説明

界面活性剤含有物フレークの製造装置および製造方法

【課題】搬送ベルトに供給される冷却水の発泡を防止できる界面活性剤含有物フレークの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の界面活性剤含有物フレークの製造方法は、循環走行する環状の搬送ベルト14の往路部14aの外面に、加熱した界面活性剤含有物Sを供給し、搬送ベルト14の往路部14aの内面に冷却水を供給して界面活性剤含有物Sを冷却させ、冷却した界面活性剤含有物Sを解砕手段50により解砕する方法であって、下記(a)〜(c)の少なくとも1つを行う。(a)少なくとも搬送ベルト14および解砕手段50の周囲を、粉塵量が100CPM以下になるように集塵する。(b)冷却水Wの使用前の温度を、(搬送ベルト14周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水Wの使用後の温度を搬送ベルト14周囲の露点より高くする。(c)冷却水Wに消泡剤を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤含有物フレークを製造するための製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤等を製造するための中間の工程では、界面活性剤と目的に応じた添加剤とを含む界面活性剤含有物のフレークを製造することがある。例えば、特許文献1では、界面活性剤を含み、水分15〜40質量%の水性ペーストを調製し、該水性ペーストを水分0.5〜5質量%に加熱乾燥した後、ベルト式冷却装置により冷却し、冷却した界面活性剤含有物を解砕してフレーク状にする方法が開示されている。
上記方法で使用されるベルト式冷却装置としては、例えば、循環走行する環状の搬送ベルトを備える搬送手段と、搬送ベルトの外面に加熱物を供給する加熱物供給手段と、搬送ベルトの内面に冷却水を供給して、加熱物を冷却させる冷却手段とを具備するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−161002号公報
【特許文献2】特開2005−226932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献2に記載のベルト式冷却装置を用いて、加熱した界面活性剤含有物を冷却した場合には、搬送ベルトに供給される冷却水が発泡することがあった。冷却水が発泡すると、熱伝導性が低下して除熱効果が低下する上に、冷却水を供給するためのポンプが空気を噛み込んで冷却水を搬送ベルトに供給できなくなることがあった。その結果、冷却効率が低下して、界面活性剤含有物フレークの生産性が低くなることがあった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、搬送ベルトに供給される冷却水の発泡を防止できる界面活性剤含有物フレークの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らが、冷却水が発泡する原因について調べた結果、(i)界面活性剤含有物を解砕した際に生じる界面活性剤含有物微粉末が拡散し、冷却水に溶け込むこと、(ii)搬送ベルトを冷却した際に搬送ベルトが結露し、結露した搬送ベルトに界面活性剤含有物を供給した結果、界面活性剤含有物が蛇行し、搬送ベルトからこぼれ落ちて冷却水に溶け込んだり、界面活性剤を含有した結露水が搬送ベルトからこぼれ落ちて冷却水に溶け込んだりすること、が原因であることを見出した。そして、これらの知見に基づき、冷却水の発泡防止について検討した結果、以下の界面活性剤含有物フレークの製造装置および製造方法を発明した。
【0005】
[1] 第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられて循環走行する環状の搬送ベルトを備える搬送手段と、
搬送ベルトの第1のプーリから第2のプーリに向かう往路部の外面に、加熱した界面活性剤含有物を供給する界面活性剤含有物供給手段と、
搬送ベルトの往路部の内面に冷却水を供給して、界面活性剤含有物を冷却させる冷却手段と、
冷却した界面活性剤含有物を解砕する解砕手段とを具備する界面活性剤含有物フレークの製造装置であって、
下記(1)〜(4)の少なくとも1つをさらに具備することを特徴とする界面活性剤含有物フレークの製造装置。
(1)少なくとも搬送ベルトおよび解砕手段の周囲の粉塵を集塵する集塵手段。
(2)冷却水の温度を調節する冷却水温度調節手段。
(3)冷却水に消泡剤を添加する消泡剤添加手段。
(4)少なくとも搬送ベルトの周囲の雰囲気露点を調節する雰囲気露点調節手段。
[2] 第3のプーリおよび第4のプーリに巻き掛けられて循環走行する環状の搬送補助ベルトを備え、該搬送補助ベルトの第3のプーリから第4のプーリに向かう往路部が、搬送ベルトの往路部に平行に隣接し、かつ、同方向に走行する搬送補助手段を具備する[1]に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
[3] 第3のプーリが、搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧している[2]に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
[4] 搬送ベルトの往路部が、第3のプーリに押圧された部分から第2のプーリに向かって上方に傾斜している[3]に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
[5] 下記(1)、(2)及び(4)を具備する[2]に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
(1)搬送ベルトおよび解砕手段の周囲の粉塵を集塵する集塵手段。
(2)冷却水の温度を調節する冷却水温度調節手段。
(4)搬送ベルトの周囲の雰囲気露点を調節する雰囲気露点調節手段。
【0006】
[6] 第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた環状の搬送ベルトを循環走行させながら、搬送ベルトの第1のプーリから第2のプーリに向かう往路部の外面に、加熱した界面活性剤含有物を供給し、
搬送ベルトの往路部の内面に冷却水を供給して、界面活性剤含有物を冷却させ、
冷却した界面活性剤含有物を解砕手段により解砕する界面活性剤含有物フレークの製造方法であって、
下記(a)〜(c)の少なくとも1つを行うことを特徴とする界面活性剤含有物フレークの製造方法。
(a)少なくとも搬送ベルトおよび解砕手段の周囲を、粉塵量が100CPM以下になるように集塵する。
(b)冷却水の使用前の温度を、(搬送ベルト周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水の使用後の温度を搬送ベルト周囲の露点より高くする。
(c)冷却水に消泡剤を添加する。
[7] 下記(a)及び(b)を行う[6]記載の界面活性剤含有物フレークの製造方法。
(a)搬送ベルトおよび解砕手段の周囲を、粉塵量が100CPM以下になるように集塵する。
(b)冷却水の使用前の温度を、(搬送ベルト周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水の使用後の温度を搬送ベルト周囲の露点より高くする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の界面活性剤含有物フレークの製造装置および製造方法は、搬送ベルトに供給される冷却水の発泡を防止できる。したがって、冷却効率の低下を防止でき、界面活性剤含有物フレークの生産性低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(界面活性剤含有物フレークの製造装置)
本発明の界面活性剤含有物フレークの製造装置(以下、製造装置と略す。)の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の製造装置を示す。本実施形態例の製造装置1は、界面活性剤含有物Sを搬送するための搬送ベルト14を備える搬送手段10と、搬送手段10による搬送を補助する搬送補助手段20と、搬送ベルト14に加熱した界面活性剤含有物Sを供給する界面活性剤含有物供給手段30と、界面活性剤含有物Sを冷却させる冷却手段40と、冷却した界面活性剤含有物Sを解砕する解砕手段50と、フード61内を集塵する集塵手段60と、冷却水Wの温度を調節する冷却水温度調節手段70と、冷却水Wに消泡剤を添加する消泡剤添加手段80と、フード61内の雰囲気露点を調節する雰囲気露点(雰囲気絶対湿度)調節手段90とを具備するものである。
