説明

画像読取装置

【課題】撮像素子を移動させないで光学調整を行う。
【解決手段】基板210を移動させないで、結像レンズ244の位置と、第一反射ミラー252及び第二反射ミラー254の位置と、を移動することで光学調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像素子と、前記撮像素子が実装された第1の面を有するプリント配線板と、液晶表示ユニットと、前記液晶表示ユニットをバックライト照明するための光源と、前記光源からの光を端面から入射させ該光を前記液晶表示ユニットの背面に導く導光板と、を有し、前記導光板と前記液晶表示ユニットが前記プリント配線板における前記第1の面とは反対側の第2の面に沿って配置されており、前記光源が前記プリント配線板の前記第2の面に実装されていることを特徴とする撮像装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、被読取面に沿って移動可能な移動体と、前記被読取面へ向けて発光する発光部と、前記発光部から発光されて前記被読取面で反射した反射光を検出する検出部と、前記発光部が固定され、前記移動体に取り付けられた他の部品とは独立して着脱可能に前記移動体に取り付けられる取付部材と、前記取付部材を前記移動体に着脱する際に前記取付部材が前記他の部品側に移動することを規制する規制手段と、を備える画像読取装置が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010―41445号公報
【特許文献2】特開2011―24041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発光素子と撮像素子とが一体の構成において、被照射面に照射する光に影響を与えないように、撮像素子に入射する光の光学調整を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、列状に並べられ、被照射面に照射する光を出射する複数の発光素子と、前記被照射面に照射され反射した光が入射する撮像素子と、前記複数の発光素子と前記撮像素子とが取り付けられた基板と、前記複数の発光素子から出射された光を前記被照射面に照射する第一光学系と、前記被照射面で反射した光を前記撮像素子に導く第二光学系と、前記第二光学系に設けられ、光が入射する第一反射面と、側面視において前記第一反射面に対して90°となるように配置され前記第一反射面で反射された光を前記基板に向けて反射する第二反射面と、を有する反射光学系と、前記第二光学系に設けられ、前記撮像素子と前記第二反射面との光路上に配置され、前記撮像素子に光を結像させる結像レンズと、前記結像レンズの光軸方向の位置を調整して固定するレンズ位置固定手段と、側面視において前記第一反射面に入射及び前記第二反射面から反射する光の光軸方向及び前記光軸と直交する方向の位置を調整して固定する反射面固定手段と、を備える画像読取装置。
【0007】
請求項2の発明は、前記反射面固定手段は、前記第一反射面と前第二反射面とを一体として位置の調整を行い固定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、発光素子と撮像素子とを取り付けた基板を移動させて光学調整を行う場合と比較し、被照射面に照射する光に影響を与えないで、撮像素子に入射する光の光学調整を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第一反射面と第二反射面とを別々に移動させる構成と比較し、光学調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成ユニットの構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像読取装置の構成を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る読取ユニットの構成を示す概略図である。
【図5】(A)は図4に示す読取ユニットの照射光の配光分布を説明するための説明図であり、(B)は図4に示す反射光学系を構成する第一反射ミラーの反射面と第二反射ミラーの反射面の位置関係と、反射光の位置関係と、を説明するための説明図である。
【図6】図4に示す読取ユニットのレンズホルダーとミラーホルダーとを示す斜視図である。
【図7】第一反射ミラー及び第二反射ミラーの、(A)は反射光LB1,LB3の光軸方向の位置の調整を説明する説明図であり、(B)は反射光LB1,LB3の光軸と直交するZ方向の位置の調整を説明する説明図である。
【図8】主査走査方向、副走査方向、レジずれ、及びスキューを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、図中に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示している。
【0012】
<本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要>
