説明

画像配信用サーバー

【課題】この発明は、被写体の変化を正しく認識できるようになる画像配信用サーバーを提供することを目的とする。
【解決手段】入力画像が前回送信した画像から変化していると判別した場合には、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、入力画像が前回送信した画像から変化していないと判別した場合には、所定時間内において、入力画像が前回送信した画像から変化するか否かを監視し、入力画像が前回送信した画像から変化したときに、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、ならびに入力画像が前回送信した画像から変化することなく、上記所定時間が経過した場合には、上記所定時間が経過したときの入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライアントからの画像リクエストに応じてビデオカメラからの入力画像を静止画像としてクライアントに配信する画像配信用サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
JPEGやJPEG2000などの圧縮静止画像をネットワークを通じて、パソコンにて閲覧するような、サーバー・クライアントシステムでは、図7に示すように、クライアント側からサーバー側への画像リクエストに応じて、サーバ側がその都度、画像をクライアント側に送信している。
【0003】
ところで、画像監視システムとして、サーバーとクライアントとからなり、サーバーはビデオカメラによって撮影されている画像を、クライアント側PCからの画像リクエストに応じてクライアント側PCに静止画像として送信するものがある。サーバー側には、ビデオカメラによって撮影されている画像を表示するモニタTVが設けられているものとする。このような画像監視シテスムでは、クライアントは、画像リクエストをサーバーに送った後、サーバーから静止画像が送られてくると、その画像を表示するとともに画像リクエストをサーバーに送るといった処理を繰り返し行なう。これにより、クライアントは、サーバー側に設けられたビデオカメラによって撮像された画像を間欠的に取得して表示することができる。
【0004】
ところで、たとえば、侵入者が検出されたときに定期的に点滅するようなランプ(LED)をビデオカメラが撮影していたり、静止・動作を定期的に繰り返す物体をビデオカメラが撮影している場合、サーバー側のモニターTVでは、フルフレーム(NTSCでは30枚/秒、PALでは25枚/秒)の表示が可能であるため、モニターTVにて画像を監視する場合、監視者は、ランプの点滅や物体の定期的動作を確認することができる。
【0005】
しかしながら、クライアント側PCによって画像を監視する場合には、回線上の遅延が発生するため、タイミングによっては、被写体がランプであれば消灯状態のみの画像が連続したり、被写体が物体であれば同一の場所に位置する画像が連続したりしてしまい、監視者は被写体の変化状況を見間違う危険性がある。
【0006】
例えば、図6(a)に示すように、被写体であるランプが1Hzの周期で点滅動作を繰り返しているとする。つまり、被写体であるランプが500msec毎に点灯と消灯とを繰り返しているとする。そして、サーバーは、クライアントからの画像リクエストに応じて即座にその時点の画像を送信するものとする。
【0007】
そうすると、図6(b)に示すように、点灯時の画像と消灯時の画像とがランダムに送信されてしまう。図6の例では、4回連続して消灯状態の画像が送信され、その後、2回連続して点灯状態の画像が送信される。このように、クライアント側PCによる監視では、被写体の変化を正しく認識できない危険性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、被写体の変化を正しく認識できるようになる画像配信用サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、クライアントからの画像リクエストに応じてビデオカメラからの入力画像を静止画像としてクライアントに配信する画像配信用サーバーにおいて、クライアントからの画像リクエストを受信したときには、前回送信した画像の特徴量と、ビデオカメラからの入力画像の特徴量とを比較することにより、入力画像が前回送信した画像から変化しているか否かを判別する手段、入力画像が前回送信した画像から変化していると判別した場合には、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、入力画像が前回送信した画像から変化していないと判別した場合には、所定時間内において、入力画像が前回送信した画像から変化するか否かを監視し、入力画像が前回送信した画像から変化したときに、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、ならびに入力画像が前回送信した画像から変化することなく、上記所定時間が経過した場合には、上記所定時間が経過したときの入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、画像の特徴量が画像内を複数に分割することにより画像内に設定された複数の分割領域毎の輝度積算値であり、ビデオカメラからの入力画像が前回送信した画像から変化しているか否かは、両画像の対応する分割領域毎に輝度積算値の差を算出し、分割領域毎に算出された輝度積算値の差のうち閾値を超えているものが存在するか否かによって判別されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、被写体の変化を正しく認識できるようになる。また、変化のない画像をネットワーク上に送出しないため、ネットワーク回線の帯域を有効に利用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、画像監視システムの構成を示している。
