説明

疾患に関連する核酸を検出する方法

【課題】試料物質から、目的とする核酸情報を簡便に、短時間に、且つ正確に、回収することが可能な方法を提供する。
【解決手段】特定疾病に曝された個体の核酸についての第1の情報と前記個体に存在する病原微生物からの核酸についての第2の情報とを得る方法であって、前記病原微生物が当該特定疾患に関連し、以下を具備する方法;
(a)当該個体からの核酸の抽出物と、第1のプローブと第2のプローブとを具備するプローブ固定化基体とを反応させることと、ここで、前記第1のプローブは当該病原微生物の特定の核酸配列の存在を検出し、前記病原微生物は前記特定疾患に関連し、および前記第2のプローブは前記個体の特定の核酸の存在を検出する;並びに
(b)(a)の前記反応の結果、もしあれば、前記第1のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより前記第1の情報を得ることと、およびもしあれば、前記第2のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより第2の情報を得ること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体から得た疾患に関連する核酸についての情報を得る方法に関する。本発明は、個体の核酸に関する情報、並びに疾患に関して得られる核酸の情報、特に疾患に関連する病原微生物の核酸に付いての情報を得る方法に関する。
【0002】
また、本発明はプローブ固定化基体、特に前記方法に使用するためのプローブ固定化チップに関する。
【背景技術】
【0003】
DNAチップによる遺伝子検査技術が注目は(Beattie et al., Clin Chem 39: 719-22, Fodor et al., Science, 251, 767 (1991), Khrapko et al., FEBS Lett, 256, 118 (1989), and Southern et al., Nucleic Acids Res., 22, 1368 (1994))に開示されている。DNAチップは、配列の異なる複数種類のDNAプローブを固定化した数cm角のガラスやシリコンのチップである。このようなチップ上のDNAプローブに対して、蛍光色素や放射線同位元素(RI)等で標識した試料核酸、あるいは未標識の試料核酸と標識オリゴヌクレオチドの混合物を反応させる。チップ上に固定化されたDNAプローブに対して相補的な配列が試料中に存在すると、チップ上の特定部位において使用された標識に由来する信号が得られる。従って、固定化されたDNAプローブの配列(sequence)と位置が予め分っていれば、試料核酸中に存在する塩基配列(sequence)を調べることができる(Pease et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 5022 (1994), Parinov et al., Nucleic Acids Res., 24, 2998 (1996))。
【0004】
患者から得た血液などの試料物質を得、その試料物質から核酸を抽出することにより、その患者固有の核酸が得られる。その患者固有の核酸を、更に、遺伝子解析に供すれば、ある疾病に対する罹患しやすさ、薬の効きやすさ、および/または副作用の生じやすさなど、患者の体質に関係する情報を得ることが可能である。その結果、その患者に特異的な情報を得ることが可能である。個々の患者に特異的に設計された治療法を「テーラーメイド医療」という。
【0005】
テーラーメイド医療を行うに際しては、患者から抽出した試料物質から、より正確かつ簡便にその疾病に対する治療法を予測する方法の開発が求められている。
【非特許文献1】Beattie et al., Clin Chem 39: 719-22, Fodor et al., Science, 251, 767 (1991)
【非特許文献2】Khrapko et al., FEBS Lett, 256, 118 (1989)
【非特許文献3】Southern et al., Nucleic Acids Res., 22, 1368 (1994)
【非特許文献4】Pease et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 5022 (1994)
【非特許文献5】Parinov et al., Nucleic Acids Res., 24, 2998 (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、試料物質から、目的とする核酸情報を簡便に、短時間に、且つ正確に、回収することが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段は、特定疾病に曝された個体の核酸についての第1の情報と前記個体に存在する病原微生物からの核酸についての第2の情報とを得る方法であって、前記病原微生物が当該特定疾患に関連し、以下を具備する方法;
(a)当該個体からの核酸の抽出物と、第1のプローブと第2のプローブとを具備するプローブ固定化基体とを反応させることと、ここで、前記第1のプローブは当該病原微生物の特定の核酸配列の存在を検出し、前記病原微生物は前記特定疾患に関連し、および前記第2のプローブは前記個体の特定の核酸の存在を検出する;および
(b)(a)の前記反応の結果、前記第1のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより前記第1の情報を得ることと、および前記第2のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより第2の情報を得ること:並びに
基体と、
病原微生物の特定の核酸配列の存在を検出するために、当該基体に固定化されの第1プローブと、ここで、前記微生物は特定疾患に関連する、
個体の特定の核酸の存在を検出するための、前記基体に固定化され且つ第1プローブとは異なる塩基配列を有する第2のプローブと、ここで、前記個体の前記核酸は、当該疾患の治療に対する反応性に関係する、
を具備するプローブ固定化基体:
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、試料物質から、目的とする核酸情報を簡便に、短時間に、且つ正確に、回収することが可能な方法が提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、疾患に曝されている個体からの核酸についての情報を得る方法に関する。当該個体は、前記疾患の初期または後期段階にある個体であってもよい。また、当該個体は、前記疾患に対する罹患が疑われる個体または将来罹患することが疑われる個体であってもよい。
【0010】
本発明は、当該個体と当該疾患の両者からの核酸情報の相関関係に関する。ここで開示される態様において、当該個体は、例えば、ウイルス、バクテリア、酵母またはマイコプラズマなどの病原微生物に関連する疾患に曝されている。また、本発明は、前記個体に存在する病原微生物から得られた核酸情報と、前記個体からの核酸との相関関係に関する。
【0011】
従って、1側面において、本発明は、
個体の特定の疾患に関連する核酸についての情報、特に、前記個体の疾患の治療に対する感受性と関連する核酸についての情報と、
前記個体に存在する病原微生物に由来する前記特的疾患に関連する核酸についても情報と
を得るための方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記個体からの核酸および前記病原微生物からの核酸の同定において使用される特異的核酸プローブに関連する。
【0013】
幾つかの態様において、当該核酸プローブは、チップのような基体に固定化されている。また、本発明は、当該方法において使用するための、プローブ固定化基体、例えば、プローブ固定化チップ、に関する。その他の基体、例えば、DNAキャピラリ電気泳動装置、ビーズなど、メンブランベースアレイ、マイクロタイタープレート、電極、半導体を基礎とするデバイスなど、導波性物質など、表面プラスモン共鳴(Surface plasmon resonance; 以下SPRと記す)、クオーツクリスタルマイクロバランス(Quartz crystal microbalance; 以下QCMと記す)、および質量分析(Mass-spectroscopy)も本発明に使用され得る。更に、対立遺伝子特異的オリゴハイブリダイゼーション、制限方法(マイクロタイターアレイ・ダイアゴナル・ゲル電気泳動;microtitierarray diagonal gel electrophoresis)、ライゲーション法(パッドロックプローブ(padlock probe)、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、色素標識オリゴヌクレオチドライゲーション)、ヌクレオチドインコーポレーション(ミニシーケンシング、テンプレート−ディレクテット・ダイ−ターミネーションアッセイ(template-directed dye-termination assay))、およびインベーダーアッセイ(invader assay)も、本発明で使用することが可能である。他の一般的な溶液中でのハイブリダイゼーション技術も本発明において使用することが可能であり、例えば、増幅法(ポリメラーゼ連鎖反応;PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(nucleic acid sequence-based amplification;NASBA)、ストランドディスプレースメント増幅(strand displacement amplification;SDA)、ループ−メディエイト・イソサーマル増幅(loop-mediated isothermal amplification;LAMP)、核酸の等温キメラプライマー開始増幅(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids; ICAN)、当該固体および当該病原微生物の核酸を検出するために使用できる枝分かれしたDNAなどが使用でき得る。
【0014】
前記個体から採取される核酸を含む試料物質は、全血、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、生検組織、培養細胞、喀痰等を用いてもよい。好ましい試料は血液である。また、試料物質は、疾患の治療に対する感受性と関連する前記個体に由来する核酸と、前記個体に存在する病原微生物に関連する核酸とを共に含むことが好ましい。ここで、前記病原微生物は前記疾患と関連している。また、試料は、必要に応じて、ホモジネートおよび抽出等の必要な任意の前処理を行ったものであってもよい。このような前処理は、対象となる生物試料に応じて当業者によって選択され得るであろう。
【0015】
ここで開示する実例となる態様においては、まず、ヒトから全血試料を採取する。次に、この採取された全血試料から、例えば、QIAamp DNA Blood Midi Kid(登録商標、QIAGEN、東京、日本)などの市販のヒトゲノム抽出用キットを用いてヒトゲノム由来と、前記ヒトに存在するウイルスゲノム由来の核酸を共に抽出する。ある態様においては、目的とする配列を含む核酸を増幅する。続いて、得られた増幅産物をプローブ固定化チップに対してハイブリダイズし、更にそのプローブ固定化チップに対して結合する核酸を検出することによって、得られた増幅物を解析する。このようにして、前記個体からの特定の疾患に関連する核酸の情報が、前記個体に存在する病原微生物から得られる特定疾患に関連する核酸についての情報と共に得られる。
【0016】
上記の方法では、ヒト個体の例について記載したが、個体はヒトに限定するものではない。本発明の態様に従うと、対象となる「個体」の例は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、又はサルを含む任意の哺乳動物であり得る。しかしながらヒトが最も好適な個体である。また、本発明の側面に従うと、個体は健康な個体であっても、何らかの疾患に罹患している個体であってもよい。しかしながら、一般的には、病原微生物と、個体が有する核酸の型によって引き起こされる疾患に罹患している個体に対して行うことによって、本発明に従う方法は、より有効に使用されるであろう。本明細書において使用される「特定の疾患」の語は、病原性微生物、例えば、ウイルス、バクテリア、酵母またはマイコプラズマに関連する疾病並びに腫瘍学的疾患を含み、好ましくは、病原微生物に関連する疾患をいい、より好ましくは、当該疾患に罹患している個体に含まれる核酸の型および/またはそのような核を含む遺伝子の発現の有無に依存して、その発症および治療効果等が左右される疾患である。しかしながら、これらの疾患に特に限定されるものではない。
【0017】
ここで使用される「標的核酸」の語は、検出および/または解析したい配列を含む核酸をいう。
【0018】
本発明の態様に従って、抽出される個体由来核酸は、個体に由来する核酸であればよく、DNAであってもRNAであってもよく、ゲノムDNAであってもよい。また、抽出される病原微生物由来核酸は、対象となる病原微生物に由来する核酸であればよく、DNAであってもRNAであってもよい。
【0019】
試料物質から核酸成分を抽出する方法は、上記の手段に特に限定されるものではなく、フェノールー−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることもできる。また、これに限定するものではないが、例えば、核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)またはゲノムDNA精製キット(Promega社製)、スマイテスト(住友金属社製)等の市販のキットを利用することが可能である。続いて、PCRなどの増幅操作を行ってもよく、または行わなくてもよい。
【0020】
抽出された核酸成分がRNAである場合、直接HCV−RNAを試料核酸として用いても良いし、RNAから逆転写酵素を用いてcDNAを作成した後試料核酸として用いても良い。この場合も、個体由来の核酸と病原微生物由来の核酸を分離せずに行ってもよく、例えば、上述の方法において、QIAamp DNA Blood Midi Kidを用いて抽出を行った後に、逆転写を行い、続いてPCR増幅を行ってもよい。
【0021】
本発明の態様に従って行う増幅は、それ自体公知の一般的に核酸を増幅する手段であれば何れでもよく、ポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと記す)により行うことが好ましい。また、試料物質が十分な量の核酸を含んでいれば、増幅することを省略してもよい。
【0022】
本発明の態様に従って使用し得るプローブ固定化チップなどのプローブ固定化基体は、互いに異なる塩基配列を有する第1プローブ及び第2プローブを基体上に固定化してなるプローブ固定化チップである。前記第1プローブは、特定疾病に関連する病原微生物に由来する特定の核酸配列の存在を検出するためのプローブである。前記第2プローブは、前記特定疾病に関連し、個体に由来する特定の核酸配列の存在を検出するためのプローブである。
【0023】
このようなプローブ固定化基体は、個体と病原微生物という異なる2の由来から得た核酸に関して同一の基体を用いることにより解析を同時に行うことが可能である。このようなプローブ固定化チップは本出願人によって始めて開示されるものである。本発明従うと、このようなプローブ固定化基体も本発明の1側面として提供される。
【0024】
