説明

発信規制方法およびシステム

【課題】エンドサーバESの負荷を、そのシステム容量以下に制限する。
【解決手段】ユーザ端末MNで発信操作が行われると、サンプル端末MN(s)のみがエンドサーバESへ発信し、それ以外は発信を保留される。制御サーバCSは、各ユーザ端末MNにおいて保留されている発信の解除タイミングを、各ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッション数およびそのサービス時間、ならびにエンドサーバESの容量に基づいて制御スロット単位で決定し、これを放送サーバBSおよび放送局BCから各ユーザ端末MNへ通知する。保留解除の条件を満足するユーザ端末MNはエンドサーバESへ発信する。エンドサーバESには複数のアドレスが仮想的に割り当てられており、各ユーザ端末MNは自身に割り当てられたアドレスに発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末からエンドサーバへのアクセスを規制する発信規制方法およびシステムに係り、特に、ユーザ端末からエンドサーバへの発信を規制してエンドサーバへのアクセス数や同時接続セッション数をエンドサーバのシステム容量以下に規制する発信規制方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信回線としてインターネットが普及し、TV番組やラジオ番組でヒットチャートを発表した直後に人気曲の配信を要求するダウンロードのリクエストや、視聴者参加番組において視聴者が自身のメッセージを投稿するアップロードのリクエストなど、特定のイベントを契機とするリクエストメッセージは短時間に集中する傾向がある。しかしながら、これらの宛先でリクエストを受け付けるサーバ(エンドサーバ)では、ユーザ端末からのリクエスト数が急増して、同時接続セッション数やアクセス数がエンドサーバの処理能力(例えば、システム容量)以上になると輻輳負荷状態が急激に悪化し、最悪の場合にはサーバの運用停止に追い込まれてしまう。
【0003】
このような技術課題に対して、コンテンツ配信や投稿のリクエストを受け付けるエンドサーバとは別に、リクエストの受付専用にアクセスパスサーバを設け、このアクセスパスサーバが、リクエストに応答してエンドサーバへのアクセス順序やアクセスタイミングを決定すると共に、これをアクセスパスとして各ユーザ端末へ通知し、各ユーザ端末では、このアクセスパスにしたがってエンドサーバへアクセスする技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、特許文献2にはユーザ端末からのアクセスが集中発生する際、全部または一部のユーザ端末からの発信を当該ユーザ端末側で一旦保留し、その後、放送波などを用いてユーザ端末へ、保留解除の条件等が記述された制御情報を送信し、エンドサーバへのアクセスがシステム容量以下となるよう発信の保留を解除することにより、エンドサーバの負荷を軽減する順次受付型の発信規制技術が開示されている。
【0005】
上記した特許文献1,2の技術では、エンドサーバの負荷が主にユーザ端末からエンドサーバへの発信数に基づいて判定され、ユーザ端末からの発信数が増すほどエンドサーバの負荷も増すものとみなして発信規制が行われる。しかしながら、エンドサーバの負荷はユーザ端末からの発信数のみならず、ユーザ端末から発信されたサービス要求の処理にエンドサーバが要した時間やデータ転送に要した時間(以下、合わせてサービス時間と表現する)にも依存する。
【0006】
例えば、ユーザ端末からエンドサーバへ発信されたサービス要求がコンテンツのダウンロードであると、コンテンツのデータサイズが大きいほど、エンドサーバではダウンロード時間、すなわち処理時間が長くなって負荷が大きくなる。しかしながら、従来技術ではサーバ負荷が発信数に基づいて求められていたので、コンテンツのデータサイズ(ダウンロード時間)を考慮することなくサーバ負荷が見積もられてしまう。
【0007】
また、コンテンツのデータサイズが同一であっても、これを要求するユーザ端末が光ファイバーによるブロードバンド回線のような高速網に接続されている場合と、携帯電話網のような低速網に接続されている場合とではサーバ負荷が大きく異なる。具体的には、低速網経由の配信では高速網経由の配信よりも配信時間(通信セッションの接続時間)が長くなるので、エンドサーバでも、その処理時間が長くなって負荷が大きくなる。したがって、従来技術では低速網経由の発信については負荷が実際よりも小さく見積もられてしまう。
【0008】
このように、エンドサーバの負荷は、ユーザ端末が接続されている網の速度、送受信データのサイズ、エンドサーバのアクセス回線の速度、さらにはユーザ端末から発信されたサービス要求の処理に要する時間に依存する。しかしながら、上記した従来技術では、エンドサーバへの発信数のみに基づいて発信制御が行われていたので、例えばダウンロード時間が長いサービスと短いサービスとが混在する場合など、アクセスの状況によってはサーバの負荷を正確に検知・制御することが難しかった。
【0009】
このような新たな技術課題は、各ユーザ端末からエンドサーバへの発信を全て測定・監視して厳密に解析し、各ユーザ端末の接続網の速度、送受信するデータサイズ、アクセス回線の速度、サービスの処理に要する時間等を見極めれば解決できるものの、大量のアクセスが発生する場合、全ての発信やアクセス回線の詳細を厳密に解析し、リアルタイムで制御に反映することは実質的に困難である。
