説明

画素のアドレシングを改善するための装置

本発明は、広い範囲の輝度で光放射を作り出すのに使用され、特に例えばOLED型の画面又は表示装置に対して改善された画素を作るのに使用することができるマイクロエレクトロニクス装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放射を発し、例えば画面あるいは表示装置の画素、特にOLED(有機ELディスプレイ)型の画素を作るのに使用されるマイクロエレクトロニクス機器に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED型の画面は、有機ダイオード発光のOLEDの性質を用いた平面画面である。画面または表示装置の画素に関連したOLEDダイオードの発光を調整するために、画素に組み込まれている電流駆動型アドレス指定装置が広く使われる。
【0003】
例えばOLED(有機発光ダイオード)型である電子発光ダイオード10に関連したその種のアドレス指定装置の従前の設計による例が、図1に示される。このアドレス指定装置の例には、スイッチとして動作し、例えばVlinで示される電圧の形の選択信号によってその開閉が制御される第1トランジスタ11が含まれる。
【0004】
アドレス指定装置には、また電子発光ダイオード10の入力において制御電圧vdatの関数として電流idを作り出すのに使用する第2トランジスタ12が含まれ、この電流idでダイオード10は放射の発生を引き起こす。
【0005】
制御電圧vdatは、光あるいは発光の、ダイオード10によって発せられる放射を固定することが望ましい強度値の関数である。
【0006】
選択信号Vlinの或る値に対して、第1トランジスタ11は“オン”状態になることがある。そして制御電圧vdatが、第1トランジスタのドレーンに印加され、そして第2トランジスタ12のゲートに送られ、第2トランジスタ12のゲートは電流idを電子発光ダイオード10の入力に出す。
【0007】
最大の電流安定性と最小のドレーンとソース間の電圧変動の感度を享受するために、一般的に第2トランジスタ12は、例えば16Vのオーダーの、Vddで表される、例えば分極電圧で飽和状態に分極される。
【0008】
例えば1pFのオーダーのコンデンサ13は、第2トランジスタ12のゲートに接続され、制御信号vdatを保持するために与えられ、この時、これは第2トランジスタ12のゲートに送られる。
【0009】
前述の装置から作られる画素は、ダイオードが作り出すことのできる光強度の範囲の限界によって決まるコントラストを持っている。ダイオード10が広い光強度の範囲を得ることができるように、なるべく第2トランジスタ12は広い範囲の電流を供給できなくてはならず、例えば数十ナノアンペアのオーダー、例えば50nAのオーダーの“ロー”の電流と、例えば数十マイクロアンペア、例えば飽和モードでの5μAのオーダーの“ハイ”の電流の両方を作り出すことができなくてはならない。電流の前記範囲の限界は、この範囲内の電流値と同様に、特に第1トランジスタ11と第2トランジスタ12が分極されるやり方によって決まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここまで説明してきた種類の画面あるいは表示画素に対してアドレス指定装置において、第1トランジスタ11と第2トランジスタ12は、TFT(薄膜トランジスタ)型のトランジスタであって良く、多結晶シリコン技術で製造される。この種のトランジスタには、画素アドレス用装置で良く使われるが、いくつかの制約がある。
【0011】
そのようなTFTトランジスタは一般的に、供給できる電流の範囲の限界に関して制限があり、特に単結晶シリコン技術でのMOSトランジスタに関してそうである。この制限は、逆に、特にこの技術を用いた画素のコントラストに関する性能に影響を与えるだろう。多結晶シリコン技術によるTFTトランジスタは、“オフ”と呼ばれる遮断状態と、“オン”と呼ばれる飽和状態との間の遷移が遅いという欠点も持っている。
【0012】
ダイオード10は、充分な光強度で放射を発することができるように、この問題を図1で示されるアドレス用装置の場合に関連付けるならば、なるべく制御電圧vdatも高い電圧に達しなくはならない。高い制御電圧vdatの値によって、消費も大きな値となる。
【0013】
ダイオード10が光強度の拡大された範囲によって放射を発することができるように、TFT多結晶シリコントランジスタの“オン”と“オフ”モード間の遷移が遅いとすると、Vdatmaxで示される制御電圧vdatの最大値と、この同じ制御電圧の最小値Vdatminの差は一般的に大きなものである。
