説明

発光管、光源装置、及びプロジェクタ

【課題】明るさや寿命のばらつきが少ない発光管及び光源装置を提供すること。
【解決手段】電極86Aの根元側部分86dは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿った両
側から挟まれている。この際、両箔板84e,84fに固定部SWが形成される。電極8
6Aの根元側部分86dを2枚の箔板84e,84fで挟んで固定することにより、電極
86Aや電極取付部84aが第1導電部材73Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわ
りに回転対称に配置されるとともに、電極取付部84aにおける電極86Aの固定が安定
する。この結果、シュリンクシールによる封止に際して、電極86Aが金属箔部材87A
やリード線88Aを基準とする電極軸AXに対して傾くことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光源等として利用される放電型の発光管、並びに、このような発光管を
組み込んだ光源装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ用の光源装置として、高圧水銀ランプと、これからの光束を集めて前方に
射出させる反射鏡とを備えるものがある(特許文献1等参照)。このような高圧水銀ラン
プにおいて、これを構成する透明な封止管には、一対の電極が封入されており、各電極の
根元側からは、金属箔を介してリード線が外部に延びている(特許文献2等参照)。ここ
で、電極や金属箔は、一般に封止管端部の熱収縮を利用したシュリンクシールよって気密
に固定される。
【特許文献1】特開平8−314010号公報
【特許文献2】特開2005−56599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような高圧水銀ランプでは、金属箔の片面側に電極の根元側を固
定しているので、電極の軸に関して配置の非対称性が生じやすく、シュリンクシールによ
って封止管の両端に電極を固定する際に、電極が封止管の軸に対して傾いて固定される場
合が頻繁に生じる。この場合、高圧水銀ランプの電極間に形成されるアークの位置やサイ
ズが個々の製品ごとにばらつくことになるので、ランプの明るさにばらつきが生じるとと
もに、温度分布にもばらつきが生じてランプの寿命にばらつきを生じさせる。また、アー
クの位置が大きく偏ると、次段の例えば光均一化用のフライアイ光学系に取り込む光利用
効率が低下し、投射像の照度が大幅に低下する場合がある。さらに、プロジェクタ用のラ
ンプの場合、反射鏡に対向して副鏡を設けてアークからの前方光束をアーク側に戻す場合
があるが、上記のように電極が封止管の軸に対してある程度以上傾いて固定されると、封
止管からの光束をアークやその近傍に正確に戻すことが困難になる。
【0004】
そこで、本発明は、明るさや寿命のばらつきが少ない発光管及び光源装置を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
また、本発明は、上記のような発光管等を照明用に組み込んだ高画質のプロジェクタを
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光管は、(a)外側に延びるリード線と、内
側に延びる電極と、リード線と電極との間に介在して両者を電気的に接続する金属箔部材
とを含む少なくとも1つ以上の導電部材と、(b)電極のうち少なくとも先端部を内部空
間に収納する本体部分と、導電部材のうち少なくとも金属箔部材と電極の根元側部分とを
埋め込むように固定する固定部とを有する封止管とを備え、(c)電極が、根元側部分に
おいて、金属箔部材の端部によって電極の軸に垂直な両側から挟まれている。
【0007】
上記発光管では、電極が根元側部分において金属箔部材の端部によって電極の軸に垂直
な両側から挟まれているので、金属箔部材と電極の根元側部分とを固定部内にシュリンク
シール等を利用して埋め込むように固定して発光管を製造する際に、電極が封止管の軸に
対して傾いて固定される可能性を低減できる。これにより、電極の先端方向に形成される
アークの位置やサイズが個々の製品ごとにばらつくことを防止でき、発光管の明るさや寿
命のばらつきを低減できる。
【0008】
また、本発明の具体的な側面又は態様では、上記発光管において、導電部材を構成する
リード線、及び金属箔部材が、電極の軸に沿って延びるとともに当該電極の軸のまわりに
回転対称に配置されている。この場合、金属箔部材と電極の根元側部分とを固定部内に埋
め込む際に導電部材に与えられる応力をよりバランスさせることができ、発光管の明るさ
や寿命のばらつきを効果的に低減することができる。
【0009】
本発明の別の態様では、固定部が、電極の封入処理に際して封止管の本体部分の一端に
形成された細径部である。この場合、各電極の根元が封止管の固定部において熱収縮を利
用したシュリンクシールによって固定され、簡易・確実な固定と気密確保を達成すること
ができる。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、金属箔部材が、電極の軸が延びる方向に沿って互いに略
平行に延びる2枚の箔板を有し、当該2枚の箔板は、リード線の端部と電極の根元側部分
とを対向する方向から挟むように保持する。この場合、2枚の箔板を並べただけの簡単な
金属箔部材によって、電極の根元側部分を両側から挟むように保持することができ、電極
の保持が安定する。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、金属箔部材が、本体部と、当該本体部の一端に接続され
るとともに電極の軸が延びる方向に略沿って互いに略平行に延びる第1及び第2部分を有
する端部とを含み、当該第1及び第2部分は、電極の根元側部分を対向する方向から挟む
ように保持する。この場合、端部で2枚の箔板部分を重ねた簡単な金属箔部材によって、
電極の根元側部分を両側から挟むように保持することができ、電極の保持が安定する。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、金属箔部材の端部が、1枚の箔板の端部を電極の軸が延
びる方向に略沿って2つに切断することによって形成された第1及び第2部分を有し、当
該第1及び第2部分は、電極の根元側部分を対向する方向から挟むように保持する。この
場合、単一の箔板の端部を適当な形状に切断しただだけの金属箔部材によって電極の根元
側部分を両側から挟むように保持することができ、電極の保持が安定する。
