説明

癌療法で用いる修飾されたサイトカイン

腫瘍血管および抗原提示細胞にホーミングすることができるサイトカイン誘導体および抗腫瘍剤としてのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の治療で用いられる修飾されたサイトカインに関する。さらに詳しくは、本発明は腫瘍血管および抗原提示細胞に「ホーミングする」ことができるサイトカイン誘導体に関する。また、本発明は、修飾されたサイトカインを含む相乗的組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかのサイトカインの抗腫瘍活性は周知であり、記載されている。既にヒトにおいても治療的に用いられているサイトカインもある(29)。例えば、インターロイキン−2(IL−2)およびインターフェロンα(IFNα)のようなサイトカインは、腎臓転移性癌腫、毛様細胞白血病、カポシ肉腫、メラノーマ、多発性ミエローマ等のような異なるタイプの腫瘍を有する患者においてポジティブな抗腫瘍活性を示してきた。IFNβ、腫瘍壊死因子(TNF)α、TNFβ、IL−1、4、6、12、15およびコロニー刺激因子(CFS)のような他のサイトカインは、幾つかのタイプの腫瘍に対してある種の抗腫瘍活性を示しており、したがって、さらなる研究の目的である。
【0003】
一般に、サイトカインの治療的使用はその全身毒性によって強く制限されている。例えば、TNFは、元来、幾つかの腫瘍の出血性壊死を誘導するその能力につき(1)、および異なる腫瘍系に対するそのインビトロ細胞傷害性効果につき(2)発見されたが、それは、引き続いて、強い炎症誘発性活性を有することが判明し、これは、過剰生産条件の場合には、ヒト身体に危険なほど影響を及ぼす可能性がある(3)。
【0004】
全身毒性はヒトにおける薬理学上活性量のサイトカインの使用に伴う基本的な問題であるので、新規な誘導体および治療的戦略は、その治療効果を維持しつつこのクラスの生物学的エフェクターの毒性効果を低下させることを目指して、現在評価中である。
【0005】
幾つかの新規なアプローチは以下のものを対象とする。
a)TNFを腫瘍に送達し、局所濃度を増加させることができる融合タンパク質の開発。例えば、TNFおよび腫瘍特異的抗体からなる融合タンパク質が製造されている(4)。
b)抗腫瘍活性を維持し、低下した全身毒性を有するTNF突然変異体の開発。したがって、ただ一つの受容体(p55またはp75)を選択的に認識することができる突然変異体が既に調製されている(5)。
c)その抗腫瘍活性を損なうことなくTNFの幾つかの毒性効果を低下させることができる抗−TNF抗体の使用。そのような抗体は既に文献で記載されている(30)。
d)より長い半減期を有するTNF誘導体の使用(例えば、ポリエチレングリコールとコンジュゲートしたTNF)。
【0006】
腫瘍部位を選択的に標的化することができるTNF誘導体の調製が最近報告されている。例えば、抗−トランスフェリン受容体mAbの重鎖の遺伝子およびTNF遺伝子を融合することによって得られる融合タンパク質(4)、または腫瘍関連TAG72抗原に対するモノクローナル抗体の「ヒンジ」領域とTNFとの融合タンパク質、またはFv−TNF融合タンパク質(6)が記載されている。
【0007】
EP 251 494は、アビジンまたはストレプトアビジンとコンジュゲートした抗体、前記コンジュゲートした抗体およびビオチンでコンジュゲートされた診断または治療剤からなる化合物を複合体化できる剤を含む診断または治療剤を投与するシステムを開示しており、順次に投与され、適切に遅延されて抗体によって認識される標的細胞に対するビオチン−ストレプトアビジン相互作用を介する治療または診断剤の局所化を可能とする。記載された治療または診断剤は金属キレート、特に、放射性核種のキレート、およびシスプラチン、ドキソルビシンのような低分子量抗腫瘍剤を含む。
【0008】
EP 496 074はビオチン化抗体、アビジンまたはストレプトアビジンおよびビオチン化診断または治療剤の順次の投与を提供する方法を開示している。リシンのような細胞傷害剤は一般に記載されているが、放射性標識化合物に対する適用がほとんど開示されている。
【0009】
WO 95/15979は、リガンドまたは抗リガンドとコンジュゲートした特異的標的分子を含む第一のコンジュゲートの投与、引き続いての、抗リガンドに、またはリガンドに結合した毒性剤からなる第二のコンジュゲートの投与に基づく、細胞標的に対して強い毒性剤を局所化させる方法を開示する。
【0010】
WO 98/10795は、アミノ酸配列NGRを含有するペプチドを含む腫瘍に住みつく分子を開示する。サイトカインを腫瘍に対して標的化するためのペプチドの使用は記載されていない。
【0011】
WO 99/13329は、分子とNGR受容体のリガンドとのコンジュゲーションに基づく、分子を腫瘍脈管形成血管に標的化する方法を開示する。多数の分子が可能な候補として提案されているが、ドキソルビシンのみが具体的に記載されている。免疫応答を誘導するためのサイトカイン溶剤としてのNGR受容体のリガンドの使用は開示されていない。
【0012】
WO 01/61017は、TNFまたはIFNγから選択されるサイトカインとCD13受容体のリガンドとの間のコンジュゲーション産物を開示する。
【0013】
今回、驚くべきことに、CD13受容体のリガンドとカップリングしたTNFおよびIFNγは、個々に、有効用量未満である用量での共投与に際して効果的な抗腫瘍活性が見られるように相乗的に作用することが判明した。加えて、我々は、修飾されたTNF、およびドキソルビシンなどのもう一つの抗腫瘍剤の組合せの抗腫瘍活性が、IFNγの投与によって増加されることを見出した。
【発明の開示】
【0014】
本発明の態様によると、有効量のTNFおよびCD13受容体のリガンドのコンジュゲーション産物、および有効量のIFNγを含む医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の種々の好ましい特徴および実施形態が、今回、非限定的例によって記載される。
【0016】
CD13受容体の前記リガンドは抗体またはFab、Fv、一本鎖Fvなどのその断片、ペプチドまたはペプチド類似体、すなわち、任意で、修飾された非天然のアミノ酸を含有する、CD13受容体に結合できるペプチド様分子であり得る。
【0017】
CD13は種々の種で高度に保存された150kDaの膜貫通糖タンパク質である。それは、正常な細胞で、ならびに骨髄系腫瘍細胞系において、脈管形成内皮において、およびいくつかの上皮において発現される。CD13は、通常「NGR」受容体として同定される。リガンドは天然のもの、または合成されたものであってもよい。用語「リガンド」は、化学的に修飾されたリガンドともいう。リガンドの1以上の結合ドメインは、例えば、受容体に対する天然リガンド、または受容体に対する結合親和性を保持する天然リガンドの断片からなることができる。合成リガンドはデザイナーリガンドを含む。本明細書で用いるように、用語「デザイナーリガンド」とは、受容体の三次元形状と比較したその三次元形状に基づいた受容体に結合する可能性がある物質をいう。
【0018】
リガンドは、好ましくは、CNGRCVSGCAGRC、NGRAHA、GNGRG、シクロCVLNGRMECまたはシクロCNGRCのようなNGRモチーフ、より好ましくはペプチドCNGRCを含む直鎖または環状ペプチドである。そのようなリガンドは、本明細書に参考として組み込むWO 98/10795に記載されている。CD13受容体のリガンドを同定する方法は、本明細書に参考として組み込むWO99/13329に開示されている。
【0019】
1つの実施形態において、CD13受容体に結合することができる剤をスクリーニングする方法であって、前記方法は、細胞表面分子を剤と接触させ、前記剤が前記細胞表面分子に結合するかを決定することを含む。
【0020】
本明細書で用いるように、用語「剤」は、限定されるものではないが、天然であるか否かを問わず、いずれかの適当な源から得ることができるか、あるいはいずれかの適当な源によって製造させることが可能であるテスト化合物などの化合物を含む。前記剤はペプチドを含むことがきる化合物のライブラリー、ならびに小有機分子、特に新しいリード化合物のような他の化合物から設計し、または得ることができる。例として、前記剤は、天然物質、生物学的高分子、または細菌、真菌、または動物(特に哺乳動物)細胞または組織、有機または無機分子、合成テスト化合物、半合成テスト化合物、構造または機能的ミメティック、ペプチド、ペプチドミメティック、誘導体化テスト化合物、全タンパク質から切断されたペプチド、または(例として、ペプチドシンセサイザーを用いるように)合成的にまたは組換え技術によって、またはその組合せにより合成されたペプチド、組換えテスト化合物、天然または非天然テスト化合物、融合タンパク質またはその同等物、およびその突然変異体、誘導体または組合せのような生物学的物質から作成された抽出物であってもよい。
【0021】
前記剤はアミノ酸配列またはその化学的誘導体であり得る。前記物質は有機化合物または他の化学物質でもよい。
【0022】
本明細書で用いるように、用語「ペプチド類似体」は、広義には、CD13リガンドの結合活性を有するペプチド様分子をいう。
【0023】
別法として、リガンドは免疫グロブリン(Ig)可変領域からの重鎖および軽鎖配列に由来してもよい。そのような可変領域は天然ヒト抗体、またはげっ歯類抗体などの他の種からの抗体に由来してもよい。あるいは、可変領域はヒト化抗体などの作成された抗体、または免疫化または非免疫化動物からのファージディスプレイ、または突然変異誘発ファージディスプレイライブラリーに由来してもよい。第二の代替物として、可変領域は一本鎖可変断片(scFv)に由来することができる。リガンドは多量体化を達成するために、または結合ドメインの間のスペーサーとして作用するために、あるいはIgヒンジ配列または新規のスペーサーおよび人工リンカー配列を含む、リガンドをコード化する遺伝子中の制限部位の挿入に由来する他の配列を含むことができる。
【0024】
リガンドは、1つ以上の免疫グロブリン可変領域に加えて、Ig重鎖定常領域の全てまたは一部を含んでもよく、従って、それは、天然全Ig、人工Ig、人工Ig様分子、一本鎖Igまたは一本鎖Ig様分子を含むことができる。代わりに、あるいは加えて、BPはトキシンなどの他のタンパク質からの1以上のドメインを含んでもよい。
【0025】
本明細書中で用いるように、「抗体」とは免疫ブロブリン遺伝子または免疫ブロブリン遺伝子の断片によって実質的にコード化された1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質をいう。抗体は無傷免疫ブロブリンとして、または種々のペプチダーゼでの消化によって生じた十分に特徴付けられた断片を含む多数の断片として存在してもよい。種々の抗体断片は無傷抗体の消化の項目で規定されるが、当業者であれば、抗体断片は化学的に、または組換えDNA方法を利用することによって新規に合成することができるのを認識するであろう。従って、本明細書中で用いる用語抗体は、全抗体の修飾によって生じた、または組換えDNA方法を用いて新規に合成された抗体断片も含む。用語「抗体」の使用により包含される抗体断片は、制限されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFv二重特異性抗体、およびFd断片を含む。
【0026】
もしポリクローナル抗体が望まれるならば、選択された哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)を、エピトープを有する免疫原性ポリペプチドで免疫化する。免疫化動物からの血清を収集し、公知の手法に従って処理する。もしエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含めば、ポリクローナル抗体は免疫親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。ポリクローナル抗血清を生産し、加工する技術は当分野で知られている。そのような抗体が作成できるためには、本発明は、動物またはヒトにおいて免疫原として用いるための他のポリペプチドにハプテン化された本発明のポリペプチドまたはその断片も提供する。
【0027】
ポリペプチドにおける結合細胞表面エピトープに対するモノクローナル抗体も当業者によって容易に製造することができる。ハイブリドーマによってモノクローナル抗体を作成するための一般的な方法は周知である。不死化抗体生産細胞系は細胞融合によって、およびBリンパ球のオンコジーンDNAでの直接的形質転換、またはエプスタイン・バーウイルスでのトランスフェクションなどの他の技術によっても作り出すことができる。エピトープに対して生産されたモノクローナル抗体のパネルは、種々の特性、すなわち、イソタイプおよびエピトープ親和性をもってスクリーニングすることができる。
