説明

疾患を処置および/若しくは予防するための装置および方法

本発明は、雌性哺乳動物への膣を介する治療薬、例えばリュープロリドのようなペプチドの送達のための治療装置に関する。いくつかの態様において、本発明は、開示される膣装置を使用する肥満および摂食障害、糖尿病、多発性硬化症(MS)、子宮内膜症、子宮線維症、多嚢胞性卵巣疾患、乳癌のような多様な癌、ざ瘡、多毛症、細菌性膣疾患若しくはAIDS/HIVのような細菌若しくは真菌またはウイルス感染症、ならびに慢性疾患の処置方法にもまた関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の交差引用]
本出願は、2009年2月13日に出願された米国仮出願第61/152,304号、2009年3月19日に出願された米国仮出願第61/161,502号、2008年11月7日に出願された米国仮出願第61/112,366号;2009年2月26日に出願された米国仮出願第61/155,694号;2008年11月7日に出願された米国仮出願第61/112,369号:2008年11月7日に出願された米国仮出願第61/112,372号;2008年11月7日に出願された米国仮出願第61/112,377号;および2009年2月26日に出願された米国仮出願第61/155,696号明細書(その全部はここにそっくりそのまま引用することにより組み込まれる)に対する利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
膣薬物送達はいくつかの利点を有する。すなわち(1)それは非侵襲性であることができ;(2)膣は十分に発達した血液供給を伴う高度に灌流される組織よりなり;(3)それは肝での初回通過代謝を回避しうる。さらに、膣薬物送達を介する治療薬の投与は、痛みを伴う注入を必要とするか若しくは従うことが困難である治療を必要とする疾患の処置に有益でありうる。
【0003】
膣投与経路を使用する長期の薬物若しくは薬物の組合せの一定かつ確実な送達は広範な応用で有用でありうる。例えば、ペプチドはそれらの潜在的高特異性および低毒性のため魅力的な治療的候補である。しかしながら、こうしたペプチドの送達は、伝統的に、痛みを伴う不便かつ不快な注入を必要とする。
【0004】
例えば、リュープロリドおよび他のGnRHアゴニストは、乳癌、または子宮内膜症若しくは子宮線維症のようなエストロゲン依存性の状態の処置のため、ならびに体外受精の間の卵巣刺激を制御するために雌性患者で典型的に使用されている。しかしながら、リュープロリドは、ポリ乳酸を典型的に包含する製剤中での筋肉内デポー注入(例えばLupron Depot(R))若しくは皮下注入として典型的に投与される。注入は痛みを伴う可能性があり、そして、こうした送達系を使用する患者コンプライアンスは問題が多いことがある。
【0005】
数種の医薬品は避妊の同時使用を必要とする。例えば、イソトレチノインは重度ざ瘡の処置に使用される医薬品であり、それは女性がそれを服用中に妊娠する若しくは妊娠中にそれを服用する場合に先天性欠損を引き起こし得る。この理由から、米国食品医薬品局(FDA)は、女性患者がイソトレチノイン服用の間2形態の避妊を使用することを命令している。抗アンドロゲン薬は、毛包へのテストステロンの刺激効果を阻害するため、女性での異常な男性パターンの発毛と定義される多毛症にしばしば使用される。しかしながら、抗アンドロゲン療法は潜在的に先天性欠損を引き起こし得る。
【0006】
ペプチド若しくは他の治療薬を、単独でまたは1、2若しくは3種の異なる治療薬とともに、例えば長期間継続的に、かつ、頻繁な注入若しくはデポー製剤の投与の必要性を伴わずに放出し得る、患者が管理可能な薬物送達装置は、とりわけ、経口療法を受け入れないかもしれない例えばペプチド治療薬の注入を必要とする疾患の処置に有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
[発明の要約]
本開示は、全般として、雌性患者を冒す障害を処置するための膣を介する治療的ペプチドのような1種若しくはそれ以上の有効成分の送達のための治療装置に向けられ、該装置は、ペプチド浸透性熱可塑性ポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー、および有効成分(例えば治療的ペプチド若しくはその製薬学的に許容できる塩)、ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤例えばクエン酸を包含する最低1セグメントを含んでなる。
【0008】
例えば、治療的ペプチドを包含する開示される治療的若しくは薬物送達装置は、患者の膣への該装置の挿入に際して該治療的ペプチドの全身吸収をもたらしうる。企図している治療装置は、該治療的ペプチドおよび該熱可塑性ポリマーを包含する実質的に均一の組成物を有する一体セグメント(unitary segment)を包含し得る。
【0009】
例えば、企図している治療的ペプチドは長さが約4ないし約40アミノ酸であるペプチドを包含する。1種の例示的治療的ペプチドはリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩である。他の企図している治療的ペプチドは、エキセナチド、リラグルチド、オキシントモジュリン、グレリン、ペプチドYY、プラムリンチドおよび膵ポリペプチドならびにそれらの組合せから選ばれ得る。別の態様において、治療的ペプチドはアミリンおよびレプチンならびにそれらの組合せから選ばれうる。
【0010】
開示される装置は、いくつかの態様において、雌性患者への該装置の挿入後に、障害の処置のための製薬学的有効量である、前記装置の挿入後若しくは約16時間、約1日若しくはそれ以上後の開示される治療的ペプチド若しくは剤の血清濃度をもたらしうる。例えば、治療的ペプチドのピーク血清濃度は該装置の挿入後約12ないし約22時間、例えば約16時間で得ることができる。ある一態様において、患者におけるリュープロリドのピーク血清濃度は、注入によりリュープロリドデポー組成物を投与された患者のものより開示される装置の挿入後により小さくかつ/若しくはよりゆっくり生じる。
【0011】
特定の一態様において、開示される治療装置は、該装置の挿入に際して、約1日後に約0.05ng/mLないし約1.0ng/mL、例えば約0.6ng/mLの患者におけるリュープロリドの血清濃度を提供しうる。
【0012】
いくつかの態様において、開示される治療装置は、約10ないし約100mgの治療的ペプチド、例えば約10ないし約60mg、例えば約36mg、約54mg若しくは約18mgのリュープロリド酢酸塩を包含する組成物を包含しうる。こうした治療装置は、患者の膣への挿入に際して約10μg/日のリュープロリドを放出しうる。こうした企図している装置はプロゲステリンをさらに含むことができ、例えば、プロゲステリンを含んでなる第二の一体セグメントを包含しうる。
【0013】
実質的に均一な組成物を有する一体セグメントを含んでなる、雌性の障害の処置のための治療装置もまた本明細書で提供され、該組成物は、薬物浸透性エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなり、患者の膣への前記装置の挿入に際してリュープロリドの全身吸収をもたらす。いくつかの態様において、こうした装置は、患者への該装置の挿入後約16時間にFSH(卵胞刺激ホルモン)およびLH(黄体化ホルモン)のピーク濃度を招くことができるか、若しくは、FSHおよびLHのピーク濃度は、リュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩を含んでなるデポー組成物(約22.5mgのリュープロリド酢酸塩およびポリ乳酸を包含するデポー組成物のような)の患者への注入後のFSHおよびLHのピーク濃度の発生と比較して患者で約10時間後で生じる。
【0014】
本明細書で企図している治療装置は、約4%ないし約50%重量パーセントの酢酸ビニル、例えば約15ないし約40%重量パーセントの酢酸ビニル、例えば約15ないし約30%の酢酸ビニルを包含するエチレン−酢酸ビニルコポリマーを包含することができ、かつ/若しくは、エチレン酢酸ビニルコポリマーは190℃/2.16kgで57g/10分のメルトインデックスを有する。
【0015】
実質的に均一な組成物を有する一体セグメントより本質的になる治療的膣リングもまた本明細書で提供され、該組成物は、薬物浸透性エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩、ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる。別の態様において、エチレン酢酸ビニルコポリマー、製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩、ならびに場合によっては1種若しくはそれ以上の製薬学的に許容できる賦形剤より本質的になる、1個の一体セグメントから成形される治療的膣リングが提供される。
【0016】
一態様において、a)薬物浸透性熱可塑性ポリマーおよび抗アンドロゲン薬若しくはイソトレチノインから選ばれる有効成分を含んでなる最低1個の第一のセグメント;ならびにb)最低1種の避妊薬(例えばエストロゲンステロイド、および/若しくはプロゲステロンステロイドを含んでなる、膣を介する併用療法の送達のための治療装置が開示され、ならびに、例えば該避妊薬は薬物浸透性熱可塑性ポリマーを含んでなる第二のセグメントに配置されうる。
【0017】
異なる一態様において、薬物浸透性エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび抗菌薬を含んでなる最低1セグメントを含んでなる、膣を介する抗菌薬の送達のための治療装置が提供される。抗菌薬(antimicrobial agent)は、抗菌薬(antibacterial agent)、抗真菌薬(例えばクロトリマゾール、ナイスタチン、フルコナゾール、ケトコナゾール、アムホテリシンB、カプソフギン(capsofugin)およびボリコナゾール若しくはそれらの組合せ)または抗ウイルス薬であることができ、例えば、抗菌薬(antibacterial agent)はメトロニダゾール、チニダゾールおよびそれらの組合せから選ばれうる。抗ウイルス薬はテノホビルであることができ、また、該装置は加えてUC781を包含しうる。例えば、装置は第一のセグメントに配置された第一の抗ウイルス薬(例えばテノホビル)、および第二のセグメントに配置された第二の抗ウイルス薬(例えばUC781)を包含しうる。あるいは、装置は、抗菌薬(antimicrobial agent)およびコポリマーを含んでなる実質的に均一な組成物を有する一体セグメントであるセグメントを包含することができ、かつ/若しくは避妊薬をさらに含みうる。
【0018】
薬物浸透性熱可塑性ポリマーおよび薬理学的有効成分を含んでなる最低1セグメントを含んでなる、慢性障害を処置することが可能な薬理学的有効成分の送達のための治療装置もまた本明細書で提供される。本明細書で企図しているこうした薬理学的有効成分は、コレステロール降下薬、β遮断薬、ニトログリセリン、カルシウムチャネル拮抗薬、アスピリンおよびそれらの組合せ、例えばスタチン、ACE阻害薬若しくはアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト;気管支拡張薬、抗生物質ならびにそれらの組合せから選ばれうる。あるいは、若しくは加えて、企図している装置は、制吐薬若しくは鎮痛薬のような薬理学的有効成分を包含しうる。
【0019】
ある態様において、治療装置は、例えば40mmから80mmまでの全径、および/若しくは0.5mmから12mmまでの断面直径を伴う膣リングでありうる。あるいは、企図している装置は最低1セグメントを伴うタンポンをさらに含みうる。
【0020】
ある態様において、製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容でき
る塩をそれの必要な雌性患者に膣投与することを含んでなる、子宮内膜症、子宮線維症および/若しくは乳癌の処置方法もまた提供される。こうした方法は、例えば、a)雌性患者の膣路(vaginal tract)に本明細に提供されるところの治療装置若しくは膣リングを配置すること、およびb)該雌性患者に製薬学的有効量のリュープロリドを送達するのに十分な期間、該雌性患者の膣路に該治療装置を維持することにより、リュープロリドを膣投与することを包含しうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】1セグメント12よりなるリング形状の膣内治療装置10を描く。
【図1B】結合手段14により相互に結合されているセグメント12および13よりなるリング形状の膣内治療装置を描く。
【図1C】本明細書に記述されるところのリングを描く。
【図2】本明細書に開示されるところの18mgのリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのLH応答(miU/ml)を描く。
【図3】本明細書に開示されるところのリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのFSH応答(miU/ml)を描く。
【図4】本明細書に開示されるところのリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのエストラジオール応答(pg/ml)を描く。
【図5】本明細書に開示されるところのリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのプロゲステロン応答(ng/ml)を描く。
【図6】本明細書に開示されるところのリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体での質量分析の結果を描く。
【図7】Lupron(R)デポー(22.5mg)を注入により投与された患者、ならびに低用量(18mgリュープロリド)およびエチレン酢酸ビニル若しくは高用量(36mgリュープロリド)およびエチレン酢酸ビニルを包含する一体セグメントから成形されるリングによりリュープロリドを膣投与された患者の血清リュープロリド濃度比較の結果を描く。
【図8】本明細書に開示されるところの低用量(18mg)若しくは高用量(36mg)のリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのLH応答(miU/ml)を比較する。
【図9】本明細書に開示されるところの低用量(18mg)若しくは高用量(36mg)のリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのFSH応答(miU/ml)を比較する。
【図10】本明細書に開示されるところの低用量(18mg)若しくは高用量(36mg)のリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのエストラジオール応答(pg/ml)を描く。
【図11】本明細書に開示されるところの低用量(18mg)若しくは高用量(36mg)のリュープロリドを包含する治療装置の配置後の被験体でのプロゲステロン応答(ng/ml)を描く。
【図12】タンポン使用に適する材料を包含するタンポン形状のホルダーおよび該タンポン形状のホルダー上に配置された1種若しくはそれ以上の薬物を包含するセグメント化されたEVAロッドを包含する薬物送達系の図解を描く。
【図13】タンポン使用に適する材料を包含するタンポン形状のホルダーおよび該タンポン形状のホルダー内に配置された1種若しくはそれ以上の薬物を包含するセグメント化されたEVAロッドを包含する薬物送達装置の図解を描き;図13Aは該タンポンの長軸に平行に配置されたEVAロッドを伴う装置を描き;図13Bは該タンポンの短軸に平行に若しくは該タンポンの双方の軸に対し角度で配置されたEVAロッドを伴う装置を描く。
【図14】それぞれ異なる薬物(A、B若しくはC)を負荷された3個の異なるセグメントを含有するまたは薬物を含まない(プラセボ)セグメント化されたEVAロッドを描く。
【図15】本明細書に記述されるところのリュープロリドを包含するin vitro放出キネティクス膣内リングを描く。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の詳細な記述]
