説明

病院用および介護用家具を清掃するための装置

【課題】 病院用および介護用ベッドの清掃を確実にする。
【解決手段】 病院用および介護用家具(1)の定期的な清掃を確実にするためのコントロール。コントロールは、家具が清掃されたときに手動作動によって、または家具(1)が自動ウォッシャシステム(2)から運び出されたときに、始動する。タイマ処理が開始され、事前設定された時間の満了後に、家具を再び清掃する必要があることが表示パネルに表示される。並行処理で、コントロールユニット(12)の作動回数が登録され、作動回数が事前設定された数を超えると、清掃の必要性の表示がトリガされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院用および介護用家具、例えば請求項1の前段に記載する病院用または介護用ベッド、患者リフタ、診療台、椅子の清掃に関連して使用される装置に関する。さらに本発明は、病院用および介護用家具の清掃に関連して用いるための方法、ならびに病院用および介護用家具の清掃に基づく病院用および介護用家具の整備に関連して用いるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院および老人ホームでは、特に弱者が危険な細菌またはウィルスに感染すると、致命的な結果をもたらすことがあり得るので、良好な衛生状態は承服に足る必然である。したがって、あらゆるものを入念に消毒しかつ清掃することを確実にすべく、細心の注意が払われる。
【0003】
通常、ベッド、すなわちフレームワークおよびベッドを調節するためのシステムを持つベッドフレームは中央清掃部に移送され、病院用および介護用家具を清掃するように特別に構成されたウォッシャシステムを介して駆動される。そのようなウォッシャシステムは例えばAthenのFR2744041から公知である。マットレスの清掃は、Sauter Moller GMBHのDE4108536から公知の通り、マットレスを清掃するように特別に構成されたウォッシャシステムで実行することができる。枕、羽毛布団、シーツと枕カバーは、別個のウォッシャシステムで処理される。
【0004】
ベッドを清掃するためのウォッシャシステムを所有することと、ベッドも清掃されることを確実にすることは別である。これは特に、ベッドが長期入院患者によって使用される場合に当てはまる。また、ベッドが別の患者によって占有される前にベッドを清掃することも重要である。離床した患者が伝染性疾患を持ち、感染症を伝染させるか、あるいは細菌の繁殖場所になる可能性のある体液または他の物質でベッドを汚染した場合、ベッドの清掃の欠如は特に不幸である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】FR2744041
【特許文献2】DE4108536
【特許文献3】WO2007/057014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、病院用および介護用ベッドの清掃を確実にするという、概説した問題の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、これは請求項1に記載する解決策により達成される。
【0008】
ここで、当該装置は、家具が清掃されたときに信号を発生させるためのシグナリングデバイスと、シグナリングデバイスからの信号を受信するための受信器と、信号に基づいて家具を再び清掃することが必要になるときを決定する処理を開始するタイマおよび/またはカウンタユニットと、家具を再び清掃することが必要になったときにそれを示す例えば家具に関連して配置されるインジケータとを備えることを明確に示す。
【0009】
当該装置は、家具が清掃されたときに作動することのできる開始機能を有することによって特徴付けられる。この開始機能が作動すると、タイマが始動し、事前設定された時間が満了した後、家具の清掃の必要性を示す信号を出す。
【0010】
清掃の必要性の表示に対する希望が満たされるように、「要清掃」の表示が発生する前に経過する時間を、時間数、日数、または週数単位のいずれかで連続的に調整できるようにすることが実用的であろう。例えば3段階を組み込むことができ、操作キーにより1週間、2週間、または3週間の間隔を交互に切り替えることができる。意図しない操作およびそれによる家具の清掃の欠如の危険性を回避するために、調整を達成できるようになるまで所定の時間だけキーを押す必要があるように実現することができる。
【0011】
さらに、部分的に患者の脆弱性に応じて、しかしその患者が周囲に対してどれほど大きい感染源になり得るかにも応じて、「要清掃」の表示がトリガされる前に経過する時間を変化させることができるようにするために、家具が位置する部署に関する入力、およびそれがベッドに関係する場合には、どのような種類の患者がそれを使用しているかを装置に供給することができる。
【0012】
タイマ処理と同時に、並行処理が開始され、カウンタがハンドコントロールの作動回数を登録する。カウンタが事前設定された回数を超えると、ベッドの清掃の必要性が表示される。
