び、これに直交する方向を直交方向と呼ぶ。図3に、搬送方向を矢印81で示す。また、搬送路45の原稿トレイ42に近い側を上流側と呼び、搬送路45の排紙トレイ47に近い側を下流側と呼ぶ。
【0022】
原稿トレイ42は、ADF40で搬送される原稿を載置するトレイである。原稿トレイ42には、原稿ガイド13が直交方向に移動可能に設けられている。ADF40では、ユーザにより原稿ガイド13が押し広げられ、又は押し狭められることにより、原稿ガイド13の間の距離が原稿の幅と等しく調整される。これにより、原稿トレイ42に載置された原稿は、直交方向における移動が制限され、搬送方向に並んで載置される。
【0023】
搬送路45の原稿トレイ42の下流側に、Rセンサ14が配置されている。Rセンサ14は、搬送路45上の当該センサが配置された位置に原稿が存在するか否かを検出する。搬送路45のRセンサ14の下流側に、読取部60が配置されている。搬送路45上において、読取部60と原稿トレイ42は、隣接して配置されており、搬送方向における原稿トレイ42の原稿ガイド13と読取部60の間の距離は、ADF40において搬送可能な最小サイズの原稿の搬送方向の原稿長さよりも短くなるように配置されている。
【0024】
読取部60は、原稿カバー48内に配置され、直交方向に広がって形成されているとともに、ADF40に対して移動不能に支持されている。つまり、直交方向は、読取部60の主走査方向に等しい。読取部60は、搬送路45を搬送される原稿が第3プラテンガラス55上を通過する際に当該原稿の裏面を読み取る。押圧部材43は、第3プラテンガラス55を介して読取部60と対向して配置され、第3プラテンガラス55上を通過する原稿が第3プラテンガラス55から浮かないように、原稿を第3プラテンガラス55に押圧する。
【0025】
搬送路45の読取部60の下流側に、読取部30が配置されている。読取部30は、本体部2内に配置されており、直交方向に広がって形成されているとともに、図3に矢印84で示す副走査方向に移動可能に支持されている。つまり、直交方向は、読取部60の主走査方向に等しい。読取部30は、図2に点線で示すように、副走査方向に移動しながら第1プラテンガラス52上に静止して載置された原稿を読み取る。また、図2に実線で示すように、第2プラテンガラス53下の読取位置Lに移動し、搬送路45を搬送される原稿の表面を読み取る。この際、読取部30は、ADF40によって搬送路45を搬送される原稿が第2プラテンガラス53上を通過する際に当該原稿を読み取る。
【0026】
押圧部材44は、第2プラテンガラス53を介して読取位置Lに移動した状態の読取部30と対向して配置され、第2プラテンガラス53上を通過する原稿が第2プラテンガラス53から浮かないように、原稿を第2プラテンガラス53に押圧する。なお、以下の説明において、特に記載がない場合には、読取位置Lにおいて搬送路45を搬送される原稿の表面を読み取る読取部30の状態及び動作を説明しているものとする。
【0027】
次に、読取部60の構造について説明する。読取部60は、CIS(Contact Image Sensor)を用いた、いわゆるCIS方式で第3プラテンガラス55上に載置された原稿を読み取る。読取部60は、複数の受光素子が主走査方向に直線状に配列されているリニアイメージセンサ63、発光ダイオードなどで構成される光源61、光源から照射される光を第3プラテンガラス55上に配置された原稿等へと導く導光体66、原稿等で反射された反射光をリニアイメージセンサ63の各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ62、これらが搭載されるキャリッジ64を含む。
【0028】
読取部30の構成は、読取部60の構成と基本的に同じものであり、重複した説明を省略する。しかし、読取部30及び60の構造は、必ずしも同一の構造である必要はなく、例えば、読取部30又は読取部60のいずれか一方がCISであって、他方がCCDであってもよい。
【0029】
さらに、複合機1の前側には、各種のボタンからなり、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部11、複合機1の状態を表示する液晶ディスプレイからなる表示部12が設けられている。表示部12は、報知部の一例である。
【0030】
2.複合機の電気的構成