【0010】
そこで、本発明の発明者等は、各ユーザ端末からエンドサーバへの発信を厳密に解析することなく、ユーザ端末からエンドサーバへの発信を制御し、ユーザ端末とエンドサーバとの間に確立される通信セッション数をエンドサーバのシステム容量以下に規制する発信規制方法およびシステムを発明し、特許出願した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−43069号公報
【特許文献2】特開2008−211730号公報
【特許文献3】特願2008−232349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献3では、ユーザ端末MNからエンドサーバESへの発信を一旦保留し、その後、ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッション数に応じて、制御スロットごとに所定の条件で各ユーザ端末MNにおける発信の保留が解除される。
【0013】
ここで、各制御スロットで保留されている発信数は、別途に設けられた制御サーバCSで管理されており、各ユーザ端末MNへ制御サーバCSから保留解除の条件が通知されると、この保留解除条件を満足する全ての発信が次の制御スロットで確実に行われることが前提となっている。すなわち、保留解除される発信数とエンドサーバESへの発信数とが同値であるという推定で制御が行われていた。
【0014】
しかしながら、実際には全てのユーザ端末MNが前記保留解除条件の通知を漏れなく受信できるとは限らず、また保留解除された全てのユーザ端末MNが発信可能な状態にあるとは限らず、さらには発信タイミングに遅延が生じる場合もある。
【0015】
加えて、保留解除のために通知される制御情報は保留解除比率であるため、保留解除判定の際に統計誤差が発生する場合もある。また、制御情報の算出においてもサンプル推定の結果に基づいて解除比率が算出されるので、保留解除される発信数とエンドサーバESへの発信数との間に誤差が生じる場合があった。
【0016】
したがって、各制御スロットで保留されている発信数および保留解除条件から発信数を推定しても、この推定値と実績値との間には乖離が生じることがあり、これによりユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッション数の制御に狂いが生じる場合があった。
【0017】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、保留解除されたユーザ端末MNからエンドサーバESへの発信数を制御スロット単位で正確に把握することにより、ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッション数やエンドサーバESへのアクセス数をシステム容量以下に正確に規制できる発信規制方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明は、ユーザ端末からエンドサーバへの発信を一旦保留し、その後、制御スロット単位で発信の保留を順次に解除することで、ユーザ端末からエンドサーバへの発信数や同時接続セッション数といったエンドサーバの負荷を、そのシステム容量以下に規制する発信規制システムにおいて、前記エンドサーバに複数の宛先アドレス(IPアドレス、ポート番号およびURLのいずれか、または組み合わせ)を割り当てると共に、各ユーザ端末における発信の保留を解除する制御サーバを設けた。
【0019】
前記ユーザ端末は、要求された発信を保留する手段と、保留解除の条件を所定の制御スロットごとに受信する手段と、保留中の発信が今回の制御スロットで受信された保留解除条件を満足すると、当該発信の要求が発生した制御スロットに割り当てられたアドレスへ発信し、該当しなければ発信の保留を継続する手段とを具備した。
【0020】
前記制御サーバは、エンドサーバの空き容量を、エンドサーバのシステム容量および保留解除される発信数に必要な追加容量に基づいて制御スロットごとに算出する手段[数5]と、前記保留解除の条件を、各制御スロットで発生して保留中の発信数および前記エンドサーバの空き容量に基づいて算出する手段[数6]と、前記保留解除の条件を満足できずに保留継続される発信数を、各発信が発生した制御スロットごとに算出する手段[数7]と、保留解除の条件を満足して保留解除される発信数を、前記保留継続される発信数に基づいて、保留解除される発信が発生した制御スロットごとに算出する手段[数8]と、保留解除される発信数に必要な追加容量を、前記各制御スロットで保留解除される発信数に基づいて制御スロットごとに算出する手段[数10]と、前記保留解除の条件および発信要求が発生した制御スロットごとに異なる宛先アドレスを、ユーザ端末へ制御スロットごとに通知する手段と、保留解除された発信のアドレスに基づいて、保留解除された発信数を制御スロット単位で測定し、前記保留中の発信数を更新する手段とを具備した。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エンドサーバに対するアクセスの内訳として、各アクセスの発信タイミングを正確に認識できるようになる。したがって、各ユーザ端末からの発信を一旦保留させ、その後、所定の制御アルゴリズムに基づいて順次に保留解除することでエンドサーバの負荷をそのシステム容量以下に規制する方法およびシステムにおいて、規制の制御精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る発信規制システムが適用されるネットワークの構成を示したブロック図である。
