説明

画素回路及び画素回路の駆動方法、並びに、表示装置及び表示装置の駆動方法

【課題】閾電圧補正機能を備えた画素回路の効率化及び簡素化を図る。
【解決手段】サンプリングトランジスタTr1は、水平走査期間に走査線WSから供給される制御信号に応じ導通して信号線SLから供給された映像信号を画素容量Csにサンプリングする。画素容量Csは、サンプリングされた映像信号に応じてドライブトランジスタTrdのゲートGに入力電圧Vgsを印加する。ドライブトランジスタTrdは、入力電圧Vgsに応じた出力電流を発光素子ELに供給する。出力電流はドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに対して依存性を有する。出力電流の閾電圧Vthに対する依存性を打ち消すために、水平走査期間の一部で動作し、ドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して画素容量Csに書き込んでおく補正手段(Tr3,Tr4)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素毎に配した発光素子を電流駆動する画素回路に関する。より詳しくは、各画素回路内に設けた絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって有機ELなどの発光素子に通電する電流量を制御する、いわゆるアクティブマトリクス型の表示装置に適用する画素回路に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置、例えば液晶ディスプレイなどでは、多数の液晶画素をマトリクス状に並べ、表示すべき画像情報に応じて画素毎に入射光の透過強度又は反射強度を制御することによって画像を表示する。これは、有機EL素子を画素に用いた有機ELディスプレイなどにおいても同様であるが、液晶画素と異なり有機EL素子は自発光素子である。その為、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高く、バックライトが不要であり、応答速度が高いなどの利点を有する。又、各発光素子の輝度レベル(階調)はそれに流れる電流値によって制御可能であり、いわゆる電流制御型であるという点で液晶ディスプレイなどの電圧制御型とは大きく異なる。
【0003】
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型且つ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある為、現在はアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ、TFT)によって制御するものであり、以下の特許文献に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−255856
【特許文献2】特開2003−271095
【特許文献3】特開2004−133240
【特許文献4】特開2004−029791
【特許文献5】特開2004−093682
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画素回路は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと容量部とドライブトランジスタと発光素子とを含む。サンプリングトランジスタは、走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号をサンプリングする。容量部は、サンプリングされた映像信号に応じた入力電圧を保持する。ドライブトランジスタは、容量部に保持された入力電圧に応じて所定の発光期間に出力電流を供給する。尚一般に、出力電流はドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度及び閾電圧に対して依存性を有する。発光素子は、ドライブトランジスタから供給された出力電流により映像信号に応じた輝度で発光する。
【0006】
ドライブトランジスタは、容量部に保持された入力電圧をゲートに受けてソース/ドレイン間に出力電流を流し、発光素子に通電する。一般に発光素子の発光輝度は通電量に比例している。更にドライブトランジスタの出力電流供給量はゲート電圧すなわち容量部に書き込まれた入力電圧によって制御される。従来の画素回路は、ドライブトランジスタのゲートに印加される入力電圧を入力映像信号に応じて変化させることで、発光素子に供給する電流量を制御している。
【0007】
ここでドライブトランジスタの動作特性は以下の式1で表わされる。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
【0008】
しかしながら実際には、ポリシリコンなどの半導体薄膜で構成された薄膜トランジスタ(TFT)は、個々のデバイス特性にばらつきがある。特に、閾電圧Vthは一定ではなく、各画素毎にばらつきがある。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、各ドライブトランジスタの閾電圧Vthがばらつくと、ゲート電圧Vgsが一定であっても、ドレイン電流Idsにばらつきが生じ、画素毎に輝度がばらついてしまう為、画面のユニフォーミティを損なう。従来からドライブトランジスタの閾電圧のばらつきをキャンセルする機能を組み込んだ画素回路が開発されており、例えば前記の特許文献3に開示がある。
【0009】
しかしながら、閾電圧のばらつきをキャンセルする機能(閾電圧補正機能)を組み込んだ従来の画素回路は構成が複雑であり、画素の微細化もしくは高精細化の障害になっていた。また従来の閾電圧補正機能を組み込んだ画素回路は、効率的でなく回路設計の複雑化を招いていた。加えて従来の閾電圧補正機能を備えた画素回路は、構成素子数が比較的多いため歩留まりの低下を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は閾電圧補正機能を備えた画素回路の効率化及び簡素化を図り、以って表示装置の高精細化及び歩留まりの改善を達成することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、水平走査期間の一部で動作し、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは前記補正手段は、水平走査期間に該サンプリングトランジスタが導通して該画素容量の一端が該信号線により一定電位に保持された状態で動作し、該画素容量の他端から該一定電位に対する電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電する。又前記補正手段は、水平走査期間の前半で該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込む一方、前記サンプリングトランジスタは、該水平走査期間の後半で該信号線から供給される映像信号を該画素容量にサンプリングし、前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に該書き込まれた閾電圧を足し込んだ入力電圧を該ドライブトランジスタのゲートとソース間に印加し、以って出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消す。又前記補正手段は、水平走査期間よりも前に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定する第1のスイッチングトランジスタと、該水平走査期間に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電する第2のスイッチングトランジスタとを含む。又前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線よりも前に位置する他の走査線に割り当てられた前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定する。又前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線の直前に位置する他の走査線に割り当てられた直前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定する。又前記サンプリングトランジスタは、水平走査期間内で該信号線が映像信号の電位になる信号供給期間に、該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングする一方、前記補正手段は、水平走査期間内で該信号線が一定電位になる信号固定期間に、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込む。又前記補正手段は、他の走査線に割り当てられる水平走査期間内の信号固定期間でも動作し、各信号固定期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電する。又前記信号固定期間は、各走査線に順次割り当てられる各水平走査期間を互いに区切る水平ブランキング期間であり、前記補正手段は、各水平ブランキング期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電する。又前記補正手段が各信号固定期間で該画素容量を充電したら、該信号線が一定電位から映像信号の電位に切り替わる前に該サンプリングトランジスタを閉じて該画素容量を該信号線から電気的に切り離す。又前記ドライブトランジスタは、その出力電流がチャネル領域の閾電圧に加えキャリア移動度に対しても依存性を有し、前記補正手段は、該出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、該水平走査期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該画素容量に負帰還して該入力電圧を補正する。
【0012】