【0013】
患者および看護スタッフの両方が時々触れるキーボードは、特に大きい感染源になり得る。コントロールユニットの作動回数を計数することによって、その清掃状態の概観を形成することができる。要求される清掃が、特別な清掃作業としてコントロールユニットに、またはベッドの他のユニットに、またはおそらくベッドの周囲に限定されるか否かは、看護スタッフが決定しなければならない。より多くのコントロールユニットがベッドに取り付けられている場合、「要清掃」の表示は、多くのシナリオの結果として、例えば作動の量の事前設定された閾値を超えたときに、またはコントロールユニットの1つが事前設定された閾値を超えたときに、トリガすることができる。
【0014】
したがって、清掃が必要であるという表示は、時間または操作頻度いずれかの満了によって、2つの出来事のうちのどちらかが先に満了したときに、トリガされる。
【0015】
装置は、家具が清掃されたときに、コントロールパネル上のスイッチを操作することによって始動される。清掃がウォッシャシステムで行われる場合、家具がウォッシャシステムから運び出されたときに家具に付いているスイッチが作動するので、始動は自動的に実行することができる。スイッチ機能は、従来のスイッチまたはセンサ、例えば磁石によって作動する磁石ベースのセンサで構成することができる。システムが始動すると、タイマ、例えばカウンタまたはクロックが適切な間隔でそれ自体の増分を開始する。
【0016】
特別な実施形態では、装置は、温度が閾値を超えたときに信号を出すサーモセンサを装備する。そのようにして、家具がウォッシャシステムで清掃を受けていることを自動的に登録することが可能である。信号は、装置が再びアラームを生じさせるまで新しいタイマ/カウンタ周期が経過することができるように、装置のタイマ/カウンタを自動的にリセットするために使用することができる。通常、同じく満了しなければならない時間と組み合わせて、サーモセンサからの信号は実用的に、温度がかなり低下しないうちに信号が消えないように、ヒステリシスで構成される。これは信号のゆらぎを防止し、かつ家具の清掃回数の登録を希望する場合に関連して重要である。
【0017】
特別な機能として、コントロールパネルは、清掃状態を手動で「要清掃」に設定することのできる機能を具備することができる。これは、家具、例えばベッドが次の患者に占有される前に、またはベッドがウィルスもしくは細菌で異常に汚損もしくは汚染された場合に、それが清掃されることを確実にする。
【0018】
カウンタが事前設定された値に達すると、家具の清掃状態を示す表示が変更される。単純な実施形態では、インジケータは、「OK状態」に対する例えば発光ダイオードの形の緑色インジケータおよび「要清掃」に対する赤色インジケータを構成することができるが、2つの提示した両極端の中間の状態に対するインジケータをも当然組み込むことができ、様々なインジケータの色の選択も当然自由である。また、家具の清掃状態をグラフで、英数字で、または数字で示すためのディスプレイを使用することも可能である。インジケータを観察することによって、スタッフは家具の清掃が必要か否かを決定することができる。
【0019】
病院用または介護用家具の調整は通常、ハンドコントロールによって操作される。患者は一般的に限定数の機能を持つ患者自身のコントロールユニットを有する一方、スタッフはより多くの機能を持つコントロールユニットにアクセスすることができる。したがって、本発明の結果である開始機能およびインジケータは、看護スタッフ専用のコントロールユニットに実装することができる。
【0020】
しかし、清掃が必要であるか否かの迅速かつ明瞭な概観を確実にするために家具の清掃状態の表示を家具のどこかに配置することは排除されない。また、家具から少し離れた場所に位置する中央オペレータ端末に状態を伝達することも可能である。
【0021】
特に好都合なことに、時間および使用両方の関連基準または手動調整に基づく「要清掃」表示のトリガが相互に異なるように、表示がどのような状況でトリガされたかによって、表示を変えることができる。表示の区別は、清掃の必要性をトリガした個々の状況に対し別個のインジケータを導入することによって、達成することができる。1つだけのインジケータを好む場合、これは、何が家具の清掃の必要性をトリガしたかによって、その色を変化させるか、あるいは異なる周波数で点滅し、そのようにして清掃の必要度を示すことができる。
【0022】
システムは、看護スタッフ間に配分される様々な清掃業務の実行の必要性を反映する、清掃の必要性のレベルを調整することができるように、拡張することができる。ベッドに関係する場合、それはフレームワークおよび調整機構を伴うベッドフレームの清掃、マットレスの清掃、羽毛布団、枕、もしくはシーツと枕カバーの交換、または例えばコントロールユニットのようなベッドの他の部分の特別な清掃とすることができる。その場合、これらの清掃業務を実行すべきときに個々の表示が出されるように装置を構成することは、理に適っている。
【0023】
本発明は、別個のユニットとして、または家具の調整を管理する既存のコントロールの拡張として、いずれかで実現することができる。
