説明

異物検知センサの製造方法及び異物検知センサ

【課題】被覆部材を容易に装着することが可能な異物検知センサの製造方法を提供する。
【解決手段】センサ線21に対して給電コネクタ31が設けられる側の長手方向端部から熱収縮チューブ35を外挿した後に、電極線23,24とターミナル33,34とを溶接にて接続する。次に、センサ線21に外挿されている熱収縮チューブ35を給電コネクタ31側に移動させてセンサ線21と給電コネクタ31とに跨がるように配置し、該熱収縮チューブ35にて接続箇所Cを覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検知センサの製造方法及び異物検知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ等の駆動力により電動でドアパネルを移動させる電動スライドドア装置には、車両の乗降口の周縁部とドアパネルとの間への異物の挟み込みを防止するために、乗降口の周縁部とドアパネルとの間に存在する異物を検知する異物検知センサを備えたものがある。このような異物検知センサは、例えば特許文献1に示すように、長尺状の絶縁体の内部に配置された電極線を有するセンサ部を有している。電極線の端部は絶縁体の長手方向一端部から突出しており、その突出する端部にはリード線が接続され、該導通線からの信号出力が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−237289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような異物検知センサでは、センサ部の電極線とリード線との接続箇所が樹脂モールドされているが、このような構成の他に筒状の被覆部材で接続箇所を覆う構成が考えられる。被覆部材を接続箇所に装着する際には、センサ部において接続箇所とは反対側の長手方向端部から被覆部材を外挿するか、又はリード線側から外挿するかが考えられる。しかしながら、センサ部もリード線も長尺状の部材であるため、接続箇所に辿り着くまでの距離が長く、被覆部材の装着が煩雑となる虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、被覆部材を容易に装着することが可能な異物検知センサの製造方法及び異物検知センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、長尺状の絶縁体の内部に配置された電極線を有するセンサ部と、前記センサ部の長手方向一端部に設けられ、前記絶縁体の端部から突出する前記電極線の端部と接続されるターミナルから前記センサ部の信号出力を行う給電コネクタと、前記センサ部と前記給電コネクタとに跨って取り付けられ、前記電極線と前記ターミナルとの接続箇所を覆う筒状の被覆部材とを備えた異物検知センサの製造方法であって、前記センサ部に対して前記給電コネクタが設けられる側の長手方向端部から前記被覆部材を外挿する外挿工程と、前記外挿工程後に前記電極線と前記ターミナルとを接続する接続工程と、前記接続工程後に前記センサ部に外挿されている前記被覆部材を前記給電コネクタ側に移動させて前記センサ部と前記給電コネクタとに跨がるように配置し、該被覆部材にて前記接続箇所を覆う被覆工程とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、給電コネクタをセンサ部に接続する前に、被覆部材をセンサ部に対して給電コネクタが設けられる側の長手方向端部(接続側端部)から外挿する。これにより、センサ部における給電コネクタとの接続側端部とは反対側の端部から被覆部材を外挿し、接続側端部までセンサ部の略全長分を移動させないで済むため、被覆部材を容易に装着することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異物検知センサの製造方法において、前記給電コネクタは、前記センサ部の長手方向において前記被覆部材と当接可能な突き当て部を有し、前記被覆工程において、前記被覆部材を前記突き当て部に突き当たるまで移動させることを特徴とする。
【0009】
この発明では、被覆工程において被覆部材を給電コネクタの突き当て部に突き当てることで被覆部材の長手方向の位置決めをすることができるため、被覆部材をより容易に装着することが可能となる。また、給電コネクタに突き当て部を備えた構成では、センサ部に給電コネクタを接続させた状態で、その給電コネクタ側の端部から被覆部材を外挿することが困難であるため、給電コネクタをセンサ部に接続する前に被覆部材をセンサ部の前記接続側端部から外挿することによる被覆部材の装着を容易にする効果がより顕著なものとなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の異物検知センサの製造方法において、前記被覆部材は熱収縮チューブであり、前記被覆工程後に前記熱収縮チューブを加熱収縮させて前記センサ部及び前記給電コネクタに対して固定することを特徴とする。
