説明

発光ダイオード及び発光ダイオードランプ、並びに照明装置

【課題】高出力・高効率であって高湿環境下で長寿命の発光ダイオードを提供する。
【解決手段】発光部7を有する化合物半導体層2と、化合物半導体層2の主たる光取り出し面に設けられたオーミック電極4,5と、オーミック電極4,5を保護するための電極保護層6と、を備えた発光ダイオード1であって、主たる光取り出し面を含む化合物半導体層2の表面2a,2bのAl濃度が20%以下且つAs濃度が1%未満であり、電極保護層6が、オーミック電極4,5を覆うように設けられた第1の保護膜12と、少なくとも第1の保護膜12の端部を覆うように設けられた第2の保護膜13とからなる二層構造を有することを特徴とする発光ダイオード1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード及び発光ダイオードランプに関するものであり、特に植物育成用光源などの高湿環境下で使用される赤色発光ダイオード及びそれを用いた発光ダイオードランプ並びに照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人工光源による植物育成が研究なされている。特に、単色性に優れており、省エネルギー、長寿命、小型化が可能な発光ダイオード(英略称:LED)による照明を用いた栽培方法が注目されている。また、これまでの研究結果から、植物育成(光合成)用の光源に適した発光波長の1つとして、波長600〜700nmの領域の、赤色光の効果が確認されている。また、730nm〜760nmの赤外光も、育成制御に有効な波長であるとの報告もある。特に、光合成に対して波長660〜670nm付近の光は、反応効率が高く最も望ましい光源である。これらの波長に対して、従来の発光ダイオードに於いては、GaAs基板上のAlGaAsからなる発光層が実用化されている(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
一方、燐化アルミニウム・ガリウム・インジウム(組成式(AlGa1−XIn1−YP;0≦X≦1,0<Y≦1)からなる発光層を備えた化合物半導体LEDが知られている。このLEDは、黄緑〜赤色の発光層で得られるピーク波長は、560〜670nm付近である。
【0004】
また、(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)からなる発光層を備えた発光部は、一般に、砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板上に形成されている。この砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板は、発光層から出射される発光に対し光学的に不透明であり、機械的にも強度がそれ程ないという課題があった。そこで、より高輝度の可視LEDを得るために、また、更なる素子の機械的強度の向上を目的とした研究が進められている。すなわち、GaAsのような不透明な基板材料を除去した後、発光を透過できると共に従来に増してより機械強度に優れた透明な材料からなる支持体層を改めて接合させた、いわゆる接合型LEDを構成する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
また、発光ダイオードの高湿対策の高機能保護膜については、無機膜と熱硬化性樹脂膜による2層構造が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、AlGaAs系の発光ダイオードの高機能保護膜については、半導体層に100nmを越える十分な膜厚の保護膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−37648号公報
【特許文献2】特開2002−27831号公報
【特許文献3】特開2004−221042号公報
【特許文献4】特許第3230638号公報
【特許文献5】特開平8−298341号公報
【特許文献6】特開平7−94777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来からLEDは、屋外で使用され高温や高湿に対する信頼性が検討されていた。そして、新しい用途の植物育成用の照明の光源として実用化するためには、植物育成の環境であるため散水、薬品散布など高湿や化学物質に耐えられる品質が必要である。ところで、従来の発光ダイオードであるAlGaAs系のLEDでは、Al濃度が高い為に高湿環境下でAlGaAs結晶が酸化して、発光出力が低下してしまうという問題があった。また、AlGaAs系のLEDでは、オーミック電極材とAlGaAs材料との合金化による合金層の腐食により、順方向電圧(VF)が上昇する現象が起こる場合があった。
【0008】
そこで、上記課題に対して、AlGaAs表面、オーミック電極の合金層に保護膜を形成することも検討されているが、GaAs基板除去型の高出力のAlGaAsチップは、側面及び裏面が透明なAlGaAsである事から全てを保護することは、技術的に困難であった。
【0009】
また、例えば、水分に塩素など化学物質を含む高湿環境では、電極付近で電気化学反応が起こる場合があり、前記合金層の保護の強化が必要である。
一方、食用の植物育成の場合は、腐食の可能性があるAlGaAsについては、Asの挙動に細心の注意が必要である。このため、チップ、パッケージや照明装置でのAs対策が必要であるという問題があった。望ましくは、As濃度を低減する課題もある。
【0010】
すなわち、発光効率の高い上記AlGaAs発光ダイオードは、透明なAlGaAsの厚膜層を成長し、使用したGaAs基板を除去した構造である。この高出力発光ダイオードは、表面、側面、裏面が全てAlGaAsである。波長660nmの発光層は、(AlGa1−X)As(X=0.35)であるため、発光層を挟むクラッド層及び厚膜層は、必然的に透明なバンドギャップの大きい層(Al濃度が高い)である。従って、(AlGa1−X)Asの組成は、上記Xの値が、0.35超であることが必須であり、表面、側面、裏面の組成は(0.5<X<0.8)であり、Al濃度に換算して約25%から40%程度の高濃度である。したがって、AlGaAs発光ダイオードは、高湿環境下で酸化しやすい表面材質である為、表面にSiO保護膜などを形成する技術が実用化されている。また、腐食しやすいオーミック電極の合金層に対しても、保護膜を形成する技術が実用化されている。
一方、発光波長が700nmより長い近赤外領域では、発光層のAl濃度が低くなり、LED全体のAl濃度を低下できるため、高湿化の耐性が向上する。従って、赤色発光ダイオードに対して、より重要な課題である。
【0011】
また、上記AlGaAs発光ダイオードを、例えば、60℃、90RH%、20mA、1000時間の条件で高温高湿通電試験をした場合、試験パッケージによっては発光出力低下や順方向電圧の上昇が発生する。これは、AlGaAsの表面酸化(側面を含む)により形成された酸化層での光吸収が増加したこと、オーミック電極と半導体の合金層とが一部腐食したことによる抵抗の上昇したことが原因と考えられる。更に、酸化・腐食反応は、水分に加え、アルカリ、ハロゲン等の活性な不純物が含まれる条件で、電気化学反応により加速されることが知られている。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高出力・高効率であって高湿環境下で長寿命の発光ダイオードを提供することを目的とする。特に、多湿環境の植物育成用の照明に適した発光ダイオードを提供する。
また、植物育成用の照明に適した発光ダイオードランプや当該発光ダイオードランプを搭載した照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 組成式中にAlを含み、発光波長が570nm以上700nm以下であるpn接合型の発光部を有する化合物半導体層と、前記化合物半導体層の主たる光取り出し面に設けられたオーミック電極と、前記オーミック電極を保護するための電極保護層と、を備えた発光ダイオードであって、前記主たる光取り出し面を含む前記化合物半導体層の表面のAl濃度が25%以下であり、前記電極保護層が、オーミック電極を覆うように設けられた第1の保護膜と、少なくとも前記第1の保護膜の端部を覆うように設けられた第2の保護膜とからなる二層構造を有することを特徴とする発光ダイオード。
