説明

界面抵抗を減少させたハイブリッド膜・電極接合体及びその作製方法

本発明は、拡散層及び触媒物質を含む活性層を含む燃料極と拡散層及び触媒物質を含む活性層を含む空気極とから構成される電極;及び燃料極と空気極との間に介在し、片面または両面が触媒物質を含む活性層でコートされた電解質膜と;を含み、前記電極と電解質膜とが加温圧着された膜・電極接合体であって、電極拡散層への活性層のコーティング時における活性層の粘度が、100乃至10,000cPsであることを特徴とする膜・電極接合体のこの作製方法を提供する。
本発明による膜・電極接合体は、膜と電極との界面抵抗が減少し、触媒利用率が高く、且つ優れた出力密度を有し、大量生産が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の核心である膜・電極接合体(MEA)及びその作製方法に関し、より詳しくは、大量生産に適合し膜と電極との界面抵抗を軽減することができる膜・電極接合体及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年に入って、燃料電池は、新規の電気発電装置として多くの関心を浴びてきている。近い未来に燃料電池が自動車用電池や発電用電源、そして携帯用電源として現在の発電機を代替するに違いない。
【0003】
高分子電解質燃料電池は、電気化学反応により燃料がもっている化学エネルギーを直接に電気エネルギーに変える一種の直流発電装置であって、燃料電池の心臓ともいえる膜・電極接合体(MEA;membrane electrode assembly)と発生した電気を集電し燃料を供給するバイポーラプレートの連続した複合体から構成される。ここで、膜・電極接合体は、燃料(メタノール水溶液または水素)と空気との電気化学触媒反応が起こる電極と水素イオンの伝達が起こる高分子膜との接合体を意味する。
【0004】
一方、全ての電気化学反応は、燃料極(anode)で起こる酸化反応と空気極(cathode)で起こる還元反応といった二つの個別な反応からなり、燃料極と空気極は電解質膜を介して分離されている。このうちで、直接メタノール燃料電池では、燃料極に水素の代わりにメタノールと水が供給され、メタノールの酸化過程で生成した水素イオンが高分子電解質中を空気極に向かって移動し、これが空気極に供給された酸素と還元反応を起こして電気を作り出すようになる。この時に起こる反応は、次の通りである。
燃料極:CHOH+HO→CO+6H+6e
空気極:3/2O+5H+6e→3H
全体反応:CHOH+3/2O→CO+3H
【0005】
直接メタノール燃料電池の電極は、典型的な拡散電極(diffusion electrode)である。電極は、大別して2つの層、即ち、電極拡散層(電極支持層)と活性層(active layer)からなる。電極拡散層は、支持及び燃料の拡散の役割を担う層であって、カーボンペーパー(carbon paper)やカーボンクロス(carbon cloth)からなる。活性層は、高分子電解質膜に接して実質的な電気化学反応が起こる層であって、触媒である白金粒子が炭素粒子に分散されてなるか、または白金または合金ブラックからなる。電気化学反応は、電解質膜と電極活性層の白金触媒粒子の界面と拡散層を通って拡散してきた燃料とが交わる三相界面で起こるようになる。従って、電気化学反応に供され得る三相界面の面積を大きくし、白金触媒を最大限に三相反応界面(3 phase reaction zone)に位置させることが性能の向上に重要な要素である。しかし、液体電解質とは異なって固体高分子電解質膜が電極に浸し込み得る深さは、10μm以下に制限されているため、拡張できる三相反応界面の面積は限られており、三相反応界面に露出された白金触媒だけが燃料電池の電気化学反応に参与できる。従って、燃料電池の電力密度を向上するためには、三相界面の面積を最大にし、白金を最大限に電解質に接触している電極活性層に位置させる電極構造が必要である。
【0006】
直接メタノール燃料電池の初期の開発段階における電極は、拡散層として使用するカーボンペーパーやカーボンクロス上にスプレーなどでPt−blackを吹き付けて活性層を形成し、加温圧着方式を用いて電解質膜と接着して使用した。しかし、前記方法では活性層と電解質膜との界面抵抗が大きいことからその構造が効率的ではなく、触媒粒子が拡散層のポアに食い込んで反応に参与できない触媒が相当に多く、高価の貴金属触媒を無駄遣いにするという短所をかかえていた。
【0007】
上述した問題点を解決するために、デカール工程(US 6,391,486)とスパッタ蒸着(US 6,171,721)のように電解質膜に触媒層を直接形成する方法が提案された。
【0008】
しかし、デカール工程では、活性層を別に形成した後、活性層を電解質膜と接合しており、接合の際に電解質膜のガラス転移温度以上の高温が必要であるため別の前処理が必要となり、工程が複雑になる。また、別に形成した活性層の転写が効率よく行われないという短所をかかえている。
【0009】
スパッタ蒸着では、触媒の効率を向上することはできるものの、Pt触媒の結晶の特性のため、1マイクロ以上の厚さでは薄膜を形成し、陽イオンの透過を妨害するようになる。従って、極少量の触媒を使用するしかなく、結果として低い出力密度を有する。また、スパッタ蒸着は、一定レベル以上の出力密度が得られないという短所があり、半導体工程の特性上、高真空領域で作製されることから生産コストが高く、且つ長い生産時間がかかり、大量生産には適していない。