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要を説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、原稿Gの画像を読み取る画像読取装置11と、記録用紙等の記録媒体Pに画像を記録する画像記録装置21と、を備えている。画像読取装置11は、画像形成装置10の上部に配置され、画像記録装置21は、画像形成装置10の下部に配置されている。画像読取装置11は、原稿Gの画像を読み取り、その読み取った画像を画像信号に変換するように構成されている。画像記録装置21は、画像読取装置11が変換した画像信号に基づいて記録媒体Pへ画像を記録するように構成されている。
【0014】
<本実施形態に係る画像記録装置21の構成>
まず、本実施形態に係る画像記録装置21の構成について説明する。
【0015】
図1に示されるように、画像記録装置21は、用紙等の記録媒体Pが収容される複数の記録媒体収容部80と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部27と、複数の記録媒体収容部80から画像形成部27へ記録媒体Pを搬送する搬送部29と、画像形成部27によって画像が形成された記録媒体Pが排出される第1排出部69、第2排出部72及び第3排出部76と、画像記録装置21の各部の動作を制御する制御部71と、を備えている。
【0016】
画像形成部27は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kと、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト32と、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト32に転写するための第1転写部材の一例としての第1転写ロール46と、第1転写ロール46によって中間転写ベルト32に転写されたトナー画像を中間転写ベルト32から記録媒体Pへ転写するための第2転写部材の一例としての第2転写ロール60と、第2転写ロール60によって中間転写ベルト32から記録媒体Pへ転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置64と、を備えている。
【0017】
画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、水平方向に対して傾斜した状態で、画像記録装置21の上下方向中央部に並んで配置されている。
【0018】
図2に示されるように、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、形成されたトナー画像を保持する像保持体として、一方向(図1における反時計回り方向)へ回転する感光体ドラム34をそれぞれ有している。
【0019】
各感光体ドラム34の周囲には、感光体ドラム34の回転方向上流側から順に、感光体ドラム34を帯電させる帯電装置36と、帯電装置36によって帯電した感光体ドラム34を露光して感光体ドラム34に静電潜像を形成する露光装置40と、露光装置40によって感光体ドラム34に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置42と、感光体ドラム34に形成されたトナー画像が中間転写ベルト32に転写された後に感光体ドラム34に残留しているトナーを除去する除去装置44と、が設けられている。
【0020】
露光装置40は、制御部71(図1参照)から送られた画像信号に基づき静電潜像を形成するようになっている。制御部71から送られる画像信号としては、画像読取装置11で生成された画像信号や制御部71が外部装置から取得した画像信号がある。
【0021】
図1に示されるように、中間転写ベルト32は、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kの上側に配置されており、中間転写ベルト32に駆動力を付与する駆動ロール48と、第2転写ロール60に対向する対向ロール50と、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール54と、第1従動ロール56と、第2従動ロール58とに予め定められた張力で巻き掛けられている。中間転写ベルト32は、駆動ロール48によって回転力が付与され、感光体ドラム34と接触しながら一方向(図1におけるA方向)へ循環移動するようになっている。
【0022】
中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール48と対向する対向位置には、中間転写ベルト32に残留したトナーを除去するための除去装置52が設けられている。また、中間転写ベルト32の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置42へ供給される各色のトナーを貯留するトナーカートリッジ38Y、38M、38C、38Kが設けられている。
【0023】