【0028】
代替技術はファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることを含み、そこでは、例えば、ファージは、多種多様の相補性決定領域(CDR)を有するそのコートの表面にscFv断片を発現する。この技術は当分野で周知である。
【0029】
本発明の目的では、用語「抗体」は、特に断りのない限り、標的抗原に対するその結合活性を保有する全抗体の断片を含む。前記したように、そのような断片はFv、F(ab’)およびF(ab’)2断片、ならびに一本鎖抗体(scFv)を含む。さらに、抗体およびその断片は、例えば、EP−A−239400に記載されたようにヒト化抗体であってもよい。
【0030】
本明細書中で用いる用語「ペプチド」はポリペプチドおよびタンパク質を含む。用語「ポリペプチド」は一本鎖ポリペプチド分子ならびに、個々の構成ポリペプチドが共有結合または非共有結合手段によって連結される複数−ポリペプチド複合体を含む。用語「ポリペプチド」は、典型的には、5、10または20よりも多いアミノ酸を有する、長さが2以上のアミノ酸のペプチドを含む。
【0031】
本発明で用いるポリペプチド配列は特定の配列またはその断片に制限されず、いずれかの源、例えば、関連ウイルス/細菌タンパク質、細胞類似体および合成ペプチド、ならびにその変種または誘導体から得られた相同配列も含むことは理解されるであろう。本発明のポリペプチド配列は、本発明のポリヌクレオチドによってコード化されたポリペプチドも含む。
【0032】
本発明のアミノ酸配列に関連する用語「バリアント」または「誘導体」は、前記配列供給からのまたはそれへの1(以上)のアミノ酸のいずれかの置換、変形、修飾、置換、欠失または付加を含み、得られたアミノ酸配列は、好ましくは、標的化活性を有し、好ましくは、配列表に提示されたポリペプチドとしての活性の少なくとも25〜50%、より好ましくは少なくとも実質的に同一な活性を有する。
【0033】
従って、本発明で用いるために配列を修飾することができる。典型的には、配列の活性を維持する修飾を行う。従って、1つの実施形態において、アミノ酸置換は、例えば、1、2または3〜10、20または30置換からなすことができ、但し、修飾された配列は少なくとも約25〜50%の、または実質的に同一な活性を保有するものとする。しかしながら、別の実施形態においては、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列は、意図的に、ポリペプチドの生物的活性を低下させるようにすることができる。例えば、標的分子に結合できるままであるが、機能的エフェクタードメインを欠く欠失ポリペプチドは有用であり得る。
【0034】
一般に、変種または誘導体のアミノ酸残基の20%、10%または5%未満が、配列表に示された対応する領域と比較して改変される。
【0035】
アミノ酸置換は、例えば、治療的に投与されたポリペプチドの血漿半減期を増加させるための非天然の類似体の使用を含むことができる(療法で用いるペプチド誘導体の製造についてのさらなる詳細は後記参照)。
【0036】
保存的置換は、例えば、以下の表に従ってなすことができる。第二の欄における同一ブロックおよび、好ましくは、第三の欄における同一行のアミノ酸は相互に置き換えることができる。
【0037】
【表1】

【0038】
本発明のポリペプチドは前記ポリペプチドの断片およびそのバリアントも含み、配列の断片も含む。好ましい断片はエピトープまたは結合ドメインを含むものを含む。適当な断片は長さが少なくとも約5、例えば、10、12、15または20アミノ酸であろう。それらは、また、長さが200、100または50アミノ酸未満であってもよい。タンパク質のポリペプチド断片およびその対立遺伝子および種変種は1以上(例えば、2、3、5または10)の置換、欠失または挿入を含むことができ、これは保存された置換を含む。置換、欠失および/または挿入が、例えば、組換え技術によってなされた場合、配列表に示されたアミノ酸残基の好ましくは20%、10%または5%未満が改変される。
【0039】
本発明のポリペプチドおよびコンジュゲートは、典型的には、例えば後記するように組換え手段によってなされる。しかしながら、それらは、固相合成のような当業者に周知の技術を用いて合成手段によってなすこともできる。化学合成ペプチドのための種々の技術は、BorgiaおよびFields,2000,Tibtech 18:243−251にレビューされており、そこに含まれる文献に詳細に記載されている。
【0040】
ペプチドは、直接的にあるいは単一アミノ酸、6−アミノカプリル−N−ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ酸配列または有機残基であり得るスペーサーを通じて間接的にサイトカインにカップリングさせることができる。カップリング手法は当業者に知られており、遺伝子工学、または化学合成技術を含む。
【0041】
ペプチドリガンドは、好ましくは、サイトカインN末端に連結し、従って、修飾されたサイトカインのその受容体への結合におけるいずれの干渉も最小化する。別法として、ペプチドは、分子上に天然に生じるまたは遺伝子工学技術で人工的に挿入されたアミド−またはカルボキシル−結合受容体であるアミノ酸残基に結合することができる。修飾されたサイトカインは、好ましくは、ペプチドをコード化する5’−連続配列を含むcDNAの使用によって調製される。
【0042】
好ましい実施形態による、TNFおよびCNGRC配列の間のコンジュゲーション産物が提供される。より好ましくは、TNFのアミノ末端はスペーサーG(グリシン)を通じてCNGRCペプチドに連結される。
【0043】
得られた産物(NGR−TNF)は、RMA−Tリンパ腫動物モデル上のTNFよりも、より活性があることが判明した。さらに、NGR−TNFで処理された動物は、さらなる腫瘍形成用量のRMA−TまたはRMA細胞を拒絶することができた。正常なTNFと比較して、抗腫瘍活性の増加は免疫適格性動物では観察ができたが、免疫欠乏動物では観察できなかった。これは、「NGR」ペプチドとコンジュゲートしたTNFの抗腫瘍活性の増加が、コンジュゲートの直接的細胞傷害活性よりもむしろ増強された免疫応答によるものであることを示す。
【0044】
また、NGR−TNFによって誘導された、インビボ免疫効果は直接的にCD13受容体に関連することも示された。例えば、CD13受容体に対する抗体ならびにGNGRCリガンドはインビボにてNGR−TNFと競合することが観察されており、従って、NGR−TNFによる受容体標的化のメカニズムを示唆する。
【0045】
TNF/CD13リガンドコンジュゲートの治療指数は、2つのTNF受容体、p75TNFRおよびp55TNFRのうちの1つに選択的に結合することができるTNFの突然変異体形態を用いることによってさらに改良することができる。前記TNF突然変異体は部位特異的突然変異誘発によって得ることができる(5;7)。
【0046】
本発明による修飾されたサイトカインの薬物動態は、サイトカインそれ自体の血漿中半減期を延長することができるポリエチレングリコール誘導体を調製することによって改良することができる。
【0047】
本発明のさらなる実施形態は二官能性誘導体によって提供され、そこでは、CD13リガンドで修飾されたサイトカインは、腫瘍抗原または他の腫瘍脈管形成マーカー、例えば、αvインテグリン、メタロプロテアーゼまたは血管成長因子に対する抗体、またはその断片、あるいは抗−テナシン抗体または抗−フィブロネクチンEDBドメインのような細胞外マトリックスの成分に対して作られた抗体またはその断片とコンジュゲートされる。TNFと、胃および卵巣腺癌によって発現される腫瘍関連TAG72抗原に対するmAbのヒンジ領域との間の融合産物の調製が最近報告されている(6)。
【0048】
本発明のさらなる実施形態はビオチン/アビジン系での腫瘍前標的化によって提供される。このアプローチによると、三元複合体が異なる段階において腫瘍抗原部位で得られ、これは、1)ビオチン化mAb、2)アビジン(またはストレプトアビジン)および3)CD13リガンドおよびビオチンで修飾されたニ価サイトカインによって形成される。多数の論文が、免疫コンジュゲートでの従来の標的化と比較して、前標的化アプローチは、現実的には、遊離活性分子に対する標的にホーミングした活性分子の比率を増大させることができ、従って、治療毒性を低下させることを証明した(11、10、9、8)。このアプローチは、インビトロにて細胞傷害性を誘導でき、正常なTNFが不活性な条件下で腫瘍細胞増殖を減少させることができるビオチン化TNFでの好都合な結果を生じた(14、26)。また、同時に腫瘍抗原および修飾されたサイトカインに結合する二重特異的抗体を用いることによって2相手法で行うこともできる。癌胎児性抗原およびTNFに対して作られた二重特異的抗体の使用は、最近TNF腫瘍前標的化のための手段として記載されている(31)。
【0049】
さらなる実施形態によると、本発明は、異なるTNFサブユニット上の、(直接的に、またはビオチン−アビジンブリッジを介して間接的に)CD13リガンドおよび抗体、またはその断片の双方にコンジュゲートしたTNF分子を含み、前記抗体またはその断片は、腫瘍細胞または腫瘍間質の他の成分、例えば、テナシンおよびフィブロネクチンEDBドメイン上に発現された抗原に対して作られる。この結果、修飾されたサイトカインの腫瘍ホーミング特性がさらに改良され、トリマー−モノマー−トリマー転移を通じて腫瘍内微少環境において後者がゆっくりと放出される。以前の研究で示されているように、事実、TNFコンジュゲートの修飾されたサブユニットは標的化複合体から解離し、再度会合して、未修飾三量体TNF分子を形成することができ、これは、次いで、腫瘍内微少環境で拡散する。生体活性TNFの放出は、標的化から24〜48時間以内に起こることが示されている(21)。
【0050】
本発明のペプチドは、治療的に患者に投与することができる。天然に生じるアミノ酸だけからなるのではなく、修飾されて、例えば、免疫原生を低下させ、患者の体内での循環半減期を増加させ、生物学的利用性を増強し、および/または効率および/または特異性を高めるペプチドを用いるのが好ましい。
【0051】
治療への適用でペプチドを修飾するために、多数のアプローチが用いられてきた。1つのアプローチは、ペプチドまたはタンパク質を、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)のような種々のポリマーに連結させることである。例えば、米国特許第5,091,176号、第5,214,131号および米国特許第5,264,209号参照。
【0052】
ペプチドを修飾するために、D−アミノ酸およびN−メチルアミノ酸などの種々の未コードまたは修飾アミノ酸での天然に生じるアミノ酸の置き換えを用いることも可能である。
【0053】
もう1つのアプローチはN−スクシンイミジル3−(2ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6−[3−(2ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート、およびスルホスクシンイミジル6−[3−(2ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエートのような二官能性架橋剤を用いることである(米国特許第5,580,853号参照)。
【0054】
立体配座的に拘束された本発明のペプチドの誘導体を用いるのが望ましいであろう。立体配座的拘束とは、ペプチドによって採られた三次元形状の安定性および好ましい立体配座をいう。立体配座的拘束は、ペプチド中の単一残基の立体配座移動度を制限することを含む局所的拘束、いくつかの二次構造ユニットを形成することができる残基の群の立体配座的移動度を拘束することを含む地域的拘束、および全ペプチド構造を含む全体的拘束を含む。
【0055】
ペプチドの活性な立体配座は、環化のような共有結合修飾によって、またはγ−ラクタムまたは他のタイプのブリッジの取込みによって安定化することができる。例えば、側鎖を骨格に環化させて、相互作用部位の各側にL−γ−ラクタム部位を作り出すことができる。一般に、Hruby et al,「Applicatins of Synthetic Peptides」in Synthetic Peptides:A User’s Guide:259−345(W.H.Freeman & Co.1992)参照。環化は、例えば、システインブリッジの形成、各末端アミノ酸のアミノおよびカルボキシ末端基のカップリング、またはLys残基のアミノ基または関連ホモログのAsp,Gluまたは関連ホモログのカルボキシ基とのカップリングによって達成することもできる。ポリペプチドのα−アミノ基の、無水ヨード酢酸を用いるリシン残基のε−アミノ基とのカップリングも行うことができる。Wood and Wetzel,1992,Int’l J.Peptide Protein Res.39:533−39参照。
