説明

画素アドレッシング回路及び当該回路の制御方法

本発明は、画素アドレッシング回路及び上記回路の制御方法に関する。画素アドレッシング回路(1)は、供給電圧(Vcc)の電極に対してあるダイオード(D)と直列に接続された2つの作動トランジスタ(T1a,T1b)と、それぞれがグリッドを含み、データ信号(Vda,Vdb)と関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)のグリッドとの間にそれぞれ接続された2つのスイッチングトランジスタ(T2a,T2b)を含む。スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のグリッドは、異なるアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)で同じものを供給する制御回路(2)の2つの異なる出力に接続される。アドレッシング回路(1)の制御方法は、例えば作動トランジスタ(T1a,T1b)の1つをダイオード制御アドレッシング位相に変え、その他の作動トランジスタ(T1a,T1b)を修復位相に変えるような、関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をそれぞれブロック状態及び導通状態にすることができるアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)でスイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のグリッドを供給することに本質がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1画素毎に第1及び第2制御回路をそれぞれ含む画素アドレッシング回路であって、
−アモルファスシリコンから作られ、それぞれがゲートを含み、それぞれが供給電圧の電極に対して有機発光ダイオードと直列に接続された第1及び第2作動トランジスタと、
−それぞれがゲートを含み、それぞれが第1及び第2データ信号と前記関連した第1及び第2作動トランジスタのゲートとの間に接続された第1及び第2スイッチングトランジスタと、
−それぞれが前記第1及び第2作動トランジスタのゲートとその供給電圧電極の1つとの間に接続された第1及び第2キャパシタと、を含み、
前記アドレッシング回路は、同時に、個別に、交互に前記第1及び第2作動トランジスタのオフ及びオンを切り替えるように前記第1及び第2スイッチングトランジスタを制御するアドレッシング回路に関する。
【0002】
本発明は、上記アドレッシング回路の制御方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ディスプレイ(OLED)は、有機発光ダイオードの発光特性を用いる平面モニタである。電圧でアドレスされる液晶ディスプレイ(LCD)とは異なり、OLEDダイオードは、電流でアドレスされる。OLEDモニタをLCDモニタに用いられるものと同じ従来のアドレッシング構造で動作させるためには、電圧−電流変換回路が用いられなければならない。
【0004】
図1に示されるように、従来の画素制御構造は、例えばMOSFET型の2つのトランジスタT1,T2、キャパシタC及びOLEDダイオードDから構成される。トランジスタT1は、アナログ電圧制御電流発生器として動作する作動トランジスタである。作動トランジスタT1は、供給電圧Vccの電極に対してダイオードDと直列に接続される。ダイオードDに流れる電流へのゲートに印加された作動電圧Vg1を変換する。キャパシタCは、作動トランジスタT1のゲートと固定電位、例えばグラウンド、供給電圧Vdc又はその他の電位との間に接続される。
【0005】
トランジスタT2は、画素が選択されたか否かを画定するように設計され、2値のデジタル的な方法、すなわちオンポジション及びオフポジションで動作するスイッチングトランジスタである。スイッチングトランジスタT2は、そのゲートに印加され、トランジスタT2にそのオンポジションからオフポジション及びその逆に切り替えさせるアドレッシング電圧Vg2によって制御される。画素ダイオードDのアドレッシングを可能にするスイッチングトランジスタT2は、データ信号Vdと作動トランジスタT1のゲートとの間に接続される。スイッチングトランジスタT2がオンのときには、データ信号Vdは、このように、これらの電圧信号をダイオードDの照度を制御するように設計された電流へ変換する作動トランジスタT1のゲートに送信される。
【0006】
トランジスタT1及びT2は、好ましくは、薄膜トランジスタ(TFT)型のアモルファスシリコンNMOSトランジスタである。しかしながら、作動トランジスタT1が画素アドレッシング時間の95%以上の間に電流発生器として動作するので、トランジスタT1の製造のためにアモルファスシリコンを利用することは、ダイオードDのアドレッシングの間にこのトランジスタの劣化を引き起こす可能性がある。
【0007】
作動トランジスタT1の劣化は、本質的には、その閾値電圧Vtのドリフトをもたらす。いくつかの要因がこのドリフトの発生にある。第1は、作動トランジスタT1が動作しているときのアモルファスシリコンの中への水素の拡散が原因であり、より大きい第2は、作動トランジスタT1のゲート絶縁膜、この場合には窒化膜の中へのキャリアの導入が原因である。これらのキャリアは、実際には窒化膜に蓄積され、作動トランジスタT1の閾値電圧Vtを変更するメモリ効果の役割を果たす。