本発明は又、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えており、前記補正手段は、第1のスイッチングトランジスタと第2のスイッチングトランジスタとを含み、前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線よりも前に位置する他の走査線に割り当てられた前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が閾電圧を超えるように設定し、前記第2のスイッチングトランジスタは、該水平走査期間に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電することを特徴とする。
【0013】
好ましくは前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線の直前に位置する他の走査線に割り当てられた直前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定する。
【0014】
本発明は更に、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、あらかじめ該映像信号のサンプリングに先立って、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えており、前記補正手段は、複数の走査線に割り当てられた複数の水平走査期間内で動作し、時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする。
【0015】
好ましくは前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた該水平走査期間内で該信号線が映像信号の電位になる信号供給期間に、該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングする一方、前記補正手段は、複数の走査線に割り当てられた各水平走査期間内で該信号線が一定電位になる各信号固定期間に、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電する。又前記信号固定期間は、各走査線に順次割り当てられる各水平走査期間を互いに区切る水平ブランキング期間であり、前記補正手段は、各水平ブランキング期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電する。又前記補正手段が各信号固定期間で該画素容量を充電したら、該信号線が一定電位から映像信号の電位に切り替わる前に該サンプリングトランジスタを閉じて該画素容量を該信号線から電気的に切り離す。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる画素回路は、発光素子に供給する出力電流の閾電圧に対する依存性を打ち消すために、補正手段を備えている。特徴事項として、この補正手段は、水平走査期間の一部で動作し、予めドライブトランジスタの閾電圧を検出して画素容量に書き込んでおく。画素容量に対する映像信号のサンプリングを行う水平走査期間の一部を利用して、閾電圧の補正動作を実行するため、補正手段の構成を簡素化できる。具体的には、本発明にかかる補正手段は、水平走査期間よりも前に導通して画素容量を予めリセットする第1のスイッチングトランジスタと、水平走査期間に導通して、リセットされた画素容量に閾電圧を充電する第2のスイッチングトランジスタとで構成できる。したがって本発明の画素回路は、この補正手段を構成する第1及び第2のスイッチングトランジスタと、映像信号をサンプリングするサンプリングトランジスタと、発光素子を駆動するドライブトランジスタとで構成できる。本発明の画素回路はこの様に合計4個のトランジスタで構成でき、素子数を削減可能である。これに伴い電源ラインやゲートライン数を削減でき、配線クロスオーバーを減少させることで歩留まりを改善することが出来る。同時にパネルの高精細化も可能になる。
【0017】
また本発明によれば、上述した第1のスイッチングトランジスタは、当該画素に割り当てられた当該走査線よりも前に位置する他の走査線を、制御用のゲートラインに利用している。具体的には、本発明の補正手段を構成する第1のスイッチングトランジスタは、当該走査線よりも前に位置する他の走査線に割り当てられた前の水平走査期間に、この他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って画素容量のリセットを行っている。この様に、補正手段を構成する第1のスイッチングトランジスタのゲートラインとして、前の行に属する走査線を利用することで、トータルのゲートライン数を削減し、これにより配線クロスオーバーを減少させることで歩留まりの改善につながる。同時にパネルの高精細化も可能になる。
【0018】
さらに本発明によれば、画素回路に組み込まれる補正手段が、複数の走査線に割り当てられた複数の水平走査期間内で動作し、時分割的に画素容量を閾電圧まで充電する。この様に、閾電圧補正動作を複数の水平走査期間に分散し、複数回に分割することで、1水平走査期間当りの閾電圧補正時間を短く設定できる。その分1水平走査期間における映像信号のサンプリング時間を十分に確保可能である。したがって高精細で高周波駆動のパネルにおいても、十分に映像信号電位を画素容量に書き込むことが出来る。よって一層表示パネルの高精細化や高周波数での駆動を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる表示装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示した表示装置に含まれる画素回路の第1実施形態を示す回路図である。
【図3】図2に示した表示装置に含まれる画素回路を取り出した模式図である。
【図4】図3に示した画素回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図5】図3に示した画素回路の動作説明に供する模式図である。
【図6】同じく動作説明に供するグラフである。
【図7】同じく動作説明に供する模式図である。
【図8】図7に示した画素回路に含まれるドライブトランジスタの動作特性を示すグラフである。
【図9】本発明にかかる画素回路の第2実施形態を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明にかかる表示装置を示すブロック図である。
【図11】図10に示した表示装置に含まれる画素回路の第3実施形態を示す回路図である。
【図12】図11に示した表示装置に含まれる画素回路を取り出した模式図である。
【図13】図12に示した画素回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図14】参考例にかかる表示装置を示すブロック図である。
【図15】図14に示した表示装置に含まれる画素回路を取り出した模式図である。
【図16】図15に示した画素回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。まず最初に図1を参照して、閾電圧(Vth)補正機能を備えたアクティブマトリクス表示装置の全体構成を説明する。図示する様に、アクティブマトリクス表示装置は主要部となる画素アレイ1と周辺の回路部とで構成されている。周辺の回路部は水平セレクタ3、ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、補正用スキャナ7などを含んでいる。画素アレイ1は行状の走査線WSと列状の信号線SLと両者の交差する部分にマトリクス状に配列した画素R,G,Bとで構成されている。カラー表示を可能とする為、RGBの三原色画素を用意しているが、本発明はこれに限られるものではない。各画素R,G,Bは夫々画素回路2で構成されている。信号線SLは水平セレクタ3によって駆動される。水平セレクタ3は信号部を構成し、信号線SLに映像信号を供給する。走査線WSはライトスキャナ4によって走査される。尚、走査線WSと平行に別の走査線DS及びAZも配線されている。走査線DSはドライブスキャナ5によって走査される。走査線AZは補正用スキャナ7によって走査される。ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5及び補正用スキャナ7はスキャナ部を構成しており、1水平期間毎画素の行を順次走査する。各画素回路2は走査線WSによって選択された時信号線SLから映像信号をサンプリングする。更に走査線DSによって選択された時、サンプリングされた映像信号に応じて画素回路2内に含まれている発光素子を駆動する。加えて画素回路2は走査線AZによって走査された時、あらかじめ決められた補正動作を行なう。
【0021】
上述した画素アレイ1は通常ガラスなどの絶縁基板上に形成されており、フラットパネルとなっている。各画素回路2はアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(TFT)又は低温ポリシリコンTFTで形成されている。アモルファスシリコンTFTの場合、スキャナ部はパネルとは別のTABなどで構成され、フレキシブルケーブルにてフラットパネルに接続される。低温ポリシリコンTFTの場合、信号部及びスキャナ部も同じ低温ポリシリコンTFTで形成できるので、フラットパネル上に画素アレイ部と信号部とスキャナ部を一体的に形成できる。
【実施例】
【0022】
図2は、図1に示した表示装置に組み込まれる画素回路2の第1実施形態を示す回路図である。画素回路2は、4個の薄膜トランジスタTr1,Tr3,Tr4,Trdと1個の容量素子(画素容量)Csと1個の発光素子ELとで構成されている。トランジスタTr1,Tr3,TrdはNチャネル型のポリシリコンTFTである。トランジスタTr4のみPチャネル型のポリシリコンTFTでる。1個の容量素子Csは本画素回路2の画素容量を構成している。発光素子ELは例えばアノード及びカソードを備えたダイオード型の有機EL素子である。但し本発明はこれに限られるものではなく、発光素子は一般的に電流駆動で発光する全てのデバイスを含む。