[2] 前記主たる光取り出し面に設けられた前記オーミック電極が、p型のオーミック電極であることを特徴とする前項1に記載の発光ダイオード。
[3] 前記発光部は、組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる発光層を有することを特徴とする前項1又は2に記載の発光ダイオード。
[4] 前記発光部は、前記発光層の上面及び下面の一方又は両方にクラッド層を有することを特徴とする前項3に記載の発光ダイオード。
[5] 前記主たる光取り出し面の表面の組成式が、(AlGa1-XIn1−YP(0≦X≦0.8、0.48≦Y≦0.52)であることを特徴とする前項1乃至4のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
[6] 前記主たる光取り出し面には、さらにn型のオーミック電極が設けられており、前記n型のオーミック電極上に前記電極保護層が設けられていることを特徴とする前項1乃至5のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【0014】
[7] 前記第1の保護膜は、金及び白金のいずれか一方からなる金属層又はこれらの金属層の積層構造であることを特徴とする前項1乃至6のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
[8] 前記第1の保護膜の表面が金であることを特徴とする前項7に記載の発光ダイオード。
[9] 前記第2の保護膜は、発光波長に対して透明な酸化膜又は窒化膜であることを特徴とする前項1乃至8のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
[10] 前記第2の保護膜が酸化シリコン(SiO)であることを特徴とする前項9に記載の発光ダイオード。
[11] 前記第1の保護膜の表面が、ワイヤボンディング用のパッドとされていることを特徴とする前項1乃至10のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【0015】
[12] 前記化合物半導体層の前記主たる光取り出し面と反対側の面に機能性基板が接合されており、前記機能性基板の表面のAl濃度が25%以下であることを特徴とする前項1乃至11のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
[13] 前記機能性基板が、発光波長に対して透明であることを特徴とする前項12に記載の発光ダイオード。
[14] 前記機能性基板の材質がGaPであることを特徴とする前項12又は13に記載の発光ダイオード。
【0016】
[15] 発光波長が、650nm〜670nmである植物育成の光合成の促進に使用するための発光ダイオードであって、半導体層および基板の表面Al濃度が25%以下且つオーミック電極のコンタクト層を除いてAsを含まないことを特徴とする前項1乃至14のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
[16] 前項1乃至15のいずれか一項に記載の発光ダイオードを搭載することを特徴とする発光ダイオードランプ。
[17] 前項16に記載の発光ダイオードランプを搭載することを特徴とする照明器具。
【発明の効果】
【0017】
本発明の発光ダイオードは、組成式中にAlを含み、発光波長が570nm以上700nm以下であるpn接合型の発光部を有する化合物半導体層の、主たる光取り出し面を含む表面のAl濃度が25%以下とされると共に、この化合物半導体層の主たる光取り出し面に設けられたオーミック電極を保護するための電極保護層が、オーミック電極を覆うように設けられた第1の保護膜と、少なくとも第1の保護膜の端部を覆うように設けられた第2の保護膜とからなる二層構造とされている。このように、高湿環境下において腐食の起点となるAlの半導体表面の濃度を規定し、オーミック電極と半導体の界面との合金層を二層構造の保護膜によって保護するため、発光ダイオードの耐食性を向上することができる。したがって、高出力・高効率であって高湿環境下で長寿命の発光ダイオードを提供することができる。なお、本発明において半導体表面のAl濃度とは、化合物半導体層の主たる光取り出し面及び機能性基板の表面のAl濃度を示すものとし、オーミック電極と半導体との合金層の表面を除くものとする。
また、本発明の発光ダイオードは、主たる光取り出し面を含む化合物半導体層の表面にAsを含まないため、植物育成用の照明に適した発光ダイオードを提供することができる。
【0018】
また、本発明の発光ダイオードは、組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる発光層を有する発光部を備えている。上記組成からなる発光層は、従来の発光ダイオードのAlGaAsからなる発光層よりもAl及びAs濃度が低いため、高湿環境下という使用環境が厳しい植物育成用の発光ダイオードとして好適に用いることができる。
【0019】
ところで、植物育成用の光源には、青色発光ダイオードと赤色発光ダイオードとがパッケージされるが、このようなパッケージには保護膜として青色光に対して劣化しにくいシリコン樹脂が用いられる。しかしながら、シリコン樹脂は一般的に吸湿性が高いため、植物育成用の光源が用いられる高湿環境下では保護膜としての機能が充分ではない。
本発明の発光ダイオードランプ及び照明装置によれば、上記発光ダイオードが搭載されているため、青色及び赤色発光ダイオードが同時に使用される植物育成の光源として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態である発光ダイオードを用いた発光ダイオードランプの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態である発光ダイオードを用いた発光ダイオードランプの、図1中に示すA−A’線に沿った断面模式図である。
【図3】本発明の一実施形態である発光ダイオードの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態である発光ダイオードの、図3中に示すB−B’線に沿った断面模式図である。
【図5】本発明の一実施形態である発光ダイオードの電極保護膜の構成を説明するための拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態である発光ダイオードに用いるエピウェーハの断面模式図である。
【図7】本発明の一実施形態である発光ダイオードに用いる接合ウェーハの断面模式図である。
【図8】本発明の実施例の説明における、比較例1の発光ダイオードの構成を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した一実施形態である発光ダイオードについて、これを用いた発光ダイオードランプとともに図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0022】
<発光ダイオードランプ>