【0010】
上述したコーティング方法は、それなりの長所をもっているが、固状の高分子膜とナノサイズの触媒粒子との安定した界面の形成が難しいという決定的な弱点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような不安定な界面形成の問題を解決し、触媒利用率が高められる画期的な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、既存方法の短所を補完したMEAを作製するための目的で界面抵抗を形成する電解質膜と拡散層とにそれぞれ触媒物質を含む活性層を分けてコートするハイブリッドコーティング法を採択し実施した結果、いずれか一方に活性層をコートすることに比べて界面抵抗を軽減することができたし、この時、電極拡散層の活性層の形成時に粘度を調節することにより、触媒利用率が高められるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
また、前記のように分離コーティングによる電極拡散層上への活性層のコーティングをスクリーンプリント、ダイコーティングやブレード(blade)コーティングのようなカーテン(curtain)コーティング方法で行うことにより大量生産が容易であった。
【発明の効果】
【0014】
本発明に関する膜・電極接合体は、膜と電極との界面抵抗が軽減し、触媒利用率が高く、且つ優れた出力密度を有し、大量生産が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、拡散層(gas diffusion layer;GDL)及び触媒物質を含む活性層を含む燃料極と拡散層及び触媒物質を含む活性層を含む空気極とから構成される電極;及び燃料極と空気極との間に介在し、片面または両面が触媒物質を含む活性層でコートされた電解質膜と;を含み、前記電極と電解質膜とが加温圧着された膜・電極接合体であって、電極拡散層への活性層のコーティング時における活性層の粘度が100乃至10,000cPsであることを特徴とする膜・電極接合体を提供する(図1参照)。
【0016】
また、本発明は、触媒物質を含む活性層を電解質膜の表面に形成する第1のステップと;触媒物質を含む活性層を電極拡散層の表面に形成する第2のステップ;及び前記電解質膜と電極拡散層とを加温圧着する第3のステップと;を含み、第2のステップにおいて電極拡散層に適用される活性層の粘度を100乃至10,000cPsに調節することを特徴とする膜・電極接合体の作製方法を提供する。この時、第1のステップ及び第2のステップは、順次にまたは逆順に行うことができ、また同時に行うこともできる。
【0017】
本発明は、界面抵抗を軽減し、また触媒利用率を向上し、生産速度を向上するために、膜・電極接合体の作製時に触媒活性層を電解質膜と電極拡散層とに分けてコートし、電極拡散層の活性層の形成時における粘度を調節することを特徴とする。
【0018】
(1)界面抵抗の軽減の側面
燃料電池における反応は、触媒活性層と電解質膜との境界面で主に起こる。即ち、触媒から発生した陽イオンが電解質膜を通って反対側の触媒で電気化学反応を起こす。従って、電解質膜と触媒活性層との接合状態(三相界面の形成)が非常に重要である。
【0019】
図2からも、電解質膜に直接触媒活性層を形成した方が、よい電解質膜と触媒活性層との接合状態を示すことが分かる。拡散層への触媒のコーティングでは、加温圧着を行っても電解質膜(nafion)が触媒活性層の空隙に浸透する深さに限界があり、触媒で生成された陽イオンの電解質膜への移動に抵抗が生じる。
【0020】
これは、インピーダンスの測定で界面抵抗を確認することができる。例えば、Zahner社製のIM6装備で2電極インピーダンス方法を用いて単セルでのMEAの伝導度を測定すれば、即ち、基準電極には400sccmの水素気体を、作業電極には空気2000sccmを流し込みながら交流振幅5mVで1M〜1kHz区間でのインピーダンスを測定すれば、電解質膜に触媒層を形成した場合(direct coating)における界面抵抗は25〜30mΩ×6.25であり、拡散層に触媒層を形成した場合(indirect coating)における界面抵抗は35〜40mΩ×6.25であった。
【0021】
従って、本発明は、膜・電極接合体において触媒活性層を電解質膜と電極支持層ともにコートすることにより、界面抵抗を軽減しようとする。
【0022】
(2)触媒利用率の向上の側面
触媒利用率の向上のための第一の接近法は、MEA自体における触媒の電気化学的な利用効率を向上することであり、第二の接近法は、MEAの作製時にコートする触媒の量を工程上増すことである。
【0023】
(a)燃料電池の電気化学反応は、触媒(例えば、Pt、Pt−Ru)、燃料(例えば、メタノール溶液)、イオン伝導物質(例えば、nafion ionomer)が同時に存在する三相界面(3−phase−reaction zone)で起こる。三相界面に存在しない触媒は、反応に参与することができず触媒の利用効率を落とすようになる。
【0024】
拡散層(GDL)に触媒層を形成する時に淡い触媒インクを使用すれば、拡散層(GDL、図3、図11参照)のポアに触媒粒子(略1μmの大きさ以下)が食い込み、反応に使われる触媒が少なくなるはずである。触媒効率、即ち、MEAの電気化学反応での効率を高めるためには、拡散層(GDL)のポアへの触媒粒子の食い込みが少なくなる必要がある(図4参照)。
