説明

発光性希土類多核錯体

【課題】従来よりも高い発光強度、及び高い熱耐久性を備えた発光性希土類錯体を提供する。
【解決手段】一分子に複数の希土類イオンを有する希土類多核錯体とする。希土類イオンの種類は問わないが、Tb(III)の九核錯体により、熱耐久性を備えた緑色発光体を得ることが可能である。また、特に優れた光増感機能を有する配位子の好適な例として、式:


で表されるサリチル酸ヘキシルや、サリチル酸メチルを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の励起光を照射することにより蛍光を発する希土類錯体に関し、特に、一つの錯体分子が複数の希土類イオンの核を有する発光性希土類多核錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
光増感型の発光性希土類錯体は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)や、生体成分分析(イムノアッセイ)などの試薬として応用可能な光機能性分子の発光中心としての利用が期待されており、近年数多くの研究が行われている。例えば、少量の試料による効率のよい発光を実現可能にする錯体系を構築するため、モル吸光係数が高く、励起状態における3ππ*遷移レベルが高いベンゾフェノン骨格を有する化合物や、ピリジン誘導体などの有機配位子が数多く設計・合成されてきた。また、発色の色調に関する研究も行われており、例えば、本発明者らは特許文献1において、中心イオンがユーロピウムである第1錯体及び中心イオンがテルビウムである第2錯体の両方を含む透明固体担体から成る光機能材料などに基づく、演色性の高い白色光源、或いは任意色の発光が可能な発光装置を開示している。
【0003】
とはいえ、発光性希土類錯体には、発光強度の向上や熱耐久性の改善など、解決すべき課題も未だ残されている。一例として、発光強度が高く、且つ熱耐久性を備えた緑色発光錯体の生成は未だ実現していない。その原因は錯体の配位子におけるエネルギー準位が希土類イオンのそれとマッチしていないためと考えられるが、現在一般に用いられている配位子であるジケトンやビピリジンでは、エネルギー準位をマッチさせるのが困難であるという問題が存在する。
【0004】
本発明者らは、熱耐久性を持たせる手法として、一分子が複数の希土類イオンの核から成る多核錯体に着想した。さらに、高い発光強度を示す緑色発光Tb(III)錯体創成のための配位子としてTb(III)を効率よく光増感させることのできるサリチル酸エステルを見出した。これにより、本発明で合成した発光性錯体において、配位子のエネルギー準位とTb(III)の発光準位がマッチし、高強度の緑色発光が実現できる。これまでに研究・開示されてきた発光性希土類錯体の大部分は単核錯体の系であり、多核錯体の系に関する研究はほとんど行われていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2003-147346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、発光強度が高く、熱耐久性を備え、且つ安価に生成することができる発光性希土類錯体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは発光性希土類多核錯体に関して研究を重ねた結果、これまでになく高い発光強度及び高い熱耐久性を備えた希土類錯体を見出すに至った。こうして成された本発明に係る発光性希土類多核錯体は、
錯体構造が式:La(Ln)bXc
[Lは式:
【化3】