図1及び図2は、本発明を適用した一実施形態である発光ダイオードを用いた発光ダイオードランプを説明するための図であり、図1は平面図、図2は図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、本実施形態の発光ダイオード1を用いた発光ダイオードランプ41は、マウント基板42の表面に1以上の発光ダイオード1が実装されている。より具体的には、マウント基板42の表面には、n電極端子43とp電極端子44とが設けられている。また、発光ダイオード1の第1の電極であるn型オーミック電極4とマウント基板42のn電極端子43とが金線45を用いて接続されている(ワイヤボンディング)。一方、発光ダイオード1の第2の電極であるp型オーミック電極5とマウント基板42のp電極端子44とが金線46を用いて接続されている。さらに、図2に示すように、発光ダイオード1のn型及びp型オーミック電極4,5が設けられた面と反対側の面には、接続層47が設けられており、この接続層47によって発光ダイオード1がn電極端子43上に接続されてマウント基板42に固定されている。マウント基板42の発光ダイオード1が実装された表面は、一般的なシリコン樹脂48によって封止されている。
【0024】
<発光ダイオード>
図3及び図4は、本発明を適用した一実施形態である発光ダイオードを説明するための図であり、図3は平面図、図4は図3中に示すB−B’線に沿った断面図である。図3及び図4に示すように、本実施形態の発光ダイオード1は、化合物半導体層2と機能性基板3とが接合された発光ダイオードである。そして、発光ダイオード1は、化合物半導体層2の主たる光取り出し面に設けられたn型オーミック電極4及びp型オーミック電極5と、n型及びp型のオーミック電極4,5を保護するための電極保護層6とを備えて概略構成されている。なお、本実施形態における主たる光取り出し面とは、化合物半導体層2において、機能性基板3を貼り付けた面の反対側の面をいう。
【0025】
化合物半導体層(エピタキシャル成長層ともいう)2は、図4に示すように、組成式中にAlを含み、発光波長が570nm以上700nm以下であるpn接合型の発光部7と、素子駆動電流を発光部の全般に平面的に拡散させるための電流拡散層8とが順次積層された構造を有している。この化合物半導体層2の構造には、公知の機能層を適時加えることができる。例えば、オーミック(Ohmic)電極の接触抵抗を下げるためのコンタクト層、素子駆動電流の通流する領域を制限するための電流阻止層や電流狭窄層など公知の層構造を設けることができる。なお、化合物半導体層2は、GaAs基板上にエピタキシャル成長させて形成されたものであることが好ましい。
【0026】
発光部7は、図4に示すように、電流拡散層8上に、少なくともp型の下部クラッド層9、発光層10、n型の上部クラッド層11が順次積層されて構成されている。すなわち、発光部7は、放射再結合をもたらすキャリア(担体;carrier)及び発光を発光層10に「閉じ込める」ために、発光層10の下側及び上側に対峙して配置した下部クラッド(clad)層9及び上部クラッド層11を含む、所謂、ダブルヘテロ(英略称:DH)構造とすることが高強度の発光を得る上で好ましい。
【0027】
発光層10は、組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)からなる半導体層から構成されている。この発光層10は、ダブルヘテロ構造、単一(single)量子井戸(英略称:SQW)構造、あるいは多重(multi)量子井戸(英略称:MQW)構造のどちらであっても良いが、単色性に優れる発光を得るためにはMQW構造とすることが好ましい。また、量子井戸(英略称:QW)構造をなす障壁(barrier)層及び井戸(well)層を構成する(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)の組成は、所望の発光波長を帰結する量子準位が井戸層内に形成される様に決定することができる。
【0028】
発光層10の層厚は、0.02〜2μmの範囲であることが好ましい。また、発光層10の伝導型は特に限定されるものではなく、アンドープ、p型及びn型のいずれも選択することができる。発光効率を高めるには、結晶性が良好なアンドープ又は3×1017cm−3未満のキャリア濃度とすることが望ましい。
【0029】
組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1,0<Y≦1)からなる発光層10を有する発光ダイオード1は、従来のAlGaAs系の発光ダイオードと比較して高出力であり、650〜670nmの波長域は植物育成の光合成の促進に使用する照明(発光ダイオードランプや発光ダイオードランプを備えた照明装置)として好適に用いることができる。なお、照明装置とは、図示しないが、配線やスルーホール等が形成された基板と、基板表面に取り付けられた複数の発光ダイオードランプと、凹字状の断面形状を有し、凹部内側の底部に発光ダイオードランプが取り付けられるように構成されたリフレクター又はシェードとを少なくとも備えた照明装置をいう。
【0030】
下部クラッド層9及び上部クラッド層11は、図4に示すように、発光層10の下面及び上面にそれぞれ設けられている。具体的には、発光層10の下面に下部クラッド層9が設けられ、発光層10の上面に上部クラッド層11が設けられている。
【0031】
下部クラッド層9と上部クラッド層11とは、極性が異なるように構成されている。また、下部クラッド層9及び上部クラッド層11のキャリア濃度及び厚さは、公知の好適な範囲を用いることができ、発光層10の発光効率が高まるように条件を最適化することが好ましい。
【0032】
具体的に、下部クラッド層9としては、例えば、Mgをドープしたp型の(AlGa1−XIn1−YP(0.3≦X≦1,0<Y≦1)からなる半導体材料を用いることが望ましい。また、キャリア濃度は2×1017〜2×1018cm−3の範囲が好ましく、層厚は0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0033】
一方、上部クラッド層11としては、例えば、Siをドープしたn型の(AlGa1−XIn1−YP(0.3≦X≦1,0<Y≦1)からなる半導体材料を用いることが望ましい。特に、上部クラッド層11の上面が、発光ダイオード1の主たる光取り出し面側の表面となる場合には、上記Xの値が0.3以上1.0以下(Alの表面濃度としては7.5以上25%以下)が好ましく、0.8以下(Alの表面濃度としては20%以下)であることがより好ましい。また、上記Yが0.48以上0.52以下であることが好ましい
また、キャリア濃度は1×1017〜1×1018cm−3の範囲が好ましく、層厚は0.5〜2μmの範囲が好ましい。なお、下部クラッド層9及び上部クラッド層11の極性は、化合物半導体層2の素子構造を考慮して適宜選択することができる。
【0034】
また、下部クラッド層9と発光層10との間、発光層10と上部クラッド層11との間及び上部クラッド層11と電流拡散層8との間に、両層間におけるバンド(band)不連続性を緩やかに変化させるための中間層を設けても良い。この場合、各中間層は、上記両層の中間の禁止帯幅を有する半導体材料からそれぞれ構成することが好ましい。
【0035】
また、発光部7の構成層の上方には、オーミック(Ohmic)電極の接触抵抗を下げるためのコンタクト層、素子駆動電流の通流する領域を制限するための電流阻止層や電流狭窄層など公知の層構造を設けることができる。なお、上記コンタクト層としては、例えば、バンドギャップの小さいGaAsが一般的に使用されている。これに対して、Asを含まないコンタクト層の材質として、GaInPを用いることが望ましい。
【0036】
電流拡散層8は、図4に示すように、素子駆動電流を発光部7の全般に平面的に拡散させるために、発光部7の下方に設けられている。これにより、発光ダイオード1は、発光部7から均一に発光することができる。
【0037】
電流拡散層8としては、(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦0.7、0≦Y≦1)の組成を有する材料を適用することができる。上記Xは、化合物半導体層2の素子構造にもよるが、Al濃度が低い材料が化学的に安定であることから、0.5以下(Al濃度としては、約12.5%以下)であることが好ましく、0であることがより好ましい。また、上記Yは、1であることが好ましい。すなわち、電流拡散層8としては、Al濃度が25%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、Alを含まないGaPを用いることが最も好ましい。