【0013】
本発明に係る光源装置は、(a)2つの導電部材と、各導電部材に対応して本体部分の
両側に設けられる第1及び第2固定部を有する封止管とを含む上述の発光管と、(b)発
光管の第1固定部側に設けられ、当該発光管から放射された光束を所定方向に揃えて射出
する主反射鏡とを備える。
【0014】
上記光源装置では、発光管の電極が根元側部分において金属箔部材の端部によって電極
の軸に垂直な両側から挟まれているので、金属箔部材と電極の根元側部分とを固定部内に
埋め込むように固定する際に、電極が封止管の軸に対して傾いて固定される可能性を低減
できる。これにより、電極の先端方向に形成されるアークの位置やサイズが個々の製品ご
とにばらつくことを防止でき、発光管を備える光源装置の明るさや寿命のばらつきを低減
できる。
【0015】
本発明の具体的な態様では、上記光源装置において、発光管の第2固定部側に設けられ
、発光管から主反射鏡の反対側に放射された光束を発光管の本体部分中の発光部に戻す副
反射鏡をさらに備える。この場合、発光管の前方に射出した光束を回収して主反射鏡に導
くことができるので、より光の利用効率を高めることができる。
【0016】
本発明に係るプロジェクタは、(a)上述の光源装置と、(b)光源装置から射出され
た光束を入力された画像情報に応じて変調して変調光を形成する光変調部と、(c)光変
調部からの変調光を像光として投射する投射光学系とを備える。
【0017】
上記プロジェクタでは、光変調装置によって形成された変調光を像光としてスクリーン
等に投射することができる。この際、光源装置として、明るさや寿命に関してばらつきの
少ない光源装置を用いるので、明るく鮮明な画像を投射することができる低コストのプロ
ジェクタを提供することができる。
【0018】
本発明の具体的な態様では、上記プロジェクタ光源装置において、光変調部が、各色光
をそれぞれ変調する各色用の光変調装置を有し、光源装置から射出された光束を各色光に
分離して各色用の光変調装置に導く色分離光学系と、各色用の光変調装置によって変調さ
れた各色の変調光を合成する色合成光学系とをさらに備え、投射光学系が、当該色合成光
学系によって合成された像光を投射する。この場合、複数の光変調部によって形成された
各色の変調光を合成することによって得たカラー画像を投射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る光源装置である光源ランプユニットを図面に基づい
て説明する。
【0020】
図1は、光源ランプユニット20の側方断面図であり、図2は、光源ランプユニット2
0の斜視図である。光源ランプユニット20は、発光管であるランプ本体21と、楕円リ
フレクタである凹面鏡22と、球面状リフレクタである副反射鏡89と、凹レンズ23と
を備える光源装置である。光源ランプユニット20において、ランプ本体21は、光源光
を放射する放電発光管であり、主反射鏡である凹面鏡22に一端で支持されており、凹面
鏡22とともに一体化されてランプ組立体を構成している。なお、凹面鏡22と凹レンズ
23とは、図2に示されるホルダにアライメントされた状態で固定されている。
【0021】
ランプ本体21は、封止管71と、第1導電部材73Aと、第2導電部材73Bとを備
える。ここで、封止管71は、中央部が球状に膨出した光透過性の石英ガラス管で構成さ
れており、その中央部分が本体部分に相当する発光部81となっており、この発光部81
を挟んで反対側に設けられた両端部分が一対の細径部に相当する第1及び第2固定部83
A,83Bとなっている。第1固定部83A側の第1導電部材73Aは、タングステン製
の電極86Aと、モリブデン製の第1金属箔部材87Aと、モリブデン製のリード線88
Aとを備える。第2導電部材73Bも、第1導電部材73Aと同様の構造を有しており、
電極86Bと、第2金属箔部材87Bと、リード線88Bとを備える。
【0022】
封止管71において、発光部81内の球形の内部空間には、ランプ本体21の発光タイ
プに対応させて所望の発光特性を実現するため、水銀、希ガス、ハロゲン等を含むガスが
封入されている。発光部81の両端すなわち第1及び第2固定部83A,83B側からは
、一対の電極86A,86Bの先端部が内部空間に延びている。第1及び第2導電部材7
3A,73Bに電源を接続すると、両電極86A,86Bの間にアーク放電が生じ、発光
部81内が高輝度で発光し光源光束が周囲に射出される。
【0023】
ランプ本体21の第1固定部83Aにおいては、電極86Aの根元側部分と、第1金属
箔部材87Aと、リード線88Aの端部とが、石英ガラス管の熱収縮を利用したシュリン
クシールによって気密に固定されている。また、第2固定部83Bにおいては、電極86
Bの根元側部分と、第2金属箔部材87Bと、リード線88Bの端部とが、石英ガラス管
の熱収縮を利用したシュリンクシールによって気密に固定されている。
【0024】
図3(a)及び3(b)は、第1導電部材73Aの構造を説明する平面図及び側面図で
ある。第1導電部材73Aにおいて、第1金属箔部材87Aは、2枚の箔板84e,84
fで構成され、これら箔板84e,84fを電極軸AXに沿って互いに平行に配置したも
のである。なお、第1金属箔部材87Aの先端(紙面上で下端)に固定される電極86A
の先端には、半球状又は擬宝珠状の外形を有する電極先端部86fが形成されており、そ
の根元部分には、例えばコイル86gが巻かれている。
【0025】
第1金属箔部材87Aは、電極86Aを取り付ける電極取付部84aと、リード線88
Aを取り付けるリード線取付部84bと、両取付部84a,84b間に設けられた本体部
84cとを有する。電極取付部84aにおいて、電極86Aを構成する断面円形で棒状の
根元側部分86dは、2枚の箔板84e,84fの一部分によって対向する側面方向から
挟まれて固定されている。つまり、電極86Aの根元側部分86dは、電極軸AXに垂直
なAB方向に沿った両側から挟まれている。この際、一方の箔板84e側には、例えば2
カ所でスポット溶接等を利用した固定部SWが形成されており、他方の箔板84f側にも
、例えば2カ所でスポット溶接等を利用した固定部SWが形成されている。このように、
電極86Aの根元側部分86dを2枚の箔板84e,84fで挟んで固定することにより
、電極86Aや電極取付部84aが第1導電部材73Aの電極軸AXに沿って電極軸AX
のまわりに回転対称に配置されるとともに、電極取付部84aにおける電極86Aの固定
が安定する。この結果、シュリンクシールによる封止に際して、電極86Aが第1金属箔
部材87Aやリード線88Aを基準とする電極軸AXに対して傾くことを防止でき、電極
