説明

番組配信を用いた教育システムおよび番組配信装置

【課題】 サーバの負担を大幅に増加させることなく、効率的な番組配信が行なえるとともに学習効果が上がり易い教育システムおよびそれに用いられる番組配信装置を提供する。
【解決手段】 映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なうサーバ(100)と、配信された番組を再生するユーザ端末(200)とで構成される教育システムにおいて、サーバは学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイント(P1,P2……)を設けて番組ごとに配信し、ユーザ端末より送信されてきた情報を1番組終了ごとに解析して習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、前記ユーザ端末は、配信された番組を再生し、再生途中でチェックポイントの検出を行ない、チェックポイントが検出された場合には入力された情報を取り込んで、該入力情報を、前記チェックポイントを識別する情報と共にサーバへ送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルテレビなどの番組配信を用いた教育システムおよびそれに用いられる番組配信装置に関し、特に学習者(受講者)の習熟度に応じた番組を配信するのに有効な教育システムおよび番組配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ケーブルテレビやインターネットなどを利用して、ユーザーごとに異なる番組を提供する番組配信サービスが実用化されつつある。また、かかる番組配信技術を利用して語学の習得や受験勉強のための番組を提供するサービスに関する取り組みも行なわれている。従来、インターネットなどのネットワークを利用したオンライン教育システムや学習システムに関する発明としては、例えば特許文献1や特許文献2、3、4などに開示されているものがある。
【0003】
このうち、特許文献1に開示されている発明は、受講者の習熟度を把握するため、受講者の端末装置に音声や映像の入力装置、入力された音声データや映像データをデータベースに格納されているモデル音声データ、映像データと比較して解析する解析手段、解析結果に応じたアドバイスを出力するアドバイス提供手段などを設けることで、受講者に対して効率よく語学教育を施すことができるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2に開示されている発明は、音声データに時間軸と制御点を付与した拡張音声データを保持する音声サーバをネットワークに接続して、学習者の端末とサーバとの間の音声データの送受信を、原音データを1/2〜1/3に圧縮した拡張音声データで行なうことで、効率の良い語学教育を行なえるようにしたものである。
【0005】
特許文献3に開示されている発明は、教材用テキスト音声にインデックスを挿入し、学習者にはインデックス情報を格納したファイルを配信して、端末装置はインデックス情報に基づいて繰り返し練習や役割練習用の音声再生を行なうようにすることで、音声教材を容易に作成することができる語学学習システムを提供するものある。
【0006】
さらに、特許文献4に開示されている発明は、サーバが予め行なわれたテスト結果に基づいて学習者の語学力に応じた学習課題を配信し、携帯情報端末は配信された課題を再生してユーザに学習を行なわせるとともに学習内容をチェックする機能を備え、学習結果をサーバに送信してサーバはそれを分析して分析結果に応じて次の学習課題を決定し、配信することで、効果的な学習が行なえるようにするものである。
【特許文献1】特開2004−101637号公報
【特許文献2】特開2004−061788号公報
【特許文献3】特開2003−323104号公報
【特許文献4】特開2002−258729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ケーブルテレビなどの番組配信を用いた教育システムにおいては、学習者の習熟度に応じた番組を配信することで、効果的な学習を促進することができる。この点、特許文献4に開示されている発明は、学習結果をサーバに送信してサーバがそれを分析して分析結果に応じて次の学習課題を決定し、配信するようにしているため、学習者のレベルに応じた課題を送ることができ効果的な学習を促進する上で有効である。
【0008】