【0008】
この劣化を改善するために、文献US 2004/0001037は、変更されたアドレッシングシステムを用いて標準的な画素制御構造の作動トランジスタの閾値電圧を低減することができる回路を提案する。特に、OLEDと直列の作動トランジスタのドレインに印加された電圧は、作動トランジスタのゲートに印加された電圧に従って変化する。
【0009】
しかしながら、上記回路が作動トランジスタの閾値電圧のドリフトを低減できるとしても、作動トランジスタを修復する、すなわちその寿命を延ばし、その動作を最適化することはできない。
【0010】
論文”Polarity-Balanced Driving to Reduce VTH Shift in a-Si for Active-Array OLEDs” by You B-H and al. (2004 Sid International Symposium Digest of Technical Papers, Seattle, May 25-27, 2004)は、そのトランジスタの動作を改善することができるアドレッシング回路について述べている。回路は、偶数及び奇数アドレッシングモードで動作する2つの作動トランジスタ及び4つのスイッチングトランジスタを含む。
【0011】
しかしながら、トランジスタ及び回路の動作の数は、明確で異なるトランジスタのアドレッシングモードを課す。このことは、アドレッシング回路の最適でない動作をもたらし、トランジスタの劣化が依然として観測される。
【発明の開示】
【0012】
本発明の目的は、これらの欠点を改善することであり、トランジスタの信頼性及び時間内のアドレッシング回路の動作を最適化することができる画素アドレッシング回路を提供することを含む。
【0013】
本発明の目的は、添付の特許請求の範囲、とりわけ第1及び第2スイッチングトランジスタのゲートが異なるアドレッシング電圧を供給する制御回路の別個の出力に接続されるという事実によって達成される。
【0014】
さらに、本発明の目的は、実施が単純で容易な上記アドレッシング回路の制御方法を提供することである。
【0015】
特に、その方法は、1若しくは複数のデータフレームの中で第1及び第2スイッチングトランジスタのゲートに対するアドレッシング電圧の印加を含み、その電圧は、それぞれ、作動トランジスタの1つをダイオードのアドレッシング制御位相に切り替えさせ、その他の作動トランジスタを修復位相に切り替えさせるように関連した作動トランジスタのオフ及びオンを切り替え、それらが1若しくは複数の次のデータフレームの中で交互に行われることを特徴とする。
【0016】
他の利点及び特徴は、非限定的な例示目的でのみ与えられた以下の本発明の特定の実施例及び添付の図面からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2では、画素のアドレッシング回路1は、従来技術に係る構造によって構成される第1制御回路aを含む。第1作動トランジスタT1は、このように供給電圧Vccの電極に対して有機発光ダイオードDと直列に接続される。作動電圧Vg1aは、第1作動トランジスタT1aのゲートに印加される。図2の特定の実施例では、第1制御回路は、第1作動トランジスタT1aのゲートと固定電位、例えばグラウンドとの間に接続された第1キャパシタCaも含む。オンポジションとオフポジションとの間のアドレッシング電圧Vg2aによって制御される第1スイッチングトランジスタT2aは、第1データ信号Vdaと第1作動トランジスタT1aのゲートとの間に接続される。
【0018】
アドレッシング回路1は、第1制御回路aと同一の構造であり、供給電圧Vccの電極に対してダイオードDと直列に接続された第2作動トランジスタT1bを含む第2制御回路bを含む。第2キャパシタCbは、第2作動トランジスタT1bのゲートと固定電位、例えばグラウンドとの間に接続される。作動電圧Vg1bは、第2作動トランジスタT1bのゲートに印加される。第2制御回路bは、トランジスタゲートに印加されたアドレッシング電圧Vg2bによって制御され、第2データ信号Vdbと第2作動トランジスタT1bのゲートとの間に接続された第2スイッチングトランジスタT2bも含む。
【0019】
スイッチングトランジスタT2a及びT2bのデータ信号Vda及びVdb並びにアドレッシング電圧Vg2a及びVg2bは、ダイオードDの制御並びに作動トランジスタT1a及びT1bの交互の修復の両方を実行する制御回路2(図2)によって供給される。
【0020】
図2の特定の実施例では、第1及び第2スイッチングトランジスタT2a,T2bは、制御回路2の2つの別個の出力に接続される。その結果、この回路は、これらのトランジスタにそれぞれ異なるアドレッシング電圧Vg2a,Vg2bを供給することができる。
【0021】
さらに、示されていない代替的な実施例では、第1及び第2スイッチングトランジスタT2a,T2bは同一のデータ信号Vda,Vdb(Vda=Vdb)によって供給されても良い。その結果、上記構成は、アドレッシング回路1に伝達される信号の数を制限することができる。
【0022】