(ここにR1〜R5は水素、水酸基、チエニル基、ピリジル基などのヘテロ原子を含む芳香族基、ベンジル基、イソプロピル基などの分岐鎖構造を有するアルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ニトロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、-Rで示されるアルキル基もしくはシクロアルキル基、-ORで示されるアルコキシ基、又は-C(=O)Rで示されるアシル基、-C(=O)NHRで示されるアミド基を表し、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基又はシクロアルキル基である。Y1は-OH、Y2は=Oである)
で表される光増感機能を有する配位子であり、
Lnはユーロピウムの2価陽イオン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの3価陽イオン、セリウムの4価陽イオンのうちのいずれか一つ又は複数の組み合わせであり、
XはO、OH、S、SH、Se、Te、NO3、Cl、Br、BPh4、PF6、ClO4のうちのいずれか一つ又は複数の組み合わせであり、
aは1〜40、bは2〜20、cは1〜40の整数であり、且つ、1≦a/b≦4、1<b/c≦4という関係を有しており、
各配位子LのY1及びY2は同一の、又は異なるLnに配位している]
で表されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光性希土類多核錯体は、従来の発光素子と比べて発光強度が飛躍的に高く、市販の安価なLEDを用いて効率よく励起を行うことができる。また、熱耐久性も高い。しかも、合成原料が安価であるという特長がある。また、発光性希土類多核錯体自体は無色透明であるため、他の物質や材料と一体化させることも容易であり、多岐の分野にわたる応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る発光性希土類多核錯体は、複数の核となる希土類イオンに対して光増感機能を有する配位子分子を配位させたものであり、希土類イオンをLn、配位子をL、希土類イオン同士を連結させる原子をXとしたときに、一般式La(Ln)bXcで表される。
【0010】
前記一般式において、aは1以上40以下、bは2以上20以下、cは1以上40以下の整数であり、且つ、1≦a/b≦4、1<b/c≦4という関係を有している。
【0011】
本発明で用いることができる希土類イオンは特に限定されない。例えば、2価陽イオン:ユーロピウムEu2+、3価陽イオン:ランタンLa3+、セリウムCe3+、プラセオジムPr3+、ネオジムNd3+、プロメチウムPm3+、サマリウムSm3+、ユーロピウムEu3+、ガドリニウムGd3+、テルビウムTb3+、ジスプロシウムDy3+、ホルミウムHo3+、エルビウムEr3+、ツリウムTm3+、イッテルビウムYb3+、ルテチウムLu3+、4価陽イオン:セリウムCe4+などを用いることができる。
【0012】
多核錯体を形成する核は、これらの希土類イオンのうちの一種類のみから成ってもよいし、複数種類の希土類イオンが組み合わされていてもよい。希土類イオンの種類によって発光特性などが異なるので、目的に応じて選択する。
【0013】
配位子は、照射された光のエネルギーを希土類イオンに移譲する光増感剤である。本発明において用いることができる配位子は、次式:
【化4】

で表される。
【0014】
上記式において、R1〜R5は水素、水酸基、チエニル基、ピリジル基などのヘテロ原子を含む芳香族基、ベンジル基、イソプロピル基などの分岐鎖構造を有するアルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ニトロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、-Rで示されるアルキル基もしくはシクロアルキル基、-ORで示されるアルコキシ基、又は-C(=O)Rで示されるアシル基、-C(=O)NHRで示されるアミド基である。ここにおいて、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基又はシクロアルキル基である。本明細書中におけるアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などがある。アリール基が置換されている場合、置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アシル基、などがある。
【0015】
上記式において、Y1は-OH、Y2は=Oであり、このY1及びY2が希土類イオンに配位することにより、配位子と希土類イオンとが配位する。その配位形態は、Y1とY2の両方が同一の希土類イオンに配位していてもよいし、Y1とY2とが別個の希土類イオンに配位していても構わない。
【0016】
また、高い発光強度を得ることができ、且つ、合成が容易である配位子として、本発明においては式:
【化5】

