説明

癌および他の疾患を治療および管理するための免疫調節化合物を用いた方法および組成物

癌ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害を治療、予防、および/または管理する方法を開示する。特定の方法には、免疫調節化合物を単独でまたは第2の活性成分と組み合わせて投与することが含まれる。本発明はさらに、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、または免疫療法に関連した有害な副作用を軽減または回避する方法であって、免疫調節化合物を投与することを含む上記方法に関する。本発明の方法で使用するのに好適な医薬組成物、単位剤形、およびキットも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、免疫調節化合物を単独でまたは他の治療薬と組み合わせて投与することにより、特定の癌および他の疾患(例えば、限定するものではないが、望ましくない血管新生を伴うか、またはそれを特徴とする疾患)を治療、予防、および/または管理する方法に関する。とくに、本発明は、薬物の特定の組合せまたは「カクテル」の使用、ならびにこれらの特定の癌(例えば、従来の療法に不応性の癌)を治療するための放射線療法などの他の療法を包含する。本発明はまた、医薬組成物および投薬計画に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 発明の背景
2.1 癌および他の疾患の病理生物学
癌は、主として、正常組織に由来する異常細胞の数の増加、隣接する組織へのこれらの異常細胞の侵入、または局所リンパ節および遠位部位への悪性細胞のリンパ行性または血行性の広がり(転移)により特徴づけられる。臨床データおよび分子生物学的研究によると、癌は、特定の条件下で新形成に発展しうるわずかな前新生物変化から開始される多段階プロセスであることが示唆される。新生物病変は、クローン的に発生し、特に新生物細胞が宿主の免疫監視を回避する条件下で、侵入、増殖、転移、および異質化の能力を次第に発達させる可能性がある。Roitt, I., Brostoff, J および Kale, D., Immunology, 17.1-17.12 (第3版, Mosby, St. Louis, Mo., 1993)。
【0003】
医学文献に詳細に記載される癌として多数の種類が存在している。例としては、肺、結腸、直腸、前立腺、乳房、脳、および腸の癌が挙げられる。癌の発生率は、一般集団が老齢化するとともに、新しい癌が発生するとともに、および罹病集団(例えば、AIDSに感染した人または過度に日光に暴露された人)が成長するとともに、上昇し続ける。したがって、癌患者を治療するために使用することのできる新しい方法および組成物に対するきわめて大きな需要が存在する。
【0004】
多くのタイプの癌は、新しい血管の形成(血管新生として知られる過程)を伴っている。腫瘍により誘発される血管新生に関与する機序のいくつかは、解明されている。これらの機序のうちで最も直接的なのは、血管新生の特性を有するサイトカインが腫瘍細胞によって分泌されることである。これらのサイトカインの例としては、酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子(a,b-FGF)、アンギオゲニン、血管内皮増殖因子(VEGF)、およびTNF-αが挙げられる。このほか、腫瘍細胞は、プロテアーゼの産生と、いくつかのサイトカイン(例えば、b-FGF)が貯蔵されている細胞外マトリックスのその後の分解とを介して、血管新生ペプチドを放出することができる。血管新生はまた、炎症細胞(特に、マクロファージ)の動員およびそれらからの血管新生サイトカイン(例えば、TNF-α、bFGF)の放出を介して、間接的に誘発されうる。
【0005】
さまざまな他の疾患および障害もまた、望ましくない血管新生を伴っているか、またはそれにより特徴づけられる。例えば、増強されたまたは制御されない血管新生は、いくつかの疾患および病的症状(例えば、限定するものではないが、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、網膜血管新生疾患、ルベオーシス(隅角部の血管新生)、ウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患)に関係しているとみなされてきた。そのような疾患および症状の例としては、糖尿病性網膜症;未熟児網膜症;角膜移植拒絶反応;血管新生緑内障;水晶体後繊維増殖症;および増殖性硝子体網膜症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0006】
したがって、血管新生を抑制したりまたはTNF-αなどの特定のサイトカインの産生を阻止したりすることができる化合物は、種々の疾患および症状の治療および予防に役立つであろう。
【0007】
2.2 癌の治療方法
現在の癌治療法は、患者の新生物細胞を根絶するために、手術、化学療法、ホルモン療法、および/または放射線治療を含むことができる(例えば、Stockdale, 1998, Medicine, vol. 3, RubensteinおよびFederman編, Chapter 12, Section IVを参照されたい)。最近では、癌治療法はまた、生物学的療法または免疫療法を含みうる。これらの手法はすべて、患者にとって重大な欠点を抱えている。例えば、手術は、患者の健康によっては禁忌になることもあるし、または患者に受け入れがたいこともある。さらに、手術では、新生物組織を完全に除去できない可能性もある。放射線療法は、新生物組織が正常組織よりも放射線に高い感受性を呈する場合にのみ有効であるにすぎない。放射線療法はまた、多くの場合、重篤な副作用を誘発する可能性もある。ホルモン療法は、単一の薬剤として施されることはめったにない。ホルモン療法は、有効でありうるが、多くの場合、他の治療により癌細胞の大部分を除去した後、癌の再発を予防または遅延すべく用いられる。生物学的療法および免疫療法は、数が限られており、しかも皮疹もしくは腫脹、インフルエンザ様症候(例えば、発熱、悪寒、および倦怠感)、消化管異常、またはアレルギー反応のような副作用を生じる可能性もある。
【0008】
化学療法に関しては、癌の治療に利用可能なさまざまな化学療法剤が存在する。癌化学療法剤の大部分は、デオキシリボヌクレオチド三リン酸前駆体の生合成を阻害してDNA複製および付随する細胞分裂を妨害することにより直接的または間接的のいずれかでDNA合成を阻害することによって作用する。Gilmanら, Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Ed. (McGraw Hill, New York)。
【0009】
さまざまな化学療法剤が利用可能であるにもかかわらず、化学療法は、多くの欠点を有する。Stockdale, Medicine, vol. 3, RubensteinおよびFederman編, ch. 12, sect. 10, 1998。ほとんどすべての化学療法剤は有毒であり、化学療法は、重度の悪心、骨髄抑制、および免疫抑制を含めて、顕著でかつ多くの場合危険な副作用を引き起こす。さらに、化学療法剤の併用投与を行った場合でさえも、多くの腫瘍細胞は、化学療法剤に対して耐性であるかまたは耐性を獲得する。実際上、治療プロトコルに使用した特定の化学療法剤に対して耐性である細胞は、他の薬剤に対しても、たとえそれらの作用剤が特定の治療に使用した薬剤の作用機序と異なる機序により作用するとしても、耐性であることが判明する場合が多い。この現象は、多面的薬剤耐性または多剤耐性と呼ばれる。薬剤耐性のために、多くの癌は、標準的な化学療法治療プロトコルに対して不応性であることが判明している。
【0010】
望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする他の疾患または症状もまた、治療が困難である。しかしながら、プロタミン、ヘパリン、およびステロイドのようないくつかの化合物は、特定の疾患の治療に有用であるとの提案がなされている。Taylorら, Nature 297:307 (1982); Folkmanら, Science 221:719 (1983);ならびに米国特許第5,001,116号および同第4,994,443号。サリドマイドおよびその特定の誘導体もまた、そのような疾患および症状を治療すべく提案されている。D'Amatoに付与された米国特許第5,593,990号、同第5,629,327号、同第5,712,291号、同第6,071,948号、および同第6,114,355号。
【0011】
癌ならびに他の疾患および症状、とくに、手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法のような標準的な治療に不応性である疾患を、従来の療法に伴う毒性および/または副作用を軽減または回避しつつ、治療、予防、および管理する安全かつ有効な方法が、依然として必要とされている。
【0012】
2.3 IMIDSTM
TNF-αの異常な生産と関連した疾患を治療するために安全かつ有効に使用することができる化合物を得ようとして、いくつかの研究が行なわれてきた。例えば、Marriott, J.B.ら, Expert Opin. Biol. Ther. 1(4): 1-8 (2001); G.W. Mulleroら, Journal of Medicinal Chemistry 39(17): 3238-3240 (1996); およびG.W. Mullerら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8: 2669-2674 (1998)を参照されたい。いくつかの研究は、LPS刺激されたPBMCによるTNF-α産生を強力に阻害する能力について選択された一群の化合物に集中していた。L.G. Corralら, Ann. Rheum. Dis. 58: (SupplI) 1107-1113 (1999)。これらの化合物は、IMiDsTM (Celgene Corporation)または免疫機能改善薬(Immunomodulatory Drugs)と呼ばれており、強力なTNF-α阻害だけでなく、LPS誘導性単球のIL1βおよびIL12産生の顕著な阻害をも示す。LPS誘導性IL6も免疫調節化合物により、部分的ではあるが、阻害される。これらの化合物はLPS誘導性IL10の強力な刺激剤である。同上。IMiDTM の具体例として、限定するものではないが、米国特許第6,281,230号および同第6,316,471号(両方ともG.W. Mullerらに付与された)に記載される置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミドおよび置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドールが挙げられる。
【発明の開示】
【0013】
3. 発明の概要
本発明は、特定のタイプの癌、例えば、原発性および転移性の癌ならびに従来の化学療法に不応性または耐性である癌、を治療および予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明はまた、特定の癌を管理する(例えば、それらの再発を予防もしくは遅延したりまたは寛解期を延長したりする)方法を包含する。この方法には、そのような管理の必要な患者に、予防上有効な量の本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグ投与することが含まれる。
【0014】
本発明の特定の方法では、癌を治療、予防、または管理すべく使用される従来の治療法と併用して、免疫調節化合物を投与する。そのような従来の治療法の例としては、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明はまた、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害(癌以外)を治療、管理、または予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。
【0016】
他の本発明の方法では、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患または障害を治療、予防、または管理すべく使用される従来の治療法と併用して、免疫調節化合物を投与する。そのような従来の治療法の例としては、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明は、免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグと、第2のすなわち追加の活性薬剤とを含む、医薬組成物、単位剤形、投与計画、およびキットを包含する。第2の活性薬剤としては、特定の薬物の組合せまたは「カクテル」が含まれる。
【0018】
4. 図面の説明
図1は、in vitro研究において多発性骨髄腫(MM)細胞株の増殖を抑制することに関する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン (RevimidTM)とサリドマイドの効果の比較を示す。異なるMM細胞株(MM.1S、Hs Sultan、U266 および RPMI-8226)による[3H]-チミジンの取り込みを細胞増殖の指標として測定した。
【0019】

