説明

発作に関連する突然変異

本発明は虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法に関する。本方法は、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血は、酸素の供給と需要の間のアンバランスによって組織や器官への酸素供給が不十分になる場合に起こる。虚血は、血管内に血塊(血栓)が形成されることによって血管における血流が滞ることにより起こることが多い。
【0003】
虚血性発作においては、脳血管の一部に閉塞性血栓が形成される。虚血性発作は血栓又は塞栓に起因する発作である。血栓性の発作においては、アテローム性動脈硬化症により既に狭窄した血管内に血塊が発達する。塞栓性の発作においては、血塊が身体の至るところに形成され、更に循環系を介して脳に運ばれる。
【0004】
ラクナー発作は、脳内の小動脈の閉塞に起因する発作であり、元来は血栓性又は塞栓性の発作である。ラクナー発作は場合によってはアテローム性動脈硬化症以外の原因、例えばリポヒアリン症によっても起こり得る。
【0005】
血管における血塊形成の可能性は、血塊を形成する方向に向かう凝固カスケードと血塊を溶解させる方向に向かうフィブリン溶解系とのバランスによって決定される。凝固カスケードもフィブリン溶解系も共にタンパク質分解の複合カスケードを伴う。凝固カスケードの最終エフェクター分子はセリンプロテアーゼトロンビンであり、これはフィブリノーゲンを開裂してフィブリン血塊を生じさせる。フィブリン溶解系の最終エフェクター分子はセリンプロテイナーゼプラスミンであり、これはフィブリンを可溶性分解物に開裂する。
【0006】
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)はフィブリン溶解系において非常に重要な役割を果たす。tPAは、不活性な前駆体であるプラスミノーゲンを活性なプロテイナーゼプラスミンへ転化する際の触媒となる。然るに、tPAは血栓症を予防する血管内のフィブリン溶解の主たるメディエーターである。内皮細胞によるtPAの分泌は二種の機構によって制御される。即ち(a)血管損傷により数秒から数分の間に沈澱する局所tPAの急激な放出及び(b)フィブリン溶解系の慢性的活性化によって決定され且つtPA血漿循環レベルの変化に関与する長期間基礎分泌速度である。循環tPA活性は、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1との不可逆複合体の形成によっても低下する。静脈閉塞、運動、血管活性物質の注射等の種々の刺激は、tPAの放出を刺激することにより血漿tPAレベルを急激に上昇させることが知られている。
【0007】
フィブリン溶解系の活性化は、必ずしも虚血性発作罹患の可能性を低減することと相関するわけではない。実際、発作イベントから数年先行して、フィブリン溶解防御系の長期に亘る活性化がみられる場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、閉塞性血栓症に伴う疾病や状態の発現において遺伝因子が果たす重要性に関する情報、特に虚血性発作に役割を果たす遺伝因子に関する情報は非常に少ない。よって、閉塞性血栓症に罹患しやすい可能性のある被験者を特定する方法(虚血性発作に罹患しやすい被験者を特定する方法を含む)が必要である。
【0009】
本発明は、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法に関し、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定することによる方法に関する。特に本発明は、tPA遺伝子の上流領域における特定の多型の存在が虚血性発作に関連することを特定することに関する。この多型は、tPA放出速度の低下に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書全体を通し、本発明の様々なアスペクトを記述する目的で種々の文献を引用する。しかしながら、該文献の如何なるものについても、本発明に対する先行技術であることを本発明者らは自認するものではない。特に、本明細書に掲載されている如何なる文献への言及も、オーストラリア及び他のいずれかの国で、その内容が本技術分野における共通一般知識を構成するものであると自認することを意味するものではない。各文献についての記載は、該当文献の著者が述べていることであり、本出願人は、ここに引用する如何なる文献についても、その正確性や本発明との関連性について糾す権利を留保するものである。
【0011】
本発明は、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0012】
本発明は、小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、被験者の小血管閉塞に関連する疾病又は状態の治療方法であって、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は(a)細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を更に提供する。
【0019】
本発明はまた、小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を更に提供する。
【0020】
本発明はまた、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤により治療するために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、被験者における虚血性発作のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法を提供する。
【0024】
本発明はまた、被験者における小血管閉塞のリスク又被験者における小血管閉塞に関連する疾病又は状態の進行のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を変化可能な剤を特定する方法であって、前記方法は、(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位にシトシンチミン多型を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を変化可能な剤と特定する段階とを含む方法を更に提供する。
【0026】
本発明は、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は、(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の全部又は一部を形質転換した細胞であって、前記形質転換した遺伝子座は−7351位にシトシンからチミンへの突然変異を含み且つ前記形質転換した遺伝子座はレポーター遺伝子の発現を制御する細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルを決定する段階と、(c)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を特定する段階と、(d)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法を更に提供する。
【0027】
本発明はまた、配列番号3に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物を提供する。
【0028】
本発明はまた、配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号3の相補配列とハイブリッド化する核酸を提供する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0029】
本発明はまた、配列番号4に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物を提供する。
【0030】
本発明はまた、配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号4の相補配列とハイブリッド化する核酸を提供する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0031】
本発明はまた、配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号3と80%以上の相同性を有する核酸又はそのRNA等価物を提供する。
【0032】
本発明はまた、配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号4と80%以上の相同性を有する核酸又はそのRNA等価物を提供する。
【0033】
本発明はまた、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の配列を含む、単離された核酸を提供する。
【0034】
本発明はまた、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0035】
本発明はまた、小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0036】
本発明はまた、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0037】
本発明はまた、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0038】
本発明はまた、小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0039】
本発明はヒト虚血性発作の素因の研究に基づく。特に、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子のエンハンサーにおける突然変異が虚血性発作の非依存的予知インディケーターであることを見出した。この知見から、個々の被験者におけるプラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度が虚血性発作の非依存的予知インディケーターであることがわかる。
【0040】
本明細書全体に用いられる各用語の意味は、当業者には容易に理解されよう。しかしながら、参照を容易とする観点からこれらの用語の内の一部について次のように定義する。
【0041】
本明細書において用いられる「tPA遺伝子座」とは、tPA遺伝子をコードする領域に関連するDNAのいずれか、tPAのmRNAの未翻訳領域をコードするDNAのいずれか、tPAのプレ−mRNA(例えばイントロン配列)コードするDNAのいずれか、tPA発現の制御に関連するDNAのいずれか(例えばプロモーターエレメント、エンハンサーエレメント(近接又は遠隔)、レギュレーター因子の結合サイト(例えばSP1結合サイト)、tPA遺伝子座の発現に役割を果たす他のDNAのいずれか(例えば異質染色性DNA)等を意味すると理解されたい。
【0042】
本明細書において虚血性発作又は小血管閉塞に関連して用いられる「素因」とは、虚血性発作又は小血管閉塞を伴うための他のリスク因子(例えば心房細動、喫煙歴等)が被験者間で同程度という条件下で、突然変異を有する被験者が虚血性発作又は小血管閉塞に罹患する可能性が、突然変異を有さない他の被験者が虚血性発作又は小血管閉塞に罹患する可能性に比べて増大することを意味すると理解されたい。
【0043】
本明細書において用いられる「突然変異」は、正常なDNA配列のいかなる変化をも意味すると理解されたい。突然変異はまた、多型的であることも理解されよう。突然変異のタイプの例としては、挿入、欠失、フレームシフト、塩基置換等が挙げられる。
【0044】
本明細書において用いられる「小血管閉塞」とは、直径800μm未満のいずれの血管の血栓による閉塞をも意味すると理解されたい。前毛細血管小動脈、毛細血管及び後毛細血管静脈はこの定義に含まれる。脳内において小血管閉塞は臨床的には、ラクナー発作や、視床部梗塞、白質髄管梗塞、汎発性皮質下ロイコアリオーシス(leukoariosis)を呈する。この内、後者の病理学的現象は、血管性痴呆の潜在的要因となる。
【0045】
本明細書において用いられる「多型」とは、個体間におけるDNA配列の差異を意味すると理解されたい。
【0046】
本明細書において用いられる「増幅又は増幅する(又はそれらの変形表現)」とは、核酸配列の付加的コピーの製造を意味すると理解されたい。例えば、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法により行うことができる(Dieffenbach, C. W. and G. S. Dveksler (1995) PCR Primer, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N. Y.に記載 )。或いは環状テンプレート上におけるローリングサークル増幅(例えばFire, A. and Xu, S-Q.(1995) Proc. Natl. Acad. Sci 92:4641〜4645に記載)等の他の増幅方法により行うことができる。
【0047】
本明細書において用いられる「核酸」とは、一本鎖又は二本鎖のデオキシリボヌクレオチド類又はリボヌクレオチド類からなるポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドのいずれかを意味すると理解されたい。
【0048】
この点に関し、核酸は塩基部、糖部、リン酸骨格において修飾されていてもよく、核酸の機能発現を促進するための他の基が添加されていてもよい。
【0049】
例えば、核酸は次の群から選択される少なくとも一種の修飾塩基部分を含むことができる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンチルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン,2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン、5′−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキシン、プソイドウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w及び2,6−ジアミノプリン。
【0050】
核酸は、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシロース及びヘキソースからなる群から選択される少なくとも一種の糖部分を有していてもよいが、これらに限定されない。更に核酸は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル及びホルムアセタール又はその類似体等の少なくとも一種のホスフェート骨格を含んでいてもよい。
【0051】
本明細書において用いられる「単離された核酸」とは、元来核酸を伴う他の細胞成分から実質的に単離された核酸を意味すると理解されたい。本用語は、自然環境から取り出した核酸配列を含み、天然、クローン化又は組み替えDNA類、化学合成による核酸類(例えば化学合成オリゴヌクレオチド、ヘテロロガス系により生物学的に合成されたDNA又はRNA及び他の形態のポリヌクレオチド類似体のいずれか)を含む。
【0052】
本明細書において用いられる「ハイブリッド化又はハイブリッド形成(又はそれらの変形表現)」は、それによって核酸の鎖が塩基ペアリングによって相補鎖に結合する過程のいずれかを意味すると理解されたい。ハイブリッド形成は溶液中で行われてもよく、或いは溶液中に存在する一核酸配列と固体支持体(例えば膜、フィルター、チップ等)に固定された他の核酸配列との間で行われてもよい。
【0053】
本明細書において用いられる「ストリンジェントな条件」とは、Tm(Tm:融点)付近からTmより約20℃低い範囲において相補的な核酸がお互いに結合しあうことを許容する条件を意味すると理解されたい。相補領域の長さ、核酸類(DNA、RNA、塩基組成物)の種類及び組成、塩類及び他の成分の濃度(例えばホルムアミド、デキストラン、デキストラン硫酸、及び/又ポリエチレングリコールの有無)等の諸因子は全て考慮する必要がある。これらは基本的には、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989)に記載されている。
【0054】
本明細書においてtPA遺伝子座に関連して用いられる「上流領域」とは、通常tPA遺伝子座の転写領域の開始から10kb以内(しかしコード領域からより離れていてもよい)配列で、遺伝子の発現に影響する(遺伝子の転写及びメッセンジャーRNAの翻訳、スプライシング、安定性等)配列を意味すると理解されたい。
【0055】
この点に関し、tPA遺伝子座の上流領域に関して本明細書において用いられる配列座標は、GenBank(Accession No.Z48484)に対応する配列座標である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明は一形態において、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0057】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、虚血性発作の素因を決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0058】
虚血性発作は、被験者に起こりうる血栓性又は塞栓性発作であり、心塞栓性又はアテローム血栓性の虚血性発作を含む。好ましくは、虚血性発作はアテローム血栓性の虚血性発作である。
【0059】
虚血性発作は好ましくは小血管発作(即ちラクナー発作)である。従って、本発明は好ましい形態において、ラクナー発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0060】
被験者における突然変異は、内皮細胞からのtPAの放出速度を低減するいずれかの遺伝子又は遺伝子外領域における突然変異のいずれかである。例えば、突然変異は、tPA遺伝子座と関連しない遺伝子若しくは領域における突然変異でも、tPA遺伝子座における突然変異でもよく、後者の例としては、tPA遺伝子の転写に影響を及ぼすtPAコード領域上流における突然変異や、エンハンサーにおける突然変異、tPA遺伝子のエクソンにおける突然変異、スプライシングに影響を及ぼすイントロンにおける突然変異、翻訳又はmRNAの安定性に影響を及ぼすtPAの3′領域における突然変異が挙げられる。
【0061】
突然変異は、特定遺伝子の一方又は両方の対立遺伝子に存在してもよい。突然変異が特定遺伝子の両方の対立遺伝子に存在することが最も好ましい。
【0062】
突然変異はtPA遺伝子座に存在することが好ましい。特に好ましい形態においては、突然変異はtPA遺伝子座の両対立遺伝子に存在する。
【0063】