作動トランジスタT1aのゲート上で観察される閾値電圧の劣化を修復するためには、修復位相にある間に、このトランジスタをオフに切り替えることができる電圧がこのゲートに一時的に印加される。この電圧は、このトランジスタのソースドレインの電圧よりも低くなければならない。負の電圧は、例えば作動電圧T1aのゲートに印加される。このことは、窒化膜の中に導入されたキャリアの除去を引き起こす。
【0023】
作動トランジスタT1aが修復位相にある間は、ダイオードDは、アドレッシング位相にあって、電流発生器として動作する第2作動トランジスタT1bによって制御される。このために、そのゲート上の正の作動信号Vg1を受信する。それ故に、制御回路の1つ(a又はb)がダイオードDのアドレッシング制御に割り当てられる間は、その他の制御回路(b又はa)は、その作動トランジスタを修復し、ダイオードDのアドレッシング制御に応答しない。
【0024】
それ故に、ダイオードDが第1作動トランジスタT1aを用いてアドレス制御されるときには、第2作動トランジスタT1bが修復される。その結果、オフに切り替わり、10-10Aより小さい極めて微弱な電流のみがそのチャネルに流れる。その結果、トランジスタの電極の電圧は、第1作動トランジスタT1a又はダイオードDの正しい動作のいずれにも影響しない。反対に、ダイオードDが第2作動トランジスタT1bを用いてアドレス制御されるときには、第1作動トランジスタT1aが修復され、その電極の電圧は、第2作動トランジスタT1b又はダイオードDの正しい動作のいずれにも影響しない。
【0025】
図2の好ましい実施例では、作動トランジスタT1a及びT1bのゲートは、それぞれ第1及び第2スイッチングトランジスタT2a及びT2bを用いて電圧Vda及びVdbに接続される。例えば、データ信号Vda及びVdbのフレームNの中では、制御回路2は、ダイオードDを制御するように作られた正のデータ電圧Vdaを第1制御回路aのスイッチングトランジスタT2aのドレインに、作動トランジスタT1bのゲートの修復のために作られた負のデータ電圧Vdbを第2制御回路bの第2スイッチングトランジスタT2bに同時に印加する。
【0026】
後続のフレーム、すなわち次のフレームN+1では、制御回路2は、作動トランジスタT1aが修復位相に切り替わるように、負のデータ信号Vda及び正のデータ信号Vdbを供給するが、一方、予め修復された第2作動トランジスタT2bがダイオードDのアドレッシング制御位相に切り替わる。
【0027】
それ故に、アドレッシング回路1の動作寿命を修復するために、単一のダイオードDに関連した2つの同一の制御回路a及びbを備えた上記アドレッシング回路1は、ダイオードDのアドレッシング制御及びこのダイオードDの作動トランジスタT1a,T1bの修復を同時に、個別に、交互に行うことができる。
【0028】
図3及び4では、複数の行及び列に並べられる複数の画素4から構成された配列3は、画素4の配置の特定の実施例を示す。図3及び4に示された特定の実施例では、各画素4は、図2に従うアドレッシング回路1によってアドレスされ、各画素4の制御回路2は、例えば配列3の左に配置された配列3の行の第1アドレッシング回路5a及び例えば配列3の右に配置された配列3の行の第2アドレッシング回路5bを含む。
【0029】
制御回路2は、例えば配列3の上端に配置された配列3の列の第1アドレッシング回路6a及び例えば配列3の下端に配置された配列3の列の第2アドレッシング回路6bも含む。
【0030】
図3及び4では、回路5a及び6aは、各画素4のスイッチングトランジスタT2aのゲート及びドレインにそれぞれ接続され、各画素4のアドレッシング電圧Vg2a及びデータ信号Vdaをそれぞれ供給する。同様に、回路5b及び6bは、各画素4のスイッチングトランジスタT2bのゲート及びドレインにそれぞれ接続され、各画素4のアドレッシング電圧Vg2b及びデータ信号Vdbをそれぞれ供給する。
【0031】
図3及び4は、2つの連続的な動作フレームの中の配列3の状態を図示する。行のアドレッシング回路5a及び列のアドレッシング回路6aは、画素4(図3)のダイオードを代替的にアドレッシング制御し、画素4(図4)のダイオードDの作動トランジスタT1aを修復するために設計される。同時に、行のアドレッシング回路5b及び列のアドレッシング回路6bは、画素4(図3)のダイオードDの作動トランジスタT1bを代替的に修復し、画素4(図4)のダイオードをアドレッシングして制御するために設計される。
【0032】
配列3の行の2つのアドレッシング回路5a及び5b並びに配列3の列の2つのアドレッシング回路6a及び6bは、配列3をバイアスするためのより大きな許容範囲を持つことができる解決方法を示す。さらに、既存のアドレッシング回路に追加のトランジスタを接続することは容易であるので、アドレッシング回路1の特定の構造は、配列3のような配置を促進する。
【0033】
図2に従うアドレッシング回路1の動作は、図5〜10に関してより詳細に述べられるであろう。上述のように、上記アドレッシング回路1の動作は、近接していてもしていなくても良いが、それぞれ1つの同一のフレームの中及び交互に2つの連続的なフレームの中でアドレッシング回路1の作動トランジスタT1a及びT1bのゲートと反対の極性の信号を同時に印加することに本質がある。
【0034】