本発明の態様に従うプローブ固定化チップにおいて、第1プローブは、例えば、ヒト患者からの全血などの試料物質中に含まれる病原微生物由来の核酸配列の存在を検出するものである。そのようなプローブは、対象となる個体(例えば、ヒト患者)が感染している可能性のある病原微生物に由来する染色体DNA、遺伝子(RNA)に対応する塩基配列を有していてもよく、又はそのcDNA又はcRNA、染色体DNA、RNA、cDNAおよびcRNAの断片又はそれらの相補配列に対応する塩基配列を有していてもよい。
【0025】
また、試料物質中の病原微生物の量の測定も前記した第1プローブ、すなわち病原微生物に由来する核酸配列、その断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列を有するプローブを用いて測定することが可能である。
【0026】
更に、前記第1プローブは、試料物質中の前記病原微生物の存在のみならず前記病原微生物の遺伝子変異を検出するプローブであることが望ましい。
【0027】
試料物質中の病原微生物が発現した核酸(RNA)の測定も前記した第1プローブ、すなわち病原微生物に由来する核酸配列、その断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列を有するプローブを用いて測定が可能である。この場合の核酸鎖はRNA又はcDNA又はcRNAを検出あるいは定量することができる。
【0028】
当該病原微生物がウイルスである場合の1態様においては、ウイルスの増殖期には特定の遺伝子が大量に発現されるので、その発現パターン(量、質)を測定すると薬効を予測することが可能になる。
【0029】
本発明の態様に従うプローブ固定化チップにおいて、第2プローブとしては、個体が有する、疾病に関わる染色体DNA配列、遺伝子(RNA)又はそのcDNA又はcRNA、それらの断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列が挙げられる。個体が有する「疾病に関わる核酸配列」とは、前記個体の細胞内にある染色体中に存在する核酸配列であり、治療に対する反応性を予測できる核酸配列である。より詳しくは、当該核酸配列は、例えば疾病に対する個体の反応性を予測したり、投与する薬の効きやすさおよび/または副作用の生じやすさ等を決定する核酸配列である。
【0030】
第2のプローブにより、個体における特定の核酸配列の存在並びに特定の遺伝子の発現量および個体における遺伝子の発現パターンなどを検出することが可能である。
【0031】
本発明に従う第1プローブまたは第2プローブは、少なくとも11塩基、好ましくは少なくとも12塩基、より好ましくは少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30塩基の長さの塩基配列を有するものであることが望ましい。基体に固定化する塩基配列の長さが過度に長いと、1個の塩基の相違を識別することが困難になる。一方、基体に固定化する塩基配列の長さが過度に短いと試料中に含まれる塩基配列の塩基配列の決定が困難になる。
【0032】
また、第1プローブ又は第2プロープとしては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド核酸(PNA)、メチルフォスホネート核酸、S−オリゴなどのオリゴヌクレオチドや、cDNA、cRNAなどのポリヌクレオチドなどの核酸を用いることができる。
【0033】
本発明の態様に従うと、プローブ固定化基体は、基板、多孔質体(Beattie et al., Clin. Chem., 41, 700 (1995))、マイクロタイタープレート(Kawai et al., Anal. Biochem., 209, 63 (1993))、ビーズ(Mirkin et al., Nature, 382, 607 (1996)、球状物質、粒子状物質、磁性体、磁気ビーズ(Miller et al., J. Magnet. Magn. Mater., 225, 138 (2001), DNA capillary electrophoresis chip (Chou et al., Proc. Natl. Acd. Sci., 96, 11 (1999)、メンブランベースアレイ(Lemieux et al., Molecular Breeding, 4, 277 (1998)、半導体を基礎にしたデバイスなど(Thewes et al., 2002 IEEE International Solid-State Circuits Conference, 350 (2002)、導波性物質など(Piunno et al., Anal. Chim. Acta, 288, 205 (1994))、SPR(Nelson et al., Anal. Chem., 73, 1 (2001)、QCM(Ito et al., Anal. Chim. Acta, 327, 29 (1996)、質量分析(Amexis et al., Proc. Natl. Acd. Sci., 98, 12097 (2001)等で形成された基体に、前記塩基配列からなる第1プローブ及び第2プローブを固定化することによって作成することができる。核酸を固定化すべき基体の材質、大きさ、形状などは特に限定されるものではなく、核酸を固定化することが可能な任意の基体を使用してよい。前記プローブ固定化基体を用いた試料物質中の核酸の配列の検出は、例えば、個体から採取した試料物質から核酸成分の抽出を行った後、前記試料核酸とプローブ固定化チップなどのプローブ固定化基体とを接触させ、プローブ固定化基体上のプローブと試料核酸とのハイブリダイゼーション反応を検知すればよい。
【0034】
本発明は、前記プローブ固定化チップ上のプローブと試料中の核酸成分とのハイブリダイゼーション反応を検知するための手段として、主に、(1)標識物質を用いる方法、および(2)電気化学的方法の2種類を包含してもよい。
【0035】
(1)の標識物質を用いる方法の場合には、試料核酸は、FITC、Cy3、Cy5若しくはローダミンなどの蛍光色素、またはビオチン、ハプテン、オキシダーゼ若しくはポスファターゼ等の酵素、またはフェロセン若しくはキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識される。或いは前述した物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出を行う。複数の標識物質を同時に使用してもよい。
【0036】
(2)の電気化学的方法の場合、プローブを固定化する基体として導電性物質を用い、プローブ固定化チップを電極として使用する。この電極を用いたハイブリダイゼーション反応の存在の検出は他の一般的な電気化学的検出法と同じように、この電極の他に、対極や参照極を使用する。参照極を配置する場合、例えば、銀/塩化銀電極や水銀/塩化水銀電極などの一般的な参照極を使用し得る。異なる塩基配列を有するプローブは、それぞれ別々の異なる導電性基体に固定化して同一の基板などに配設されたチップを構成してよい。これにより精度の高い測定を行うことが可能である。その場合、各電極から得られる電気化学的信号がどのプローブに対応したものであるのか検知する。
【0037】
幾つかの態様においては、試料物質から抽出した核酸成分とプローブ固定化チップに固定化されたプローブとのハイブリダイゼーション反応は、例えば、以下のように行う。即ち、ハイブリダイゼーション反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストラン、並びに、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTAおよび界面活性剤などを添加してもよい。ここに抽出した核酸成分を添加し、90℃以上で熱変性させる。プローブ固定化チップの挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行ってよい。また、基体上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めてもよい。反応温度は、例えば、10℃〜90℃の範囲で、反応時間は1分以上1晩程度で行えばよい。ハイブリダイゼーション反応後、電極を取り出し洗浄を行う。洗浄には、例えば、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0038】
(1)の標識物質を用いる方法の場合、ハイブリダイゼーション反応の検出は、標識の種類に応じた適宜の検出装置を用いて、試料中の標識された塩基配列又は2次プローブ中の標識を検出することによって行う。標識が蛍光物質の場合には、例えば、蛍光検出器を用いて標識を検出すればよい。
【0039】
(2)の電気化学的方法の場合、以下のような手順で検出を行う。基体は洗浄後、電極表面に形成した二本鎖部分に選択的に結合する二本鎖認識体を作用させ、電気化学的な測定を行う。ここで用いられる二本鎖認識体は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーターおよびポリインターカレーター等を用いることが可能である。更に、これらのインターカレーターを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。DNA結合物質の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/mL〜1mg/mLの範囲で使用する。この際には、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。電極を二本鎖認識体と反応させた後、洗浄し、電気化学的な測定を行う。
【0040】
電気化学的な測定では、二本鎖認識体が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、二本鎖認識体に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加することができる。測定には、例えば、ポテンショスタット、デジタルマルチメーターおよびファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御する。得られた電流値を基に、検量線から標的核酸の濃度が算出され得る。
【0041】
電極を用いた塩基配列検出装置は、例えば、核酸抽出部、核酸反応部、二本鎖認識体反応部、電気化学測定部および洗浄部等から構成される。
【0042】
また、電気化学的な手法に基づくDNAチップの他の例は、例えば、以下の文献に開示されている(Hashimoto et al. 1994, Wang et al. 1998)。橋本らは、DNAプローブで修飾された金電極と電気化学的に活性な色素を用いる配列特異的遺伝子検出を報告した。色素に由来する陽極の電流は、標的DNAの濃度に相関する。ワンらは、インディケーターフリーの電気化学的なDNAのハイブリダイゼーションを報告した。このバイオセンサーの構成は、カーボンペースト電極へのイノシン置換プローブ(グアニンを含まない)の固定化と、当該標識のグアニン酸化ピークの存在による二重鎖の形成のクロノポテンショメトリック検出を含む。これらの文献は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0043】
電気化学的な手法は試料核酸の標識が不要である。また検出は電気信号を測定することによって行われる。従って、蛍光検出に必要とされるような複雑なシステムは不要である。従って、このような手法ではシステムの小型化も期待できる。
【0044】
以上のような本発明の態様に従うと、患者などの個体から採取した血液などの試料物質から、患者自体が持つ前記疾病に関わる核酸配列と、患者が感染した病原微生物の核酸配列に関する情報とを簡便に得ることが可能である。
【0045】
本発明の態様に係るプローブ固定化基体は、疾病に曝された個体における適切な治療方法を予測するために使用される。当該プローブ固定化基体は、同一の基体上に固定化された第2のプローブと第1のプローブを具備する。第2のプローブは、個体の細胞内にある染色体中に存在する前記疾病にリンク(連鎖)する核酸配列に関する情報を得るためのプローブ(第2プローブ)であり、第1のプローブは、前記疾病を誘起する病原微生物の核酸配列に関連する情報を得るためのプローブ(第1プローブ)である。当該プローブ固定化基体の長所により、個体から抽出した試料物質から、前記個体および病原微生物に由来する特定の疾病および/または特定の疾患の治療の反応性の予測に関連する情報を共に且つ簡便に得ることが可能である。
【0046】
幾つかの態様において、当該方法およびプローブ固相化基体は、C型肝炎の治療効果を予測することが可能である。もう1つの態様は、AIDSの治療を評価する(例えば、HIVの定量および変異の検出等)ために使用される当該方法およびプローブ固定化基体である。更なる態様は、B型肝炎の治療を評価する(例えば、HBVの定量、型および変異の検出等)ために使用される当該方法およびプローブ固定化基体である。
【0047】
例えば、C型肝炎に感染すると、肝硬変を経て肝癌に進行することが知られている。その治療法の1つにインターフェロン(以下、IFNと記す)を投与するIFN治療がある。多くはIFNαおよびβが治療に使用されている。しかし、IFNの有効性には大きなばらつきがあることが知られている。例えば、日本人のヒト患者ではIFN治療は約2〜3割の人にしか効果がなく、効果があっても非常に強い副作用が報告されている。このような個体の違いによる治療効果の違いは、個体が感染したC型肝炎ウイルス(以下、HCVと記す)の遺伝子型(J.Clin.Microbiol., 34, 2516 (1996))及びウイルス量と、個体自身が有する核酸配列の個体差に起因していると考えられる。
【0048】
HCVの異なる領域のヌクレオチドおよび予測されるアミノ酸配列の比較を基に、少なくとも6つの主な遺伝子型が報告されている(Forns et al., J. Clin. Microbiol., 34, 2516 (1996), Andonov et al., J. Clin. Microbiol., 33, 254 (1995)。
【0049】
従って、本発明の態様に従って、C型肝炎に対するIFN治療の効果を予測することが可能である。ここで、本明細書において「インターフェロン(IFN)」とは、インターフェロンα、β、γおよび/またはωを示す語として使用する。例えば、感染したウイルスの型が1b型(日本人に多い)の場合にはIFN治療の効果は少ない。これは、血清中のHCV−RNA、HCV抗体、GOPおよびGPTが、IFN療法により減少されないことを意味する。2a型の場合には治療の効果はより高い。これは、血清中のHCV−RNA、HCV抗体、GOPおよびGPTがIFN療法により減少することを意味する。また、ウイルス量が106copy/mL以上と多い場合にも効果が少ない。従って、感染したウイルスの遺伝子型及びウイルス量を核酸レベルで調べるための第1プローブを使用する。
【0050】
例えば、試料物質中のC型肝炎ウイルス(以下、HCVとも記す)の核酸配列の存在の検出に用いられるプローブとしては、HCV−RNA、その断片またはそれらの相補配列、に対応する塩基配列が挙げられる。本発明の態様に従うプローブは、望ましくは、HCV−RNAの遺伝子型または変異を検出するための少なくとも11塩基、好ましくは少なくとも12塩基、より好ましくは少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30塩基の配列を有する。或いは、また、当該プローブは、少なくとも30、好ましくは約40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000塩基よりも長くても、HCVゲノムの検出には好ましい。11から30の長さがチップ形成には適切であり、30塩基よりも長いプローブは一般的なハイブリダイゼーション形成に適切である。例えば配列表に示される配列番号1、2、3、4またはそれらの相補配列に対応する塩基配列を有するものを用いることが可能である。これらの配列は、全てのHCVの遺伝子型においてもっとも保存されている(Andonov et al., J. Clin. Microbiol., 33, 254 (1995)。