【0023】
画素回路2の中心となるドライブトランジスタTrdはそのゲートGが画素容量Csの一端に接続され、そのソースSが同じく画素容量Csの他端に接続されている。ドライブトランジスタTrdのドレインは第1のスイッチングトランジスタTr4を介して電源Vccに接続されている。このスイッチングトランジスタTr4のゲートは走査線DSに接続している。発光素子ELのアノードはドライブトランジスタTrdのソースSに接続し、カソードは接地されている。この接地電位はVcathで表される場合がある。またドライブトランジスタTrdのソースSと所定の基準電位Vssとの間に第2のスイッチングトランジスタTr3が介在している。このトランジスタTr3のゲートは走査線AZに接続している。一方サンプリングトランジスタTr1は信号線SLとドライブトランジスタTrdのゲートGとの間に接続されている。サンプリングトランジスタTr1のゲートは走査線WSに接続している。
【0024】
かかる構成において、サンプリングトランジスタTr1は、走査線WSに割り当てられた水平走査期間(1H)に走査線WSから供給される制御信号WSに応じ導通して信号線SLから供給された映像信号Vsigを画素容量Csにサンプリングする。画素容量Csは、サンプリングされた映像信号Vsigに応じてドライブトランジスタTrdのゲートGに入力電圧Vgsを印加する。ドライブトランジスタTrdは、所定の発光期間中入力電圧Vgsに応じた出力電流Idsを発光素子ELに供給する。この出力電流IdsはドライブトランジスタTrdのチャネル領域の閾電圧Vthに対して依存性を有する。発光素子ELは、ドライブトランジスタTrdから供給された出力電流Idsにより映像信号Vsigに応じた輝度で発光する。
【0025】
本発明の特徴事項として、画素回路2は第1のスイッチングトランジスタTr3と第2のスイッチングトランジスタTr4とで構成される補正手段を備えている。この補正手段は出力電流Idsの閾電圧Vthに対する依存性を打ち消すために、水平走査期間(1H)の一部で動作し、ドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して画素容量Csに書き込んでおく。この補正手段は、水平走査期間(1H)にサンプリングトランジスタTr1が導通して画素容量Csの一端が信号線SLにより一定電位Vss0に保持された状態で動作し、画素容量Csの他端から一定電位Vss0に対する電位差が閾電圧Vthになるまで画素容量Csを充電する。この補正手段は、水平走査期間(1H)の前半でドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して画素容量Csに書き込む一方、サンプリングトランジスタTr1は水平走査期間(1H)の後半で信号線SLから供給される映像信号Vsigを画素容量Csにサンプリングする。画素容量Csは、サンプリングされた映像信号Vsigに予め書き込まれた閾電圧Vthを足し込んだ入力電圧VgsをドライブトランジスタTrdのゲートGとソースS間に印加し、以って出力電流Idsの閾電圧Vthに対する依存性を打ち消す。この補正手段は、水平走査期間(1H)よりも前に導通して画素容量Csの両端の電位差が閾電圧Vthを越える様に設定(リセット)する第1のスイッチングトランジスタTr3と、水平走査期間(1H)に導通して、画素容量Csの両端の電位差が閾電圧Vthになるまで画素容量Csを充電する第2のスイッチングトランジスタTr4とを含む。サンプリングトランジスタTr1は、水平走査期間(1H)内で信号線SLが映像信号Vsigの電位になる信号供給期間に、信号線SLから供給された映像信号Vsigを画素容量Csにサンプリングする一方、補正手段は水平走査期間(1H)内で信号線SLが一定電位Vss0になる信号固定期間に、ドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して画素容量Csに書き込む。
【0026】
本実施形態では、ドライブトランジスタTrdは、その出力電流Idsがチャネル領域の閾電圧Vthに加えキャリア移動度μに対しても依存性を有する。これに対処するため、本発明の補正手段は、出力電流Idsのキャリア移動度μに対する依存性を打ち消すべく水平走査期間(1H)の一部で動作し、映像信号Vsigがサンプリングされている状態でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出し、これを画素容量Csに負帰還して入力電圧Vgsを補正する。
【0027】
図3は、図2に示した表示装置から画素回路2の部分を取り出した模式図である。理解を容易にする為、サンプリングトランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号Vsigや、ドライブトランジスタTrdの入力電圧Vsig及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。また、各トランジスタのゲートに接続される走査線WS、DS、AZも書き込んである。この画素回路2は、水平走査期間内にVth補正動作と映像信号書き込み動作を行う。これにより、画素回路2は4個のトランジスタTr1,Tr3,Tr4,Trdと1個の画素容量Csと1個の発光素子ELとで構成可能である。従来のVth補正機能を組み込んだ画素回路に比べ、少なくともトランジスタを1個削減可能である。これにより、電源ラインを1本とゲートライン(走査線)を少なくとも1本ずつ削減することができ、パネルの歩留まりの改善につながる。また、画素回路のレイアウトを簡素化することで、高精細化も可能である。
【0028】
図4は、図2及び図3に示した画素回路のタイミングチャートである。図4を参照して、図2及び図3に示した画素回路の動作を具体的且つ詳細に説明する。図4は、時間軸Tに沿って各走査線WS,AZ及びDSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化するため、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で示してある。合わせて信号線に印加される映像信号Vsigの波形も時間軸Tに沿って示してある。図示する様に、この映像信号Vsigは各水平走査期間Hの前半で一定電位Vss0となり後半で信号電位となる。トランジスタTr1及びTr3はNチャネル型なので、走査線WS,AZがそれぞれハイレベルのときオンし、ローレベルのときオフする。一方トランジスタTr4はPチャネル型なので、走査線DSがハイレベルのときオフし、ローレベルのときオンする。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WS,AZ,DSの波形や映像信号Vsigの波形と共に、ドライブトランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化も表してある。
【0029】
図4のタイミングチャートではタイミングT1〜T8までを1フィールド(1f)としてある。1フィールドの間に画素アレイの各行が一回順次走査される。タイミングチャートは、一行分の画素に印加される各制御信号WS,AZ,DSの波形を表してある。
【0030】
当該フィールドが始まる前のタイミングT0で、全ての制御信号WS,AZ,DSがローレベルにある。したがってNチャネル型のトランジスタTr1及びTr3はオフ状態にある一方、Pチャネル型のトランジスタTr4のみオン状態である。したがってドライブトランジスタTrdはオン状態のトランジスタTr4を介して電源Vccに接続しているので、所定の入力電圧Vgsに応じて出力電流Idsを発光素子ELに供給している。したがってタイミングT0で発光素子ELは発光している。このときドライブトランジスタTrdに印加される入力電圧Vgsは、ゲート電位と(G)ソース電位(S)の差で表される。
【0031】
当該フィールドが始まるタイミングT1で、制御信号DSがローレベルからハイレベルに切換る。これによりトランジスタTr4がオフし、ドライブトランジスタTrdは電源Vccから切り離されるので、発光が停止し非発光期間に入る。タイミングT1に入ると、全てのトランジスタTr1,Tr3,Tr4がオフ状態になる。
【0032】
続いてタイミングT2になると制御信号AZがローレベルからハイレベルに立ち上がり、スイッチングトランジスタTr3がオンになる。これにより、画素容量Csの他端及びドライブトランジスタTrdのソースSに基準電位Vssを書き込む。このときドライブトランジスタTrdのゲート電位はハイインピーダンスなので、ソース電位(S)の降下に追随してゲート電位(G)も低下する。
【0033】
この後制御信号AZがローレベルに戻ってスイッチングトランジスタTr3がオフした後、タイミングTaで制御信号WSがハイレベルになり、サンプリングトランジスタTr1が導通する。このとき、信号線に現れる電位は、所定の一定電位Vss0に設定されている。ここでVss0−Vss>Vthを満たすようにVss0及びVssが設定されている。Vss0−VssはドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgsとなっている。ここではVgs>Vthとすることで、その後のVth補正動作の準備を行っている。換言するとタイミングTaで画素容量Csの両端はVgsを越える電圧に設定され、Vth補正動作に先立って画素容量Csにリセットがかけられる。また発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Vssと設定することで、発光素子ELに逆バイアスを印加する。これは、その後のVth補正動作を正常に行うために必要である。
【0034】