【0014】
ダイオード10が高い光強度を発するために、第1トランジスタ11のドレーンとソース間の電圧は、一般的に大きい。これによって、第1トランジスタ11内で漏洩電流が発生する可能性がある。これによって、第2トランジスタ12の入力において制御信号vdatを維持するのに使用されるコンデンサ13は、放電する傾向がある。
【0015】
次に、第2トランジスタ12の入力において制御信号vdatを充分に保持できないことから、所定の画素に対して、この画素が発する光強度における不規則な変動が起こる。
【0016】
例えば、第2トランジスタがTFT型であり、16ボルトの電圧Vddで分極されて、50nAのオーダーのダイオード10の入力において電流の最小値に達する時、Vdat2minは例えば8.3ボルトのオーダーであり得る。5μAのオーダーのダイオード10の入力において電流の最小値に達するために、Vdat2maxで表される制御電圧の最大値は、例えば16.6ボルトのオーダーであり得る。
【0017】
例えばOLED型の画面あるいは表示画素の性能を改善する時に、特にコントラストと電力消費の点で問題が起こる。これらの画素が作る光強度が不規則に変動することを防ぐという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
−第1光強度あるいは第1輝度を持った第1放射を作るよう設計された第1電子発光手段と、
−第1の範囲に属する1レベルを備えた第1電流を用いて、第1電子発光手段を制御するように設計された第1制御手段と、
−第2光強度あるいは第2輝度を備えた第2放射を作り出すように設計された第2電子発光手段と、
−第1のものとは異なる、第2の範囲に属する1レベルを備えた第2電流を用いて、第2電子発光手段を制御するように設計された第2制御手段と
を含み、
前記第1光強度あるいは輝度と、前記第2光強度あるいは輝度との組み合わせである全体的光強度或いは輝度を持つべく作られた全体的光放射を備えた、
総合的な光放射を作るのに使用されるマイクロエレクトロニクス装置に関する。
【0019】
本発明のマイクロエレクトロニクス装置は、改善された画面或いは表示画素を作るのに使用することができる。
【0020】
本明細書を通して、輝度という用語は所定の領域の所定の値を意味する発光済み光強度の値を意味し、それは、例えば前記マイクロエレクトロニクス装置の、あるいは前記マイクロエレクトロニクス装置から作られた表示装置あるいは画面画素の領域に等しい値などである。こうして、前記第1輝度は、前記第1光強度と所定の領域の比を表している。前記第2輝度は、前記第2光強度と所定の領域の比を表している。
【0021】
第1電流が属する、前記第1のレベルの範囲の内の少なくともいくつかは、第2の電流が属する第2のレベルの範囲よりも小さい可能性がある。従って、変動によって、前記第1のレベルの範囲と第2のレベルの範囲は、重なることがある。他の変動によって、前記第1のレベルの範囲と第2のレベルの範囲は、別個のものであり、重なることはない。そして第1のレベルの範囲には、例えば前記第2のレベルの範囲の電流値よりも全て小さい電流値が含まれ得る。
【0022】
第1の電流の範囲に属する電流を発するように設計された第1制御手段と、第1のものとは異なる他の電流の範囲に属する電流を発するように設計された第2制御手段とを用いて、本発明のマイクロエレクトロニクス装置から作られる画素内のコントラストを、この画素のアドレス用装置上の分極による悪影響を増すことなく容易に決定することができる。
【0023】
第1電子発光手段と第2電子発光手段とは、例えばOLED型の有機ダイオードを用いて、それぞれ第1光ダイオードと第2光ダイオードとによって作ることができる。第1と第2の電子発光手段は、交互にあるいは同時に機能するように設計される。
【0024】
一態様によると、前記第1あるいは第2電子発光手段の内の一つは、いわゆる“オン−オフ”と呼ばれるモードにおいて機能することができ、所定の光強度を持ったあるいは所定の輝度の放射を作り出したり、発しなかったりすることができ、その時、前記第1または第2の電子発光手段の他方は“アナログ”と呼ばれる他のモードで機能することができ、最小値の光或いは輝度の強度と、最大の非ゼロの値の光或いは輝度の強度との間で変化する、光強度或いは輝度の光放射を作ることができる。
【0025】
第1電子発光手段と第2電子発光手段は、同じでも異なっていても良い。
【0026】
第1電子発光手段と第2電子発光手段とは、同じ技術で作ることもできるし、異なる技術で作ることもできる。