【0009】
[搬送手段]
本実施形態例における搬送手段10は、第1のプーリ11と、第1のプーリ11より高い位置に配置された第2のプーリ12と、第2のプーリ12に近接し、第1のプーリ11と同じ高さに配置されたガイドドラム13と、第1のプーリ11、第2のプーリ12およびガイドドラム13に巻き掛けられて循環走行する環状の搬送ベルト14とを備える。
【0010】
第1のプーリ11および第2のプーリ12は、モータ等の駆動手段(図示せず)が取り付けられて回転駆動可能になっている。
第1のプーリ11および第2のプーリ12の直径は特に制限されないが、例えば、100〜3000mmである。
ガイドドラム13は、搬送ベルト14の走行方向を屈曲させるためのものであり、駆動手段は設けられておらず、回転駆動可能にはなっていない。
【0011】
搬送ベルト14は、第1のプーリ11と第2のプーリ12との間を循環走行しており、第1のプーリ11から第2のプーリ12に向かう往路部14aと、第2のプーリ12から第1のプーリ11に向かう復路部14bとに分けられる。
搬送ベルト14の往路部14aの、第1のプーリ11の近傍には、後述する第3のプーリ21が押圧されている。そのため、往路部14aは、第3のプーリ21に押圧された部分から第2のプーリ12に向かって上方に傾斜している。
【0012】
搬送ベルト14の一周の長さは特に制限されないが、例えば、1〜100mである。
搬送ベルト14の幅は特に制限されないが、例えば、50〜3000mmである。
搬送ベルト14の材質としては、ステンレス等の金属などが挙げられる。
【0013】
該搬送手段10は上記構成を有することによって、界面活性剤含有物Sを第1のプーリ11側から第2のプーリ12側に向けて搬送するようになっている。
【0014】
[搬送補助手段]
搬送補助手段20は、第3のプーリ21と、第4のプーリ22と、第3のプーリ21および第4のプーリ22に巻き掛けられて循環走行する環状の搬送補助ベルト23とを備える。
【0015】
第3のプーリ21は、第1のプーリ11に隣接し、かつ、搬送ベルト14の往路部14aの第1のプーリ11近傍を押圧している。
第4のプーリ22は、第2のプーリ12の上側に隣接している。
また、第3のプーリ21および第4のプーリ22は、モータ等の駆動手段(図示せず)が取り付けられて回転駆動可能になっている。
第3のプーリ21および第4のプーリ22の直径は特に制限されないが、例えば、100〜3000mmである。
【0016】
搬送補助ベルト23は、上述のように配置された第3のプーリ21および第4のプーリ22に巻き掛けられて、搬送補助ベルト23の第3のプーリ21から第4のプーリ22に向かう往路部23aが、搬送ベルト14の往路部14aに平行に隣接し、かつ、同方向に走行するようになっている。
搬送補助ベルト23の一周の長さは特に制限されないが、例えば、1〜100mである。
搬送補助ベルト23の幅は、搬送ベルト14の幅と略同等である。
搬送補助ベルト23の材質も、搬送ベルト14と同様に、ステンレス等が使用される。
【0017】
該搬送補助手段20は、搬送補助ベルト23の往路部23aによって、搬送ベルト14の往路部14a上の界面活性剤含有物を挟みながら、搬送補助ベルト23を走行させて、搬送手段10による界面活性剤含有物Sの搬送を補助するようになっている。
【0018】
[界面活性剤含有物供給手段]
本実施形態例における界面活性剤含有物供給手段30は、第1のプーリ11の上方に設置されて、搬送ベルト14の往路部14aの外面の、第3のプーリ21に押圧される部分より上流側に、加熱した界面活性剤含有物Sを供給するものである。
また、界面活性剤含有物供給手段30は、加熱した界面活性剤含有物Sを、搬送ベルト14の幅方向の中央に供給するようになっている。
【0019】
[冷却手段]
本実施形態例の冷却手段40は、冷却水温度調節手段70に供給管41a,41bを介して接続され、搬送ベルト14の往路部14aの下側に設置された搬送ベルト用供給ノズル41と、冷却水温度調節手段70に供給管41a,42aを介して接続され、搬送補助ベルト23の往路部23aにおける第4のプーリ22近傍の上側に設置された搬送補助ベルト用供給ノズル42と、供給管41aに設置された移送用ポンプ43と、搬送ベルト14の往路部14aにおける第1のプーリ11近傍および搬送補助ベルト往路部23a内面における第3のプーリ近傍に設置された冷却水回収ノズル44と、回収された冷却水Wを貯留する貯留タンク45と、冷却水回収ノズル44により回収した使用済み冷却水を、回収管46aを介して貯留タンク45に返送する返送用ポンプ46と、移送管47aを介して貯留タンク45から冷却水温度調節手段70に使用済み冷却水を移送する移送用ポンプ47とを備える。
また、冷却手段40では、供給管41aの移送用ポンプ43の出口側に配置された測定点Pにて、冷却水の使用前温度を測定するようになっており、移送管47aの貯留タンク45の出口側に配置された測定点Pにて、冷却水の使用後温度を測定するようになっている。
【0020】
搬送ベルト用供給ノズル41は、搬送ベルト14の往路部14aの内面の下側に設置され、搬送ベルト14の往路部14aの内面に向けて冷却水Wを噴射するように配置されている。また、搬送ベルト用供給ノズル41の噴出口は、搬送ベルト14の走行方向と平行に複数設置されている。
搬送補助ベルト用供給ノズル42は、搬送補助ベルト23の往路部23aの内面の第4のプーリ22近傍に冷却水Wを供給するように配置されている。
移送用ポンプ43は、冷却水温度調節手段70から搬送ベルト用供給ノズル41および搬送補助ベルト用供給ノズル42に移送するものである。
冷却水回収ノズル44は、搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却し終えた使用済み冷却水を吸引し、回収するものである。
貯留タンク45の上部は開放されており、搬送ベルト14の内面から落下した使用済み冷却水を受けることが可能になっている。
【0021】
該冷却手段40では冷却水Wを、移送用ポンプ43および移送管41a,41b,42aによって、冷却水温度調節手段70から搬送ベルト用供給ノズル41および搬送補助ベルト用供給ノズル42に移送するようになっている。また、冷却水Wを、搬送ベルト用供給ノズル41から搬送ベルト14の往路部14aの内面に供給し、搬送補助ベルト用供給ノズル42から搬送補助ベルト23の往路部23aの内面に供給するようになっている。
これにより、搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却して、搬送ベルト14および搬送補助ベルト23に挟持された界面活性剤含有物Sを冷却させるようになっている。
また、該冷却手段40では、搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却し終えた使用済み冷却水を冷却水回収ノズル44によって回収し、その回収した使用済み冷却水を返送用ポンプ46によって貯留タンク45に返送するようになっている。さらに、移送用ポンプ47により、貯留タンク45中の使用済み冷却水を冷却水温度調節手段70に移送するようになっている。したがって、冷却手段40では、冷却水Wを循環利用できるようになっている。
【0022】
[解砕手段]
解砕手段50は、第2のプーリ12の近傍に設けられたガイド51内に配置され、回転刃52を備える。
解砕手段50は、回転刃52によって、冷却した界面活性剤含有物を細かく解砕して、界面活性剤含有物をフレーク状にするようになっている。
【0023】
[集塵手段]
本実施形態例における集塵手段60におけるフード61は、搬送手段10、搬送補助手段20、界面活性剤含有物供給手段30、冷却手段40および解砕手段50の全てを囲っている。
集塵機62としては、例えば、吸引ファンと、フィルタ、サイクロン、スクラバ等の粉塵分離機とを備えるものや、電気集塵機等が挙げられる。吸引ファンののみを使用して粉塵をフード61の外部へ排出するだけでも十分である。
【0024】
