説明

番茶香

【課題】 お茶が有する消臭作用に着目し、番茶を材料として消臭効果を有する香を提供する。
【解決手段】 日干番茶を炭化状態まで鉄鍋で炒った後に粉末にした番茶粉99.9重量%に対し、椨(木の皮を粉末にした木粉)約0.1重量%を加え、さらにぬるま湯を加えて練り上げた後に内部形状が円錐形の型枠に入れて円錐形に整形し、その後に乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番茶を材料として使用した香に関するものである。
【背景技術】
【0002】
お茶は本来味と香りを楽しむものであるが、その香りだけを楽しむものとして従来より茶香があった。また、飲用後(使用済み)のお茶の葉を畳に撒いたりして、部屋の臭い・塵や埃を取る掃除材料としても用いられることがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような従来のお茶の効用に以外に、お茶が有する消臭作用に着目し、これを積極的に利用して消臭効果を有する香を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の番茶香は、番茶を原料とする香であって、日干番茶を炭化状態まで鉄鍋で炒った後に粉末にした番茶粉に椨(木の皮を粉末にした木粉)を加え、さらにぬるま湯を加えて練り上げ後に型枠に入れて整形し、その後に乾燥したことを特徴とするものである。
本発明の番茶香は上記の手段を講じて日干番茶を炭化状態まで炒ったことにより、着火しやすく自己燃焼が可能となり、かつ、香を焚いたときに香りが良く、また消臭効果が高いという効果を奏する。
また、請求項2の番茶香は、前記番茶粉99.9重量%に対し、これに加える前記椨が約0.1重量%であることを特徴とするものである。
本発明の番茶香は上記の手段を講じたことにより、番茶粉が整形後に乾燥したとき固まりやすくなるという効果を奏する。
また、請求項3の番茶香は、前記日干番茶が、刈り取った番茶の古葉を茶色になるまで蒸気で蒸す蒸し工程と、蒸し上がった番茶の葉を天日又は乾燥機で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した番茶の葉と茎とを分離して仕分ける仕分け工程と、仕分けした葉と茎とを鉄鍋で焦げ目が付くまで炒りあげる炒り工程とを経て製造されたことを特徴とするものである。
本発明の番茶香は上記の手段を講じたことにより、香りが良く、消臭効果の高い番茶香の原料となる品質の良い日干番茶を製造することができるという効果を奏する。
また、請求項4の番茶香は、前記型枠の内部形状は円錐形であって、その型枠により整形された後に乾燥した番茶香の形状が円錐形であることを特徴とするものである。
本発明の番茶香は上記の手段を講じたことにより、お香としての形が良く、焚いたときに火が点けやすく、最後まで立った状態で消えずに使えるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の番茶香は、上述の手段を講じたことにより、着火しやすく自己燃焼が可能となり、かつ、香を焚いたときに香りが良く、また消臭効果が高いという効果を奏する。
また、番茶粉と椨の混合割合を最適にしたことにより、番茶粉が整形後に乾燥したとき固まりやすくなるという効果を奏する。
また、日干番茶の製造工程を最適化したことにより、香りが良く、消臭効果の高い番茶香の原料となる品質の良い日干番茶を製造することができるという効果を奏する。
また、型枠の内部形状を円錐形にして、その型枠により整形された後に乾燥した番茶香の形状を円錐形にしたことにより、お香としての形が良く、焚いたときに火が点けやすく、最後まで立った状態で消えずに使えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。図1は日干番茶の製造工程図である。
春又は秋に刈り取った番茶の古葉は、茶色になるまで蒸気で蒸す「蒸し工程」と、蒸し上がった番茶の葉を天日又は乾燥機で乾燥させる「乾燥工程」と、乾燥した番茶の葉と茎とを分離して仕分ける「仕分け工程」と、仕分けした葉と茎とを鉄鍋で焦げ目が付くまで炒りあげる「焙煎工程」とを経て、いわゆる「京番茶」と呼ばれる日干番茶となる。「仕分け工程」において、茎は2〜3cm位の長さに切り揃える。こうして出来た日干番茶(京番茶)は、飲用されるだけでなく、煮出した抽出液で川魚などを煮ることにより、川魚などの特有の臭みを取るために料理用にも用いられている。
【0009】
図2は本発明の番茶香の製造工程図である。前記日干番茶の製造工程を経て作られた日干番茶は、「炒り工程」において炭化状態まで鉄鍋で炒った後に、「粉砕工程」において粉末に粉砕し、次に「混合工程」において番茶粉に椨(木の皮を粉末にした木粉)を加えてよく混合しさらにぬるま湯を加えて練り上げた後に、「整形工程」において内部形状が円錐形の型枠に入れて整形し、その後に「乾燥工程」において乾燥機により乾燥することにより、円錐形状の番茶香を製造することができる。