しかしながら、特許文献4に開示されている発明は、各課題ごとに学習内容をチェックする方式であるため、頻繁に学習結果の送信と分析を行なわなくてはならないため、サーバはサービスを提供するすべての学習者が現在どの課題を学習中なのかを把握していなくてはならず、サーバの負担が非常に重くなるという課題がある。また、上記特許文献1〜3に記載の発明はいずれも、学習者の習熟度に応じた番組を配信するという観点がないため、効率的な番組配信が行なえず学習効果も上がりにくいという課題がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、サーバの負担を大幅に増加させることなく、効率的な番組配信が行なえるとともに学習効果が上がり易い教育システムおよびそれに用いられる番組配信装置(サーバ)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なうサーバと、配信された番組を再生するユーザ端末とで構成される教育システムにおいて、前記サーバは学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイントを設けて番組ごとに配信し、前記ユーザ端末より送信されてきた情報を解析して1番組終了ごとに習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、前記ユーザ端末は、配信された番組を再生し、再生途中でチェックポイントの検出を行ない、チェックポイントが検出された場合には入力された情報を取り込んで、該入力情報を、前記チェックポイントを識別する情報と共に前記サーバへ送信するようにした。
【0011】
上記のような構成によれば、番組の配信を行なうサーバはユーザ端末において各番組の各チェックポイントで入力された情報に基づいて1番組終了ごとに習熟度を判定し、その習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し配信する(配信しない場合を含む)ことができるため、一方的な番組の配信あるいはユーザが単に番組を見たという情報のみで次の番組を配信するという学習の進め方に比べて学習効果を上げ易くなる。また、ユーザ端末には1番組ずつデータが送られてくるため、記憶装置の容量を圧迫することがない。
【0012】
ここで、前記サーバによる番組の配信はケーブルテレビ放送網を介して行なうようにすると良い。これにより、サービスを受けられるユーザを契約者のみとすることが容易となる。また、前記サーバによる番組の配信および前記ユーザ端末から前記サーバへの情報の送信はケーブルテレビ放送のビデオ・オン・デマンド機能を用いて行なうようにするのが望ましい。これによって、ユーザは他の通信手段がなくてもサービスを受けることができる。ただし、前記ユーザ端末から前記サーバへの情報の送信は通信ネットワークを介して行なうようにしてもよい。これにより、テレビ放送網がビデオ・オン・デマンド機能を持たない場合にもサービスを受けることができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記ユーザ端末は音声入力手段を備え、前記チェックポイントで入力される情報は前記音声入力手段より入力される音声とする。これにより、語学の学習を効率よく行なうことができる。また、前記チェックポイントの検出は、前記番組中に挿入された可聴範囲外の所定の周波数の音声信号に基づいて行なうようにすると良い。これにより、チェックポイントの設定および検出を簡単に行なうことができ、トータルのシステムコストを下げることができるようになる。
【0014】
本出願の他の発明は、映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なう番組配信装置(サーバ)において、学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイントを設けて番組ごとに配信し、番組配信先の端末より送信されてきた情報を1番組終了ごとに解析して学習者の習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、決定した番組を配信するようにしたものである。
【0015】
このような構成を有する番組配信装置によれば、学習者の習熟度に応じて最適な番組を配信することができるため、効率的な番組配信が行なえるとともに学習効果を上げ易くなる。また、番組配信装置(サーバ)は各チェックポイントごとに受信した情報の解析を行なう必要がないため、番組配信装置の負担が大幅に増加することもない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に従うと、サーバの負担を大幅に増加させることなく、効率的な番組配信が行なえるとともに学習効果が上がり易い教育システムおよびそれに用いられる番組配信装置(サーバ)を実現できる。また、複数の番組配信先の端末より送信されてきた情報をデータベースに学習者の学習履歴としてスクックし、それを解析することで次の番組を作成する際の資料として利用することで、より優れた番組を提供することができるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明が適用される番組配信技術を用いた教育システムの概要を示す。