【0014】
画像監視システムは、クライアント10と、クライアント10にインターネット20を介して接続された画像配信用サーバー30とからなる。
【0015】
クライアント10は、PC(クライアント側PC)11およびPC11に接続されたモデム12を備えている。モデム12は、インターネット20に接続されている。
【0016】
サーバー30は、アナログカメラ31、アナログカメラ31に接続されたネットワークビデオサーバー32、ネットワークビデオサーバー32にビデオケーブルを介して接続されたモニターTV33およびネットワークビデオサーバー32にLANケーブルを介して接続されたルータ付きモデム34を備えている。ルータ付きモデム34は、インターネット20に接続されている。
【0017】
図2は、ネットワークビデオサーバー32の構成を示している。
【0018】
アナログカメラ31から出力されるアナログビデオ信号は、ビデオデコーダIC101に入力される。ビデオデコーダIC101は、入力されたアナログビデオ信号を8bit または16bit の映像デジタル信号(YUV)に変換する。YUVのYは輝度信号を、Uは色差信号(B−Y)を、Vは色差信号(R−Y)を、それぞれ表している。ビデオデコーダIC101からは、YUVの他、水平同期信号Hsync および垂直同期信号Vsync も出力される。
【0019】
ビデオデコーダIC101から出力されるYUVおよび同期信号は、ASIC102に送られる。ASIC102は、輝度信号比較器201、画像圧縮器202およびCPU203を備えている。また、ASIC102には、画像データ等を記憶するメモリ103、ASIC102を動作させるためのプログラム等が記憶されているフラッシュメモリ104およびネットワーク送信/受信回路105が接続されている。
【0020】
輝度信号比較器201は、前フレームの輝度値と現フレームの輝度値とを比較するために使用される。画像圧縮器202は、映像デジタル信号を静止画像に圧縮する。CPU203は、フラッシュメモリ104内のプログラムにしたがって、輝度値比較、メモリ103の読み出し/書き込み制御、ネットワーク送信/受信回路105へのデータ送受信など、ASIC102内の一切の処理を行なう。
【0021】
ネットワーク送信/受信回路105は、LANケーブルおよびルータ付きモデム34を介してインターネット20に接続されており、ASIC102内で生成された圧縮画像をクライアント側PC11に送信したり、クライアント側PC11からの画像リクエストを受信したりする。
【0022】
なお、アナログカメラの代わりにネットワークカメラを用いた場合には、ネットワークビデオサーバー32のビデオデコーダIC101の部分が、カメラレンズ、CCDおよび画像ICに置き代わるだけで、ASIC以降の後段の回路構成はネットワークビデオサーバー32と同じとなる。
【0023】
図3は、CPU203による画像送信処理手順を示している。
【0024】
クライアント側PCは、画像要求パケットをサーバー30に送った後、サーバー30から静止画像が送られてくると、その画像を表示するとともに画像要求パケットをサーバー30に送るといった処理を繰り返し行なうものとする。
【0025】
まず、クライアント側PCから画像要求パケットが送られてくるのを待機する(ステップS1)。クライアント側PCからの画像要求パケットを受信すると、現フレーム(ビデオデコーダIC101から現在、入力されている画像)のブロック毎の輝度積算値をメモリ103に一時的に格納する(ステップS2)。
【0026】
具体的には、現フレームを、図4に示すように、水平方向に8分割、垂直方向に6分割して、48のブロックB1〜B48に分割する。入力画像がVGA(640dot×480dot)であるとすると、1ブロックの大きさは80dot ×80dot となる。そして、各ブロックB1〜B48毎のY信号の積算値(Ya1〜Ya48)を、メモリ103に一時的に格納する。
【0027】
次に、現フレームの画像を圧縮して、クライアント側PCに送信する(ステップS3)。そして、クライアント側PCから画像要求パケットが送られてくるのを待機する(ステップS4)。クライアント側PCからの画像要求パケットを受信すると、画像送信待ちの最大時間を規定するためのガードタイマーのカウントを開始する(ステップS5)。
【0028】
そして、ガードタイマーのカウント値が所定値、例えば、5秒を経過したか否かを判別する(ステップS6)。5秒を経過していない場合には、現フレームの画像が前回送信したフレームの画像に比べて変化しているか否かを判別する(ステップS7)。具体的には、現フレームの各ブロック毎の輝度積算値を算出した後、現フレームの各ブロック毎の輝度積算値と、上記ステップS2で格納した前回送信したフレームの各ブロック毎の輝度積算値との差分を各ブロック毎に算出する。そして、各ブロック毎に、輝度積算値の差分が閾値を超えている否かを判別する。少なくとも1つのブロックにおいて、輝度積算値の差分が閾値を超えている場合には、現フレームの画像が前回送信したフレームの画像に比べて変化していると判別する。全てのブロックにおいて、輝度積算値の差分が閾値以下であれば、現フレームの画像は前回送信したフレームの画像に比べて変化していないと判別する。