この点に関し、ヒトtPA遺伝子座の構造は、Degenら、(1986)J. Biol. Chem. 261(15):6972〜6985に記載されている。tPA遺伝子は14のエクソンと13のイントロンからなる。
【0064】
上流領域は遺伝子の転写を制御する作用を有する多数の領域を含む。例えば、ヒトtPA遺伝子の転写は−7kbにおいて多重ホルモン受容性エンハンサーによって制御される。トランジエントトランスフェクションの研究から、近接プロモーター領域に−7kbエンハンサー要求SP1結合を有するtPAレポーター構築物が、前記エンハンサーを媒介としてレチノレイン酸によりプロモーターを誘導可能とすることがわかっている。
【0065】
tPAの上流領域の−7351位におけるC〜T多型はこれまでに特定され、この突然変異が多型のホモ接合及びヘテロ接合個体におけるインビボでのtPA放出速度を低減させる(Ladenvallら、(2000)Thromb. Haemost. 84:150〜155)。この突然変異はSP1結合サイトに存在する。
【0066】
突然変異の組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、当業界で知られた好ましい方法によって決定することができる。例えば、特定の突然変異が内皮細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、突然変異を有する内皮細胞をインビトロで培養し、内皮細胞からのtPA放出速度を決定し、更に前記細胞を新鮮な媒体で洗浄し、その媒体へのtPAの放出速度の時間変化の程度を野生型内皮細胞と比較して決定することにより、決定することができる。酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えばTintElize(R)t−PA、BiopoolAB)によって全tPA抗原を定量することができる。この種のアッセイは二重抗体原理を基礎とする。遊離tPAとtPA−インヒビター複合体とは同程度の効率で検出される。
【0067】
内皮細胞からのtPAの放出を誘起するためには、当業界において内皮細胞からのtPAの放出を誘起することが知られているトロンビンやカルシウムイオノホア等の剤を用いることができる。インビトロにおいて内皮細胞からのtPAの放出を誘起する好ましい方法はRosnobletら、(1999)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19(7):1796〜803に記載されている。
【0068】
また、被験者におけるtPA放出速度は、例えば前腕部における放出速度を突然変異を有さない被験者と比較して決定することにより直接決定することができる。インビボにおけるtPAの放出速度を決定する好ましい方法は、Jernら、(1999)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 19(2):454〜459に記載されている。
【0069】
突然変異はtPA遺伝子座に位置することが好ましい。更に好ましくは、被験者の突然変異はtPA遺伝子座の上流領域に存在する突然変異である。更に好ましくは、突然変異はtPA遺伝子座のエンハンサーエレメントにおける突然変異である。最も好ましくは、突然変異はtPA遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である。
【0070】
−7351位のシトシンからチミンへの突然変異はtPA遺伝子座の一方又は両方の対立遺伝子に存在していてもよい。突然変異はtPA遺伝子座の両方の対立遺伝子に存在していることが最も好ましい。
【0071】
従って、好ましい形態において本発明は、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0072】
既に述べたように、虚血性発作はラクナー発作であることが好ましい。従って、他の好ましい形態において本発明は、ラクナー発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0073】
tPAの放出速度を低下させる突然変異を被験者において特定することは、当業界で知られている好ましい方法によって決定することができる。
【0074】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0075】
突然変異の特定には種々の方法を用いることができる。DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)を用いて突然変異を検出することができる。この場合、特定の被験者から誘導される領域のクローンの塩基配列を決定して、増幅してもしなくても突然変異を特定することができるが、突然変異の特定は通常、被験者(全ゲノムDNA)から単離した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを伴う。
【0076】
突然変異特定の他の方法としては、一本鎖コンホーメーション多型アッセイ(SSCA)(Oritaら、(1989) Genomics 5(4):874〜879)がある。この方法は全ての配列の変化を検出するのではないが、特にDNAフラグメントサイズが200bpより大きいければ、大部分のDNA配列変化を検出して最適化できる。SSCAゲル上で移動度が変化したフラグメントは後に塩基配列を決定し、DNA配列変化の正確な性質を決定する。
【0077】
他の方法としては、二本のDNA相補鎖間のミスマッチを検出することの基づく方法であって、固定変性ゲル電気泳動を含む方法(Sheffieldら、(1991)Am. J. Hum. Genet.49:699〜706に記載)、ヘテロデュプレックス分析(Whiteら、(1992)Genomics 12:301〜303)、化学的ミスマッチ開裂(Grompeら、(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5855〜5892)である。突然変異が具体的に特定されたならば、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション等の対立遺伝子特異的検出方法を用いることができる。
【0078】
DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチドが存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドの存在のみを得ることとなる。
【0079】
塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。突然変異がtPA遺伝子座の上流領域の−7351位におけるC〜T突然変異であるならば、増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0080】
あるいは、突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。配列特異的プライマーを用いてDNAを増幅する場合、コンセンサスプライマーと二種の代替プライマーのうち一種とが用いられる。代替プライマーのそれぞれは、野生型配列(WTプライマー)に対応するか多型配列(SPNプライマー)に対応する3′ 末端ヌクレオチドを有する。この場合、増幅は正確な相補ヌクレオチドを有するテンプレートからのみ生じるであろう。
【0081】
他の突然変異特定の方法は、核酸配列における差異の差別化を可能ならしめる、突然変異を有する核酸と他の核酸(即ちレポーター核酸)とのハイブリッド化を伴う。例えば、オリゴヌクレオチドを用いるサザン分析を用いて突然変異を検出することができる。また、オリゴヌクレオチドをチップ等の固体支持体に付加し、突然変異を有する核酸の結合をオリゴヌクレオチドへの結合(結合なし)によって検出する方法も当業界で知られている。これらの場合、突然変異を被験者において特定することは、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することによって突然変異を検出することも含む。
【0082】
突然変異が−7351位におけるC〜T突然変異の場合、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0083】
従って、他の形態において本発明は、単離された核酸において、ポリヌクレオチドが配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の配列からなる核酸を提供する。
【0084】
配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域の配列を次に示す:
5′-ATTGGCGCAA ACTCCTCACA GAGGAAAAAA TGTACAGTTA GAGTGAAGTG AAAGAACATC TCTATAAAAT ATGCATCACT TCCTGGCGGG GAGGAGAGAG GAGCTATGGA AAGCTACACC AAAGCTGTAT TCACTGGACA AAAATGCTTG ACTCAGGAAG GAGGCCGGAG CGGCGAGTCC TGTGATGCCA TGGCGGGAGG TGGGTCCCAT GTAAACAGTG GTGTTCCTGT CACCCTGAGC ACATGCAGTC TCCCGTGGGT AACCAGAACT GATGCAAGAG CCCCTGCTGT GGAAGTCACC ACGCTCTCCC AGAACGCGCC TCCCCCCAGG TCTGAGTGAT CTCATTGCCG AGGTGAATAG GGCTTTGGCC GCTCTCCCAA AGGAGCCCGC CCCAGACACA GCCAT-3′
【0085】
好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で60秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0086】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0087】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0088】
本発明の本形態は、虚血性発作の予防及び/又は治療が必要な被験者を特定することにも有用である。
【0089】
従って、他の形態において本発明はまた、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0090】
更に本発明はまた、好ましい形態において、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0091】
本発明はまた、虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0092】
虚血性発作は、被験者に起こりうる血栓性又は塞栓性発作であり、心塞栓性又はアテローム血栓性の虚血性発作を含む。好ましくは、虚血性発作はアテローム血栓性の虚血性発作である。
【0093】
虚血性発作は好ましくは小血管発作(即ちラクナー発作)である。従って、本発明は好ましい形態において、ラクナー発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0094】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、虚血性発作の素因を決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0095】
被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座に有することが好ましい。より好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座の上流領域に有する。より好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座のエンハンサーエレメントに有する。最も好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座の上流領域のシトシンからチミンへの−7351位に有する。
【0096】
−7351位シトシンからチミンへの突然変異は、tPA遺伝子座の一方又は両方の対立遺伝子の存在してもよい。この突然変異がtPA遺伝子座の両方の対立遺伝子の存在することが最も好ましい。
【0097】
また、被験者における低減されたtPA放出速度は、当業界で知られている好ましい方法によって特定することができる。例えば被験者の前腕部におけるtPA放出速度を決定することにより直接決定することができる。インビボにおけるtPAの放出速度を決定する好ましい方法は、Jernら、(1999)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 19(2):454〜459に記載されている。
【0098】
本発明の本形態は、虚血性発作の予防及び/又は治療が必要な被験者を特定することにも有用である。
【0099】
従って本発明は他の形態においては、虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法にも係るものであって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0100】
本発明はまた、小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0101】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、小血管閉塞の素因を決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0102】
本発明において小血管閉塞は種々の形態を呈し、被験者の小血管に起こり得る血栓性又は塞栓性の閉塞のいずれかであり、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンス等を臨床的に呈する小血管閉塞である。
【0103】
好ましくは、小血管閉塞は脳内に発生し、臨床的にはラクナー発作を呈する小血管閉塞を含む。
【0104】
被験者における突然変異は、内皮細胞からのtPAの放出速度を低減するいずれの遺伝子又は遺伝子外領域における突然変異のいずれかである。例えば、突然変異はtPA遺伝子座における突然変異でもよく、その例としては、tPAコード領域上流における突然変異や、エンハンサーエレメントにおける突然変異、tPA遺伝子のエクソンにおける突然変異、スプライシングに影響を及ぼすイントロンにおける突然変異、翻訳又はmRNAの安定性に影響を及ぼすtPAの3′領域における突然変異が挙げられる。
【0105】
突然変異は、特定遺伝子の一方又は両方の対立遺伝子の存在してもよい。突然変異が特定遺伝子の両方の対立遺伝子の存在することが最も好ましい。
【0106】
既に述べたように、tPAの放出速度を低下させる突然変異を被験者において特定することは、当業界で知られている好ましい方法によって決定することができる。
【0107】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0108】
突然変異の組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、当業界で知られた好ましい方法によって決定することができる。例えば、特定の突然変異が内皮細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、突然変異を有する内皮細胞をインビトロで培養し、内皮細胞からのtPA放出速度を決定し、更に前記細胞を新鮮な媒体で洗浄し、その媒体へのtPAの放出速度の時間変化の程度を野生型内皮細胞と比較して決定することにより、決定することができる。酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えばTintElize(R)t−PA、BiopoolAB)によって全tPA抗原を定量することができる。この種のアッセイは二重抗体原理を基礎とする。遊離tPAとtPA−インヒビター複合体とは同程度の効率で検出される。
【0109】
内皮細胞からのtPAの放出を誘起するためには、当業界において内皮細胞からのtPAの放出を誘起することが知られているトロンビンやカルシウムイオノホア等の剤を用いることができる。インビトロにおいて内皮細胞からのtPAの放出を誘起する好ましい方法はRosnobletら、(1999)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19(7):1796〜803に記載されている。
【0110】
被験者における突然変異はtPA遺伝子座に存在する突然変異であることが好ましい。より好ましくは、被験者における突然変異はtPA遺伝子座の上流領域に存在する突然変異である。より好ましくは、被験者における突然変異はtPA遺伝子座のエンハンサーエレメントに存在する突然変異である。最も好ましくは、被験者における突然変異はtPA遺伝子座の上流領域のシトシンからチミンへの−7351位における突然変異である。
【0111】
−7351位のシトシンからチミンへの突然変異はtPA遺伝子座の一方又は両方の対立遺伝子に存在していてもよい。突然変異はtPA遺伝子座の両方の対立遺伝子に存在していることが最も好ましい。
【0112】
従って本発明はその好ましい形態において、小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法に係るものでもあって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を更に提供する。
【0113】
既に述べたように、tPAの放出速度を低下させる突然変異を被験者において特定することは、当業界で知られている好ましい方法によって決定することができる。
【0114】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0115】
既に述べたように、突然変異の特定には種々の方法を用いることができる。
【0116】
DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)を用いて突然変異を検出することができる。突然変異特定の他の方法としては、一本鎖コンホーメーション多型アッセイ(SSCA) (Oritaら、(1989) Genomics 5 (4):874〜879)がある。この方法は全ての配列の変化を検出するのではないが、特に仮にDNAフラグメントサイズが200bpより大きい場合であれば、大部分のDNA配列変化を検出して最適化することができる。SSCAゲル上で移動度が変化したフラグメントは後に塩基配列を決定し、そしてDNA配列変化の正確な性質を決定する。
【0117】