【0025】
このために、本発明では、主な反応が起こる電解質膜であるイオン伝導膜(Nafion Membrane)に触媒活性層をエアースプレー方式でコートし、拡散層(GDL)に高粘度の触媒インクを、例えば、スクリーンプリントやダイコーティングなどの方式でコートすることにより拡散層へと触媒が流失することなく触媒活性層を形成することを特徴とする。
【0026】
(b)また、電解質膜に触媒層をコートする際に使用するエアースプレー法は、工程特性上、吹き付けられた触媒粒子の付着率が30wt%程度と非常に低いため(残りの70%は損失となる)、触媒利用率が低くなる。従って、本発明は、電極の界面抵抗を軽減するために少量の触媒層を電解質膜にコートし、殆どの触媒活性層は拡散層にコート(ロータリープリント方式の場合、付着率90%以上)することにより、触媒の利用率を高めることを特徴とする。
【0027】
(3)生産速度の向上の側面
本発明は、殆どの触媒活性層の拡散層へのコーティングの際に、スクリーンプリント法、ダイコーティングやブレードコーティングのようなカーテンコーティング法(curtain coating)を用いることにより大量生産が容易である。
【0028】
下記では、本発明を具体的に説明する。
1.活性層用触媒インクの用意
燃料電池の陰極(燃料極)及び陽極(空気極)ともに活性層に電気−化学反応用触媒物質を含む。
【0029】
使用可能な触媒物質は、白金ブラック(Pt black)、白金−ルテニウムブラック(Pt−Ru black)、または白金担持カーボン触媒(Platinized carbon、Pt/C)、白金−ルテニウム担持カーボン触媒、白金−モリブデンブラック(Pt−Mo)、白金−モリブデン(Pt−Mo)担持カーボン触媒、白金−ロジウム(Pt−Rh)ブラック、白金−ロジウム担持カーボン触媒、その他、白金を基本物質とした合金触媒を含む。
【0030】
燃料極用触媒としては、Pt−RuまたはPt−Ru/Cを、空気極用触媒はPtまたはPt/Cを使用することが好ましい。燃料極での反応によりCOが発生するが、COは、触媒を被毒させ、触媒の活性を低下させる。これを防止するために、Ruを助触媒として使用することが好ましい。
【0031】
触媒粒子は、炭素粒子に分散されているか、または白金または合金ブラックから構成されればよい。
【0032】
使用可能な触媒担持体の種類としては、Vucan XC−72R、Vulcan XC−72、アセチレンブラック、Kejon black、black Pearlなどを含む一般のカーボンブラック系の担持体をいずれも含み、白金酸化物、ルテニウム酸化物などを含む伝導性複合酸化物を含む。
【0033】
電解質膜にコートする活性層材料は、燃料極に臨む表面の場合は燃料極の活性層の材料と同一であり、空気極に臨む表面の場合は空気極の活性層の材料と同一であることが好ましい。
【0034】
しかし、拡散層、電解質膜のそれぞれにコートする触媒インクの組成と付着方法は異なる。即ち、触媒インクを電解質膜にコートする時はエアースプレー方式を使用することが好ましいため、粘度の淡い状態(10cPs以下)である必要があり、拡散層(GDL)にコートする時は濃い粘度(100乃至10,000cPs、好ましくは、1,000乃至10,000cPs)の触媒インクを使用することが好ましいため、コーティング方法としてスクリーンプリント、ブレードコーティング、ダイコーティング方法を使用することが好ましい。
【0035】
燃料極活性層用の溶媒/分散媒と空気極活性層用の溶媒/分散媒は、同一であることが好ましい。使用可能な溶媒/分散媒の非制限的な例としては、水、ブタノール、IPA(iso propanol)、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、ノルマルブチルアセテート、エチレングリコールなどがある。
【0036】
触媒インク中の溶媒/分散媒の割合は、使用した触媒重量に対し1〜30倍(重量)が好ましい。この時、溶媒の量によって触媒インクの粘性が変わり、粘性によってコーティング方法を決めることができる。
【0037】
触媒の利用効率を高めるためには、凝集することなくよく分散された触媒インクを調製することが重要である。本発明では、かかる目的のためIPA(iso propanol)、ナフィオン溶液、水を適量ずつ混合してよく分散された混合溶媒を調製した後、触媒と混ぜてよく分散されるように攪拌してから、超音波粉砕過程(5分程度)により触媒と均一に混合することが好ましい。触媒インクの調製方法は、図5を参照すればよい。
【0038】
燃料極の活性層用触媒インクの組成は、非制限的な例として、Pt−RuまたはPt−Ru/Cとナフィオンイオン伝導物質(Nafion ionomer)(触媒に対し30wt%)と溶媒(触媒に対し1〜30倍)であり、空気極の活性層用触媒インクの組成は、非制限的な例として、PtまたはPt/Cとナフィオンイオン伝導物質(触媒に対し30wt%)と溶媒(触媒に対し1〜30倍)である。
【0039】
2.触媒インクの電解質膜へのコーティング(第1のステップ)
電解質膜は、水素イオン(H)の伝導体の役割を果たす。
【0040】
本発明で使用可能な電解質膜の非制限的な例としては、ナフィオンTM膜(DuPont社製、perfluoro sulfonic acid)、フレミオン(Flemion、旭硝子社製)、アシププレックス(旭化成社製)、Gore−select(gore社製)があり、この他、陽イオン電解質膜であればいずれも使用可能である。
