説明

異物検出方法および異物検出装置

【課題】液晶表示パネルの表面の押圧を一定にすることが可能な異物検出方法を提供すること。
【解決手段】一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、ローラ回転手段を液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備え、液晶表示パネルの表面をローラ回転手段により回転される押圧ローラの押圧突起によって押圧することにより、基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルの基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法および異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやテレビなどの家電製品の表示部として、液晶表示パネルが広く用いられている。液晶表示パネルは、一般には薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板とカラーフィルタ(CF)基板とからなる一対の基板が所定の間隔を置いて平行に対向配置され、両基板間に液晶が充填された構成をなしている。TFTアレイ基板には複数の画素電極がマトリクス状に形成され、CF基板にはほぼ全面に共通電極が形成されており、これら電極間に印加する電圧を変化させることで、液晶を配向制御することができるようになっている。
【0003】
このような液晶表示パネルは、TFTアレイ基板およびCF基板をそれぞれ製作した後に、両基板を貼り合わせ、それら基板間に液晶を封止することにより製造される。通常、製造された液晶表示パネルは、点灯検査等の品質検査が行われる。
【0004】
点灯検査では、液晶表示パネルの背面から光を照射すると共に、TFTアレイ基板の画素電極とCF基板の共通電極にそれぞれ検査用の信号電圧を印加して全画素を点灯状態にすることにより、液晶表示パネルの表示画面に検査用画像を可視状態にして、作業者が目視等により欠陥画素の有無が検査される。
【0005】
この場合、TFTアレイ基板に形成されたソース電極、ゲート電極、画素電極と、CF基板に形成された共通電極との間に導電性の異物が混入して両電極間が短絡している場合は、点状や線状の表示欠陥として検出されることになる。
【0006】
このような点灯検査では、導電性異物の大きさがTFTアレイ基板の各電極とCF基板の共通電極の間隔を越えるものであれば両電極間が導電性異物により短絡した欠陥箇所を検出することができるが、導電性異物の大きさがTFTアレイ基板の各電極とCF基板の共通電極の間隔程度のものでは、導電性異物による両電極間の短絡が不安定で常時発生しない場合があり、このような導電性の異物が混入した箇所のライン状や点状の表示欠陥として検出することができないことがあった。
【0007】
このような点灯検査では検出されなかった導電性異物による両電極間の短絡が不安定な状態を有した液晶表示パネルが市場において表示欠陥を発生するおそれがある。
【0008】
そこで、これを改善するため、下記特許文献1に記載されるように、液晶表示パネルの表面を図7に示されるようなゴムローラ治具50で押圧して、上述した導電性異物により両電極間の短絡が不安点な状態から短絡させた状態にすることによって表示欠陥として顕在化させることが行われている。
【0009】
ゴムローラ治具50は、ブチルゴム等から構成される円柱状のローラ51と、このローラ51が回転可能に取り付けられたグリップ部52を備えている。点灯検査の際には、液晶表示パネルの表面にローラ51を転動させながら、そのローラ51の周りの液晶表示パネルの表面を斜め上方から観察することが行われる。
【0010】
図8は、導電性の異物が混入した液晶表示パネル20の断面構造を示した図である。図示されるようにTFTアレイ基板21は、可撓性のガラス基板22の上面に画素電極23がマトリクス状に形成された構成となっている。また、CF基板26は、同じく可撓性のガラス基板27の下面に共通電極28が形成された構成となっている。そして、これら両電極23,28間には、液晶24が封入されている。
【0011】
また、TFTアレイ基板21には複数本のゲート電極31と同じく複数本のソース電極32とが交差するように形成され、隣り合うゲート電極31,31と隣り合うソース電極32,32とで囲まれた領域にはそれぞれ上述した画素電極23が形成されている。更に、ゲート電極31とソース電極32の交差部近傍には薄膜トランジスタ(TFT)33が形成されている。
【0012】
TFT33はゲート電極31に印加されるゲート信号電圧によりオン・オフされて、ソース電極32からのソース信号電圧が半導体層34とドレイン電極35を介して画素電極23に印加されるようになっている。
【0013】
また、CF基板26には、上述したゲート電極31とソース電極32を遮光するように格子形状のブラックマトリクス36が形成されており、隣り合うブラックマトリクス36,36で囲まれた領域には、赤、青、緑等の着色層37が形成されている。
【0014】
図8に示されるように、何らかの理由により、導電性異物38が画素電極23上に混入してしまっている。この場合、導電性異物38の大きさは画素電極23と共通電極28の間の間隔程度の大きさを有している。
【0015】
図示されるように、この状態では導電性異物38による両電極23,28間の短絡は発生していないが、何らかの理由で導電性異物38の先端が共通電極28に接触すると両電極23,28間の短絡が発生するという不安定な状態となっている。