86Aの先端方向に形成されるアークの位置やサイズが個々の製品ごとにばらつくことを
防止でき、ランプ本体21の明るさや寿命のばらつきを低減できる。
【0026】
リード線取付部84bにおいて、リード線88Aを構成する断面円形で棒状の端部88
tも、2枚の箔板84e,84fの一部分によって対向する側面方向から挟まれて固定さ
れている。つまり、リード線88Aの端部88tは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿っ
た両側から挟まれている。この際、一方の箔板84e側には、例えば2カ所でスポット溶
接等を利用した固定部SWが形成されており、他方の箔板84f側にも、例えば2カ所で
スポット溶接等を利用した固定部SWが形成されている。このように、リード線88Aの
端部88tを2枚の箔板84e,84fで挟んで固定することにより、リード線88Aが
第1導電部材73Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されると
ともに、リード線取付部84bにおけるリード線88Aの固定が安定する。この結果、シ
ュリンクシールによる封止に際して、第1金属箔部材87Aや電極86Aが、リード線8
8Aを基準とする電極軸AXに対して傾くことを防止でき、電極86Aの先端方向に形成
されるアークの位置やサイズが個々の製品ごとにばらつくことを防止でき、延いてはラン
プ本体21の明るさや寿命のばらつきを低減できる。
【0027】
図4は、第1金属箔部材87Aを封止管71内に固定するためのシュリンクシール工程
を説明する図である。第1金属箔部材87Aは、封止管71のプリフォーム71Pの管内
空間SPに保持される。この際、リード線88Aの上端部には、固定具73Fが一時的に
接続されており、電極軸AXを管内空間SPの軸心に一致させた状態に吊るすことができ
る。この状態で、プリフォーム71Pの下部の適所にバーナからの火炎FLを供給するこ
とにより、プリフォーム71Pにネック部NKが形成され、このネック部NKに電極86
Aの根元側が固定される。これにより、電極86Aが管内空間SPの軸心に固定され、電
極86Aとネック部NKとの密着(封止管71の封止)が達成される。その後、火炎FL
を当てる箇所を徐々に上昇させることによって、プリフォーム71Pの上部が全体的に細
径化して電極86Aの根元側部分と、第1金属箔部材87Aと、リード線88Aとが管内
空間SPの軸心に沿って固定され、第1固定部83A(図1参照)が形成される。この際
、上述したように、電極86Aやリード線88Aが第1金属箔部材87Aに安定して固定
されており、電極86Aをプリフォーム71Pすなわち発光部81の軸心に精密に位置決
めして固定することができる。
【0028】
なお、以上で説明した第1金属箔部材87Aの構造、製造、組み付け等は、第2金属箔
部材87Bと同様であるので、第2金属箔部材87Bについての説明は、省略する。結果
的に、第2金属箔部材87Bについても、シュリンクシールによる封止に際して、第2金
属箔部材87Bや電極86Bが、リード線88Bを基準とする電極軸AXに対して傾くこ
とを防止でき、電極86Bの先端方向に形成されるアークの位置やサイズが個々の製品ご
とにばらつくことを防止でき、延いてはランプ本体21の明るさや寿命のばらつきを低減
できる。
【0029】
図1に戻って、ランプ本体21の発光部81のうち光束射出前方側の略半分は、副反射
鏡89によって覆われている。この副反射鏡89は、ランプ本体21の発光部81から前
方に放射された光束を発光部81に戻す副反射部89aと、この副反射部89aの根元部
を支持した状態で第2固定部84の周囲に固定される支持部89bとを備える。ここで、
副反射部89aの内側ガラス面は、発光部81の表面に倣う略球面の凹曲面状に加工され
、その表面上に反射面89rが形成されている。また、支持部89bは、中心に第2固定
部83Bを挿通させるとともに、第2固定部83Bとの隙間に無機系接着剤MBを充填す
ることによって副反射部89aを発光部81に対してアライメントした状態で固定可能に
している。
【0030】
凹面鏡22は、ランプ本体21の第1固定部83Aが挿通される首状部22aと、この
首状部22aから拡がる楕円曲面状の主反射部22bとを備えた石英ガラス製の一体成形
品である。首状部22aは、第1固定部83Aを挿通させるとともに、第1固定部83A
との隙間に無機系接着剤MBを充填することによって主反射部22bを発光部81に対し
てアライメントした状態で固定可能にしている。また、主反射部22bの内側ガラス面は
、楕円曲面状に加工され、その表面上に反射面22rが形成されている。
【0031】
ランプ本体21は、主反射部22bの光軸に対応するシステム光軸OAに沿って配置さ
れるとともに、発光部81内の電極86A,86B間の発光中心Oが主反射部22bの楕
円曲面の第1焦点F1位置となるように配置される。ランプ本体21を点灯した場合、発
光部81から放射された光束は主反射部22bで反射され、或いは副反射鏡89を経て主
反射部22bで反射され、楕円曲面の第2焦点F2位置に収束する光束となる。
【0032】
図2を参照して、光源ランプユニット20は、前述したランプ本体21、凹面鏡22、
副反射鏡89、及び凹レンズ23のほかに、凹レンズ23を保持する保持部材16と、凹
面鏡22を保持するインナーホルダ90とを備えて構成されている。
【0033】
インナーホルダ90は、断面L字状の合成樹脂製の一体成形品であり、水平部151及
び枠部91を備えている。水平部151は、光源ランプユニット20を組み込むためのケ
ース11(不図示)の壁部と係合する。また、この水平部151には、ランプ本体21を
外部電源と電気的に接続するためのコネクタ88dが固定され、コネクタ88dには、ラ
ンプ本体21のリード線88A,88Bからそれぞれ延びる2つの配線ケーブル88a,
88bが接続されている。
【0034】
枠部91は、矩形で筒状の形状を有し、システム光軸(照明光軸)OA方向の位置決め
を行うように凹面鏡22の光束射出開口端縁が当接するストッパ92を備える。この枠部
91に対して凹面鏡22の光束射出開口端縁である外周縁部22dが押さえバネ(不図示
)によって押圧され固定される。また、このような水平部151及び枠部91の適所には
、突起及び凹部が形成されており、これらの突起・凹部が光源ランプユニット20を組み
込んだ光学装置内に形成された凹部・突起とそれぞれ係合することにより、凹面鏡22の
光軸すなわち照明光軸と、光学装置のシステム光軸OAとがアライメントされ、ランプ本
体21の発光中心Oがシステム光軸OA上に配置される。
【0035】