例えば、図5〜10に示されるように、はじめに、第1制御回路は、フレームNの中でダイオードDをアドレッシング制御するために設計されるのに対して、第2制御回路bは、作動トランジスタT1bのゲートを修復するために同時に設計される。図5及び6に示されるように、時間t0で、第1スイッチングトランジスタT2aのゲートに印加された電圧Vg2aは正で、例えば約15Vであり、スイッチングトランジスタT2aのドレインに印加されるデータ信号Vdaは約10Vである。同時に、図8〜10に示されるように、第1作動トランジスタT1aのゲートに印加された作動電圧Vg1a(図7)は約10Vであるのに対して、第2スイッチングトランジスタT2bのゲート上の電圧Vg2b及びデータ信号Vdbは0Vである。第2作動トランジスタT1bのゲートに印加された作動電圧Vg1bも0Vに等しい。
【0035】
フレームNの先頭に対応する時間t1に、制御回路2は、フレームの所定の継続期間である時間t2までスイッチングトランジスタT2aをオンに切り替える(図5)例えば約35Vの電圧を印加する。次に、15V〜30Vで振動することができるデータ信号Vda(図6)は、次にダイオードDを制御し始める作動トランジスタT1aのゲートに送信される(Vg1a,図7)。実際には、図7に示されるように、時間t1から時間t2(図6)に進む期間のデータ信号Vdaの値に対応して、第1作動トランジスタT1aのゲート上の電圧Vg1aは、時間t1で30Vになる。
【0036】
アドレッシング電圧Vg2aが約15V(図5)の電圧に落ちるときには、作動トランジスタT1aのゲートに接続されたキャパシタCaのおかげで、時間t2でオフポジションに戻るスイッチングトランジスタT2aは、第1作動トランジスタT1a(図7)のゲートに印加された電圧Vg1aへのいかなる影響もない。それ故に、電圧Vg1aは、フレームNの終端及びフレームN+1の先頭に対応する時間t4まで30Vを維持する。従って、作動トランジスタT1aは、フレームNの継続期間(t1〜t4)を通してダイオードDのアドレッシング制御位相を維持する。
【0037】
図8に示されるように、第2スイッチングトランジスタT2bのゲートに印加された電圧Vg2bは、時間t4の僅かに前の時間t3で0Vに戻る前に、時間t1で10Vになり、次に時間t2で−10Vになる。
【0038】
同時に、図9に示されるように、第2制御回路2は、時間t1〜時間t3のフレームNの先頭から即座に負のデータ信号Vdb、例えば−10VをトランジスタT2bのドレインに印加する。図10に示されるように、次に、第2作動トランジスタT1bのゲートに印加された電圧Vg1bは、このように第2作動トランジスタT1bの修復位相に対応するフレームNの継続期間(t1〜t4)全体を通して−10Vになり、この期間を通してオフを維持する。
【0039】
フレームNの終端の僅かに前の時間t3では、2つのスイッチングトランジスタT2a及びT2bのゲートに印加された電圧Vg2a(図5)及びVg2b(図8)は、次のフレームを準備するために同時に0Vに切り替わる。図6及び8では、第1制御回路のデータ信号Vdaは10Vを維持するのに対して、第2制御回路bのデータ信号Vdbは、約15Vになる(図8)。スイッチングトランジスタT2a及びT2bが両方ともオフであるので、これらの変更は、電圧Vg1a及びVg1bへのいかなる影響もない。
【0040】
時間t4では、フレームN+1が始まる。図5及び6に示されるように、次に、制御回路2は約−10Vのデータ信号Vdaを供給し、第1スイッチングトランジスタT2aのゲートに印加された電圧Vg2aは時間t5までに10Vになる。次に、トランジスタT2aはオンになり、第1作動トランジスタT1aのゲートに信号Vdaの負の電圧を送信する。図7に示されるように、第1作動トランジスタT1aのゲートに印加された電圧Vg1aは、このようにすぐに−10Vの値を取る。電圧Vg2aが約−10V(図5)の値になる時間t5で、第1スイッチングトランジスタT2aがオフに切り替わるにもかかわらず、キャパシタCaを用いて、フレームN+1の終端、すなわち時間t6までこの値が維持される。
【0041】
同時に、図8〜10に示されるように、時間t4では、例えば約35Vの電圧Vg2bを印加することによって第2スイッチングトランジスタT2bがオンに切り替わるのに対して、データ信号Vdbは正となり、例えば15V〜30Vで振動することができる。トランジスタT2bは、このように、このフレームN+1の先頭でオンになり、作動トランジスタT1bのゲートに印加された電圧Vg1bは正となり、約30Vとなる。キャパシタCbの存在によって、この値はフレームN+1の終端、時間t6まで維持される。電圧Vg2bが約15V(図8)の値となる時間t5でオフポジションに戻る可能性のあるスイッチングトランジスタT2bは、実際には第2作動トランジスタT1bのゲートに印加された電圧Vg1bへのいかなる影響もない。
【0042】
従って、より一般的には、フレームNの先頭では、アドレッシング信号Vg2bは第1スイッチングトランジスタT2aをオンに切り替え、このトランジスタを電流発生器として動作させることができるデータ信号Vdaを作動トランジスタT1aのゲートに送信する。電圧Vg1bは、フレームの継続期間を通してほぼ一定の値を維持し、ダイオードDの発光を制御する。このフレームの中で作動トランジスタT1bのゲートに印加された電圧Vg2bは、このトランジスタをオフに切り替え、作動トランジスタT1bのゲートを修復できるようにする。
