説明

発光ダイオードパッケージ構造およびそれを作製する方法

【課題】発光ダイオードおよびそれを作製する方法を提供する。
【解決手段】発光ダイオードはリードフレームを含む。第1の材料体がリードフレーム上に形成され、第1の材料体は、先端、内表面および外表面を含む。第2の材料体がリードフレーム上に形成されて、第1の材料体の外表面を完全に覆う。詳細には、第1の材料体は親水性ポリマーを含み、かつ第2の材料体は疎水性ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年1月15日に出願された先の台湾特許出願第98101338号に基づき、かつその優先権の利益を主張するものであり、その全体の内容がここに参照として組み入れられる。
本発明は発光ダイオードに関し、より詳細には発光ダイオードパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LEDs)は、高輝度、低体積、低消費電力および長寿命を含む多くの長所を持っており、各種ディスプレイ商品に用いられている。LEDの発光原理は、電圧がLEDに印加されるときのLEDにおける電子とホールとの結合によるものである。該結合はダイオードから光子を放出させる。
【0003】
一般に、図1aを参照すると、従来の発光ダイオードパッケージ構造は、リードフレーム10および成形プラスチック体12を含む。続いてチップ14がリードフレーム10上に配置され、ワイヤ16が電気的接続を達成するために用いられる。最後に、図1bに示されるように、透明のパッケージ樹脂18がチップ14およびワイヤ16を覆うように充填され、これによって従来の発光ダイオードパッケージ構造が得られる。プラスチック体12のパッケージ樹脂18への接着力を改善するため、通常、プラスチック体12には親水性ポリマーが用いられる。しかし、プラスチック体12の親水特性のために、図1cに示されるように、分子間相互作用によりパッケージ樹脂が溢れ出て外表面上方に溢出残留物20を形成してしまうことがある。さらに、プラスチック体12は完全に親水性ポリマーにより構成されることから、相対的な使用期間中に大気にさらされることによる水分の吸収のために、パッケージ樹脂のプラスチック体12からの剥離が観察されることがある。
【0004】
故に、上述の問題を改善する新規の発光ダイオードパッケージ構造を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
発光ダイオードパッケージ構造の例示的実施形態は、キャリア部を備えるリードフレームを含む。リードフレームは、キャリア部と、リードフレーム上に形成されたキャリア部を露出させる第1の材料体とを備え、第1の材料体は内表面を有している。第2の材料体は、第1の材料体上方に形成されて、第1の材料体の内表面およびリードフレームのキャリア部を露出させる。発光ダイオードチップがリードフレームのキャリア部上に形成され、次いでパッケージ封止材が形成されて発光ダイオードチップおよび第1の材料体の内表面を覆い、第1の材料体およびパッケージ封止材の材料は、疎水性材料および親水性材料のうちの一方であり、かつ、第2の材料体の材料は、疎水性材料および親水性材料のうちの他方である。
【0006】
発光ダイオードパッケージ構造を作製する方法の例示的な実施形態は、キャリア部を備えるリードフレームを準備する工程、リードフレーム上に、内表面を含む第1の材料体を形成して、キャリア部を露出させる工程、第1の材料体上方に第2の材料体を形成して、第1の材料体の内表面およびリードフレームのキャリア部を露出させる工程、発光ダイオードチップをリードフレームのキャリア部上に配置する工程、ならびに、チップおよび第1の材料体の内表面を覆うパッケージ封止材を形成する工程を含み、第1の材料体およびパッケージ封止材の材料は、疎水性材料および親水性材料のうちの一方であり、第2の材料体の材料は、疎水性材料および親水性材料のうちの他方である。
【0007】
添付の図面を参照しながら、以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【0008】
添付の図面を参照に下記の詳細な説明および実施例を読めば、本発明をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】従来の発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【図1b】従来の発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【図1c】図1aおよび1bに示された従来の発光ダイオードパッケージ構造の溢出残留物を示す図である。
【図2a】本発明の実施形態による作製プロセスにおける発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【図2b】本発明の実施形態による作製プロセスにおける発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【図2c】本発明の実施形態による作製プロセスにおける発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態による発光ダイオードパッケージ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、溢出残留物および剥離を防ぎ、さらに発光ダイオードパッケージの信頼性と安定性とを改善する発光ダイオードパッケージ構造およびそれを作製する方法を開示する。