「炒り工程」において日干番茶を炭化状態まで炒ったことにより、日干番茶を炒らずにそのまま粉末にして加工製造したものは火を点けても自己燃焼しないが、着火しやすく自己燃焼が可能となる。また、「混合工程」においては、番茶粉99.9重量%に対し、椨(木の皮を粉末にした木粉)を約0.1重量%加えて混合する。
【0010】
図3は本発明の円錐形状の番茶香の斜視図である。前記の製造工程を経て作られた番茶香の一例は、底辺の直径約10mm・高さ約25mmの円錐形状である。この程度の大きさのもので、火を点けてから約20分間燃え、煙とともに薫香を発し、室内の悪臭を消臭する。
図4は、本発明の番茶香を香台に置いて焚いている状態を示す斜視図である。番茶香はこのような香台に置いて焚いてもよく、市販の香炉に入れて焚いてもよい。また、香炉や香台に代えて灰皿や料理用の小皿を使用してもよい。本発明の番茶香は消臭効果に優れるので、犬、猫、小鳥その他のペットの臭い、煙草臭、怪我や病気などで入浴できなくて体臭が気になるような場合に、室内に置いて臭いを消したり軽減することが出来る。また、お洒落な香台や香炉を使い室内小物として、香りを楽しむだけでなく、インテリア装飾として使うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】日干番茶の製造工程図
【図2】番茶香の製造工程図
【図3】円錐形状の番茶香の斜視図
【図4】円錐形状の番茶香の使用状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0016】
10 円錐形状の番茶香
11 香灰
12 香台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番茶を原料とする香であって、日干番茶を炭化状態まで鉄鍋で炒った後に粉末にした番茶粉に椨(木の皮を粉末にした木粉)を加え、さらにぬるま湯を加えて練り上げた後に型枠に入れて整形し、その後に乾燥したことを特徴とする、番茶香。
【請求項2】
前記番茶粉99.9重量%に対し、これに加える前記椨が約0.1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の番茶香。
【請求項3】
前記日干番茶は、刈り取った番茶の古葉を茶色になるまで蒸気で蒸す蒸し工程と、蒸し上がった番茶の葉を天日又は乾燥機で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した番茶の葉と茎とを分離して仕分ける仕分け工程と、仕分けした葉と茎とを鉄鍋で焦げ目が付くまで炒りあげる炒り工程とを経て製造されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の番茶香。
【請求項4】
前記型枠の内部形状は円錐形であって、その型枠により整形された後に乾燥した番茶香の形状が円錐形であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の番茶香。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
番茶を原料とする香の製造方法であって、日干番茶を炭化状態まで鉄鍋で炒った後に粉末にした番茶粉に椨(木の皮を粉末にした木粉)を加え、さらにぬるま湯を加えて練り上げた後に型枠に入れて整形し、その後に乾燥することを特徴とする、番茶香の製造方法。
【請求項2】
前記番茶粉99.9重量%に対し、これに加える前記椨が約0.1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の番茶香の製造方法。
【請求項3】
前記日干番茶は、刈り取った番茶の古葉を茶色になるまで蒸気で蒸す蒸し工程と、蒸し上がった番茶の葉を天日又は乾燥機で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した番茶の葉と茎とを分離して仕分ける仕分け工程と、仕分けした葉と茎とを鉄鍋で焦げ目が付くまで炒りあげる炒り工程とを経て製造されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の番茶香の製造方法。
【請求項4】
前記型枠の内部形状は円錐形であって、その型枠により整形された後に乾燥した番茶香の形状が円錐形であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の番茶香の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の番茶香の製造方法により製造された番茶香。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−161015(P2006−161015A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96000(P2005−96000)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願変更の表示】意願2004−7801(D2004−7801)の変更
【原出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(504395936)
【Fターム(参考)】