【0051】
また、前記第1プローブは、試料物質中の前記病原微生物の存在のみならず前記病原微生物の遺伝子変異を検出するプローブを使用することも好ましい。C型肝炎の場合、ウイルスの核酸配列の特定の部位の変異によってIFN治療の効果が異なることが報告されている(Nagayama et al.,Hepatology, 31, 745 (2000))。試料物質中のウイルスの核酸配列の特定の部位の変異を検出するための第1プローブの例は、Hepatology, 31, 745 (2000)に記載のHCVのpoly proteinの434、580、938、962、1176、あるいは2774番目のアミノ酸の相違を決定する塩基配列を有するプローブを用いることが可能である。肝細胞癌(以下HCCと記す)患者からのHCV−1bのゲノム配列は、無症候性キャリア(以下ASCと記す)からのものよりも、より多くが変異型残基を有する傾向がある。これらを使用することにより精度の高い予測が可能となる。
【0052】
上述の通り、HCVの遺伝子型によってIFN治療の効果が異なることが報告されている。従って、第1プローブは、HCV−RNA、その断片またはそれらの相補配列、に対応する塩基配列であってもよい。例えばHCVの1型(配列番号5)、2型(配列番号6)、3型(配列番号7)の遺伝子型をそれぞれ特異的に検出するプローブを、検出したい遺伝子型に応じて第1プローブとして用いてもよい。即ち、それぞれ配列表に示される配列番号5、配列番号6、配列番号7またはそれらの相補配列に相当する配列を有する核酸を第1プローブとして用いてもよい。
【0053】
遺伝子型を検出可能なプローブを用いる際は、異なる遺伝子型に対応する複数のプローブを基体上に同時に固定化して用いることにより精度の高い検出が可能となる。
【0054】
また、試料物質中の病原微生物の遺伝子型を検出するには、1態様においては、試料物質中の病原微生物の核酸配列に対して予めその遺伝子型に特徴的なプライマーを用いてPCR反応を行い、その後それらの遺伝子型を考慮することなしに全てのC型肝炎ウイルスを検出することが可能なユニバーサルプローブを固定化したプローブで検出することも可能である(Andonov et al., J. Clin. Microbiol., 33, 254 (1995)。
【0055】
C型肝炎の場合は、センス鎖としては配列番号8あるいは配列番号9に示される塩基配列のものを用いて、アンチセンス鎖として1a型には配列番号10、1b型には配列番号11、2a型には配列番号12、2b型には配列番号13、3a型には配列番号14の塩基配列のものを用いてPCR反応を行い、ユニバーサルプローブとして配列番号15の塩基配列のものを用いてもよい。
【0056】
試料物質中の病原微生物の量の測定も前記した第1プローブ、すなわち病原微生物に由来する核酸配列、その断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列を有するプローブを用いて測定することが可能である。
【0057】
例えばC型肝炎の場合は血液中のHCV量によってIFN療法の効果が異なることが報告されている(J.Clin.Microbiol., 33, 254 (1995))。INFは、その患者が血清中に有するHCVが106コピー/mLを超えると、効果を得られにくい(Yeh et al., J. Med. Biol., 66, 481 (2002)。そこで、ウイルス量を定量的に評価するためのプローブとしても、HCV−RNA、その断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列が挙げられる。ウイルス量は試料物質中の核酸を蛍光標識している場合にはチップ上のプローブと試料物質中の核酸をハイブリダイズさせた後に基体上における標識の蛍光強度から濃度を算定する。電気化学的な方法を用いる場合は、チップ上のプローブと試料物質中の核酸をハイブリダイズさせた後、チップから得られる電流値から濃度を算出する。
【0058】
本発明のプローブ固定化チップにおいて、第1プローブとして上記したプローブ、配列番号5、6および/または7を用いれば、個体が感染した病原微生物のウイルスの遺伝子型又はウイルス量、特定部位の変異、発現遺伝子の量と質などの知見が得られ、ウイルスの型が日本人に多い1b型であればIFN療法の効果は少ないが2a型であれば効果的に作用すること、またウイルス量が106copy/mL以上と多い場合にはIFN療法の効果が少ないと予測でき、それにより前記個体に対するIFN療法の有効性を予測することができる。
【0059】
C型肝炎に関するIFN治療の効果を予測する別の方法を、本出願人は特願2001−62371号及び特願2001−62372号で報告している。即ち、ヒト遺伝子のMxAたんぱく質をコードする遺伝子のプロモーター領域、即ち、MxAのプロモーター領域の−88位(以下、MxA−88と記す)に存在する特定の一塩基多型(single nucleotide polymorphism、以下SNPと記す)がIFN治療効果の大小を決定するため、そのSNPを調べることによりIFN治療効果の大小を予測する方法である。即ち、INFは、MxAプロモーター領域のSNPの特定の型を有する患者においては有効である。したがって、そのSNPの存在をチェックすることにより、IFN療法の効果が評価される。従って、本発明の1態様において、個体の核酸を検出するための第2のプローブが、MxAにおけるSNPを検出するものが使用される。
【0060】
上記の知見では、当該MxAのプロモーター領域の−88位(以下、MxA−88と記す)がG/G型の場合にはIFN治療効果が低く、G/TおよびT/T型の場合には治療効果が高いこと、同領域の−123位(以下、MxA−123と記す)がC/C型の場合にはIFN治療効果が低く、C/AおよびA/A型の場合には治療効果が高いことを基にIFNの治療効果を予測する。ここで「−88位」および「−123位」の表記は、MxA遺伝子の転写開始部位を+1とした場合の位置である。WO01/71001の図1は、MxA遺伝子の当該プロモーター領域のヌクレオチド配列を示す。
【0061】
従って、本発明の態様に従ってC型肝炎に関するIFN治療効果を予測する場合には、例えば、HCVの遺伝子の存在、さらにはHCVの遺伝子型あるいは遺伝子変異を検知するための第1プローブと、個体が有するMxAたんぱく質をコードする遺伝子のプロモーター領域のSNPにおける塩基の種類を検知するための第2プローブとを固定化したプローブ固定化チップを用い、個体から採取した試料物質の中のHCVの遺伝子診断及び個体が有するMxAたんぱく質をコードする遺伝子のプロモーター領域の遺伝子診断を行うことにより、そのIFN治療の効果を簡単に予測することができる。
【0062】
また更に、C型肝炎に関するIFN治療の効果を予測する方法としては、マンノース結合レクチン(以下、MBLと記す)の遺伝子の2箇所のSNPのタイプによって、IFN治療効果の大小を予測する方法が知られている(M.Matsushita et al., J.Hepatology, 29;695−700, 1998)。MBLは、生来の免疫系の重要な因子であり、遺伝子多型が存在する。MBL遺伝子型のグループ「XB」は、IFNに反応しない。ローセンは、MBLの配列について報告している(Immunology, 93, 421 (1998))。この文献は引用することにより本明細書に組み込まれる。従って、上記のようなMxAたんぱく質をコードする遺伝子のプロモーター領域の遺伝子診断の共に、またはそれに代わってマンノース結合レクチン(以下、MBLと記す)の遺伝子に関する遺伝子診断を行ってもよい。
【0063】
IFNの効果に影響を及ぼすMBLの多型部位は、MBL遺伝子のプロモータ領域の−221位(以下、MBL−221と記す)と、MBL遺伝子のエクソン1のコドン52、54および57に存在する。ここで「−221位」の表記は、MBL遺伝子の転写開始部位を+1とした場合の位置である。
【0064】
MBL−221の遺伝子型の取り得る塩基は、CまたはGであり、Cの場合にはタイプXと称し、Gの場合にはタイプYと称す(この命名法はマッドセンらに従う;Madsen HO, Garred P, Thiel S, Kurtzhals JAL, Lamm LU, Ryder LP, et al. 「プロモータと構造遺伝子との間の相互作用はヒトマンナン結合蛋白質の最低血清レベルをコントロールする」 J Immuol 1995;155:3013−20)。この文献は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0065】
また、MBL遺伝子のエクソン1のコドン52、54および57は、構造遺伝子であるコラーゲン様ドメイン内に存在する。コドン52の取り得る遺伝子型は、CGTまたはTGTであり、マッドセンらの分類によると前者がタイプA、後者がタイプDである。同様に、コドン54の取り得る遺伝子型は、GGCまたはGACであり、同分類によると前者がタイプA、後者がタイプBである。また、コドン57の取り得る遺伝子型はGGAまたはGAAであり、同分類によると前者がタイプA、後者がタイプCである。これら全てコドンにおいて、タイプAは野生型対立遺伝子であり、その他のタイプB、CおよびDは変異型対立遺伝子である。コドン52、54および57の対立遺伝子が全てタイプAである場合には、他の場合、即ち、少なくとも何れかの対立遺伝子がタイプAではない場合に比較してIFNの効果は高い。
【0066】
上記MBL−221がタイプYであり、且つコドン52、54および57の対立遺伝子がタイプAである、YA−YAホモ接合である患者の場合、他のタイプの患者に比べてIFNの効果は得られやすい。また、上記MBL−221がタイプYであり、且つコドン52、54および57の対立遺伝子の何れかがタイプAではない場合、即ち、YnonA−YAヘテロ接合またはYnonA−YnonAホモ接合である患者の場合には、YA−YAホモ接合の患者に比べてIFNの効果は得られにくい。
【0067】
以上の知見から第2プローブを決定することが可能である。
【0068】
当該疾患がC型肝炎であり、当該薬剤がIFNである1態様において、個体の核酸に対するハイブリダイゼーションにおいて使用される(プローブ固定化チップ上での使用も含む)第2のプローブは、上述したようなMxAプロモーターのSNPを検出するプロモーターである。当該疾患がC型肝炎であり当該薬剤がIFNであるその他の態様においては、個体の核酸に対するハイブリダイゼーションにおいて使用される(プローブ固定化チップ上での使用も含む)第2のプローブは、上述したように、IFNの効果に関連するMBLの多型を検出するプローブである。
【0069】
455位と420位に存在するSNPを含むヒトMxA遺伝子のプロモーター領域のこれらの塩基配列の各々がIFN療法の効果に関連する。従って、配列番号16、17、18、19、37、38、39および40により示される塩基配 更なる態様において、第2のプローブは以下からなる群より選択される:
(at455) 下記配列表の配列番号16に示される塩基配列、
(bt455) 前記(at455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列;MBLの多型を検出するための修飾されたプローブはMBLをコードする個々の核酸に対してハイブリダイズできる能力を維持している。修飾されたプローブに使用される当該ハイブリダイゼーション条件は一般的なプローブのそれとは異なる。望ましくは、本発明に従う修飾されたプローブは、HCV−RNAの遺伝子型または変異を検出するための少なくとも11塩基、好ましくは少なくとも12塩基、より好ましくは少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30塩基の配列を有する。或いは、また、当該プローブは、少なくとも30、好ましくは約40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000塩基よりも長くても、HCVゲノムの検出には好ましい。11から30の長さがチップ形成には適切であり、30塩基よりも長いプローブは一般的なハイブリダイゼーション形成に適切である。
【0070】
(ct455) 配列番号16の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dt455) 配列番号16の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(et455) 前記(at455)〜(dt455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag455) 下記配列表の配列番号17に示される塩基配列、
(bg455) 前記(ag455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg455) 配列番号17の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dg455) 配列番号17の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(eg455) 前記(ag455)〜(dg455)から選択される塩基配列の相補配列
(aa455) 下記配列表の配列番号18に示される塩基配列、
(ba455) 前記(aa455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca455) 配列番号18の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(da455) 配列番号18の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ea455) 前記(aa455)〜(da455)から選択される塩基配列の相補配列
(ac455) 下記配列表の配列番号19に示される塩基配列、
(bc455) 前記(ac455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc455) 配列番号19の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dc455) 配列番号19の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ec455) 前記(ac455)〜(dc455)から選択される塩基配列の相補配列、
からなる群より選択される塩基配列を使用してもよい。
【0071】
配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号37、配列番号38、配列番号39及び配列番号40の塩基配列は、ヒトMxA遺伝子のプロモーター領域を包含する塩基配列であり、これらの塩基配列の455位および420位に存在するSNPがIFN療法の効果に対する応答性に関与している
配列番号16〜19の塩基配列は455位の塩基を除き共通の配列を有する。配列番号16の455位はチミンである。配列番号17の455位はグアニンである。また、配列番号18の455位アデニンである。配列番号19の455位はシトシンである。
【0072】
これらの455位の塩基がチミンである配列番号16の核酸配列を有するHCV感染者は、IFN療法が有効であるのに対して、455位の塩基がチミンである配列番号16の核酸配列を持たないHCV感染者は、IFN療法が有効でない。つまり、455位の塩基配列がチミンである配列番号16の核酸と、455位の塩基配列がグアニンである配列番号17の核酸をヘテロ接合で有する(以下、G/Tヘテロと略記する)HCV感染者、又は455位の塩基配列がチミンである配列番号16の核酸をホモ接合で有する(以下、T/Tホモと略記する)HCV感染者と比べて、455位の塩基配列がグアニンである配列番号17の核酸をホモ接合で有する(以下、G/Gホモと略記する)HCV感染者はIFN療法が有効でない。
