説明

畦形成機

【課題】オフセット機構部のユニバーサルジョイントの折れ角度を大きくせずに十分なオフセット量が確保できて作業バランスが良好な畦形成機を提供する。
【解決手段】作業部30の水平回動軸22と直交して前方側に突設させた中間入力軸を有した駆動ケースを支持フレーム21側方に固着して設け、装着部11の左右中央部に位置する入力軸15と駆動ケースの中間入力軸間をユニバーサルジョイント71で連結し、平面視において支持フレーム21の装着部11側の水平回動軸22は、入力軸15中心より左右方向に偏位しているとともに、ユニバーサルジョイント71の入力軸15側の屈折ヨーク711位置より後方側に偏位した位置に配置されている畦形成機による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されトラクタの側方に作業部をオフセットさせ作業を行い、旧畦を修復して新たな畦を形成する畦形成機に関する。詳細には、畦形成作業部のオフセット構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、盛土部と円錐状のディスクからなる畦形成部とを備え、盛土部で旧畦上に土を盛り上げ、次いで、畦形成部を回転させて盛土を上から締め固めて、旧畦上に新たな畦を形成する作業部をトラクタの側方にオフセットさせ作業を行う畦形成機が知られている。
例えば特許第4170858号公報(従来技術1)や特開2001−346405号公報(従来技術2)に記載の畦形成機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4170858号公報(従来技術1)
【特許文献2】特開2001−346405号公報(従来技術2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業部をトラクタの側方にオフセットさせ、トラクタを成形する畦の側方を走行させ作業を行う畦形成機は、それぞれのトラクタの幅に合わせてオフセット量を調整して作業を行う必要がある。また、圃場隅部の残部を処理するために作業部を反転させて後進作業を行う場合、作業部をトラクタの側方の一方側から他方側に左右移動しなければならない。このため従来の作業機では、トラクタに装着する装着部と、この装着部に対し左右に回動して回動端側に作業部を支持する支持フレームと、装着部側の入力軸からの動力を作業部側の中間入力軸に伝達する動力伝達軸体であるユニバーサルジョイントとを具備した構成の従来技術1や従来技術2のような畦形成機が知られている。
【0005】
しかしながら、前記動力伝達軸体であるユニバーサルジョイントの動力を伝達できる折れ角度の制限があり、オフセット量をこの範囲内において行わなければならず、支持フレームの長さを大きく取って折れ角度を緩和することも可能であるが、この場合作業部の重心位置が後方に移動して作業バランスが悪くなる問題が生ずる。
【0006】
このため本発明は、このような問題を解決すべくされたもので、動力伝達軸体であるユニバーサルジョイントの折れ角度を大きくせずに十分なオフセット量が確保できて作業バランスが良好な畦形成機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、トラクタからの動力を入力する入力軸を有した装着部と、装着部に対し一端を回動可能に連結されて水平回動する支持フレームと、該支持フレーム回動移動端側に設けた垂直方向の水平回動軸によって水平回動自在に支持された作業部を具備して作業部を左右に移動可能とした畦形成機において、前記作業部の水平回動軸と直交して前方側に突設させた中間入力軸を有した駆動ケースを前記支持フレーム側方に固着して設け、前記装着部の左右中央部に位置する入力軸と駆動ケースの中間入力軸間をユニバーサルジョイントで連結し、平面視において前記支持フレームの装着部側の水平回動軸は、入力軸中心より左右方向に偏位しているとともに、前記ユニバーサルジョイントの入力軸側の屈折ヨーク位置より後方側に偏位した位置に配置されていることを特徴とした畦形成機を提案する。
【0008】
また、前記作業部の水平回動軸は、作業部の畦成形部と盛土部の間に位置して平面視盛土部側に偏位した位置に設けられていることを特徴とした0007欄記載の畦形成機を提案する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、作業部の水平回動軸と直交して前方側に突設させた中間入力軸を有した駆動ケースを支持フレーム側方に固着して設け、装着部の左右中央部に位置する入力軸と駆動ケースの中間入力軸間をユニバーサルジョイントで連結した構成により、ユニバーサルジョイントの中間入力軸側を大きい角度で折る必要がなく、支持フレーム側方にユニバーサルジョイントが位置しているため、支持フレームを低い位置に配設可能なため重心を低くできる。さらに、支持フレームの装着部側の水平回動軸は、入力軸中心より左右方向に偏位しているとともに、ユニバーサルジョイントの入力軸側の屈折ヨーク位置より後方側に偏位した位置に配置されている構成により、入力軸側のユニバーサルジョイントの折れ角度は例えば回動軸と屈折ヨーク位置を同一にした場合に比較して小さくできるため、よりオフセット量を確保できる。