【0016】
このような導電性異物38による両電極23,28間の短絡が不安点な状態から両電極23,28間を短絡させた状態にするために上述したゴムローラ治具50で液晶表示パネル20の表面を押圧して両電極間23,28の間隔を狭めることにより、導電性異物38の先端が共通電極28に接触させて、両電極23,28間の短絡による表示欠陥を生じさせることができる。
【0017】
【特許文献1】特開昭63−293581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、ゴムローラ治具50を用いて液晶表示パネル20の表面を押圧することが作業者によって行われていたため、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じている。
【0019】
したがって、例えば同一の液晶表示パネルに対するゴムローラ治具50を用いた異物検出において、ある作業者による押圧では表示欠陥が発生しなくても、別の作業者による押圧では表示欠陥が発生する場合など、作業者の違いによるバラツキがあるため、異物検出の正確さが欠けていた。
【0020】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、液晶表示パネルの表面の押圧を一定にすることが可能な異物検出方法および異物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、該押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、該ローラ回転手段を前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備え、前記液晶表示パネルの表面を前記ローラ回転手段により回転される前記押圧ローラの押圧突起によって押圧することにより、前記基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させることを要旨とするものである。
【0022】
また、上記課題を解決するため本発明は、一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出装置であって、前記液晶表示パネルの表面を押圧する複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、該押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、該ローラ回転手段を前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備えたことを要旨とするものである。
【0023】
このような構成の異物検出方法および異物検出装置によれば、複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、ローラ回転手段を液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備えて、液晶表示パネルの表面がローラ回転手段により回転される押圧ローラの押圧突起によって押圧されるので、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じないことにより、液晶表示パネルの表面の押圧を再現性良く一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【0024】
この場合、このような異物検出方法および異物検出装置において、前記複数の押圧突起が前記押圧ローラの外周面に千鳥状に配置されている構成にすれば、液晶表示パネルの表面を均一に押圧することができる。
【0025】
また、前記押圧突起が透明な樹脂により形成されている構成にすれば、液晶表示パネルの表面に発生した表示欠陥が押圧突起によって隠れてしまうことが防止されるので、表示欠陥の視認性が向上する。更に、前記押圧突起の押圧面が球面状である構成にすれば、押圧突起による押圧の際の液晶表示パネルの表面への傷付きが防止される。
【0026】
そして、前記押圧ローラの押圧突起によって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持ローラにより支持する構成にすれば、液晶表示パネルの裏面側への撓み過ぎによる破損を防止しつつ基板間の間隙を狭めることができるので、更に液晶表示パネルの異物による表示欠陥の顕在化が容易になる。
【0027】
また、前記支持ローラの表面が白色である構成にすれば、液晶表示パネルの表面に発生した表示欠陥が支持ローラの影によって遮られることが緩和されるので、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。更に、前記押圧ローラが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されている構成にすれば、液晶表示パネルに表面に発生した縦または横の線状の表示欠陥の視認性が向上する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る異物検出方法および異物検出装置によれば、複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラの回転によって、液晶表示パネルの表面が押圧されるので、液晶表示パネルの表面の押圧をバラツキなく一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明に係る異物検出方法および異物検出装置の実施の形態ついて、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の説明においては、図8で説明した液晶表示パネル20を構成する部材と同一の構成については同符号を付して説明は省略する。