【図2】ユーザ端末MNの動作を示したフローチャートである。
【図3】制御サーバCSの動作を示したフローチャートである。
【図4】発信の保留を解除する制御スロットの決定方法を説明するための図である。
【図5】保留解除判定の手順を示したフローチャートである。
【図6】発信タイミングと宛先アドレスとの関係を説明するための図である。
【図7】保留解除のタイミングと宛先アドレスとの関係を説明するための図である。
【図8】測定サーバで検出される宛先アドレスごとのアクセス数の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の発信規制システムが適用されるネットワークの主要部の構成を示したブロック図であり、ここでは、ユーザ端末MNがエンドサーバES(サービス提供サーバ)へコンテンツ配信のサービスを要求し、これに応答してエンドサーバESがコンテンツを配信する場合の発信規制を例にして説明する。
【0024】
各ユーザ端末MNは、端末ユーザの発信要求の操作に応答して、所望のサービスをエンドサーバESへ要求するための発信を行う。ただし、本実施形態ではユーザ端末MNの一部が所定の確率Rsampleでサンプル端末MN(s)に分類され、当該サンプル端末MN(s)のみが前記発信操作に即応して発信を許可される一方、それ以外のユーザ端末MNは発信を一旦保留される。測定サーバ3は、前記サンプル端末MN(s)の台数を、その宛先アドレスごとに計測して制御サーバCSへ報告する。
【0025】
制御サーバCSは、後にフローチャートを参照して詳述するように、各ユーザ端末MNで保留されている発信を解除するタイミングを、各ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッションの継続時間(サービス時間)とエンドサーバESに同時接続可能なセッション数とに基づいて制御スロット単位で決定し、これを保留解除の条件として放送サーバBSへ通知する。
【0026】
放送サーバBSは、前記通知された保留解除条件の記述された制御情報を放送局BCから放送波で送信する。各ユーザ端末MNは、前記制御情報を放送波で受信すると、保留中の発信要求の発生タイミングが当該保留解除タイミングよりも前であれば保留を解除し、当該保留解除タイミングよりも後であれば保留を継続する。なお、制御サーバCSから各ユーザ端末MNへの制御情報の通知方法は放送波に限定されず、インターネット等の他の適宜の通知手段により通知されるようにしても良い。
【0027】
保留解除されたユーザ端末MNからは、エンドサーバESへサービス要求の発信が実行され、ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に通信セッションが確立される。本実施形態では、エンドサーバESに複数のIPアドレス、ポート番号およびURLのいずれか、または組み合わせ(以下、宛先アドレスAD1,AD2…で総称する)が仮想的に割り当てられており、前記制御情報には、発信要求の発生タイミング(制御スロット)ごとに異なる宛先アドレスを割り当てる情報が記述されている。そして、保留解除された各ユーザ端末では、その発信要求の発生タイミング(制御スロット)に対して割り当てられている宛先アドレスに発信する。
【0028】
エンドサーバESは、各ユーザ端末MNから要求されたサービスがコンテンツの配信要求であれば、当該コンテンツをユーザ端末MNへ配信し、その完了後に通信セッションを遮断する。本実施形態では、エンドサーバESが各ユーザ端末MNからの要求に応じてサービスを提供するのに要する時間、換言すれば通信セッションが確立されている時間が「サービス時間(TAT)として定義される。
【0029】
図2は、各ユーザ端末MNの動作を示したフローチャートであり、前記制御スロットとは非同期に所定の周期で繰り返し実行される。
【0030】
ステップS11では、保留継続中の発信の有無が判定され、最初は保留継続中の発信が未登録と判定されるのでステップS19へ進む。ステップS19では新たな発信要求操作の有無が判定され、ユーザによる発信要求操作が検知されるとステップS20へ進む。ステップS20では、所定の乱数シードを乱数関数に適用して乱数rand1(0<rand1≦1)が発生される。ステップS21では、前記乱数rand1と既知のサンプル確率Rsampleとが比較される。このサンプル確率Rsampleは、ユーザ端末MNの一部をサンプル端末MN(S)に分類する確率であり、放送波などで全てのユーザ端末MNへ事前に通知しておくことが望ましい。
【0031】
ここで、rand1>Rsampleであれば、サンプル端末MN(S)以外として振る舞うべくステップS22へ進む。ステップS22では、今回の発信が保留扱いとされ、その発信タイミングおよび宛先アドレスが登録される。これに対して、rand1≦Rsampleであれば、サンプル端末MN(s)として振る舞うべくステップS15へ進む。