で表されるサリチル酸ヘキシルを用いるのが好適である。このサリチル酸ヘキシルは、吸収スペクトルが390nm付近であるという特徴を有するため、市販されている安価なLEDなどの光によって効率よく励起を行うことができる。さらに、従来用いられてきた希土類錯体の配位子よりも合成がはるかに容易であり、且つ価格が低廉であるという特長を備えている。
【0017】
また、上記と同様の理由により、配位子としてサリチル酸メチルを使用することもできる。
【0018】
希土類イオン原子同士を連結させる原子であるXは、希土類イオン原子同士を連結させるイオン(例えばO、OH、S、SH、Se、Te)あるいは組成の一部となるカウンターイオン(例えばNO3、Cl、Br、OH、BPh4、PF6、ClO4)のいずれか一つから成るか、又は複数の組み合わせから成る。
【0019】
また、本発明の好ましい形態においては、錯体構造が式:(L)16Ln9Xcで表される、九核の希土類多核錯体とすることができる(図1)。この場合は、9個の希土類イオン(核)のうち、外側の8個に配位子が配位する。このとき、希土類イオンとしては、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、イッテルビウムの3価陽イオンのうちのいずれか一つ又はこれらの組み合わせとするのがよい。
【0020】
上記の九核希土類錯体の核となる希土類イオンとしてテルビウムのみを用い、配位子としてサリチル酸ヘキシルを用いることにより、熱耐久性を備えた、発光強度の高い緑色発光を実現することができる。また、希土類イオンとしてテルビウムとユーロピウムを組み合わせれば、黄色発光を実現することもできる。このように、各種の希土類イオンを適切に組み合わせることによって、所望の色の発光を得ることができる。
【0021】
以下、実施例において、本発明に係る発光性希土類多核錯体のうち、特に九核錯体に関して詳述する。
【実施例】
【0022】
<錯体合成>
Ln(NO3)3・6H2O(Ln:Sm、Eu、Gd、Tb、Yb)を用い、九核の希土類多核錯体を生成した。気希土類イオンがTbの場合の生成は以下に示すように行った。
サリチル酸ヘキシル(0.600g、2.70mmol)のメタノール溶液50mlに当モル量のトリエチルアミン(0.270g、2.70mmol)を加え、室温で所定時間撹拌した後、Tb(NO3)3・6H2O(0.690g、1.52mmol)のメタノール溶液10mlを滴下して加え、40℃で2時間撹拌する(図2)。得られた透明溶液をろ過し、放置すると白色結晶が得られる。結晶は冷メタノールで数回洗浄し、ろ過し、風乾する。
【0023】
<錯体の同定>
上記方法によって生成された白色結晶の同定を行った。
元素分析及びFAB(Fast Atom Bombardment:高速原子衝撃)-MASSスペクトル測定の結果を示す(図3、図4)。FAB-MASSスペクトル測定では、[Ln9(L)16(OH)10]+ に対応するフラグメントピークの存在が確認され、希土類イオンの種類が変わっても、同様の組成を持つことが明らかとなった。なお、測定においてN原子は全ての錯体において含まれていたが、いずれも0.3%以下であった。
これらの測定に加え、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量)測定、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)測定、IR(InfraRed)測定も行った。
【0024】
・DSC測定の結果では、100〜150℃付近にはピークが検出されず、配位水や結晶水が含まれていないことが確認できた。
1H-NMR測定の結果からは、サリチル酸ヘキシルのアルキル鎖の水素や配位子に由来するその他のピークが帰属できた(1H-NMR(CDCl3):δ10.9(1H)、δ7.9-6.9(4H)、δ4.3(2H)、δ1.8(2H)、δ1.4(6H)、δ0.9(3H))。
・IR測定の結果において、2800cm-1付近にC-H結合由来の強度の高いピークが見られたことからも、これらの九核錯体において配位子は分解していないことが示唆された。また、組成中に含まれるNO3-は、1380cm-1のピークに帰属できた(図5)。また、Tb(III)については、EDTAによるキレート適定を行い、推定組成と矛盾しない結果を得た(Found 26.54%、Cal.26.52%)。
【0025】
これらの測定結果より、合成した全ての錯体がLn9(L)16(OH)10(NO3)(CH3OH)n(Ln:Sm、Eu、Gd、Tb、Yb)の組成から成る九核錯体であることが確認された。
【0026】
<Tb(III)九核錯体の熱安定性>
サリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体の熱安定性をDSC測定によって明らかにした。DSC測定の結果(図6)から、錯体は300℃程度まで安定であることがわかった。これは、サリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体が従来の単核の発光性希土類錯体よりも50℃以上高い熱耐久性を有することを示すデータである。
【0027】
<Tb(III)九核錯体の発光特性>
メタノール中でサリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体試料を溶解し(1×10-4M)、N2バブリングした後、発光特性の測定を行った。励起波長は配位子のπ-π*遷移に対応する380nmとした。サリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体のメタノール中での発光スペクトルを図7(a)、励起スペクトルを図7(b)に示す。Tb(III)の5D47FJ(J=0、1、2、3、4、5、6)の遷移に基づくピークが観察された。
【0028】
この発光が光増感による発光であることを確認するために、配位子励起である380nm励起にて錯体の発光寿命を測定した。発光の検出は、Tb(III)発光の5D47F5遷移に相当する545nmとした。発光の減衰が観測され、光増感によって発光することがわかった。ln[Intensity] vs. time[ms]を一次で回帰することにより、Tb(III)に由来する発光寿命は1.20msであると見積もられた(図8)。
【0029】
次に、配位子としてサリチル酸メチルを用い、サリチル酸メチル−九核錯体を合成した。この場合の元素分析及び質量分析の結果を図9の表に示す。また、上記のサリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体の場合と同一の条件下で発光測定を行った(図10)。上記サリチル酸ヘキシル−九核錯体と同様に、Tb(III)に由来する発光が明瞭に観察された。
【0030】
一方、従来より知られている単核錯体であるTb(acac)3(H2O)2及びTb(hfac)3(H2O)2の発光測定を行った(acac:アセチルアセトナート、hfac:ヘキサフルオロアセチルアセトナート)。錯体濃度:1×10-4M、励起波長:390nm、メタノール中、という測定条件において、発光は検出できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る発光性希土類多核錯体は、通常の可視光下で無色であって紫外線の照射下では緑色や希土類イオンの種類に応じた任意の色に発光するという特性を活かしたインク組成物に応用することができる。このインク組成物を用いて各種物品に対して、通常の状態では視認されにくいマーキングやナンバリングを行うことができる。例えば郵便物に印刷されるカスタマーバーコードなどにも適用できる。また、書類にいわゆる隠し文字や隠し記号を記したり印刷したりすることが可能となるため、被印刷物にセキュリティ機能を持たせることができる。
【0032】
本発明に係る発光性希土類多核錯体を印刷用インク組成物に応用する際には、それをオフセット印刷インク、グラビア印刷インク、シルクスクリーンなどの印刷インク、インクジェット印刷用インク、筆記用具インクなどに適用することが可能である。また、該インク組成物には、溶剤、バインダー(主として樹脂類)、浸透剤、消泡剤、着色剤、分散剤などの各種添加剤を必要に応じて使用してもよい。
【0033】
また、本発明に係る発光性希土類多核錯体を含む樹脂組成物(樹脂フィルムを含む)を得ることも可能である。これらの樹脂組成物等は、玩具、舞台装置、室内装飾、ショーウインドーを始めとする鮮やかな彩色を利用する分野に応用できる。
【0034】
本発明に係る発光性希土類錯体が併用することのできる樹脂類は、光学的に透明又は不透明であるもので、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、ポリ(メチル)メタアクリレートおよびその共重合体、ポリ酢酸ビニル、セルロース類(紙を含む)ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびその共重合体、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタンなどが挙げられ、これらはインク組成物のバインダーとしても必要に応じて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る発光性希土類多核錯体の概念図。
【図2】Tb(III)九核錯体の生成方法を示す図。
【図3】本発明に係る発光性希土類多核錯体の元素分析結果を示す表。
【図4】Tb(III)九核錯体のFAB-MASSスペクトル測定の結果を示すグラフ。
【図5】Tb(III)九核錯体のIR測定の結果を示すグラフ。
【図6】DSC測定の結果を示すグラフ。
【図7】サリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体のメタノール中での(a)発光スペクトル、(b)励起スペクトル。
【図8】サリチル酸ヘキシル−Tb(III)九核錯体の発光寿命を示すグラフ。
【図9】サリチル酸メチル−Tb(III)九核錯体の元素分析及び質量分析結果を示す表。
【図10】サリチル酸メチル−Tb(III)九核錯体の発光スペクトルを示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錯体構造が式:La(Ln)bXc
[Lは式:
【化1】