本発明は、全般として、治療薬の送達のための治療的膣装置、および雌性哺乳動物への治療薬の送達方法に関する。企図している薬物送達装置は1、2種若しくはそれ以上の薬物を送達するのに有用であることができ、およびタンポン若しくはタンポン様物体を包含しうるか、またはリング形状でありうる。本発明は、肥満の処置方法、糖尿病の処置方法、多発性硬化症(MS)の処置方法、ざ瘡の処置方法、多毛症の処置方法、細菌性膣症の処置方法、HIVの予防的予防方法、子宮内膜症の処置方法、子宮線維症の処置方法、多嚢胞性卵巣疾患の処置方法、乳癌の処置方法、および慢性疾患の処置方法にもまた関する。
【0023】
便宜上、さらなる記述の前に、本明細、実施例および付随する請求の範囲で使用されるある種の用語および句の意味するところを下に提供する。
【0024】
「治療薬」、「有効成分」若しくは「薬物」という用語は、ヒトのような哺乳動物で局所および/若しくは全身作用を生じかつ疾患治療の目的上使用される生理学的若しくは薬理学的有効成分を指す。
【0025】
本明細書で使用されるところの「ペプチド」はアミノ酸の定義された順序の連結から形成される短いポリマーを指す。こうしたペプチドは、長さ約3アミノ酸、例えば約4アミノ酸ないし長さ約40のペプチド、例えば約28、29、36若しくは37アミノ酸を有する天然および合成ペプチドを包含する。例示的ペプチドは、グレリン(約28アミノ酸)、オキシントモジュリン(37アミノ酸)、グラチラマー酢酸塩(約4アミノ酸)およびリュープロリド、ならびにそのそれらの製薬学的に許容できる塩を包含する。
【0026】
本明細書で使用されるところの「治療的ペプチド」は、疾患治療の目的上使用される天然に由来する若しくは合成のペプチドを指す。
【0027】
本明細書で使用されるところの「避妊薬」という用語は、妊娠の可能性を予防若しくは低下させる1種若しくはそれ以上のホルモンステロイド(例えばエストロゲンステロイドおよび/若しくはプロゲステロンステロイド)を指す。
【0028】
「エストロゲンステロイド」および「エストロゲン」という用語は、エストラジオールのようなエストロゲンホルモンに特徴的な生物学的影響を発揮する天然若しくは合成の剤を指すのに互換性に使用する。本明細書で使用されるところの「エストロゲンステロイド」および「エストロゲン」という用語は、妊娠牝馬の尿から典型的に得られる、天然に存在する水溶性の結合型の混合型エストロゲンの無定形製剤である「結合型エストロゲン」(例えばエストロン硫酸ナトリウム)もまた包含する。エストロゲン物質の硫酸エステルのナトリウム塩若しくは硫酸抱合体のグルカノリド(glucanoride)の混合物である「エステル化エストロゲン」もまた包含される。適するエストロゲンの例は、エストラジオール吉草酸エステル、エストラジオール安息香酸エステル、17−βエストラジオール、エストラジオールシピオン酸エステル、エストロン、ピペラジンエストロン硫酸塩、エストリオール、エチルエストラジオール、ポリエストラジオールリン酸エステル、エストロン硫酸カリウム、ベンゼストロール、クロロトリアニセン、メタレネストリル、ジエンエストロール、二リン酸ジエチルスチルベストロール、メストラノール、ジエチルスチルベストロール(DES)、キネストラノール(quinestranol)、フィトエスロトゲン、動物由来エストロゲン(例えばウマエストロゲン)、および動物由来エストロゲンの代謝誘導体を制限なしに包含する。これらは、細胞内に存在する既知のエストロゲン受容体若しくは細胞外膜に結合するエストロゲン受容体のいずれかに結合しかつエストラジオール若しくは他のエストロゲン化合物のものを模倣する生物学的影響を引き起こすいかなるステロイド若しくはステロイド以外の化合物もまた包含する。
【0029】
「プロゲステロンステロイド」および「プロゲスチン」という用語は、黄体のホルモンであるプロゲステロンにより生じられる生物学的変化のいくつか若しくは全部に影響を及ぼす天然若しくは合成の剤を指すのに互換性に使用する。例えば、プロゲスチンは子宮内膜の分泌変化を誘発し得る。プロゲスチンの例は、プロゲステロン、17−ヒドロキシプロゲステロン誘導体、19−ノルテストステロン誘導体、19−ノルプロゲステロン誘導体 ノルエチンドロン、ノルエチンドロン酢酸エステル、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、エチノジオール酢酸エステル、アリルエストレノール、リノエストレノール、酢酸フインゲスタノール(fuingestanol acetate)、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチデローム(dimethiderome)、エチステロン、シプロテロン レボノルゲストレル、dl−ノルゲストレル、シプロテロン酢酸エステル、ゲストデン、デソゲストロール(desogestrol)、ジドロゲステロン、エチノジオール酢酸エステル、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、メゲストロール酢酸エステル、フィトプロゲスチン、動物由来プロゲスチン、および動物由来プロゲスチンの代謝誘導体を制限なしに包含する。これらの化合物は、細胞質若しくは膜結合型プロゲステロンに結合しかつプロゲステロン若しくはプロゲスチンの生物学的影響のいずれかを模倣するいかなるステロイド若しくはステロイド以外の化合物もまた包含する。
【0030】
本明細書で使用されるところの「抗アンドロゲン薬」若しくは「アンドロゲンアンタゴニスト」という用語は、身体の通常は応答性の組織に対するアンドロゲンの生物学的影響を予防若しくは阻害することが可能であるホルモン受容体アンタゴニスト化合物の一群のいずれも指す。
【0031】
「抗菌薬(antimicrobial agent)」という用語は、全般として、抗菌薬(antibacterial agent)(例えば抗生物質)、抗ウイルス薬、抗真菌薬および抗原虫薬を包含する生理学的若しくは薬理学的有効成分を指す。
【0032】
本明細書で使用されるところの「抗菌薬(antibacterial agent)」という用語は、細菌を破壊またはそれらの増殖若しくはそれらの繁殖する能力を抑制す
る生理学的若しくは薬理学的有効成分を指す。
【0033】
本明細書で使用されるところの「抗ウイルス薬」という用語は、ウイルスを破壊またはそれらの増殖若しくはそれらの繁殖する能力を抑制する生理学的若しくは薬理学的有効成分を指す。
【0034】
本明細書で使用されるところの「一体セグメント」若しくは「セグメント」という用語は、全体で実質的に均一な(uniform)すなわち均一な(homogenous)組成物を有する固形物を指す。「セグメント」および「一体セグメント」という用語は、いくつかの態様において、コアー若しくはリザーバーならびに表皮層、壁、膜、コーティング若しくはポリマー層(1個若しくは複数)のような内および/若しくは外材料層を含んでなる膣リング若しくはそれらの部分、セグメントまたは成形品を明確に除外する。「ポリマー成形品」という用語は、全体で実質的に均一な(uniform)すなわち均一な(homogenous)組成を有しかつポリマーを含んでなる固形物を指す。こうした成形品は、例えば円筒、ロッド、卵形体、紐、糸などのようないかなる形状も有しうる。いくつかの態様において、一体セグメントは、ポリマー(若しくはポリマー混合物)ならびに/またはポリマー(若しくはポリマー混合物)および治療薬(ならびに場合によっては別の治療薬および/若しくは製薬学的に許容できる賦形剤)より本質的になることができる。
【0035】
本明細書で使用されるところの「一体円筒状セグメント」および「一体円筒状ロッド」という用語は、全体で実質的に均一な(uniform)すなわち均一な(homogenous)組成を有する固体の円筒若しくは棒形状の物質を指す。
【0036】
本明細書で使用されるところの「薬物浸透性」、「ペプチド浸透性」若しくは「剤浸透性」という用語は、それを通して薬物、ペプチドが拡散し得かつ従って哺乳動物で局所および/若しくは全身作用のため吸収され得るポリマー材料を指す。
【0037】
「適合性」という用語は、膣の内容物による該装置の伸張性の性質若しくは構造の完全性の崩壊が存在しないために膣路の環境と双方適合性を意味している。同様に膣路中の配置の領域の感受性の組織に対する有害な作用が存在しない。広範に変動する型のポリマー材料、例えばポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−ビニル酢酸コポリマー、セルロース、ポリスチレンのコポリマー、ポリアクリレートならびに多様な型のポリアミドおよびポリエステルが、これらの非毒性の薬物浸透性の特性を提供することにおいて適する。上述のポリマーは多孔質若しくは微孔質の形態で使用し得る。
【0038】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、該ポリマーに特徴的な温度範囲を通じて加熱することにより軟化されかつ冷却することにより硬化されることが可能であり、および軟化された状態で流れにより装置にまたは成形若しくは押出により造形され得るポリマー材料を指す。
【0039】
本明細書で使用されるところの「結合手段」という用語は、2個の一体セグメント若しくは一体円筒状ロッドの端を相互に結合(join)若しくは結合(connect)するための方法、機構、物質若しくは装置を指す。本明細書で使用されるところの「接着性物質」という用語は、該セグメントの端を結合するのに十分な接着特性を有する不活性結合剤、接着剤若しくは他の物質を指す。接着性物質は例えば医療等級のシリコーン接着剤であり得る。
【0040】
本明細書で使用されるところの「患者」および「雌性哺乳動物」という用語は、医学的処置若しくは避妊薬を提供することが望ましいヒト若しくは他の動物を指すのに互換性に
使用する。
【0041】
「タンポン」という用語は、からの液体の吸収、または医薬品のような有効成分若しくは水分の送達のため膣腔若しくは他の体腔に挿入され得るいかなる型の吸収材構造も指す。タンポンは、形状が直線的若しくは長軸に沿って弯曲のような非直線的であり得る。
【0042】
一般に2種の型のタンポンが存在する。第一の型のタンポンは自立型タンポンである。タンポンは一般に、それらが使用前のそれらの全般的形状および大きさを保持する傾向があることができるために「自立型」である。典型的な自立型タンポンは35〜60mm長であり、該長さはタンポンの上端から長軸に沿ってタンポンの基部まで測定される。タンポンの基部までの測定値は、タンポンの主吸収材料を超えて伸張するいかなる上包、二次的吸収部材若しくは引き出しコードも包含しない。典型的な自立型タンポンは、最大円筒横断面に対応する5〜20mm幅である。該幅は自立型タンポンの長さに沿って変動し得る。
【0043】
第二の型のタンポンは、容易に「変形可能な液体浸透性の袋状タンポン」である。該変形可能な液体浸透性の袋状タンポンは、該液体浸透性の袋状タンポンが約3psi未満の力で容易に変形可能であるような吸収材チップ、球体若しくは繊維のような片よりなるがしかしこれらに限定されない。該タンポンは約1psi未満の圧で実質的に変形可能であり;約0.15mm直径の表面から圧が適用される場合に広がる若しくは容易に押し込まれるタンポンをもたらす。
【0044】
本明細書で使用されるところの「膣腔」および「膣内」という用語は、身体の外陰部領域のヒト女性の内性器を指す。本明細において、「膣内」という用語は膣への局所送達、ならびに全身作用を包含する身体の他の標的組織への膣を通じての双方を包含する。
【0045】
本明細書で使用されるところの「薬理学的有効量」、「治療的有効量」若しくは単純に「有効量」は、意図している薬理学的、治療的若しくは予防的結果を生じるのに有効な薬物の量を指す。例えば、疾患若しくは障害と関連する測定可能なパラメータの最低25%減少が存在する場合に所定の臨床処置が有効とみなされる場合、その疾患若しくは障害の処置のための薬物の治療的有効量は、そのパラメータの最低25%減少を遂げるのに必要な量である。
【0046】
「製薬学的に許容できる塩」という用語は技術に認識され、そしてペプチドの比較的非毒性の無機および有機酸付加塩を指す。例えば、リュープロリドの塩は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸若しくはメタンスルホン酸塩を包含する。陽イオン塩を企図しており、そして、例えば、過剰の、適切な陽イオンを含有する水酸化物、炭酸塩若しくはアルコキシドのようなアルカリ試薬;または適切な有機アミンで化合物を処理することにより製造しうる。Li、Na、K、Ca++、Mg++およびNHのような陽イオンは製薬学的に許容できる塩中に存在する陽イオンのいくつかの制限しない例である。
【0047】
系および装置
本明細書で企図しているところの有効成分の全身および/若しくは膣送達のための治療的系若しくは装置は、最低1セグメントが薬物浸透性熱可塑性ポリマーおよび有効成分を包含する最低1、2、3個若しくはそれ以上のセグメントを包含する最低1個のポリマー成形品、例えば実質的に円筒状のロッド、紐若しくは糸を包含する。該装置は患者の膣に置かれる場合に長期間薬物を放出する。セグメントは、全体で実質的に均一な組成物(例えば薬物およびポリマー双方の)を有することができ、そして患者の膣腔に置かれる場合に長期間薬物を放出することが可能でありうる。例えば、本開示は、膣内に一旦置かれた
装置を交換することを伴い若しくは伴わずに、製薬学的有効量の1種若しくはそれ以上の避妊薬を約1日若しくはそれ以上、約1週、約1か月、約3か月または約6か月あるいはそれ以上膣内送達することが可能な装置を企図している。
【0048】
企図している治療的系は、それぞれ同一の有効成分を包含しうるか若しくはそれぞれ異なる有効成分を包含しうる1個若しくはそれ以上のセグメントを包含しうる。各セグメントは、場合によってはさらなる有効成分を包含し得るか、あるいは、2個若しくはそれ以上のセグメントを包含する装置の場合は、異なるセグメントがそれぞれ異なる薬物を包含しうるか、あるいは、1個若しくはそれ以上のセグメントが、薬物および/若しくは別の治療薬または有効成分の送達を増強する剤を包含し得るか、あるいは、1個若しくはそれ以上のセグメントがある有効成分を包含し、別のセグメントが別の剤を包含し得るか、あるいは、2個若しくはそれ以上のセグメントが同一の有効成分を(例えば同一重量パーセントで若しくは異なる重量パーセントで)包含しうるか、あるいは、1、2個若しくはそれ以上のセグメントが有効成分を包含しないことができる。同様に、2個若しくはそれ以上のセグメントを包含する企図している装置は、第二のセグメントと異なる熱可塑性ポリマーを含む第一のセグメントを包含しうる。例えば、第一のセグメントは、(例えば異なるポリマー若しくは異なるパーセントの単量体、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー中の酢酸ビニルの異なるパーセントから生じうる)第二のセグメントと異なる放出速度をもつ熱可塑性ポリマーを包含しうる。
【0049】
一態様において、一体セグメントはリング造形品に成形しうる。別の態様において、2、3個若しくはそれ以上のセグメントを端と端を結合してリング造形品を成形しうる。例えば、1セグメントの最低一端を、接着性物質のような結合手段により、またはセグメントの端の同一若しくは異なる熱可塑性ポリマーへのアニールにより、別の一体セグメントの端に結合しうる。例示的一態様において、薬物送達装置は図1Aに描かれる装置を包含することができ、該薬物送達装置10はヒトの膣路への配置のために大きさを決められ、造形されかつ適合された本体11を含んでなる。本体11は、患者の膣路への拡散により薬物(1種若しくはそれ以上)を放出するポリマーから成形しうる。薬物送達装置10は、結合手段14により相互に結合されている、図1Bに描かれるところの2個の一体円筒状セグメント12および13を包含しうる。該2セグメントは結合手段に対する必要性を伴わずにもまた直接融合され得るか、若しくは、あるいは、該リングは、結合手段14に対する必要性を排除しうる、例えば図1Aに示されるところの1セグメントから成形しうる。具体的に説明される装置は1若しくは2セグメントを含んでなるとは言え、本発明の薬物送達装置は1、3、4、5、6個若しくはそれ以上のセグメントを含み得る。特定の応用に使用されるセグメントの数および大きさは、とりわけ、送達されるべき薬物の数、該薬物の投薬量、ならびに、該装置内の薬物の拡散および相互作用を予防するためのプラセボセグメント(1個若しくはそれ以上)の必要性に依存することができる。例えば、企図しているリングは、エチレン酢酸ビニルコポリマーおよび/若しくはポリエチレングリコール、ならびに有効量の治療的ペプチドおよび場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を包含するか、若しくはいくつかの態様においては本質的にそれらよりなる一体セグメントより本質的になることができる。