集塵手段60は、集塵機62によってフード61内の粉塵を集塵することで、搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵を集塵するようになっている。
【0025】
[冷却水温度調節手段]
本実施形態例における冷却水温度調節手段70は、搬送ベルト用供給ノズル41および搬送補助ベルト用供給ノズル42および貯留タンク45に接続された冷水タンク71と、冷却水Wを冷却するチラーユニット72とを備える。
この冷却水温度調節手段70では、冷水タンク71内の冷却水Wをチラーユニット72によって冷却するようになっている。
【0026】
[消泡剤添加手段]
本実施形態例における消泡剤添加手段80は、例えば、消泡剤タンク81と消泡剤供給ポンプ82とを有して、貯留タンク45内の冷却水Wに消泡剤を添加できるようになっている。
【0027】
[雰囲気露点(絶対湿度)調節手段]
雰囲気露点を調節するためには雰囲気の絶対湿度(雰囲気の水分含有量)を調節する必要があるが、雰囲気露点調節手段90としては、周知の空調機を用いることができる。この雰囲気露点調節手段90を用いてフード61内の雰囲気露点を調節することによって、搬送ベルト14の周囲の雰囲気露点を調節できるようになっている。
【0028】
[製造装置の動作]
上記製造装置1では、第1〜第4のプーリ11,12,21,22を駆動手段により回転駆動させて搬送手段10の搬送ベルト14および搬送補助手段20の搬送補助ベルト23を循環走行させる。また、界面活性剤含有物供給手段30により、加熱した界面活性剤含有物Sを搬送ベルト14に供給し、解砕手段50側に向けて搬送する。また、冷却手段40によって搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却して、これらに挟持された界面活性剤含有物Sを冷却させる。そして、冷却した界面活性剤含有物を解砕手段50によって解砕して、界面活性剤含有物フレークFを製造する。
これらと同時に、集塵手段60によってフード61内の粉塵、具体的には界面活性剤含有物の微粉末を集塵し、冷却水温度調節手段70によって冷水タンク71内の冷却水Wの温度を調節し、消泡剤添加手段80によって貯留タンク45内の冷却水Wに消泡剤を添加し、雰囲気露点調節手段90によってフード61内の雰囲気露点を調節する。
【0029】
以上説明した製造装置1は、フード61内を集塵する集塵手段60を具備しており、搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵を集塵できるため、界面活性剤含有物Sを解砕した際に発生した界面活性剤含有物微粉末が冷却水Wに溶け込むことを防止できる。
また、製造装置1では、冷却水温度調節手段70によって冷却水Wの温度を調節し、雰囲気露点調節手段90によってフード61内の雰囲気露点を調節するため、搬送ベルト14を冷却手段40によって冷却した場合でも搬送ベルト14の結露を防ぐことができる。
その結果、搬送ベルト14の往路部14a上の界面活性剤含有物の蛇行を防止でき、搬送ベルト14の往路部14aからこぼれ落ちにくくなっている。
さらに、製造装置1では、消泡剤添加手段80によって冷却水Wに消泡剤を添加する。
以上のことから、製造装置1では冷却水Wの発泡を防止できるため、除熱効果の低下を抑制できると共に、移送用ポンプ43での空気の噛み込みによる冷却水Wの供給不良を防止できる。したがって、冷却効率の低下が防止されて、界面活性剤含有物フレークFの生産性の低下が防がれている。
【0030】
なお、本発明の製造装置は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、上述した実施形態例では、集塵手段60がフード61内を集塵機62により集塵したが、搬送ベルト14および解砕手段50の近傍に集塵機62を設置して、搬送ベルト14および解砕手段50の周囲を集塵してもよい。集塵機62とガイド51の間をダクトで連結し、解砕手段50を直接集塵する方法も好ましい。
消泡剤添加手段80についても、移送管42aに設置されていてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態例の製造装置では、集塵手段、冷却水温度調節手段、消泡剤添加手段および雰囲気露点調節手段の全てを具備していたが、本発明の製造装置では、それらのうちの少なくとも1つを具備していればよい。しかし、冷却水の発泡をより防止できる点では、集塵手段、冷却水温度調節手段、消泡剤添加手段および雰囲気露点調節手段の全てを具備することが好ましい。
【0032】
さらに、本発明の製造装置は、搬送補助手段を具備していなくてもよい。しかし、搬送補助手段を具備していれば、界面活性剤含有物の冷却効率が向上して、フレーク化しやすくなる。また、搬送ベルトと搬送補助ベルトとで界面活性剤含有物を挟み込むため、搬送ベルトと搬送補助ベルトとのクリアランスを調整することによって、界面活性剤含有物フレークの厚みを調整できる。このような理由から、製造装置は搬送補助手段を具備することが好ましい。
また、本発明の製造装置では、第3のプーリが搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧してなくてもよい。しかし、第3のプーリが搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧していれば、第1のプーリと第3のプーリとで界面活性剤含有物を挟み込むことができる。そのため、第1のプーリと第3のプーリとのクリアランスを調整することによって、界面活性剤含有物フレークの厚みをより均一に調整できる。また、第3のプーリが搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧する構造となっていると、界面活性剤含有物を搬送ベルトと搬送補助ベルト間に取り込む際のくい込み角が、搬送ベルトの往路中央部近傍に第3のプーリがある場合と比べ大きくなるため、搬送ベルトと搬送補助ベルト間に界面活性剤含有物が取り込まれる際のもたつきが少なくなる効果もある。このような理由から、第3のプーリが搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧することが好ましい。
また、本発明の製造装置では、搬送ベルトの往路部が第3のプーリに押圧された部分から第2のプーリに向かって上方に傾斜してなくてもよい。しかし、搬送ベルトの往路部が第3のプーリに押圧された部分から第2のプーリに向かって上方に傾斜していれば、第4のプーリ付近から冷却水を流すだけで搬送補助ベルトの往路部内面全体を冷却可能である。しかも、装置の水平方向長さを短縮でき、設置面積を低減可能であり、また、解砕手段が取り付け易くなる。このような理由から、搬送ベルトの往路部が第3のプーリに押圧された部分から第2のプーリに向かって上方に傾斜していることが好ましい。
【0033】
(界面活性剤含有物フレークの製造方法)
次に、上述した製造装置1を用いた界面活性剤含有物フレークの製造方法(以下、製造方法と略す。)の一実施形態例について説明する。
本実施形態例に製造方法では、まず、駆動手段により第1のプーリ11および第2のプーリ12を回転駆動させて搬送ベルト14を循環走行させ、また、駆動手段により第3のプーリ21および第4のプーリ22を回転駆動させて搬送補助ベルト23を循環走行させる。その際の走行速度は、界面活性剤含有物の冷却時の厚みと幅、また、冷却前の温度、冷却後の温度、界面活性剤含有物の種類に応じて適宜選択される。例えば、界面活性剤含有物の冷却時の厚みを厚くする場合には界面活性剤含有物内の伝熱により時間を要するため、走行速度を遅くすることが好ましい。
【0034】
次いで、界面活性剤含有物供給手段30によって、搬送ベルト14の往路部14aの外面の、第3のプーリ21に押圧される部分より上流側に、加熱した界面活性剤含有物Sを供給する。この際、加熱した界面活性剤含有物Sの温度は50〜150℃とすることが好ましく、60〜130℃とすることが更に好ましく、70〜120℃とすることが特に好ましい。組成によって差はあるが、加熱した界面活性剤含有物Sの温度を上記範囲とすることで、ハンドリングに適した粘度に調整できる利点がある。そして、界面活性剤含有物Sを、循環走行する搬送ベルト14と搬送補助ベルト23で挟持して、解砕手段50側に向けて搬送する。
【0035】