【0011】
この発明では、加熱収縮された熱収縮チューブがセンサ部と給電コネクタに密着してシール性が確保されるため、電極線とターミナルとの接続箇所への液体の浸入を防止することができる。また、外挿工程において熱収縮チューブをセンサ部に遊嵌状態で外挿することが可能となるため、被覆部材をより容易に装着することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の異物検知センサの製造方法において、前記給電コネクタは、前記ターミナルをインサート品として成形された樹脂コネクタ部を有し、前記突き当て部は、前記樹脂コネクタ部に形成されていることを特徴とする異物検知センサの製造ことを特徴とする。
【0013】
この発明では、突き当て部が樹脂コネクタ部に形成されるため、突き当て部を給電コネクタに容易に構成することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、尺状の絶縁体の内部に配置された電極線を有するセンサ部と、前記センサ部の長手方向一端部に設けられ、前記絶縁体の端部から突出する前記電極線の端部と接続されるターミナルから前記センサ部の信号出力を行う給電コネクタと、前記センサ部と前記給電コネクタとに跨って取り付けられ、前記電極線と前記ターミナルとの接続箇所を覆う筒状の被覆部材とを備え、前記給電コネクタには、前記センサ部の長手方向において前記被覆部材と当接する突き当て部が設けられたことを特徴とする。
【0014】
この発明では、被覆部材を給電コネクタの突き当て部に突き当てることで被覆部材の長手方向の位置決めをすることができるため、被覆部材を容易に装着することが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の異物検知センサにおいて、前記被覆部材は熱収縮チューブであることを特徴とする。
この発明では、加熱収縮された熱収縮チューブがセンサ部と給電コネクタに密着してシール性が確保されるため、電極線とターミナルとの接続箇所への液体の浸入を防止することができる。また、熱収縮チューブをセンサ部に遊嵌状態で外挿することが可能となるため、被覆部材をより容易に装着することが可能となる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の異物検知センサにおいて、前記給電コネクタは、前記ターミナルをインサート品として成形された樹脂コネクタ部を有し、前記突き当て部は、前記樹脂コネクタ部に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明では、突き当て部が樹脂コネクタ部に形成されるため、突き当て部を給電コネクタに容易に構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
従って、上記記載の発明によれば、被覆部材を容易に装着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電動スライドドア装置を備えた車両の概略図。
【図2】電動スライドドア装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の異物検知センサを部分的に示す模式図。
【図4】(a)(b)(c)(d)異物検知センサの組み付け工程を示す模式図。
【図5】別例の異物検知センサを部分的に示す模式図。
【図6】別例の異物検知センサを部分的に示す模式図。
【図7】別例の異物検知センサを部分的に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電動スライドドア装置1を搭載した車両2は、導電性金属材料よりなる車体3を備えるとともに、該車体3の左側側面には、四角形状をなす乗降口4が形成されている。この乗降口4は、導電性金属材料よりなり該乗降口4に対応した四角形状をなすドアパネル5によって開閉される。
【0021】
ドアパネル5は、車体3に対して車両2の前後方向にスライド移動可能に取り付けられている。また、ドアパネル5には、スライドアクチュエータ6(図2参照)を備え車体3側に配置された駆動機構(図示略)が接続されており、該スライドアクチュエータ6が駆動されると、ドアパネル5が車両2の前後方向にスライド移動されて開閉作動を行うようになっている。
【0022】
