説明

異常プリオン無害化処理方法

【課題】異常プリオンたんぱく質の無害化処理方法。
【解決手段】BSEやクロイツフェルトヤコブ病等で知られるプリオン病の原因とされる異常プリオンは、正常プリオンのたんぱく質構造の一部がらせん状からシート状に変化し複雑な立体構造となったものであり、この立体構造を解きほぐせばプリオン病の予防となる。そこで異常プリオンが含まれる可能性のある肉(脳や骨髄を含む)をゴムやポリプロピレン、ポリエチレン等でできた密閉できる袋や容器に脱気封入し、これを超高圧タンク内で100MPa〜1800MPaに加圧することにより異常プリオンの立体構造を破壊し無害化する処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BSEやクロイツフェルトヤコブ病などのプリオン病の原因とされる異常プリオンを無害化する処理方法である。
【背景技術】
【0002】
現在BESやクロイツフェルトヤコブ病などのプリオン病の原因として正常プリオンの構造の一部がらせん状からシート状に変わった異常プリオンであることがわかってきている。
【0003】
この構造の複雑化した異常プリオンの立体構造を解きほぐせば体内の酵素で分解されプリオン病の予防に役立つわけだが、最近プリオン病やアルツハイマー病、パーキンソン病等を引き起こすような複雑な立体構造のたんぱく質をときほぐして1本のひものような形に変形させるアンフォルジンという分子が酵母の細胞質の中から発見された。また、特許文献1に開示されているようにロイシン、イソロイシンやバリンなどのアミノ酸を異常プリオンたんぱく質に加えるとその増殖を抑えることが出来ることもわかってきている。
【特許文献1】特開2004−292437
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリオン病の原因とされる異常プリオンが含まれている可能性のあるものは食用肉のみならず一般の食品、化粧品、さらには一部の医薬品と非常に幅広いが、規制されているのは食用肉だけで他はチェックされることなく一般に流通している。したがって我々は常にプリオン病の危険にさらされている状態である。
【0005】
これに対し現在、プリオン病が発症した場合の治療法は研究されてはいるが、本来であれば異常プリオンが体内に取り込まれる前段階で安全を確保する処置がなされるべきである。しかしこれまでのところ有効な方法はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は異常プリオンが含まれる可能性のある肉(脳や骨髄を含む)をゴムやポリプロピレン、ポリエチレン等でできた密閉できる袋や容器に脱気封入し、これを超高圧タンク内で100MPa〜1800MPaに加圧することにより異常プリオンを無害化する処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
たんぱく質はアミノ酸の長い鎖が複雑に折りたたまれており、場所によってらせん状にクルクル巻きになっていたり、シート状に折りたたまれたりしている。このらせんが何らかの刺激によってシート状に変わることがわかっており、一般にプリオンたんぱく質で、らせん状からシー状トへの変換が次々起こるとプリオン病が発症するとみられている。本発明ではシート状の変換が進み複雑な立体構造となった異常プリオンの立体構造を超高圧処理により破壊し無害化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための形態の一例を図1を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる異常プリオン無害化装置の全体構成を示す斜視図である。
【実施例1】
【0009】
肉(脳や骨髄を含む)をゴムやポリプロピレン、ポリエチレン等でできた密閉できる袋や容器に脱気封入し3の超高圧力容器に水とともに入れふたをする。この時圧力容器内に空気が残るため8の真空ポンプユニットで容器内を完全に脱気する。材料が封入された圧力容器が中心に来るよう4のプレスフレームを移動し2の超高圧ポンプユニットにより1800MPaまで加圧する。
【0010】
所定の圧力まで達した段階で異常プリオンの立体構造は破壊されていると考えられるが安全を見て1〜20分程度圧力を維持する。
【産業上の利用可能性】
【0011】
プリオン病の危険性から開放されるだけでなく、高圧処理することにより肉のスジが切れやわらかくおいしくなる、さらには高圧殺菌されるため一石三鳥のメリットがあり利用の可能性は大いにあると考えている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】異常プリオン無害化処理装置全体構成図である。
【符号の説明】
【0013】
1 制御装置
2 超高圧ポンプユニット
3 超高圧力容器
4 プレスフレーム
5 テレビカメラ
6 障壁
7 処理品装着取出装置
8 真空ユニット
10 データロギングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリオン病の原因とされる異常プリオンを100MPa〜1800MPaに加圧処理をすることによりその構造を破壊し、異常プリオンの持つ感染性や、あるいは連鎖反応により正常プリオンを感染性のある異常プリオンに変換していく性質を無くする無害化処理方法。

【図1】
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