【0056】
米国特許第5,891,418号に記載されたもう1つのアプローチは、ペプチド構造中に金属イオン錯体化骨格を含むことである。典型的には、好ましい金属ペプチド骨格は、所定の錯体化金属イオンの配位圏によって要求される必要な数の特定の配位基に基づく。一般に、有用であることが判明するであろう金属イオンのほとんどは4〜6の配位数を有する。ペプチド鎖中の配位基の性質は、アミン、アミド、イミダゾール、またはグアニジノ官能性を有する窒素原子、チオールまたはジスルフィドの硫黄原子、およびヒドロキシ、フェノール、カルボニル、またはカルボキシル官能性の酸素原子を含む。加えて、ペプチド鎖または個々のアミノ酸は、例えば、オキシム、ヒドラジノ、スルフヒドリル、ホスフェート、シアノ、ピリジノ、ピペリジノまたはモルホリノのような配位基を含むように化学的に改変することができる。ペプチド構造体は線状または環状いずれかであり得るが、線状構造体が典型的には好ましい。小さな線状ペプチドの1つの例はGly−Gly−Gly−Glyであり、これは、配位数4にて金属イオンに錯体化することができる骨格中に4つの窒素を有する(N4錯体化系)。
【0057】
治療ペプチドの特性を改良するさらなる技術は、非ペプチドペプチド類似体を用いることである。広く種々の有用な技術を用いて、ペプチドの正確な構造を解明することができる。これらの技術はアミノ酸配列決定、x線結晶学、質量分光測定、核磁気共鳴分光学、コンピューター−援助分子モデリング、ペプチドマッピング、およびその組合せを含む。ペプチドの構造解析は、一般には、ペプチドのアミノ酸配列ならびにその原子成分の三次元位置決定を含む大量のデータを提供する。この情報から、治療活性のための必要な化学的官能性を有するが、より安定な、例えば、生物学的分解に対して感受性が低い非ペプチドペプチド類似体を設計することができる。このアプローチの例は米国特許第5,811,512号に提供されている。
【0058】
本発明の治療ペプチドを化学的に合成するための技術は前記文献に記載されており、また、Borgia and Fields,2000,TibTech 18:243−251にレビューされており、そこに含まれた文献に詳細に記載されている。
【0059】
治療で用いるには、本発明の修飾されたサイトカインは、経口または非経口投与用の医薬製剤に適切に処方される。非経口投与用の処方が好ましく、それは、注射溶液または懸濁液および注入用液体を含む。非経口形態の調製では、有効量の有効成分を滅菌担体に溶解または懸濁させ、所望により、可溶化剤、等張剤、保存剤、安定化剤、乳化剤または分散剤のような賦形剤を添加し、それを引き続いて密封されたバイアルまたはアンプルに分配する。
【0060】
より詳細には、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む本発明のコンジュゲートは、好ましくは、種々の成分と組み合わせて、本発明の組成物を製造することができる。好ましくは、組成物は医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて、(ヒトまたは動物用途であり得る)医薬組成物を製造する。適当な担体および希釈剤は等張生理食塩水、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水を含む。賦形剤の詳細はThe Handbook of Pharmaceutical Excipients,2nd Edn,Eds Wade & Weller,米国薬学会、に見出すことができる。本発明の組成物は直接的注射によって投与することができる。組成物は非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に処方することができる。
【0061】
組成物は、毎日、毎週または毎月の投与が所望の日用量を提供するように処方することができる。組成物は、便宜には、2、4、6、8、10または12時間毎のように余り頻繁ではなく投与するために処方してもよい。
【0062】
ポリペプチド成分をコード化するポリヌクレオチド/ベクターは、好ましくは、さらに、宿主細胞ゲノムに相同なフランキング配列を含む裸の核酸構築体として直接的に投与することができる。
【0063】
哺乳動物細胞による裸の核酸構築体の摂取はいくつかの公知のトランスフェクション技術、例えば、トランスフェクション剤の使用を含むものによって増強される。これらの剤の例はカチオン性剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE−デキストラン)およびリポフェクタント(例えば、lipofectam(商標)およびtransfectam(商標))を含む。典型的には、核酸構築体をトランスフェクション剤と混合して、組成物を得る。
【0064】
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを医薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて、医薬組成物を得る。適当な担体および希釈剤は等張生理食塩水、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水を含む。組成物は非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内または経皮投与用に処方することができる。
【0065】
記載された投与経路および投与方法は指針のみを目的とする。というのは、当業者であれば、いずれかの特定の患者および疾患について最適な投与経路および投与方法を容易に決定することができるからである。
【0066】
リポソームの形態のサイトカインの製剤はその生物学的活性を改良することができる。事実、TNFアミノ基のアシル化は、インビトロにおける生物学的活性の喪失なしでその疎水性の増加を誘導することが観察された。さらに、脂質に結合したTNFはインビトロにおいて影響されない細胞傷害性、インビボにて免疫変調効果および低下した毒性を有することが報告されている(12、13)。
【0067】
ヒトにおけるボーラスTNFの最大許容用量は218〜410μg/m2(32)であり、動物における有効用量よりも約10倍低い。ネズミモデルからのデータに基づき、少なくとも10倍高い用量が、ヒトにおいて抗腫瘍効果を達成するのに必要であると考えられる(15)。高熱単離四肢灌流についての第一の臨床試験において、メルファランおよびインターフェロンγと組み合わせた4mgのTNFのユニークな用量で高応答速度が得られた(16)。他の研究は、インターフェロンγは省略することができ、治療応答を誘導するのにより低い用量のTNFでさえ十分であり得ることを示した(17、18)。二つのサイトカインは内皮細胞に対して相乗的効果を発揮するので、それに対するそれらの組み合わせられた選択的標的化はより強い抗腫瘍活性をもたらし、従って、組み合わせて用いる同一サイトカインでの癌療法で通常遭遇する全身毒性の問題を克服するのを可能とする。さらに、TNFは内皮ライニング血管のバリアー機能を減少させることができ、従って、高分子に対するそれらの浸透性を増加させることが知られている。本発明による修飾されたTNF分子での処置のより低い毒性、およびそれらの腫瘍血管ホーミング特性を利用し、別の適用は、治療または診断目的いずれかで、腫瘍血管の他の化合物に対する浸透性を増加させるためのそれらの使用である。例えば、修飾されたTNFを用いて、腫瘍の放射免疫シンチグラフィーまたは放射免疫療法における放射性標識抗体またはホルモン(腫瘍イメージング化合物)の腫瘍摂取を増加させることができる。別法として、化学療法薬物、イムノトキシン、薬物または遺伝子を運ぶリポソーム、または他の抗癌薬物の摂取は、それらの抗腫瘍効果が高められるように増大させることも可能である。
【0068】
従って、本発明のサイトカインは、癌の治療または診断において、他の診断または治療物質と共に、組み合わせた、別々のまたは順次の製剤で用いることができる。
【0069】
本発明は、修飾されたTNF、およびIFNγの組合せの使用に関する。この組合せは、組み合わせた、別々のまたは順次の製剤で用いることができる。効果的には、前記組合せは、ドキソルビシンおよびメファランのような癌の治療または診断において他の診断または治療物質と一緒にすることもできる。従って、本発明は、修飾されたTNFおよびIFNγの組合せおよび、所望により、もう一つの腫瘍診断または抗腫瘍治療物質を含む医薬組成物を提供する。再度、この組合せは、組み合わせた、別々のまたは順次の製剤で用いることができる。
【0070】
我々の特許出願番号PCT/IB03/02187において、我々は、ピコグラム用量のサイトカインの標的化送達が化学療法薬物の侵入を促進し、化学療法薬物の治療指標を増加させるための新規かつ驚くべき戦略を提供することを見出した。特許出願番号PCT/IB03/02187は、その全体を本明細書に参考として組み込む。より詳細には、我々は、非常に低い用量のサイトカインの、腫瘍、および腫瘍血管系を含めた腫瘍関連環境への送達は、負のフィードバックメカニズムを回避し、薬物−侵入バリアーを改変するその能力を保持する新しいアプローチを表すことを見出した。
【0071】
本発明の組成物は非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に処方することができる。本発明のこの態様の一つの実施形態において、本発明のコンジュゲートを0.5〜500ng/kgの範囲、好ましくは1〜50ng/kgの範囲、より好ましくは5〜15ng/kgの範囲からの用量にて投与することができる。
【0072】
本発明のこの態様の別の実施形態において、IFNγと組み合わせた本発明のコンジュゲートを含む医薬組成物が提供され、ここに、コンジュゲートは、コンジュゲートまたはその代謝物が約35,000ng/日以下、好ましくは約3,500ng/日、より好ましくは約1,000/日の量にて治療すべき対象の血漿に提供されるような量で存在させる。
【0073】
前記用量は70kg対象についての用量に関する。当業者であれば、70kg以外の質量を有する対象についての引用された用量を容易に変更することができよう。
【0074】
記載された投与経路および投与方法は単に指針のみを目的とする。というのは、当業者は、いずれかの特定の患者および疾患のための最適な投与経路および投与方法を容易に決定することができるからである。
【0075】
本発明のもう一つの態様は、好ましくは、前記した住み着きペプチドにつき、CD13リガンドをコード化する5’−または3−連続DNA配列の添加によってサイトカインcDNAから調製することができる、本明細書に開示するコンジュゲーテッドサイトカインをコード化するcDNAに関する。組み合わせたcDNAは、それ自体、あるいは遺伝子治療のためのベクターへの挿入後に用いることができる。適当なベクターの調製および治療的適用は、本明細書に参考として組み込む(19)に開示されている。
【0076】
本発明で用いるポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドコンジュゲートをコード化する核酸配列を含む。多数の異なるポリヌクレオチドが、遺伝子暗号の縮重の結果として同一のポリペプチドをコード化することができるのは当業者に理解されるであろう。加えて、当業者であれば、ルーチン的技術を用い、本発明のポリペプチドがそこで発現されるべきいずれかの特定の宿主生物のコドン用法を反映する、本発明のポリヌクレオチドによってコード化されるポリペプチド配列に影響しないヌクレオチド置換をなすことができるのは理解される。
【0077】
本発明のポリヌクレオチドはDNAまたはRNAを含むことができる。それらは一本鎖または二本鎖であってもよい。それらは、その中に合成または修飾されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドに対する多数の異なるタイプの修飾が当分野で知られている。これらがメチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、分子の3’および/または5’末端におけるアクリジンまたはポリリシン鎖の添加を含む。本発明の目的では、ここに記載するポリヌクレオチドは当分野で利用できるいずれの方法によっても修飾することができるのは理解される。そのような修飾を行って、本発明のポリヌクレオチドのインビボ活性または寿命を増強させることができる。
【0078】