他の方法としては、二本のDNA相補鎖間のミスマッチを検出することの基づく方法であって、固定変性ゲル電気泳動を含む方法(Sheffieldら、(1991)Am. J. Hum. Genet.49:699〜706に記載)、ヘテロデュプレックス分析(Whiteら、(1992)Genomics 12:301〜303)、化学的ミスマッチ開裂(Grompeら、(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5855〜5892)がある。特定の突然変異が特定されたならば、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション等の対立遺伝子特異的検出方法を用いることができる。
【0118】
DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチドが存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドの存在のみを得ることとなる。
【0119】
塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。突然変異がtPA遺伝子座の上流領域の−7351位におけるC〜T突然変異であるならば、増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0120】
あるいは、突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。配列特異的プライマーを用いてDNAを増幅する場合、コンセンサスプライマーと二種の代替プライマーのうち一種とが用いられる。代替プライマーのそれぞれは、野生型配列(WTプライマー)に対応するか多型配列(SPNプライマー)に対応する3′ 末端ヌクレオチドを有する。この場合、増幅は正確な相補ヌクレオチドを有するテンプレートからのみ生じるであろう。
【0121】
突然変異が−7351位におけるC〜T突然変異の場合、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0122】
好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で60秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0123】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0124】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0125】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することも含むことが好ましい。
【0126】
本発明の本形態は、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療が必要な被験者を特定することにも有用である。
【0127】
従って本発明はまた、他の形態において、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0128】
更に本発明はまた、好ましい形態において、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0129】
本発明はまた、小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0130】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、小血管閉塞の素因を決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0131】
小血管閉塞は被験者の小血管に起こり得る血栓性又は塞栓性の閉塞のいずれかであり、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンス等を含む。
【0132】
好ましくは、小血管閉塞は脳内に発生し、臨床的にはラクナー発作を呈する小血管閉塞を含む。
【0133】
被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座に有することが好ましい。より好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座の上流領域に有する。より好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座のエンハンサーエレメントに有する。最も好ましくは、被験者は、被験者においてtPA放出速度を低下させる突然変異をtPA遺伝子座の上流領域のシトシンからチミンへの−7351位に有する。
【0134】
−7351位シトシンからチミンへの突然変異は、tPA遺伝子座の一方又は両方の対立遺伝子の存在してもよい。この突然変異がtPA遺伝子座の両方の対立遺伝子の存在することが最も好ましい。
【0135】
また、被験者における低減されたtPA放出速度は、当業界で知られている好ましい方法によって特定することができる。例えば被験者の前腕部におけるtPA放出速度を決定することにより直接決定することができる。
【0136】
インビボにおけるtPAの放出速度を決定する好ましい方法は、Jernら、(1999)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 19(2):454〜459に記載されている。
【0137】
本発明の本形態は、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療が必要な被験者を特定することにも有用である。
【0138】
従って本発明はまた他の形態において、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0139】
本発明はまた、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0140】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の進行の素因を決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0141】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態の例としては、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンスが挙げられる。
【0142】
好ましくは、小血管閉塞に関連する疾病又は状態は脳内に発生し、ラクナー発作を含む。
【0143】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を被験者において特定することは、当業界において知られている好ましい方法によって行うことができる。
【0144】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0145】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異を特定するには、DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)を用いて突然変異を検出することができる。
【0146】
既に述べたように、突然変異の特定には種々の方法を用いることができる。DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチド(C及びT)が存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドの存在のみを得ることとなる。
【0147】
塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0148】
両対立遺伝子における突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。繰り返すが、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0149】
あるいは、好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で60秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0150】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0151】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0152】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することも含むことが好ましい。
【0153】
本発明の本形態は、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療が必要な被験者を特定することにも有用である。
【0154】
従って本発明はまた他の形態において、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0155】
本発明はまた、被験者における虚血性発作のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法を提供する。
【0156】
被験者における虚血性発作のリスクとは、虚血性発作を伴うための他のリスク因子(例えば心房細動、喫煙歴等)が被験者間で同程度という条件下で、被験者集団全体が虚血性発作に罹患する可能性と比較したtPA遺伝子座に突然変異を有する被験者が虚血性発作に罹患する可能性である。
【0157】
この点に関し、tPA遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在(即ち多型についてヘテロ接合性の個体)は、虚血性発作又は小血管閉塞を伴うための他のリスク因子(例えば心房細動、喫煙歴等)が被験者間で同程度という条件下で、被験者が虚血性発作に罹患するリスクが被験者集団全体と比較してより高いことを示す。
【0158】
例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座のいずれの対立遺伝子にも突然変異を有さない被験者の虚血性発作のリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す。
【0159】
また、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の高い虚血性発作に対するリスク、又は虚血性発作を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の高い虚血性発作に対するリスクを示す。
【0160】
更に、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における突然変異を有さない被験者の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の高い虚血性発作に対するリスクを示す。
【0161】
また、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の高い虚血性発作に対するリスク、又は虚血性発作を伴うための他の同様のリスク因子を有する被験者の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の高い虚血性発作に対するリスクを示す。
【0162】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、虚血性発作罹患のリスクを決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0163】
虚血性発作は、被験者に起こりうる血栓性又は塞栓性発作のいずれかであり、心塞栓性又はアテローム血栓性の虚血性発作を含む。好ましくは、虚血性発作はアテローム血栓性の虚血性発作である。
【0164】
好ましくは、虚血性発作は小血管発作(即ちラクナー発作)である。従って、本発明はまた、好ましい形態において、被験者におけるラクナー発作のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法を提供する。
【0165】
既に述べたように、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定することは、当業界で知られている好ましい方法によって決定することができる。
【0166】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0167】
既に述べたように、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定するためには、DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)等の種々の方法を用いることができる。
【0168】
DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチド(C及びT)が存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドの存在のみを得ることとなる。
【0169】
突然変異の塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0170】
また、突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。繰り返すが、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0171】
好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で0秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0172】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0173】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0174】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することも含むことが好ましい。
【0175】
本発明はまた、被験者における小血管閉塞のリスク又は前記被験者のおける小血管閉塞に関連する疾病又は状態の進行のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法を提供する。
【0176】
被験者における小血管閉塞のリスクとは、小血管閉塞を伴うための他のリスク因子が被験者間で同程度という条件下で、被験者集団全体が小血管閉塞に罹患する可能性と比較したtPA遺伝子座に突然変異を有する被験者が小血管閉塞に罹患する可能性である。
【0177】
この点に関し、tPA遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在(即ち多型についてヘテロ接合性の個体)は、小血管閉塞を伴うための他のリスク因子が被験者間で同程度という条件下で、被験者が小血管閉塞に罹患するリスクが被験者集団全体と比較してより高いことを示す。両方の対立遺伝子における突然変異の存在は、一方の対立遺伝子における突然変異の存在より更に高リスクを示す。
【0178】
例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座のいずれの対立遺伝子にも突然変異を有さない被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞に関連する疾患の進行のリスクの増大を示す。
【0179】
また、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞に関連する疾患の進行のリスクの増大を、又は小血管閉塞を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞前記被験者の虚血性発作に関連する疾患の進行虚血性発作のリスクの増大を示す。
【0180】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における突然変異を有さない被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞に関連する疾患の進行のリスクの増大を示す。
【0181】
また、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体のリスクと比較した場合の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞に関連する疾患の進行のリスクの増大を、又は小血管閉塞を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞のリスク又は前記被験者の小血管閉塞に関連する疾患の進行のリスクの増大を示す。
【0182】
本被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、小血管閉塞罹患のリスクを決定すべき被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0183】
小血管閉塞は被験者の小血管に起こり得る血栓性又は塞栓性の閉塞のいずれかであり、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンス等を臨床的に呈する小血管閉塞を含む。
【0184】
好ましくは、小血管閉塞は脳内に発生し、臨床的にはラクナー発作を呈する小血管閉塞を含む。
【0185】
既に述べたように、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定するためには、当業界で知られている好ましい方法を用いることができる。
【0186】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0187】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異を決定するには、DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)を用いて突然変異を検出することができる。
【0188】
DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチド(C及びT)が存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドの存在のみを得ることとなる。
【0189】
突然変異の塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0190】
また、突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。繰り返すが、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0191】