図4は、複合機1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4に示すように、複合機1は、複合機1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)20、ROM26、RAM27、デバイス制御部16、アナログフロントエンド(以下、AFE)17、駆動部18、ガイド幅検出部19、画像処理部28を備え、これらにバス29を介して、入力部11、表示部12、Rセンサ14などが接続されている。
【0031】
ROM26には、複合機1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM26から読み出したプログラムに従って、原稿幅検出部21、傾き検出部22、算出部23、判断部24、制御部25等として機能し、各部の制御を行う。また、ROM26には、図6に示すように、読取部60のリニアイメージセンサ63が直交方向に形成されている幅である読取幅Rが第2閾値K2として記憶されている。
【0032】
デバイス制御部16は、読取部30、60に各々接続されており、CPU20からの命令に基づいて、光源31、41の点灯/消灯、及びリニアイメージセンサ33、63による読み取りを制御する信号を読取部30、60に送信する。読取部30、60は、デバイス制御部16から信号を受け取ると、光源31、41を点灯し、搬送路45上を搬送される原稿から反射される反射光をリニアイメージセンサ33、63を用いて受光する。また、読取部30、60は、リニアイメージセンサ33、63が受光した受光量に応じたアナログ信号である読取データをAFE15に出力する。読取データは、読取結果の一例である。
【0033】
AFE17は、読取部30、60に各々接続されており、CPU20からの命令に基づいて、読取部30、60から出力される読取データをデジタル信号である階調データに変換する。AFE15によってA/D変換された階調データは、バス29を介してRAM27に記憶される。画像処理部28は、RAM27に記憶された階調データに傾き補正や回転補正等の補正処理を行い、補正データに変換する。画像処理部28により変換された補正データは、RAM27に記憶される。
【0034】
駆動部18は、各種ローラ46を用いて原稿を搬送方向に搬送する搬送部15に接続されており、CPU20からの命令に基づいて搬送部15を制御し、原稿を搬送する。ガイド幅検出部19は、原稿ガイド13に接続されており、CPU20からの命令に基づいて、原稿ガイド13の直交方向の幅であるガイド幅Gを検出する。
【0035】
3.読取処理
次に、図5ないし図8を参照して、ADF40を用いて原稿の画像を読み取る処理について説明する。本実施形態では、原稿としてA4やB5等の定型原稿を用いる。そのため、原稿の直交方向の幅である原稿幅Xから、原稿の搬送方向の幅である原稿長Yを推定することができる。
【0036】
図5は、CPU20が所定のプログラムに従って実行する処理のフローチャートを示す。CPU20は、ユーザによって複合機1の原稿トレイ42に原稿が載置され、入力部11を介して原稿の読取指示が入力されると、処理を開始する。
【0037】
CPU20は、処理を開始すると、搬送部15を制御し、搬送部15は、一定の距離を示すステップ単位で原稿を搬送路45に沿って搬送する。CPU20は、Rセンサ14を用いて搬送路45を搬送される原稿の位置を確認し、搬送路45のRセンサ14に対応する位置に原稿が到達したことを検出する。CPU20は、デバイス制御部16を介して規定ステップ後に読取部60を用いて原稿を読み取りを開始する(S2)。
【0038】
CPU20は、原稿の読み取りを開始すると、ユーザによって原稿の傾き補正を実行する設定が予め入力されているか否かを確認する(S4)。
【0039】
図6に示すように、ADF40によって搬送される原稿は、搬送前において原稿トレイ42の原稿ガイド13によって直交方向における移動が制限され、図6に矢印81で示す搬送方向に沿って並んでいる。その一方、図7に示すように、原稿は、搬送中において搬送部15が有する各種ローラ46と原稿との間の摩擦等によってその姿勢が搬送方向に対して傾くことがある。ここで、原稿の主走査幅Wは、原稿が搬送路45を搬送される直交方向の幅を意味する。図6のように原稿が傾いていない場合は、原稿の主走査幅Wと原稿幅Xは一致する。しかし、図7のように原稿が傾いて搬送されている場合、原稿の主走査幅Wが原稿幅Xに対して広くなることがある。主走査幅Wは、原稿幅X、原稿長Y及び原稿の傾きθを用いて以下のように示される。ここで、原稿の傾きθとは、図6に矢印82で示す直交方向に対する矢印83で示す原稿の幅方向の傾きを意味する。
