説明

異物検査装置

【課題】容器内に好適に光を照射して異物を撮像できる異物検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】正立した容器2を載置する台座3aと、台座3aに載置された容器2の上方で水平方向に広がって容器2を上方から押さえつける保持キャップ4bを有する容器保持装置4と、容器2を底部の側から撮像した画像データを取得する撮像装置52と、照明装置51と、を含んで構成される異物検査装置とする。保持キャップ4bは白色や乳白色の樹脂で形成され、照明装置51は、容器2を押さえつけている保持キャップ4bの下方から保持キャップ4bに向かって上方に光を照射し、照明装置51が照射した光を保持キャップ4bが下方に向かって乱反射するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が充填された容器に混入した異物の有無を検査する異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、透明または半透明の容器を回転(自転)させて当該容器に充填された液体に容器の周囲に沿った水流を発生させるとともに容器内に向かって光を照射し、照射された光が、水流によって舞い上がった異物で反射される反射光を撮像装置で撮像する技術が開示されている。
また特許文献2には、容器に充填された液体のみが容器内で回転している状態を作り出して容器の外から複数の検査画像を取得し、液体の回転とともに移動する異物を、容器の傷や汚れと区別する技術が開示されている。特許文献2に開示される技術では、液体が充填された容器を回転させた後で急激に回転を停止させ、慣性によって液体のみが回転している状態を作り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−201003号公報
【特許文献2】特開2005−070013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体が充填される容器が円筒形状の場合は、正立した状態の容器を水平面上で回転(自転)させることによって、充填した液体に、容器に沿った方向の水流を発生させることができる。したがって、特許文献1に開示されるように、水流によって異物を舞い上がらせることができ、舞い上がった異物が反射した光を撮像装置で撮像することによって、容器内における異物の有無を検査できる。
また、特許文献2に開示されるように、容器に充填された液体の回転によって異物を移動させることができ、容器とともに静止している、例えば容器の傷や汚れと、容器に充填された液体に混入した異物と、を識別することができる。
【0005】
これに対し、例えば点眼薬が充填される容器など、両側面から押しつぶされたように扁平した形状の容器は、正立した容器を水平面上で回転(自転)させる際に、急回転しすぎると泡が発生するため、泡の発生を抑える程度に回転させると充填された液体に容器内で好適な水流を発生させることができず、異物を効果的に舞い上がらせることができない。
このように有効な水流を発生させることができない容器の異物検査は、例えば、容器上方から容器内に光を照射して容器下方から当該容器の底部を撮像し、撮像された画像データから底部に沈殿する異物を抽出する構成が好ましい。
【0006】
しかしながら、液体を容器に充填する充填装置では容器の転倒を防止するために、例えば特許文献1に示されるような容器保持手段によって、容器は正立した状態で上方から押さえつけられており、上方から容器に光を照射することが困難な構成となっている。
【0007】
そこで本発明は、容器内に好適に光を照射して異物を撮像できる異物検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、正立した容器を載置する台座と、前記台座に載置された前記容器の上方で水平方向に広がって当該容器を上方から押さえつける保持部を有する容器保持装置と、前記容器を底部の側から撮像した画像データを取得する撮像装置と、照明装置と、を含んで構成される異物検査装置とする。そして、前記照明装置は、前記容器を押さえつけている前記保持部の下方から当該保持部に向かって上方に光を照射し、前記保持部は、前記照明装置が照射した光を下方に向かって反射するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、容器内に好適に光を照射して異物を撮像できる異物検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は異物検査装置の構成を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。
