疎水性物質をその中へ含有する粒子
【課題】疎水性物質を有する粒子の製造方法を開示する。
【解決手段】
疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成する反応可能な前駆体を含有する疎水性相を含有し;及び−多重乳剤中の前駆体を反応させ、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを形成し;ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加されるものである、製造方法。また、疎水性物質を有する粒子及び粒子の使用方法を開示する。該粒子は、疎水性物質をその中へ有する粒子と同様に放出可能であって、放出可能であって、本発明の製造工程によって製造されたものである。
【解決手段】
疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成する反応可能な前駆体を含有する疎水性相を含有し;及び−多重乳剤中の前駆体を反応させ、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを形成し;ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加されるものである、製造方法。また、疎水性物質を有する粒子及び粒子の使用方法を開示する。該粒子は、疎水性物質をその中へ有する粒子と同様に放出可能であって、放出可能であって、本発明の製造工程によって製造されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性物質をその中へ有する粒子及び該粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者らは、ゾル−ゲル及び関連技術を用い、セラミック粒子の生成に基づき、薬剤及びその他の生物学的活性物質等の物質をカプセル化する一連の方法を開発してきた。その他の応用も又構想されたものの、これらは放出制御するために開発されたものである。これらは、WO01/62332号公報、出願番号AU2005001738号公報、豪州出願番号AU2005001915号公報及び豪州出願番号AU2006000193号公報に記載されている。
【0003】
これらの方法は、カプセル材料が水相に局在する、油中水型乳剤の生成に頼っている。その結果、これらは、分散された水相へ好適に分配される親水性カプセル材料に限定される。
【0004】
ここ十年間、疎水性種のカプセル化及び放出制御が、疎水性/脂溶性活性分子を用いた産業上の応用が増加しつつあることに起因してかなりの関心が寄せられている。例えば、薬学及び農学の産業分野では多くの薬剤又は殺生物剤が疎水性の特性を有する。それにもかかわらず、カプセル化及びこれらの活性分子の制御された放出の方法はこれらの産業において課題を残している。一方、食品、化粧品及び個人医療の分野では、香料や芳香物質の様な揮発性有機化合物、又は漂白剤などの反応性化合物などのカプセル化及び放出制御は、製品改良の顕著な趨勢となっている。
【0005】
伝統的な有機物質と比較して、無機マトリックス及びより具体的にはセラミックは多くの固有の利点を有する。特に、生物学的に不活性、固有に親水性であり、また高い機械的強度及び熱安定性を有する。しかしながら、殆どの無機デリバリー(送達)システムはカプセル化粒子の厳密にコントロールされた放出を達成していない。
【0006】
double emulsion(両面乳剤)は、送達媒体中の活性物質のカプセル化手段を提供する。これらの系は、2種類の異なる種類の界面活性剤を必要とする2種の異なった界面を構成する。O/W/O多重乳剤の場合は、界面活性剤の第一系は好ましくは、内部界面用に親水性であり、一方、外部界面用の界面活性剤の第二系は好ましくは疎水性である。両面乳剤の組成は、異なる界面活性剤の種類と濃度は、油相の種類と濃度とともに、両面乳剤の安定性に影響するであろうため、重要である。多重乳剤(例えば、O/W/O)は通常は2工程の方法により製造される。第一の工程において、O1/W乳剤は
高HLB界面活性剤の存在下に水溶性溶液中で内部油状物質を分散させることにより製造される。水中の極微細な油状液滴の乳剤の生成は、高せん断ホモジェネーション又は超音波処理等の大量のエネルギー導入工程により達成される。第二の工程において、O1/W
乳剤を低HLB界面活性剤を含有した外部油相へ添加する。内部相(O1/W乳剤)を外
部油相(O2)へ分散するために、マグネティックスターラーを一般的に使用する。最も
一般的に使用される両面乳剤は、W/O/W型であるが、O/W/O乳剤も特定の応用に用いられる。多重乳剤の欠点は、本質的な不安定性及びその構造の複雑さであり、結果的にはさらなる応用はその潜在的有用性にもかかわらず実質的には限られている。内部相において液滴同士の凝集や癒着を生じるという生来の不安定性を克服するために、適当な乳化剤の組み合わせが乳剤安定性を改善する為と液滴サイズの減少化のために用いられてきた。乳化剤は、乳剤の生成中液滴の表面に吸着し、癒着するだけ接近するのを防止する。天然の巨大分子と同様にポリマー合成乳化剤も又、安定性及び放出制御の改善が示された
モノマー乳化剤と組み合わせ用いられ得る。
【0007】
ゾル−ゲル化学と多重乳剤の本質的な特性の利点を組み合わせることにより、いくつかの中空又は多孔質の無機球状粒子が、一連して触媒及び次に水相の金属アルコキシド前駆体を導入することにより、製造されてきた。しかしながら、非常に限られた研究が、O/W/O多重乳剤を用いて油状物質又は疎水性種を含有する球状セラミック粒子を製造するために実施されてきたにすぎなかった。これは、熱力学的に安定な両面乳剤の厳密な条件即ち、四元状態図(水−油−surf1−surf2)における安定性の非常に狭い範囲に依存するものである。いくつかの研究(「O/W/O多重乳剤を用いた、レチノールカプセル化されたシリカ粒子の製造」、Lee,Myung−Han;Oh,Seong−Geun;Moon,Sei−Ki;Bae,Seong−Youl,Journal of Colloid and Interface Science,240号,83頁−89頁(2001年))が、ブロックコポリマーのような粘着剤を導入することにより両面乳剤の安定性を改善する為に着手された。金属アルコキシドが外部油相へいったん添加されると、引き続き水と反応させると、両面乳剤の構造及び安定性は2種の油相間の浸透圧のバランスの摂動により変化する。この両面乳剤の生来の熱力学的不安定性は、一般にこのような系では更なる欠点:急速な(即ち、爆発的な)カプセル化物質の外部油相への放出、を生じる。
さらにまた、多重乳剤の複雑な本質は、乳剤の安定性及び破裂及び癒着の検出の評価を困難にする。主な実験技術は、多重乳剤液滴の数及びサイズの計測に基づくが、内部液滴が癒着、凝集又は破裂しているか否かを決定することは非常に困難であるため、乳剤安定性における限られた情報しか得られない。また、両面乳剤系へのシリコン前駆体の大量の導入は、乳剤化学のモニターを困難にするであろう。
さらに、我々の非特許文献1に記載の製造方法の再現への不可能性及び彼らの論文に記載されたミクロ粒子に替わるナノ粒子を得た事は、このようなアプローチの不安定性及び非再現性を更に確かなものにする。
【0008】
したがって、疎水性物質を粒子中へカプセル化する強固で多目的な工程の必要性がある。もしこの様な工程が疎水性物質の良好なカプセル化効率と同様に、粒子サイズのコントロール、及び必要に応じて粒子からの疎水性物質の放出速度のコントロールを提供するならば望ましいことであろう。
【0009】
【特許文献1】WO01/62332号公報
【特許文献2】豪州出願番号AU2005001738号公報
【特許文献3】豪州出願番号AU2005001915号公報
【特許文献4】豪州出願番号AU2006000193号公報
【非特許文献1】Lee,Myung−Han;Oh,Seong−Geun;Moon,Sei−Ki;Bae,Seong−Youl,“Preparation of Silica Particles Encapsulating Retinol Using O/W/O Multiple Emulsions”,Journal of Colloid and Interface Science,240号,83頁−89頁(2001年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の目的
本発明は、少なくとも上記欠点の一つでも克服し、又は実質的に上記欠点の一つでも改善することを目的とする。さらに、本発明は、少なくとも上記の必要性を部分的にでも満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
一つのの実施態様として本発明は、疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は:
疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質を含有し及び親水性相は非流動性マトリックスを形成する反応可能な前駆体を含有する工程;及び
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを生成する様に反応させるが;
ここで、前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加される工程、を含む製造方法を提供することにある。
【0012】
反応工程は:
多重乳剤中で前駆体を反応させ疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させるが、ここで、疎水性物質は粒子より放出可能である、反応工程を含み得る。
粒子中の疎水性物質は、一定の期間粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は一定の期間、制御された速度で粒子から放出可能であり得る。
【0013】
多重乳剤を提供する工程は:
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質及び疎水性相は前駆体を含有する工程;及び
多重乳剤を得るために疎水性媒体中に第一乳剤を分散する工程、方法を含み得る。
【0014】
本発明の第一の特徴は、疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質を含有し及び親水性相は非流動性マトリックスを生成するように反応可能な前駆体を含有する工程;
疎水性媒体中の第一乳剤を多重乳剤を形成する様に分散し;及び
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを生成するように反応させる工程、を含む方法を提供することにある。
【0015】
多重乳剤は両面乳剤であり得る。それはoil−in−water−in−oil(油中水中油型、O/W/O)多重(又は両面)乳剤であり得る。粒子は固体粒子であり得、及びセラミック粒子であり得る。非流動的マトリックスは固体又はゲル状であり得る。ろ過性であり得る。ろ過性ゲル又はろ過性固体であり得る。非流動的マトリックスはセラミックマトリックスであり得る。内部疎水性相は不連続性相であり得る。マトリックス内にカプセル化され、区画化され、取り込まれ又は封入され得る。内部疎水性相は、疎水性物質に加えて疎水性希釈剤を含有し得る。疎水性物質は、疎水性希釈剤と混和性、又は可溶性であり得る。疎水性物質は1種類以上の疎水性物質から構成され得る。第一乳剤は、付加的に第一界面活性剤を含有し得、その第一界面活性剤は少なくとも部分的に第一乳剤を安定化し得る。第一界面活性剤は親水性界面活性剤であり得る。これは、多重乳剤の内部にある第一乳剤を少なくとも部分的に安定化しうるので、“内部界面活性剤”呼び得る(即ち、液滴または多重乳剤の分散層の内部側に局在する)。親水性相は連続性相であり得る。水を含有し得、及び水溶性相であり得る。前駆体は粒子、即ちマトリックスの前駆体であり得る。もし粒子がセラミック粒子の場合、前駆体はセラミックの前駆体、即ちセラミック前駆体であり得る。架橋性物質であり得、又は部分的架橋性物質であり得、又はこれらの混合物であり得る。それが反応してマトリックスを形成する条件下では、疎水性物
質と反応不可能なものであり得る。例えば、加水分解性シラン、少なくとも部分的に加水分解されたシラン、部分的架橋性シラン、又はこれらの2以上の混合物であり得る。
【0016】
疎水性物質は、例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。
【0017】
疎水性媒体は疎水性希釈剤と同じであっても異なっていてもよい。疎水性希釈剤を含有し得る。多重乳剤が安定なことは重要なことではないが、多重乳剤は第二界面活性剤を含有し得、そして第二界面活性剤は少なくとも部分的に多重乳剤を安定化し得る。したがって、界面活性剤の他に乳化安定剤を添加することは不必要であり得るので、界面活性剤の他にいかなる乳化安定剤も添加しない工程もあり得る。増粘剤を添加するのは不必要であり得るが、いかなる増粘剤を添加しない工程もあり得る。ポリマー物質を全く添加しないこともあり得る。メチルセルロース、又はセルロースベースの増粘剤又は増粘剤を、使用しないこともあり得る。本工程では界面活性剤以外の乳化安定剤を本工程に全く使用しないこともあり得る。疎水性媒体中に第一乳剤を分散する前、分散中及び分散後においても、第二界面活性剤は疎水性媒体と混合し得る。例えば、分散の工程は、その中へ溶解、懸濁又は分散された第二界面活性剤を有し、多重乳剤を生成する疎水性媒体へ第一乳剤を分散することを含み得る。多重乳剤は、それゆえ疎水性媒体中へ分散された第一乳剤の液滴を含有し得る。第二界面活性剤は疎水性界面活性剤であり得る。これは、多重乳剤中に、第一乳剤と比較して外部に局在するので、内部(又は第一)界面活性剤と 対照して“外
部界面活性剤”呼び得る。
【0018】
第一乳剤はミクロ乳剤であり得、又はその他の種類の乳剤であり得る。平均液滴直径は約10nmないし約50ミクロンを有し得る。多重乳剤は平均液滴直径約0.1ないし約1000ミクロンを有し得る。第一乳剤及び多重乳剤はそれぞれ独立に狭い又は広範なサイズ分布を有し得る。
【0019】
第一乳剤を生成する工程は、
内部疎水性相粒子を水及び第一界面活性剤が第一混合物を生成する様に混合し、並びに随意に第一混合物を攪拌する工程;
架橋性種と水が、前駆体及び水を含有する第二混合物を形成するように混合するが、ここで架橋性種は該前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下反応し、及び随意に前駆体を生成する触媒(例えば、加水分解)も混合する工程;
第一混合物及び第二混合物を混合する工程;及び
随意に第一及び第二混合物を攪拌し第一乳剤を生成する工程、
を含み得る。
【0020】
第一乳剤中、水と加水分解性種の比は、モルを基準として約2:1ないし約10:1、又は約3:1ないし約6:1であり得る。第二混合物中の水と前駆体の比は、質量又は容量を基準として約1:1ないし約5:1であり得る。混合された第一混合物の量及び第二混合物の量の比は、質量又は容量を基準に約1:1ないし1:5であり得る。前駆体の形成は約5分ないし約48時間要し得る。前駆体の生成に次いで、副生成物、例えばアルコールは第一及び第二混合物を混合する前に蒸散し得、又は一部蒸散するか蒸散しなくてもよい。随意的な攪拌工程は、高速せん断を含み得、又高速せん断攪拌、高速せん断混合、音波、超音波処理又はこれらの2、3又は4種を組み合わせて行うことを含み得る。超音波処理機及び攪拌機、例えば、高速せん断攪拌機を使用し得る。
【0021】
多重乳剤中の第一乳剤の比率は、質量又は容量を基準に約1%ないし約30%であり得る。疎水性媒体中の第一乳剤を分散する工程は、
疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;
第三混合物と第一乳剤を混合する工程;及び
随意に、第三混合物及び第一乳剤を攪拌する工程、
工程を含み得る。
【0022】
前駆体を反応させマトリックスを形成する工程は多重乳剤の熟成を含み得る。熟成は粒子形成のための十分な時間であり得、例えば、約1分ないし50時間、又は約1ないし10時間、又は5ないし約50分であり得る。その時間は、第一乳剤のpHに依存し得る。熟成は、疎水性物質が十分な時間安定であるに適切な温度で行い得、及び約10ないし60℃であり得る。該熟成の間、多重乳剤は攪拌してもしなくてもよい。工程は付加的に1以上の少なくとも部分的に粒子を疎水性媒体から分離し、粒子を洗浄し、及び粒子を乾燥する工程を含み得る。少なくとも部分的に分離をする工程の後、粒子はさらに熟成し得る。これは、前駆体のさらなる反応のための適切な期間であり得る。例えば、約1時間ないし約24時間又はそれ以上、約30分ないし24時間又はそれ以上、約2時間ないし約24時間又はそれ以上、約3時間ないし約24時間又はそれ以上、約4時間ないし約24時間又はそれ以上、約5時間ないし約24時間又はそれ以上、又は約7時間ないし約24時間又はそれ以上であり得る。
【0023】
ひとつの実施態様において工程は、
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質及びセラミック前駆体を含有する親水性相を含有し、該第一乳剤は第一界面活性剤により少なくとも部分的に安定化されたものである工程;
第二界面活性剤の存在下に疎水性媒体中の第一乳剤を多重乳剤を形成するように分散する工程;及び
多重乳剤中でセラミック前駆体を、疎水性物質をその中へ有するセラミック粒子の形でセラミックを生成する様に反応させる工程であって、該粒子は疎水性媒体中に分散されたものである工程、を含む。
【0024】
その他の実施態様において、工程は、
疎水性相を水及び第一界面活性剤と第一混合物を生成する様に混合し、随意に第一混合物を攪拌し、ここで疎水性相は疎水性物質及び随意に疎水性希釈剤を含有する工程;
架橋性種及び水を混合し、前駆体および水を含有する第二混合物を提供する工程であって、ここで架橋性種は該前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下反応し、及び随意に前駆体を生成する触媒をも混合する工程;
第一混合物及び第二混合物を混合し、及び随意に第一及び第二混合物を攪拌し第一乳剤を得る工程;
疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;
第三混合物と第一乳剤を混合し、そして随意に第三混合物及び第一乳剤を攪拌し多重乳剤を生成させる工程、
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態で固体マトリックスを形成する様に反応させるが、該粒子は疎水性媒体中に分散されているものである工程;
少なくとも部分的に、疎水性媒体から粒子を分離する工程;
粒子を洗浄する工程;そして
粒子を乾燥する工程、を含む。
【0025】
反応工程は;
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態で固体マトリックスを形成する様に反応させるが、該疎水性物質は該粒子より放出可能なものであり、該粒子は疎水性媒体中に分散されたものである工程、を含み得る。
【0026】
本発明ではまた、第一の特徴の工程により製造された粒子を提供する。
【0027】
本発明の第二の特徴は、疎水性物質をその中へ有する粒子を提供することにある。疎水性物質をその中へ有する粒子は、本発明の製造工程でもあり得るゾルゲル工程により製造し得る。粒子はキセロゲル粒子であり得る。粒子は、ゲル粒子であり得る。粒子は疎水性物質をその中へ有する固体マトリックスを含み得る。疎水性物質は粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は一定時間粒子から放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は、制御され又は持続した速度で一定時間粒子から放出され得る。その粒子本来の、又は本発明の工程により製造した粒子の時間周期は、5分ないし72時間又はそれ以上、10分ないし72時間又はそれ以上、15分ないし72時間又はそれ以上、20分ないし72時間又はそれ以上、25分ないし72時間又はそれ以上、30分ないし72時間又はそれ以上、60分ないし72時間又はそれ以上、90分ないし72時間又はそれ以上、120分ないし72時間又はそれ以上、5分ないし48時間、10分ないし48時間、15分ないし48時間、20分ないし48時間、25分ないし48時間、30分ないし48時間、60分ないし48時間、90分ないし48時間、120分ないし48時間、5分ないし24時間、10分ないし24時間、15分ないし24時間、20分ないし24時間、25分ないし24時間、30分ないし24時間、60分ないし24時間、90分ないし24時間、120分ないし24時間、5分ないし12時間、10分ないし12時間、15分ないし12時間、20分ないし12時間、25分ないし12時間、30分ないし12時間、60分ないし12時間、90分ないし12時間、120分ないし12時間、5分ないし6時間、10分ないし6時間、15分ないし6時間、20分ないし6時間、25分ないし6時間、30分ないし6時間、60分ないし6時間、90分ないし6時間、120分ないし6時間、5分ないし3時間、10分ないし3時間、15分ないし3時間、20分ないし3時間、25分ないし3時間、30分ないし3時間、60分ないし3時間、90分ないし3時間、120分ないし3時間、5分ないし2時間、10分ないし2時間、15分ないし2時間、20分ないし2時間、25分ないし2時間、30分ないし2時間、60分ないし2時間、90分ないし2時間、又は5分ないし1時間の範囲であり得る。粒子は、複数の個別の空洞(cavity)、セル、中空(hollow)、分室を有し得る。疎水性物質の少なくとも一部分は、個別の空洞、セル、中空、分室中に局在し得る。疎水性物質はカプセル化され、区分され、取り込まれ、又は粒子またはマトリックス中に封入され得る。1以上のドーパント、即ち疎水性物質が、本発明の粒子中へ取り込まれ得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のドーパント)。疎水性物質は例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。粒子は増粘剤の使用を含まない工程によって製造され得る。粒子は界面活性剤の他、増粘剤又は乳化安定剤のどれもその中へ又はその上に有しないものであり得る。ポリマー添加のないものであり得る。有機ポリマー添加のないものであり得る。セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)をその中へ又はその上へ有しないものであり得る。粒子は固体粒子であり得、及びセラミック粒子であり得る。疎水性物質はカプセル化され又は少なくとも一時的に粒子中に固定化され得る。粒子は約0.1ないし50%w/wまたはw/vの疎水性物質を含有し得る。粒子は約10ないし約1010の個別の空洞、セル、中空、分室を有し得、又は約106ないし約1010の個別の空洞、セル、中空、分室を有し得る。空洞
、セル、中空、又は分室は実質的に球状(即ち、球状又はおおよそ球状)、又はその他の形状であり得、及び平均直径約10nmないし約50ミクロンを有し得る。粒子は球状又はその他の形状であり、平均粒径約0.1ないし約1000ミクロンを有し得る。その他の分子は、本発明の粒子の上に接着されるか、又は連結されるか、又は覆われ得る。たとえば、標的分子は、本発明の粒子の上に接着されるか、又は連結されるか、又は覆われ得る。粒子はシリカ、架橋性シラン又はシロキサン、加水分解されたシラン又はシロキサン、シリカ様物質又はポリシルセスキオキサンを含有し得る。特に、粒子はシリカを含有し得る。これはこれらの粒子の応用において重要な意味を持つ。有機シリカは規制機関によ
り容認されないため、シリカとしてこれらは食品及び経口/局所の製剤処方に取り込まれ得る。さらにまた、粒子がシリカで製造された事実は、それらを本質的に親水性にする。親水性化合物を親水性マトリックスへカプセル化する可能性は、腸壁を通して難溶性の薬剤を送達する問題を解決する主たる工程である。粒子は球状であり得る。粒子は疎水性物質を放出可能であり得る。粒子は、一定期間疎水性物質を放出可能であり得、即ち、疎水性物質は放出可能にカプセル化され及び/又は固定化され及び/又は粒子中へ取り込まれ得る。それは放出可能な疎水物質であり得る。粒子は、制御された速度で疎水性物質を放出可能であり得る。その速度は物質の種類、疎水性物質の種類、個別の分室のサイズ、粒子のサイズ、pH、温度のような粒子の合成条件、粒子が浸漬される媒体の種類及び/又はその他の因子に依存し得る。粒子は本発明の第一の特徴の方法により製造し得る。
【0028】
本発明の、第三の特徴は、被験者、例えばヒトの疾患の治療法を提供することにあり、本発明の粒子の治療有効量を被験者へ投与することを含み、ここで、粒子の疎水性物質は該粒子より放出可能であって、そして疾患に適切なものである。疎水性物質は薬剤又はその他の治療剤であり得、薬剤は抗癌剤であり得る。疾患は疾病であり得る。疾患としては、例えば、癌、AIDS、関節炎、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛、又はその他の疾患が挙げられる。疾患は、薬剤又は治療剤の制御された放出が適切なものであり得る。薬剤又は治療剤は、制御速度で被験者へ投薬されるべきところのものであり得る。薬剤又は治療剤は、被験者へ長期間投薬されるものであり得る。
【0029】
また、本発明の粒子は、被験者、例えばヒトの疾患治療用薬剤の製造に用いられる場合、粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、疾患に適切な粒子を提供する。また、本発明の粒子は、被験者、例えばヒト又はヒトでない動物の疾患治療用薬剤の製造での粒子の使用、ここで粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、そして疾患に適切な粒子を提供する。疾患としては、例えば、癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患が挙げられる。
【0030】
また、利用可能な担体、希釈剤、賦形剤及び/又は補助剤と共に、本発明の粒子を混合することを含む組成物の製造工程を提供する。
【0031】
さらに、本発明の粒子又は組成物を被験者、例えばヒトの疾患治療目的とする使用、ここで粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、そして疾患に適切な使用を提供する。疾患としては、例えば、癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患が挙げられる。粒子又は組成物は、例えば、経口、局所、静脈内投与され得る。投与は、単回投与、又は繰り返し投与され得る。投与される粒子の用量は変化し、疾患の種類及びドーパント、ドーパントの効能、及びカプセル化し粒子から放出されるドーパント量と同様に、被験者の疾患、年齢及び体格にも依存するであろう。
【0032】
本発明の第4の特徴は、疎水性物質を送達する方法であり、該方法は本発明の複数の粒子を、粒子の疎水性物質を放出可能な媒体に曝露することを含む方法を提供することであり、該疎水性物質は粒子から放出される。粒子は粒子を含有する組成物の形態であり得る。非経口投与において、その使用目的における好適なサイズの本発明の粒子は、無菌水溶液又は油性溶液又は懸濁液として調製され得る。水溶液又は懸濁液は、さらに1以上の緩衝液及び必要に応じてその使用目的に好適な他の添加剤を含有し得る。使用目的により、組成物の剤形は、質量を基準に0.005%ないし80%又はそれ以上の本発明のセラミック粒子を含有するであろう。通常、本発明の剤形は、質量を基準に0.1%ないし約25%、より典型的には1ないし16%及びさらにより典型的には1%ないし10%の本発明の粒子を含有するであろう。曝露方法は媒体中へ粒子を浸すことを含み得、さらに粒子を含有する媒体を攪拌、振とう、回転、又はその他の攪拌する方法1以上が含まれ得る。あるいは、曝露は媒体を粒子を通して及び/又は粒子の中で行う。媒体は、流体であっ
ても又液体であってもよい。媒体は、血液などの体液であり得る。有機流体であっても、有機溶媒であってもよく、例えば、疎水性溶媒であってもよい。媒体は疎水性物質を溶解又は放出可能なものであり得る。疎水性物質は、例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。媒体は、気体、例えば空気、及び疎水性物質が揮発性(例えば、香気物質)であり得る。曝露は、疎水性物質が媒体へ放出される好適な条件下で行い得る。曝露は、疾患の治療に有効量の疎水性物質が媒体へ放出される好適な条件下で行い得る。その方法は、疎水性物質が媒体中へ放出するのを可能にする工程が含まれ得る。
【0033】
本発明の更なる実施態様は、本発明の粒子又は本発明の組成物をその部位を治療する有効量においてその部位へ適用させることを含むその部位を治療する方法を提供することである。本発明のその他の実施態様は、本発明の粒子又は組成物を、対象物を治療するのに効果的な量において、対象物に投与することを含む対象物の処理方法を提供することである。さらにまた、本発明の実施態様は、本発明の粒子又は組成物を、被験者の治療に有効な量を被験者に投与することを含む被験者を治療する方法を提供することである。
【0034】
明細書及び特許請求の範囲にわたって、疎水性物質、(hydrophobicmaterial、hydrophobe、hydrophobic active及びhydrophobic active material)は、交互に用いられ得る。
【0035】
図面の簡単な説明
図1は、本発明のセラミック粒子の製造方法を示すフローチャートである。
図2は、粒子の合成における本発明の両面乳剤液滴の概略構造を示す図である。
図3は、Span 80濃度が(a)0.26mol/L、(b)0.45mol/L、(c)0.60mol/L、(d)0.75mol/L、及びその他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いて作成された、ろ過前20分間の縮合直後に得られた本発明のシリカ粒子の光学顕微鏡写真を示す。
図4は、種々のSpan 80濃度が(a及びb)0.26mol/L、(c及びd)0.45mol/L、(e及びf)0.60mol/L、(g及びh)0.75mol/Lを用いて作成した、本発明のミクロサイズのシリカ粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。その他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いた。
図5は、(a及びb)二種類の倍率における電子顕微鏡写真、(c及びd)位相差X線ミクロ断層画像、及び(d)X線画像を示す。全ての画像は、実施例における典型的な合成条件を用いて製造されたシリカ粒子の典型的な形態を示す。
図6は、Tween 21(a)1.322mmol、(b)0.665mmol、(c)0.326mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2)
1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2
225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用い
て製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図7は、Tween 20:(a)1.313mmol、(b)0.661mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
図8は、Tween 80:(a)1.317mmol、(b)0.659mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
図9は、水対TMOSモル比が(a)2;(b)3;(c)4;(d)5;(e)6;(f)8;(g)16において、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween−21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) pH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil
2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いた粒子のサイズ及び分布が示された本発明のシリカ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図10は、粒子形成におけるORMOSILの影響を図示した電子顕微鏡写真を示し、(a)100mol% TMOS;(b)75mol% TMOS及び25mol% VTMS;(c)75mol% TMOS及び75mol% PTMS;(d)75mol%
TMOS及び25mol% MTMS;であり、その他の実験条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;Tween 21 0.575mmol;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;全シリコン前駆体 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2
Span 80 30.03mmol、及び(e)においては、Span80を90mmolにした以外は(d)と同様の条件を用いて製造し、及び(f)においては、Span80を90mmolにした以外は(b)と同様の条件を用いて製造した。
図11は、TEOS水溶液とTEOSのモル比が(a)2;(b)4;(c)8;(d)16、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) のpH2 HNO3溶液;TEOS 29.650mmol;エタノール118.6mmol(ゾル−ゲル溶液に添加);Oil2 225mL シクロヘ
キサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒
子のSEM画像を示す。
図12は、疎水性界面活性剤としてSpan 20を用い、Tween 21濃度が(a)0.575mmol;(b)0.968mmol;(c)1.314mmol;(d)1.724mmol;(e)2.107mmol;(f)2.490mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 185mL シクロヘキサン;Surf2 Span 20 59.17mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図13は、Tween 20及びTween 80:(a)Tween 20 0.245mmol;(b)Tween 80 0.229mmolを用い、図11に記載したその他の実験条件は同様にして製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図14は、親水性ドメインにPEG(ポリエチレングリコール)及び種々の親水性界面活性剤と外部油相が混合された疎水性ドメインへHPC(ヒドロキシプロピル セルロース)を添加し、表3に記載した実験条件により製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図15は、表4に示した実験条件によりPEG及びHPCの存在下種々の親水性界面活性により製造された粒子形態を表す電子顕微鏡写真を示す。
図16は、Tween 21量が(a)0.958mmol、(b)2.874mmol、(c)3.831mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのp
H2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 90mmolである条件を用いて、リモネンを内
部油相として種々の親水性界面活性剤の濃度において合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図17は、レチノール量0.210gでの実施例の典型的な合成における、それぞれの成分量を40%としたカプセル化されたレチノールを用いたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図18は、(a)Span 80 90mmolのシクロヘキサン150mL;(b)Span 80 45mmolのシクロヘキサン75mLとした以外は典型的な合成条件と同様の実験条件における、2倍及び4倍量の内部含有量を添加することにより製造した粒子のSEM画像を示す。
図19は、本発明のシリカ粒子において、粒子表面へ残留した界面活性剤を評価するた
めのTGA(熱質量分析)及びDTA(示差熱分析)結果を示す。
図20は、1)Tween 21を内部界面活性剤として用いた、本発明(“両面乳剤”)の工程で製造した、及び2)WO1/62232の“工程1”を用い製造した2種の粒子試料の吸収等温線を示す。
図21は、シクロヘキサン及びドデカン中の本発明のシリカミクロ粒子からの、SB−35の放出速度を示す図である。
図22は、本発明のレチノールでドープされたシリカ粒子のTGA及びDTA結果を示す。それぞれの成分の含有量は典型的な合成におけるレチノール0.210gの40%である。
図23は、エタノールに溶解した種々の濃度におけるレチノールのUV/Visスペクトルを示す。
図24は、本発明におけるレチノールでドープされた粒子と対照粒子の拡散反射スペクトルを示す。
図25は、リモネン測定における典型的なHPLCクロマトグラムを示す。
図26は、本発明の典型的な単一シリカミクロスフェアの断面図の概略を表す図である。
図27は、先行する方法による粒子の合成工程のフローチャートである。
図28は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間が(a)7時間、(b)24時間として、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
図29は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を(a)100rpm、(b)250rpm、(c)500rpmとして、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM画像である。
図30は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を250rpmとして、本発明の発明者らが製造したレチノールでドープされたシリカ粒子のTEM画像である。
図31は、図27に記載の先行する方法をもとに、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子の吸収等温線を示す図である。
図32は、図31の試料のDRIFT(拡散反射赤外フーリエ変換)スペクトル(650−4000cm-1)を示す図である。
図33は、(a)図31の試料及び本発明の粒子(“ANSTO粒子”)のDRIFTスペクトル(1300−2000cm-1)を示す図であり、及び(b)図31の試料、HPC及び本発明の粒子のDRIFTスペクトル(2700−3100cm-1)を示す図である。
図34は、図31のシリカ粒子の表面に残留する界面活性剤を評価するTGA及びDTA結果を示す図であり、(a)アセトン洗浄、(b)水洗浄を示す。
図35は、種々のpH;(a)1.640、(b)1.000、(c)0.602、(d)0.301において、その他の実験条件は典型的な合成に記載のものを用いて合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
図36は、各pHにおけるBET表面積の結果を示す図である。
図37は、本発明の粒子の図を表したものである。
図38は、種々の内部界面活性剤:(a)NP−5;(b)NP−6;(c)NP−9;(d)Triton X−100;(e)Triton X−114;(f)Brij
30;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図39は、Tween 61及びTween 81を(a)Tweem 61/0.3g;(b)Tween 61/0.6g;(c)Tween 61/1.2g;(d)Tween 81/0.3g;(e)Tween 81/0.6g;(f)Tween 81/1.2g;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図40は、種々の内部界面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の吸着等温線を示す図である。
図41は、種々の内面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の、DTF(密度関数理論)モデルを用いた細孔径分布を示す図である。
図42は、種々の熟成時間:(a)5分;(b)10分;(c)20分;(d)40分、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図43は、軟質粒子の割れ目を表すSEM顕微鏡写真を示す図である。
図44は、種々メタノール蒸散時間:(a)1.5時間;(b)1時間;(c)0.5時間;(d)蒸散なし、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図45は、メタノール導入:(a)4mL;(b)10mL、で製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図46は、Span 80(0.2mol/L)及びHPC:(a)4g;(b)8g;(c)16gを用い、HPC添加した粒子のSEM画像を示す図である。
図47は、(a)Span 80;0.4mol/L、EC7:5g;(b)Span
80:0.2mol/L、EC7;2.4g;(c)Span 80:0.3mol/L、EC7:2.4g;(d)Span 80:0.4mol/L、EC7:2.4gを用い、EC7添加した粒子のSEM画像を示す図である。
図48は、種々の洗浄方法(a)3x15mL 1mol/L NaCl及び3x15mL水で洗浄;(b)6x15mL水で洗浄;(c)Tween 20 0.05% 6x15mLで洗浄;(d)Tween 80 0.05% 6x15mLで洗浄のTGA/DTA追跡を表す図である。
図49は、エタノールを放出媒体として用いた放出速度における合成pHの影響を説明する、色素放出の経時変化を示す図である。
図50は、典型的な合成条件下において、Tween 61(a)150mg及び(b)300mgを内部界面活性剤とし用いてpH1において合成した粒子のSEM画像を示す図である。
図51は、Tween 61を内部界面活性剤として種々の量で用い、pH1において合成されたシリカ粒子のソルベントブルー放出曲線を示す図であるが、ここで色素はエタノール中へ放出される。
図52は、種々の量の内部界面活性剤を用い、pH1において合成されたシリカ粒子のDFTモデルによる細孔径分布を示す図である。
図53は、メタノール中のジウロン濃度を2−100μg/mLで用いたジウロン測定のHPLC追跡結果を示す図である。
図54は、カプセル化されたジウロンのシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
図55は、(a)Tween 21:0.3g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.3g、バジル油 0.70mL;(c)Tween 21:0.6g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.6g、バジル油 0.70mLを用いて作成されたカプセル化されたバジル油のシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は多重乳剤、例えば、oil−in−water−in−oil double−emulsion(油中水中油型両面乳剤)(O/W/O)系を介したゾル−ゲル技術を用いたセラミック粒子の製造方法に関する。多重乳剤は乳剤中に乳剤を含有する、即ち、多重乳剤の分散相はそれ自身乳剤である。多重乳剤の分散相は単一乳剤(即ち、連続性であり、分散相はそれ自身乳剤ではない)であり得、又は、多重乳剤であり得る。本発明の多重乳剤は、double emulsion(両面乳剤)、dual emulsion(二重乳剤)、complex emulsion(複合乳剤)であり得る。O/W/O(oil−water−oil)両面乳剤であり得る。O/W/O乳剤中に2つの油相は同じであっても、類似であっても、異なっていても良い。
【0037】
本方法の生成物の分析結果をここへ示す。これ等のミクロン又はサブミクロンサイズの
粒子(一般的には0.1ないし1000μm)は、制御された方法により放出され得る疎
水性物質を含有する。粒子はC.J.Barbe、J.R.Bartlettらによる「
セラミック粒子の制御放出、その組成物、合成工程及び方法」、WO01/62232(
2001)に記載の“工程1”及び両面乳剤(O/W/O)を組み合わせて用いることにより合成し得る。疎水性物質はいかなる有機分子又は疎水性化合物、例えば色素又は薬剤で、固体(例えばレチノール、ジウロン)又は液体(例えば、リモネン、バジル油)のどちらの形態も可能である。疎水性物質は、固体又は液体、又は固体と液体の混合物であり得る。溶液中に存在し得る。粒子サイズ、粒子の形態及び疎水性物質の放出速度はゾル−ゲル工程の条件及び/又は両面乳剤の特性により制御され得る。
【0038】
本発明によれば、疎水性物質をその中へ含有する粒子を製造する方法が提供される。本工程は、疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤、例えば両面乳剤を提供することを含む。第一乳剤は、親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで、疎水性相は、疎水性物質、及び非流動的マトリックスを形成するよう反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する。前駆体はその後多重乳剤中で反応し、疎水性物質をその中に含有する粒子の形態でマトリックスを形成する。反応は、重合化、縮合、凝固、架橋又はその他の反応、又はこれらのいくつかの組み合わせであり得る。前駆体物質が反応し粒子形成する際、前駆体物質中の疎水性物質が粒子中へ少なくとも部分的にカプセル化されるようになり、このように前駆体物質の反応は疎水性物質をそれへ含有した粒子を形成する。粒子中の疎水性物質は、粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質はある期間の間、又は期間中制御された速度で粒子から放出し得る。
【0039】
このようにして、疎水性物質は少なくとも部分的に、空洞、セル、中空又は分室の内部にカプセル化される。粒子からの疎水性物質の放出は、これ等空洞、セル、中空又は分室を取り巻くマトリックスの細孔径により制御されると思われる。粒子製造工程においてpHを制御することによりマトリックスの細孔径分布を好きなように調整することが可能である。このようにしてゾル−ゲル化学は、マトリックスの細孔径を制御する。内部界面活性剤は細孔構造に影響し得る。マトリックスの多孔性は細孔が約100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm以下であり得、又は
約10、5又は2nm下であり得、又は約1ないし約20nm、又は約1ないし10、1ないし5、1ないし2、5ないし20、10ないし20、または2ないし10nm及び細孔が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12,13、14、15、16、17、18、19又は20nmを含み得る。これらの細孔(ミクロ細孔、メソ細孔又はマクロ細孔)は疎水性物質の放出速度を制御し得る。マトリックスの多孔性は窒素吸収により検出され、小胞はSEMにより観測される。これらは、それぞれミクロ−(<2nm)、メソ多孔性(2nm<p<50nm)及びマクロ多孔性(>50nm)である。粒子合成中のpHを低下させることにより細孔容積及び表面積は減少する。これは細孔径又はマトリックスの多孔性を減少させ得る。これは疎水性物質の放出速度の低下であり得る。疎水性物質は少なくともマトリックスの細孔の一部に局在し得る。
【0040】
先行するアプローチと比較して、図1に示した本願発明の工程の例においては、予め加水分解した前駆体が親水性界面活性剤の存在下に内部油相と混合される。この内部に分布した油状液滴を含む親水性相(予め加水分解した前駆体及び水)を外部油相及び疎水性界面活性剤の混合物へ注ぎ入れる。この工程は
WO01/62232の“工程−1”と類似であるが、主要な相違点は、本発明の工程では、ゾル−ゲル溶液は、内部油状液滴に均一に分布することを含むことである。内部Oil1/‘W’相及び外部Oil2相を混合した後、親水性液滴が形成される。この工程の間、加水分解された前駆体は縮合し球状粒子を形成し、内部の内部油相へ封入される。この動態プロセスは、従来のアルコキシド反応に必要とされる数時間(又は数日間さえの)であるよりもむしろ、数分から数十分の間で起こり得る。
【0041】
したがって、本発明は、例えばセラミック粒子のような疎水性物質をその中へ有する粒子の製造方法を提供する。本発明の方法はまず、親水性相中に分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供することにあり、ここで疎水性相は、疎水性物質及びマトリックスを生成する反応可能な親水性相を含有する。第一乳剤はそれが疎水性媒体に分散され多重乳剤を形成し、そして前駆体は反応しマトリックスを生成し、それにより疎水性物質をその中へ有する粒子を形成し、該粒子は疎水性媒体中へ分散される。粒子中の疎水性物質は粒子から放出され得る。粒子中の疎水性物質は、ある期間にわたり制御された速度で粒子より放出され得る。