好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で60秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0192】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0193】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0194】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することも含むことが好ましい。
【0195】
本発明はまた、配列番号3に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物、或いは配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号3の相補配列とハイブリッド化する核酸を提供する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0196】
本発明の本形態は、配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物、或いはこの配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号3の相補配列とハイブリッド化する核酸に関する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0197】
核酸は当業界において知られている標準的な方法により合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Steinら、(1988) Nucl. Acids Res. 16: 3209に記載)により合成することができる。
【0198】
ストリンジェントなハイブリッド形成条件とは、Tm(Tm:融点)付近からTmより約20℃低い範囲において相補的な核酸がお互いに結合しあうことを許容する条件である。
【0199】
相補領域の長さ、核酸類(DNA、RNA、塩基組成物)の種類及び組成、塩類及び他の成分の濃度(例えばホルムアミド、デキストラン、デキストラン硫酸、及び/又ポリエチレングリコールの有無)等の諸因子は全て考慮する必要がある。これらは基本的には、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989)に記載されている。
【0200】
例えば、核酸をストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号3の相補配列とハイブリッド化せしめる条件は次のようになる。プレハイブリッド化をプレハイブリッド化溶液(例えば6XSSC(1x=150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)、5Xデンハール試薬(各1g/Lのフィコール、ポリビニルピロリドン及びウシ血清アルブミン)、1.0%SDS及び100μg/mL変性フラグメント化サケ精子DNA)中で2〜12時間行うことができる。続いてターゲット(即ちフィルター)とプローブとのハイブリッド化を、条件(6XSSC、1.0%SDS及び100μg/mL変性フラグメント化サケ精子DNA、42℃)下で一夜行うことができる。このフィルターを2XSSC及び0.5%SDSを用い室温で15分(20℃)で洗浄することができる。
【0201】
本発明はまた、配列番号4に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物、或いは配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号4の相補配列とハイブリッド化する核酸を提供する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0202】
本発明の本形態は、配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物、或いはこの配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号4の相補配列とハイブリッド化する核酸に関する。前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む。
【0203】
核酸は当業界において知られている標準的な方法により合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Steinら、(1988) Nucl. Acids Res. 16: 3209に記載)により合成することができる。
【0204】
ストリンジェントなハイブリッド形成条件とは、Tm(Tm:融点)付近からTmより約20℃低い範囲において相補的な核酸がお互いに結合しあうことを許容する条件である。
【0205】
相補領域の長さ、核酸類(DNA、RNA、塩基組成物)の種類及び組成、塩類及び他の成分の濃度(例えばホルムアミド、デキストラン、デキストラン硫酸、及び/又ポリエチレングリコールの有無)等の諸因子は全て考慮する必要がある。これらは基本的には、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989)に記載されている。
【0206】
例えば、核酸をストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号4の相補配列とハイブリッド化せしめる条件は次のようになる。プレハイブリッド化をプレハイブリッド化溶液(例えば6XSSC(1x=150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)、5Xデンハール試薬(各1g/Lのフィコール、ポリビニルピロリドン及びウシ血清アルブミン)、1.0%SDS及び100μg/mL変性フラグメント化サケ精子DNA)中で2〜12時間行うことができる。続いてターゲット(即ちフィルター)とプローブとのハイブリッド化を、条件(6XSSC、1.0%SDS及び100μg/mL変性フラグメント化サケ精子DNA、42℃)下で一夜行うことができる。その後、このフィルターを2XSSC及び0.5%SDSを用い室温で15分(20℃)で洗浄することができる。
【0207】
本発明はまた、配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号3と80%以上の相同性を有する核酸又はそのRNA等価物を提供する。
【0208】
本発明の本形態は、配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号3と80%以上の相同性を有する核酸又はそのRNA等価物に関する。
【0209】
二種の核酸配列の相同性の程度を決定するための種々のアルゴリズムが存在する。例えばBLASTアルゴリズムを用いて二種の配列間の配列相同性の程度を決定することができる。BLASTは二種の配列間ローカルアラインメントを特定し、偶然発生したローカルアラインメントの可能性を予知する。BLASTアルゴリズムは、Altschulら、1990, J. Mol. Biol. 215:403〜410に記載されている。
【0210】
好ましくは、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号3と90%以上の相同性を有する。更に好ましくは、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号3と95%以上の相同性を有する。
【0211】
核酸は当業界において知られている標準的な方法により合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Steinら、(1988) Nucl. Acids Res. 16: 3209に記載)により合成することができる。
【0212】
本発明はまた、配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号4と80%以上の相同性を有する核酸を提供する。
【0213】
本発明の本形態は、配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号4と80%以上の相同性を有する核酸に関する。
【0214】
繰り返すが、二種の核酸配列の相同性の程度を決定するための種々のアルゴリズムが存在する。例えばBLASTアルゴリズムを用いて二種の配列間の配列相同性の程度を決定することができる。BLASTは二種の配列間ローカルアラインメントを特定し、偶然発生したローカルアラインメントの可能性を予知する。BLASTアルゴリズムは、Altschulら、1990, J. Mol. Biol. 215:403〜410に記載されている。
【0215】
好ましくは、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号4と90%以上の相同性を有する。更に好ましくは、前記核酸又はそのRNA等価物は配列番号4と95%以上の相同性を有する。
【0216】
核酸は当業界において知られている標準的な方法により合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Steinら、(1988) Nucl. Acids Res. 16: 3209に記載)により合成することができる。
【0217】
本発明はまた、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は(a)細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法を提供する。
【0218】
本発明の本形態は、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法に関する。このようにして特定された剤は、被験者が虚血性発作又は小血管閉塞、特にラクナー発作に罹る可能性を低減するために被験者に投与するための化合物候補である。
【0219】
この剤は、組織プラスミノーゲン活性化因子の細胞からの放出速度を増大させる能力を決定すべき剤のいずれかである。
【0220】
「作用させる」とは、剤を細胞外部から投与することと、細胞内で剤を発現させることとをその範囲に含むと理解されたい。従って、剤を細胞に作用させるとは、細胞に剤を接触させること、即ち例えば、細胞内で剤の発現を指向し得る組み換え核酸を用いて細胞を形質転換することであってもよい。
【0221】
細胞は、突然変異を有さない同様の細胞と比較した場合に、細胞組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる突然変異を有する細胞のいずれかである。
【0222】
この細胞は好ましくは内皮細胞である。ヒト内皮細胞が最も好ましい。好ましい内皮細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)である。
【0223】
細胞内の突然変異は、細胞からのtPAの放出速度を低下させる突然変異のいずれかである。例えば、tPA遺伝子座に関連しない遺伝子又は領域の突然変異でもよい。或いは、tPA遺伝子座における突然変異でもよく、その例としては、tPA遺伝子の転写に影響を及ぼすtPAコード領域上流における突然変異や、tPA遺伝子のエクソンにおける突然変異、エンハンサーエレメントにおける突然変異、スプライシングに影響を及ぼすイントロンにおける突然変異、翻訳又はmRNAの安定性に影響を及ぼすtPAの3′領域における突然変異が挙げられる。
【0224】
突然変異は特定遺伝子の対立遺伝子の一方にあっても両方にあってもよい。
【0225】
好ましくは、内皮細胞からのtPAの放出速度を低減させる、tPA遺伝子座における突然変異である。
【0226】
突然変異の組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、当業界で知られた好ましい方法によって確認することができる。例えば、tPA遺伝子座の特定の突然変異が内皮細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低減させる能力は、突然変異を有する内皮細胞をインビトロで培養し、内皮細胞からのtPA放出速度を決定し、更に前記細胞を新鮮な媒体で洗浄し、その媒体へのtPAの放出速度の時間変化の程度を野生型内皮細胞と比較して決定することにより、決定することができる。内皮細胞からのtPAの放出を誘起するためには、当業界において内皮細胞からのtPAの分泌を誘起することが知られているトロンビンやカルシウムイオノホア等の剤を用いることができる。インビトロにおいて内皮細胞からのtPAの放出を誘起する好ましい方法はRosnobletら、(1999)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19(7):1796〜803に記載されている。
【0227】
酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えばTintElize(R)t−PA、BiopoolAB)によって全tPA抗原を定量することができる。この種のアッセイは二重抗体原理を基礎とする。遊離tPAとtPA−インヒビター複合体とは同程度の効率で検出される。
【0228】
細胞中の突然変異はtPA遺伝子座の上流領域に存在する突然変異であることが好ましい。更に好ましくは、突然変異はtPA遺伝子座のエンハンサーエレメントにおける突然変異である。最も好ましくは、突然変異はtPA遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である。
【0229】
−7351位のシトシンからチミンへの突然変異は、tPA遺伝子座の対立遺伝子に一方にあっても両方にあってもよい。
【0230】
従って、本発明はまた、好ましい形態において、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子の−7351位にシトシンからチミンへの多型を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法を提供する。
【0231】
最も好ましくは、−7351位のシトシンからチミンへの突然変異は、tPA遺伝子座の対立遺伝子に両方に存在する。
【0232】
細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤の能力は、細胞に作用させる剤の濃度に依存することは理解されよう。従って、剤を好ましい濃度で細胞に作用させて、その濃度における細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる能力を調べる。
【0233】
内皮細胞からのtPAの放出速度向上剤としては、モノナトリウム[2-(6-ヒドロキシナフタレン−2−イル)−6−メチル−ピリジン−4−イルオキシ]アセテートジハイドレート(JTV−926)(Ueshimaら、(2002) "Function of tissue-type plasminogen activator releaser on vascular endotherial cells in thrombolysis in vivo" Thrombosis Haemostasis 87:1069〜74)が知られている。
【0234】
細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度は、当業界で知られた好ましい方法によって決定することができる。例えば、ある剤が内皮細胞からのtPAの放出速度を変化させる能力は、内皮細胞をインビトロで培養し、内皮細胞からのtPA放出速度をその剤の存在又は非存在下において決定する。放出速度を決定するには、前記細胞を新鮮な媒体で洗浄し、その媒体へのtPAの放出速度の時間変化の程度を決定する。内皮細胞からのtPAの放出を誘起するためには、当業界において内皮細胞からのtPAの放出を誘起することが知られているトロンビンやカルシウムイオノホア等の剤を用いることができる。インビトロにおいて内皮細胞からのtPAの放出を誘起する好ましい方法はRosnobletら、(1999)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19(7):1796〜803に記載されている。
【0235】
酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えばTintElize(R)t−PA、BiopoolAB)によって全tPA抗原を定量することができる。この種のアッセイは二重抗体原理を基礎とする。遊離tPAとtPA−インヒビター複合体とは同程度の効率で検出される。
【0236】
tPA放出速度向上剤は、その効果をtPA放出速度に関して比較して特定することができる。比較対象は、剤が存在しない場合の放出速度及び従来のtPA放出速度向上剤(例えばJTV−926)である。このようにして特定された、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大する剤は、被験者が虚血性発作(特にラクナー発作)又は小血管閉塞に罹る可能性を低減するために被験者に投与するための化合物候補である。
【0237】
本発明はまた、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は、(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の全部又は一部を形質転換した細胞であって、前記形質転換した遺伝子座は−7351位にシトシンからチミンへの突然変異を含み且つ前記形質転換した遺伝子座はレポーター遺伝子の発現を制御する細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルを決定する段階と、(c)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を特定する段階と、(d)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法を提供する。
【0238】
本発明の本形態は、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法に関する。このようにして特定された剤は、被験者が虚血性発作(特にラクナー発作)又は小血管閉塞に罹る可能性を低減するために被験者に投与するための化合物候補である。
【0239】
本細胞は、−7351位にシトシンからチミンへの突然変異を有し且つ好ましいレポーター遺伝子の発現を制御する組織プラスミノーゲン遺伝子座の全部又は一部を形質転換した細胞のいずれかである。
【0240】
形質転換できる好ましい細胞の例としては、内皮細胞(例えばHUVEC、ウシ大動脈内皮細胞等)やHeLa細胞が挙げられる。
【0241】
好ましくは、形質転換細胞は内皮細胞である。更に好ましくは、形質転換細胞はヒト内皮細胞である。最も好ましくは、内皮細胞はHUVECである。