5. 発明の詳細な説明
本発明の第1の実施形態は、癌を治療、管理、または予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。
【0020】
この実施形態に包含される特定の方法では、癌を治療、管理、または予防する他の薬剤(「第2の活性薬剤」)または方法と併用して、免疫調節化合物を投与する。第2の活性薬剤としては、小分子および大分子(例えば、タンパク質および抗体)(それらの例を本明細書中に提示する)ならびに幹細胞が挙げられる。免疫調節化合物の投与と併用することのできる方法または療法としては、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、および癌を治療、予防、または管理すべく現在用いられている他の非薬物療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の他の実施形態は、望ましくない血管新生により特徴づけられる疾患および障害(癌以外)を治療、管理、または予防する方法を包含する。これらの方法には、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグの投与が含まれる。
【0022】
望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害の例としては、炎症性疾患、自己免疫性疾患、ウイルス性疾患、遺伝病、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、網膜血管新生疾患、およびルベオーシス(隅角部の血管新生)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害の具体例としては、内毒素血症、トキシックショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘発性線維症、アスベスト誘発性線維症、獣医学的障害、悪性疾患関連高カルシウム血症、発作、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、および5q-症候群が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
この実施形態に包含される特定の方法では、前記疾患または症状を治療、管理、または予防する第2の活性薬剤または方法と併用して、免疫調節化合物を投与する。第2の活性薬剤としては、小分子および大分子(例えば、タンパク質および抗体)(それらの例を本明細書中に提示する)ならびに幹細胞が挙げられる。免疫調節化合物の投与と併用することのできる方法または療法としては、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、および望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および症状を治療、予防、または管理すべく現在用いられている他の非薬物療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明はまた、本明細書に開示されている方法で使用することのできる医薬組成物(例えば、単位剤形)を包含する。特定の医薬組成物には、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグと、第2の活性薬剤とが含まれる。
【0025】
5.1 免疫調節化合物
本発明で用いる化合物には、ラセミ体である、ステレオマー的に富化された、またはステレオマー的に純粋な免疫調節化合物、ならびにその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレートもしくはプロドラッグが含まれる。本発明で用いるのに好ましい化合物は、分子量が約1000 g/mol以下の小さい有機分子であり、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、またはその他の巨大分子ではない。
【0026】
本明細書中で用いる「免疫調節化合物」または「IMiDsTM」(Celgene Corporation)は、特に断らない限り、TNF-α、LPS誘導性単球のIL 1βおよびIL 12産生を顕著に阻害し、IL 6産生を部分的に阻害する小さい有機分子を包含する。
【0027】
TNF-αは急性炎症においてマクロファージおよび単球により産生される炎症性サイトカインである。TNF-αは細胞内の多岐にわたるシグナル伝達事象に関与している。TNF-αは癌において病理学的役割を担っている可能性がある。特定の理論によって制限されるものではないが、本発明の免疫調節化合物が発揮する生物学的効果のひとつはTNF-α合成の低下である。本発明の免疫調節化合物はTNF-αのmRNAの分解を高める。
【0028】
さらに、特定の理論によって制限されるものではないが、本発明で用いる免疫調節化合物は強力なT細胞の共刺激剤でもあり、用量依存的に細胞増殖を劇的に増加させることができる。本発明の免疫調節化合物はまた、CD4+ T細胞サブセットよりもCD8+ T細胞サブセットに対して大きな共刺激作用を有する。さらに、これらの化合物は抗炎症特性を有し、T細胞を効果的に共刺激することが好ましい。
【0029】
免疫調節化合物の具体的な例としては、限定するものではないが、以下のものが含まれる:置換スチレンのシアノおよびカルボキシ誘導体、例えば、米国特許第5,929,117号に開示されるもの;1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン類および1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン類、例えば、米国特許第5,874,448号および同第5,955,476号に開示されるもの;テトラ置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-l-オキソイソインドリン類、例えば、米国特許第5,798,368号に記載されるもの;1-オキソおよび1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン類(例えば、サリドマイドの4-メチル誘導体およびEM-12)、米国特許第5,635,517号および同第6,403,613号に開示されるものを含むがそれらに限らない;インドリン環の4または5位において置換された1-オキソおよび1,3-ジオキソイソインドリン類(例えば、4-(4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4-カルバモイルブタン酸)、米国特許第6,380,239号に記載される;2位において2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換されたイソインドリン-1-オンおよびイソインドリン-1,3-ジオン(例えば、2-(2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシ-5-フルオロピペリジン-5-イル)-4-アミノイソインドリン-1-オン)、米国特許第6,458,810号に記載される;非ポリペプチド環状アミドのクラス、米国特許第5,698,579号および同第5,877,200号に記載される;サリドマイドの類似体および誘導体(サリドマイドの加水分解産物、代謝産物、誘導体および前駆体を含む)、例えば、D'Amatoに付与された米国特許第5,593,990号、同第5,629,327号および同第6,071,948号に記載されるもの;アミノサリドマイドおよびアミノサリドマイドの類似体、加水分解産物、代謝産物、誘導体および前駆体、ならびに置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミドおよび置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-l-オキソイソインドール、例えば、米国特許第6,281,230号および同第6,316,471号に記載されるもの;イソインドール-イミド化合物、例えば、2001年10月5日付の米国特許出願第09/972,487号、2001年12月21日付の米国特許出願第10/032,286号、および国際特許出願第PCT/US01/50401号 (国際公開WO 02/059106号)に記載されるもの。上記特許および特許出願のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。本発明の免疫調節化合物には、サリドマイドは含まれない。
【0030】
その他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第5,635,517号(参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に記載されるような、ベンゾ環がアミノで置換された1-オキソおよび1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンが含まれる。これらの化合物は、下記の構造I:
【化1】

【0031】
[式中、XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCH2であり、R2は水素または低級アルキル、特にメチルである]を有する。具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、以下のものが含まれる:
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-6-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-7-アミノイソインドリン;
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン; および
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン。
【0032】
本発明のその他の具体的な免疫調節化合物は、置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミドおよび置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-l-オキソイソインドールのクラスに属し、例えば、米国特許第6,281,230号; 第6,316,471号; 第6,335,349号; および第6,476,052号、ならびに国際特許出願PCT/US97/13375号 (国際公開WO 98/03502号)に記載されるものが含まれる(前記特許または特許出願のそれぞれを本明細書に組み入れる)。代表的な化合物は次式で表される:
【化2】

【0033】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はC=OまたはCH2であり、
(i) Rl、R2、R3およびR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、あるいは(ii) R1、R2、R3およびR4の1つは-NHR5で、R1、R2、R3およびR4の残りは水素であり、
R5は、水素または炭素数1〜8のアルキルであり、
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル、またはハロであり、
ただし、XおよびYがC=Oであり、かつ(i) Rl、R2、R3およびR4のそれぞれがフルオロであるか、または(ii) R1、R2、R3およびR4の1つがアミノであるとき、R6は水素以外のものである]。
【0034】
このクラスの代表的な化合物は次式:
【化3】

【0035】
[式中、Rlは水素またはメチルである]で表される。別の実施形態において、本発明は、これらの化合物のエナンチオマー的に純粋な形態(例えば、光学的に純粋な(R)または(S)エナンチオマー)の使用を包含する。
【0036】
さらに他の具体的な免疫調節化合物は、米国特許出願第10/032,286号および第09/972,487号、ならびに国際特許出願PCT/US01/50401号 (国際公開WO 02/059106号) (前記特許または特許出願のそれぞれを本明細書に組み入れる)に開示されるイソインドールイミドのクラスに属するものである。代表的な化合物は式IIで表される化合物、ならびにその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である:
【化4】

【0037】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH2またはC=Oであり、
Rlは、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'または(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり、
R2は、H、F、ベンジル、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、または(C2-C8)アルキニルであり、
R3およびR3'は、独立して、(Cl-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5またはC(O)OR5であり、
R4は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、または(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリールであり、
R5は、(Cl-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、または(C2-C5)ヘテロアリールであり、
R6は、それぞれの場合に独立して、H、(Cl-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2-C5)ヘテロアリール、または(C0-C8)アルキル-C(O)OR5であるか、複数のR6は一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、
nは、0または1であり、
*は、キラル炭素中心を表す]。
【0038】
具体的な式IIの化合物において、nが0であるとき、Rlは、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(S)NHR3、または(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり、
R2は、Hまたは(C1-C8)アルキルであり、
R3は、(Cl-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C5-C8)アルキル-N(R6)2、(C0-C8)アルキル-NH-C(O)O-R5; (C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5、またはC(O)OR5であり、そして他の記号は同一の定義を有する。
【0039】
他の具体的な式IIの化合物において、R2はHまたは(C1-C4)アルキルである。
【0040】
他の具体的な式IIの化合物において、R1は(C1-C8)アルキルまたはベンジルである。
【0041】
他の具体的な式IIの化合物において、RlはH、(C1-C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、CH2CH2OCH3、または
【化5】

【0042】
である。
【0043】
式IIの化合物の別の実施形態において、R1は、
【化6】

【0044】
[式中、QはOまたはSであり、R7は、それぞれの場合に独立して、H、(C1-C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、またはCH2CH2OCH3である]である。
【0045】
他の具体的な式IIの化合物において、RlはC(O)R3である。
【0046】
他の具体的な式IIの化合物において、R3は(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C1-C8)アルキル、アリール、または(C0-C4)アルキル-OR5である。
【0047】
他の具体的な式IIの化合物において、ヘテロアリールはピリジル、フリルまたはチエニルである。
【0048】
他の具体的な式IIの化合物において、RlはC(O)OR4である。
【0049】
他の具体的な式IIの化合物において、C(O)NHC(O)のHは、(Cl-C4)アルキル、アリールまたはベンジルと置き換えることができる。
【0050】
さらに他の具体的な免疫調節化合物は、米国特許出願第09/781,179号、国際公開WO 98/54170号、および米国特許第6,395,754号(前記特許または特許出願のそれぞれを本明細書に組み入れる)に開示されるイソインドール-イミドのクラスに属するものである。代表的な化合物は式IIIで表される化合物、ならびにその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である:
【化7】

【0051】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH2またはC=Oであり、
Rは、HまたはCH2OCOR'であり、
(i) Rl、R2、R3またはR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、あるいは(ii) R1、R2、R3またはR4の1つはニトロまたは-NHR5で、R1、R2、R3またはR4の残りは水素であり、
R5は、水素または炭素数1〜8のアルキルであり、
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロであり、
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり、
R7は、m-フェニレンまたはp-フェニレンまたは-(CnH2n)-(ここで、nは0〜4の数値である)であり、
R8およびR9のそれぞれは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜8のアルキルであるか、あるいはR8とR9は一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、または-CH2CH2[X]X1CH2CH2-(ここで、[X]X1は-O-、-S-または-NH-である)であり、
Rl0は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、またはフェニルであり、
*は、キラル炭素中心を表す]。
【0052】
他の代表的な化合物は次式で表される:
【化8】

【0053】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はC=OまたはCH2であり、
(i) Rl、R2、R3またはR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、あるいは(ii) R1、R2、R3またはR4の1つはニトロまたは-NHR5で、R1、R2、R3またはR4の残りは水素であり、
R5は、水素または炭素数1〜8のアルキルであり、
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロであり、
R7は、m-フェニレンまたはp-フェニレンまたは-(CnH2n)-(ここで、nは0〜4の数値である)であり、
R8およびR9のそれぞれは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜8のアルキルであるか、あるいはR8とR9は一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、または-CH2CH2[X]X1CH2CH2-(ここで、[X]X1は-O-、-S-または-NH-である)であり、
Rl0は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、またはフェニルである]。
【0054】
他の代表的な化合物は次式で表される:
【化9】

【0055】
[式中、
XおよびYは先に定義したとおりであり、
(i) Rl、R2、R3およびR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、あるいは(ii) R1、R2、R3およびR4の1つはニトロまたは保護アミノで、R1、R2、R3およびR4の残りは水素であり、
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロである]。
【0056】
他の代表的な化合物は次式で表される:
【化10】

【0057】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はC=OまたはCH2であり、
(i) Rl、R2、R3およびR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、あるいは(ii) R1、R2、R3およびR4の1つは-NHR5で、R1、R2、R3およびR4の残りは水素であり、
R5は、水素、炭素数1〜8のアルキル、またはCO-R7-CH(R10)NR8R9(ここで、R7、R8、R9およびR10のそれぞれは本明細書中で定義したとおり)であり、
R6は、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロである]。
【0058】
前記化合物の具体例は次式で表される:
【化11】

【0059】
[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はC=OまたはCH2であり、
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル、クロロ、またはフルオロであり、
R7は、m-フェニレン、p-フェニレン、または-(CnH2n)-(ここで、nは0〜4)であり、
R8およびR9のそれぞれは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜8のアルキルであるか、あるいはR8とR9は一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、または-CH2CH2X1CH2CH2-(ここで、X1は-O-、-S-または-NH-である)であり、
R10は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、またはフェニルである]。
【0060】
本発明の最も好ましい免疫調節化合物は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンおよび3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである。これらの化合物は標準的な合成法により得ることができる(例えば、参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,635,517号を参照のこと)。これらの化合物はCelgene Corporation (Warren, NJ)から入手可能である。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン (ACTIMIDTM)は次の化学構造を有する:
【化12】

【0061】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン (REVIMIDTM)は次の化学構造を有する:
【化13】

【0062】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第5,874,448号および第5,955,476号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような、l-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリンが含まれる。代表的な化合物は次式で表される:
【化14】

【0063】
[式中、
Yは、酸素またはH2であり、
R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、互いに独立して、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、またはアミノである]。
【0064】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第5,798,368号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような、テトラ置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリンが含まれる。代表的な化合物は次式で表される:
【化15】

【0065】
[式中、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、または炭素原子数1〜4のアルコキシである]。
【0066】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第6,403,613号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような、1-オキソおよび1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンが含まれる。代表的な化合物は次式で表される:
【化16】

【0067】
[式中、
Yは、酸素またはH2であり、
R1およびR2の第1のものは、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、またはカルバモイルであり、R1およびR2の第2のものは、第1のものから独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、またはカルバモイルであり、
R3は、水素、アルキル、またはベンジルである]。
【0068】
前記化合物の具体例は次式で表される:
【化17】

【0069】
[式中、
R1およびR2の第1のものは、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、ジアルキルアミノ(各アルキルは炭素原子数1〜4)、シアノ、またはカルバモイルであり、
R1およびR2の第2のものは、第1のものから独立して、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルアミノ(アルキルは炭素原子数1〜4)、ジアルキルアミノ(各アルキルは炭素原子数1〜4)、シアノ、またはカルバモイルであり、
R3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、またはベンジルである]。他の代表的な化合物は次式で表される:
【化18】

【0070】
[式中、
R1およびR2の第1のものは、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、ジアルキルアミノ(各アルキルは炭素原子数1〜4)、シアノ、またはカルバモイルであり、
R1およびR2の第2のものは、第1のものから独立して、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルアミノ(アルキルは炭素原子数1〜4)、ジアルキルアミノ(各アルキルは炭素原子数1〜4)、シアノ、またはカルバモイルであり、
R3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、またはベンジルである]。
【0071】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第6,380,239号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような、インドリン環の4および5位で置換された1-オキソおよび1,3-ジオキソイソインドリンが含まれる。代表的な化合物は次式で表される化合物およびその塩である:
【化19】