【0042】
固体粒子の生成及び両面乳剤の形成は同時に起こり得る、即ち、第一乳剤が疎水性媒体中に分散されているので、前駆体は、反応を開始しマトリックスを生成し得る。このようにマトリックスの生成は、第一乳剤が疎水性媒体と混合される(即ち、この中へ分散される)時、開始し得る(厳密に言えば、マトリックスの生成は水がアルコキシドに添加されると速やかに起こる。したがって第一乳剤が外部油上物質及び第二界面活性剤(即ち、疎水性媒体)と混合されると、急速なゲル化を引き起こす縮合過程の加速が起こる)。マトリックスを生成する前駆体の反応は、数分から数十分又はそれ以上の時間をかけて両面乳剤中に起こり得る。粒子が疎水性媒体中に残留する時間が長くなれば成るほど、疎水性物質は疎水性媒体へと粒子から拡散することとなる。それゆえ、いったん粒子が生成すると、それらは疎水性媒体から、例えばフィルターろ過によって分離し得、それにより粒子からの疎水性媒体の減少が防止できる。前駆体のさらなる反応は該分離の後に継続し得る。更なる反応は、温度、試薬等によって、約2、4、6、12、24、36及び48時間以上継続しえる。
【0043】
本発明の代表される方法において、アルコキシシランへの水の添加は、加水分解及び縮合による重合化工程を起こす。予め加水分解したアルコキシシラン溶液(第二混合物)の第一混合物(疎水性物質及び水を含有する)への添加は、水の量が増加するに従い、加水分解及び縮合の速度を加速する。多重乳剤中の第一乳剤(第一及び第二混合物の混合により得られる)の区分化はさらに前駆体のゲル化、即ち粒子の生成を加速する。ゲル化速度は、“容器”の容積(即ち多重乳剤中の第一乳剤の液滴サイズ)に依存するが、この理由はゲル化速度は、“容器”の容積を横羅するシロキサンクラスターの生成により定義されるからである。換言すれば、“容器”が小さくなれば、ゲル化時間が短くなる(同一の化学反応のために)。このように、油/水乳剤が加水分解されたアルコキシシランへ添加され、そして疎水性媒体へ添加された場合、本発明の工程は急速に促進され得る。第一乳剤が多重乳剤への導入に先行してゲル化した場合は、粒子は生成し得ない。第一乳剤が速やかにゲル化しなければ、外部の疎水性媒体と接触している内部油状液滴の確率が上昇するため、カプセル化効率は低下し得る。このように、疎水性媒体中における第一乳剤の分散の直後に、第一乳剤の液滴は不完全に反応し得、軟質であり得る。適切な期間、一般的に約10ないし20分(化学反応及び条件に依存し異なり得るが)の反応はマトリックスの生成を促進し得る。
【0044】
疎水性相は疎水性物質を含有し、又はこれから成り得る。疎水性物質及び疎水性希釈物(例えば疎水性溶媒)を含有する溶液又は混合物を含有し得、又はこれらから成り得る。疎水性物質は、例えば、蛍光色素、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。前駆体が反応してマトリックスを生成する条件下で前駆体との反応が出来ないかも知れない。疎水性溶媒及びその中へ溶解した疎水性物質を含有し得る。疎水性物質は揮発性又は不揮発性であり得る。疎水性希釈剤は、存在する場合は、疎水性物質の溶媒であり得る。疎水性液体であり得、例えば液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(
例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(たとえば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。疎水性相中の疎水性物質の割合は、質量又は容量を基準に約0.1ないし100%、及び約1ないし100、10ないし100、50ないし100、80ないし100、90ないし100、0.1ないし50、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし1、1ないし50、1ないし10、10ないし50、又は10ないし20であり得、及び約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99又は100%であり得る。疎水性相は、純粋か又は希釈され得、たとえば希釈剤で希釈され得る。
【0045】
親水性相は、水溶性相であり得る。架橋性種を水とともに混合し得、こうして前駆体を調製し得る。架橋性種としては加水分解性シランがあり得る。加水分解性シランは、1分子中に2、3又は4つの加水分解性基を有し得る。架橋性シランはシランの混合物であり得、一分子中の加水分解性基の平均数は2ないし4(または約2ないし約3、約3ないし約4、約2.5ないし約3.5、又は約2.5ないし約4、及び約2.2.5、3、3.5又は4)であり得る。シランの混合物は、1分子中に1、2、3及び4つの加水分解性基を有する個別のシランを含み得るが、混合物中の少なくとも1つのシランは1分子中少なくとも3つの加水分解性基を持ち得る。加水分解性基はアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ)又はアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、又はオキシモ基(例えば、2−ブタノンオキシモ)、エノールオキシ基(例えば、プロペニルオキシ)又はその他の加水分解性基であり得る。例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)又は官能トリメトキシ、トリエトキシ又はトリプロポキシシラン、例えば、アミノプロピルシラン、アミノエチルアミノプロピルシラン又はその他の官能性シラン、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシランであり得る。特別の実施態様ではアルコキシドの混合物(例えば、シラン及びアルコキシド基)およびORMOSIL、例えば、官能性のトリアルコキシシランが用いられる。あるいは、架橋性種は、加水分解性チタン酸塩、又は加水分解性ジルコン酸塩又は加水分解性アルミン酸塩であり得、1分子中に2以上の加水分解性基を有し得る(例えば、ジルコニウム テトラアルコキシド又はチタニウム テトラアルコキシド又はアルミニウム トリアルコキシド)又はその他の架橋性種、又はこれらの2以上の混合物であってもよい。架橋性種は前駆体であり得、又は架橋性種は水の存在下で反応し前駆体を生成し得る。例えば、架橋性種は、少なくとも部分的に加水分解し得、及びまた部分的に架橋し得、前駆体を生成し得る。このようにして、前駆体は、部分的な加水分解物、完全加水分解物又は架橋性種の部分縮合物(例えば、二量体、三量体、四量体等)を含有し得、又はこれらの混合物を含有し得る。親水性相の生成に用いられる第二混合物中の水と架橋性種の比は、約1:1ないし約5:1であり得、又は約1:1ないし4:1、1:1ないし3:1、2:1ないし5:1、2:1ないし4:1、3:1ないし5:1、又は1.5:1ないし2.5:1、及び約1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1であり得、又はその他の比率であり得る。第一混合物(第一界面活性剤、疎水性相及び水を含有する)は、第一乳剤の製造において、第二混合物とともにその比が、質量又は容量を基準に約1:1ないし約1:5であり得(又は約1:2ないし1:5、1:3ないし1:5、1:1ないし1:3、1:1ないし1:4、又は1:2ないし1:4であり得、及び約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、又はその他の比率であり得る)、第一乳剤の製造における水と加水分解性種との比は、質量又は容量を基準に約2:1ないし10:1であり得(又は約2:1ないし5:1、2:1ないし4:1、3:1
ないし10:1、3:1ないし6:1、3:1ないし5:1、5:1ないし10:1、2:1ないし5:1、又は約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1又はその他の比率であり得る)。触媒、例えばH+は前駆体の形成を
触媒することが求められ得る。これは、硫酸、硝酸又は塩酸等の使用が容易な酸が提供され得る。前駆体の生成に必要とされるpHは、約1ないし5、又は約1ないし4、1ないし3、2ないし5、2ないし4又は3ないし5であり得、及び約1、2、3、4又は5であり得る。強酸さえも用い得、例えば、酸が約0.01ないし2M、又は約0.01ないし1、0.01ないし0.5、0.01ないし0.1、0.1ないし2、0.5ないし2、1ないし2であり得、又は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5又は2M又は約2Mより高濃度であり得る。
【0046】
前駆体の生成に必要な時間は、約1分ないし約48時間、又は約5分ないし24時間、5分ないし12時間、5分ないし6時間、5分ないし1時間、5分ないし30分、5分ないし15分、1ないし48時間、12ないし48時間、24ないし48時間、36ないし48時間、1ないし36時間、6ないし30時間、12ないし30時間、18ないし30時間、20ないし28時間、22ないし26時間、1ないし12時間、1ないし6時間、30分ないし1時間、30分ないし5時間、1ないし5時間、2ないし5時間、3ないし5時間、1ないし4時間、1ないし3時間、1ないし2時間又は30分ないし2時間であり得、及び約5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50分、又は約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、30、35、42又は48時間であり得、及び約10、20、30、40又は50分、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5時間、又は5時間より長時間であり得る。該生成温
度は、約0ないし約80℃、又は約0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし80、40ないし80、60ないし80、70ないし80、10ないし50、10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし50、30ないし50、又は20ないし40℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80℃、又は80℃より高温であり得る。例えば、pH3において、必要な時間は約24時間であり得る。
【0047】
第一乳剤中の、疎水性相と親水性相の比は、質量又は容量を基準に約1:1ないし約1:100であり得、又は約1:1ないし1:50、1:1ないし1:10、1:1ないし1:5、1:1ないし1:3、1:10ないし1:100、1:50ないし1:100、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50又は1:10ないし1:20であり得、及び約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又は1:100、又はその他の比率であり得る。
【0048】
第一乳剤を生成する工程は、疎水性相を水および第一界面活性剤と混合し第一混合物を生成することを含み得る。この第一混合物は、次いで、前駆体及び水を含有する第二混合物と混合する。第一及び第二の混合物はここで攪拌し、第一乳剤を生成する。攪拌は、高速せん断を含み得、高速せん断攪拌、超音波処理、又はその他の好適な方法によって行い得る。本発明において、種々の攪拌工程があり又は用い得る。これらの工程に採用しうる方法は、重要ではないが、回転翼、パドル式攪拌機、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等のいかなる汎用の攪拌装置も好適である。高度せん断攪拌には、超音波もまた用い得る。
【0049】
攪拌は、約1分ないし1時間、又は約1ないし30分、1ないし20分、1ないし10
分、5分ないし1時間、10分ないし1時間、30分ないし1時間、10ないし30分又は5ないし20分であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、910、15、20、25、30、40及び50分、又は1時間以上であり得る。第一混合物は乳剤であり得、ミクロ乳剤であり得る。第一乳剤に無関係に、平均液滴直径は、約10nmないし約50ミクロン、又は約10nmないし10ミクロン、10ないし50ミクロン、1ないし50ミクロン、20ないし50ミクロン、10ないし20ミクロン、10nmないし1ミクロン、又は約10ないし500、10ないし200、10ないし100、10ないし50ミクロン、又は約50nmないし10ミクロン、100nmないし10ミクロン、500nmないし10ミクロン、1ないし10ミクロン、1ないし5ミクロン、5ないし10ミクロン、50nmないし5ミクロン又は100nmないし1ミクロンであり得、及び、平均液滴直径は約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800又は900nmであり得、又は平均液滴直径は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50ミクロンであり得、又は平均液滴直径が約50ミクロン以上であり得る。第一混合物及び第一乳剤の液滴直径は同じでも異なっていても良い。第一混合物中の疎水性物質と水の比は、質量又は容量を基準にして約1:1ないし1:50であり得、又は約1:1ないし1:20、1:1ないし1:10,1:1ないし1:5、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50、1:20ないし1:50、1:5ないし1:20又は1:10ないし1:20、であり得、質量又は容量を基準にして約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40又は1:50、又はその他の比率であり得る。疎水性相と第一界面活性剤の比率は、質量又は容量を基準にして約100:1ないし約1:100、又は約100:1ないし1:1、50:1ないし1:1、20:1ないし1:1、10:1ないし1:1、5:1ないし1:1、2:1ないし1:1、50:1ないし1:50、20:1ないし1:20、10:1ないし1:10、5:1ないし1:5、2:1ないし1:2、1:2ないし100:1、1:10ないし1:100、1:50ないし1:100、1:2ないし1:50、1:2ないし1:10、1:2ないし1:5、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50、1:20ないし1:50又は1:5ないし1:20であり得、及び質量又は容量を基準に約100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又は1:100であり得、又はその他の比率であり得る。第一界面活性剤は水中油型(O/W)乳剤を生成する好適な界面活性剤であり得る。高HLB(親水性/脂溶性バランス)界面活性剤、即ち、親水性界面活性剤であり得る。第一界面活性剤のHLBは約8ないし20、又は約15ないし20、10ないし15,13ないし17又は15ないし18であり得、及び約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20、又は20より大であり得る。ポリソルベート界面活性剤であり得、例えばTween(ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体)Tween 20、Tween 21,Tween 61、Tween 80,Tween 81であり得、又はPEO/PPO共重合体、例えばPluronic P123であり得る。その他の使用し得る界面活性剤にはBrij(ポリオキシエチレン脂肪酸)、例えばBrij30、NP(ノニルフェノキシポリエトキシエタノール)、例えばNP−4、NP−5、NP−6、NP−9、Triton(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)例えばTriton X−100、Triton X−114、Myrj、例えばMyrj45が挙げられる。イオン性界面活性剤、例えばAerosol OT(ドキュセートナトリウム塩:ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩)であり得る。第一界面活性剤は、異なる界面活性剤の混合物を含有し得、また、共界面活性剤を含有し得る。
【0050】
第一乳剤は、架橋性種の、又は前駆体の加水分解及び/又は縮合のための触媒を有し得る。触媒は、酸又はその他の触媒であり得る。これは、第一混合物又は第二混合物又はその両方へ触媒を取り込むことにより達成される。第一混合物、又は第二混合物、又は第一乳剤の親水性相のpHは、それぞれ独立に約1ないし10、又は約2ないし8、2ないし7、2ないし6、2ないし4、5ないし10、7ないし10、8ないし10、3ないし7、3ないし6、3ないし5又は7ないし9であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、又は約1から10の範囲外であり得る。強酸さえも用い得、例えば、酸が約0.01ないし2M、又は約0.01ないし1、0.01ないし0.5、0.01ないし0.1、0.1ないし2、0.5ないし2、1ないし2であり得、又は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5又は2M又は約2Mより高濃度であり得る。あるいは、pHは約7.5ないし約13.5であり得る。pHは、約7.5ないし12、7.5ないし9、8ないし13.5、10ないし13.5、8ないし13、8ないし12、8ないし10又は10ないし12であり得、及び約7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13又は13.5であり得る。pHは、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸、又はその他の酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニアのような塩基を用い所望の値に調整し得る。あるいは、pHは例えば燐酸緩衝液のような緩衝液を用いて調製し得る。
【0051】
多重乳剤は疎水性媒体中に第一乳剤を分散することにより形成される。分散物は、低速せん断攪拌であり得、たとえば,低速せん断攪拌機を用い行い得る。分散は、第一乳剤が破壊されないに十分に低速せん断で行い得、即ち残余の疎水性相は第一乳剤の親水性相の間に分散されたまま残る。疎水性媒体は、その中に溶解した、懸濁した又は分散された状態で第二界面活性剤を有し得る。多重乳剤中の第一乳剤の割合は、質量又は容量を基準に約1ないし約30%、又は約1ないし15、1ないし10、1ないし5、10ないし30、15ないし30、20ないし30、25ないし30、5ないし15、10ないし15、2ないし5、5ないし10及び7ないし10%であり得、質量又は容量を基準に約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25又は30%であり得る。疎水性媒体中の第二界面活性剤の比率は、質量又は容量を基準にして約1ないし約40%であり得、及び約1ないし30、1ないし20、1ないし10、1ないし8、1ないし6、1ないし4、3ないし10、5ないし10、8ないし10、2ないし8又は4ないし6%であり得、及び質量又は容量を基準に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35又は40%であり得る。第二界面活性剤は低HLB界面活性剤であり得、即ち疎水性界面活性剤であり得る。第二界面活性剤のHLBは約1ないし10、又は約1ないし8、1ないし5、2ないし5又は3ないし7であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。第二界面活性剤はソルビタンエステルであり得、例えばspan80(ソルビタン モノオレエート、HLB 4.3)、グリセロール モノオレエート(HLB 2.8−3.0)、グリセロールモノステアレート(HLB 3.2)、PEO/PPO共重合体、ソルビタン トリオレエート(Span 85,HLB 1.8)、ソルビタン トリステアレート(Span 65、HLB 2.1)又はソルビタン セスキオレエート(HLB
4)、又はソルビタン モノラウレート(Span 20、HLB 8.6)、又はソルビタン モノパルミテート(Span 40、HLB 6.7)、又はソルビタン モノステアレート(Span 60、HLB 4.7)であり得る。第二界面活性剤は、界面活性剤の混合物を含有し得、共界面活性剤を含有し得る。中性ポリマーはまた、疎水性媒体の粘度を増加するために用いられ得る。疎水性媒体はいかなる好適な疎水性溶剤であり得る。疎水性希釈剤と同じでも異なっていてもよい。例えば、液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(例えば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。多重乳剤中の第一液滴は平均直径が約0.1ないし1000ミクロン、又は約0.1ないし0.5、0.1ないし10、0.1ないし100、0.1ないし500、0.1ないし800、500ないし1000、500ないし800、1ないし1000、10ないし1000、100ないし1000、10ないし800、100ないし800、0.5ないし100、0.5ないし50、0.5ないし10、0.5ないし5、1ないし250、10ないし250、100ないし250、10ないし100、10ないし50、250ないし500、100ないし500又は50ないし500ミクロンであり得、及び平均直径が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、01、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000ミクロンであり得、又は1000ミクロンより大であり得る。
【0052】
本発明の方法は分散及び/又は攪拌を含有する数工程を含み得る。該工程のそれぞれは独立に、緩やかな又は急速な攪拌を含み得る。それらは、それぞれ独立に、攪拌、旋回、振とう、音波分解、超音波処理、又は他の方法による攪拌、又はこれらを組み合わせて行い得る。前述のように、多重乳剤の生成は、第一乳剤が分解しないように十分な低速せん断で行い得る。
【0053】
多重乳剤の形成に続いて、前駆体は、疎水性物質をその中に含有し、該粒子は疎水性媒体中に分散された粒子を形成するように反応させられる。反応工程は多重乳剤の熟成を含み得る。熟成は、粒子を形成する十分な時間行い得、例えば約1分ないし50時間である。約5ないし10分、10分ないし5時間、10分ないし1時間、10ないし50分、10ないし40分、10ないし30分、10ないし20分、15ないし30分、30分ないし10時間、1ないし10時間、5ないし10時間、30分ないし5時間又は30分ないし1時間であり得、及び約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は55分、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、12、15、18、24、27、30、33、36、42、48又は50時間であり得、又は50時間より長期であり得る。十分な時間は、第一乳剤のpHに依存し得る。例えば、約1時間の熟成は、pH2では十分であり得る一方、24時間の熟成がpH3では必要とされ得る。前記のように、マトリックスを生成する前駆体の反応は、疎水性相から粒子が分離された後も継続し得る。十分な時間は熟成温度、触媒の種類と量、及び前駆体の種類に依存し得る。熟成は、十分な時間の間疎水性物質が安定であるいかなる適当な温度で行い得、約10ないし60℃であり得る。約10ないし50、10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし60、40ないし60、10ないし30又は15ないし30℃であり得、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60℃又はその他の温度であり得る。該熟成の間、多重乳剤は攪拌してもしなくてもよい。粒子中の疎水性物質は粒子から放出可能であり得る。
【0054】
前駆体の反応工程は前駆体の種類に依存し得る。前記のように、加水分解/縮合機構(例えば、シラン誘導体の前駆体)により凝固する前駆体においては、熟成及び必要に応じて加熱を含み得る。しかしながら、他の前駆体においては、前駆体を凝固させる工程は、前駆体の凝固剤を得、多重乳剤を放射線に曝露させ(即ち、UV照射、ガンマ線照射)、又はその他の前駆体を反応させマトリックスを生成する工程を含み得る。
【0055】
工程は、必要に応じて、部分的に疎水性媒体から粒子を分離する、粒子を熟成させる、粒子を洗浄する、及び粒子を乾燥させる、少なくとも1以上の工程を含み得る。粒子の生
成後、これらは固化される。これは、疎水性媒体から粒子を分離する前又は後に行い得る。約1ないし約10時間、又は1ないし5、1ないし2、2ないし5、2ないし10、1ないし3、1.5ないし2.5又は5ないし10時間要し得、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10時間又は10時間より長時間要し得る。あるいは、1時間以下であり得、条件と化学反応に依存する。例えば、約10分ないし約1時間、又は10ないし50分、又は約10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし50、20ないし30又は15ないし25分要し得、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50及び55分要し得る。粒子を固化するのに十分な温度において粒子を維持することを含み得る。温度は、疎水性物質の分解、蒸散又は劣化が起こらない適当な低さであり得る。温度は約1ないし約100℃、又は約0ないし80、0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし100、40ないし100、60ないし100、80ないし100、20ないし80、40ないし80又は40ないし60℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100℃であり得る。温度及び時間は、粒子の洗浄及び乾燥中に粒子が粉砕、破裂、分解、圧壊しない好適なものであり得る。分離工程は、沈降、デカンテーション、フィルターろ過、遠心分離、蒸留、又はその他の方法が用いられる。少なくとも部分的に分離の工程の後、粒子はさらに熟成し得る。これは、前駆体の更なる反応のために好適な期間であり得る。例えば、約1時間ないし約24時間又はそれ以上、又は約1ないし12、1ないし6、6ないし24、12ないし24、18ないし24時間であり得る。さらに熟成する場合の温度は約0ないし約100℃であり得、又は約0ないし80、0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし100、40ないし100、60ないし100、80ないし100、20ないし80、40ないし80、又は40ないし60℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100℃であり得る。温度は、疎水性物質の分解、蒸散、劣化のおきないような十分低い温度であり得る。洗浄工程は溶媒を用い得る。溶媒は親水性又は疎水性であり得る。例えば、水、水溶性溶液(例えば、塩化ナトリウム溶液のような塩溶液)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサン、クロロホルム、シクロヘキサンがあり得、及び疎水性媒体として用いられる前記のいずれの溶媒もあり得、又はこれらの溶媒の2以上の混合物であり得る。研究者は粒子から疎水性種が浸出し、そしてカプセル化効率を低下させる溶媒を用いないように注意しなければならない。特に、溶媒は、粒子から疎水性活性種が浸出しないか実質的に浸出しないものとする。“粒子から疎水性活性種が実質的に浸出しない”の表現は、は30wt%、25wt%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt%、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%、0.5wt%、0.25wt%又は0.1wt%以下の疎水性活性種が粒子から浸出する(wt%は粒子中の疎水性活性種の全質量の質量パーセントである)ことを含む。“粒子から疎水性活性種が実質的に浸出しない”の表現は、30wt%ないし0.001wt%、25wt%ないし0.01wt%、20wt%ないし0.01wt%、15wt%ないし0.01wt%、10wt%ないし0.01wt%、5wt%ないし0.01wt%、4wt%ないし0.01wt%、3wt%ないし0.01wt%、2wt%ないし0.01wt%、1wt%ないし0.01wt%、0.5wt%ないし0.01wt%、0.25wt%ないし0.01wt%又は0.1wt%ないし0.01wt%の疎水性活性種が粒子から浸出する(wt%は粒子中の疎水性活性種の全質量の質量パーセントである)ことを含む。洗浄工程は、粒子を溶媒と混合する工程を含み得、必要に応じ粒子及び溶媒を攪拌し、そして溶媒を除去する工程を含み得る。洗浄工程は、粒子へ溶媒を通過させることを含み得る。通過させることは、重力下又は減圧下で行い得る。例えば、ブフナー漏斗又は焼結ガラスろ過漏斗を用いて行い得る。洗浄工程は適切であれば溶媒から粒子を分離する工程を含み得る。これは上記のように疎水性媒体から粒子を分離するために行い得る。洗浄工程は約1ないし10回繰り返し得、各洗浄工程は同じ溶媒で用いても良
いし、異なる溶媒をその他の洗浄工程を行うために用いても良い。
【0056】
乾燥工程は、粒子を加熱する工程を含み得る。加熱は疎水性物質が分解、劣化又は実質的に揮発する温度以下の温度で行い得(疎水性物質が揮発性の場合問題となり得る)、例えば、約30ないし80℃、又は約30ないし60、30ないし40、40ないし80、60ないし80、又は40ないし60℃であり得、及び約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80℃であり得る。あるいは、又は必要に応じて乾燥工程はWO01/62332(Barbe及びBartlettによる「セラミック粒
子の制御放出、その組成物、合成工程及び使用の方法」)に記載の凍結乾燥を含み得る。乾燥工程は、あるいは、又は粒子上及び/又は粒子を通じて気体の流れを通させることを含み得る。気体は粒子及び疎水性物質に不活性であり得、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素又はこれらの混合物であり得、乾燥されているものがよい。乾燥工程は、追加的に又は択一的に、粒子を部分的に減圧下で作用させることを含み得る。部分的減圧は、絶対圧力で例えば約0.01ないし0.5気圧、又は約0.01ないし0.1、0.01ないし0.05、0.1ないし0.5、0.25ないし0.5、0.05ないし0.1又は0.1ないし0.25気圧であり得、及び絶対圧力が約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4又は0.5気圧であり得る。乾燥は減圧乾燥又は凍結乾燥を含み得る。減圧乾燥は疎水性物質を実質的に除去しない好適な減圧下で行い得る。例えば、約0.01ないし0.5気圧(絶対圧力)、又は約0.01ないし0.1、0.01ないし0.05、0.1ないし0.5又は0.1ないし0.3気圧であり得、及び約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4又は0.5気圧であり得る。
【0057】
工程のカプセル化効率(即ち、粒子中へ取り込まれる工程に用いられる疎水性物質の比率)は、工程で用いられる条件及び効率を測定する方法に依存し得る。カプセル化効率は直接法、即ち疎水性物質を抽出し、例えばHPLC又はUVスペクトル法で定量する方法で測定し得、又は取り込まれなかった疎水性物質の量を測定し(例えばUVスペクトル法により)、取り込まれなかった量及び工程に用いられた量からカプセル化効率を測定する間接法により測定し得る。本工程ではカプセル化効率は、約5ないし75%、又は約5ないし50、5ないし25、5ないし10、10ないし75、25ないし75、50ないし75、10ないし50、30ないし50又は20ないし40%を得、及びカプセル化効率は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70又は75%で得られ得る。カプセル化効率は、疎水性物質の種類、例えば疎水性物質の分子サイズ及び疎水性物質の疎水性に依存し得る。例えば、同一の条件下において、リモネン(分子量136)はソルベントブルー−35色素(SB−35:分子量350)よりも低いカプセル化効率で取り込まれた。また、前駆体又は混合する前駆体の種類に依存し得る。触媒の種類及び合成条件等に依存し得る。
【0058】
本発明の工程に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、実施可能ないずれの工程ステップを組み合わせて提供し得る。
【0059】
本発明の粒子は、その中へ固定化された疎水性物質を有する。粒子中の疎水性物質は粒子から放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は、制御された速度で一定期間粒子から放出可能であり得る。先行するO/W/O両面乳剤を用いることによりセラミック粒子を製造する方法は、両面乳剤が安定であることが必要であった。この方法は、疎水性物質をその中に有する両面乳剤を生じた。分離工程において、加水分解性シランを両面乳剤へ添加した。シランは、水溶性乳剤液滴へ浸透し、そこで加水分解しセラミック物質を形成することができると考えられた。両面乳剤は製造が困難であり、多くの場合安定性に限界があると考えられている。シランのような種の添加は、いくつかの場合乳剤の不安定性を引き起こし得る。不安定性と戦う為に、先行する研究者らは、両面乳剤中へ増粘剤を取り込ませた。これは粒子の製造製造を複雑化し、及び/又は粒子中に増粘剤が取り込まれる可
能性を持つ。もしそれが取り込まれたら、増粘剤が後日に放出し得、特に患者へ疎水性物質を送達するために用いられる粒子の適用においては、望ましくないかも知れない。本発明の工程は、両面乳剤の短期安定性のみ必要とする工程を採用することによって、増粘剤の使用を回避する。それ故、本発明の粒子は、増粘剤の使用を包含しない工程により製造し得る。粒子はそれ故その中に又はその上に増粘剤を有し得ない。これによれば、いったん生成された場合、本発明の両面乳剤は安定、準安定、不安定又は部分的に安定であり得る。それは十分に安定なので両面乳剤が安定な期間中に前駆体が非流動的マトリックスを形成するように反応する時間があり得る。このように両面乳剤が安定な期間は、前駆体が非流動性マトリックスを形成する反応時間よりも長くてもよい。両面乳剤の安定性は攪拌により強化され得る。攪拌は、攪拌、振とう、又はその他の攪拌方法を含み得る。緩やかな攪拌であり得る。両面乳剤は、前駆体が疎水性物質をその中へ含有する粒子を形成するように反応するに十分な時間安定である、十分に緩やかな攪拌であり得る。
【0060】
疎水性物質は、複数の個別の分室中の粒子の中に固定され得る。粒子中の疎水性物質は、粒子より放出し得る。粒子は約10ないし約1010の個別の分室、又は約106ないし
1010の個別の分室を持ち得、又は1010以上の個別の分室を持ち得る。粒子は約100ないし1010、104ないし1010、106ないし1010、108ないし1010、100な
いし109、100ないし108、100ないし107、104ないし109、106ないし109、104ないし108、106ないし108、106ないし108又は107ないし109、
及び約100、1000、104、5*104、105、5*105、106、5*106、107、5*107、108、5*108、109、5*109又は1010個の個別の分室を持ち得る。分室は、球状であり得、又は円筒状、斜方晶形、多面体(4ないし20の面)、楕円状、卵型、弾丸型又はその他の形状であり得る。形状は、規則的であっても不規則であってもよい。個別の分室は平均直径が、約10nmないし約50ミクロン、又は約10nmないし10ミクロン、10ないし50ミクロン、1ないし50ミクロン、20ないし50ミクロン、10ないし20ミクロン、10nmないし1ミクロン、又は約10ないし500nm、10ないし200、10ないし100又は10ないし50nm、又は約50nmないし10ミクロン、100nmないし10ミクロン、500nmないし10ミクロン、1ないし10ミクロン、1ないし5ミクロン、5ないし10ミクロン、50nmないし5ミクロン又は100nmないし1ミクロンであり得、及び平均直径が約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800又は900nmであり得、又は平均直径が約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50ミクロンであり得、又は平均直径が50nmより大であり得る。個別の分室は、単分散された直径又は多分散された直径を有し得、狭い又は広いサイズ分布を有し得る。粒子の平均粒径は、約0.1ないし1000ミクロン、又は約0.1ないし0.5、0.1ないし10、0.1ないし100、0.1ないし500、0.1ないし800、0.5ないし100、0.5ないし50、0.5ないし10、0.5ないし5、1ないし250、10ないし250、100ないし250、10ないし100、10ないし50、250ないし500、100ないし500、100ないし800、100ないし1000、500ないし1000、500ないし800又は50ないし500ミクロンであり得、及び平均粒径は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、01、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900又は1000ミクロンであり得、又は約1000ミクロンより大であり得る。粒子サイズ分布は単分散直径又は多分散のものであり得、狭い又は広い分布を有し得る。
【0061】
粒子は、架橋性シラン、シリカ、架橋性ジルコニウム種、ジルコニア、架橋性チタニウ
ム種、チタニア、架橋性アルミニウム種、アルミナ、又は、架橋性シラン、架橋性チタニウム種、架橋性ジルコニウム種、及び架橋性アルミニウム種から選択された少なくとも2種以上の共架橋性種から生成される混成物を含有し得る。混成セラミックは少なくともケイ素、ジルコニウム、チタン、及びアルミニウムからの少なくとも2種、例えばアルミノ珪酸塩、ジルコイオ珪酸塩、又はチタノ珪酸塩などを含有し得る。粒子は球状であり得、又は、又は円筒状、斜方晶形、多面体(4ないし20の面)、楕円状、卵型、弾丸型又はその他の形状であり得る。形状は、規則的であっても不規則であってもよい。粒子中の疎水性物質は粒子中へ放出され得る。
【0062】
粒子中の疎水性物質の負荷量は、質量又は容量を基準に約0.1ないし約50%、又は約0.1ないし30、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし1、0.1ないし0.5、1ないし50、5ないし50、10ないし50、20ないし50、0.5ないし20、0.5ないし5、0.5ないし1、1ないし10、又は1ないし5、及び質量又は容量を基準に約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45又は50%であり得る。粒子は疎水性物質を放出可能であり得、及び一定期間疎水性物質の放出可能であり得る。疎水性物質を放出可能な半放出時間は、約10分ないし約12ヶ月、又は約10分ないし6ヶ月、10分ないし3ヶ月、10分ないし1ヶ月、10分ないし20日、10分ないし10日、10分ないし1日、10分ないし12時間、10分ないし6時間、10分ないし1時間、10ないし30分、1時間ないし20日、12時間ないし20日、1ないし20日、5ないし20日、10ないし20日、1時間ないし2日、1時間ないし1日、1ないし12時間、1ないし6時間、6時間ないし1日、12時間ないし1日、30分ないし1時間、又は1ないし10日、又は1
0日ないし12ヶ月、1ないし12ヶ月、6ないし12ヶ月、1ないし6ヶ月、1ないし3ヶ月、1日ないし1ヶ月又は10日ないし1ヶ月であり得、及び疎水性物質を放出可能な半放出時間は、約10、20、30、40又は50分、1、2、3、4、5、6、9、12、15又は18時間、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1、5、16、17、18、19、20、25又は30日、又は約1、2、3、4、5又は6ヶ月又は約6ヶ月より長期であり得る。粒子は制御された速度で疎水性物質を放出可能であり得る。その速度は、シリカマトリックスの内部構造に依存し、その構造はゾル−ゲル化学反応の特質及び油/水乳剤の特質(界面活性剤の種類と濃度、油/水/界面活性剤のモル比)に依存する。速度は粒子のサイズ、pH,温度などの粒子の合成条件、粒子が浸される媒体の種類及び/又はその他の因子に依存する。カプセル化効率及び負荷量は内部分室のサイズに依存する。本発明の粒子に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、粒子において実施可能ないずれの工程及びステップを組み合わせて提供し得る。
【0063】
本発明の粒子は、粒子又は粒子を含有する組成物の治療上の有効量を被験者に投与することにより被験者の疾患の治療用に用いられ得、ここで、粒子の疎水性物質が該粒子から放出可能であり、その疾患に必要なものである。被験者は脊椎動物であり得、そして脊椎動物としては、哺乳類、有袋類又は爬虫類であり得る。哺乳類としては、霊長類又はヒトでない霊長類又はその他のヒトでない哺乳類があり得る。哺乳類としては、ヒト、又はヒト以外の霊長類又はその他のヒト以外の霊長類、ウマ科、ネズミ科、ウシ科、ウサギ科、ヒツジ科、ヤギ科、ネコ科及びイヌ科から選ばれ得る。哺乳類としては、ヒト、馬、畜牛(cattle)、乳牛(cow)、雄牛(bull,ox)、水牛、羊、犬、猫、山羊、ラマ、ウサギ、類人猿、サル、及びラクダが例えば選ばれ得る。疎水性物質は薬剤であり、抗癌剤であり得る。疾患としては、疾病があり得る。その疾患としては、例えば、癌、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患があり得る。粒子は、注射(静脈内又は筋肉内)、経口、吸入によって、局所的に又はその他いずれの好適な手段により投与され得る。
【0064】
本発明の粒子は、疎水性物質を送達するために用いられ得る。本発明の粒子を、その中へカプセル化又は固定化された疎水性物質を放出することのできる媒体へ曝露することが含まれ得る。疎水性物質は粒子から放出可能にカプセル化又は固定化されるべきである。曝露は、粒子を媒体中へ浸してもよく、また随意に攪拌、振とう、旋回、又はその他の粒子を含む媒体の攪拌手段を1以上含むことから成り得る。媒体は粒子からの疎水性物質を放出し又は抽出しうるものであるべきであり、疎水性物質を溶解しうるものであり得る。放出又は抽出は前記で述べたように長期間に渡り得る。
【0065】
あるいは、曝露は媒体を粒子を越して及び/又は粒子中を通し得る。媒体は、流体であっても液体であってもよい。媒体は、血液などの生体液であり得る。有機流体であっても、有機溶媒であってもよく、例えば、疎水性溶媒であってもよい。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(たとえば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。媒体は疎水性物質を溶解又は放出することのできるものであり得る。疎水性物質は例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。媒体は、気体、例えば空気、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、又はガスの混合物であり得、そして疎水性物質は揮発性(例えば、香気物質)であり得る。曝露は、疎水性物質の媒体中へ放出するために好適な条件、例えば、温度、圧力、粒子と媒体の比等の下で行い得る。
【0066】
本発明の工程に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、実施可能ないずれの方法ステップを組み合わせて提供し得る。
【0067】
粒子は、利用可能な担体、希釈剤、賦形剤及び/又は補助剤と共に、組成物の形態であり得る。疎水性物質が医薬用原料である場合、担体が医薬品として適合する担体であり得、粒子が医薬品として適合するものであり得る、疎水性物質が獣医学上の原料である場合、担体は獣医学的に適合する担体であり、粒子が獣医学上の条件に適合するものであり得、疎水性物質が殺生物性の原料である場合、担体は殺生物性に適合する担体であり、及び粒子が殺生物性の条件に適合するものであり得、疎水性物質が殺虫剤の原料である場合、担体は殺虫剤的に適合する担体であり、及び粒子が殺虫剤的に適合するものであり得、疎水性物質が化粧品原料である場合、担体は化粧品的に適合する担体であり、及び粒子は化粧品的に適合するものであり得、疎水性物質が除草剤の原料である場合、担体は除草剤用途として適合するものであり、及び粒子は除草剤用途として適合するものであり、疎水性物質が農業用原料である場合、担体は農業用用途に適合するものであり得、また、疎水性物質が除真菌性の原料である場合、担体は除真菌性用途に適合するものであり得、及び粒子は除真菌性用途に適合するものであり得る。
【0068】
本発明は、下記の制限のない実施例によって説明されるであろう。
【実施例】
【0069】
原料
全ての界面活性剤及びポリマー(表1)は、シグマ−アルドリッチ社より購入し精製せず用いた。テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、フェニルトリメトキシシラン(PTMS),ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、及びアミノプロピルトリメトキシシラン(APTM
S)等のシリコン前駆体はシグマ−アルドリッチ 社より入手しそのまま用いた。シクロヘキサン及びドデカンは、ACS分光光度用グレード(99+%)(シグマ社)、ケロシン(低臭)は沸点175ないし325℃、及び密度0.800g/cm3のものをアルド
リッチ社より入手した。ソルベントブルー35の純度は98%(アルドリッチ社)であった。リモネンはクエスト インターナショナルより提供された。レチノール(95+%)はフルカ社より購入しそのまま用いた。その他の使用された試薬はすべてA.R.グレードのものを用いた。高純度ミリQ水(ミリポア社)を全ての溶媒に用いた;抵抗率は18.02MΩcm以上であった。
【0070】
合成方法(典型的な合成条件)
ゾル−ゲル及びO1/W/O2多重(又は両面)乳剤技術の両方を用いた疎水性分子を含有するシリカミクロスフェアの合成の実験方法を示した合成フローチャートを図1に示す。
【0071】
1.TMOSなどのシリコン前駆体を水中で触媒(H+など)存在下に混合し、封緘し
たバイアル中で1.5時間攪拌した。ここでバイアルを開栓し、混合物をさらに約1.5時間攪拌し、前駆体の加水分解により生成した余剰のアルコールを蒸散させた。
【0072】
2.内部の油相(例えば、リモネン)を親水性界面活性剤(例えば、Tween 21)及び工程1と同様の触媒を含有する水相を混合した。混合物はその後マグネチックスターラーで約10分間攪拌し、O1/W乳剤を合成した。
【0073】
3.予め加水分解したゾル−ゲル溶液及びO1/W乳剤をそれから混合し、この混合物
をプローブ式超音波装置で超音波処理しO1/’W’乳剤(ここで‘W’は親水性ドメイ
ンを表す)を生成した。
【0074】
4.この間、界面活性剤溶液を外部の油相(例えばシクロヘキサン)及び疎水性界面活性剤(例えば、Span 80)を混合することにより生成した。
【0075】
5.O1/’W’相(工程3で得た)を、その後緩やかに攪拌しながら上記界面活性剤
溶液に注いだ。O1/’W’相を外部の油状物質/界面活性剤 相に注いだのち、擬似O1/’W’/O2多重(又は両面)乳剤を製造したが、ここで、’W’は予め加水分解した
シリコン前駆体から成る。この系を攪拌している間、シリコン前駆体は、親水性液滴内部で縮合し、ミクロンサイズのシリカスフェアを生成する。
【0076】
6.約5ないし約30分の間の範囲で攪拌した後、懸濁液をろ紙(ワットマン、英国製)を用いてろ過した。2時間以上乾燥シリカスフェアを熟成に引き続いて、粒子を1mol/LのNaCl溶液で3回洗浄し(合計容量は500mL)、さらに純水で3回洗浄した(合計容量は500mL)。生成物は室温で窒素雰囲気下乾燥させた。
【0077】
シリカマトリックスの内部の油状物質のカプセル化を視覚的に示すマーカーとして、疎水性色素(ソルベントブルー−35)を内部の油相(例えば、リモネン)へ通常は溶解される。カプセル化及び放出の両方を視覚的に示すマーカーとして色素が主に用いられるが、これは、それ自体活性種であると考えられ、それ故疎水性物質の制御されたカプセル化と放出のためのシリカ粒子の挙動を示すためにも用いられた。
【0078】
典型的な合成におけるそれぞれの組成量は以下のとおりである:
・内部油状物質:リモネン(MW 136.23、密度0.8402g/cm3 )4.