本発明のポリヌクレオチドは組換複製可能ベクターに取り込むことができる。前記ベクターを用いて、適合する宿主細胞において核酸を複製することができる。従って、さらなる実施形態において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを複製可能ベクターに導入し、前記ベクターを適合する宿主細胞に導入し、次いで、ベクターの複製を行わせる条件下で宿主細胞を増殖させることによって、本発明のポリヌクレオチドの製法を提供する。前記ベクターは宿主細胞から回収することができる。適当な宿主細胞はE.coliのような細菌、酵母、哺乳動物細胞系および他の真核生物細胞系、例えば、昆虫Sf9細胞を含む。
【0079】
好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞(すなわちベクターが発現ベクターである)によるコード配列の発現を提供することができる対照配列に作動可能に連結される。用語「作動可能に連結した」は、記載された成分が、それがその意図した方法で機能することを可能とする関係にあることを意味する。コード配列に「作動可能に連結した」調節配列は、対照配列と適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように連結される。
【0080】
対照配列は、例えば、対照配列によって指令される転写のレベルを、転写モジュレーターに対してより応答しやすくするためのさらなる転写調節エレメントの添加によって修飾することができる。
【0081】
本発明のベクターは、後記する適当な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトして、本発明のタンパク質の発現を提供することができる。このプロセスは、タンパク質をコード化するコード配列のベクターによる発現を可能とする条件下で前記した発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養し、所望により、発現されたタンパク質を回収することを含んでもよい。
【0082】
ベクターは、例えば、複製起点、所望により、前記ポリヌクレオチドの発現用のプロモーターおよび、所望により、プロモーターのレギュレーターを備えたプラスミドまたはウイルスベクターであってよい。ベクターは1以上の選択マーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺伝子、または哺乳動物ベクターではネオマイシン耐性遺伝子を含むことができる。ベクターを用いて、例えば、宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換することができる。
【0083】
本発明のタンパク質をコード化する配列に作動可能に連結した対照配列はプロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルを含む。これらの対照配列は、発現ベクターがそこで用いるように設計される宿主細胞と適合するように選択することができる。用語「プロモーター」は当分野で周知であり、サイズおよび複雑性において、最小プロモーターから、上流エレメントおよびエンハンサーを含めたプロモーターまでの核酸領域を含む。
【0084】
原核生物プロモーターおよび他の真核生物細胞で機能するプロモーターを用いることもできるが、プロモーターは、典型的には、哺乳動物細胞において機能的なプロモーターから選択される。プロモーターは、典型的には、ウイルスまたは真核生物遺伝子のプロモーター配列に由来する。例えば、それは、発現が起こるべき細胞のゲノムに由来するプロモーターであってもよい。真核生物プロモーターに関しては、それらは(a−アクチン、b−アクチン、チューブリンなどの)普遍的な方法、あるいは、(ピルビン酸キナーゼについての遺伝子のプロモーターのような)組織特異的方法において機能するプロモーターであり得る。ある種の細胞に特異的な組織特異的プロモーターを用いることもできる。また、それらは、特異的刺激に応答するプロモーター、例えば、ステロイドホルモン受容体に結合するプロモーターであってもよい。また、ウイルスプロモーター、例えば、モロニーネズミ白血病ウイルス末端反復(MMLV LTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、またはヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーターを用いることもできる。
【0085】
異種遺伝子の発現のレベルが細胞の生きた間に調節できるように、プロモーターは誘導性であるのが有利であろう。誘導性とは、プロモーターを用いて得られた発現のレベルを調節できることを意味する。
【0086】
加えて、これらのプロモーターのいずれも、さらなる調節配列、例えば、エンハンサー配列の添加によって修飾することができる。また、前記した2つ以上の異なるプロモーターからの配列エレメントを含むキメラプロモーターを用いることもできる。
【0087】
本発明のベクターおよびポリヌクレオチドは、ベクター/ポリヌクレオチドを複製する、および/または本発明のポリヌクレオチドによってコード化された本発明のタンパク質を発現する目的で宿主細胞に導入することができる。本発明のタンパク質は宿主細胞として原核生物細胞を用いて製造することができるが、真核生物細胞、例えば、酵母、昆虫または哺乳動物細胞、特に哺乳動物細胞を用いるのが好ましい。
【0088】
本発明のベクター/ポリヌクレオチドは、トランスフェクション、形質転換およびエレクトロポレーションのような当分野で公知の種々の技術を用いて適当な宿主細胞に導入することができる。本発明のベクター/ポリヌクレオチドを動物に投与する場合、いくつかの技術、例えば、レトロウイルス、単純疱疹ウイルスおよびアデノウイルスのような組換ウイルスベクターでの感染、核酸の直接的注入およびバイオリスティック形質転換が当分野で知られている。
【0089】
本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を用いて、本発明のコンジュゲートを発現させることができる。本発明のポリペプチドおよびコンジュゲートの発現を可能とする適当な条件下で宿主細胞を培養することができる。本発明の生成物の発現は、それが継続的に生産されるように構成されていてもよいか、または誘導的であってよく、発現を開始するのに刺激を必要とする。誘導性発現の場合には、タンパク質生産は、必要な場合、例えば、培養液への誘導物質、例えば、デキサメタゾンまたはIPTGの添加によって開始することができる。
【0090】
本発明のコンジュゲートは、酵素的、化学的および/または浸透圧溶解および物理的破壊を含む当分野で知られた種々の技術によって宿主細胞から抽出することができる。
【0091】
以下の実施例は本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0092】
ネズミTNFおよびNGR−TNFの調製
ネズミ組換えTNFおよびCys−Asn−Gly−Arg−Cys−Gly−TNF(NGR−TNF)はE.coliにおける細胞質cDNA発現によって生産された。ネズミMet−TNF1-156(20)をコードするcDNAは、3’および5’プライマーとして、
5’−CTGGATCCTCACAGAGCAATGACTCCAAAG−3’および
5’−TGCCTCACATATGCTCAGATCATCTTCTC−3’
を用い、リポ多糖−刺激ネズミRAW−264.7単球−マクロファージ細胞から単離されたmRNAに対する逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって調製した。
【0093】
増幅された断片をNdeIおよびBamHI(New England Biolabs,Beverley,MA)で消化し、同一酵素(pTNF)で既に消化されたpET−11b(Novagen,Madison,WI)にクローン化した。
【0094】
Cys−Asn−Gly−Arg−Cys−Gly−TNF1-156をコードするcDNAは、5’プライマーとしての5’−GCAGATCATATGTGCAACGGCCGTTGCGGCCTCAGATCATCTTCTC−3’、および前記3’プライマーを用い、pTNFに対するPCRによって増幅された。増幅された断片を消化し、前記したようにpET−11bにクローン化し、これを用いてBL21(DE3)E.coli細胞(Novagen)を形質転換した。TNFおよびNGR−TNFの発現は、pET11b製造業者の指示に従い、イソプロピル−β−D−チオガラクトシドで誘導した。2mMエチレンジアミン四酢酸、20mMトリス−HCl、pH8.0中での細菌音波処理、続いての遠心(15000×g,20分,4℃)によって、可溶性TNFおよびNGR−TNFを2リットルの培養から回収した。双方の抽出物を硫酸アンモニウム(飽和25%)と混合し、4℃にて1時間放置し、前記したようにさらに遠心した。次いで、上清中の硫酸アンモニウムを飽和の65%とし、4℃にて24時間放置し、さらに遠心した。各ペレットを200mlの1M硫酸アンモニウム、50mMトリス−HCl、pH8.0に溶解させ、Phenyl−Sepharose 6 Fast Flow(Pharmacia−Upjohn)での疎水性相互作用クロマトグラフィー(グラジエント溶出、緩衝液A:50mMリン酸ナトリウム、pH8.0、1M硫酸アンモニウムを含有、緩衝液B:20%グリセロール、5%メタノール、50mMリン酸ナトリウム、pH8.0)によって精製した。TNF免疫反応性物質(ウェスタンブロッティングによる)を含有する画分をプールし、2mMエチレンジアミン四酢酸、20mMトリス−HCl、pH8.0に対して透析し、DEAE−Sepharose Fast Flow(Pharmacia−Upjohn)によるイオン交換クロマトグラフィー(グラジエント溶出、緩衝液A:20mMトリス−HCl、pH8.0;緩衝液B:1M塩化ナトリウム、20mMトリス−HCl、pH8.0)によってさらに精製した。TNF−免疫反応性を含む画分をプールし、予め平衡化して、150mM塩化ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.3(PBS)で溶出したSephacryl−S−300 HR(Pharmacia−Upjohn)でのゲル濾過クロマトグラフィーによって精製した。40000〜50000Mr生成物に対応する画分をプールし、分注し、−20℃にて凍結保存した。クロマトグラフィー工程で使用した全ての溶液は滅菌水およびエンドトキシンフリーの水(Salf,Bergamo,Italy)で調製した。最終収率はTNFが45mg、およびNGR−TNFが34.5mgであった。
【0095】
精製されたTNFおよびNGR−TNFの分子量は電子スプレー質量分析によって測定した。タンパク質含有量は市販のタンパク質アッセイキット(Pierce,Rockford,IL)を用いて測定した。NGR−TNFおよびTNFのエンドトキシン含有量は、定量的発色性Lymulus Amoebocyte Lysate(LAL)テスト(ByoWhittaker)によって測定して、各々、0.75ユニット/μgおよび1.38ユニット/μgであった。
【0096】
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)およびウェスタンブロット分析は、標準的手法によって、12.5または15%ポリアクリルアミドゲルを用いて行った。
【0097】
可溶性p55−TNF受容体(sTNF−R1)−Sepharoseでのアフィニティークロマトグラフィーによって、少量のTNFおよびNGR−TNFをさらに以下のように精製した。5mgの組換えsTNF−R1を記載されたように調製し(22)、製造業者の指示に従って2mlのActivated−CH−Sepharose(Pharmacia)にカップリングさせた。2つの別々のカラム(各々、1ml)を滅菌したエンドトキシンのない溶液で十分に洗浄し、PBS中の精製されたTNFまたはNGR−TNFを負荷し、グラジエント溶出(1時間、緩衝液A:PBS、緩衝液B:0.5M塩化ナトリウム、0.2Mグリシン−HCl)によって脱着した。TNF−抗原含有画分を中和し、滅菌生理食塩水に対して透析した。エンドトキシンのないヒト血清アルブミンを透析前に添加して(0.5mg/ml)、膜上へのタンパク質吸着を防止した。各画分におけるTNF含有量をELISAおよび細胞溶解アッセイによって測定した。
【0098】
TNFの非還元性SDS−PAGEは、モノマーTNFにつき予測されるように17〜18kDaの単一のバンドを示した(図示せず)。それとは相違して、非還元性SDS−PAGE、およびNGR−TNFのウェスタンブロット分析は、モノマー、ダイマーおよびトリマーに対応するらしい18、36および50kDaの異なる免疫反応性形態を示した。還元性条件下では、50および36kDaバンドのほとんどは18kDa形態に変換されたが、これは鎖間ジスルフィドブリッジを有するNGR−TNF分子の存在を示す。18kDaバンドは全物質の約2/3を占め、他方、36kDaは残りの部分のほとんどを占めた。これらの電気泳動パターンは、NGR−TNFが、正しい鎖内ジスルフィド(少なくとも50%)を有する3つのモノマーサブユニットから形成されるトリマー、および1以上の鎖間ジスルフィドを有するトリマーがほとんどの残りの部分の混合物であったことを示唆する。還元性SDS−PAGEによって依然として観察された36kDaバンドは、NGR−TNFが不可逆的変性ダイマー(全体の約10%)も含んだことを示唆する。