【0073】
あるいは、T/non−Tヘテロ又はT/TホモのHCV感染者と比べて、455位の塩基配列がチミンでないMxA遺伝子のプロモーター領域をホモ接合で有するHCV感染者(以下、non−T/non−Tホモと略記する)は、IFN療法が有効でないことが示された。non−T/non−Tホモの組み合わせとしてはG/G、G/A、G/C、A/A、A/C、C/Cがある。T/non−Tの組み合わせとしては、T/G、T/A、T/Cがある。
【0074】
配列番号37〜40の塩基配列は425位の塩基を除き共通の配列を有する。配列番号37の425位はアデニンである。配列番号38の425位はシトシンである。また、配列番号39の425位はチミンである。配列番号40の425位はグアニンである。
【0075】
本発明のプローブ固定化チップにおいて、個体の有する核酸の配列を検出する第2プローブとして前記SNP部位を含み当該SNP部位の塩基配列がチミンである配列番号16の塩基配列、その断片又はそれらの相補配列((at455)〜(et455))を使用すると、個体が有するヒトMxA遺伝子のプロモーター領域を包含する塩基配列の前記SNP部位がチミンであるか否かを治療の前に調べることができる。それにより前記個体に対するIFN療法の有効性を予測することができる。
【0076】
従って、IFN療法の実施に先立って、例えばHCV感染者が有するヒトMxA遺伝子のプロモーター領域を包含する塩基配列における前記SNP部位の塩基を決定することによって、該HCV感染者に対して、IFN療法が有効性を検知することができる。
【0077】
また、本発明のプローブ固定化チップにおいて、個体の有する核酸の配列を検出する第2プローブとして、前記SNP部位を含み、当該SNP部位の塩基配列がグアニンである配列番号17の塩基配列、その断片またはそれらの相補配列((ag455)〜(eg455))又は当該SNP部位の塩基配列がアデニンである配列番号18の塩基配列、その断片またはそれらの相補配列((aa455)〜(ea455))、又は当該SNP部位の塩基配列がシトシンである配列番号19の塩基配列、その断片またはそれらの相補配列((ac455)〜(ec455))を用いれば、個体が有するヒトMxA遺伝子のプロモーター領域を包含する塩基配列の前記SNP部位の配列を調べることができ、それにより前記個体に対するIFN療法の有効性を予測することができる。(特願2001−62371号及び特願2001−62372号)。
【0078】
当該疾患がC型肝炎であり、当該薬剤がIFNである1態様において、個体の核酸に対するハイブリダイゼーションにおいて使用される(プローブ固定化チップ上での使用も含む)第2のプローブは、以下;
(aa420) 下記配列表の配列番号37に示される塩基配列、
(ba420) 前記(aa420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca420) 配列番号37の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(da420) 前記(aa420)〜(ca420)から選択される塩基配列の相補配列
(ac420) 下記配列表の配列番号38に示される塩基配列、
(bc420) 前記(ac420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc420) 配列番号38の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dc420) 前記(ac420)〜(cc420)から選択される塩基配列の相補配列
(at420) 下記配列表の配列番号39に示される塩基配列、
(bt420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct420) 配列番号39の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dt420) 前記(at420)〜(ct420)から選択される塩基配列の相補配列
(ag420) 下記配列表の配列番号40に示される塩基配列、
(bg420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg420) 配列番号40の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dg420) 前記(ag420)〜(cg420)から選択される塩基配列の相補配列
からなる群より選択される塩基配列が使用されてもよい。
【0079】
これらの425位の塩基がアデニンである配列番号37の核酸配列を有するHCV感染者は、IFN療法が有効であるのに対して、425位の塩基がアデニンである配列番号37の核酸配列を持たないHCV感染者は、IFN療法が有効でない。配列と有効性に関する詳細は、上述の455位のSNPのための記載と同様に理解することができるであろう。
【0080】
また更に、前記疾病がIFN療法の有効性が確認された疾病、例えばC型肝炎である場合、前記第2プローブは、例えば、後述する(i)から(t)までのような配列であってもよい。これらはMBL−221の遺伝子型とコドン52、54および57の多型の存在を決定するために使用するために好適な核酸である。
【0081】
MBL−221とコドン52、54および57にコードされる多型を含むMBL遺伝子を配列番号41から配列番号56に示す。MBL−221はこれらの配列の425位に存在する。
【0082】
また、エクソン1はこれらの配列の646位から始まり、コドン52は同868から870位に、コドン54は同874から876位に、コドン57は同883から885位に存在する。コドン52のSNPは同868位に、コドン54のSNPは同875位に、コドン57のSNPは同884位に存在する。
【0083】
(i) 前記MBL−221のSNP部位を含む配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44の核酸断片であって、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44の418〜432位に相当する配列を有する核酸を含む断片。
【0084】
(j) 前記MBL−221のSNP部位を含む配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44の核酸断片であって、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44の421〜430位に相当する配列を有する核酸を含む断片。
【0085】
(k) 上記(i)および(j)に記載の相補配列。
【0086】
(l) 前記コドン52、54および57のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の868から885位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。
【0087】
(m) 前記コドン52および54のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の868から876位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。
【0088】
(n) 前記コドン54および57のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の874から885位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。
【0089】
(o) 前記コドン54のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の874から876位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。特に869位〜880位を含む断片が望ましい。
【0090】
(p) 前記コドン52のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の868から870位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。特に864位から873位を含む断片が望ましい。
【0091】
(q) 前記コドン57のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、これらの配列の883から885位に相当する配列を有する核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。特に880〜890位を含む断片が望ましい。
【0092】
(r) 前記コドン54のSNP部位を含む配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56の核酸の断片であって、当該コドン54のSNPが存在する前記配列の875位を含む核酸を含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示す核酸を含む断片。
【0093】
(s) 前記(i)から(m)に示される核酸断片であって、長さが11から30である核酸断片。好ましいプローブ配列は、MBL遺伝子に関しては、少なくとも第420位から第430位、第864位から第874位、第870から第880位および第879位から第889位を含む。またMxA遺伝子に関しては、少なくとも第450位から第460位を含むことが好ましい。
【0094】
(t) 前記(i)から(m)に示される核酸断片であって、当該多型部位を除く1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、または付加された修飾核酸。
【0095】
本明細書の配列表に記載した各配列中、「N」および「n」はアデニン、チミン、グアニンまたはシトシンの何れかの塩基を示す。
【0096】
本発明のプローブ固定化チップにおいて、個体が発現した核酸(RNA)の測定も前記した第2プローブ、すなわち個体に由来する核酸配列、その断片又はそれらの相補配列、に対応する塩基配列を有するプローブを用いて測定が可能である。この場合、核酸鎖はRNA又はcDNA又はcRNAであり、これらを検出あるいは定量することができる。例えば、IFNの効き目は個人の体質により異なるので、投与の際の遺伝子発現パターン(量、質)を測定すると薬効を予測することが可能になる。
【0097】
上述した通り本発明の態様に従って対象となる疾病は、病原性微生物に誘起される疾病であれば、特に限定されるものではない。本発明は、病原微生物に関する疾患を含む。また、本発明は腫瘍学的疾患も含む。例えば、IFN治療の有効性を予測する場合には、C型肝炎以外の疾病であってもIFN治療の有効性が確認されている疾病であれば同様に治療効果が予測できる。そのような例は、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイル素、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルスおよびHTLV等のウイルス感染症、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、マラリア、赤痢アメーバおよび病原真菌等の細菌感染症、寄生虫、並びに真菌に起因する疾病などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0098】
また更に、遺伝性疾患、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、家族性大腸ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、神経腺維腫症、家族性乳ガン、色素性乾皮症、脳腫瘍、口腔癌、食道癌、胃ガン、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺ガン、甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨・軟部腫瘍、白血病、リンパ腫および固形腫瘍等の腫瘍性疾患についてもIFN治療の有効性を予測することが可能である。
【0099】
本発明の態様に従って検出し得る病原微生物は、特に限定されるものではないが、例えばIFN治療の有効性を予測する場合は、IFN治療の有効性が確認されている疾病を誘起する病原微生物が挙げられ、例えばHCVが挙げられるが、IFN治療の有効性が確認されている疾病に関連する病原微生物であれば特に限定されるものではない。病原性微生物が、当該疾患またはその疾患の症状と直接的または間接的に相互関係がある場合、その病原性微生物はその疾患と関連する。
【0100】
例えば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイル素、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルスおよびHTLV等のウイルス、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、マラリア、赤痢アメーバおよび病原真菌等の細菌、寄生虫並びに真菌の検出に用いることができる。
【0101】
上記の例では、IFN療法と各疾患と個体遺伝子に関する解析の例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定するものではない。幾つかの態様においては、例えば、個体に存在するヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus; 以下HIVと記す)と当該個体遺伝子を解析することにより、エイズ(acquired immunodeficiency syndrome; AIDS)の罹患性を予測することが可能である。また更に、HIVの遺伝子型および/またはコピーと、当該個体遺伝子の特定の多型を分析した後に、得られた情報から、以下のような薬剤、例えば、リトナビル(以下RTVと記す)およびサキナビル(以下SQVと記す)などのプロテアーゼインヒビター、並びにアジドチミジン(以下AZT)およびジダノシン(以下ddlと記す)などの逆転写阻害剤の治療効果を予測してもよい。更なる幾つかの態様では、個体に存在する水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus; VZV)と当該個体遺伝子を解析することにより、水痘(varicella)または帯状疱疹(zona)の罹患性を予測することが可能である。また、得られた核酸に関する情報からアシクロビルなどの抗ウイルス薬の有効性を解析してもよい。或いは、インフルエンザウイルス(influenza virus)の遺伝子型およびコピー数、並びに個体の遺伝子型を解析することにより、インフルエンザの罹患性やタミフル(Tamifulu)などの抗ウイルス薬の有効性が解析されてもよい。
【0102】
抽出された核酸成分がHCV−RNAである場合、直接HCV−RNAを試料核酸として用いても良いし、HCV−RNAから逆転写酵素を用いてcDNAを作成した後試料核酸として用いても良い。
【0103】
また、遺伝子型を検出可能なプローブを用いる際は、異なる遺伝子型に対応する複数のプローブを基体上に同時に固定化して用いることにより精度の高い検出が可能となる。
【0104】