図2に示すように、前記スライドアクチュエータ6は、スライドモータ7と、該スライドモータ7の回転を減速して出力する減速機構(図示略)とを備えている。また、スライドアクチュエータ6内には、スライドモータ7の回転を検出する位置検出装置8が配置されている。位置検出装置8は、例えば、スライドモータ7の回転軸(図示略)若しくは前記減速機構を構成する減速ギヤ(図示略)と一体回転するように設けられた永久磁石と、該永久磁石に対向配置されたホールIC(図示略)とから構成されている。そして、ホールICは、位置検出信号として、永久磁石の回転による該永久磁石の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。
【0023】
また、電動スライドドア装置1は、ドアパネル5の開閉を指示するための操作スイッチ9を備えている。図1及び図2に示すように、この操作スイッチ9は、車両2の搭乗者等によって乗降口4を開放するように操作されると、乗降口4を開放するようにドアパネル5をスライド移動させる旨の開信号を出力する。一方、操作スイッチ9は、搭乗者等によって乗降口4を閉鎖するように操作されると、乗降口4を閉鎖するようにドアパネル5をスライド移動させる旨の閉信号を出力する。この操作スイッチ9は、車室内の所定箇所(ダッシュボード等)やドアパネル5のドアレバー5b、イグニッションキーと共に携行される携行品(図示略)等に設けられている。
【0024】
また、電動スライドドア装置1は、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の周縁部との間に存在する異物X(図1参照)を検知するための異物検知センサとしての感圧センサ11を備えている。図1及び図3に示すように、感圧センサ11は、長尺なケーブル状をなすセンサ線21と、センサ線21の長手方向端部(図1において下端部)に取り付けた給電コネクタ31とを備えている。
【0025】
図3に示すように、センサ線21は、中空絶縁体22と、中空絶縁体22の内側に設けられた一対の電極線23,24とから構成されている。中空絶縁体22は、透明で絶縁性及び復元性を有する弾性変形可能な絶縁体(軟質の樹脂材料やゴム等)により形成されるとともに、略円筒状をなしている。
【0026】
中空絶縁体22の内側に保持された一対の電極線23,24は、中空絶縁体22の内側で周方向に互いに離間して配置されている。各電極線23,24の長手方向一端部は、中空絶縁体22の長手方向の給電コネクタ31側端部から突出する突出端部23a,24aとされている。
【0027】
尚、本実施形態では、各電極線23,24は、中空絶縁体22の内側で長手方向に沿った螺旋状に設けられ、中空絶縁体22の長手方向の何れの部位においても中空絶縁体22の直径方向に対向するようになっている。また、各電極線23,24はその周方向の一部が中空絶縁体22の内周面に埋設されている。
【0028】
給電コネクタ31は、絶縁性の樹脂材料よりなる樹脂コネクタ部32と、樹脂コネクタ部32に保持された一対のターミナル33,34とから構成されている。各ターミナル33,34は、インサート品として樹脂コネクタ部32に一体成形され、互いに電気的に絶縁されている。
【0029】
樹脂コネクタ部32は、センサ線21と平行をなす第1延出部32aと、センサ線21の長手方向と直交する方向に延びる第2延出部32bとからL字状をなすように形成されている。樹脂コネクタ部32の内部に設けられた各ターミナル33,34は、細長い線状をなすとともに、樹脂コネクタ部32のL字状に沿って屈曲されている。尚、ターミナル33,34は、金属板材をプレス加工により所定の形状に打ち抜いた後に所定箇所を屈曲して形成されるものである。
【0030】
ターミナル33,34の第1端部33a,34aは、第1延出部32aからセンサ線21側に突出されるとともに、電極線23,24の突出端部23a,24aに溶接にてそれぞれ接続されている。尚、ターミナル33,34の第1端部33a,34a同士の間には、第1延出部32aから延出形成された介在部32dが介在されている。また、介在部32dの先端部からは絶縁部32eが延出されており、その絶縁部32eは、中空絶縁体22の内側の電極線23,24間に挿入されている。
【0031】
樹脂コネクタ部32の第2延出部32bには、センサ線21の長手方向と直交する方向に開口する開口部32cが形成されている。ターミナル33,34の第2端部33b,34b(第1端部33a,34aとは反対側の端部)は、開口部32cから露出するように構成されている。
【0032】
センサ線21と給電コネクタ31との間には、電極線23,24とターミナル33,34との接続箇所Cを覆う筒状の熱収縮チューブ35(被覆部材)が設けられている。熱収縮チューブ35の長手方向の一端部は、センサ線21の中空絶縁体22の長手方向端部に外挿されている。一方、熱収縮チューブ35の長手方向の他端部は、給電コネクタ31の第1延出部32aに外挿されるとともに、第2延出部32bのセンサ線21側の側面に設けられた突き当て部32fに当接されている。