第1転写ロール46は、中間転写ベルト32を挟んで感光体ドラム34に対向している。第1転写ロール46と感光体ドラム34との間が、感光体ドラム34に形成されたトナー画像が中間転写ベルト32に転写される第1転写位置とされている。
【0024】
第2転写ロール60は、中間転写ベルト32を挟んで対向ロール50と対向している。第2転写ロール60と対向ロール50との間が、中間転写ベルト32に転写されたトナー画像が記録媒体Pに転写される第2転写位置とされている。
【0025】
搬送部29は、記録媒体収容部80の各々に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール88と、送出ロール88に送り出された記録媒体Pが搬送される搬送路62と、搬送路62に沿って配置され送出ロール88によって送り出された記録媒体Pを第2転写位置へ搬送する搬送ロール90、92、94が、設けられている。
【0026】
定着装置64は、第2転写位置より搬送方向下流側に配置されており、第2転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0027】
定着装置64よりも搬送方向下流側には、トナー画像が定着された記録媒体Pを搬送する搬送ロール66が設けられている。この搬送ロール66の搬送方向下流側には、記録媒体Pの搬送方向を切り替える切替部材68が設けられている。この切替部材68の搬送方向下流側には、切替部材68によって切り替えられた搬送方向の一方側(図1における右側)に搬送される記録媒体Pを第1排出部69に排出する第1排出ロール70が設けられている。
【0028】
また、切替部材68の搬送方向下流側には、切替部材68によって切り替えられた搬送方向の他方側(図1における上側)に搬送される記録媒体Pを搬送する搬送ロール73と、搬送ロール73によって搬送される記録媒体Pを第2排出部72に排出する第2排出ロール74と、搬送ロール73によって搬送される記録媒体Pを第3排出部76に排出する第3排出ロール78と、が設けられている。
【0029】
定着装置64の側方には、搬送ロール73を逆転させることで反転された記録媒体Pが搬送される反転搬送路100が形成されている。反転搬送路100には、反転搬送路100に沿って複数の搬送ロール102が設けられている。これらの搬送ロール102によって搬送された記録媒体Pは、搬送ロール94によって、再度第2転写位置へ送り込まれるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態に係る画像記録装置21における、記録媒体Pへ画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0031】
本実施形態に係る画像記録装置21では、複数の記録媒体収容部80のいずれかから送り出された記録媒体Pが、搬送ロール90、92、94によって第2転写位置へ送り込まれる。
【0032】
一方、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kでは、画像読取装置11又は外部装置から取得した画像信号に基づき露光装置40が静電潜像を感光体ドラム34に形成し、その静電潜像に基づくトナー画像が形成される。画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kで形成された各色のトナー画像は、第1転写位置にて中間転写ベルト32に重ねられて、カラー画像が形成される。そして、記録媒体Pは、第2転写位置にて中間転写ベルト32に形成されたカラー画像が転写される。
【0033】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置64へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置64により定着される。記録媒体Pの片面へのみ画像を形成する場合は、トナー画像が定着された後、記録媒体Pは、第1排出部69、第2排出部72及び第3排出部76のいずれかに排出される。
【0034】
記録媒体Pの両面へ画像を形成する場合には、片面に画像が形成された後、記録媒体Pは、搬送ロール73によって反転されて、反転搬送路100へ送り込まれる。さらに、反転搬送路100から搬送ロール94によって、再度第2転写位置へ送り込まれ、反対面側に上記と同様に画像が形成され、記録媒体Pの両面へ画像が形成される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0035】
なお、画像記録装置21の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像記録装置やインクジェット方式による画像記録装置でもよく、画像が記録可能な画像記録装置であれば上記構成以外の画像記録装置であってもよい。
【0036】
<本実施形態に係る画像読取装置11の構成>
次に、画像読取装置11の構成について説明する。
【0037】
図3に示されるように、画像読取装置11は、原稿Gを搬送する原稿搬送装置12と、原稿Gの画像を読み取る画像読取部14と、を備えている。原稿搬送装置12は画像読取装置11の上部に配置され、画像読取部14は画像読取装置11の下部に配置されている。