404mmol(0.714mL)は1.428mgのソルベントブル ー−35(SB−35)をこれに溶解する。
・親水性界面活性剤:ポリオキシエチレン(4)ソルビタン モノラウレート( Tween 21:MW 522、HLB 13.3)1.1494mmol (0.600g)。
・水(1)相:pH=2 HNO3溶液 2.140g(水:118.889mm ol)。・シリコン前駆体:TMOS(MW:152.22、98+%、密度1.032 g/cm3)58.123mmol(9.028g)。
・水(2)相:pH=2 HNO3溶液 2.140g(水:118.889mm ol)。・疎水性界面活性剤:Span 80 180.00mmol(77.152g )。
・外部油相:シクロヘキサン 300mL。
【0079】
粒子の同定
1.顕微鏡:ろ過に先立ち、粒子を光学顕微鏡(Zeiss Axioplan、西独製)を用いて試験した。乾燥後、粒子はさらに走査型電子顕微鏡(SEM)で同定した。全てのSEM画像は、JEOL SEM−6400を用い、画像モードの設定:二次電子像;作動電圧15kV、公称光束1x10-10Å及び作動距離15mmの条件で得た。
【0080】
2.TGA/DTA:粒子表面へ残留した界面活性剤は、熱重量分析及び示差熱分析(TGA/DTA)により測定した。TGAはSetaram TGA24により行ったが、10℃/minの速度で700℃まで加熱された。Span 80界面活性剤の引火点は148.9℃以上(工業用界面活性剤(電子ハンドブック)2002年版、Michael及びIrene Ash著、Synapse Information Resources社)のため、結合した界面活性剤量は、500℃でのwt%減少及び140℃でのwt%減少の差としてとらえた。DTAは同時に実施した。2種の異なった分解反応が観測された;1)約100℃における水及びその他の揮発性物質の蒸散に関連した約100℃における吸熱反応、及び2)約300℃における発熱反応。
【0081】
3.BET:吸着等温線:Brunauer−Emmett−Teller法を用いシリカ粒子の比表面積を測定した。シリカ粒子資料の77Kにおける窒素吸収等温線は、Micromeritics社製 ASAP 2010体積吸収分析装置を用いて測定した。BET算出は、相対圧力(P/P0)が9点、即ち0.05ないし0.2の範囲におけ
る吸着等温線から実施した。測定前に、試料は吸収分析装置の脱気口において333K、10時間脱ガスを行った。
【0082】
カプセル化及び放出速度
1.疎水性色素のカプセル化効率及び放出速度を紫外可視スペクトル法(Cary 50)により測定した。カプセル化効率は二つの方法により評価を行った。第一の方法は、間接的方法であり、シリカ粒子をろ過により除去した後、シクロヘキサン/Span 80溶液の紫外可視吸光度を測定することから成る。色素のカプセル化効率は、系内に導入されたもとの色素濃度から外部の油相中において測定された色素を差し引くことにより算出した。標準の検量線は、同一の組成及び当該試料の製造に用いられたのと同一の濃度で、外部の油相へ正確な量の色素を添加することにより、作成した。第二の“直接的な”方法は、例えばエタノール、シクロヘキサン又はドデカンのような溶媒中のシリカ粒子からのSB−35の放出を、吸光度が安定するまで測定することにより成る。標準の検量線は、試料放出媒体として同一の組成及び濃度を用いて作成した(界面活性剤含有量はTGA/DTAの結果を用いて評価した。)。吸光度は、生成物を攪拌しながら異なる時間間隔で測定し、色素放出曲線を作成した。
【0083】
2.HPLC法もまた、油状物質(リモネン)のカプセル化効率を評価するために用いた。2487デュアルλ吸光度検出器、717プラス オートサンプラー、及び1525バイナリポンプで構成されるWaters社製の HPLC装置を用いた。カラムはSy
mmetryC18、5μm 4.6x150mmであり、移動相はメタノール:水(9:1 v/v)混合物を流速0.5ml/minで用いた。紫外可視検出器の波長は210nmに設定した。10μLをオートサンプラーを用い注入した。リモネンのピークの積分面積(谷部から谷部まで)は定量的計算で使用した。リモネンの保持時間は約13.5分であり、検出限界はエタノール1mLあたりリモネン約0.02mgであった。
【0084】
3.FTIRを、最終生成物中の油状物質(リモネン)を検出するために用いた。試料は、既知の容量のドデカンに浸漬し、マグネチックスターラーを用い3日間緩徐に攪拌した。上澄を遠心分離(10,000rpm、10分間)し除去し、0.22ミクロンのPTFEフィルターでろ過し、IR分析の前にその他の残余のシリカ微粒子を除去した。IR吸収スペクトルはNicolet社のNexus 8700スペクトロメーターで、(線形化)液体窒素で冷却されたMCT検出器を用い測定した。スペクトルは、45度のZnSe減衰全反射装置を用いて収集した。吸収スペクトルは、ドデカンのみのバックグラウンドスペクトルを分解能4cm-1において256回スキャンすることにより比演算を用いて行った。バンド面積は、ドデカン中の既知の濃度のリモネンと比較した。
【0085】
4.両面乳剤法によりレチノールでドープされたシリカ粒子の拡散反射率スペクトルを、Labsphere Biconical装置の備わったCary 500 紫外可視近赤外分光計を用いて測定した。試料はPTFEパウダー中に20wt%に希釈した後に測定に供した。スペクトルはPTFEを対照としたスペクトルを用いて反射率単位に変換し、Kubeka−Munk単位に変換した、即ちF(R)=(1−R)2/(2R)。
【0086】
結果:
両面乳剤液滴の概略図、及び合成工程中の乳剤液滴の変化を示した図を図2に示す。多くの因子が、シリカ粒子の形成だけでなく、疎水性物質のカプセル化に影響を与え得る。これらの因子のいくつかを以下に検討した。
【0087】
1.粒径に影響する疎水性界面活性剤(第二界面活性剤)濃度の影響
一連の試料を上記合成工程を用い、Span 80濃度を増加させて合成した。該当する光学顕微鏡写真を図3に示し、該当するSEM顕微鏡写真を図4に示す。光学画像より、1ないし10ミクロンの粒径の小さな油状小球が親水性液滴内に分布していることが明らかであるが、これは熟成により固体シリカ粒子へと凝集する。これらのシリカ粒子の直径は、10ないし150μmの範囲であり、サイズ分布は、Span 80濃度の増加に伴いある程度狭いものになった、粒子の内部構造の典型的な形態を図5に示す。この結果により、全ての生成物がSB−35を内部に含有し、色素のカプセル化効率は、視覚的に認められるようにSpan 80濃度の増加に伴い増加する。
【0088】
このことは、Span 80濃度の増加が外部油相の粘度の増加を引き起こすだけでなく、単相よりも界面活性剤の多重相により親水性液滴をより硬性にする。その結果、内部油状物質が、シリカ網の生成の間、外部の油相へ拡散し難いかも知れない。シリカマトリックス内に分布する内部油状液滴のサイズは、Oil1/‘W’混合物の形成中に導入さ
れたエネルギーに依存する。より多くのエネルギーが系内に導入されると、油状液滴は小さい。その他の変数は内部油状液滴サイズに影響し得る。これらは、内部の界面活性剤の種類及び濃度、内部の油状の容量フラクション、及び水の量、シリコン前駆体の種類と濃度、及びpHのような親水性ドメインの特性を含む。
【0089】
2.親水性(第一の)界面活性剤(内部油相としてのドデカンを含む)の種類と濃度の影響
図6は、種々のTween 21濃度でシリカ粒子を製造したときのSEM画像であり、一方、図7及び8は、種々の濃度でのTween 20及びTween 80で製造さ
れた粒子のSEM結果を示したものである。最も有効な合成条件は、Tween 21を用い製造した試料であり、ドデカン/SB−35のカプセル化と球形シリカ粒子の高収率という結果を得た。より高いTween 21濃度は、より小さな粒子サイズ及び狭いサイズ分布を得る。約0.6mmol以上では、改善は観測されなかった。Tween 20を用いて製造した粒子は、サイズがより小さかったが、ドデカン/SB−35のカプセル化は低く、一方、Tween 80を用いて形成した粒子は、特に界面活性剤濃度が高い場合において、より多分散であり、不規則な形状であった。これらの界面活性剤の分子構造(後述)から、Tween 21は有意に他の二者と異なっているといえる。Tween 21は4つしかエチレンオキシド単位を有さないのに対し、Tween20及びTween 80はそれぞれ20のエチレンオキシド単位を有する。この構造上の違いはHLBの有意な違いと共に、粒子形成及び油状物質のカプセル化に対するこれらの有意な影響を説明し得る。
【0090】
3.水とTMOSのモル比の影響
ドデカンを内部油相としたときの、水:TMOSのモル比に応じた粒子サイズ及び分布を図9に示す。水:TMOSのモル比を2から8に増加させた場合、粒子サイズ及びサイズ分布はほとんど変化しなかった。しかし、水:TMOSのモル比が16の場合、サイズ分布は狭くなり、粒子はより小さいものとなった。SB−35の最も高いカプセル化効率は、視覚的な観察から、水:TMOSのモル比が4で得られた。ゾル−ゲル反応における水の化学量論的な値は2である。通常、適切な時間内に反応を終了させるためには、水:TMOSのモル比4が使用された。触媒(H+)量の増加と同様に反応物である水の量の増加が、親水性ドメインの内部のより急速なゲル化につながる縮合反応速度を増加させ、及びより小さな、より少ない多分散粒子が期待出来得る。乳剤系は、速度論的に不安定であるので(即ち、両面乳剤液滴は融合し、相は経時的に分離する)、もし縮合速度が遅すぎると、液滴の融合はゲル化による構造の“凍結”に先行して起こるため、粒子サイズの増大が起こる。水:TMOSのモル比が4の場合に観測される最適な油状物質のカプセル化の背後にある理由は明らかでない。この特異な比率は、希釈率を上げる(高い水の割合)ことなく最も早い縮合時間を提供し、内部油状液滴が外部油相へ移動するため、カプセル化効率が減少すると推測することができる。換言すれば、比が4であるときは、ゲル化速度及び内部の疎水性物質を保持するための親水性ドメインの粘着性の良い中間物をもたらす。
【0091】
同様な実験を、ドデカンをリモネンに替えて行い、その結果、視覚的に観察して、最も高いカプセル化効率は、水:TMOSのモル比が4の場合であることが示された。
【0092】
4.ORMOSIL添加の影響
図10に示したSEM画像は、球形粒子が、APTES以外の前駆体を混合することにより形成され、ゲル生成物として得られた事を示す。さらに、粒子サイズ分布は、Span 80濃度が0.2mol/Lから0.6mol/Lに増加させた場合により狭い分布となると認められたが、この結果は上記結果と首尾一貫している。
【0093】
ハイブリッドケミストリーの使用の根本的理由は、疎水性色素のカプセル化効率は、MTMS,VTMS及びPTMSのようなORMOSILを導入することにより増加し得ることである。これらの前駆体は、粒子内部の疎水性サイトの増加と、内部油相との相互作用がより効果的になり、ミクロスフェア内部に油状物質を保持することが期待された。さらに、ORMOSILは、シリカマトリックスの内部チャネルの制限に役立ち、内部油状物質が放出される機会を減少させることも期待された。しかし、ORMOSILの添加は、疎水性分子のカプセル化効率を改善しなかった(表2参照)。TMOSと比較して、OLMOSIL前駆体は加水分解速度が速いが、縮合速度は縮合反応における有機基の中毒効果に起因して遅い(4つのうち1つの縮合サイトの損失)。親水性ドメインの粘着性の
減少の結果をもたらす結合性の減少と同様にこの縮合速度の減少が、疎水性物質の外部油相への移動の増加を起こし得るので、かくして、低いカプセル化効率を説明し得る。
【0094】
5.水とTEOSのモル比の効果
TEOSは又シリコン前駆体としても用い、水:TEOSモル比を2ないし16に変化させ行った。該当するSEM画像を図11に示す。大部分の生成物は、最後の試料以外は不規則な形状をしているが、これはTEOSは球状粒子を形成するのにより熟成時間を必要とするであろう事を示唆している。水:TEOSモル比の増加は反応速度を加速した、したがって、より球状の粒子は、高比率の場合に得られた。エタノールのようなアルコールは、TEOS及び水の混和性に必要である。TEOSの加水分解により生じたエタノールとともに添加したアルコールは、蒸散工程において除去されなければ、両面乳剤構造を不安定化/破壊する。その結果、より不規則な形状の粒子が生成された。
【0095】
6.疎水性界面活性剤の効果
Span 20はまた、外部油相への界面活性剤として検討された。図12は異なるTween 21濃度において製造されたシリカ粒子のSEM画像を示し、一方、図13は、Span 20と混合したTween 20及びTween 80を用いて製造した粒子のSEM結果を示す。親水性界面活性剤の種類と濃度にかかわらず、結果は、Span
20を用いた場合よりもSpan 80を用い製造した場合に、より球状のシリカ粒子が製造されることを示した。これはSpan 80などのHLB値の低い界面活性剤は親水性液滴の形成を促進し、しかして球状粒子の製造を増進する。
【0096】
7.比較実験:親水性ドメイン中のPEG及び疎水性ドメイン中のHPCの添加の影響
PEG(MW:20,000)溶液を、0.300gのPEGを1.000mLのpH=2 HNO3溶液に溶解して調製し、この溶液の計算量を水(1)相として用いた。HPC(MW:370000)溶液を、2.500gのHPCを100.00mL(82.00g)の1−ヘキサノール(密度:0.82 g/cm3)へ完全に溶解することにより調製した。この溶液の既知量を外部油相へ添加し、粘着性を増加させた。詳細な実験条件を表3に示し、該SEM画像を図14に示す。
【0097】
シクロヘキサンを外部油相(e及びf)として用い製造した粒子は、ケロシン(a及びb)を用いて製造したものに比べ、より球状で損傷の少ないものであった。さらに、水相中のPEG及び外部油相のHPCの存在は、用いた外部油相の種類にかかわりなく不規則な粒子を生じ、SB−35ほんの一部のみが生成物中に取り込まれた。これらの結果はHPCのみを用いた場合の前記結果と矛盾する。これはPEG及びHPCの影響を別個に検討すべきことを示唆し得る。さらに、PEGは、粒子の形態に不利な効果を与え得る一方で、HPCは、アルコールが取り込まれければ粒子生成の助力となり得ることが示唆される。これは、次項でさらに検討する。
【0098】
8.比較実験:PEG及びHPCの存在下での種々の親水性界面活性剤を用い製造した粒子の形態
実験条件を表4に示し、該SEM画像を図15に示す。これに先行研究と比較比較して(表3参照)、外部油相の容量は二倍となり、疎水性界面活性剤濃度は0.5mol/Lから0.6mol/Lへ微増した。PEG及びHPCの存在にかかわらず、球状粒子が生成し、HPC量を二倍にすることは、Tween 80系を除き、粒子形態における有意な影響はないと認められた。内部相の容量のわずかな増加は、aないしdに示されるように、粒子サイズおよび粒径分布にわずかに影響した。Tween 21を用い製造した粒子は視覚的観察により最も多くの色素を取り込んだ。該粒子サイズは、非常に大きいものであった。カプセル化効率はTween 21系程には高くはなかったが、Tween 20の使用は、色素のカプセル化に良好な結果を与え、Tween 20系は、非常に小
さい粒子を生成した。Tweem 80系においては、色素は全く取り込まれず(視覚的判定)、高HPC含量で不規則な形状の粒子が製造された。
【0099】
多重乳剤の安定性が、疎水性分子、レチノールの良好なカプセル化の必須条件と考えられてきた。それ故、内部相(PEGの添加による)及び外部油相(HPCの添加による)の粘度の増加での試行が、上記7項において行われた。図6cとの比較において粒子形態における有意な変化は、PEG及びHPCの添加においては観測されなかった。図7との比較において、両増粘剤を添加したTween 20系で殆ど変化が認められなかった。一方、Tween 80系へのPEG及びHPCの添加は、幾分小さい粒子サイズを導いた(図15h及び図8cの比較)。しかし、特に図15gにおいて認められるように、非球状粒子が製造された。
【0100】
一般的に、外部油相の粘度の増加は、安定な両面乳剤の形成を促進するといわれており、ゆえに球状粒子が製造される。しかし、HPCの添加は、外部油相及び親水性相の間においてSpan 80の界面をわずかに変化し得、その結果、ある場合には、不規則な形状の粒子が製造される。さらに、HPCの添加又はSpan 80の増加による外部油相の粘度の増加は異なる結果を起こし得る。先に考察したように、Span 80濃度の増加は、SB−35においてより高いカプセル化効率の結果を得た。一方、親水性ドメイン中のPEGの存在は、多分内部油相及び内部シリカ表面の局所構造の破壊を生じ得、その結果、不規則な形状の粒子を生じ、色素に取り込まれない結果をもたらす。
【0101】
9.親水性界面活性剤濃度の影響(リモネンを内部油相とした場合)
上記のように、高Tween 21濃度は、濃度が約0.6mmolを超えた場合改善はみられなかったが、より小さい粒子サイズ及び範囲の狭いサイズ分布をもたらした(図6)。これは界面活性剤(Tween 21)濃度の増加は、Oil1/‘W’系の安定
化に緩やかに影響した。しかし、安定性の上昇は色素のカプセル化効率を改善することはなかった。種々の界面活性剤濃度における粒子サイズ及び分布に有意な差は認められなかった(図16参照)。このことは、外部油相中の疎水性界面活性剤の特性及び濃度は、有意に粒子の形態に影響し、一方、内部界面活性剤は疎水性種のカプセル化において主要な役割を果たす(一定の閾値以上となれば)。内部油状の特性は、リモネンをレチノールで置換した場合で示されるように、粒子構造に余り影響しないで、ほんの少し多分散系なシリカ粒子を製造する(図17参照)。
【0102】
10.内部(Oil1/‘W’):外部(Oil2)容量比の影響
上記の典型的な合成条件下では、粒子サイズ分布は10ないし150μmの範囲内であった(図4−c)。もしOil1/‘W’含有量が二倍の場合、粒子サイズは、変化はな
かった(図18−a)。しかし、Oil1/‘W’が4倍に増加し、外部油相の容量が一
定に保持された場合には、粒子サイズは増大し、サイズ分布もより広範(10ないし300μm)となった:図18−b参照。この内部容量の増大はSpan 80:水のモル比を減少させ、かくして外部壁面の剛性を減少させ、凝集を増加させ、粒子の生長を生じさせる。
【0103】
11.TGA/DTA特性
粒子表面に残留したの界面活性剤はTGA/DTA分析により評価した(図19)。二つの異なる分解過程が認められた。第一の質量の減少(T<120℃)は、吸熱反応に相当し、揮発性物質(リモネン及び水)の蒸散によるものであり得る。第二の質量の減少(120<T<500℃)は発熱反応に相当し残留した界面活性剤の燃焼によるものだと思われる。該リモネンでドープされたシリカミクロ粒子の組成は、43.4wt%水+油、7.6wt%界面活性剤、49.0wt%シリカである。
【0104】
12.窒素吸収を用いた多孔質構造の特性
吸収等温線の曲線は、検討した固体の構成の明白な特徴を表す(図20参照)。吸収等温線の形状は少量のミクロ多孔質及び多量のメソ多孔質の存在を示している。BET特異的比表面積値が431.3m2/gであることは、ミクロ多孔質の存在を追認するもので
あり、球面中の多孔質は、図5のSEMで観測されたミクロサイズの空洞だけに起因するのではなく、内部マトリックスの多孔質に幾分起因していることが示唆された。最大孔容量が0.51cm3/g(相対圧力0.99755で測定)であることは、非常に高い多
孔質産生を追認する。吸収及び脱離岐路のヒステリシスが、円筒型孔を示した。この仮定に基づき、円筒孔モデルを用いたDFT(密度汎関数理論)分析がされ、6nmを中心に広範な孔径分布(1ないし30nmから)の存在が明らかとなった。
【0105】
これらの球面の内部生成物と、類似のゾル−ゲル条件(TMOS、水:アルコキシド比が4でありpH=2)を用いた工程1(C.J.Barbe、J.R Bartlett
、「放出制御されたセラミック粒子、その物組成物、製造工程及び方法、PCT WO01/62232(2001)」により製造されたものとの違いに注目する事は興味深い。工程1によって製造された粒子は本来ミクロ多孔性であり、細孔容量はおよそ0.1cm3/g)であった。これは油状物質のカプセル化又は内部界面活性剤(例えばTween
21)が、マトリックスの内部構造の修飾において有意な役割を果たした事を示唆する。これは、疎水性物質の放出速度を制御するために、シリカマトリックスの内部構造を制御する事が重要であるらしい。
【0106】
13.色素のカプセル化と放出速度
間接法:リモネン(SB−35を0.200mg/ml含有)の濃度を変化させた5種の標準溶液を0.6mol/LのSpan 80/シクロヘキサン溶液を用いて調製した。溶液は450から800nmをスキャンし、650nmにおけるピーク及びベースラインの吸光度(Abs)を記録した。SB−35をドープしたシリカ粒子は上記合成方法により製造し、そのカプセル化効率は47.8wt%(3試料の平均値)であった。
【0107】
直接法:標準検量線を上記のように得、エタノール中のSpan 80濃度を粒子表面の残留界面活性剤から評価した。既知の生成物のフラクションをエタノール中へ分散し、懸濁液を3日間、上澄の吸光度が安定するまで攪拌した。SB−35のカプセル化効率の計算値は38.4wt%であり、間接法よりも10wt%低値であった。これは、粒子の内部表面へ色素分子のいくらかが結合していることに起因しているのかも知れず、人為的な効率の減少である。
【0108】
OLMOSIL球面によるカプセル化効率:混合前駆体により製造したシリカ球面のSB−35のカプセル化効率を表3に示す。最も高いカプセル化効率は25mol%のMTMSにより製造した試料において観測されたが、その値は100%TMOSを用いて製造された粒子よりも約13wt%低い値であった。興味深いことに、ここでも直接法により得られた効率は、間接法による値より10wt%低い値であるが、放出媒体とは関連しなかった。
【0109】
放出速度:図21は、シクロヘキサン及びドデカン中のシリカミクロ粒子からのSB−35の放出速度を示す。シクロヘキサン中の色素の放出はドデカンのそれよりも速やかであったが、3日後に両系において吸光度が同値に安定化したが、それは全ての色素が除去されたことを示唆している。シクロヘキサンの場合に観測された速やかな放出速度はシクロヘキサンのより高い脂溶性により説明し得る。
【0110】
14.レチノールのカプセル化
レチノールでドープされたシリカ粒子のSEM画像(図17)は粒子サイズ及び分布が
、液体(ドデカン又はリモネン)と固体(レチノール)のどちらかであり得る内部油相に依存しないことを明らかにした。レチノールでドープされた粒子のTGA/DTA結果を図22に示す。第一の質量の減少(T<200℃)は、水及びレチノールの蒸散に起因し得、一方、第二の質量の減少(200<T<650℃)は、残留した界面活性剤の燃焼に相当する。レチノールでドープされたシリカミクロ粒子の組成は、22.8wt%水+レ
チノールであり、26.7wt%界面活性剤、及び50.5wt%シリカであった。
【0111】
【化1】
【0112】
レチノール:MW286.5、λmax325nm、黄色粉末
【0113】
無水エタノールに溶解した精製レチノールの紫外可視スペクトルを図23に示す。レチノールは325nmにおいて強度の吸収極大を示し、検出限界は約0.1ppmであった。残念なことにレチノールバンドは無水エタノール中の放出の間に消失したが、これはレチノールはシリカ粒子に強力に結合したか、その他の種へ分解したことが示唆された。レチノールを含有するシリカ粒子のFT−IR分析では、微弱なレチノールのバンドは、より強度の高いシリカ及び界面活性剤のバンドに隠れ、レチノールを検出できなかった。
【0114】
レチノールでドープされたシリカ粒子の固体試料を、紫外可視分光法で分析した。該スペクトルを、レチノール非存在下の同様の工程で製造された対照試料と共に図24に示す。強度のバンドが300nm近辺に観測された。これに対し、対照試料においては有意な吸収はみられなかった。これにより、両面乳剤の工程がシリカ粒子中のレチノールのカプセル化を導くことを追認した。
【0115】
15.リモネンカプセル化効率のHPLCでの評価
粒子のリモネン含有率を測定するために用いた典型的なHPLCスペクトルを図25に示す。シリカミクロ粒子中のリモネンのカプセル化効率は典型的な合成において14±6%と推定した。高濃度のSpan 80はリモネンの定量測定を大いに安定化させるため、カプセル化効率の値は直接法(即ち最終粒子から浸出したもの)によってのみ得られた。観測された効率の高い変動は、リモネンが除去され得る洗浄及び乾燥工程等、いくつかの理由のためであり得る。HPLC測定におけるその他の干渉因子は、平坦な保持時間を有する界面活性剤Span 80の存在である。これはリモネンのシグナルを干渉し、HPLCによるリモネンの放出速度の定量化の困難性を増している。
【0116】
疎水性色素(SB−35)と比較してリモネンの低いカプセル化効率は分子構造の違いによって説明することができる。
【0117】
【化2】
【0118】
リモネン、MW136.23、無色液体
【0119】
【化3】
【0120】
ソルベントブルー−35、MW350.45、λmax604−652nm、青色粉末
【0121】
ソルベントブルー−35は、シリカ表面に、おそらく水素結合を介した結合又 は共役(conjugate or associate)可能な疎水性サイ ト(アミン官能基)を有している。さらに、リモネンに比べ大きい分子であり 、したがって立体効果によりシリカマトリックスから容易に拡散し得ない。そ の他の可能性のある説明としては、リモネン及びソルベントブルー−35の親 水性ドメイン及び外部油相の間の分配係数が異なり得ることにある。
【0122】
16.FTIRを用いたリモネン含有量の同定
ドデカンへ浸出したリモネンの濃度をFTIR分光法で測定した。濃度分析に用いたリモネンのバンドは、その他の存在する成分の濃度に依存した。洗浄していない固体の場合は、カプセル化効率が19wt.%に相当する797cm-1のリモネンのバンドを濃度測定に用いた。洗浄した固体の場合には、界面活性剤の濃度はかなり減少しており、888cm-1のリモネンのバンドを用いた。カプセル化効率5%と測定されたが、洗浄工程においてもリモネンが除去される範囲を示している。固体含量に関しては、これはシリカに係る1wt.%に相当する。IR技術は、混合成分の分析に用いられるHPLCほど理想的な技術ではないとしても(IRスペクトルに寄与する種々の成分を分離するための、カラムの保持時間のような利用可能な機構がない。)、HPLC分析で問題があるような場合(大量の界面活性剤の存在等)、IRは溶液中の濃度の、おおよその見当を得るために用いることができる。FTIRで検出される粒子からドデカン中に浸出したその他の種は、Span 80、Tween 21であり、及び多分幾分かの溶解したシリカである。
【0123】
17.疎水性物質のカプセル化の機構
図26は、シリカマトリックス内部に分散された油状液滴を示す典型的な単一シリカミクロスフェアの断面の概略図を示す。油状液滴は内部界面活性剤の存在により合成中安定化する。内部界面活性剤(即ち、Tween 21)の疎水性部分は、内部油状物質中へ溶解するか又はSB−35のような疎水性分子と会合することができるが、親水性部分(エチレンオキシド)は親水性ドメイン、即ちシリカマトリックスへ浸透する。
【0124】
2項から、最大カプセル化効率はTween 21を用いることにより達成できたことが明らかである。これは短いPEG単位を持つTween界面活性剤がシリカマトリック中の油状物質の高比率を維持することが可能であることを示唆する。換言すれば、シリカマトリックスはPEGの比較的小さな相互作用にのみ対応することができると考えられる。PEG鎖が長すぎると、そのシリカ種との相互作用は非常に破壊的となり、外部油相へ内部油状物質が漏れ出す溝の生成か、又は外部油相への内部油状液滴の排除が起こる。両方の場合、ごく僅かなカプセル化しかされない。
【0125】
シリカの内部構造の摂動はBET分析により追認されたが、Tween 21が系内に導入されたときに劇的に異なる多孔性の網状構造の形成が示された(図20及び21項参照)。
【0126】
3項及び4項で述べたように、カプセル化効率は又加水分解したシリコン相のゲル化速度及びその粘度にも依存していた。両者は、初期のゾル−ゲル化学反応により規定され、そして内部油状液滴は粒子内部に残留するか、又は外部油相と同化し、よって空の粒子の形成を生じるかの何れかに規定されるであろう。
【0127】
18.先行工程の追試
図27は、先行する合成工程のフローチャートを示す。本発明の工程及び先行工程の主な相違点は、後者の工程では、安定な両面乳剤がシリカ前駆体添加前に生成されなければならない点である。その他の有意な相違点は、先行する工程における、両面乳剤の安定性を改善するために外部油相の粘度を増加させるための両面乳剤系へのHPCの添加である。先行工程では、塩基性触媒の使用のみが球状粒子の生成を引き起こし、そして水:TEOSモル比は、厳密に4を維持することを必要とした。さらにまた、内部相(O1/W)
と外部油相の容量比は5%以下であることを必要とした。最も重要な点は、実験工程は、再現性を欠くことから実証されたように大変不十分である(即ち、多数の試みにかかわらず、我々には再現不可能)。
【0128】
先行工程の文献中の記載は実験方法の詳細が十分でなく、ゆえに本願での試みに用いた実験方法が再現されるように以下に述べる。内部相はリモネン7wt.%、Tween 20 3.5wt.%及び水89.5wt.%で構成された。この混合物をせん断攪拌機を用いて20500rpmで5分間攪拌し、安定化O1/W乳剤を得た。第二の工程では
、最初のO1/W乳剤を、2wt.%のSpan 80及び0.5wt.%のHPC(分
子量370,000)を含有する外部油相であるデシルアルコールへ徐々に加えた。この乳剤系を緩やかな攪拌速度(マグネチックスターラーで)30分間攪拌し、それから総水量:TEOSのモル比が4と等量のTEOSを加えた。混合物は継続して10分間攪拌し、そしてアンモニアと水との容量比が1:9となるように2.667mol/LのNH4
OHを加えた。水相中の最終的なアンモニア濃度は0.267mol/Lであった。反応後、試料を6000rpmで15分間遠心分離した。得られた粒子を純水で繰り返し洗浄し、室温において窒素雰囲気下で乾燥した。
【0129】
図28は、リモネンを内部油相とする図27で述べた先行工程を用いたシリカ粒子のTEM画像を示す。先行工程によれば、粒子は7時間の反応後の遠心分離により抽出された(図28a)。しかしながら、通常、その塩基条件下ではTEOSの反応時間は少なくとも24時間と考えられる。このことは、より多くの粒子が遠心分離後の数日で上澄中に生成したことが観測されたことからも追認された。図28bは、24時間の反応時間後の粒子を示す。直径50ないし60nmのサイズ範囲のナノ粒子が両実験において製造され、本実験の場合では両面乳剤の生成はなく、むしろ単一の油中水型系だと示唆された。実験の過程で、Oil1/W乳剤は適度に安定で、少なくとも数時間では相分離が観測されな
いことが見出された。このことは攪拌は安定な両面乳剤の生成に重要な役割を果たすこと
が示唆された。したがって、3種類の攪拌速度(100、250及び500rpm)で粒子を形成する検討を行った。該TEM画像を図29a−cに示す。また、約60nmの直径を有するナノ粒子が、攪拌速度に無関係に製造された。この後に、ミクロサイズの粒子は、もしレチノールが内部油相として用いられた場合にのみ製造し得ると仮定した。しかしながら、レチノールを内部油相としたシリカ粒子のTEM画像を示した図30において観測されたように、類似のサイズの粒子(球状性に乏しいが)が上記のように製造された。
【0130】
図31は、図27で述べた先行工程により製造された粒子の吸収等温線の図を示す。BET表面積は42m2/gであり、緻密な粒子の形成を示唆している。観察された多孔性
(約21.6mmのメジアン孔直径)は相互粒子孔によるものである。さらに、二工程の違いも追認された。両シリカマトリックスの内部構造は大幅に異なっている。
【0131】
アセトンか水で洗浄した先行工程により製造されたナノ粒子のFTIRスペクトルを、粒子表面上へ吸着したヒドロキシプロピルセルロースの痕跡の有無を検出するために測定した。スペクトルは、KBr中に2wt.%に希釈した試料をDRIFTセルを用いて測定した。先行する工程により製造した試料の全IRスペクトルを図32に示す。2つの試料間の違いは殆ど無かった。
【0132】
図33(a)は、本発明の方法により製造した両面乳剤粒子の試料と同様に、先行工程により製造された試料のスペクトルを示す。本発明の粒子のスペクトルにおいて矢印で示された約1740cm-1のバンドは、Span80及びTween21のどちらにも存在し、界面活性剤中のC=O結合に起因する。先行工程により製造された粒子にはいずれの場合にも観測されなかった。同様に、HPCのスペクトルを含む、C−H領域(2700ないし3100cm-1)のスペクトルを図33(b)において比較した。先行工程により製造された粒子中及びHPC中の顕著なC−Hバンドが2972、2930及び2881cm-1において観測され、CH2同様にCH3基の有意な量の存在が示された。しかしながら、本発明の粒子のスペクトルでは、Span80及びTween 20の両方で観測される−CH2−長鎖を示す2926及び2855cm-1の2つのバンドが優位を占めた。
これらの観測結果は、先行工程により製造された粒子において吸収される有機物質の大多数はHPCに起因するものであり、一方、本発明の粒子の表面のものは、Span 80又はTween 21に起因するものである事が示唆された。バンド面積の分析により、水で洗浄した試料において吸収されたHPC量は、実質的にアセトンでの試料と一致していた。
【0133】
図34(a)は、図27で述べた先行工程により製造されたアセトンで洗浄した粒子のTGA/DTA結果を示す。水及び溶媒は200℃以前に蒸散し、揮発性成分は11.6wt%であった。356℃における発熱ピークは、界面活性剤及びポリマーの分解に相当する。これらの有機物質の百分率は、乾燥質量で59wt%であった(即ち、計算上は水の質量は無視して)。水で洗浄した粒子の結果を、図34bに示す。分析に用いた試料の初期の質量は19.36mgであった。発熱ピークは327℃で生じた。含水量は、生成物の15.5wt%であり、一方、界面活性剤及びポリマーは乾燥質量で55wt%を示した。
【0134】
19.pHの影響
pHは、粒子の特性に有意に影響を与え得る。前記した典型的な合成条件下では、pH2において粒子は10ないし150nmのサイズ範囲である。pHが2から0.301へ低下すると、粒子サイズは有意に増大し、同様にサイズ分布(即ち、多分散性)も増大する。図35は、pHが1.64、1.00、0.602及び0.301で合成した粒子のSEM画像を示す。pHが1.64から0.602までは、粒子は50ないし230μm
のサイズ範囲であった。しかしながら、pHが0.301においては粒子サイズは、80ないし700μmに増大した。pHの影響としてBET結果を図36に示す。表面積は、pH 2.00からpH1.64と低下するにつれて、約430m2/gから約92m2/gと大幅に減少した。pHが1.00である場合、粒子はより緻密であり、表面積は約0.3m2/gであった。BET表面積は、pHが0.301ではわずか0.01m2/gであった。細孔容積は、pH 2において0.51cm3/gから、pH1.64において
0.045cm3/gへと、そしてpH1.00において0.005cm3/gに、及びpH0.301において0.004cm3/gまで、pHに従い減少した。色素(ソルベン
トブルー−35)カプセル化効率もまたpH低下に伴い低下した。
【0135】
図37は、本発明に係るような内部空洞を有する粒子の図を示す。この図において、盤目模様は疎水性物質が空洞から粒子の外部へ拡散するのに十分に多孔質であるマトリックスを表す。BET測定は、この盤目模様の間の細孔(1ないし20nm)と関係する。これに比べ、SEMはより大きな空洞を測定することが可能である(1ないし100ミクロン=1000ないし100000nm)。
【0136】
シリコン アルコキシドの縮合速度の最小値をpH=2において観測した(「ゾル−ゲル科学と技術」、Academic Science 1990年、3章、213頁)。pH1か又はそれ以下の場合、縮合速度は増加し、粒子サイズの増大を引き起こす。内部構造の観点から、粒子形成を支配する正確な機構は依然として大部分が不明であるが、発明者らは、pH変化がTween 21(即ち、内部、又は第一、界面活性剤)及びシリカマトリックスの間の相互作用の本質の変化を引き起こすと仮定する。実際、pH=2はシリカの電荷がゼロの点に相当する;pH=2より上では、シリカ種の表面は負の電荷である;また、pH=2より下では、ケイ酸塩種(即ち、加水分解されたオリゴマー)は正に荷電する。界面活性剤は非イオン性であるが、珪酸塩の荷電した表面における変化は、形成中における球面外部の油状液滴の排除を引き起こし得る界面活性剤及びシリカの間のファンデルワールス相互作用における反発又は摂動を引き起こし得る。pH変化に伴う球面の内部構造における優位な変化はSEMにより観測されなかったが、pH低下に伴うカプセル化効率の低下はこの仮定を追認し易いものである。さらにまた、細孔容積及び表面積の低下は球面の緻密化に相当するが、内部多孔質の形成における界面活性剤−ケイ酸塩の相互作用の重要性を示唆する。窒素吸収−脱着等温線は、構造がpH=2における大部分がメソ多孔質の固体から、pH=1.64におけるミクロ多孔質の固体、及びpH=1における非多孔質の固体へ変換することを表す。
【0137】
1.内部親水性界面活性剤の研究
種々の他の界面活性剤も、粒子形態と油状物質カプセル化効率上での内部界面活性剤(即ち、第一界面活性剤)の種類の影響をよりよく理解するために試験された。使用した界面活性剤は:ポリオキシエチレン 4ラウリルエーテル、C12H25(OCH2CH2)4O
H(Brij30、シグマ製、分子量362、HLB 9.7);ノニルフェニル ポリエチレングリコール、C9H19C6H4(OCH2CH2)nOH,NP−5(シグマ製、n=5、分子量440、HLB 10.0);NP−6(シグマ製、n=6、分子量 485、HLB 10.9);Tergitol NP−9(フルカ製、n=9−10、分子量630、HLB 13.0);オクチルフェノール ポリエチレン グリコール C8H17C6H4(OCH2CH2)mOH、Triton X−114(アルドリッチ製、m=7−8、分子量 537、HLB 12.4)、Triton X−100(シグマ製、m≒10、分子量 646、HLB 13.5)。これらの界面活性剤は、全て白色、粘性の液体であり及びカールフィッシャー滴定により0.12wt.%以下の水を含有するものであった。検討したその他の界面活性剤はPOE(4)ソルビタン モノステアリン酸塩(Tween 61:分子量 606、HLB 9.6)及びPOE(5)ソルビタン モノオレイン酸塩(Tween 81:分子量 650、HLB 10)であった。
【0138】
Tween 61:C26H50O7(CH2CH2O)3 w+x+y+z=4
【0139】
【化4】
【0140】
Tween 81:C26H48O7(CH2CH2O)4 w+x+y+z=5
【0141】
【化5】
【0142】
合成方法及びそれぞれの物質の量は、特別に記載したもの以外は前記した「典型的な合成条件」に基づく。カプセル化効率及び粒子の形態の結果を表6及び7に要約した。
【0143】
前述した以前の研究では、内部界面活性剤の種類及び濃度が活性種の粒子の形態及びカプセル化に大いに影響することを示した。しかしながら、以前にはわずかの界面活性剤しか検討されておらず、最良の結果は、HLB 13.3であり4PEO単位であるTween 21を用い得られた。この部分の検討において、HLB値が9.6ないし13.5でありPEO単位が10以下のその他の種類の非イオン性界面活性剤で検討された。
【0144】
Tween 21(約38%)を用いたソルベントブルーのカプセル化効率を比較すると、NP−5又はNP−6を内部界面活性剤として用いた場合、カプセル化効率は、0.5%ないし1.8%と低値であった。球状粒子が製造されたが、粒子はシリカマトリックスの内部で小胞を示さなかった(図38)。さらに、カプセル化効率はNP−9を内部界面活性剤として用いた場合に約12ないし22%に増加した。Triton X−100及びTriton X−114を用いた場合、カプセル化効率は約10%であり、一方、Brij 30を用いた場合、色素のわずかな量しかカプセル化されなかった。
【0145】
NP、Triton及びBrijシリーズで観測された低いカプセル化効率の考えうる原因は、これらの界面活性剤のTWEEN 21とは有意にに異なる分子構造に関連する。
【0146】
Tween 21:C20H38O7(CH2CH2O)3 w+x+y+z=4
【0147】
【化6】
【0148】
Tween 21(構造を上記に示す)は、短い疎水性の尾部分及び大きな親水性の頭部分を分枝したPEO単位を伴い有するが、一方で、NP,Triton及びBrijの分子は、親水性および疎水性部分を含む長い直鎖構造からなる。界面活性剤は、PEO単位により、親水性ドメイン(水で加水分解されたシリカ前駆体)と会合していると仮定した場合、おそらく、Tween構造はミセルをより容易に形成し得、出来たミセルは単一の界面活性剤分子上に1以上の“錨”が存在するため、ミセルはより安定であり得ると考えられる。これに対し、検討したその他の界面活性剤は、直鎖の形状を取り得ると考えられ、これらの界面活性剤を用いて形成したミセルは安定でないと予想され得る。その結果、Tween界面活性剤の分子構造は、球状の内部分室の形成に有利であると予想され、これにより油状物質のカプセル化を可能にする。しかしながら、Tween界面活性剤のPEO錨の長さは、Tween 20又はTween 80の場合のように、油状物質のカプセル化の低下を招くと思われるので、長過ぎるべきで無い。
【0149】
Tween 61及びTween81は、Tween 21(上記)同様の分子構造を有し、わずかに低いHLB値を有する。Tween 61系のカプセル化効率はわずかにTween 21のそれよりもほんの少し高く、一方、Tween 81系のカプセル化効率はTween 21のものよりも低い。NP,Triton及びBrij界面活性剤の系に反して、Tween界面活性剤の高いカプセル化効率は、図39で分かるように、油状液滴は観測された空洞の内部にカプセル化されていることを示唆する。Tween 61の濃度はカプセル化効率に有意な影響を与えないと考えられるが、一方、カプセル化効率はTween 81量を増加することによりある程度低下する。
【0150】
Brij 30の場合を除き、粒子サイズは内部界面活性剤の量の増加に伴い減少する。この結果は、内部界面活性剤がOil1/水乳剤、即ち、親水性ドメイン中の油状液滴
の分散、上で働くため予想外であり、したがって、形状及びサイズは外部(第二)界面活性剤の特性によってのみ影響されるであろう親水性物質の全体の液滴サイズに影響するとは予想できなかった。これらの結果は2種の界面活性剤は相互に作用し得ることを示唆する。仮定では、内部界面活性剤の濃度が上昇すると、界面活性剤の部分の増加は、油状液滴の安定性には関与せず、外部界面活性剤壁と相互作用する。界面活性剤の混合物はミセル壁の剛性を増加させ、しかして乳剤相を安定化させる。粒子サイズに関してこれはより小さい粒子の製造を意味する。
【0151】
BET結果を図8に示し、該当する吸着等温線を図40に示す。図41はDFTモデルを用い計算された該当孔サイズ分配を示す。図40は、シリカマトリックスの多孔質構造に影響する内部界面活性剤の種類を示す。全ての等温線は、ミクロ多孔質及びメソ多孔質の存在を示す。Tween 21、61及び81を用い製造した粒子の等温線は、均一な多孔質構造を示唆するメソ多孔質領域の小範囲のヒステリシスを示した。Tween 61及び81を用い製造した粒子は単分散された細孔サイズを示した。これに反しTween 80及び20を用い製造した粒子は、瓶首型の細孔構造を示唆するメソ多孔質領域における広範囲のヒステリシスを伴う等温線を示した。種々の界面活性剤を用い得られた種々の形態は、球状の内部形態及び、下記に述べるように、その放出挙動における内部界面