【0033】
また、中空絶縁体22において給電コネクタ31とは反対側の長手方向端部(図1において上端部)には、電極線23,24間に接続された図2に示す抵抗36(ダイアグ抵抗)が設けられている。
【0034】
上記のように構成された感圧センサ11は、図1に示すように、センサ線21が保持部材40を介してドアパネル5の前端部5aに沿って固定されている。センサ線21の下端部の給電コネクタ31は、第2延出部32bの開口部32cがドアパネル5の内側(車両後方側)を向くように該ドアパネル5の前端部5aに取り付けられる。第2延出部32bがドアパネル5の内部に入り込むように構成される。そして、第2延出部32bは、ドアパネル5内に配置された制御部41の外部コネクタ(図示略)に接続されるようになっている。
【0035】
図2に示すように、制御部41は、通電検知部42と、該通電検知部42と電気的に接続されたドアECU43とを備えている。尚、感圧センサ11のセンサ線21は、給電コネクタ31及び前記外部コネクタを介して制御部41に接続されることにより、電極線23が通電検知部42に電気的に接続されるとともに、電極線24がグランドGNDに接続(即ち車体3に接地)される。
【0036】
通電検知部42は、給電コネクタ31のターミナル33,34を介して電極線23,24に電流を供給している。そして、センサ線21に押圧力が加えられていない通常の状態では、通電検知部42から電極線23に供給される電流は、抵抗36を介して電極線24に流れる。一方、センサ線21を直径方向に潰すような押圧力が加えられると、押圧力が加えられた部位の中空絶縁体22が弾性変形するとともに該中空絶縁体22の弾性変形に伴って電極線23,24が撓曲し、電極線23と電極線24とが接触して短絡される。すると、通電検知部42から電極線23に供給される電流は、抵抗36を介さずに電極線24に流れることになる。従って、例えば一定の電圧で電極線23に電流を供給している場合には電流値が変化するため、通電検知部42は、この時の電流値の変化を検知することにより、センサ線21に押圧力が加えられたことを検知する。そして、通電検知部42は、この電流値の変化を検知すると、ドアECU43に感圧信号を出力する。尚、センサ線21に対する押圧力が取り除かれると、中空絶縁体22が復元し、電極線23,24も復元して非導通状態となる。
【0037】
ドアECU43は、ROM(Read only Memory)、RAM(Random access Memory)等を備えマイクロコンピュータとしての機能を有するとともに、車両2のバッテリ(図示略)から電源の供給を受けている。このドアECU43は、操作スイッチ9、位置検出装置8及び通電検知部42等から入力される各種信号に基づいてスライドアクチュエータ6を制御する。
【0038】
次に、上記のように構成された電動スライドドア装置1の動作を、図1及び図2を参照して統括的に説明する。
ドアECU43は、操作スイッチ9から開信号が入力されると、ドアパネル5を開作動させるべくスライドアクチュエータ6を駆動する。尚、ドアECU43は、位置検出装置8から入力される位置検出信号に基づいてドアパネル5の位置を認識している。本実施形態では、ドアECU43は、位置検出信号のパルス数をカウントし、そのカウント値に基づいてドアパネル5の位置を認識している。そして、ドアパネル5が乗降口4を完全に開放する全開位置Poに配置されると、ドアECU43はスライドアクチュエータ6を停止する。
【0039】
一方、操作スイッチ9から閉信号が入力されると、ドアECU43は、ドアパネル5を閉作動させるべくスライドアクチュエータ6を駆動する。そして、ドアパネル5が乗降口4を完全に閉鎖する全閉位置Pcに配置されると、ドアECU43はスライドアクチュエータ6を停止する。尚、ドアパネル5の閉作動中に、ドアパネル5の前端部5aに配置されたセンサ線21に異物Xが接触して同センサ線21に押圧力が加えられると、センサ線21において中空絶縁体22が弾性変形されることにより一対の電極線23,24同士が接触して短絡される。その結果、電極線23に供給する電流の電流値が変化されるため、通電検知部42がドアECU43に感圧信号を出力する。ドアECU43は、感圧信号が入力されると、スライドアクチュエータ6を反転させてドアパネル5を所定距離だけ開作動させた後に同スライドアクチュエータ6を停止させる。
【0040】
次に、上記実施形態の作用を、センサ線21と給電コネクタ31との組み付け方法とともに図4(a)〜(d)に従って説明する。