保持部材16は、凹面鏡22の光束射出開口に応じた円筒形状であって、凹面鏡22と
は反対側から枠部91に接着固定され、凹レンズ23の外周端部を保持するものである。
この保持部材16は、一体成形された筒部161及び保持部162で構成されている。筒
部161は、内部にランプ本体21を覆っている。保持部162は、この筒部161の光
束射出側端面を塞ぐように設けられ、凹レンズ23が嵌め込まれる開口169を有してい
る。保持部材16には、保持部材16の筒部161の一方の側面に吸気口191を、他方
の側面に排気口192を、それぞれ矩形状に切り欠いて形成してある。これにより、保持
部材16及び凹面鏡22内の空間を通過する冷却流路を確保することができる。これら吸
気口191及び排気口192には、ランプ本体21の破裂時にランプの破片が飛散しない
ようにメッシュ(図示しない)が備えられている。
【0036】
〔第2実施形態〕
本実施形態の光源ランプユニットは、図1に示す第1実施形態の光源ランプユニット2
0を変形したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態の光源ランプユニ
ット20と同一の構造を有し、また、共通する部分については同一の符号を付して重複説
明を省略するものとする。
【0037】
図5は、第2実施形態に係る光源ランプユニットの要部を説明するための図であり、図
5(a)及び5(b)は、当該光源ランプユニットに組み込まれる第1導電部材273A
の構造を説明する平面図及び側面図である。
【0038】
第1導電部材273Aにおいて、第1金属箔部材287Aは、1枚の大きな箔板284
eと、2枚の小さな箔板284f,284gとで構成され、スポット溶接等を利用した複
数の固定部SWによって、箔板284eの両端側に箔板284f,284gを固定したも
のである。これら箔板284f,284gは、箔板284eの両端部分284h,284
hとともに電極軸AXに沿って互いに平行に配置されている。これにより、電極取付部(
端部)84aにおいて、電極86Aの根元側部分86dは、箔板284g及び端部分28
4hによって対向する側面方向から挟まれて固定されている。つまり、電極86Aの根元
側部分86dは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿った両側から挟まれている。このよう
に、電極86Aの根元側部分86dを2枚の箔板284g及び端部分284hで挟んで固
定することにより、電極86Aや電極取付部84aが第1導電部材273Aの電極軸AX
に沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに、電極取付部84aにおけ
る電極86Aの固定が安定する。この結果、シュリンクシールによる封止に際して、電極
86Aが第1金属箔部材287Aやリード線88Aを基準とする電極軸AXに対して傾く
ことを防止できる。
【0039】
リード線取付部(端部)84bにおいて、リード線88Aの端部88tは、箔板284
f及び端部分284hによって対向する側面方向から挟まれて固定されている。つまり、
リード線88Aの端部88tは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿った両側から挟まれて
いる。このように、リード線88Aの端部88tを2枚の箔板284f及び端部分284
hで挟んで固定することにより、リード線88Aが第1導電部材273Aの電極軸AXに
沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに、リード線取付部84bにお
けるリード線88Aの固定が安定する。この結果、シュリンクシールによる封止に際して
、第1金属箔部材287Aや電極86Aが、リード線88Aを基準とする電極軸AXに対
して傾くことを防止できる。
【0040】
なお、以上で説明した第1金属箔部材287Aの構造等は、図1の第2導電部材73B
にも同様に適用される。
【0041】
〔第3実施形態〕
本実施形態の光源ランプユニットは、図1に示す第1実施形態の光源ランプユニット2
0を変形したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態の光源ランプユニ
ット20と同一の構造を有する。
【0042】
図6は、第3実施形態に係る光源ランプユニットの要部を説明するための図であり、図
6(a)及び6(b)は、当該光源ランプユニットに組み込まれる第1導電部材373A
の構造を説明する平面図及び側面図である。
【0043】
第1導電部材373Aにおいて、第1金属箔部材387Aは、1枚の大きな箔板384
eのみで構成される。この箔板384eは、第1金属箔部材387Aの電極取付部84a
及びリード線取付部84bに対応する部分で、電極軸AXに沿って切れ目CLが設けられ
ている。結果的に、箔板384eは、電極取付部84aの箇所で、電極軸AXに沿って延
びる第1部分384fと第2部分384gとに分かれている。そして、図6(a)に示す
正面側において、スポット溶接等を利用した複数の固定部SWによって、第1部分384
fと電極86Aの根元側部分86dとが固定され、裏面側において、スポット溶接等を利
用した複数の固定部SWによって、第2部分384gと電極86Aの根元側部分86dと
が固定される。この際、電極86Aの根元側部分86dは、第1及び第2部分384f,
384gによって対向する側面方向から挟まれて固定されている。つまり、電極86Aの
根元側部分86dは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿った両側から挟まれている。この
ように、電極86Aの根元側部分86dを箔板384eの端部において2分した部分38
4f,384gで挟んで固定することにより、電極86Aや電極取付部84aが第1導電
部材373Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに
、電極取付部84aにおける電極86Aの固定が安定する。この結果、シュリンクシール
による封止に際して、電極86Aが第1金属箔部材387Aやリード線88Aを基準とす
る電極軸AXに対して傾くことを防止できる。
【0044】
また、箔板384eは、リード線取付部84bの箇所でも、電極軸AXに沿って延びる
第1部分384fと第2部分384gとに分かれている。そして、図6(a)に示す正面
側において、スポット溶接等を利用した複数の固定部SWによって、第1部分384fと
リード線88Aの端部88tとが固定され、裏面側において、スポット溶接等を利用した
複数の固定部SWによって、第2部分384gとリード線88Aの端部88tとが固定さ