【0030】
図1は本発明の一実施形態に係る異物検出装置の概略構成を示した上面図、図2は図1の異物検出装置の側面図である。
【0031】
図1および図2に示されるように異物検出装置1には、液晶表示パネル20の画像表示領域20aが露出するように矩形状に開口された開口部2aを有して液晶表示パネル20が載置されるステージ2が備えられている。
【0032】
ステージ2の上側には、ステージ2に載置された液晶表示パネル20の表面を押圧する押圧ローラ3が設けられている。この押圧ローラ3は、ステージ2の上辺と下辺との間を跨ぐように設けられている。
【0033】
押圧ローラ3は、断面が六角形のローラ部4と、このローラ部4の中心から放射状に設けられた複数の棒形状を有する押圧突起5を備えている。押圧突起5はローラ部4の6つの側面それぞれの長手方向に沿って等ピッチで設けられている。また、ローラ部4の隣り合う側面それぞれに設けられた押圧突起5は半ピッチずれるように配置されている。したがって、押圧突起5は、ローラ部4の6つの側面の長手方向に沿って千鳥状に配置されている。
【0034】
押圧突起5は、その先端の押圧面5aが球面形状を有している。また、押圧突起5は透明で弾性を有する樹脂により形成されている。
【0035】
この場合、押圧突起5が透明な樹脂により形成されているので、液晶表示パネル20の表面に発生した表示欠陥が押圧突起5によって隠れてしまうことが防止されて、表示欠陥の視認性が向上している。
【0036】
ローラ部4の両端からはそれぞれ支軸4a,4bが突設されている。支軸4a,4bは、それぞれ支持ブラケット6,6により回転自在に支持されている。
【0037】
支持ブラケット6,6は、ステージ2の上辺と下辺にそれぞれ設けられたベース部7,7の上面に取付固定されている。ベース部7,7は、ステージ2の上辺と下辺のそれぞれに沿って延びるように設けられたスライドレール8,8により、ステージ2の上辺と下辺のそれぞれに沿って左右に移動可能になっている。ベース部8,8には、モータ9,9が内蔵されており、このモータ9,9が制御部19によって駆動されると、ベース部8,8はスライドレール8,8に沿って左右方向へ移動される。
【0038】
また、ローラ部4の一方の支軸4bの先端には歯車4cが取り付けられ、この歯車4cに噛合する歯車10aが軸部材10に取り付けられている。この軸部材10は、下辺側のベース部7に取付固定されたモータ11の駆動により回転するようになっており、このモータ11の駆動に伴って押圧ローラ3は回転するようになっている。モータ11は、制御部19のよりその駆動が制御される。
【0039】
また、ステージ2の下側には、ステージ2に載置された液晶表示パネル20の裏面に当接して支持する表面が白色の支持ローラ12が設けられている。この支持ローラ12は、ステージ2の上辺と下辺との間でステージ2の開口部2aを跨ぐように設けられている。
【0040】
この場合、支持ローラ12の表面が白色であることにより、後述するバックライト14から照射される光による支持ローラ12の影によって、液晶表示パネル20の表面に発生した表示欠陥が遮られることが緩和されるようになっており、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。
【0041】
この支持ローラ12の両端からはそれぞれ支軸12a,12bが突設されている。支軸12a,12bは、それぞれ支持ブラケット13,13により回転自在に支持されている。
【0042】
支持ブラケット13,13は、ベース部7,7の下面に取付固定されており、ベース部7,7の移動に伴って左右に移動される。したがって、支持ローラ12は、液晶表示パネル20の裏面に当接しつつ転動されることになる。この場合、図示されるように支持ローラ12は押圧ローラ4が押圧する液晶表示パネル20の表面に対応した裏面を支持するように設けられている。
【0043】
図2に示されるように異物検出装置1には、ステージ2に載置された液晶表示パネル20に向かって下方から光を照射するバックライト14が備えられている。また、ステージ2に載置された液晶表示パネル20の端部に形成された信号入力部に検査信号を入力する信号入力ピン15を有したフレーム16が備えられている。
【0044】
押圧ローラ3を回転させるモータ11と、ベース部7,7に内蔵されたモータ9,9の駆動は、制御部19により制御されている。この制御部19により、押圧ローラ3は回転されると共に、液晶表示パネル20の表面に対して平行に移動されることになる。
【0045】
尚、図1および図2は、押圧ローラ3に設けられた押圧突起5が、液晶表示パネル20の表面に当接し始めた状態を示している。
【0046】
また、図3は図1の異物検出装置1が備える押圧ローラ3が右方向に移動しつつ60度回転した状態を示した図、図4は図3の異物検出装置1の側面図を示している。この場合、図3および図4は、押圧ローラ3に設けられた押圧突起5が、液晶表示パネル20の表面に当接しつつ最下点に位置している状態を示している。
【0047】
このように、押圧ローラ3を中心に回転する押圧突起5は、その最下点に位置する前後において、液晶表示パネル20の表面を押圧することができるようになっている。
【0048】