【0019】
図1に示されているように、ビデオ・オン・デマンド機能を用いた番組配信による教育サービスを提供する番組配信会社のサーバ100A,100B……と、サービスの提供を受けるユーザの端末200A,200B……とは、ディジタルテレビ放送網300やインターネットなどの通信ネットワーク400を介して相互に通信可能に接続されている。ユーザの端末200A,200B……は、TV機器、放送電波受信機能を有するパーソナルコンピュータの他、PDA(Personal Digital Assistants)などの無線通信機能を有する携帯端末であっても良い。
【0020】
ディジタル放送網300は、番組配信会社がケーブルテレビ放送会社である場合には、双方向通信可能な光ファイバケーブル網、通常のテレビ放送会社である場合には、番組の配信は放送電波を用い、ユーザからの情報発信はDVB−RCS等の規格による電波を使用した送信またはインターネットを使用する方法が考えられる。また、番組配信会社が通信会社などテレビ放送会社でない場合には、番組の配信およびユーザからの情報発信は、インターネットあるいは専用回線などの通信ネットワークを使用する方法が考えられる。
【0021】
次に、本発明に係る教育システムにおける番組の構成の仕方と進行手順の概略を、図2および図3を用いて説明する。本発明において提供される番組は、図2(A)に示すように、次第に難易度が高くなるように作成された複数のチャプターC1,C2,C3……で構成され、各チャプターは図2(B)のように途中途中にチェックポイントP1,P2,P3……が設けられている。
【0022】
このチェックポイントでは、放送信号の中に例えば30kHzのような可聴範囲外の周波数の音声信号が所定時間含まれるようにされる。具体的には、あるチャプターの最初のチェックポイントでは30kHzの音声信号の長さを2秒間、2番目のチェックポイントでは30kHzの音声信号の長さを4秒間、3番目のチェックポイントでは30kHzの音声信号の長さを6秒間、のように設定することで、信号の長さからチェックポイントを識別できるようにされている。
【0023】
ただし、チェックポイントの識別方法はこれに限定されるものでなく、例えば各チェックポイントに対応する受信データの中に所定の識別コードを含ませておいて、どのチャプターの何番目のチェックポイントであるかを判定できるように構成しても良い。チェックポイントを知らせるために30kHzの音声信号を用いているのは、30kHzの音声信号は番組配信側で比較的簡単に生成し、付加することができるためである。
【0024】
番組の進行は、まずユーザからの受講開始指令を受けて番組配信会社のサーバ100が最初のチャプターを配信する(図3のステップS1)。すると、ユーザの端末200が受信した番組データをハードディスク等の不揮発性記憶装置に格納する(ステップS2)。この番組配信は、1チャプター分ごとに行なわれる。これにより、ユーザの端末200が有する不揮発性記憶装置の記憶容量もしくはその空き領域が少ない場合にも対応が可能となる。ユーザの端末200は、番組を受信すると、受信した番組の再生を行なう(ステップS3)。なお、ユーザの端末200は、全番組データの受信を完了する前に番組の先頭部分の再生を行なう、つまり番組内容の再生と格納を並行して行なうようにすることができる。
【0025】
次に、ユーザの端末200が受信した番組データを再生し、受講者(学習者)がレッスンを開始すると、端末は再生信号に30kHzの音声信号が含まれているかを監視してチェックポイントか否かの判定を行なう。そして、番組内容がチェックポイントに到達すると、その間に受講者により入力された音声などのデータを、番組を識別するための番組コード、当該チェックポイントの識別コード、ユーザコードなどの識別データとともに番組配信会社のサーバ100へ送信する(ステップS4)。
【0026】
番組配信会社のサーバ100は、受信したデータから受講者を特定するとともに、番組コードおよびチェックポイント識別コードに基づいて学習の進行度を判定し、さらに受信データを解析して受講者の習熟度を判定する(ステップS5,S6)。そして、それらの判定結果に基づいて次に配信すべきチャプターを決定し、決定したチャプターを送信する(ステップS7→S1)。判定した受講者の習熟度によっては、1度終了したチャプターへ戻って再学習させるように、レベルの低いチャプターを送信するようにしても良い。
【0027】
ユーザの端末200は次のチャプターの内容を受信すると、ハードディスク等に格納されている前のチャプターの内容を破棄し、受信したチャプターの内容をハードディスク等に格納し再生する。上記動作を繰り返すことで、受講者の習熟度に応じた番組配信が可能になるため、高い学習効果が得られるようになる。
【0028】
以上、本発明の概略を説明した。次に、本発明のより具体的な内容を、図4〜図6を用いて説明する。
【0029】