れる。この際、リード線88Aの端部88tは、第1及び第2部分384f,384gに
よって対向する側面方向から挟まれて固定されている。つまり、リード線88Aの端部8
8tは、電極軸AXに垂直なAB方向に沿った両側から挟まれている。このように、リー
ド線88Aの端部88tを箔板384eの端部において2分した部分384f,384g
で挟んで固定することにより、リード線88Aが第1導電部材373Aの電極軸AXに沿
って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに、リード線取付部84bにおけ
るリード線88Aの固定が安定する。この結果、シュリンクシールによる封止に際して、
第1金属箔部材387Aや電極86Aが、リード線88Aを基準とする電極軸AXに対し
て傾くことを防止できる。
【0045】
図7は、図6に示す第1導電部材373Aの変形例を説明する側面図である。この場合
、第1導電部材473Aにおいて、第1金属箔部材487Aの箔板384e両端に切断に
よって形成した第1及び第2部分484f,484gが、根元側部分86dや端部88t
の端面に近い付け根部分で鉤状に折り曲げられている。
【0046】
なお、以上で説明した第1金属箔部材387A,487Aの構造等は、図1の第2導電
部材73Bにも同様に適用される。
【0047】
〔第4実施形態〕
図8(a)及び8(b)は、本実施形態における第1導電部材573Aの構造を説明す
る平面図である。この第1導電部材573Aにおいて、第1金属箔部材587Aは、図6
に示す第3実施形態における第1金属箔部材387Aに変更を加えたものである。
【0048】
図8(a)に示すように、第1導電部材573Aを構成する第1金属箔部材587Aは
、1枚の大きな箔板584eのみで形成される。この箔板584eは、電極取付部84a
に対応する一端部に、鉤状の切れ目CL1を有しており、電極軸AXに略沿って延びる第
1部分584fと第2部分584gとに分かれている。この箔板584eは、リード線取
付部84bに対応する他端部にも、鉤状の切れ目CL1を有しており、電極軸AXに略沿
って延びる第1部分584fと第2部分584gとに分かれている。
【0049】
図8(b)に示すように、電極取付部84aの表面側において、スポット溶接等を利用
した複数の固定部SWによって、第1部分584fの第1突起PR1と電極86Aの根元
側部分86dとが固定され、裏面側において、同様の固定部(不図示)によって、第2部
分584gの第1突起PR2と電極86Aの根元側部分86dとが固定される。結果的に
、電極86Aの根元側部分86dは、第1及び第2部分584f,584gによって対向
する側面方向から挟まれて固定される。これにより、電極86Aや電極取付部84aが第
1導電部材573Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわりに対称的に配置されるとと
もに、電極取付部84aにおける電極86Aの固定が安定する。
【0050】
また、リード線取付部84bの表面側において、複数の固定部SWによって、第1部分
584fの第1突起PR1とリード線88Aの端部88tとが固定され、裏面側において
、同様の固定部(不図示)によって、第2部分584gの第2突起PR2とリード線88
Aの端部88tとが固定される。結果的に、リード線88Aの端部88tは、第1及び第
2部分584f,584gによって対向する側面方向から挟まれて固定される。これによ
り、リード線88Aが第1導電部材573Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわりに
対称的に配置されるとともに、リード線取付部84bにおけるリード線88Aの固定が安
定する。
【0051】
なお、以上で説明した第1金属箔部材587Aや第1導電部材573Aの構造等は、図
1の第2金属箔部材87B等にも同様に適用される。
【0052】
〔第5実施形態〕
図9(a)及び9(b)は、本実施形態における第1導電部材673Aの構造を説明す
る平面図である。この第1導電部材673Aにおいて、第1金属箔部材687Aは、図6
に示す第3実施形態における第1金属箔部材387Aに変更を加えたものである。
【0053】
図9(a)に示すように、第1導電部材673Aを構成する第1金属箔部材687Aは
、1枚の大きな箔板684eのみで形成される。この箔板684eは、電極取付部84a
に対応する一端部に、電極軸AXに平行に延びる切れ目CLを有しており、電極軸AXに
略沿って延びる第1部分684fと第2部分684gとに分かれている。そして、電極取
付部84aの各部分684f,684gには、折り曲げ用の折れ線FL1,FL2が形成
されている。この箔板684eは、リード線取付部84bに対応する他端部にも、電極軸
AXに平行に延びる切れ目CLを有しており、電極軸AXに略沿って延びる第1部分68
4fと第2部分684gとに分かれている。そして、リード線取付部84bの各部分68
4f,684gには、折り曲げ用の折れ線FL1,FL2が形成されている。
【0054】
図9(b)に示すように、電極取付部84aの表面側において、第1部分684fが折
れ線FL1,FL2を利用して谷及び山に折られており、第1部分684fの先端側が反
対側にはみ出して電極86Aの根元側部分86dに重ねられる。この状態で、スポット溶
接等を利用した複数の固定部SWによって、第1部分684fと電極86Aの根元側部分
86dとが固定され、裏面側においても、同様の手法によって、第2部分684gと電極
86Aの根元側部分86dとが固定される。結果的に、電極86Aの根元側部分86dは
、第1及び第2部分684f,684gによって対向する側面方向から挟まれて固定され
る。これにより、電極86Aや電極取付部84aが第1導電部材673Aの電極軸AXに
沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに、電極取付部84aにおける
電極86Aの固定が安定する。
【0055】
また、リード線取付部84bの表面側において、第1部分684fが折れ線FL1,F
L2を利用して谷及び山に折られており、第1部分684fの先端側が反対側にはみ出し
てリード線88Aの端部88tに重ねられる。この状態で、複数の固定部SWによって、
第1部分684fとリード線88Aの端部88tとが固定され、裏面側においても、同様
の手法によって、第2部分684gとリード線88Aの端部88tとが固定される。結果
的に、リード線88Aの端部88tは、第1及び第2部分684f,684gによって対
向する側面方向から挟まれて固定される。これにより、リード線88Aが第1導電部材6