【0072】
[式中、C*で表される炭素原子はキラル中心を構成し(nがゼロでなく、R1がR2と同じでないとき)、X1およびX2の一方はアミノ、ニトロ、炭素数1〜6のアルキル、またはNH-Zで、X1およびX2の他方は水素であり、RlおよびR2のそれぞれは、互いに独立して、ヒドロキシまたはNH-Zであり、R3は、水素、炭素数1〜6のアルキル、ハロ、またはハロアルキルであり、Zは、水素、アリール、炭素数1〜6のアルキル、ホルミル、または炭素数1〜6のアシルであり、nは、0、1または2である、ただし、X1がアミノで、nが1または2であるとき、RlおよびR2がともにヒドロキシであることはない]。代表的な化合物は次式で表される化合物およびその塩である:
【化20】

【0073】
[式中、C*で表される炭素原子はキラル中心を構成し(nがゼロでなく、R1がR2でないとき)、X1およびX2の一方はアミノ、ニトロ、炭素数1〜6のアルキル、またはNH-Zで、X1およびX2の他方は水素であり、RlおよびR2のそれぞれは、互いに独立して、ヒドロキシまたはNH-Zであり、R3は、炭素数1〜6のアルキル、ハロ、または水素であり、Zは、水素、アリール、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜6のアシルであり、nは、0、1または2である]。前記化合物の具体例は次式で表される:
【化21】

【0074】
[式中、
X1およびX2の一方はニトロまたはNH-Zであり、X1およびX2の他方は水素であり、
RlおよびR2のそれぞれは、互いに独立して、ヒドロキシまたはNH-Zであり、
R3は、炭素数1〜6のアルキル、ハロ、または水素であり、
Zは、水素、フェニル、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜6のアシルであり、
nは、0、1または2である、
ただし、X1およびX2の一方がニトロで、nが1または2であるとき、RlおよびR2はヒドロキシ以外のものであり、
-COR1および-(CH2)nCOR2が異なる場合、C*で表される炭素原子はキラル中心を構成する]。他の代表的な化合物は次式で表される:
【化22】

【0075】
[式中、
X1およびX2の一方は炭素数1〜6のアルキルであり、
RlおよびR2のそれぞれは、互いに独立して、ヒドロキシまたはNH-Zであり、
R3は、炭素数1〜6のアルキル、ハロ、または水素であり、
Zは、水素、フェニル、炭素数1〜6のアシル、または炭素数1〜6のアルキルであり、
nは、0、1または2である、
ただし、-COR1および-(CH2)nCOR2が異なる場合、C*で表される炭素原子はキラル中心を構成する]。
【0076】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物には、限定するものではないが、米国特許第6,458,810号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような、2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルにより2位で置換されたイソインドリン-l-オンおよびイソインドリン-1,3-ジオンが含まれる。代表的な化合物は次式で表される:
【化23】