活性剤の重要な役割を追認するものである。EE(カプセル化効率)及びシリカマトリックスの内部構造との間の相互関係の欠如は、窒素吸収実験がナノメータースケールでの細孔構造を同定し、従ってSEM顕微鏡写真で明白なマクロ多孔質を無視している事実により説明し得る。上記において検討したように、マクロ多孔性、即ち小胞は、油状カプセル化における貯留層であり、その存在は高いカプセル化効率と関連付けられ得る。小胞の直径は、例えば10nmないし50ミクロン又は50nmないし50ミクロンであり得る。
【0152】
2.内部油状物質量の影響
“典型的な合成条件”を採用し、その結果を表9に示す。一般的に内部油状物質が増加するとカプセル化効率が減少し、破壊された粒子の形成が起こった。
【0153】
典型的な合成において58.123mmolのTMOS及び0.714mLのリモネンを用いた。ゾル−ゲル反応収率が100%の効率だと見なすと、3.492gのシリカが製造されるであろう(SiO2の分子量は60.0843)。純粋なシリカマトリックス
の密度が2.0g/cm3であると見なすと、油対シリカ容量比は、0.714mLのリ
モネンに対し約15vol.%(SB−35のカプセル化効率:38%)、1.428mLのリモネンに対し25vol.%(SB−35のカプセル化効率:31%)となるであろう。典型的な合成条件下でのTween 61を用い製造した粒子のBJT平均細孔容量は0.18cm3/gであり、ゆえに細孔容量とシリカ容量の比は約22%である。こ
れらの結果は、これらが内部油対シリカ容量比の閾値があり得、これ以上であると、シリカミクロ粒子は容易に破壊されることを示唆する。例えば、表9から、油状物質の内部量が2倍になることは、粒子の破壊につながる。粒子は、小胞の容量比率の増加に伴いより壊れ易くなる。
【0154】
このようなことが起こると、内部油状物質は外部油相へ浸出し、カプセル化効率は減少するであろう。外部油状相の粘着性及び攪拌中のせん断力等のようなその他の因子は、粒子の破壊の可能性を減少させるために調整し得る。
【0155】
3.熟成時間の影響
表10及び図42は、典型的な合成条件下(0.600gのTween 61を用いた)における色素のカプセル化効率及び粒子の形態における熟成時間の影響を示す。外部油相(疎水性媒体)中へOil1/W相(即ち、第一乳剤)を注いだ後、加水分解されたシ
リカ前駆体は非常に急速に縮合しミクロ粒子を生成した。その結果、攪拌時間10分において最も高いカプセル化効率が得られた。攪拌時間を長くすると、内部油状物質(疎水性物質)は外部油相へ浸出する機会がより増し、かくしてカプセル化効率が減少する。しかしながら、攪拌時間が短すぎると、それは粒子がろ過に耐え得る十分な強度を得る十分な時間を与えていないため、有利ではない。いくつかのSEM画像は軟質粒子の破壊を示す(図43)。粒子サイズは、種々の熟成時間で変化はなかったが、より多くの破壊された粒子がより長期の攪拌時間において観測された。
【0156】
4.メタノール蒸散及び添加の影響
TMOSの加水分解により生じるメタノールは両面乳剤構造を破壊する可能性があり得る。しかしながら、本発明の合成は、部分的にのみ安定な両面乳剤を必要とし、ゆえに、粒子の形態及びカプセル化効率に有意に影響を与えないで少量のメタノールを系において許容し得る。典型的な合成の間、加水分解及び縮合反応中に生じたメタノールを、ゾル−ゲル溶液及び内部油状乳剤の混合に先立って蒸散する。表11及び図44は、0.600gのTween 61を用いた典型的な合成条件下での粒子の形態及びカプセル化効率におけるアルコール蒸散(標準時間は1.5時間)の蒸散時間の影響を示す。
【0157】
これらの結果より、カプセル化効率は、蒸散時間の変動にかかわらず一定のままであり
、それ故蒸散工程は必要では無いことを示唆した。短鎖アルコールが粒子の形態に影響を与えるか、及びこの系においてどれ位の量のアルコールが許容され得るかを理解するために、典型的な合成条件下において4又は10mLのメタノールをゾル−ゲル溶液へ添加した。カプセル化効率は、4mL及び10mLのメタノールの場合にそれぞれ22.6%及び1.6%であり、一方、粒子サイズは前者が85±51μmであり、後者のは50±25μmであった。該SEM画像を図45に示す。
【0158】
メタノール添加はカプセル化効率を有意に減少させた。より多くのメタノールが用いられると、より少ない色素がシリカ粒子内部に残留した。粒子サイズはまたメタノールの添加により減少するが、しかし空洞のサイズは増大し、シリカマトリックス内の空洞の数は減少する(図45)。
【0159】
5.外部油相中のポリマーの影響
以前の研究では、水相中のPEG及び外部油相中のHPCの添加について、粒子の形態における効果について検討した。ここでは外部油相中へのポリマーの導入のみ検討した。HPC(ヒドロキプロピル セルロース、分子量:370,000)及びEC7(エチル
セルロース、分子量:64,400)を用いた。典型的な合成条件を用いたが、更なる詳細とともに表12及び13に示した。
【0160】
HPC添加は、製造された粒子のサイズ及び形態にほとんど影響を与えないと思われ(図46)、全ての場合において20ないし200μmのサイズ範囲が得られた。全ての場合において、粒子は、低Span 80濃度において淡青色に見えたが、Span 80濃度を0.6mol/Lに増加した場合、得られた粒子は濃青色であった。これは、カプセル化効率はSpan 80濃度の増加と共に増大すると言う先行研究と一致するものである。これらの結果は、HPC添加は粒子の形態にほとんど影響を与えず、カプセル化効率を改善しなかったことを示唆する。
【0161】
同様に、カプセル化効率はEC7の添加で改善せず、先行研究においてすでに確立されたように、Span 80濃度の増加に伴いのみ増大した。しかしながら大量のEC7は、多分外部油相の粘着性の増加により著しく小さなミクロ粒子を製造し(図47)粒子の直径に影響する。
【0162】
6.残余の界面活性剤に対する洗浄の影響
いくつかの方法を、粒子表面の残余の界面活性剤を減少させるために検討し、TGA/DTA結果を表14及び図48に示す。外部(第二)界面活性剤であるSpan 80は疎水性(HLB 4.3)であり、疎水性溶媒にのみ可溶である。極性溶媒は、これも又疎水性であるドープされた活性物質をも溶解するであろうため、粒子の洗浄に用い得ない。今まで確認された最良の洗浄方法は、まず塩溶液で洗浄し、ついで純水を用いてさらに洗浄する方法である。Tween 20(HLB 16.7)及びTween 80(HLB 15)のような親水性界面活性剤はSpan 80を除去せず、DTA(示差熱分析)による追跡において2つの発熱反応の燃焼丘を追認したように、粒子上残渣が残った。
【0163】
7.放出速度に対する合成pHの影響
シリカ粒子は、内部界面活性剤としてTween 61を用いた他は典型的な合成条件により合成した。図49からも分かるように、ほぼ100%の色素が48時間後に放出された。pH=1.64で製造した粒子からは、最初の1時間で約50%の色素が放出され、一方、pH=2で製造した粒子からは70%以上が放出された(図49挿入図)。pH=1で製造した粒子については、90%の色素が放出1時間後で放出された。攪拌6時間後、全ての種類の粒子においてほとんど色素が放出された。この時間の後、残留している
色素は48時間までに徐々に放出された。
【0164】
合成pHは、放出速度を制御する因子となるシリカマトリックスの形態に有意な影響を与えたと思われる。pH=2及びpH=1.64における放出速度の違いは、窒素吸収により示されたように異なる多孔質構造により説明し得る。先に考察したように、pHの低下と共にシリカマトリックスの細孔容量及び表面積は減少し、粒子は高密度になった。このように、緩徐な放出は予想し得るものである。さらに、pHの低下と共に粒子サイズが増大するため、油状物質は、より長い拡散経路を持ちさらに放出が減少する。
【0165】
8.放出速度に対する内部界面活性剤量の影響
pH=1において内部界面活性剤としてTween 61を用い粒子を合成した。SB−35のカプセル化効率(19.6wt.%)は、pH=2において合成した粒子の約50%であり、pH=2において合成した粒子の場合のようにTween 61の質量には依存しなかった。pH=1において製造した粒子サイズは、約106±58μmであり、種々の量のTween 61(150ないし600mg)で変化しないままであった。図50は、粒子のSEM画像を示し、該放出曲線を図51に示した。色素は、Tween 61を150及び300mg負荷した場合においては徐々に放出したが、一方、Tween 61の負荷量が600mgの場合においては最も早い放出速度が観測された。
【0166】
表15は、pH=1において種々の量の内部界面活性剤を用いて製造した場合のBET及びDFT結果を示し、図52は該試料の細孔サイズ分布を示す。全ての試料はDFT及びBETの測定によりほぼ同様のピーク細孔サイズを有していた。類似の疎水性色素(ソルベントブルー)のカプセル化効率(約19.6%)がこれらの条件の下で得られ、これは、疎水性物質のカプセル化はシリカマトリックスのメソ/ミクロ多孔性にほとんど依存しないことが示されたことを示唆する。先に考察したように、カプセル化効率は窒素吸収では測定されないマクロ多孔性と関連すると考えられる。それにもかかわらず、細孔サイズ分布は、シリカマトリックスを通して、小胞からの油状物質の放出を制御する重要な役割であると思われる。より大きな細孔サイズは放出を速める。あるいは、より多量の内部界面活性剤を用いたより速い放出は、放出においてトラップされた疎水性物質の可溶化を促進する事の出来る細孔内部にカプセル化され残留するより多量の界面活性剤に依存し得る。
【0167】
9.その他の疎水性物質のカプセル化
9.1.ジウロンのカプセル化
ジウロン(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア)[シグマ製、min.98%]、構造を下記に示す、現在の工程を用いカプセル化し得る。――。
【0168】
【化7】
【0169】
ジウロン、MW233.09、白色粉末
【0170】
ジウロンを定量する逆相HPLC(ウォーターズ製)方法を図53に示し、標準校正方程式は:ジウロン濃度が2μg/mLないし100μg/mLにおいて、Areapeak=
110340Cdiuron+37673(R2=0.9996)。
【0171】
粒子合成は先に述べた典型的な合成条件と同様にして行ったが、しかし全ての成分の量を半分にした。ジウロンは内部油状物質(疎水性物質)中に導入した:2mL(90mg/mL ジウロン THF溶液、THFはここでは内部油相として用いた)。内部油相は、ジウロン濃度が90mg/mLのTHF溶液である(ここでTHFは内部油相である)。
【0172】
合成の後、約50mgの生成物(即ち、粒子)を50mLのメタノール中へ添加し、懸濁液を3日間攪拌した。粒子は遠心分離により分離し、上澄を取り出し、HPLC分析の前に0.22ミクロンのセルロースフィルターでろ過した。反応物からの有機相を乾燥アセトンで希釈しろ過し、合成中に減少したジウロン量を測定した。該SEM画像を図54に示す。
【0173】
放出結果に基づくカプセル化効率の低値はメタノール中へ放出されるジウロンの分画に依存し得る(ジウロンの、メタノールへの溶解度は43mg/mL)。合成中に減少する量に基づく高いカプセル化効率は、洗浄中に水相へ通過したジウロンを考慮しないため幾分過大評価され得る。しかしながらジウロンの水への溶解性は低い(25℃において42mg/L)ため、この量は低いと予想される。
【0174】
9.2バジル香味オイルのカプセル化
バジル香味オイルは、クエスト インターナショナル社より提供された。主成分は:44.45%MCTオイル(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、10.00%バジルオイル(数種の植物性油脂を含む未知成分)、3.00%酢酸リナリル、及び27.50%のリナロールである。また、その他の成分の中には、オイゲノール及びオイカリプトールを含む。バジル香味オイルの密度は、20℃で0.9519g/mLである。リナロール(分子構造を下記に示す)は、バジル香味オイルのカプセル化のマーカーとして選択した。
【0175】
【化8】
【0176】
リナロール、MW154.25、無色液体
【0177】
標準溶液を(±)−リナロール(フルカ製、purum、95%以上GC)をメタノールに溶解し5ないし100μg/mLの範囲で調製した(原液:2.000mg/mL)。リナロールは、逆相HPLC(ウォーターズ製)Atlantis dC18 5μm、4.6x150mmカラム、流速1mL/分及び波長208nmにおいて紫外可視検出器により定量した。注入量は20μLで、移動相は下記のように変化させた。
【0178】
時間(分) H2O % MeOH %
1 50 50
2 50 50
20 5 95
22 5 95
25 50 50
30 50 50
【0179】
標準校正方程式は:Areapeak=2.54x104 Clinalool+2.98x105(
R2=0.99925)。バジル香味オイル中のリナロール濃度は31.52wt.%と
測定された。
【0180】
粒子合成は、典型的な合成条件と同様にして行ったが、全ての成分の量を半分にした。合成後、約1gの生成物を20.00mLのメタノールと混合し、懸濁液を2週間激しく攪拌した。粒子は遠心分離により分離し、上澄を取り出し、HPLC分析の前に0.22ミクロンのセルロースフィルターでろ過した。合成物からの有機相を乾燥アセトンで希釈しろ過し、カプセル化工程中に減少したリナロール量を測定した。実験結果を表17に示す。リナロールのカプセル化効率はバジルオイルのと同一であると見なされた。
【0181】
粒子から放出されたリナロールの量に基づくカプセル化効率は、内部界面活性剤として0.3gのTween 21を用い製造した粒子の場合約2ないし3%であった。内部界面活性剤量を二倍にした後では、より少ないリナロールがカプセル化された。カプセル化効率が有機相中で減少したリナロール量を用いて計算するならば、カプセル化効率は、ただ一回40%であった場合を除き、おおよそ15%である。カプセル化効率を測定する2種の方法の違いは、多分粒子を乾燥する間のリナロールの蒸散及び/又はシリカ粒子の不完全な回収に依存し得る。図55は、種々の合成パラメーターを用いて製造した粒子の形態を表す。類似の粒子サイズ及びサイズ分布は種々の条件において観測された。
【0182】
結論
O/W/O両面乳剤を利用したゾル−ゲル工程は、シリカミクロスフェア中の疎水性種をカプセル化するのに成功裏に用いられた。内部界面活性剤、内部油状物質量、混和時間等の種々の工程パラメーターは、カプセル化効率及び粒子の形態への影響を検討するために変更した。ゾル−ゲル反応工程のパラメーターを変更することによりサイズ分布を変化させるのと同様に、シリカミクロスフェア内部にカプセル化された疎水性物質の量を変更することは可能であった。
【0183】
カプセル化効率は、内部界面活性剤の種類、系内へ導入された内部油状物質の量、混和時間及びゾル−ゲル溶液中の過剰のメタノールを変更することにより制御し得る。SRM分析結果は、カプセル化効率の傾向と一致する。種々の観測されたマクロ多孔性(即ち、油状液滴がとどまっている小胞)はカプセル化効率に伴い増加することが示された。カプセル化効率が低い場合は、マクロ多孔質は観測されなかった。
【0184】
粒子サイズは内部及び外部界面活性剤の量及びpHを変更することで制御し得る。内部界面活性剤の濃度が増加すると、粒子サイズは低下する。これは、過剰の内部界面活性剤が第二界面活性剤と相互作用し、かくして粒子サイズに影響すると示唆される。さらに、pHが低下した場合、粒子サイズは有意に増加する。
【0185】
カプセル化された油状物質の放出は、シリカマトリックスの多孔性を制御することにより制御し得る。これは、親水性相のpHを調整することにより制御し得る。pHが2未満の場合、細孔の量及び細孔のサイズは減少し、しかして油状物質の放出は遅くなる。
【0186】
上記の結果は本発明の工程がシリカミクロスフェア中の疎水性種のカプセル化を可能に
し、その放出を制御とすることを示すものである。この有用な技術は、化粧クリーム、香水、薬剤、食品及びクリーニング剤等の分野で生成物の放出における用途の可能性を有する。
【0187】
表1:使用した界面活性剤及びポリマーの特性
【表1】
【0188】
【化9】
【0189】
【化10】
【0190】
表2:前駆体混合物と共に製造したシリカスフェアのSB−35カプセル化効率
【表2】
【0191】
表3:SB−35/リモネンドープされたシリカスフェアの合成条件
【表3】
【0192】
表4:SB−35/リモネンドープされたシリカスフェアの合成条件
【表4】
【0193】
表5:図27の先行工程及び本発明の工程の比較
【表5】
【0194】
表6:種々の非イオン性界面活性剤と量を変化させた場合の合成結果(pH=2)
【表6】
【0195】
E.E.:SB−35(ソルベントブルー−35)のカプセル化効率
*SEM画像を図38に示す。平均粒径及び標準偏差はSEM画像からの20粒子の測定
結果をもとに計算した。
【0196】
表7:種々の量におけるTween61及びTween81による合成(pH=2)結果
【表7】
【0197】
*SEM画像を図39に示す。平均粒径及び標準偏差はSEM画像からの20粒子の測定結果をもとに計算した。
【0198】
表8:種々の内部計面活性剤におけるBET結果
【表8】
【0199】
表9:粒子サイズ及びカプセル化効率に対する内部界面活性剤及び油状物質の量の影響
【表9】
【0200】
表10:粒子サイズ及びカプセル化効率に対する熟成時間の影響
【表10】
【0201】
表11:粒子サイズ及びカプセル化効率に対するメタノール蒸散時間の影響
【表11】
【0202】
表12:HPC添加の実験条件
【表12】
【0203】
*:(1)外部油相に添加したヘキサノールに溶解した25wt% HPC。
(2)外部油相として用いた5wt.% HPC デカノール溶液。
【0204】
表13:EC7添加の実験条件*
【表13】
【0205】
*EC7はシクロヘキサン中へ直接添加した。
【0206】
表14:種々の洗浄方法でのTGA/DTA結果
【表14】
【0207】
*:TGA/DTA図を図48に示した。
【0208】
表15:種々の量の内部界面活性剤(pH1)におけるBET及びDFT結果
【表15】
【0209】
表16:ジウロンカプセル化シリカミクロ粒子の実験結果
【表16】
【0210】
1:回収率=(粉末中のジウロン+有機相中のジウロン)/添加したジウロン
2:EE=粉末中のジウロン/添加したジウロン
3:EE(添加したジウロン−有機相中の損失したジウロン)/添加したジウロン
【0211】
表17:バジル油(クエスト インターナショナル)カプセル化シリカミクロ粒子のHPLC結果
【表17】
【0212】
1:回収率=(粉末中のリナロール+有機相中のリナロール)/添加したリナロール
2:EE=粉末中のリナロール/添加したリナロール
3:EE=(添加したリナロール−有機相中の損失したリナロール)/添加したリナロール
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】図1は、本発明のセラミック粒子の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、粒子の合成における本発明の両面乳剤液滴の概略構造を示す図である。
【図3】図3は、Span 80濃度が(a)0.26mol/L、(b)0.45mol/L、(c)0.60mol/L、(d)0.75mol/L、及びその他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いて作成された、ろ過前20分間の縮合直後に得られた本発明のシリカ粒子の光学顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、種々のSpan 80濃度が(a及びb)0.26mol/L、(c及びd)0.45mol/L、(e及びf)0.60mol/L、(g及びh)0.75mol/Lを用いて作成した、本発明のミクロサイズのシリカ粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。その他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いた。
【図5】図5は、(a及びb)二種類の倍率における電子顕微鏡写真、(c及びd)位相差X線ミクロ断層画像、及び(d)X線画像を示す。全ての画像は、実施例における典型的な合成条件を用いて製造されたシリカ粒子の典型的な形態を示す。
【図6】図6は、Tween 21(a)1.322mmol、(b)0.665mmol、(c)0.326mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図7】図7は、Tween 20:(a)1.313mmol、(b)0.661mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図8】図8は、Tween 80:(a)1.317mmol、(b)0.659mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図9】図9は、水対TMOSモル比が(a)2;(b)3;(c)4;(d)5;(e)6;(f)8;(g)16において、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween−21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) pH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いた粒子のサイズ及び分布が示された本発明のシリカ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、粒子形成におけるORMOSILの影響を図示した電子顕微鏡写真を示し、(a)100mol% TMOS;(b)75mol% TMOS及び25mol% VTMS;(c)75mol% TMOS及び75mol% PTMS;(d)75mol% TMOS及び25mol% MTMS;であり、その他の実験条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;Tween 21 0.575mmol;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;全シリコン前駆体 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 30.03mmol、及び(e)においては、Span80を90mmolにした以外は(d)と同様の条件を用いて製造し、及び(f)においては、Span80を90mmolにした以外は(b)と同様の条件を用いて製造した。
【0214】
【図11】図11は、TEOS水溶液とTEOSのモル比が(a)2;(b)4;(c)8;(d)16、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) のpH2 HNO3溶液;TEOS 29.650mmol;エタノール118.6mmol(ゾル−ゲル溶液に添加);Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図12】図12は、疎水性界面活性剤としてSpan 20を用い、Tween 21濃度が(a)0.575mmol;(b)0.968mmol;(c)1.314mmol;(d)1.724mmol;(e)2.107mmol;(f)2.490mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 185mL シクロヘキサン;Surf2 Span 20 59.17mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図13】図13は、Tween 20及びTween 80:(a)Tween 20 0.245mmol;(b)Tween 80 0.229mmolを用い、図11に記載したその他の実験条件は同様にして製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図14】図14は、親水性ドメインにPEG(ポリエチレングリコール)及び種々の親水性界面活性剤と外部油相が混合された疎水性ドメインへHPC(ヒドロキシプロピル セルロース)を添加し、表3に記載した実験条件により製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図15】図15は、表4に示した実験条件によりPEG及びHPCの存在下種々の親水性界面活性により製造された粒子形態を表す電子顕微鏡写真を示す。
【図16】図16は、Tween 21量が(a)0.958mmol、(b)2.874mmol、(c)3.831mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 90mmolである条件を用いて、リモネンを内部油相として種々の親水性界面活性剤の濃度において合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図17】図17は、レチノール量0.210gでの実施例の典型的な合成における、それぞれの成分量を40%としたカプセル化されたレチノールを用いたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図18】図18は、(a)Span 80 90mmolのシクロヘキサン150mL;(b)Span 80 45mmolのシクロヘキサン75mLとした以外は典型的な合成条件と同様の実験条件における、2倍及び4倍量の内部含有量を添加することにより製造した粒子のSEM画像を示す。
【図19】図19は、本発明のシリカ粒子において、粒子表面へ残留した界面活性剤を評価するためのTGA(熱質量分析)及びDTA(示差熱分析)結果を示す。
【図20】図20は、1)Tween 21を内部界面活性剤として用いた、本発明(“両面乳剤”)の工程で製造した、及び2)WO1/62232の“工程1”を用い製造した2種の粒子試料の吸収等温線を示す。
【0215】
【図21】図21は、シクロヘキサン及びドデカン中の本発明のシリカミクロ粒子からの、SB−35の放出速度を示す図である。
【図22】図22は、本発明のレチノールでドープされたシリカ粒子のTGA及びDTA結果を示す。それぞれの成分の含有量は典型的な合成におけるレチノール0.210gの40%である。
【図23】図23は、エタノールに溶解した種々の濃度におけるレチノールのUV/Visスペクトルを示す。
【図24】図24は、本発明におけるレチノールでドープされた粒子と対照粒子の拡散反射スペクトルを示す。
【図25】図25は、リモネン測定における典型的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図26】図26は、本発明の典型的な単一シリカミクロスフェアの断面図の概略を表す図である。
【図27】図27は、先行する方法による粒子の合成工程のフローチャートである。
【図28】図28は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間が(a)7時間、(b)24時間として、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
【図29】図29は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を(a)100rpm、(b)250rpm、(c)500rpmとして、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM画像である。
【図30】図30は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を250rpmとして、本発明の発明者らが製造したレチノールでドープされたシリカ粒子のTEM画像である。
【0216】
【図31】図31は、図27に記載の先行する方法をもとに、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子の吸収等温線を示す図である。
【図32】図32は、図31の試料のDRIFT(拡散反射赤外フーリエ変換)スペクトル(650−4000cm-1)を示す図である。
【図33】図33は、(a)図31の試料及び本発明の粒子(“ANSTO粒子”)のDRIFTスペクトル(1300−2000cm-1)を示す図であり、及び(b)図31の試料、HPC及び本発明の粒子のDRIFTスペクトル(2700−3100cm-1)を示す図である。
【図34】図34は、図31のシリカ粒子の表面に残留する界面活性剤を評価するTGA及びDTA結果を示す図であり、(a)アセトン洗浄、(b)水洗浄を示す。
【図35】図35は、種々のpH;(a)1.640、(b)1.000、(c)0.602、(d)0.301において、その他の実験条件は典型的な合成に記載のものを用いて合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【図36】図36は、各pHにおけるBET表面積の結果を示す図である。
【図37】図37は、本発明の粒子の図を表したものである。
【図38】図38は、種々の内部界面活性剤:(a)NP−5;(b)NP−6;(c)NP−9;(d)Triton X−100;(e)Triton X−114;(f)Brij 30;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図39】図39は、Tween 61及びTween 81を(a)Tweem 61/0.3g;(b)Tween 61/0.6g;(c)Tween 61/1.2g;(d)Tween 81/0.3g;(e)Tween 81/0.6g;(f)Tween 81/1.2g;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図40】図40は、種々の内部界面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の吸着等温線を示す図である。
【0217】
【図41】図41は、種々の内面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の、DTF(密度関数理論)モデルを用いた細孔径分布を示す図である。
【図42】図42は、種々の熟成時間:(a)5分;(b)10分;(c)20分;(d)40分、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図43】図43は、軟質粒子の割れ目を表すSEM顕微鏡写真を示す図である。
【図44】図44は、種々メタノール蒸散時間:(a)1.5時間;(b)1時間;(c)0.5時間;(d)蒸散なし、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図45】図45は、メタノール導入:(a)4mL;(b)10mL、で製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図46】図46は、Span 80(0.2mol/L)及びHPC:(a)4g;(b)8g;(c)16gを用い、HPC添加した粒子のSEM画像を示す図である。
【図47】図47は、(a)Span 80;0.4mol/L、EC7:5g;(b)Span 80:0.2mol/L、EC7;2.4g;(c)Span 80:0.3mol/L、EC7:2.4g;(d)Span 80:0.4mol/L、EC7:2.4gを用い、EC7添加した粒子のSEM画像を示す図である。
【図48】図48は、種々の洗浄方法(a)3x15mL 1mol/L NaCl及び3x15mL水で洗浄;(b)6x15mL水で洗浄;(c)Tween 20 0.05% 6x15mLで洗浄;(d)Tween 80 0.05% 6x15mLで洗浄のTGA/DTA追跡を表す図である。
【図49】図49は、エタノールを放出媒体として用いた放出速度における合成pHの影響を説明する、色素放出の経時変化を示す図である。
【図50】図50は、典型的な合成条件下において、Tween 61(a)150mg及び(b)300mgを内部界面活性剤とし用いてpH1において合成した粒子のSEM画像を示す図である。
【0218】
【図51】図51は、Tween 61を内部界面活性剤として種々の量で用い、pH1において合成されたシリカ粒子のソルベントブルー放出曲線を示す図であるが、ここで色素はエタノール中へ放出される。
【図52】図52は、種々の量の内部界面活性剤を用い、pH1において合成されたシリカ粒子のDFTモデルによる細孔径分布を示す図である。
【図53】図53は、メタノール中のジウロン濃度を2−100μg/mLで用いたジウロン測定のHPLC追跡結果を示す図である。
【図54】図54は、カプセル化されたジウロンのシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【図55】図55は、(a)Tween 21:0.3g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.3g、バジル油 0.70mL;(c)Tween 21:0.6g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.6g、バジル油 0.70mLを用いて作成されたカプセル化されたバジル油のシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性物質をその中へ有する粒子及び該粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者らは、ゾル−ゲル及び関連技術を用い、セラミック粒子の生成に基づき、薬剤及びその他の生物学的活性物質等の物質をカプセル化する一連の方法を開発してきた。その他の応用も又構想されたものの、これらは放出制御するために開発されたものである。これらは、WO01/62332号公報、出願番号AU2005001738号公報、豪州出願番号AU2005001915号公報及び豪州出願番号AU2006000193号公報に記載されている。
【0003】
これらの方法は、カプセル材料が水相に局在する、油中水型乳剤の生成に頼っている。その結果、これらは、分散された水相へ好適に分配される親水性カプセル材料に限定される。
【0004】
ここ十年間、疎水性種のカプセル化及び放出制御が、疎水性/脂溶性活性分子を用いた産業上の応用が増加しつつあることに起因してかなりの関心が寄せられている。例えば、薬学及び農学の産業分野では多くの薬剤又は殺生物剤が疎水性の特性を有する。それにもかかわらず、カプセル化及びこれらの活性分子の制御された放出の方法はこれらの産業において課題を残している。一方、食品、化粧品及び個人医療の分野では、香料や芳香物質の様な揮発性有機化合物、又は漂白剤などの反応性化合物などのカプセル化及び放出制御は、製品改良の顕著な趨勢となっている。
【0005】
伝統的な有機物質と比較して、無機マトリックス及びより具体的にはセラミックは多くの固有の利点を有する。特に、生物学的に不活性、固有に親水性であり、また高い機械的強度及び熱安定性を有する。しかしながら、殆どの無機デリバリー(送達)システムはカプセル化粒子の厳密にコントロールされた放出を達成していない。
【0006】
double emulsion(両面乳剤)は、送達媒体中の活性物質のカプセル化手段を提供する。これらの系は、2種類の異なる種類の界面活性剤を必要とする2種の異なった界面を構成する。O/W/O多重乳剤の場合は、界面活性剤の第一系は好ましくは、内部界面用に親水性であり、一方、外部界面用の界面活性剤の第二系は好ましくは疎水性である。両面乳剤の組成は、異なる界面活性剤の種類と濃度は、油相の種類と濃度とともに、両面乳剤の安定性に影響するであろうため、重要である。多重乳剤(例えば、O/W/O)は通常は2工程の方法により製造される。第一の工程において、O1/W乳剤は
高HLB界面活性剤の存在下に水溶性溶液中で内部油状物質を分散させることにより製造される。水中の極微細な油状液滴の乳剤の生成は、高せん断ホモジェネーション又は超音波処理等の大量のエネルギー導入工程により達成される。第二の工程において、O1/W
乳剤を低HLB界面活性剤を含有した外部油相へ添加する。内部相(O1/W乳剤)を外
部油相(O2)へ分散するために、マグネティックスターラーを一般的に使用する。最も
一般的に使用される両面乳剤は、W/O/W型であるが、O/W/O乳剤も特定の応用に用いられる。多重乳剤の欠点は、本質的な不安定性及びその構造の複雑さであり、結果的にはさらなる応用はその潜在的有用性にもかかわらず実質的には限られている。内部相において液滴同士の凝集や癒着を生じるという生来の不安定性を克服するために、適当な乳化剤の組み合わせが乳剤安定性を改善する為と液滴サイズの減少化のために用いられてきた。乳化剤は、乳剤の生成中液滴の表面に吸着し、癒着するだけ接近するのを防止する。天然の巨大分子と同様にポリマー合成乳化剤も又、安定性及び放出制御の改善が示された
モノマー乳化剤と組み合わせ用いられ得る。
【0007】
ゾル−ゲル化学と多重乳剤の本質的な特性の利点を組み合わせることにより、いくつかの中空又は多孔質の無機球状粒子が、一連して触媒及び次に水相の金属アルコキシド前駆体を導入することにより、製造されてきた。しかしながら、非常に限られた研究が、O/W/O多重乳剤を用いて油状物質又は疎水性種を含有する球状セラミック粒子を製造するために実施されてきたにすぎなかった。これは、熱力学的に安定な両面乳剤の厳密な条件即ち、四元状態図(水−油−surf1−surf2)における安定性の非常に狭い範囲に依存するものである。いくつかの研究(「O/W/O多重乳剤を用いた、レチノールカプセル化されたシリカ粒子の製造」、Lee,Myung−Han;Oh,Seong−Geun;Moon,Sei−Ki;Bae,Seong−Youl,Journal of Colloid and Interface Science,240号,83頁−89頁(2001年))が、ブロックコポリマーのような粘着剤を導入することにより両面乳剤の安定性を改善する為に着手された。金属アルコキシドが外部油相へいったん添加されると、引き続き水と反応させると、両面乳剤の構造及び安定性は2種の油相間の浸透圧のバランスの摂動により変化する。この両面乳剤の生来の熱力学的不安定性は、一般にこのような系では更なる欠点:急速な(即ち、爆発的な)カプセル化物質の外部油相への放出、を生じる。
さらにまた、多重乳剤の複雑な本質は、乳剤の安定性及び破裂及び癒着の検出の評価を困難にする。主な実験技術は、多重乳剤液滴の数及びサイズの計測に基づくが、内部液滴が癒着、凝集又は破裂しているか否かを決定することは非常に困難であるため、乳剤安定性における限られた情報しか得られない。また、両面乳剤系へのシリコン前駆体の大量の導入は、乳剤化学のモニターを困難にするであろう。
さらに、我々の非特許文献1に記載の製造方法の再現への不可能性及び彼らの論文に記載されたミクロ粒子に替わるナノ粒子を得た事は、このようなアプローチの不安定性及び非再現性を更に確かなものにする。
【0008】
したがって、疎水性物質を粒子中へカプセル化する強固で多目的な工程の必要性がある。もしこの様な工程が疎水性物質の良好なカプセル化効率と同様に、粒子サイズのコントロール、及び必要に応じて粒子からの疎水性物質の放出速度のコントロールを提供するならば望ましいことであろう。
【0009】
【特許文献1】WO01/62332号公報
【特許文献2】豪州出願番号AU2005001738号公報
【特許文献3】豪州出願番号AU2005001915号公報
【特許文献4】豪州出願番号AU2006000193号公報
【非特許文献1】Lee,Myung−Han;Oh,Seong−Geun;Moon,Sei−Ki;Bae,Seong−Youl,“Preparation of Silica Particles Encapsulating Retinol Using O/W/O Multiple Emulsions”,Journal of Colloid and Interface Science,240号,83頁−89頁(2001年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の目的
本発明は、少なくとも上記欠点の一つでも克服し、又は実質的に上記欠点の一つでも改善することを目的とする。さらに、本発明は、少なくとも上記の必要性を部分的にでも満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
一つのの実施態様として本発明は、疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は:
疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質を含有し及び親水性相は非流動性マトリックスを形成する反応可能な前駆体を含有する工程;及び
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを生成する様に反応させるが;
ここで、前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加される工程、を含む製造方法を提供することにある。
【0012】
反応工程は:
多重乳剤中で前駆体を反応させ疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させるが、ここで、疎水性物質は粒子より放出可能である、反応工程を含み得る。
粒子中の疎水性物質は、一定の期間粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は一定の期間、制御された速度で粒子から放出可能であり得る。
【0013】
多重乳剤を提供する工程は:
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質及び疎水性相は前駆体を含有する工程;及び
多重乳剤を得るために疎水性媒体中に第一乳剤を分散する工程、方法を含み得る。
【0014】
本発明の第一の特徴は、疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質を含有し及び親水性相は非流動性マトリックスを生成するように反応可能な前駆体を含有する工程;
疎水性媒体中の第一乳剤を多重乳剤を形成する様に分散し;及び
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形でマトリックスを生成するように反応させる工程、を含む方法を提供することにある。
【0015】
多重乳剤は両面乳剤であり得る。それはoil−in−water−in−oil(油中水中油型、O/W/O)多重(又は両面)乳剤であり得る。粒子は固体粒子であり得、及びセラミック粒子であり得る。非流動的マトリックスは固体又はゲル状であり得る。ろ過性であり得る。ろ過性ゲル又はろ過性固体であり得る。非流動的マトリックスはセラミックマトリックスであり得る。内部疎水性相は不連続性相であり得る。マトリックス内にカプセル化され、区画化され、取り込まれ又は封入され得る。内部疎水性相は、疎水性物質に加えて疎水性希釈剤を含有し得る。疎水性物質は、疎水性希釈剤と混和性、又は可溶性であり得る。疎水性物質は1種類以上の疎水性物質から構成され得る。第一乳剤は、付加的に第一界面活性剤を含有し得、その第一界面活性剤は少なくとも部分的に第一乳剤を安定化し得る。第一界面活性剤は親水性界面活性剤であり得る。これは、多重乳剤の内部にある第一乳剤を少なくとも部分的に安定化しうるので、“内部界面活性剤”呼び得る(即ち、液滴または多重乳剤の分散層の内部側に局在する)。親水性相は連続性相であり得る。水を含有し得、及び水溶性相であり得る。前駆体は粒子、即ちマトリックスの前駆体であり得る。もし粒子がセラミック粒子の場合、前駆体はセラミックの前駆体、即ちセラミック前駆体であり得る。架橋性物質であり得、又は部分的架橋性物質であり得、又はこれらの混合物であり得る。それが反応してマトリックスを形成する条件下では、疎水性物