【0038】
本実施形態の発光ダイオード1では、化合物半導体層2の表面、すなわち、主たる光取り出し面である化合物半導体層2の上面2a及び側面2b表面のAl濃度が25%以下となるように調整する。具体的には、化合物半導体層2を構成する各層の組成を上述の範囲とすることにより、達成することができる。このように、化合物半導体層の主たる光取り出し面を含む表面のAl濃度を25%以下とすることにより、発光ダイオード1を高湿環境下で使用した際に、Alが水分と反応して腐食することを抑制することができる。
なお、図4に示すように、本実施形態において主たる光取り出し面には、上部クラッド層11の上面11aと、後述するように化合物半導体層2の表面から露出している電流拡散層8の上面8aとが含まれる。
したがって、化合物半導体層2の上面2aは、上部クラッド層11の上面11a及び電流拡散層8の上面8aから構成される。また、化合物半導体層2の側面2bには、化合物半導体層2の外周部の側面2bと、電流拡散層8の上面8aを露出させるために設けられた開口部の側面2bとから構成される。
【0039】
また、本実施形態の発光ダイオード1では、化合物半導体層2の表面、すなわち、主たる光取り出し面である化合物半導体層2の上面2a及び側面2b表面はAsを含まないことが好ましい。具体的には、化合物半導体層2を構成する各層の組成を上述の範囲とすることにより、達成することができる。このように、化合物半導体層2の主たる光取り出し面を含む表面2a,2bのAs濃度を1%未満、望ましくはAsを含まないようにすることにより、発光ダイオード1を植物育成用の光源として用いた場合であっても、パッケージや照明装置等においてAsに対する対策を軽減することができる。
【0040】
機能性基板3は、化合物半導体層2の主たる光取り出し面と反対側の面に接合されている。すなわち、機能性基板3は、図4に示すように、化合物半導体層2を構成する電流拡散層8側に接合されている。この機能性基板3は、発光部7を機械的に支持するのに充分な強度を有し、且つ、発光部7から出射される発光を透過できる禁止帯幅が広く、発光層10からの発光波長に対して光学的に透明な材料から構成する。例えば、燐化ガリウム(GaP)、炭化珪素(SiC)等のIV族半導体結晶体、ガラス、サファイアなど絶縁基板から構成することができる。
【0041】
機能性基板3は、発光部7を機械的に充分な強度で支持するために、例えば約50μm以上の厚みとすることが好ましい。また、化合物半導体層2へ接合した後に機能性基板3への機械的な加工を施し易くするため、約300μmの厚さを超えないものとすることが好ましい。すなわち、機能性基板3は、約50μm以上約300μm以下の厚さを有するn型GaP基板から構成するのが最適である。
【0042】
また、機能性基板3は、発光部7から出射される発光を反射するミラー構造を有していても良い。ミラー構造を有する機能性基板3としては、例えば、Au,Ag等の高反射率の金属とシリコン、ゲルマニウム等の半導体とを組み合わせた所謂ミラー基板を挙げることができる。
【0043】
本実施形態の発光ダイオード1では、機能性基板3の表面のAl濃度を25%以下とすることが好ましい。Al濃度の調整は、具体的には、機能性基板3の組成を上述の範囲とすることにより、達成することができる。このように、機能性基板3の表面のAl濃度を25%以下とすることにより、発光ダイオード1を高湿環境下で使用した際に、Alが水分と反応して腐食することを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態の発光ダイオード1では、機能性基板3の表面のAs濃度が1%未満、望ましくはAsを含まないことが好ましい。なお、本実施形態において機能性基板3の表面とは、外周面である側面3bを指しているが、上面が露出している場合には当然に上面を含むものである。
As濃度の調整は、具体的には、機能性基板3の組成を上述の範囲とすることにより達成することができる。このように、機能性基板3の表面(側面3b)のAs濃度を1%未満とすることにより、発光ダイオード1を植物育成用の光源として用いた場合のパッケージや照明装置等においてAsに対する対策を軽減することができる。
【0045】
n型オーミック電極4およびp型オーミック電極5は、発光ダイオード1の主たる光取り出し面に設けられた低抵抗のオーミック接触電極である。ここで、n型オーミック電極4は、上部クラッド層11の上方に設けられており、例えば、AuGe、Ni合金/Auからなる合金を用いることができる。一方、p型オーミック電極5は、図4に示すように、露出させた電流拡散層8の上面8aにAuBe/Auからなる合金を用いることができる。
【0046】
ここで、本実施形態の発光ダイオード1では、第2の電極としてp型オーミック電極5を、電流拡散層8上に形成することが好ましい。このような構成とすることにより、作動電圧を下げる効果が得られる。また、p型オーミック電極5をp型GaPからなる電流拡散層8上に形成することにより、良好なオーミックコンタクトが得られるため、作動電圧を下げることができる。
【0047】
本実施形態の発光ダイオード1では、図3に示すように、n型オーミック電極4とp型オーミック電極5とが対角の位置となるように配置することが好ましい。また、p型オーミック電極5の周囲を、化合物半導体層2で囲んだ構成とすることが最も好ましい。このような構成とすることにより、作動電圧を下げる効果が得られる。また、p型オーミック電極5の四方をn型オーミック電極4で囲むことにより、電流が四方に流れやすくなり、その結果作動電圧が低下する。
【0048】
また、本実施形態の発光ダイオード1では、図3に示すように、n型オーミック電極4を、ハニカム、格子形状など網目とすることが好ましい。このような構成とすることにより、VFを低減させる効果や信頼性を向上させる効果が得られる。また、格子状とすることにより、発光層10に均一に電流を注入することができ、その結果、信頼性を向上させる効果が得られる。なお、本実施形態の発光ダイオード1では、n型オーミック電極4を、パッド形状の電極(パッド電極)と幅10μm以下の線状の電極(線状電極)とで構成することが好ましい。このような構成とすることにより、高輝度化をはかることができる。さらに、線状電極の幅を狭くすることにより、主たる光取り出し面の開口面積を上げることができ、高輝度化を達成することができる。
【0049】
なお、本実施形態の発光ダイオード1では、主たる光取り出し面にn型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を設けた、いわゆる片側電極構造の場合を例示しているが、電極構造は特にこれに限定されるものではない。例えば、n型オーミック電極4を主たる光取り出し面側に、p型オーミック電極5を機能性基板3の底面側に設けた、いわゆる上下電極構造としても良い。
【0050】
電極保護層6は、図4及び図5に示すように、主たる光取り出し面を含む化合物半導体層2の表面(上面2a及び側面2b)を覆うように設けられている。電極保護層6は、n型及びp型オーミック電極4,5を保護するために設けられており、第1の保護膜12と第2の保護膜13とからなる二層構造を有している。
【0051】
第1の保護膜12は、図4及び図5に示すように、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を覆うようにそれぞれ設けられている。これにより、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5が露出することなく被覆される。また、第1の保護膜12としては、金(Au)及び白金(Pt)のいずれか一方からなる金属層又はこれらの金属層の積層体を用いることができる。具体的には、例えば、Au/Pt/Auからなる合金を用いることができる。不純物元素に対するバリア特性を有する白金層を設けることにより、n型オーミック電極4の上面4a及びp型オーミック電極5の上面5aからの不純物元素の浸入を抑制することができる。このため、図5に示すように、例えばp型オーミック電極5と電流拡散層8との界面に形成された合金層5bを保護することができる。また、第1の保護膜12の表面に金層を設けることにより、この第1の保護膜12の上面12aをワイヤボンディング用のパッドとして用いることができる。また、第1の保護膜12の膜厚は、100〜4000nmの範囲であることが好ましく、300〜3000nmの範囲がより好ましく、500〜2000nmの範囲がさらに好ましい。