図4には、本発明の番組配信を用いた教育システムを実現可能にするユーザ側の端末200の一例としてテレビ放送の受信再生機能を有するTV放送受信機の構成例が示されている。
【0030】
この実施例のTV放送受信機200は、機器内部を制御したり映像信号や音声信号の処理を行なったりするマイクロプロセッサ(CPU)210、テレビ放送を受信し音声や映像信号を抽出するチューナなど機能およびデータ送信機能を有する送受信装置220、受信した番組コンテンツを格納するハードディスク230、CPU210の動作プログラムを記憶したりCPUの作業領域を提供したりするROMやRAMなどからなるメモリ240、オン、オフや選局などの指令を外部より入力する入力装置250を備える。送受信装置220やハードディスク230は、別個の装置として構成される場合もある。入力装置250としては、リモートコントローラの他、キーボードなどが考えられる。
【0031】
また、TV放送受信機200は、受信信号から抽出された映像信号を受けて映像を出力する液晶表示装置などのモニタ260、受信信号から抽出された音声信号を受けて音声を出力するスピーカー270、学習者の音声を入力するための録音ボタン付きマイクロフォン280、マイクロフォン280より入力された信号をディジタル信号に変換するAD変換回路290、スピーカー270へ出力される音声信号からノイズを除去するロウパスフィルタLPF、スピーカー270へ出力される音声信号を通すことで音声信号に30kHzの周波数の信号が含まれているか検出するためのバンドパスフィルタBPFなどを備える。
【0032】
図5には、放送会社から配信された番組を再生しながら学習を実行する際にTV放送受信機において行なわれる制御動作の手順の一例が示されている。なお、この実施例のフローチャートに従った制御動作は、マイクロプロセッサ(CPU)210がメモリ(ROM)240内の動作プログラムを実行することにより開始される。
【0033】
番組再生が開始されると、まずディジタル放送の番組データに含まれている情報から番組のID(識別コード)およびデータ送付先アドレスを取得し、メモリ(RAM)240内に記憶する(ステップS11,S12)。次に、番組再生が終了または停止されたか否か判定(ステップS13)し、再生終了または停止でなければ、再生中の番組データに30kHzの音声信号が含まれているか判定する(ステップS14)。そして、30kHzの音声信号が含まれていた場合には、その信号の継続時間のカウントを開始する(ステップS15)。30kHzの音声信号が途絶えたならば継続時間のカウントを停止し、継続時間の長さからチェックポイントの位置(番号)を判定する(ステップS16,S17)。
【0034】
その後、番組の再生を一時停止して、停止時間のカウントを開始する(ステップS18,S19)。そして、所定時間(例えば10秒)を経過したか判定し経過していなければ前記マイクロフォンの録音ボタンがオンされているか判定する(ステップS20,S22)。ここで、録音ボタンがオンされないまま所定時間(10秒)を経過すると、番組の再生一時停止を解除する(ステップS21)。なお、この実施例では、チェックポイントで一旦番組の再生を中断しているが、再生を継続したままユーザからの入力を待つようにすることも可能である。
【0035】
一方、所定時間(例えば10秒)を経過する前に録音ボタンがオンされた場合には、ステップS23へ移行して、マイクロフォンからの音声入力信号の録音を開始する。そして、再びマイクロフォンの録音ボタンがオンされているか判定する(ステップS24)。録音ボタンがオンされていない場合には、録音を停止し、ステップS12で取得したアドレスを用いてデータを番組配信元へ送信する(ステップS25,S26)。この送信データには、ステップS22で録音したデータと、ステップS11で取得した番組識別コードと、ステップS17で判定したチェックポイントの位置を示すポイント番号などのデータが含まれる。
【0036】
データを送信したならば、番組再生一時停止状態を解除してステップS4へ戻り、番組再生が終了または停止されたか否か判定(ステップS13)し、再生終了または中止でなければ、次のチェックポイントすなわち30kHzの音声信号の判定を行なう(ステップS14)。ステップS13で、番組再生が終了または中止されたと判定した場合には、再生処理を終了する。
【0037】
図5のフローチャートでは、ステップS25の録音定処理直後に録音したデータを送信するつまり各チェックポイントごとにデータ送信を行なうようにしているが、ステップS26ではデータを記憶装置に格納し、ステップS13で番組再生が終了または中止されたと判定し、再生処理を終了する前に複数のチェックポイントで入力されたデータをまとめて番組配信元へ送信してから再生処理を終了するようにしてもよい。
【0038】