図5は、このような押圧ローラ3の押圧突起5によって押圧される部位17を示した図である。図示されるように、押圧突起5のよって押圧される部位17は、液晶表示パネル20の画像表示領域20aに対して均一に配置されている。
【0049】
次に、このような構成の異物検出装置1の動作の手順について説明する。先ず、異物検出装置1のステージ2上に液晶表示パネル20を載置する。このとき、液晶表示パネル20の表面の画像表示領域20aが、ステージ2の開口部2a内に位置するように載置される。
【0050】
次に、フレーム16を下降させて液晶表示パネル20の信号入力部に信号入力ピン15を接触させる。これにより図示しない検査信号を発生する回路と液晶表示パネル20の信号入力部が信号入力ピン15を介して電気的に接続された状態になる。
【0051】
そして、バックライト14を点灯させた状態で、液晶表示パネル20の信号入力部に検査信号を入力することにより、液晶表示パネル20の画像表示領域20aの全ての画素が可視状態にされる。
【0052】
次に、制御部19によりモータ11とモータ9,9がそれぞれ駆動されると、押圧ローラ3が回転されると共に、ベース部7,7が右方向に移動される。
【0053】
押圧ローラ3のローラ部4の外周に千鳥状に配置された押圧突起5が、液晶表示パネル20の表面の画像領域20aを押圧していくとき、液晶表示パネル20は、押圧ローラ3の押圧突起5と支持ローラ12の上面との間に挟まれて、その基板21,26間の間隙が狭められることになる。
【0054】
この場合、押圧突起5が透明な樹脂により形成されているので、押圧突起5による押圧の際に液晶表示パネル20の画像表示領域20aに発生した表示欠陥が押圧突起5によって隠れてしまうことが防止されており、表示欠陥の視認性が良くなっている。
【0055】
また、押圧の開始と終わりにおいて押圧突起5が液晶表示パネル20の表面に対して斜めに接触するので、押圧された領域が押圧突起5の影になりにくくなっている。
【0056】
押圧ローラ3によって押圧されたとき、および押圧された後の液晶表示パネル20の検査画像を観察して、表示欠陥の有無を確認する。具体的には、図2および図4の矢印18に示されるように、押圧ローラ3の周りの液晶表示パネル20の表面を斜め上方から観察する。
【0057】
このとき図8に示されるように、液晶24に混入した導電性の異物38が、例えば画素電極23と共通電極28を短絡させる場合には点状の表示欠陥として検出される。
【0058】
また、導電性の異物38がゲート電極31と共通電極28を短絡させる場合には、横方向に延びる線状の表示欠陥として検出される。更に、導電性の異物38がソース電極32と共通電極28を短絡させる場合には、縦方向に延びる線状の表示欠陥として検出される。
【0059】
このように可視状態にされた液晶表示パネル20に表示された検査画像が作業者の目視により観察されて、その検査画像中に導電性の異物38が原因の点状の表示欠陥や線状の表示欠陥がある場合は不良品とされる。
【0060】
このように異物検出装置1は、複数の押圧突起5が外周面に設けられた押圧ローラ3と、この押圧ローラ3を回転させるローラ回転手段(歯車4c,モータ11等)と、ローラ回転手段を液晶表示パネル20の表面に対して平行に移動させるローラ移動手段(ベース部7,スライドレール8,モータ9)とを備えており、液晶表示パネル20の表面がローラ回転手段により回転される押圧ローラ3の押圧突起5によって押圧されるようになっている。
【0061】
したがって、図7に示すゴムローラ治具50を用いて液晶表示パネル20の表面を押圧することが作業者によって行われる場合と比べて、押圧する位置のバラツキ、押圧力のバラツキ、押圧するタイミングのバラツキなどが生じず、液晶表示パネル20の表面の押圧を再現性良く一定にすることができ、正確な異物検出を行うことができる。
【0062】
この場合、複数の押圧突起5が押圧ローラ3の外周面に千鳥状に配置されているので、図5に示されるように液晶表示パネル20の画像表示領域20a全体を均一に押圧することができる。
【0063】
また、押圧突起5が透明な樹脂により形成されている構成なので、液晶表示パネル20の表面に発生した表示欠陥が押圧突起5によって隠れてしまうことが防止され、表示欠陥の視認性が向上している。
【0064】
更に、押圧突起5の押圧面5aが球面状である構成なので、押圧突起5による押圧の際の液晶表示パネル20の表面への傷付きが防止されている。
【0065】
そして、押圧ローラ3の押圧突起5によって表面が押圧される液晶表示パネル20の裏面を支持ローラ12により支持する構成なので、液晶表示パネル20の裏面側への撓み過ぎによる破損を防止しつつ基板21,26間の間隙を狭めることができ、更に液晶表示パネル20の異物による表示欠陥の顕在化が容易になっている。
【0066】
また、支持ローラ12の表面が白色である構成なので、液晶表示パネル20の表面に発生した表示欠陥が支持ローラ12の影によって遮られることが緩和され、表示欠陥の視認性の低下が抑制されている。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、図6の変形例に示されるような、異物検出装置1に設けられた押圧ローラ3が、液晶表示パネル20の一辺に対して所定角度傾斜されている構成にしても良い。
【0068】
このようにすれば、上述したような液晶表示パネル20の一辺に対して平行に押圧ローラ3を設けた場合よりも、図示されるような液晶表示パネル20に表面に発生した縦の線状表示欠陥40の視認性が向上することになる。
【0069】