【0041】
電解質膜は、複合電解質膜または親水性で表面処理された膜を使用することができる。
【0042】
触媒インクで電解質膜をコートする場合、触媒インクをガス加圧式方法で供給し、完全に乾燥された電解質膜に前記触媒インクをスプレー方式でコートすることが好ましい。この時、電解質膜にコートされる活性層の粘度は、1乃至10cPsであることが好ましい。
【0043】
前記第1のステップにおいて触媒インクで電解質膜の表面をコートする方法として吹き付け方法を使用することが好ましい。吹き付け方法は、高分子電解質膜の表面に薄膜の触媒層を直接的な方法で形成することにより界面の連続性が確保でき、触媒の利用率を向上することができるという長所をもっているためである。また、電解質膜に触媒活性層をスクリーン法でコートすれば、電解質膜の変形をもたらすためである(図13参照)。
【0044】
この時、膜・電極接合体の作製の間に電解質膜が触媒インクの溶媒により膨潤することを抑えるために乾燥された状態を保持させることが重要である。従って、吹き付けする間に熱乾燥機などにで触媒インク溶媒を蒸発し続け、電解質膜が乾燥された状態を保持することが好ましい。このために、エアースプレー方式を導入することが好ましい。
吹き付け方法の一例としてスプレーガンがある。
【0045】
吹き付け(スプレーガン使用)時に使用可能なキャリアガスとしては、窒素または空気などの不活性気体を使用することができる。吹き付け(スプレーガン使用)時におけるキャリアガスの圧力は、0.01乃至2気圧であればよい。
【0046】
電解質膜に活性層を形成する時における作動温度は、20乃至100℃であることが好ましい。120℃以上では、ナフィオンのTgである140℃に近接するためナフィオン膜が分解(degradation)するという不具合が発生するためである。また、使用する電解質膜のTgによって作動温度は変わり得る。
【0047】
また、触媒インクを電解質膜にコートする方法は、スプレー方法の他に、微量の触媒を膜にコートする方法として、RFマグネトロンスパッタ(magnetron sputter)または熱蒸発機(thermal evaporator)を用いた物理的蒸着方法(physical vapor deposition)を含む。特に、スパッタリング時における触媒の結晶の成長を抑えるためにカーボンや伝導性物質との同時スパッタリング(co−sputtering)を採択することができる。
【0048】
電解質膜は、マスクを使用して活性層をコートすることが好ましい。即ち、パターンを形成することが好ましい。なぜならば、電解質膜は、電解質の移動通路のみならず、反応物質(メタノールまたは水素、酸素)の流れを抑える役割も果たす必要があることから反応に必要な面積より大きくなければならないためである(図6参照)。
【0049】
電解質膜に形成する活性層は、拡散層側の活性層に対し1〜100重量%であることが好ましい。電解質膜に1μm以下の活性層を形成し、拡散層に殆どの活性層を形成することが好ましい。なぜならば、大量生産の際、スクリーンプリントのようなコーティング方法がスプレー方式より有利であるので、殆どの触媒を拡散層にコートすることが有利であるためである。
【0050】
3.触媒インクの拡散層へのコーティング(第2のステップ)
拡散層に使用する触媒インクは、前記電解質膜に使用する触媒インクと同一の材料で調製するが、溶媒の割合を変えることが好ましい。詳述すれば、拡散層の触媒インクは粘度が濃く、電解質膜にコートする触媒インクは粘度が淡いものが好ましい。
【0051】
拡散層としては、カーボンペーパー、カーボンクロス(作製元:SGL、Torayなど)を使用することができる。
【0052】
メタノールを燃料として使用する場合、燃料極に使用する拡散層は、メタノールの効率的な供給のためにテフロンで撥水処理していないカーボンペーパーとカーボンクロスを使用することが好ましい。この時、空気極の拡散層には、反応後に発生する水を除去するためにテフロンで(5〜20wt%)撥水処理したカーボンペーパーを使用することが好ましい。
【0053】
電極拡散層側の活性層の形成時における触媒インクの粘度範囲は、100乃至10,000cPsが好ましく、1,000乃至10,000cPsがより好ましい。
【0054】
電極拡散層に活性層を形成する過程の中で触媒インクの粘度を調節することが最も重要である。電極拡散層への活性層の形成時、粘度の調節により膜・電極接合体の電流−電圧曲線、出力密度が変わるためである。即ち、低粘度の場合、触媒粒子が多孔性の拡散層のポアに食い込むため、反応に参与できない触媒が相当に多くて触媒の性能が十分に発揮できなく、よって多量の触媒を使用しなければならないという短所を有し、特に燃料極拡散層側では、燃料であるメタノール溶液の拡散に対し深刻な抵抗の役割をする。従って、高粘度の触媒インクが必要とされる。
【0055】
拡散層に活性層用触媒インクをコートする方法として、カーテンコーティング方式(例えば、スクリーンプリント、ブレードコーティング、ダイコーティング)やスプレー方式などがある。
【0056】
拡散層のポアに触媒粒子(1μm以下)が食い込むことで触媒利用率が落ちることを抑えるために、可能な限り高粘度の触媒インクを使用し、触媒粒子がポアへと食い込むことを抑える必要がある。従って、エアースプレーのような吹き付け方式よりは、カーテンコーティング方式が有利であり、このような方式は、大量生産時に有利である。