以下の例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を制限することを目的とするものではない。
【0105】

例1は、ヒト対象から核酸を抽出するための方法を記載する
1. 患者患者からのヒトゲノム及びウイルスゲノムの抽出法
HCV感染患者の血液を、EDTA2K入りの真空採血管中に約3mL程度ずつ採血した。その後、QIAamp DNA Blood Midi Kit(QIAGEN)を用いて核酸抽出を行った。得られた抽出産物に含まれるHCVゲノムRNAについて逆転写反応を行った。この逆転写反応は、前記抽出産物の一部に対して、Hexa−deoxyribonucleotide mixture(TAKARA)とM−MLVReverse Transcriptase(LIFE TECHNOLOGIES)とを用いて、42℃、30分間行った。
【0106】
2. ヒトゲノム抽出用キットを使用してHCVゲノムRNAを抽出する際の抽出効率についての検討
HCVゲノムRNAを抽出する際、通常は、全血ではなく血清を用いる。更に、不要な蛋白等の夾雑物をできるだけ除いた状態にした後、グアニジンバッファー等を用いてHCVゲノムRNAを抽出する。しかしながら、本発明の態様に従う方法では、ヒトゲノムDNAとの同時抽出を行う。従って、全血を用いてヒトゲノム抽出用のキットを使用してヒトゲノムDNAを抽出した場合のHCVゲノムの抽出効率を調べた。
【0107】
通常法としてSepeGeneRV−R(三光純薬)を用いて血清100μLからHCVゲノムの抽出を行う方法と、QIAamp DNA Blood Midi Kit(QIAGEN)を用いて全血からHCVゲノムを抽出する方法とを比較した。全血から抽出する方法については、更にQIAamp DNA Blood Midi KitでHCVゲノムを抽出した後、それにより得られた抽出産物をエタノール沈殿して精製する場合とエタノール沈殿を行わない場合について、逆転写反応に供して得られる結果についての比較も行った。
【0108】
抽出効率の評価には、HCVゲノムの5’UTRの配列を利用したcompetitive PCR(K.Chayama et al., J. Gastroenterol.Hepatol. 8, S40−44, 1993)を用いた。
【0109】
結果を表1に示す。
【表1】

【0110】
その結果、通常のHCV RNA抽出法に比してQIAamp DNA Blood Midi Kitを用いた方法では、HCV RNAの抽出効率が約10倍程度下がることがわかった。よって、QIAamp DNA Blood Midi Kitを用いた抽出法は、血中のウイルス量が極めて低い検体に対して行われる場合には、測定不能になる場合が生じたり、チップを用いたウイルスの定量等の用途には使用しにくいと考えられた。しかしながら、逆に通常法でのウイルス量が、全血中で10copy/ml以上の濃度を占める検体では、理論的には、QIAamp DNA Blood Midi Kitを使用したDNAおよびRNAの同時抽出が可能であると示唆された。即ち、QIAamp DNA Blood Midi Kitを使用した抽出産物を用いて、ウイルスを定性的に測定できることが示唆された。
【0111】
上述の通りに逆転写反応を行って得たサンプルについて、ヒトゲノムとHCVゲノムの同時増幅を行った。
【0112】
増幅のためのプライマーには、ヒトゲノムのためにはMxAF01とMxAR02を用いた。HCVゲノムのためにはnc2(K.Chayama et al., J. Gastroenterol.Hepatol. 8, S40−44, 1993, nt27−45)とprimer33(Okamoto et al., Jpn J. Exp. Med. 60, 215−222, 1990)を用いた。増幅は1本のチューブ内で行った。なお、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を50 サイクル行い、その前に94℃で4分、後に72℃で7分の処理を行った。
【0113】
Primerの配列 :
MxAF01 : 5’-ACACACCCGTTTCCACCCTGGAGAGGCCAG-3’
MxAR02 : 5’-TGCGCAGTGCTGGAGTGCGGCCTCCGCTCT-3’
NC2 : 5’-CCT GTG AGG AAC TAC TGT C-3’
33 : 5’-GGT GCA CGG TCT ACG AGA CC-3’。
【0114】
その結果、ヒトゲノム由来の産物(size : 610bp)とHCVゲノム由来の産物(size : 300bp)は両者とも増幅された。よって、ゲノムの抽出から特定領域の増幅までの行程は、ヒトゲノムDNAとHCVゲノムRNAの両者に対して同一の処理を行うことによって達成されることが明かとなった。
【0115】
このような本発明の態様によれば、個体から抽出した試料物質から、簡便に且つ短時間にその疾病に対する治療法を予測することが可能となる。また、このような態様によれば、個体から得た1試料から同時に複数の情報を得ることができるので、検査の途中で生じ得る試料の取り違いを防止できる。また、危険性の高い試料を扱う場合であっても、そのような試料による汚染の範囲の広がりを従来よりも狭くすることが可能であり、且つ試料による汚染事故の危険性も最小限に留めることが可能である。
【0116】
例2は、IFN療法の効果を評価するためのDNAチップを記載する
IFN治療効果予測用DNAチップ
まず、患者(ヒト)の血液からヒトの染色体DNAとHCV−RNAを採取した。染色体DNAは、配列番号20、配列番号21のプライマーを用いて135bpの断片を増幅した。また、HCV−RNAは逆転写酵素を用いてcDNAを作製した。
【0117】
以上の工程により得られた核酸サンプルに対して、ファルマシア社製のキットを用いてFITC標識を行った。
【0118】
図1に本実施例のDNAチップの概略図を示す。ポリリジンをコートしたスライドガラスからなる基体6上に第2プローブとして配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26のDNAプローブ及び第1プローブとして配列番号5、配列番号6、配列番号7のDNAプローブ(図1中第1プローブ及び第2プローブは1〜5で示す)を200nLずつスポットして、乾燥した。その後、UV照射を行ってプローブを基体6上に固定化した。配列番号22〜25の塩基配列は、それぞれ配列番号16〜19の塩基配列の455位のSNP部位を含む断片である。配列番号5〜7の塩基配列はそれぞれHCVウイルスの1型、2型、3型の遺伝子型を検出するプローブである。
【0119】
FITC標識した核酸サンプルを2xSSC−1mmol/L EDTA溶液に溶解した。これを、容量20μLのリアクションチャンバーにいれ、プローブ固定化スライドグラスでふたをした。50℃、12時間の反応を行った後、0.2xSSC−1mmol/LEDTA溶液で2回洗浄し、スライドガラス上の蛍光を測定した。
【0120】
その結果、配列番号22のプローブを固定化したスポットからのみ有意な蛍光が観察された。この試料物質に含まれるヒト由来核酸におけるMxA−88の遺伝子型はT/Tホモ型であると考えられた。また、この試料物質に含まれるウイルスは、2型である判定された。更に得られた蛍光強度から、ウイルス濃度は106copy/mL以下であると見積もられた。従って、この試料物質が採取された患者には、IFNが有効に働くことが予測された。
【0121】
例3は、IFN療法の効果を評価するためのPNAチップを記載する
IFN治療効果予測用PNAチップ
まず、患者(ヒト)の血液からヒトの染色体DNAとHCV−RNAを採取した。次に、染色体DNAは配列番号20、21のプライマーを用いて135bpの断片を増幅した。また、HCV−RNAは逆転写酵素を用いてcDNAを作製した。得られたcDNAを鋳型にして配列番号8(これはセンスである)、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14(これらはアンチセンスである)のプライマーを用いてPCR反応を行った。
【0122】
図2に本実施例のPNAチップの概略図を示す。ガラス基板12上に10個の金電極13をパターニングしたプローブ固定化チップに、N末端にシステインを修飾した第2プローブとして配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31のPNAプローブ、第1プローブとして配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36のPNAプローブ7〜11を、それぞれ200nLずつスポットし、1時間放置した。
【0123】
配列番号27〜30の塩基配列は、それぞれ配列番号16〜19の塩基配列の455位のSNP部位を含む断片である。配列番号32〜36の塩基配列はそれぞれHCVウイルスの1a型、1b型、2a型、2b型、3a型の遺伝子型を検出するプローブである。
【0124】
次に、サンプルを2xSSC−1mmol/L EDTA溶液に溶解した。これを容量20μLのリアクションチャンバーにいれ、プローブ固定化チップでふたをした。50℃、1時間の反応を行った後、0.2xSSC−1mmol/L EDTA溶液で2回洗浄した。次に、これに10μmol/Lのヘキスト33258溶液を滴下した。別途対極と参照電極を設置し、金電極と対極間に電圧を印加したときのヘキスト33258からの酸化電流を測定した。
【0125】
その結果、配列番号27と配列番号28と配列番号34のプローブを固定化した金電極13から有意な電流変化が観察され、この試料物質に含まれるヒト由来核酸におけるMxA−88の遺伝子型はG/Tヘテロ型であると考えられた。また、この試料物質に含まれるウイルスは、2a型であると判定された。従って、この試料物質が採取された患者には、IFNが有効に働くことが予測された。
【0126】
例4
本発明に従うと、C型肝炎感染者の感染しているHCVのウイルス型、感染者のMxA−88、MxA−123、MBL−221およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型から、C型肝炎感染者におけるIFN療法の有効性を予測することが可能である。
【0127】
以下に図3を用いてウイルスの型、MBLおよびMxAの遺伝子型よりIFN療法の効果を予測する方法の1例を説明する。
【0128】
ステップ3aでは、実施者が、IFNを投与されるべき個体から血液サンプル等のサンプルを採取し、予測を開始する。採取されたサンプルは、必要に応じて精製および抽出などの処理がなされた後で、ウイルスの型、並びにMBLおよびMxAの遺伝子型、即ち、MxA−88とMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型、MBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を決定し、ステップ3bへ進む。
【0129】
ステップ3bでは、ステップ3aで決定したウイルスの型にタイプ1が含まれている場合ステップ3cへ進むと判定し、タイプ2のみであれば(3d)へ進むと判定する。
【0130】
ステップ3cでは、ステップ3aで決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの効果を対応付けたテーブル2を検索して対応するIFNの効果を抽出し、それによってIFN療法の有効性を予測し、全予測工程を終了する。
【0131】
ステップ3dでは、ステップ3aで決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの効果を対応付けたテーブル3を検索し対応するIFNの効果を抽出し、それによってIFN療法の有効性を予測し、全予測工程を終了する。
【0132】
ここで使用されるテーブルは遺伝子型とIFN感受性を対応付けた情報である。各テーブルを表として示したものがそれぞれのテーブル番号に対応する表である。上述の方法において使用した各表は例として示したものである。ここで使用されるテーブルおよび表は、各遺伝子型とIFNの効果を対応付けたものであればよい。例えば、表2は、タイプ1のHCVに感染している患者における遺伝子型とIFNの効果の関係を示す表である。一方、表3は、タイプ2のHCVに感染している患者における遺伝子型とIFNの効果の関係を示す表である。また、使用される表は、そのうちの何れかの成分のみを含む表であってもよく、或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。上述の例ではステップ3cとステップ3dにて参照したテーブルとして、それぞれ表2と表3を使用し、夫々のステップ毎に必要な項目を予め選択して作製した2つの表を使用している。しかしながら、これらをあわせて作製した1つの表を用いてもよい。或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。成分の選択は、例えば、ステップ3cで使用されるテーブルには、タイプ1のHCV感染者における遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択し、ステップ3dではタイプ2のHCV感染者における遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択すればよい。しかしながらこれに限られるものではなく、成分の選択は実施者が任意に行ってよい。
【0133】
また、ここで使用される表2および3に記載される成分としての数値は、遺伝子型とIFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報を示す表示の1例であり、当該表に記載の数値に限定されるものではない。即ち、遺伝子型と著効または非著効との相関関係を実質的に示すことが可能な表記であれば、例えば、「○」、「×」、「△」であっても、簡略化された数値によるスコア(例えば、1、2、3、4および5等)であってもよい。
【表2−1】

【0134】
【表2−2】

【0135】
【表3】

【0136】
以上のような本発明の態様に従い、多くの項目を検討することにより、より正確な予測が可能になる。
【0137】
上述の本発明の態様に従う方法およびプローブ固相化チップを用いることにより、試料物質から、目的とする核酸情報を簡便に、短時間に、且つ正確に、回収することが可能である。
【0138】
また、上述の態様は本発明の1例であり本発明を制限することを目的として記載されるものではない。
【0139】
更なる利益および変更が当業者に容易に見出されるであろう。従って、その広範な側面における本発明は、ここに示し且つ記載した詳細および代表的な態様に制限するものではない。従って、種々の変更は、添付された請求の範囲およびそれらの均等物により明示されるような精神または一般的な本発明の概念の範囲から逸れることなく行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本実施例に係るDNAチップの概略図。
【図2】本実施例に係るPNAチップの概略図。
【図3】本実施例に係る方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0141】
1・・・DNAプローブ
2・・・DNAプローブ
3・・・DNAプローブ
4・・・DNAプローブ
5・・・DNAプローブ
6・・・基体
7・・・PNAプローブ
8・・・PNAプローブ
9・・・PNAプローブ
10・・・PNAプローブ
11・・・PNAプローブ
12・・・基体
13・・・金電極
14・・・接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定疾病に曝された個体の核酸についての第1の情報と前記個体に存在する病原微生物からの核酸についての第2の情報とを得る方法であって、前記病原微生物が当該特定疾患に関連し、以下を具備する方法;