【0077】
[式中、
C*で表される炭素原子はキラル中心を構成し
Xは、-C(O)-または-CH2-であり、
Rlは、炭素原子数1〜8のアルキル、または-NHR3であり、
R2は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、またはハロゲンであり、
R3は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル(炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)、炭素原子数3〜18のシクロアルキル、フェニル(炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)、ベンジル(炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)、または-COR4であり、ここで、R4は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル(炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)、炭素原子数3〜18のシクロアルキル、フェニル(炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)、またはベンジル(炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、または炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されていてもよい)である]。
【0078】
本発明の化合物は、市販されているか、あるいは本明細書に開示される特許公報または特許公開公報に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、光学的に純粋な化合物は、公知の分割剤またはキラルなカラム、さらには他の標準的な合成有機化学技術を用いて、不斉合成または分割することができる。
【0079】
本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「製薬上許容される塩」という用語には、該用語の対象となる化合物の無毒の酸付加塩および塩基付加塩が包含される。許容しうる無毒の酸付加塩には、当技術分野で公知の有機酸および無機酸または塩基から誘導される酸付加塩が包含され、酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボン酸(embolic acid)、エナント酸などが挙げられる。
【0080】
本質的に酸性である化合物は、種々の製薬上許容される塩基と塩を形成することができる。そのような酸性化合物の製薬上許容される塩基付加塩を調製するために使用できる塩基は、無毒の塩基付加塩、すなわち、薬理学的に許容されるカチオンを含有する塩、例えば、限定するものではないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、とくに、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、またはカリウムの塩を形成する塩基である。好適な有機塩基としては、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(meglumaine)(N-メチルグルカミン)、リシン、およびプロカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「プロドラッグ」という用語は、化合物の誘導体であって、生物学的条件下(in vitroまたはin vivo)で加水分解、酸化、またはそれ以外の反応を受けて該化合物を提供することのできる該誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性ホスフェート類似体のような生加水分解性部分を含む、本発明の免疫調節化合物の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、または-ONO2部分を含む免疫調節化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、典型的には、1 Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff編, 第5版 1995)およびDesign of Prodrugs (H. Bundgaard編, Elselvier, New York 1985)に記載されているような公知の方法を用いて調製することができる。
【0082】
本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性ホスフェート」という用語は、それぞれ、化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、またはホスフェートを意味するが、ただし、1) 化合物の生物活性を妨害することなく、取込み、作用の持続、または作用の開始のような有利な特性をin vivoで化合物に付与することができるか;または2) 生物学的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物に変換されるかのいずれかである。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(例えば、アセトキシルメチルエステル、アセトキシエチルエステル、アミノカルボニルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、およびピバロイルオキシエチルエステル)、ラクトニルエステル(例えば、フタリジルエステルおよびチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシエチルエステル、およびイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、およびアシルアミノアルキルエステル(例えば、アセトアミドメチルエステル)が挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、およびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式およびヘテロ芳香族アミン、ならびにポリエーテルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の種々の免疫調節化合物は、1つ以上のキラル中心を含有し、エナンチオマーのラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物として存在することができる。本発明は、そのような化合物のステレオマー的に純粋な形態の使用およびそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、本発明の特定の免疫調節化合物のエナンチオマーを等量または不等量で含む混合物を、本発明の方法および組成物で使用することが可能である。これらの異性体は、キラルなカラムまたはキラルな分割剤のような標準的方法を用いて、不斉合成または分割することが可能である。例えば、Jacques, J.ら, Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York,1981); Wilen, S.H.ら, Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E.L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);およびWilen, S.H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0084】
本明細書中で用いる「ステレオマー的に純粋」という用語は、特に断らない限り、ある化合物の1つの立体異性体を含み、当該化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心をもつ化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心をもつ化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的なステレオマー的に純粋な化合物は、その化合物の1つの立体異性体を約80重量%以上、その化合物の他の立体異性体を約20重量%以下含み、より好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約90重量%以上、その化合物の他の立体異性体を約10重量%以下含み、さらにより好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約95重量%以上、その化合物の他の立体異性体を約5重量%以下含み、最も好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約97重量%以上、その化合物の他の立体異性体を約3重量%以下含む。本明細書中で用いる「ステレオマー的に富化された」という用語は、特に断らない限り、ある化合物の1つの立体異性体を約60重量%以上、好ましくは約70重量%以上、より好ましくは約80重量%以上含む組成物を意味する。本明細書中で用いる「エナンチオマー的に純粋」という用語は、特に断らない限り、1つのキラル中心をもつ化合物のステレオマー的に純粋な組成物を意味する。同様に、「エナンチオマー的に富化された」という用語は、1つのキラル中心をもつ化合物のステレオマー的に富化された組成物を意味する。
【0085】
描かれた構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、描かれた構造をより重視すべきである点に留意されたい。このほか、構造または構造の一部分の立体化学が、例えば、太線または破線で、明示されていない場合、その構造または構造の一部分には、そのすべての立体異性体が包含されると解釈するものとする。
【0086】
5.2 第2の活性薬剤
免疫調節化合物は、本発明の方法および組成物において、他の薬理学的に活性な化合物(「第2の活性薬剤」)と組み合わせることができる。特定のタイプの癌ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする特定の疾患および症状の治療において特定の組合せが相乗的に作用すると考えられる。免疫調節化合物はまた、特定の第2の活性薬剤に関連づけられる有害作用を軽減するように作用することができ、いくつかの第2の活性薬剤は、免疫調節化合物に関連づけられる有害作用を軽減するように使用することができる。
【0087】
本発明の方法および組成物において、免疫調節化合物と一緒に、1種以上の第2の活性成分または薬剤を使用することができる。第2の活性薬剤は、大分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成の無機分子、有機金属分子、もしくは有機分子)でありうる。
【0088】
大分子活性薬剤の例としては、造血増殖因子、サイトカイン、ならびにモノクロナール抗体およびポリクロナール抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。典型的な大分子活性薬剤は、天然または合成のタンパク質のような生体分子である。本発明にとくに有用であるタンパク質としては、造血前駆細胞および免疫学的に活性な造血細胞の生存および/または増殖をin vitroまたはin vivoで刺激するタンパク質が挙げられる。他のものは、細胞中の赤血球前駆細胞の分裂および分化をin vitroまたはin vivoで刺激するものである。特定のタンパク質としては、インターロイキン、例えば、IL-2(組換えIL-II(「rIL2」)およびカナリア痘IL-2を含む)、IL-10、IL-12、およびIL-18;インターフェロン、例えば、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、およびインターフェロンγ-Ib;GM-CFおよびGM-CSF;ならびにEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
本発明の方法および組成物で使用することのできる特定のタンパク質としては、商品名Neupogen(登録商標)(Amgen, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されているフィルグラスチム;商品名Leukine(登録商標)(Immunex, Seattle, WA)として米国で販売されているサルグラモスチム;および商品名Epogeng(登録商標)(Amgen, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されている組換えEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
組換え型および突然変異型のGM-CSFは、米国特許第5,391,485号;同第5,393,870号;および同第5,229,496号(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように調製することができる。
【0091】
組換え型および突然変異型のG-CSFは、米国特許第4,810,643号;同第4,999,291号;同第5,528,823号;および同第5,580,755号(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように調製することができる。
【0092】
本発明は、天然および組換えのタンパク質の使用を包含する。本発明はさらに、基本となるタンパク質の薬理活性の少なくとも一部分をin vivoで呈する、天然のタンパク質の突然変異体および誘導体(例えば、修飾型)を包含する。突然変異体の例としては、天然型のタンパク質の対応する残基と異なる1つ以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このほかに、「突然変異体」という用語に包含されるのは、天然の形態では通常存在する炭水化物部分が欠如している(例えば、非グリコシル化形態の)タンパク質である。誘導体の例としては、PEG化誘導体および融合タンパク質、例えば、対象のタンパク質またはタンパク質の活性部分にIgG1またはIgG3を融合することにより形成されるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、Penichet, M.L.およびMorrison, S.L., J. Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照されたい。
【0093】
本発明の化合物と併用することのできる抗体としては、モノクロナール抗体およびポリクロナール抗体が挙げられる。抗体の例としては、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ベバシズマブ(AvastinTM)、ペルツズマブ(OmnitargTM)、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex(登録商標))、およびG250が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物はまた、抗TNF-α抗体と組み合わせたりまたはそれと併用したりすることができる。
【0094】
大分子活性薬剤は、抗癌ワクチンの形態で投与することが可能である。例えば、IL-2、G-CSF、およびGM-CSFのようなサイトカインを分泌するかまたはその分泌を引き起こすワクチンを、本発明の方法、医薬組成物、およびキットで使用することができる。例えば、Emens, L.A.ら, Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1):77-84 (2001)を参照されたい。
【0095】
本発明の一実施形態では、大分子活性薬剤は、免疫調節化合物の投与に伴う有害作用を軽減、排除、または防止する。特定の免疫調節化合物および治療対象の疾患または障害にもよるが、有害作用としては、眠気および傾眠、眩暈および起立性低血圧、好中球減少、好中球減少に起因する感染症、HIVウイルス量の増加、徐脈、スティーヴンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症、ならびに発作(例えば、大発作痙攣)を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。特定の有害作用は、好中球減少である。
【0096】
免疫調節化合物の投与に伴う有害作用を軽減するために、小分子である第2の活性薬剤を使用することもできる。しかしながら、いくつかの大分子のように、多くは、免疫調節化合物と共に(例えば、その前、その後、またはそれと同時に)投与したとき、相乗効果を提供することができると考えられる。小分子の第2の活性薬剤の例としては、抗癌剤、抗生物質、免疫抑制剤、およびステロイドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
抗癌剤の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;ロイプロリドアセテート;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;マイトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;および塩酸ゾルビシン。
【0098】
他の抗癌薬としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン抗前立腺癌剤;抗エストロゲン剤;抗新生物剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィディコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン類;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン類(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン類;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール, 9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルビシン;フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、Gleevec(登録商標))、イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子-1レセプター阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール, 4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン繊維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;Erbitux、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリマーセン(Genasense(登録商標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカインインデューサー;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインA系免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤(微細藻類);プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe 186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模擬体;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナルトランスダクション阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模擬体;チマルファシン;チモポエチンレセプターアゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン類;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマー。
【0099】
特定の第2の活性薬剤としては、オブリマーセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソーム化ダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール(doxetaxol)、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダク、およびエトポシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
5.3 治療および予防方法
本発明の方法は、種々のタイプの癌ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害を治療、予防、および/または管理する方法を包含する。本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「治療」という用語は、特定の疾患または障害の症状の発症後に本発明の化合物または他のさらなる活性薬剤を投与することを意味する。本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「予防」という用語は、とくに、癌ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする他の疾患および障害を患う危険性のある患者に、症状の発症前に投与を行うことを意味する。「予防」という用語には、特定の疾患または障害の症状を抑制することが包含される。癌ならびに望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害の病歴をもつ家族のいる患者は、予防処置を施すのに好ましい候補である。本明細書中で使用する場合、特に断らない限り、「管理」という用語には、特定の疾患もしくは障害を患ったことのある患者における該疾患もしくは障害の再発を防止することおよび/または該疾患または障害を患ったことのある患者が寛解状態で生存し続ける期間を延長することが包含される。
【0101】
本明細書中で使用する場合、「癌」という用語には、固形腫瘍および血液系腫瘍が包含されるが、これらに限定されるものではない。「癌」という用語は、皮膚組織、器官、血液、および脈管の疾患を意味し、例えば、膀胱、骨または血液、脳、乳房、頸部、胸部、結腸、子宮内膜、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、首、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽喉、および子宮の癌が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の癌としては、進行性の悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型(karotype)急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫(眼性黒色腫を含むがこれに限らない限局性黒色腫)、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性繊維形成異常症、ホルモン不応性前立腺癌、切除ハイリスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、および平滑筋腫が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、癌は転移性である。他の実施形態では、癌は化学療法または放射線に対して不応性または耐性であり;とくに、サリドマイドに対して不応性である。