【0057】
電極拡散層への触媒層の形成時において三相界面を形成しながら触媒インクの粘度調節を容易にするために、電解質パウダーで触媒をコートして使用することが好ましい。それから、電解質(Nafion)がコートされた触媒パウダーを溶媒または分散媒と混合することが好ましい。この時に使用される溶媒または分散媒は、水及びアルコール(Butanol、IPA(iso propanol)、NPA(normal propanol)などがある。触媒インクに三相界面を形成するためにナフィオン溶液を入れると粘度が低くなり、スクリーンプリントするには適切ではない。従って、触媒の粘度を調節するためにPt、Pt−Ruブラック触媒をナフィオン溶液に添加した後、乾燥オーブンに入れナフィオン溶液上の溶媒を乾燥させて、ナフィオン電解質だけを触媒層に被せる前処理過程を施すことが好ましい。上述したような触媒前処理過程により触媒の粘度を触媒と溶媒との混合割合により容易に決定することができる。
【0058】
上述のようにして調製した触媒インクを電極拡散層へとスクリーンプリンターを用いてコートする工程が図7に示されている。
【0059】
大量生産するにはスクリーンプリントのようなコーティング方法がスプレー方式より有利であるため、殆どの触媒を拡散層にコートすることが有利である。従って、電解質膜に1μ以下の活性層を形成し、拡散層に殆どの活性層を形成することが好ましい。
【0060】
電極拡散層に活性層を形成するステップにおいて、触媒層をコートし残留した触媒インクの溶媒を乾燥させることが好ましい。電極拡散層に載せられた活性層は、加温ローリング乾燥過程により乾燥させ電極を作製することが好ましい。
【0061】
4.電極と電解質膜との接合
電解質膜にコートされた活性層と電極拡散層にコートされた活性層(触媒層)を加温圧着し固着させ、最終的にMEAを作製する。
【0062】
電極と電解質膜の加温圧着過程時における温度は、50〜200℃が好ましく、圧力は、単位面積当たりに5〜100kg/cmが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下の実施例に基づき、本発明をより詳しく説明する。なお、実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0064】
[実施例1]
<第1のステップ:電解質膜へのコーティング>
電解質膜における燃料極に臨む側の触媒としては、Pt−Ruブラックを使用し、空気極に臨む側の触媒としてはPtブラックを使用した。ナフィオン溶液、IPA、水を適量混合し、よく分散された混合溶媒を調製した後、前記触媒と混ぜて触媒:ナフィオン乾燥重量:分散媒=1:0.3:50になるようにし、よく分散されるように攪拌してから超音波粉砕過程(5分)にかけて均一に混合して触媒インクを用意した。この時、触媒インクの粘度は1cPsである。
【0065】
電解質膜として使用されるデュポン社製のナフィオン膜を過酸化水素及び硫酸で前処理を施した後、ナフィオン膜をマスクとして使用するステンレスグリッドに差し込んで、ステンレスグリッドの後ろ側から熱乾燥機で20分程度加熱して水分を完全に除去した。この時の熱乾燥機の温度は80℃であった。次いで、上述したように調製した触媒インク(燃料極に臨む側はPt−Ruブラック、空気極に臨む側はPtブラック)をスプレーガンで0.1cc〜20cc/cm程度にグリッドの前面から吹き付けて1μm以下の活性層を形成した。この時、キャリアガスの圧力は0.01〜2気圧にし、グリッドの後ろ側から熱乾燥機でナフィオン膜を加熱し、吹き付けられる触媒インクから溶媒を連続して蒸発させた。
【0066】
<第2のステップ:拡散層へのコーティング>
燃料極に使用する拡散層は、メタノールの効率的な供給のためにテフロンで撥水処理していないカーボンペーパーとカーボンクロスを使用し、空気極には、反応後に発生する水を除去するためにテフロンで(5〜20wt%)撥水処理を施したカーボンペーパーを使用した。
【0067】
Ptブラック、Pt−Ruブラック触媒をナフィオン溶液に添加した後、乾燥オーブンに入れナフィオン溶液上の溶媒を乾燥させて、ナフィオン電解質だけを触媒粒子の表面に被せる前処理過程を施した。
【0068】
前記燃料極の触媒としては、前記のように前処理を施したPt−Ruブラックを使用し、空気極の触媒としては、前記のように前処理を施したPtブラックを使用した。IPA、水を適量混合し、よく分散された混合溶媒を調製した後、触媒と混ぜて触媒:ナフィオン乾燥重量:分散媒=1:0.3:3になるようにし、よく分散されるように攪拌してから超音波粉砕過程(5分)にかけて均一に混合して触媒インクを用意した。この時、触媒インクの粘度は1,000cPsである。
【0069】
上述のようにして調製した触媒インクを、拡散層側に図7に示すようなスクリーンプリンターを用いてコートし、これにより触媒含量が4mg/cm程度の電極を作製した。拡散層に載せられた活性層を加温ローリング乾燥過程にかけて乾燥し拡散電極を作製した。
【0070】
<第3のステップ:電極と電解質膜との接合>
このようにして作製した両電極は、活性層を含むナフィオン電解質膜を挟んで140℃で5〜100kg/cmの圧力で3〜10分間高温圧着(hot press)し、最終的にMEAを作製した。この時、ナフィオン電解質膜は、電極よりやや大きくし、電極の大きさは5cm、ナフィオン電解質膜の大きさは16cmになるように作製した。