【0027】
第1と第2の電子発光手段は、同じ大きさでも異なる大きさでも良い。
【0028】
このように、第1電子発光手段と第2電子発光手段とは、それぞれ例えば第1光ダイオードからと、同じあるいは異なる大きさの、または同じあるいは異なる発光領域を持った第2光ダイオードから作ることができる。
【0029】
例えば、第1電子発光手段と第2電子発光手段がそれぞれ、OLED型の第1光ダイオードとOLED型の第2光ダイオードから作られ、使用頻度及び/または作り出される平均光強度に関して互いに異なる無理が掛かる場合、第1と第2の光ダイオードを異なる大きさにしつらえることが有利である場合もあり得る。
【0030】
第1光ダイオードと第2光ダイオードの内で、使用頻度及び/または供給される平均光強度あるいは平均輝度の点で需要が少ない方の光ダイオードは、使用頻度及び/または供給される平均光強度あるいは平均輝度の点で需要の大きい方の光ダイオードより小さい大きさあるいはより小さい放射領域を持つように設計することができる。実現のためのこの特定の方法は、本発明のマイクロエレクトロニクス装置の平均寿命を延ばすのに使用することができる。
【0031】
第1及び/または第2の制御手段は、例えば第1及び/または第2トランジスタスイッチ、あるいは例えばTFT型の形式によるスイッチング手段を備えることができる。
【0032】
第1制御手段は、TFT型のトランジスタのような例えばトランジスタの形式の電流変調手段を含み、第1電子発光手段の入力で電流を変調するのに使用することができる。第2制御手段は、TFT型のトランジスタのような例えば他のトランジスタの形式の電流変調手段を含み、第2電子発光手段の入力で電流を変調するのに使用することができる。有利な一態様の方法によると、第1制御手段に含まれる電流変調トランジスタは、Wで表されるチャネル幅とLで表されるチャネルの長さの間でW/Lで示される比を持って作ることができ、比W/Lは、第2制御手段に含まれる他のトランジスタのチャネルのWで表される幅とLで表されるの長さの間でW/Lで示される他の比よりも小さい。
【0033】
第1制御手段のスイッチング手段と第2制御手段のスイッチング手段とは、例えば、“選択”電圧として知られる電圧の形の、例えば所定の信号によって制御することができる。
【0034】
第1制御手段の電流変調手段と第2制御手段の電流変調手段とは、異なる信号である、それぞれ例えば“調整用”電圧として知られる第1電圧と、“調整用”電圧として知られる第2電圧とによって制御することができる。
【0035】
本発明のマイクロエレクトロニクス装置は、主に電力消費の点から改良された表示装置あるいは画面画素を作るのに適したものであろう。
【0036】
本発明の装置によって、従来の設計による画素アドレス用装置に対して、電流変調手段と電子発光手段における分極の悪影響を減らすことができる。こうして、本発明の装置のそれぞれ第1電子発光装置と第2電子発光装置の入力において電流のレベルを決定するのに使用される調整用電圧のレベルは、従来の設計の画素アドレス用装置に使用される調整用電圧のレベルに関して下げることができる。従って、作られる画素によって引き起こされる電力消費は改善することができる。
【0037】
本発明の装置によって、電子発光手段の入力で電流のレベルを決定するのに使用される調整用信号の最小レベル及び最大レベルは、従来の設計による画素アドレス用装置で使用されるそれらに関して下げることができる。この結果、電流変調手段の入力において、これら調整用信号の保持が容易になる。画素のレベルで、特にこれによって画素により発せられる光強度内の不規則な変動の現象を減らすことができる。
【0038】
本発明は、添付の図面を参照して、紹介のためにのみ提供したもので限定するものではない実施形態の記載を読むことでより良く理解されるであろう。
【0039】
1枚の図面から次の図面へ移るのに役立つように、別の図面の類似または等価の部品は、同じ参照記号を持つ。
【0040】
読み易くするために、図面中に示された別の部品は、必ずしも同一の縮尺ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明によるマイクロエレクトロニクス装置の一例が、次に図2を参照して説明される。
【0042】
本装置は、最初に、それぞれ例えば有機でOLED型の第1電子発光ダイオード110の形式と、例えば第1ダイオード110と同じ型の第2電子発光ダイオード120の形式の、第1電子発光手段と第2発光手段とを含む。
【0043】
ダイオード110と120は、それぞれ第1制御手段130と第2制御手段140とによって電流制御され、交互に或いは同時に機能することができる。