(a)当該個体からの核酸の抽出物と、第1のプローブと第2のプローブとを具備するプローブ固定化基体とを反応させることと、ここで、前記第1のプローブは当該病原微生物の特定の核酸配列の存在を検出し、前記病原微生物は前記特定疾患に関連し、および前記第2のプローブは前記個体の特定の核酸の存在を検出する;並びに
(b)(a)の前記反応の結果、前記第1のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより前記第1の情報を得ることと、および前記第2のプローブに対して結合した核酸の存在を検出することにより第2の情報を得ること。
【請求項2】
前記個体の前記核酸が当該疾患の治療に対する反応性に関連し、且つ前記病原微生物からの前記核酸と前記個体の核酸の両者の存在が、当該疾患の治療に対する反応性と相関する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)の前記反応に先駆けて、前記個体からの核酸の前記抽出物を増幅し、増幅された核酸を得ることに供することを更に具備する請求項1の方法。
【請求項4】
前記個体がヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
核酸の前記抽出物が全血から調製される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記個体からの前記核酸がヒトゲノム核酸であり、且つ前記病原微生物からの前記核酸がゲノム核酸である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記個体からの核酸がヒトゲノム核酸であり、前記病原微生物からの核酸がRNAであること、並びに前記(a)の反応させることに先駆けて逆転写反応を行う請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記個体からの核酸がヒトゲノム核酸であり、前記病原微生物からの核酸がRNAであり、前記増幅に先駆けて逆転写反応を行う請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸の抽出物がヒトゲノム抽出用キットにより得られる請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒトゲノム抽出用キットがQIAamp DNA Blood Midi Kidである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特定疾患が肝炎であり、前記病原微生物が肝炎ウイルスである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記疾患が肝炎であり、前記病原微生物が肝炎ウイルスである請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプローブはC型肝炎ウイルスのゲノムを検出し、且つ前記第2のプローブはMxAプロモーター領域のSNPを検出する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプローブはC型肝炎ウイルスのゲノムを検出し、且つ第2のプローブはMBL遺伝子の多型を検出する請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1プローブは1種類以上具備され、且つ少なくともその1種類が以下から選択される配列を含み;
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号5からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(b)配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(c)(a)および(b)から選択される塩基配列の相補配列;並びに
前記第2プローブは1種類以上具備され、且つ少なくともその1種類が以下から選択される配列を含む;
(at455) 下記配列表の配列番号16に示される塩基配列、
(bt455) 前記(at455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct455) 配列番号16の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dt455) 配列番号16の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(et455) 前記(at455)〜(dt455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag455) 下記配列表の配列番号17に示される塩基配列、
(bg455) 前記(ag455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg455) 配列番号17の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dg455) 配列番号17の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(eg455) 前記(ag455)〜(dg455)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa455) 下記配列表の配列番号18に示される塩基配列、
(ba455) 前記(aa455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca455) 配列番号18の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(da455) 配列番号18の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ea455) 前記(aa455)〜(da455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac455) 下記配列表の配列番号19に示される塩基配列、
(bc455) 前記(ac455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc455) 配列番号19の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dc455) 配列番号19の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ec455) 前記(ac455)〜(dc455)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa420) 下記配列表の配列番号37に示される塩基配列、
(ba420) 前記(aa420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca420) 配列番号37の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(da420) 前記(aa420)〜(ca420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac420) 下記配列表の配列番号38に示される塩基配列、
(bc420) 前記(ac420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc420) 配列番号38の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dc420) 前記(ac420)〜(cc420)から選択される塩基配列の相補配列、
(at420) 下記配列表の配列番号39に示される塩基配列、
(bt420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct420) 配列番号39の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dt420) 前記(at420)〜(ct420)から選択される塩基配列の相補配列
(ag420) 下記配列表の配列番号40に示される塩基配列、
(bg420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg420) 配列番号40の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dg420) 前記(ag420)〜(cg420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag221) 下記配列表の配列番号41に示される塩基配列、
(bg221) 前記(ag221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg221) 配列番号41の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dg221) 配列番号41の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(eg221) 前記(ag221)〜(dg221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac221) 下記配列表の配列番号42に示される塩基配列、
(bc221) 前記(ac221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc221) 配列番号42の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dc221) 配列番号42の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ec221) 前記(ac221)〜(dc221)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa221) 下記配列表の配列番号43に示される塩基配列、
(ba221) 前記(aa221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca221) 配列番号43の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(da221) 配列番号43の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ea221) 前記(aa221)〜(da221)から選択される塩基配列の相補配列、
(at221) 下記配列表の配列番号44に示される塩基配列、
(bt221) 前記(at221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct221) 配列番号44の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dt221) 配列番号44の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(et221) 前記(at221)〜(dt221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag54) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg54) 前記(ag54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg54) 配列番号45の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dg54) 配列番号45の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(eg54) 前記(ag54)〜(dg54)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa54) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba54) 前記(aa54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca54) 配列番号46の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(da54) 配列番号46の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ea54) 前記(aa54)〜(da54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc54) 前記(ac54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc54) 配列番号47の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dc54) 配列番号47の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ec54) 前記(ac54)〜(dc54)から選択される塩基配列の相補配列、
(at54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt54) 前記(at54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct54) 配列番号48の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dt54) 配列番号48の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(et54) 前記(at54)〜(dt54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag52-57) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg52-57) 前記(ag52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg52-57) 配列番号45の868〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dg52-57) 前記(ag52-57)〜(cg52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa52-57) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba52-57) 前記(aa52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca52-57) 配列番号46の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(da52-57) 前記(aa52-57)〜(ca52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc52-57) 前記(ac52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc52-57) 配列番号47の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dc52-57) 前記(ac52-57)〜(cc52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(at52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt52-57) 前記(at52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct52-57) 配列番号48の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dt52-57) 前記(at52-57)〜(ct52-57)から選択される塩基配列の相補配列;