【0024】
装置は主電源から、おそらくコントロールを介して電力を供給される。電力の供給が失われた場合に装置がリセットされ、あるいは情報を失うことは望ましくないので、少なくとも1つのバッテリの形で予備のバックアップを持つことが得策である。装置は、電源が完全に遮断された場合でもセットアップおよびデータを維持するためのメモリ回路を、マイクロプロセッサコントロールに装備すると、最も理想的である。清掃間のタイマの間隔は長いので、マイクロプロセッサは冬眠し、一定間隔で目を覚まして状態を更新するように設計される。これは結果的にエネルギ消費を最小にする。同時に、表示パネルを減光または消灯させることができると、エネルギ消費を最小化することができる。装置が依然として動作しているという印象をスタッフに与えるために、ダイオードの1つを一定間隔で短く点滅させることができる。減光機能は、スタッフがキーを押すことによって表示パネルを減光または消灯させることができ、短く押すことにより、表示パネルが短時間後に再び自動的に減光または消灯する前に、表示パネル上で状態を読み取ることができるように、構成することができる。装置は、停電時にバックアップバッテリ電源のエネルギができるだけ枯渇しないように、自ら電力消費を最小化することが理想的である。装置に実時間クロックを装備するか、またはネットワーク内のそのようなクロックにアクセスできるようにすることによって、最後の出来事基づいてタイマデータを復元し、かつ組み込まれたルーチンおよび定則に基づいて更新することのできるルーチンを構築することが可能になる。
【0025】
家具の清掃は必要な処置であるが、それは家具の機械的状態に負担を掛けるという不利点を有する。例えば家具をウォッシャシステムで洗浄すると、潤滑剤がやがて消失することは確実である。その理由から、家具は一定間隔で点検し、機械的可動部を追加的に処理し、注油する必要がある。実行された清掃の回数を計数する余分なカウンタを装置に導入することによって、装置はさらに、所定の清掃回数後に整備の必要性を示すことができる。次で必要な整備を実行することができ、その後、インジケータをリセットすることができる。整備表示の意図しないリセットを回避するために、ホールセンサの近傍で磁石を動かすことによってホールセンサが作動すると同時に、キーを押すことから成る、複合信号をリセット時に使用することができる。マイクロプロセッサがカウンタのリセットを実行することができるように、ホールセンサは、キーおよびホールセンサからの信号を処理するマイクロプロセッサに接続される。マイクロプロセッサと家具に関連する他のユニットとの通信は、整備の表示のためのカウンタを外部から制御およびリセットする能力にも関係する。
【0026】
その場合、ハウジングの側面の1つに当接するホールセンサの位置を知っておくか、あるいはハウジングに印を付けておく必要がある。
【0027】
整備の必要性の表示は、発光ダイオードのパネルに視覚的に提示することができ、最も単純な実施形態は、整備が必要になったときに点灯する発光ダイオードである。整備がタイムテーブルによりよく適合する場合に整備を実行することを前もって選択することができるように、より多くの発光ダイオードが処理の状態を示すように、パネルは拡大することができる。より高度の解決策では、ディスプレイ、例えば7分割線数字ディスプレイまたはテキストおよび数字のグラフィックディスプレイを使用することができる。インジケータはハウジング内に配置することができ、その後、それを家具上に、または家具を調整するためのコントロールユニット内に搭載することができる。家具から少し離れた場所に位置する中央オペレータ端末に状態を伝達することも可能である。
【0028】
より強力な洗浄剤を使用した場合、清掃後の整備の必要性は増強される。電動アクチュエータまたは電子コントロールのハウジングのシールを破壊して、それらがもはや防水性でなくなるようにするおそれのある、高酸性または高アルカリ性の洗浄剤を使用することはまれである。同時に電気駆動装置または家具の機械的接続部における潤滑剤は劣化するか、あるいは洗い流される。したがって、装置は洗浄中にpH値を測定するための計器をも装備し、攻撃的な洗浄剤が清掃に使用される場合には、家具の整備を前倒しさせるための信号を出すことが有利であろう。測定用計器はハウジングの外に配置し、ケーブルを介して接続するか、あるいはハウジング内に配置することができる。清掃回数用のカウンタの入力としてのpHセンサからの信号は、家具の清掃の強度に応じて、整備と整備の間に実行される清掃の回数を決定された定則またはテーブルから変更することができることを意味する。
【0029】
