発光素子及び発光装置
【課題】より消費電力の低く、発光効率の高い高機能及び高信頼性を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有する。混合原子価化合物は、ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。混合原子価化合物は電荷移動性や、発光色に影響を与え、そのような発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【解決手段】発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有する。混合原子価化合物は、ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。混合原子価化合物は電荷移動性や、発光色に影響を与え、そのような発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス基板上に薄膜トランジスタ(以下、「TFT」ともいう。)を集積化してなる液晶表示装置やエレクトロルミネセンス(Electro Luminescence)表示装置の開発が進んでいる。これらの表示装置は、いずれもガラス基板上に薄膜形成技術を用いて薄膜トランジスタを作り込み、その薄膜トランジスタで構成された様々な回路上に表示素子として液晶素子や発光素子(エレクトロルミネセンス(以下、「EL」ともいう。)素子)を形成して表示装置として機能させる。
【0003】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0004】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0005】
無機EL素子において、発光効率などの素子特性向上のため、EL素子内に設けられる発光層、絶縁層などにナノサイズの微粒子粉末を用いるといった素子構造が研究されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−259546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような発光素子において、駆動電圧の低下、また、多様な発光色を得るために発光色の微細な色度調整も必要とされており、さらなる改良が望まれている。
【0007】
本発明では、このような問題を鑑み、発光素子の駆動電圧を下げ、かつ微細な色度調整を行い多様な発光色を得ることを目的とする。そして、より消費電力の低く、高機能及び高信頼性を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することを特徴とする。本発明において、一対の電極層間に設けられた発光層及び絶縁層の積層をEL層とよぶ。また、本発明を用いて、発光装置を作製することができる。
【0009】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。本発明の発光素子は、発光材料に無機発光材料を用いる無機EL素子である。
【0010】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜(薄膜形状)からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0011】
本発明で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活剤(または共付活剤、副付活剤も含む)において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び付活剤両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。
【0012】
母体材料に対して、発光中心となる不純物元素を付活剤ともいい、さらに添加される他の不純物元素を副活性剤ともいう。また、ドナー準位を形成する第1の不純物元素を共付活剤ともいい、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を付活剤ともいう。
【0013】
本発明を用いることのできる発光装置には、発光素子と薄膜トランジスタ(以下、TFT(Thin film transistor)ともいう)とが接続された発光装置などがある。
【0014】
ある化合物において、その化合物中に有する同一元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
【0015】
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、無機化合物である。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
【0016】
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその結晶構造(化合物)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましい。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
【0017】
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導(Pool−Frenkel伝導と呼ぶ場合もある)する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の発光層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0018】
また、価数は発光色に影響を与える。従って、価数により発光色を変化させることができるので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がり、そのような発光素子を用いた発光装置においては、多色な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0019】
このような原子価状態はようするに酸化状態が複数ある状態であり、価数揺動とも言われる。混合原子価状態をとることができる化合物として、複数の価数が存在できる遷移金属と希土類金属で構成される化合物があるが、特に硫化物、酸化物などのカルコゲナイド化合物やハロゲン化合物など周期表では13〜17族で構成される化合物で混合原子価状態は現れ、またそれらの複合した化合物でも同様に混合原子価状態をとることができる。材料の組み合わせは自由に設定でき、目的の色や効果を得られるようにする。混合原子価化合物を含む無機発光材料が発光機能を有していればよい。
【0020】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を設ける。
【0021】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、母体材料及び不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物である。
【0022】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物である。