また、移送用ポンプ43を駆動させて、冷却水Wを、冷却水温度調節手段70の冷水タンク71から搬送ベルト用供給ノズル41および搬送補助ベルト用供給ノズル42に移送する。そして、搬送ベルト用供給ノズル41から搬送ベルト14に噴射させ、搬送補助ベルト用供給ノズル42から搬送補助ベルト23に供給する。
搬送ベルト14に噴射された冷却水Wは搬送ベルト14の内面に沿って流下し、搬送補助ベルト23に供給された冷却水Wは搬送補助ベルト23の内面に沿って流下する。すなわち、冷却水Wの流れは界面活性剤含有物Sの流れに対して向流状態になる。このように冷却水Wによって搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却させて、これらに挟持された界面活性剤含有物Sを冷却させる。
【0036】
搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却し終えた使用済み冷却水は、冷却水回収ノズル44によって吸引し、回収する。また、冷却水回収ノズル44により回収した使用済み冷却水は、返送用ポンプ46によって貯留タンク45に返送し、さらに、移送用ポンプ47によって貯留タンク45から冷却水温度調節手段70の冷水タンク71に移送して、循環利用する。
【0037】
冷却水温度調節手段70では、冷水タンク71中の冷却水をチラーユニット72にて冷却し、冷却した冷却水を冷水タンク71に移送する。このようにして、貯留タンク45から移送された使用済み冷却水を冷却する。
【0038】
そして、上記のように冷却した界面活性剤含有物Sを、解砕手段50の回転刃52に巻き込ませることにより、解砕して、界面活性剤含有物フレークFを製造する。
ここでいう、界面活性剤含有物フレークFとは、面積0.05〜25cm2の不定形板状物である。しかし、中には解砕時に過解砕されて生じた粒子径100〜2000μm程度の粒子も含まれる。
【0039】
本実施形態例の製造方法では、上述のようにして界面活性剤含有物フレークFを製造すると同時に、以下の(a)〜(c)の全てを行う。
(a)集塵手段60の集塵機62によりフード61内の粉塵を集塵して、少なくとも搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵量が100CPM以下、好ましくは80CPM、より好ましくは60CPM以下、特に好ましくは50CPM以下になるように集塵する。
(b)冷却水Wの使用前の温度を(搬送ベルト14周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水Wの使用後の温度を搬送ベルト14周囲の露点より高くする。好ましくは、冷却水Wの使用前の温度を、(搬送ベルト14周囲の露点+3)℃以上にし、より好ましくは、(搬送ベルト14周囲の露点+5)℃以上にする。
(c)消泡剤添加手段80によって、冷却水Wに消泡剤を添加する。
【0040】
(a)において、搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵量が100CPMを超えると、冷却水Wの発泡を防止できないことがある。
粉塵量は、光散乱方式により粉塵量を測定する粉塵計によって求められる。粉塵量の単位「CPM」とは「Count Per Minute」の略であり、1分間あたりの計測された粉塵数のことである。
【0041】
粉塵量を少なくする方法としては、例えば、集塵機62の風量を大きくする方法、界面活性剤含有物フレークFの温度を高くする方法、冷却水の使用前温度を高くする方法、雰囲気の相対湿度を高くする方法、解砕手段50における処理量を少なくする方法、回転刃52の回転数を小さくする方法、解砕手段50周囲の相対湿度を高くする方法、界面活性剤含有物中の水分を高くするなどが挙げられる。
【0042】
(b)において、冷却水Wの使用前の温度を(搬送ベルト14周囲の露点−2)℃以下にすると、搬送ベルト14が結露して、界面活性剤含有物Sや界面活性剤を含有した結露水が搬送ベルト14からこぼれ落ちて、冷却水Wに界面活性剤含有物Sが溶け込み、冷却水Wが発泡することがある。
また、冷却水W使用前の温度を必要以上に下げると、界面活性剤含有物Sが冷却され過ぎて硬くなり、解砕時に微粉末が生成しやすくなる。その結果、界面活性剤含有物微粉末が飛散する量が多くなり、冷却水Wに溶け込みやすくなるため、冷却水Wが発泡しやすくなる。
【0043】
冷却水Wの使用前の温度を前記範囲にするためには、例えば、冷却水温度調節手段70によって、冷却水Wの使用前の温度を(搬送ベルト14周囲の露点−2)℃より高くなるように調節すればよい。また、雰囲気露点調節手段90によって搬送ベルト14周囲の雰囲気露点を低くして、冷却水Wの使用前の温度を前記範囲になるようにしてもよい。
【0044】
冷却水Wの使用後の温度を前記範囲にするためには、例えば、冷却水温度調節手段70によって、冷却水Wの使用前の温度を適宜調節したり、界面活性剤含有物Sの温度または流量を調節したり、搬送ベルト14の走行速度を調節したりすればよい。
【0045】
また、冷却水Wの使用前の温度は0〜40℃であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましい。冷却水Wの使用前の温度が40℃を超えると、界面活性剤含有物Sのフレーク化が困難になる傾向にある。一方、冷却水Wの使用前の温度が0℃未満とすることは、不凍液等を混合することにより実現できるが、使用するエネルギー量に応じた冷却効率が向上しないため、不経済である。
【0046】
(c)において使用される消泡剤は、発泡する可能性のある液に少量添加されて発泡を抑えるものであり、例えば、破泡作用を有するもの、抑泡作用を有するもの、脱気作用を有するものである。
消泡剤の具体例としては、例えば、シリコーン系消泡剤、高酸化油系消泡剤、グリセリン脂肪酸エステル系消泡剤、パラフィンワックス系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、ミネラルオイル系消泡剤等が挙げられる。これらの中でも、消泡効果に優れることから、シリコーン系消泡剤が好ましい。
さらに、シリコーン系消泡剤としては、例えば、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型等が挙げられる。
【0047】
消泡剤の添加量としては、1〜1000ppmであることが好ましく、消泡剤がシリコーン系消泡剤の場合には、10〜500ppmであることがより好ましく、20〜200ppmであることが特に好ましい。消泡剤の添加量が1ppm以上であれば、冷却水Wの発泡をより防止できる。ただし、1000ppmを超えて添加しても、添加量に応じた消泡効果が得られないため、コストの面で不利になる。
【0048】
上記製造方法で用いられる界面活性剤含有物Sは、界面活性剤を必須成分として含有し、添加剤を任意成分として含有するものであって、界面活性剤を2〜98質量%含有する。目的や添加される任意成分によって異なるが、界面活性剤を、好ましくは5〜95質量%、更に好ましくは15〜95質量%含有する。界面活性剤含有量を上記範囲とすることで、界面活性剤含有物をフレーク化する際の成形性を保ち、加熱された界面活性剤含有物のハンドリング性を保つことができる。また、界面活性剤含有物Sは、通常水分を0.1〜60質量%含有する。添加される任意成分によって含有し得る水分は異なるが、好ましくは0.5〜50質量%、更に好ましくは1〜40質量%である。上記水分範囲とすることで、フレーク化する際の発塵性を抑え、成形性を保つことができる。
【0049】
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられるが、中でもアニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができ、一般的に室温で液体であるノニオン界面活性剤や両性界面活性剤は室温で固体となるアニオン界面活性剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0050】
アニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を有し、平均3〜30モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルフェニルエーテル硫酸塩又はアルケニルフェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸塩又はそのメチル、エチルもしくはプロピルエステル(α−SF又はMES)。