W=X*cosθ+Y*sinθ
【0040】
CPU20は、ユーザによって主走査幅Wの算出指示が入力されていない場合(S4:NO)、原稿の読み取りを継続する。CPU20は、読取部60を用いた原稿の読み取りに続けて読取部30を用いて原稿を読み取り、読取部30、60を用いた原稿の読み取りを終了すると(S30)、読み取られた階調データに傾き補正や回転補正等の補正処理を行い(S32)、読取処理を終了する。
【0041】
一方、CPU20は、主走査幅Wの算出指示が入力されている場合(S4:YES)、主走査幅Wを検出する。CPU20は、原稿の読み取りを開始後、図7に点線85で示すように、読取部60を用いて、基準ステップ数に亘って原稿の搬送方向の先端部を読み取る(S6:NO)。CPU20は、当該先端部の読み取りを終了する(S6:YES)。読み取った原稿の先端部の階調データは、RAM27に記憶される。
【0042】
次に、CPU20は、先端部階調データから主走査幅Wを算出する(S8)。原稿幅検出部21として機能するCPU20は、先端部階調データから原稿のエッジを検出し、原稿幅Xを検出する。そして、CPU20は、原稿幅Xの長さから、定格の原稿サイズにおける原稿長Yを推定する。次に、傾き検出部22として機能するCPU20は、先端部階調データから原稿の傾きθを検出する。最後に、算出部23として機能するCPU20は、原稿幅X、原稿長Y及び原稿の傾きθから主走査幅Wを算出する。
【0043】
ガイド幅検出部19を用いて、原稿ガイド13のガイド幅G0は検出され、CPU20は、検出されたガイド幅G0を第1閾値K1としてRAM27に記憶する(S10)。ADF40を用いて搬送される原稿の原稿幅Xは、読取部60の読取幅R以下に設定される。そのため、RAM27に記憶される第1閾値K1は、ROM26に記憶された第2閾値K2よりも小さな値に設定される。
【0044】
判断部として機能するCPU20は、主走査幅WとROM26に記憶された第2閾値K2とを比較する(S12)。CPU20は、主走査幅Wが第2閾値K2以上の場合(S12:YES)、読取部60を用いて画像欠落無く原稿を読み取ることができないと判断するとともに、原稿を搬送路45に搬送するとジャムが発生すると判断する。この場合、CPU20は、読取部60による原稿の読み取り及び搬送部15による原稿の搬送を停止するとともに、表示部12を用いてエラー報知を行い、搬送中の原稿を取り除くようにユーザに報知する(S14)。
【0045】
CPU20は、入力部11を介してユーザから読取停止の指示が入力されるのを待機しており(S16:NO)、読取停止の指示が入力される。CPU20は、Rセンサ14を用いて原稿が取り除かれたことを認識すると、(S16:YES)、読取処理を終了する。
【0046】
一方、CPU20は、主走査幅Wが第2閾値K2よりも小さい場合(S12:NO)、主走査幅WをRAM27に記憶された第1閾値K1と比較する(S20)。判断部として機能するCPU20は、主走査幅Wが第1閾値K1以下の場合(S20:NO)、原稿の搬送を続けてもジャムが発生しないと判断し、原稿の読み取りを継続する。CPU20は、読取部30、60を用いた原稿の読み取りを終了する(S30)。CPU20は、読み取られた階調データを画像処理部28を用いて、傾き補正や回転補正等の補正処理を行い(S32)、読取処理を終了する。
【0047】
一方、CPU20は、主走査幅Wが第1閾値K1よりも大きい場合(S20:NO)、読取部60を用いて画像欠落無く原稿を読み取ることができるものの、原稿と原稿ガイド13が干渉してジャムが発生すると判断する。読取部60による原稿の読み取り及び搬送部15による原稿の搬送を中断するとともに、表示部12を用いて報知を行い、原稿ガイド13のガイド幅Gを広げるようにユーザに報知する(S22)。
【0048】
CPU20は、入力部11を介してユーザから読取再開の指示が入力されるのを待機しており(S24:NO)、読取再開の指示が入力され、図8に矢印86で示すように、ガイド幅検出部19を用いて原稿ガイド13のガイド幅G1が主走査幅Wよりも広げられたことを確認すると(S24:YES)、原稿の読み取り及び搬送部15による原稿の搬送を再開する(S26)。CPU20は、読取部30、60を用いた原稿の読み取りを終了すると(S30)、読み取られた階調データに画像処理部28を用いて、傾き補正や回転補正等の補正処理を行い(S32)、読取処理を終了する。