質と反応不可能なものであり得る。例えば、加水分解性シラン、少なくとも部分的に加水分解されたシラン、部分的架橋性シラン、又はこれらの2以上の混合物であり得る。
【0016】
疎水性物質は、例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。
【0017】
疎水性媒体は疎水性希釈剤と同じであっても異なっていてもよい。疎水性希釈剤を含有し得る。多重乳剤が安定なことは重要なことではないが、多重乳剤は第二界面活性剤を含有し得、そして第二界面活性剤は少なくとも部分的に多重乳剤を安定化し得る。したがって、界面活性剤の他に乳化安定剤を添加することは不必要であり得るので、界面活性剤の他にいかなる乳化安定剤も添加しない工程もあり得る。増粘剤を添加するのは不必要であり得るが、いかなる増粘剤を添加しない工程もあり得る。ポリマー物質を全く添加しないこともあり得る。メチルセルロース、又はセルロースベースの増粘剤又は増粘剤を、使用しないこともあり得る。本工程では界面活性剤以外の乳化安定剤を本工程に全く使用しないこともあり得る。疎水性媒体中に第一乳剤を分散する前、分散中及び分散後においても、第二界面活性剤は疎水性媒体と混合し得る。例えば、分散の工程は、その中へ溶解、懸濁又は分散された第二界面活性剤を有し、多重乳剤を生成する疎水性媒体へ第一乳剤を分散することを含み得る。多重乳剤は、それゆえ疎水性媒体中へ分散された第一乳剤の液滴を含有し得る。第二界面活性剤は疎水性界面活性剤であり得る。これは、多重乳剤中に、第一乳剤と比較して外部に局在するので、内部(又は第一)界面活性剤と 対照して“外
部界面活性剤”呼び得る。
【0018】
第一乳剤はミクロ乳剤であり得、又はその他の種類の乳剤であり得る。平均液滴直径は約10nmないし約50ミクロンを有し得る。多重乳剤は平均液滴直径約0.1ないし約1000ミクロンを有し得る。第一乳剤及び多重乳剤はそれぞれ独立に狭い又は広範なサイズ分布を有し得る。
【0019】
第一乳剤を生成する工程は、
内部疎水性相粒子を水及び第一界面活性剤が第一混合物を生成する様に混合し、並びに随意に第一混合物を攪拌する工程;
架橋性種と水が、前駆体及び水を含有する第二混合物を形成するように混合するが、ここで架橋性種は該前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下反応し、及び随意に前駆体を生成する触媒(例えば、加水分解)も混合する工程;
第一混合物及び第二混合物を混合する工程;及び
随意に第一及び第二混合物を攪拌し第一乳剤を生成する工程、
を含み得る。
【0020】
第一乳剤中、水と加水分解性種の比は、モルを基準として約2:1ないし約10:1、又は約3:1ないし約6:1であり得る。第二混合物中の水と前駆体の比は、質量又は容量を基準として約1:1ないし約5:1であり得る。混合された第一混合物の量及び第二混合物の量の比は、質量又は容量を基準に約1:1ないし1:5であり得る。前駆体の形成は約5分ないし約48時間要し得る。前駆体の生成に次いで、副生成物、例えばアルコールは第一及び第二混合物を混合する前に蒸散し得、又は一部蒸散するか蒸散しなくてもよい。随意的な攪拌工程は、高速せん断を含み得、又高速せん断攪拌、高速せん断混合、音波、超音波処理又はこれらの2、3又は4種を組み合わせて行うことを含み得る。超音波処理機及び攪拌機、例えば、高速せん断攪拌機を使用し得る。
【0021】
多重乳剤中の第一乳剤の比率は、質量又は容量を基準に約1%ないし約30%であり得る。疎水性媒体中の第一乳剤を分散する工程は、
疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;
第三混合物と第一乳剤を混合する工程;及び
随意に、第三混合物及び第一乳剤を攪拌する工程、
工程を含み得る。
【0022】
前駆体を反応させマトリックスを形成する工程は多重乳剤の熟成を含み得る。熟成は粒子形成のための十分な時間であり得、例えば、約1分ないし50時間、又は約1ないし10時間、又は5ないし約50分であり得る。その時間は、第一乳剤のpHに依存し得る。熟成は、疎水性物質が十分な時間安定であるに適切な温度で行い得、及び約10ないし60℃であり得る。該熟成の間、多重乳剤は攪拌してもしなくてもよい。工程は付加的に1以上の少なくとも部分的に粒子を疎水性媒体から分離し、粒子を洗浄し、及び粒子を乾燥する工程を含み得る。少なくとも部分的に分離をする工程の後、粒子はさらに熟成し得る。これは、前駆体のさらなる反応のための適切な期間であり得る。例えば、約1時間ないし約24時間又はそれ以上、約30分ないし24時間又はそれ以上、約2時間ないし約24時間又はそれ以上、約3時間ないし約24時間又はそれ以上、約4時間ないし約24時間又はそれ以上、約5時間ないし約24時間又はそれ以上、又は約7時間ないし約24時間又はそれ以上であり得る。
【0023】
ひとつの実施態様において工程は、
親水性相中へ分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供する工程であって、ここで疎水性相は疎水性物質及びセラミック前駆体を含有する親水性相を含有し、該第一乳剤は第一界面活性剤により少なくとも部分的に安定化されたものである工程;
第二界面活性剤の存在下に疎水性媒体中の第一乳剤を多重乳剤を形成するように分散する工程;及び
多重乳剤中でセラミック前駆体を、疎水性物質をその中へ有するセラミック粒子の形でセラミックを生成する様に反応させる工程であって、該粒子は疎水性媒体中に分散されたものである工程、を含む。
【0024】
その他の実施態様において、工程は、
疎水性相を水及び第一界面活性剤と第一混合物を生成する様に混合し、随意に第一混合物を攪拌し、ここで疎水性相は疎水性物質及び随意に疎水性希釈剤を含有する工程;
架橋性種及び水を混合し、前駆体および水を含有する第二混合物を提供する工程であって、ここで架橋性種は該前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下反応し、及び随意に前駆体を生成する触媒をも混合する工程;
第一混合物及び第二混合物を混合し、及び随意に第一及び第二混合物を攪拌し第一乳剤を得る工程;
疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;
第三混合物と第一乳剤を混合し、そして随意に第三混合物及び第一乳剤を攪拌し多重乳剤を生成させる工程、
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態で固体マトリックスを形成する様に反応させるが、該粒子は疎水性媒体中に分散されているものである工程;
少なくとも部分的に、疎水性媒体から粒子を分離する工程;
粒子を洗浄する工程;そして
粒子を乾燥する工程、を含む。
【0025】
反応工程は;
多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態で固体マトリックスを形成する様に反応させるが、該疎水性物質は該粒子より放出可能なものであり、該粒子は疎水性媒体中に分散されたものである工程、を含み得る。
【0026】
本発明ではまた、第一の特徴の工程により製造された粒子を提供する。
【0027】
本発明の第二の特徴は、疎水性物質をその中へ有する粒子を提供することにある。疎水性物質をその中へ有する粒子は、本発明の製造工程でもあり得るゾルゲル工程により製造し得る。粒子はキセロゲル粒子であり得る。粒子は、ゲル粒子であり得る。粒子は疎水性物質をその中へ有する固体マトリックスを含み得る。疎水性物質は粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は一定時間粒子から放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は、制御され又は持続した速度で一定時間粒子から放出され得る。その粒子本来の、又は本発明の工程により製造した粒子の時間周期は、5分ないし72時間又はそれ以上、10分ないし72時間又はそれ以上、15分ないし72時間又はそれ以上、20分ないし72時間又はそれ以上、25分ないし72時間又はそれ以上、30分ないし72時間又はそれ以上、60分ないし72時間又はそれ以上、90分ないし72時間又はそれ以上、120分ないし72時間又はそれ以上、5分ないし48時間、10分ないし48時間、15分ないし48時間、20分ないし48時間、25分ないし48時間、30分ないし48時間、60分ないし48時間、90分ないし48時間、120分ないし48時間、5分ないし24時間、10分ないし24時間、15分ないし24時間、20分ないし24時間、25分ないし24時間、30分ないし24時間、60分ないし24時間、90分ないし24時間、120分ないし24時間、5分ないし12時間、10分ないし12時間、15分ないし12時間、20分ないし12時間、25分ないし12時間、30分ないし12時間、60分ないし12時間、90分ないし12時間、120分ないし12時間、5分ないし6時間、10分ないし6時間、15分ないし6時間、20分ないし6時間、25分ないし6時間、30分ないし6時間、60分ないし6時間、90分ないし6時間、120分ないし6時間、5分ないし3時間、10分ないし3時間、15分ないし3時間、20分ないし3時間、25分ないし3時間、30分ないし3時間、60分ないし3時間、90分ないし3時間、120分ないし3時間、5分ないし2時間、10分ないし2時間、15分ないし2時間、20分ないし2時間、25分ないし2時間、30分ないし2時間、60分ないし2時間、90分ないし2時間、又は5分ないし1時間の範囲であり得る。粒子は、複数の個別の空洞(cavity)、セル、中空(hollow)、分室を有し得る。疎水性物質の少なくとも一部分は、個別の空洞、セル、中空、分室中に局在し得る。疎水性物質はカプセル化され、区分され、取り込まれ、又は粒子またはマトリックス中に封入され得る。1以上のドーパント、即ち疎水性物質が、本発明の粒子中へ取り込まれ得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のドーパント)。疎水性物質は例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。粒子は増粘剤の使用を含まない工程によって製造され得る。粒子は界面活性剤の他、増粘剤又は乳化安定剤のどれもその中へ又はその上に有しないものであり得る。ポリマー添加のないものであり得る。有機ポリマー添加のないものであり得る。セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)をその中へ又はその上へ有しないものであり得る。粒子は固体粒子であり得、及びセラミック粒子であり得る。疎水性物質はカプセル化され又は少なくとも一時的に粒子中に固定化され得る。粒子は約0.1ないし50%w/wまたはw/vの疎水性物質を含有し得る。粒子は約10ないし約1010の個別の空洞、セル、中空、分室を有し得、又は約106ないし約1010の個別の空洞、セル、中空、分室を有し得る。空洞
、セル、中空、又は分室は実質的に球状(即ち、球状又はおおよそ球状)、又はその他の形状であり得、及び平均直径約10nmないし約50ミクロンを有し得る。粒子は球状又はその他の形状であり、平均粒径約0.1ないし約1000ミクロンを有し得る。その他の分子は、本発明の粒子の上に接着されるか、又は連結されるか、又は覆われ得る。たとえば、標的分子は、本発明の粒子の上に接着されるか、又は連結されるか、又は覆われ得る。粒子はシリカ、架橋性シラン又はシロキサン、加水分解されたシラン又はシロキサン、シリカ様物質又はポリシルセスキオキサンを含有し得る。特に、粒子はシリカを含有し得る。これはこれらの粒子の応用において重要な意味を持つ。有機シリカは規制機関によ
り容認されないため、シリカとしてこれらは食品及び経口/局所の製剤処方に取り込まれ得る。さらにまた、粒子がシリカで製造された事実は、それらを本質的に親水性にする。親水性化合物を親水性マトリックスへカプセル化する可能性は、腸壁を通して難溶性の薬剤を送達する問題を解決する主たる工程である。粒子は球状であり得る。粒子は疎水性物質を放出可能であり得る。粒子は、一定期間疎水性物質を放出可能であり得、即ち、疎水性物質は放出可能にカプセル化され及び/又は固定化され及び/又は粒子中へ取り込まれ得る。それは放出可能な疎水物質であり得る。粒子は、制御された速度で疎水性物質を放出可能であり得る。その速度は物質の種類、疎水性物質の種類、個別の分室のサイズ、粒子のサイズ、pH、温度のような粒子の合成条件、粒子が浸漬される媒体の種類及び/又はその他の因子に依存し得る。粒子は本発明の第一の特徴の方法により製造し得る。
【0028】
本発明の、第三の特徴は、被験者、例えばヒトの疾患の治療法を提供することにあり、本発明の粒子の治療有効量を被験者へ投与することを含み、ここで、粒子の疎水性物質は該粒子より放出可能であって、そして疾患に適切なものである。疎水性物質は薬剤又はその他の治療剤であり得、薬剤は抗癌剤であり得る。疾患は疾病であり得る。疾患としては、例えば、癌、AIDS、関節炎、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛、又はその他の疾患が挙げられる。疾患は、薬剤又は治療剤の制御された放出が適切なものであり得る。薬剤又は治療剤は、制御速度で被験者へ投薬されるべきところのものであり得る。薬剤又は治療剤は、被験者へ長期間投薬されるものであり得る。
【0029】
また、本発明の粒子は、被験者、例えばヒトの疾患治療用薬剤の製造に用いられる場合、粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、疾患に適切な粒子を提供する。また、本発明の粒子は、被験者、例えばヒト又はヒトでない動物の疾患治療用薬剤の製造での粒子の使用、ここで粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、そして疾患に適切な粒子を提供する。疾患としては、例えば、癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患が挙げられる。
【0030】
また、利用可能な担体、希釈剤、賦形剤及び/又は補助剤と共に、本発明の粒子を混合することを含む組成物の製造工程を提供する。
【0031】
さらに、本発明の粒子又は組成物を被験者、例えばヒトの疾患治療目的とする使用、ここで粒子の疎水性物質は、該粒子より放出可能であり、そして疾患に適切な使用を提供する。疾患としては、例えば、癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患が挙げられる。粒子又は組成物は、例えば、経口、局所、静脈内投与され得る。投与は、単回投与、又は繰り返し投与され得る。投与される粒子の用量は変化し、疾患の種類及びドーパント、ドーパントの効能、及びカプセル化し粒子から放出されるドーパント量と同様に、被験者の疾患、年齢及び体格にも依存するであろう。
【0032】
本発明の第4の特徴は、疎水性物質を送達する方法であり、該方法は本発明の複数の粒子を、粒子の疎水性物質を放出可能な媒体に曝露することを含む方法を提供することであり、該疎水性物質は粒子から放出される。粒子は粒子を含有する組成物の形態であり得る。非経口投与において、その使用目的における好適なサイズの本発明の粒子は、無菌水溶液又は油性溶液又は懸濁液として調製され得る。水溶液又は懸濁液は、さらに1以上の緩衝液及び必要に応じてその使用目的に好適な他の添加剤を含有し得る。使用目的により、組成物の剤形は、質量を基準に0.005%ないし80%又はそれ以上の本発明のセラミック粒子を含有するであろう。通常、本発明の剤形は、質量を基準に0.1%ないし約25%、より典型的には1ないし16%及びさらにより典型的には1%ないし10%の本発明の粒子を含有するであろう。曝露方法は媒体中へ粒子を浸すことを含み得、さらに粒子を含有する媒体を攪拌、振とう、回転、又はその他の攪拌する方法1以上が含まれ得る。あるいは、曝露は媒体を粒子を通して及び/又は粒子の中で行う。媒体は、流体であっ
ても又液体であってもよい。媒体は、血液などの体液であり得る。有機流体であっても、有機溶媒であってもよく、例えば、疎水性溶媒であってもよい。媒体は疎水性物質を溶解又は放出可能なものであり得る。疎水性物質は、例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。媒体は、気体、例えば空気、及び疎水性物質が揮発性(例えば、香気物質)であり得る。曝露は、疎水性物質が媒体へ放出される好適な条件下で行い得る。曝露は、疾患の治療に有効量の疎水性物質が媒体へ放出される好適な条件下で行い得る。その方法は、疎水性物質が媒体中へ放出するのを可能にする工程が含まれ得る。
【0033】
本発明の更なる実施態様は、本発明の粒子又は本発明の組成物をその部位を治療する有効量においてその部位へ適用させることを含むその部位を治療する方法を提供することである。本発明のその他の実施態様は、本発明の粒子又は組成物を、対象物を治療するのに効果的な量において、対象物に投与することを含む対象物の処理方法を提供することである。さらにまた、本発明の実施態様は、本発明の粒子又は組成物を、被験者の治療に有効な量を被験者に投与することを含む被験者を治療する方法を提供することである。
【0034】
明細書及び特許請求の範囲にわたって、疎水性物質、(hydrophobicmaterial、hydrophobe、hydrophobic active及びhydrophobic active material)は、交互に用いられ得る。
【0035】
図面の簡単な説明
図1は、本発明のセラミック粒子の製造方法を示すフローチャートである。
図2は、粒子の合成における本発明の両面乳剤液滴の概略構造を示す図である。
図3は、Span 80濃度が(a)0.26mol/L、(b)0.45mol/L、(c)0.60mol/L、(d)0.75mol/L、及びその他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いて作成された、ろ過前20分間の縮合直後に得られた本発明のシリカ粒子の光学顕微鏡写真を示す。
図4は、種々のSpan 80濃度が(a及びb)0.26mol/L、(c及びd)0.45mol/L、(e及びf)0.60mol/L、(g及びh)0.75mol/Lを用いて作成した、本発明のミクロサイズのシリカ粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。その他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いた。
図5は、(a及びb)二種類の倍率における電子顕微鏡写真、(c及びd)位相差X線ミクロ断層画像、及び(d)X線画像を示す。全ての画像は、実施例における典型的な合成条件を用いて製造されたシリカ粒子の典型的な形態を示す。
図6は、Tween 21(a)1.322mmol、(b)0.665mmol、(c)0.326mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2)
1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2
225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用い
て製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図7は、Tween 20:(a)1.313mmol、(b)0.661mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
図8は、Tween 80:(a)1.317mmol、(b)0.659mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
図9は、水対TMOSモル比が(a)2;(b)3;(c)4;(d)5;(e)6;(f)8;(g)16において、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween−21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) pH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil
2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いた粒子のサイズ及び分布が示された本発明のシリカ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図10は、粒子形成におけるORMOSILの影響を図示した電子顕微鏡写真を示し、(a)100mol% TMOS;(b)75mol% TMOS及び25mol% VTMS;(c)75mol% TMOS及び75mol% PTMS;(d)75mol%
TMOS及び25mol% MTMS;であり、その他の実験条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;Tween 21 0.575mmol;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;全シリコン前駆体 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2
Span 80 30.03mmol、及び(e)においては、Span80を90mmolにした以外は(d)と同様の条件を用いて製造し、及び(f)においては、Span80を90mmolにした以外は(b)と同様の条件を用いて製造した。
図11は、TEOS水溶液とTEOSのモル比が(a)2;(b)4;(c)8;(d)16、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) のpH2 HNO3溶液;TEOS 29.650mmol;エタノール118.6mmol(ゾル−ゲル溶液に添加);Oil2 225mL シクロヘ
キサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒
子のSEM画像を示す。
図12は、疎水性界面活性剤としてSpan 20を用い、Tween 21濃度が(a)0.575mmol;(b)0.968mmol;(c)1.314mmol;(d)1.724mmol;(e)2.107mmol;(f)2.490mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 185mL シクロヘキサン;Surf2 Span 20 59.17mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図13は、Tween 20及びTween 80:(a)Tween 20 0.245mmol;(b)Tween 80 0.229mmolを用い、図11に記載したその他の実験条件は同様にして製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図14は、親水性ドメインにPEG(ポリエチレングリコール)及び種々の親水性界面活性剤と外部油相が混合された疎水性ドメインへHPC(ヒドロキシプロピル セルロース)を添加し、表3に記載した実験条件により製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図15は、表4に示した実験条件によりPEG及びHPCの存在下種々の親水性界面活性により製造された粒子形態を表す電子顕微鏡写真を示す。
図16は、Tween 21量が(a)0.958mmol、(b)2.874mmol、(c)3.831mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのp
H2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 90mmolである条件を用いて、リモネンを内
部油相として種々の親水性界面活性剤の濃度において合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図17は、レチノール量0.210gでの実施例の典型的な合成における、それぞれの成分量を40%としたカプセル化されたレチノールを用いたシリカ粒子のSEM画像を示す。
図18は、(a)Span 80 90mmolのシクロヘキサン150mL;(b)Span 80 45mmolのシクロヘキサン75mLとした以外は典型的な合成条件と同様の実験条件における、2倍及び4倍量の内部含有量を添加することにより製造した粒子のSEM画像を示す。
図19は、本発明のシリカ粒子において、粒子表面へ残留した界面活性剤を評価するた
めのTGA(熱質量分析)及びDTA(示差熱分析)結果を示す。
図20は、1)Tween 21を内部界面活性剤として用いた、本発明(“両面乳剤”)の工程で製造した、及び2)WO1/62232の“工程1”を用い製造した2種の粒子試料の吸収等温線を示す。
図21は、シクロヘキサン及びドデカン中の本発明のシリカミクロ粒子からの、SB−35の放出速度を示す図である。
図22は、本発明のレチノールでドープされたシリカ粒子のTGA及びDTA結果を示す。それぞれの成分の含有量は典型的な合成におけるレチノール0.210gの40%である。
図23は、エタノールに溶解した種々の濃度におけるレチノールのUV/Visスペクトルを示す。
図24は、本発明におけるレチノールでドープされた粒子と対照粒子の拡散反射スペクトルを示す。
図25は、リモネン測定における典型的なHPLCクロマトグラムを示す。
図26は、本発明の典型的な単一シリカミクロスフェアの断面図の概略を表す図である。
図27は、先行する方法による粒子の合成工程のフローチャートである。
図28は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間が(a)7時間、(b)24時間として、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
図29は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を(a)100rpm、(b)250rpm、(c)500rpmとして、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM画像である。
図30は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を250rpmとして、本発明の発明者らが製造したレチノールでドープされたシリカ粒子のTEM画像である。
図31は、図27に記載の先行する方法をもとに、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子の吸収等温線を示す図である。
図32は、図31の試料のDRIFT(拡散反射赤外フーリエ変換)スペクトル(650−4000cm-1)を示す図である。
図33は、(a)図31の試料及び本発明の粒子(“ANSTO粒子”)のDRIFTスペクトル(1300−2000cm-1)を示す図であり、及び(b)図31の試料、HPC及び本発明の粒子のDRIFTスペクトル(2700−3100cm-1)を示す図である。
図34は、図31のシリカ粒子の表面に残留する界面活性剤を評価するTGA及びDTA結果を示す図であり、(a)アセトン洗浄、(b)水洗浄を示す。
図35は、種々のpH;(a)1.640、(b)1.000、(c)0.602、(d)0.301において、その他の実験条件は典型的な合成に記載のものを用いて合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
図36は、各pHにおけるBET表面積の結果を示す図である。
図37は、本発明の粒子の図を表したものである。
図38は、種々の内部界面活性剤:(a)NP−5;(b)NP−6;(c)NP−9;(d)Triton X−100;(e)Triton X−114;(f)Brij
30;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図39は、Tween 61及びTween 81を(a)Tweem 61/0.3g;(b)Tween 61/0.6g;(c)Tween 61/1.2g;(d)Tween 81/0.3g;(e)Tween 81/0.6g;(f)Tween 81/1.2g;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図40は、種々の内部界面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の吸着等温線を示す図である。
図41は、種々の内面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の、DTF(密度関数理論)モデルを用いた細孔径分布を示す図である。
図42は、種々の熟成時間:(a)5分;(b)10分;(c)20分;(d)40分、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図43は、軟質粒子の割れ目を表すSEM顕微鏡写真を示す図である。
図44は、種々メタノール蒸散時間:(a)1.5時間;(b)1時間;(c)0.5時間;(d)蒸散なし、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図45は、メタノール導入:(a)4mL;(b)10mL、で製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
図46は、Span 80(0.2mol/L)及びHPC:(a)4g;(b)8g;(c)16gを用い、HPC添加した粒子のSEM画像を示す図である。
図47は、(a)Span 80;0.4mol/L、EC7:5g;(b)Span
80:0.2mol/L、EC7;2.4g;(c)Span 80:0.3mol/L、EC7:2.4g;(d)Span 80:0.4mol/L、EC7:2.4gを用い、EC7添加した粒子のSEM画像を示す図である。
図48は、種々の洗浄方法(a)3x15mL 1mol/L NaCl及び3x15mL水で洗浄;(b)6x15mL水で洗浄;(c)Tween 20 0.05% 6x15mLで洗浄;(d)Tween 80 0.05% 6x15mLで洗浄のTGA/DTA追跡を表す図である。
図49は、エタノールを放出媒体として用いた放出速度における合成pHの影響を説明する、色素放出の経時変化を示す図である。
図50は、典型的な合成条件下において、Tween 61(a)150mg及び(b)300mgを内部界面活性剤とし用いてpH1において合成した粒子のSEM画像を示す図である。
図51は、Tween 61を内部界面活性剤として種々の量で用い、pH1において合成されたシリカ粒子のソルベントブルー放出曲線を示す図であるが、ここで色素はエタノール中へ放出される。
図52は、種々の量の内部界面活性剤を用い、pH1において合成されたシリカ粒子のDFTモデルによる細孔径分布を示す図である。
図53は、メタノール中のジウロン濃度を2−100μg/mLで用いたジウロン測定のHPLC追跡結果を示す図である。
図54は、カプセル化されたジウロンのシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
図55は、(a)Tween 21:0.3g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.3g、バジル油 0.70mL;(c)Tween 21:0.6g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.6g、バジル油 0.70mLを用いて作成されたカプセル化されたバジル油のシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は多重乳剤、例えば、oil−in−water−in−oil double−emulsion(油中水中油型両面乳剤)(O/W/O)系を介したゾル−ゲル技術を用いたセラミック粒子の製造方法に関する。多重乳剤は乳剤中に乳剤を含有する、即ち、多重乳剤の分散相はそれ自身乳剤である。多重乳剤の分散相は単一乳剤(即ち、連続性であり、分散相はそれ自身乳剤ではない)であり得、又は、多重乳剤であり得る。本発明の多重乳剤は、double emulsion(両面乳剤)、dual emulsion(二重乳剤)、complex emulsion(複合乳剤)であり得る。O/W/O(oil−water−oil)両面乳剤であり得る。O/W/O乳剤中に2つの油相は同じであっても、類似であっても、異なっていても良い。
【0037】
本方法の生成物の分析結果をここへ示す。これ等のミクロン又はサブミクロンサイズの
粒子(一般的には0.1ないし1000μm)は、制御された方法により放出され得る疎
水性物質を含有する。粒子はC.J.Barbe、J.R.Bartlettらによる「
セラミック粒子の制御放出、その組成物、合成工程及び方法」、WO01/62232(
2001)に記載の“工程1”及び両面乳剤(O/W/O)を組み合わせて用いることにより合成し得る。疎水性物質はいかなる有機分子又は疎水性化合物、例えば色素又は薬剤で、固体(例えばレチノール、ジウロン)又は液体(例えば、リモネン、バジル油)のどちらの形態も可能である。疎水性物質は、固体又は液体、又は固体と液体の混合物であり得る。溶液中に存在し得る。粒子サイズ、粒子の形態及び疎水性物質の放出速度はゾル−ゲル工程の条件及び/又は両面乳剤の特性により制御され得る。
【0038】
本発明によれば、疎水性物質をその中へ含有する粒子を製造する方法が提供される。本工程は、疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤、例えば両面乳剤を提供することを含む。第一乳剤は、親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで、疎水性相は、疎水性物質、及び非流動的マトリックスを形成するよう反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する。前駆体はその後多重乳剤中で反応し、疎水性物質をその中に含有する粒子の形態でマトリックスを形成する。反応は、重合化、縮合、凝固、架橋又はその他の反応、又はこれらのいくつかの組み合わせであり得る。前駆体物質が反応し粒子形成する際、前駆体物質中の疎水性物質が粒子中へ少なくとも部分的にカプセル化されるようになり、このように前駆体物質の反応は疎水性物質をそれへ含有した粒子を形成する。粒子中の疎水性物質は、粒子より放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質はある期間の間、又は期間中制御された速度で粒子から放出し得る。
【0039】
このようにして、疎水性物質は少なくとも部分的に、空洞、セル、中空又は分室の内部にカプセル化される。粒子からの疎水性物質の放出は、これ等空洞、セル、中空又は分室を取り巻くマトリックスの細孔径により制御されると思われる。粒子製造工程においてpHを制御することによりマトリックスの細孔径分布を好きなように調整することが可能である。このようにしてゾル−ゲル化学は、マトリックスの細孔径を制御する。内部界面活性剤は細孔構造に影響し得る。マトリックスの多孔性は細孔が約100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm以下であり得、又は
約10、5又は2nm下であり得、又は約1ないし約20nm、又は約1ないし10、1ないし5、1ないし2、5ないし20、10ないし20、または2ないし10nm及び細孔が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12,13、14、15、16、17、18、19又は20nmを含み得る。これらの細孔(ミクロ細孔、メソ細孔又はマクロ細孔)は疎水性物質の放出速度を制御し得る。マトリックスの多孔性は窒素吸収により検出され、小胞はSEMにより観測される。これらは、それぞれミクロ−(<2nm)、メソ多孔性(2nm<p<50nm)及びマクロ多孔性(>50nm)である。粒子合成中のpHを低下させることにより細孔容積及び表面積は減少する。これは細孔径又はマトリックスの多孔性を減少させ得る。これは疎水性物質の放出速度の低下であり得る。疎水性物質は少なくともマトリックスの細孔の一部に局在し得る。
【0040】
先行するアプローチと比較して、図1に示した本願発明の工程の例においては、予め加水分解した前駆体が親水性界面活性剤の存在下に内部油相と混合される。この内部に分布した油状液滴を含む親水性相(予め加水分解した前駆体及び水)を外部油相及び疎水性界面活性剤の混合物へ注ぎ入れる。この工程は
WO01/62232の“工程−1”と類似であるが、主要な相違点は、本発明の工程では、ゾル−ゲル溶液は、内部油状液滴に均一に分布することを含むことである。内部Oil1/‘W’相及び外部Oil2相を混合した後、親水性液滴が形成される。この工程の間、加水分解された前駆体は縮合し球状粒子を形成し、内部の内部油相へ封入される。この動態プロセスは、従来のアルコキシド反応に必要とされる数時間(又は数日間さえの)であるよりもむしろ、数分から数十分の間で起こり得る。
【0041】
したがって、本発明は、例えばセラミック粒子のような疎水性物質をその中へ有する粒子の製造方法を提供する。本発明の方法はまず、親水性相中に分散された疎水性相を含有する第一乳剤を提供することにあり、ここで疎水性相は、疎水性物質及びマトリックスを生成する反応可能な親水性相を含有する。第一乳剤はそれが疎水性媒体に分散され多重乳剤を形成し、そして前駆体は反応しマトリックスを生成し、それにより疎水性物質をその中へ有する粒子を形成し、該粒子は疎水性媒体中へ分散される。粒子中の疎水性物質は粒子から放出され得る。粒子中の疎水性物質は、ある期間にわたり制御された速度で粒子より放出され得る。
【0042】
固体粒子の生成及び両面乳剤の形成は同時に起こり得る、即ち、第一乳剤が疎水性媒体中に分散されているので、前駆体は、反応を開始しマトリックスを生成し得る。このようにマトリックスの生成は、第一乳剤が疎水性媒体と混合される(即ち、この中へ分散される)時、開始し得る(厳密に言えば、マトリックスの生成は水がアルコキシドに添加されると速やかに起こる。したがって第一乳剤が外部油上物質及び第二界面活性剤(即ち、疎水性媒体)と混合されると、急速なゲル化を引き起こす縮合過程の加速が起こる)。マトリックスを生成する前駆体の反応は、数分から数十分又はそれ以上の時間をかけて両面乳剤中に起こり得る。粒子が疎水性媒体中に残留する時間が長くなれば成るほど、疎水性物質は疎水性媒体へと粒子から拡散することとなる。それゆえ、いったん粒子が生成すると、それらは疎水性媒体から、例えばフィルターろ過によって分離し得、それにより粒子からの疎水性媒体の減少が防止できる。前駆体のさらなる反応は該分離の後に継続し得る。更なる反応は、温度、試薬等によって、約2、4、6、12、24、36及び48時間以上継続しえる。
【0043】
本発明の代表される方法において、アルコキシシランへの水の添加は、加水分解及び縮合による重合化工程を起こす。予め加水分解したアルコキシシラン溶液(第二混合物)の第一混合物(疎水性物質及び水を含有する)への添加は、水の量が増加するに従い、加水分解及び縮合の速度を加速する。多重乳剤中の第一乳剤(第一及び第二混合物の混合により得られる)の区分化はさらに前駆体のゲル化、即ち粒子の生成を加速する。ゲル化速度は、“容器”の容積(即ち多重乳剤中の第一乳剤の液滴サイズ)に依存するが、この理由はゲル化速度は、“容器”の容積を横羅するシロキサンクラスターの生成により定義されるからである。換言すれば、“容器”が小さくなれば、ゲル化時間が短くなる(同一の化学反応のために)。このように、油/水乳剤が加水分解されたアルコキシシランへ添加され、そして疎水性媒体へ添加された場合、本発明の工程は急速に促進され得る。第一乳剤が多重乳剤への導入に先行してゲル化した場合は、粒子は生成し得ない。第一乳剤が速やかにゲル化しなければ、外部の疎水性媒体と接触している内部油状液滴の確率が上昇するため、カプセル化効率は低下し得る。このように、疎水性媒体中における第一乳剤の分散の直後に、第一乳剤の液滴は不完全に反応し得、軟質であり得る。適切な期間、一般的に約10ないし20分(化学反応及び条件に依存し異なり得るが)の反応はマトリックスの生成を促進し得る。
【0044】
疎水性相は疎水性物質を含有し、又はこれから成り得る。疎水性物質及び疎水性希釈物(例えば疎水性溶媒)を含有する溶液又は混合物を含有し得、又はこれらから成り得る。疎水性物質は、例えば、蛍光色素、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。前駆体が反応してマトリックスを生成する条件下で前駆体との反応が出来ないかも知れない。疎水性溶媒及びその中へ溶解した疎水性物質を含有し得る。疎水性物質は揮発性又は不揮発性であり得る。疎水性希釈剤は、存在する場合は、疎水性物質の溶媒であり得る。疎水性液体であり得、例えば液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(
例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(たとえば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。疎水性相中の疎水性物質の割合は、質量又は容量を基準に約0.1ないし100%、及び約1ないし100、10ないし100、50ないし100、80ないし100、90ないし100、0.1ないし50、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし1、1ないし50、1ないし10、10ないし50、又は10ないし20であり得、及び約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99又は100%であり得る。疎水性相は、純粋か又は希釈され得、たとえば希釈剤で希釈され得る。
【0045】