【0242】
レポーター遺伝子の発現を駆動するtPA遺伝子座の全部又は一部をコードするDNAは適切なヒトゲノムクローンから誘導することができ、そのクローンは当業界で知られた好ましい方法で製造される。
【0243】
例えば、−7351位にC〜T突然変異を有するtPA遺伝子座は、当該ゲノムDNAを制限酵素(例えばSau 3A1)でDNAを部分消化し、ラムダ若しくはコスミッドベクター(Sambrook J, Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York. (1989)に記載)へショットガンクローニングすることによりクローニングすることができる。このライブラリーは適切なプローブ(例えばラベルされたオリゴヌクレオチド又はtPA遺伝子座の上流領域から得たニック翻訳断片)を用いてスクリーンされることにより適切なクローンと単離することができる(Sambrookら、(1998)に記載)。
【0244】
また、tPA遺伝子座の全部又は一部は、ゲノムDNAから適切なプライマーを用いてPCR増幅により発生させることができる(Dieffenbach, C. W. and G. S. Dveksler (1995) PCR Primer, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N. Y.に記載)。
【0245】
組織プラスミノーゲン遺伝子座の一部をレポーター遺伝子発現の制御に用いる場合には、tPA遺伝子座の一部における内皮細胞において適切な発現を制御する能力が決定される。例えば、組織プラスミノーゲン遺伝子座の一部がトロンビン又はカルシウムイオノホアの処理に応答してレポーター遺伝子の発現を誘起する能力が決定される。
【0246】
続いてクローニング領域を含むDNAを標準的なクローニングプロトコールにより適切なレポーター遺伝子に融合させることができる(Sambrook, J, Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York.(1989)に記載)。
【0247】
好ましいレポーター遺伝子に例としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、緑蛍光タンパク質(及びその変異種)及びルシフェラーゼが挙げられる。
【0248】
レポーター遺伝子構築物の内皮細胞へのトランスフェクションは、グリセロールショックを含めたリン酸カルシウム沈澱法を含む当業界で知られた好ましい方法により行うことができる(Sambrook, J, Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York.(1989)に記載)。曝露後の細胞を収穫することができ、レポーター遺伝子活性の相対的変化を定量することができる。
【0249】
tPA遺伝子座から駆動される発現を誘起するためには、トロンビン又はカルシウムイオノホア等のtPAの放出を誘起することが当業界で知れれた剤を使用することができる。好ましい方法は、Rosnobletら、(1999) Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19 (7):1796〜803に記載されている。
【0250】
トランスフェクションの効率は、サイトメガロウイルスプロモーターやlacZ遺伝子構築物等の適切な制御構築物を細胞にコトランスフェクトさせることにより評価することもできる。続いてβ−ガラクトシダーゼアッセイを、Sambrook, J, Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York.(1989)に記載されているとおりに行うことができ、トランスフェクション効率の直接的指標を得ることができ、種々の実験においてレポーター遺伝子活性をノーマライズするために用いる。
【0251】
続いて、レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤の細胞からのtPA放出速度を増大させる能力を調べる。レポーター遺伝子の発現を増大させる剤の能力は、細胞に作用させる剤の濃度に依存することは理解されよう。従って、剤を好ましい濃度で細胞に作用させて、その濃度におけるレポーター遺伝子の発現を増大させる剤の能力を調べる。
【0252】
剤が有する細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる能力は、当業界で知られた好ましい方法によって確認することができる。例えば、内皮細胞(tPA遺伝子座の−7351位にC〜T突然変異があっても無くても)からのtPAの放出速度向上剤の能力は、内皮細胞をインビトロで培養し、剤の存在下及び非存在下における内皮細胞からのtPA放出速度を決定することにより決定することができる。放出速度を決定するには、前記細胞を新鮮な媒体で洗浄し、その媒体へのtPAの放出速度の時間変化の程度を決定する。内皮細胞からのtPAの放出を誘起するためには、当業界において内皮細胞からのtPAの分泌を誘起することが知られているトロンビンやカルシウムイオノホア等の剤を用いることができる。インビトロにおいて内皮細胞からのtPAの放出を誘起する好ましい方法はRosnobletら、(1999)Arterioscler Thromb Vasc Biol. 19(7):1796〜803に記載されている。
【0253】
酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えばTintElize(R)t−PA、BiopoolAB)によって全tPA抗原を定量することができる。この種のアッセイは二重抗体原理を基礎とする。遊離tPAとtPA−インヒビター複合体とは同程度の効率で検出される。
【0254】
内皮細胞からのtPAの放出速度向上剤としては、モノナトリウム[2-(6-ヒドロキシナフタレン−2−イル)−6−メチル−ピリジン−4−イルオキシ]アセテートジハイドレート(JTV−926)(Ueshimaら、(2002) "Function of tissue-type plasminogen activator releaser on vascular endotherial cells in thrombolysis in vivo" Thrombosis Haemostasis 87:1069〜74)が知られている。
【0255】
本発明はまた、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる剤を用いて治療するために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの多型の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0256】
被験者は、男性か女性のヒト被験者のいずれかであり、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる剤を用いて治療することが有益であろう被験者である。好ましい被験者はコーカソイド起源のヒトである。
【0257】
この点に関し、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる剤を用いる治療が役に立つであろう被験者は、虚血性発作又は小血管閉塞にリスクが高い、特にラクナー発作にリスクが高い被験者である。
【0258】
好ましくは、治療に好適な被験者は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの多型を有する。
【0259】
従って、本発明はまた、好ましい形態において、組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大させる剤を用いて治療するために好適な被験者を特定する方法であって、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの多型の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法を提供する。
【0260】
内皮細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度向上剤の一例は、モノナトリウム[2-(6-ヒドロキシナフタレン−2−イル)−6−メチル−ピリジン−4−イルオキシ]アセテートジハイドレート(JTV−926)(Ueshimaら、(2002) "Function of tissue-type plasminogen activator releaser on vascular endotherial cells in thrombolysis in vivo" Thrombosis Haemostasis 87:1069〜74)である。
【0261】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者における特定は、当業界で知られた好ましい方法により行うことができる。
【0262】
DNAは被験者から当業界で知られている好ましい方法によって単離することができる。被験者の静脈全血からゲノムDNAを単離する好ましい方法は、Millerら、(1988) Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載されている。
【0263】
組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在の特定は、DNA塩基配列決定法(マニュアル或いは自動蛍光塩基配列決定)を用いて突然変異を検出することができる。
【0264】
DNA配列分析を用いて突然変異を特定する場合には、一対立遺伝子に突然変異の存在が見出されるということは(即ち被験者が突然変異についてヘテロ接合性)、DNA配列中の関連する位置に二個のヌクレオチド(C及びT)が存在することとなる。正常な対立遺伝子に対してホモ接合性、或いは突然変異に対してホモ接合性である、被験者から取り出したDNA配列であれば、DNA配列中の関連する位置において相当する一ヌクレオチドのみを得ることとなる。
【0265】
突然変異の塩基配列決定のための好ましいテンプレートを提供するには、被験者から単離されたゲノムDNAの領域を適切に設計したプライマーを用いて増幅することができる。適切なプライマーとの配列決定反応及びDNA配列の分析は当業界で知られた好ましい方法によって行うことができる。増幅の好ましい領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0266】
突然変異の存在は、被験者から単離されたDNAから野生型対立遺伝子又は突然変異を有する対立遺伝子のいずれかのみを増幅する配列特異的プライマーを用いて決定することができる。繰り返すが、WT及びSNPプライマーでの増幅に好ましいtPA遺伝子座の領域は、配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の領域である。
【0267】
好ましくは、正常−7351配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号3(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′)であり、−7351C〜T多型配列を有するtPA遺伝子座の領域を増幅するために用いるプライマーは配列番号2(5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′)及び配列番号4(5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′)である。これらプライマーでtPA遺伝子座を増幅するための好ましい反応条件は、PTC-200ペルチエサーマルサイクラー(MJ Research)を次のPCRサイクルパラメータで使用することを含む:96℃で25秒、70℃で45秒及び72℃で45秒(5サイクル);96℃で25秒、65℃で50秒及び72℃で45秒(21サイクル);96℃で25秒、55℃で60秒及び72℃で125秒(4サイクル)。
【0268】
増幅生成物は当業界で知られている好ましい方法により検出することができる。例えば、増幅生成物をアガロースゲル上に展開し、エチジウムブロミドで染色し視覚化することができる。
【0269】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含むことが好ましい。
【0270】
突然変異の特定は、被験者から単離・誘導した核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することも含むことが好ましい。
【0271】
本発明はまた、被験者の小血管閉塞に関連する疾病又は状態の治療方法であって、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法を提供する。
【0272】
被験者は、小血管閉塞に関連する疾病又は状態に罹りやすい若しくは罹患している被験者のいずれかである。
【0273】
従って、本発明は他の形態において、小血管閉塞に関連する疾病又は状態に罹りやすい被験者の治療方法であって、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法を提供する。
【0274】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態の例としては、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンスが挙げられる。
【0275】
好ましくは、小血管閉塞に関連する疾病又は状態は脳内に発生し、ラクナー発作を含む
【0276】
従って、本発明はまた、好ましい形態において、被験者のラクナー発作の治療方法であって、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法を提供する。
【0277】
本発明は他の形態において、ラクナー発作に罹りやすい被験者の治療方法であって、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法を提供する。
【0278】
この剤は、被験者に投与した際にtPAの放出速度を増大可能な剤である。tPAの放出速度を増大可能な剤の一例は、モノナトリウム[2-(6-ヒドロキシナフタレン−2−イル)−6−メチル−ピリジン−4−イルオキシ]アセテートジハイドレート(JTV−926)(Ueshimaら、(2002) "Function of tissue-type plasminogen activator releaser on vascular endotherial cells in thrombolysis in vivo" Thrombosis Haemostasis 87:1069〜74)である。
【0279】
被験者に投与されるべきtPA放出速度向上剤の有効量は、その剤が一般に薬理的有用性又は治療効果を示す量や形態の範囲内にある限り、特に限定されない。
【0280】
これに関し、tPA放出速度向上剤の有効量は、被験者内で達成されるべきtPA放出速度の増加程度、治療されるべき小血管閉塞関連疾病や小血管閉塞関連状態の種類、被験者の年齢及び体重、投与頻度、及びその他活性剤の存在を考慮して、適切に選択されうる。
【0281】
tPA放出速度向上剤の投与は、被験者のtPA放出速度向上という点で所望の効果を生じさせるのに適切であれば如何なる時に行っても良く(within any time)、剤は、経口、非経口或いはその他適切な手段により投与される。その際、薬物の移行時間(transit time)を考慮すべきである。
【0282】
tPA放出速度を向上させる剤の投与においては、投与されるtPA放出速度向上剤の実際の物理的、化学的特性を考慮し、医薬的に許容される塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー類、溶剤、緩衝剤、賦形剤、増量剤等、医薬的に許容される添加剤の一種以上を使用することができる。
【0283】
例えば、tPA放出速度向上剤は、水性液、油性調製物、脂肪エマルジョン、エマルジョン、ゲル等の各種製薬形態に製剤することができる。これらの製剤は、筋注剤や皮下注射剤、臓器への注射剤、或いは包埋剤の他、鼻腔、直腸、子宮、膣、肺等の経粘膜剤として投与することができる。このような組成物は、経口薬(例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ、乳剤、懸濁剤等の液状製剤)として投与しても良い。tPA放出速度向上剤を含有する組成物は、保存剤、或いは安定剤、分散剤、pH調整剤、等張剤を含有することができる。保存剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、フェノール、ベンジルアルコール等が好ましい。安定剤としては、デキストラン、ゼラチン、α−トコフェロール酢酸、或いはα−チオグリセリン等が好ましい。好適な分散剤としては、ポリオキシエチレン(20)やソルビタンモノオレエート(Tween80)、ソルビタンセスキオレエート(Span30)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(Pluronic F68)、ポリオキシエチレン水添ひまし油60等が挙げられる。好適なpH調整剤としては、塩酸や水酸化ナトリウム等が挙げられる。好適な等張剤としては、グルコースやD−ソルビトール、D−マンニトール等が挙げられる。
【0284】
tPA放出速度向上剤の投与は、tPA放出速度向上剤の物理的性質及び化学的性質を考慮し、薬学的に許容される担体や希釈剤、賦形剤、懸濁剤、滑沢剤、補助剤、ビヒクル、送達系、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、矯臭剤、矯味剤を含有する組成物の形態で行うこともできる。
【0285】
上述の目的のため、組成物は経口的或いは非経口的に、非毒性の薬学的に許容される従来の担体を含有する剤形で埋込み型容器(implanted reservoir)を介して吸入スプレー、吸着、吸収、局所的、経直腸的、経鼻的、口腔的、経膣的、経心室的(intraventricularly)に投与することができ、或いは他の都合のよい剤形によって投与することができる。本明細書において非経口的という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内での注射或いは注入技法を含む。
【0286】