続いてタイミングT3で制御信号DSをローレベルに切換え、スイッチングトランジスタTr4をオンして、Vth補正を実行する。このとき信号線の電位はVth補正を正確に行うため、依然として一定電位Vss0に保持されている。スイッチングトランジスタTr4がオンすることで、ドライブトランジスタTrdが電源Vccに接続され、出力電流Idsが流れる。これに伴い画素容量Csは充電されていき、その他端に接続されたソース電位(S)が上昇していく。一方画素容量Csの一端の電位(ゲート電位G)はVss0に固定されている。したがって画素容量Csの充電に伴いソース電位(S)が上昇して行き、入力電圧Vgsが丁度Vthに達したところでドライブトランジスタTrdがカットオフする。ドライブトランジスタTrdがカットオフすると、そのソース電位(S)はタイミングチャートに示したようにVss0−Vthになる。
【0035】
この後タイミングT4で制御信号DSをハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフすることでVth補正動作は終了する。この補正動作により、画素容量Csに閾電圧Vth相当の電圧が書き込まれる。
【0036】
この様にタイミングT3〜T4でVth補正を行った後、1水平走査期間(1H)の半分が経過し、信号線の電位がVss0からVsigに変化する。これにより映像信号Vsigが画素容量Csに書き込まれる。発光素子ELの等価容量Coledに比べて画素容量Csは十分に小さい。この結果、映像信号Vsigのほとんど大部分が画素容量Csに書き込まれる。したがってドライブトランジスタTrdのゲートGとソースS間の電圧Vgsは、先に検出保持されたVthと今回サンプリングされたVsigを加えたレベル(Vsig+Vth)となる。ゲート/ソース間電圧Vgsは図4のタイミングチャートに示すようにVsig+Vthとなる。かかる映像信号Vsigのサンプリングは制御信号WSがローレベルに戻るタイミングT7まで行われる。即ちタイミングT5〜T7がサンプリング期間に相当する。
【0037】
この様に本発明では、Vth補正期間T3−T4とサンプリング期間T5−T7が、1水平走査期間(1H)に含まれる。1Hの間、サンプリング用の制御信号WSはハイレベルにある。本発明ではサンプリングトランジスタTr1がオンした状態でVth補正及びVsig書き込みを行っている。これにより画素回路2の構成を簡素化している。
【0038】
本実施形態では、上述したVth補正に加え移動度μの補正も同時に行っている。但し本発明はこれに限られるものではなく、移動度μ補正を行わない単純なVth補正動作のみの画素回路にも適用可能であることは言うまでもない。また本実施形態の画素回路2は、ドライブトランジスタTrd以外のトランジスタはNチャネル型とPチャネル型が混在しているが、本発明はこれに限られるものではなくNチャネル型トランジスタのみまたはPチャネル型トランジスタのみで構成することも可能である。
【0039】
移動度μの補正はタイミングT6〜T7で行われる。以下この点につき詳細に説明する。サンプリング期間の終了するタイミングT7より前のタイミングT6で制御信号DSがローレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオンする。これによりドライブトランジスタTrdが電源Vccに接続されるので、画素回路は非発光期間から発光期間に進む。この様にサンプリングトランジスタTr1がまだオン状態で且つスイッチングトランジスタTr4がオン状態に入った期間T6‐T7で、ドライブトランジスタTrdの移動度補正を行う。即ち本実施形態では、サンプリング期間の後部分と発光期間の先頭部分とが重なる期間T6‐T7で移動度補正を行っている。なお、この移動度補正を行う発光期間の先頭では、発光素子ELは実際には逆バイアス状態にあるので発光する事はない。この移動度補正期間T6‐T7では、ドライブトランジスタTrdのゲートGが映像信号Vsigのレベルに固定された状態で、ドライブトランジスタTrdにドレイン電流Idsが流れる。ここでVss0−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれる為、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは画素容量Csと発光素子ELの等価容量Coledの両者を結合した容量C=Cs+Coledに書き込まれていく。これによりドライブトランジスタTrdのソース電位(S)は上昇していく。図4のタイミングチャートではこの上昇分をΔVで表してある。この上昇分ΔVは結局画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsから差し引かれる事になるので、負帰還をかけた事になる。この様にドライブトランジスタTrdの出力電流Idsを同じくドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgsに負帰還する事で、移動度μを補正する事が可能である。なお負帰還量ΔVは移動度補正期間T6‐T7の時間幅tを調整する事で最適化可能である。
【0040】
タイミングT7では制御信号WSがローレベルとなりサンプリングトランジスタTr1がオフする。この結果ドライブトランジスタTrdのゲートGは信号線SLから切り離される。映像信号Vsigの印加が解除されるので、ドライブトランジスタTrdのゲート電位(G)は上昇可能となり、ソース電位(S)と共に上昇していく。その間画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsは(Vsig−ΔV+Vth)の値を維持する。ソース電位(S)の上昇に伴い、発光素子ELの逆バイアス状態は解消されるので、出力電流Idsの流入により発光素子ELは実際に発光を開始する。この時のドレイン電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性式1のVgsにVsig−ΔV+Vthを代入する事で、以下の式2のように与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流IdsはドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。
【0041】
最後にタイミングT8に至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返される事になる。
【0042】
図5は、移動度補正期間T6‐T7における画素回路2の状態を示す回路図である。図示するように、移動度補正期間T6‐T7では、サンプリングトランジスタTr1及びスイッチングトランジスタTr4がオンしている一方、残りのスイッチングトランジスタTr3がオフしている。この状態でドライブトランジスタTr4のソース電位(S)はVss0−Vthである。このソース電位Sは発光素子ELのアノード電位でもある。前述したようにVss0−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれ、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示す事になる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは画素容量Csと発光素子ELの等価容量Coledとの合成容量C=Cs+Coledに流れ込む事になる。換言すると、ドレイン電流Idsの一部が画素容量Csに負帰還され、移動度の補正が行われる。
【0043】
図6は上述したトランジスタ特性式2をグラフ化したものであり、縦軸にIdsを取り横軸にVsigを取ってある。このグラフの下方に特性式2も合わせて示してある。図6のグラフは、画素1と画素2を比較した状態で特性カーブを描いてある。画素1のドライブトランジスタの移動度μは相対的に大きい。逆に画素2に含まれるドライブトランジスタの移動度μは相対的に小さい。この様にドライブトランジスタをポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素間で移動度μがばらつく事は避けられない。例えば両画素1,2に同レベルの映像信号Vsigを書き込んだ場合、何ら移動度の補正を行わないと、移動度μの大きい画素1に流れる出力電流Ids1´は、移動度μの小さい画素2に流れる出力電流Ids2´に比べて大きな差が生じてしまう。この様に移動度μのばらつきに起因して出力電流Idsの間に大きな差が生じるので、画面のユニフォーミティを損なう事になる。
【0044】
そこで本発明では出力電流を入力電圧側に負帰還させる事で移動度のばらつきをキャンセルしている。トランジスタ特性式から明らかなように、移動度が大きいとドレイン電流Idsが大きくなる。したがって負帰還量ΔVは移動度が大きいほど大きくなる。図6のグラフに示すように、移動度μの大きな画素1の負帰還量ΔV1は移動度の小さな画素2の負帰還量ΔV2に比べて大きい。したがって、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかる事となって、ばらつきを抑制する事が可能である。図示するように、移動度μの大きな画素1でΔV1の補正をかけると、出力電流はIds1´からIds1まで大きく下降する。一方移動度μの小さな画素2の補正量ΔV2は小さいので、出力電流Ids2´はIds2までそれ程大きく下降しない。結果的に、Ids1とIds2は略等しくなり、移動度のばらつきがキャンセルされる。この移動度のばらつきのキャンセルは黒レベルから白レベルまでVsigの全範囲で行われるので、画面のユニフォーミティは極めて高くなる。以上をまとめると、移動度の異なる画素1と2があった場合、移動度の大きい画素1の補正量ΔV1は移動度の小さい画素2の補正量ΔV2に対して小さくなる。つまり移動度が大きいほどΔVが大きくIdsの減少値は大きくなる。これにより移動度の異なる画素電流値は均一化され、移動度のばらつきを補正する事ができる。
【0045】
以下参考の為図7を参照して、上述した移動度補正の数値解析を行う。図7に示すように、トランジスタTr1及びTr4がオンした状態で、ドライブトランジスタTrdのソース電位を変数Vに取って解析を行う。ドライブトランジスタTrdのソース電位(S)をVとすると、ドライブトランジスタTrdを流れるドレイン電流Idsは以下の式3に示す通りである。
【数1】

【0046】