73Aの電極軸AXに沿って電極軸AXのまわりに回転対称に配置されるとともに、リー
ド線取付部84bにおけるリード線88Aの固定が安定する。
【0056】
なお、以上で説明した第1金属箔部材687Aや第1導電部材673Aの構造等は、図
1の第2金属箔部材87B等にも同様に適用される。
【0057】
〔第6実施形態〕
図10は、本発明の第6実施形態に係るプロジェクタ10の光学系を示す模式図である
。このプロジェクタ10は、上記第1〜第5実施形態で説明した導電部材を備える光源ラ
ンプユニット20を組み込んだものである。このプロジェクタ10は、光源から射出され
た光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像をスクリーン上に拡大投
射する光学機器であり、光源ランプユニット20、照明光学系30、色分離装置40、光
変調部50、クロスダイクロイックプリズム60、及び投射光学系65を備えて構成され
る。なお、これらの光学部品20,30,40,50,60,65は、遮光性のケース1
1内部の適所に固定され、或いはケース11の一部に外側から取り付けられている。
【0058】
光源ランプユニット20は、ランプ本体21から周囲に放射された光束を集めて射出し
、照明光学系30及び色分離装置40を介して光変調部50を照明するための光源装置で
ある。光源ランプユニット20は、第1〜第6実施形態で説明した光源ランプユニット2
0をそのまま用いることができ、ランプ本体21と、凹面鏡22と、凹レンズ23とを備
える。この光源ランプユニット20において、ランプ本体21から射出された光源光は、
凹面鏡22及び凹レンズ23を経て平行化され、前方側すなわち照明光学系30側に射出
される。
【0059】
照明光学系30は、光源ランプユニット20から射出された光束を複数の部分光束に分
割し、これら複数の光束を対象とする照明領域に重畳して入射させ、この照明領域の面内
照度を均一化するための光学系であり、第1レンズアレイ31、第2レンズアレイ32、
偏光変換部材34、及びコンデンサレンズ35を備えている。
【0060】
第1レンズアレイ31は、ランプ本体21から射出された光束を複数の部分光束に分割
する光束分割光学素子としての機能を有し、システム光軸OAと直交する面内にマトリッ
クス状に配列される複数の小レンズ31aを備えて構成される。各小レンズ31aの輪郭
形状は、後述する光変調部50を構成する液晶パネル51b,51g,51rの画像形成
領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。第2レンズアレイ32は、前述し
た第1レンズアレイ31により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第
1レンズアレイ31と同様にシステム光軸OAに直交する面内にマトリックス状に配列さ
れる複数の小レンズ32aを備えているが、集光を目的としているため、各小レンズ32
aの輪郭形状が液晶パネル51b,51g,51rの画像形成領域の形状と対応している
必要はない。
【0061】
偏光変換部材34は、PBSアレイと位相差板とで形成されており、第1レンズアレイ
31により分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。
この偏光変換部材34のPBSアレイは、詳細な図示を省略しているが、システム光軸O
Aに対して傾斜配置される偏光分離膜及び反射ミラーを交互に配列した構成を具備する。
前者の偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束及びS偏光光束のうち、一方の偏
光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、後者の反射
ミラーによって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわちシステム光軸OAに沿っ
た方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換部材34の光束射出面
にストライプ状に設けられる位相差板によって偏光変換され、すべての偏光光束の偏光方
向が揃えられる。このような偏光変換部材34を用いることにより、ランプ本体21から
射出される光束を、一方向の偏光光束に揃えることができるため、光変調部50で利用す
る光源光の利用率を向上させることができる。
【0062】
コンデンサレンズ35は、第1レンズアレイ31、第2レンズアレイ32、及び偏光変
換部材34を経た複数の部分光束を集光して液晶パネル51b,51g,51rの画像形
成領域上に重畳させて入射させる重畳光学素子である。このコンデンサレンズ35から射
出された光束は、均一化されつつ次段の色分離装置40に射出される。つまり、両レンズ
アレイ31,32とコンデンサレンズ35とを経た照明光は、以下に詳述する色分離装置
40を経て、光変調部50すなわち各色の液晶パネル51b,51g,51rの画像形成
領域を均一に重畳照明する。
【0063】
色分離装置40は、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41b、反射ミラー4
2a,42b,42c、フィールドレンズ43r,43b,43g、及びリレー光学系4
6,47を備える。これらのうち、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bを
含んで構成される色分離光学系は、照明光を青(B)色光、緑(G)色光、及び赤(R)
色光の3つの光束に分離する。各ダイクロイックミラー41a,41bは、透明基板上に
、所定の波長領域の光束を反射し他の波長領域の光束を透過する波長選択作用を有する誘
電体多層膜を形成することによって得た光学素子であり、システム光軸OAに対してとも
に傾斜した状態で配置される。第1ダイクロイックミラー41aは、赤・青・緑(R・G
・B)の3色のうち青色光LBを反射し、緑色光LGと赤色光LRとを透過させる。また
、第2ダイクロイックミラー41bは、入射した緑色光LG及び赤色光LRのうち緑色光
LGを反射し赤色光LRを透過させる。
【0064】
この色分離装置40において、光源ランプユニット20から照明光学系30を経て入射
した照明光は、まず第1ダイクロイックミラー41aに入射する。第1ダイクロイックミ
ラー41aで反射された青色光LBは、第1光路OP1に導かれ、反射ミラー42aを経
て最終段のフィールドレンズ43bに入射する。また、第1ダイクロイックミラー41a