非経口投与の場合、組成物は通常、薬学的に許容される担体と組み合わせ、単位投与量の滅菌注射剤形態(溶液、懸濁液或いはエマルジョン)とされるが、これはレシピエントの血液と等張であることが好ましい。このような滅菌注射剤形態としては、滅菌した注射用水性懸濁液或いは油性懸濁液を挙げることができる。このような懸濁液は、当業界で公知の技法に従い、好適な分散剤或いは湿潤剤、及び懸濁液を用いて調製できる。滅菌注射剤形態はまた、非毒性で非経口的に許容される希釈剤或いは溶媒の滅菌した注射用溶液或いは懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)であってもよい。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒としては、水や生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、等張塩化ナトリウム溶液、ハンクス溶液を挙げることができる。なお、溶媒や懸濁化媒体としては従来、滅菌した固定油が用いられている。この目的のため、無刺激性の固定油であれば如何なるものでも用いることができ、合成モノグリセリド類や合成ジグリセリド類、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ごま油等を挙げることができる。エチルオレエートやイソプロピルミリステート、オレイン酸とそのグリセリド誘導体(例えば、オリーブオイルやひまし油、特にこれらがポリオキシエチレン化されたもの)等の脂肪酸が注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液或いは油性懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤或いは分散剤を含有していてもよい。
【0287】
担体は微量の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては溶解性や等張性、化学的安定性を向上させる物質(例えば抗酸化剤や緩衝剤、保存剤)等が挙げられる。
【0288】
経口投与の場合、従来の装置及び当技術分野において公知の技法を用いて、組成物は通常、錠剤やカシェ剤(cachets)、粉末、顆粒、ビーズ、チュアブルロゼンジ(chewable lozenges)、カプセル、液状、水性懸濁液、水性溶液等の単位投与量の剤形、その他の剤形に調製される。このような形状は通常、固形担体や半固形担体、液状担体を含む。担体の例としては、ラクトースやデキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、ミネラルオイル、ココアバター、テオブロマ油(oil of theobroma)、アルギン酸、トラガカント、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0289】
錠剤は、活性成分を、必要に応じ一以上の補助成分と共に圧縮や成型に付すことにより製造される。圧縮錠剤は、適切な機械を利用して、粉末や顆粒等の自由流動形態にある活性成分を必要に応じ結合剤や潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、分散剤等と混合した上で、圧縮することによって調製される。成型錠剤は、適切な機械を利用して、粉状の活性成分と不活性希釈剤液で湿らせた適切な担体との混合物を成型することによって製造される。
【0290】
tPA放出速度向上剤の投与にあたっては、放出速度制御技術も利用することができる。tPA放出速度向上剤は、徐放性医薬として投与することもできる。徐放効果を更に高めるため、本組成物は、植物油(例えば大豆油、ごま油、ツバキ油、ひまし油、ピーナツ油、菜種油)や中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸エステル(エチルオレエートなど);ポリシロキサン誘導体等の付加的成分と共に、或いはヒアルロン酸やその塩(重量平均分子量:約80,000〜2,000,000)、カルボキシメチルセルロース−Na(重量平均分子量:約20,000〜400,000)、ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液の粘度:3〜4,000cps)、アテロコラーゲン(重量平均分子量:約300,000)、ポリエチレングリコール(重量平均分子量:約400〜20,000)、ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量:約100,000〜9,000,000)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1%水溶液の粘度:4〜100,000cSt)、メチルセルロース(2%水溶液の粘度:15〜8,000cSt)、ポリビニルアルコール(粘度:2〜100cSt)、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:25,000〜1,200,000)等の水溶性高分子化合物と共に製剤化することができる。
【0291】
あるいは、本tPA放出速度向上剤は、幾日かの期間に亘り制御された放出を持続させるため、疎水性のポリマーマトリックスに担持させることもできる。本発明組成物は次いで固形インプラントや外用の貼付剤等、該tPA放出速度向上剤の効果発現濃度を、再投与を頻繁に行う必要なしに、長期間に亘って達成するのに適切な形態に成型される。このような制御放出フィルムについては当技術分野で周知である。この目的のために用いることができる広く利用されているポリマーの他の例としては、非分解性エチレン−酢酸ビニル共重合体や分解性乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられ、これらは外用や内用に用いることができる。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)やポリ(ビニルアルコール)等、或る種のヒドロゲルも有用であるが、これらは上に述べたポリマーなど他のポリマー放出系より短い放出サイクルに用いられる。
【0292】
担体もまた、適切な時間放出特性と放出動力学を有する、固形の生分解性ポリマーや複数の生分解性ポリマーの混合物とすることができる。組成物は次いで、該tPA放出速度向上剤の効果発現濃度を、再投与を頻繁に行う必要なく、長期間に亘って達成するのに適切な固形インプラント形態に成型される。tPA放出速度向上剤は、当業者に知られた何らかの適切な方法によって生分解性ポリマーや複数の生分解性ポリマーの混合物に添加することができ、生分解性ポリマーと共に均一なマトリックスを形成させたり、或いは該ポリマー内に何らかの方法で包埋させることができる。また、成型によって固形インプラントとすることもできる。
【0293】
以下、上述の本発明の一般原則を具現化する実験について例示する。しかしながら、次の記載は上の記載の一般性を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0294】
実施例1
ゲノムDNAの単離
ゲノムDNAは、Miller,S.A.、D.D.Dykes、H.F.Polesky(1988)による「ヒト有核細胞からの抽出のための簡単な塩析技法 (A simple salting out procedure for extracting from human nucleated cells)」、Nucleic Acids Research 16(3):1215に記載の手順に従い、静脈全血6mLから単離した。
【0295】
実施例2
オリゴヌクレオチドプライマー
2種の対立遺伝子特異的リバースプライマーの配列は次の通りである:
SNPプライマー:5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCG−3′(配列番号3)
WTプライマー:5′−ATGGCTGTGTCTGGGGCA−3′(配列番号4)
フォワードコンセンサスプライマー:5′−ATTGGCGCAAACTCCTCACA−3′(配列番号2)
【0296】
DNA配列中の各プライマーの相対位置を図1に示す。これらのプライマーにより、tPA遺伝子の405塩基対のDNA増幅フラグメント(GenBank受託番号Z48484の1840〜2245のヌクレオチド;配列番号1)が得られる。
【0297】
HLA−DRB3遺伝子の600bpフラグメントをコードする2種のポジティブ対照プライマーの配列は次の通りである。
フォワード(センス)プライマー:5′−TGCCAAGTGGAGCACCCAA−3′
リバース(アンチセンス)プライマー:5′−GCATCTTGCTCTGTGCAGAT−3′
【0298】
オリゴヌクレオチドプライマーはいずれもGeneworks Pty Ltd.製のものを用いた。各プライマーは、オートクレーブで滅菌した脱イオン水で使用形態に戻し、最終濃度を2000μg/mLとした。
【0299】
実施例3
遺伝子型の決定
tPA遺伝子の405塩基対DNAフラグメント(GenBank受託番号Z48484;配列番号1の1840〜2245のヌクレオチド)は、Bunce,M.、C.M.O′Neill、M.C.Barnardoら(1995)による、「フォトタイピング:PCR-SSPを利用して144種のプライマーミックス (primer mixes) でPCRを行う、HLA-A,B,C,DRB1,DRB3,DRB4,DRB5とDQB1のための明解DNAタイピング (Phototyping:comprehensive DNA typing for HLA-A,B,C,DRB1,DRB3,DRB4,DRB5&DQB1 by PCR with 144 primer mixes utilizing sequence-specific primers (PCR-SSP))」、Tissue Antigens 46(5):p.355〜367に記載の方法に従って、配列特異的プライマーポリメラーゼ連鎖反応法(PCR−SSP)を用いて増幅した。
【0300】
PCR−SSPの特異性は、標的DNA配列とプライマーの3′末端ヌクレオチドとのマッチングによる。従ってPCRサイクルにおいては、プライマーとDNAテンプレート(多型ヌクレオチドを含む)とがマッチングした場合のみ、Taqポリメラーゼによる増幅反応が正常に行われる。この原理を利用して、マッチングする3′末端ヌクレオチドを多型部位に有するようなオリゴヌクレオチドプライマーを特異的に作製できる。安定な非多型領域(DNA配列上流或いは下流の約300〜400塩基対)と相補的なコンセンサスプライマーによって、一塩基多型(SNP)を含むセグメントを増幅できる。所定のPCR条件下では、標的DNAセグメントは、対立遺伝子特異的なプライマーとコンセンサスプライマーのいずれもがDNAテンプレートと相補的である場合にのみ増幅される。従って、snpの有無については、ゲル電気泳動を行いエチジウムブロマイド添加により発色させてPCR産物を検出し判定できる。Taqポリメラーゼがエキソヌクレアーゼ活性を欠き、そのためプライマーの3′末端ヌクレオチドのミスマッチを修正できないことから、PCR−SSPを効果的に利用することができる。
【0301】
この方法により、多重PCR (PCR multiplexing) を容易に行うことができる。多重PCRでは、更なる他の2種のプライマー(これらは或る別のDNA部位に相補的である)を同一反応ミックスに含有させて添加する。この研究においては、HLA−DRB3遺伝子から600bpDNAフラグメントを生じさせる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを各PCR−SSP反応で増幅させポジティブ対照として用いて、失敗したPCR反応をネガティブPCR反応と弁別できるようにした。このような対照がなければ、ホモ接合性を示す結果(即ち、野生型対立遺伝子におけるネガティブ反応)はいずれも信頼性を欠くものとなろう。本法の別の重要な特徴は、プライマーの設計によって、多数の小ボリュームPCR反応(各反応は或る対立遺伝子に特異的である)が同一のPCRサイクル条件下で起こるということである。本研究における遺伝子タイピングは、96ウェルPCRプレートを用いて行った。
【0302】
(i)SSP−PCRの試薬
試薬 サプライヤー
硫酸アンモニウム BDHラボラトリーサプライズ
(BDH Laboratory Supplies)
AmpliTaqDNAポリメラーゼ アプライドバイオシステムズ
(5U/μL) (Applied Biosystems)
クレゾールレッド溶液(10mg/mL) フルカ (Fluka)

dnTP′s(ヌクレオチド) アプライドバイオシステムズ
(Applied Biosystems)
塩化マグネシウム(25mM) アプライドバイオシステムズ
(Applied Biosystem)

Trizma Base シグマケミカルズ(Sigma Chemicals)
Tween20 BDHラボラトリーサプライズ
(BDH Laboratory Supplies)
【0303】
(ii)オリゴヌクレオチドプライマーの調製
HLA−DRB3ポジティブ対照プライマー含有プライマーストック液は次のプロトコルを用いて作製した。
オートクレーブ滅菌した脱イオン水8mL
クレゾールレッド50μL
HLA−DRB3フォワードプライマー20μL
HLA−DRB3リバースプライマー20μL
【0304】
クレゾールレッドは、酸性のDNAに接すると色が変わる酸塩基指示薬(ピンク色に変わる)であり、これを用いてDNAのコンタミネーションを視覚的に確認できる。この対照用プライマーストック液を1.5mLエッペンドルフチューブに分注し、対立遺伝子特異的プライマー及びコンセンサスプライマーと合わせ最終体積を1mLとする。
【0305】
次に、96ウェルPCRプレートの各ウェルに各プライマーミックス(5μL)を入れた。パラフィン油(10μL)を各ウェルに添加し、PCRのサーマルサイクルにおけるプライマーと試薬の蒸発が最小限となるようにした。
【0306】
tPA−7351C/Tsnp用のプライマーミックスは、対立遺伝子特異的プライマー(10μL)、コンセンサスプライマー(10μL)、対照プライマーストック液(980uo)を混合し次のように調製した。
【0307】
(iii)試薬ミックス
10×PCRバッファー
Tris Base(40.568g)をオートクレーブした水(400mL)に溶解させる。
濃塩酸でpHを8.9に調整する。
得られた溶液に硫酸アンモニウム(10.96g)を溶解させる。
オートクレーブする。
Tween20(5mL)とオートクレーブした水を添加し500mLとする。
10×dnTP
100mM dATP60μL
100mM dCTP60μL
100mM dTTP60μL
100mM dGTP60μL
オートクレーブ処理済み脱イオン水5760μL
TMDH混合物
10×PCRバッファー6mL
10×dNTP6mL
25mM 塩化マグネシウム5.1mL
オートクレーブ処理済み脱イオン水6mL
【0308】
PCR溶液は次のプロトコルに従って調製した。
TMDH100μL
オートクレーブ処理済み脱イオン水57μL
AmpliTaqDNAポリメラーゼ(5U/μL)0.85μL
DNA(1μg/μL)3μL
【0309】
次に、対立遺伝子特異的プライマーを含有する各ウェルにDNA溶液(8μL)を添加した。色の変化(クレゾールレッドによってピンク色に変化)から、PCR反応ミックスs中のDNAの存在が確認された。
【0310】
(iv)PCRサーマルサイクル
PCRは、PTC−200 Peltier Thermal Cycler(MJ Research)を用いて行った。PCRサイクルのパラメータは次のようにした。
96℃で25秒、70℃で45秒、72℃で45秒のサイクルを5回;
96℃で25秒、65℃で50秒、72℃で45秒のサイクルを21回;
96℃で25秒、55℃で60秒、72℃で125秒のサイクルを4回
【0311】
SSP−PCR産物は、2%アガロースゲル上エチジウムブロマイドを添加し発色させて解析した。高解像度デジタル写真を撮り、遺伝子カウンティングによって遺伝子型を判定した。被験者を代表する3名の増幅産物の例を図2に示す。上方の増幅バンドはHLA−DBR3が増幅されたバンドである。下方の増幅バンドはtPA対立遺伝子特異的な増幅産物である。図2において、被験者76はCCホモ接合性、被験者77はTTのホモ接合性、被験者78はCTのヘテロ接合性である。
【0312】
テストの信頼性を保証するため、遺伝子タイピングはDNAの出所を知らされていない技術者2名によって独立して行った。結果は100パーセント一致した。
【0313】
実施例4
統計学的解析
本研究で得られたデータの統計学的解析はStataの統計ソフトウェアを用いて行った(バージョン7.0、米国、テキサス州、カレッジステーション)。各症例と各対照間のベースライン特性は、カテゴリ変数についてはカイ二乗検定を用い、連続型変数については両側t−検定を用いて解析を行った。tPA−7351C/T遺伝子型と虚血性発作との間の関連の強さについては、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。公知危険因子の相対的な関連の強さについても同様の方法で求めた。二変量カイ二乗解析を用いて、tPA−7351C/T遺伝子型と従来知られている各危険因子との関係について調べた。これにより、無条件のロジスティック回帰モデルに組込まれた重要な交絡変数が同定され、tPA−7351C/T多型に関連する虚血性発作の危険率を決定できた。最後に、虚血性発作サブタイプについて層状とした多変量解析を行った。両側のp値については<0.05を有意とした。
【0314】
実施例5
被験者の選択
南オーストラリア州の州都アデレードにある主要5病院のうちの1施設に急性虚血性発作で入院していた201名の患者について、本研究への参加を打診したところ182名(90.5%)の患者が承諾した。このうち137名(75%)は、初めての虚血性発作で受診した患者であった。
【0315】
虚血性発作の診断は、世界保健機構(WHO)による定義(Hatono,S.(1976)「多施設発作記録からの経験:予備的報告書 ("Experience from a multicentre stroke register:a preliminary report" Bull WHO 54:541-553)に記載」に準拠し、神経科医が脳コンピュータ断層撮影法(CT)或いは磁気共鳴映像法(MRI)を行うことで下された。虚血性発作は、Oxfordshire Community Stroke Project (OCSP)による分類システム(Bamford,J.,P. Sandercock,M.Dennisら、(1991)「臨床的に特定可能な脳梗塞のサブタイプの分類と自然史 "Classification and natural history of clinically identifiable subtypes of cerebral infarction"」Lancet 337(8756):1521〜1526)を用いて次の4カテゴリーにサブタイピングした。即ち、(a)全身性前方循環症候群(Total anterior circulation syndrome);(b)部分前方循環症候群(Partial anterior circulation syndrome);(c)後方循環症候群(Posterior circulation syndrome);(d)ラクナー症候群である。発作のサブタイプは、脳CT或いはMRIの結果を用いて確認した。
【0316】
対照グループは、大都市アデレード在住の入院中でない301名からなり、脳血管疾患の個人歴のないグループとした。対照は、南オーストラリア州の電子電話帳から無作為抽出により選択し、年齢と性別を患者と合わせた(年齢については5年の年齢差内に収まるように)。