【0050】
いくつかの態様において、例えばEVAおよび/若しくはPEGならびに治療的ペプチド、ならびに場合によっては界面活性剤のような賦形剤および/または非イオン性界面活性剤例えばTween(例えばTween 80若しくはポリソルベート80)のような乳化剤を包含する企図している系若しくは装置は、植え込み可能な本体の長さに沿った全部の点で均一な断面を有する独立型植え込み可能本体でありうる。例えば、開示される系、装置、セグメントおよびリングは、いくつかの態様において、例えば長さに沿った全部の点(例えばリング全体)で該植え込み可能本体の断面直径に実質的に同一の断面直径を有しうる。
【0051】
企図している治療的系若しくは装置は、薬物、およびタンポン若しくはタンポン様構造、例えば綿若しくは超吸収体ヒドロゲルのような吸収材料から作成される円筒、ならびに例えばセグメント化されたEVAおよび/若しくはPEGならびに例えば治療的ペプチドから作成される糸若しくは紐またはロッドを包含するポリマー成形品を含みうる。例えば、最低1セグメントが有効成分を包含する熱可塑性ポリマーの1、2、3個若しくはそれ以上のセグメントを包含するポリマー造形品、例えば実質的に円筒状のロッド、糸若しくは紐を本明細書で企図しており、該造形品は、治療的若しくは有効成分の送達のため、吸収材料の円筒の内側に埋め込まれるか、若しくは例えばタンポンの表面に結合される。別の態様において、EVAを包含するセグメント化された糸若しくは紐またはロッドは、吸収円筒の表面に埋め込まれるか若しくは結合される。本発明の送達系は、綿若しくは不織ポリマー材料のようなタンポン様支持体から構成される。例えば、EVAから作成される円筒が、ロッド、またはストランド若しくは紐として該支持体に挿入される。EVA円筒はその短軸に沿って均一である断面を有しかつその長軸に沿ってそれはセグメント化される。該EVA円筒はタンポンの表面近く若しくはタンポンの内側に配置し得る。例えば、EVA送達系は、タンポンの内部吸収体コアーとその外側の被覆層の間に配置される。EVA/薬物の組合せは実質的に円筒状の形態若しくは形状にありうるとは言え、他の形状もまた可能である。複数のこれらのポリマー造形品例えばロッドを、全方向に薬物を放出するためにタンポンの多様な側に配置しうる。あるいは、該薬物送達装置は、リング、ウエハー若しくは坐剤の形状の1個若しくはそれ以上のセグメント若しくはポリマー造形品を包含しうる。
【0052】
例として、図12は本発明の一態様を示す。これおよび他の図に示される薬物送達装置は具体的説明のみのため提供され、そして本発明を制限すると解釈されるべきでない。当業者が認識するであろうとおり、該薬物送達装置は、処置されるべき特定の哺乳動物、ならびに処置されるべき状態の性質および重症度に依存して多様な形状、大きさおよび寸法で製造し得る。
【0053】
図12は、ヒトの膣路への配置のため大きさを決められ、造形されかつ適合されたタンポン11を含んでなる薬物送達装置10を描く。薬物送達装置10は、患者の膣路への拡散により薬物(1種若しくは複数)を放出する、ポリマーから成形された2個のセグメント化されたEVAロッド12、13をさらに含んでなる。図12に示されるセグメント化されたEVAのロッド12、13は、図14に示されるところの3個の一体円筒状セグメント14、15、16を含み得、そしてタンポンの長軸に実質的に平行に(図12若しくは13A)またはタンポンの長軸に対し実質的に垂直若しくは他の角度で配置され得る(図13B)。図12はタンポン11の表面上に配置されるロッド12、13を描く一方、図13はタンポン11とともに配置されるロッド12、13を描く。該図は一体円筒状セグメントを描くとは言え、当業者は、該セグメントを多様な形状、大きさおよび寸法で製造し得ることを認識するであろう。該2セグメントは結合手段の必要性を伴わずに直接融合もまたし得る。特定の一応用に使用されるセグメントの数および大きさは、とりわけ、送達されるべき薬物の数 薬物の投薬量、ならびに該装置内の薬物の拡散および相互作用を予防するためのプラセボセグメント(1個若しくは複数)の必要性に依存することができる。
【0054】
例えば、企図している送達系は2個若しくはそれ以上の一体セグメントを包含することができ、該セグメントの最低1個は、薬物浸透性ポリマー物質(例えばEVA若しくはEVAおよびPEGの組合せ、ならびに場合によってはTween 80のような賦形剤)ならびに第一の有効成分の均一な混合物を含んでなり、ならびに、第二のセグメントは、該第二のセグメント中のものと同一若しくは異なりうる別の有効成分を包含しうる任意の第三のセグメントを伴い、第二の薬物浸透性ポリマー物質および第二の有効成分を包含す
る。該セグメントの最低2個が異なる有効成分を含みうる。いくつかの態様において、第一および第二の浸透性ポリマー物質は同一、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーのような熱可塑性ポリマーでありうる。該薬物送達系が2種の有効成分(例えば抗アンドロゲン薬および避妊薬若しくはイソトレチノインおよび避妊薬の双方)の放出のための1個若しくはそれ以上のポリマー造形品を包含する場合、該系は、各剤を長期にわたり実質的に一定の比で放出しうる。
【0055】
企図している治療装置は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、および膣に配置される場合に患者への長期間の全身送達に適切な量の有効成分を包含する膣リングを包含する。いくつかの態様において、1個の一体セグメントから形成されかつ例えばエチレン酢酸ビニルコポリマーおよび有効成分ならびに場合によっては1種若しくはそれ以上の製薬学的に許容できる賦形剤から本質的になる膣リングを企図している。こうしたリングは、例えば有効成分をデポー注入(例えば、ポリ乳酸デポー中に22.5mg、30mg、7.5mg、11.25mgおよび/若しくは3.75mgのリュープロリド酢酸塩を有するLupron Depot(R)、または、デポー組成物は約11.25mg若しくは22.5mgのリュープロリド酢酸塩およびポリ乳酸を含んでなる)として投与される患者に比較して低下されかつ/若しくは遅延されたピーク血清濃度を伴い患者に有効成分を送達することが可能でありうる。
【0056】
一態様において、開示される装置例えばリングは、例えばデポー注入として有効成分を投与される患者と比較してピーク血清濃度の減少を伴い患者に有効成分を送達することが可能でありうるが、しかし、3日、1週、1か月若しくはそれ以上にわたる処置を達成するのに有効な適切な量の有効成分を送達しうる。有効成分およびエチレン酢酸ビニルコポリマー(ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤)を効果的に包含するこうした例示的一膣リングは、いくつかの態様において、いくつかの態様において、他の有効成分および/若しくはポリマーおよび/若しくはペプチドが該装置に存在する場合に達成可能でないことがある膣リング中に存在する有効成分の量に関して、患者に有効成分の量の非直線的増大を全身送達し得る。
【0057】
例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび有効成分を包含する一体セグメントを包含する治療装置を本明細書で企図しており、リング中に存在する有効成分の用量の増大が、該装置中の増大された投薬量から生じる期待される血清濃度より大きい患者でのピーク血清剤の増大をもたらす。例えば、装置中の有効成分の用量の倍加は、(一旦患者の膣に配置されれば)患者での有効成分のピーク血清濃度の約3倍の増大につながる。
【0058】
一態様において、膣装置例えばリングを使用する全身投与は、該装置の挿入後約12ないし約22時間、例えば約14ないし約17時間、約15若しくは約16時間に患者で有効成分(例えばリュープロリド)のピーク血清濃度をもたらす。別の態様において、約18mgないし約100mgの治療的リュープロリド、例えば約18mg、約36mg若しくは約54mgまたはそれ以上を包含する装置を本明細書で企図している。例えば、投与に際して、開示される装置は、患者に一旦挿入されれば、約12時間後、約18時間後、約20時間後若しくは約1日後でさえ、約0.01ng/mLないし約2.0ng/mL、若しくは約0.1ng/mLないし約1.0ng/mL、例えば約0.6ng/mL若しくは約1.0ng/mLの患者での例えばリュープロリドの血清濃度をもたらしうる。患者での開示される装置を使用する例示的ピークリュープロリド濃度は、例えば患者の挿入後約16時間で約0.5ng/mLないし約4ng/mLでありうる。
【0059】
1種若しくはそれ以上の有効成分のそれぞれの一定の濃度を達成しかつ濃度のピークおよび谷の非能率を回避するために、有効成分は、時間とともに実質的に変化しない(すなわち0次放出)速度で送達系から放出されうる。好ましくは、有効成分の初期用量は治療
的用量であり、これは該送達系により維持される。
【0060】
一態様において、開示される装置は、有効成分が定常状態で放出されて従って身体組織中の有効成分の対応する予測可能な吸収および代謝を提供する実質的に「0次キネティクス」有効成分投与を提供する。例えば、リュープロリドを包含する企図している治療装置は、患者の(例えばヒト)膣への挿入に際して、挿入約12ないし約22時間、例えば約15、16若しくは17時間後にリュープロリドのピーク血清濃度をもたらしうる。患者でのこうしたピーク血清濃度は、注入によるリュープロリドデポー濃度(22.5mg若しくは11.5mgのリュープロリドを有するデポー組成物、例えばLupron(R)デポーのような)を投与される患者のものより少ないことがある。例えば、リュープロリドを包含する開示される装置の挿入後、患者は、挿入約12ないし約18時間後、例えば約15若しくは約16時間にFSHおよび/若しくはLHのピーク血清濃度を有しうる。FSHおよびLHのこうしたピーク濃度は、(Lupron Depot(R)のような)リュープロリドのデポー組成物を投与される患者で発生するFSHおよびLHの時間ピーク濃度と比較して後に患者で発生しうる。いくつかの態様において、企図している治療装置は、患者の膣への挿入に際して約5μgないし約150μg/日、例えば約10μg/日の治療的タンパク質例えばリュープロリドを放出しうる。
【0061】
一態様において、有効成分の送達は、意図している治療効果が望ましい場合は特定の身体器官に「標的を定める」ことができ;意図していない影響が発生しうる肝のような他の器官を迂回しうる。従って、1種若しくはそれ以上の有効成分の効率的な代謝および治療的使用を高めることができ、そして有害な代謝的副作用の発生が低下されうる。
【0062】
有効成分
本発明の送達系で使用される1、2、3種若しくはそれ以上の有効成分は、局所で放出されかつ作用するか、若しくは膣粘膜から身体の他の場所に吸収されかつ全身で作用するいかなる剤でもありうる。身体を処置するのに使用されかつポリマーを通って拡散しかつ膣路の裏層により吸収されることが可能であるいかなる製薬学的有効成分も本発明で有用である。有効成分は、例えば、膣上皮への有効成分の適用に許容できる生物適合性賦形剤若しくは担体と組合せで該装置若しくは系中に存在しうる。該機構は拡散制御性でありうるとは言え、製剤中の湿潤剤若しくは界面活性剤のような賦形剤の共包含が必要でありうる。例えば、一態様において、開示される装置のイソトレチノイン若しくは抗アンドロゲン薬は膣粘膜を通して吸収可能であり、そしてそれにより静脈およびリンパ管を介して子宮若しくは全身血液循環に送られる。
【0063】
本明細書で企図している治療的ペプチドは、長さが約3アミノ酸ないし長さが約50アミノ酸、例えば長さが約4ないし約10アミノ酸、長さが約4ないし約25アミノ酸、若しくは長さが約25ないし約40アミノ酸のペプチドを包含する。例示的ペプチドは、GLP−1、ならびにその合成誘導体若しくはエキセナチド、リラグルチド、タスポグルチドおよびアルヒグルチドのようなそのアナログ、GIPおよびその合成誘導体若しくはそのアナログ、グレリンならびにその合成誘導体若しくはRC−1139およびBIM−28163のようなそのアナログ、GLP−2およびその合成誘導体若しくはそのアナログ、オキシントモジュリンおよびその合成誘導体若しくはTKS1225のようなそのアナログ、ペプチドYYおよびその合成誘導体若しくはAC162352のようなそのアナログ、膵ポリペプチド(PP)およびその合成誘導体若しくはTM30339のようなそのアナログ、レプチンおよびその合成誘導体若しくはそのアナログ、ならびにアミリンおよびその合成誘導体若しくはプラムリンチドのようなそのアナログを包含する。本明細書で企図している治療的ペプチドは、リュープロリド(p−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Leu−Leu−Arg−Pro−NHEt)のような黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト若しくはそれらの製薬学的に許容できる塩、例えばリ
ュープロリド酢酸塩もまた包含しうる。他の企図している治療的ペプチドは、グラチラマー酢酸塩、ゴセレリン酢酸塩、サケカルシトニン、グラチラマー酢酸塩、オクテロチド(octerotide)酢酸塩、デスモプレシン、ビバリルジン、エプチフィバチド、エンフビルチド、アバレリックスおよびザダキシン(zadaxin)を包含する。
【0064】
本明細書で企図している他の治療薬は、DPP−IV阻害剤若しくはシタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サクサグリプチンのようなその合成誘導体を包含する。開示される装置を介して投与しうる治療薬は、メトホルミンのようなビグアナイド、ピオグリタゾン、スルホニル尿素およびインスリンもまた包含しうる。
【0065】
開示される装置での使用に企図している抗アンドロゲン薬は、スピロノラクトン、合成17−スピロラクトンコルチコステロイド、シプロテロン酢酸塩、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ケトコナゾール、フィナステリドおよびデュタステリドを包含する。例示的一態様において、装置の1セグメントにスピロノラクトン、および該装置の1個若しくはそれ以上のさらなるセグメントに1種若しくはそれ以上の避妊薬を包含する装置が提供される。
【0066】
開示される装置での使用に企図している避妊薬は、プロゲスチン、例えばエトノゲストレルおよびエストロゲン(例えばエチニルエストラジオール)を包含する。例えば、企図している装置は、抗アンドロゲン薬若しくはイソトレチノインを含んでなる第一のセグメント、およびプロゲスチンを包含する第二のセグメント、ならびに/またはエストロゲンを包含する第三のセグメントを包含しうる。代替の例示的一装置は、抗アンドロゲン薬若しくはイソトレチノインおよび第一の避妊薬を包含する第一のセグメントならびに第二の避妊薬を包含する異なるセグメントを包含しうる。
【0067】
本明細書で企図している抗菌薬(antibacterial agent)は、メトロニダゾール、チニダゾール、クリンダマイシンおよびスルファミドを包含する。本明細書で企図している抗ウイルス薬はテノホビル、UC781などを包含する。抗真菌薬はクロトリマゾール、ナイスタチン、フルコナゾール、ケトコナゾール、アムホテリシンB、カスポファギン(caspofugin)、ボリコナゾールなどを包含する。一態様において、企図している剤は実質的に水溶性であることができかつ/若しくは組織により吸収されうる。例えば、テノホビルは水溶性でありかつ組織により吸収されうる。
【0068】