を透過して第2ダイクロイックミラー41bで反射された緑色光LGは、第2光路OP2
に導かれ最終段のフィールドレンズ43gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラ
ー41bを通過した赤色光LRは、第3光路OP3に導かれ、反射ミラー42b,42c
やリレー光学系46,47を経て最終段のフィールドレンズ43rに入射する。なお、リ
レー光学系46,47は、入射側の第1のレンズ46の直前に形成された像を、次段の第
2のレンズ47を介して、ほぼそのまま射出側のフィールドレンズ43rに伝達すること
により、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止している。
【0065】
光変調部50は、3色の照明光LB,LG,LRがそれぞれ入射する3つの液晶パネル
(液晶表示パネル)51b,51g,51rと、各液晶パネル51b,51g,51rを
挟むように配置される3組の偏光フィルタ52b,52g,52rとを備える。ここで、
例えば青色光LB用の液晶パネル51bと、これを挟む一対の偏光フィルタ52b,52
bとは、照明光を2次元的に輝度変調するための液晶ライトバルブを構成する。同様に、
緑色光LG用の液晶パネル51gと、対応する偏光フィルタ52g,52gも、液晶ライ
トバルブを構成し、赤色光LR用の液晶パネル51rと、偏光フィルタ52r,52rも
、液晶ライトバルブを構成する。各液晶パネル51b,51g,51rは、一対の透明な
ガラス基板間に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコ
ンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、それぞれに入射した
偏光光束の偏光方向を変調する。
【0066】
この光変調部50において、第1光路OP1に導かれた青色光LBは、フィールドレン
ズ43bを介して液晶パネル51bの画像形成領域に入射する。第2光路OP2に導かれ
た緑色光LGは、フィールドレンズ43gを介して液晶パネル51gの画像形成領域に入
射する。第3光路OP3に導かれた赤色光LRは、リレー光学系46,47及びフィール
ドレンズ43rを介して液晶パネル51rの画像形成領域に入射する。各液晶パネル51
b,51g,51rは、入射した照明光の偏光方向の空間的分布を変化させるための非発
光で透過型の光変調装置である。各液晶パネル51b,51g,51rにそれぞれ入射し
た各色光LB,LG,LRは、各液晶パネル51b,51g,51rに画像情報に応じて
電気的信号として入力された駆動信号或いは制御信号に応じて、画素単位で偏光状態が調
整される。その際、偏光フィルタ52b,52g,52rによって、各液晶パネル51b
,51g,51rに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶パネル51
b,51g,51rから射出される光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。
【0067】
クロスダイクロイックプリズム60は、射出側偏光板から射出された各色光毎に変調さ
れた光学像を合成してカラー画像を形成する光合成光学系である。このクロスダイクロイ
ックプリズム60は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角
プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜61,62
が形成されている。一方の第1誘電体多層膜61は青色光を反射し、他方の第2誘電体多
層膜62は赤色光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム60は、液晶パネル5
1bからの青色光LBを第1誘電体多層膜61で反射して進行方向右側に射出させ、液晶
パネル51rからの赤色光LRを第2誘電体多層膜62で反射して進行方向左側に射出さ
せ、液晶パネル51gからの緑色光LGを両誘電体多層膜61,62を介して直進・射出
させる。
【0068】
このようにクロスダイクロイックプリズム60で合成された像光は、拡大投影レンズと
しての投射光学系65を経て、適当な拡大率でスクリーン(不図示)にカラー画像として
投射される。
【0069】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるもので
はない。例えば、金属箔部材87A,87B等の輪郭形状は、長方形に限らず多様な形状
とすることができる。また、電極86Bの形状も単なる例示であり、用途等に応じて適宜
変更することができる。
【0070】
上記実施形態の光源ランプユニット20において、第1及び第2導電部材73A,73
Bの双方を同一の構造としているが、例えば第2導電部材73Bについては従来型とする
ことができる。この場合も、少なくとも第1導電部材73Aについてアライメント精度を
向上させることができる。
【0071】
上記実施形態の光源ランプユニット20において、凹面鏡22や副反射鏡89の反射面
22r,89rは、それぞれ楕円曲面や球面に限らず、光源ランプユニット20に要求さ
れる精度その他の仕様に応じて多様な曲面とすることができる。
【0072】
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、光源ランプユニット20等からの光を複
数の部分光束に分割するため、2つのレンズアレイ31,32を用いていたが、この発明
は、このようなレンズアレイ31,32を用いないプロジェクタにも適用可能である。さ
らに、レンズアレイ31,32をロッドインテグレータに置き換えることもできる。
【0073】
また、上記実施形態では、光源ランプユニット20等からの光を特定方向の偏光とする
PBSアレイを用いていたが、この発明は、このようなPBSアレイを用いないプロジェ
クタにも適用可能である。
【0074】
上記実施形態では、光変調装置を3つ用いたプロジェクタ10の例について説明したが
、本発明は、光変調装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用す
ることができる。
【0075】
また、上記実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について
説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「
透過型」とは、液晶パネル等を含むライトバルブが光を透過するタイプであることを意味
しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味してい
る。反射型プロジェクタの場合、ライトバルブは液晶パネルのみによって構成することが
可能であり、一対の偏光板は不要である。なお、光変調装置は液晶パネル等に限られず、
例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
【0076】
また、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面プロジェ
クタと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面プロジェクタとがある
が、図10のプロジェクタ10の構成は、いずれにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施形態に係る光源ランプユニットの光学系を説明する図である。
【図2】図1に示す光源ランプユニットの斜視図である。
【図3】(a)、(b)は、光源ランプユニットに組み込まれる導電部材の正面図及び側面図である。
【図4】光源ランプユニットのランプ本体の製造方法を説明する図である。
【図5】(a)、(b)は、第2実施形態におけるランプ本体を説明する図である。
【図6】(a)、(b)は、第3実施形態におけるランプ本体を説明する図である。
【図7】第3実施形態のランプ本体の変形例を説明する図である。
【図8】(a)、(b)は、第4実施形態におけるランプ本体を説明する図である。
【図9】(a)、(b)は、第5実施形態におけるランプ本体を説明する図である。
【図10】第6実施形態に係るプロジェクタの光学系を説明する図である。
【符号の説明】
【0078】
10…プロジェクタ、 11…ケース、 20…光源ランプユニット、 20,30,
40,50,60,65…光学部品、 21…ランプ本体、 22…凹面鏡、 23…凹
レンズ、 30…照明光学系、 31,32…レンズアレイ、 34…偏光変換部材、
35…コンデンサレンズ、 40…色分離装置、 41a,41b…ダイクロイックミラ
ー、 43r,43b,43g、…フィールドレンズ、 50…光変調部、 51b,5
1g,51r…液晶パネル、 52b,52g,52r…偏光フィルタ、 60…クロス
ダイクロイックプリズム、 61,62…誘電体多層膜、 65…投射光学系、 71…
封止管、 73A…第1導電部材、 73B…第2導電部材、 81…発光部、 83A
…第1固定部、 83A…第1固定部、 84a…電極取付部、 84b…リード線取付
部、 84c…本体部、 84e,84f…箔板、 86A,86B…電極、 86d…
根元側部分、 87A,87B…金属箔部材、 88A,88B…リード線、 88t…
端部、 89…副反射鏡、 90…インナーホルダ、 AX…電極軸、 LB,LG,L
R…各色光、 O…発光中心、 OA…システム光軸、 SW…固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に延びるリード線と、内側に延びる電極と、前記リード線と前記電極との間に介在
して両者を電気的に接続する金属箔部材とを含む少なくとも1つ以上の導電部材と、
前記電極のうち少なくとも先端部を内部空間に収納する本体部分と、前記導電部材のう
ち少なくとも前記金属箔部材と前記電極の根元側部分とを埋め込むように固定する固定部
とを有する封止管とを備え、
前記電極は、前記根元側部分において、前記金属箔部材の端部によって前記電極の軸に
垂直な両側から挟まれている発光管。
【請求項2】
前記導電部材を構成する前記リード線、及び前記金属箔部材は、前記電極の軸に沿って
延びるとともに当該電極の軸のまわりに回転対称に配置されている請求項1記載の発光管

【請求項3】
前記固定部は、前記電極の封入処理に際して前記封止管の前記本体部分の一端に形成さ
れた細径部である請求項1及び請求項2のいずれか一項記載の発光管。
【請求項4】
前記金属箔部材は、前記電極の軸が延びる方向に沿って互いに略平行に延びる2枚の箔
板を有し、当該2枚の箔板は、前記リード線の端部と前記電極の根元側部分とを対向する
方向から挟むように保持する請求項1から請求項3のいずれか一項記載の発光管。
【請求項5】
前記金属箔部材は、本体部と、当該本体部の一端に接続されるとともに前記電極の軸が
延びる方向に略沿って互いに略平行に延びる第1及び第2部分を有する端部とを含み、当
該第1及び第2部分は、前記電極の根元側部分を対向する方向から挟むように保持する請
求項1から請求項3のいずれか一項記載の発光管。
【請求項6】
前記金属箔部材の端部は、1枚の箔板の端部を前記電極の軸が延びる方向に略沿って2
つに切断することによって形成された第1及び第2部分を有し、当該第1及び第2部分は
、前記電極の根元側部分を対向する方向から挟むように保持する請求項1から請求項3の
いずれか一項記載の発光管。
【請求項7】
2つの前記導電部材と、各導電部材に対応して前記本体部分の両側に設けられる第1及
び第2固定部を有する前記封止管とを含む請求項1から請求項6のいずれか一項記載の発
光管と、
前記発光管の前記第1固定部側に設けられ、当該発光管から放射された光束を所定方向
に揃えて射出する主反射鏡と、
を備える光源装置。
【請求項8】
前記発光管の前記第2固定部側に設けられ、前記発光管から前記主反射鏡の反対側に放
射された光束を前記発光管の本体部分中の発光部に戻す副反射鏡をさらに備える光源装置

【請求項9】
請求項7及び請求項8のいずれか一項記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光束を入力された画像情報に応じて変調して変調光を形成
する光変調部と、
前記光変調部からの変調光を像光として投射する投射光学系と、
を備えるプロジェクタ。
【請求項10】
前記光変調部は、前記各色光をそれぞれ変調する各色用の光変調装置を有し、
前記光源装置から射出された光束を各色光に分離して前記各色用の光変調装置に導く色
分離光学系と、前記各色用の光変調装置によって変調された各色の変調光を合成する色合
成光学系とをさらに備え、
前記投射光学系は、当該色合成光学系によって合成された像光を投射する
ことを特徴とする請求項9記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−98079(P2008−98079A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281144(P2006−281144)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】