病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置と、ベッドの調整を管理するコントロールとの間の通信のために、LinakのWO2007/057014に係る通信システム「Openbus」が使用される。Openbusは、ベッドに取り付けられた種々のユニット間の通信のための標準を規定するものであり、ユニットはハンドコントロール、個別アクチュエータ等である。したがって、コントロールと個々のOpenbus接続ユニットとの間で種々のパラメータを通信することが可能である。コントロールは、看護スタッフならびに/または保守および清掃の担当スタッフによって操作される中央モニタリングポストを含むことのできる病院のネットワークに、ゲートウェイを介して接続することができる。「Openbus」により、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置との直接的な二重通信を含め、家具の状態を通信するための幾つかの可能性がもたらされる。こうして、「要清掃」または「要整備」の表示を、何が清掃または整備を必要としているかに関する種々のパラメータと共に、中央モニタリングに直接転送することが可能になる。清掃要求が清掃スタッフ、家具を回収してそれを清掃場所に運ぶ担当の病院のポータに直接送信されるように、表示の仕分けを行うことができる。外部企業が保守を受け持つ場合、整備または修理の表示は、例えばモニタリングポストからインターネットを介して送信することができる。モニタリングポストが登録患者に関するデータを含むデータベースに接続されている場合、患者の衛生状態に基づいて、例えば強化衛生が要求されるときに、そうでないときの清掃表示システムの標準より早期に「要清掃」の表示がトリガされるように、モニタリングポストから清掃表示システムのパラメータをプログラムすることが可能になる。患者が退院する場合、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置をモニタリングポストから手動でまたは自動的に外部から制御して、「要清掃」および/または「要整備」を表示させ、こうして次の患者が家具を占有する前に、家具が清掃されかつ整備されることを確実にすることが可能になる。
【0030】
本発明はまた、始動またはリセット状態、状態表示を伴う動作状態、およびアラーム状態を含む、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される方法であって、手動でまたはセンサ好ましくはサーモセンサにより自動的に実行される始動状態は、次の清掃までかつハンドコントロールのようなコントロールパネルの操作の回数を計数するカウンタの次のリセットまで時間を経過させるタイマをリセットし、かつ同時に表示パネルの状態を更新するように構成され、動作状態は事前設定された時間の処理中にタイマを維持かつ増分し、処理の状態を表示パネルに表示し、かつ同時にハンドコントロールの操作回数を計数するカウンタを維持するように構成され、アラーム状態は、タイマの事前設定された時間が満了したとき、またはハンドコントロールの操作回数を計数するカウンタが所定の回数を超えたときに発生し、アラーム状態が表示パネルに表示されるように構成された、方法にも関する。
【0031】
さらに本発明は、始動またはリセット状態、状態表示を伴う動作状態、およびアラーム状態を含む、病院用および介護用家具の清掃に基づく該家具の整備に関連して使用される方法であって、始動状態は、センサ好ましくはホールセンサを磁石で始動させることによって手動で実行され、清掃回数を計数するカウンタのリセットを引き起こし、かつ同時に表示パネル上の状態を更新するように構成され、動作状態は、家具の清掃回数を計数しかつ入力としてセンサ好ましくは洗浄剤の攻撃性を計測するpHセンサをも有するカウンタを維持し、かつ整備の特別な必要性に対応する因子によりカウンタを操作するように構成され、アラーム状態は、家具の清掃回数を計数するカウンタが所定の回数を超えたときに発生し、アラーム状態が表示パネルに表示されるように構成された、方法を含む。
【0032】
本発明に係る装置について、添付の図面を参照しながら以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ウォッシャシステム内の病院用ベッドを示す図である。
【図2】装置が搭載された病院用ベッドを示す図である。
【図3】装置のフローチャートである。
【図4】装置のためのハウジングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面の図1は、特に病院用ベッド1を清掃するために構成されたウォッシャシステム2で清掃中の病院用ベッド1を示す。ウォッシャシステム2は複数のジェット3で構成され、ジェットを通して洗浄剤および水がウォッシャシステムのチャンバ内に噴射され、こうして病院用ベッドが効率的に清掃される。
【0035】