【0010】
また、作業部の水平回動軸は、作業部の畦成形部と盛土部の間に位置して平面視盛土部側に偏位した位置に設けられていることにより、作業部をトラクタの左右側方にオフセットさせて反転させたときに、前後方向の作業部の位置の移動を最小限にすることが可能となり、それぞれの作業での作業バランスが良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例の畦形成機の右側面図
【図2】本発明の実施例の畦形成機の平面図
【図3】本発明の実施例の前進作業状態のユニバーサルジョイント部の要部平面図
【図4】本発明の実施例の後進作業状態のユニバーサルジョイント部の要部平面図
【図5】本発明の実施例の畦形成機の駆動系を表す動力系統図
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の実施例を示した畦形成機の右側面図、図2は同じく本発明の実施例を示した畦形成機の平面図、図3は本発明の実施例の前進作業状態のユニバーサルジョイント部の要部平面図、図4は本発明の実施例の後進作業状態のユニバーサルジョイント部の要部平面図、図5は本発明の実施例の畦形成機の駆動系を表す動力系統図である。
【0013】
11は、畦形成機に備わる装着部である。装着部11は、トラクタ(図示せず)の後方に取り付けられて用いられる。装着部11は、畦形成機において、トラクタが取り付けられる側(図1における右側)の端部である進行方向前方側に設けられる。装着部11には、1個のトップブラケット12が上部の中央に、ロアピン13、14が下部の両端に、それぞれ取り付けられていて、これらによりトラクタの三点リンク機構に連結され装着される。
【0014】
15は、入力軸である。入力軸15は、トラクタ側の駆動力の出力軸であるPTO軸(図示せず)に連結され、トラクタの動力を畦形成機に伝動する。21は、支持フレームである。支持フレーム21は、図2乃至図4に図示されるように装着部11の後方側の前進方向左側に偏位した位置に設けた略鉛直方向に延びる水平回動軸22を介して、装着部11に取り付けられている。このため、支持フレーム21は、水平回動軸22を回動中心として装着部11に対して水平面内で回動する。
【0015】
23は、オフセットシリンダである。オフセットシリンダ23の一端は、装着部11に取り付けられる。また、オフセットシリンダ23の他端は、支持フレーム21に取り付けられる。オフセットシリンダ23が伸縮することにより、支持フレーム21は、水平回動軸22を回転中心として、水平面内で回動する。オフセットシリンダ23が伸縮して、水平回動軸22を回動中心として支持フレーム21が回動することで、支持フレーム21回動端側に設けた作業部30である畦形成装置のトラクタに対する側方へのオフセット量を調整する。
【0016】
支持フレーム21回動端側の側方には、作業部30を駆動する駆動軸と同芯に設けた垂直方向の作業部の水平回動軸302が設けられていて、作業部30の回動は支持フレーム21側と作業部30側と連動されたリンクアームに連結された作業部回動シリンダ301の伸縮により水平方向に回動される。また、作業部30側と装着部11側とに水平回動自在に連結して架け渡されたリンクフレーム211が設けられていて、このリンクフレーム211の両回動軸と水平回動軸22と作業部の水平回動軸302とで平行リンクが形成されて、支持フレーム21を回動させると作業部30は平行に移動される。
【0017】
支持フレーム21回動端側の側方には、作業部の水平回動軸302と直交して前方側に突設させた中間入力軸721を有した駆動ケース72を固着して設けてあり、装着部11の左右中央部に位置する入力軸15と駆動ケース72の中間入力軸721間をユニバーサルジョイント71で連結して、装着部11の入力軸15に伝達されたトラクタからの動力が作業部30を駆動する駆動ケース72の中間入力軸721に伝達される。
【0018】
ユニバーサルジョイント71の入力軸15に連結した側の屈折ヨーク711の位置、即ち折り曲がり位置は、前記支持フレーム21の水平回動軸22より前進方向の前方に位置して設けてある。この構成のため、ユニバーサルジョイント71の中間入力軸721側は大きい角度で折る必要がなく屈折ヨークはシングルとすることができ、入力軸15側はダブルの屈折ヨーク(広角等速ジョイント)にすることで、さらに大きい角度で折り曲げが可能となり、オフセット量を大きく設定できる。