【0099】
TNFおよびNGR−TNFモノマーの分子量は、エレクトロスプレー質量分析によると、各々、17386.1±2.0Daおよび17843.7±2.5Daであった。これらの値はMet−TNF1-156(17386.7Da)およびCNGRCG−TNF1-156(17844.2Da)につき予測される質量に確実に一致している。
【実施例2】
【0100】
ネズミTNFおよびNGR−TNFのインビトロ細胞傷害性活性
TNFおよびNGR−TNFの生物活性は、記載されている(23)L−Nマウス線維芽細胞(ATCC CCL1.2)に基づく標準的な細胞溶解アッセイによって見積もった。RMA−T細胞に対するTNFおよびNGR−TNFの細胞溶解活性は30ng/mlアクチノマイシンDの存在下でテストした。各試料を3つの異なる希釈にて二連で分析した。結果を2〜3の独立したアッセイの平均±SDとして表す。
【0101】
TNFおよびNGR−TNFのインビトロ細胞傷害性活性は、L−M細胞での標準細胞溶解アッセイによると、各々、(1.2±0.14)×108ユニット/mgおよび(1.8±0.7)×108ユニット/mgであった。これらの結果は、NGR−TNF分子におけるCNGRCG部位が、折りたたみ、オリゴマー化、およびTNF受容体への結合を妨げないことを示す。
【0102】
以前の研究において、我々は、RNA−T細胞が30ng/mlアクチノマイシンDの存在下でTNFによって殺傷され得るのに対し、転写阻害剤の不存在下では、これらの細胞は、数日のインキュベーションの後にさえTNFに対して耐性であることを示した。アクチノマイシンDの存在下におけるRMA−T細胞に対するNGR−TNFのインビトロ細胞傷害性活性は、標準としてTNF((1.2±0.14)×108ユニット/mg)を用いて測定して、(1.4±0.8)×108ユニット/mgであった。従って、NGR−TNFおよびTNFの細胞傷害性活性は、L−M細胞およびRMA−T細胞双方に対して同様であった。
【実施例3】
【0103】
ネズミTNFおよびNGR−TNFの治療および毒性活性の特性
C57BL/6起源のラウシャーウイルス誘導RMAリンパ腫を、RPMI1640、5%胎児ウシ血清(FBS)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlアンフォテリシンB、2mMグルタミンおよび50μM2−メルカプトエタノール中でインビトロにて維持した。RMA−Tは、Thy1.1対立遺伝子をコード化する構築体でのトランスフェクションによってRMA細胞系から誘導し、記載されているように培養した(14)。
【0104】
B16F1メラノーマ細胞をRPMI 1640、5%FBS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlアンフォテリシンB、2mMグルタミン、1%MEM非必須アミノ酸中で培養した(BioWhittaker Europe,Verviers,ベルギー)。
【0105】
動物モデルについてのインビボ研究は、San Raffaele H Scientific Instituteの倫理委員会によって承認されており、所定のガイドラインに従って行った。C57BL/6(Charles River Laboratories,Calco,イタリア)(16〜18g)を、各々、5×104RMA−TまたはB16F1生細胞で左脇腹を皮下注射した。腫瘍移植から10日〜12日後、マウスを250μlのTNFまたはNGR−TNF溶液で腹腔内処理し、エンドトキシンフリーの0.9%塩化ナトリウムで希釈した。予備的実験は、抗腫瘍活性が、担体としての、TNFおよびNGR−TNF溶液へのヒト血清アルブミンの添加によって変化しなかったことを示した。各実験は群当たり5匹のマウスで行った。腫瘍増殖は、腫瘍サイズをキャリパーで測定することによって毎日モニターした。腫瘍の面積はr1×r2を計算することによって見積もり、他方、腫瘍用量はr1×r2×r3×4/3を計算することによって見積もり、ここで、r1およびr2は長手方向および横方向半径であり、r3は正常な皮膚の表面から突き出た腫瘍の厚みである。腫瘍が1.0〜1.3cm直径に到達する前に動物を殺した。腫瘍のサイズは平均±SE(図面の脚注に示したように群当たり5〜10匹の動物)として示し、t検定によって比較した。
【0106】
NGR−TNFの抗腫瘍活性および毒性を、C57BL6マウスにおけるRMA−Tリンパ腫およびB16F1メラノーマモデルを用いてTNFのそれと比較した。RMA−Tモデルはすでに特徴付けられており、それを用いて、異なる標的プロトコル(26)にてTNFの抗腫瘍活性を調べているので、我々は、本実験においてもこのモデルを用いるように決定した。
【0107】
確立された皮下RMA−T腫瘍を担う動物に投与されたネズミTNFは、腫瘍の中央部分において腫瘤の24時間後における低下および出血性壊死を引き起こし、続いて、数日間の有意な成長の遅れを引き起こす(26)。TNFでの単一処理は、LD50に近い用量においてさえ、この腫瘍の完全な退縮を誘導しない。というのは、壊死領域の周りに残る生細胞は処理から数日後には再び増殖を開始するからである。
【0108】
実験の第一の組においては、我々は、動物生存に対する種々の用量(腹腔内)のTNFまたはNGR−TNFの効果を調べた。過剰な罹患を回避するために、腫瘍の直径が1〜1.3cmよりも大きくなると動物を屠殺した。TNFおよびNGR−TNFの致死率は、処理から3日後には、同様であり(各々、LD50、60μgおよび45μg)、他方、それらの抗腫瘍活性は顕著に異なった(表1)。
【0109】
【表2】

【0110】
例えば、1または3μgのNGR−TNF、次いで、27μgのTNFは腫瘍増殖をより効果的に遅らせ、これは、NGR−TNFが少なくとも一桁活性が大きかったことを示す。興味深いことには、何匹かの動物はLD50よりも低いNGR−TNFの用量で治癒され、他方、TNFではいずれの動物も全く治癒されなかった。治癒された動物をRMA−Tまたは野生型RMA細胞いずれかの腫瘍形成性用量でのさらなる攻撃を拒絶し、これは、NGR−TNFでの単一処理が保護的免疫性を誘導できたことを示唆する。TNFまたはNGR−TNFの用量を9〜27μgを超えて増加させると、毒性を顕著に増加させ、治療効果は不十分にしか増加させず、または増加させないことは価値あることである。
【0111】
TNF処理に続いての体重の減少は全身毒性の周知の兆候である(26)。従って、TNFおよびNGR−TNFの効果/毒性の比率をさらに比較するために、我々は、処理の後における腫瘍の増殖および動物の体重をモニターした。腫瘍増殖に対する1μgのNGR−TNFの効果は9μgのTNFのそれと同様であるか、またはそれよりも高く(図1a)、他方、処理から1日〜2日後における体重の減少は1μgのTNFのそれと匹敵した(図1c)。我々はデータを用量−応答プロットした対数曲線に内挿すると、我々は、第14日における9μgのTNFの治療効果が、わずか0.6μgのNGR−TNFで得ることができるのを見出した(図1b)。対照的に、匹敵する毒性効果を誘導するのに8.5μgを必要とした(図1d)。従って、これらの条件下でのNGR−TNFの計算された効果/毒性比率はTNFのそれよりも14倍高い。
【0112】
同様の結果がB16F1メラノーマモデルで得られた。第11日および第17日における1μgのNGR−TNFでの処理により、4μgのTNFで得られたよりも大きく、かつ12μgのTNFで得られたのと同様な抗腫瘍応答が第19日に誘導された(データは示さず)。対照的に、1μgのNGR−TNFによって引き起こされた体重の減少は、4および12μgのTNFによって引き起こされたのよりも顕著に低かった。12μgのNGR−TNFでの処理はより強い抗腫瘍効果さえ引き起こし、他方、毒性効果は12μgのTNFのそれと同様であった。
【0113】
第19日に第3の注射を行うと、全ての群において1〜2日後に何匹かの動物が死亡した(生理食塩水および12μgのNGR−TNFで処理した群においては5匹のうち2匹、および残りの群においては5匹のうち1匹)。注目すべきは、12μgのNGR−TNFで処理した1匹の動物は腫瘍を完全に拒絶した。この動物を第2の腫瘍形成用量のB16F1細胞で攻撃すると、18日後に触知可能な腫瘍が発生し、他方、対照動物は6〜7日以内に腫瘍を発生した。
【0114】
これらの結果は、全てを統合すると、腫瘍増殖を阻害するにおけるNGR−TNFの効果はTNFのそれよりも10〜15倍大きく、他方、毒性は同様であることを示唆する。さらに、NGR−TNFはTNFよりもより効果的に保護免疫応答を誘導することができる。
【実施例4】
【0115】
NGR−TNFの作用メカニズム
抗−マウスCD13 mAb R3−63は、プロテイン−Gセファロースクロマトグラフィー(Pharmacia−Upjohn,Uppsala,スウェーデン国)によって腹水から精製し、0.9%で塩化ナトリウムに対して透析した。
【0116】
ウサギポリクローナル抗血清はPrimm srl(ミラノ,イタリア国)から購入し、プロテイン−A−セファロース(Pharimacia−Upjohn)でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。CNGRCおよびCARACペプチドは以前に記載されているように調製した(28)。
【0117】
NGR−TNFの改良された活性がNGR部位を介する腫瘍標的化に依存するという証拠を提供するために、我々は、NGR−TNFのインビボ活性がCNGRCによって部分的に競合され得るか否かを調べた。この目的で、我々は、モル過剰のCNGRCがある場合、もしくは無い場合、RMA−T腫瘍担持マウスにNGR−TNF(1μg)を投与した。平行して、他の動物を、再度、CNGRCの有る場合または無い場合で、TNF(3または9μg)で処理した。予測どおり、CNGRCはNGR−TNFの抗腫瘍活性を有意に減少させたが(図2a)、TNFのそれは有意に減少させなかった(図2b)。それとは相違して、対照ペプチド(CARAC)はNGR−TNF活性の有意な減少を引き起こすことができなかった(図2c)。これらの結果は、NGR−TNFのCNGRC受容体への結合につきCNGRCが競合することを示唆し、改良された活性に対する標的化メカニズムの仮説を支持する。注意すべきことには、CNGRCはNGR−TNFのインビトロ細胞傷害性活性を減少させることができなかった(データは示さず)。
【0118】
最近、アミノペプチダーゼN(CD13)はCNGRCペプチドに対する受容体であることが報告されているので、次いで、我々はNGR−TNFの標的化メカニズムにおけるこの受容体の貢献を調べた。この目的で、我々は、NGR−TNFおよびTNFの抗腫瘍活性に対する抗−CD13mAb(R3−63)の効果を調べた。mAb R3−63はNGR−TNFの抗腫瘍活性を有意に阻害した(図2a)が、TNFのそれは阻害せず(図2b)、これは、CD13が実際にNGR−TNFの抗腫瘍活性に非常に関与することを示す。RMA−T細胞表面でのCD13の発現は、mAb R3−63での培養細胞のFACS分析によって観察されず(示さず)、これは、他の細胞がインビボにて抗体によって認識されたことを示唆する。
【0119】
これらのデータは、CD13はNGR−TNFに対する重要な受容体であることを示すが、我々は、他の未だ同定されていないNGR受容体への結合もまた、より程度は低いが、標的化メカニズムに対して寄与することを完全には排除できない。
【0120】
部分的タンパク質分解の予備的実験は、TNFのN末端セグメント(残基2〜3)におけるArg−Ser結合はトリプシンに対して非常に感受性であり、他方、分子の残りはかなり抵抗性であることを示した。従って、NGR−TNFの改良された活性がそのNGR部位に関連するというさらなる証拠を提供するために、我々は、固定化トリプシンでの部分的消化によってムテインのN末端領域からNGRドメインを切り出すことを試みた。この処理はNGR−TNFおよびTNF双方を、TNF3−156断片(予測される質量16986.2Da;測定された質量および予測された配列については図3a参照)に対応する分子に変換した。
【0121】
消化はL−M細胞に対するNGR−TNFのインビトロ細胞溶解活性を減少させなかった(2.3±1.4)×108U/mg、そのインビボ抗腫瘍活性はTNFのレベルまで減少した(図3b)。注目すべきことには、処理から1日後における動物の体重減少から判断して(図3b、右側のパネル)、NGR−TNFおよびTNFの毒性は消化の前および後の双方において同様であり、これは、NGR依存性標的化メカニズムが毒性を改変しないことを示唆する。