またドレイン電流Idsと容量C(=Cs+Coled)の関係により、以下の式4に示す様にIds=dQ/dt=CdV/dtが成り立つ。
【数2】

【0047】
式4に式3を代入して両辺積分する。ここで、ソース電圧V初期状態は−Vthであり、移動度ばらつき補正時間(T6‐T7)をtとする。この微分方程式を解くと、移動度補正時間tに対する画素電流が以下の数式5のように与えられる。
【数3】

【0048】
図8は、式5をグラフ化した図であり、縦軸に出力電流Idsを取り、横軸に映像信号Vsigを取ってある。パレメータとして移動度補正期間t=0us、2.5us及び5usの場合を設定している。さらに、移動度μもパラメータとして比較的大きい場合1.2μと比較的小さい場合0.8μをパラメータにとってある。t=0usとして実質的に移動度補正をかけない場合に比べ、t=2.5usでは移動度ばらつきに対する補正が十分にかかっていることがわかる。移動度補正なしではIdsに40%のばらつきがあったものが、移動度補正をかけると10%以下に抑えられる。但しt=5usとして補正期間を長くすると逆に移動度μの違いによる出力電流Idsのばらつきが大きくなってしまう。この様に、適切な移動度補正を掛けるために、tは最適な値に設定する必要がある。図8に示したグラフの場合、最適値はt=2.5usの近辺である。
【0049】
次に本発明にかかる画素回路の第2実施形態を説明する。上述した第1実施形態では、図4のタイミングチャートに示したように、1水平走査期間(1H)内でVth補正とVsig書き込みを行っている。これにより回路素子数を削減している。しかしながら第1実施形態の画素回路では、パネルの画素数が増えて高精細化したり、高画質化のためにフィールド周波数を上げたりした場合、水平走査期間(1H)が短くなる為、十分にVth補正をかけることが出来ない可能性がある。逆にVth補正期間をある程度確保すると、Vsig書き込み時間が圧迫されるため、十分に映像信号を画素容量に書き込めないことも有り得る。本第2実施形態は第1実施形態を改良したもので、パネルの高精細化や高画質化に対応可能となっている。第2実施形態の画素回路構成は基本的に図2に示した第1実施形態の画素回路構成と同じである。但し動作シーケンスが異なっており、図9のタイミングチャートを参照して詳細に説明する。なお理解を容易にするため、第1実施形態の動作を示すタイミングチャート図4と対応する部分には対応する参照符号を用いてある。
【0050】
図9を参照すれば明らかな様に、本実施形態ではVth補正期間を複数回に分割している。これにより一回毎のVth補正期間は短くとも、複数回行うことで十分に長いVth補正期間を確保することが出来る。これにより回路素子数を削減した上に、さらにパネルの高精細化及び高周波数化にも対応することが出来る。各々のVth補正期間は数μsと非常に短いものであっても、複数回にわたる補正量を合計することで十分にVthばらつきを補正可能である。
【0051】
以下図9のタイミングチャートに則り、第2実施形態の動作を詳細に説明する。まずタイミングT1で制御信号DSをハイレベルにしスイッチングトランジスタTr4をオフする。その後タイミングT2で制御信号AZをハイレベルにしスイッチングトランジスタTr3をオンする。これによりドライブトランジスタTrdのソース電位(S)に基準電位Vssを書き込む。このときゲート電位(G)はハイインピーダンスなので、ソース電位(S)の降下に追随してゲート電位(G)も下がる。
【0052】
この後各水平走査線を区切る水平ブランキング期間でVth補正を時分割的に行う。なお各水平ブランキング期間では信号線の電位が一定電位Vss0に設定されている。第1のVth補正期間では、制御信号WSがハイレベルになりサンプリングトランジスタがオンする。このとき前述したように信号線の電位はVss0に設定しておく。ここでVss0−Vss=Vgs>Vthを満たしており、Vgs>Vthとすることでその後のVth補正の準備を行う。また発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Vssと設定することで、発光素子ELに逆バイアスを印加する。これは、その後のVth補正動作及び移動度補正動作を正常に行うために必要である。
【0053】
次にサンプリングトランジスタをオン状態にしたまま、タイミングT31で制御信号DSをローレベルに切換えスイッチングトランジスタTr4をオンする。これにより1回目のVth補正が実行される。このとき信号線の電位はVth補正を正確に行うために一定電位Vss0に保持しておく。ドライブトランジスタTrdはスイッチングトランジスタTr4がオンすることでカットオフに向かって出力電流Idsが流れる。その後タイミングタT41で制御信号DSをハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフして1回目のVth補正を終了する。この後信号線の電位が変わらない内に制御信号WSをローレベルに戻して、サンプリングトランジスタをオフすることが望ましい。但しその様にしなくとも動作上問題はない。
【0054】
本実施形態では一回のVth補正期間は例えば水平ブランキング期間内に収まる程度に設定している。そのため一回のVth補正動作ではドライブトランジスタTrdはカットオフせず、そのソース電位(S)は途中の動作点にて保持される。
【0055】
次の水平ブランキング期間が来て信号線の電位が再びVss0になったとき、2回目のVth補正動作を行う。即ちWSをハイレベルに切り換えサンプリングトランジスタTr1を導通させると共に、制御信号DSをローレベルに切換えてスイッチングトランジスタTr4を導通させ、以って2回目のVth補正動作を行う。この2回目のVth補正期間がT32−T42で表されている。この一連のVth補正動作をドライブトランジスタがカットオフするまで複数回行うことで、Vth補正を完了させる。
【0056】
図9のタイミングチャートに示した例では、当該走査線WSに割り当てられた水平走査期間(1H)の先頭に位置する水平ブランキング期間で3回目のVth補正を行った後、映像信号Vsigを画素容量に書き込み、さらにその後移動度μの補正を行っている。3回目のVth補正期間はT33−T43で表されている。この3回目のVth補正が完了すると、ゲート電位(G)とソース電位(S)との間の差が丁度Vthに設定される。
【0057】
以上のように本実施形態では、画素回路2に組み込まれた補正手段は、複数の走査線に割り当てられた複数の水平走査期間内で動作し、時分割的に画素容量Csを閾電圧Vthまで充電する。サンプリングトランジスタは当該走査線WSに割り当てられた当該水平走査期間(1H)内で信号線SLが映像信号の電位Vsigになる信号供給期間に、信号線SLから供給された映像信号を画素容量Csにサンプリングする一方、補正手段は複数の走査線WSに割り当てられた各水平走査期間内で信号線SLが一定電位Vss0になる信号固定期間に、ドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して時分割的に画素容量Csを閾電圧Vthまで充電する。この信号固定期間は、各走査線WSに順次割り当てられる各水平走査期間を互いに区切る水平ブランキング期間である。補正手段は、各水平ブランキング期間で時分割的に画素容量Csを閾電圧Vthまで充電する。かかる補正手段が各信号固定期間で画素容量Csを充電したら、信号線SLが一定電位Vss0から映像信号の電位Vsigに切り換る前にサンプリングトランジスタTr1を閉じて画素容量Csを信号線SLから電気的に切り離しておくことが好ましい。
【0058】
図10は本発明の第3実施形態にかかる表示装置を示す模式的なブロック図である。理解を容易にするため、図1に示した第1実施形態にかかる表示装置と対応する部分には対応する参照番号を付してある。異なる点は、第1実施形態が3本の走査線(ゲートライン)WS,DS,AZを含んでいたのに対し、この第3実施形態は画素アレイ1の走査線をWS,DSの2本とし、更なるゲートラインの削減を図っていることである。具体的には、走査線AZを削減し、この代わりに前段の走査線WSを当段の走査線AZの代わりとして利用していることである。これによりゲートラインを1本削減できると共に、補正用スキャナも不要になる。
【0059】
図11は、図10に示した表示装置の画素アレイに含まれる画素回路を前段分1個、当段分1個の計2個を模式的に表したものである。個々の画素回路2の構成は、基本的に図2に示した第1実施形態と類似しており、対応する部分には対応する参照番号を付してある。各画素回路2はサンプリングトランジスタTr1、ドライブトランジスタTrd、第1スイッチングトランジスタTr3,第2スイッチングトランジスタTr4、画素容量Cs、発光素子ELで構成されている。異なる点は、第1スイッチングトランジスタTr3のゲートに前段の走査線WSが接続されていることである。但し最初の段の画素回路2では前段の走査線WSがないので、別途供給する必要がある。
【0060】
図12は、図11に示した画素アレイからさらに1個分の画素回路を取り出した模式図である。理解を容易にするため、サンプリングトランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号Vsigや、ドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgs及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。また、サンプリングトランジスタTr1のゲートに接続する当該段の走査線をWSnで表し、第1スイッチングトランジスタTr3のゲートに接続する前段の走査線をWSn−1で表し、第2スイッチングトランジスタTr4のゲートに接続する走査線をDSで表してある。
【0061】