【0052】
第2の保護膜13は、図4に示すように、化合物半導体層2の表面、すなわち、主たる光取り出し面である上面2a及び側面2bを覆うように設けられている。これにより、高湿環境における水分による化合物半導体層2の表面の腐食を抑制することができる。
また、第2の保護膜13は、図4及び図5に示すように、ワイヤボンディング用のパッドとなる第1の保護膜12の上面12aを露出させると共に少なくとも第1の保護膜12の端部12bを覆うように設けられている。これにより、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5の端面からの水分の浸入をより確実に抑制することができる。
【0053】
第2の保護膜13としては、発光波長に対して透明な酸化膜又は窒化膜を用いることができる。上記酸化膜としては、例えば、酸化シリコン(SiO)膜を挙げることができる。また、上記窒化膜としては、例えば窒化シリコン膜(SiN)膜を挙げることができる。第2の保護膜13の膜厚は、100〜1000nmの範囲であることが好ましく、200〜800nmの範囲がより好ましく、300〜600nmの範囲がさらに好ましい。
【0054】
ところで、発光ダイオード1を高湿環境下で使用する場合、水分中には不純物としてアルカリやハロゲンイオン、例えば塩素イオンが含まれやすい。この水分中に含まれる塩素イオン等に対して、p型オーミック電極5の合金層5bは、電気化学反応により腐食されやすいという問題がある。したがって、片側電極構造を有する本実施形態の発光ダイオード1では、第1の保護膜12によって少なくとも主たる光取り出し面に設けられたp型オーミック電極を保護することが好ましい。
【0055】
<発光ダイオードの製造方法>
次に、本実施形態の発光ダイオード1の製造方法について説明する。図6は、本実施形態の発光ダイオード1に用いるエピウェーハの断面図である。また、図7は、本実施形態の発光ダイオード1に用いる接合ウェーハの断面図である。
【0056】
(化合物半導体層の形成工程)
先ず、図6に示すように、化合物半導体層2を作製する。化合物半導体層2は、GaAs基板14上に、GaAsからなる緩衝層15、選択エッチングに利用するために設けられたエッチングストップ層(図示略)、Siをドープしたn型のGaInPからなるコンタクト層16、n型の上部クラッド層11、発光層10、p型の下部クラッド層9、Mgドープしたp型GaPからなる電流拡散層8を順次積層して作製する。
【0057】
GaAs基板14は、公知の製法で作製された市販品の単結晶基板を使用できる。GaAs基板14のエピタキシャル成長させる表面は、平滑であることが望ましい。GaAs基板14の表面の面方位は、エピ成長しやすく、量産されている(100)面および(100)から、±20°以内にオフした基板が、品質の安定性の面からのぞましい。さらに、GaAs基板14の面方位の範囲が、(100)方向から(0−1−1)方向に15°オフ±5°であることがより好ましい。
【0058】
GaAs基板14の転位密度は、化合物半導体層2の結晶性を良くするために低い方が望ましい。具体的には、例えば、10,000個cm−2以下、望ましくは、1,000個cm−2以下であることが好適である。
【0059】
GaAs基板14は、n型であってもp型であっても良い。GaAs基板14のキャリア濃度は、所望の電気伝導度と素子構造から、適宜選択することができる。例えば、GaAs基板14がシリコンドープのn型である場合には、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm−3の範囲であることが好ましい。これに対して、GaAs基板14が亜鉛をドープしたp型の場合には、キャリア濃度2×1018〜5×1019cm−3の範囲であることが好ましい。
【0060】
緩衝層(buffer)15は、GaAs基板14と発光部7の構成層との格子ミスマッチの緩和するために設けられている。このため、基板の品質やエピタキシャル成長条件を選択すれば、緩衝層15は、必ずしも必要ではない。また、緩衝層15の材質は、エピタキシャル成長させる基板と同じ材質とすることが好ましい。したがって、本実施形態では、緩衝層15には、GaAs基板14と同じくGaAsを用いることが好ましい。また、緩衝層15には、欠陥の伝搬を低減するためにGaAs基板14と異なる材質からなる多層膜を用いることもできる。緩衝層15の厚さは、0.1μm以上とすることが好ましく、0.2μm以上とすることがより好ましい。
【0061】
コンタクト層16は、電極との接触抵抗を低下させるために設けられている。コンタクト層16の材質は、GaAsなどAlを含まないものが望ましく、更に、Asを含まないGaInPが最も望ましい。また、コンタクト層16のキャリア濃度の下限値は、電極との接触抵抗を低下させるために5×1017cm−3以上であることが好ましく、1×1018cm−3以上がより好ましい。キャリア濃度の上限値は、結晶性の低下が起こりやすくなる2×1019cm−3以下が望ましい。コンタクト層16の厚さは、0.02μm以上が好ましく、0.05μm以上が望ましい。
【0062】
本実施形態では、分子線エピタキシャル法(MBE)や減圧有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)等の公知の成長方法を適用することができる。なかでも、量産性に優れるMOCVD法を適用することが望ましい。具体的には、化合物半導体層2のエピタキシャル成長に使用するGaAs基板14は、成長前に洗浄工程や熱処理等の前処理を実施して、表面の汚染や自然酸化膜を除去することが望ましい。
【0063】
上記化合物半導体層2の各層をエピタキシャル成長する際、III族構成元素の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム((CHAl)、トリメチルガリウム((CHGa)及びトリメチルインジウム((CHIn)を用いることができる。また、Mgのドーピング原料としては、例えば、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(CMg)等を用いることができる。また、Siのドーピング原料としては、例えば、ジシラン(Si)等を用いることができる。また、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)等を用いることができる。また、各層の成長温度としては、電流拡散層8としてp型GaPを用いる場合は、720〜770℃を適用することができ、その他の各層では600〜700℃を適用することができる。さらに、各層のキャリア濃度及び層厚、温度条件は、適宜選択することができる。
【0064】
このようにして製造した化合物半導体層2は、結晶欠陥が少ない良好な表面状態が得られる。また、化合物半導体層2は、素子構造に対応して研磨などの表面加工を施しても良い。
【0065】
(透明基板の接合工程)
次に、化合物半導体層2と機能性基板3とを接合する。化合物半導体層2と機能性基板3との接合は、先ず、化合物半導体層2を構成する電流拡散層8の表面を研磨して、鏡面加工する。次に、この電流拡散層8の鏡面研磨した表面に貼付する機能性基板3を用意する。なお、この機能性基板3の表面は、電流拡散層8に接合させる以前に鏡面に研磨する。次に、一般の半導体材料貼付装置に、化合物半導体層2と機能性基板3とを搬入し、真空中で鏡面研磨した双方の表面に電子を衝突させて中性(ニュートラル)化したArビームを照射する。その後、真空を維持した貼付装置内で双方の表面を重ね合わせて荷重をかけることで、室温で接合することができる(図7参照)。