【実施例5】
【0122】
ヒトTNFおよびNGR−TNFの調製および特徴付け
(CNGRCGのC末端と融合させたヒトTNF1−157からなる)ヒト組換えTNFおよびNGR−TNFは組換えDNA技術によって調製し、実質的には、ネズミTNFおよびNGR−TNFについて記載したように精製した。ヒトNGR−TNFをコードするcDNAは、以下のプライマー:
−NGR−hTNF/1(センス):5’A TAT CAT ATG TGC AAC GGC CGT TGC GGC GTC AGA TCA TCdT TCT CG3’
−NGR−hTNF/2(アンチセンス):5’TCA GGA TCC TCA CAG GGC AAT GAT CCC AAA GTA GAC3’
を用い、hTNFコード配列(33)を含むプラスミドpET11b/hTNFに対するPCRによって調製した。
【0123】
増幅された断片を消化し、pET−11b(NdeI/BamHI)にクローン化し、これを用いてBL21(DE3)E.coli細胞(Novagen)を形質転換した。NGR−hTNFの発現は、pET11b製造業者の指示に従ってイソプロピル−β−D−チオガラクトシドで誘導した。可溶性NGR−TNFは、2mMエチレンジアミン四酢酸、20mMトリス−HCl、pH8.0中の細菌音波処理、続いての遠心(15000×g,20分,4℃)によって2リットルの培養から回収した。
【0124】
抽出物を硫酸アンモニウム(飽和の35%)と混合し、4℃にて1時間放置し、前記したようにさらに遠心した。次いで、上清中の硫酸アンモニウムを飽和の65%とし、4℃にて24時間放置し、さらに遠心した。各ペレットを1M硫酸アンモニウム、50mMトリス−HCl、pH8.0に溶解させ、フェニル−セファロース6 Fast Flow(Pharmacia−Upjohn)での疎水性相互作用クロマトグラフィー(グラジエント溶出、緩衝液A、1M硫酸アンモニウムを含有する100mMリン酸ナトリウム、pH8.0;緩衝液B、70%エチレングリコール、5%メタノール、100mMリン酸ナトリウム、pH8.0)によって精製した。(ELISAによる)hTNF免疫反応性物質を含有する画分をプールし、20mMトリス−HCl、pH8.0に対して透析し、DEAE−Sepharose Fast Flow(Pharmacia−Upjohn)でのイオン交換クロマトグラフィー(グラジエント溶出、緩衝液A:20mMトリス−HCl,pH8.0;緩衝液B:1M塩化ナトリウム,20mMトリス−HCl,pH8.0)によってさらに精製した。クロマトグラフィー工程で使用した全ての溶液は滅菌されたエンドトキシンフリーの水(Salf,Bergamo,イタリア国)で調製した。
【0125】
この時点で、約30mgのTNFおよび32mgのNGR−TNFを2リットルの培養から回収した。非還元性SDS−TAGEはモノマー、ダイマーおよびトリマーに対応するバンドを示し、これは、ネズミNGR−TNFで観察して、ヒトNGR−TNFもまた正しい鎖内ジスルフィドを有するトリマーおよび1以上の鎖間ジスルフィドブリッジを有するトリマーの混合物であることを示唆する(図4A、レーンb)。
【0126】
正しい鎖内ジスルフィドブリッジを有するトリマーは、以下のように、4−工程変性−再折畳みプロセスによってこの混合物から単離された。精製されたヒトNGR−TNFを7m尿素で変性し、7M尿素、100mMトリス−HCl、pH8.0で平衡化したHR Sephacryl S−300カラム(1025ml)(Pharmacia)を通してゲル濾過した。モノマーTNFに対応する画分をプールし、YM MWCO 10kDa膜(Amicon)を通じて限外濾過し、33容量の4℃の2.33M尿素、100mMトリス−HCl、pH8(140分)、続いての1.55M尿素、100mMトリス−HCl、pH8(140分)および1M尿素、100mMトリス−HCl、pH8(140分)に対する透析によってリフォールディングを行った。最後に、生成物を80容量の100mMトリス−HClに対して透析し(16時間)、13000×gで遠心し(30分)、SFCA 0.45μm膜(Nalgene)を通して濾過し、0.15M塩化ナトリウム、0.05Mリン酸ナトリウム(PBS)で予め平衡化したHR Sephacryl S−300カラム(1020ml)を通してゲル濾過した。約23mgのリフォールディングされたタンパク質が回収された。
【0127】
最終生成物は非還元性SDS−PAGE(図4A、レーンc)後にはほとんどモノマーであり、Superdex75 HRカラムでの分析ゲル−濾過HPLCによるトリマーヒトTNFのそれと同様な流体力学容量を有し(示さず)、エレクトロスプレー質量分析による(CNGRCG−TNF1−157,17939.4Daで予測された)17937.8+1.8Daの分子量を有した。マウスL−M細胞に対するリフォールディングされていない、もしくはリフォールディングされたNGR−TNFのインビトロ細胞溶解活性は、各々、(6.11×107)+4.9および(5.09×107)+0.3ユニット/mgであり、他方、精製されたヒトTNFのそれは(5.45×107)+3.1ユニット/mgであった。これらの結果は、変性−リフォールディングプロセスがヒトNGR−TNFとネズミp55受容体との相互作用に影響しなかったことを示唆する。
【0128】
1μgのヒトNGR−TNF(リフォールディングされていない)のインビボ抗腫瘍活性は10μgのTNFよりも大きく(図4B)、他方、動物体重喪失によって判断して、毒性は有意により低かった(図4C)。リフォールディングの後、0.3μgのNGR−TNFは、10μgのTNFで達成されたよりも強い抗腫瘍効果を誘導するのに十分であった(図4D、4E)。
【0129】
これらの結果は、ヒトNGR−TNFの抗腫瘍活性がヒトTNFのそれよりも大きいことを示す。
【0130】
さらに、我々は、再度折り畳まれたヒトおよびマウスNGR−TNFが毒性効果の証拠なしで非常に低い用量(1〜10ng/マウス)においてさえRMA−T−担持マウスに対して有意な抗腫瘍効果を誘導することができ、他方、TNFはこれらの用量において有意な効果を誘導することができなかった(示さず)ことを観察した。
【実施例6】
【0131】
マウスNGR−IFNγの調製および特徴付け
CNGRCGと融合させた組換えネズミインターフェロン(IFN)γ(NGR−IFNγ)は、実質的にはNGR−TNFについて記載したように組換えDNA技術によって調製した。CNGRCドメインはIFNγのC末端と融合させた。さらに、位置134におけるシステインをセリンで置き換え、メチオニンをE.coli細胞での発現のために位置−1に導入した。NGR−IFNγ cDNAの生産で用いたPCRプライマーは、5’−A TAT CTA CAT ATG CAC GGC ACA GTC ATT GAA AGC C(センス)および5’−TC GGA TCC TCA GCA ACG GCC GTT GCA GCC GGA GCG ACT CCT TTT CCG CTT CCT GAG GCであった。前記cDNAをpET−11b(Nde I/BamHI)にクローン化し、これを用いてBL21(DE3)E.coli細胞(Novagen)を形質転換した。pET11b製造業者の指示に従い、タンパク質の発現はイソプロピル−β−D−チオガラクトシドで誘導した。生成物は、標準的な技術に従い、アガロースに固定化された抗−マウスIFNγ mAb(AN18)を用いる免疫アフィニティークロマトグラフィーによってE.coli抽出物から精製した。最終生成物の還元性および非還元性SDS−PAGEは、16kDaの単一バンドを示した。電子スプレー質量分析は、ネズミMet−IFNγ1−134(C134S)CNGRC(NGR−IFNγ)に対応する16223+3.6Da(予測、1625.5Da)の分子量を示した。
【0132】
腫瘍関連血管への抗−CD13抗体の結合に競合するNGR−IFNγおよびNGR−TNFの能力を、免疫組織化学アプローチを用いることによって調べた。
【0133】
ヒト腎臓細胞癌腫の新鮮な外科的検体はSan Raffaele H Scientific Instituteの組織病理学部門から入手した。ボウイン(Bouin)−固定(4〜6時間)パラフィン包埋検体の切片(5〜6μm厚み)を調製し、ポリリシン−被覆スライドに吸着させた。CD13抗原を以下のようにアビジン−ビオチン複合体を用いて検出し、標準的な手法に従い、組織切片をキシレンおよび上質アルコール系を用いて再度水和した。組織切片を1mM EDTAを含有する容器に入れ、マイクロ波オーブン(1000W)を用いて7分間煮沸した。次いで、容器に再度1mM EDTAを充填し、再度5分間煮沸した。組織切片を冷却させ、0.3%過酸化水素を含有するPBS中で15分間インキュベートして、内因性ペルオキシダーゼをクエンチした。次いで、試料をPBSで洗浄し、100〜200μlのPBS−BSA(室温で1時間)、続いてmAb WM15(抗−hCD13)単独で、あるいはPBS−BSA中の種々の競合剤(表2参照)と混合して(4℃で一晩)でインキュベートした。次いで、スライドをPBSで3回洗浄し(各々3分)、2%正常ウマ血清を含有するPBS−BSA(PBS−BSA−NHS)(Vector Laboratories,Burlingame,CA)と共に5分間インキュベートした。次いで、溶液をPBS−BSA−NHS中の3μg/mlビオチン化ウマ抗−マウスIgG(H+L)(Vector Laboratories,Burlingame,CA)で置き換え、室温にて、さらに1時間インキュベートした。スライドを再度洗浄し、PBS中に1:100希釈したVectastain Elite試薬(Vector Laboratories,Burlingame,CA)と共に30分間インキュベートした。次いで、3,3’−ジアミノ−ベンチジン−テトラヒドロクロライド(Merck,Darmstadt,ドイツ国)の錠剤を、0.03%過酸化水素を含有する10ml脱イオン水に溶解させ、0.2μmの膜を通して濾過し、組織切片上に5〜10分間重ねた。スライドを前記したように洗浄し、Harrisのヘマトキシリンで対比染色した。腫瘍関連血管は、組織の系列的切片を抗−CD31 mAb(DAKO,コペンハーゲン,デンマーク国からのmAb JC/70A,抗−ヒトCD31,IgG1)で染色することによって同定した。
【0134】
結果を表2にまとめる。表に示されたように、腫瘍関連血管へのWM15の結合は過剰のNGR−TNF、NGR−IFNγおよびCNGRCによって阻害されるが、NGRモチーフを欠く他の対照試薬によっては阻害されなかった。これは、CD13上のNGR結合部位がWM15エピトープとは立体的に重ならないことを示す。対照的に、NGR−TNFは内皮細胞への13C03の結合と競合しなかった。
【0135】
我々は、NGR−IFNγおよびNGR−TNFのNGR部位が、腫瘍関連血管上のmAb WM15によって認識されるCD13形態と相互作用できると結論する。さらに、これらの結果は、CNGRCモチーフが、サイトカインN末端、またはC末端いずれかに結合した場合に機能的であることを示す。
【0136】
【表3】

【実施例7】
【0137】
抗腫瘍抗体およびアビジンを用いるビオチン化NGR−TNFの腫瘍への標的化送達(前標的化)
以下の実施例は、腫瘍ホーミング抗体およびペプチドCNGRCの組合せに基づく、TNFの「デュアル」標的化の可能性を示す。
【0138】
ビオチン−NGR−TNFコンジュゲートは、1M炭酸ナトリウム緩衝液、pH6.8中でNGR−TNFをD−ビオチニル−6−アミノカプロン酸N−ヒドロキシスクシイミドエステル(Societa Prodotti Antibiotici S.p.A,ミラノ,イタリア国)と混合することによって(室温にて3時間)調製した(21)。反応は1Mトリス−HCl、pH7.5でブロックした。
【0139】
前記コンジュゲートを質量分析によって特徴付けし、1ビオチン/トリマー(平均)を含有することが判明した。次いで、C57BL/6(Charles River Laboratories,Calco,イタリア国)を5×104RMA−T生細胞で左脇腹を皮下攻撃した。腫瘍の面積が40mm2に到達すると、以前に記載されているように(26)「3日」プロトコルに従って、ビオチニル化抗体、アビジンおよびビオチン−TNFの順次の注射によってマウスを処理した。我々は、各々、18時間および19時間後に40μgビオチン−mAb19E12(腹腔内、工程I)、60μgアビジンおよび60μgストレプトアビジン(腹腔内、工程II)、24時間後に3μgのビオチン−NGR−TNF(腹腔内、工程III)を注射した。各化合物を滅菌0.9%塩化ナトリウム溶液で希釈した。対照実験では、アビジンおよびストレプトアビジンを省略した。各実験を5マウス/群で行った。腫瘍のサイズをキャリパーで測定することによって、腫瘍の増殖を毎日モニターした。処理前および処理から10日後の腫瘍の面積は、mAb 19E12−ビオチン/アビジン/ストレプトアビジン/ビオチン−NGR−TNFで処理した群においては、各々、39±4mm2および8±5mm2であった(5動物、平均±SE)。(mAb 19E12−ビオチン/ビオチン−NGR−TNF単独で処理した)対照群においては、処理前および処理から10日後における腫瘍面積は、各々、40±4mm2および20±6mm2であり、これは、腫瘍住み着き抗体およびアビジンでの前標的化がNGR−TNFの活性を増加させたことを示す。