【図2】(a)は台座の構成および照明装置と撮像装置の配置の詳細を示す図、(b)は台座の構造を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は液面の状態、反射光および入射光の状態、画像データの状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1の(a)に示すように、本実施形態に係る異物検査装置1は、透明または半透明の容器2に薬品などの透明な液体を充填する生産ライン(図示せず)に組み込まれている。容器2は薬品などの液体が充填された後に異物検査装置1まで搬送ライン10によって搬送され、異物検査装置1内では正立した状態で搬送装置3によって移動する。なお、容器2はガラスやアクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を素材とする透明または半透明な容器であることが好ましい。
【0012】
容器2は略円筒形であってもよいがその形状は限定されない。例えば、点眼薬が充填される容器2は、利用者が点眼薬を滴下しやすいように、両側面が押しつぶされたような形状、つまり、側面が平面状に形成された扁平な形状となっているが、このような扁平な形状の容器2であってもよい。
【0013】
搬送装置3は、容器2が正立した状態で載置される台座3aが、環状に回転駆動(公転)する検査ロータ3bに固定されてなる。検査ロータ3bには周方向に複数の台座3aが等間隔に備わり、これらの台座3aは検査ロータ3bの一定速度での回転駆動(例えば、反時計方向への回転駆動)とともに移動するように構成される。
また台座3aは、後記するように水平面内で中心軸周りに回転(自転)可能に構成されている。
なお、本実施形態においては、容器2の底部が台座3aに面するように載置されて起立した状態を容器2が正立した状態とする。そして、上下方向は、正立した容器2の底部の側を下方とする。
【0014】
異物検査装置1の入口部1aには、生産ラインで液体が充填された容器2を搬送する搬送ライン10に接続されて、容器2を異物検査装置1に搬入する小径の搬入ロータ1cが備わっている。容器2は搬送ライン10によって異物検査装置1の入口部1aまで搬送されると、回転駆動する搬入ロータ1cによって連続的に検査ロータ3bの台座3aに載置されるように構成される。
【0015】
さらに異物検査装置1の出口部1bには、搬送ライン10に接続されて異物検査が終了した容器2を異物検査装置1から搬出する小径の搬出ロータ1dが備わっている。そして、入口部1aから異物検査装置1に搬入された容器2は、検査ロータ3bの回転(公転)にともなって移動する間に異物検査され、回転駆動する搬出ロータ1dによって異物検査装置1から搬出されて搬送ライン10によって次の生産工程まで搬送される。
そして、異物検査装置1の入口部1aから出口部1bまでの間には、照明装置51と撮像装置52と制御装置53を含んで構成される検査部50が備わっている。
【0016】
台座3aは略円筒形を呈して中心軸の軸線を上下方向として配設され、図1の(b)に示すように、検査ロータ3bに固定されて台座3aの下方に配置されるモータ3cなどの回転駆動手段によって、水平面内で中心軸周りに回転(自転)可能に構成される。
なお、モータ3cへの電源は、例えば図示しないスリップリングを介して、異物検査装置1に備わる電源装置(図示せず)から供給される構成とすればよい。
【0017】
また、検査ロータ3bには台座3aの上方に延出するようにアーム部3dが形成され、アーム部3dには、台座3aに載置された容器2を当該台座3aに押さえつけて容器2をホールド(保持)する容器保持装置4が備わっている。容器保持装置4は、台座3aの上方で上下動自在にアーム部3dに支持される保持杆4aの下方(台座3aの側)に、容器2を押さえつけるための保持キャップ4bが保持部として取り付けられて形成される。
また、保持杆4aは軸線を中心として回転自在にアーム部3dに支持されることが好ましい。この構成によると、台座3aに載置された容器2が台座3aの自転とともに自転するときに、容器2を押さえつけている容器保持装置4も回転し、台座3aおよび容器2の自転が妨げられない。また、容器保持装置4によって、台座3aの自転による容器2の転倒が防止される。