冠動脈心疾患の処置のための企図している剤は、例えば、コレステロール降下薬、β遮断薬、ニトログリセリン、カルシウムチャネル拮抗薬、アスピリンの1種若しくはそれ以上およびそれらの組合せを包含する。一態様において、コレステロール降下薬はスタチン若しくはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬である。例えば、開示される装置での使用に企図しているスタチンは、限定されるものでないが、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンを挙げることができる。開示される装置での使用に企図しているACE阻害薬は、限定されるものでないがカプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリルおよびホシノプリルを挙げることができる。開示される装置での使用に企図しているβ遮断薬は、限定されるものでないがアルプレノロール、カルテオロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、アモスラロール、ランジオロール、チリソロール、アロチノロール、カルベジロール、セリプロロール、ラベタロールおよびブタキサミンを挙げることができる。開示される装置での使用に企図しているカルシウムチャネル拮抗薬は、限定されるものでないがアムロジピン、アラニジピン、
アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、クリニジピン、クレビジピン、エホニジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、プラニジピン、ベラパミル、ガロパミルおよびジルチアゼムを挙げることができる。
【0069】
本開示は、開示される装置でのCOPDおよび/若しくは喘息処置薬、例えば気管支拡張薬、抗生物質の1種若しくはそれ以上およびそれらの組合せの使用を企図している。開示される装置での使用に企図している気管支拡張薬は、限定されるものでないが(1)ピルブテロール、エフェドリン、アルブテロール、サルメテロール、レバルブテロール、バンブテロール、ホルモテロール、クレンブテロールのようなβ2刺激薬、(2)イプラトロピウム、チオトロピウムのような抗コリン薬、(3)クロモグリク酸およびネドクロミルナトリウムのようなクロモン、(4)モンテルカスト、プランルカストおよびザフィルルカストのようなロイコトリエン拮抗薬、ならびに(5)テオフィリンのようなキサンチンを挙げることができる。開示される装置での使用に企図している抗生物質は、限定されるものでないがドキシサイクリン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、アモキシシリン−クラブラン酸カリウム、ペニシリン、フルオロキノロン、セファロスポリンおよびアミノグリコシドを挙げることができる。例えば、該装置は、該装置の第一のセグメントにアルブテロール、および該装置の第二のセグメントにドキシサイクリンを包含し得る。
【0070】
別の態様において、本開示は、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはそれらの組合せの1種若しくはそれ以上のような慢性腎疾患処置薬を包含する装置を企図している。開示される装置での使用に企図しているACE阻害薬は、限定されるものでないがカプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリルおよびホシノプリルを挙げることができる。開示される装置での使用に企図しているアンジオテンシンII受容体拮抗薬は、限定されるものでないがバルサルタン、テルミサルタン、ロサルタンおよびイルベサルタンを挙げることができる。例えば、該装置は、該装置の第一のセグメントにカプトプリルおよび該装置の第二のセグメントにバルサルタンを包含し得る。
【0071】
さらなる一態様において、本開示は例えば偏頭痛の処置のための、抗偏頭痛薬、制吐薬、鎮痛薬若しくはそれらの組合せの1種若しくはそれ以上を包含する装置を企図している。開示される装置での使用に企図している制吐薬は、限定されるものでないがフォクロルペラジン(phochlorperazine)、プロメタジン塩酸塩、メトクロプラミド塩酸塩、トリメトベンズアミド塩酸塩およびオンダンセトロン塩酸塩を挙げることができる。開示される装置での使用に企図している鎮痛薬は、限定されるものでないがアセトアミノフェン、アスピリン、アモキシプリン(amoxiprin)、ベノリラート(benorylate)、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、エテンザミド、ファイスラミン(faislamine)、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸サリチル、サリチルアミド、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン(indometacin)、ナブメトン、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダク、トルメトリン(tolmetrin)、およびイブプロフェン、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アンピロン、アザプロパゾン、クロフェゾン、ケブゾン、メタミゾール、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシ
カム、メロキシカム、テノキシカムならびにCOX−2阻害剤のような非ステロイド性抗炎症薬を挙げることができる。他の企図している剤は、エルゴタミン、エルゴスチン、ブタルビタール、フェノバルビタール、アセトアミノフェン、ジクロフェナクナトリウム、テアドン(theadone)、スマトリプタン、ナラトリプタン、ラザトリプタン、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、ガバペンチンなどを包含する。例えば、該装置は、該装置の第一のセグメントにフォクロルペラジン(phochlorperazine)および該装置の第二のセグメントに非ステロイド性抗炎症薬の1種を包含し得る。
【0072】
いくつかの態様において、本明細書で企図している有効成分は、ホルモン以外かつ/若しくはステロイド以外の化合物を包含する。一態様において、企図している装置若しくは方法は、避妊薬若しくはホルモン、例えばエストロゲン若しくはプロゲステロンステロイドを包含しないことができる。
【0073】
適する有効成分の他の例は、インターフェロン、抗血管新生因子、抗体、抗原、多糖、増殖因子、インスリン、グルカゴン、副甲状腺および下垂体ホルモン、カルシトニン、バソプレシン レニン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、コルチコトロピン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンおよび絨毛性ゴナドトロピンを包含するホルモン;ダイズトリプシンインヒビター、リゾチーム、カタラーゼ、腫瘍血管新生因子、軟骨因子、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リサーゼ(lysase)、イソメラーゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、ならびにエステラーゼ、ホスファターゼ、グリシダーゼ(glysidase)およびペプチダーゼのような酸化還元酵素を包含する酵素;ロイペプチン、アンチパイン、クリモスタチン(chrymostatin)およびペプスタチンのような酵素阻害剤;ならびにステロイド、抗癌薬若しくは抗生物質のような薬物を制限なしに包含する。非経口投与のための適する医薬品は、Lawrence A.TrisselによるHandbook on Injectable Drugs、第6版、American Society of Hospital Pharmacists、メリーランド州ベセスダ、1990(引用することによりここに組み込まれる)により例示されるとおり公知である。
【0074】
本発明の薬物送達装置により送達されうる薬物の付加的な例は、プロクロルペラジンエジシル酸塩、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、メカミルアミン塩酸塩、プロカインアミド塩酸塩、アンフェタミン硫酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、ベンズアンフェタミン塩酸塩、イソプロテレノール硫酸塩、フェンメトラジン塩酸塩、ベタネコール塩化物、メタコリン塩化物、ピロカルピン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、スコポラミン臭化物、イソプロパミドヨウ化物、トリジヘキセチル塩化物、フェンホルミン塩酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、テオフィリンコリネート(theophylline cholinate)、セファレキシン塩酸塩、ジフェニドール、メクリジン塩酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、フェノキシベンザミン、チエチルペルジンマレイン酸塩(thiethylperzine maleate)、アニシンドン(anisindone)、ジフェナジオンエリトリチル四硝酸塩(diphenadione erythrityl tetranitrate)、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾラミド、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロロプロマイド(chloropromaide)、トラザミド、クロルマジノン酢酸エステル、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキサート、アセチルスルフイソキサゾール、エリスロマイシン、ハイドロコルチゾン、ハイドロコルチコステロン酢酸エステル、コルチゾン酢酸エステル、デキサメサゾンおよびベタメタゾンのようなその誘導体、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、17ヒドロキシプロゲステロン酢酸エステル、19−ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステ
ロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸第一鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプロプリル(capropril)、マンドール(mandol)、クアンベンズ(quanbenz)、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン(fenufen)、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジフイナール(difuinal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、イドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン(mioflazine)、リシノプリル、エナラプリル、エナラプリラート、カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリンおよびイミプラミンを制限なしに包含する。いくつかの態様において、送達されるべき薬物(1種若しくは複数)は50と2000の間、より好ましくは200と1300の間の分子量を有する。
【0075】
いくつかの態様において、1種若しくはそれ以上の薬物が企図している装置内に存在し得、そして、ホルモン補充ステロイド若しくは避妊薬、例えばエストロゲン化合物、プロゲステロン化合物および/若しくはゴナドトロピン放出ホルモン、またはそのペプチド若しくはペプチド以外のアゴニスト若しくはアンタゴニストアナログ、インターフェロン、抗血管新生因子、増殖因子、ホルモン、酵素、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リサーゼ(lysase)、イソメラーゼ、プロテアーゼ、リガーゼおよび酸化還元酵素、酵素阻害剤、ステロイド、抗癌薬、抗生物質、成長ホルモン、多糖、抗原および抗体の1種若しくはそれ以上を包含しうる。
【0076】
該薬物送達装置に組み込まれる治療薬の量は、特定の剤 所望の治療効果、および該装置が治療を提供する期間に依存して変動する。発明の装置は多様な応用および適応症のための治療に投薬方法を提供することを意図しているため、該装置に組み込まれる剤の量に対する決定的な上限は存在しない。同様に、下限は該剤の活性および該装置からのその放出の期間に依存することができる。
【0077】
本明細書に記述されるところの慣習的な有益な薬物の投薬単位量は当該技術分野で公知である(例えばRemington’s Pharmaceutical Science(第14版、第IV部、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、1970を参照されたい)。該薬物送達装置に組み込まれる薬物の量は、特定の薬物、所望の治療効果、および該装置が治療を提供する期間に依存して変動する。発明の装置は多様な応用および適応症のための治療に投薬方法を提供することを意図しているため、該装置に組み込まれる薬物の量に対する決定的な上限は存在しない。同様に、下限は該薬物の活性および該装置からのその放出の期間に依存することができる。
【0078】
放出されるべき剤(1種若しくは複数)の相対量(1種若しくは複数)は、投与されるべき有効成分若しくは所望の効果に依存して広範に改変し得る。一般に、該剤は、予め決められた所望の速度に従って制御された期間にわたり放出されることができる量で存在することができ、その速度はポリマーマトリックス中の有効成分の初期濃度に依存する。一態様において、速度はそれがさらされる超音波エネルギーのレベルにもまた依存しうる。これは必然的に標準的単一投薬量より大きい有効成分の量を意味する。本発明の目的上適
する比率は、約0.01ないし50重量部分の有効成分から約99.99と約50重量部分の間までのポリマーマトリックス、好ましくは、最終的な系の重量あたり100部分を与えるように植え込まれるべき有効成分の場合に約10と約30重量部分の間の範囲にわたることができる。放出されるべき組成物中のポリマーマトリックスはいずれかの慣習的様式で、例えば成分を粉末として混合すること、およびその後、該組成物が分解されたようになることができかつ該ポリマーが所望の形態学的特性を有するものより低い温度で熱成形することによるような、所望の形状に該混合物を成形することにより混合し得る。
【0079】