【0044】
第1ダイオード110は、第1制御手段130から送られ、その値は、例えば50nAに等しい例えば数十ナノアンペアのオーダーの最小値ID1minから、例えば1μAのオーダーの例えば数百ナノアンペアと数マイクロアンペアの間の最大値ID1maxまで広がる“低電流値群”として知られる第1範囲に属し、id1で表される電流を入力する受信するように設計される。
【0045】
入力における電流id1の値の関数として、ダイオード110は、低い強度と輝度の光放射を作り出し、その輝度は、例えば1cd/mのオーダーのL1minと表される最小値と、例えば20cd/mのオーダーのL1maxの最大値との間にある“低輝度範囲”として知られる範囲内にある。
【0046】
第1制御手段130は、第1ダイオード110の入力として電流id1を作り出し、最初にスイッチング手段を含む。これらのスイッチング手段は、TFT型のトランジスタのような、例えば第1トランジスタスイッチ131の形を取ることが可能で、その開閉は、ゲートに与えられるvselと表される電圧の形式の選択信号によって制御される。
【0047】
第1制御手段130は、vdat1と表される電圧の形式の制御信号の関数として、第1ダイオード110の入力で電流id1を変調するための手段も含む。電流id1を変調するための手段は、例えばTFT型のトランジスタのような、好ましくは例えば+16Vのオーダーの、Vddで表される分極電圧によって飽和モードへ分極される第2変調用トランジスタ132の形を取る。
【0048】
制御電圧Vdat1は、第1トランジスタ131のドレーンへ与えることができる。第1トランジスタ131が、例えば18ボルトのオーダーの選択電圧vselによって“オン”状態にスイッチされる時、制御電圧vdat1は、第2トランジスタ132のゲートに送られ、その後、第2トランジスタ132は、ゲートで受信した制御電圧vdat1の関数として第1ダイオード110の入力で電流id1を発する。
【0049】
そうして、第1ダイオード110によって発せられた光放射の強度と輝度は、電流id1の値の関数であり、それ自身制御電圧vdat1によって制御される。
【0050】
制御電圧vdat1は、外部回路を経由して図2に示される装置に発せられ、最小値vdat1minと最大値vdat1maxの間に制限されるのが望ましい。これらの最小値vdat1minと最大値vdat1maxは、第1ダイオード110が作り出すことのできる、それぞれ最小の光強度と輝度、および最大の光強度と輝度を決定する。
【0051】
例えば、10/60のオーダーのチャネル幅のチャネル長に対する比を持ち、16ボルトに等しい電圧Vddによって分極されるTFT型の第2トランジスタ132に対して、Vdat1minは、50μAのオーダーの電流Id1minを得るために9.05ボルトのオーダーであり、Vdat1maxは、1μAのオーダーの電流Id1maxを得るために、13.75ボルトのオーダーであろう。
【0052】
例えば0.5pFのオーダーの容量を持った、例えばコンデンサ133の形を取る、第2トランジスタのゲートに接続される第1制御手段130の中に組み込まれる手段が提供され、第1トランジスタ131が“オフ”状態の時に第2トランジスタ132の入力において制御信号vdat1の保持を可能にする。
【0053】
第2ダイオード120の場合、第2制御手段140から送られる、id2と表される電流を受信するように設計される。第2ダイオードの入力において電流id2は、第1ダイオード110において電流id1が属する前記第1レベルの範囲よりも大きな他のレベルの範囲に属する値を持つ。この他のレベルの範囲は、例えば1μAのオーダーの、Id2minと表される最小値と、例えば4μAの例えば数マイクロアンペアのオーダーの、id2maxと表される最大値との間にある。
【0054】
例えば、第1ダイオード110の入力において電流id1が属するレベルの範囲と、第1ダイオード110の入力において電流id2が属する他のレベルの範囲は異なったものであるように準備することができる。
【0055】
一態様によると、電流id1が属するレベルの範囲と、電流id2が属する他のレベルの範囲は重なるように準備することができる。
【0056】
その入力における電流id2の値の関数として、第2ダイオード120は、第2の範囲の強度と輝度内に存する強度と輝度を持つ光放射を作り出すことができ、第2の輝度範囲は、例えば20cd/mのオーダーの、L2minと表される最小輝度値から、例えば80cd/mの、L2maxと表される最大輝度値まで広がる。