病院用ベッド1はさらに図2に示され、該ベッドは、電動リニアアクチュエータ6、7の作動によって相互に比例して高さ調整が可能な下部フレーム4および上部フレーム5で構成されることが明らかである。電動リニアアクチュエータ8、9は支持面10、11を調整するように働く。調整はハンドコントロール12を操作することによって実行される。装置13は、ベッドの足元のベッド端部14に搭載された別個のユニットとして図示される。ちなみに装置自体のハウジング内に組み込まれた装置を図4に示す。装置はここでは装置自体のハウジング内にある状態で図示されるが、コントロールを備えたアクチュエータのためのコントロールボックス15に装置を組み込むことを妨げるものではない。図3のフローチャートは、ベッドが清掃されたときにシステムが始動し、その後、タイマ処理および/またはカウンタ処理が開始されることを示す。表示パネルに装置の状態が示されるので、それまでにどれだけの時間が経過し、ベッドの清掃が必要になるまでどれだけの時間が残されているかが明瞭になる。カウンタは処理と並行して始動し、アクチュエータシステムの作動の回数を計数する。タイマおよび/またはカウンタが閾値に達すると、ベッドの清掃が必要であるという表示が開始される。システムは、パネルのキー16、17を特定の順序で操作することによるか、または手動で作動させることのできるベッド上のスイッチによるかのいずれかによってリセットすることができる。スイッチは例えばキー操作スイッチ、または代替的にウォッシャシステムに位置する磁石によって作動させることのできる、ベッドに関連する磁気スイッチとすることができる。特別な実施形態では、温度が閾値を超えたときに信号を出すサーモセンサ18が装置に装備される。そのようにして、ベッドがウォッシャシステム2で清掃を受けていることを自動的に登録することが可能である。信号は、装置が再びアラームを発生させるまで新しいタイマ/カウンタ周期が経過できるように、タイマ/カウンタを自動的にリセットするために使用することができる。通常、同じく満了しなければならない時間と組み合わせて、サーモセンサ18からの信号は実用的に、温度がかなり降下しないうちに信号が消失しないように、ヒステリシスで構成される。これは信号のゆらぎを防止し、かつ家具の清掃回数の登録を希望する場合に関連して重要である。実行された清掃の回数は統計的に使用することができるが、ベッドをいつ整備すべきかを推定するためにも使用することができる。ベッドの整備が必要であるという表示が清掃回数によりトリガされるように、実行された清掃の回数を登録するカウンタをここで設置することは特に実用的である。そのような表示は、権限を持つスタッフだけがリセットできるようにすべきである。その理由から、ハウジングの外でその近傍に磁石を置いて、表示のリセットを実行できるようにすることが可能なように、磁気センサ19がハウジングに内蔵される。意図しない操作が回避されるように、リセット機能は実用的に、同時キー組合せを中止することができる。整備間隔はベッドの清掃回数だけでなく、洗浄剤の強度によっても決定されるので、pHセンサ20が導入され、必要な場合に整備を前倒しさせる可能性が提供される。コントロールのマイクロプロセッサ内の定則またはテーブルは、いかに強力な洗浄剤がベッドを清掃するために使用されるかを考慮して、整備間隔の変更を正確に決定することができるように構成することができる。
【0036】
図面の図4から明らかな通り、装置は装置自体のハウジング13に内蔵され、この実施形態では別個のユニットとして現れる。ハウジングには、ハウジングの組立体をベッドユニットに、一般的にベッドフレーム5またはベッド端部14に取り付けるための穴のある部分21がある。ハウジングには、ハウジング13に装着されたケーブル22を介して電力が供給される。ハウジングの正面にはスイッチおよびインジケータが配置され、全面被覆ホイルによって保護される。清掃または整備を表す絵文字はそれによって、スイッチ16、17が配置されている場所を示す。装置は、スイッチ16を特定の持続時間、一般的に数秒間押すことによって始動される。これは、権限の無い者がスイッチを短時間作動させた場合におそらく発生し得る、装置の意図しない始動を防止するために行われる。装置が始動すると、1列の発光ダイオードから構成される清掃表示パネル23は初期位置に戻り、1つのインジケータが点灯する。同時に、タイマ処理が開始され、それはベッドの清掃が必要になったときに満了する。タイマ処理に比例して、ますます多くのインジケータ23が点灯していき、最終的にタイマ処理の満了時には全てのインジケータが点灯する。代替的に、1つの点灯発光ダイオードは、列内のその位置によって処理の状態を示す。
【0037】
装置にはまた、ハウジング13の正面に直接当接して配置される、ベッドの周囲温度を測定するためのサーモセンサ18も装備される。温度の増加は、ベッドがウォッシャシステム2内にあり、清掃中であることを示すことができる。信号は、新しいタイマ/カウンタ周期を開始することができるように、装置をリセットするためにも使用される。清掃回数は、整備の必要性を示すためのカウンタによって合計され、1列の発光ダイオードから構成される整備表示パネル24に表示される。事前設定された回数の清掃が実行されると、整備の必要性の表示が現れる。整備の必要性は、強力な洗浄剤の使用によって前倒することができるので、これを登録するために、pHセンサ20がハウジングに接続される。外部pHセンサを接続するか、あるいはpHセンサ20を直接ハウジングに内蔵することが可能である。図面には配置の可能性が示されているが、他の位置を予想することもできる。洗浄中のpHセンサからの入力は、整備インジケータ用のカウンタに因子を帰属させるために使用されるので、より徹底した清掃は、カウンタが整備の必要性を表示させる閾値により早く達することを意味するようになる。