また、1本の押圧ローラ3と1本の支持ローラ12を備えた異物検出装置1について説明したが、これらの本数には限定されず、更に多くの押圧ローラ3と支持ローラ12を備えた構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示パネルの異物検出装置の概略構成を示した上面図である。
【図2】図1の異物検出装置を側方から見た側面図である。
【図3】図1の異物検出装置が備える押圧ローラが右方向に移動しつつ60度回転した状態を示した図である。
【図4】図3の異物検出装置を側方から見た側面図である。
【図5】図1の異物検出装置によって押圧された液晶表示パネルの部位を示した図である。
【図6】図1の異物検出装置の変形例を示した図である。
【図7】従来用いられてきた液晶表示パネルの表面を押圧するゴムローラ治具の概略構成を示した外観斜視図である。
【図8】液晶表示パネルの基板間に導電性異物が混入された状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 異物検出装置
2 ステージ
2a 開口部
3 押圧ローラ
5 押圧突起
5a 押圧面
7 ベース部
8 スライドレール
9 モータ
11 モータ
12 支持ローラ
14 バックライト
15 信号入力ピン
16 フレーム
17 押圧部位
19 制御部
20 液晶表示パネル
20a 画像表示領域
21 TFTアレイ基板
24 液晶
26 CF基板
38 導電性異物
40 表示欠陥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出方法であって、複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、該押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、該ローラ回転手段を前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備え、前記液晶表示パネルの表面を前記ローラ回転手段により回転される前記押圧ローラの押圧突起によって押圧することにより、前記基板間に混入した異物による表示欠陥を顕在化させることを特徴とする異物検出方法。
【請求項2】
前記複数の押圧突起が前記押圧ローラの外周面に千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の異物検出方法。
【請求項3】
前記押圧突起が透明な樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の異物検出方法。
【請求項4】
前記押圧突起の押圧面が球面状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項5】
前記押圧ローラの押圧突起によって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持ローラにより支持することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項6】
前記支持ローラの表面が白色であることを特徴とする請求項5に記載の異物検出方法。
【請求項7】
前記押圧ローラが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項8】
一対の可撓性の基板間に液晶が介在された液晶表示パネルの該基板間に混入した異物の有無を検出する異物検出装置であって、前記液晶表示パネルの表面を押圧する複数の押圧突起が外周面に設けられた押圧ローラと、該押圧ローラを回転させるローラ回転手段と、該ローラ回転手段を前記液晶表示パネルの表面に対して平行に移動させるローラ移動手段とを備えたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項9】
前記複数の押圧突起が前記押圧ローラの外周面に千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の異物検出装置。
【請求項10】
前記押圧突起が透明な樹脂により形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の異物検出装置。
【請求項11】
前記押圧突起の押圧面が球面状であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の異物検出方法。
【請求項12】
前記押圧ローラの押圧突起によって表面が押圧される前記液晶表示パネルの裏面を支持すると共に前記押圧ローラの移動に伴って前記液晶表示パネルの裏面に対して平行に移動される支持ローラを備えていることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の異物検出装置。
【請求項13】
前記押圧ローラと前記支持ローラが前記ローラ移動手段によって共に移動されることを特徴とする請求項12に記載に異物検出装置。
【請求項14】
前記支持ローラの表面が白色であることを特徴とする請求項12または13に記載の異物検出装置。
【請求項15】
前記押圧ローラが前記液晶表示パネルの一辺に対して所定角度傾斜されていることを特徴とする請求項8から14のいずれかに記載の異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−14419(P2010−14419A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172190(P2008−172190)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】