【0049】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の複合機1は、読取部60を用いて原稿の先端部を読み取った階調データから主走査幅Wを算出し、主走査幅Wを第1閾値K1及び第2閾値K2と比較する。そして、主走査幅Wが第1閾値K1よりも大きく、第2閾値K2よりも小さい場合、この複合機1は、原稿の搬送及び原稿の読取を一時中断し、ユーザに原稿ガイド13のガイド幅Gを広げる処理を実行させ、その後、再び原稿の搬送及び原稿の読取を再開する。
【0050】
この複合機1では、第2閾値K2は、読取部60の読取幅Rに設定されていることから、主走査幅Wが第2閾値K2よりも小さい場合、読取部60を用いて画像欠落無く原稿を読み取ることができるとともに、原稿を搬送路45に搬送してもジャムが発生しない。その一方、第1閾値K1は、原稿ガイド13のガイド幅G0に設定されていることから、主走査幅Wが第1閾値K1よりも大きい場合、原稿と原稿ガイド13が干渉してジャムが発生してしまう。
【0051】
本実施形態の複合機1では、主走査幅Wが第1閾値K1よりも大きく、第2閾値K2よりも小さい場合、ユーザに原稿ガイド13のガイド幅Gを広げさせることで原稿ガイド13に起因してジャムが発生することを回避した上で、原稿の搬送及び読み取りを再開させ、原稿を搬送路45に搬送してもジャムが発生しない場合に、原稿の搬送を停止させない。この複合機1では、上記の場合に原稿の搬送を停止する場合に比べて、原稿を読み取る際に原稿を搬送させる回数を減らすことができ、原稿の読取効率を向上させることができる。
【0052】
(2)本実施形態の複合機1は、ガイド幅検出部19を備えており、ガイド幅検出部19を用いて原稿ガイド13のガイド幅Gを検出する。この複合機1では、ガイド幅検出部19が検出したガイド幅Gに基づいて第1閾値K1を設定することができ、搬送中に原稿が傾いた場合に、原稿ガイド13のガイド幅Gを広げる必要があるか否かを判断することができる。また、この複合機1では、原稿ガイド13のガイド幅Gが広げられた場合に、ガイド幅検出部19を用いてガイド幅Gが主走査幅Wよりも広げられたか否かを確認することもできる。
【0053】
(3)本実施形態の複合機1は、読取部60を用いて原稿の先端部を読み取った階調データから原稿幅Xと原稿長さ及び原稿の傾きθを検出し、主走査幅Wを算出する。この複合機1では、原稿幅Xと原稿長さ及び原稿の傾きθを検出するためのセンサ等を別途用意する必要がなく、装置のコストを低減することができる。
【0054】
(4)本実施形態の複合機1は、搬送方向における原稿ガイド13と読取部60の間の距離が、ADF40において搬送可能な最小サイズの原稿の搬送方向の原稿長さよりも短い。そのため、原稿の先端部を読み取った階調データから原稿の傾きθが検出された際に、原稿ガイド13と原稿が干渉し、ジャムが発生しかけていることが起こりえる。この複合機1では、原稿の傾きθを検出した場合に原稿ガイド13を広げるので、先端部を読み取った原稿にジャムが発生することを抑制することができる。
【0055】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた複合機1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、少なくともスキャナ機能を有する装置であれば、他の機能の有無は特に限定されない。
【0056】
(2)上記実施形態では、複合機1が1つのASIC10を有し、原稿幅検出部21、傾き検出部22、算出部23、判断部24、制御部25等の機能をASIC10が有する1つのCPU20によって実行する例を用いて示したが、本発明はこれに限られない。例えば、お互いに異なるCPU、ASICなどによって各部が構成されても良い。
【0057】
(3)上記実施形態では、読取部60が原稿の先端部を読み取った階調データから原稿幅Xを検出しているが、原稿の傾きθが大きくなると、当該階調データに原稿の先端部の両端部が含まれておらず、原稿幅Xを検出することができないことがある。その場合は、画像処理部28が原稿の傾き補正等の補正処理を行うことができない。故に、CPU20は、原稿の読み取りを停止させ、原稿の搬送を停止させることができる(S14)。
【0058】
(4)上記実施形態では、ADF40において搬送される原稿の裏面を読み取る読取部60と、原稿の表面を読み取る読取部30との両方を備えた複合機1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。少なくとも原稿の一方の面を読み取る1つの読取部を備えていれば良い。この場合、搬送方向における原稿ガイド13と当該1つの読取部の間の距離は、ADF40において搬送可能な最小サイズの原稿の搬送方向の原稿長さよりも短いことが好ましい。