【0019】
図3は作業部30がトラクタ右側にオフセットした状態で、トラクタを前進させて作業する前進作業状態を示したものである。図4は作業部30をトラクタ左側にオフセットさせ、作業部30を反転した状態で、圃場隅部の残部を処理するためにトラクタを後進させて作業を行う後進作業状態を示したものである。作業部の水平回動軸302は、作業部の畦成形部31と盛土部41の間に位置して平面視盛土部41側に偏位した位置に設けられている。これにより、支持フレーム21の水平回動軸22が左右に偏位している構成と相俟って前進作業状態と後進作業状態での作業部30の前後方向の位置を装着部11側に近づけた状態とすることができ、作業バランスを良好に設定できる。
【0020】
31は、畦形成部である。畦形成部31は、支持フレーム21の進行方向後方側の端部に取り付けられている。畦形成部31は、畦形成部回転軸32と、ディスク33と、円筒部34とを備える。
【0021】
ディスク33は、円錐台状をなし、円錐台先端側を旧畦側面に向けて畦形成部回転軸32に取り付けられる。ディスク33の表面には、複数の金属板が貼り付けられる。畦形成作業時には、ディスク33の表面は傾斜している旧畦側面の盛土部41で盛り上げた盛土に当接させ、このディスク33を回転させるとともに進行させることで盛土を締め固めて、旧畦側面上に新畦側面の傾斜面を成形する。ディスク33は、畦に押しつけられて畦側面を成形するための必要な強度と重量を有する。
【0022】
円筒部34は、水平方向の円筒状をなし、ディスク33の円錐台先端側に取り付けられる。円筒部34は、畦形成作業時には、外周を旧畦上面の盛土に接しさせて回転され、新畦の上面を成形する。
【0023】
41は、盛土部である。盛土部41は、畦形成部31よりもトラクタ側即ち進行方向前方側の畦形成部31直前に設置される。盛土部41は、ローター回転軸42に放射状に取り付けられた複数の掘削刃43を有する掘削ローター部45と、カバー体44とを備える。掘削刃43は、それぞれ先端を畦傾斜面側に屈曲させて、ローター回転軸42に取り付けられる。掘削刃43は、旧畦の斜面と斜面裾部を掘削するとともに、掘削した土を畦側面及び上面に飛散して盛土を形成する。
【0024】
カバー体44は掘削ローター部45の上面と掘削ローター基部側と進行方向後面側を覆って設けてあり、掘削刃43が掘削する土の飛散を防止するとともに畦側に土を誘導する。このために、掘削ローター部45の畦側は開放されているとともに、進行方向後面側の面441は平面視掘削ローター部45の基部側から畦側に向け後方側に傾斜して設けられている。
【0025】
掘削刃43は、掘削する畦の斜面及び斜面下部の圃場面を掘削し、土を飛散させて旧畦上に土を盛り上げる。これに対して、畦形成部31のディスク33は、畦の側面傾斜面全面に当接されて回転され、畦の側面傾斜面を成形する。
【0026】
51は、畦上面削土装置である。畦上面削土装置51は、盛土部41と畦形成部31との間に設置される。畦上面削土装置51は、畦上面削土装置回転軸52と、回転軸側クラッチ53と、掘削刃側クラッチ54と、複数の掘削刃55と、掘削刃取り付け軸56と、カバー57と、回動軸58と、畦上面削土装置側第3スプロケット81、チェーン82と、掘削刃取り付け軸スプロケット83とを備える。
【0027】
掘削刃55は、それぞれ先端を畦傾斜面側に屈曲させて、掘削刃取り付け軸56に取り付けられる。掘削刃55は、その下端が畦上面部に位置する必要がある。このため、掘削刃55の下端は、畦形成部31の下端及び盛土装置41の下端のいずれよりも高い位置に設置される。掘削刃55は、回転され旧畦の上面を掘削する。カバー57は、畦上面削土装置51の上部に設置され、掘削刃55が掘削する旧畦の土の上方への飛散を防止する。
【0028】
畦上面削土装置回転軸52の先端には、回転軸側クラッチ53が取り付けられる。掘削刃側クラッチ54は、掘削刃取り付け軸56側に取り付けられる。この掘削刃取り付け軸56には、掘削刃55が取り付けられている。畦上面削土装置回転軸52と掘削刃取り付け軸56とは、回動軸58を介して回動自在に連結されている。回動軸58は、進行方向と平行であるとともに後方に傾斜させて設けている。これにより、畦上面削土装置を非作業状態として折畳んだときに重心が前方に移動し、作業バランスが良好となる。
【0029】
畦上面削土装置側第3スプロケット81は、畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。掘削刃取り付け軸スプロケット83は、掘削刃取り付け軸56に取り付けられる。チェーン82は、畦上面削土装置側第3スプロケット81と掘削刃取り付け軸スプロケット83との間に掛け渡される。