【0066】
(n型及びp型電極の形成工程)
次に、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を形成する。n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5の形成は、先ず、機能性基板3と接合した化合物半導体層2から、GaAs基板14及びGaAs緩衝層15をアンモニア系エッチャントによって選択的に除去する。次に、露出したコンタクト層16の表面にn型オーミック電極4を形成する。具体的には、例えば、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してパターニングを行って、AuGe、Ni合金/Auを任意の厚さとなるように真空蒸着法により積層した後、n型オーミック電極4の形状を形成する。
【0067】
次に、コンタクト層16、上部クラッド層11、発光層10、下部クラッド層9を選択的に除去して電流拡散層8を露出させ、この露出した表面(上面8a)にp型オーミック電極5を形成する。具体的には、例えば、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してパターニングを行って、AuBe/Auを任意の厚さとなるように真空蒸着法により積層した後、p型オーミック電極5の形状を形成する。その後、例えば400〜500℃、5〜20分間の条件で熱処理を行って合金化することにより、低抵抗のn型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を形成することができる。この時、半導体と電極界面に合金層が形成され、良好なオーミック電極が得られる。
【0068】
(第1の保護膜の形成工程)
次に、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を覆うように、例えば、Au/Pt/Auを任意の厚さとなるように真空蒸着法により金属層を積層する。次に、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してこの金属層のパターニングを行って、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5を覆うような形状の第1の保護膜12をそれぞれ形成する。この第1の保護膜12は、n型オーミック電極4及びp型オーミック電極5の保護膜であると共にワイヤボンディング用の電極となる。したがって、第1の保護膜12の形成と同時にワイヤボンディング用の電極を形成するため、生産性が高く望ましい工程である。
【0069】
(第2の保護膜の形成工程)
次に、ダイシング加工領域の化合物半導体層2をエッチングにより除去する。次に、例えば透明なSiO膜をスパッタ法により成膜した後、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してパターニングを行って、ワイヤボンディングを行うための電極パッド及びダイシングによる切断予定領域となる箇所のSiO膜をエッチング除去する。なお、第2の保護膜の成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法など公知の技術を利用できる。また、切断方法は、機能性基板の材質に適した方法を適宜選択し、ダイシング法、スクライブ法(レーザーまたはメカニカル)も適用できる。例えば、機能性基板としてGaP基板を用いた場合には、生産性の高いダイシング法を適用することが最も好ましい。
【0070】
例えば、機能性基板としてGaP基板を用いた場合には、ダイシングによる破砕層及び汚れを必要に応じて硫酸・過酸化水素混合液等でエッチング除去する。さらに、必要に応じて洗浄工程を加えることが望ましい。このようにして発光ダイオード1を製造する。
【0071】
<発光ダイオードランプの製造方法>
次に、上記発光ダイオード1を用いた発光ダイオードランプ41の製造方法、すなわち、発光ダイオード1の実装方法について説明する。
図1及び図2に示すように、マウント基板42の表面に所定の数量の発光ダイオード1を実装する。発光ダイオード1の実装は、先ず、マウント基板42と発光ダイオード1との位置合せを行い、マウント基板42の表面の所定の位置に発光ダイオード1を配置する。次に、発光ダイオード1の底面に設けた接続層47により、マウント基板42の表面にダイボンドする。次に、発光ダイオード1のn型オーミック電極4とマウント基板42のn電極端子43とを金線45を用いて接続する(ワイヤボンディング)。次に、発光ダイオード1のp型オーミック電極5とマウント基板42のp電極端子44とを金線46を用いて接続する。最後に、マウント基板42の発光ダイオード1が実装された表面を、一般的なシリコン樹脂(一般的なエポキシ樹脂等でも良い)48によって封止する。このようにして、発光ダイオード1を用いた発光ダイオードランプ41を製造する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の発光ダイオード1は、組成式中にAlを含み、発光波長が570nm以上700nm以下であるpn接合型の発光部7を有する化合物半導体層2の、主たる光取り出し面を含む表面(上面2a及び側面2b)のAl濃度が25%以下とされると共に、この化合物半導体層2の主たる光取り出し面に設けられたn型及びp型オーミック電極4,5を保護するための電極保護層6が、n型及びp型オーミック電極4,5を覆うように設けられた第1の保護膜12と、少なくとも第1の保護膜12の端部を覆うように設けられた第2の保護膜13とからなる二層構造とされている。このように、高湿環境下において腐食の起点となるAlの半導体表面の濃度を規定し、n型及びp型オーミック電極4,5と半導体の界面との合金層5b(図5参照)を二層構造の保護膜によって保護するため、発光ダイオード1の耐食性を向上することができる。したがって、高出力・高効率であって高湿環境下で長寿命の発光ダイオード1を提供することができる。
【0073】
また、本実施形態の発光ダイオード1は、主たる光取り出し面を含む化合物半導体層2の表面(上面2a及び側面2b)のAsを含まないため、植物育成用の照明に適した発光ダイオード1を提供することができる。
【0074】
また、本実施形態の発光ダイオード1は、組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる発光層10を有する発光部7を備えている。上記組成からなる発光層10は、従来の発光ダイオードのAlGaAsからなる発光層よりもAl及びAs濃度が低いため、高湿環境下という使用環境が厳しい植物育成用の発光ダイオードとして好適に用いることができる。
【0075】
本実施形態の発光ダイオードランプ41及び照明装置によれば、上記発光ダイオード1が搭載されているため、青色及び赤色発光ダイオードが同時に使用される植物育成の光源として好適に用いることができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の効果を、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
本実施例では、本発明に係る発光ダイオードを作製した例を具体的に説明する。また、本実施例で作製した発光ダイオードは、AlGaInP発光部を有する赤色発光ダイオードである。本実施例では、GaAs基板上に成長させた化合物半導体層とGaPからなる機能性基板とを接合させて発光ダイオードを作製した。そして、特性評価のために発光ダイオードチップを基板上に実装した発光ダイオードランプを作製した。
【0078】
(実施例1)