【0059】
(5)上記実施形態では、読取部60が原稿の先端部を読み取った階調データから原稿幅Xと原稿長さ及び原稿の傾きθを検出しているが、原稿の後端部等、先端部と異なる部分を読み取った階調データから原稿幅Xと原稿長さ及び原稿の傾きθを検出してもよい。また、原稿幅Xと原稿長さ及び原稿の傾きθを検出するための他の手段を有していても良い。
【符号の説明】
【0060】
1:複合機、3:画像読取装置、11:入力部、12:表示部、13:原稿ガイド、14:Rセンサ、15:搬送部、16:デバイス制御部、18:駆動部、19:ガイド幅検出部、20:CPU、21:原稿幅検出部、22:傾き検出部、23:算出部、24:判断部、25:制御部、26:ROM、27:RAM、28:画像処理部、30、60:読取部、40:ADF、42:原稿トレイ、45:搬送路、47:排紙トレイ、G:ガイド幅、K1:第1閾値、K2:第2閾値、R:読取幅、W:主走査幅、X:原稿幅、Y:原稿長、θ:原稿の傾き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記原稿の前記搬送方向に直交する直交方向における移動を制限する原稿ガイドと、
搬送中の前記原稿を読み取る読取部と、
前記原稿の原稿幅を検出する原稿幅検出部と、
前記原稿の先端部から前記原稿の原稿傾きを検出する傾き検出部と、
検出された前記原稿幅と前記原稿傾きから前記直交方向において前記原稿が搬送される幅である主走査幅を算出する算出部と、
前記主走査幅が前記原稿幅に基づいて設定される第1閾値を超えるか否かを判断する判断部と、
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、
ユーザに対して報知する報知部と、
前記主走査幅が前記第1閾値を超えると前記判断部が判断した場合に、前記搬送部による前記原稿の搬送及び前記読取部による前記原稿の読取を一時停止し、前記報知部を用いて前記原稿ガイドを広げるように報知し、前記入力部を介して入力を受け付けた場合に、前記原稿の搬送及び前記原稿の読取を再開させるように制御する制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記原稿ガイドのガイド幅を検出するガイド幅検出部と、をさらに備え、
前記第1閾値は前記ガイド幅検出部が検出した前記ガイド幅を用いて設定されること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記傾き検出部は、前記読取部が前記原稿の先端部を読み取った読取結果から前記原稿傾きを検出すること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記原稿幅検出部は、前記読取部が前記原稿の先端部を読み取った読取結果から前記原稿幅を検出すること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記判断部は、前記第1閾値よりも大きな値であり、前記読取部の前記直交方向における読取幅に設定されている第2閾値を有しており、
前記制御部は、前記主走査幅が前記第2閾値より小さい場合に前記制御を実行すること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記原稿ガイドと前記読取部の前記搬送方向における距離は、前記原稿の原稿長よりも短いこと、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記読取部は、前記原稿の一方の面を読み取る第1読取部と、前記搬送方向において前記第1読取部より下流側に設けられ、前記原稿の他方の面を読み取る第2読取部と、を備えており、
前記読取結果は、前記第1読取部が前記原稿の先端部を読み取ったものである、
ことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31079(P2013−31079A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166819(P2011−166819)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】