【0030】
61は、ゲージ輪である。このゲージ輪61は、畦とは反対側となる圃場の側に設置される。ゲージ輪61は金属製の円錐板をなしていて、外周部が圃場面に刺さり込み畦形成部の高さを調整するとともに、畦からの成形圧を受けとめて、畦形成機走行時の直進性を保持させる機能を有する。
【0031】
次に図5に従い、駆動系の詳細を説明する。
【0032】
71は、ユニバーサルジョイントである。ユニバーサルジョイント71は、入力軸15に接続され入力軸15からの駆動力を受け、他端を支持フレーム21側方に固着して設けた駆動ケース72の中間入力軸721に接続されて回転駆動する。駆動ケース72は、ベベルギヤを内蔵し、ユニバーサルジョイント71から入力された駆動力をこのベベルギヤを介して下方の水平方向に回動自在に設けた第2駆動ケース73に動力が伝達される。第2駆動ケース73は、ベベルギヤを内蔵し、駆動ケース72から入力された駆動力を受け回転駆動する。第2駆動ケース73が受領した駆動力は、ベベルギヤを介して水平方向の畦上面削土装置回転軸52に伝達される。畦上面削土装置回転軸52に伝達された駆動力は、回転軸側クラッチ53および掘削刃側クラッチ54を介して、畦上面削土装置側第3スプロケット81に伝えられる。畦上面削土装置側第3スプロケット81に伝えられた駆動力は、チェーン82、掘削刃取り付け軸スプロケット83を介して、掘削刃取り付け軸56に伝えられる。
【0033】
74は、畦上面削土装置側第1スプロケットである。畦上面削土装置側第1スプロケット74は、畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。75は、盛土部側スプロケットである。盛土部側スプロケット75は盛土部回転軸42に取り付けられる。76は第1チェーンである。第1チェーン76は、畦上面削土装置側第1スプロケット74と盛土部側スプロケット75との間に張り渡される。
【0034】
77は、畦上面削土装置側第2スプロケットである。畦上面削土装置側第2スプロケット77は、畦上面削土装置側第1スプロケット74に並べて畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。78は、畦形成部側スプロケットである。畦形成部側スプロケット78は、畦形成部回転軸32に取り付けられる。79は、第2チェーンである。第2チェーン79は、畦上面削土装置側第2スプロケット77と畦形成部側スプロケット78との間に張り渡される。
【0035】
上記に述べた畦形成機を用いて畦を形成する場合、まず、畦形成部31のディスク33を、旧畦の斜面に設置する。そして、畦形成部31の円筒部34を、ディスク33が設置された旧畦の上面に設置する。また、盛土部41を、ディスク33が設置された旧畦の斜面の進行方向前方の直前の箇所に設置する。畦上面削土装置51は、盛土部41とディスク33とが設置された旧畦の上面に設置する。上記トラクタに対する左右の作業部30の移動は、オフセットシリンダ23を伸縮させ支持フレーム21を回動させて行う。
【0036】
次いで、畦形成機をトラクタで牽引する。このとき、トラクタPTO軸からの駆動力は、入力軸15、ユニバーサルジョイント71、駆動ケース72、第2駆動ケース73を経て、畦上面削土装置回転軸52に伝えられる。畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、畦上面削土装置側第1スプロケット74、第1チェーン76、盛土部側スプロケット75を介して、盛土部回転軸42に伝えられる。盛土部回転軸42の駆動により、複数の掘削刃43を有する掘削ローター部45は回転される。盛土部41は、掘削ローター部45で旧畦の斜面及び斜面下の圃場面を削土する。削土された土壌は掘削刃43により飛散されるとともに、カバー体45に案内され畦側に移動され盛土される。
【0037】
また、畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、回転軸側クラッチ53および掘削刃側クラッチ54、畦上面削土装置側第3スプロケット81、チェーン82、掘削刃取り付け軸スプロケット83を介して、掘削刃取り付け軸56に伝えられる。掘削刃取り付け軸56の回転により複数の掘削刃55を回転させる。畦上面削土装置51では、旧畦の上面の土を削土して、雑草等を削り、同時に、畦上面表面の凹凸を一定に掘削する。
【0038】
畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、畦上面削土装置側第2スプロケット77、第2チェーン79、畦形成部側スプロケット78を介して、畦形成部回転軸32に伝えられる。畦形成部回転軸32の駆動により、ディスク33と、円筒部34とが、回転する。ここで、畦形成部31の周速は、トラクタおよび畦形成機の走行スピードよりも速くなるように予め設定されている。このため、ディスク33は旧畦の側面に対し、円筒部34は旧畦の上面に対し、それぞれスリップしながら接触し回転して、接土表面を締め固める。
【0039】
畦形成機が整畦作業中において畦上面削土装置を非作業状態とするには、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57を進行方向と平行であるとともに後方に傾斜させ畦上面削土装置回転軸52と直交する回動軸58を中心として上方向に回動すると、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57は、盛土部41の上方部に位置する。このとき、畦上面削土装置回転軸52に設けた回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54との噛み合わせは解除される。他方、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57を回動させてこれらを折り畳み方向と逆方向に回動させることで、回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54との噛み合わせが維持される。すなわち、畦上面削土装置51の作業位置と非作業位置との回動移動により回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54とが噛み合わされることで駆動力は伝導され、クラッチの噛み合わせが解除されることで駆動力の伝動は解除される。
【0040】
また、本実施の形態の畦形成機では、掘削刃55等を収納するために斜め前に上げると同時にクラッチが切れて、掘削刃取り付け軸56および掘削刃55は駆動されなくなる。掘削刃55がカバー57で覆われることなく上向きにむき出しとなっても駆動していないため、安全性が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて側方にオフセットして畦形成作業を行う畦形成機に利用される。
【符号の説明】
【0042】
11 装着部
12 トップブラケット
13,14 ロアピン
15 入力軸
21 支持フレーム
211 リンクフレーム
22 水平回動軸
23 オフセットシリンダ
30 作業部
301 作業部回動シリンダ
302 作業部の水平回動軸
31 畦形成部
33 ディスク
34 円筒部
41 盛土部
42 ローター回転軸
43 掘削刃
44 カバー体
45 掘削ローター部
51 畦上面削土装置
52 畦上面削土装置回転軸
53 回転軸側クラッチ
54 掘削刃側クラッチ
55 掘削刃
56 掘削刃取り付け軸
57 カバー
58 連結軸
61 ゲージ輪
71 ユニバーサルジョイント
711 屈折ヨーク
72 駆動ケース
721 中間入力軸
73 第2駆動ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタからの動力を入力する入力軸を有した装着部と、装着部に対し一端を回動可能に連結されて水平回動する支持フレームと、該支持フレーム回動移動端側に設けた垂直方向の水平回動軸によって水平回動自在に支持された作業部を具備して作業部を左右に移動可能とした畦形成機において、
前記作業部の水平回動軸と直交して前方側に突設させた中間入力軸を有した駆動ケースを前記支持フレーム側方に固着して設け、前記装着部の左右中央部に位置する入力軸と駆動ケースの中間入力軸間をユニバーサルジョイントで連結し、平面視において前記支持フレームの装着部側の水平回動軸は、入力軸中心より左右方向に偏位しているとともに、前記ユニバーサルジョイントの入力軸側の屈折ヨーク位置より後方側に偏位した位置に配置されていることを特徴とした畦形成機。
【請求項2】
作業部の水平回動軸は、作業部の畦成形部と盛土部の間に位置して平面視盛土部側に偏位した位置に設けられていることを特徴とした請求項1記載の畦形成機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−172517(P2011−172517A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39470(P2010−39470)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】