【0043】
近接していてもしていなくても良いが、次のフレームN+1では、電圧Vg2aが約10Vになり、電圧Vg2bが約35Vになるので、スイッチングトランジスタT2a及びT2bはオンに切り替わるのに対して、データ信号Vdbは作動トランジスタT1bをオンに切り替え、データ信号Vdaは作動トランジスタT1aをオフに切り替える。次に、第1制御回路aは、第1作動トランジスタT1aの修復位相に順番に切り替わるのに対して、第2制御回路bは、ダイオードDのアドレッシング制御位相に順番に切り替わる。
【0044】
1又は複数のフレームの中で、このように動作が続き、各制御回路は、作動トランジスタの修復及びダイオードのアドレッシング制御に交互に割り当てられる。それ故に、動作は極めて単純であり、2つの同一の制御回路を含むアドレッシング回路を用いることによってより容易になる。
【0045】
本発明は、上述の異なる実施例に限定されるものではない。電圧値は上記に限定されるものではなく、動作は作動トランジスタT1a及びT1b並びにスイッチングトランジスタT2a及びT2bの種類及び大きさに対応するその他の値と同一である。電圧の極性は、アドレッシング回路1の一般的な原理が維持される限り、すなわちダイオードの修復位相及びアドレッシング制御位相が各制御回路によって同時に、個別に、交互に行われる限りは変更されても良い。
【0046】
配列3に配置された画素4の場合には、図3及び4に示されるように、モニタの輝度に従って時間とともにオフへの切り替え電圧の値を変更するために、いくつかの画素4にフォトダイオードを配置することによってフィードバックシステムが設けられても良い。
【0047】
アナログ回路では、アモルファスシリコントランジスタの修復を可能にするこの種類のアドレッシング回路は、電流発生器として連続的に又はほとんど連続的に動作するこの種類のトランジスタを用いるいかなる応用に想定されても良い。主な応用は、例えば医療画像、マイクロ流体等である。
【0048】
より一般的には、アモルファスシリコントランジスタに観察されるのと同様の理由で動作するこの種においては、時間内にドリフトする閾値電圧を有するいかなる種類のトランジスタを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来技術に係る画素制御回路の従来の構造を図示する。
【図2】本発明に係る画素制御回路の特定の実施例を図示する。
【図3】各画素が図2に従うアドレッシング回路によって制御されるデータフレームNの列及び行から構成された画素配列を図示する。
【図4】各画素が図2に従うアドレッシング回路によって制御されるデータフレームN+1の列及び行から構成された画素配列を図示する。
【図5】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。
【図6】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。
【図7】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。
【図8】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。
【図9】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。
【図10】2つの連続的なデータフレームN及びN+1の中の時間に対する図2に従うアドレッシング回路の異なる点でのトランジスタの動作を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素(4)毎に第1(a)及び第2(b)制御回路をそれぞれ含む画素(4)のアドレッシング回路(1)であって、
アモルファスシリコンから作られ、それぞれがゲートを含み、それぞれが供給電圧の電極に対して有機発光ダイオード(D)と直列に接続された第1(T1a)及び第2(T1b)作動トランジスタと、
それぞれがゲートを含み、それぞれが第1(Vda)及び第2(Vdb)データ信号と関連した第1(T1a)及び第2作動トランジスタ(T1b)のゲートとの間に接続された第1(T2a)及び第2(T2b)スイッチングトランジスタと、
それぞれが前記第1(T1a)及び第2(T1b)作動トランジスタのゲートとその供給電圧電極の1つとの間に接続された第1(Ca)及び第2(Cb)キャパシタと、を含み、
前記アドレッシング回路(1)は、同時に、個別に、交互に前記第1(T1a)及び第2(T1b)作動トランジスタのオフ及びオンを切り替えるように前記第1(T2a)及び第2(T2b)スイッチングトランジスタを制御し、
前記第1及び第2スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートは、異なるアドレッシング電圧(Vg2a、Vg2b)を供給する制御回路(2)の2つの別個の出力に接続されることを特徴とするアドレッシング回路。
【請求項2】
前記画素(4)が行及び列の配列(3)を形成するように設けられ、
前記制御回路(2)は、
前記配列(3)の両側に設けられ、それぞれが前記第1スイッチングトランジスタ(T2a)の前記第1データ信号(Vda)及び前記第2スイッチングトランジスタ(T2b)の前記第2データ信号(Vdb)に接続された第1(5a)及び第2(5b)行アドレッシング回路と、