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1プローブは1種類以上具備され、且つ少なくともその1種類が以下から選択される配列を含み;
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号5からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(b)配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(c)(a)および(b)から選択される塩基配列の相補鎖;並びに
前記第2プローブは1種類以上具備され、且つ少なくともその1種類が以下から選択される配列を含む;
(at455) 下記配列表の配列番号16に示される塩基配列、
(bt455) 前記(at455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct455) 配列番号16の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dt455) 配列番号16の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(et455) 前記(at455)〜(dt455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag455) 下記配列表の配列番号17に示される塩基配列、
(bg455) 前記(ag455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg455) 配列番号17の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dg455) 配列番号17の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(eg455) 前記(ag455)〜(dg455)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa455) 下記配列表の配列番号18に示される塩基配列、
(ba455) 前記(aa455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca455) 配列番号18の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(da455) 配列番号18の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ea455) 前記(aa455)〜(da455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac455) 下記配列表の配列番号19に示される塩基配列、
(bc455) 前記(ac455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc455) 配列番号19の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dc455) 配列番号19の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ec455) 前記(ac455)〜(dc455)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa420) 下記配列表の配列番号37に示される塩基配列、
(ba420) 前記(aa420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca420) 配列番号37の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(da420) 前記(aa420)〜(ca420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac420) 下記配列表の配列番号38に示される塩基配列、
(bc420) 前記(ac420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc420) 配列番号38の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dc420) 前記(ac420)〜(cc420)から選択される塩基配列の相補配列、
(at420) 下記配列表の配列番号39に示される塩基配列、
(bt420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct420) 配列番号39の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dt420) 前記(at420)〜(ct420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag420) 下記配列表の配列番号40に示される塩基配列、
(bg420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg420) 配列番号40の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dg420) 前記(ag420)〜(cg420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag221) 下記配列表の配列番号41に示される塩基配列、
(bg221) 前記(ag221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg221) 配列番号41の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dg221) 配列番号41の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(eg221) 前記(ag221)〜(dg221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac221) 下記配列表の配列番号42に示される塩基配列、
(bc221) 前記(ac221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc221) 配列番号42の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dc221) 配列番号42の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ec221) 前記(ac221)〜(dc221)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa221) 下記配列表の配列番号43に示される塩基配列、
(ba221) 前記(aa221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca221) 配列番号43の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(da221) 配列番号43の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ea221) 前記(aa221)〜(da221)から選択される塩基配列の相補配列、
(at221) 下記配列表の配列番号44に示される塩基配列、
(bt221) 前記(at221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct221) 配列番号44の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dt221) 配列番号44の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(et221) 前記(at221)〜(dt221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag54) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg54) 前記(ag54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg54) 配列番号45の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dg54) 配列番号45の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(eg54) 前記(ag54)〜(dg54)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa54) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba54) 前記(aa54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca54) 配列番号46の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(da54) 配列番号46の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ea54) 前記(aa54)〜(da54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc54) 前記(ac54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc54) 配列番号47の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dc54) 配列番号47の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ec54) 前記(ac54)〜(dc54)から選択される塩基配列の相補配列、
(at54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt54) 前記(at54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct54) 配列番号48の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dt54) 配列番号48の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(et54) 前記(at54)〜(dt54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag52-57) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg52-57) 前記(ag52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg52-57) 配列番号45の868〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dg52-57) 前記(ag52-57)〜(cg52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa52-57) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba52-57) 前記(aa52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca52-57) 配列番号46の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(da52-57) 前記(aa52-57)〜(ca52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc52-57) 前記(ac52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc52-57) 配列番号47の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dc52-57) 前記(ac52-57)〜(cc52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(at52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt52-57) 前記(at52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct52-57) 配列番号48の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dt52-57) 前記(at52-57)〜(ct52-57)から選択される塩基配列の相補配列;
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅が、配列番号8および配列番号9からなる群より少なくとも1選択される塩基配列で示されるセンス鎖と、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14の群より少なくとも1選択される塩基配列で示されるアンチセンス鎖を使用するPCRによって行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
基体と、
病原微生物の特定の核酸配列の存在を検出するために、当該基体に固定化されの第1プローブと、ここで、前記微生物は特定疾患に関連する、
個体の特定の核酸の存在を検出するための、前記基体に固定化され且つ第1プローブとは異なる塩基配列を有する第2のプローブと、ここで、前記個体の前記核酸は、当該疾患の治療に対する反応性に関係する、
を具備するプローブ固定化基体。
【請求項19】
前記病原微生物がC型肝炎ウイルスであり、前記治療で用いる薬剤がIFNである請求項18に記載のプローブ固定化基体。
【請求項20】
当該個体の前記核酸がMxAのプロモーター領域である請求項18に記載のプローブ固定化基体。
【請求項21】
当該個体の前記核酸がMBLをコードする遺伝子である請求項18に記載のプローブ固定化基体。
【請求項22】
前記第1のプローブがC型肝炎ウイルスの遺伝子型を検出する請求項18に記載のプローブ固定化基体。
【請求項23】
基体と、
前記基体に固定化され、且つ以下の配列;