【0011】
以下の記載は本発明を実施する最良の形態である。この記載は本発明の主要な原理を説明するためのものであり、限定の意味で解されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して判断されなくてはならない。
【0012】
先ず、図2aを参照すると、リードフレーム100が準備され、リードフレーム100は、発光ダイオードチップを支持するためのキャリア部101を備えている。リードフレーム100の材料および形状は限定されず、先行技術に開示された任意の材料および形状とすることができる。ここで、添付の図面は、説明を簡単にするために、シンプルな形でリードフレーム100を示している。
【0013】
次に、なおも図2aを参照すると、プラスチック材料を用いた射出によりリードフレーム100上に第1の成形体102が形成され、第1の成形体102は実質的にキャリア部101を取り囲む。第1の成形体102はリードフレーム100の上表面上に位置し、かつ実質的に中空の環状部材を含むということに留意すべきである。リードフレーム100および第1の成形体102により空洞が形成され、キャリア部101は該空洞内に位置する。図2aを参照すると、第1の成形体102はテーパー状の断面を有していてよく、かつ先端107、内表面105および外表面103を含んでいる。内表面105または外表面103は連続的に平坦な表面であってもよいし、あるいはそれらが図3に示すような非連続的な表面であってもよい。
【0014】
本発明の実施形態によれば、第1の成形体は親水性ポリマーとすることができる。よって、第1の成形体と後に形成されるパッケージ封止材との間の接着力が強化され得る。第1の成形体は、例として、限定はされないが、例えば親水性ポリフタルアミド(polyphthalamide)、親水性ポリビニルアルコール(poly vinyl alcohol)、親水性ポリビニルピロリドン(poly vinyl pyrrolidone)、親水性ポリアミド(polyamides)、またはこれらの組み合わせを含む材料とすることができる。
【0015】
次に、図2bを参照すると、別のプラスチック材料を用いた射出によりリードフレーム100上に第2の成形体104が形成される。第2の成形体104は第1の成形体102の外表面103を完全に覆い、かつ第2の成形体104の上表面109は先端107にて外表面103に接触するということに留意すべきである。本発明の重要な特徴の1つは、第2の成形体104が好適には(水分を吸収しにくい)疎水性ポリマーを含むということである。このことは例えば成形体104の吸湿の可能性を低減することとなり、かつ剥離の不具合が防がれ得る。
【0016】
さらに、第2の成形体104は第1の成形体102の外表面103を完全に覆うため、後に形成されるパッケージ封止材が第1の成形体の内表面105に接触するのみに制限される。第1の成形体102の親水性の外表面103は疎水性の第2の成形体104によって覆われると共に隔離されるので、分子間の親水性相互作用はなく、後に形成されるパッケージ封止材は発光ダイオードパッケージの外表面へ溢れ出ない。第2の成形体104は例えば、限定はされないが、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリビニル芳香族(poly vinyl aromatic)、ポリジオキサノン(polydioxanone)またはこれらの組み合わせを含む材料とすることができる。また、第2の成形体104が、ガラス繊維と混合されたポリマーを含んでいてもよい。
【0017】
最後に、図2cを参照すると、キャリア部101上に発光ダイオードチップ106を配置し、ワイヤ108により電気的接続を形成した後、パッケージ封止材110が空洞に充填されて発光ダイオードチップ106を覆い、これにより本発明の実施形態の発光ダイオードパッケージ構造の作製が完了する。パッケージ封止材110が第1の成形体102の内表面105を実質的に覆うということに留意すべきである。発光ダイオードチップ106およびパッケージ封止材110は限定されず、先行技術において開示された任意の物質とすることができる。
【0018】
したがって、本発明により提供される発光ダイオードパッケージ構造およびそれを作製する方法は、溢出残留物ならびに第1の成形体および第2の成形体を含むプラスチック体からのパッケージ封止材の剥離の発生を防ぐことができる。プラスチック体の吸湿の可能性が50%に減少され得ると共に、プラスチック体とパッケージ封止材との間の接着力は維持され得るため、発光ダイオードパッケージの信頼性および安定性が向上する。
【0019】
実施例および好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定はされないと解されるべきである。それとは反対に、(当業者には明らかであるように)各種の変更および類似の改良が包含されるよう意図されている。よって、添付の特許請求の範囲は、かかる変更および類似の改良がすべて包含されるように、最も広い意味に解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0020】