【実施例8】
【0140】
NGR−TNFおよびインターフェロン−γの間の相乗的活性
マウスB16F1メラノーマ細胞を従前に記載されているように培養した(Curnis et al.,2000;Moro et al.,1997)。
【0141】
中和抗−IFNγモノクローナル抗体AN18は、親切にも、P.Dellabona(ミラノ,イタリア国)から贈られた。ドキソルビシン(アドリブラスチナン)はPharmacia−Upjohn(ミラノ,イタリア国)から購入した。組換えネズミIFNγはPeprotech Inc.(USA)から購入した(エンドトキシン含有量:<1ユニット/μg)。BALB/c自然発生乳癌腫からのTS/A細胞はRPMI 1640培地、10%胎児ウシ血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlアンフォテリシンB、2mMグルタミン、および非必須アミノ酸を含む1%の最小必須培地(BioWhittaker Europe,Verviers,ベルギー国)中で培養した。
【0142】
ネズミTNFおよび(CNGRCGのC末端と融合させたTNFからなる)NGR−TNFは組換えDNA技術によって調製し、記載されているように(Curnis,et al.,2000)E.coli細胞抽出物から精製した。クロマトグラフィー工程で用いた全ての溶液は滅菌しかつエンドトキシンのない水(Salf,Bergamo,イタリア国)で調製した。タンパク質濃度は市販のタンパク質定量アッセイキット(Pierce,Rockford,IL)で測定した。NGR−mTNFの細胞溶解活性は9.1×107ユニット/mgであった。NGR−mTNFの流体力学容量は、Superdex75HRカラム(Pharmacia,スウェーデン国)でのゲル濾過クロマトグラフィーによると、mTNF、ホモトリマータンパク質(Smith and Baglioni,1987)のそれと同様であった。NGR−mTNFのエンドトキシン含有量は0.082ユニット/μgであった。
【0143】
DNA操作は標準的な組換えDNA方法によって行った。ネズミIFNγをコードするcDNAは、以下のプライマー:5’AGAATTCATGAACGCTACACACTGCATCTTGGC3’(順方向プライマー);5’TATATTAAGCTTTCAGCAGCGACTCCTTTTCCGC3’(逆方向プライマー)を用い、フォルボール12−ミリステート13−アセテートで刺激したネズミリンパ球から得られたcDNAに対するPCRによって調製した。プライマーは、リーダー配列を含む全長マウスIFNγをコードするcDNA配列を増幅するように設計した。それらは、哺乳動物発現ベクターpRS1−neoにクローン化してpRS1nero−IFNγを生じさせるためのEcoRIおよびHindIII制限部位(下線)を含む。次いで、Plasmid Maxiキット(Qiagen Inc.−Diagen,GmbH,ドイツ国)を用いて調製し、滅菌したエンドトキシンフリーの水(S.A.L.F.Laboratorio Farmacologico SpA,Bergamo,イタリア国)中に1mg/mlに希釈した。pRS1neo−IFNγ(3μg)をRPMI1640中の100μlの0.03mg/mlリポフェクチン試薬(Gibco Brl)と混合し、室温で20分間インキュベートした。次いで、混合物を、1日前に24ウェルマイクロタイタープレートに入れたTS/A細胞に添加した(ウェル当たり200μlの培養液中に4×104細胞)。37℃、5%CO2における4時間のインキュベーションの後、2mlの培養基を各ウェルに添加した。インキュベーションの48時間後、培養液を、10%胎児ウシ血清、2mMグルタミンを追加した、1mg/mlジェネテシンを含有するRPMI1640で交換した。1週間後に、細胞生存選択を、ジェネテシンの存在下における96−ウェルマイクロタイタープレート中での限界希釈によってクローン化した。各クローンの上清をIFNγ−ELISAによってテストした。10のIFNγ−分泌クローンが得られた。培養液1ml当たり1.13μgのIFNγを生産するTS/A−IFNγという名称の1つのクローンを選択し、インビボ実験で用いた。
【0144】
IFNγ−ELISA。PCVマイクロタイタープレート(べクトンディッキンソン,cod.3912)をPBS中で5μg/ml mAb AN18で被覆した(4℃にて16時間)。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS中の2%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした(PBS−BSA,37℃にておいて1時間)。次いで、プレートをPBSで3回洗浄し、細胞培養上清またはPBS−BSA中に希釈したマウスIFNγ標準溶液と共にインキュベートした。プレートを、0.05%Tween−20(Merck)を含有するPBS(PBS−TW)で8回洗浄し、mAb XMG1.2−bioと共にインキュベートした(PBS中0.2μg/ml,37℃において1時間)。プレートをPBS−TWで再度洗浄し、PBS−BSA中に1:3000希釈したストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(シグマ)と共に37℃で1時間インキュベートした。PBS−TWで洗浄した後、結合したペルオキシダーゼをo−フェニレンイジアミンニ塩酸塩ペルオキシダーゼ基質(シグマ)で検出した。10%硫酸を添加することによって、発色反応を30分後にブロックした。ELISAマイクロプレートリーダー(バイオラッド)でA490を測定した。
【0145】
動物モデルにおいての実験は、San Raffaele H Scientific Instituteの倫理委員会によって承認され、所定のガイドラインに従って行った。体重が16〜18gのC57BL/6マウス(Charls River Laboratories,Calco,イタリア国)を5×104またはB16F1生細胞の皮下注射を左脇腹に試みた。5日後、マウスをNGR−mTNFおよびmIFNγ溶液(100μl)で処理し、2時間後に、ドキソルビシン溶液(100μl)を投与した。全ての薬物を腹腔内(i.p)投与した。0.9%塩化ナトリウム単独で希釈したドキソルビシンを除き、薬物は100μg/mlのエンドトキシンフリーのヒト血清アルブミン(Farma−Biagini,Lucca,イタリア国)を含有する0.9%塩化ナトリウムで希釈した。腫瘍の増殖は、従前に記載されているように(Gasparri et al.,1999)キャリパーで腫瘍を測定することによって毎日モニターした。腫瘍が直径1.0〜1.5cmに達する前に動物を屠殺した。腫瘍のサイズは平均±SEとして示す(5動物/群)。
【0146】
内因性IFNはNGR−TNF/ドキソルビシン治療活性にとって重要である。
【0147】
我々は、以前、NGR−mTNFおよびドキソルビシンがB16−F1腫瘍担持免疫適格性マウスにおいて相乗的効果を奏し、ドキソルビシンの抗腫瘍活性は0.1ngのNGR−mTNFの前投与によって増加することを示した(前記およびCurnis et al.,2002)。従って、ドキソルビシン(80μg)と組み合わせた低量のNGR−mTNF(0.1ng)のB16−F10腫瘍担持マウスの投与は、ドキソルビシン単独で得られたものよりも強い抗腫瘍効果を誘導した(図5)。NGR−TNF単独は低用量(0.1ng)で用いた場合には貧弱な活性であるのでこれらの薬物は相乗的に作用する(Curnis et al.,2002)。
【0148】
免疫適格性マウスにおけるNGR−mTNFの抗腫瘍活性における内因性mIFNγの機能的重要性を評価するために、我々は、C57BL6マウスにおけるNGR−mTNF/ドキソルビシンの抗腫瘍活性に対する中和抗−mIFNγ抗体(mAb AN18)の効果を調べた。
【0149】
この抗体をNGR−mTNFの24時間前に投与すると、NGR−mTNFおよびドキソルビシンの間の相乗効果は消失し(図5)、これは、内因性mIFNγがNGR−mTNFの抗腫瘍活性において重要な作用体であるという仮説を支持する。
【0150】
これらの薬物に対する治療的応答におけるIFNの役割をさらに指示するために、我々は、皮下マウスTS/A−乳腺癌腫を担うBALB/cIFNγ-/-「ノックアウト」マウスを用いて他のインビボ実験を行った。平行して、我々は野生型BALB/c IFNγ+/+マウスを用いて同様な実験を行った。NGR−TNF/ドキソルビシンはBALB/cIFNγ+/+マウスにおいて腫瘍塊を有意に減少させた(図6、黒色棒線)が、BALB/cIFNγ-/-マウスにおいてはそうでなかった(白色棒線)。注目すべきは、NGR−TNFおよびドキソルビシンと組み合わせた内因性IFN(300ng)のBALB/cIFNγ-/-マウスへの投与はこれらの薬物の間の共同作用を回復した(図6、白色棒線)。これらの結果は、IFNがNGR−TNF/ドキソルビシン相乗的活性で必要であるという仮説を確認する。NGR−TNFなしでのIFNおよびドキソルビシンの共投与はBALB/cIFNγ-/-マウスにおいて有意な抗腫瘍効果を誘導せず(図6、白色棒線)、これは、このサイトカインがNGR−TNFと相乗的に作用し、ドキソルビシンとはほとんどまたは全くそのように作用しないことを示す。
【0151】
NGR−TNF/ドキソルビシン治療活性におけるT−細胞および局所的に生産されたIFNの役割
TおよびNK細胞は免疫適格性マウスにおけるIFNの一次源である。NGR−TNF/ドキソルビシン組合せ療法におけるIFNの源としてのT−細胞の重要性を調べるために、我々は、T−細胞を欠くB16F1腫瘍担持nu/nuマウスにおいてこれらの薬物の効果を調べた。このモデルにおいて、NGR−TNF/ドキソルビシンの相乗的活性は失われた(図7A〜C)。しかしながら、これらの薬物をIFNと組み合わせて投与した場合、相乗効果が再度観察された(図7D)。これらの動物における内因性IFNの量は、NGR−TNF/ドキソルビシン共同作用を活性化するのに十分ではなく、他方、内因性IFNの投与は共同投与を回復したようである。
【0152】
免疫適格性nu/nuマウスでのインビボ実験の結果は、nu/nuマウスはそうではないが、免疫適格性マウスの腫瘍塊内に存在するT−細胞はNGR−TNFおよび化学療法の間の相乗的応答を刺激するのに十分な量のIFNを生じさせることを示唆し得る。腫瘍ミクロ環境内のIFNの生産がnu/nuマウスにおいて相乗効果を回復できるか否かを評価するために、我々は、TS/A細胞をネズミIFN cDNAでトランスフェクトした(図8)。培養液にIFNを分泌できる一つのクローンを選択し、TS/A−IFNと命名した。次いで、TS/A−IFNおよび野生型TS/A細胞をnu/nuマウスに皮下移植した。予測されるように、NGR−TNF/ドキソルビシンはTSA−IFNに対して有意な抗腫瘍効果を発揮したが、TS/A腫瘍に対しては発揮せず、これは、局所的に生産されたIFNがNGR−TNF/ドキソルビシン共同作用に対して実際に重要であることを強く示唆する。
【0153】
結論として、これらおよび前記結果は、NGR−TNF/ドキソルビシンの治療活性が、腫瘍浸潤リンパ球によって分泌されるらしいIFNの局所的生産に強く依存することを示す。
【0154】
内因性IFNは、免疫適格性マウスにおいてNGR−TNF/ドキソルビシンの治療活性を増強する。
【0155】
次いで、B16F1腫瘍を担うC57B16マウスを用い、内因性IFN(300ng)と組み合わせたNGR−TNFおよびドキソルビシンの治療活性を評価した。図9に示したように、三重組合せの抗腫瘍活性はNGR−TNF/ドキソルビシンのそれよりも大きかった。従って、NGR−TNF/ドキソルビシンと一緒にした内因性IFNの投与は、免疫適格性マウスにおいてもより強い抗腫瘍効果を誘導した。
【0156】
三重組合せ(IFN、NGR−TNFおよびドキソルビシン)の作用メカニズム