【0102】
癌以外の疾患および症状について言及すべく本明細書中で使用する場合、「望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患または障害」、「望ましくない血管新生を伴う疾患または障害」、および「望ましくない血管新生を特徴とする疾患または障害」という用語は、望ましくない、不要な、または制御されない血管新生により惹起されるか、媒介されるか、またはそれらを伴う疾患、障害、および症状を意味し、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、遺伝病、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、および網膜血管新生疾患が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
望ましくない血管新生を伴うそのような疾患または障害の例としては、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後繊維増殖症、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン症、酒さ性座瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染症、帯状疱疹感染症、原虫性感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁(mariginal)角質溶解、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンス・ジョンソン疾患、ペリフィゴイド(periphigoid)放射状角膜切開、鎌状赤血球貧血、類肉腫、弾性繊維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、ルベオーシス、サルコイドーシス、硬化症、soriatis、乾癬、原発性硬化性胆管炎、直腸炎、原発性胆汁性srosis、特発性肺繊維症、アルコール性肝炎、内毒素血症、トキシックショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘発性線維症、アスベスト誘発性線維症、悪性疾患関連高カルシウム血症、発作、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、5q-症候群、および獣医学的障害(ネコ免疫不全ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス、マエディウイルスまたはレンチウイルスにより引き起こされる)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、望ましくない血管新生を伴う疾患または障害に、以下のものは含まれない:鬱血性心不全、心筋症、肺水腫、エンドトキシン媒介性敗血症性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植拒絶反応、心筋梗塞、HIV、肝炎、成人呼吸促迫症候群、骨吸収性疾患、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症性疾患、皮膚炎、嚢胞性繊維症、敗血症性ショック、敗血症、エンドトキシンショック、血行動態性ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流障害、繊維性疾患、悪液質、移植拒絶反応、リウマチ様脊椎炎、骨粗鬆症、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、癩病における癩性結節性紅斑、放射線障害、喘息、高酸素症肺胞損傷、マラリア、ミコバクテリア感染症、およびHIVに起因する日和見感染症。
【0105】
本発明は、癌または望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害の治療をこれまでに受けてきたが、標準的治療法に対して不応性である患者およびこれまでに治療を受けていない患者を治療する方法を包含する。いくつかの疾患または障害は特定の年齢層でより多く見うけられるが、本発明は、患者の年齢に関係なく患者を治療する方法をも包含する。本発明は、問題となる疾患または症状を治療しようとして手術を受けた患者および受けていない患者を治療する方法をさらに包含する。癌ならびに望ましくない血管新生を特徴とする疾患および障害を患う患者は、多種多様な臨床徴候およびさまざまな臨床結果を有するので、患者に施される治療は、各自の予後判定に依存して変化する可能性がある。熟練した臨床医であれば、過度の実験を行わなくとも、癌および他の疾患または障害を患う個々の患者を治療するために効果的に使用することのできる特定の二次的薬剤、手術のタイプ、および薬物によらない標準的な治療法のタイプを、容易に決定することができるであろう。
【0106】
本発明に包含される方法は、癌または望ましくない血管新生により媒介される疾患もしくは障害を患っているかまたは患うおそれのある患者(例えば、ヒト)に、1種以上の本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0107】
本発明の一実施形態においては、本発明の免疫調節化合物を経口的に、約0.10〜約150mg/日の量で1回量または分割量として投与する。特定の実施形態では、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を約0.1〜1mg/日の量で、あるいは約0.1〜5mgを1日おきに投与する。好ましい実施形態では、3-(4-アミノ-l-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を約1〜25mg/日の量で、あるいは約10〜50mgを1日おきに投与する。
【0108】
特定の実施形態では、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を1日あたり約1、2、または5mgの量で再発多発性骨髄腫の患者に投与しうる。特定の実施形態では、3-(4-アミノ-l-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を、最初に1mg/日の量で投与し、1週間ごとに10、20、25、30、および50mg/日に増量することができる。特定の実施形態では、RevimidTMを固形腫瘍の患者に約30mg/日までの量で投与することができる。特定の実施形態では、RevimidTMを神経膠腫の患者に約40mg/日までの量で投与することができる。
【0109】
特定の実施形態では、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を、約0.1〜1mg/日の量で、あるいは約0.1〜5mgを1日おきに、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害(例えば、内毒素血症、トキシックショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘発性線維症、アスベスト誘発性線維症、獣医学的障害、悪性疾患関連高カルシウム血症、発作、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、および5q-症候群を含むが、これらに限らない)の患者に投与することができる。
【0110】
別の特定の実施形態では、3-(4-アミノ-l-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を、約1〜25mg/日の量で、あるいは約10〜50mgを1日おきに、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害(例えば、内毒素血症、トキシックショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘発性線維症、アスベスト誘発性線維症、獣医学的障害、悪性疾患関連高カルシウム血症、発作、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、および5q-症候群を含むが、これらに限らない)の患者に投与することができる。
【0111】
5.3.1 第2の活性薬剤を用いる併用療法
本発明の特定の方法には、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを、1種以上の第2の活性薬剤と併用して、および/または放射線療法、輸血、もしくは手術と併用して、投与することが含まれる。本発明の免疫調節化合物の例は、本明細書に開示されている(例えば、セクション5.1参照)。第2の活性薬剤の例も、本明細書に開示されている(例えば、セクション5.2参照)。
【0112】
患者への免疫調節化合物および第2の活性薬剤の投与は、同一であるかまたは異なっている投与経路により同時にまたは逐次的に行うことができる。特定の活性薬剤に利用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤自体(例えば、血流に入る前に分解を起こすことなく経口投与することができるか)および治療対象の疾患に依存するであろう。本発明の免疫調節化合物の好ましい投与経路は、経口である。本発明の第2の活性薬剤または成分の好ましい投与経路は、当業者に公知である。例えば、Physicians' Desk Reference, 1755-1760(第56版, 2002)を参照されたい。
【0113】
本発明の一実施形態では、第2の活性薬剤は、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で、静脈内または皮下に1日1回または2回投与される。第2の活性薬剤の特定の量は、使用される特定の薬剤と、治療または管理の対象となる疾患のタイプと、疾患の重症度および病期と、本発明の免疫調節化合物の量および患者に同時発生的に投与される任意の追加の活性薬剤の量とに依存するであろう。特定の実施形態では、第2の活性薬剤は、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))、GM-CSF、G-CSF、EPO、タキソテール、イリノテカン、ダカルバジン、トランスレチノイン酸、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、COX-2阻害剤、IL2、IL8、IL18、IFN、Ara-C、ビノレルビン、またはそれらの組合せである。
【0114】
特定の実施形態では、GM-CSF、G-CSF、またはEPOは、4週間または6週間のサイクルで約5日間にわたり約1〜約750mg/m2/日の量で、好ましくは約25〜約500mg/m2/日の量で、より好ましくは約50〜約250mg/m2/日の量で、最も好ましくは約50〜約200mg/m2/日の量で皮下投与される。特定の実施形態では、GM-CSFは、約60〜約500mcg/m2の量で2時間かけて静脈内投与しうるか、または約5〜約12mcg/m2/日の量で皮下投与しうる。特定の実施形態では、G-CSFは、最初に約1mcg/kg/日の量で皮下投与することが可能であり、全顆粒球数の上昇に応じて調整することができる。G-CSFの維持用量は、約300mcg(より小柄の患者のとき)または480mcgの量で皮下に投与しうる。特定の実施形態では、EPOは、10,000単位の量で週に3回皮下投与しうる。
【0115】
他の実施形態では、免疫調節化合物を約0.1〜150mg/日の量で、単独でまたは第2の活性薬剤と併用して、転移性悪性黒色腫(眼性黒色腫を含むがこれに限らない限局性黒色腫)の患者に投与する。ある実施形態では、約1〜25mg/日の量のRevimidTMおよび約200〜1,000mg/m2/日の量のダカルバジンを悪性または限局性黒色腫の患者に投与する。別の実施形態では、約1〜25mg/日の量のRevimidTMおよびテモゾロミドを悪性または限局性黒色腫の患者に投与する。別の実施形態では、RevimidTMを約1〜25mg/日の量で、ダカルバジン、IL-2および/またはIFNによる治療で病状が進行した悪性または限局性黒色腫の患者に投与する。特定の実施形態では、RevimidTMを、デキサメタゾンと併用して、約15mg/日の量で1日2回または約30mg/日の量で1日4回、再発したもしくは不応性の多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0116】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、メルファランおよびデキサメタゾンと共にアミロイドーシスの患者に投与する。特定の実施形態では、本発明の免疫調節化合物およびステロイドをアミロイドーシスの患者に投与することができる。
【0117】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、ゲムシタビンおよびシスプラチナムと共に局所的に進行したまたは転移性の移行上皮性膀胱癌を有する患者に投与する。
【0118】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、次のような第2の活性成分と併用して投与する:再発したもしくは進行性の脳腫瘍または再発性神経芽細胞腫の小児患者に対してテモゾロミド;再発したまたは進行性のCNS癌に対してセレコキシブ、エトポシド、およびシクロホスファミド;再発性もしくは進行性の髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発した脳腫瘍、または新たに診断された多形膠芽腫の患者に対してテモダール;再発性膠芽腫の患者に対してイリノテカン;脳幹神経膠腫の小児患者に対してカルボプラチン;進行性悪性神経膠腫の小児患者に対してプロカルバジン;予後不良悪性脳腫瘍、新たに診断されたかもしくは再発性の多形膠芽腫の患者に対してシクロホスファミド;高悪性度の再発性悪性神経膠腫に対してGliadel(登録商標);未分化星状細胞腫に対してテモゾロミドおよびタモキシフェン;あるいは神経膠腫、膠芽腫、未分化星状細胞腫、または未分化乏突起膠腫に対してトポテカン。
【0119】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、メトトレキセートおよびシクロホスファミドと共に転移性乳癌の患者に投与する。
【0120】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、テモゾロミドと共に神経内分泌腫瘍の患者に投与する。
【0121】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、ゲムシタビンと共に再発性または転移性頭頸部癌の患者に投与する。他の実施形態では、免疫調節化合物を、ゲムシタビンと共に膵臓癌の患者に投与する。
【0122】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、Arisa(登録商標)、タキソール、および/またはタキソテールと併用して結腸癌の患者に投与する。
【0123】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、カペシタビンと共に、不応性の結腸直腸癌の患者または結腸もしくは直腸の腺癌で第一選択の療法に失敗したかもしくは好結果が得られない患者に投与する。
【0124】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、フルオロウラシル、ロイコボリン、およびイリノテカンと併用して、デュークスC&D結腸直腸癌の患者または転移性結腸直腸癌の治療をこれまでに受けた患者に投与する。
【0125】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、カペシタビン、キセローダ、および/またはCPT-11と併用して、不応性の結腸直腸癌の患者に投与する。
【0126】
他の実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、カペシタビンおよびイリノテカンと共に、不応性の結腸直腸癌の患者または切除不能もしくは転移性の結腸直腸癌の患者に投与する。
【0127】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、単独でまたはインターフェロンαもしくはカペシタビンとの併用で、切除不能もしくは転移性の肝細胞癌の患者に投与するか;あるいはシスプラチンおよびチオテパと共に原発性もしくは転移性の肝臓癌の患者に投与する。
【0128】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、PEG化インターフェロンαと併用してカポジ肉腫の患者に投与する。
【0129】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、フルダラビン、カルボプラチン、および/またはトポテカンと併用して、不応性のまたは再発したまたはハイリスクの急性骨髄性白血病の患者に投与する。
【0130】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、リポソーム化ダウノルビシン、トポテカン、および/またはシタラビンと併用して、予後不良核型(unfavorable karotype)急性骨髄芽球性白血病の患者に投与する。
【0131】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、ゲムシタビンおよびイリノテカンと併用して非小細胞肺癌の患者に投与する。一実施形態では、免疫調節化合物を、カルボプラチンおよびイリノテカンと併用して非小細胞肺癌の患者に投与する。一実施形態では、免疫調節化合物を、ドキセタキソール(doxetaxol)と共に、これまでにcarbo/VP 16および放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に投与する。
【0132】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、カルボプラチンおよび/またはタキソテールと併用して、あるいはカルボプラチン、パクリタキセルおよび/または胸部放射線療法と併用して、非小細胞肺癌の患者に投与する。特定の実施形態では、免疫調節化合物を、タキソテールと併用して、第IIIB期または第IV期の非小細胞肺癌の患者に投与する。
【0133】
他の実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、オブリマーセン(Genasense(登録商標))と併用して小細胞肺癌の患者に投与する。
【0134】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、単独でまたはビンブラスチンもしくはフルダラビンのような第2の活性成分と併用して、種々のタイプのリンパ腫(例えば、限定するものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または再発したもしくは不応性の低悪性度濾胞性リンパ腫)を有する患者に投与する。
【0135】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、タキソテール、IL-2、IFN、GM-CSF、および/またはダカルバジンと併用して、種々のタイプまたは病期の黒色腫の患者に投与する。
【0136】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、単独でまたはビノレルビンと併用して、悪性中皮腫または胸膜転移のある第IIIB期非小細胞肺癌または悪性胸水中皮腫症候群の患者に投与する。
【0137】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、GM-CSF、ビアキシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、パルミドロネート、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、三酸化ヒ素、PEG INTRON-A、ビンクリスチン、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0138】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、ビンクリスチン、および/またはデキサメタゾン(Decadron(登録商標))と併用して、再発したもしくは不応性の多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0139】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、タキソール、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、キセローダ、パクリタキセル、デキサメタゾン、またはそれらの組合せと併用して、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、不応性卵巣癌、または再発性卵巣癌のような種々のタイプまたは病期の卵巣癌の患者に投与する。
【0140】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、キセローダ、5FU/LV、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM-CSF、セレコキシブ、タキソテール、ガンシクロビル、パクリタキセル、アドリアマイシン、ドセタキセル、エストラムスチン、Emcyt、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の前立腺癌の患者に投与する。
【0141】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、Celebrex(登録商標)、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の腎細胞癌の患者に投与する。
【0142】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、IFN、COX-2阻害剤(例えば、Celebrex(登録商標))および/またはスリンダクと併用して、種々のタイプまたは病期の婦人科系、子宮、または軟部組織肉腫の癌の患者に投与する。
【0143】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の固形腫瘍の患者に投与する。
【0144】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、またはそれらの組合せと併用して、強皮症または皮膚血管炎の患者に投与する。
【0145】
本発明はまた、患者に安全にかつ効果的に投与することのできる抗癌薬または抗癌剤の投与量を増加させる方法を包含する。この方法には、患者(例えば、ヒト)に、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される誘導体、塩、溶媒和物、クラスレート、水和物、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。この方法の恩恵に浴することのできる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、腸、結腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸の特定の癌、またはそれらの組合せを治療するための抗癌薬に伴う有害作用を受けるおそれのある患者である。本発明の免疫調節化合物を投与することにより、それを用いなければ抗癌薬の量を制限しなければならないほどきわめて大きな有害作用が緩和または軽減される。
【0146】
一実施形態では、本発明の免疫調節化合物は、患者への抗癌薬の投与に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に、1日あたり約0.1〜約150mg、好ましくは約1〜約50mg、さらに好ましくは約2〜約25mgの量で経口投与することができる。特定の実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、ヘパリン、アスピリン、クマジン、またはG-CSFのような特定の薬剤と併用して、抗癌薬に伴う有害作用(例えば、限定するものではないが、好中球減少または血小板減少)を回避するために投与する。