【0057】
第2ダイオード120の輝度を制御するのに使われる第2制御手段140は、第1ダイオード110の輝度を制御するのに使用される第1制御手段130と同じ型のものである。第2制御手段140には、その開閉が選択電圧vselによって制御されるスイッチング手段も含まれる。第2制御手段のスイッチング手段は、例えばTFT型の、例えば他の第1トランジスタスイッチの形式を取る。
【0058】
第2制御手段140には、他の第1トランジスタ141のドレーンに与えられる、vdat2と表される電圧の形式による他の制御信号の値の関数として、第2ダイオード120の入力において電流id2を変調するのに使用される手段も含まれる。第2ダイオード120の入力において電流id2を変調するための手段は、そのソースが第2ダイオード120に接続され、ゲートにおいて他の制御電圧vdat2を受信した時に前記第2ダイオード120の入力において電流id2を発する、他の第2トランジスタ142の形を取ることができる。
【0059】
他の第2トランジスタ142は、例えばTFT型のトランジスタで良い。これは、例えば電圧Vddを分極することにより飽和モードに分極されるのが好ましい。他の第2変調トランジスタ142は、他の第1トランジスタ141が電圧vselによって“オフ”状態へスイッチされた時、他の制御電圧vdat2を受信するように設計される。この電圧vdat2は、外部回路を通って図2で示されるような装置へ発せられ、vdat2minで表される最小値と、vdat2maxで表される最大値の間に制限されるのが望ましい。電圧vdat2の最小値と最大値は、第2ダイオード120が作り出すことのできる、それぞれL2minで表される最小輝度とL2maxで表される最大輝度を決定する。
【0060】
一例として、他の第2トランジスタ142がTFT型であり、チャネル幅とチャネル長の比が10/20であり、16ボルトに等しい電圧Vddによって分極される時、他の制御電圧の最小値Vdat2minは、1μAのオーダーの第2ダイオードの入力において最小電流Id2minを得るために、12.8ボルトのオーダーであろう。他の制御電圧vdat2の最大値Vdatmaxは、第2ダイオード120の入力において4μAのオーダーのId2maxの最大値を持つ電流を得るために15.3ボルトのオーダーであろう。
【0061】
このように、本発明を実施する特定の方法によると、第2制御手段140の入力における他の制御電圧vdat2は、第1制御手段140の入力において制御電圧vdat1が属する電圧の範囲とは異なる電圧の範囲に属していよう。
【0062】
他の第2トランジスタ142の入力において他の制御電圧vdat2の保持を可能にする手段も提供され、この時、他の第1トランジスタ141は“開いた”状態にある。これらの手段は、例えば0.5pFのオーダーの容量を持ち、例えば第2コンデンサ143の形を取る。
【0063】
第1コンデンサ133と第2コンデンサ143は、異なる容量値を持ち、これらの値は、調整用電圧vdat1とvdat2が属するそれぞれの範囲の関数として、各々選択される。例えば、vdat2が、電圧vdat1が属する範囲のものよりも高い電圧の範囲に属する場合、第1コンデンサ133は、第2コンデンサ143の容量よりも小さい容量を持つように設計することが可能である。こうして、第1コンデンサ133のプレートは、例えば第2コンデンサ143のプレートよりも小さな面積を占めるだけで良い。
【0064】
ダイオード110と120の制御手段130と140は、特に電流変調手段が互いに異なる。第1ダイオード制御手段130の電流変調手段は、第2制御手段140の他の電流変調手段によって発せられ得る電流id2のレベルよりも低いレベルの範囲にある電流id1を発するように設計される。
【0065】
これを可能にするために、特に本発明を実施した特定の一方法において、第1制御手段140に属する他の第2電流変調用トランジスタ142は、例えば第1制御手段130に属する第2電流変調用トランジスタ132のチャネルよりも短いチャネルを持つように設計することができる。
【0066】
第2トランジスタ132は、例えば10/60のオーダーのW/Lで表される、チャネル幅Wとチャネル長Lの比で作ることができ、一方、他の第2トランジスタ142は、例えば10/20のオーダーの、比W/Lより大きなW/Lで表される、チャネル幅Wとチャネル長Lの比で作ることができる。
【0067】
