説明

異なる技術タイプのネットワーク間で情報を転送する方法

それぞれ異なる技術タイプの無線ネットワーク間で情報を転送するための方法において、第1のネットワーク内のノードが、第2のネットワークの複数のノードに関連する構成情報を受け取り、この情報が、第2の技術タイプの隣接セルに関連する無線アクセス制御装置についての識別情報を含む。第1のネットワーク内のノードは、構成情報を受け取った後、移動装置がそれを介して第1のネットワークにアクセスする第1のネットワーク内の複数のノードに識別情報を送る。本発明は、排他的にではなく、特に、第1のネットワークがLTEに従い、第2のネットワークがUMTSに従い、情報が、LTEからUMTSネットワークへのハンドオーバに使用するためのRNC−idを含む場合に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の技術タイプの第1のネットワークおよび第2の異なる技術タイプの第2のネットワークが隣接セルを有する、それぞれ異なる技術タイプの無線ネットワーク間で情報を転送するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、技術仕様書3GPP TS 36.300 v8.5.0(2008−05)に記載された、E−UTRANとも呼ばれるロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)を開発中であり、追加の情報および関連文書について同文献を参照されたい。3GPP LTEの目的は、たとえば効率およびサービスを向上させることによってユニバーサル移動通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)無線アクセス・ネットワーク規格を拡張することである。
【0003】
LTEでは、ユーザ機器(UE:user equipment)は、ネットワーク・ノード、E−UTRAN Node B(eNB)と通信し、データが、それらの間の無線リンクを介して無線ベアラ(RB:radio bearer)上で送信される。eNBは、S1と指定されたインターフェースを介して移動管理エンティティ(MME:Mobile Management Entity)とインターフェースする。LTEネットワークは一般に、図1に概略的に示されるように、複数のeNBとMMEとを含む(S1−フレックス機構によって、eNBを複数のMMEに接続することが可能となる)。
【0004】
一般的なUMTSネットワークでは、複数の無線アクセス制御装置(RNC:Radio Access Controller)はそれぞれ、図2に概略的に示されるように、複数の基地局Bを制御する。移動装置UEは、基地局を介してネットワークに接続する。
【0005】
移動装置(UE)がLTEネットワークに接続される場合には、たとえば信号状態が変化する場合または移動装置が移動中である場合、あるいは他の何らかの目的によりその接続を別のネットワークにハンドオーバする必要があり得る。したがって、UEは、LTEネットワーク内のセルから、隣接した1つまたは複数のセルを有するUMTSネットワークに転送され得る。
【0006】
LTE−UMTSの自動隣接関係機能(ANRF:automatic neighbour relation function)の一環として、UEが接続されているeNBは、UEによって、それが新しい隣接UMTSセルを検出したことの通知を受けることができる。ソースeNBは、UEに、セルが属するUMTS RNCによってブロードキャストされた情報から、UMTSネットワーク内でそのセルを一意に識別するその隣接セルのグローバル・セルIDを取得するよう要求することができ(3GPP TS 36.300 v8.5.0 第22.3.4項参照)、隣接セル内でブロードキャストされたロケーション・エリア識別(LAI:Location Area Identification)およびルーティング・エリア・コード(RAC:Routing Area Code)を要求することもある。グローバル・セルIDは、UC−idまたはUTRANグローバル・セルIDとも呼ばれる。UTRANセルID UC−idは、RNC識別子(RNC−id)とセル(C−id)とを含み、ただし、UC−id=RNC−id+C−idである(3GPP TS 25.401 v8.0.0 第6.1.5項参照)。
【0007】
UEは、そのセルが属するRNCのRNC−id(RNC識別子)を必ずしも読み出すことができるとは限らない。グローバルUTRANセルID/UC−idへのマスク適用によってRNC−idを取得できない状況があり得る。UC−idは、RNC−idとセルC−idとを含む(UC−id=RNC−id+C−id)が、この長さは変化することがある。ほとんどのネットワークでは、UC−id(28ビット)=RNC−id(12ビット)=+C−id(16ビット)である。しかし、フラットなエリアでは一般に、UC−id(28ビット)=RNC−id(16ビット)+C−id(12ビット)とすることもある。したがって、マスクを使用したRNC−idの検出が可能でないことがある。発見された隣接セルのRNC−idの長さが知られていないとき、LTEソースeNBからこのセルに向かうハンドオーバは、ハンドオーバを引き起こすためのハンドオーバ・メッセージをルーティングするのにRNC−idが必要とされるので、実施することができない。3GPP TS 36.413(S1−AP仕様)では、LTEからUMTSへのハンドオーバ用のターゲット・セルIDが、ソースeNBによって送られる「HO要求(HO Required)」メッセージに含まれており、第9.2.1.6項に、ターゲットRNC−idとして定義されている。