【0147】
一実施形態では、本発明の免疫調節化合物は、追加の活性成分(例えば、限定するものではないが、抗癌薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、およびステロイド)と併用して、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患および障害を患う患者に投与することができる。
【0148】
他の実施形態では、本発明は、癌を治療、予防、および/または管理する方法を包含する。この方法には、従来の治療法、例えば、限定するものではないが、癌を治療、予防、または管理すべく現在用いられている手術、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、または他の非薬物療法と組み合わせて(例えば、その前に、その間に、またはその後に)、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明の免疫調節化合物と従来の治療法との併用により、特定の患者に予想外に有効であるユニークな処置計画を提供することが可能である。理論により制限されるものではないが、本発明の免疫調節化合物は、従来の治療法と同時発生的に投与した場合、相加的または相乗的効果を提供しうると考えられる。
【0149】
他の実施形態では、本発明は、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害を治療、予防、および/または管理する方法を包含する。この方法には、従来の治療法、例えば、限定するものではないが、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害を治療、予防、または管理すべく現在用いられている手術、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、または他の非薬物療法と組み合わせて(例えば、その前に、その間に、またはその後に)、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明の免疫調節化合物と従来の治療法との併用により、特定の患者に予想外に有効であるユニークな処置計画を提供することが可能である。理論により制限されるものではないが、本発明の免疫調節化合物は、従来の治療法と同時発生的に投与した場合、相加的または相乗的効果を提供しうると考えられる。
【0150】
本明細書中の他のところで述べるように、本発明は、従来の治療法、例えば、限定するものではないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法に伴う有害作用または望ましくない作用を軽減、処置、および/または予防する方法を包含する。従来の治療法に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に、1種以上の本発明の免疫調節化合物および他の活性成分を患者に投与することができる。
【0151】
一実施形態では、本発明の免疫調節化合物は、1日あたり約0.1〜約150mg、好ましくは約1〜約25mg、さらに好ましくは約2〜約10mgの量で、単独でまたは本明細書に開示される第2の活性薬剤(例えば、セクション5.2参照)と併用して、従来の治療法を用いる前、その間、またはその後に経口投与することができる。
【0152】
この方法の特定の実施形態では、これまでにcarbo/VP 16および放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に、本発明の免疫調節化合物とドキセタキソール(doxetaxol)を投与する。
【0153】
5.3.2 移植療法との併用
本発明の化合物を用いれば、移植片対宿主病(GVHD)のリスクを減少させることができる。したがって、本発明には、癌を治療、予防、および/または管理する方法であって、移植療法と組み合わせて、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを投与することを含む上記方法が包含される。
【0154】
当業者が認識しているように、癌の治療は、この疾患の病期および機序に基づいて行われることが多い。例えば、白血病の回避不能な変換は癌の特定の病期に発生するので、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄の移植が必要になりうる。本発明の免疫調節化合物と移植療法との併用により、ユニークかつ予想外な相乗作用が提供される。とくに、本発明の免疫調節化合物は、癌患者において移植療法と同時発生的に投与した場合、相加的または相乗的効果を提供しうる免疫調節活性を呈する。
【0155】
本発明の免疫調節化合物を移植療法と併用することにより、移植の侵襲的手技に伴う合併症およびGVHDのリスクを軽減することができる。本発明には、癌を治療、予防、および/または管理する方法であって、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄を移植する前に、その間に、またはその後に、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを患者(例えば、ヒト)に投与することを含む上記方法が包含される。本発明の方法で使用するのに好適な幹細胞の例は、R.Haririらにより2003年4月11日に出願された米国特許出願第10/411,655号に開示されている。その全内容が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0156】
別の実施形態では、本発明は、望ましくない血管新生を伴うかまたはそれを特徴とする疾患もしくは障害を治療、予防、および/または管理する方法であって、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄を移植する前に、その間に、またはその後に、本発明の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを患者(例えば、ヒト)に投与することを含む上記方法を包含する。
【0157】
この方法の一実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、自己由来末梢血始原細胞を移植する前に、その間に、またはその後に、多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0158】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、幹細胞移植の後に、多発性骨髄腫を再発している患者に投与する。
【0159】
他の実施形態では、自己由来幹細胞を移植した後に、維持療法として免疫調節化合物およびプレドニゾンを多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0160】
他の実施形態では、移植後のリスクを低くするための救助療法として免疫調節化合物およびデキサメタゾンを多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0161】
他の実施形態では、自己由来骨髄を移植した後に、維持療法として免疫調節化合物およびデキサメタゾンを多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0162】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、化学療法応答性多発性骨髄腫の患者に高用量のメルファランの投与および自己由来幹細胞の移植を行った後に投与する。
【0163】
他の実施形態では、免疫調節化合物およびPEG INTRO-Aを、自己由来CD34選択末梢幹細胞を移植した後に維持療法として多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0164】
他の実施形態では、免疫調節化合物を、抗血管新生を評価するために移植後地固め化学療法と共に、新たに診断された多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0165】
他の実施形態では、免疫調節化合物およびデキサメタゾンを、高用量のメルファランによる治療および末梢血幹細胞の移植に続いてDCEPにより地固めを行った後で維持療法として65歳以上の多発性骨髄腫の患者に投与する。
【0166】
5.3.3 サイクル療法
特定の実施形態では、本発明の予防薬または治療薬は、患者に周期的に投与される。サイクル療法では、ある期間にわたり活性薬剤の投与を行い、続いてある期間にわたり休止し、この逐次的投与を繰り返す。サイクル療法を行うことにより、1つ以上の療法に対する耐性の発生を軽減したり、1つの療法の副作用を回避もしくは軽減したり、および/または治療の効力を向上させたりすることができる。
【0167】
したがって、本発明の特定の一実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、1日1回または複数回の用量にて4週間〜6週間のサイクルで、約1週間または2週間の休止期間を設けて、投与する。本発明によれば、投与サイクルの頻度、数、および長さをさらに増大させることが可能になる。したがって、本発明の他の特定の実施形態には、単独で投与したときの典型的なサイクル数よりも多くのサイクル数で本発明の免疫調節化合物を投与することが含まれる。本発明のさらに他の特定の実施形態では、本発明の免疫調節化合物は、第2の活性成分が投与されていない患者において用量制限毒性を一般的に惹起するおそれのある、より多くのサイクル数で投与することができる。
【0168】
一実施形態では、本発明の免疫調節化合物を、約0.1〜約150mg/日の用量で3週間または4週間にわたり連続して毎日投与し、その後、1週間〜2週間の休止期間を設ける。ActimidTMは、好ましくは、0.1〜5mg/日の初期用量で連続して毎日投与し、1〜10mg/日の段階的用量増加(毎週)を行って最大用量50mg/日とし、療法に耐えられるかぎり長期間にわたり投与する。特定の実施形態では、RevimidTMは、約1、5、10、または25mg/日の量で、好ましくは約10mg/日の量で3〜4週間にわたり投与し、その後、1週間または2週間の休止期間を設けて、4週間または6週間のサイクルで行なう。
【0169】
本発明の一実施形態では、本発明の免疫調節化合物および第2の活性成分を4〜6週間のサイクルで経口的に投与するが、第2の活性成分の投与の30〜60分前に本発明の免疫調節化合物の投与を行う。本発明の他の実施形態では、本発明の免疫調節化合物と第2の活性成分との組合せを、サイクルごとに約90分間かけて静脈内注入により投与する。特定の実施形態では、1サイクルが、約1〜約25mg/日のRevimidTMおよび約50〜約200mg/m2/日の第2の活性成分を3〜4週間にわたり毎日投与した後で、1週間または2週間の休止期間を設けることを含む。他の特定の実施形態では、各サイクルは、約5〜約10mg/日のActimidTMおよび約50〜約200mg/m2/日の第2の活性成分を3〜4週間にわたり投与した後で、1週間または2週間の休止期間を設けることを含む。典型的には、併用治療を患者に施す期間内のサイクル数は、約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、さらに典型的には約4〜約3サイクルであろう。
【0170】
5.4 医薬組成物および剤形
医薬組成物は、個別の単位剤形の調製に使用することができる。本発明の医薬組成物および剤形には、免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグが含まれる。本発明の医薬組成物および剤形は、1種以上の賦形剤をさらに含むことができる。
【0171】
本発明の医薬組成物および剤形は、1つ以上の追加の活性成分を含むこともできる。したがって、本発明の医薬組成物および剤形には、本明細書に開示されている活性成分(例えば、免疫調節化合物および第2の活性薬剤)が含まれる。場合により含まれる追加の活性薬剤の例は、本明細書に開示されている(例えば、セクション5.2参照)。
【0172】
本発明の単位剤形は、経口、粘膜(例えば、鼻腔、舌下、膣、頬腔内、もしくは直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、もしくは動脈内)、経真皮もしくは経皮投与を患者に行うのに好適である。剤形の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:錠剤;キャプレット剤;カプセル剤、例えば、軟質弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散液剤;坐剤;散剤;エーロゾル剤(例えば、点鼻剤または吸入器);ゲル剤;患者への経口または粘膜投与に好適な液体剤形、例えば、懸濁液剤(例えば、水性もしくは非水性の懸濁液剤、水中油型乳濁液剤、または油中水型乳濁液剤)、溶液剤、およびエリキシル剤;患者への非経口投与に好適な液体剤形;および患者への非経口投与に好適な液体製剤を提供すべく用時調製することのできる無菌の固体(例えば、結晶質または非晶質固体)。
【0173】
本発明の剤形の組成、形状、およびタイプは、典型的には、その用途により変化する。例えば、疾患の急性治療に使用される剤形には、同一疾患の慢性治療に使用される剤形よりも多量に1以上の活性成分が含まれうる。同様に、非経口剤形には、同一疾患の治療に用いられる経口剤形よりも少量に1以上の活性成分が含まれうる。本発明に包含される特定の剤形が互いと相違するこれらのおよび他の方法については、当業者に自明であろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0174】
典型的な医薬組成物および剤形には、1種以上の賦形剤が含まれる。好適な賦形剤については、製薬分野の当業者に周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例は、本明細書中に挙げられている。特定の賦形剤が医薬組成物または剤形に取り込むのに好適であるか否かは、当技術分野で周知のさまざまな要因(例えば、限定するものではないが、剤形を患者に投与する方法)に依存する。例えば、錠剤のような経口剤形には、非経口剤形に使用するには適切でない賦形剤が含まれうる。特定の賦形剤の適合性は、剤形中の特定の活性成分にも依存しうる。例えば、いくつかの活性成分の分解は、ラクトースのようないくつかの賦形剤により、または水に暴露したときに、加速される可能性がある。第一級または第二級アミンを含む活性成分は、そのような加速された分解を特に受けやすい。したがって、本発明は、乳糖、他の単糖類または二糖類を、含むにしても、少量しか含まない医薬組成物および剤形を包含する。本明細書中で使用する場合、「乳糖フリー」という用語は、かりに存在するにしても、存在する乳糖の量が、活性成分の分解速度を実質的に増加させるには不十分であることを意味する。
【0175】
当技術分野で周知であり、例えば米国薬局方(USP) 25-NF20 (2002)に列挙されている、賦形剤を本発明の乳糖フリー組成物に含めることができる。一般的には、乳糖フリー組成物には、活性成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤が、製薬上適合しうるかつ製薬上許容される量で含まれる。好ましい乳糖フリー剤形には、活性成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0176】
水はいくつかの化合物の分解を促進する可能性があるので、本発明はさらに、活性成分を含む無水の医薬組成物および剤形を包含する。例えば、製剤の貯蔵寿命または経時安定性のような特性を調べるために、長期貯蔵をシミュレートする手段として、水(例えば、5%)を添加することが、製薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80を参照されたい。実際、水および熱はいくつかの化合物の分解を促進する。したがって、製剤の製造時、取扱い時、包装時、貯蔵時、輸送時、および使用時には通常、水分および/または湿気に曝されることから、製剤に及ぼす水の影響は、非常に重要になってくる。
【0177】
本発明の無水の医薬組成物および剤形は、無水または低水分の成分および低水分または低湿分の条件を用いて調製することができる。乳糖および第一級または第二級アミンを有する少なくとも1つの活性成分を含んでなる医薬組成物および剤形は、製造時、包装時、および/または貯蔵時に水分および/または湿分と実質的に接触することが予想されるのであれば、無水であることが好ましい。
【0178】
無水の医薬組成物は、その無水状態が保持されるように調製しかつ貯蔵しなければならない。したがって、好ましくは、水への暴露を防止することが知られている材料を用いて無水の組成物を包装し、その結果として好適な処方キットに組み込むことができるようにする。好適な包装の例としては、気密フォイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0179】
本発明はさらに、活性成分の分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含んでなる医薬組成物および剤形を包含する。そのような化合物(本明細書中では「安定化剤」と記す)としては、抗酸化剤(例:アスコルビン酸)、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0180】
賦形剤の量および種類と同様ように、剤形中の活性成分の量および特定の種類は、患者に投与する経路(ただし、これに限定されない)のような要因に依存して変化する可能性がある。しかしながら、本発明の典型的な剤形には、免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグが、約0.10〜約150mgの量で含まれる。典型的な剤形には、免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグが、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、または200mgの量で含まれる。特定の実施形態では、好ましい剤形が、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を約1、2、5、10、25、または50mgの量で含む。特定の実施形態では、好ましい剤形が、3-(4-アミノ-l-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を約5、10、25、または50mgの量で含む。典型的な剤形には、第2の活性薬剤が約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で含まれる。もちろん、抗癌剤の特定の量は、使用される特定の薬剤、治療または管理の対象となる癌のタイプ、患者に同時発生的に投与される免疫調節化合物と任意の追加の活性薬剤の量に依存するであろう。
【0181】
5.4.1 経口剤形
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、個別の剤形として、例えば、限定されるものではないが、錠剤(例えば、噛むことのできる錠剤)、キャプレット剤、カプセル剤、および液剤(例えば、香味シロップ剤)として、提示することができる。そのような剤形は、所定量の活性薬剤を含有しており、当業者に周知の製剤学的方法により調製可能である。概要については、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0182】
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って活性成分を少なくとも1種の賦形剤と均質混合状態に組み合わせることにより調製される。賦形剤は、投与に望まれる製剤の形に応じて多種多様な形態をとることができる。例えば、経口液体またはエーロゾル剤形で使用するのに好適な賦形剤としては、水、グリコール類、油類、アルコール類、香味剤、保存剤、および着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固形経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびキャプレット剤)で使用するのに好適な賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口単位剤形を代表するものであり、この場合には、固体賦形剤が利用される。所望であれば、標準的な水系方式または非水系方式により錠剤にコーティングを施すことができる。そのような剤形は、任意の製剤学的方法により調製することができる。一般的には、医薬組成物および剤形は、活性成分を、液状担体、微細な固形担体、またはその両方と均質かつ均一に混合してから、必要ならば、その混合物を所望の提供形態に成形することにより、調製される。
【0184】
例えば、錠剤は、圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような自由流動性形態の活性成分を、場合により賦形剤と混合してから、好適な機械で圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することにより製造することができる。
【0185】
本発明の経口剤形で使用することのできる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物および剤形で使用するのに好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸化合物、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、No.2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
微結晶性セルロースの好適な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)として販売されている材料、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されいる微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースとの混合物である。好適な無水または低水分の賦形剤または添加剤としては、AVICEL-PH-103TMおよびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0187】
本明細書中に開示されている医薬組成物および剤形で使用するのに好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート類、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物中の結合剤または充填剤は、典型的には、医薬組成物または剤形の約50〜約99重量パーセントの量で存在する。
【0188】
崩壊剤は、水性環境に暴露したときに崩壊する錠剤を提供すべく、本発明の組成物で使用される。崩壊剤の含有量が多すぎる錠剤は、貯蔵時に崩壊する可能性があり、一方、含有量が少なすぎる錠剤は、所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない可能性がある。したがって、多すぎたり少なすぎたりして悪影響がでるほど活性成分の放出を改変することのない十分量の崩壊剤を用いて、本発明の固形経口剤形を形成しなければならない。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプによって変化し、当業者であれば、容易に確定しうる。典型的な医薬組成物には、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量%の崩壊剤が含まれる。
【0189】