100 リードフレーム
101 キャリア部
102 第1の成形体(第1の材料体)
103 外表面
104 第2の成形体(第2の材料体)
105 内表面
106 発光ダイオードチップ
107 先端
108 ワイヤ
109 上表面
110 パッケージ封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードパッケージ構造であって、
キャリア部を備えるリードフレーム、
前記リードフレーム上に形成されて前記キャリア部を露出させる、内表面を有する第1の材料体、
前記第1の材料体上方に形成されて前記第1の材料体の前記内表面および前記リードフレームの前記キャリア部を露出させる第2の材料体、
前記リードフレームの前記キャリア部上に配置される発光ダイオードチップ、ならびに、
前記発光ダイオードチップおよび前記第1の材料体の前記内表面を覆うパッケージ封止材、
を含み、
前記第1の材料体および前記パッケージ封止材の材料が疎水性材料および親水性材料のうちの一方であり、かつ前記第2の材料体の材料が疎水性材料および親水性材料のうちの他方であることを特徴とする発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項2】
前記内表面が非連続的である請求項1に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項3】
前記内表面が連続的に平坦である請求項1に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項4】
前記第1の材料体が親水性ポリマーを含む請求項1に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項5】
前記第1の材料体が、親水性ポリフタルアミド、親水性ポリビニルアルコール、親水性ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミド、またはこれらの組み合わせを含む請求項4に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項6】
前記第2の材料体が疎水性ポリマーを含む請求項1に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項7】
前記第2の材料体が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニル芳香族、またはポリジオキサノンを含む請求項6に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項8】
前記第2の材料体が、ガラス繊維と混合されたポリマーを含む請求項7に記載の発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項9】
発光ダイオードパッケージ構造を作製する方法であって、
キャリア部を備えるリードフレームを準備する工程、
前記リードフレーム上に、内表面を含む第1の材料体を形成して前記キャリア部を露出させる工程、
前記第1の材料体上方に第2の材料体を形成して前記第1の材料体の前記内表面および前記リードフレームの前記キャリア部を露出させる工程、
前記リードフレームの前記キャリア部上に発光ダイオードチップを配置する工程、ならびに、
前記発光ダイオードチップおよび前記第1の材料体の前記内表面を覆うパッケージ封止材を形成する工程、
を含み、
前記第1の材料体および前記パッケージ封止材の材料が疎水性材料および親水性材料のうちの一方であり、かつ前記第2の材料体の材料が疎水性材料および親水性材料のうちの他方であることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記内表面が非連続的である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内表面が連続的に平坦である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の材料体が親水性ポリマーを含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の材料体が、親水性ポリフタルアミド、親水性ポリビニルアルコール、親水性ポリビニルピロリドン、親水性ポリアミド、またはこれらの組み合わせを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料体が疎水性ポリマーを含む請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の材料体が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニル芳香族、ポリジオキサノン、またはこれらの組み合わせを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の材料体が、ガラス繊維と混合されたポリマーを含む請求項15に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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