まず、図4(a)(b)に示すように、給電コネクタ31を組み付ける前のセンサ線21の中空絶縁体22に対して、給電コネクタ31が設けられる側の長手方向端部から熱収縮チューブ35を外挿する(外挿工程)。このとき、熱収縮チューブ35は、中空絶縁体22に対して遊嵌状態となっている。
【0041】
次に、図4(b)(c)に示すように、給電コネクタ31をセンサ線21に組み付ける。このとき、給電コネクタ31の絶縁部32eは、中空絶縁体22の内側に挿入される。また、ターミナル33,34は、電極線23,24の突出端部23a,24aのそれぞれの径方向内側に配置される。
【0042】
その後、図4(c)に示すように、ターミナル33,34の第1端部33a,34aと電極線23,24の突出端部23a,24aとを接続箇所Cでそれぞれ溶接する(接続工程)。これにより、ターミナル33,34と電極線23,24とがそれぞれ電気的に接続される。
【0043】
次に、図4(c)(d)に示すように、センサ線21に遊嵌状態で外挿されている熱収縮チューブ35を給電コネクタ31側に移動させる(被覆工程)。このとき、熱収縮チューブ35を給電コネクタ31の突き当て部32fに突き当たるまで移動させる。即ち、熱収縮チューブ35を突き当て部32fに突き当てることで熱収縮チューブ35の位置決めがなされる。これにより、熱収縮チューブ35は、センサ線21の中空絶縁体22の長手方向端部と給電コネクタ31の第1延出部32aとに跨る位置に配置され、この熱収縮チューブ35によって電極線23,24とターミナル33,34との接続箇所Cが覆われる。
【0044】
次に、図4(d)に示すように遊嵌状態の熱収縮チューブ35を加熱し、図3に示すように収縮させる。これにより、熱収縮チューブ35の内周面が中空絶縁体22の外周面及び給電コネクタ31の第1延出部32aの外周面と密着されてシール性が確保される。その結果、電極線23,24とターミナル33,34との接続箇所C及び中空絶縁体22の内部への液体の浸入が防止されるようになっている。尚、このとき、熱収縮チューブ35の収縮により中空絶縁体22の端部が締め付けられて電極線23,24が互いに接近する方向への力が生じるが、中空絶縁体22内の電極線23,24間には樹脂コネクタ部32の介在部32dが介在されているため、電極線23,24同士の短絡が防止されるようになっている。
【0045】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態では、センサ線21に対して給電コネクタ31が設けられる側の長手方向端部から熱収縮チューブ35を外挿した後に、電極線23,24とターミナル33,34とを溶接にて接続する。次に、センサ線21に外挿されている熱収縮チューブ35を給電コネクタ31側に移動させてセンサ線21と給電コネクタ31とに跨がるように配置し、該熱収縮チューブ35にて接続箇所Cを覆う。即ち、給電コネクタ31をセンサ線21に接続する前に、熱収縮チューブ35をセンサ線21に対して給電コネクタが設けられる側の長手方向端部(接続側端部)から外挿する。これにより、センサ線21における給電コネクタ31との接続側端部とは反対側の端部から熱収縮チューブ35を外挿し、接続側端部までセンサ線21の略全長分を移動させないで済むため、熱収縮チューブ35を容易に装着することが可能となる。
【0046】
(2)本実施形態では、給電コネクタ31は、センサ線21の長手方向において熱収縮チューブ35と当接可能な突き当て部32fを有し、被覆工程において、熱収縮チューブ35を突き当て部32fに突き当たるまで移動させる。これにより、熱収縮チューブ35を給電コネクタ31の突き当て部32fに突き当てることで熱収縮チューブ35の長手方向の位置決めをすることができるため、熱収縮チューブ35をより容易に装着することが可能となる。また、給電コネクタ31に突き当て部32fを備えた構成(本実施形態ではL字状の構成)では、センサ線21に給電コネクタ31を接続させた状態で、その給電コネクタ31側の端部から熱収縮チューブ35を外挿することが困難である。このため、給電コネクタ31をセンサ線21に接続する前に熱収縮チューブ35をセンサ線21の接続側端部から外挿することによる熱収縮チューブ35の装着を容易にする効果がより顕著なものとなる。
【0047】
(3)本実施形態では、熱収縮チューブ35は、被覆工程後に加熱収縮されてセンサ線21及び給電コネクタ31に対して固定される。これにより、加熱収縮された熱収縮チューブ35がセンサ線21と給電コネクタ31に密着してシール性が確保されるため、電極線23,24とターミナル33,34との接続箇所Cへの液体の浸入を防止することができる。また、外挿工程において熱収縮チューブ35をセンサ線21に遊嵌状態で外挿することが可能となるため、熱収縮チューブ35をより容易に装着することが可能となる。
【0048】