前述のマイクロエレクトロニクス装置は、例えば画面または表示装置の画素を作るのに使用することができる。それによって、画素は、それぞれ広い範囲の強度と輝度に属する強度と輝度を持った光放射を作り出すことができ、輝度の範囲は、電力消費を低く保ったまま、例えば12cd/mのオーダーの、Lminと表される最小輝度値と、例えば120cd/m2のオーダーの最大輝度値Lmaxとの間にある。
【0068】
画素は、例えば第1制御手段130に関連する第1ダイオード110から作られた第1副画素と、第2制御手段140に関連する第2ダイオード120から作られた第2副画素との間で共有され得る。
【0069】
画面又は表示画素の集積から前記画素を選択することは、第1副画素と第2副画素に共通であり、画面又は表示装置の外部の回路から来る選択信号vselによって達成され得る。
【0070】
全体の強度または前記画素によって発せられた光放射の全体の輝度の値は、画面又は表示装置の外部の回路から来て、それぞれ第1副画素と第2副画素に与えられる制御信号vdat1と他の制御信号vdat2によって制御することができる。
【0071】
第1副画素は、例えば、その値が制御信号vdat1の関数である、第1の範囲の強度あるいは輝度に含まれる“低い”型の強度或いは輝度を持った放射を作り出すために作ることができる。
【0072】
第2副画素は、第1の範囲のレベル又は輝度よりも大きい第2の範囲のレベル又は輝度に含まれる“強い”と表現される強度又は輝度を持った放射を生み出すように設計することができ、その値は他の制御信号vdat2の関数である。
【0073】
第1の副画素と第2の副画素は、調整用信号vdat1とvdat2の値、及び前記画素に割り当てたいと望む強度又は輝度の全体の値の関数として交互にまたは同時に機能することができる。
【0074】
本発明によって実現される画素の動作図の例と、前記画素を形成する第1副画素と第2副画素の動作図が、それぞれグラフC,C,Cによって図3に示されている。
【0075】
この例では、画素によって発せられた全体の輝度は、Lminで表される例えば12cd/mのオーダーの最小輝度値と、Lmaxで表される例えば120cd/mのオーダーの最大輝度値の間にある。
【0076】
この例では、第1副画素と第2副画素は、別個で隣接している強度又は輝度の範囲を作り出す。
【0077】
画素が、例えば12cd/mのオーダーのLminと、24cd/mのオーダーのLmax/5との間に存する、グラフC1の立ち上がり部分C11の第1範囲に含まれる“弱い強度又は輝度”を作り出す時、グラフC2の光放射立ち上がり部分C21を発するのは第1副画素であろうし、一方、第2副画素はグラフC3の一定部分C31を発しない。この“弱い強度または低輝度”と表現される第1範囲は、第1ダイオード110が、例えば50nAから1μAの範囲の弱い強度の電流の範囲に属する入力電流id1を受信する時、第1ダイオード110から来る放射に対して作られる。
【0078】
画素が、レベルまたは輝度の第2範囲に属する“強い”強度又は輝度を作り出し、第2範囲は、例えば24cd/mのオーダーのLmax/5と、96cd/mのオーダーの4Lmax/5の間(グラフC1の部分C12)にある時、画素は、グラフC3の光放射立ち上がり部分C32を発する第2副画素であろうし、一方、第1副画素はグラフC2の一定部分C22を発しない。
【0079】
“強い強度又は輝度の”と表現されるレベルまたは輝度の第2範囲は、このように、第2ダイオード120が例えば1μAから4nAの間の強度を持った電流の第2範囲に属する入力電流id2を受信する時、第2ダイオード120から来る光放射に対して作られる。
【0080】
強度または輝度の“最強の”値に従った画素の照明は、最高の輝度は、例えば96cd/mのオーダーの4Lmax/5と、例えば120cd/mのオーダーのLmaxの間のグラフC1の部分C13に存するものであるが、第1副画素の照明と第2副画素の照明の両方によって達成される。“最強の”強度又は輝度として表現される第3範囲は、第1ダイオード110の入力における第1電流id1によって引き起こされ、例えば50nAと1μAとの間にあり、第1ダイオード110からのグラフC2の一定部分C23の放射による放射と、また、第2ダイオード120の入力における第2電流id2によって引き起こされ、例えば1μAから4μAの間にあり、第2ダイオード120からのグラフC3の立ち上がり部分C33による放射とによって得ることができる。
【0081】
すぐ上で説明したものとは異なる動作の一例によると、第1副画素と第2副画素が常にかつ同時に発するように準備することができる。こうして、本発明の画素によって発せられる光放射は、第1副画素から来る放射と、第2副画素から来る別の光放射との組み合わせから一定に作ることができる。