(10)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
【0051】
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩、AOS、α−SF、AESのアルカリ金属塩、石鹸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)等が好ましく、特にα−SF又は石鹸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0052】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルがより好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、例えば下記一般式(1)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
CO(OA)nOR ・・・(1)(式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキシドの付加単位を示し、nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは、炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級アルキル基を示す。)(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
(9)脂肪酸アルカノールアミド。
(10)ポリオキシエチレンアルキルアミン。
(11)アルキルグリコシド。
(12)アルキルアミンオキサイド。
【0053】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、融点が40℃以下で親水性ー親油性バランス(HLB)が9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドとプロピレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上の混合物として使用してもよい。
【0054】
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
[RN] …(2)(式中、R及びRは、通常、各々独立して、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。R及びRは、通常、各々独立して、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。Xは、ハロゲン、CHSO、CSO、1/2SO、OH、HSO、CHCO又はCH−C−SOを示す。)
【0055】
上記一般式(2)で表されるジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩としては、具体的に、ジステアリルジメチルアンモニウム塩や、ジ水添牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩、ジ水添牛脂アルキルベンゼンメチルアンモニウム塩、ジステアリルメチルベンジルアンモニウム塩、ジステアリルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジステアリルメチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオレイルジメチルアンモニウム塩、ジココナッツアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。また、Xであるハロゲンの具体例としては、塩素原子や臭素原子等が挙げられる。
【0056】
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
[R10N] …(3)(式中、Rは、通常、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。R、R及びR10は、通常、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。Xは、ハロゲン、CHSO、CSO、1/2SO、OH、HSO、CHCO又はCH−C−SOを示す。)
【0057】
上記一般式(3)で表されるモノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩としては、具体的に、ラウリルトリメチルアンモニウム塩や、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、水添牛脂アルキルトリメチルアンモニウム塩、水添牛脂アルキルベンゼンジメチルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ステアリルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、ステアリルトリヒドロキシエチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。また、Xであるハロゲンの具体例としては、塩素原子や臭素原子等が挙げられる。
【0058】
(3)テトラ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
[R11121314N] …(4)(式中、R11、R12、R13及びR14は、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、通常、各々独立して、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。Xは、ハロゲン、CHSO、CSO、1/2SO、OH、HSO、CHCO又はCH−C−SOを示す。)
【0059】
上記一般式(4)で表されるテトラ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩としては、具体的に、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0060】
(4)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
[R15161718N] …(5)(式中、R15、R16及びR17は、通常、各々独立して、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。R18は、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。Xは、ハロゲン、CHSO、CSO、1/2SO、OH、HSO、CHCO又はCH−C−SOを示す。)
【0061】
上記一般式(5)で表されるトリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩としては、具体的には、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルメチルアンモニウムクロライド、トリオレイルメチルアンモニウムクロライド、トリココナッツアルキルメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。また、これらのカチオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上の混合物として使用してもよい。
【0062】
両性界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ベタイン類
ラウリン酸アミドプロピルベタインや、ステアリン酸アミドエチルベタイン、カルボベタイン、スルホベタイン等。
(2)イミダゾリン誘導体類
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等。
(3)リン酸塩型
レシチン(ホスファチジルコリン等)等。