実施例1の発光ダイオードは、先ず、Siをドープしたn型のGaAs単結晶からなるGaAs基板上に、化合物半導体層を順次積層してエピタキシャルウェーハを作製した。GaAs基板は、(100)面から(0−1−1)方向に15°傾けた面を成長面とし、キャリア濃度を2×1018cm−3とした。化合物半導体層とは、SiをドープしたGaAsからなるn型の緩衝層、SiをドープしたGa0.5In0.5Pからなるn型のコンタクト層、Siをドープした(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型の上部クラッド層、アンドープのGa0.44In0.56P/(Al0.53Ga0.470.5In0.5Pの対からなる発光層/バリア層、Mgをドープした(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型の下部クラッド層、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなる薄膜の中間層、Mgドープしたp型GaPからなる電流拡散層である。
【0079】
本実施例では、減圧有機金属化学気相堆積装置法(MOCVD装置)を用い、直径76mm、厚さ350μmのGaAs基板に化合物半導体層をエピタキシャル成長させて、エピタキシャルウェーハを形成した。エピタキシャル成長層を成長させる際、III族構成元素の原料としては、トリメチルアルミニウム((CHAl)、トリメチルガリウム((CHGa)及びトリメチルインジウム((CHIn)を使用した。また、Mgのドーピング原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(CMg)を使用した。また、Siのドーピング原料としては、ジシラン(Si)を使用した。また、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)を使用した。また、各層の成長温度としては、p型GaPからなる電流拡散層は、750℃で成長させた。その他の各層では700℃で成長させた。
【0080】
GaAsからなる緩衝層は、キャリア濃度を約2×1018cm−3、層厚を約0.5μmとした。コンタクト層は、キャリア濃度を約2×1018cm−3、層厚を約0.05μmとした。上部クラッド層は、キャリア濃度を約1×1018cm−3、層厚を約3.5μmとした。発光層は、アンドープで層厚が約17nmのGa0.44In0.56Pとし、バリア層はアンドープで層厚が約19nmの(Al0.53Ga0.470.5In0.5Pとした。また、歪発光層とバリア層とを交互に22対積層した。下部クラッド層は、キャリア濃度を約8×1017cm−3、層厚を約0.5μmとした。中間層は、キャリア濃度を約8×1017cm−3、層厚を約0.05μmとした。GaPからなる電流拡散層は、キャリア濃度を約3×1018cm−3、層厚を約9μmとした。
【0081】
次に、電流拡散層を表面から約1μmの深さに至る領域まで研磨して、鏡面加工した。この鏡面加工によって、表面の粗さを0.18nmとした。一方、上記の鏡面研磨した表面に貼付するn型GaPからなる機能性基板を用意した。この貼付用の機能性基板には、キャリア濃度が約2×1017cm−3となる様にSiを添加し、面方位を(111)とした単結晶を用いた。また、機能性基板の直径は76mmで、厚さは250μmであった。この機能性基板の表面は、電流拡散層に接合させる以前に鏡面に研磨し、平方平均平方根値(rms)にして0.12nmに仕上げておいた。
【0082】
次に、一般の半導体材料貼付装置に、上記の機能性基板及びエピタキシャルウェーハを搬入し、3×10−5Paとなるまで装置内を真空に排気した。
【0083】
次に、機能性基板、及び電流拡散層の双方の表面に、電子を衝突させて中性(ニュートラル)化したArビームを3分間に亘り照射した。その後、真空に維持した貼付装置内で、機能性基板及び電流拡散層の表面を重ね合わせ、各々の表面での圧力が50g/cmとなる様に荷重を掛け、双方を室温で接合した。このようにして接合ウェーハを形成した。
【0084】
次に、上記接合ウェーハから、GaAs基板およびGaAs緩衝層をアンモニア系エッチャントにより選択的に除去した。次に、コンタクト層の表面に厚さが0.3μmとなるようにAuGe、Ni、Au合金を真空蒸着法によって成膜した。その後、一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してパターニングを施し、n型オーミック電極を形成した。
【0085】
次に、p型オーミック電極を形成する領域のエピ層を選択的に除去し、電流拡散層を露出させた。この露出した表面に、AuBeを0.2μm、Auを0.2μmとなるように真空蒸着法でp形オーミック電極を形成した。その後、450℃で10分間熱処理を行って合金化し、低抵抗のp型およびn型オーミック電極を形成した。この時、電流拡散層及びコンタクト層と、電極界面に厚さ約0.1umの合金層が形成された。
【0086】
次に、n型及びp型オーミック電極を覆うように、厚さ0.2umのAu、厚さ0.2umのPt、厚さ1.2umのAuの多層膜を形成した。次に、リソグラフィー手段を利用してこの多層膜のパターニングを施し、n型及びp型オーミック電極を覆う形状の第1の保護膜を形成した。なお、第1の保護膜は、n型及びp型オーミック電極のワイヤボンディングパッドを兼ねている。
【0087】
次に、ダイシングソーで切断する領域の化合物半導体層をエッチングによって除去した。その後、化合物半導体層の表面を覆うように厚さ0.5umのSiO膜をスパッタ法で成膜した。次に、フォトリソグラフィーにより、切断領域とボンディング領域のSiOを除去して、第2の保護膜を形成した。なお、この工程で、化合物半導体層の側面にも、SiO膜が形成された。
【0088】
次に、化合物半導体層側からダイシングソーを用い350μm間隔で切断し、チップ化した。ダイシングによる破砕層および汚れを硫酸・過酸化水素混合液でエッチング除去して、実施例1の発光ダイオードを作製した。半導体層の表面のAl濃度は、17.5%であった。一方、半導体層の表面には、Asが含まれなかった。また、機能性基板はGaPである為、機能性基板の側面にはAl,Asが存在しない。
【0089】
上記の様にして作製した実施例1の発光ダイオードチップを、マウント基板上に実装した発光ダイオードランプを20個組み立てた。この発光ダイオードランプは、発光ダイオードのn型オーミック電極とマウント基板の表面に設けたn電極端子とを金線でワイヤボンディングし、p型オーミック電極とp電極端子とを金線でワイヤボンディングした後、一般的なシリコン樹脂で封止して作製した。
【0090】
この発光ダイオード(発光ダイオードランプ)の特性を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、n型及びp型オーミック電極間に電流を流したところ、ピーク波長660.0nmとする赤色光が出射された。順方向に20ミリアンペア(mA)の電流を通流した際の順方向電圧(Vf)は、化合物半導体層を構成する電流拡散層と機能性基板との接合界面での抵抗の低さ及び各オーミック電極の良好なオーミック特性を反映し、約2.0ボルト(V)となった。順方向電流を20mAとした際の発光出力は、16mWであった。
【0091】
また、実施例1の発光ダイオードランプを用いて、高温高湿通電試験(60℃、90Rh%、20mA)による加速試験を行った。ここで、加湿の為に使用した水は、植物育成用途を想定し、塩素イオンを30〜50ppm含む水を樹脂に吸収させた厳しい条件下で実施した。1000時間後の発光出力の残存率は、97%、VF(20mA)の変化はなく、良好な結果であった。
【0092】
(比較例1)
比較例1の発光ダイオードは、従来技術である液相エピタキシャル法で形成した。比較例1の発光ダイオード(図8中の符号101)は、GaAs基板にAl0.35Ga0.65As発光層とするダブルヘテロ構造の発光部を有する発光ダイオードに変更したものである。
【0093】