【0032】
ステップS15では、前記サンプル端末MN(s)の発信が許可され、ステップS16でエンドサーバESとの間に通信セッションが確立されると、ステップS17へ進んでコンテンツ配信のサービスを受ける。ステップS18において、コンテンツ配信のサービスが完了すると、エンドサーバESとの間に確立されていた通信セッションが遮断される。前記測定サーバDSでは、各サンプル端末MN(s)からエンドサーバESへの発信総数が制御スロット単位で、かつ宛先アドレスごとに測定される。この測定結果は、所定のタイミングで制御サーバCSへ通知される。
【0033】
一方、その後の制御周期において、ステップS11で保留継続中の発信が既登録と判定されるとステップS12へ進む。ステップS12では、保留解除のタイミングを通知するために前記放送局BCから送信される制御情報の受信の有無が判定される。制御情報が受信されなければ前記ステップS19へ進み、更なる発信が検知されれば、その発信が前記と同様に処理される。ステップS13〜S18の処理については後述する。
【0034】
図3は、前記制御サーバCSの動作を示したフローチャートである。制御サーバCSは、今回の制御スロット[τ0]が終了するごとに、次回の制御スロット[τ1]で保留解除する発信を特定するための保留解除処理を実行する。
【0035】
ステップS31において、今回の制御スロットτ0の終了タイミングが検知されると、ステップS32では、今回の制御スロットτ0でサンプル端末MN(s)がエンドサーバESへ送信したサービス要求の発信数λsample[τ0]が前記測定サーバDS3から取得される。ステップS33では、この発信数λsample[τ0]およびサンプル端末MN(s)の比率Rsampleを次式(1)に適用して、当該制御スロットτ0における発信総数λall[τ0]が推定される。ステップS34では、制御スロットτ0で保留された発信数λwait[τ0] が、次式(2)で推定される。
【0036】
【数1】

【0037】
【数2】

【0038】
ステップS35では、以前のx番目の制御スロットτxで発生し、かつy番目の制御スロットτyの終了時も保留継続される発信数ψτx[τy] (x≦y) の一つとして、制御スロットτ0で発生し、かつ制御スロットτ0の終了時も保留継続される発信数ψτ0[τ0]が算出される。この保留継続される発信数ψτx[τy]の初期値は全て「0」であり、各ユーザ端末MNにおいて発信が行われ、その処理が進行するに従って値が徐々に埋まる。本実施形態では、サンプル端末MN(s)の発信以外は全て一旦保留されるので、保留継続される発信数ψτ0[τ0]は次式(3)で算出される。
【0039】
【数3】

【0040】
ステップS36では、保留解除により次の制御スロットτ1で新たに生じる発信に備えてエンドサーバESに確保すべき追加容量φ[τ1]が、所定のマージンmarginを考慮して次式(4)により算出される
【0041】
【数4】

【0042】
ステップS37では、次の制御スロットτ1におけるシステムの空き容量C[τ1]が、エンドサーバESの最大容量Cmax、および新たに保留解除される発信数を処理するためにエンドサーバESに要求される追加容量φ[τ1]を次式(5)に適用して算出される。
【0043】
【数5】

【0044】
ステップS38では、制御スロットτ0以前の各制御スロットτk(k≦0)で発生し、制御スロットτ0の終了後も保留継続されている発信のうち、発生時刻の古い順に制御スロット単位で保留を解除したときに次の制御スロットτ1において保留中の全ての発信を解除できるスロット番号の最大値nが、保留解除の条件として算出される。
【0045】
ここで、少なくとも一つの発信を保留継続している制御スロットのうち、全ての発信を次の制御スロットτ1で保留解除できる制御スロット番号の最大値nは、保留されている全ての発信の数を、発信動作の古い順に制御スロット単位で時系列で累積したときに、n番目の制御スロットまでの総和は制御スロットτ1におけるシステムの空き容量C[τ1]以下になるものの、n+1番目の制御スロットで発生し、制御スロットτ0の終了後も保留継続される全ての発信数を更に累積してしまうと前記システム空き容量C[τ1]を超えてしまうような制御スロット番号nである。
【0046】
すなわち、図4に一例を示したように、制御スロットτp (p+2≦k) で保留されている発信数を「20」、制御スロットτp+1におけるそれを「15」,制御スロットτp+2におけるそれを「30」とし、制御スロットτ1におけるシステムの空き容量C[τ1]を「50」とすれば、制御スロットτpから保留を解除し始めて次の制御スロットτp+1の保留を全て解除しても、その総容量は「35」であって空き容量C[τ1]に達しない。しかしながら、さらに次の制御スロットτp+2の保留を全て解除してしまうと、その総容量は「65」となって空き容量C[τ1]を超えてしまうので、このような場合には[p+1]が前記最大値nとなる。
【0047】
したがって、制御スロットτxで発生し、かつ制御スロットτ0の終了後も保留継続される発信数をψτx[τ0]とすれば、次式(6)を満足する最大のn(n≦0)が、保留中の全ての発信を解除できるスロット番号の最大値となる。そして、この最大値nが求まれば、第n制御スロットまでは、保留中の全ての発信を解除でき、第(n+2)制御スロット以降については、全ての発信が保留を継続される。