【0038】
原稿搬送装置12は、原稿Gが収容される原稿収容部13と、原稿Gが排出される原稿排出部33と、原稿収容部13から原稿排出部33へ原稿Gを搬送する搬送部16と、を備えている。
【0039】
搬送部16は、原稿収容部13に収容された原稿Gを原稿収容部13から送り出す送出ロール15と、送出ロール15に送り出された原稿Gを搬送方向下流側へ搬送する複数の搬送ロール25と、搬送ロール25に搬送された原稿Gを原稿排出部33に排出する排出ロール35と、を備えて構成されている。複数の搬送ロール25及び排出ロール35は、原稿収容部13から送り出された原稿Gが搬送される折り返し形状の搬送路23に沿って配置されている。
【0040】
画像読取部14は、原稿搬送装置12によって搬送されている原稿Gと、第1プラテンガラス43Aに載せられた原稿Gと、の両方の画像を読み取るように構成されており、各構成部品が収容される筐体41を備えている。
【0041】
この筐体41の上部には、原稿Gが載せられると共にその原稿Gの画像を読み取るための光Lを透過する第1プラテンガラス43Aと、原稿搬送装置12によって搬送されている原稿Gを読み取るための光Lを透過する第2プラテンガラス43Bと、が設けられている。
【0042】
原稿搬送装置12は、画像読取部14に対して開閉可能に取り付けられており、原稿搬送装置12が開放された状態において、第1プラテンガラス43A上に原稿Gが載せられるようになっている。
【0043】
画像読取部14は、光L(後述する照射光LA)を原稿Gの被読取面(画像が形成された画像面)GAへ照射すると共に、原稿Gの被読取面GAに光Lが照射されて原稿Gの被読取面GAで反射した光L(後述する反射光LB)を導き光学像を読み取る読取ユニット200(図4も参照)を備えている。
【0044】
読取ユニット200は、矢印X方向(後述する副走査方向X)に移動可能とされ、矢印X方向に移動することで、第1プラテンガラス43A載せられた原稿Gの被読取面GAの画像を読み取ることができるように構成されている。
【0045】
一方、原稿搬送装置12によって搬送される原稿Gの被読取面(画像面)GAの画像を読み取る場合には、画像読取部14の一端部(図3における左端部)に示す実線の読み取り位置に停止する。そして、原稿Gが第2プラテンガラス43Bの読み取り位置を通過することによって、原稿Gの被読取面GAの画像が読み取られる(図4参照)。
【0046】
なお、図8に示すように、原稿Gが第2プラテンガラス43Bの読み取り位置を搬送される方向を副走査方向X(矢印Xと同じ方向)であり、原稿Gが搬送される方向と直交する原稿Gの幅方向が主走査方向Yである。なお、主走査方向Yは、図3や図4では図面に直交する方向である。
【0047】
<読取ユニット200について>
つぎに読取ユニット200について説明する。
【0048】
図4に示すように、読取ユニット200は、板厚方向(面外方向)を副走査方向として配置された基板210が筐体202に固定されている。基板210の上端部分には原稿Gに照射して反射させる光Lを出射する複数の発光素子の一例としてのLED(Light Emitting Diode)素子220が、主走査方向Y(図8参照)に沿って一定間隔に列状に並べられて取り付けられている。また、基板210のLED素子220の下側には、撮像素子の一例としてのCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサー222が取り付けられている。
【0049】
なお、LED素子220から出射され、原稿Gの被読取面(画像面)GAに照射されて反射しイメージセンサー222に入射する光全体を光Lとする。しかし、LED素子220から出射され原稿Gの被読取面(画像面)GAに照射されるまでを照射光LAとし、原稿Gの被読取面(画像面)GAに反射してイメージセンサー222に入射するまでを反射光LBとして、区別する場合がある。更に、反射光LBを、後述するように反射光LB1、LB2、LB3として区別する場合がある。
【0050】
読取ユニット200は、LED素子220から出射された照射光LAを原稿Gの被照射面GAに照射するように導く第一光学系230と、被照射面GAで反射した反射光LBをCCDイメージセンサー222に導く第二光学系240と、を有している。
【0051】
第一光学系230には、照射光LAを導光する導光部材232が設けられている。導光部材232は、主走査方向Y(図8参照)を長手方向とする長尺状に形成されている。導光部材232の入射面232Aは、LED素子220における照射光LAを出射する出射面220Aの近傍に対向して配置されている。
【0052】
そして、導光部材232は、照射光LAが入射面232Aから入射すると共に、照射光LAを内部で全反射させて、第一出射面232Bと第二出射面232Cとから出射するように構成されている。
【0053】
なお、導光部材232の入射面232Aは、LED素子220の出射面220Aよりも大きい。そして、LED素子220が出射する照射光LAの光軸方向に見て、LED素子220の出射面220Aが導光部材232の入射面232Aに収まるように構成されている。