前記配列(3)の両側に設けられ、それぞれが前記第1スイッチングトランジスタ(T2a)のゲート及び前記第2スイッチングトランジスタ(T2b)のゲートに接続された第1(6a)及び第2(6b)列アドレッシング回路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のアドレッシング回路。
【請求項3】
前記第1(T2a)及び第2(T2b)スイッチングトランジスタは、同一のデータ信号(Vda,Vdb)によって供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアドレッシング回路。
【請求項4】
1又は複数のデータフレーム(N)の中で前記第1(T2a)及び第2(T2b)スイッチングトランジスタのゲートに対するアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)の印加を含み、
前記電圧は、前記作動トランジスタ(T1a,T1b)の1つが前記ダイオード(D)のアドレッシング制御位相に切り替わり、その他の作動トランジスタ(T1a,T1b)が修復位相に切り替わるように前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)のそれぞれのオフ及びオンを切り替えることができ、
それらが1又は複数の後続のデータフレーム(N+1)の中で交互に行われることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のアドレッシング回路(1)の制御方法。
【請求項5】
フレームの先頭に対応する第1所定期間の間に、前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオンにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加されたアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は、前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオフにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加された前記アドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)より大きな第1の正の値を取ることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオンにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加されたアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は約35Vであり、前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオフにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加された前記アドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は約10Vであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオンにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加されたアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は、第2所定期間の間に第2の正の値を取ることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記関連した作動トランジスタ(T1a,T1b)をオフにすることができる前記スイッチングトランジスタ(T2a,T2b)のゲートに印加されたアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は、前記第2所定期間の間に負の値を同時に取ることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の正の値は約15Vであり、前記負の値は約−10Vであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1(T2a)及び第2(T2b)スイッチングトランジスタのゲートに印加されたアドレッシング電圧(Vg2a,Vg2b)は、フレームの終端に対応する第3所定期間の間は同時にゼロに等しいことを特徴とする請求項4乃至9の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−532061(P2008−532061A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555666(P2007−555666)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000363
【国際公開番号】WO2006/087477
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】