【0029】
上記ステップS7において、現フレームの画像が前回送信したフレームの画像に比べて変化していないと判別した場合には、ステップS6に戻る。
【0030】
上記ステップS7において、現フレームの画像が前回送信したフレームの画像に比べて変化していると判別した場合には、ステップS2に戻る。したがって、現フレームのブロック毎の輝度積算値がメモリ103に格納された後、現フレームの画像が圧縮されて、クライアントPCに送信される。
【0031】
また、上記ステップS6において、ガードタイマーのカウント値が5秒を経過していると判別した場合には、ステップ2に戻る。したがって、現フレームのブロック毎の輝度積算値がメモリ103に格納された後、現フレームの画像が圧縮されて、クライアントPCに送信される。
【0032】
例えば、図5(a)に示すように、被写体であるランプが1Hzの周期で点滅動作を繰り返しているとする。つまり、被写体であるランプが500msec毎に点灯と消灯とを繰り返しているとする。そして、図5(b)に示すように、クライアント10からサーバー30に画像要求パケットが送られてきた場合、この実施例では、サーバー30は図5(c)のタイミングで入力画像をクライアント10に送信する。したがって、消灯状態の画像と点灯状態の画像とが交互にクライアント10に送信されることになる。
【0033】
なお、ランプのように、特定のブロックの被写体のみの変化を認識したい場合には、その特定のブロックのみについて輝度積算値を比較すればよい。
【0034】
なお、上記実施例では、ブロック毎に輝度積算値を比較しているが、ブロック毎に色差成分の積算値を比較するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】画像監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】ネットワークビデオサーバー32の構成を示すブロック図である。
【図3】CPU203による画像送信処理手順を示すフローチャートである。
【図4】画像エリアを複数のブロックに分割した場合を示す模式図である。
【図5】本実施例における、クライアント側PCからの画像要求とそれに対するサーバー側の画像の送信タイミングとを示すタイムチャートである。
【図6】従来における、クライアント側PCからの画像要求とそれに対するサーバー側の画像の送信タイミングとを示すタイムチャートである。
【図7】サーバー、クライアント間の画像データ送受信の基本的なアルゴリズムを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 クライアント
11 PC(クライアント側PC)
20 インターネット
30 画像配信用サーバー
31 アナログカメラ
32 ネットワークビデオサーバー
101 ビデオデコーダIC
102 ASIC
103 メモリ
104 フラッシュメモリ
201 輝度信号比較器
202 画像圧縮器
203 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントからの画像リクエストに応じてビデオカメラからの入力画像を静止画像としてクライアントに配信する画像配信用サーバーにおいて、
クライアントからの画像リクエストを受信したときには、前回送信した画像の特徴量と、ビデオカメラからの入力画像の特徴量とを比較することにより、入力画像が前回送信した画像から変化しているか否かを判別する手段、
入力画像が前回送信した画像から変化していると判別した場合には、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、
入力画像が前回送信した画像から変化していないと判別した場合には、所定時間内において、入力画像が前回送信した画像から変化するか否かを監視し、入力画像が前回送信した画像から変化したときに、当該入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、ならびに
入力画像が前回送信した画像から変化することなく、上記所定時間が経過した場合には、上記所定時間が経過したときの入力画像の特徴量を記憶装置に記憶するとともに当該入力画像をクライアントに送信する手段、
を備えていることを特徴とする画像配信用サーバー。
【請求項2】
画像の特徴量が画像内を複数に分割することにより画像内に設定された複数の分割領域毎の輝度積算値であり、ビデオカメラからの入力画像が前回送信した画像から変化しているか否かは、両画像の対応する分割領域毎に輝度積算値の差を算出し、分割領域毎に算出された輝度積算値の差のうち閾値を超えているものが存在するか否かによって判別されることを特徴とする請求項1に記載の画像配信用サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−174324(P2007−174324A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369921(P2005−369921)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】