【0054】
なお、導光部材232は光量が減衰しにくい材料、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等の材料で成形されている。
【0055】
導光部材232の第一出射面232Bからは原稿Gに向けて照射光LAが出射される。また、導光部材232の第二出射面232Cから出射された照射光LAは、反射鏡234によって原稿Gに向けて反射される。このように、副走査方向Xの一方側(図4における右側)及び他方側(図4における左側)から原稿Gへ照射光LAが照射される。よって、図5(A)に示すように、原稿Gに照射される照射光LAの副走査方向Xの配光分布は分布Qのようになる。
【0056】
図4に示すように、第二光学系240は、反射鏡242と、第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とを有する反射光学系250と、結像レンズ244と、を有している。図5(B)に示すように、第一反射ミラー252の反射面252A(第一反射面の一例)と、第二反射ミラー254の反射面254A(第二反射面の一例)と、は側面視において(主走査方向Yに見て)、90°となるように配置されている。
【0057】
図4に示すように、反射鏡242は、原稿Gの被読取面GAで反射した反射光LBを反射光学系250の第一反射ミラー252の反射面252Aに向けて反射光LB1を反射する。
【0058】
反射光学系250の第一反射ミラー252は、反射面252Aに反射光LB1が入射し、第二反射ミラー254の反射面254Aに向けて反射光LB2を反射する。第二反射ミラー254は、反射面25Aに反射光LB2が入射し、基板210に向けて反射光LB3を反射する。
【0059】
なお、図5(B)に示すように、第一反射ミラー252の反射面252Aに入射する反射光LB1と、第二反射ミラー254の反射面254Aで反射された反射光LB3と、は側面視において(主走査方向Yに見て)、平行且つ光の進行方向が逆方向となっている。また、第一反射ミラー252の反射面252Aで反射され第二反射ミラー254の反射面254Aに入射する反射光LB2は、側面視において反射光LB1、LB3に対して90°となる。
【0060】
図4に示すように、結像レンズ244は、CCDイメージセンサー222と第二反射ミラー254との間の反射光LB3の光路上に設けられ、CCDイメージセンサー222に反射光LBを結像させる。
【0061】
図6に示すように、結像レンズ244の主走査方向Y(長手方向)の両端部は、筐体202に固定されたレンズホルダー260に保持されている。レンズホルダー260は、固定板部262が筐体202の固定面202Aにビス268によって固定されている。
【0062】
レンズホルダー260の固定板部262と、筐体202の固定面202Aと、は反射光LB3の光軸方向に沿って設けられている。また、レンズホルダー260の固定板部262には、反射光LB3の光軸方向を長手方向とする長孔264が形成され、この長孔264にビス268を通して固定面202Aに固定されている。よって、ビス268が長孔264を移動可能な範囲内において、レンズホルダー260は反射光LB3の光軸方向に移動可能に筐体202に固定されている。つまり、結像レンズ244は、レンズホルダー260によって、反射光LB3の光軸方向の位置を調整可能に固定されている。
【0063】
反射光学系250を構成する第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とのそれぞれ主走査方向Y(長手方向)の両端部が、ミラーホルダー270によって、反射光LB1、LB3の光軸方向の位置と、側面視における(主走査方向Yに見て)反射光LB1、LB3の光軸方向と直交するZ方向(反射光LB2の光軸方向)の位置と、をそれぞれ調整可能に固定されている。
【0064】
ミラーホルダー270は、第一保持部272、第二保持部280、及び第三保持部290を有している。
【0065】
第一保持部272は、第一反射ミラー252の反射面252Aと、第二反射ミラー254の反射面254Aと、を側面視において(主走査方向Yに見て)90°の角度となるように第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とを保持する(図5(B)も参照)。また、第一保持部272は、主走査方向Y(長手方向)に外側に突出する突出部274が設けられている。
【0066】
第二保持部280は板状の固定部282と固定部284とで構成され、側面視においてL字状を成している。同様に第三保持部290は板状の固定部292と固定部294とで構成され、側面視においてL字状を成している。第二保持部280の固定部284及び第三保持部290の固定部294は、筐体202の固定面202Aに固定されている。そして、第三保持部290の固定部292が反射光LB1、LB3の光軸方向と直交するZ方向(反射光LB2の光軸方向)に沿って配置されている。
【0067】