図13は、図12に示した画素回路の動作を示すタイミングチャートである。理解を容易にするため、図4に示した第1実施形態のタイミングチャートと対応する部分には対応する参照符号を用いてある。このタイミングチャートは、時間軸Tに沿って各走査線WSn,WSn−1,DSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化するため、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で表してある。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WSn,WSn−1,DSの波形と共に、ドライブトランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化と、信号線に印加される映像信号Vsigの波形も表してある。図示する様に、映像信号Vsigは各水平走査期間の前半で一定電位Vss0に固定され、後半で映像信号電位になる。タイミングT1で制御信号DSがハイレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオフして画素回路は非発光状態に入る。タイミングT2で前段の制御信号WSn−1がハイレベルになり、スイッチングトランジスタTr3がオンする。これにより画素容量Csがリセットされ、Vgs>Vthが設定される。即ちVth補正の準備動作が行われる。タイミングTaで当段の制御信号WSnがハイレベルに立ち上がり、サンプリングトランジスタTr1が導通する。続いてタイミングT3で制御信号DSがローレベルとなり第2スイッチングトランジスタTr4がオンする。これにより画素容量Csの一端を一定電位Css0に固定した状態で画素容量Csの充電を行って、Vthを書き込む。即ちVth補正動作を行う。続いてタイミングT5で映像信号Vsigを画素容量Csに書き込む。さらにタイミングT6で移動度μの補正動作を行い発光状態に入る。
【0062】
以上説明したように本第3実施形態は、出力電流Idsの閾電圧Vthに対する依存性を打ち消すために、ドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出して画素容量Csに書き込んでおく補正手段を備えている。この補正手段は、第1のスイッチングトランジスタTr3と第2のスイッチングトランジスタTr4とを含む。第1のスイッチングトランジスタTr3は、自段の走査線WSnよりも前に位置する他の走査線WSn−1に割り当てられた前の水平走査期間に他の走査線WSn−1から供給される制御信号WSn−1に応じて導通し、以って画素容量Csの両端の電位差が閾電圧Vthを越えるように設定する。第2のスイッチングトランジスタTr4は、当段に割り当てられた水平走査期間(1H)に導通して、画素容量Csの両端の電位差(Vgs)が閾電圧Vthになるまで画素容量Csを充電する。図13に示した実施形態では、前段の走査線として当段の走査線WSnの直前に位置する走査線WSn−1を用いている。場合によってはこれに代えて、さらにその前の走査線WSn−2やもっと前の走査線を第1のスイッチングトランジスタTr3のゲートラインに用いることが出来る。この様に本実施形態は走査線WSを2つの画素間で共有化することで、さらに1本のゲートラインを削減することができ、パネルの歩留まりの改善につながると共に、レイアウトの簡素化によりパネルの高精細化も可能にしている。
【0063】
図14は画素回路の参考例を示すブロック図である。理解を容易にするため、図2に示した第1実施形態と対応する部分には対応する参照番号を付してある。異なる点は本参考例が水平走査期間よりも前にVth補正動作を行っていることである。この為、Vth補正準備用に、スイッチングトランジスタTr3の他にさらにもう1個スイッチングトランジスタTr2が必要になる。一方のトランジスタTr3は画素容量Csのソース側端子をリセットする一方、追加のトランジスタTr2は画素容量Csのゲート側端子をリセットしている。追加のスイッチングトランジスタTr2を駆動するため、追加の走査線AZ1や追加の補正用スキャナ71が必要になる。本発明では、画素容量Csのゲート側端子のセッティングを水平走査期間内で行うことにより、トランジスタTr2を不要にしている。トランジスタTr2はゲートGに電源電圧Vss1を書き込んでいる。これに対し本発明では信号線SLから供給される固定電位Vss0を水平走査期間中に書き込んでいる。
【0064】
以下図14に示した参考例の動作を説明する。このアクティブマトリクス表示装置は主要部となる画素アレイ1と周辺の回路部とで構成されている。周辺の回路部は水平セレクタ3、ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第一補正用スキャナ71、第二補正用スキャナ72などを含んでいる。画素アレイ1は行状の走査線WSと列状の信号線SLと両者の交差する部分にマトリクス状に配列した画素回路2とで構成されている。図では理解を容易にする為、1個の画素回路2のみを拡大表示してある。信号線SLは水平セレクタ3によって駆動される。水平セレクタ3は信号部を構成し、信号線SLに映像信号を供給する。走査線WSはライトスキャナ4によって走査される。なお、走査線WSと平行に別の走査線DS,AZ1及びAZ2も配線されている。走査線DSはドライブスキャナ5によって走査される。走査線AZ1は第一補正用スキャナ71によって走査される。走査線AZ2は第二補正用スキャナ72によって走査される。ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第一補正用スキャナ71及び第二補正用スキャナ72はスキャナ部を構成しており、1水平期間ごと画素の行を順次走査する。各画素回路2は走査線WSによって選択されたとき信号線SLから映像信号をサンプリングする。さらに走査線DSによって選択されたとき、サンプリングされた映像信号に応じて画素回路2内に含まれている発光素子ELを駆動する。加えて画素回路2は走査線AZ1,AZ2によって走査された時、予め決められた補正動作を行う。
【0065】
画素回路2は、5個の薄膜トランジスタTr1〜Tr4及びTrdと1個の容量素子(画素容量)Csと1個の発光素子ELとで構成されている。トランジスタTr1〜Tr3とTrdはNチャネル型のポリシリコンTFTである。トランジスタTr4のみPチャネル型のポリシリコンTFTである。1個の容量素子Csは本画素回路2の容量部を構成している。発光素子ELは例えばアノード及びカソードを備えたダイオード型の有機EL素子である。
【0066】
画素回路2の中心となるドライブトランジスタTrdはそのゲートGが画素容量Csの一端に接続され、そのソースSが同じく画素容量Csの他端に接続されている。またドライブトランジスタTrdのゲートGはスイッチングトランジスタTr2を介して別の基準電位Vss1に接続されている。ドライブトランジスタTrdのドレインはスイッチングトランジスタTr4を介して電源Vccに接続されている。このスイッチングトランジスタTr2のゲートは走査線AZ1に接続されている。スイッチングトランジスタTr4のゲートは走査線DSに接続している。発光素子ELのアノードはドライブトランジスタTrdのソースSに接続し、カソードは接地されている。この接地電位はVcathで表される場合がある。また、ドライブトランジスタTrdのソースSと所定の基準電位Vss2との間にスイッチングトランジスタTr3が介在している。このトランジスタTr3のゲートは走査線AZ2に接続している。一方サンプリングトランジスタTr1は信号線SLとドライブトランジスタTrdのゲートGとの間に接続されている。サンプリングトランジスタTr1のゲートは走査線WSに接続している。
【0067】
かかる構成において、サンプリングトランジスタTr1は、所定のサンプリング期間に走査線WSから供給される制御信号WSに応じ導通して信号線SLから供給された映像信号Vsigを容量部Csにサンプリングする。容量部Csは、サンプリングされた映像信号Vsigに応じてドライブトランジスタのゲートGとソースS間に入力電圧Vgsを印加する。ドライブトランジスタTrdは、所定の発光期間中入力電圧Vgsに応じた出力電流Idsを発光素子ELに供給する。なおこの出力電流(ドレイン電流)IdsはドライブトランジスタTrdのチャネル領域のキャリア移動度μ及び閾電圧Vthに対して依存性を有する。発光素子ELは、ドライブトランジスタTrdから供給された出力電流Idsにより映像信号Vsigに応じた輝度で発光する。
【0068】
画素回路2はスイッチングトランジスタTr2〜Tr4で構成される補正手段を備えており、出力電流Idsのキャリア移動度μに対する依存性を打ち消す為に、予め発光期間の先頭で容量部Csに保持された入力電圧Vgsを補正する。具体的には、この補正手段(Tr2〜Tr4)は、走査線WS及びDSから供給される制御信号WS,DSに応じてサンプリング期間の一部で動作し、映像信号Vsigがサンプリングされている状態でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出し、これを容量部Csに負帰還して入力電圧Vgsを補正する。さらにこの補正手段(Tr2〜Tr4)は、出力電流Idsの閾電圧Vthに対する依存性を打ち消すために、予めサンプリング期間に先立ってドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出し、且つ検出された閾電圧Vthを入力電圧Vgsに足し込む様にしている。
【0069】
ドライブトランジスタTrdはNチャネル型トランジスタでドレインが電源Vcc側に接続する一方、ソースSが発光素子EL側に接続している。この場合、前述した補正手段は、サンプリング期間の後部分に重なる発光期間の先頭部分でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出して、容量部Cs側に負帰還する。その際本補正手段は、発光期間の先頭部分でドライブトランジスタTrdのソースS側から取り出した出力電流Idsが、発光素子ELの有する容量に流れ込むようにしている。具体的には、発光素子ELはアノード及びカソードを備えたダイオード型の発光素子からなり、アノード側がドライブトランジスタTrdのソースSに接続する一方カソード側が接地されている。この構成で、本補正手段(Tr2〜Tr4)は、予め発光素子ELのアノード/カソード間を逆バイアス状態にセットしておき、ドライブトランジスタTrdのソースS側から取り出した出力電流Idsが発光素子ELに流れ込む時、このダイオード型の発光素子ELを容量性素子として機能させている。なお本補正手段は、サンプリング期間内でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出す時間幅tを調整可能であり、これにより容量部Csに対する出力電流Idsの負帰還量を最適化している。