【0071】
比較例1(Direct Coating)
粘度が1cPsの触媒インクを使用し、エアースプレー方式を用いて電解質膜だけに触媒層(活性層)を直接形成して MEA を作製することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0072】
比較例2(Indirect Coating)
粘度が1cPsの触媒インクを使用し、エアースプレー方式を用いて拡散層だけに触媒層(活性層)をコートした後、電解質膜とは加温圧着方式にて接合して MEA を作製することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0073】
比較例3(粘度100cPs未満の触媒インクで拡散層をコーティング)
電極拡散層への触媒層(活性層)のコーティング時、粘度が75cPsの触媒インクを使用することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0074】
比較例4(粘度10,000cPs超過の触媒インクで拡散層をコーティング)
電極拡散層への触媒層(活性層)のコーティング時、粘度が15,000cPsの触媒インクを使用することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0075】
比較例5(粘度100cPs未満の触媒インクで拡散層をダイコーティング)
電極拡散層への触媒層(活性層)のコーティング時、粘度が75cPsの触媒インクを使用し、コーティング方法としてダイコーティング法を使用することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
図11には、比較例5により作製した電極の正面写真(左側図)と電極の背面写真(右側図)が示されている。
図11から分かるように、100cPs未満の粘度でのコーティング時、電極物質が電極支持体(電極拡散層)を突き出で裏面まで電極物質が含浸していることが分かる。電極物質が電極拡散層へと含浸すると、燃料の物質伝達抵抗が大きくなり、性能において否定的な効果を奏する。
【0076】
比較例6(スプレーコーティング法で電極拡散層上に触媒インクをコーティング)
電極拡散層への触媒層(活性層)のコーティング時、粘度が1cPsの触媒インクを使用し、コーティング方法としてスプレーコーティング法を使用することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。即ち、拡散層及び電解質膜のいずれもスプレーコーティング方式で活性層をコートした。
【0077】
比較例7(スクリーンプリントで電解質膜に触媒インクをコーティング)
電解質膜への触媒層(活性層)のコーティング時、粘度が1,000cPsの触媒インクを使用し、コーティング方法としてスクリーンプリント法を使用することを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
図13に示すように、大量生産工程の1つであるスクリーンプリント技法で電解質膜上に活性層をコートした時は、電解質膜として使用したナフィオン膜が酷く変形した。電解質膜の酷い変形により電極物質が均一にコートされず、所望するMEAを作製することができなかった。
【0078】
実施例2
触媒として各Pt−Ruブラック、Ptブラックの代わりにいずれもPt/C(Pt on Carbon)を使用したことを除いては、実施例1と同様にしてMEAを作製した(図14参照)。
【0079】
実施例3(ナフィオンでコートしていない触媒粒子を使用)
電極拡散層にコートする触媒インクの調製時、ナフィオン溶液で前処理していない触媒粒子をIPA、ナフィオン溶液、水の混合溶媒に混ぜて触媒インクを用意したことを除いては、実施例2と同様にしてMEAを作製した(図14参照)。
【0080】
<実験>
1.界面抵抗の測定(実施例1、比較例2)
Zahner社製のIM6装備にて2電極インピーダンス方法を用いて単セルでのMEAの伝導度を測定した。基準電極には400sccmの水素気体を、作業電極には空気2000sccmを流し、1M〜1kHz区間におけるインピーダンスを測定した。この時の交流振幅は、5mVである。
【0081】
比較例2の膜・電極接合体(indirect coating)が35〜40mohm×6.25の界面抵抗を示したのに対し、実施例1により活性層分離コートして作製した膜・電極接合体(direct coating)は、25〜30mohm×6.25のように低い界面抵抗を示した。
【0082】
2.出力密度の測定(実施例1、比較例1、2)
実施例1、比較例1、2により作製した電解質膜・電極接合体の出力密度を測定した。
この時の単位電池の運転条件は、次の通りである。
燃料極触媒:Pt/Ruブラック
空気極触媒:Ptブラック
作動温度:80℃
触媒使用量:4mg/cm
燃料:2M CHOH
酸素:1000cc/min常圧
図8は、電解質膜・電極接合体の作製方法による出力密度曲線を示す図である。同図に示すように、実施例1によりハイブリッドコーティング方法を用いた場合、出力密度が50%以上上昇することが分かる。
【0083】
即ち、図8から分かるように、同質量の触媒(4mg/cm)を使用しても性能の偏差を示し、間接・直接ハイブリッド方式が、性能上優れていることが分かる。これは、つまり本発明により作製した電解質膜・電極接合体での触媒の利用効率が高いことを意味する。