(ここにR1〜R5は水素、水酸基、チエニル基、ピリジル基などのヘテロ原子を含む芳香族基、ベンジル基、イソプロピル基などの分岐鎖構造を有するアルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ニトロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、-Rで示されるアルキル基もしくはシクロアルキル基、-ORで示されるアルコキシ基、又は-C(=O)Rで示されるアシル基、-C(=O)NHRで示されるアミド基を表し、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基又はシクロアルキル基である。Y1は-OH、Y2は=Oである)
で表される光増感機能を有する配位子であり、
Lnはユーロピウムの2価陽イオン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの3価陽イオン、セリウムの4価陽イオンのうちのいずれか一つ又は複数の組み合わせであり、
XはO、OH、S、SH、Se、Te、NO3、Cl、Br、BPh4、PF6、ClO4のうちのいずれか一つ又は複数の組み合わせであり、
aは1〜40、bは2〜20、cは1〜40の整数であり、且つ、1≦a/b≦4、1<b/c≦4という関係を有しており、
各配位子LのY1及びY2は同一の、又は異なるLnに配位している]
で表されることを特徴とする発光性希土類多核錯体。
【請求項2】
前記Lが式:
【化2】

で表される配位子であることを特徴とする請求項1に記載の発光性希土類多核錯体。
【請求項3】
前記Lがサリチル酸メチルであることを特徴とする請求項1に記載の発光性希土類多核錯体。
【請求項4】
錯体構造が式:(L)16Ln9Xcで表される九核錯体であり、
前記Lnがサマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、イッテルビウムの3価陽イオンのうちのいずれか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項2又は3に記載の発光性希土類多核錯体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発光性希土類多核錯体を含んで成るインク組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の発光性希土類多核錯体を含んで成る樹脂組成物。



【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−249075(P2006−249075A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29509(P2006−29509)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(899000046)関西ティー・エル・オー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】