(4)本実施形態では、給電コネクタ31は、ターミナルをインサート品として成形された樹脂コネクタ部32を有し、突き当て部32fが樹脂コネクタ部32に形成されるため、突き当て部32fを給電コネクタ31に容易に構成することが可能となる。
【0049】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、給電コネクタ31の樹脂コネクタ部32をL字状としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば図5に示すような構成としてもよい。図5に示す構成では、樹脂コネクタ部32には、熱収縮チューブ35が外挿されたチューブ装着部51から径方向外側に拡がる段差部52が形成されており、その段差部52に熱収縮チューブ35の長手方向端部が当接されている。被覆工程においては、この段差部52には熱収縮チューブ35が突き当てられる。即ち、段差部52は突き当て部として機能するようになっている。このような構成においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
・上記実施形態では、給電コネクタ31の第2延出部32bのセンサ線21側の側面を突き当て部32fとしたが、これに特に限定されるものではなく、例えば図6に示すような構成としてもよい。図6に示す構成では、第1延出部32aの側面に第2延出部32bの延出方向と同方向に突出する突出部61を設け、その突出部61に熱収縮チューブ35の長手方向端部が当接されている。被覆工程においては、この突出部61には熱収縮チューブ35が突き当てられる。即ち、突出部61は突き当て部として機能するようになっている。このような構成においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
・上記実施形態では、接続箇所Cを被覆する被覆部材を熱収縮チューブ35としたが、これに特に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、樹脂製の筒部71とその筒部71の内周面に設けられたOリング72,73とから構成された被覆部材70としてもよい。この図7に示す構成では、被覆部材70のOリング72,73は、筒部71の長手方向両端部にそれぞれ設けられており、一方のOリング72は筒部71とセンサ線21の中空絶縁体22との間に介在され、他方のOリング73は筒部71と給電コネクタ31の第1延出部32aとの間に介在されている。このような構成によっても、センサ線21と給電コネクタ31との間がシールされて、接続箇所C及び中空絶縁体22の内部への液体の浸入を防止することができる。
【0052】
・上記実施形態では、ターミナル33,34と電極線23,24とを溶接にて接続したが、これに特に限定されるものではなく、電気的な接続可能でれば溶接以外の接続方法を用いてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、熱収縮チューブ35を給電コネクタ31の突き当て部32fに当接させているが、これに特に限定されるものではなく、当接していなくてもよい。また、被覆工程において、熱収縮チューブ35を給電コネクタ31の突き当て部32fに突き当てて熱収縮チューブ35の位置決めを行っているが、これに特に限定されるものではなく、熱収縮チューブ35を給電コネクタ31の突き当て部32fに突き当てなくてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、感圧センサ11は、2本の電極線23,24を備えた構成となっているが、感圧センサ11に備えられる電極線の本数は、1本、又は3本以上であってもよい。
【0055】
・上記実施形態では、通電検知部42は、電極線23に一定の電圧で電流を供給し、電極線23,24同士の接触に起因する電流値の変化を検知すると感圧信号を出力する。しかしながら、通電検知部42は、電極線23,24同士の接触に起因する電圧値の変化を検知すると感圧信号を出力するように構成されてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、異物Xのセンサ線21への接触を検知する感圧センサ11に本発明を適用したが、これ以外に例えば、異物Xのセンサ線21への近接を検知する近接センサに適用してもよい。また、接触及び近接の検知が両方可能なセンサに適用してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、センサ線21は、ドアパネル5の前端部5aに沿って配置されているが、乗降口4の周縁部においてドアパネル5の前端部5aと車両2の前後方向に対向する部位に沿って配置されてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、感圧センサ11は、車両2のドアパネル5を電動でスライド移動させる電動スライドドア装置1に備えられて、乗降口4の周縁部とドアパネル5の前端部5aとの間に存在する異物Xを検知するために用いられている。