【0317】
インフォームドコンセントの後、被験者と面接し人口統計学的(demographic)情報を記録した。高血圧や高コレステロール血症、糖尿病等の脳血管疾患の経歴が報告されている場合や、検査の時点でこれらの各症状についての治療を個々の被験者が受けている場合には、これら疾患の危険因子が存在すると考えた。心電図をとり心房細動の有無を判定した。最近5年以内にシガレット或いはタバコを常用していた被験者を喫煙者とみなした。一親等血縁者の発作歴も記録した。本研究は、North West Adelaide Health Service Ethics Committeeにより承認された。
【0318】
実施例6
虚血性発作患者と健常対照の人口統計学的特性及び各危険因子保持率
182名の虚血性発作症例と301名の対照について、人口統計学的特性及び脳血管疾患危険因子保持率を表1に示した。本研究では症例と対照の年齢及び性別を合わせたため、これら変数(即ち年齢と性別)について2グループ間に差は見られなかった。本研究の母集団の大部分はコーカソイド起源であったため、症例と対照との間の差は統計的有意差に関与しない。調査を行った公知の危険因子のうち、心房細動は、虚血性発作の最高危険率と関連付けられ、虚血性発作症例での23%に対し、対照で有した者は3%であった(OR8.5、95%CI 4.1〜17.4)。最近5年間の喫煙歴(OR3.1、95%CI 1.9〜5.2)と糖尿病(OR2.7、1.6〜4.4)についても、虚血性発作と有意な関連性が見られた。高血圧保持率は対照よりも症例において高かったが、統計的に有意な差ではなかった。一親等血縁者の発作歴或いは高コレステロール血症と虚血性発作との関連性は見られなかった(表1)。
【0319】
【表1】

【0320】
実施例7
虚血性発作患者と健常対照におけるtPA−7351多型の保持率
静脈血サンプリング前に2名の患者が死去したため、これらの症例については遺伝的解析(実施例3に記載)を実施できなかった。
【0321】
表2は、残りの180名の虚血性発作の症例と301名の対照におけるtPA−7351C/T多型(図1に示す)の保持率を示す。対照グループのうち46%がC対立遺伝子(CC)のホモ接合性であり、45%がヘテロ接合性(CT)、9%がT対立遺伝子のホモ接合性(TT)であった。虚血性発作の集団において各遺伝子型の分布は、41%(CC)、46%(CT)、13%(TT)であった。CTとTT遺伝子型の保持率は、発作症例で対照より高い値を示したが、単変量解析において統計的に有意ではなかった。公知危険因子について調整を行い、TT遺伝子型が虚血性発作の有意且つ独立した予測因子であることが判明した(OR1.9、95%CI 1.01〜3.6、p<0.05)。
【0322】
【表2】

【0323】
実施例8
発作のサブタイプについて層別化した患者と対照におけるtPA−7351C/T遺伝子型の分布
発作のサブタイプについて層別化した患者と対照におけるtPA−7351C/T遺伝子型の分布を表3に示す。虚血性発作の患者のうち44名(24.5%)がラクナー発作に分類された。このサブグループにおいては、TTホモ接合性状態が単変量解析でラクナー発作と有意に関連していた(OR2.6、95%CI 1.1〜6.4、p<0.05)。無条件のロジスティック回帰モデルを用いて公知の危険因子の調整を行った後も得られた結果の有意性は変わらなかった(表3)。CT遺伝子型はラクナー発作との統計的に有意な関連性を示さなかったが、T対立遺伝子と発作リスクとの保持に関し用量依存的効果が見られた(CC OR1.0、CT OR1.1、TT OR2.7)。これに対して、tPA−7351C/T遺伝子型と非ラクナー発作の危険率との間に関連性は見られなかった。
【0324】
【表3】

【0325】
実施例9
細胞培養
(i)ウシ大動脈内皮細胞
ウシ大動脈内皮細胞は、ウシ胸部大動脈の内膜表面をそっと掻き取って採取し、これを培養フラスコ中、10%ウシ胎児血清(HyClone Laboratories、ユタ州ローガン)、5μg/mLデオキシシチジン、5μg/mLチミジン、1%ペニシリン−ストレプトマイシン及びファンギゾンを含有するダルベッコ変法イーグル培地F12を用いて維持できる。内皮細胞は、加湿された5%CO2インキュベーター中37℃で増殖させ2〜10代継代したものを使用できる。内皮細胞は、特徴的な形態をとることから確認可能であり、また1,1−ジオクタデシル−1−3,3,3′,3′−テトラメチルインドカルボシアニン(ジ−I)−アセチル化低密度リポプロテイン(Biomedical Technologies、マサチューセッツ州ストートン)でポジティブ染色しても確認できる。内皮細胞は、I型コラーゲンをコートした培養プレートでコンフルエントになるまで増殖させることができる。
【0326】
(ii)HUVEC
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、Jaffeら、(1973) J. Clin. Invest.52:2745〜2756に記載の方法により単離し、Van Hinsberghら、(1987)Arteriosclerosis ;389〜400の記載に従って培養できる。
【0327】
HUVECは、フィブロネクチンをコートしたディッシュを用いて、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)(20mM)、新生仔ウシ血清(非働化処理済み;10%(v/v))、ヒト血清(10%(v/v))、ヘパリン(5IU/mL)、内皮細胞増殖添加物(150μg/mL)、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で増殖させることができる。
【0328】
(iii)HeLa細胞
HeLa細胞は、HEPES(20mM)、ウシ胎児血清(非働化処理済み;8%(v/v))、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加したDMEM中で増殖させることができる。
【0329】
各種細胞はいずれも、5%CO2/95%空気雰囲気下37℃で増殖させ、培地は2〜3日毎に交換する。トリプシン/エチレンジニトリロ四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA)で処理し、HUVECとウシ大動脈内皮細胞ではスプリット比1:3で、HeLa細胞ではスプリット比1:10で継代培養する。内皮細胞は最大でも3継代とする。
【0330】
実験を行うにあたっては、実験日の前日に、コンフルエントな培養物からインキュベーション用培地(即ち、HUVECでは、ヒト血清(10%)、L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンを添加したDMEM;HeLa細胞では:L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンを添加したDMEM)に再度細胞をまき直して行う。
【0331】
実施例10
内皮細胞からのtPA放出の誘導
クレブスリンガー重炭酸塩バッファー(KRBH、120mmol/L NaCI、4.75mmol/L KCl、1.2mmol/L KH2PO4、0.6mmol/L MgS04、1.2mmol/L CaCl2、25mmol/L NaHCO3、25mmol/L HEPES、pH7.4)/BSA0.1%、pH7.4を用いて、24ウェルプレート中に増殖させたHUVECを3回洗浄し、KRBH/BSA(1mL)に30分間プレインキュベートさせ、次いで各0.5mLの新鮮なKRBH/BSAのみ、ヒトトロンビン(シグマ社)1NIH U/mL含有KRBH/BSA、カルシウムイオノホアA23187(シグマ社)2μmol/L含有KRBH/BSAを用いて再度30分間インキュベートを行う。細胞上清を遠心し、t−PA濃度測定まで−20℃で保存する。
【0332】
実施例11
内皮細胞に対するtPA上流領域のトランスフェクション
野生型配列(−7351C)或いは多型性配列(−7351T)のいずれかを有するtPA遺伝子座の全上流領域(+308まで)は、好適なヒトゲノムクローンから得るか、或いはゲノムDNAからPCR増幅により得ることができる。
【0333】
得られたDNAは次いで、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子とつなぎ合わせることができる。tPAプロモーター−CAT遺伝子構築物の内皮細胞へのトランスフェクションは、Sambrook,J、Fritsch,E.F.、Maniatis,T.によるMolecular Cloning:A′Laboratory Manual 2nd.ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York.(1989)の記載に従い、リン酸カルシウム沈澱法(グリセロールショックを含む)を用いて行うことができる。24時間後、プレートのコラーゲンコーティングを施したウェルにトランスフェクトされた細胞をまき、一晩インキュベートする。tPA放出誘導剤(トロンビン、カルシウムイオノホア等)に接触させた後、細胞を回収し、Sambrook,J、Fritsch,E.F.、Maniatis,T.によるMolecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd.ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York.(1989)の記載に従い、薄層クロマトグラフィーと液体シンチレーションカウンティングによって[14C]クロラムフェニコールのアセチル化産物への転換率を測定して、CAT活性の相対変化を定量する。
【0334】
トランスフェクション効率は、サイトメガロウィルスプロモーターとlacZ遺伝子構築物を内皮細胞にコトランスフェクトさせることにより評価できる。β−ガラクトシダーゼアッセイは、Sambrook,J、Fritsch,E.F.、Maniatis,T.によるMolecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd.ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York.(1989)の記載に従って行い、トランスフェクション効率の直接的指標を得ることができ、これを各種実験におけるCAT活性の標準化に用いる。
【0335】
実施例12
インビトロにおけるtPA放出速度の測定
ヒト臍帯静脈内皮細胞或いはウシ大動脈内皮細胞の培養物を、上述のようにコンフルエントに達するまで増殖させた。
【0336】
内皮細胞からのtPA放出速度の測定にあたり、培地を交換しtPA放出を誘導(トロンビンやカルシウムイオノホアを添加する等)して、培地中のtPA濃度を経時的にモニターするため全tPA量の定量を酵素結合免疫測定法(ELISA)(TintElize(R)t−PA、Biopool AB等)を用いて行った。このアッセイは、二重抗体の原理に基づく。
【0337】
tPA放出速度を求めるため、培地中のtPAの経時的な相対的増加量を算出した。
【0338】
実施例13
tPA放出速度を増大させる候補剤の試験
実施例9で述べたヒト臍帯静脈内皮細胞から、(i)tPA遺伝子座における正常な配列、(ii)−7351がCからTへ突然変異した1本の対立遺伝子、或いは(iii)−7351がCからTへ突然変異した2本の対立遺伝子を有するヒト内皮細胞を得ることができる。遺伝子型解析によりHUVECをスクリーニングし、正常tPA配列のホモ接合性細胞、−7351がCからTへ突然変異したヘテロ接合性細胞、或いはCからTへ突然変異したホモ接合性細胞の同定を行う。
【0339】
次いで、内皮細胞は候補化合物存在下、tPA放出を誘起するまで1、2、4、8、12、18、24時間の各時間培養する。試験のため、候補化合物の好適濃度を選択する。対照としてこれら化合物の非存在下における内皮細胞からのtPA放出の程度、そしてモノナトリウム[2−(6−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−6−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]アセテートジハイドレート(JTV−926)存在下における内皮細胞からのtPA放出の程度について試験を行う。JTV−926は、内皮細胞からのtPA放出速度向上剤として知られている(Ueshimaら、(2002)「生体内血栓溶解における組織型プラスミノーゲンアクチベータ放出剤の血管内皮細胞に対する機能 "Function of tissue-type plasminogen activator releaser on vascular endothelial cells in thrombolysis in vivo"」Thrombosis Haemostasis 87:1069〜74に記載)。
【0340】
実施例14
インビボにおけるtPA放出速度の測定
t−PA放出についての前腕部におけるインビボ実験は、健常者において、Jernら、(1999)Afferioscler.Jhromb Vasc.Biol.19(2):454〜459の記載に従って行うことができる。実験は一晩絶食後に行う。
【0341】
動脈用ポリエチレン製カテーテル(Viggo製、British Viggo)は、Seldingerの技法を用い、経皮的に利き腕でない方の上腕動脈から近位方向に10cm挿入する。留置カニューラ(Venflon等、Viggo)は、同じ腕の肘前静脈深くに逆向きに導入することにより、筋肉の血管床から静脈血をサンプリングできる。
【0342】
動脈内血圧は、電気式トランスデューサ(EMT 35等、Siemens−Elema)やミンゴグラフ(Mingograph)82(例えば、Siemens−Elema)により連続的に記録できる。平均動脈圧は、圧力信号の電気的減衰によって得ることができる。また、心電図(ECG)をミンゴグラフ上に連続的にモニターできる。水銀入りゴム袋型の歪ゲージを備えた静脈閉塞プレチスモグラフィーによってFBFを評価できる。FBF(mL×min-1×L-1組織)は、各血液サンプリングの後、それらについての記録データから算出することができる。
【0343】
カテーテルを導入し各記録装置適用後、血液サンプルは10分間隔をおいて2回採取する。血液サンプリングは、厳密に制御され標準化された手順で行い、交感神経副腎の活性化を避ける必要がある。
【0344】
動脈血及び静脈血の各サンプルは、カテーテルから二人で同時採取することができる。血液の最初の3〜4mLは廃棄する。各血液サンプルは、1:10で0.45mol/Lクエン酸ナトリウムバッファー、pH4.3(Stabilyte等、Biopool AB)を含有するチューブに回収される。各血液サンプリングの後、ヘパリン(5IU/mL)添加生理食塩水でカテーテルをフラッシュ洗浄する。チューブは氷冷下に維持し、60分以内に遠心分離(4℃、2000g、20分間)を行って血漿を単離する。血漿は分割量に分け−70℃で直ちに凍結保存する。
【0345】
全t−PA抗原の定量的測定には、酵素結合免疫測定法(ELISA)を使用することができる(例えば、TintElize(R)t−PA、Biopool AB)。このアッセイは二重抗体の原理に基づく。遊離t−PAとt−PA−インヒビター複合体は同程度の効率で検出される。活性遊離t−PA画分(t−PA活性)は、バイオイムノアッセイにより測定できる(例えば、Chromolize(TM)t−PA、Biopool AB)。活性t−PAは、600IU/μgの特異的活性を用いてμg/L単位で表される。1個人から採取した全サンプルは、同一のマイクロテストプレートに2連にしてアッセイを行う。
【0346】
ヘマトクリットは、マイクロヘマトクリット遠心機(例えば、Hettich Hematokrit、Hettich Zentrifugen)を用いて、動脈血から2連で測定する。
【0347】
全t−PAの正味の放出速度は、次のようにして測定する:各個人の静動脈濃度勾配(AV勾配)は、同時採取した静脈血と動脈血における血漿中全t−PA値を減算することにより算出できる。差が正の場合は正味の放出を、負の場合は正味の取込みを示す。個々の前腕部の血漿フローはFBFから計算され、動脈血ヘマトクリットはトラップ血漿を1%として補正する。個々の正味放出速度或いは取込み速度は、AV勾配×血漿フロー/単位時間・L(前腕組織)で算出される。次の式を使用する。
FPF=FBF×([101−ヘマトクリット]/100)
正味の放出=(CV−CA)×FPF
(式中、CVは静脈血中の血漿濃度を示し、CAは動脈血中の濃度を示す)
【0348】
前腕部における活性型t−PAの正味の増加は、全t−PAの正味の放出について用いた式で計算できる。しかしながら活性型t−PAについては、局所における正味フラックスは、組織における放出/取込みを反映するだけでなく、前腕部血管床を通過する際に起こり得る、複合体結合t−PA画分と遊離t−PA画分との間のシフトを反映するということも考えられる。この点を考慮して、活性型t−PAについて「正味の増加」という用語を「正味の放出」の代わりに使用する。
【0349】
最後に、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上述した本発明方法及び本発明組成物に対する種々の変更や変形を容易に想到できることが理解されるであろう。好ましい特定の実施形態と関連させて本発明を説明してきたが、特許請求に係る本発明は、それら特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されたい。実際、本発明を実施するための上掲の各種態様に対してなされ得る、血管生物学、分子生物学或いはその他関連分野における当業者にとって明白な種々の変更は、本発明の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【図1】−7351C/T多型近傍の組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域のヌクレオチド配列を示す。ヌクレオチド配列の各座標はGenBank受託番号Z48484に基づいている。ヌクレオチド2228にあるC/T多型に位置を太字で示す。コンセンサスプライマー(配列番号2;ヌクレオチド1840〜1860)、WTプライマー(配列番号3;ヌクレオチド2245〜2228)及びSNPプライマー(配列番号4;ヌクレオチド2245〜2228)の各位置も示す。
【図2】異なるtPA遺伝子型を有する3被験者の増幅産物についてアガロースゲル電気泳動を行った結果を示す。(被験者76,77,78のTPA−7351遺伝子型−AGSSである。遺伝子型は左からCC,TT,TCである。上方のバンドは対照バンドを示し、下方のバンドは対立遺伝子特異的バンドを示す。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項2】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項11】