【0008】
ANRFの代替案として、LTEネットワークのeNBは、LTEネットワークが最初に設定されるとき、運用保守(O&M:Operation and Maintenance)によって、適切な場合には周囲のUMTS RACに関する情報を含み、またこれらのRACを備えるRNC−idのリストを含むように構成されてよい。これは、多くのeNBが構成に関する総合的な情報を得るという点で多大な労力を要する。UMTSネットワークに変化が生じる場合、たとえば新しい基地局が追加され、またはRAC割当てが変更される場合、LTEネットワークの隣接ノードをこのフィールドで更新する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 v8.5.0(2008−05)
【非特許文献2】3GPP TS 25.401 v8.0.0
【非特許文献3】3GPP TS 36.413
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1の技術タイプの第1のネットワークおよび第2の異なる技術タイプの第2のネットワークが隣接セルを有する、それぞれ異なる技術タイプの無線ネットワーク間で情報を転送する方法が、
第1のネットワーク内のノードが、第2のネットワークの複数のノードに関連する構成情報を受け取るステップを含み、情報が、第2の技術タイプの隣接セルに関連する無線アクセス制御装置についての識別情報を含み、さらに、
第1のネットワーク内のノードが、構成情報を受け取った後、移動装置がそれを介して第1のネットワークにアクセスする第1のネットワーク内の複数のノードに識別情報を送るステップとを含む。
【0011】
本発明は、排他的にではなく、特に、第1のネットワークがLTE規格に従い、第2のネットワークがUMTSに従い、情報が、LTEからUMTSネットワークへのハンドオーバに使用するためのRNC−idを含む場合に適用可能である。本発明による方法をやはり活用することができる、それぞれ異なる無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)タイプの他の組合せがあってよい。
【0012】
次に、本発明によるいくつかの実施形態および方法について、例示するためだけに、添付の図面を参照して述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】LTEネットワークを概略的に示す図である。
【図2】UMTSネットワークを概略的に示す図である。
【図3】本発明による一方法および装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および2を参照して述べると、必要なUMTS構成情報は、LTEネットワーク内のUMTS隣接セル情報を更新する必要があるとき、UMTSサービスGPRSサポート・ノード(SGSN:Serving GPRS Support Node)から、たとえば所定の間隔;ネットワークが新しく設定されるとき;ハンドオーバが企図されるとき;UMTSネットワーク2が再構成され、または他のやり方で変更されたとき;あるいは他の何らかのベースで取り出される。この情報は、RACのリストと、各RACごとの、そのRACに関与するRNC−idのリストとを含む。この情報は一般に、それがページングに使用されるので、SGSN内で容易に入手可能である。この情報は、LTEネットワークのMMEに送信され、次いで、このMMEは、この情報をネットワークのすべてのeNBに引き渡す。S1−フレックスの場合には、1つのMMEだけが、複数のeNBに情報を送ることができる。
【0015】
この情報は、MMEからeNBに、新しい情報メッセージの「UMTS構成データ」情報要素部分内で送信される。別の方法では、この情報は、「MME構成更新メッセージ」など、既存のLTEメッセージ内に含まれる。MMEは、RACのリストと、各RACごとの、関連するRNC−idのリストとを含むMME構成更新メッセージを送る。図3は、既存のMME構成更新メッセージを使用した一実施形態を示している。従来このメッセージは、S1設定手順において以前に提供された情報を更新するためだけに使用されていた。したがって、この方法では、MME構成メッセージの目的が拡大される。別の実施形態では、この情報は、S1設定構成データの更新ではない構成データを運ぶ新しく導入されたメッセージによって運ばれる。
【0016】
本発明による別の方法では、「UMTS構成データ」情報は、MMEによって、限られた1組のeNBだけに送られる。これらは、UMTS RACに隣接する特定の1組のLTEトラッキング・エリア(TA:tracking area)に属するものとして選択されてよい。
【0017】