親水性相は、水溶性相であり得る。架橋性種を水とともに混合し得、こうして前駆体を調製し得る。架橋性種としては加水分解性シランがあり得る。加水分解性シランは、1分子中に2、3又は4つの加水分解性基を有し得る。架橋性シランはシランの混合物であり得、一分子中の加水分解性基の平均数は2ないし4(または約2ないし約3、約3ないし約4、約2.5ないし約3.5、又は約2.5ないし約4、及び約2.2.5、3、3.5又は4)であり得る。シランの混合物は、1分子中に1、2、3及び4つの加水分解性基を有する個別のシランを含み得るが、混合物中の少なくとも1つのシランは1分子中少なくとも3つの加水分解性基を持ち得る。加水分解性基はアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ)又はアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、又はオキシモ基(例えば、2−ブタノンオキシモ)、エノールオキシ基(例えば、プロペニルオキシ)又はその他の加水分解性基であり得る。例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)又は官能トリメトキシ、トリエトキシ又はトリプロポキシシラン、例えば、アミノプロピルシラン、アミノエチルアミノプロピルシラン又はその他の官能性シラン、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシランであり得る。特別の実施態様ではアルコキシドの混合物(例えば、シラン及びアルコキシド基)およびORMOSIL、例えば、官能性のトリアルコキシシランが用いられる。あるいは、架橋性種は、加水分解性チタン酸塩、又は加水分解性ジルコン酸塩又は加水分解性アルミン酸塩であり得、1分子中に2以上の加水分解性基を有し得る(例えば、ジルコニウム テトラアルコキシド又はチタニウム テトラアルコキシド又はアルミニウム トリアルコキシド)又はその他の架橋性種、又はこれらの2以上の混合物であってもよい。架橋性種は前駆体であり得、又は架橋性種は水の存在下で反応し前駆体を生成し得る。例えば、架橋性種は、少なくとも部分的に加水分解し得、及びまた部分的に架橋し得、前駆体を生成し得る。このようにして、前駆体は、部分的な加水分解物、完全加水分解物又は架橋性種の部分縮合物(例えば、二量体、三量体、四量体等)を含有し得、又はこれらの混合物を含有し得る。親水性相の生成に用いられる第二混合物中の水と架橋性種の比は、約1:1ないし約5:1であり得、又は約1:1ないし4:1、1:1ないし3:1、2:1ないし5:1、2:1ないし4:1、3:1ないし5:1、又は1.5:1ないし2.5:1、及び約1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1であり得、又はその他の比率であり得る。第一混合物(第一界面活性剤、疎水性相及び水を含有する)は、第一乳剤の製造において、第二混合物とともにその比が、質量又は容量を基準に約1:1ないし約1:5であり得(又は約1:2ないし1:5、1:3ないし1:5、1:1ないし1:3、1:1ないし1:4、又は1:2ないし1:4であり得、及び約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、又はその他の比率であり得る)、第一乳剤の製造における水と加水分解性種との比は、質量又は容量を基準に約2:1ないし10:1であり得(又は約2:1ないし5:1、2:1ないし4:1、3:1
ないし10:1、3:1ないし6:1、3:1ないし5:1、5:1ないし10:1、2:1ないし5:1、又は約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1又はその他の比率であり得る)。触媒、例えばH+は前駆体の形成を
触媒することが求められ得る。これは、硫酸、硝酸又は塩酸等の使用が容易な酸が提供され得る。前駆体の生成に必要とされるpHは、約1ないし5、又は約1ないし4、1ないし3、2ないし5、2ないし4又は3ないし5であり得、及び約1、2、3、4又は5であり得る。強酸さえも用い得、例えば、酸が約0.01ないし2M、又は約0.01ないし1、0.01ないし0.5、0.01ないし0.1、0.1ないし2、0.5ないし2、1ないし2であり得、又は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5又は2M又は約2Mより高濃度であり得る。
【0046】
前駆体の生成に必要な時間は、約1分ないし約48時間、又は約5分ないし24時間、5分ないし12時間、5分ないし6時間、5分ないし1時間、5分ないし30分、5分ないし15分、1ないし48時間、12ないし48時間、24ないし48時間、36ないし48時間、1ないし36時間、6ないし30時間、12ないし30時間、18ないし30時間、20ないし28時間、22ないし26時間、1ないし12時間、1ないし6時間、30分ないし1時間、30分ないし5時間、1ないし5時間、2ないし5時間、3ないし5時間、1ないし4時間、1ないし3時間、1ないし2時間又は30分ないし2時間であり得、及び約5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50分、又は約1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、21、24、30、35、42又は48時間であり得、及び約10、20、30、40又は50分、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5時間、又は5時間より長時間であり得る。該生成温
度は、約0ないし約80℃、又は約0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし80、40ないし80、60ないし80、70ないし80、10ないし50、10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし50、30ないし50、又は20ないし40℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80℃、又は80℃より高温であり得る。例えば、pH3において、必要な時間は約24時間であり得る。
【0047】
第一乳剤中の、疎水性相と親水性相の比は、質量又は容量を基準に約1:1ないし約1:100であり得、又は約1:1ないし1:50、1:1ないし1:10、1:1ないし1:5、1:1ないし1:3、1:10ないし1:100、1:50ないし1:100、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50又は1:10ないし1:20であり得、及び約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又は1:100、又はその他の比率であり得る。
【0048】
第一乳剤を生成する工程は、疎水性相を水および第一界面活性剤と混合し第一混合物を生成することを含み得る。この第一混合物は、次いで、前駆体及び水を含有する第二混合物と混合する。第一及び第二の混合物はここで攪拌し、第一乳剤を生成する。攪拌は、高速せん断を含み得、高速せん断攪拌、超音波処理、又はその他の好適な方法によって行い得る。本発明において、種々の攪拌工程があり又は用い得る。これらの工程に採用しうる方法は、重要ではないが、回転翼、パドル式攪拌機、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等のいかなる汎用の攪拌装置も好適である。高度せん断攪拌には、超音波もまた用い得る。
【0049】
攪拌は、約1分ないし1時間、又は約1ないし30分、1ないし20分、1ないし10
分、5分ないし1時間、10分ないし1時間、30分ないし1時間、10ないし30分又は5ないし20分であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、910、15、20、25、30、40及び50分、又は1時間以上であり得る。第一混合物は乳剤であり得、ミクロ乳剤であり得る。第一乳剤に無関係に、平均液滴直径は、約10nmないし約50ミクロン、又は約10nmないし10ミクロン、10ないし50ミクロン、1ないし50ミクロン、20ないし50ミクロン、10ないし20ミクロン、10nmないし1ミクロン、又は約10ないし500、10ないし200、10ないし100、10ないし50ミクロン、又は約50nmないし10ミクロン、100nmないし10ミクロン、500nmないし10ミクロン、1ないし10ミクロン、1ないし5ミクロン、5ないし10ミクロン、50nmないし5ミクロン又は100nmないし1ミクロンであり得、及び、平均液滴直径は約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800又は900nmであり得、又は平均液滴直径は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50ミクロンであり得、又は平均液滴直径が約50ミクロン以上であり得る。第一混合物及び第一乳剤の液滴直径は同じでも異なっていても良い。第一混合物中の疎水性物質と水の比は、質量又は容量を基準にして約1:1ないし1:50であり得、又は約1:1ないし1:20、1:1ないし1:10,1:1ないし1:5、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50、1:20ないし1:50、1:5ないし1:20又は1:10ないし1:20、であり得、質量又は容量を基準にして約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40又は1:50、又はその他の比率であり得る。疎水性相と第一界面活性剤の比率は、質量又は容量を基準にして約100:1ないし約1:100、又は約100:1ないし1:1、50:1ないし1:1、20:1ないし1:1、10:1ないし1:1、5:1ないし1:1、2:1ないし1:1、50:1ないし1:50、20:1ないし1:20、10:1ないし1:10、5:1ないし1:5、2:1ないし1:2、1:2ないし100:1、1:10ないし1:100、1:50ないし1:100、1:2ないし1:50、1:2ないし1:10、1:2ないし1:5、1:5ないし1:50、1:10ないし1:50、1:20ないし1:50又は1:5ないし1:20であり得、及び質量又は容量を基準に約100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又は1:100であり得、又はその他の比率であり得る。第一界面活性剤は水中油型(O/W)乳剤を生成する好適な界面活性剤であり得る。高HLB(親水性/脂溶性バランス)界面活性剤、即ち、親水性界面活性剤であり得る。第一界面活性剤のHLBは約8ないし20、又は約15ないし20、10ないし15,13ないし17又は15ないし18であり得、及び約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20、又は20より大であり得る。ポリソルベート界面活性剤であり得、例えばTween(ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体)Tween 20、Tween 21,Tween 61、Tween 80,Tween 81であり得、又はPEO/PPO共重合体、例えばPluronic P123であり得る。その他の使用し得る界面活性剤にはBrij(ポリオキシエチレン脂肪酸)、例えばBrij30、NP(ノニルフェノキシポリエトキシエタノール)、例えばNP−4、NP−5、NP−6、NP−9、Triton(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)例えばTriton X−100、Triton X−114、Myrj、例えばMyrj45が挙げられる。イオン性界面活性剤、例えばAerosol OT(ドキュセートナトリウム塩:ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩)であり得る。第一界面活性剤は、異なる界面活性剤の混合物を含有し得、また、共界面活性剤を含有し得る。
【0050】
第一乳剤は、架橋性種の、又は前駆体の加水分解及び/又は縮合のための触媒を有し得る。触媒は、酸又はその他の触媒であり得る。これは、第一混合物又は第二混合物又はその両方へ触媒を取り込むことにより達成される。第一混合物、又は第二混合物、又は第一乳剤の親水性相のpHは、それぞれ独立に約1ないし10、又は約2ないし8、2ないし7、2ないし6、2ないし4、5ないし10、7ないし10、8ないし10、3ないし7、3ないし6、3ないし5又は7ないし9であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、又は約1から10の範囲外であり得る。強酸さえも用い得、例えば、酸が約0.01ないし2M、又は約0.01ないし1、0.01ないし0.5、0.01ないし0.1、0.1ないし2、0.5ないし2、1ないし2であり得、又は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5又は2M又は約2Mより高濃度であり得る。あるいは、pHは約7.5ないし約13.5であり得る。pHは、約7.5ないし12、7.5ないし9、8ないし13.5、10ないし13.5、8ないし13、8ないし12、8ないし10又は10ないし12であり得、及び約7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13又は13.5であり得る。pHは、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸、又はその他の酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニアのような塩基を用い所望の値に調整し得る。あるいは、pHは例えば燐酸緩衝液のような緩衝液を用いて調製し得る。
【0051】
多重乳剤は疎水性媒体中に第一乳剤を分散することにより形成される。分散物は、低速せん断攪拌であり得、たとえば,低速せん断攪拌機を用い行い得る。分散は、第一乳剤が破壊されないに十分に低速せん断で行い得、即ち残余の疎水性相は第一乳剤の親水性相の間に分散されたまま残る。疎水性媒体は、その中に溶解した、懸濁した又は分散された状態で第二界面活性剤を有し得る。多重乳剤中の第一乳剤の割合は、質量又は容量を基準に約1ないし約30%、又は約1ないし15、1ないし10、1ないし5、10ないし30、15ないし30、20ないし30、25ないし30、5ないし15、10ないし15、2ないし5、5ないし10及び7ないし10%であり得、質量又は容量を基準に約1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25又は30%であり得る。疎水性媒体中の第二界面活性剤の比率は、質量又は容量を基準にして約1ないし約40%であり得、及び約1ないし30、1ないし20、1ないし10、1ないし8、1ないし6、1ないし4、3ないし10、5ないし10、8ないし10、2ないし8又は4ないし6%であり得、及び質量又は容量を基準に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35又は40%であり得る。第二界面活性剤は低HLB界面活性剤であり得、即ち疎水性界面活性剤であり得る。第二界面活性剤のHLBは約1ないし10、又は約1ないし8、1ないし5、2ないし5又は3ないし7であり得、及び約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。第二界面活性剤はソルビタンエステルであり得、例えばspan80(ソルビタン モノオレエート、HLB 4.3)、グリセロール モノオレエート(HLB 2.8−3.0)、グリセロールモノステアレート(HLB 3.2)、PEO/PPO共重合体、ソルビタン トリオレエート(Span 85,HLB 1.8)、ソルビタン トリステアレート(Span 65、HLB 2.1)又はソルビタン セスキオレエート(HLB
4)、又はソルビタン モノラウレート(Span 20、HLB 8.6)、又はソルビタン モノパルミテート(Span 40、HLB 6.7)、又はソルビタン モノステアレート(Span 60、HLB 4.7)であり得る。第二界面活性剤は、界面活性剤の混合物を含有し得、共界面活性剤を含有し得る。中性ポリマーはまた、疎水性媒体の粘度を増加するために用いられ得る。疎水性媒体はいかなる好適な疎水性溶剤であり得る。疎水性希釈剤と同じでも異なっていてもよい。例えば、液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(例えば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。多重乳剤中の第一液滴は平均直径が約0.1ないし1000ミクロン、又は約0.1ないし0.5、0.1ないし10、0.1ないし100、0.1ないし500、0.1ないし800、500ないし1000、500ないし800、1ないし1000、10ないし1000、100ないし1000、10ないし800、100ないし800、0.5ないし100、0.5ないし50、0.5ないし10、0.5ないし5、1ないし250、10ないし250、100ないし250、10ないし100、10ないし50、250ないし500、100ないし500又は50ないし500ミクロンであり得、及び平均直径が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、01、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000ミクロンであり得、又は1000ミクロンより大であり得る。
【0052】
本発明の方法は分散及び/又は攪拌を含有する数工程を含み得る。該工程のそれぞれは独立に、緩やかな又は急速な攪拌を含み得る。それらは、それぞれ独立に、攪拌、旋回、振とう、音波分解、超音波処理、又は他の方法による攪拌、又はこれらを組み合わせて行い得る。前述のように、多重乳剤の生成は、第一乳剤が分解しないように十分な低速せん断で行い得る。
【0053】
多重乳剤の形成に続いて、前駆体は、疎水性物質をその中に含有し、該粒子は疎水性媒体中に分散された粒子を形成するように反応させられる。反応工程は多重乳剤の熟成を含み得る。熟成は、粒子を形成する十分な時間行い得、例えば約1分ないし50時間である。約5ないし10分、10分ないし5時間、10分ないし1時間、10ないし50分、10ないし40分、10ないし30分、10ないし20分、15ないし30分、30分ないし10時間、1ないし10時間、5ないし10時間、30分ないし5時間又は30分ないし1時間であり得、及び約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は55分、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、12、15、18、24、27、30、33、36、42、48又は50時間であり得、又は50時間より長期であり得る。十分な時間は、第一乳剤のpHに依存し得る。例えば、約1時間の熟成は、pH2では十分であり得る一方、24時間の熟成がpH3では必要とされ得る。前記のように、マトリックスを生成する前駆体の反応は、疎水性相から粒子が分離された後も継続し得る。十分な時間は熟成温度、触媒の種類と量、及び前駆体の種類に依存し得る。熟成は、十分な時間の間疎水性物質が安定であるいかなる適当な温度で行い得、約10ないし60℃であり得る。約10ないし50、10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし60、40ないし60、10ないし30又は15ないし30℃であり得、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60℃又はその他の温度であり得る。該熟成の間、多重乳剤は攪拌してもしなくてもよい。粒子中の疎水性物質は粒子から放出可能であり得る。
【0054】
前駆体の反応工程は前駆体の種類に依存し得る。前記のように、加水分解/縮合機構(例えば、シラン誘導体の前駆体)により凝固する前駆体においては、熟成及び必要に応じて加熱を含み得る。しかしながら、他の前駆体においては、前駆体を凝固させる工程は、前駆体の凝固剤を得、多重乳剤を放射線に曝露させ(即ち、UV照射、ガンマ線照射)、又はその他の前駆体を反応させマトリックスを生成する工程を含み得る。
【0055】
工程は、必要に応じて、部分的に疎水性媒体から粒子を分離する、粒子を熟成させる、粒子を洗浄する、及び粒子を乾燥させる、少なくとも1以上の工程を含み得る。粒子の生
成後、これらは固化される。これは、疎水性媒体から粒子を分離する前又は後に行い得る。約1ないし約10時間、又は1ないし5、1ないし2、2ないし5、2ないし10、1ないし3、1.5ないし2.5又は5ないし10時間要し得、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10時間又は10時間より長時間要し得る。あるいは、1時間以下であり得、条件と化学反応に依存する。例えば、約10分ないし約1時間、又は10ないし50分、又は約10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし50、20ないし30又は15ないし25分要し得、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50及び55分要し得る。粒子を固化するのに十分な温度において粒子を維持することを含み得る。温度は、疎水性物質の分解、蒸散又は劣化が起こらない適当な低さであり得る。温度は約1ないし約100℃、又は約0ないし80、0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし100、40ないし100、60ないし100、80ないし100、20ないし80、40ないし80又は40ないし60℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100℃であり得る。温度及び時間は、粒子の洗浄及び乾燥中に粒子が粉砕、破裂、分解、圧壊しない好適なものであり得る。分離工程は、沈降、デカンテーション、フィルターろ過、遠心分離、蒸留、又はその他の方法が用いられる。少なくとも部分的に分離の工程の後、粒子はさらに熟成し得る。これは、前駆体の更なる反応のために好適な期間であり得る。例えば、約1時間ないし約24時間又はそれ以上、又は約1ないし12、1ないし6、6ないし24、12ないし24、18ないし24時間であり得る。さらに熟成する場合の温度は約0ないし約100℃であり得、又は約0ないし80、0ないし60、0ないし40、0ないし20、0ないし10、20ないし100、40ないし100、60ないし100、80ないし100、20ないし80、40ないし80、又は40ないし60℃であり得、及び約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100℃であり得る。温度は、疎水性物質の分解、蒸散、劣化のおきないような十分低い温度であり得る。洗浄工程は溶媒を用い得る。溶媒は親水性又は疎水性であり得る。例えば、水、水溶性溶液(例えば、塩化ナトリウム溶液のような塩溶液)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサン、クロロホルム、シクロヘキサンがあり得、及び疎水性媒体として用いられる前記のいずれの溶媒もあり得、又はこれらの溶媒の2以上の混合物であり得る。研究者は粒子から疎水性種が浸出し、そしてカプセル化効率を低下させる溶媒を用いないように注意しなければならない。特に、溶媒は、粒子から疎水性活性種が浸出しないか実質的に浸出しないものとする。“粒子から疎水性活性種が実質的に浸出しない”の表現は、は30wt%、25wt%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt%、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%、0.5wt%、0.25wt%又は0.1wt%以下の疎水性活性種が粒子から浸出する(wt%は粒子中の疎水性活性種の全質量の質量パーセントである)ことを含む。“粒子から疎水性活性種が実質的に浸出しない”の表現は、30wt%ないし0.001wt%、25wt%ないし0.01wt%、20wt%ないし0.01wt%、15wt%ないし0.01wt%、10wt%ないし0.01wt%、5wt%ないし0.01wt%、4wt%ないし0.01wt%、3wt%ないし0.01wt%、2wt%ないし0.01wt%、1wt%ないし0.01wt%、0.5wt%ないし0.01wt%、0.25wt%ないし0.01wt%又は0.1wt%ないし0.01wt%の疎水性活性種が粒子から浸出する(wt%は粒子中の疎水性活性種の全質量の質量パーセントである)ことを含む。洗浄工程は、粒子を溶媒と混合する工程を含み得、必要に応じ粒子及び溶媒を攪拌し、そして溶媒を除去する工程を含み得る。洗浄工程は、粒子へ溶媒を通過させることを含み得る。通過させることは、重力下又は減圧下で行い得る。例えば、ブフナー漏斗又は焼結ガラスろ過漏斗を用いて行い得る。洗浄工程は適切であれば溶媒から粒子を分離する工程を含み得る。これは上記のように疎水性媒体から粒子を分離するために行い得る。洗浄工程は約1ないし10回繰り返し得、各洗浄工程は同じ溶媒で用いても良
いし、異なる溶媒をその他の洗浄工程を行うために用いても良い。
【0056】
乾燥工程は、粒子を加熱する工程を含み得る。加熱は疎水性物質が分解、劣化又は実質的に揮発する温度以下の温度で行い得(疎水性物質が揮発性の場合問題となり得る)、例えば、約30ないし80℃、又は約30ないし60、30ないし40、40ないし80、60ないし80、又は40ないし60℃であり得、及び約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80℃であり得る。あるいは、又は必要に応じて乾燥工程はWO01/62332(Barbe及びBartlettによる「セラミック粒
子の制御放出、その組成物、合成工程及び使用の方法」)に記載の凍結乾燥を含み得る。乾燥工程は、あるいは、又は粒子上及び/又は粒子を通じて気体の流れを通させることを含み得る。気体は粒子及び疎水性物質に不活性であり得、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素又はこれらの混合物であり得、乾燥されているものがよい。乾燥工程は、追加的に又は択一的に、粒子を部分的に減圧下で作用させることを含み得る。部分的減圧は、絶対圧力で例えば約0.01ないし0.5気圧、又は約0.01ないし0.1、0.01ないし0.05、0.1ないし0.5、0.25ないし0.5、0.05ないし0.1又は0.1ないし0.25気圧であり得、及び絶対圧力が約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4又は0.5気圧であり得る。乾燥は減圧乾燥又は凍結乾燥を含み得る。減圧乾燥は疎水性物質を実質的に除去しない好適な減圧下で行い得る。例えば、約0.01ないし0.5気圧(絶対圧力)、又は約0.01ないし0.1、0.01ないし0.05、0.1ないし0.5又は0.1ないし0.3気圧であり得、及び約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4又は0.5気圧であり得る。
【0057】
工程のカプセル化効率(即ち、粒子中へ取り込まれる工程に用いられる疎水性物質の比率)は、工程で用いられる条件及び効率を測定する方法に依存し得る。カプセル化効率は直接法、即ち疎水性物質を抽出し、例えばHPLC又はUVスペクトル法で定量する方法で測定し得、又は取り込まれなかった疎水性物質の量を測定し(例えばUVスペクトル法により)、取り込まれなかった量及び工程に用いられた量からカプセル化効率を測定する間接法により測定し得る。本工程ではカプセル化効率は、約5ないし75%、又は約5ないし50、5ないし25、5ないし10、10ないし75、25ないし75、50ないし75、10ないし50、30ないし50又は20ないし40%を得、及びカプセル化効率は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70又は75%で得られ得る。カプセル化効率は、疎水性物質の種類、例えば疎水性物質の分子サイズ及び疎水性物質の疎水性に依存し得る。例えば、同一の条件下において、リモネン(分子量136)はソルベントブルー−35色素(SB−35:分子量350)よりも低いカプセル化効率で取り込まれた。また、前駆体又は混合する前駆体の種類に依存し得る。触媒の種類及び合成条件等に依存し得る。
【0058】
本発明の工程に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、実施可能ないずれの工程ステップを組み合わせて提供し得る。
【0059】
本発明の粒子は、その中へ固定化された疎水性物質を有する。粒子中の疎水性物質は粒子から放出可能であり得る。粒子中の疎水性物質は、制御された速度で一定期間粒子から放出可能であり得る。先行するO/W/O両面乳剤を用いることによりセラミック粒子を製造する方法は、両面乳剤が安定であることが必要であった。この方法は、疎水性物質をその中に有する両面乳剤を生じた。分離工程において、加水分解性シランを両面乳剤へ添加した。シランは、水溶性乳剤液滴へ浸透し、そこで加水分解しセラミック物質を形成することができると考えられた。両面乳剤は製造が困難であり、多くの場合安定性に限界があると考えられている。シランのような種の添加は、いくつかの場合乳剤の不安定性を引き起こし得る。不安定性と戦う為に、先行する研究者らは、両面乳剤中へ増粘剤を取り込ませた。これは粒子の製造製造を複雑化し、及び/又は粒子中に増粘剤が取り込まれる可
能性を持つ。もしそれが取り込まれたら、増粘剤が後日に放出し得、特に患者へ疎水性物質を送達するために用いられる粒子の適用においては、望ましくないかも知れない。本発明の工程は、両面乳剤の短期安定性のみ必要とする工程を採用することによって、増粘剤の使用を回避する。それ故、本発明の粒子は、増粘剤の使用を包含しない工程により製造し得る。粒子はそれ故その中に又はその上に増粘剤を有し得ない。これによれば、いったん生成された場合、本発明の両面乳剤は安定、準安定、不安定又は部分的に安定であり得る。それは十分に安定なので両面乳剤が安定な期間中に前駆体が非流動的マトリックスを形成するように反応する時間があり得る。このように両面乳剤が安定な期間は、前駆体が非流動性マトリックスを形成する反応時間よりも長くてもよい。両面乳剤の安定性は攪拌により強化され得る。攪拌は、攪拌、振とう、又はその他の攪拌方法を含み得る。緩やかな攪拌であり得る。両面乳剤は、前駆体が疎水性物質をその中へ含有する粒子を形成するように反応するに十分な時間安定である、十分に緩やかな攪拌であり得る。
【0060】
疎水性物質は、複数の個別の分室中の粒子の中に固定され得る。粒子中の疎水性物質は、粒子より放出し得る。粒子は約10ないし約1010の個別の分室、又は約106ないし
1010の個別の分室を持ち得、又は1010以上の個別の分室を持ち得る。粒子は約100ないし1010、104ないし1010、106ないし1010、108ないし1010、100な
いし109、100ないし108、100ないし107、104ないし109、106ないし109、104ないし108、106ないし108、106ないし108又は107ないし109、
及び約100、1000、104、5*104、105、5*105、106、5*106、107、5*107、108、5*108、109、5*109又は1010個の個別の分室を持ち得る。分室は、球状であり得、又は円筒状、斜方晶形、多面体(4ないし20の面)、楕円状、卵型、弾丸型又はその他の形状であり得る。形状は、規則的であっても不規則であってもよい。個別の分室は平均直径が、約10nmないし約50ミクロン、又は約10nmないし10ミクロン、10ないし50ミクロン、1ないし50ミクロン、20ないし50ミクロン、10ないし20ミクロン、10nmないし1ミクロン、又は約10ないし500nm、10ないし200、10ないし100又は10ないし50nm、又は約50nmないし10ミクロン、100nmないし10ミクロン、500nmないし10ミクロン、1ないし10ミクロン、1ないし5ミクロン、5ないし10ミクロン、50nmないし5ミクロン又は100nmないし1ミクロンであり得、及び平均直径が約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800又は900nmであり得、又は平均直径が約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50ミクロンであり得、又は平均直径が50nmより大であり得る。個別の分室は、単分散された直径又は多分散された直径を有し得、狭い又は広いサイズ分布を有し得る。粒子の平均粒径は、約0.1ないし1000ミクロン、又は約0.1ないし0.5、0.1ないし10、0.1ないし100、0.1ないし500、0.1ないし800、0.5ないし100、0.5ないし50、0.5ないし10、0.5ないし5、1ないし250、10ないし250、100ないし250、10ないし100、10ないし50、250ないし500、100ないし500、100ないし800、100ないし1000、500ないし1000、500ないし800又は50ないし500ミクロンであり得、及び平均粒径は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、01、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900又は1000ミクロンであり得、又は約1000ミクロンより大であり得る。粒子サイズ分布は単分散直径又は多分散のものであり得、狭い又は広い分布を有し得る。
【0061】
粒子は、架橋性シラン、シリカ、架橋性ジルコニウム種、ジルコニア、架橋性チタニウ
ム種、チタニア、架橋性アルミニウム種、アルミナ、又は、架橋性シラン、架橋性チタニウム種、架橋性ジルコニウム種、及び架橋性アルミニウム種から選択された少なくとも2種以上の共架橋性種から生成される混成物を含有し得る。混成セラミックは少なくともケイ素、ジルコニウム、チタン、及びアルミニウムからの少なくとも2種、例えばアルミノ珪酸塩、ジルコイオ珪酸塩、又はチタノ珪酸塩などを含有し得る。粒子は球状であり得、又は、又は円筒状、斜方晶形、多面体(4ないし20の面)、楕円状、卵型、弾丸型又はその他の形状であり得る。形状は、規則的であっても不規則であってもよい。粒子中の疎水性物質は粒子中へ放出され得る。
【0062】
粒子中の疎水性物質の負荷量は、質量又は容量を基準に約0.1ないし約50%、又は約0.1ないし30、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし1、0.1ないし0.5、1ないし50、5ないし50、10ないし50、20ないし50、0.5ないし20、0.5ないし5、0.5ないし1、1ないし10、又は1ないし5、及び質量又は容量を基準に約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45又は50%であり得る。粒子は疎水性物質を放出可能であり得、及び一定期間疎水性物質の放出可能であり得る。疎水性物質を放出可能な半放出時間は、約10分ないし約12ヶ月、又は約10分ないし6ヶ月、10分ないし3ヶ月、10分ないし1ヶ月、10分ないし20日、10分ないし10日、10分ないし1日、10分ないし12時間、10分ないし6時間、10分ないし1時間、10ないし30分、1時間ないし20日、12時間ないし20日、1ないし20日、5ないし20日、10ないし20日、1時間ないし2日、1時間ないし1日、1ないし12時間、1ないし6時間、6時間ないし1日、12時間ないし1日、30分ないし1時間、又は1ないし10日、又は1
0日ないし12ヶ月、1ないし12ヶ月、6ないし12ヶ月、1ないし6ヶ月、1ないし3ヶ月、1日ないし1ヶ月又は10日ないし1ヶ月であり得、及び疎水性物質を放出可能な半放出時間は、約10、20、30、40又は50分、1、2、3、4、5、6、9、12、15又は18時間、又は約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1、5、16、17、18、19、20、25又は30日、又は約1、2、3、4、5又は6ヶ月又は約6ヶ月より長期であり得る。粒子は制御された速度で疎水性物質を放出可能であり得る。その速度は、シリカマトリックスの内部構造に依存し、その構造はゾル−ゲル化学反応の特質及び油/水乳剤の特質(界面活性剤の種類と濃度、油/水/界面活性剤のモル比)に依存する。速度は粒子のサイズ、pH,温度などの粒子の合成条件、粒子が浸される媒体の種類及び/又はその他の因子に依存する。カプセル化効率及び負荷量は内部分室のサイズに依存する。本発明の粒子に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、粒子において実施可能ないずれの工程及びステップを組み合わせて提供し得る。
【0063】
本発明の粒子は、粒子又は粒子を含有する組成物の治療上の有効量を被験者に投与することにより被験者の疾患の治療用に用いられ得、ここで、粒子の疎水性物質が該粒子から放出可能であり、その疾患に必要なものである。被験者は脊椎動物であり得、そして脊椎動物としては、哺乳類、有袋類又は爬虫類であり得る。哺乳類としては、霊長類又はヒトでない霊長類又はその他のヒトでない哺乳類があり得る。哺乳類としては、ヒト、又はヒト以外の霊長類又はその他のヒト以外の霊長類、ウマ科、ネズミ科、ウシ科、ウサギ科、ヒツジ科、ヤギ科、ネコ科及びイヌ科から選ばれ得る。哺乳類としては、ヒト、馬、畜牛(cattle)、乳牛(cow)、雄牛(bull,ox)、水牛、羊、犬、猫、山羊、ラマ、ウサギ、類人猿、サル、及びラクダが例えば選ばれ得る。疎水性物質は薬剤であり、抗癌剤であり得る。疾患としては、疾病があり得る。その疾患としては、例えば、癌、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧、疼痛又はその他の疾患があり得る。粒子は、注射(静脈内又は筋肉内)、経口、吸入によって、局所的に又はその他いずれの好適な手段により投与され得る。
【0064】
本発明の粒子は、疎水性物質を送達するために用いられ得る。本発明の粒子を、その中へカプセル化又は固定化された疎水性物質を放出することのできる媒体へ曝露することが含まれ得る。疎水性物質は粒子から放出可能にカプセル化又は固定化されるべきである。曝露は、粒子を媒体中へ浸してもよく、また随意に攪拌、振とう、旋回、又はその他の粒子を含む媒体の攪拌手段を1以上含むことから成り得る。媒体は粒子からの疎水性物質を放出し又は抽出しうるものであるべきであり、疎水性物質を溶解しうるものであり得る。放出又は抽出は前記で述べたように長期間に渡り得る。
【0065】
あるいは、曝露は媒体を粒子を越して及び/又は粒子中を通し得る。媒体は、流体であっても液体であってもよい。媒体は、血液などの生体液であり得る。有機流体であっても、有機溶媒であってもよく、例えば、疎水性溶媒であってもよい。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、液化炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、塩素系溶剤(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、二塩化エチレン、ジクロロエタン、メチルクロロホルム)及びエステル(たとえば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はその他の疎水性溶剤であり得る。媒体は疎水性物質を溶解又は放出することのできるものであり得る。疎水性物質は例えば、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質又はその他の物質であり得、又はこれらの2以上の混合物であり得る。媒体は、気体、例えば空気、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、又はガスの混合物であり得、そして疎水性物質は揮発性(例えば、香気物質)であり得る。曝露は、疎水性物質の媒体中へ放出するために好適な条件、例えば、温度、圧力、粒子と媒体の比等の下で行い得る。
【0066】
本発明の工程に係る明細書又は特許請求の範囲全体において述べられる特徴は、実施可能ないずれの方法ステップを組み合わせて提供し得る。
【0067】
粒子は、利用可能な担体、希釈剤、賦形剤及び/又は補助剤と共に、組成物の形態であり得る。疎水性物質が医薬用原料である場合、担体が医薬品として適合する担体であり得、粒子が医薬品として適合するものであり得る、疎水性物質が獣医学上の原料である場合、担体は獣医学的に適合する担体であり、粒子が獣医学上の条件に適合するものであり得、疎水性物質が殺生物性の原料である場合、担体は殺生物性に適合する担体であり、及び粒子が殺生物性の条件に適合するものであり得、疎水性物質が殺虫剤の原料である場合、担体は殺虫剤的に適合する担体であり、及び粒子が殺虫剤的に適合するものであり得、疎水性物質が化粧品原料である場合、担体は化粧品的に適合する担体であり、及び粒子は化粧品的に適合するものであり得、疎水性物質が除草剤の原料である場合、担体は除草剤用途として適合するものであり、及び粒子は除草剤用途として適合するものであり、疎水性物質が農業用原料である場合、担体は農業用用途に適合するものであり得、また、疎水性物質が除真菌性の原料である場合、担体は除真菌性用途に適合するものであり得、及び粒子は除真菌性用途に適合するものであり得る。
【0068】
本発明は、下記の制限のない実施例によって説明されるであろう。
【実施例】
【0069】
原料
全ての界面活性剤及びポリマー(表1)は、シグマ−アルドリッチ社より購入し精製せず用いた。テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、フェニルトリメトキシシラン(PTMS),ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、及びアミノプロピルトリメトキシシラン(APTM
S)等のシリコン前駆体はシグマ−アルドリッチ 社より入手しそのまま用いた。シクロヘキサン及びドデカンは、ACS分光光度用グレード(99+%)(シグマ社)、ケロシン(低臭)は沸点175ないし325℃、及び密度0.800g/cm3のものをアルド
リッチ社より入手した。ソルベントブルー35の純度は98%(アルドリッチ社)であった。リモネンはクエスト インターナショナルより提供された。レチノール(95+%)はフルカ社より購入しそのまま用いた。その他の使用された試薬はすべてA.R.グレードのものを用いた。高純度ミリQ水(ミリポア社)を全ての溶媒に用いた;抵抗率は18.02MΩcm以上であった。
【0070】
合成方法(典型的な合成条件)
ゾル−ゲル及びO1/W/O2多重(又は両面)乳剤技術の両方を用いた疎水性分子を含有するシリカミクロスフェアの合成の実験方法を示した合成フローチャートを図1に示す。
【0071】
1.TMOSなどのシリコン前駆体を水中で触媒(H+など)存在下に混合し、封緘し
たバイアル中で1.5時間攪拌した。ここでバイアルを開栓し、混合物をさらに約1.5時間攪拌し、前駆体の加水分解により生成した余剰のアルコールを蒸散させた。
【0072】
2.内部の油相(例えば、リモネン)を親水性界面活性剤(例えば、Tween 21)及び工程1と同様の触媒を含有する水相を混合した。混合物はその後マグネチックスターラーで約10分間攪拌し、O1/W乳剤を合成した。
【0073】
3.予め加水分解したゾル−ゲル溶液及びO1/W乳剤をそれから混合し、この混合物
をプローブ式超音波装置で超音波処理しO1/’W’乳剤(ここで‘W’は親水性ドメイ
ンを表す)を生成した。
【0074】
4.この間、界面活性剤溶液を外部の油相(例えばシクロヘキサン)及び疎水性界面活性剤(例えば、Span 80)を混合することにより生成した。
【0075】
5.O1/’W’相(工程3で得た)を、その後緩やかに攪拌しながら上記界面活性剤
溶液に注いだ。O1/’W’相を外部の油状物質/界面活性剤 相に注いだのち、擬似O1/’W’/O2多重(又は両面)乳剤を製造したが、ここで、’W’は予め加水分解した
シリコン前駆体から成る。この系を攪拌している間、シリコン前駆体は、親水性液滴内部で縮合し、ミクロンサイズのシリカスフェアを生成する。
【0076】
6.約5ないし約30分の間の範囲で攪拌した後、懸濁液をろ紙(ワットマン、英国製)を用いてろ過した。2時間以上乾燥シリカスフェアを熟成に引き続いて、粒子を1mol/LのNaCl溶液で3回洗浄し(合計容量は500mL)、さらに純水で3回洗浄した(合計容量は500mL)。生成物は室温で窒素雰囲気下乾燥させた。
【0077】
シリカマトリックスの内部の油状物質のカプセル化を視覚的に示すマーカーとして、疎水性色素(ソルベントブルー−35)を内部の油相(例えば、リモネン)へ通常は溶解される。カプセル化及び放出の両方を視覚的に示すマーカーとして色素が主に用いられるが、これは、それ自体活性種であると考えられ、それ故疎水性物質の制御されたカプセル化と放出のためのシリカ粒子の挙動を示すためにも用いられた。
【0078】
典型的な合成におけるそれぞれの組成量は以下のとおりである:
・内部油状物質:リモネン(MW 136.23、密度0.8402g/cm3 )4.