【0048】
【数6】

【0049】
一方、第(n+1)制御スロットについては、制御スロット番号nまで保留解除された発信数の総和が前記空き容量C[τ1]に満たない場合、一部の発信に関してのみ保留解除されることになる。なお、保留解除の対象である前記保留継続中の発信数ψτx[τ0]は、前回の制御周期(制御スロット)において、後述するステップS39で式(7.1),(7.2),(7.3)により求められる。
【0050】
図3へ戻り、ステップS39では、前記一部の発信のみが保留解除される第(n+1)制御スロットに関して、保留解除できる発信の割合Rreleaseを算出するために、前記保留解除の条件を満足できずに制御スロットτ1の終了時も保留継続する発信数ψτm[τ1] (k≦m≦0)、および前記保留解除の条件を満足して制御スロットτ1で保留解除される発信数ρτm[τ1]が、それぞれ次式(7),(8)に基づいて算出され、記憶される。ここで、ρτx[τy]は、制御スロットxで発生し、かつ制御スロットyで保留解除される発信数であって、その初期値は全て「0」であり、処理の進行に伴って値が徐々に埋まる。
【0051】
【数7】

【0052】
【数8】

【0053】
上式(7.1),(8.1)は、スロット番号mがm≦nの全ての制御スロットに適用され、保留中の全ての発信が制御スロットτ1で解除され、制御スロットτ1の終了時も保留継続する発信数ψτm[τ1]はゼロとなり[(7.1)]、制御スロットτ0の終了時に保留継続されていた発信数ψτm[τ0]と制御スロットτ1で保留解除される発信数ρτm[τ1]とが等しくなる[(8.1)]。
【0054】
式(7.3),(8.3)は、スロット番号mがm>n+1の全ての制御スロットに適用され、保留中の全ての発信が制御スロットτ1では解除されず[(8.3)]、制御スロットτ1の終了時も制御スロットτ0の終了時と同数の発信が保留継続される[(7.3)]。
【0055】
上式(7.2)は、スロット番号m=n+1の制御スロットに適用され、制御スロットτ0の終了時に保留継続されている全ての発信のうち、スロット番号n+1までの発信数の総和から空き容量C[τ1]を減じた発信数、すなわち制御スロット番号τn+1で発生して制御スロットτ0の終了時に保留継続されている発信数ψτn+1[τ0]から、制御スロットτ1で保留解除される発信数を減じた数の発信が、制御スロットτ1の終了時も保留継続される。
【0056】
上式(8.2)も、発信を保留されたスロット番号m=n+1の制御スロットに適用され、制御スロットτ1において、空き容量C[τ1]から、制御スロットτ0の終了時に保留継続されている全ての発信数のうちスロット番号nまでの発信数の総和を減じた数の発信が保留解除されることになる。
【0057】
ステップS40では、第(n+1)制御スロットで発生し、かつ制御スロットτ0の終了時に保留継続中の発信数ψτn+1[τ0] のうち、制御スロットτ1で保留解除される発信数ρτn+1[τ1]の割合Rreleaseが、次式(9)で求められる。
【0058】
【数9】

【0059】
ステップS41では、前記τn+1およびRreleaseのペア[τn+1,Rrelease]が制御情報として放送サーバBSへ通知され、放送局BCからユーザ端末MNへ送信される。ステップS42では、次式(10)に基づいて、制御スロットτ1で保留解除された発信により確立されたセッション数(必要容量)のうち、制御スロットτ1以降もサービス時間が継続するセッション数φ[τ1+i]が算出される。
【0060】
【数10】

【0061】
換言すれば、例えば制御スロットτ1で保留解除された発信により新たに確立されたセッション数が全て制御スロットτ1で終了する場合、追加容量φ[τ1]は、制御スロットτ0までに保留解除された発信により確立されたセッション数で制御スロットτ1においてもサービス時間が継続するセッション数に、制御スロットτ1で保留解除された発信により確立されたセッション数を加えた数となる。このセッション数φ[τx]も初期値は全て「0」であり、処理の進行に伴って値が徐々に埋まる。
【0062】
なお、TATはサービス時間(秒)であり、過去の実績データを引用したり、TATを観測するサーバを別途に設けて一部または全部のセッションのサービス時間を測定したりすることで得られる。Δτは制御周期(制御スロットτ)の時間幅(秒)である。なお、TAT/Δτは、これが0または小数点を含む場合には繰り上げの整数値とされる。
【0063】
例えば、サービス時間TATが10(秒)、制御周期Δτが5(秒)であれば、制御スロットτ1で保留解除された発信に応答してエンドサーバがコンテンツ配信(ダウンロード)等のサービスを提供する時間(サービス時間)は制御スロット数で「2」に相当するので、制御スロットτ1で開始されたサービス時間は制御スロットτ1,τ2において継続されることになる。したがって、ここでは追加容量φ[τ1],φ[τ2]が求められて一時記憶され、次回の制御周期τ2において、ステップS36で追加容量φ[τ2]として利用される。
【0064】
図2へ戻り、各ユーザ端末MNは、ステップS12で前記制御情報を受信するとステップS13へ進む。ステップS13では、保留継続中の発信ごとに、その保留を解除するか否かが判定される。