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号5からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(b)配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列に示される塩基配列、
(c)(a)および(b)から選択される塩基配列の相補配列;
から少なくとも1選択される配列を含む第1プローブと;
前記基体に固定化され、且つ以下の配列;
(at455) 下記配列表の配列番号16に示される塩基配列、
(bt455) 前記(at455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct455) 配列番号16の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dt455) 配列番号16の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(et455) 前記(at455)〜(dt455)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag455) 下記配列表の配列番号17に示される塩基配列、
(bg455) 前記(ag455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg455) 配列番号17の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dg455) 配列番号17の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(eg455) 前記(ag455)〜(dg455)から選択される塩基配列の相補配列
(aa455) 下記配列表の配列番号18に示される塩基配列、
(ba455) 前記(aa455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca455) 配列番号18の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(da455) 配列番号18の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ea455) 前記(aa455)〜(da455)から選択される塩基配列の相補配列
(ac455) 下記配列表の配列番号19に示される塩基配列、
(bc455) 前記(ac455)に示される塩基配列中の455位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc455) 配列番号19の441〜455位に示される配列を含む塩基配列、
(dc455) 配列番号19の449〜459位に示される配列を含む塩基配列、
(ec455) 前記(ac455)〜(dc455)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa420) 下記配列表の配列番号37に示される塩基配列、
(ba420) 前記(aa420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca420) 配列番号37の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(da420) 前記(aa420)〜(ca420)から選択される塩基配列の相補配列
(ac420) 下記配列表の配列番号38に示される塩基配列、
(bc420) 前記(ac420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc420) 配列番号38の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dc420) 前記(ac420)〜(cc420)から選択される塩基配列の相補配列
(at420) 下記配列表の配列番号39に示される塩基配列、
(bt420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct420) 配列番号39の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dt420) 前記(at420)〜(ct420)から選択される塩基配列の相補配列
(ag420) 下記配列表の配列番号40に示される塩基配列、
(bg420) 前記(at420)に示される塩基配列中の420位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg420) 配列番号40の415〜425位に示される配列を含む塩基配列、
(dg420) 前記(ag420)〜(cg420)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag221) 下記配列表の配列番号41に示される塩基配列、
(bg221) 前記(ag221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg221) 配列番号41の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dg221) 配列番号41の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(eg221) 前記(ag221)〜(dg221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac221) 下記配列表の配列番号42に示される塩基配列、
(bc221) 前記(ac221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc221) 配列番号42の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dc221) 配列番号42の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ec221) 前記(ac221)〜(dc221)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa221) 下記配列表の配列番号43に示される塩基配列、
(ba221) 前記(aa221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca221) 配列番号43の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(da221) 配列番号43の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(ea221) 前記(aa221)〜(da221)から選択される塩基配列の相補配列、
(at221) 下記配列表の配列番号44に示される塩基配列、
(bt221) 前記(at221)に示される塩基配列中の425位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct221) 配列番号44の418〜432位に示される配列を含む塩基配列、
(dt221) 配列番号44の421〜430位に示される配列を含む塩基配列
(et221) 前記(at221)〜(dt221)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag54) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg54) 前記(ag54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg54) 配列番号45の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dg54) 配列番号45の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(eg54) 前記(ag54)〜(dg54)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa54) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba54) 前記(aa54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca54) 配列番号46の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(da54) 配列番号46の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ea54) 前記(aa54)〜(da54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc54) 前記(ac54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc54) 配列番号47の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dc54) 配列番号47の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(ec54) 前記(ac54)〜(dc54)から選択される塩基配列の相補配列、
(at54) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt54) 前記(at54)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct54) 配列番号48の874〜876位に示される配列を含む塩基配列、
(dt54) 配列番号48の869〜880位に示される配列を含む塩基配列
(et54) 前記(at54)〜(dt54)から選択される塩基配列の相補配列、
(ag52-57) 下記配列表の配列番号45に示される塩基配列、
(bg52-57) 前記(ag52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cg52-57) 配列番号45の868〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dg52-57) 前記(ag52-57)〜(cg52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(aa52-57) 下記配列表の配列番号46に示される塩基配列、
(ba52-57) 前記(aa52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ca52-57) 配列番号46の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(da52-57) 前記(aa52-57)〜(ca52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(ac52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bc52-57) 前記(ac52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(cc52-57) 配列番号47の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dc52-57) 前記(ac52-57)〜(cc52-57)から選択される塩基配列の相補配列、
(at52-57) 下記配列表の配列番号47に示される塩基配列、
(bt52-57) 前記(at52-57)に示される塩基配列中の875位の塩基を除く数個の塩基が欠失、置換され、又は1以上の塩基が付加された修飾塩基配列、
(ct52-57) 配列番号48の886〜885位に示される配列を含む塩基配列、
(dt52-57) 前記(at52-57)〜(ct52-57)から選択される塩基配列の相補配列;
から少なくとも1選択される配列を含む第2プローブと;
を具備するプローブ固定化基体。
【請求項24】
当該特定の核酸の存在の検出が電気化学的に行われる請求項18に記載のプローブ固定化基体。
【請求項25】
当該特定の核酸の存在の検出が電気化学的に行われる請求項23に記載のプローブ固定化基体。
【請求項26】
以下を具備する個体の疾患の治療に対する反応性を決定する方法、ここで、当該疾患は当該個体における病原微生物の存在に関連する; (a)前記個体からの核酸の抽出物と、当該病原微生物の核酸にハイブリダイズする第1の核酸プローブ(ここで当該病原微生物は前記疾患と関連する)および前記個体の標的核酸にハイブリダイズする第2の核酸プローブ(ここで、前記個体の当該標的核酸は個体の疾患の治療に対する反応性と関連する)とを反応させることと、
(b)前記第1の核酸プローブに結合する前記病原微生物の前記核酸と、前記第2の核酸プローブに結合する前記個体の前記標的核酸とを検出すること(ここで、第1の核酸プローブに結合する前記病原微生物の前記核酸と前記第2の核酸プローブに結合する前記個体の前記標的核酸の両方の存在は、当該疾患の治療に対する反応性と相関する)。
【請求項27】
当該プローブが基体に固定化されている請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)の前記反応に先駆けて前記個体からの前記核酸を増幅することを更に具備する請求項26に記載の方法。
【請求項29】
以下を具備する疾患に対する個体の罹患性を決定する方法;
(a)前記個体からの核酸の抽出物と、疾患に関連する病原微生物の核酸にハイブリダイズする第1の核酸プローブおよび前記疾患に対する罹患性に関連する前記個体の標的核酸にハイブリダイズする第2の核酸プローブとを反応させることと、
(b)前記第1の核酸プローブに結合する前記病原微生物の前記核酸と、前記第2の核酸プローブに結合する前記個体の前記核酸とを検出すること(ここで、前記第1の核酸プローブに結合する前記病原微生物の前記核酸と、前記第2の核酸プローブに結合する前記個体の前記核酸との両方の存在は、前記疾患に対する前記個体の罹患性と関連する)。
【請求項30】
当該プローブが基体に固定化されている請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)の前記反応に先駆けて前記個体からの前記核酸を増幅することを更に具備する請求項29に記載の方法。
【請求項32】
疾患に関連する病原微生物の特定の核酸の存在を検出する第1のプローブと、当該疾患の治療に対する反応性に関連する個体の特定の核酸の存在を検出する第2のプローブとを具備するプローブ固定化基体の製造方法であって、当該第1のプローブと当該第2のプローブとを基体に固定することを具備する方法。
【請求項33】
前記基体がベースプレート、多孔質体、マイクロタイタープレート、ビーズ、球状物質、粒子状物質、磁性体、磁気ビーズからなる群より選択される請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−195565(P2007−195565A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121176(P2007−121176)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【分割の表示】特願2002−86681(P2002−86681)の分割
【原出願日】平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】