404mmol(0.714mL)は1.428mgのソルベントブル ー−35(SB−35)をこれに溶解する。
・親水性界面活性剤:ポリオキシエチレン(4)ソルビタン モノラウレート( Tween 21:MW 522、HLB 13.3)1.1494mmol (0.600g)。
・水(1)相:pH=2 HNO3溶液 2.140g(水:118.889mm ol)。・シリコン前駆体:TMOS(MW:152.22、98+%、密度1.032 g/cm3)58.123mmol(9.028g)。
・水(2)相:pH=2 HNO3溶液 2.140g(水:118.889mm ol)。・疎水性界面活性剤:Span 80 180.00mmol(77.152g )。
・外部油相:シクロヘキサン 300mL。
【0079】
粒子の同定
1.顕微鏡:ろ過に先立ち、粒子を光学顕微鏡(Zeiss Axioplan、西独製)を用いて試験した。乾燥後、粒子はさらに走査型電子顕微鏡(SEM)で同定した。全てのSEM画像は、JEOL SEM−6400を用い、画像モードの設定:二次電子像;作動電圧15kV、公称光束1x10-10Å及び作動距離15mmの条件で得た。
【0080】
2.TGA/DTA:粒子表面へ残留した界面活性剤は、熱重量分析及び示差熱分析(TGA/DTA)により測定した。TGAはSetaram TGA24により行ったが、10℃/minの速度で700℃まで加熱された。Span 80界面活性剤の引火点は148.9℃以上(工業用界面活性剤(電子ハンドブック)2002年版、Michael及びIrene Ash著、Synapse Information Resources社)のため、結合した界面活性剤量は、500℃でのwt%減少及び140℃でのwt%減少の差としてとらえた。DTAは同時に実施した。2種の異なった分解反応が観測された;1)約100℃における水及びその他の揮発性物質の蒸散に関連した約100℃における吸熱反応、及び2)約300℃における発熱反応。
【0081】
3.BET:吸着等温線:Brunauer−Emmett−Teller法を用いシリカ粒子の比表面積を測定した。シリカ粒子資料の77Kにおける窒素吸収等温線は、Micromeritics社製 ASAP 2010体積吸収分析装置を用いて測定した。BET算出は、相対圧力(P/P0)が9点、即ち0.05ないし0.2の範囲におけ
る吸着等温線から実施した。測定前に、試料は吸収分析装置の脱気口において333K、10時間脱ガスを行った。
【0082】
カプセル化及び放出速度
1.疎水性色素のカプセル化効率及び放出速度を紫外可視スペクトル法(Cary 50)により測定した。カプセル化効率は二つの方法により評価を行った。第一の方法は、間接的方法であり、シリカ粒子をろ過により除去した後、シクロヘキサン/Span 80溶液の紫外可視吸光度を測定することから成る。色素のカプセル化効率は、系内に導入されたもとの色素濃度から外部の油相中において測定された色素を差し引くことにより算出した。標準の検量線は、同一の組成及び当該試料の製造に用いられたのと同一の濃度で、外部の油相へ正確な量の色素を添加することにより、作成した。第二の“直接的な”方法は、例えばエタノール、シクロヘキサン又はドデカンのような溶媒中のシリカ粒子からのSB−35の放出を、吸光度が安定するまで測定することにより成る。標準の検量線は、試料放出媒体として同一の組成及び濃度を用いて作成した(界面活性剤含有量はTGA/DTAの結果を用いて評価した。)。吸光度は、生成物を攪拌しながら異なる時間間隔で測定し、色素放出曲線を作成した。
【0083】
2.HPLC法もまた、油状物質(リモネン)のカプセル化効率を評価するために用いた。2487デュアルλ吸光度検出器、717プラス オートサンプラー、及び1525バイナリポンプで構成されるWaters社製の HPLC装置を用いた。カラムはSy
mmetryC18、5μm 4.6x150mmであり、移動相はメタノール:水(9:1 v/v)混合物を流速0.5ml/minで用いた。紫外可視検出器の波長は210nmに設定した。10μLをオートサンプラーを用い注入した。リモネンのピークの積分面積(谷部から谷部まで)は定量的計算で使用した。リモネンの保持時間は約13.5分であり、検出限界はエタノール1mLあたりリモネン約0.02mgであった。
【0084】
3.FTIRを、最終生成物中の油状物質(リモネン)を検出するために用いた。試料は、既知の容量のドデカンに浸漬し、マグネチックスターラーを用い3日間緩徐に攪拌した。上澄を遠心分離(10,000rpm、10分間)し除去し、0.22ミクロンのPTFEフィルターでろ過し、IR分析の前にその他の残余のシリカ微粒子を除去した。IR吸収スペクトルはNicolet社のNexus 8700スペクトロメーターで、(線形化)液体窒素で冷却されたMCT検出器を用い測定した。スペクトルは、45度のZnSe減衰全反射装置を用いて収集した。吸収スペクトルは、ドデカンのみのバックグラウンドスペクトルを分解能4cm-1において256回スキャンすることにより比演算を用いて行った。バンド面積は、ドデカン中の既知の濃度のリモネンと比較した。
【0085】
4.両面乳剤法によりレチノールでドープされたシリカ粒子の拡散反射率スペクトルを、Labsphere Biconical装置の備わったCary 500 紫外可視近赤外分光計を用いて測定した。試料はPTFEパウダー中に20wt%に希釈した後に測定に供した。スペクトルはPTFEを対照としたスペクトルを用いて反射率単位に変換し、Kubeka−Munk単位に変換した、即ちF(R)=(1−R)2/(2R)。
【0086】
結果:
両面乳剤液滴の概略図、及び合成工程中の乳剤液滴の変化を示した図を図2に示す。多くの因子が、シリカ粒子の形成だけでなく、疎水性物質のカプセル化に影響を与え得る。これらの因子のいくつかを以下に検討した。
【0087】
1.粒径に影響する疎水性界面活性剤(第二界面活性剤)濃度の影響
一連の試料を上記合成工程を用い、Span 80濃度を増加させて合成した。該当する光学顕微鏡写真を図3に示し、該当するSEM顕微鏡写真を図4に示す。光学画像より、1ないし10ミクロンの粒径の小さな油状小球が親水性液滴内に分布していることが明らかであるが、これは熟成により固体シリカ粒子へと凝集する。これらのシリカ粒子の直径は、10ないし150μmの範囲であり、サイズ分布は、Span 80濃度の増加に伴いある程度狭いものになった、粒子の内部構造の典型的な形態を図5に示す。この結果により、全ての生成物がSB−35を内部に含有し、色素のカプセル化効率は、視覚的に認められるようにSpan 80濃度の増加に伴い増加する。
【0088】
このことは、Span 80濃度の増加が外部油相の粘度の増加を引き起こすだけでなく、単相よりも界面活性剤の多重相により親水性液滴をより硬性にする。その結果、内部油状物質が、シリカ網の生成の間、外部の油相へ拡散し難いかも知れない。シリカマトリックス内に分布する内部油状液滴のサイズは、Oil1/‘W’混合物の形成中に導入さ
れたエネルギーに依存する。より多くのエネルギーが系内に導入されると、油状液滴は小さい。その他の変数は内部油状液滴サイズに影響し得る。これらは、内部の界面活性剤の種類及び濃度、内部の油状の容量フラクション、及び水の量、シリコン前駆体の種類と濃度、及びpHのような親水性ドメインの特性を含む。
【0089】
2.親水性(第一の)界面活性剤(内部油相としてのドデカンを含む)の種類と濃度の影響
図6は、種々のTween 21濃度でシリカ粒子を製造したときのSEM画像であり、一方、図7及び8は、種々の濃度でのTween 20及びTween 80で製造さ
れた粒子のSEM結果を示したものである。最も有効な合成条件は、Tween 21を用い製造した試料であり、ドデカン/SB−35のカプセル化と球形シリカ粒子の高収率という結果を得た。より高いTween 21濃度は、より小さな粒子サイズ及び狭いサイズ分布を得る。約0.6mmol以上では、改善は観測されなかった。Tween 20を用いて製造した粒子は、サイズがより小さかったが、ドデカン/SB−35のカプセル化は低く、一方、Tween 80を用いて形成した粒子は、特に界面活性剤濃度が高い場合において、より多分散であり、不規則な形状であった。これらの界面活性剤の分子構造(後述)から、Tween 21は有意に他の二者と異なっているといえる。Tween 21は4つしかエチレンオキシド単位を有さないのに対し、Tween20及びTween 80はそれぞれ20のエチレンオキシド単位を有する。この構造上の違いはHLBの有意な違いと共に、粒子形成及び油状物質のカプセル化に対するこれらの有意な影響を説明し得る。
【0090】
3.水とTMOSのモル比の影響
ドデカンを内部油相としたときの、水:TMOSのモル比に応じた粒子サイズ及び分布を図9に示す。水:TMOSのモル比を2から8に増加させた場合、粒子サイズ及びサイズ分布はほとんど変化しなかった。しかし、水:TMOSのモル比が16の場合、サイズ分布は狭くなり、粒子はより小さいものとなった。SB−35の最も高いカプセル化効率は、視覚的な観察から、水:TMOSのモル比が4で得られた。ゾル−ゲル反応における水の化学量論的な値は2である。通常、適切な時間内に反応を終了させるためには、水:TMOSのモル比4が使用された。触媒(H+)量の増加と同様に反応物である水の量の増加が、親水性ドメインの内部のより急速なゲル化につながる縮合反応速度を増加させ、及びより小さな、より少ない多分散粒子が期待出来得る。乳剤系は、速度論的に不安定であるので(即ち、両面乳剤液滴は融合し、相は経時的に分離する)、もし縮合速度が遅すぎると、液滴の融合はゲル化による構造の“凍結”に先行して起こるため、粒子サイズの増大が起こる。水:TMOSのモル比が4の場合に観測される最適な油状物質のカプセル化の背後にある理由は明らかでない。この特異な比率は、希釈率を上げる(高い水の割合)ことなく最も早い縮合時間を提供し、内部油状液滴が外部油相へ移動するため、カプセル化効率が減少すると推測することができる。換言すれば、比が4であるときは、ゲル化速度及び内部の疎水性物質を保持するための親水性ドメインの粘着性の良い中間物をもたらす。
【0091】
同様な実験を、ドデカンをリモネンに替えて行い、その結果、視覚的に観察して、最も高いカプセル化効率は、水:TMOSのモル比が4の場合であることが示された。
【0092】
4.ORMOSIL添加の影響
図10に示したSEM画像は、球形粒子が、APTES以外の前駆体を混合することにより形成され、ゲル生成物として得られた事を示す。さらに、粒子サイズ分布は、Span 80濃度が0.2mol/Lから0.6mol/Lに増加させた場合により狭い分布となると認められたが、この結果は上記結果と首尾一貫している。
【0093】
ハイブリッドケミストリーの使用の根本的理由は、疎水性色素のカプセル化効率は、MTMS,VTMS及びPTMSのようなORMOSILを導入することにより増加し得ることである。これらの前駆体は、粒子内部の疎水性サイトの増加と、内部油相との相互作用がより効果的になり、ミクロスフェア内部に油状物質を保持することが期待された。さらに、ORMOSILは、シリカマトリックスの内部チャネルの制限に役立ち、内部油状物質が放出される機会を減少させることも期待された。しかし、ORMOSILの添加は、疎水性分子のカプセル化効率を改善しなかった(表2参照)。TMOSと比較して、OLMOSIL前駆体は加水分解速度が速いが、縮合速度は縮合反応における有機基の中毒効果に起因して遅い(4つのうち1つの縮合サイトの損失)。親水性ドメインの粘着性の
減少の結果をもたらす結合性の減少と同様にこの縮合速度の減少が、疎水性物質の外部油相への移動の増加を起こし得るので、かくして、低いカプセル化効率を説明し得る。
【0094】
5.水とTEOSのモル比の効果
TEOSは又シリコン前駆体としても用い、水:TEOSモル比を2ないし16に変化させ行った。該当するSEM画像を図11に示す。大部分の生成物は、最後の試料以外は不規則な形状をしているが、これはTEOSは球状粒子を形成するのにより熟成時間を必要とするであろう事を示唆している。水:TEOSモル比の増加は反応速度を加速した、したがって、より球状の粒子は、高比率の場合に得られた。エタノールのようなアルコールは、TEOS及び水の混和性に必要である。TEOSの加水分解により生じたエタノールとともに添加したアルコールは、蒸散工程において除去されなければ、両面乳剤構造を不安定化/破壊する。その結果、より不規則な形状の粒子が生成された。
【0095】
6.疎水性界面活性剤の効果
Span 20はまた、外部油相への界面活性剤として検討された。図12は異なるTween 21濃度において製造されたシリカ粒子のSEM画像を示し、一方、図13は、Span 20と混合したTween 20及びTween 80を用いて製造した粒子のSEM結果を示す。親水性界面活性剤の種類と濃度にかかわらず、結果は、Span
20を用いた場合よりもSpan 80を用い製造した場合に、より球状のシリカ粒子が製造されることを示した。これはSpan 80などのHLB値の低い界面活性剤は親水性液滴の形成を促進し、しかして球状粒子の製造を増進する。
【0096】
7.比較実験:親水性ドメイン中のPEG及び疎水性ドメイン中のHPCの添加の影響
PEG(MW:20,000)溶液を、0.300gのPEGを1.000mLのpH=2 HNO3溶液に溶解して調製し、この溶液の計算量を水(1)相として用いた。HPC(MW:370000)溶液を、2.500gのHPCを100.00mL(82.00g)の1−ヘキサノール(密度:0.82 g/cm3)へ完全に溶解することにより調製した。この溶液の既知量を外部油相へ添加し、粘着性を増加させた。詳細な実験条件を表3に示し、該SEM画像を図14に示す。
【0097】
シクロヘキサンを外部油相(e及びf)として用い製造した粒子は、ケロシン(a及びb)を用いて製造したものに比べ、より球状で損傷の少ないものであった。さらに、水相中のPEG及び外部油相のHPCの存在は、用いた外部油相の種類にかかわりなく不規則な粒子を生じ、SB−35ほんの一部のみが生成物中に取り込まれた。これらの結果はHPCのみを用いた場合の前記結果と矛盾する。これはPEG及びHPCの影響を別個に検討すべきことを示唆し得る。さらに、PEGは、粒子の形態に不利な効果を与え得る一方で、HPCは、アルコールが取り込まれければ粒子生成の助力となり得ることが示唆される。これは、次項でさらに検討する。
【0098】
8.比較実験:PEG及びHPCの存在下での種々の親水性界面活性剤を用い製造した粒子の形態
実験条件を表4に示し、該SEM画像を図15に示す。これに先行研究と比較比較して(表3参照)、外部油相の容量は二倍となり、疎水性界面活性剤濃度は0.5mol/Lから0.6mol/Lへ微増した。PEG及びHPCの存在にかかわらず、球状粒子が生成し、HPC量を二倍にすることは、Tween 80系を除き、粒子形態における有意な影響はないと認められた。内部相の容量のわずかな増加は、aないしdに示されるように、粒子サイズおよび粒径分布にわずかに影響した。Tween 21を用い製造した粒子は視覚的観察により最も多くの色素を取り込んだ。該粒子サイズは、非常に大きいものであった。カプセル化効率はTween 21系程には高くはなかったが、Tween 20の使用は、色素のカプセル化に良好な結果を与え、Tween 20系は、非常に小
さい粒子を生成した。Tweem 80系においては、色素は全く取り込まれず(視覚的判定)、高HPC含量で不規則な形状の粒子が製造された。
【0099】
多重乳剤の安定性が、疎水性分子、レチノールの良好なカプセル化の必須条件と考えられてきた。それ故、内部相(PEGの添加による)及び外部油相(HPCの添加による)の粘度の増加での試行が、上記7項において行われた。図6cとの比較において粒子形態における有意な変化は、PEG及びHPCの添加においては観測されなかった。図7との比較において、両増粘剤を添加したTween 20系で殆ど変化が認められなかった。一方、Tween 80系へのPEG及びHPCの添加は、幾分小さい粒子サイズを導いた(図15h及び図8cの比較)。しかし、特に図15gにおいて認められるように、非球状粒子が製造された。
【0100】
一般的に、外部油相の粘度の増加は、安定な両面乳剤の形成を促進するといわれており、ゆえに球状粒子が製造される。しかし、HPCの添加は、外部油相及び親水性相の間においてSpan 80の界面をわずかに変化し得、その結果、ある場合には、不規則な形状の粒子が製造される。さらに、HPCの添加又はSpan 80の増加による外部油相の粘度の増加は異なる結果を起こし得る。先に考察したように、Span 80濃度の増加は、SB−35においてより高いカプセル化効率の結果を得た。一方、親水性ドメイン中のPEGの存在は、多分内部油相及び内部シリカ表面の局所構造の破壊を生じ得、その結果、不規則な形状の粒子を生じ、色素に取り込まれない結果をもたらす。
【0101】
9.親水性界面活性剤濃度の影響(リモネンを内部油相とした場合)
上記のように、高Tween 21濃度は、濃度が約0.6mmolを超えた場合改善はみられなかったが、より小さい粒子サイズ及び範囲の狭いサイズ分布をもたらした(図6)。これは界面活性剤(Tween 21)濃度の増加は、Oil1/‘W’系の安定
化に緩やかに影響した。しかし、安定性の上昇は色素のカプセル化効率を改善することはなかった。種々の界面活性剤濃度における粒子サイズ及び分布に有意な差は認められなかった(図16参照)。このことは、外部油相中の疎水性界面活性剤の特性及び濃度は、有意に粒子の形態に影響し、一方、内部界面活性剤は疎水性種のカプセル化において主要な役割を果たす(一定の閾値以上となれば)。内部油状の特性は、リモネンをレチノールで置換した場合で示されるように、粒子構造に余り影響しないで、ほんの少し多分散系なシリカ粒子を製造する(図17参照)。
【0102】
10.内部(Oil1/‘W’):外部(Oil2)容量比の影響
上記の典型的な合成条件下では、粒子サイズ分布は10ないし150μmの範囲内であった(図4−c)。もしOil1/‘W’含有量が二倍の場合、粒子サイズは、変化はな
かった(図18−a)。しかし、Oil1/‘W’が4倍に増加し、外部油相の容量が一
定に保持された場合には、粒子サイズは増大し、サイズ分布もより広範(10ないし300μm)となった:図18−b参照。この内部容量の増大はSpan 80:水のモル比を減少させ、かくして外部壁面の剛性を減少させ、凝集を増加させ、粒子の生長を生じさせる。
【0103】
11.TGA/DTA特性
粒子表面に残留したの界面活性剤はTGA/DTA分析により評価した(図19)。二つの異なる分解過程が認められた。第一の質量の減少(T<120℃)は、吸熱反応に相当し、揮発性物質(リモネン及び水)の蒸散によるものであり得る。第二の質量の減少(120<T<500℃)は発熱反応に相当し残留した界面活性剤の燃焼によるものだと思われる。該リモネンでドープされたシリカミクロ粒子の組成は、43.4wt%水+油、7.6wt%界面活性剤、49.0wt%シリカである。
【0104】
12.窒素吸収を用いた多孔質構造の特性
吸収等温線の曲線は、検討した固体の構成の明白な特徴を表す(図20参照)。吸収等温線の形状は少量のミクロ多孔質及び多量のメソ多孔質の存在を示している。BET特異的比表面積値が431.3m2/gであることは、ミクロ多孔質の存在を追認するもので
あり、球面中の多孔質は、図5のSEMで観測されたミクロサイズの空洞だけに起因するのではなく、内部マトリックスの多孔質に幾分起因していることが示唆された。最大孔容量が0.51cm3/g(相対圧力0.99755で測定)であることは、非常に高い多
孔質産生を追認する。吸収及び脱離岐路のヒステリシスが、円筒型孔を示した。この仮定に基づき、円筒孔モデルを用いたDFT(密度汎関数理論)分析がされ、6nmを中心に広範な孔径分布(1ないし30nmから)の存在が明らかとなった。
【0105】
これらの球面の内部生成物と、類似のゾル−ゲル条件(TMOS、水:アルコキシド比が4でありpH=2)を用いた工程1(C.J.Barbe、J.R Bartlett
、「放出制御されたセラミック粒子、その物組成物、製造工程及び方法、PCT WO01/62232(2001)」により製造されたものとの違いに注目する事は興味深い。工程1によって製造された粒子は本来ミクロ多孔性であり、細孔容量はおよそ0.1cm3/g)であった。これは油状物質のカプセル化又は内部界面活性剤(例えばTween
21)が、マトリックスの内部構造の修飾において有意な役割を果たした事を示唆する。これは、疎水性物質の放出速度を制御するために、シリカマトリックスの内部構造を制御する事が重要であるらしい。
【0106】
13.色素のカプセル化と放出速度
間接法:リモネン(SB−35を0.200mg/ml含有)の濃度を変化させた5種の標準溶液を0.6mol/LのSpan 80/シクロヘキサン溶液を用いて調製した。溶液は450から800nmをスキャンし、650nmにおけるピーク及びベースラインの吸光度(Abs)を記録した。SB−35をドープしたシリカ粒子は上記合成方法により製造し、そのカプセル化効率は47.8wt%(3試料の平均値)であった。
【0107】
直接法:標準検量線を上記のように得、エタノール中のSpan 80濃度を粒子表面の残留界面活性剤から評価した。既知の生成物のフラクションをエタノール中へ分散し、懸濁液を3日間、上澄の吸光度が安定するまで攪拌した。SB−35のカプセル化効率の計算値は38.4wt%であり、間接法よりも10wt%低値であった。これは、粒子の内部表面へ色素分子のいくらかが結合していることに起因しているのかも知れず、人為的な効率の減少である。
【0108】
OLMOSIL球面によるカプセル化効率:混合前駆体により製造したシリカ球面のSB−35のカプセル化効率を表3に示す。最も高いカプセル化効率は25mol%のMTMSにより製造した試料において観測されたが、その値は100%TMOSを用いて製造された粒子よりも約13wt%低い値であった。興味深いことに、ここでも直接法により得られた効率は、間接法による値より10wt%低い値であるが、放出媒体とは関連しなかった。
【0109】
放出速度:図21は、シクロヘキサン及びドデカン中のシリカミクロ粒子からのSB−35の放出速度を示す。シクロヘキサン中の色素の放出はドデカンのそれよりも速やかであったが、3日後に両系において吸光度が同値に安定化したが、それは全ての色素が除去されたことを示唆している。シクロヘキサンの場合に観測された速やかな放出速度はシクロヘキサンのより高い脂溶性により説明し得る。
【0110】
14.レチノールのカプセル化
レチノールでドープされたシリカ粒子のSEM画像(図17)は粒子サイズ及び分布が
、液体(ドデカン又はリモネン)と固体(レチノール)のどちらかであり得る内部油相に依存しないことを明らかにした。レチノールでドープされた粒子のTGA/DTA結果を図22に示す。第一の質量の減少(T<200℃)は、水及びレチノールの蒸散に起因し得、一方、第二の質量の減少(200<T<650℃)は、残留した界面活性剤の燃焼に相当する。レチノールでドープされたシリカミクロ粒子の組成は、22.8wt%水+レ
チノールであり、26.7wt%界面活性剤、及び50.5wt%シリカであった。
【0111】
【化1】
【0112】
レチノール:MW286.5、λmax325nm、黄色粉末
【0113】
無水エタノールに溶解した精製レチノールの紫外可視スペクトルを図23に示す。レチノールは325nmにおいて強度の吸収極大を示し、検出限界は約0.1ppmであった。残念なことにレチノールバンドは無水エタノール中の放出の間に消失したが、これはレチノールはシリカ粒子に強力に結合したか、その他の種へ分解したことが示唆された。レチノールを含有するシリカ粒子のFT−IR分析では、微弱なレチノールのバンドは、より強度の高いシリカ及び界面活性剤のバンドに隠れ、レチノールを検出できなかった。
【0114】
レチノールでドープされたシリカ粒子の固体試料を、紫外可視分光法で分析した。該スペクトルを、レチノール非存在下の同様の工程で製造された対照試料と共に図24に示す。強度のバンドが300nm近辺に観測された。これに対し、対照試料においては有意な吸収はみられなかった。これにより、両面乳剤の工程がシリカ粒子中のレチノールのカプセル化を導くことを追認した。
【0115】
15.リモネンカプセル化効率のHPLCでの評価
粒子のリモネン含有率を測定するために用いた典型的なHPLCスペクトルを図25に示す。シリカミクロ粒子中のリモネンのカプセル化効率は典型的な合成において14±6%と推定した。高濃度のSpan 80はリモネンの定量測定を大いに安定化させるため、カプセル化効率の値は直接法(即ち最終粒子から浸出したもの)によってのみ得られた。観測された効率の高い変動は、リモネンが除去され得る洗浄及び乾燥工程等、いくつかの理由のためであり得る。HPLC測定におけるその他の干渉因子は、平坦な保持時間を有する界面活性剤Span 80の存在である。これはリモネンのシグナルを干渉し、HPLCによるリモネンの放出速度の定量化の困難性を増している。
【0116】
疎水性色素(SB−35)と比較してリモネンの低いカプセル化効率は分子構造の違いによって説明することができる。
【0117】
【化2】
【0118】
リモネン、MW136.23、無色液体
【0119】
【化3】
【0120】
ソルベントブルー−35、MW350.45、λmax604−652nm、青色粉末
【0121】
ソルベントブルー−35は、シリカ表面に、おそらく水素結合を介した結合又 は共役(conjugate or associate)可能な疎水性サイ ト(アミン官能基)を有している。さらに、リモネンに比べ大きい分子であり 、したがって立体効果によりシリカマトリックスから容易に拡散し得ない。そ の他の可能性のある説明としては、リモネン及びソルベントブルー−35の親 水性ドメイン及び外部油相の間の分配係数が異なり得ることにある。
【0122】
16.FTIRを用いたリモネン含有量の同定
ドデカンへ浸出したリモネンの濃度をFTIR分光法で測定した。濃度分析に用いたリモネンのバンドは、その他の存在する成分の濃度に依存した。洗浄していない固体の場合は、カプセル化効率が19wt.%に相当する797cm-1のリモネンのバンドを濃度測定に用いた。洗浄した固体の場合には、界面活性剤の濃度はかなり減少しており、888cm-1のリモネンのバンドを用いた。カプセル化効率5%と測定されたが、洗浄工程においてもリモネンが除去される範囲を示している。固体含量に関しては、これはシリカに係る1wt.%に相当する。IR技術は、混合成分の分析に用いられるHPLCほど理想的な技術ではないとしても(IRスペクトルに寄与する種々の成分を分離するための、カラムの保持時間のような利用可能な機構がない。)、HPLC分析で問題があるような場合(大量の界面活性剤の存在等)、IRは溶液中の濃度の、おおよその見当を得るために用いることができる。FTIRで検出される粒子からドデカン中に浸出したその他の種は、Span 80、Tween 21であり、及び多分幾分かの溶解したシリカである。
【0123】
17.疎水性物質のカプセル化の機構
図26は、シリカマトリックス内部に分散された油状液滴を示す典型的な単一シリカミクロスフェアの断面の概略図を示す。油状液滴は内部界面活性剤の存在により合成中安定化する。内部界面活性剤(即ち、Tween 21)の疎水性部分は、内部油状物質中へ溶解するか又はSB−35のような疎水性分子と会合することができるが、親水性部分(エチレンオキシド)は親水性ドメイン、即ちシリカマトリックスへ浸透する。
【0124】
2項から、最大カプセル化効率はTween 21を用いることにより達成できたことが明らかである。これは短いPEG単位を持つTween界面活性剤がシリカマトリック中の油状物質の高比率を維持することが可能であることを示唆する。換言すれば、シリカマトリックスはPEGの比較的小さな相互作用にのみ対応することができると考えられる。PEG鎖が長すぎると、そのシリカ種との相互作用は非常に破壊的となり、外部油相へ内部油状物質が漏れ出す溝の生成か、又は外部油相への内部油状液滴の排除が起こる。両方の場合、ごく僅かなカプセル化しかされない。
【0125】
シリカの内部構造の摂動はBET分析により追認されたが、Tween 21が系内に導入されたときに劇的に異なる多孔性の網状構造の形成が示された(図20及び21項参照)。
【0126】
3項及び4項で述べたように、カプセル化効率は又加水分解したシリコン相のゲル化速度及びその粘度にも依存していた。両者は、初期のゾル−ゲル化学反応により規定され、そして内部油状液滴は粒子内部に残留するか、又は外部油相と同化し、よって空の粒子の形成を生じるかの何れかに規定されるであろう。
【0127】
18.先行工程の追試
図27は、先行する合成工程のフローチャートを示す。本発明の工程及び先行工程の主な相違点は、後者の工程では、安定な両面乳剤がシリカ前駆体添加前に生成されなければならない点である。その他の有意な相違点は、先行する工程における、両面乳剤の安定性を改善するために外部油相の粘度を増加させるための両面乳剤系へのHPCの添加である。先行工程では、塩基性触媒の使用のみが球状粒子の生成を引き起こし、そして水:TEOSモル比は、厳密に4を維持することを必要とした。さらにまた、内部相(O1/W)
と外部油相の容量比は5%以下であることを必要とした。最も重要な点は、実験工程は、再現性を欠くことから実証されたように大変不十分である(即ち、多数の試みにかかわらず、我々には再現不可能)。
【0128】
先行工程の文献中の記載は実験方法の詳細が十分でなく、ゆえに本願での試みに用いた実験方法が再現されるように以下に述べる。内部相はリモネン7wt.%、Tween 20 3.5wt.%及び水89.5wt.%で構成された。この混合物をせん断攪拌機を用いて20500rpmで5分間攪拌し、安定化O1/W乳剤を得た。第二の工程では
、最初のO1/W乳剤を、2wt.%のSpan 80及び0.5wt.%のHPC(分
子量370,000)を含有する外部油相であるデシルアルコールへ徐々に加えた。この乳剤系を緩やかな攪拌速度(マグネチックスターラーで)30分間攪拌し、それから総水量:TEOSのモル比が4と等量のTEOSを加えた。混合物は継続して10分間攪拌し、そしてアンモニアと水との容量比が1:9となるように2.667mol/LのNH4
OHを加えた。水相中の最終的なアンモニア濃度は0.267mol/Lであった。反応後、試料を6000rpmで15分間遠心分離した。得られた粒子を純水で繰り返し洗浄し、室温において窒素雰囲気下で乾燥した。
【0129】
図28は、リモネンを内部油相とする図27で述べた先行工程を用いたシリカ粒子のTEM画像を示す。先行工程によれば、粒子は7時間の反応後の遠心分離により抽出された(図28a)。しかしながら、通常、その塩基条件下ではTEOSの反応時間は少なくとも24時間と考えられる。このことは、より多くの粒子が遠心分離後の数日で上澄中に生成したことが観測されたことからも追認された。図28bは、24時間の反応時間後の粒子を示す。直径50ないし60nmのサイズ範囲のナノ粒子が両実験において製造され、本実験の場合では両面乳剤の生成はなく、むしろ単一の油中水型系だと示唆された。実験の過程で、Oil1/W乳剤は適度に安定で、少なくとも数時間では相分離が観測されな
いことが見出された。このことは攪拌は安定な両面乳剤の生成に重要な役割を果たすこと
が示唆された。したがって、3種類の攪拌速度(100、250及び500rpm)で粒子を形成する検討を行った。該TEM画像を図29a−cに示す。また、約60nmの直径を有するナノ粒子が、攪拌速度に無関係に製造された。この後に、ミクロサイズの粒子は、もしレチノールが内部油相として用いられた場合にのみ製造し得ると仮定した。しかしながら、レチノールを内部油相としたシリカ粒子のTEM画像を示した図30において観測されたように、類似のサイズの粒子(球状性に乏しいが)が上記のように製造された。
【0130】
図31は、図27で述べた先行工程により製造された粒子の吸収等温線の図を示す。BET表面積は42m2/gであり、緻密な粒子の形成を示唆している。観察された多孔性
(約21.6mmのメジアン孔直径)は相互粒子孔によるものである。さらに、二工程の違いも追認された。両シリカマトリックスの内部構造は大幅に異なっている。
【0131】
アセトンか水で洗浄した先行工程により製造されたナノ粒子のFTIRスペクトルを、粒子表面上へ吸着したヒドロキシプロピルセルロースの痕跡の有無を検出するために測定した。スペクトルは、KBr中に2wt.%に希釈した試料をDRIFTセルを用いて測定した。先行する工程により製造した試料の全IRスペクトルを図32に示す。2つの試料間の違いは殆ど無かった。
【0132】
図33(a)は、本発明の方法により製造した両面乳剤粒子の試料と同様に、先行工程により製造された試料のスペクトルを示す。本発明の粒子のスペクトルにおいて矢印で示された約1740cm-1のバンドは、Span80及びTween21のどちらにも存在し、界面活性剤中のC=O結合に起因する。先行工程により製造された粒子にはいずれの場合にも観測されなかった。同様に、HPCのスペクトルを含む、C−H領域(2700ないし3100cm-1)のスペクトルを図33(b)において比較した。先行工程により製造された粒子中及びHPC中の顕著なC−Hバンドが2972、2930及び2881cm-1において観測され、CH2同様にCH3基の有意な量の存在が示された。しかしながら、本発明の粒子のスペクトルでは、Span80及びTween 20の両方で観測される−CH2−長鎖を示す2926及び2855cm-1の2つのバンドが優位を占めた。
これらの観測結果は、先行工程により製造された粒子において吸収される有機物質の大多数はHPCに起因するものであり、一方、本発明の粒子の表面のものは、Span 80又はTween 21に起因するものである事が示唆された。バンド面積の分析により、水で洗浄した試料において吸収されたHPC量は、実質的にアセトンでの試料と一致していた。
【0133】
図34(a)は、図27で述べた先行工程により製造されたアセトンで洗浄した粒子のTGA/DTA結果を示す。水及び溶媒は200℃以前に蒸散し、揮発性成分は11.6wt%であった。356℃における発熱ピークは、界面活性剤及びポリマーの分解に相当する。これらの有機物質の百分率は、乾燥質量で59wt%であった(即ち、計算上は水の質量は無視して)。水で洗浄した粒子の結果を、図34bに示す。分析に用いた試料の初期の質量は19.36mgであった。発熱ピークは327℃で生じた。含水量は、生成物の15.5wt%であり、一方、界面活性剤及びポリマーは乾燥質量で55wt%を示した。
【0134】
19.pHの影響
pHは、粒子の特性に有意に影響を与え得る。前記した典型的な合成条件下では、pH2において粒子は10ないし150nmのサイズ範囲である。pHが2から0.301へ低下すると、粒子サイズは有意に増大し、同様にサイズ分布(即ち、多分散性)も増大する。図35は、pHが1.64、1.00、0.602及び0.301で合成した粒子のSEM画像を示す。pHが1.64から0.602までは、粒子は50ないし230μm
のサイズ範囲であった。しかしながら、pHが0.301においては粒子サイズは、80ないし700μmに増大した。pHの影響としてBET結果を図36に示す。表面積は、pH 2.00からpH1.64と低下するにつれて、約430m2/gから約92m2/gと大幅に減少した。pHが1.00である場合、粒子はより緻密であり、表面積は約0.3m2/gであった。BET表面積は、pHが0.301ではわずか0.01m2/gであった。細孔容積は、pH 2において0.51cm3/gから、pH1.64において
0.045cm3/gへと、そしてpH1.00において0.005cm3/gに、及びpH0.301において0.004cm3/gまで、pHに従い減少した。色素(ソルベン
トブルー−35)カプセル化効率もまたpH低下に伴い低下した。
【0135】
図37は、本発明に係るような内部空洞を有する粒子の図を示す。この図において、盤目模様は疎水性物質が空洞から粒子の外部へ拡散するのに十分に多孔質であるマトリックスを表す。BET測定は、この盤目模様の間の細孔(1ないし20nm)と関係する。これに比べ、SEMはより大きな空洞を測定することが可能である(1ないし100ミクロン=1000ないし100000nm)。
【0136】
シリコン アルコキシドの縮合速度の最小値をpH=2において観測した(「ゾル−ゲル科学と技術」、Academic Science 1990年、3章、213頁)。pH1か又はそれ以下の場合、縮合速度は増加し、粒子サイズの増大を引き起こす。内部構造の観点から、粒子形成を支配する正確な機構は依然として大部分が不明であるが、発明者らは、pH変化がTween 21(即ち、内部、又は第一、界面活性剤)及びシリカマトリックスの間の相互作用の本質の変化を引き起こすと仮定する。実際、pH=2はシリカの電荷がゼロの点に相当する;pH=2より上では、シリカ種の表面は負の電荷である;また、pH=2より下では、ケイ酸塩種(即ち、加水分解されたオリゴマー)は正に荷電する。界面活性剤は非イオン性であるが、珪酸塩の荷電した表面における変化は、形成中における球面外部の油状液滴の排除を引き起こし得る界面活性剤及びシリカの間のファンデルワールス相互作用における反発又は摂動を引き起こし得る。pH変化に伴う球面の内部構造における優位な変化はSEMにより観測されなかったが、pH低下に伴うカプセル化効率の低下はこの仮定を追認し易いものである。さらにまた、細孔容積及び表面積の低下は球面の緻密化に相当するが、内部多孔質の形成における界面活性剤−ケイ酸塩の相互作用の重要性を示唆する。窒素吸収−脱着等温線は、構造がpH=2における大部分がメソ多孔質の固体から、pH=1.64におけるミクロ多孔質の固体、及びpH=1における非多孔質の固体へ変換することを表す。
【0137】
1.内部親水性界面活性剤の研究
種々の他の界面活性剤も、粒子形態と油状物質カプセル化効率上での内部界面活性剤(即ち、第一界面活性剤)の種類の影響をよりよく理解するために試験された。使用した界面活性剤は:ポリオキシエチレン 4ラウリルエーテル、C12H25(OCH2CH2)4O
H(Brij30、シグマ製、分子量362、HLB 9.7);ノニルフェニル ポリエチレングリコール、C9H19C6H4(OCH2CH2)nOH,NP−5(シグマ製、n=5、分子量440、HLB 10.0);NP−6(シグマ製、n=6、分子量 485、HLB 10.9);Tergitol NP−9(フルカ製、n=9−10、分子量630、HLB 13.0);オクチルフェノール ポリエチレン グリコール C8H17C6H4(OCH2CH2)mOH、Triton X−114(アルドリッチ製、m=7−8、分子量 537、HLB 12.4)、Triton X−100(シグマ製、m≒10、分子量 646、HLB 13.5)。これらの界面活性剤は、全て白色、粘性の液体であり及びカールフィッシャー滴定により0.12wt.%以下の水を含有するものであった。検討したその他の界面活性剤はPOE(4)ソルビタン モノステアリン酸塩(Tween 61:分子量 606、HLB 9.6)及びPOE(5)ソルビタン モノオレイン酸塩(Tween 81:分子量 650、HLB 10)であった。
【0138】
Tween 61:C26H50O7(CH2CH2O)3 w+x+y+z=4
【0139】
【化4】
【0140】
Tween 81:C26H48O7(CH2CH2O)4 w+x+y+z=5
【0141】
【化5】
【0142】
合成方法及びそれぞれの物質の量は、特別に記載したもの以外は前記した「典型的な合成条件」に基づく。カプセル化効率及び粒子の形態の結果を表6及び7に要約した。
【0143】
前述した以前の研究では、内部界面活性剤の種類及び濃度が活性種の粒子の形態及びカプセル化に大いに影響することを示した。しかしながら、以前にはわずかの界面活性剤しか検討されておらず、最良の結果は、HLB 13.3であり4PEO単位であるTween 21を用い得られた。この部分の検討において、HLB値が9.6ないし13.5でありPEO単位が10以下のその他の種類の非イオン性界面活性剤で検討された。
【0144】
Tween 21(約38%)を用いたソルベントブルーのカプセル化効率を比較すると、NP−5又はNP−6を内部界面活性剤として用いた場合、カプセル化効率は、0.5%ないし1.8%と低値であった。球状粒子が製造されたが、粒子はシリカマトリックスの内部で小胞を示さなかった(図38)。さらに、カプセル化効率はNP−9を内部界面活性剤として用いた場合に約12ないし22%に増加した。Triton X−100及びTriton X−114を用いた場合、カプセル化効率は約10%であり、一方、Brij 30を用いた場合、色素のわずかな量しかカプセル化されなかった。
【0145】
NP、Triton及びBrijシリーズで観測された低いカプセル化効率の考えうる原因は、これらの界面活性剤のTWEEN 21とは有意にに異なる分子構造に関連する。
【0146】
Tween 21:C20H38O7(CH2CH2O)3 w+x+y+z=4
【0147】
【化6】
【0148】
Tween 21(構造を上記に示す)は、短い疎水性の尾部分及び大きな親水性の頭部分を分枝したPEO単位を伴い有するが、一方で、NP,Triton及びBrijの分子は、親水性および疎水性部分を含む長い直鎖構造からなる。界面活性剤は、PEO単位により、親水性ドメイン(水で加水分解されたシリカ前駆体)と会合していると仮定した場合、おそらく、Tween構造はミセルをより容易に形成し得、出来たミセルは単一の界面活性剤分子上に1以上の“錨”が存在するため、ミセルはより安定であり得ると考えられる。これに対し、検討したその他の界面活性剤は、直鎖の形状を取り得ると考えられ、これらの界面活性剤を用いて形成したミセルは安定でないと予想され得る。その結果、Tween界面活性剤の分子構造は、球状の内部分室の形成に有利であると予想され、これにより油状物質のカプセル化を可能にする。しかしながら、Tween界面活性剤のPEO錨の長さは、Tween 20又はTween 80の場合のように、油状物質のカプセル化の低下を招くと思われるので、長過ぎるべきで無い。
【0149】
Tween 61及びTween81は、Tween 21(上記)同様の分子構造を有し、わずかに低いHLB値を有する。Tween 61系のカプセル化効率はわずかにTween 21のそれよりもほんの少し高く、一方、Tween 81系のカプセル化効率はTween 21のものよりも低い。NP,Triton及びBrij界面活性剤の系に反して、Tween界面活性剤の高いカプセル化効率は、図39で分かるように、油状液滴は観測された空洞の内部にカプセル化されていることを示唆する。Tween 61の濃度はカプセル化効率に有意な影響を与えないと考えられるが、一方、カプセル化効率はTween 81量を増加することによりある程度低下する。
【0150】
Brij 30の場合を除き、粒子サイズは内部界面活性剤の量の増加に伴い減少する。この結果は、内部界面活性剤がOil1/水乳剤、即ち、親水性ドメイン中の油状液滴
の分散、上で働くため予想外であり、したがって、形状及びサイズは外部(第二)界面活性剤の特性によってのみ影響されるであろう親水性物質の全体の液滴サイズに影響するとは予想できなかった。これらの結果は2種の界面活性剤は相互に作用し得ることを示唆する。仮定では、内部界面活性剤の濃度が上昇すると、界面活性剤の部分の増加は、油状液滴の安定性には関与せず、外部界面活性剤壁と相互作用する。界面活性剤の混合物はミセル壁の剛性を増加させ、しかして乳剤相を安定化させる。粒子サイズに関してこれはより小さい粒子の製造を意味する。
【0151】
BET結果を図8に示し、該当する吸着等温線を図40に示す。図41はDFTモデルを用い計算された該当孔サイズ分配を示す。図40は、シリカマトリックスの多孔質構造に影響する内部界面活性剤の種類を示す。全ての等温線は、ミクロ多孔質及びメソ多孔質の存在を示す。Tween 21、61及び81を用い製造した粒子の等温線は、均一な多孔質構造を示唆するメソ多孔質領域の小範囲のヒステリシスを示した。Tween 61及び81を用い製造した粒子は単分散された細孔サイズを示した。これに反しTween 80及び20を用い製造した粒子は、瓶首型の細孔構造を示唆するメソ多孔質領域における広範囲のヒステリシスを伴う等温線を示した。種々の界面活性剤を用い得られた種々の形態は、球状の内部形態及び、下記に述べるように、その放出挙動における内部界面
活性剤の重要な役割を追認するものである。EE(カプセル化効率)及びシリカマトリックスの内部構造との間の相互関係の欠如は、窒素吸収実験がナノメータースケールでの細孔構造を同定し、従ってSEM顕微鏡写真で明白なマクロ多孔質を無視している事実により説明し得る。上記において検討したように、マクロ多孔性、即ち小胞は、油状カプセル化における貯留層であり、その存在は高いカプセル化効率と関連付けられ得る。小胞の直径は、例えば10nmないし50ミクロン又は50nmないし50ミクロンであり得る。
【0152】
2.内部油状物質量の影響
“典型的な合成条件”を採用し、その結果を表9に示す。一般的に内部油状物質が増加するとカプセル化効率が減少し、破壊された粒子の形成が起こった。
【0153】
典型的な合成において58.123mmolのTMOS及び0.714mLのリモネンを用いた。ゾル−ゲル反応収率が100%の効率だと見なすと、3.492gのシリカが製造されるであろう(SiO2の分子量は60.0843)。純粋なシリカマトリックス
の密度が2.0g/cm3であると見なすと、油対シリカ容量比は、0.714mLのリ
モネンに対し約15vol.%(SB−35のカプセル化効率:38%)、1.428mLのリモネンに対し25vol.%(SB−35のカプセル化効率:31%)となるであろう。典型的な合成条件下でのTween 61を用い製造した粒子のBJT平均細孔容量は0.18cm3/gであり、ゆえに細孔容量とシリカ容量の比は約22%である。こ
れらの結果は、これらが内部油対シリカ容量比の閾値があり得、これ以上であると、シリカミクロ粒子は容易に破壊されることを示唆する。例えば、表9から、油状物質の内部量が2倍になることは、粒子の破壊につながる。粒子は、小胞の容量比率の増加に伴いより壊れ易くなる。
【0154】
このようなことが起こると、内部油状物質は外部油相へ浸出し、カプセル化効率は減少するであろう。外部油状相の粘着性及び攪拌中のせん断力等のようなその他の因子は、粒子の破壊の可能性を減少させるために調整し得る。
【0155】
3.熟成時間の影響
表10及び図42は、典型的な合成条件下(0.600gのTween 61を用いた)における色素のカプセル化効率及び粒子の形態における熟成時間の影響を示す。外部油相(疎水性媒体)中へOil1/W相(即ち、第一乳剤)を注いだ後、加水分解されたシ
リカ前駆体は非常に急速に縮合しミクロ粒子を生成した。その結果、攪拌時間10分において最も高いカプセル化効率が得られた。攪拌時間を長くすると、内部油状物質(疎水性物質)は外部油相へ浸出する機会がより増し、かくしてカプセル化効率が減少する。しかしながら、攪拌時間が短すぎると、それは粒子がろ過に耐え得る十分な強度を得る十分な時間を与えていないため、有利ではない。いくつかのSEM画像は軟質粒子の破壊を示す(図43)。粒子サイズは、種々の熟成時間で変化はなかったが、より多くの破壊された粒子がより長期の攪拌時間において観測された。
【0156】
4.メタノール蒸散及び添加の影響
TMOSの加水分解により生じるメタノールは両面乳剤構造を破壊する可能性があり得る。しかしながら、本発明の合成は、部分的にのみ安定な両面乳剤を必要とし、ゆえに、粒子の形態及びカプセル化効率に有意に影響を与えないで少量のメタノールを系において許容し得る。典型的な合成の間、加水分解及び縮合反応中に生じたメタノールを、ゾル−ゲル溶液及び内部油状乳剤の混合に先立って蒸散する。表11及び図44は、0.600gのTween 61を用いた典型的な合成条件下での粒子の形態及びカプセル化効率におけるアルコール蒸散(標準時間は1.5時間)の蒸散時間の影響を示す。
【0157】
これらの結果より、カプセル化効率は、蒸散時間の変動にかかわらず一定のままであり
、それ故蒸散工程は必要では無いことを示唆した。短鎖アルコールが粒子の形態に影響を与えるか、及びこの系においてどれ位の量のアルコールが許容され得るかを理解するために、典型的な合成条件下において4又は10mLのメタノールをゾル−ゲル溶液へ添加した。カプセル化効率は、4mL及び10mLのメタノールの場合にそれぞれ22.6%及び1.6%であり、一方、粒子サイズは前者が85±51μmであり、後者のは50±25μmであった。該SEM画像を図45に示す。
【0158】
メタノール添加はカプセル化効率を有意に減少させた。より多くのメタノールが用いられると、より少ない色素がシリカ粒子内部に残留した。粒子サイズはまたメタノールの添加により減少するが、しかし空洞のサイズは増大し、シリカマトリックス内の空洞の数は減少する(図45)。
【0159】
5.外部油相中のポリマーの影響
以前の研究では、水相中のPEG及び外部油相中のHPCの添加について、粒子の形態における効果について検討した。ここでは外部油相中へのポリマーの導入のみ検討した。HPC(ヒドロキプロピル セルロース、分子量:370,000)及びEC7(エチル
セルロース、分子量:64,400)を用いた。典型的な合成条件を用いたが、更なる詳細とともに表12及び13に示した。
【0160】
HPC添加は、製造された粒子のサイズ及び形態にほとんど影響を与えないと思われ(図46)、全ての場合において20ないし200μmのサイズ範囲が得られた。全ての場合において、粒子は、低Span 80濃度において淡青色に見えたが、Span 80濃度を0.6mol/Lに増加した場合、得られた粒子は濃青色であった。これは、カプセル化効率はSpan 80濃度の増加と共に増大すると言う先行研究と一致するものである。これらの結果は、HPC添加は粒子の形態にほとんど影響を与えず、カプセル化効率を改善しなかったことを示唆する。
【0161】
同様に、カプセル化効率はEC7の添加で改善せず、先行研究においてすでに確立されたように、Span 80濃度の増加に伴いのみ増大した。しかしながら大量のEC7は、多分外部油相の粘着性の増加により著しく小さなミクロ粒子を製造し(図47)粒子の直径に影響する。
【0162】
6.残余の界面活性剤に対する洗浄の影響
いくつかの方法を、粒子表面の残余の界面活性剤を減少させるために検討し、TGA/DTA結果を表14及び図48に示す。外部(第二)界面活性剤であるSpan 80は疎水性(HLB 4.3)であり、疎水性溶媒にのみ可溶である。極性溶媒は、これも又疎水性であるドープされた活性物質をも溶解するであろうため、粒子の洗浄に用い得ない。今まで確認された最良の洗浄方法は、まず塩溶液で洗浄し、ついで純水を用いてさらに洗浄する方法である。Tween 20(HLB 16.7)及びTween 80(HLB 15)のような親水性界面活性剤はSpan 80を除去せず、DTA(示差熱分析)による追跡において2つの発熱反応の燃焼丘を追認したように、粒子上残渣が残った。
【0163】
7.放出速度に対する合成pHの影響
シリカ粒子は、内部界面活性剤としてTween 61を用いた他は典型的な合成条件により合成した。図49からも分かるように、ほぼ100%の色素が48時間後に放出された。pH=1.64で製造した粒子からは、最初の1時間で約50%の色素が放出され、一方、pH=2で製造した粒子からは70%以上が放出された(図49挿入図)。pH=1で製造した粒子については、90%の色素が放出1時間後で放出された。攪拌6時間後、全ての種類の粒子においてほとんど色素が放出された。この時間の後、残留している
色素は48時間までに徐々に放出された。
【0164】
合成pHは、放出速度を制御する因子となるシリカマトリックスの形態に有意な影響を与えたと思われる。pH=2及びpH=1.64における放出速度の違いは、窒素吸収により示されたように異なる多孔質構造により説明し得る。先に考察したように、pHの低下と共にシリカマトリックスの細孔容量及び表面積は減少し、粒子は高密度になった。このように、緩徐な放出は予想し得るものである。さらに、pHの低下と共に粒子サイズが増大するため、油状物質は、より長い拡散経路を持ちさらに放出が減少する。
【0165】
8.放出速度に対する内部界面活性剤量の影響