【0038】
整備の必要性の表示は、ハウジング13の正面に直接当接して配置されたホールセンサ19の手の届く範囲内に磁性体を持ってくることでリセットされる。意図しないリセットが回避されるように、磁石によるホールセンサ19の作動以外にリセットがキー17またはキーの組合せを押すことを含むことは実用的である。
【0039】
ケーブル22は部分的に電源用のコードを含むが、ベッド1に位置する潜在的外部始動スイッチへの接続部をも含む。ベッド1がベッド用の自動ウォッシャシステム2で清掃される場合、ウォッシャシステムは始動スイッチを作動させる構成を具備するかもしれず、それは従来のスイッチ、またはスイッチに基づくセンサ、例えば磁気センサまたは例えば二重通信を可能にするRFIDとすることができる。
【0040】
ケーブル22内にはベッドのコントロール15用のインタフェースも存在する。このようにして、ベッドの使用の他のパラメータにアクセスすることができ、それはベッド1の清掃が必要であるか否かを決定するために使用することができる。例えばハンドコントロール12の作動回数は、タイマ処理の満了前に清掃要求をトリガすることのできる補足的入力として使用される。コントロール15に転送される信号は、清掃の必要性をベッドの個々の要素、すなわち調整可能なフレームワーク4、5、10、11、コントロール15、電動アクチュエータ6、7、8、9、およびコントロールユニット12を持つベッドフレーム;ベッドのマットレス;ベッドシーツと枕カバーおよび枕;独立ユニットとしてのコントロールユニットに帰属させることができると理解されるように、複雑化される。したがって、ベッドの種々の要素の清掃要求の表示のために、異なる時間周期をプログラムすることができることは確実である。
【0041】
装置はマイクロプロセッサをベースとしており、したがって顧客の希望に従って表示をプログラムすることができる。プログラミングは、ケーブルを介してコントロールに接続された特製ソフトウェアを用いてPCから実行される。ケーブルは、プリント回路のプラグおよびソケット接続部につながるマイクロプロセッサのバス接続部に接続される。このプログラム可能な柔軟性のため、本発明の一部として、清掃の必要性がトリガされた理由がインジケータに示されるという点で、標準的な解決策と区別することができる。これは、表示パネル23の発光ダイオードの1つ以上を直接この目的に特化することによって行うことができる。1つだけのインジケータをこの目的に使用することを選択した場合、該インジケータが点滅する周波数、またはこのインジケータの色を用いて、何が清掃の必要性をトリガしたかを示すことができる。ここでLEDパネルが清掃の必要性を表示すると述べたことは、別のタイプのディスプレイ、例えばLCDを使用することができることを排除するものではない。ディスプレイは、例えば7分割線ディスプレイまたはグラフィックディスプレイのように、数字を持つこともできる。同じ柔軟な構造は、各発光ダイオードの見え方を別々にプログラムすることのできる、整備の必要性を表示するためのインジケータパネル24に使用される。
【0042】
病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置と、ベッドの調整を管理するコントロールとの間の通信のために、LinakのWO2007/057014に係る通信システム「Openbus」が使用される。Openbusは、ベッドに取り付けられた種々のユニット間の通信のための標準を規定するものであり、ユニットはハンドコントロール、個別アクチュエータ等である。したがって、コントロールと個々のOpenbus接続ユニットとの間で種々のパラメータを通信することが可能である。コントロールは、看護スタッフならびに/または保守および清掃の担当スタッフによって操作される中央モニタリングポストを含むことのできる病院のネットワークに、ゲートウェイを介して接続することができる。「Openbus」により、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置との直接的な二重通信を含め、ベッドの状態を通信するための幾つかの可能性がもたらされる。こうして、「要清掃」または「要整備」の表示を、何が清掃または整備を必要としているかに関する種々のパラメータと共に、中央モニタリングに直接転送することが可能になる。清掃要求が清掃スタッフ、家具を回収してそれを清掃場所に運ぶ担当の病院のポータに直接送信されるように、表示の仕分けを行うことができる。外部企業が保守を受け持つ場合、整備または修理の表示は、例えばモニタリングポストからインターネットを介して送信することができる。モニタリングポストが登録患者に関するデータを含むデータベースに接続されている場合、患者の衛生状態に基づいて、例えば強化衛生が要求されるときに、そうでないときの装置の標準より早期に「要清掃」の表示がトリガされるように、モニタリングポストから装置のパラメータをプログラムすることが可能になる。患者が退院する場合、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される装置をモニタリングポストから手動でまたは自動的に外部から制御して、「要清掃」および/または「要整備」を表示させ、こうして次の患者が家具を占有する前に、ベッドが清掃されかつ整備されることを確実にすることが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具(1)を調整するための少なくとも1つのアクチュエータ(6、7、8、9)と、