【0018】
保持キャップ4bは、台座3aの側(すなわち下方)が漏斗状に広がって形成され、保持杆4aが下方に移動したときに、容器2を台座3aとの間に挟み込んで容器2を押さえつけるようにホールドする。
この構成によると、保持キャップ4bの下方は容器2の上方で水平方向に広がって容器2を押さえつけることができる。さらに、保持キャップ4bが容器2の側に向かって漏斗状に広がる形状であるため、容器2の上部が保持キャップ4bの頂部に形成される狭部に嵌まり込む構成となり、保持キャップ4bで容器2を好適にホールドできる。
【0019】
例えば、搬入ロータ1cによって容器2が台座3aに載置されたときに容器保持装置4が容器2に向かって下方に移動する構成とすれば、液体が充填された容器2を容器保持装置4の保持キャップ4bでホールドすることができる。また、容器保持装置4が適切な重量を有する場合、容器保持装置4は自重で容器2を台座3aに押さえつけることができる。
または、容器保持装置4を下方に付勢する付勢手段(図示せず)が備わる構成であってもよい。この構成の場合、付勢手段が発生する付勢力によって容器保持装置4が容器2を台座3aに押さえつける。
【0020】
本実施形態に係る異物検査装置1は、容器2に充填された液体に混入して容器2の底部に沈殿している異物の有無を検査する検査装置であり、図1の(a)に示すように、容器2を底部の側から撮像した画像データを取得する撮像装置52と、後記するように保持キャップ4bで反射させることで容器2の上方から下方に向かって光を照射する照明装置51と、制御装置53と、を含んで構成される検査部50を有する。そして、検査部50では、透明または半透明の容器2を底部の側から撮像装置52で撮像して画像データを取得した後、この画像データが制御装置53に入力され、制御装置53が入力された画像データを利用して異物の有無を判定するように構成される。
【0021】
容器2に混入する異物は光を透過しない場合が多く、制御装置53は、容器2に充填された液体(透明または半透明)を上方から底部に向かって透過する光を底部の側から撮像装置52が撮像して取得する画像データにおいて、異物で光の透過が遮断されて形成される低輝度部(黒色部)を抽出したときに、異物が混入したと判定するように構成される。
そのため、画像データにおいて異物がない領域は高輝度部(白色)であることが好ましく、この構成によって異物とその周囲の輝度の差を大きくすることができ、制御装置53による異物(低輝度部)の検出の精度を向上できる。
そこで、容器2の上方から底部に向けて光(白色光)を照射して、異物がない領域を高輝度にする構成が好ましい。
【0022】
照明装置51は、キセノンランプやLEDを光源として利用できるが、その種類は限定されない。また、照明装置51は、容器2が異物検査装置1に搬送されて検査部50で異物検査されるときに撮像装置52が撮像動作するタイミングに同期して発光するストロボ装置であってもよいし、異物検査装置1の稼動中は常時発光する構成であってもよい。
また、撮像装置52は、受光素子として、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)などのエリアセンサを備えて画像データを取得するカメラを利用できるが、その種類は限定されない。また、撮像装置52は、静止画の画像データを取得する装置に限定されず動画を撮像する装置であってもよい。
【0023】
また、搬送装置3に備わって容器2が載置される台座3aは、異物検査装置1の検査部50において搬送装置3の側方に配置される撮像装置52が容器2を底部の側から撮像可能に構成される。
例えば、図2の(a)に示すように、台座3aは、円柱状の本体部31の上方に容器2が載置される載置台33が嵌め込まれ、下方が検査ロータ3bに取り付けられて構成される。なお、図2の(a)は手前が台座3aの搬送方向になる。
さらに、図2の(a)、(b)に示すように、本体部31は側面の一部に、上方から下方に向かって略45度に傾斜した傾斜部を有する切り欠き部が撮像窓31aとして形成されている。そして、この撮像窓31aの傾斜部には、切り欠き部の上方から照射される光を本体部31の側面の方向に屈折させるプリズム32が備わっている。
【0024】
なお、プリズム32に替わって、上方から照射される光を本体部31の側面の方向に反射させるミラー(図示せず)が備わる構成であってもよい。
