説明

痴呆症改善用の保健食品

【課題】副作用のない、痴呆症の患者に有効な保健食品を提供する。
【解決手段】痴呆症改善用の保健食品が、ヤマブシタケ菌糸体エキス及びイチョウ葉エキスを有効成分として含有する。又、保健食品がゼリー状である。ヤマブシタケも、イチョウ葉も食品に含有させて使用されており、副作用が無く安全であり、ヤマブシタケの持っている痴呆病に対する効能が、イチョウ葉エキスのもっている効能により、さらに倍加して痴呆症に対する改善効果をあげることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痴呆症改善用の保健食品に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の人口は医学全般にわたる進歩等により平均寿命が高くなり、老齢人口は増加の一途をたどっている。平成12年老齢人口(65才以上)は、約2,200万人であり、そのうち約156万人が痴呆性老人となっている。痴呆性老人が増加することに伴い痴呆性の改善が問題となっている。
【0003】
痴呆症とは後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態をいいますが、この痴呆症に対する医薬としては現在、東京都文京区所在のエーザイ株式会社が製造、販売しているアリセプト(登録商標)D錠があります。
【0004】
しかし、このアリセプトD錠は、軽度及び中程度のアルツハイマー型痴呆と診断された患者のみに使用することとなっており、又アルツハイマー型痴呆の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られておらず、さらに種々の副作用が発現されている、という問題がある。副作用としては、たとえば、失神、徐脈、心ブロック、心筋梗塞、心不全、消化性海洋、肝炎、肝機能障害、呼吸困難等である。
【0005】
又、医薬の他に痴呆症の改善に効果があるとして食品に使用されているヤマブシタケを含む食品が開発されている(例えば、特許文献1,2及び3参照。)。
しかし、ヤマブシタケが痴呆症に効果があるとしても、食品のなかに含有するもので痴呆症になるのを極力予防するというものであり、長期間食さなければならず、十分な効果をあげていないのが実情である。
【0006】
したがって、副作用がなく、痴呆症の患者に使用することが出来る医薬、保健食品が望まれている。
【特許文献1】特開平6−256352号公報
【特許文献2】特開平9−19270号公報
【特許文献3】特開平11−56300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は鋭意研究の結果、イチョウ葉エキスに注目した。イチョウ葉エキスは血管拡張作用(イチョウ葉エキス及びbilobalideにより誘導される血管拡張及びそのメカニズム、奈良県立医科大学 薬理学教室(2003))があることが知られており、又脳血流増加作用及び脳細胞保護作用(ラット脳虚血障害へのイチョウ葉エキスの保護効果、岡山大学 神経内科教室(2000))があることが知られており、さらに抗不安作用(イチョウ葉エキスおよびその含有成分の抗不安作用、群馬大学地域共同研究センター(2002))があることが知られている。
【0008】
そこで、前記のヤマブシタケのエキスに当該イチョウ葉エキスを混合することにより痴呆症の患者に有効な保健食品を得ることが出来るのではないかと考え本発明を完成した。
【0009】
そこで、本発明は、副作用のない、痴呆症の患者に有効な保健食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明の、痴呆症改善用の保健食品は、ヤマブシタケ菌糸体エキス及びイチョウ葉エキスを有効成分として含有することからなる。
又、当該保健食品はゼリー状であることからなる。
【発明の効果】
【0011】
ヤマブシタケも又、特表2006−507283に見られるように、イチョウ葉も食品に含有させて使用されており、副作用が無く安全である。又、ヤマブシタケの持っている痴呆病に対する効能が、イチョウ葉エキスのもっている前記効能により、さらに倍加して痴呆症に対する改善効果をあげることが出来るものである。
【0012】
痴呆症の患者は、錠剤やカプセルにした場合、のどにつまらせることがあり、危険性がある。そこで、本発明においては、ゼリー状にしたので、このような危険性が生じないこととなった。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の製造方法及び試験例について記述する。
製造例
1.ヤマブシタケ菌糸体エキスと温水を加温し、イチョウ葉エキス末と砂糖(上白糖)の一部をプレミックスしたものを混合して分散溶解させる。
2.残りの砂糖を入れて80℃まで加温する。
3.増粘多糖類に砂糖をプレミックスし温水に高速撹拌を加え30分間溶解する。
4.上記を再度80℃まで昇温させ、グレープフルーツ濃縮果汁、酸味料、香料を添加する。
5.調整後、マグネット9000ガウスを通して70℃以上にてクリンパー缶に詰める。
6.上記液体をフィルム充填し、(85℃でホットパック充填をする)、ゼリー状とする。
【0014】
本発明の配分(比率)は下記の通りである。
上白糖 35.50
ヤマブシタケ菌糸体エキス 14.00
グレープフルーツ濃縮果汁 10.00
ギンコロン−24(イチョウ葉エキス) 0.40
増粘多糖類 0.24
酸味料 0.20
香料 1.00
水 38.66
合計 100.00
【0015】
製造例では、グレープフルーツ濃縮果汁を使用したが、酸性のフルーツ果汁であればグレープフルーツでなくても良い。又、増粘多糖類としてはローカストビーンガム、タマリンドガム等がある。
【0016】
試験例1

試験例2

試験例3

試験例4

試験例5

【0017】
試験例1〜5は、厚生労働省の研究班が作成した痴呆症患者の評価に基づくものである。
この試験例1〜5をみれば分かるように痴呆症の患者の症状が人によって多少異なるが改善されていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤマブシタケ菌糸体エキス及びイチョウ葉エキスを有効成分として含有する
ことを特徴とする痴呆症改善用の保健食品。
【請求項2】
前記痴呆症改善用の保健食品がゼリー状であることを特徴とする請求項1記載の痴呆症改善用の保健食品。

【公開番号】特開2008−115108(P2008−115108A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299866(P2006−299866)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(500379912)原沢製薬工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】