【0084】
3.電極拡散層上へのスクリーンプリント時における粘度によるコーティング状態及び出力密度の測定(実施例1、比較例3、4)
図9には、粘度がそれぞれ75cPs(比較例3)、1,000cPs(実施例1)、15,000(比較例4)の触媒インクを使用し、スクリーンプリント方式で電極拡散層上に活性層をコートして作製した電極の場合、触媒インクの粘度による活性層のコーティング状態を示す模式図、及びコーティング結果物である電極の写真が示されている。
【0085】
図9から分かるように、100cPs未満(75cPs)の粘度でスクリーンプリントした比較例3は、粘度が低くて電極の拡散層のポアに電極物質が浸透した。従って、触媒損失が起こり、燃料の拡散の邪魔になる。10,000cPs超過(15,000cPs)の粘度でスクリーンプリントした比較例4は、電極インクの流動性が悪く、コーティングが均一ではなかった。
【0086】
一方、実施例1、比較例3、4により作製した電解質膜・電極接合体の出力密度を、次のような単位電池の運転条件下で測定した。
燃料極触媒:Pt/Ruブラック
空気極触媒:Ptブラック
作動温度:80℃
触媒使用量:4mg/cm
燃料:2M CHOH
酸素:1,000cc/min常圧
図10に示すように、比較例3(75cPs)の場合、スクリーンプリント時に触媒粒子が電極拡散層のポアを塞ぎ、高電流領域において燃料の物質伝達抵抗により急激な性能の減少をみせた。一方、比較例4(15,000cPs)の場合、コーティング不良により所望するローディング量より低くコートされ、低電流領域において低い性能を示した。
【0087】
4.コーティング方法による出力密度(実施例1、比較例6)
実施例1、比較例6により作製した電解質膜・電極接合体の出力密度を測定した。
この時の単位電池の運転条件は、次の通りである。
燃料極触媒:Pt/Ruブラック
空気極触媒:Ptブラック
作動温度:80℃
触媒使用量:4mg/cm
燃料:2M CHOH
酸素:1,000cc/min常圧
拡散層として使用するカーボンペーパーやカーボンクロス上にスプレーで活性層を形成し、加温圧着方式を用いて電解質膜と接着して使用した場合(比較例6)、スプレーコーティング法により触媒粒子が拡散層のポアに食い込むことで反応に参与できない触媒が相当に多く、これが、燃料であるメタノール溶液の拡散への酷い抵抗の役割をする。従って、図12に示すように、反応が活発に起こり、反応物の燃料(Methanol、Hydrogen)が活発に供給されなければならない高電流領域において物質伝達が滑らかに行われず、酷い性能低下を示すことが分かる。
【0088】
5.触媒粒子のナフィオンでのコーティング有無による出力密度(実施例2、実施例3)
実施例2、実施例3により作製した電解質膜・電極接合体の水素電池(PEMFC)での出力密度を測定した。
この時の単位電池の運転条件は、次の通りである。
燃料極触媒:Pt/C
空気極触媒:Pt/C
作動温度:70℃
触媒使用量:0.4mg/cm
燃料:H
空気:常圧
図15は、触媒粒子を電解質(ナフィオン)でコートした実施例2と触媒粒子を電解質(ナフィオン)でコートしていない実施例3とを比較した図であって、高電流領域(0.6A/cm以上)において電解質(ナフィオン)がコートされた触媒で作製した電極の方が物質伝達抵抗が低くなり、性能において優れていることを示している。
【0089】
実施例2の場合は、電極拡散層に電解質(ナフィオン)がコートされた触媒をコートし、図14における左側図に示すように、空隙を最大限に保持する電極構造を形成することにより燃料が触媒の活性部まで円滑に供給できるようにする通路を形成し、電極の性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に関するハイブリッド膜・電極接合体の構造を示す概略図である。
【図2】拡散層に触媒層を形成した場合(上段図)と、電解質膜に触媒層を形成した場合(下段図)における、電解質膜と触媒活性層との接合状態を示す比較図である。
【図3】拡散層として使用されるカーボンクロス(左側)及びカーボンペーパー(右側)の顕微鏡写真図である。
【図4】拡散層へのコーティング時における触媒インクの粘度による触媒粒子の反応参加有無を示す図である。
【図5】触媒インクを調製する方法の概略図である。
【図6】マスクを使用して触媒活性層をコートした電解質膜の斜視図である。
【図7】スクリーンプリント方式を用いて電極拡散層上に活性層をコートする方法を示す概略図である。
【図8】比較例1、2及び実施例1により作製した膜・電極接合体の電流−電圧曲線及び出力密度曲線を示す図である。
【図9】粘度がそれぞれ75cPs(比較例3)、1,000cPs(実施例1)、15,000cPs(比較例4)である触媒インクを使用し、スクリーンプリント方式で電極拡散層上に活性層をコートして作製した電極の場合における、触媒インクの粘度による活性層のコーディング状態を示す模式図及びコーティング結果物である電極の写真を示す図である。
【図10】実施例1、比較例3、4により作製した膜・電極接合体の電流−電圧曲線及び出力密度曲線を示す図である。
【図11】比較例5によりダイコーティング(Die coating)方法で75cPsの条件で活性層をコートした電極の前面写真(左側図)と背面写真(右側写真)を示す図である。