または、傾斜部を有することなく、切り欠き部の上方から照射される光を本体部31の側面の方向に屈折させるようにプリズム32が固定される構成であってもよい。
【0025】
また、本体部31の上方には、上方が閉塞した円筒状の載置台33がはめ込まれる。載置台33の閉塞した部分には容器2の底部の形状と略同型の開口部(被写体窓30)が形成される。そして、被写体窓30の周囲には、図2の(b)に示すように、容器2の底部の周囲が嵌合する凹部30aが形成されることが好ましい。この構成によると、載置台33において、容器2の底部を被写体窓30の周囲に形成される凹部30aに嵌合させることができ、被写体窓30と容器2の底部がズレることを防止できる。なお、図示はしないが、載置台33が本体部31に対して回転することを防止するとともに、被写体窓30が好適に撮像窓31aに投影される位置で載置台33を係止する係止機構(まわり留め)が備わっていることが好ましい。
【0026】
このような構成の台座3aでは、被写体窓30の上方から光が照射されたとき、その光は被写体窓30を透過してプリズム32で本体部31の側面の方向に屈折される。
また、透明または半透明の容器2が被写体窓30に嵌合し、さらに、容器2に透明の液体が充填されている場合に被写体窓30の上方(容器2の上方)から光が照射されると、その光は、容器2、液体、および被写体窓30を透過し、プリズム32で本体部31の側面の方向に屈折される。
なお、被写体窓30や撮像窓31aは、ガラスやアクリルなど透明な板材等で覆われた構成であってもよいし、板材等で覆われることなく開放された構成であってもよい。
【0027】
そして、異物検査装置1に備わる撮像装置52は、撮像窓31aを本体部31の側面の側から撮像するように、台座3aの搬送方向に対する横方向(本体部31の側面を臨む側)に配置され、被写体窓30の上方から入射してプリズム32で屈折した光を、撮像窓31aを介して撮像装置52の受光素子で受光するように構成される。
【0028】
このように台座3aが構成されることによって、全ての台座3aに載置される容器2を検査部50に備わる1台の撮像装置52で撮像することができる。したがって、全ての台座3aに撮像装置52を備える必要がなく、異物検査装置1を簡素な構成とすることができる。
【0029】
そして、異物検査装置1の検査部50に備わる照明装置51は、上方から容器2の底部に向けて光を照射するように構成されることが好ましい。
前記したように、撮像装置52は上方から容器2、容器2に充填される液体、被写体窓30を透過し、撮像窓31aのプリズム32によって本体部31の側面の方向に屈折された光を受光素子で受光して画像データを取得する装置であり、照明装置51は被写体窓30の上方から下方に向かって好適に光を照射する構成が好ましい。しかしながら、台座3aに載置された容器2の上方には容器保持装置4の保持キャップ4bが配置されるため、照明装置51を容器2の上方に配置することは困難である。
【0030】
そこで、本実施形態に係る照明装置51は、例えば、図2の(a)に示すように、台座3aの搬送方向に対する横方向から検査ロータ3bの側に向かって延設される照明用アーム51aに取り付けられて、発光部51bが保持キャップ4bを下方から臨むように配設される。そして、下方(容器2の底部の側)から保持キャップ4bの下面(漏斗状に広がっている内側)に向かって上方に光(白色光が好ましい)を照射するように構成される。さらに、保持キャップ4bは、例えば白色や乳白色の樹脂(PET100、PET200など)で形成されて、照明装置51から照射される光を下方に向けて好適に反射する構成が好ましい。
なお、保持キャップ4bは、アルミ鋼やステンレス鋼など樹脂以外の素材からなり、下面(漏斗状に広がっている内側)に白色や乳白色の樹脂膜が貼り付けられる構成や白色などの塗料が塗布される構成であってもよい。
【0031】
この構成によると、照明装置51から保持キャップ4bの下面(内側)に向かって照射された光が、保持キャップ4bの下面(内側)で容器2の側に向かって反射し、反射光L1となって容器2に向かって照射される。このとき、容器2の上方に位置する保持キャップ4bが反射する反射光L1は、容器2の上方から下方に向かって照射される。したがって、照明装置51は、保持キャップ4bを介して容器2の上方から下方に向かって光を照射できる。