我々は、既に、NGR−TNF/ドキソルビシン共同作用に対する重要なメカニズムはNGR−TNFによる内皮バリアー機能の改変および腫瘍におけるドキソルビシンの増大した侵入に関連することを示した。従って、我々は、IFNがこの効果に対して臨界的であるか否かを調べた。この目的で、我々は、TS/A腫瘍におけるドキソルビシンの侵入に対する内因性IFNの効果を測定した(図10)。この実験は、ドキソルビシンが蛍光化合物である、処理後に動物から回収された腫瘍細胞の蛍光強度が、腫瘍に侵入したドキソルビシンの量の指標であるという事実を利用する。実験は、内因性IFNの効果を低下させるためにnu/nuマウスで行った。腫瘍担持マウスをNGR−TNFで処理し、2時間後に、ドキソルビシンで処理すると、未処理対照と比較して、ドキソルビシンの有意な増加は腫瘍細胞では見出されなかった。しかしながら、NGR−TNFと組み合わせたIFNの投与は腫瘍におけるドキソルビシンの侵入を増加させた。これは、IFNが化学療法薬物のTNF誘導侵入に対して重要であることを示唆する。
【0157】
この実験の結果は、内因性IFNがNGR−TNF/ドキソルビシン相乗的活性に対して重要であり、およびNGR−mTNFと一緒になって内因性mIFNγは免疫欠損および免疫適格性マウス双方においてより強い自己−腫瘍効果を誘導することを示唆する。この見解は、a)中和抗−IFN抗体が免疫適格性マウスにおいてNGR−TNF/ドキソルビシン相乗活性を顕著に阻害し、およびb)IFN遺伝子を欠くマウス(IFN−/−マウス)では共同作用は起こらないという前記観察によって支持される。
【0158】
T−およびNK−細胞は免疫適格性マウスにおいてIFNの一次源であり、および無胸腺nu/nuマウスはT−細胞を欠くことを仮定すれば、前記結果は、T細胞がNGR−TNF/ドキソルビシン活性に必要なIFNの主な源であることを強く示唆する。この見解に合致するのは、(IFN cDNAでトランスフェクトされた腫瘍細胞によって生産された)外因性または内因性IFNがnu/nuマウスにおいてNGR−TNF/ドキソルビシン相乗活性を回復するという知見である。
【0159】
これらの結果は、NGR−TNFおよびドキソルビシンと一緒になって腫瘍血管標的化においてIFNに対する非常に重要な役割を指摘する。
【0160】
(NGR−TNFなしで)ドキソルビシンと組み合わせたIFNの治療効果の欠如は、このサイトカインがNGR−TNFと共同作用し、ドキソルビシンとはほとんどまたは全くしないことを示唆する。化学療法薬物は血管壁を通過し、間隙を通って移動して癌細胞に到達することを考慮すると、IFNおよびNGR−TNFの作用部位は血管の内皮ランニングのようである。TNFが、内皮細胞において、細胞骨格アクチンの改変および細胞間ギャップの形成を誘導でき、高分子に対する増大した浸透性に導くことは周知である。同一細胞では、TNFは白血球接着分子、プロ炎症性サイトカイン、フィブリン沈積、一酸化窒素生産、およびアポトーシスを誘導できる。したがって、我々は、西洋ワサビペルオキシダーゼに対するeA内皮細胞単層のインビトロ浸透性が、TNF単独と比較して、IFNと組み合わせたTNFへの暴露によって増強されたことを見出した。我々は、TNFおよびIFN双方が内皮細胞に対して働くことができるという種々の効果に鑑みると、インビボでの血管浸透性の改変は、内皮浸透性に影響する他の重要な炎症性分子の局所的放出に関連する間接的効果の結果でもあり得ることを排除できない。
【0161】
我々の発見は他の重要な意味も有し得る。動物モデルおよび患者における幾つかの実験は、TNFが腫瘍血管に選択的に影響し、それを損傷し得るが、正常な組織に関連する血管にはそうできないことを示した。したがって、正常な組織ではなく腫瘍のミクロ血管系およびマクロ血管系は、患者にメルファランと組み合わせてTNFでの単離された四肢灌流を与えた後にかなり損傷されることが観察された。この選択性の分子的基礎は明らかでない。腫瘍血管内の構造的差および/または腫瘍由来「感作因子」の存在がTNF血管選択性を担うと仮定されている。我々の結果は、IFNの局所的生産がこれらの感作因子の1つであることを示唆する。
【0162】
前記明細書で引用した全ての刊行物は本明細書に参照として組み込む。記載した方法および本発明のシステムの種々の修飾および変形は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して記載してきたが、特許請求する発明はそのような特定の実施形態に限定されるべきではないと理解されるべきである。事実、分子生物学または関連分野における当業者に明らかな本発明を実施するための記載された形態の種々の修飾は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図する。
【0163】
引用文献
【表4A】

【表4B】

【表4C】

【表4D】

【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】RMA−Tリンパ腫(aおよびb)の増殖および動物体重(cおよびd)に対するTNFおよびNGR−TNFの効果を示す。 5匹の動物/群を、腫瘍移植から10日後に単一用量のTNFまたはNGR−TNF(腹腔内)で処理した。用量の関数としての第14日における腫瘍面積値(b)および処理後の体重の喪失(第11日および第12日の平均)(d)を対数曲線から内挿した。第14日における1μgまたは9μgのNGR−TNFによって誘導された抗腫瘍効果は匹敵する量のTNFによって誘導されたものよりも大きく(各々、P=0.024およびP=0.032)、他方、これらの処理の後における体重の減少は同様であった。矢印は、匹敵する効果を誘導するTNFおよびNGR−TNFの外挿用量を示す。
【図2】NGR−TNF(a)およびTNF(b)の抗腫瘍活性に対するmAb R3−63およびCNGRCの効果を示す。 mAb R3−63またはCNGRCをNGR−TNFまたはTNFと混合し、腫瘍移植から12日後に、RMA−T腫瘍担持動物に投与した(n=5匹動物/群)。別の実験(c)において、TNFおよびNGR−TNFをCNGRCまたはCARAC(対照ペプチド)と共に、11日齢腫瘍を担う動物に共投与した(n=5)。1μgのNGR−TNFの抗腫瘍効果は9μgのTNFのそれよりも強く(P=0.009、20日におけるt検定)、CNGRC(P=0.035)およびmAb R3−63(P=0.011)によって有意に阻害された。
【図3】NGR−TNFおよびTNFの限定されたトリプシン消化のそれらの塊(a)および抗腫瘍活性(b)の効果を示す。 製造業者の指示に従い、1mgのトリプシンを1mlの活性化CH Sepharose(Pharmacia−Upjohn)にカップリングさせることによって、トリプシン−アガロースを調製した。NGR−TNFおよびTNF(300μlの0.15M塩化ナトリウム、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.3中の各々170μg)を15μlの樹脂懸濁液(1:4)または緩衝液単独と混合し、37℃にて、示した時間、端をつないで回転させた。4種の生成物を0.22μmのSpin−Xデバイス(Costar,Cambridge,MA)を通して濾過し、使用するまで−20℃で貯蔵した。(a)電子スプレー質量分光分析。分子質量値および対応する生成物(N末端配列)を各ピークに示す。配列上の矢印は切断の部位を示す。(b)RMA−T腫瘍の増殖、および動物体重に対する、トリプシンなしで(上側パネル)またはそれと共に(下側パネル)インキュベートした1または3μgのNGR−TNFおよびTNFの効果(1および3μg用量で処理した群の平均±SE)。腫瘍移植から13日後に動物を処理した(n=5匹動物/群)。
【図4】変性/リフォールディング前および後におけるSDS−PAGE、およびヒトNGR−TNFの抗腫瘍活性を示す。 実施例Vに記載したヒトTNF(a)、変性/再折畳みプロセスの前(b)および後(c)のNGR−TNFの非還元性条件(A)下でのSDS−PAGE。 RMA−Tリンパ腫の増殖に対する(B)および体重に対する(C)TNFおよび非再折畳みNGR−TNFの効果。ヒトTNF(D)および(鎖内ジスルフィドと共に>95%トリマーからなる)再折畳みNGR−TNF(E)の腫瘍増殖に対する効果。動物(各パネルに示した15または5マウス/群)を、腫瘍移植から10日後に、1つの腹腔内用量のTNFまたはNGR−TNFで処理した。
【図5】C57BL6マウスにおける、中和抗−mIFNγ抗体(AN18)のNGR−mTNFの抗腫瘍活性に対する、およびドキソルビシンのB16F1腫瘍に対する効果を示す。
【図6】IFNノックアウトマウスにおけるNGR−TNFおよびドキソルビシンの効果を示す。
【図7】NGR−mTNF、mIFNγおよびドキソルビシン(単独または組み合わせての)ヌードマウスにおけるB16F1腫瘍に対する効果を示す。
【図8】ヌードマウスにおけるNGR−TNFおよびドキソルビシンの効果を示す。
【図9】NGR−mTNF、mIFNγおよびドキソルビシンの、免疫適格性マウス(C57BL6)におけるB16F1腫瘍に対する効果を示す。
【図10】IFNは、IFNノックアウト動物における、NGR−TNFと組み合わせた場合の腫瘍におけるドキソルビシンの侵入を増加させる。
【配列表】




【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】

【図4a−4b】

【図4c】

【図4d−4e】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のTNFおよびCD13受容体のリガンドまたはそれにつきコード化するポリヌクレオチドのコンジュゲーション生成物、および有効量のIFNγまたはそれにつきコード化するポリヌクレオチドを含む医薬組成物。
【請求項2】
医薬上許容される担体および賦形剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記TNFがTNFαまたはTNFβである請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記CD13受容体のリガンドが抗体またはその活性断片、ペプチドまたはペプチド類似体からなる群より選択される請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記リガンドがNGRモチーフを含有するペプチドである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペプチドがCNGRCVSGCAGRC、NGRAHA、GNGRG、シクロCVLNGRMEC、線状CNGRC、および環状CNGRCからなる群より選択される請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記TNFがポリエチレングリコールまたはアシル残基で誘導体化された請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記TNFが抗体、抗体断片およびビオチンからなる群より選択される化合物でさらにコンジュゲートされており、前記抗体またはその断片は腫瘍抗原、腫瘍脈管形成マーカーまたは細胞外マトリックスの成分からからなる群より選択される化合物に対して作られる前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記TNFが、CD13リガンド、および抗体、および抗体断片、およびビオチンからなる群より選択される化合物の双方にコンジュゲートされている請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
注射溶液または懸濁液または注入用の液体の形態である請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
リポソームの形態である請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
さらに、もう一つの抗腫瘍剤または診断腫瘍イメージング化合物を含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
もう一つの抗腫瘍剤がドキソルビシンである請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかの医薬組成物を投与することを含む癌患者の治療または診断方法。
【請求項15】
他の抗腫瘍剤または診断腫瘍イメージング化合物をさらに投与することを含む請求項14に記載の方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−514984(P2006−514984A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502144(P2005−502144)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005657
【国際公開番号】WO2004/041297
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(502296110)フォンダツィオーネ・チェントロ・サン・ラッファエーレ・デル・モンテ・タボール (2)
【Fターム(参考)】