薬物は、膣上皮への該薬物の適用に許容できる生物適合性の賦形剤若しくは担体とともに装置若しくは系中に存在しうる。該機構は拡散制御性でありうるとは言え、製剤中の湿潤剤若しくは界面活性剤のような賦形剤の共包含が必要であり得る。開示される治療装置は、場合によっては、ポラクソマー(polaxomer)、カーボマー、ポリビニルアルコール、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/若しくはそれらの組合せのような製薬学的に許容できる賦形剤を包含しうる。他の製薬学的に許容できる賦形剤は、α−リポ酸、α−トコフェロール、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ベンジルアルコール、ビオチン、亜硫酸水素塩、ボロン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、カロテノイド、クエン酸カルシウム、アセチル−L−カルニチン、キレート剤、コンドロイチン、クロム、クエン酸、補酵素Q−10、システイン、システイン塩酸塩、3−デヒドロシキミ酸、EDTA、硫酸第一鉄、葉酸、フマル酸、没食子酸アルキル、ニンニク(garlic)、グルコサミン、ブドウ種子抽出物、ググル(gugul)、マグネシウム、リンゴ酸、メタ重亜硫酸塩、N−アセチルシステイン、ナイアシン、ニコチノミド(nicotinomide)、イラクサ根、オルニチン、没食子酸プロピル、ピクノゲノール、ソーパルメット、セレン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、酒石酸、チオ硫酸塩、チオグリセロール、チオソルビトール、トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル、トコトリエナール(tocotrienal)、d−α−トコフェロール酢酸エステル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、炭水化物およびそれらの組合せのような製薬学的に許容できる賦形剤を包含する。例えば、企図している賦形剤は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の1種若しくはそれ以上を包含しうる、一態様において、開示される治療装置は、1種若しくはそれ以上の炭水化物および/若しくはクエン酸ならびに/または1種若しくはそれ以上のセルロースエーテル(ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)を包含する。一態様において、開示される装置の薬物は膣粘膜を通して吸収可能であり、そしてそれにより静脈およびリンパ管を介して子宮若しくは全身血液循環に送られる。
【0080】
ポリマー
いくつかの態様において、セグメントの薬物浸透性ポリマーは、例えば、オレフィンおよびビニル型ポリマー、炭水化物型ポリマー、縮合型ポリマー、ゴムポリマーおよび有機ケイ素ポリマーを含みうる。他の薬物浸透性ポリマーは、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、可塑化ポリ(塩化ビニル)、可塑化ナイロン、可塑化ソフトナイロン、可塑化ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、ポリ(4,4’−イソプロピレン−ジフェニレンカーボネート)、ポリ(エチレンビニルエステル)、ポリ(塩化ビニルジエチルフマレート)、ポリ(アクリル酸およびメタクリル酸のエステル)、セルロースアセテート、セルロースアシレート、部分加水分解ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルカーボネー
ト)、ポリ(ウレタン)、ポリ(オレフィン)などを制限なしに包含する。これらのポリマーおよびそれらの物理特性は当該技術分野に既知であり、そして例えばEncyclopedia of Polymer Science and Technology(Interscience Publishers,Inc.、ニューヨーク、1971)Vol.15、pp.508−530;Polymers(1976)、Vol.17、938−956;Technical Bulletin SCR−159、1965、Shell Corp.、ニューヨーク;およびそれら中で引用される参考文献;ならびにHandbook of Common Polymers、ScottとRoff(CRC Press、オハイオ州クリーブランド、1971)に開示される手順に従って合成し得る。
【0081】
一態様において、該薬物浸透性ポリマーは、組み込まれる剤が所望の放出範囲内の速度で放出されるか、若しくは分解不可能なポリマーの場合は放出が高められるような超音波エネルギーにより分解されることが可能である。本態様のための代表的な適するポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のようなポリエステル、および/若しくは米国特許第4,657,543号明細書(Langerら)(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述される式を有するポリ無水物を包含する。いかなるコポリマー中の単量体も規則的に若しくはランダムに分布し得る。例えば、無水物の連結は加水分解に対し高度に反応性であることができ、そして、従って、いくつかの態様において、ポリマーバックボーンは被包化される組成物の不均一な浸食を達成するために疎水性であることが好ましいことができる。
【0082】
ポリマーの疎水性は例えば連結バックボーン中の芳香族部分の濃度を調節することにより、若しくはコポリマー中の単量体比をモニターすることにより容易に調節し得る。一態様において、ポリマーバックボーンは、1−フェニルアミン、トリプトファン、チロシン若しくはグリシンのような酸を含んでなるか若しくはそれらから形成される。他の企図しているポリマーは、エチレン−酢酸ビニル、ポリ(乳酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリカプロラクトン、乳酸/グリコール酸コポリマー、ポリオルトエステル、ポリアミドなどを包含する。分解不可能なポリマーはエチレン−酢酸ビニル、シリコーン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートのようなヒドロゲル、ポリビニルアルコールなどを包含する。
【0083】
適切な放出特性を提供することに加え、薬物浸透性ポリマー物質は、雌性哺乳動物の膣路中の配置の部位で重大な組織反応を有意に誘発しない適合性の吸収不可能な非毒性ポリマー物質から成形しうる。
【0084】
一態様において、もう1種のセグメントはエチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーおよび/若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含んでなる。適するEVAポリマーは、例えば、Aldrich Chemical Co.により製造されるEVA材料(カタログ番号34,050−2);ICIにより供給される呼称28−150、28−399および28−400ならびにAtochemにより供給される28.420ならびにとりわけ28.25および33.25をもつEvatane(R).;ならびにDu Pont de Nemoursにより供給される呼称310、250、230、220および210をもつElvax(R)を包含する。例示的EVAポリマーは、27〜29重量パーセントの酢酸ビニル含量を有するEVAおよび17〜19重量パーセントの酢酸ビニル含量を有するEVA、例えばEvatane(R)18−150および28−25の混合物を包含しうる。
【0085】
1個若しくはそれ以上のセグメントは、いくつかの態様において、約2000Daないし約8000Da、例えば約3600Daないし約4400Da(例えば4000Da)の重量平均分子量をもつPEGのようなPEGもまた包含する。
【0086】
企図している薬物送達装置がEVAを含んでなる場合、薬物放出はポリマー物質の酢酸ビニル含量により決定されうる。本発明は、全体の約4ないし80重量%の酢酸ビニル含量および10分あたり約0.1ないし1000グラムのメルトインデックスを有するEVAコポリマーの使用を企図している。メルトインデックスは、標準温度で標準圧下で標準的円筒状オリフィスを通されることができるポリマーのグラム数であり、そして従ってポリマーの分子量に反比例する。いくつかの態様において、EVAは約4ないし50重量%の酢酸ビニル含量および10分あたり約0.5ないし250グラムのメルトインデックスを有する。例えば、企図している一体セグメントは、約40%重量パーセントの酢酸ビニルおよび/例えば190℃/2.16kgで10分あたり約48ないし約62グラム、例えば10分あたり57グラムのメルトインデックスを包含する。いくつかの態様において、開示される装置は、www.arkema−inc.com/tds/1126.pdf(ここに引用することにより組み込まれる)に記述されるEvatane(R)40−55を包含する。いくつかの態様において、最終的に加工されるリング中に存在する酢酸ビニルの量は最低限若しくは実質的に検出不可能である。
【0087】
しかしながら、一般に、ポリマーを通る有効成分の通過の速度は、その中の剤の分子量および溶解性、ならびに該ポリマーの酢酸ビニル含量に依存することができ、そして、いくつかの態様において、特定のEVA組成の選択は送達されるべき特定の有効成分に依存することができる。例えば、EVAの組成および特性を変動させることにより、該装置の面積あたりの投薬速度を制御し得、例えば、ポリマー造形品の異なるセグメントはそれぞれEVAの異なる組成を包含し得る。従って、同一表面積の装置が、EVAコポリマーの特徴を変動させることにより有効成分の異なる投薬量を提供し得る。EVAを含んでなる薬物送達装置による有効成分の放出は、該セグメントの表面積によってもまた制御し得る。例えば、いくつかの態様において、セグメントの長さおよび/若しくは外周を増大させて有効成分の放出の速度を増大させ得る。
【0088】
コポリマー中の酢酸ビニルの比率およびメルトインデックス若しくは分子量を変動させることに加え、コポリマーの特性は、その酢酸基をアルコール基に選択的に加水分解することにより変化させ得る。ポリマーの酢酸ビニル単位の一部分をビニルアルコール単位に転化することにより、該ポリマーをより親水性にすることができ、そして比較的親水性の有効成分の通過の速度を増大させうる。ビニルアルコール単位に加水分解される酢酸ビニル単位の比率は広範に変動させ得るが、しかし、典型的には約20から60%までが転化される。この部分的加水分解は公知の手順であり、そして当該技術分野で公知の標準的条件下で達成し得る。例示的加水分解手順は米国特許第3,386,978号および同第3,494,908号明細書(その双方は本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述されている。
【0089】
薬物送達装置からの有効成分の拡散の速度は、既知の孔径および厚さの焼結ガラスフィルターを通り一方の室から別の室に移動される有効成分の比率を測定すること、ならびに得られたデータから剤の移動速度を計算することにより広範に決定される。該手順は当該技術分野で公知であり、そして例えばProc.Roy.Sci.London,Ser.A,148:1935;J.Pharm.Sci.(1966)55:1224−1229;およびその中に引用される参考文献に記述されている。有効成分の拡散係数は、同一若しくは類似の装置を使用することにより実験的にもまた決定し得る。拡散係数の決定方法は、W.JostによるDiffusion in Solids,Liquids
and Gases(改訂版、Academic Press Inc.ニューヨーク;1960)、第XI章、pp.436−488に記述されている。
【0090】
ポリマー材料中の有効成分の溶解性は多様な技術既知の技術により測定し得る。溶解性
の測定に使用される典型的な方法は、化学分析、密度、屈折率、導電率などの測定である。溶解性の多様な測定方法の詳細は、衛生研究所(Hygienic Laboratory)のU.S.Public Health Service Bulletin No.67;Encyclopedia of Science and Technology(McGraw−Hill,Inc.;1971)12:542−556;およびEncyclopaedic Dictionary of Physics(Pergamon Press,Inc;1962)6:545−557に記述されている。フィックの法則に従えば、溶液中の有効成分の速度は、ポリマー材料に曝露されるところの該剤の面積A(cm)に正比例し、そして溶解された有効成分が拡散するはずである路の長さに反比例する(Remington Pharmaceutical Science (Mack Publishing Company、第14版、1970)、pp.246−269を参照されたい)。
【0091】
例えば、EVAコポリマー中の有効成分の溶解性は、有効成分の飽和溶液を調製すること、およびコポリマー材料の規定された面積に存在する量を分析により確かめることにより測定しうる。例えば、EVAコポリマー中の有効成分の溶解性は、既知温度、例えば37℃の有効成分の飽和溶液、若しくは該有効成分が37℃で液体である場合は純粋な液体有効成分でポリマー材料をまず平衡化することにより測定する。次に、該有効成分を、該有効成分について適する溶媒を含む飽和させたポリマー材料から脱着させる。結果として生じる溶液をその後、紫外、可視分光測光法、屈折率、ポーラログラフィー、導電率などのような標準的技術により分析して、該材料中の有効成分の濃度すなわち溶解度を計算する。
【0092】
本発明の方法で使用される薬物送達装置で利用されるポリマー混合物は標準技術により製造し得るが、但し、こうした製造は、放出されるべき有効成分)およびポリマーマトリックスを含んでなる系を構造的に規定するために混和すること、混合すること若しくはその同等物のような加工段階を包含する。例えば、発明の装置の適する一作成方法は、ポリマーおよび適切な溶媒を混合してそれにより注型溶液を形成すること、既知の量の放出されるべき剤を該注型溶液に混合すること、該溶液を型に充填すること、そしてその後、場合によっては真空下で型を乾燥すること、放出されるべき剤をその中に含むマトリックスを成形することにおいてポリマーを沈殿させることを含んでなる。一態様において、再循環バッチミキサー(例えば13cc Charge、シリアル番号J3836、Randcastle Extrusion Systems,Inc.ニュージャージー州シーダーグローブ)のような配合機を使用しうる。例えば、全部の運転について約160ないし約170°F、例えば165°約F(10分間)という配合温度。いくつかの態様において、これは有機溶媒残留物を実質的にもたらさず、そして拡大縮小可能な工程でありうる。
【0093】
あるいは、粉末の形態のポリマーを、粉末の形態の放出されるべき剤と混合し得、そしてその後、十分な温度および圧下で射出、圧縮若しくは押出により所望の形状例えばリングに成形し得る。2種若しくはそれ以上の剤が送達されるべきである場合、製造の前述の段階を各個々の剤について反復し得、かように例えば各剤の別個の成形されるポリマー混合物を成形する。個々の成形されたポリマー混合物を、慣習的切断技術を使用して必要とされる長さの片に切断し得、かように複数の均一なセグメントを製造する。複数の剤の同時送達、または例えば抗アンドロゲン薬および1種若しくはそれ以上の避妊薬の送達のための薬物送達装置若しくは系をその後、送達されるべき各剤の成形されたポリマー混合物の最低1セグメントを一緒に直接若しくは間接的に結合することにより集成し得る。均一なセグメントを集成して、約1mmと約5mmの間の厚さを有するリング造形品を成形し得る。本発明の薬物送達装置は、多様な使用環境に有効成分(1種若しくは複数)を送達するために広範な形状、大きさおよび形態に製造し得る。
【0094】
あるいは、1、2種若しくはそれ以上の有効成分が送達されるべきである場合、各有効成分:ポリマー混合物を、該1若しくは2剤の混合物が1個の固体単位を形成しかつ結合手段を必要としないような十分な温度および圧下での射出、圧縮若しくは押出により所望の形状に一緒に成形し得る。一態様において、該剤混合物を単一の口を含んでなる型に好ましくは連続して射出する。代替の一態様において、有効成分の混合物を複数の口を有する型に同時に若しくは連続して射出する。複数の口の成形品は当該技術分野で公知でありかつ商業的に入手可能である。こうした成形品を、当業者により認識されるであろうところの特定の応用のため改変若しくは特別注文に応じて製作しうる。
【0095】