第二保持部280の固定部284は、第三保持部290の固定部292に重なり固定部294にビス298で固定されている。また、第二保持部280の固定部282が反射光KB1、LB3の光軸方向に沿って配置されている。この第二保持部280の固定部282に、第一保持部272の突出部274がビス288によって固定されている。
【0068】
第二保持部280の固定部282には、反射光LB1,LB3の光軸方向を長手方向とする長孔286が形成され、この長孔286にビス288を通して第一保持部272の突出部274が固定されている。よって、ビス288が長孔286を移動可能な範囲内において、第一保持部272が反射光LB1、LB3の光軸方向に移動可能に第二保持部280に固定されている。
【0069】
第三保持部290の固定部292には、反射光LB1,LB3の光軸方向と直交するZ方向を長手方向とする長孔296が形成され、この長孔296にビス298を通して第二保持部280の固定部284が固定されている。よって、ビス298が長孔296を移動可能な範囲内において、第二保持部280がZ方向に移動可能に第三保持部290に固定されている。
【0070】
つまり、第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とは、ミラーホルダー270によって、一体として反射光LB1、LB3の光軸方向の位置と、側面視における反射光LB1、LB3の光軸方向と直交するZ方向(反射光LB2の光軸方向)の位置と、をそれぞれ調整可能に固定されている。なお、第一反射ミラー252及び第二反射ミラー254の主走査方向Y(長手方向)の両端部を保持するミラーホルダー270それぞれで位置を調整することできる。
【0071】
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0072】
図4に示すように、LED素子220とCCDイメージセンサー222とが、同一の基板210に取り付けられているので、LED素子220とCCDイメージセンサー222とが別々の基板に取り付けらいる構成の場合と比較し、基板数が削減されると共に読取ユニット200が省スペース化される。また、LED素子220とCCDイメージセンサー222とが別々の基板に取り付けられている比較例の場合は、基板間をハーネス等で電気的に繋ぐ必要があるが、LED素子220とCCDイメージセンサー222とが同一の基板210に取り付けられることで、ハーネス等が不要となる。これによりハーネス等の取り回しスペースが不要となると共に組み立てが容易となる。
【0073】
ここで、画像読取部14の製造工程において、画像読取部14を構成する読取ユニット200は、ピント調整、倍率調整、読み取り画像のレジずれ調整、読み取り画像のスキューの調整、及びあおり調整等の光学調整が必要である。このような光学調整は、CCDイメージセンサー222の位置を移動、つまり基板210を移動させて行うことが可能である。しかし、基板210を移動させると、基板210に取り付けられているLED素子220も移動する。LED素子220が移動すると、LED素子220の出射面220Aと導光部材232の入射面232Aとの距離や位置が変わり、これにより原稿Gに照射する光量や配光分布が変わる(光量や配光分布の変化は、図5(A)の分布Q’、分布Q’’を参照)。
【0074】
よって、本実施形態では、基板210を移動させないで、結像レンズ244の位置と第一反射ミラー252及び第二反射ミラー254の位置とを移動することで、原稿Gの被照射面GAに照射する照射光LAに影響を与えないで、CCDイメージセンサー222に入射する反射光LBの光学調整を行っている。
【0075】
次に、光学調整の方法の一例について図6〜図8を用いて説明する。
【0076】
[ピント調整]
図6に示すように、ビス268を緩めた状態でレンズホルダー260を反射光LB3の光軸方向に移動し、結像レンズ244の反射光LB3の光軸方向の位置を調整することでピントが調整される。
【0077】
[倍率調整及びあおり調整]
図6に示すように、ビス288を緩めた状態で第一反射ミラー252及び第二反射ミラー254の端部を保持する両方のミラーホルダー270の第一保持部272を反射光LB1、LB3の光軸方向に同じ距離移動することで、図7(A)に示すように、光路長が変わり、これにより倍率が調整される。また、二つのミラーホルダー270で、第一保持部272の移動量を変えること、或いは互いに逆方向移動することで、あおりが調整される。
【0078】
[レジずれ調整及びスキュー調整]
図6に示すように、ビス298を緩めた状態で二つのミラーホルダー270の第二保持部280を反射光LB1、LB3の光軸方向と直交するZ方向(反射光LB2の光軸方向)に同じ距離移動することで、図7(B)に示すように、Z方向の位置変わり、これによりレジずれが調整される。また、二つのミラーホルダー270で第二保持部280の移動量を変えること、或いは互いに逆方向に移動することで、スキューが調整される。
【0079】
なお、「レジずれ調整」とは図8に示すG1のような副走査方向位置の調整であり、「スキュー調整」とは図8に示すG2のような副走査方向に対する傾きの調整である。
【0080】