図6には、番組を配信する放送会社等のサーバにおいて行なわれる制御動作の手順の一例が示されている。図6のフローチャートに従った制御動作は、ユーザの端末側からサーバに対して番組配信の要求を受け付けることによって開始される。
【0039】
番組の配信要求があると、サーバは所定の番組を、要求元のユーザの端末へ配信する(ステップS31)。初めての要求に対して配信を行なう番組はチャプター1である。チャプター1の先頭には当該番組のガイダンスを付加しても良い。番組配信後、サーバはユーザの端末側からサーバに対してデータが送られて来るのを待つ(ステップS32)。ユーザからデータが送られてくると、そのデータに含まれているユーザID(識別コード)と番組IDとで受信データを振り分け、さらにポイント番号でデータを振り分ける(ステップS33,S34)。
【0040】
ここで、受信データのポイント番号が当該番組(チャプター)の最終チェックポイントか否か判定する(ステップS35)。そして、最終チェックポイント以外のときはステップS36へ移行して、受信データに含まれているユーザの音声を波形解析し、習熟度を判定する(ステップS37)。そして、判定した習熟度を、サーバ内のメモリのユーザ管理用ファイルに、ポイント番号と共に追記し、ステップS32へ戻って次のデータの受信を待つ(ステップS38)。
【0041】
一方、ステップS35で、最終チェックポイントであると判定したときはステップS39へ移行して、受信データに含まれているユーザの音声を波形解析し、習熟度を判定する(ステップS40)。そして、判定した習熟度を、サーバ内のメモリのユーザ管理用ファイルに、ポイント番号と共に追記する(ステップS41)。その後、習熟度に応じて、次に配信する番組を決定し、ステップS31へ戻って決定した番組を配信する(ステップS42)。なお、習熟度に応じた配信番組の決定では、当該番組よりも前の番組に戻るような決定を行なうことも可能である。また、ステップS35の最終チェックポイントか否か判定は、ステップS38の次に行なうようにしても良い。
【0042】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。例えば前記実施例では、語学の学習を想定してチェックポイントでユーザが音声を入力して番組配信会社へ送信する例を説明したが、音声以外にも例えばキー入力等で設問に対する回答をユーザに入力させ、テキストデータで番組配信会社へ送信することも可能である。キー入力によるデータを番組配信会社へ送信するようにしたシステムでは、語学以外の学習にも利用することができる。
【0043】
また、前記実施例では、ユーザの習熟度の判定を、番組を配信する放送会社等のサーバにおいて行なうようにしたシステムを説明したが、ユーザの習熟度の判定はユーザの端末側において行ない、判定結果をサーバに送信するようにしても良い。これによって、サーバの負担を軽減させることができる。
【0044】
さらに、本発明は番組配信会社からユーザの端末へ配信した番組を一旦ハードディスクのようなメモリ装置に格納して再生するシステムに特に有効であるが、メモリ装置に格納しないで再生するシステムであっても適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上の説明では、本発明を教育システムに適用した場合について説明したが、映画や長編ドラマなどの長時間にわたる番組を、ユーザに対してその視聴進行度に応じて配信する場合にも利用することができる。また、番組の提供を放送などの通信によらず、CD(コンパクトディスク)などのメディアで提供する場合にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明が適用される番組配信技術を用いた教育システムの概要を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る教育システムで配信される番組データの構成例を示す説明図である。
【図3】図3は、本発明に係る教育システムにおける制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係る教育システムで用いられるユーザ端末としてのTV受信機の一構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明に係る教育システムを構成するTV放送受信機における制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明に係る教育システムを構成する番組配信会社のサーバにおける制御手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
100 番組配信装置(サーバ)
200 ユーザ端末(TV放送受信機)
300 テレビ放送網(ディジタルテレビ放送網)
210 マイクロプロセッサ(CPU)
220 送受信装置
230 ハードディスク
240 記憶装置(メモリ)
250 入力装置
260 モニタ