比較例1の発光ダイオードの作製は、具体的には、p型の(100)面のGaAs単結晶基板に、Al0.7Ga0.3Asからなるp型の上部クラッド層(図8中の符号111)を20μm、Al0.35Ga0.65Asからなるアンドープの発光層(図8中の符号110)を2μm、Al0.7Ga0.3Asからなるn型の下部クラッド層(図8中の符号109)を20μm、発光波長に対して透明なAl0.6Ga0.4Asからなるn型の厚膜層(図8中の符号108)を100μmとなるように液相エピタキシャル方法によって作製した。このエピタキシャル成長後にGaAs基板を除去した。次に、p型Al0.7Ga0.3Asの表面(表面Al濃度=35%、As濃度=50%)に直径100μmのp型オーミック電極(図8中の符号104)を形成した。次に、n型Al0.6Ga0.4Asの裏面に直径20μmのn型オーミック電極(図8中の符号105)を80μm間隔に形成した。次に、ボンディングパッドを除く電極の一部と主たる光取り出し面との上にSiO保護膜(図8中の符号113)を厚さ0.5μmで形成した。ここで、比較例1のp型オーミック電極上に形成された保護膜は、本発明の第1の保護膜(図4、図5中の符号12)が形成されない、単層の保護膜である(図8参照)。次に、ダイシングソーにより350μm間隔で切断した後、破砕層をエッチング除去して比較例1の発光ダイオードチップを作製した。側面の概略のAl濃度=30%、As濃度=50%である。
【0094】
比較例1の発光ダイオードを実装した発光ダイオードランプの特性を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、n型及びp型オーミック電極間に電流を流したところ、ピーク波長を661.1nmとする赤色光が出射された。また、順方向に20ミリアンペア(mA)の電流を通流した際の順方向電圧(Vf)は、約1.9ボルト(V)となった。また、順方向電流を20mAとした際の発光出力は、5mWであった。
【0095】
また、比較例1の発光ダイオードランプを用いて、高温高湿通電試験(60℃、90Rh%、20mA)による加速試験を行った。ここで、加湿の為に使用した水は、植物育成用途を想定し、塩素イオンを30〜50ppm含む水を樹脂に吸収させた厳しい条件下で実施した。1000時間後の発光出力の残存率は、77%、VF(20mA)は、0.2V上昇した。発光出力の主な低下原因は、側面の透過率の低下であり、VF(20mA)の変動は、p型電極の合金層が一部腐食していたことが、原因であった。
【0096】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の発光ダイオードは、高効率発光を達成し、高湿環境に於いても信頼性の高いである。特に、植物育成用途の光源など、従来AlGaAsのLEDで得られなかった高信頼性発光ダイオード製品として利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1・・・発光ダイオード
2・・・化合物半導体層
2a・・・上面
2b・・・側面
3・・・機能性基板
3a・・・垂直面
3b・・・傾斜面
4・・・n型オーミック電極
5・・・p型オーミック電極
5b・・・合金層
6・・・電極保護層
7・・・発光部
8・・・電流拡散層
8a・・・上面
9・・・下部クラッド層
10・・・発光層
11・・・上部クラッド層
11a・・・上面
12・・・第1の保護膜
13・・・第2の保護膜
14・・・GaAs基板
15・・・緩衝層
16・・・コンタクト層
41・・・発光ダイオードランプ
42・・・マウント基板
43・・・n電極端子
44・・・p電極端子
45,46・・・金線
47・・・接続層
48・・・シリコン樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式中にAlを含み、発光波長が570nm以上700nm以下であるpn接合型の発光部を有する化合物半導体層と、前記化合物半導体層の主たる光取り出し面に設けられたオーミック電極と、前記オーミック電極を保護するための電極保護層と、を備えた発光ダイオードであって、
前記主たる光取り出し面を含む前記化合物半導体層の表面のAl濃度が25%以下であり、
前記電極保護層が、オーミック電極を覆うように設けられた第1の保護膜と、少なくとも前記第1の保護膜の端部を覆うように設けられた第2の保護膜とからなる二層構造を有することを特徴とする発光ダイオード。
【請求項2】
前記主たる光取り出し面に設けられた前記オーミック電極が、p型のオーミック電極であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記発光部は、組成式(AlGa1−XIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる発光層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記発光部は、前記発光層の上面及び下面の一方又は両方にクラッド層を有することを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記主たる光取り出し面の表面の組成式が、(AlGa1-XIn1−YP(0≦X≦0.8、0.48≦Y≦0.52)であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記主たる光取り出し面には、さらにn型のオーミック電極が設けられており、前記n型のオーミック電極上に前記電極保護層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記第1の保護膜は、金及び白金のいずれか一方からなる金属層又はこれらの金属層の積層構造であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記第1の保護膜の表面が金であることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記第2の保護膜は、発光波長に対して透明な酸化膜又は窒化膜であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記第2の保護膜が酸化シリコン(SiO)であることを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記第1の保護膜の表面が、ワイヤボンディング用のパッドとされていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記化合物半導体層の前記主たる光取り出し面と反対側の面に機能性基板が接合されており、
前記機能性基板の表面のAl濃度が25%以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記機能性基板が、発光波長に対して透明であることを特徴とする請求項12に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記機能性基板の材質がGaPであることを特徴とする請求項12又は13に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
発光波長が、650nm〜670nmである植物育成の光合成の促進に使用するための発光ダイオードであって、半導体層および基板の表面Al濃度が25%以下且つオーミック電極のコンタクト層を除いてAsを含まないことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の発光ダイオードを搭載することを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項17】
請求項16に記載の発光ダイオードランプを搭載することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−272724(P2010−272724A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124048(P2009−124048)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】