また、これらの両性界面活性剤は、1種単独で又は2種以上の混合物として使用してもよい。
【0063】
添加剤としては、例えば、ゼオライト、有機ビルダ、無機ビルダ(中性、アルカリ性)、再汚染防止剤、粘度調整剤、柔軟付与剤、還元剤、漂白剤、漂白活性化剤、蛍光増白剤、香料、酵素、色素、表面改質剤、抑泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。これら添加剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
無機ビルダとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩、硫酸ナトリウム等の中性塩、オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩、下記一般式(6)で表される結晶性アルミノ珪酸塩、下記一般式(7)、(8)で表される無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。前記無機ビルダの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウムが好ましい。
(MO)・Al・y(SiO)・W(HO) …(6)(式中、Mは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、X、y及びWは、各成分のモル数を示し、具体的には、Xは0.7〜1.5、yは0.8〜6、Wは任意の正数を示す。)
(MO)・Al・y(SiO)・W(HO) …(7)(式中、Mは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、X、y及びWは、各成分のモル数を示し、具体的には、Xは0.7〜1.2、yは1.6〜2.8、Wは0又は任意の正数を示す。)
(MO)・Al・y(SiO)・Z(P)・W(HO)
…(8)(式中、Mは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、X、y、Z及びWは、各成分のモル数を示し、一般的には、Xは0.2〜1.1、yは0.2〜4.0、Zは0.001〜0.8、Wは0又は任意の正数を示す。)
【0065】
有機ビルダとしては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエテレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸、アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体及び共重合体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の非解離高分子化合物等が挙げられる。
これらの有機ビルダの中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩及びアクリル酸−マレイン酸共重合体が好ましい。
前記ビルダは、通常、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0066】
以上説明した製造方法では、集塵手段60によってフード61内を集塵して、搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵を集塵するため、界面活性剤含有物Sを解砕した際に発生した界面活性剤含有物微粉末が冷却水Wに溶け込むことを防止できる。
また、上記製造方法では、冷却水温度調節手段70によって冷却水Wの温度を調節し、雰囲気露点調節手段90によってフード61内の雰囲気露点を調節するため、搬送ベルト14を冷却手段40によって冷却した場合でも搬送ベルト14の結露を防ぐことができる。その結果、搬送ベルト14の往路部14a上の界面活性剤含有物の蛇行を防止でき、搬送ベルト14の往路部14aからこぼれ落ちにくくなっている。
さらに、上記製造方法では、消泡剤添加手段80によって冷却水Wに消泡剤を添加する。
以上のことから、上記製造方法では冷却水Wの発泡を防止できるため、除熱効果の低下を抑制できると共に、移送用ポンプ43での空気の噛み込みによる冷却水Wの供給不良を防止できる。
【0067】
なお、本発明の製造方法は、上述した実施形態例に限定されない。すなわち、上述した実施形態例の製造方法では、上記(a)〜(c)を全て行ったが、本発明では、(a)〜(c)の少なくとも1つを行えばよい。しかし、冷却水の発泡をより防止できる点では、(a)〜(c)のいずれか2つを行うことが好ましく、(a)〜(c)の3つを行うことがより好ましい。
【実施例】
【0068】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」である。
【0069】
(界面活性剤含有物の調製)
界面活性剤含有物A,Bを下記方法によりそれぞれ調製した。
【0070】
[界面活性剤含有物Aの調製]
温度70℃のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(以下、α−SF−Naと表記する。)含有ペーストを、回転数1,060rpm、羽根先端速度約11m/sで回転している真空薄膜蒸発機エクセバ(伝熱面:0.5m、内径:205mm、伝熱面と羽根先端とのクリアランス:2〜4mm、神鋼パンテック(株)製)に20kg/hで導入し、内壁加熱温度135℃、真空度0.014MPaにて濃縮を行った。得られた濃縮品の温度は110℃であり、水分は2%であった。
ここで、水分は、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、モデル:MKC−210、Method:2、撹拌速度:4)により求めた。サンプル量は約0.05gとした。
【0071】
ここで使用したα−SF−Na含有ペーストは、以下の成分を含有し、下記製造方法によって得られるペーストである。
炭素数16〜18(C16−18)のアルキル鎖を持つα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム:65.6%、水:25.8%、メチルサルフェート:2.7%、硫酸ナトリウム:1.1%、α−スルホ脂肪酸ナトリウムのジ塩体:2.7%、メタノール:1.1%、未反応メチルエステル:1.0%。
【0072】
・α−SF−Na含有ペーストの製造方法
ミリスチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−14)と、パルミチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−16)とを、質量比6:4で混合して、脂肪酸メチルエステル混合物を得た。
液体SO3を窒素ガスで希釈して8体積%SO3含有ガスを調製し、該SO3含有ガスと前記脂肪酸メチルエステル混合物とを、反応モル比(SO3/脂肪酸メチルエステル混合物)=1.2の条件でガス吸収反応させた。該ガス吸収反応は、薄膜式反応装置(単管式、内径:10mm、リアクター長さ:2.5m)により行った。次いで、気液分離後、80℃、60分間の熟成反応を行って、反応率が97%のスルホン酸(α−SF−H)を得た。
次いで、スルホン酸に対してメタノール20%と、スルホン酸に対して過酸化水素純分として2%になるように過酸化水素水(純正化学(株)製、一級試薬、過酸化水素35%含有)とを添加し、均一に混合した後、80℃、180分間の漂白反応を行った。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液により中和反応を行い、界面活性剤濃度が47%の中和物を得た。そして、該中和物をリサイクルフラッシュ濃縮処理して、メタノール(後工程で精留により再利用)と水とを該中和物より蒸発させて、界面活性剤濃度が65.6%の濃縮中和物であるα−SF−Na含有ペーストを得た。
得られたペーストの色調(5%エタノール溶液を40mm光路長、No.42ブルーフィルターを用いてクレット光電光度計により測定)は30であった。
【0073】
[界面活性剤含有物Bの調製]