しかしながら、感圧センサ11は、電動スライドドア装置1以外に、電動で作動される開閉体にて開口部を開閉する開閉装置に備えられ、開口部の周縁部と開閉体との間に存在する異物Xを検知するために用いられてもよい。また、感圧センサ11は、開閉装置以外の装置に備えられて、センサ線21に加えられる押圧力の検知に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
11…感圧センサ(異物検知センサ)、21…センサ線(センサ部)、22…中空絶縁体、23,24…電極線、31…給電コネクタ、32…樹脂コネクタ部、32f…突き当て部、33,34…ターミナル、35…熱収縮チューブ(被覆部材)、52…突き当て部としての段差部、61…突き当て部としての突出部、70…被覆部材、C…接続箇所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の絶縁体の内部に配置された電極線を有するセンサ部と、
前記センサ部の長手方向一端部に設けられ、前記絶縁体の端部から突出する前記電極線の端部と接続されるターミナルから前記センサ部の信号出力を行う給電コネクタと、
前記センサ部と前記給電コネクタとに跨って取り付けられ、前記電極線と前記ターミナルとの接続箇所を覆う筒状の被覆部材と
を備えた異物検知センサの製造方法であって、
前記センサ部に対して前記給電コネクタが設けられる側の長手方向端部から前記被覆部材を外挿する外挿工程と、
前記外挿工程後に前記電極線と前記ターミナルとを接続する接続工程と、
前記接続工程後に前記センサ部に外挿されている前記被覆部材を前記給電コネクタ側に移動させて前記センサ部と前記給電コネクタとに跨がるように配置し、該被覆部材にて前記接続箇所を覆う被覆工程と
を備えたことを特徴とする異物検知センサの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の異物検知センサの製造方法において、
前記給電コネクタは、前記センサ部の長手方向において前記被覆部材と当接可能な突き当て部を有し、
前記被覆工程において、前記被覆部材を前記突き当て部に突き当たるまで移動させることを特徴とする異物検知センサの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の異物検知センサの製造方法において、
前記被覆部材は熱収縮チューブであり、
前記被覆工程後に前記熱収縮チューブを加熱収縮させて前記センサ部及び前記給電コネクタに対して固定することを特徴とする異物検知センサの製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の異物検知センサの製造方法において、
前記給電コネクタは、前記ターミナルをインサート品として成形された樹脂コネクタ部を有し、
前記突き当て部は、前記樹脂コネクタ部に形成されていることを特徴とする異物検知センサの製造方法。
【請求項5】
長尺状の絶縁体の内部に配置された電極線を有するセンサ部と、
前記センサ部の長手方向一端部に設けられ、前記絶縁体の端部から突出する前記電極線の端部と接続されるターミナルから前記センサ部の信号出力を行う給電コネクタと、
前記センサ部と前記給電コネクタとに跨って取り付けられ、前記電極線と前記ターミナルとの接続箇所を覆う筒状の被覆部材と
を備え、前記給電コネクタには、前記センサ部の長手方向において前記被覆部材と当接する突き当て部が設けられたことを特徴とする異物検知センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の異物検知センサにおいて、
前記被覆部材は熱収縮チューブであることを特徴とする異物検知センサ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の異物検知センサにおいて、
前記給電コネクタは、前記ターミナルをインサート品として成形された樹脂コネクタ部を有し、
前記突き当て部は、前記樹脂コネクタ部に形成されていることを特徴とする異物検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226953(P2012−226953A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93185(P2011−93185)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】