【0065】
図5は、この保留解除判定の手順を示したフローチャートであり、ステップS51では、前記制御情報に登録されていた保留解除タイミングτn+1よりも前に発生した発信が保留中であるか否かが判定される。保留中であればステップS52へ進み、その全ての保留が解除される。ステップS53では、前記制御情報に登録されていた保留解除タイミングτn+1で発生した発信が保留中であるか否かが判定され、保留中であればステップS54へ進む。
【0066】
ステップS54では、所定の乱数シードを乱数関数に適用して乱数rand2(0<rand2≦1)が発生される。ステップS55では、この乱数rand2と前記制御情報に登録されていた保留解除率Rreleaseとが比較され、rand2≦Rreleaseと判定されれば、ステップS56へ進んで保留解除される。なお、前記ステップS55においてrand2>Rreleaseと判定されると、前記τn+1よりも後に発生した発信と共に保留解除が見送られて保留が継続される。
【0067】
図2へ戻り、ステップS14では、前記保留解除された発信が実行される。ステップS15でエンドサーバESとの間に通信セッションが確立されるとステップS16へ進み、要求したコンテンツ配信のサービスを受ける。ステップS17において、サービスの完了が検知されると、エンドサーバESとの間に確立されていた通信セッションが遮断される。
【0068】
なお、上式(1)〜(10)では、各制御スロットτmで発生して保留されている発信数が制御サーバCSで管理されており、放送波で各ユーザ端末2へ保留解除率Rreleaseを通知すれば、この保留解除率Rreleaseに応じた発信が次の制御スロットで確実に行われることが前提となっている。しかしながら、実際には発信を保留されている全てのユーザ端末2が前記放送波を受信できるとは限らず、また保留解除された全てのユーザ端末2が発信できるとは限らず、さらには発信タイミングに遅延が生じる場合もある。
【0069】
加えて、保留解除のために通知される制御情報は保留解除比率であるため、保留解除判定の際に統計誤差が生じる場合もある。さらに、制御情報の算出においてもサンプル推定の結果に基づいて解除比率が算出されるので、保留解除される発信数とエンドサーバESへの発信数との間に誤差が生じる場合がある。
【0070】
そのため、各制御スロットτmで発生して保留されている発信数および保留解除率Rreleaseから求まる発信数ρの期待値ρestと実績値ρrealとの間には乖離が生じることがあり、これによりエンドサーバESのアクセス制御に狂いが生じる場合がある。
【0071】
そこで、本実施形態ではエンドサーバESに複数のアドレスADxを仮想的に割り当てると共に、以下に詳述するように、制御情報に保留解除のタイミングを記述して放送波で各ユーザ端末2へ通知する際、宛先として通知するエンドサーバESのアドレスを制御スロット毎に異ならせ、サンプル端末MN(s)からの発信であるか非サンプル端末において保留解除された発信であるかにかかわらず、その発信が生じた制御スロットに対して割り当てられたアドレスADrへの発信を強制されるようにした。そして、測定サーバDSは各発信の宛先アドレスを監視することで、発信数の実績値ρrealを当該発信が発生した制御スロット毎に正確に把握し、これに基づいて、保留継続されている発信数ψτmを制御スロットτmごとに正確に把握できるようにしている。
【0072】
図6は、各ユーザ端末MNに対して、発信要求のタイミングに応じて異なる宛先アドレスが割り当てられる様子を模式的に表現した図である。
【0073】
放送局BSから放送された制御情報において、次の制御スロットτi-3におけるエンドサーバESのアドレスとしてAD[τi-3]が通知されると、この制御スロットτi-3で発信要求が生じたユーザ端末MNには、これがサンプル端末MN(s)であるか非サンプル端末MNであるかにかかわらずアドレスAD[τi-3]が割り当てられる。したがって、サンプル端末MN1(s)は直ちにアドレスAD[τi-3]へ発信する。
【0074】
また、非サンプル端末MN2は、この制御スロットτi-3での発信は保留されるものの、次の制御情報により保留解除されると、当該制御情報で新たに通知されるアドレスAD[τi-2]ではなく、前記AD[τi-3]に発信する。
【0075】
同様に、制御スロットτi-2で発信要求が生じたユーザ端末MN3には、エンドサーバESのアドレスとしてAD[τi-2]が割り当てられるので、次の制御情報により保留解除されると、当該制御情報で新たに通知される宛先アドレスAD[τi-1]ではなく、前記AD[τi-2]に発信する。
【0076】
図7は、本実施形態の動作を模式的に表現した図であり、制御スロットτi-3で発生した発信のうち、サンプル比率Rsampleで分類されるサンプル端末MN(s)は、保留されることなく当該制御スロットτi-3で直ちに宛先アドレスAD[τi-3]に発信する。これに対して、残りの非サンプル端末MNは全て発信を一旦保留され、その一部は制御スロットτi-2で保留解除されて発信し、さらに他の一部は制御スロットτi-1で保留解除されて発信し、残りは制御スロットτiで保留解除されて発信する。このとき、全ての非サンプル端末MNの発信要求は制御スロットτi-3で発生しているので、その宛先アドレスは保留解除のタイミングにかかわらず全てAD[τi-3]となる。