少なくとも1つのコントロールユニット(12)と、
マイクロプロセッサを含む少なくとも1つのコントロール(15)と、を備えた病院用および介護用家具、例えば病院用または介護用ベッド、患者リフタ、診療台、椅子の清掃に関連して使用される装置(13)であって、
前記装置(13)が、
前記家具(1)が清掃されたときに信号を出すことのできるシグナリングデバイスと、
前記シグナリングデバイスからの信号を受信するための受信器と、
前記信号に基づいて前記家具を再び清掃することが必要になったときにそれを決定する処理を開始するタイマおよび/またはカウンタユニットと、
前記家具(1)を再び清掃することが必要になったときにそれを示す、例えば家具に関連して配置されるインジケータ(23)と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記家具(1)の清掃が必要なときの表示は、事前設定された時間によりタイマ機能が満了した後に現れることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記家具(1)を再び清掃することが必要になったときの表示は、前記コントロールユニット(12)の作動回数が所定の数を超えたときに現れることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記家具(1)が清掃されたことを知らせる前記シグナリングデバイスはスイッチまたはセンサ、例えば磁気スイッチまたはRFIDであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スイッチまたはセンサは、オペレータによって手動で、または前記家具(1)が一般的にウォッシャシステム(2)内に位置する作動器またはシグナリングデバイスを通過したときに自動的に作動することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記家具(1)が清掃されたという信号を発生する前記シグナリングデバイスは、前記装置の温度が閾値を超えたときに信号を出す、前記装置内の温度センサ(18)であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記家具(1)を清掃する必要があるという表示は手動で、例えば前記家具(1)、ハウジング、またはコントロールユニット(12)にあるスイッチによって、外部から制御することができることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記家具(1)を清掃する必要があるという表示は、例えば前記家具に搭載されたハウジング内またはコントロールユニット(12)内に位置する、一般的にLEDパネルとして構成されるインジケータ(23)によって視覚化されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記家具(1)を清掃する必要があるという表示は同時に、例えば前記インジケータの色または点滅速度を差別化することによって、どのような状況が前記表示をトリガさせたか、および所望の清掃の程度を示すことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置(13)は独立ユニットであるか、あるいはモニタリングユニットおよび前記家具の調整を管理するコントロール(15)と一体化されるかのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(13)は、次の構成:
a.バッテリバックアップ、
b.無電流状態でデータを維持するメモリ回路、
c.電力消費の最小化、および
d.喪失したデータを復元するための実時間クロック入力
のうちの少なくとも1つを前記装置に装備することにより、主電源が遮断されたときに状態およびセットアップを維持するための手段を装備することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置(13)は、前記家具が再び整備を必要とするときを示すべく前記家具(1)が清掃された回数を計数するカウンタユニットを装備することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記家具(1)の清掃回数を計数する前記カウンタユニットは、前記カウンタユニットを外部から制御するための、例えばリセットするためのデバイスを具備することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