本発明の医薬組成物および剤形で使用することのできる崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、他のデンプン類、アルファ化デンプン、他のデンプン類、クレー類、他のアルギン類、他のセルロース類、ガム類、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
本発明の医薬組成物および剤形で使用することのできる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール類、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。追加の滑沢剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル(W.R. Grace Co., Baltimore, MDにより製造されているAEROSIL200)、合成シリカの凝結エーロゾル(Degussa Co., Plano, TXから販売されている)、CAB-O-SIL(Cabot Co., Boston, MAから販売されいる高熱反応二酸化ケイ素生成物)、およびそれらの混合物が挙げられる。かりに使用するのであれば、滑沢剤は、典型的には、それが組み込まれる医薬組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0191】
本発明の好ましい固形経口剤形には、免疫調節化合物、無水乳糖、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、およびゼラチンが含まれる。
【0192】
5.4.2 遅延放出剤形
本発明の活性薬剤は、当業者に周知である制御放出手段または送達器具により投与することができる。例としては、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;ならびに同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、および同第5,733,566号(いずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いれば、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組合せを使用して、1種以上の活性成分の徐放または制御放出を行うことにより、さまざまな割合で所望の放出プロファイルを得ることができる。本明細書に記載のものを含めて当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本発明の活性成分と共に使用すべく容易に選択することができる。したがって、本発明は、経口投与に適する1つの単位剤形、例えば、限定するものではないが、制御放出に適合させた錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、およびキャプレット剤を包含する。
【0193】
すべての制御放出医薬品は、それらの対応する非制御医薬品により達成されるよりもさらに薬物療法を改善するという共通の目標を有する。理想的には、医学的処置における最適にデザインされた制御放出製剤の使用は、最小限の薬物を利用して最小限の時間で症状の治癒またはコントロールを行うことにより特徴づけられる。制御放出製剤の利点としては、薬物活性の長期持続、投与回数の減少、および患者のコンプライアンスの向上が挙げられる。このほか、制御放出製剤を用いれば、作用の開始時間または薬剤の血中レベルのような他の特性に影響を及ぼすことができるので、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0194】
ほとんどの制御放出製剤では、速やかに所望の治療効果を生じる量の薬物(活性成分)を最初に放出させ、このレベルの治療効果または予防効果を長期間にわたり保持する他の薬物量を徐々にかつ連続的に放出させるように、デザインされる。この一定レベルの薬物を生体内で保持するために、代謝されて生体から排泄される薬物の量を補充する速度で薬物を剤形から放出させなければならない。活性成分の制御放出は、種々の条件により、例えば、限定するものではないが、pH、温度、酵素、水、または他の生理的条件もしくは化合物により刺激することができる。
【0195】
5.4.3 非経口剤形
非経口剤形は、患者に対して、種々の経路により、例えば、限定するものではないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内に、投与することができる。典型的には、それらの投与は混入汚染物に対する患者の自然防御を迂回するので、非経口剤形は、好ましくは、無菌であるかまたは患者に投与する前に滅菌され得るものである。非経口剤形の例としては、そのまま注射できる状態にある溶液剤、注射に供すべく製薬上許容される媒体に溶解もしくは懸濁させることができる状態にある乾燥製品、そのまま注射できる状態にある懸濁液剤、および乳濁液剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することのできる好適な媒体は、当業者に周知である。例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:注射用水USP;水性媒体、例えば、限定するものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、ならびに乳酸加リンゲル注射液;水混和性媒体、例えば、限定するものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性媒体、例えば、限定するものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジル。
【0197】
本明細書中に開示されている1種以上の活性成分の溶解性を増大させる化合物もまた、本発明の非経口剤形中に組み込むことができる。例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体を用いて、免疫調節化合物およびその誘導体の溶解性を増大させることができる。例えば、米国特許第5,134,127号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0198】
5.4.4 局所および経粘膜剤形
本発明の局所および経粘膜剤形としては、スプレー剤、エーロゾル剤、溶液剤、乳濁液剤、懸濁液剤、または当業者に公知の他の剤形が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版および第18版, Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 第4版, Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織の治療に好適な剤形は、洗口剤または経口ゲル剤として製剤化することができる。
【0199】
本発明に包含される局所および経粘膜剤形を提供するために使用することのできる好適な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は、製薬分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物または剤形が適用される特定の組織に依存する。その事実をふまえて、典型的な賦形剤としては、無毒でかつ製薬上許容される、溶液剤、乳濁液剤、またはゲル剤を形成するための水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。保湿剤または湿潤剤もまた、所望であれば、医薬組成物および剤形に添加することができる。そのような追加の成分の例は、当技術分野で周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版および第18版, Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)を参照されたい。
【0200】
医薬組成物または剤形のpHを調整することにより、1種以上の活性成分の送達を改善することも可能である。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または等張性を調整することにより、送達を改善することもできる。ステアレートのような化合物を医薬組成物または剤形に添加して1種以上の活性成分の親水性または親油性を改変することにより、送達を改善することも有利である。これに関連して、ステアレートは、製剤用の脂質媒体として、乳化剤または界面活性剤として、および送達促進剤または浸透促進剤として、役立ちうる。活性成分のさまざまな塩、水和物、または溶媒和物を用いることにより、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0201】
5.4.5 キット
典型的には、本発明の活性成分は、同時にまたは同一の投与経路で患者に投与しないことが好ましい。したがって、本発明は、医師が使用したときに、患者への適正量の活性成分の投与を単純化できるキットを包含する。
【0202】
本発明の典型的なキットは、免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ、もしくはクラスレートの剤形を備える。本発明に包含されるキットは、追加の活性成分をさらに含むことができる。追加の活性成分の例としては、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、トポテカン、ダカルバジン、イリノテカン、タキソテール、IFN、COX-2阻害剤、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、IL2、IL8、IL18、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13 シス-レチノイン酸、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せが挙げられる。追加の活性成分の例には、本明細書中に開示されている成分が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、セクション5.2を参照されたい)。
【0203】
本発明のキットは、活性成分を投与するために使用される器具をさらに備えることができる。そのような器具の例としては、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、および吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
本発明のキットは、1種以上の活性成分を投与するために使用することのできる製薬上許容される媒体をさらに含むことができる。例えば、活性成分が非経口投与に供すべく用時調製しなければならない固体形態で提供される場合、キットは、非経口投与に好適である微粒子フリーの無菌溶液を形成すべく活性成分を溶解させることのできる好適な媒体の入った密閉容器を備えることができる。製薬上許容される媒体の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:注射用水USP;水性媒体、例えば、限定するものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、ならびに乳酸加リンゲル注射液;水混和性媒体、例えば、限定するものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性媒体、例えば、限定するものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジル。
【実施例】
【0205】
6. 実施例
以下の実施例により本発明の特定の実施形態について具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0206】
6.1 サイトカイン産生のモジュレーション
ヒト被験者における本発明の免疫調節化合物の臨床評価を裏づけるために、一連の非臨床薬理試験および毒性試験を行った。これらの試験は、特に断らない限り、国際的に承認された試験計画ガイドラインに従って、かつGood Laboratory Practice(GLP)の要求基準を満たすように行われた。
【0207】
ヒトPBMCおよびヒト全血のLPS刺激後のTNF-α産生の、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)、およびサリドマイドによる阻害をin vitroで検討した(Mullerら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:1625-1639, 1999)。PBMCおよびヒト全血のLPS刺激後のTNF-α産生を阻害するための4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのIC50は、それぞれ約24nM (6.55ng/mL)および約25nM (6.83ng/mL)であった。in vitro研究は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンの薬理活性プロファイルがサリドマイドと類似しているが、サリドマイドより少なくとも200倍強力であることを示唆している。in vitro研究はまた、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンの2.73〜27.3ng/mL(0.01〜0.1μM)の濃度がMM.ISおよびHs Sultan細胞の増殖を50%阻害したことを実証している。
【0208】
PBMCおよびヒト全血のLPS刺激後のTNF-α産生を阻害するための3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンのIC50は、それぞれ約100nM (25.9ng/mL)および約480nM (103.6ng/mL)であった。これに対して、サリドマイドは、PBMCのLPS刺激後のTNF-α産生を阻害するためのIC50が約194μM (50.2μg/mL)であった。in vitro研究は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの薬理活性プロファイルがサリドマイドと類似しているが、サリドマイドより50〜2,000倍強力であることを示唆している。この化合物は、T細胞受容体(TCR)活性化による一次誘発後にT細胞の増殖を刺激するのに、サリドマイドより約50〜100倍強力であることが示されている。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンはまた、PBMC(IL-2)またはT細胞(IFN-γ)のTCR活性化後にIL-2およびIFN-γ産生を増強するのに、サリドマイドより約50〜100倍強力である。その上、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、PBMCによる前炎症性サイトカインTNF-α、IL-1β、およびIL-6のLPS刺激産生の用量依存的抑制を示したが、それは抗炎症性サイトカインIL-10の産生を増加させた。
【0209】
6.2 MM細胞増殖の阻害
多発性骨髄腫(MM)細胞株の増殖に及ぼす3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)およびサリドマイドの能力を比較するために、in vitro試験を行なった。さまざまなMM細胞株(MM.1S、Hs Sultan、U266、およびRPMI-8226)による[3H]-チミジン取込みを細胞増殖の指標として測定した。化合物の存在下で細胞を48時間インキュベートした。インキュベーション時間の最後の8時間で[3H]-チミジンを加えた。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンをMM.1SおよびHs Sultan細胞に添加すると、それぞれ0.4μMおよび1μMの濃度で細胞増殖の50%阻害が生じた。これに対して、100μMまでの濃度でサリドマイドを添加しても、MM.1SおよびHs Sultan細胞の増殖はそれぞれ15%および20%の阻害にとどまった。これらのデータを図1にまとめて示す。
【0210】
6.3 毒性試験
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)が心血管機能および呼吸機能に及ぼす影響を、麻酔したイヌで検討した。2群のビーグル犬(2匹/性別/群)を使用した。一方の群にはビヒクルのみを3回投与し、他方の群には次第に増加する用量(2、10および20mg/kg)の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを3回投与した。全ての場合に、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、またはビヒクルの用量は、頸静脈から注入することにより、少なくとも30分の間隔をおいて連続的に投与した。
【0211】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンにより誘発される心血管および呼吸の変化は、ビヒクル対照群と比較したとき、全ての用量で最小であった。ビヒクル群と処置群との間で統計的有意差を生じるのは、低用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを投与した後で動脈血圧がすこし上昇することだけであった(94mmHgから101mmHgに上昇)。この影響は約15分間持続したが、それより高い用量では認められなかった。大腿血流、呼吸パラメーター、およびQtc間隔の偏差は、対照群と処置群の両方に共通しており、処置に関連ありとは見なされなかった。
【0212】
6.4 患者におけるサイクル療法
特定の実施形態では、本発明の免疫調節化合物を周期的に癌患者に投与する。サイクル療法では、ある期間にわたり第1の薬剤の投与を行った後である期間にわたり休止期間を設け、この逐次的投与を繰り返す。サイクル療法を行うことにより、1つ以上の療法に対する耐性の発生を軽減したり、1つの療法の副作用を回避もしくは軽減したり、および/または治療の効力を向上させたりすることができる。
【0213】
特定の実施形態では、予防薬または治療薬を、約4〜6週のサイクルで1日約1回または2回投与する。1サイクルは、3〜4週間にわたる治療薬または予防薬の投与ならびに少なくとも1週間または2週間の休止期間を含みうる。投与サイクル数は、約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、より典型的には約4〜約8サイクルである。
【0214】
例えば、4週サイクルで、1日目に、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与から開始する。22日目に、化合物の投与を停止し、1週間の休止期間を設ける。29日目に、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与を開始する。
【0215】
6.5 患者における臨床試験
6.5.1 再発した多発性骨髄腫の治療
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を再発/不応性の多発性骨髄腫の患者に投与した。この試験はGood Clinical Practicesの要求基準を満たすように行った。患者は18才以上で、多発性骨髄腫であると診断されており(血清および/または尿中のパラプロテインによる)、少なくとも2サイクルの治療後に治療に不応性とみなされたか、または2サイクルの治療後に再発した患者である。
【0216】
Southwest Oncology Group (SWOG)の基準に従って、以前の治療計画で進行性の疾患を有する患者は治療に不応性とみなされた。寛解後の再発は、基底レベルからのM成分の>25%増加、以前に消失したMパラプロテインの再出現、またはX線写真で認められる溶解性骨障害のサイズおよび数の明確な増加として定義される。患者は、サリドマイドによる治療に耐えることができたという条件で、そのような治療を以前に受けていてもよい。すべての患者に0〜2のツーブロート全身状態(Zubrod performance status)が要求される。
【0217】
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを患者に1、2、5、または10mg/日の用量で最大4週間投与する。それぞれの用量レベルで、最初に3人の患者を登録する。投薬は毎朝ほぼ同時刻に行い、すべて絶食状態(投与の少なくとも2時間前および2時間後は食事をしない)で投与する。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンの用量は漸増的に投与し、第1グループの患者に最低量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(1mg/日)を投与し、その用量での安全性および耐薬性が確立された後だけ、次のより高い用量レベルへと増量する。どの用量レベルでも、3人の患者のうち1人に用量制限毒性(dose limiting toxicity:DLT)が認められたら、その用量にさらに3人の患者を追加する。追加した3人の患者のいずれにもDLTが認められない場合は、次の用量レベルに増量する。同様にして、MTDが確立されるかまたは最大1日量(10mg/日)に達するまで増量を続ける。しかし、追加した3人の患者のうち1人にDLTが認められる場合は、MTDに達している。追加した3人の患者のうち2人以上にDLTが認められる場合は、そのMDTは超過したと判定され、それ以前の用量レベルにさらに3人の患者を追加してMTDを確認する。MTDが確認されたら、その用量レベルにさらに4人の患者を追加して、合計10人の患者をそのMTDで治療するようにする。
【0218】
薬物動態パラメーターの解析のための血液サンプルを次のサンプリング計画に従って1日目と28日目に採取する:投与前、投与の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、10、12、18および24時間後。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのレベルを測定するために、各週の通院時に追加の血液サンプルを集める。また、全尿の採集も行い、投与後の次の時間間隔に従って尿をプールする:0〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間。安全性の評価は、有害事象、生命徴候、ECG、臨床実験室評価 (血液化学、血液学、リンパ球の表現型解析、および尿検査)、ならびに試験中の特定の時期での身体検査をモニタリングすることにより行なう。
【0219】
多発性骨髄腫患者への4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンの1回および複数回投与後に得られた中間薬物動態解析の結果を以下の表1および2に示す。これらのデータは、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンが再発多発性骨髄腫患者において全ての用量レベルで絶えず吸収されたことを示している。最大血漿濃度は、1日目には投与後2.5〜2.8時間の中間Tmaxで生じ、4週目には投与後3〜4時間で生じた。すべての用量において、血漿濃度はCmaxに達した後単相的に低下した。排出相の開始は1日目および4週目にそれぞれ投与後3〜10時間の間に起こった。
【0220】
これらのデータはまた、4週間の投与後、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンがわずかな程度に蓄積することを示した(CmaxおよびAUC(0-γ)について、それぞれ約1.02〜1.52および約0.94〜1.62の平均蓄積比)。用量を増加するにつれてAUC(0-γ)およびCmaxのほぼ用量比例増加が見られた。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ-(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンの用量を5倍に増量すると、1日目および4週目にCmaxがそれぞれ3.2倍および2.2倍増加した。同様に、用量を5倍に増量すると、1日目および4週目にAUC(0-γ)がそれぞれ3.6倍および2.3倍増加した。
【表1】