また、保持キャップ4bを白色や乳白色とすることで、照明装置51が白色光を発光する場合には反射光L1を白色(乳白色)光とすることができる。そして、透明(半透明)の液体が充填された容器2を透過する保持キャップ4bの反射光L1を撮像装置52が撮像する画像データを、高輝度部で形成される白色の画像とすることができる。
また、検査部50に備わる照明装置51によって、全ての台座3aに載置された容器2に光を照射できる。したがって、全ての台座3aに照明装置51を取り付ける必要がなく、異物検査装置1(図1の(a)参照)を簡素な構成とすることができる。
【0032】
なお、照明装置51は、図2の(a)に示すように、検査ロータ3bを挟んで対峙する位置に配置されていてもよい。また、図1の(a)に示すように、台座3aの搬送方向に沿って2台またはそれ以上の照明装置51が並んで配置されていてもよい。
【0033】
また、保持キャップ4bの下面が鏡面状に加工されていると、保持キャップ4bからは、照明装置51の発光部の形状に反射光L1が照射される。例えば、照明装置51がスポットライトの場合、保持キャップ4bからはスポット状に反射光L1が照射され、容器2に均一に光が照射されない。したがって、容器2には反射光L1が照射される箇所とされない箇所が生じ、撮像装置52が取得する画像データに輝度のムラが生じる。画像データにこのような輝度のムラが生じると、例えば輝度の低い位置に異物による黒色部が発生している場合は、異物による黒色部と周囲の輝度の差が小さくなって制御装置53による異物の検出精度が低下する場合がある。
【0034】
そこで、保持キャップ4bの下面は鏡面状に加工されることなく、適度な粗さの微細な凹凸を持った面(いわゆるつや消し面)であることが好ましい。このように構成される保持キャップ4bは、照明装置51から照射された光を容器2の側に乱反射する。したがって、照明装置51がスポットライトであっても、容器2には保持キャップ4bで乱反射した散乱光が均一に照射され、撮像装置52が取得する画像データに発生する輝度のムラを抑制できる。そして、異物による黒色部と周囲の輝度の差を大きくすることができ、制御装置53による異物の検出精度を向上できる。
【0035】
また、例えば静止した状態が継続した場合など容器2に充填される液体が安定しているときには、図3の(a)に示すように液面S1は水平面となり、液面S1に対する入射角の小さな入射光L2は液面S1で反射される。このため、保持キャップ4bが小さくても保持キャップ4bの周囲からの入射光L2は底部を透過せず、保持キャップ4bからの白色の反射光L1のみが容器2の底部を透過する。したがって、撮像装置52(図1の(a)参照)が取得する画像データは白色(高輝度部)となる。この場合、異物による黒色部(低輝度部)と周囲の輝度の差が大きく、制御装置53(図1の(a)参照)による異物の検出精度が高められる。
【0036】
しかしながら、異物検査装置1(図1の(a)参照)における容器2は検査ロータ3b(図1の(a)参照)とともに移動することから容器2に充填されている液体の液面S1が揺れて波立つ場合がある。そして、液面S1が波立つと、液面S1が水平面のときには反射していた、保持キャップ4bの周囲からの入射光L2が液面S1で屈折して、図3の(b)に示すように容器2の底部を透過する場合がある。この場合、保持キャップ4bの周囲からの入射光L2は白色とは限定されないため、撮像装置52(図1の(a)参照)が取得する画像データには輝度のムラが生じる。そして前記したように、異物による黒色部と周囲の輝度の差が小さくなって制御装置53(図1の(a)参照)による異物の検出精度が低下する場合がある。
【0037】
このような液体の揺れによって、撮像装置52(図1の(a)参照)が取得する画像データに輝度のムラが生じることを抑制するため、図3の(c)に示すように、保持キャップ4bの下方を十分広く形成し、容器2に充填された液体の液面S1が揺れた場合であっても保持キャップ4bからの反射光L1のみが容器2の底部を透過するような構成が好ましい。この構成によると、保持キャップ4bからの白色の反射光L1のみが容器2の底部を透過することになり、撮像装置52が取得する画像データは異物による黒色部以外が全て白色(高輝度部)となる。したがって、異物による黒色部(低輝度部)と周囲との輝度の差を大きくすることができ、制御装置53による異物の検出精度を向上できる。
【0038】
なお、保持キャップ4bの下方の大きさは、制御装置53による異物の検出精度が好適になるように、実験計測等によって適宜決定される大きさとすればよい。