カウンタユニットを外部から制御するための前記デバイスは、前記デバイスの前に磁石を配置することによって作動する磁石ベースのスイッチであることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カウンタユニットをリセットするための前記デバイスは、前記マイクロプロセッサとの通信を介して作動することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記磁気ベースのスイッチはホールセンサ(19)であることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記家具(1)を整備する必要があるという表示は、例えば前記家具に搭載されたハウジング内またはコントロールユニット(12)内に位置する、一般的にLEDパネルとして構成されるインジケータ(24)によって視覚化されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記装置(13)は洗浄中に洗浄剤のpH値に関する情報を受信することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記装置(13)は、洗浄中に洗浄剤のpH値を計測するための計測装置(20)に接続されるか、またはそれを装備することを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置(13)は、洗浄中に洗浄剤のpH値に基づいて、前記家具(1)の最後の整備以後の前記家具の清掃回数と共に、前記家具(1)の整備の必要性の表示が現れるときの決定の一部を構成する因子を算出することを特徴とする、請求項12および18に記載の装置。
【請求項21】
前記装置(13)は、前記家具(1)内の他のユニットとデータを交換するための手段を有し、前記他のユニットは、
a.コントロール(15)、
b.ゲートウェイ、または
c.ハンドコントロール(12)
のうちの1つとすることができ、かつ前記通信されるデータは、
d.コントロールユニットの作動回数、
e.タイマまたは計数回路の状態、
f.タイマまたはカウンタのリセットまたは始動、
g.タイマまたはカウンタの設定閾値、
h.最後の整備以後の清掃回数、
i.表示パネルの表示の構成、
j.キーの機能の構成、
k.pH計測の計算ルーチンの構成、
l.タイマ、カウンタ、またはインジケータの外部制御
とすることができることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
始動またはリセット状態、状態表示を伴う動作状態、およびアラーム状態を含む、病院用および介護用家具の清掃に関連して使用される方法であって、
手動でまたはセンサ好ましくはサーモセンサにより自動的に実行される前記始動状態は、次の清掃までかつハンドコントロールのようなコントロールパネルの操作回数を計数するカウンタの次のリセットまで時間を経過させるタイマをリセットし、かつ同時に表示パネルの状態を更新するように構成され、
前記動作状態は事前設定された時間の処理中にタイマを維持かつ増分し、処理の状態を前記表示パネルに表示し、かつ同時にハンドコントロールの操作回数を計数するカウンタを維持するように構成され、
前記アラーム状態は、前記タイマの前記事前設定された時間が満了したとき、またはハンドコントロールの操作回数を計数するカウンタが所定の回数を超えたときに発生し、前記アラーム状態が表示パネルに表示されるように構成された方法。
【請求項23】
始動またはリセット状態、状態表示を伴う動作状態、およびアラーム状態を含む、病院用および介護用家具の清掃に基づく前記家具の整備に関連して使用される方法であって、
前記始動状態は、センサ好ましくはホールセンサを磁石で始動させることによって手動で実行され、清掃回数を計数するカウンタのリセットを引き起こし、かつ同時に表示パネル上の状態を更新するように構成され、
前記動作状態は、前記家具の清掃回数を計数しかつ入力としてセンサ好ましくは洗浄剤の攻撃性を計測するpHセンサをも有するカウンタを維持し、かつ整備の特別な必要性に対応する因子により前記カウンタを操作するように構成され、
前記アラーム状態は、前記家具の清掃回数を計数するカウンタが所定の回数を超えたときに発生し、前記アラーム状態が表示パネルに表示されるように構成された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−538710(P2010−538710A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524353(P2010−524353)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000325
【国際公開番号】WO2009/033487
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(594167956)リナック エー/エス (27)
【Fターム(参考)】