【0070】
図15は、図14に示した表示装置から画素回路の部分を取り出した模式図である。理解を容易にする為、サンプリングトランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号Vsigや、ドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgs及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。以下図15に基づいて、本画素回路2の基本的な動作を説明する。
【0071】
図16は、図15に示した画素回路のタイミングチャートである。図16を参照して、図15に示した画素回路の動作をより具体的且つ詳細に説明する。図16は、時間軸Tに沿って各走査線WS,AZ1,AZ2及びDSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化する為、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で表してある。トランジスタTr1,Tr2,Tr3はNチャネル型なので、走査線WS,AZ1,AZ2がそれぞれハイレベルの時オンし、ローレベルの時オフする。一方トランジスタTr4はPチャネル型なので、走査線DSがハイレベルの時オフし、ローレベルの時オンする。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形と共に、ドライブトランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化も表してある。
【0072】
図16のタイミングチャートではタイミングT1〜T8までを1フィールド(1f)としてある。1フィールドの間に画素アレイの各行が一回順次走査される。タイミングチャートは、1行分の画素に印加される各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形を表してある。
【0073】
当該フィールドが始まる前のタイミングT0で、全ての制御線号WS,AZ1,AZ2,DSがローレベルにある。したがってNチャネル型のトランジスタTr1,Tr2,Tr3はオフ状態にある一方、Pチャネル型のトランジスタTr4のみオン状態である。したがってドライブトランジスタTrdはオン状態のトランジスタTr4を介して電源Vccに接続しているので、所定の入力電圧Vgsに応じて出力電流Idsを発光素子ELに供給している。したがってタイミングT0で発光素子ELは発光している。この時ドライブトランジスタTrdに印加される入力電圧Vgsは、ゲート電位(G)とソース電位(S)の差で表される。
【0074】
当該フィールドが始まるタイミングT1で、制御信号DSがローレベルからハイレベルに切り替わる。これによりトランジスタTr4がオフし、ドライブトランジスタTrdは電源Vccから切り離されるので、発光が停止し非発光期間に入る。したがってタイミングT1に入ると、全てのトランジスタTr1〜Tr4がオフ状態になる。
【0075】
続いてタイミングT2に進むと、制御信号AZ1及びAZ2がハイレベルになるので、スイッチングトランジスタTr2及びTr3がオンする。この結果、ドライブトランジスタTrdのゲートGが基準電位Vss1に接続し、ソースSが基準電位Vss2に接続される。ここでVss1−Vss2>Vthを満たしており、Vss1−Vss2=Vgs>Vthとする事で、その後タイミングT3で行われるVth補正の準備を行う。換言すると期間T2‐T3は、ドライブトランジスタTrdのリセット期間に相当する。また、発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Vss2に設定されている。これにより、発光素子ELにはマイナスバイアスが印加され、いわゆる逆バイアス状態となる。この逆バイアス状態は、後で行うVth補正動作及び移動度補正動作を正常に行うために必要である。
【0076】
タイミングT3では制御信号AZ2をローレベルにし且つ直後制御信号DSもローレベルにしている。これによりトランジスタTr3がオフする一方トランジスタTr4がオンする。この結果ドレイン電流Idsが画素容量Csに流れ込み、Vth補正動作を開始する。この時ドライブトランジスタTrdのゲートGはVss1に保持されており、ドライブトランジスタTrdがカットオフするまで電流Idsが流れる。カットオフするとドライブトランジスタTrdのソース電位(S)はVss1−Vthとなる。ドレイン電流がカットオフした後のタイミングT4で制御信号DSを再びハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフする。さらに制御信号AZ1もローレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr2もオフする。この結果、画素容量CsにVthが保持固定される。この様にタイミングT3‐T4はドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出する期間である。ここでは、この検出期間T3‐T4をVth補正期間と呼んでいる。
【0077】
この様にVth補正を行った後タイミングT5で制御信号WSをハイレベルに切り替え、サンプリングトランジスタTr1をオンして映像信号Vsigを画素容量Csに書き込む。発光素子ELの等価容量Coledに比べて画素容量Csは充分に小さい。この結果、映像信号Vsigのほとんど大部分が画素容量Csに書き込まれる。正確には、Vss1に対する。Vsigの差分Vsig−Vss1が画素容量Csに書き込まれる。したがってドライブトランジスタTrdのゲートGとソースS間の電圧Vgsは、先に検出保持されたVthと今回サンプリングされたVsig−Vss1を加えたレベル(Vsig−Vss1+Vth)となる。以降説明簡易化の為Vss1=0Vとすると、ゲート/ソース間電圧Vgsは図7のタイミングチャートに示すようにVsig+Vthとなる。かかる映像信号Vsigのサンプリングは制御信号WSがローレベルに戻るタイミングT7まで行われる。すなわちタイミングT5‐T7がサンプリング期間に相当する。
【0078】
サンプリング期間の終了するタイミングT7より前のタイミングT6で制御信号DSがローレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオンする。これによりドライブトランジスタTrdが電源Vccに接続されるので、画素回路は非発光期間から発光期間に進む。この様にサンプリングトランジスタTr1がまだオン状態で且つスイッチングトランジスタTr4がオン状態に入った期間T6‐T7で、ドライブトランジスタTrdの移動度補正を行う。即ち本実施形態では、サンプリング期間の後部分と発光期間の先頭部分とが重なる期間T6‐T7で移動度補正を行っている。なお、この移動度補正を行う発光期間の先頭では、発光素子ELは実際には逆バイアス状態にあるので発光する事はない。この移動度補正期間T6‐T7では、ドライブトランジスタTrdのゲートGが映像信号Vsigのレベルに固定された状態で、ドライブトランジスタTrdにドレイン電流Idsが流れる。ここでVss1−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれる為、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは画素容量Csと発光素子ELの等価容量Coledの両者を結合した容量C=Cs+Coledに書き込まれていく。これによりドライブトランジスタTrdのソース電位(S)は上昇していく。図16のタイミングチャートではこの上昇分をΔVで表してある。この上昇分ΔVは結局画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsから差し引かれる事になるので、負帰還をかけた事になる。この様にドライブトランジスタTrdの出力電流Idsを同じくドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgsに負帰還する事で、移動度μを補正する事が可能である。なお負帰還量ΔVは移動度補正期間T6‐T7の時間幅tを調整する事で最適化可能である。
【0079】
タイミングT7では制御信号WSがローレベルとなりサンプリングトランジスタTr1がオフする。この結果ドライブトランジスタTrdのゲートGは信号線SLから切り離される。映像信号Vsigの印加が解除されるので、ドライブトランジスタTrdのゲート電位(G)は上昇可能となり、ソース電位(S)と共に上昇していく。その間画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsは(Vsig−ΔV+Vth)の値を維持する。ソース電位(S)の上昇に伴い、発光素子ELの逆バイアス状態は解消されるので、出力電流Idsの流入により発光素子ELは実際に発光を開始する。この時のドレイン電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性式1のVgsにVsig−ΔV+Vthを代入する事で、以下の式2のように与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流IdsはドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。
【0080】
最後にタイミングT8に至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返される事になる。