LTEネットワーク3内のeNB 2に接続されたUE 1は、UMTSネットワーク4の隣接セルへのハンドオーバの考慮対象となる場合、隣接セルの存在についてeNB 2に知らせる。関連するeNBがこの時点で、MMEから受け取られたUMTS構成情報を保持するので、ソースeNB 2は、そのセルのRACを備えるRNC−idのマスクを、報告された隣接グローバルUTRAN cell−idに適用することができ、それが正確な隣接RNC−idを決定することが可能となる。所与のRACについて、1つのマスクだけが一致し得ると想定される。マスキングでは、RNC−idは、UE 1によってソースeNB 2に報告されたUC−idの第1のビットと比較される。したがって、たとえば、UEが報告し(RAC=3およびUC−id=1111111111111111000000000001)、UMTS構成情報が、RAC=3について、RNC−id=16ビット長、またはRAC=3について、RNC−idが1111111111111111または1010101010101010を示す場合、正確なRNC−idは、1111111111111111であると決定することができる.この正確な隣接RNC−idは、検出された隣接UMTSセルへのハンドオーバ・メッセージ内にさらに含まれてよい。
【0018】
あるいは、RACがすべて同じ長さのRNC−idからなると想定され得るUMTSネットワークでは、LTE eNBに提供される情報は、RACのリスト、およびRACごとの適用されるマスクの長さだけを必要とする。
【0019】
本発明による方法を使用することによって、RAT間アプリケーションのためのANRFへの自己最適化ネットワーク(SON:self−optimizing network)手法が容易になり得る。新しいUMTS隣接セルが検出されると、必要な構成情報へのアクセスが自動化されて、そのセルへのハンドオーバが容易になり得る。この方法は、eNBが自動的に更新され得るので、UMTSシステム内の将来のどんなRA(再)割当てにも関係なく実施することもできる。
【0020】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱せずに、他の特定の形で具現化し、他の方法で実施することができる。上述の実施形態および方法は、すべての点において、限定的ではなく、例示的なものにすぎないと見なすべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲内に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の技術タイプの第1のネットワークおよび第2の異なる技術タイプの第2のネットワークが隣接セルを有する、それぞれ異なる技術タイプの無線ネットワーク間で情報を転送する方法であって、
前記第1のネットワーク内のノードが、前記第2のネットワークの複数のノードに関連する構成情報を受け取るステップを含み、前記情報が、前記第2の技術タイプの隣接セルに関連する無線アクセス制御装置についての識別情報を含み、さらに、
前記第1のネットワーク内の前記ノードが、前記構成情報を受け取った後、移動装置がそれを介して前記第1のネットワークにアクセスする前記第1のネットワーク内の複数のノードに識別情報を送るステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のネットワーク内の前記ノードが移動管理ノードである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のネットワークが3GPP LTE規格に従い、前記第2のネットワークがUMTS規格に従い、前記第1のネットワーク内の前記ノードが移動管理エンティティ(MME)であり、前記第2のネットワークの前記無線アクセス制御装置が無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードであり、前記識別情報がRNC−idを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別情報が、前記MMEによって、別の目的をも遂行するメッセージ内で送られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メッセージが前記MME構成メッセージである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別情報が、前記MMEによって、この目的に専用であるメッセージ内で送られる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記識別情報が、S1インターフェースを介して前記MMEから複数のeNBに送られる、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
MMEによって受け取られる前記構成情報が、所与のRACについてSGSNから取得される、請求項3乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記構成情報が、前記第1ネットワーク内の前記ノードによって、所定の間隔、ネットワークが新しく設定されるとき、ハンドオーバが企図されるとき、および前記第2のネットワークが再構成され、または別のやり方で変更されるときのうちの少なくとも1つで受け取られる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−526451(P2011−526451A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515224(P2011−515224)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004694
【国際公開番号】WO2010/006693
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】