【0077】
図8は、測定サーバDSによる監視結果の一例を示した図であり、宛先アドレスごとにエンジンサーバESへの発信数を検出でき、これにより各制御スロットにおける未発信数を検出できるようになる。
【0078】
さらに具体的に説明すれば、制御スロットτmで発生し、制御スロットτ0で保留解除される発信数ρの推定値ρτm_est[τ0]は次式(11)で求められる。式(11.1)は、スロット番号mがm≦n(n:前記保留解除できる制御スロット番号の最大値)の全ての制御スロットに適用され、制御スロットτ0の一つ前の制御スロットτ-1の終了時点で保留継続中の全ての発信ψτm_after[τ-1]が保留解除される。なお、ψτm_after[τ0]は、制御スロットτ0の終了後も保留継続される発信数を、制御スロットτ0で保留解除された発信数の実績値に基づいて修正した値であり、後述の式(12)で求められる。
【0079】
式(11.3)は、スロット番号mがm>n+1の全ての制御スロットに適用され、保留継続中の全ての発信が制御スロットτ0では解除されず、制御スロットτ0でも制御スロットτ-1の終了時と同数の発信が保留継続される。式(11.2)は、スロット番号m=n+1の制御スロットに適用され、制御スロットτ-1の終了時に保留継続されている全ての発信のうち、スロット番号n(=n−1)までの保留継続数の総和を空き容量C[τ0]から減じて求まる発信数が保留解除される。
【0080】
【数11】

【0081】
そして、本実施形態ではエンドサーバESへのアクセスが測定サーバDS3により観測されており、そのエンドサーバESへの宛先アドレスは、発信要求が発生したタイミング(制御スロット)ごとに異なるので、前記測定サーバDS3では各アクセスの宛先アドレスを識別することで、制御スロットごとに保留解除により発生した発信数の実績値ρτm_real[τ0]を求めることができる。したがって、制御スロットτ0の直前まで保留継続されていると推定する発信数をψτm_before[τ0]とすれば、制御スロットτ0の終了後も保留継続され、制御スロットτ0で保留解除された発信数の実績値に基づいて修正される発信数ψτm_after[τ0]は次式(12)で求められる。
【0082】
【数12】

【0083】
なお、上式(11),(12)の補正処理は、制御スロットτ0で保留解除された発信が発生した制御スロットτm毎に実施される。すなわち、保留解除された制御スロットが複数あれば、その制御スロットごとに補正処理が実施される。
【0084】
そして、上式(12)で求められた保留継続数ψτm_after[τ0]を上式(6)のψτk[τ0]に適用すれば、前記保留解除できる制御スロット番号の最大値nを、より正確に求められるようになり、その結果、ユーザ端末MNとエンドサーバESとの間に確立される通信セッション数を、制御スロット単位でエンドサーバESのシステム容量以下に正確に規制できるようになる。
【0085】
なお、上記の実施形態では各発信の宛先アドレスを、保留解除されたタイミングとは無関係に、当該発信の要求が発生したタイミングごとに異ならせるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、発信要求の発生タイミングおよび保留解除のタイミングの組み合わせ毎に異ならせるようにしても良い。
【0086】
このようにすれば、保留解除された発信総数を算出することにより、上式(11),(12)の補正処理を適用する前後での、今回の制御スロットで保留解除した発信数とそれ以前に保留解除した発信数の差分とを把握できるようになる。その結果、例えば、無線通信回線の一時的な遮断などによる発信タイミングの遅延など本来保留解除されるべき制御スロットからのズレも検知可能となる。
【0087】
さらに、上記の実施形態では、各ユーザ端末MNの発信を、エンドサーバESへの同時接続セッション数がシステム容量以下となるように規制するものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、エンドサーバESへの単位時間あたりのアクセス数がシステム容量以下となるように規制する場合にも同等に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
MN…ユーザ端末,ES…エンドサーバ,DS…測定サーバ,CS…制御サーバ,BS…放送サーバ,BC…放送局,NW…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からエンドサーバへの発信を一旦保留し、その後、制御スロット単位で順次に保留解除することでエンドサーバの負荷を制限する発信規制システムにおいて、
前記エンドサーバに複数のアドレスが割り当てられ、
各ユーザ端末における発信の保留を解除する制御サーバをさらに具し、
前記ユーザ端末は、
要求された発信を保留する手段と、
保留解除の条件を所定の制御スロットごとに受信する手段と、
保留中の発信が今回の制御スロットで受信された保留解除条件を満足すると、当該発信の要求が発生した制御スロットに割り当てられたアドレスへ発信し、該当しなければ発信の保留を継続する手段とを具備し、
前記制御サーバは、
エンドサーバの空き容量を、エンドサーバのシステム容量および保留解除される発信数に必要な追加容量に基づいて、制御スロットごとに算出する手段と、