そして、各光学調整が完了すると、ビス268,288,298を締めこんで、レンズホルダー260と、ミラーホルダー270と、をそれぞれ固定する。
【0081】
なお、第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とは、反射面252Aと反射面254Aが90°の角度に保持(維持)された状態で、移動して調整することができるので、第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とを別々に移動させる構成と比較し、光学調整が容易である。
【0082】
また、導光部材232の入射面232AはLED素子220の出射面220Aよりも大きく、LED素子220が出射する照射光LAの光軸方向に見て、LED素子220の出射面220Aが導光部材232の入射面232Aに収まるように構成されている。よって、LED素子220や基板210の取り付け公差等に伴う位置変動に対する入射光量の変動が抑制される。
【0083】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0084】
例えば、上記実施形態では、長孔264,286,296とビス268,288,298とで位置を調整して固定したがこれに限定されない。例えば、長穴及びビスでなく、位置を調整後、UV等の光で硬貨する光硬化型等の接着剤で、レンズホルダー260及びミラーホルダー270を固定してもよい。また、レンズホルダー260及びミラーホルダー270は、一例であってこれに限定されない。どのような構成であってもよい。要は、結像レンズ244の位置と、第一反射ミラー252及び第二反射ミラー254の位置と、を移動して光学調整し、固定することが可能な構成や機構であればよい。
【0085】
また、例えば、上記実施形態では、第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とは、90°に保持された状態を維持して一体となって移動する構成であったが、これに限定されない。第一反射ミラー252と第二反射ミラー254とがそれぞれ個別に位置を調整する構成であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、発光素子としてLED(Light Emitting Diode)素子220を用いたがこれに限定されない。有機EL(Electro Luminescence)素子や無機EL素子等の他の発光素子を用いてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサー222を用いたがこれに限定されない。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)イメージセンサー等の他の撮像素子を用いてもよい。
【0088】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
11 画像読取装置
210 基板
220 LED素子(発光素子の一例)
222 CCDイメージセンサー(撮像素子の一例)
230 第一光学系
240 第二光学系
244 結像レンズ
250 反射光学系
252A 第一反射ミラーの反射面(第一反射面の一例)
254A 第二反射ミラーの反射面(第二反射面の一例)
260 レンズホルダー(レンズレンズ位置固定手段の一例)
270 ミラーホルダー(反射面固定手段の一例)
GA 被照射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に並べられ、被照射面に照射する光を出射する複数の発光素子と、
前記被照射面に照射され反射した光が入射する撮像素子と、
前記複数の発光素子と前記撮像素子とが取り付けられた基板と、
前記複数の発光素子から出射された光を前記被照射面に照射する第一光学系と、
前記被照射面で反射した光を前記撮像素子に導く第二光学系と、
前記第二光学系に設けられ、光が入射する第一反射面と、側面視において前記第一反射面に対して90°となるように配置され前記第一反射面で反射された光を前記基板に向けて反射する第二反射面と、を有する反射光学系と、
前記第二光学系に設けられ、前記撮像素子と前記第二反射面との光路上に配置され、前記撮像素子に光を結像させる結像レンズと、
前記結像レンズの光軸方向の位置を調整して固定するレンズ位置固定手段と、
側面視において前記第二反射面から反射する光の光軸方向及び前記光軸と直交する方向の位置を調整して固定する反射面固定手段と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記反射面固定手段は、前記第一反射面と前第二反射面とを一体として位置の調整を行い固定する、
請求項1に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−65933(P2013−65933A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201908(P2011−201908)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】