まず、撹拌機およびジャケットを有する容積700Lの配合容器に撹拌機を回転させながら(配合終了まで撹拌は継続した)、表1に示す量で、水、炭酸ナトリウム、蛍光剤、水酸化カリウムを順次配合し、続いて、配合容器内に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(以下、LAS−Hと表記する。)を添加して中和操作を行った、その後、アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩水溶液、ゼオライトスラリーを配合した後、配合容器のジャケット内にゲージ圧0.2MPaのスチームを通し、配合容器内の温度を55℃まで昇温した。55℃に達した時点でジャケットへのスチーム供給は停止した。
次に、配合容器内に、炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを順次配合し、最後に75℃で融解状態にある石鹸を配合して、界面活性剤含有物B(温度75℃、水分36%)を得た。
ここで、水分は、株式会社ケット科学研究所製、赤外線水分計FD−600を用いて、130℃、30分の条件で測定した。サンプル量は5gとした。
【0074】
【表1】

【0075】
界面活性剤含有物Bの調製に用いた各原料は下記の通りである。
・炭酸ナトリウム:粒灰(ソーダアッシュジャパン(株)製)・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャリティケミカルズ製)・水酸化カリウム:苛性カリ(フレーク)(旭硝子(株)製)・LAS−H:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200) (AV値(LAS−Hを1g中和するのに要する水酸化カリウムのmg数)=181.0)・アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩水溶液:アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)・ゼオライスラリー:A型ゼオライト(純分47.5%)(日本化学工業(株)製)・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製)・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(純分67%、タイター40〜45℃、分子量289)
【0076】
(実施例1)
図1に示す製造装置(日本ベルティング(株)製ダブルベルト式ベルトクーラー、NR3−Lo.クーラー、表2に仕様を示す。)を用い、下記のようにして界面活性剤含有物フレークを製造した。
すなわち、本例に製造方法では、まず、駆動手段により第1のプーリ11および第2のプーリ12を回転駆動させて搬送ベルト14を循環走行させ、また、駆動手段により第3のプーリ21および第4のプーリ22を回転駆動させて搬送補助ベルト23を循環走行させた。
【0077】
【表2】

【0078】
次いで、界面活性剤含有物供給手段30によって、搬送ベルト14の往路部14aの外面の、第3のプーリ21に押圧される部分より上流側に、加熱した界面活性剤含有物A(符号S)を表3の供給量で供給した。そして、界面活性剤含有物Aを、循環走行する搬送ベルト14と搬送補助ベルト23で挟持して、解砕手段50側に向けて搬送した。
また、移送用ポンプ43を駆動させて、冷却水Wを、冷却水温度調節手段70の冷水タンク71から搬送ベルト用供給ノズル41および搬送補助ベルト用供給ノズル42に移送した。そして、搬送ベルト用供給ノズル41から搬送ベルト14に噴射させ、搬送補助ベルト用供給ノズル42から搬送補助ベルト23に供給した。その際の、冷却水Wの供給量は、搬送補助ベルト側を1500kg/h、搬送ベルト側を1800kg/h(合計3300kg/h)とした。
これにより、搬送ベルト14および搬送補助ベルト23を冷却させて、これらに挟持された界面活性剤含有物Aを冷却させた。なお、使用済み冷却水は、冷却水回収ノズル44によって回収し、返送用ポンプ46によって貯留タンク45に返送し、さらに、貯留タンク45から冷却水温度調節手段70の冷水タンク71に移送して、循環利用した。
そして、冷却した界面活性剤含有物Aを、解砕手段50の回転刃52(回転数200rpm)に巻き込ませることにより、解砕して、界面活性剤含有物フレークFを製造した。
【0079】
本実施例の製造方法では、上述のようにして界面活性剤含有物フレークFを製造すると同時に、以下の(a)〜(c)の全てを行った。
(a)集塵手段60の集塵機62によりフード61内の粉塵を集塵して、少なくとも搬送ベルト14および解砕手段50の周囲の粉塵量が120CPM以下になるように集塵した。
ここでいう粉塵量は、製造装置1の設置面から1mの高さで、搬送手段10から0.5m離れた場所4ヶ所(解砕手段50付近、第1のプーリ11近傍、搬送ベルト14の両側面近傍)で測定し、それらを平均した値である。粉塵量の測定は、柴田科学機器工業(株)製LASER DUST MONITOR MODEL LD−1を用い、測定開始から1分間行った。
(b)冷却水Wの使用前の温度を(搬送ベルト14周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水Wの使用後の温度を搬送ベルト14周囲の露点より高くした。
(c)消泡剤添加手段80によって、冷却水Wに消泡剤(信越シリコーンKS−66(信越化学工業(株)製)を添加した。
【0080】
上記製造方法において、界面活性剤含有物の供給流量、界面活性剤含有物の供給温度、搬送ベルト14の走行速度、冷却水Wの使用前の温度、冷却水W中の消泡剤の濃度、フード61内の温度および相対湿度、集塵機風量は、表3に示すように調整した。
なお、フード61内の温度および相対湿度は、株式会社佐藤計量器製作所製、アスマン式乾湿計MODEL SK−RHGを用いて測定した。また、それらの値から露点を算出した。
界面活性剤含有物フレークFの温度は、解砕手段50から排出された界面活性剤含有物フレークFを30cm×40cm×30cmの発泡スチロール製容器に10kg採取し、採取後、直ちにフレーク層中に温度計(熱電対)を挿入して測定した。
冷却水Wの使用前の温度は測定点Pにて測定し、使用後の温度は測定点Pにて測定した。
【0081】
上記の製造を10時間継続した後、貯留タンク45内の冷却水の発泡の状態を以下のように評価し、また、製造装置1の総括伝熱係数(U値)を求めた。それらの結果を表3に示す。
【0082】
(i)冷却水の発泡状態の評価
界面活性剤含有物フレークの製造を開始してから10時間に、貯留タンク45内の発泡状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:発泡はほとんど確認されなかった。
○:若干発泡していたが液面が確認できた。
△:発泡が見られ、液面の確認が困難であった。
×:発泡がかなり見られ、貯留タンクから泡があふれた。
【0083】
(ii)総括伝熱係数の求め方
U=q/(A・△tlm
U:総括伝熱係数[kcal/(m2・h・℃)]
q:伝熱速度[kcal/h]
A:伝熱面積[m2]
△tlm:対数平均温度差[℃]
q=((冷却水使用後温度[℃])−(冷却水使用前温度[℃]))
×(水の比熱[kcal/(kg・℃)])×(冷却水流量[kg/h])
A=(冷却幅[m])×(有効冷却長[m])×2
△tlm=((T1-T2)-(T3-T4))/ln((T1-T2)/(T3-T4))
T1:界面活性剤含有物供給温度[℃]
T2:冷却水使用後温度[℃]
T3:界面活性剤含有物フレーク温度[℃]
T4:冷却水使用前温度[℃]
【0084】
【表3】

【0085】
(実施例2)
製造装置1において消泡剤添加手段80および雰囲気露点調節手段90を省略して、消泡剤の添加および雰囲気露点の調節を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
【0086】
(実施例3)
集塵機の風量を5m/分に変更して粉塵量を90CPMとしたこと以外は実施例2と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
【0087】
(実施例4)
製造装置1において消泡剤添加手段80および集塵手段60を省略して、消泡剤の添加および搬送ベルト14および解砕手段50周囲の集塵を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
【0088】
(実施例5)