270 スピーカー
280 録音ボタン付きマイクロフォン
290 AD変換回路
300 テレビ放送網
400 インターネット
BPF バンドパスフィルタ
LPF ロウパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なうサーバと、配信された番組を再生するユーザ端末とで構成される教育システムであって、
前記サーバは、学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイントを設けて番組ごとに配信し、前記ユーザ端末より送信されてきた情報を1番組終了ごとに解析して習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、
前記ユーザ端末は、配信された番組を再生し、再生途中でチェックポイントの検出を行ない、チェックポイントが検出された場合には入力された情報を取り込んで、該入力情報を、前記チェックポイントを識別する情報と共に前記サーバへ送信し、
前記サーバによる番組の配信および前記ユーザ端末から前記サーバへの情報の送信は、ケーブルテレビ放送のビデオ・オン・デマンド機能を用いて行なわれ、
前記ユーザ端末は音声入力手段を備え、前記チェックポイントで入力される情報は前記音声入力手段より入力される音声であり、
前記チェックポイントの検出は、前記番組中に挿入された可聴範囲外の所定の周波数の音声信号に基づいて行なわれることを特徴とする番組配信を用いた教育システム。
【請求項2】
映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なうサーバと、配信された番組を再生するユーザ端末とで構成される教育システムであって、
前記サーバは、学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイントを設けて番組ごとに配信し、前記ユーザ端末より送信されてきた情報を解析して習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、
前記ユーザ端末は、配信された番組を再生し、再生途中でチェックポイントの検出を行ない、チェックポイントが検出された場合には入力された情報を取り込んで、該入力情報を、前記チェックポイントを識別する情報と共に前記サーバへ送信することを特徴とする番組配信を用いた教育システム。
【請求項3】
前記サーバによる番組の配信はケーブルテレビ放送網を介して行なわれることを特徴とする請求項2に記載の番組配信を用いた教育システム。
【請求項4】
前記サーバによる番組の配信および前記ユーザ端末から前記サーバへの情報の送信は、ケーブルテレビ放送のビデオ・オン・デマンド機能を用いて行なわれることを特徴とする請求項3に記載の番組配信を用いた教育システム。
【請求項5】
前記ユーザ端末から前記サーバへの情報の送信は通信ネットワークを介して行なわれることを特徴とする請求項2または3に記載の番組配信を用いた教育システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末は音声入力手段を備え、前記チェックポイントで入力される情報は前記音声入力手段より入力される音声であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の番組配信を用いた教育システム。
【請求項7】
前記チェックポイントの検出は、前記番組中に挿入された可聴範囲外の所定の周波数の音声信号に基づいて行なわれることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の番組配信を用いた教育システム。
【請求項8】
映像および音声コンテンツを含む番組の配信を行なう番組配信装置であって、
学習内容を複数の番組に分割し、各番組には複数のチェックポイントを設けて番組ごとに配信し、番組配信先の端末より送信されてきた情報を1番組終了ごとに解析して学習者の習熟度を判定し、該習熟度に応じて次に配信すべき番組を決定し、
決定した番組を配信することを特徴とする番組配信装置。
【請求項9】
前記サーバによる番組の配信はテレビ放送網を介して行なうことを特徴とする請求項8に記載の番組配信装置。
【請求項10】
前記番組の配信および前記番組配信先の端末からの情報の受信は、ケーブルテレビ放送のビデオ・オン・デマンド機能を用いて行なうことを特徴とする請求項8に記載の番組配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−212530(P2007−212530A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29661(P2006−29661)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】