別の態様において、結合手段を使用してセグメントの端を一緒に結合して薬物送達装置を成形する。該結合手段は、材料若しくは構造を一緒に結合するために当該技術分野で既知のいかなる方法、機構、装置若しくは材料でもあり得る。例示的結合手段は、溶媒結合、接着剤結合、熱融合、熱結合、圧などを包含する。溶媒を使用する場合、表面を粘着性に感じさせる有機溶媒でセグメントの端を湿らせ、また、接触して置かれる場合に該表面をその後液密継手(fluid tight union)中で結合かつ接着する。セグメントの端を、接着剤をセグメントの最低一端に塗布すること、およびその後該接着剤を被覆した端(1個若しくは複数)を接触させることにより、接着性に結合してリング形状の送達装置を成形し得る。上の手順のため、溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロベンゼン、ジオキサン、イソホロン、テトラヒドロフラン、芳香族および塩素化炭化水素のような有機溶媒、50/50 ジクロロエタン/ジアセトンアルコール;40/60 アルコール/トルエン;30/70 アルコール/四塩化炭素などのような混合溶媒を包含する。適する接着剤は、ポリマーの動物、ニトロセルロース、ポリアミド、フェノール、アミノ、エポキシ、イソシアネート、アクリル酸、ケイ酸、有機接着剤などのような天然の接着剤および合成接着剤を包含する。接着剤は当該技術分野で公知である(例えば、The Encyclopedia of Chemistry(第2版;G.L.ClarkとG.G.Hawley、編者;VanNostrand Reinhold Co.、オハイオ州シンシナティ;1966)、ならびに溶媒(例えばEncyclopedia of Chemical Technology(Kirk−Othmer、第2版、Vol.16、Interscience,Publishers Inc.、ニューヨーク、1969)を参照されたい)を参照されたい)。
【0096】
該薬物送達装置若しくは系のセグメントの長さは必要とされる性能を与えるよう選ぶことができる。セグメントの長さの比は、送達されるべき各有効成分の所望の比率および投薬量を包含する特定の治療的応用に依存することができる。セグメントの長さの比は30:1と1:30の間、例えば約15:1と1:1の間であることを企図している。有効成分の拡散および相互作用を予防するためにプラセボセグメントが必要とされる場合、例えば2種若しくはそれ以上の有効成分を使用する場合、プラセボセグメントの長さは有効成分の過度の混合を予防するのに十分長い。プラセボセグメントの長さはポリマー物質の性質および有効成分の浸透を予防するその能力に依存する。一態様において、プラセボセグメントは有効成分の混合を完全に若しくは実質的に予防する。混合が放出パターンを破壊しうるためである。しかしながら、どの有効成分を使用するかに依存して若干の小さい混合が一般に許容されるが、但し、それは、有効成分の血漿濃度が必要とされる値を実質的に超えないような様式で有効成分の放出に影響を及ぼす。
【0097】
代替の一態様において、薬物送達装置のポリマー造形品は、一体セグメントを製造すること、その後該セグメントの端を結合して1種若しくは複数の有効成分の放出のためリング形状の薬物送達装置を成形することにより製造する。あるいは、ポリマー混合物を大きすぎる円筒状ロッド中に成形することができ、それをその後、必要とされる寸法を有するより短いロッドに切断する。
【0098】
本発明の方法で使用される膣内薬物送達装置は、必要とされるところのいかなる大きさでも製造し得る。ポリマーロッドの断面直径は、典型的には約0.5mmと12mmの間、0.5mmと10mmの間、1mmと8mmの間、若しくはなお1と6mmの間、例えば1と5mmの間であることができる。ヒト使用の場合、該リング形状装置は約40mmから約80mmまでの外径を有し;該断面直径は好ましくは約0.5mmないし12mmの間である。
【0099】
例示的一態様において、約15ないし約18gのEVA(例えば約17g)(例えば、約28重量パーセントの酢酸ビニルおよび28g/10mnの190℃/2.16kgでのメルトインデックスを有する約8.5グラムのEVA、ならびに約18重量パーセントの酢酸ビニルおよび150g/10mnの190℃/2.16kgでのメルトインデックスを有する約8.5グラムのEVA)、ならびに約4000の重量平均分子量を有する約1.67%グラムのPEG、約0.2グラムのTween 80、ならびに約0.7グラムのリュープロリド酢酸塩を有する膣リングが本明細書で提供される。
【0100】
いくつかの態様において、開示されるセグメント若しくはリングは実質的に酢酸ビニル単量体を有しないことができ、例えば、こうしたリングは約1、0.5未満、若しくはなお約0.05重量パーセント未満の酢酸ビニル単量体を有しうる。
【0101】
方法
別の局面において、本発明は、雌性哺乳動物への治療薬の膣送達方法に関する。該方法は上述されたところの薬物送達装置を製造することを必要とする。該装置をその後、処置されるべき雌性哺乳動物の膣路に配置し、そこでそれを製薬学的有効量の1種若しくはそれ以上の有効成分該雌性哺乳動物を送達するのに十分な期間維持する。一局面において、1種若しくはそれ以上の有効成分の製薬学的有効量は、前記1種若しくはそれ以上の有効成分が患者に経口投与される場合の製薬学的有効量より少ない。一態様において、開示される方法は、経口投与と比較して患者での有害な副作用の低下された発生率をもたらし得る。一態様において、開示される方法は、経口投与と比較して患者での胃腸の副作用の低下された発生率をもたらし得る。
【0102】
開示される方法は、肝による初回代謝を伴わない標的器官への1種若しくはそれ以上の有効成分の直接投与を可能にしうる。例えば、有害な薬物相互作用は酵素活性、例えば肝でのチトクロームP450酵素活性の変更を伴いうる。例えば、1種の有効成分が別の有効成分のチトクロームP450媒介性の代謝を阻害する場合、該第二の有効成分は有害なレベルまで身体内に蓄積しておそらく過量投与を引き起こしうる。開示される方法は1種若しくはそれ以上の有効成分を膣送達するため、該送達は、例えば肝による1種若しくはそれ以上の有効成分の初回代謝を回避することにより、有害な薬物相互作用の低下された発生率をもたらしうる。
【0103】
本明細書に開示される方法は、肥満、糖尿病、多発性硬化症、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣疾患、子宮線維症、乳癌、多毛症、ざ瘡、微生物感染症(例えば細菌性膣症)、冠動脈心疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性腎疾患若しくは偏頭痛を処置かつ/若しくは改善することを企図している。いくつかの態様において、開示される方法は、注射剤および/または膣ゲル剤若しくはクリーム剤に対する必要性を伴わずに治療薬の生理学的組合せの連続的同時送達を提供することを意図している。
【0104】
治療薬の用量範囲は使用される特定の組成物に依存することができる。当業者により理解されるであろうとおり、有効用量範囲は剤特異的であることができ、そして種、齢および重量のような患者の特徴に依存することができる。有効用量範囲は、不要な実験を伴わ
ずに当業者による慣例の試験により決定されうる。例えば、有効用量の1種若しくはそれ以上の避妊薬が一緒になって妊娠からの実質的保護を提供しうる。別の例において、有効用量の1種若しくはそれ以上のコレステロール降下薬が一緒になって血液コレステロール濃度の実質的低下を提供しうる。
【0105】
一態様において、本発明は、例えば、満腹を誘発する治療的ペプチド、例えばグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、胃抑制ペプチド(GIP)、グレリン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、膵ポリペプチドおよびアミリンよりなる群から選択されるペプチドを包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより有効量の治療的ペプチドをそれの必要な患者に膣送達することを含んでなる、雌性哺乳動物(患者)における肥満の処置および/若しくは改善方法に関する。本発明の方法は肥満状態の決定後いかなる時点でも開始しうる。
【0106】
別の態様において、本発明は、例えば、例えば糖尿病の処置に適する治療的ペプチドを包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量のGLP−1アナログ例えばエキセナチドを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における糖尿病の処置および若しくは改善方法に関する。
【0107】
別の態様において、本発明は、例えば、例えばグラチラマー酢酸塩を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量のグラチラマー酢酸塩を膣投与することを含んでなる、雌性哺乳動物(患者)における多発性硬化症の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0108】
例えば、多発性硬化症の処置および/若しくは改善方法は最低1セグメントを有する薬物送達装置を提供することを含んでなり、該セグメントの最低1個はペプチド浸透性ポリマー物質、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびグラチラマー酢酸塩の均一な混合物を含んでなる。該薬物送達装置をその後雌性哺乳動物の膣に挿入し、そして、製薬学的有効量のグラチラマー酢酸塩を該雌性患者に送達するのに十分な期間膣路に維持する。ペプチド浸透性ポリマー物質はエチレン−酢酸ビニルコポリマーのような熱可塑性ポリマーであることができ、そして該セグメントはリングとして造形しうるか若しくはリングの一部を形成しうる。
【0109】
最低1セグメントを有する薬物送達装置を提供することを含んでなる先端巨大症および下痢の処置方法もまた本明細書で企図しており、該セグメントの最低1個はペプチド浸透性ポリマー物質、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびオクトレオチド(若しくはその塩)の均一な混合物を含んでなる。該薬物送達装置をその後雌性哺乳動物の膣に挿入し、そして製薬学的有効量のオクトレオチドを該雌性患者に送達するのに十分な期間膣路に維持する。
【0110】
一態様において、本発明は、例えば、上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより有効量の治療的ペプチド(例えばリュープロリド)をそれの必要な患者に膣送達することを含んでなる、雌性哺乳動物(患者)における子宮内膜症若しくは多嚢胞性卵巣疾患の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0111】
別の態様において、本発明は、例えば、例えば上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の治療的ペプチド例えばリュープロリドを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における子宮線維症の処置および若しくは改善方法に関する。
【0112】
別の態様において、本発明は、例えば、例えば上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することより製薬学的有効量の例えばリュープロリド酢酸塩を膣投与することを含んでなる、雌性哺乳動物(患者)における乳癌の処置方法に関する。
【0113】
例えば、子宮内膜症および/若しくは多嚢胞性卵巣疾患の処置および/若しくは改善方法は、最低1セグメントを有する薬物送達装置を提供することを含んでなり、該セグメントの最低1個はペプチド浸透性ポリマー物質、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびリュープロリド酢酸塩の均一な混合物を含んでなる。該薬物送達装置をその後雌性哺乳動物の膣に挿入し、そして製薬学的有効量の治療的タンパク質例えばリュープロリド酢酸塩を該雌性患者に送達するのに十分な期間膣路に維持する。該ペプチド浸透性ポリマー物質はエチレン−酢酸ビニルコポリマーのような熱可塑性ポリマーであることができ、また、該セグメントはリングとして造形されうるか、若しくはリングの一部を形成しうる。いくつかの態様において、提供される膣リングは、下垂体−性腺軸の実質的に完全な抑制を誘発するために製薬学的に十分な量の例えばリュープロリド酢酸塩を経膣送達する。開示されるリングはリュープロリドを実質的に連続的に送達することができ、また、患者で約10ないし約100ng/mlの血清濃度を達成しうる。
【0114】
一態様において、本発明は、例えばイソトレチノインおよび最低1種の避妊薬を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより有効量のイソトレチノインおよび最低1種の避妊薬をそれの必要な患者に膣送達することを含んでなる、雌性哺乳動物(患者)におけるざ瘡の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0115】
別の態様において、本発明は、例えば、例えば多毛症の処置に適する抗アンドロゲン薬を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の抗アンドロゲン薬および避妊薬(1種若しくは複数)を膣送達することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における多毛症の処置および若しくは改善方法に関する。
【0116】
別の局面において、本発明は雌性哺乳動物への抗ウイルス薬の組合せの膣送達方法に関する。該方法は前述されたところの薬物送達装置を製造することを必要とする。該装置をその後、処置されるべき雌性哺乳動物の膣路に配置し、そこでそれを製薬学的有効量の抗ウイルス薬を該雌性哺乳動物に送達するのに十分な期間維持する。例えばHIVの開示される予防方法は、いくつかの態様において、抗ウイルス薬の組合せの連続的同時送達を提供することを意図しており、そしてウイルス感染症に対する予防的保護を提供しうる。
【0117】
例えば、細菌性膣症の処置に適する抗菌薬を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の抗菌薬を膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における細菌性膣症の処置および/若しくは改善方法が本明細書で提供される。
【0118】
一態様において、本発明は、最低1セグメントを有する薬物送達装置を提供することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)におけるHIV予防方法に関し、最低1セグメントは薬物浸透性ポリマー物質例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび抗ウイルス薬若しくは抗ウイルス薬の組合せ例えばテノホビルおよびUC781の均一な混合物を含んでなる。薬物送達装置をその後雌性哺乳動物の膣に挿入し、そして製薬学的有効量の抗ウイルス薬を該雌性患者に送達するのに十分な期間膣路に維持する。薬物浸透性ポリマー物質はエチレン−酢酸ビニルコポリマーのような熱可塑性ポリマーであることができ、また、該セグメントはリングとして造形されうるか、若しくはリングの一部を形成し
うる。
【0119】
一態様において、本開示は、冠動脈心疾患の処置に適する有効成分を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより、製薬学的有効量のコレステロール降下薬、β遮断薬、ニトログリセリン、カルシウムチャネル拮抗薬、アスピリン若しくはそれらの組合せを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における冠動脈心疾患の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0120】
別の態様において、本開示は、慢性閉塞性肺疾患若しくは喘息の処置に適する有効成分を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の気管支拡張薬、抗生物質およびそれらの組合せを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における慢性閉塞性肺疾患若しくは喘息の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0121】
なお別の態様において、本開示は、慢性腎疾患の処置に適する有効成分を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量のACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはそれらの組合せを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における慢性腎疾患の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0122】