前記小血管閉塞は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンスを臨床的に呈する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記小血管閉塞はラクナー発作を臨床的に呈する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項10乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項10乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項21】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記状態はラクナー発作である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項20乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項20乃至28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項31】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項30又は32に記載の方法。
【請求項33】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項36】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項30乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項30乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項40】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記状態はラクナー発作である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項39乃至41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項42乃至44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項39乃至46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項39乃至47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
被験者の小血管閉塞に関連する疾病又は状態の治療方法であって、前記方法は前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法。
【請求項50】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記状態はラクナー発作である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態に罹りやすい被験者の治療方法であって、前記方法は、前記被験者における組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤を前記被験者の治療に有効な量投与する段階を含む方法。
【請求項53】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記状態はラクナー発作である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は(a)細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を低下させる突然変異を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法。
【請求項56】
前記細胞は内皮細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座に位置する、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の上流領域に位置する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記突然変異は前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座のエンハンサーエレメントに位置する、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記突然変異は組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両対立遺伝子に存在する、請求項57乃至59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記突然変異は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の上流領域の−7351位のシトシンからチミンへの突然変異である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度に決定は、組織プラスミノーゲン活性化因子の免疫学的検出を含む、請求項55乃至61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項64】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項63乃至65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項68】
前記小血管閉塞は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンスを臨床的に呈する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記小血管閉塞はラクナー発作を臨床的に呈する、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項67乃至69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項67乃至70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項73】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記状態はラクナー発作である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項72乃至74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項72乃至75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項78】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項77乃至79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項82】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記状態はラクナー発作である、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項81乃至83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記突然変異の特定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項81乃至84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
組織プラスミノーゲン活性化因子放出速度向上剤により治療するために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の両対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項87】
前記被験者は虚血性発作の素因を有するか、或いはそれに罹患している、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記被験者は、小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有するか、或いはそれに罹患している、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記疾病又は状態は、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項84に記載の方法。
【請求項91】
被験者における虚血性発作のリスクを決定する方法であって、前記方法は、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法。
【請求項92】
前記虚血性発作はラクナー発作である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在の決定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項94】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在の決定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項91乃至93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座のいずれの対立遺伝子にも突然変異を有さない被験者の虚血性発作のリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、虚血性発作を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子に突然変異を有さない被験者の虚血性発作のリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、虚血性発作を伴うための他の同様のリスク因子を有する被験者の虚血性発作に対するリスクと比較した場合の被験者の虚血性発作のリスクの増大を示す、請求項91乃至94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
被験者における小血管閉塞のリスクを決定する方法又は被験者における小血管閉塞に関連する疾病又は状態の進行のリスクを決定する方法であって、組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の存在を前記被験者において決定する段階を含む方法。
【請求項102】
前記疾病又は状態或いは小血管閉塞に関連する状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在の決定は、被験者から単離又は誘導された核酸から突然変異を含む領域を増幅することを含む、請求項101又は102に記載の方法。
【請求項104】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在の決定は、被験者から単離又は誘導された核酸をレポーター核酸とハイブリッド形成することにより突然変異を検出することを含む、請求項101乃至103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座のいずれの対立遺伝子にも突然変異を有さない被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、小血管閉塞を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する被験者の虚血性発作に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、組織プラスミノーゲン遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子に突然変異を有さない被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、被験者集団全体のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の両方の対立遺伝子における−7351位のシトシンからチミンへの突然変異の被験者における存在は、小血管閉塞を伴うための他の同様のリスク因子を有する他の被験者のリスクと比較した場合の被験者の小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病の進行のリスクの増大を示す、請求項101乃至104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を変化可能な剤を特定する方法であって、前記方法は、(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の一方若しくは両方の対立遺伝子における−7351位にシトシンチミン多型を含む細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を測定する段階と(c)前記剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を変化可能な剤と特定する段階とを含む方法。
【請求項112】
細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤を特定する方法であって、前記方法は、(a)組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子座の全部又は一部を形質転換した細胞であって、前記形質転換した遺伝子座は−7351位にシトシンからチミンへの突然変異を含み且つ前記形質転換した遺伝子座はレポーター遺伝子の発現を制御する細胞に剤を作用させる段階と、(b)前記剤を作用させた細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルを決定する段階と、(c)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を特定する段階と、(d)前記レポーター遺伝子の発現を増大可能な剤を、細胞からの組織プラスミノーゲン活性化因子の放出速度を増大可能な剤と特定する段階とを含む方法。
【請求項113】
配列番号3に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物。
【請求項114】
配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号3の相補配列とハイブリッド化し、前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む核酸。
【請求項115】
配列番号4に記載の配列からなる単離された核酸又はそのRNA等価物。
【請求項116】
配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号4の相補配列とハイブリッド化し、前記ストリンジェントなハイブリッド形成条件は42℃における6xSSCのハイブリッド形成及び20℃における2xSSCの洗浄を含む核酸。
【請求項117】
配列番号3に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号3と80%以上の相同性を有する核酸或いはそのRNA等価物。
【請求項118】
配列番号4に記載の配列中に一以上の塩基置換を有する単離された核酸であって、前記核酸は配列番号4と80%以上の相同性を有する核酸或いはそのRNA等価物。
【請求項119】
配列番号1のヌクレオチド1840〜2245の配列からなる、単離された核酸。
【請求項120】
虚血性発作の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項121】
前記虚血性発作はラクナー発作である請求項120に記載の方法。
【請求項122】
小血管閉塞の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項123】
前記小血管閉塞は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症及び血管性インポテンスを臨床的に呈する、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
小血管閉塞に関連する疾病又は状態の素因を有する被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項125】
前記疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
虚血性発作の予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項127】
前記虚血性発作はラクナー発作である請求項126に記載の方法。
【請求項128】
小血管閉塞又は小血管閉塞に関連する疾病又は状態を予防及び/又は治療を行うために好適な被験者を特定する方法であって、前記方法は組織プラスミノーゲン活性化因子の低減された放出速度を前記被験者において特定する段階を含む方法。
【請求項129】
前記小血管閉塞に関連する疾病又は状態は、ラクナー発作、痴呆、虚血性心疾患(虚血性心筋症含む)、末梢血管疾患、血管内凝固症候群、小血管炎、虚血性神経障害、虚血性網膜症、虚血性胃疾患(小腸大腸虚血含む)、広汎性肺塞栓症又は血管性インポテンスである、請求項128に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525198(P2007−525198A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517900(P2006−517900)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000905
【国際公開番号】WO2005/003382
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506003325)ザ クイーン エリザベス ホスピタル リサーチ ファンデーション インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】THE QUEEN ELIZABETH HOSPITAL RESEARCH FOUNDATION INC.
【出願人】(506003336)アデレード リサーチ アンド イノベイション ピーティーワイ エルティーディー (3)
【氏名又は名称原語表記】ADELAIDE RESEARCH & INNOVATION PTY LTD
【Fターム(参考)】