雰囲気露点調整手段90によりフード61内の露点を19.5℃に変更したこと以外は実施例4と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
【0089】
(実施例6)
製造装置1において雰囲気露点調節手段90および集塵手段60を省略して、雰囲気露点の調節および搬送ベルト14および解砕手段50周囲の集塵を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
(実施例7)
消泡剤添加量を15ppmに変更したこと以外は実施例6と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表4に示す。
【0092】
(実施例8)
製造装置1において消泡剤添加手段80を省略して、消泡剤の添加を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表4に示す。
【0093】
(実施例9)
製造装置1において集塵手段60を省略して、搬送ベルト14および解砕手段50周囲の集塵を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表4に示す。
【0094】
(実施例10〜14)
界面活性剤含有物の種類、界面活性剤含有物の供給流量、界面活性剤含有物の温度、第1のプーリ11と第3のプーリ21とのクリアランス、搬送ベルト14の走行速度、冷却水Wの使用前温度を表5に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークFを製造した。その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表5に示す。
【0095】
【表5】

【0096】
(比較例1)
製造装置1において集塵手段60、消泡剤添加手段80および雰囲気露点調節手段90を省略して、搬送ベルト14および解砕手段50周囲の集塵、消泡剤の添加および雰囲気温度の調節を行わず、冷却水Wの使用前の温度を5℃にし、かつ、解砕手段50の回転刃52の回転数を500rpmにしたこと以外は実施例1と同様にして界面活性剤含有物フレークを製造した。
その際の、冷却水Wの発泡状態および製造装置1の総括伝熱係数を実施例1と同様にして評価した。その結果を表5に示す。
【0097】
(a)〜(c)の少なくとも1つを行った実施例1〜14では、冷却水Wの発泡を防止でき、冷却能力を充分に有していた。特に、(a)〜(c)のいずれか2つまたは全てを行った実施例1,8〜14では、冷却水Wの発泡をより防止でき、冷却能力がより高かった。
また、実施例2,3より、搬送ベルト14周囲の粉塵量が少ない程、冷却水Wの発泡を防止できることが判明した。
実施例4,5より、冷却水Wの使用前の温度が(搬送ベルト14周囲の露点−2℃)より高くなる程、冷却水Wの発泡を防止できることが判明した。
実施例6,7より、冷却水W中の消泡剤添加量が多くなる程、冷却水Wの発泡を防止できることが判明した。
これら実施例に対し、(a)〜(c)の全てを行わなかった比較例1では、冷却水Wが発泡し、冷却能力が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の界面活性剤含有物フレークの製造装置の一実施形態例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1…製造装置(界面活性剤含有物フレークの製造装置)、10…搬送手段、11…第1のプーリ、12…第2のプーリ、13…ガイドドラム、14…搬送ベルト、14a…往路部、14b…復路部、20…搬送補助手段、21…第3のプーリ、22…第4のプーリ、23…搬送補助ベルト、23a…往路部、30…界面活性剤含有物供給手段、40…冷却手段、41…搬送ベルト用供給ノズル、41a,41b…移送管、42…搬送補助ベルト用供給ノズル、42a…移送管、43…移送用ポンプ、44…冷却水回収ノズル、45…貯留タンク、46…返送用ポンプ、47…移送用ポンプ、47a…移送管、50…解砕手段、51…ガイド、52…回転刃、60…集塵手段、61…フード、62…集塵機、70…冷却水温度調節手段、71…冷水タンク、72…チラーユニット、80…消泡剤添加手段、81…消泡剤タンク、82…消泡剤供給ポンプ、90…雰囲気露点調節手段、F…界面活性剤含有物フレーク、S…界面活性剤含有物、W…冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられて循環走行する環状の搬送ベルトを備える搬送手段と、
搬送ベルトの第1のプーリから第2のプーリに向かう往路部の外面に、加熱した界面活性剤含有物を供給する界面活性剤含有物供給手段と、
搬送ベルトの往路部の内面に冷却水を供給して、界面活性剤含有物を冷却させる冷却手段と、
冷却した界面活性剤含有物を解砕する解砕手段とを具備する界面活性剤含有物フレークの製造装置であって、
下記(1)〜(4)の少なくとも1つをさらに具備することを特徴とする界面活性剤含有物フレークの製造装置。
(1)少なくとも搬送ベルトおよび解砕手段の周囲の粉塵を集塵する集塵手段。
(2)冷却水の温度を調節する冷却水温度調節手段。
(3)冷却水に消泡剤を添加する消泡剤添加手段。
(4)少なくとも搬送ベルトの周囲の雰囲気露点を調節する雰囲気露点調節手段。
【請求項2】
第3のプーリおよび第4のプーリに巻き掛けられて循環走行する環状の搬送補助ベルトを備え、該搬送補助ベルトの第3のプーリから第4のプーリに向かう往路部が、搬送ベルトの往路部に平行に隣接し、かつ、同方向に走行する搬送補助手段を具備する請求項1に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
【請求項3】
第3のプーリが、搬送ベルトの往路部の第1のプーリ近傍を押圧している請求項2に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
【請求項4】
搬送ベルトの往路部が、第3のプーリに押圧された部分から第2のプーリに向かって上方に傾斜している請求項3に記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
【請求項5】
下記(1)、(2)及び(4)を具備することを特徴とする請求項2記載の界面活性剤含有物フレークの製造装置。
(1)搬送ベルトおよび解砕手段の周囲の粉塵を集塵する集塵手段。
(2)冷却水の温度を調節する冷却水温度調節手段。
(4)搬送ベルトの周囲の雰囲気露点を調節する雰囲気露点調節手段。
【請求項6】
第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた環状の搬送ベルトを循環走行させながら、搬送ベルトの第1のプーリから第2のプーリに向かう往路部の外面に、加熱した界面活性剤含有物を供給し、
搬送ベルトの往路部の内面に冷却水を供給して、界面活性剤含有物を冷却させ、
冷却した界面活性剤含有物を解砕手段により解砕する界面活性剤含有物フレークの製造方法であって、
下記(a)〜(c)の少なくとも1つを行うことを特徴とする界面活性剤含有物フレークの製造方法。
(a)少なくとも搬送ベルトおよび解砕手段の周囲を、粉塵量が100CPM以下になるように集塵する。
(b)冷却水の使用前の温度を、(搬送ベルト周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水の使用後の温度を搬送ベルト周囲の露点より高くする。
(c)冷却水に消泡剤を添加する。
【請求項7】
下記(a)及び(b)を行うことを特徴とする請求項6記載の界面活性剤含有物フレークの製造方法。
(a)搬送ベルトおよび解砕手段の周囲を、粉塵量が100CPM以下になるように集塵する。
(b)冷却水の使用前の温度を、(搬送ベルト周囲の露点−2)℃より高くし、かつ、冷却水の使用後の温度を搬送ベルト周囲の露点より高くする。

【図1】
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【公開番号】特開2008−169383(P2008−169383A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320817(P2007−320817)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】