さらなる一態様において、本開示は、偏頭痛の処置に適する有効成分を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の制吐薬、鎮痛薬若しくはそれらの組合せを膣投与することを含んでなる、それの必要な雌性哺乳動物(患者)における偏頭痛の処置および/若しくは改善方法に関する。
【0123】
1種の疾患の処置に適する1種若しくはそれ以上の有効成分および異なる疾患の処置に適する1種若しくはそれ以上の有効成分を包含する上述されたところの薬物送達装置を雌性患者の膣路に挿入若しくは配置することにより製薬学的有効量の例えばCOPD処置薬および心疾患処置薬を膣投与することを含んでなる、2種若しくはそれ以上の慢性障害の同時処置および/若しくは改善方法、例えばCOPDおよび心疾患の処置方法もまた本明細書で企図している。
【0124】
第一の量の治療薬を有する開示される治療的リングを挿入すること、およびそれをある期間その場所に放置すること、そのリングを除去すること、ならびに場合によっては第二の量の同一の治療薬若しくは異なる治療薬を有する開示される治療的リングを挿入することを包含しうる1投与方式での治療薬の投与を、いくつかの態様において本明細書で企図している。異なる一態様において、2種の治療薬、例えば1種の治療的ペプチドおよび別の治療的ペプチドの実質的同時投与を、例えば、固定された比の各治療薬および/若しくはペプチドを有するリングを被験体に投与することにより達成し得る。別の態様において、(例えば治療薬を有する膣リングの挿入に際しての)別の治療薬の連続若しくは実質的同時投与を、限定されるものでないが経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通る直接吸収を挙げることができるいずれの他の適切な経路によっても遂げることができる。
【0125】
以下の実施例は本発明を単に具体的に説明し、そしてそれらは本発明の範囲をいかなる方法でも制限すると解釈されるべきでない。これらの実施例およびそれらの他の同等物は、本開示、図面および付随する請求の範囲に照らして当業者に明らかであることができるためである。
【0126】
[実施例]
【実施例1】
【0127】
図1Bに具体的に説明される膣内薬物送達装置を、Aldrich Chemical
Co.により製造されるポリ(エチル−コ−酢酸ビニル)(EVA)(カタログ番号34,050−2;ロット番号07322DR)を使用して製造する。イソトレチノインをシンチレーションバイアル中およそ5mLのジクロロメタン(Fluka Chem.Co.;カタログ番号66740;ロット番号404915/1 62800)に溶解若しくは分散する。次に、ポリマー混合物を、1400mgのEVAを該溶液に添加すること、および回転振とう機を使用して該EVA/薬物組成物を混合することにより調製する。生じる混合物をその後、エタノールを溶媒として使用してドライアイス中で溶媒注型する(Pharmco;カタログ番号111 USP 200 CSGL;ロット番号M8241)。溶媒を一夜蒸発させ、そして乾燥EVA/薬物混合物をその後粉末に粉砕する。
【0128】
該EVA/薬物粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/薬物組成物をステンレス鋼製型に10Cで押出し、50mmの外径および4mmの横断面をもつ1800mgのリングを創製する。
【実施例2】
【0129】
膣内薬物送達装置を、Aldrich Chemical Co.により製造されるポリ(エチル−コ−酢酸ビニル)(EVA)(カタログ番号34,050−2;ロット番号07322DR)を使用して製造する。メトロニダゾールをシンチレーションバイアル中およそ5mLのジクロロメタン(Fluka Chem.Co.;カタログ番号66740;ロット番号404915/1 62800)に溶解若しくは分散する。次に、ポリマー混合物を、1400mgのEVAを該溶液に添加すること、および回転振とう機を使用して該EVA/薬物組成物を混合することにより調製する。生じる混合物をその後、エタノールを溶媒として使用してドライアイス中で溶媒注型する(Pharmco;カタログ番号111 USP 200 CSGL;ロット番号M8241)。溶媒を一夜蒸発させ、そして乾燥EVA/薬物混合物をその後粉末に粉砕する。
【0130】
該EVA/薬物粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/薬物組成物をステンレス鋼製型に10Cで押出し、50mmの外径および4mmの横断面をもつ1800mgのリングを創製する。
【実施例3】
【0131】
膣内薬物送達装置を、Aldrich Chemical Co.(カタログ番号34,050−2;ロット番号07322DR)により製造されるポリ(エチル−コ−酢酸ビニル)(EVA)を使用して製造する。アトルバスタチンをシンチレーションバイアル中およそ5mLのジクロロメタン(Fluka Chem.Co.;カタログ番号66740;ロット番号404915/1 62800)に溶解若しくは分散する。次に、ポリマー混合物を、1400mgのEVAを該溶液に添加すること、および回転振とう機を使用して該EVA/薬物組成物を混合することにより調製する。生じる混合物をその後、エタノールを溶媒として使用してドライアイス中で溶媒注型する(Pharmco;カタログ番号111 USP 200 CSGL;ロット番号M8241)。溶媒を一夜蒸発させ、そして乾燥EVA/薬物混合物をその後粉末に粉砕する。
【0132】
該EVA/薬物粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/薬物組成物をステンレス鋼製型に10Cで押出し、50mmの外径および4mmの横断面をもつ1800mgのリングを創製す
る。
【実施例4】
【0133】
150.0gのEVAポリマー(40%酢酸ビニル含量をもつ)(Evatane 40−55(R))を秤量皿に秤量した。次に、1Lの脱イオン水を2Lビーカーに入れ、そして2.5の設定を使用してArrow工学ミキサー(Arrow Engineering Mixer)により水を攪拌した。該ポリマーを混合しながらバッチに充填した。コポリマービーズを水中で20分間攪拌した。攪拌後に物質を濾過しかつ収集した。Evatane(R)ビーズを洗浄および濾過の周期を反復することにより9回洗浄した。洗浄−濾過周期後に、収集した洗浄濾過したビーズをポリマー材料に1700ミクロン篩を通過させることによりさらに排水した。最後に、ポリマー材料を篩と一緒に真空オーブン中に48時間置いた。
【0134】
図1Aに具体的に説明される膣内薬物送達装置は、上のとおり製造されるポリ(エチル−コ−酢酸ビニル)(EVA)を用いて製造する。18mg、36mg若しくは54mgのリュープロリド酢酸塩シンチレーションバイアル中およそ10mLのエタノールに溶解若しくは分散する。次に、ポリマー混合物を、1400mgのEVAを該溶液に添加すること、および回転振とう機を使用して該EVA/薬物組成物を混合することにより調製する。生じる混合物をその後、エタノールを溶媒として使用してドライアイス中で溶媒注型する(Pharmco;カタログ番号111 USP 200 CSGL;ロット番号M8241)。溶媒を一夜蒸発させ、そして乾燥EVA/薬物混合物をその後粉末に粉砕する。
【0135】
該EVA/薬物粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/薬物組成物をステンレス鋼製型に10Cで押出し、50mmの外径および4mmの横断面をもつリングを創製する。
【実施例5】
【0136】
膣リングを介して送達されるリュープロリド酢酸塩の全身吸収を検討するため3日試験を実施する。18mgのリュープロリド酢酸塩(低用量)を含む実施例4でのとおり製造された膣リングを、女性患者に第1日の午前8時に膣に挿入しかつ第3日の午後4時に除去する。膣リングを挿入する前に、血液を抜き取りかつ分析してゴナドトロピンおよび性ステロイドの処置前濃度を測定する。膣リングを挿入した後に、3日のそれぞれの午前8時、正午および午後4時に血液を抜き取る。試験される女性は、Eの内因性濃度およびプロゲステロン濃度を最下点に保つように卵胞期初期(月経第1週)であった。
【0137】
図2、3、4および5は2被験体からの結果を描く。被験体1を月経の終了近く、および被験体2を月経の開始時で試験した。被験体2の数種の試料は溶血され(*により印を付ける)これは大きな影響を有すると思われなかった。示される標準データは月経初期(early menses)のおよそ90例の女性に基づく。
【0138】
図2、図3、図4および図5はそれぞれ、実施例4のリングを用いるリュープロリドの経膣送達を使用する2被験体でのLH応答(miU/ml)、FSH応答(miU/ml)、エストラジオール応答(pg/ml)およびプロゲステロン応答(ng/ml)を描く。各図のx軸はリング挿入後の時間を描く。
【実施例6】
【0139】
図6は、実施例5で記述された3日試験の間の被験体1のリュープロリド濃度に関する質量分析の結果を描く。
【実施例7】
【0140】
6例の患者での3日試験を実施して全身吸収を検討する。18mgのリュープロリド酢酸塩(低用量)を含む実施例4でのとおり製造された膣リングを、第1日の午前8時に3例の女性患者に挿入しかつ第3日の午後4時に除去し、また、36mgのリュープロリド(高用量)を含む膣リングを第1日の午前8時に3例の他の女性患者に挿入しかつ第3日の午後4時に除去する。3日のそれぞれの午前8時、正午および午後4時に血液を抜き取る。図7は、Lupron(R) Depot(22.5mg)を投与された患者と比較してのリングを介して高用量および低用量のリュープロリドを投与された患者での平均リュープロリド濃度の比較を描き、また、高用量対低用量のリュープロリドを投与された患者のリュープロリドの平均血清濃度の比較を描く。36mgリング(高用量)は18mgリング(低用量)の用量の2倍を有するとは言え、高用量患者の平均ピーク血清濃度は「低用量」患者のピーク血清濃度の2倍以上である。
【0141】
図8、図9、図10および図11は、それぞれ、リングを用いるリュープロリドの経膣高若しくは低用量送達を使用する被験体の平均のLH応答(miU/ml)、FSH応答(miU/ml)、エストラジオール応答(pg/ml)およびプロゲステロン応答(ng/ml)を描く。x軸はこれらの図のそれぞれの表すはリング挿入後の時間を描く。
【実施例8】
【0142】
半径方向および長さ方向双方の膨張を受けるタンポンは、一般に、多様な型のアプリケーター装置を伴う使用のため製造される。長さ方向の膨張は一般にその膨張されない長さの10%以上である。この型のタンポンは、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、セルロース、セルロース誘導体若しくは上のいずれかの組合せのような不織ポリマーのような液体浸透性素材の外層により包まれるセルロース繊維および/若しくは綿繊維のような吸収材料の内部コアーを含んでなる。
【0143】
本実施例において、3個にセグメント化された円筒状EVAポリマーの形態の本発明の送達系を、外層と内部コアーの間に該本体の長軸に平行に配置する。セグメント化されたEVA円筒の長さはタンポンの長さに等しいことができる。各EVA円筒は3セグメントから構成される。第一のセグメントは10mgのリュープロリド(黄体化ホルモン放出ホルモンアゴニスト)を含有し、第二のセグメントはいかなる薬物も含有せず、および第三のセグメントは1.5gのプロゲステロンを含有する。
【0144】
該タンポンの挿入に際して、薬物はセグメント化されたEVA円筒から放出されている。各薬物はそれ自身の放出キネティクスでそれ自身のセグメントから周囲の環境に放出される。
【実施例9】
【0145】
3個にセグメント化されたEVA円筒を、タンポン本体の長軸に垂直にタンポンの外層と内部コアーの間に離れた間隔で配置する。ストリップのそれぞれの長さはタンポンの長さに等しい。
【実施例10】
【0146】
ロゲステロン(rogesterone)、エストラジオールおよびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の徐放のための薬物送達タンポンの製造
図1に具体的に説明される膣内薬物送達装置は、Aldrich Chemical Co.(カタログ番号34,050−2;ロット番号07322DR)により製造されるポリ(エチル−コ−酢酸ビニル)(EVA)を使用して製造する。630(ミリグラム)mgのプロゲステロン(Sigma Corp.;カタログ番号P−3972)若しくは2.8mgのエストラジオール(Sigma Corp.;カタログ番号E−1072)
をそれぞれ、個別のシンチレーションバイアル中およそ5mLのジクロロメタン(Fluka Chem.Co.;カタログ番号66740;ロット番号404915/1 62800)に別個に溶解する。次に、ポリマー混合物を、1400mgのEVAをプロゲステロン溶液に、および1800mgのEVAをエストラジオール溶液に添加すること、ならびに回転振とう機を使用して該EVA/薬物組成物を混合することにより調製する。生じる混合物をその後、エタノールを溶媒として使用してドライアイス中で溶媒注型する(Pharmco;カタログ番号111 USP 200 CSGL;ロット番号M8241)。溶媒を一夜蒸発させ、そして乾燥EVA/薬物混合物をその後粉末に粉砕する。該EVA/薬物粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/薬物組成物をステンレス鋼製型に押出し(型は10℃である)、4mmの横断面および長さ20cmをもつ1800mgの円筒を創製する。
【0147】
同様に、GnRHアゴニスト(D−Trp6−Pro9−Net−GnRH)を含んでなるポリマーセグメントを、およそ5mLのジクロロメタンに10mgのGnRHアゴニストおよび450mgのメチルセルロースを溶解することにより製造する。1800mgのEVAを添加する。該EVA/薬物混合物を乾燥し、そして生じる粉末を射出成形装置(DSM、オランダ・ヘレーン)に入れる。インジェクターをおよそ80℃に加熱する。溶融EVA/GnRH/セルロース組成物をステンレス鋼製型(型は10℃である)に押出し、4mmの横断面および長さ20cmをもつ1800mgのEVAの円筒を創製する。
【0148】
エストラジオール、プロゲステロンおよびGnRHを含有するEVAセグメントを、それぞれ適切な長さ、すなわち治療的有効量の各薬物を提供するのに十分な量の薬物を含有する長さの一体円筒状セグメントに無菌的に切断する。薬物を負荷されたEVAの片を、高周波溶接を使用してまとめる。
【0149】
本明細書に記述されるセグメント化されたEVAロッドは、各薬物の21日投薬量、すなわち1日あたり100マイクログラム(μg)のエストラジオール、1日あたり6ミリグラム(mg)のプロゲステロンおよび1日あたり240μgのGnRHを送達するよう設計されている。
【実施例11】
【0150】
PEG4000を有するエチレン酢酸ビニルを基材とするリングを、以下の材料、すなわち
【表1】

を使用して後に続くとおり製造する。
Evatane(R)28−30若しくは28−25 EVA(約28重量%酢酸ビニル含量および約25g/10分のメルトインデックスをもつエチレンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー)を含むEvatane(R)18−150 EVA(約18重量%酢酸ビニル含量および約150g/10分のメルトインデックスをもつエチレンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー)の50:50混合物を使用する。
【0151】
EVAを、室温で1リットルのUSP若しくはMilli−Q水に150gのEVAビーズを添加することにより洗浄し、そして20分間活発に攪拌する。EVAビーズをその後濾過し、そしてこの洗浄工程を10回反復する。ポリマーをその後室温の真空オーブン中48時間乾燥する。いかなる遊離酢酸ビニルも検出するのにヘッドスペースGC−FID(Primera/Bionex PASC−TMS−0009)を使用した。遊離酢酸ビニルの検出可能な残留物は存在しなかった。