【0082】
すぐ上で説明したものとは異なる他の動作の一例によると、本発明により実現される画素を、“オン−オフ”と呼ばれるモードで動作する第1副画素と、“アナログ”と呼ばれる別のモードで動作する第2副画素とから最初に作るように準備することができる。こうして、第1副画素は、所定の輝度を備えた放射を発するようにまたは発しないように設計されるだろうし、一方、第2副画素は、変化するように設計される強度又は輝度の値を備えて一定に放射を発する。
【0083】
画面又は表示画素はは、一般的に、所定の波長と所定の強度もしくは輝度を備えた光放射を作ることができる基本領域に結び付きがある。
【0084】
本発明によって実現される、画面又は表示装置内の画素Pは、P1と示される第1副画素と、P2と示される第2副画素とにそれぞれ関連する第1区域と第2区域とに分けられる。
【0085】
第1副画素P1と第2副画素P2は、それぞれ、ある光強度を備えた放射を発するように設計された第1領域S1と、他の光強度を備えた放射を発するように設計された第2領域S2とを含む。
【0086】
領域S1とS2とは、近いもしくは同一の波長で発するように設計される。
【0087】
第1領域S1と第2領域S2は、同じでも良いし異なっていても良い。例えば、第1副画素P1と第2副画素P2がそれぞれ第1有機光ダイオードと第2有機光ダイオードとを含む場合、領域S1とS2は、それぞれ第1有機光ダイオードの発光領域と、第2有機光ダイオードの発光領域とに対応する。発光領域とは、光放射を発するように設計された領域を意味している。
【0088】
領域S1とS2とは、各々、光放射を同時にまたは交互に発するように設計される。
【0089】
本発明により実現される画素Pを考えると、その動作原理は、図3に関連した説明と同じである。画素が、低輝度または弱い強度の第1範囲で発光するために、図4Aにおいて、例えば光放射を発するのは第1領域S1であり、一方、そうでないのは第2領域S2である。
【0090】
画素が高輝度または強い強度の第2範囲に従って発光するために、図4Bにおいて、光放射を発するのは例えば第2領域S2であり、一方、そうでないのは第1領域S1である。
【0091】
画素が最高の輝度もしくは強度の第3範囲に従って発光するためには、図4Cにおいて、第2領域S2と第1領域S1の両方が同時に発光する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】従来技術による装置の一例を示す図である。
【図2】従来技術による装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の装置を含む画素の動作図の一例を示す図である。
【図4A】本発明により実現される画面または表示画素の動作原理を示す図である。
【図4B】本発明により実現される画面または表示画素の動作原理を示す図である。
【図4C】本発明により実現される画面または表示画素の動作原理を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
10…電子発光ダイオード
11…第1トランジスタ
12…第2トランジスタ
13…コンデンサ
110…第1電子発光ダイオード
120…第2電子発光ダイオード
130…第1制御手段
131…第1トランジスタスイッチ
132…第2変調用トランジスタ
133…第1コンデンサ
141…第1トランジスタ
142…第2トランジスタ
143…第2コンデンサ
P1…第1副画素
P2…第2副画素
S1…第1領域
S2…第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光放射を作り出すのに使用されるマイクロエレクトロニクス装置であって、
−ある輝度の第1放射を作り出すように設計された第1電子発光手段と、
−第1のレベルの範囲に属するレベルを備えた第1電流(id1)によって、第1電子発光手段を制御するように設計された第1制御手段(130)と、
−別の輝度の第2放射を作り出すように設計された第2電子発光手段と、
−第1の範囲とは異なる第2のレベルの範囲に属するレベルを備えた第2電流(id2)によって、第2電子発光手段を制御するように設計された第2制御手段(140)と
を具備し、
光放射は、前記のある輝度と前記別の輝度の組み合わせである全体的輝度を持つことを特徴とするマイクロエレクトロニクス装置。
【請求項2】