pH=1において内部界面活性剤としてTween 61を用い粒子を合成した。SB−35のカプセル化効率(19.6wt.%)は、pH=2において合成した粒子の約50%であり、pH=2において合成した粒子の場合のようにTween 61の質量には依存しなかった。pH=1において製造した粒子サイズは、約106±58μmであり、種々の量のTween 61(150ないし600mg)で変化しないままであった。図50は、粒子のSEM画像を示し、該放出曲線を図51に示した。色素は、Tween 61を150及び300mg負荷した場合においては徐々に放出したが、一方、Tween 61の負荷量が600mgの場合においては最も早い放出速度が観測された。
【0166】
表15は、pH=1において種々の量の内部界面活性剤を用いて製造した場合のBET及びDFT結果を示し、図52は該試料の細孔サイズ分布を示す。全ての試料はDFT及びBETの測定によりほぼ同様のピーク細孔サイズを有していた。類似の疎水性色素(ソルベントブルー)のカプセル化効率(約19.6%)がこれらの条件の下で得られ、これは、疎水性物質のカプセル化はシリカマトリックスのメソ/ミクロ多孔性にほとんど依存しないことが示されたことを示唆する。先に考察したように、カプセル化効率は窒素吸収では測定されないマクロ多孔性と関連すると考えられる。それにもかかわらず、細孔サイズ分布は、シリカマトリックスを通して、小胞からの油状物質の放出を制御する重要な役割であると思われる。より大きな細孔サイズは放出を速める。あるいは、より多量の内部界面活性剤を用いたより速い放出は、放出においてトラップされた疎水性物質の可溶化を促進する事の出来る細孔内部にカプセル化され残留するより多量の界面活性剤に依存し得る。
【0167】
9.その他の疎水性物質のカプセル化
9.1.ジウロンのカプセル化
ジウロン(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア)[シグマ製、min.98%]、構造を下記に示す、現在の工程を用いカプセル化し得る。――。
【0168】
【化7】
【0169】
ジウロン、MW233.09、白色粉末
【0170】
ジウロンを定量する逆相HPLC(ウォーターズ製)方法を図53に示し、標準校正方程式は:ジウロン濃度が2μg/mLないし100μg/mLにおいて、Areapeak=
110340Cdiuron+37673(R2=0.9996)。
【0171】
粒子合成は先に述べた典型的な合成条件と同様にして行ったが、しかし全ての成分の量を半分にした。ジウロンは内部油状物質(疎水性物質)中に導入した:2mL(90mg/mL ジウロン THF溶液、THFはここでは内部油相として用いた)。内部油相は、ジウロン濃度が90mg/mLのTHF溶液である(ここでTHFは内部油相である)。
【0172】
合成の後、約50mgの生成物(即ち、粒子)を50mLのメタノール中へ添加し、懸濁液を3日間攪拌した。粒子は遠心分離により分離し、上澄を取り出し、HPLC分析の前に0.22ミクロンのセルロースフィルターでろ過した。反応物からの有機相を乾燥アセトンで希釈しろ過し、合成中に減少したジウロン量を測定した。該SEM画像を図54に示す。
【0173】
放出結果に基づくカプセル化効率の低値はメタノール中へ放出されるジウロンの分画に依存し得る(ジウロンの、メタノールへの溶解度は43mg/mL)。合成中に減少する量に基づく高いカプセル化効率は、洗浄中に水相へ通過したジウロンを考慮しないため幾分過大評価され得る。しかしながらジウロンの水への溶解性は低い(25℃において42mg/L)ため、この量は低いと予想される。
【0174】
9.2バジル香味オイルのカプセル化
バジル香味オイルは、クエスト インターナショナル社より提供された。主成分は:44.45%MCTオイル(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、10.00%バジルオイル(数種の植物性油脂を含む未知成分)、3.00%酢酸リナリル、及び27.50%のリナロールである。また、その他の成分の中には、オイゲノール及びオイカリプトールを含む。バジル香味オイルの密度は、20℃で0.9519g/mLである。リナロール(分子構造を下記に示す)は、バジル香味オイルのカプセル化のマーカーとして選択した。
【0175】
【化8】
【0176】
リナロール、MW154.25、無色液体
【0177】
標準溶液を(±)−リナロール(フルカ製、purum、95%以上GC)をメタノールに溶解し5ないし100μg/mLの範囲で調製した(原液:2.000mg/mL)。リナロールは、逆相HPLC(ウォーターズ製)Atlantis dC18 5μm、4.6x150mmカラム、流速1mL/分及び波長208nmにおいて紫外可視検出器により定量した。注入量は20μLで、移動相は下記のように変化させた。
【0178】
時間(分) H2O % MeOH %
1 50 50
2 50 50
20 5 95
22 5 95
25 50 50
30 50 50
【0179】
標準校正方程式は:Areapeak=2.54x104 Clinalool+2.98x105(
R2=0.99925)。バジル香味オイル中のリナロール濃度は31.52wt.%と
測定された。
【0180】
粒子合成は、典型的な合成条件と同様にして行ったが、全ての成分の量を半分にした。合成後、約1gの生成物を20.00mLのメタノールと混合し、懸濁液を2週間激しく攪拌した。粒子は遠心分離により分離し、上澄を取り出し、HPLC分析の前に0.22ミクロンのセルロースフィルターでろ過した。合成物からの有機相を乾燥アセトンで希釈しろ過し、カプセル化工程中に減少したリナロール量を測定した。実験結果を表17に示す。リナロールのカプセル化効率はバジルオイルのと同一であると見なされた。
【0181】
粒子から放出されたリナロールの量に基づくカプセル化効率は、内部界面活性剤として0.3gのTween 21を用い製造した粒子の場合約2ないし3%であった。内部界面活性剤量を二倍にした後では、より少ないリナロールがカプセル化された。カプセル化効率が有機相中で減少したリナロール量を用いて計算するならば、カプセル化効率は、ただ一回40%であった場合を除き、おおよそ15%である。カプセル化効率を測定する2種の方法の違いは、多分粒子を乾燥する間のリナロールの蒸散及び/又はシリカ粒子の不完全な回収に依存し得る。図55は、種々の合成パラメーターを用いて製造した粒子の形態を表す。類似の粒子サイズ及びサイズ分布は種々の条件において観測された。
【0182】
結論
O/W/O両面乳剤を利用したゾル−ゲル工程は、シリカミクロスフェア中の疎水性種をカプセル化するのに成功裏に用いられた。内部界面活性剤、内部油状物質量、混和時間等の種々の工程パラメーターは、カプセル化効率及び粒子の形態への影響を検討するために変更した。ゾル−ゲル反応工程のパラメーターを変更することによりサイズ分布を変化させるのと同様に、シリカミクロスフェア内部にカプセル化された疎水性物質の量を変更することは可能であった。
【0183】
カプセル化効率は、内部界面活性剤の種類、系内へ導入された内部油状物質の量、混和時間及びゾル−ゲル溶液中の過剰のメタノールを変更することにより制御し得る。SRM分析結果は、カプセル化効率の傾向と一致する。種々の観測されたマクロ多孔性(即ち、油状液滴がとどまっている小胞)はカプセル化効率に伴い増加することが示された。カプセル化効率が低い場合は、マクロ多孔質は観測されなかった。
【0184】
粒子サイズは内部及び外部界面活性剤の量及びpHを変更することで制御し得る。内部界面活性剤の濃度が増加すると、粒子サイズは低下する。これは、過剰の内部界面活性剤が第二界面活性剤と相互作用し、かくして粒子サイズに影響すると示唆される。さらに、pHが低下した場合、粒子サイズは有意に増加する。
【0185】
カプセル化された油状物質の放出は、シリカマトリックスの多孔性を制御することにより制御し得る。これは、親水性相のpHを調整することにより制御し得る。pHが2未満の場合、細孔の量及び細孔のサイズは減少し、しかして油状物質の放出は遅くなる。
【0186】
上記の結果は本発明の工程がシリカミクロスフェア中の疎水性種のカプセル化を可能に
し、その放出を制御とすることを示すものである。この有用な技術は、化粧クリーム、香水、薬剤、食品及びクリーニング剤等の分野で生成物の放出における用途の可能性を有する。
【0187】
表1:使用した界面活性剤及びポリマーの特性
【表1】
【0188】
【化9】
【0189】
【化10】
【0190】
表2:前駆体混合物と共に製造したシリカスフェアのSB−35カプセル化効率
【表2】
【0191】
表3:SB−35/リモネンドープされたシリカスフェアの合成条件
【表3】
【0192】
表4:SB−35/リモネンドープされたシリカスフェアの合成条件
【表4】
【0193】
表5:図27の先行工程及び本発明の工程の比較
【表5】
【0194】
表6:種々の非イオン性界面活性剤と量を変化させた場合の合成結果(pH=2)
【表6】
【0195】
E.E.:SB−35(ソルベントブルー−35)のカプセル化効率
*SEM画像を図38に示す。平均粒径及び標準偏差はSEM画像からの20粒子の測定
結果をもとに計算した。
【0196】
表7:種々の量におけるTween61及びTween81による合成(pH=2)結果
【表7】
【0197】
*SEM画像を図39に示す。平均粒径及び標準偏差はSEM画像からの20粒子の測定結果をもとに計算した。
【0198】
表8:種々の内部計面活性剤におけるBET結果
【表8】
【0199】
表9:粒子サイズ及びカプセル化効率に対する内部界面活性剤及び油状物質の量の影響
【表9】
【0200】
表10:粒子サイズ及びカプセル化効率に対する熟成時間の影響
【表10】
【0201】
表11:粒子サイズ及びカプセル化効率に対するメタノール蒸散時間の影響
【表11】
【0202】
表12:HPC添加の実験条件
【表12】
【0203】
*:(1)外部油相に添加したヘキサノールに溶解した25wt% HPC。
(2)外部油相として用いた5wt.% HPC デカノール溶液。
【0204】
表13:EC7添加の実験条件*
【表13】
【0205】
*EC7はシクロヘキサン中へ直接添加した。
【0206】
表14:種々の洗浄方法でのTGA/DTA結果
【表14】
【0207】
*:TGA/DTA図を図48に示した。
【0208】
表15:種々の量の内部界面活性剤(pH1)におけるBET及びDFT結果
【表15】
【0209】
表16:ジウロンカプセル化シリカミクロ粒子の実験結果
【表16】
【0210】
1:回収率=(粉末中のジウロン+有機相中のジウロン)/添加したジウロン
2:EE=粉末中のジウロン/添加したジウロン
3:EE(添加したジウロン−有機相中の損失したジウロン)/添加したジウロン
【0211】
表17:バジル油(クエスト インターナショナル)カプセル化シリカミクロ粒子のHPLC結果
【表17】
【0212】
1:回収率=(粉末中のリナロール+有機相中のリナロール)/添加したリナロール
2:EE=粉末中のリナロール/添加したリナロール
3:EE=(添加したリナロール−有機相中の損失したリナロール)/添加したリナロール
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】図1は、本発明のセラミック粒子の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、粒子の合成における本発明の両面乳剤液滴の概略構造を示す図である。
【図3】図3は、Span 80濃度が(a)0.26mol/L、(b)0.45mol/L、(c)0.60mol/L、(d)0.75mol/L、及びその他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いて作成された、ろ過前20分間の縮合直後に得られた本発明のシリカ粒子の光学顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、種々のSpan 80濃度が(a及びb)0.26mol/L、(c及びd)0.45mol/L、(e及びf)0.60mol/L、(g及びh)0.75mol/Lを用いて作成した、本発明のミクロサイズのシリカ粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。その他の条件は実施例に記載の典型的合成条件と同様の条件を用いた。
【図5】図5は、(a及びb)二種類の倍率における電子顕微鏡写真、(c及びd)位相差X線ミクロ断層画像、及び(d)X線画像を示す。全ての画像は、実施例における典型的な合成条件を用いて製造されたシリカ粒子の典型的な形態を示す。
【図6】図6は、Tween 21(a)1.322mmol、(b)0.665mmol、(c)0.326mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図7】図7は、Tween 20:(a)1.313mmol、(b)0.661mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図8】図8は、Tween 80:(a)1.317mmol、(b)0.659mmol、(c)0.329mmolを用い、図6に記載したその他の実験条件を用いて製造したシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図9】図9は、水対TMOSモル比が(a)2;(b)3;(c)4;(d)5;(e)6;(f)8;(g)16において、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween−21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) pH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いた粒子のサイズ及び分布が示された本発明のシリカ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、粒子形成におけるORMOSILの影響を図示した電子顕微鏡写真を示し、(a)100mol% TMOS;(b)75mol% TMOS及び25mol% VTMS;(c)75mol% TMOS及び75mol% PTMS;(d)75mol% TMOS及び25mol% MTMS;であり、その他の実験条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;Tween 21 0.575mmol;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;全シリコン前駆体 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 30.03mmol、及び(e)においては、Span80を90mmolにした以外は(d)と同様の条件を用いて製造し、及び(f)においては、Span80を90mmolにした以外は(b)と同様の条件を用いて製造した。
【0214】
【図11】図11は、TEOS水溶液とTEOSのモル比が(a)2;(b)4;(c)8;(d)16、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35(ソルベントブルー35)を含有する0.400mLドデカン溶液;Tween21 0.665mmol;H2O(1)及びH2O(2) のpH2 HNO3溶液;TEOS 29.650mmol;エタノール118.6mmol(ゾル−ゲル溶液に添加);Oil2 225mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 58.33mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図12】図12は、疎水性界面活性剤としてSpan 20を用い、Tween 21濃度が(a)0.575mmol;(b)0.968mmol;(c)1.314mmol;(d)1.724mmol;(e)2.107mmol;(f)2.490mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.800mgのSB−35を含有する0.400mLドデカン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol;Oil2 185mL シクロヘキサン;Surf2 Span 20 59.17mmolを用いて製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図13】図13は、Tween 20及びTween 80:(a)Tween 20 0.245mmol;(b)Tween 80 0.229mmolを用い、図11に記載したその他の実験条件は同様にして製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図14】図14は、親水性ドメインにPEG(ポリエチレングリコール)及び種々の親水性界面活性剤と外部油相が混合された疎水性ドメインへHPC(ヒドロキシプロピル セルロース)を添加し、表3に記載した実験条件により製造されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図15】図15は、表4に示した実験条件によりPEG及びHPCの存在下種々の親水性界面活性により製造された粒子形態を表す電子顕微鏡写真を示す。
【図16】図16は、Tween 21量が(a)0.958mmol、(b)2.874mmol、(c)3.831mmol、及びその他の条件が、Oil1 0.720mgのSB−35を含有する0.360mLリモネン溶液;H2O(1)及びH2O(2) 1.068mLのpH2 HNO3溶液;TMOS 29.650mmol、Oil2 150mL シクロヘキサン;Surf2 Span 80 90mmolである条件を用いて、リモネンを内部油相として種々の親水性界面活性剤の濃度において合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図17】図17は、レチノール量0.210gでの実施例の典型的な合成における、それぞれの成分量を40%としたカプセル化されたレチノールを用いたシリカ粒子のSEM画像を示す。
【図18】図18は、(a)Span 80 90mmolのシクロヘキサン150mL;(b)Span 80 45mmolのシクロヘキサン75mLとした以外は典型的な合成条件と同様の実験条件における、2倍及び4倍量の内部含有量を添加することにより製造した粒子のSEM画像を示す。
【図19】図19は、本発明のシリカ粒子において、粒子表面へ残留した界面活性剤を評価するためのTGA(熱質量分析)及びDTA(示差熱分析)結果を示す。
【図20】図20は、1)Tween 21を内部界面活性剤として用いた、本発明(“両面乳剤”)の工程で製造した、及び2)WO1/62232の“工程1”を用い製造した2種の粒子試料の吸収等温線を示す。
【0215】
【図21】図21は、シクロヘキサン及びドデカン中の本発明のシリカミクロ粒子からの、SB−35の放出速度を示す図である。
【図22】図22は、本発明のレチノールでドープされたシリカ粒子のTGA及びDTA結果を示す。それぞれの成分の含有量は典型的な合成におけるレチノール0.210gの40%である。
【図23】図23は、エタノールに溶解した種々の濃度におけるレチノールのUV/Visスペクトルを示す。
【図24】図24は、本発明におけるレチノールでドープされた粒子と対照粒子の拡散反射スペクトルを示す。
【図25】図25は、リモネン測定における典型的なHPLCクロマトグラムを示す。
【図26】図26は、本発明の典型的な単一シリカミクロスフェアの断面図の概略を表す図である。
【図27】図27は、先行する方法による粒子の合成工程のフローチャートである。
【図28】図28は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間が(a)7時間、(b)24時間として、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
【図29】図29は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を(a)100rpm、(b)250rpm、(c)500rpmとして、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子のTEM画像である。
【図30】図30は、図27に記載の先行する方法をもとに、反応時間を24時間とし、両面乳剤の生成中攪拌速度を250rpmとして、本発明の発明者らが製造したレチノールでドープされたシリカ粒子のTEM画像である。
【0216】
【図31】図31は、図27に記載の先行する方法をもとに、本発明の発明者らが製造したシリカ粒子の吸収等温線を示す図である。
【図32】図32は、図31の試料のDRIFT(拡散反射赤外フーリエ変換)スペクトル(650−4000cm-1)を示す図である。
【図33】図33は、(a)図31の試料及び本発明の粒子(“ANSTO粒子”)のDRIFTスペクトル(1300−2000cm-1)を示す図であり、及び(b)図31の試料、HPC及び本発明の粒子のDRIFTスペクトル(2700−3100cm-1)を示す図である。
【図34】図34は、図31のシリカ粒子の表面に残留する界面活性剤を評価するTGA及びDTA結果を示す図であり、(a)アセトン洗浄、(b)水洗浄を示す。
【図35】図35は、種々のpH;(a)1.640、(b)1.000、(c)0.602、(d)0.301において、その他の実験条件は典型的な合成に記載のものを用いて合成されたシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【図36】図36は、各pHにおけるBET表面積の結果を示す図である。
【図37】図37は、本発明の粒子の図を表したものである。
【図38】図38は、種々の内部界面活性剤:(a)NP−5;(b)NP−6;(c)NP−9;(d)Triton X−100;(e)Triton X−114;(f)Brij 30;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図39】図39は、Tween 61及びTween 81を(a)Tweem 61/0.3g;(b)Tween 61/0.6g;(c)Tween 61/1.2g;(d)Tween 81/0.3g;(e)Tween 81/0.6g;(f)Tween 81/1.2g;を用い製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図40】図40は、種々の内部界面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の吸着等温線を示す図である。
【0217】
【図41】図41は、種々の内面活性剤を用いて製造したシリカ粒子の、DTF(密度関数理論)モデルを用いた細孔径分布を示す図である。
【図42】図42は、種々の熟成時間:(a)5分;(b)10分;(c)20分;(d)40分、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図43】図43は、軟質粒子の割れ目を表すSEM顕微鏡写真を示す図である。
【図44】図44は、種々メタノール蒸散時間:(a)1.5時間;(b)1時間;(c)0.5時間;(d)蒸散なし、におけるシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図45】図45は、メタノール導入:(a)4mL;(b)10mL、で製造したシリカミクロ粒子のSEM画像を示す図である。
【図46】図46は、Span 80(0.2mol/L)及びHPC:(a)4g;(b)8g;(c)16gを用い、HPC添加した粒子のSEM画像を示す図である。
【図47】図47は、(a)Span 80;0.4mol/L、EC7:5g;(b)Span 80:0.2mol/L、EC7;2.4g;(c)Span 80:0.3mol/L、EC7:2.4g;(d)Span 80:0.4mol/L、EC7:2.4gを用い、EC7添加した粒子のSEM画像を示す図である。
【図48】図48は、種々の洗浄方法(a)3x15mL 1mol/L NaCl及び3x15mL水で洗浄;(b)6x15mL水で洗浄;(c)Tween 20 0.05% 6x15mLで洗浄;(d)Tween 80 0.05% 6x15mLで洗浄のTGA/DTA追跡を表す図である。
【図49】図49は、エタノールを放出媒体として用いた放出速度における合成pHの影響を説明する、色素放出の経時変化を示す図である。
【図50】図50は、典型的な合成条件下において、Tween 61(a)150mg及び(b)300mgを内部界面活性剤とし用いてpH1において合成した粒子のSEM画像を示す図である。
【0218】
【図51】図51は、Tween 61を内部界面活性剤として種々の量で用い、pH1において合成されたシリカ粒子のソルベントブルー放出曲線を示す図であるが、ここで色素はエタノール中へ放出される。
【図52】図52は、種々の量の内部界面活性剤を用い、pH1において合成されたシリカ粒子のDFTモデルによる細孔径分布を示す図である。
【図53】図53は、メタノール中のジウロン濃度を2−100μg/mLで用いたジウロン測定のHPLC追跡結果を示す図である。
【図54】図54は、カプセル化されたジウロンのシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【図55】図55は、(a)Tween 21:0.3g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.3g、バジル油 0.70mL;(c)Tween 21:0.6g、バジル油 0.35mL;(b)Tween 21:0.6g、バジル油 0.70mLを用いて作成されたカプセル化されたバジル油のシリカ粒子のSEM画像を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;
−疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有するmultiple emulsion(多重乳剤)を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させるが;ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加されるものである工程を含む、粒子の製造方法。
【請求項2】
前記多重乳剤を提供する工程が、
−第一乳剤を提供する工程;及び
−多重乳剤を形成する為に疎水性媒体中に第一乳剤を分散する工程、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多重乳剤がoil−in−water−in−oil(油中水中油型、O/W/O)double emulsion(両面乳剤)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子がセラミック粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体がセラミック前駆体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体が加水分解性シラン、少なくとも部分的に加水分解されたシラン、部分的架橋性シラン又はこれらのいずれか二種以上の混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記疎水性相が疎水性物質に加えて疎水性希釈剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一乳剤が、少なくとも部分的に第一乳剤を安定化させる第一界面活性剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記親水性相が水相である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、及びこれらのいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記両面乳剤が、少なくとも部分的に多重乳剤を安定化させる第二界面活性剤を有する、請求項1項に記載の方法。
【請求項12】
界面活性剤以外の乳化安定剤を添加しない、請求項1項に記載の方法。
【請求項13】
第一乳剤がミクロ乳剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第一乳剤が約10nmないし約50ミクロンの平均液滴直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記多重乳剤が約0.1ないし約1000ミクロンの平均液滴粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第一乳剤を提供する工程が、
−疎水性相を水及び第一界面活性剤と第一混合物を生成するように混合する工程;
−架橋性種を、前駆体および水を含有する第二混合物を得るように水と混合する工程であって、ここで架橋性種は前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下前駆体を生成するように反応する工程;及び
−第一混合物及び第二混合物を混合させる工程、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
多重乳剤中の前記第一乳剤の比率が質量又は容量を基準に約1%ないし約30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性媒体中の第一乳剤を分散させる工程は、
−疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;及び
−第三混合物と第一乳剤を混合する工程、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体が反応しマトリックスを形成する工程が、粒子を形成するに十分な時間、多重乳剤を熟成させる工程からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
−疎水性媒体から粒子を少なくとも部分的に分離する工程、
−粒子を洗浄する工程、及び
−粒子を乾燥する工程、のうち1以上の工程を付加的に含む方法である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
疎水性媒体より粒子を少なくとも部分的に分離する工程と、そしてさらに約1時間ないし約24時間粒子を熟成させる工程を含む、請求項1項に記載の方法。
【請求項22】
該反応工程が、
−多重乳剤中の前駆体を反応させ疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成し、該疎水性物質は該粒子より放出可能なものである、反応工程を含む請求項1に記載のいずれか1つの方法。
【請求項23】
疎水性物質をその中へ有する粒子であって、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中で前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加される工程、
を含む方法により製造される粒子。
【請求項24】
疎水性物質を含有する粒子であって、
該粒子が複数の別個の空洞(cavity)、セル、中空(hollow)又は分室を有し、ここで少なくとも疎水性物質の一部が別個の空洞、セル、中空又は分室中に局在している、疎水性物質をその中に含有する粒子。
【請求項25】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、及びこれらのいずれか2以上の混合物からなる群から選択される、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項26】
界面活性剤の他には、いかなる増粘剤または乳化安定剤をもその中又はその上に含有しない、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項27】
セラミック粒子である、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項28】
前記粒子が約0.1ないし50%w/w又はw/vの疎水性物質を含有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項29】
空洞(cavity)、セル、中空(hollow)又は分室が、約50nmないし約50ミクロンの平均直径を有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項30】
実質的に球形である、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項31】
約0.1ないし約1000ミクロンの平均粒径を有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項32】
シリカ、架橋性シラン又はシロキサン、加水分解されたシラン又はシロキサン、シリカ様物質、又はポリシルセスキオキサンを含有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項33】
一定期間にわたり、疎水性物質を放出可能な、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項34】
前記疎水性物質の放出速度が、粒子の細孔径と相関関係にある、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項35】
疎水性物質を放出可能な、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項36】
被験者の疾患を治療する方法であって、被験者へ治療上の有効量の粒子を投与することを含み、該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように多重乳剤中で前駆体を反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加され、そしてここで粒子の疎水性物質は該粒子より放出可能であって、及び疾患に適切なものである工程;
を含む方法により製造された粒子である、被験者の疾患を治療する方法。
【請求項37】
前記疎水性物質が薬剤又はその他の治療用薬剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記薬剤が抗がん剤である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患が、癌、AIDS、関節炎、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧及び疼痛からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患が、薬剤又はその他の治療用薬剤が長期にわたり被験者へ投薬されるべきものである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧及び疼痛からなる群より選択される疾患の治療用薬剤の製造のための粒子の使用であって、
ここで、該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有するが、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように多重乳剤中で前駆体を反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加され、及びここで疎水性物質は該粒子より放出可能であって、疾患に適切なものである工程;
を含む方法により製造されたものである、粒子の使用。
【請求項42】
疎水性物質を送達(デリバリー)する方法であって、該方法は粒子からの疎水性物質を放出可能な媒体へ疎水性物質を含有する複数の粒子を曝露させることを含む方法であって、該疎水性物質は粒子より放出可能であり、
該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有するが、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中で前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加される工程;
を含む方法により製造されたものである、疎水性物質を送達(デリバリー)する方法。
【請求項43】
前記媒体が疎水性物質を溶解可能なものである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質からなる群より選択される、請求項42又は請求項43に記載の方法。
【請求項1】
疎水性物質をその中へ含有する粒子の製造方法であって、該方法は;
−疎水性媒体中へ分散された第一乳剤を含有するmultiple emulsion(多重乳剤)を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中へ分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中の前駆体を、疎水性物質をその中へ含有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させるが;ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加されるものである工程を含む、粒子の製造方法。
【請求項2】
前記多重乳剤を提供する工程が、
−第一乳剤を提供する工程;及び
−多重乳剤を形成する為に疎水性媒体中に第一乳剤を分散する工程、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多重乳剤がoil−in−water−in−oil(油中水中油型、O/W/O)double emulsion(両面乳剤)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子がセラミック粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体がセラミック前駆体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体が加水分解性シラン、少なくとも部分的に加水分解されたシラン、部分的架橋性シラン又はこれらのいずれか二種以上の混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記疎水性相が疎水性物質に加えて疎水性希釈剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一乳剤が、少なくとも部分的に第一乳剤を安定化させる第一界面活性剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記親水性相が水相である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、及びこれらのいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記両面乳剤が、少なくとも部分的に多重乳剤を安定化させる第二界面活性剤を有する、請求項1項に記載の方法。
【請求項12】
界面活性剤以外の乳化安定剤を添加しない、請求項1項に記載の方法。
【請求項13】
第一乳剤がミクロ乳剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第一乳剤が約10nmないし約50ミクロンの平均液滴直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記多重乳剤が約0.1ないし約1000ミクロンの平均液滴粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第一乳剤を提供する工程が、
−疎水性相を水及び第一界面活性剤と第一混合物を生成するように混合する工程;
−架橋性種を、前駆体および水を含有する第二混合物を得るように水と混合する工程であって、ここで架橋性種は前駆体であるか、又は架橋性種が水の存在下前駆体を生成するように反応する工程;及び
−第一混合物及び第二混合物を混合させる工程、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
多重乳剤中の前記第一乳剤の比率が質量又は容量を基準に約1%ないし約30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性媒体中の第一乳剤を分散させる工程は、
−疎水性媒体及び第二界面活性剤を含有する第三混合物を提供する工程;及び
−第三混合物と第一乳剤を混合する工程、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体が反応しマトリックスを形成する工程が、粒子を形成するに十分な時間、多重乳剤を熟成させる工程からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
−疎水性媒体から粒子を少なくとも部分的に分離する工程、
−粒子を洗浄する工程、及び
−粒子を乾燥する工程、のうち1以上の工程を付加的に含む方法である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
疎水性媒体より粒子を少なくとも部分的に分離する工程と、そしてさらに約1時間ないし約24時間粒子を熟成させる工程を含む、請求項1項に記載の方法。
【請求項22】
該反応工程が、
−多重乳剤中の前駆体を反応させ疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成し、該疎水性物質は該粒子より放出可能なものである、反応工程を含む請求項1に記載のいずれか1つの方法。
【請求項23】
疎水性物質をその中へ有する粒子であって、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中で前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加される工程、
を含む方法により製造される粒子。
【請求項24】
疎水性物質を含有する粒子であって、
該粒子が複数の別個の空洞(cavity)、セル、中空(hollow)又は分室を有し、ここで少なくとも疎水性物質の一部が別個の空洞、セル、中空又は分室中に局在している、疎水性物質をその中に含有する粒子。
【請求項25】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、触媒、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質、及びこれらのいずれか2以上の混合物からなる群から選択される、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項26】
界面活性剤の他には、いかなる増粘剤または乳化安定剤をもその中又はその上に含有しない、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項27】
セラミック粒子である、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項28】
前記粒子が約0.1ないし50%w/w又はw/vの疎水性物質を含有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項29】
空洞(cavity)、セル、中空(hollow)又は分室が、約50nmないし約50ミクロンの平均直径を有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項30】
実質的に球形である、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項31】
約0.1ないし約1000ミクロンの平均粒径を有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項32】
シリカ、架橋性シラン又はシロキサン、加水分解されたシラン又はシロキサン、シリカ様物質、又はポリシルセスキオキサンを含有する、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項33】
一定期間にわたり、疎水性物質を放出可能な、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項34】
前記疎水性物質の放出速度が、粒子の細孔径と相関関係にある、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項35】
疎水性物質を放出可能な、請求項23又は請求項24に記載の粒子。
【請求項36】
被験者の疾患を治療する方法であって、被験者へ治療上の有効量の粒子を投与することを含み、該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有し、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように多重乳剤中で前駆体を反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加され、そしてここで粒子の疎水性物質は該粒子より放出可能であって、及び疾患に適切なものである工程;
を含む方法により製造された粒子である、被験者の疾患を治療する方法。
【請求項37】
前記疎水性物質が薬剤又はその他の治療用薬剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記薬剤が抗がん剤である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患が、癌、AIDS、関節炎、糖尿病、ホルモン機能障害、高血圧及び疼痛からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患が、薬剤又はその他の治療用薬剤が長期にわたり被験者へ投薬されるべきものである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
癌、糖尿病、AIDS、ホルモン機能障害、高血圧及び疼痛からなる群より選択される疾患の治療用薬剤の製造のための粒子の使用であって、
ここで、該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有するが、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように多重乳剤中で前駆体を反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の形成に先行して添加され、及びここで疎水性物質は該粒子より放出可能であって、疾患に適切なものである工程;
を含む方法により製造されたものである、粒子の使用。
【請求項42】
疎水性物質を送達(デリバリー)する方法であって、該方法は粒子からの疎水性物質を放出可能な媒体へ疎水性物質を含有する複数の粒子を曝露させることを含む方法であって、該疎水性物質は粒子より放出可能であり、
該粒子は、
−疎水性媒体中に分散された第一乳剤を含有する多重乳剤を提供する工程であって、
該第一乳剤は親水性相中に分散された疎水性相を含有するが、ここで疎水性相は疎水性物質及び非流動性マトリックスを形成するように反応可能な前駆体を含有する親水性相を含有する工程;及び
−多重乳剤中で前駆体を、疎水性物質をその中へ有する粒子の形態でマトリックスを形成するように反応させる工程であって、ここで前駆体は多重乳剤の生成に先行して添加される工程;
を含む方法により製造されたものである、疎水性物質を送達(デリバリー)する方法。
【請求項43】
前記媒体が疎水性物質を溶解可能なものである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記疎水性物質が、蛍光染料、放射性医薬品、薬剤、酵素、ホルモン、殺生物剤、香料、香気物質からなる群より選択される、請求項42又は請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3−2】
【図4】
【図4−2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9−2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14−2】
【図15】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図35−2】
【図36】
【図37】
【図38−1】
【図38−2】
【図38−3】
【図39−1】
【図39−2】
【図39−3】
【図40−1】
【図40−2】
【図40−3】
【図41】
【図42−1】
【図42−2】
【図43】
【図44−1】
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【図45】
【図46−1】
【図46−2】
【図47−1】
【図47−2】
【図48a】
【図48b】
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【図48d】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図2】
【図3】
【図3−2】
【図4】
【図4−2】
【図5】
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【図9−2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14−2】
【図15】
【図15−2】
【図16】
【図17】
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【図19】
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【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図35−2】
【図36】
【図37】
【図38−1】
【図38−2】
【図38−3】
【図39−1】
【図39−2】
【図39−3】
【図40−1】
【図40−2】
【図40−3】
【図41】
【図42−1】
【図42−2】
【図43】
【図44−1】
【図44−2】
【図45】
【図46−1】
【図46−2】
【図47−1】
【図47−2】
【図48a】
【図48b】
【図48c】
【図48d】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【公表番号】特表2008−546614(P2008−546614A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516079(P2008−516079)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000852
【国際公開番号】WO2006/133518
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500461941)オーストラリアン ニュークリア サイエンス アンド テクノロジー オーガニゼーション (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000852
【国際公開番号】WO2006/133518
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500461941)オーストラリアン ニュークリア サイエンス アンド テクノロジー オーガニゼーション (11)
【Fターム(参考)】
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