【符号の説明】
【0081】
1・・・画素アレイ、2・・・画素回路、3・・・水平セレクタ、4・・・ライトスキャナ、5・・・ドライブスキャナ、7・・・補正用スキャナ、Tr1・・・サンプリングトランジスタ、Tr3・・・スイッチングトランジスタ、Tr4・・・スイッチングトランジスタ、Trd・・・ドライブトランジスタ、EL・・・発光素子、Cs・・・容量素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、
前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、
前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、
前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、
出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、水平走査期間の一部で動作し、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えることを特徴とする画素回路。
【請求項2】
前記補正手段は、水平走査期間に該サンプリングトランジスタが導通して該画素容量の一端が該信号線により一定電位に保持された状態で動作し、該画素容量の他端から該一定電位に対する電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電することを特徴とする請求項1記載の画素回路。
【請求項3】
前記補正手段は、水平走査期間の前半で該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込む一方、
前記サンプリングトランジスタは、該水平走査期間の後半で該信号線から供給される映像信号を該画素容量にサンプリングし、
前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に該書き込まれた閾電圧を足し込んだ入力電圧を該ドライブトランジスタのゲートとソース間に印加し、以って出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すことを特徴とする請求項1記載の画素回路。
【請求項4】
前記補正手段は、水平走査期間よりも前に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定する第1のスイッチングトランジスタと、
該水平走査期間に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電する第2のスイッチングトランジスタとを含むことを特徴とする請求項1記載の画素回路。
【請求項5】
前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線よりも前に位置する他の走査線に割り当てられた前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定することを特徴とする請求項4記載の画素回路。
【請求項6】
前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線の直前に位置する他の走査線に割り当てられた直前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定することを特徴とする請求項5記載の画素回路。
【請求項7】
前記サンプリングトランジスタは、水平走査期間内で該信号線が映像信号の電位になる信号供給期間に、該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングする一方、
前記補正手段は、水平走査期間内で該信号線が一定電位になる信号固定期間に、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込むことを特徴とする請求項1記載の画素回路。
【請求項8】
前記補正手段は、他の走査線に割り当てられる水平走査期間内の信号固定期間でも動作し、各信号固定期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする請求項7記載の画素回路。
【請求項9】
前記信号固定期間は、各走査線に順次割り当てられる各水平走査期間を互いに区切る水平ブランキング期間であり、
前記補正手段は、各水平ブランキング期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする請求項8記載の画素回路。
【請求項10】
前記補正手段が各信号固定期間で該画素容量を充電したら、該信号線が一定電位から映像信号の電位に切り替わる前に該サンプリングトランジスタを閉じて該画素容量を該信号線から電気的に切り離すことを特徴とする請求項8記載の画素回路。
【請求項11】
前記ドライブトランジスタは、その出力電流がチャネル領域の閾電圧に加えキャリア移動度に対しても依存性を有し、
前記補正手段は、該出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、該水平走査期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該画素容量に負帰還して該入力電圧を補正することを特徴とする請求項1記載の画素回路。
【請求項12】
制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、
前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、
前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、
前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、
出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えており、
前記補正手段は、第1のスイッチングトランジスタと第2のスイッチングトランジスタとを含み、
前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線よりも前に位置する他の走査線に割り当てられた前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が閾電圧を超えるように設定し、
前記第2のスイッチングトランジスタは、該水平走査期間に導通して、該画素容量の両端の電位差が該閾電圧になるまで該画素容量を充電することを特徴とする画素回路。
【請求項13】
前記第1のスイッチングトランジスタは、該走査線の直前に位置する他の走査線に割り当てられた直前の水平走査期間に該他の走査線から供給される制御信号に応じて導通し、以って該画素容量の両端の電位差が該閾電圧を超えるように設定することを特徴とする請求項12記載の画素回路。
【請求項14】
制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、
前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた水平走査期間に該走査線から供給される制御信号に応じ導通して該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、
前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域の閾電圧に対して依存性を有し、
前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、
出力電流の該閾電圧に対する依存性を打ち消すために、あらかじめ該映像信号のサンプリングに先立って、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して該画素容量に書き込んでおく補正手段を備えており、
前記補正手段は、複数の走査線に割り当てられた複数の水平走査期間内で動作し、時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする画素回路。
【請求項15】
前記サンプリングトランジスタは、該走査線に割り当てられた該水平走査期間内で該信号線が映像信号の電位になる信号供給期間に、該信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングする一方、
前記補正手段は、複数の走査線に割り当てられた各水平走査期間内で該信号線が一定電位になる各信号固定期間に、該ドライブトランジスタの閾電圧を検出して時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする請求項14記載の画素回路。
【請求項16】
前記信号固定期間は、各走査線に順次割り当てられる各水平走査期間を互いに区切る水平ブランキング期間であり、
前記補正手段は、各水平ブランキング期間で時分割的に該画素容量を該閾電圧まで充電することを特徴とする請求項15記載の画素回路。
【請求項17】
前記補正手段が各信号固定期間で該画素容量を充電したら、該信号線が一定電位から映像信号の電位に切り替わる前に該サンプリングトランジスタを閉じて該画素容量を該信号線から電気的に切り離すことを特徴とする請求項15記載の画素回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−163275(P2009−163275A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106685(P2009−106685)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【分割の表示】特願2005−328334(P2005−328334)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】