【0221】
【表2】

【0222】
6.5.2 再発多発性骨髄腫の治療
不応性のまたは再発した多発性骨髄腫の患者において最大耐用量(MTD)を確認するために、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)の2つのフェーズI臨床試験を行なった。これらの試験はまた、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの漸増量を最大4週間経口投与したときの、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの安全性プロファイルを特徴づけた。患者は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療を5mg/日で開始し、その後10、25、および50mg/日に増量した。患者は指定された用量で28日間治療に加わったが、病状の進行を示さなかったり、または用量制限毒性(DLT)を認めなかった患者では任意で治療を延長した。患者の通院時に有害事象について評価を行なったが、こうした事象の重症度は米国国立癌研究所(NCI)の共通毒性規準(Common Toxicity Criteria)に従って等級付けした。患者にDLT(グレード3以上の非血液学的毒性、またはグレード4の血液学的毒性)が認められる場合には、彼らを採用しなかった。
【0223】
この試験には、27人の患者が登録された。全ての患者が多発性骨髄腫を再発しており、18人(72%)が救助療法に不応性であった。これらの患者のうち、15人は自己由来幹細胞移植を以前に行なっており、16人の患者はサリドマイド治療を以前に受けていた。以前の治療計画の平均日数は3日(2〜6日の範囲)であった。
【0224】
薬物動態パラメーターの解析のために血液および尿のサンプルを1日目と28日目に採取した。血液サンプルは次のサンプリング計画に従って採取した:投与前、投与の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、10、12、18および24時間後。さらに、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを測定するために、各週の通院時に血液サンプルを集めた。全尿を、次の投与後の時間間隔に従って採取し、プールした:0〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間。治療に対する応答は、血清および24時間採尿からのMタンパク質の定量(免疫電気泳動による)により評価した。その際、クレアチニンクリアランスおよび24時間タンパク質の計算は、スクリーニング時、ベースライン、2および4週目、その後は月1回(または早期の終了時に)行った。また、患者のパラプロテイン血清濃度または24時間尿タンパク質排出が、最良の応答基準に基づいて、最も近い低レベルに減少した場合は、骨髄吸引および/または組織生検を3、6および12ヶ月目に行なう。28日の治療期間の予備的結果を以下に示す。
【0225】
これら2つの試験に基づいた予備的薬物動態解析により、AUCおよびCmaxの値は、健康なボランティアに見られるように、多発性骨髄腫患者においても1回および複数回の投与後に用量に比例して増加することが示された。さらに、1回量AUC(0-∞)は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの同一用量に従う複数回量のAUC(0-∞)に匹敵していたので、複数回投与による蓄積の証拠はなかった。健康なボランティアの試験と同様に、二重のピークが観察された。多発性骨髄腫患者における曝露は、健康な男性ボランティアと比べたとき、CmaxおよびAUC値に基づいてわずかに高いように思われたが、一方、多発性骨髄腫患者におけるクリアランスは健康なボランティアの場合より低く、彼らの腎機能が低いことと一致した(両方とも彼らの年齢および疾患の結果として)。最後に、患者における3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの半減期は健康なボランティアの場合より短かった(平均8時間、最大17時間)。
【0226】
この試験では、第1グループの3人の患者を5mg/日で28日間、いかなる用量制限毒性(DLT)も示すことなく、治療した。その後、第2グループの3人の患者は10mg/日で治療を開始した。10mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを投与された第2グループの患者は治療に十分に耐えた。
【0227】
6.5.3 固形腫瘍の治療
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を用いた試験を、さまざまなタイプの固形腫瘍、例えば、悪性黒色腫(13)、膵臓癌(2)、カルチノイド-不明の原発性(1)、腎臓癌(1)、乳癌(1)、およびNSCLC(2)の患者で実施した。患者には5mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを7日間投与し、その後7日ごとに10mg/日、25mg/日、および50mg/日に増量して合計4週間治療した。臨床的な恩恵を受けた患者は、指名患者として治療を継続することを許された。
【0228】
この試験には当初、20人の患者が登録されたが、その後さらに16人の患者(副腎の癌、NSCLC、悪性中皮腫、乳癌、悪性黒色腫(8)、腎細胞癌(4))がより高い用量で加わった。加わった16人の患者には、週ごとに25mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、125mg/日、および150mg/日に増量して、6週間にわたり投与し、治療をさらに6週間続けた。
【0229】
フェーズI試験は、不応性の固形腫瘍および/またはリンパ腫の患者において3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの最大耐用量(MTD)を決定するとともに、この患者集団における3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの薬物動態および副作用プロファイルを特徴づけるために、設計された。この試験の設計では、少なくとも3人の患者がある用量レベルで登録されて、28日間の治療を完了してから、次のより高い用量レベルで登録される必要がある。第1グループの患者は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの5mg/日での投薬を開始した。毒性が認められなければ、10、20、25、および30mg/日に増量する。
【0230】
この試験において、MTDは、治療した6人の患者のうち2人未満がグレード3以上の非血液学的毒性またはグレード4以上の血液学的毒性を示さなかった最大用量レベルとして定義される。いずれかの試験の所定の用量レベルで、3人の患者のうち1人に毒性が認められる場合は、さらに3人の患者をその特定の用量で治療しなければならない。しかし、6人の患者のうち2人にDLTが認められる場合は、そのMTDは超過したと判定される。それ以上の増量は行なうべきでなく、追加の患者を前の用量レベルで登録することとなる。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与量は、MTDが達成されるかまたは最大1日量に達するまで増量する。
【0231】
この試験に加わった初期グループの20人の患者にはDLTが報告されなかった。もとの20人の試験患者のうち13人は、2人の非試験患者とともに、指名患者として150mg/日までの用量で治療を継続した。
【0232】
6.5.4 神経膠腫の治療
この試験は、再発性の悪性神経膠腫の患者において毒性を調べるために行なった。この試験を設計するにあたり、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの用量を、最大耐用量(MTD)が確立されるまで次第に増加させて患者に投与するようにした。また、この試験は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンに関する予備的毒性情報および薬物動態データを取得するとともに、機能的なニューロイメージング研究および血清血管新生ペプチドのin vitroアッセイを用いてin vivoで新血管形成活性の代替エンドポイント(surrogate end points)に関する予備的データを開発しようとするものである。
【0233】
第1のグループに加わった患者は2.5mg/m2/日を4週間(1サイクル)受け取る。各サイクルの4週間の治療中、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを1日1回、3週間投与して、1週間の休止期間を設ける。1サイクルの治療を完了した患者は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる別のサイクルの治療を受けることができる。ただし、2つの基準を満たす必要がある。第一に、患者は病状が安定しているかまたは部分的な応答もしくは完全な応答が認められる必要があり、あるいは患者は神経学的障害などの腫瘍関連症状の軽減により証明されるような3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療法から恩恵を得ている必要がある。第二に、患者は、その前のサイクルで生じた3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンに関連した毒性から42日目(28日サイクル+回復するための2週間の期限)までに、グレード≦1の毒性レベルに戻ることで証明されるように、回復していなければならない。その前のサイクルでDLTが認められる患者はその用量を変更してもらうべきである。DLTは、この試験での薬物投与に関係していると考えられるグレード≧3毒性の非血液学的事象またはグレード4毒性の血液学的事象として定義される。最初のサイクルでDLTが認められて、治療にまったく応答しない患者は、この試験から除かれる。
【0234】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの用量は、その後、5、8、11、15、および20mg/m2/日に増量し、最大合計1日量を40mgとする。患者には、用量レベルあたり4週サイクルで、試験中止の基準のひとつが当てはまるまで、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与を継続する。
【0235】
各グループには3人の患者が登録される。少なくとも1つのDLTが認められたら、その特定の用量レベルでそのグループに、さらに3人の患者を加える。2つのDLTが生じる場合は、MTD(各用量レベルで患者の3/1未満にDLTが認められる用量として定義される)が超過しており、さらに4人の患者をその前の用量で治療する。
【0236】
最初の4週サイクルの間にDLTが認められる患者は、彼らが治療に応答している場合を除いて、この試験から除外する。最初の4週サイクルをDLTなしに完了したが、その後グレード3または4の血液学的および/または非血液学的毒性が認められる患者については、最低1週間は治療を中断する。毒性が3週間以内にグレード2より低く下がった場合は、毒性をもたらした用量より低い2つの用量レベル(あるいは、患者を第1または第2の用量レベルで治療した場合は、50%減量)で患者を治療する。グレード3または4の毒性が3週間以内にグレード1より低く下がらない患者、または低下させた用量で別のグレード3毒性が生じた患者は、この試験から除外する。
【0237】
薬物動態解析用のサンプリングは、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの最初の投与(1日目)に先立って行い、次いでその0.5、1、2、4、6、8、24、および48時間後に行う。サンプリングはまた、7日目と21日目に投与前、21日目には投与の0.5、1、2、4、6、8、および24時間後にも行って、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの定常状態レベルを評価する。
【0238】
6.5.5 悪性黒色腫の治療
悪性黒色腫の患者には、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を5mg/日で7日間投与した。その後、この用量を7日ごとに10mg/日、25mg/日、および50mg/日にそれぞれ増量し、合計4週間にわたり治療を行った。この計画に沿って治療した13人の黒色腫患者のうち5人は、最初の4週間の治療で病状の安定化または部分的な応答を示した。腫瘍応答は、皮膚および皮下の病変(5人の患者)、リンパ節(2人の患者)、および肝臓(1人の患者)において見られた。応答の持続期間はおよそ6ヶ月であった。これらの結果は、この化合物が有望で新しい抗癌剤であり、抗血管新生作用と免疫調節作用の両方を備えていることを示唆している。
【0239】
6.5.6 再発したまたは不応性の多発性骨髄腫の治療
再発したおよび不応性のDune-SalmonステージIII多発性骨髄腫の患者(少なくとも3つの以前の治療計画に失敗したかまたは全身状態の不良、好中球減少、もしくは血小板減少を呈したかのいずれかである)に対して、4〜6週ごとにメルファラン(50mg、静脈内)、本発明の免疫調節化合物(約1〜150mg、経口、毎日)、およびデキサメタゾン(40mg/日、経口、1〜4日目)を併用して最大4サイクルで治療を施した。本発明の免疫調節化合物を毎日投与し、かつデキサメタゾンを毎月投与することよりなる維持療法を、疾患進行の間、継続させた。メルファランおよびデキサメタゾンと組み合わせて本発明の免疫調節化合物を使用する治療法は、非常に活性が高く、一般的には、重度の前治療を施された多発性骨髄腫患者(さもなくば予後不良である)で許容されるものであった。
【0240】
以上に記載した本発明の実施形態は、単に例示することを意図するものにすぎず、当業者であれば、せいぜいルーチンな実験を行う程度で、特定の化合物、材料、および手順の多くの等価物を認識したり、確認したりすることができるであろう。そのような等価物はすべて、本発明の範囲内にあるとみなされ、添付の特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】in vitro研究において多発性骨髄腫(MM)細胞株の増殖を抑制することに関するRevimidTMとサリドマイドの効果の比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の癌を治療、管理、または予防する方法であって、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
特定の癌を治療、管理、または予防する方法であって、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与し、かつ治療上または予防上有効な量の第2の活性成分、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、または免疫療法を施すことを含む、上記方法。
【請求項3】
望ましくない血管新生を伴う疾患を治療、管理、または予防する方法であって、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、上記方法。
【請求項4】
望ましくない血管新生を伴う疾患を治療、管理、または予防する方法であって、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体と、治療上または予防上有効な量の第2の活性成分とを投与することを含む、上記方法。
【請求項5】
前記癌が、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性繊維形成異常症、ホルモン不応性前立腺癌、切除ハイリスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、または平滑筋腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、局所進行膀胱癌、転移性移行上皮性膀胱癌、再発脳腫瘍、進行性脳腫瘍、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、転移性乳癌、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、限局性黒色腫、悪性中皮腫、第IIIB期非小細胞肺癌、悪性胸水中皮腫症候群、多発性骨髄腫、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性繊維形成異常症、ホルモン不応性前立腺癌、切除ハイリスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、または平滑筋腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患または障害が、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後繊維増殖症、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン症、酒さ性座瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染症、帯状疱疹感染症、原虫性感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンス・ジョンソン疾患、ペリフィゴイド(periphigoid)放射状角膜切開、鎌状赤血球貧血、類肉腫、弾性繊維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、硬化性胆管炎、ルベオーシス、内毒素血症、トキシックショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘発性線維症、アスベスト誘発性線維症、獣医学的障害、悪性疾患関連高カルシウム血症、発作、循環性ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、または5q-症候群である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の活性成分が、造血増殖因子、サイトカイン、抗癌剤、抗生物質、cox-2阻害剤、免疫機能改善薬、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せである、請求項2または4に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の活性成分が、オブリマーセン、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、タキソテール、イリノテカン、COX-2阻害剤、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、IL2、IFN、ダカルバジン、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫調節化合物が4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫調節化合物が3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節化合物が、式(I):
【化1】

[式中、XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCH2であり、R2は水素または低級アルキルである]
で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫調節化合物が、式(II):
【化2】

[式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH2またはC=Oであり、
Rlは、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'または(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり、
R2は、H、F、ベンジル、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、または(C2-C8)アルキニルであり、
R3およびR3'は、独立して、(Cl-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5、またはC(O)OR5であり、
R4は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、または(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリールであり、
R5は、(Cl-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、または(C2-C5)ヘテロアリールであり、
R6は、それぞれの場合に独立して、H、(Cl-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2-C5)ヘテロアリール、または(C0-C8)アルキル-C(O)OR5であるか、複数のR6は一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、
nは、0または1であり、
*は、キラル炭素中心を表す]
で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
特定の癌を治療、予防、または管理する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、該患者における特定の癌の症状の緩和、軽減、または回避を目的とした手術の前、その間、またはその後に、投与することを含む、上記方法。
【請求項19】
特定の癌に罹患している患者において第2の活性成分の投与に伴う有害作用を軽減または回避する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、上記方法。
【請求項20】
特定の癌に罹患している患者において、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、または免疫療法に伴う有害作用を軽減または回避する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、上記方法。
【請求項21】
従来の療法に不応性である特定の癌を治療、予防、または管理する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、上記方法。
【請求項22】
従来の療法に不応性である特定の癌を治療、予防、または管理する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体と、治療上または予防上有効な量の第2の活性成分とを投与することを含む、上記方法。
【請求項23】
特定の癌を治療、予防、または管理する方法であって、その必要のある患者に、治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与し、かつ該患者に臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞の調製物、または骨髄を移植することを含む、上記方法。
【請求項24】
前記患者に臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞の調製物、または骨髄を移植する前、その間、またはその後に、前記免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記免疫調節化合物を1日あたり約0.1mg〜約150mgの量で投与する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の活性成分、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、または免疫療法を解こう前、その間、またはその後に、前記免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体と、第2の活性成分とを含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記第2の活性成分が、造血増殖因子、サイトカイン、抗癌剤、抗生物質、cox-2阻害剤、免疫機能改善薬、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記第2の活性成分が、オブリマーセン、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、cox-2阻害剤、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、タキソテール、イリノテカン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、IL2、IFN、ダカルバジン、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、あるいはそれらの薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む医薬組成物と、
造血増殖因子、サイトカイン、抗癌剤、抗生物質、cox-2阻害剤、免疫機能改善薬、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せを含む医薬組成物と、
を備える、キット。
【請求項31】
免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む医薬組成物と、
オブリマーセン、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、cox-2阻害剤、トポテカン、ペントキシフィリン、タキソテール、イリノテカン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、IL2、IFN、ダカルバジン、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せを含む医薬組成物と、
を備える、キット。
【請求項32】
免疫調節化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む医薬組成物と、
臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞の調製物、または骨髄と、
を備える、キット。

【図1】
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【公表番号】特表2006−514689(P2006−514689A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507108(P2005−507108)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/035544
【国際公開番号】WO2004/043377
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】