【0152】
該材料をその後、最初にEVA、PEGおよびTweenを人的に混合することにより配合した。均一な混合物を65RPMかつ165°F(74℃)で配合機に10分間添加する。冷却した後に固体混合物を小片に刻みかつ射出成形バレルに添加する。最終的なリングを図1Cに描く。
【0153】
品質管理許容基準を適用する。すなわち、外観−滑らかな円形リング;色−透明ないし白色;測定値:OD=54±0.37mm;ID=46±0.31mm;d=4±0.15mm
【0154】
EVAリングの可撓性を測定しかつNuvaringの可撓性と比較した。可撓性は、加圧−引張(press−pull)装置(LR 5K、Lloyd Instruments若しくはTA−XTPlusテクスチャー分析器(Texture Analyser)のような)によって測定した。弛緩した状態のリング全体を2個のV字形ホルダーに固定した。V字形形材の角間の距離は54mmである。その後、ホルダーを、V字形形材の角の間の距離が21mmになるまで50mm/分という予め決められた速度で相互に向かって加圧した。該リングの一定の変形をもたらすために該リング形状の薬物送達系に適用されたニュートンでの力を、予め決められた点、すなわち10mm(すなわち44mmの距離で)、20mm(すなわち34mmの距離で)、30mm(すなわち24mmの距離で)および33mm(すなわち21mmの距離で)で測定した。
【0155】
製造されたリングの可撓性は後に続くとおりである。
【表2】

【実施例12】
【0156】
リュープロリドリングを、以下の材料、すなわち
【表3】

を使用して実施例11に従って製造する。
Evatane(R)28−30若しくは28−25 EVA(約28重量%酢酸ビニル含量をもつエチレンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー)を含むEvatane(R)18−150 EVA(約18重量%酢酸ビニル含量をもつエチレンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー)の50:50混合物を使用する。
【0157】
リュープロリド(Glp−His−Trp−Ser−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−NH2)は、GMP等級、酢酸塩としてPolyPeptide Laboratoriesから購入した。
【0158】
EVAを室温で1リットルのUSP若しくはMilli−Q水に150gのEVAビーズを添加することにより洗浄し、そして20分間活発に攪拌する。EVAビーズをその後濾過し、そしてこの洗浄工程を10回反復する。ポリマーをその後室温の真空オーブン中48時間乾燥する。いかなる遊離酢酸ビニルも検出するのにヘッドスペースGC−FID(Primera/Bionex PASC−TMS−0009)を使用した。遊離酢酸ビニルの検出可能な残留物は存在しなかった。
【0159】
該材料をその後、最初にEVA、PEG、Tweenおよびリュープロリドを50ccビーカー中で人的に混合することにより配合した。材料量を下に示す。
【表4】

【0160】
均一な混合物を65RPMかつ165°F(74℃)で配合機に10分間添加する。冷却した後に固体混合物を小片に刻みかつ射出成形バレルに添加する。品質管理許容基準を適用する。すなわち、外観−滑らかな円形リング;色−透明ないし白色;測定値:OD=54±0.37mm;ID=46±0.31mm;d=4±0.15mm。
【0161】
in vitro放出キネティクスを図15に示す。
【0162】
EVAリングの可撓性を測定しかつNuvaringの可撓性と比較した。可撓性は、加圧−引張(press−pull)装置(LR 5K、Lloyd Instrume
nts若しくはTA−XTPlusテクスチャー分析器(Texture Analyser)のような)によって測定した。弛緩した状態のリング全体を2個のV字形ホルダーで固定した。V字形形材の角間の距離は54mmである。その後、ホルダーを、V字形形材の角の間の距離が21mmになるまで50mm/分という予め決められた速度で相互に向かって加圧した。該リングの一定の変形をもたらすために該リング形状の薬物送達系に適用されたニュートンでの力を、予め決められた点、すなわち10mm(すなわち44mmの距離で)、20mm(すなわち34mmの距離で)、30mm(すなわち24mmの距離で)および33mm(すなわち21mmの距離で)で測定した。
【0163】
製造されたリングの可撓性は後に続くとおりである。
【表5】

【実施例13】
【0164】
実施例4に従って作成されたリュープロリドを包含するリングの安定性を検討した。リュープロリド/EVAリング、18mgを実施例4に従って製造した。該リングを、ICHガイドラインに従った3条件、すなわち25℃/60%RH;30℃/60%RH:および40℃/75%RH下で安定試験槽に入れ、そしてサンプルを第1および3か月(40℃/75%RH)ならびに第6、9および12か月(30℃/60%RH)に取り出しかつ試験した。実施される試験は、検証された方法および適格なUSP法を使用するリング中の薬物定量法(リングあたりのリュープロリドのmg)およびリュープロリドの類縁物質(不純物)である。
【0165】
第0か月、第1か月、第3か月、第6か月、第9か月および第12か月の定量法および不純物の試験結果を下に提示する。
【表6】

【0166】
リュープロリド/EVAリング、18mgは40℃/75%RHで最低3か月間安定である。リュープロリド/EVAリング、18mgは30℃/60%RHで最低12か月間安定である。
【0167】
参照物
下に列挙される項目を包含する本明細書で挙げられる全部の刊行物および特許は、各個々の刊行物若しくは特許が引用することに具体的にかつ個々に組み込まれたかのようにそっくりそのまま引用することによりここに組み込まれる。対立の場合には、本明細書のいかなる定義も包含する本出願が支配することができる。
【0168】
[同等物]
主題の発明の特定の態様が論考された一方、上の明細は具体的説明でありかつ制限的でない。本発明の多くの変形が本明細の再検討に際して当業者に明らかになるであろう。本発明の完全な範囲は、請求の範囲を同等物のそれらの完全な範囲と一緒に、および本明細をこうした変形と一緒に参照することにより決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド浸透性熱可塑性ポリマーおよび治療的ペプチド若しくはその製薬学的に許容できる塩ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる最低1セグメントを含んでなる、雌性患者を冒す障害を処置するための膣を介する治療的ペプチドの送達のための治療装置。
【請求項2】
前記患者の膣への該装置の挿入に際して前記治療的ペプチドの全身吸収をもたらす、請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
該治療的ペプチドが長さ約4ないし約40アミノ酸のペプチドである、請求項1若しくは2に記載の治療装置。
【請求項4】
該治療的ペプチドが、リュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩である、請求項1−3のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項5】
該治療的ペプチドが、エキセナチド、リラグルチド、オキシントモジュリン、グレリン、ペプチドYY、プラムリンチドおよび膵ポリペプチドならびにそれらの組合せから選ばれる、請求項1−3のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項6】
該治療的ペプチドがアミリンおよびレプチンならびにそれらの組合せから選ばれる、請求項1−3のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項7】
該セグメントが、該治療的ペプチドおよび熱可塑性ポリマーを含んでなる実質的に均一な組成物を有する一体セグメントである、請求項1−6のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項8】
前記装置の挿入の約16時間若しくはそれ以上後に、前記治療的ペプチドの血清濃度が前記障害の処置のための製薬学的有効量である、請求項1−7のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項9】
前記装置の挿入の約1日若しくはそれ以上後に、前記患者での前記治療的ペプチドの血清濃度が前記障害の処置のための製薬学的有効量である、請求項8に記載の治療装置。
【請求項10】
の前記患者での挿入後の該治療的ペプチドのピーク血清濃度が該装置の挿入後約12ないし約22時間に得られる、請求項1−9のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項11】
前記患者での該治療的ペプチドのピーク血清濃度が該装置の挿入後約16時間で得られる、請求項1−11のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項12】
前記患者でのリュープロリドのピーク血清濃度が、注入によりリュープロリドデポー組成物を投与された患者のものより前記装置の挿入後により小さい、請求項4に記載の治療装置。
【請求項13】
前記患者でのリュープロリドのピーク血清濃度が、注入によりリュープロリドデポー注射剤を投与された患者のものと比較して前記装置の挿入後によりゆっくり生じる、請求項4に記載の治療装置。
【請求項14】
前記装置の挿入に際して、前記患者でのリュープロリドの血清濃度が約1日後に約0.05ng/mLないし約1.5ng/mLである、請求項12−13のいずれか1つに記
載の治療装置。
【請求項15】
前記装置の挿入に際して、前記患者でのリュープロリドの血清濃度が約1日後に約1.0ng/mLである、請求項12−14のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項16】
該組成物が約10ないし約100mgの治療的ペプチドを含んでなる、請求項7−15のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項17】
該組成物が約10ないし約60mgのリュープロリド酢酸塩を含んでなる、請求項7−16のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項18】
組成物が約36mgのリュープロリド酢酸塩を含んでなる、請求項17に記載の治療装置。
【請求項19】
組成物が約54mgのリュープロリド酢酸塩を含んでなる、請求項17に記載の治療装置。
【請求項20】
治療装置が患者の膣中への挿入に際して約10μg/日のリュープロリドを放出する、請求項18−20のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項21】
プロゲステリンをさらに含んでなる、請求項1−21のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項22】
プロゲステリンを含んでなる第二の一体セグメントをさらに含んでなる、請求項7−22のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項23】
熱可塑性ポリマーがエチレン−酢酸ビニルコポリマーである、請求項1−22のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項24】
実質的に均一な組成物を有する一体セグメントを含んでなる、雌性の障害の処置のための治療装置であって、該組成物は、薬物浸透性エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなり、患者の膣への前記装置の挿入に際してリュープロリドの全身吸収をもたらす、上記治療装置。
【請求項25】
患者への前記装置の挿入の約16時間後に、FSH(卵胞刺激ホルモン)およびLH(黄体化ホルモン)のピーク濃度が生じる、請求項24に記載の治療装置。
【請求項26】
FSHおよびLHのピーク濃度が、リュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩を含んでなるデポー組成物の患者への注入後のFSHおよびLHのピーク濃度の発生と比較して前記患者で約10時間遅く生じる、請求項24−25のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項27】
前記デポー組成物が約22.5mgのリュープロリド酢酸塩およびポリ乳酸を含んでなる、請求項26に記載の治療装置。
【請求項28】
エチレン−酢酸ビニルコポリマーが、約17%ないし約20%重量パーセントの酢酸ビニルを有する1種および約27ないし約30%重量パーセントの酢酸ビニルを有する1種のエチレン−酢酸ビニルコポリマーの混合物を含んでなる、請求項24−27のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項29】
エチレンビニル酢酸コポリマーが約18%ないし約30%重量パーセントの酢酸ビニルを含んでなる、請求項24−28のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項30】
エチレン酢酸ビニルコポリマーが190℃/2.16kgで150g/10分のメルトインデックスを有する、請求項24−29のいずれか1つに記載の治療装置。
【請求項31】
実質的に均一な組成物を有する一体セグメントより本質的になる治療的膣リングであって、該組成物が、薬物浸透性エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩、ならびに場合によっては製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる、上記治療的膣リング。
【請求項32】
1個の一体セグメントから成形され、かつ、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩、ならびに場合によっては1種若しくはそれ以上の製薬学的に許容できる賦形剤より本質的になる、治療的膣リング。
【請求項33】
製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩をそれの必要な雌性患者に膣投与することを含んでなる、子宮内膜症の処置方法。
【請求項34】
製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩をそれの必要な雌性患者に膣投与することを含んでなる、子宮線維症の処置方法。
【請求項35】
製薬学的有効量のリュープロリド若しくはその製薬学的に許容できる塩をそれの必要な雌性患者に膣投与することを含んでなる、乳癌の処置方法。
【請求項36】
リュープロリドを膣投与することが
a)雌性患者の膣路に請求項1−32のいずれか1つに記載の治療装置若しくは膣リングを配置すること;
b)該雌性患者に製薬学的有効量のリュープロリドを送達するのに十分な期間、該雌性患者の膣路に該治療装置を維持すること
を含んでなる、請求項33−35のいずれか1つに記載の方法。

【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−510828(P2012−510828A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534936(P2011−534936)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063704
【国際公開番号】WO2010/054296
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511093351)コンビネント・バイオメデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】