前記保留解除の条件を、各制御スロットで発生して保留中の発信数および前記エンドサーバの空き容量に基づいて算出する手段と、
前記保留解除の条件を満足できずに保留継続される発信数を、各発信が発生した制御スロットごとに算出する手段と、
前記保留解除の条件を満足して保留解除される発信数を、前記保留継続される発信数に基づいて、保留解除される発信が発生した制御スロットごとに算出する手段と、
前記保留解除される発信数に必要な追加容量を、前記各制御スロットで保留解除される発信数に基づいて、制御スロットごとに算出する手段と、
前記保留解除の条件および発信要求が発生した制御スロットごとに異なる宛先アドレスを、ユーザ端末へ制御スロットごとに通知する手段と、
保留解除された発信のアドレスに基づいて、保留解除された発信数を制御スロット単位で測定し、前記保留中の発信数を更新する手段とを具備したことを特徴とする発信規制システム。
【請求項2】
前記保留中の発信が今回の制御スロットで受信された保留解除条件を満足すると、当該発信の要求が発生した制御スロットおよび当該発信の保留が解除された制御スロットの組み合わせに割り当てられたアドレスへ発信し、該当しなければ発信の保留を継続することを特徴とする請求項1に記載の発信規制システム。
【請求項3】
前記保留解除された発信の宛先アドレスを監視し、保留解除された発信数を制御スロット単位で測定する測定サーバを更に具備したことを特徴とする請求項1または2に記載の発信規制システム。
【請求項4】
前記制御サーバが、
所定の制御スロットに注目し、エンドサーバの容量および前記確立されている通信セッション数に基づいて、前記注目スロットにおいて前記エンドサーバとの間に新規に確立できる通信セッション数を推定する手段と、
前記注目スロットよりも前の各制御スロットで発生して保留中の発信数を、制御スロット単位で発生時刻の古い順に累積したときに、累積数が前記確立できる通信セッション数を最初に超える制御スロットを特定する手段と、
前記特定された制御スロットについて、さらに発信の保留を一部解除することで累積数が前記確立できる通信セッション数に達する保留解除確率を算出する手段と、
前記特定された制御スロットの番号および保留解除確率を前記保留解除の条件として各ユーザ端末へ通知する手段とを具備し、
前記各ユーザ端末は、
受信した保留解除の条件に基づいて、前記制御スロット番号に対応した制御スロットよりも前に発生した発信を全て解除し、前記制御スロット番号に対応した制御スロットよりも後に発生した発信を全て保留継続し、前記制御スロット番号に対応した制御スロットで発生した発信を前記保留解除確率で解除することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発信規制システム。
【請求項5】
前記エンドサーバに割り当てられる複数のアドレスが、IPアドレス、ポート番号およびURLのいずれか、または組み合わせであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発信規制システム。
【請求項6】
ユーザ端末からエンドサーバへの発信を一旦保留し、その後、制御スロット単位で順次に保留解除することでエンドサーバの負荷を制限する発信規制方法において、
前記エンドサーバに複数のアドレスが割り当てられ、
前記ユーザ端末が、要求された発信を保留する手順と、
前記制御サーバが、エンドサーバの空き容量を、エンドサーバのシステム容量および保留解除される発信数に必要な追加容量に基づいて、制御スロットごとに算出する手順と、
前記制御サーバが、前記保留解除の条件を、各制御スロットで発生して保留中の発信数および前記エンドサーバの空き容量に基づいて算出する手順と、
前記制御サーバが、前記保留解除の条件を満足できずに保留継続される発信数を、各発信が発生した制御スロットごとに算出する手順と、
前記保留解除の条件を満足して保留解除される発信数を、前記保留継続される発信数に基づいて、保留解除される発信が発生した制御スロットごとに算出する手順と、
前記保留解除される発信数に必要な追加容量を、前記各制御スロットで保留解除される発信数に基づいて、制御スロットごとに算出する手順と、
前記保留解除の条件および発信要求が発生した制御スロットごとに異なる宛先アドレスを、ユーザ端末へ制御スロットごとに通知する手順と、
前記ユーザ端末が、前記保留解除の条件を所定の制御スロットごとに受信する手順と、
前記ユーザ端末が、保留中の発信が今回の制御スロットで受信された保留解除条件を満足すると、当該発信の要求が発生した制御スロットに割り当てられたアドレスへ発信し、該当しなければ発信の保留を継続する手順と、
前記制御サーバが、保留解除された発信のアドレスに基づいて、保留解除された発信数を制御スロット単位で測定し、前記保留中の発信数を更新する手順とを含むことを特徴とする発信規制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−142552(P2011−142552A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2796(P2010−2796)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】