例えば、保持キャップ4bの周囲から容器2に向かって照射される光が液面S1に入射しない程度に保持キャップ4bの下方が大きく(広く)形成されていることが好ましい。
【0039】
以上のように構成される異物検査装置1(図1の(a)参照)は、例えば、台座3a(図1の(a)参照)に載置された容器2(図1の(a)参照)を、検査部50(図1の(a)参照)に備わる図示しない容器検知センサが検出したとき、制御装置53(図1の(a)参照)は検査ロータ3b(図1の(a)参照)を停止するとともに台座3aを回転(自転)させて、本体部31(図2の(b)参照)の側面の撮像窓31a(図2の(b)参照)を撮像装置52(図1の(a)参照)の側に向ける。そして、制御装置53は、照明装置51(図1の(a)参照)に制御信号を送信して発光させ、同時に撮像装置52に制御信号を送信して容器2を底部の側から撮像する。撮像装置52が撮像して得られる画像データは制御装置53に入力されて異物の有無が判定される。
なお、例えば図示しない回転位置センサで台座3aの回転位置を検出する構成にすることによって、制御装置53は、容易に撮像窓31aを撮像装置52の側に向けることができる。
【0040】
制御装置53は、入力された画像データにおいて、予め設定される基準値より輝度の低い低輝度部(黒色部)がある場合、これを異物と判定する。そして制御装置53は、当該画像データの被写体となった容器2に異物が混入していると判定する。
なお、制御装置53が、異物が混入していると判定した容器2は、異物検査装置1に備わる図示しない排斥ラインから排斥される構成が好ましい。そして、異物が混入していないと判定された容器2のみが、その後の生産工程を経て製品として出荷される構成が好適である。
【0041】
このように、本実施形態に係る異物検査装置1(図1の(a)参照)は、下方から、容器保持装置4の保持キャップ4b(図2の(a)参照)の下面(内側)に向かって上方に光を照射する照明装置51(図2の(a)参照)を備える構成とする。さらに、保持キャップ4bをPET100などの白色や乳白色の樹脂で成形し、照明装置51から照射された光を乱反射しやすいように構成する。この構成によって、容器保持装置4が容器2(図2の(a)参照)を上方から押さえつける状態であっても、照明装置51は、容器2の上方から下方に向かって光を照射できる。
したがって、撮像装置52(図2の(a)参照)が容器2を底部の側から撮像する構成としても、容器2に混入した異物と周囲の輝度の差の大きな画像データを取得できる。そして、制御装置53(図1の(a)参照)によって精度よく異物を検出できる。
【符号の説明】
【0042】
1 異物検査装置
2 容器
3 搬送装置
3a 台座
3b 検査ロータ
4 容器保持装置
4b 保持キャップ(保持部)
30 被写体窓
50 検査部
51 照明装置
52 撮像装置
53 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立した容器を載置する台座と、
前記台座に載置された前記容器の上方で水平方向に広がって当該容器を上方から押さえつける保持部を有する容器保持装置と、
前記容器を底部の側から撮像した画像データを取得する撮像装置と、
照明装置と、を含んで構成される異物検査装置であって、
前記照明装置は、前記容器を押さえつけている前記保持部の下方から当該保持部に向かって上方に光を照射し、
前記保持部は、前記照明装置が照射した光を下方に向かって反射するように構成されていること、を特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記保持部が白色または乳白色の樹脂で成形されていることを特徴とする請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記照明装置が照射した光を乱反射するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記保持部は、上方から下方に向かって漏斗状に広がっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−44565(P2013−44565A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180752(P2011−180752)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】