第1電流(id1)が属する前記第1のレベルの範囲の内の少なくともいくつかの強度は、第2の電流(id2)が属する前記第2のレベルの範囲の強度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の制御手段は、各々、スイッチング手段を備えていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1制御手段(130)と前記第2制御手段(140)のスイッチング手段は、所定の信号(vsel)によって制御されることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第1制御手段(130)のスイッチング手段は、少なくとも一つのトランジスタスイッチ(131)を持っていることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2制御手段(140)のスイッチング手段は、少なくとも一つのトランジスタスイッチ(141)を持っていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び第2制御手段(130,140)の各々は、電流変調手段を持っていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1制御手段(130)の電流変調手段は、少なくとも一つの変調トランジスタ(132)を含むことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記第2制御手段(140)を変調するための手段は、少なくとも一つの他の電流変調トランジスタ(142)を含むことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記第1制御手段(130)は、Lの長さとWの幅のチャネルを備えた電流変調用トランジスタ(132)を含み、前記第2制御手段(140)は、Lの長さとWの幅のチャネルを備えた別の電流変調用トランジスタ(142)を含み、W/Lの比は、比よりも大きいことを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記第1制御手段(130)の電流変調手段は、制御信号(vdat1)によって制御され、前記第2制御手段(140)の電流変調手段は、他の制御信号(vdat2)によって制御されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記制御信号(vdat1)は、ある電圧の範囲に属し、他の制御信号(vdat2)は、前記ある電圧の範囲とは異なる他の電圧の範囲に属することを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記第1制御手段は、制御信号(vdat1)を保持するように設計された少なくとも一つの第1コンデンサ(133)も持っていることを特徴とする請求項11または12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第2制御手段は、他の制御信号(vdat2)を保持するように設計された少なくとも一つの第2コンデンサ(143)も持っていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び第2の電子発光手段の各々は、有機光ダイオード(110,120)を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1電子発光手段は、第1光ダイオードを含み、前記第2電子発光手段は、第2光ダイオードを含み、第1光ダイオードと第2光ダイオードは、異なる発光領域を持つことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1電子発光手段と前記第2電子発光手段とは、交互にまたは同時に機能するように設計されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載のマイクロエレクトロニクス装置を含むことを特徴とする表示装置または画面画素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2007−524872(P2007−524872A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500275(P2007−500275)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050124
【国際公開番号】WO2005/086130
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】