【図12】実施例1、比較例6により作製した膜・電極接合体の電流−電圧曲線及び出力密度曲線を示す図である。
【図13】比較例7によりスクリーンプリント技法で活性層をコートした電解質膜の写真図である。
【図14】実施例2、実施例3により作製した電解質膜・電極接合体における電極拡散層上にコートされた触媒層の構造を示す図である。
【図15】実施例2、実施例3により作製した電解質膜・電極接合体の水素電池(PEMFC)における電流−電圧曲線及び出力密度曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 燃料極拡散層
2 燃料極活性層
3 電解質膜活性層
4 電解質膜(高分子膜)
5 電解質膜活性層
6 空気極活性層
7 空気極拡散層
8 電解質がコートされた触媒
9 スクリーンプリンタ
10 自動搬送ヘッド
11 活性層(触媒層)
12 圧縮ローラー
13 電極拡散層(カーボンペーパー、カーボンクロス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散層及び触媒物質を含む活性層を含む燃料極と拡散層及び触媒物質を含む活性層を含む空気極とから構成される電極;及び燃料極と空気極との間に介在し、片面または両面が触媒物質を含む活性層でコートされた電解質膜と;を含み、前記電極と電解質膜とが加温圧着された膜・電極接合体であって、
電極拡散層への活性層のコーティング時における活性層の粘度が、100乃至10,000cPsであることを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項2】
第1項において、前記電極拡散層への活性層のコーティング時における活性層の粘度が、1,000cPs乃至10,000cPsであることを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項3】
第1項において、電極活性層を形成する触媒粒子が電解質でコートされたことを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項4】
第1項において、前記電解質膜における燃料極に臨む表面にコートされた活性層の触媒は、燃料極の活性層の触媒と同一であり、電解質膜における空気極に臨む表面にコートされた活性層の触媒は、空気極の活性層の触媒と同一であることを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項5】
第1項において、前記電極拡散層の活性層は、カーテンコーティング方式により電極拡散層にコートされたことを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項6】
第1項において、電解質膜の活性層は、スプレー方式により電解質膜にコートされ、前記電解質膜にコートされる活性層の粘度は、10cPs以下であることを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項7】
第1項において、電解質膜に形成された活性層は、電極拡散層に形成された活性層に対し1〜100重量%であることを特徴とする膜・電極接合体。
【請求項8】
第1項乃至第7項に記載の膜・電極接合体を作製する方法であって、
触媒物質を含む活性層を電解質膜の表面に形成する第1のステップと;
触媒物質を含む活性層を電極拡散層の表面に形成する第2のステップ;及び
前記電解質膜と電極拡散層とを加温圧着する第3のステップと;を含み、
第2のステップにおいて電極拡散層に適用される活性層の粘度を100乃至10,000cPsに調節することを特徴とする膜・電極接合体の作製方法。
【請求項9】
第8項において、第1のステップは、ガス加圧式方法で供給される触媒インクを乾燥された電解質膜にスプレー方式でコートすることを特徴とする作製方法。
【請求項10】
第9項において、第1のステップは、熱乾燥機により電解質膜が乾燥された状態を保持することを特徴とする作製方法。
【請求項11】
第8項において、第2のステップは、電解質パウダーで触媒をコートし、電解質がコートされた触媒パウダーを溶媒と混合して調製した触媒インクを拡散層にコートして活性層を形成することを特徴とする作製方法。
【請求項12】
第8項において、第1のステップの作動温度は、20乃至100℃であることを特徴とする作製方法。
【請求項13】
第8項において、第3のステップの作動温度は、50乃至200℃であり、圧力は、単位面積当たりに5乃至100kg/cmであることを特徴とする作製方法。
【請求項14】
第8項において、第2のステップは、拡散層の乾燥工程を更に含むことを特徴とする作製方法。
【請求項15】
電解質(イオン伝導性物質)でコートされた触媒粒子を触媒活性層に含むことを特徴とする膜・電極接合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−501496(P2007−501496A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522510(P2006−522510)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001969
【国際公開番号】WO2005/013396
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】