【0023】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有する。
【0024】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、母体材料及び不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物である。
【0025】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物である。
【0026】
上記構成において、発光層の第1の電極層側及び第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0028】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0029】
よって、本発明を用いた発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態は、駆動電圧が低く低消費電力であり、かつ微細な色度調整を可能とした発光素子を提供することを目的とする。本実施の形態における発光素子を、図1乃至図6を用いて詳細に説明する。
【0032】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することを特徴とする。
【0033】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0034】
本発明の発光素子を、図1の概念図を用いて説明する。図1においては、発光層の形態には言及せず無機発光材料を含む発光層とし、分散型無機EL素子及び薄膜型無機EL素子も含むこととする。
【0035】
図1に、第1の電極層70及び第2の電極層73の間に、発光層72を有するEL層が設けられた発光素子を示す。図1の発光素子はEL層に絶縁層などを有していない構成のため、EL層と発光層72は同じ層を示す。本発明では、発光層72に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する。
【0036】
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。本発明の混合原子価化合物におけるホッピング伝導の理論図を図4に示す。図4は、+n価の原子M(A)と+(n+1)価の原子M(B)との間での電子交換反応である。原子M(A)は、価数が+nであるため、Mn+(A)であり、準位30に電子32を有している。一方原子M(B)は、価数が+(n+1)であるため、Mn+1(B)であり、準位31に電子を有していない。
【0037】
電子32は励起され、M(A)の準位30より矢印33のようにM(B)の準位31に飛び移り、ホッピング伝導となる(図4(A)参照。)。ホッピング伝導後、原子M(A)の準位30には電子を有さず、原子M(A)は、+(n+1)価の原子Mn+1(A)となる。一方、原子M(B)の準位31には電子32を有し、+n価の原子Mn(B)となる(図4(B)参照。)。このようにホッピング伝導が生じる。
【0038】
よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を含む無機発光材料を素子の発光層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0039】
本発明で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。もちろん、母体材料自体が発光してもよい。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活性剤(または共付活性剤、副付活性剤も含む)である不純物元素において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び不純物元素両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。
【0040】
本明細書において、母体材料に対して、発光中心となる不純物元素を付活剤ともいい、さらに添加される他の不純物元素を副付活剤ともいう。また、ドナー準位を形成する第1の不純物元素を共付活剤ともいい、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を付活剤ともいう。無機発光材料において、副付活剤となる不純物元素も混合原子価化合物であってもよい。また、母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む場合、それらの少なくともどれか一種以上混合原子価化合物であればよく、もちろん母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素全てが混合原子価化合物であってもよい。
【0041】
母体材料が混合原子価化合物である場合、ホッピング伝導により電荷移動性が高い母体材料から、効率よくエネルギーが付活剤又は共付活剤である不純物元素に移動し、発光を得ることができるため、発光素子を低電圧で駆動することができる。
【0042】
付活剤又は共付活剤である不純物元素が混合原子価化合物である場合、発光に寄与する不純物元素が複数の価数を有している混合原子価状態なために、発光が単色ではなく、発光色の波長スペクトルはよりブロードなものや、2波長以上のピークを有するものとなる。従って、発光素子の発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がる。
【0043】
また、不純物元素が、複数の価数を有する混合原子価状態である場合、励起されると、複数の価数間でエネルギーの移動が生じ、どちらか一方の価数の状態(原子価)となり、その価数からの発光のみを得るということもある。このエネルギーの移動は、同元素内の異なる価数において生じるのみでなく、異なる元素間でも生じる。例えば、母体材料に複数の不純物元素を添加した場合、一方の不純物元素が混合原子価状態となり励起し、もう一方の不純物元素にエネルギー移動し、エネルギーを得た不純物元素が発光するという場合である。
【0044】
このように、発光は、励起した原子価状態の方からの発光である場合もあり、ある原子価状態が励起し、もう一方の他の原子価状態(又は他の不純物元素)にエネルギー移動し、エネルギーを得た原子価状態が発光する場合もある。
【0045】
母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含み、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素が混合原子価化合物である発光層が設けられた発光素子における発光機構の理論図を図5に示す。図5は、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を励起し、さらに原子が結晶場分裂をした後のエネルギー状態を示している。
【0046】
母体材料の価電子バンドに正孔26、伝導バンドに電子25が存在する。母体材料のバンドギャップが価電子バンドの準位20から伝導バンドの準位21までのEgであるとすると、ドナー準位を形成する第1の不純物元素は原子価が1つの状態であるため、原子が異なっても伝導バンドの準位21よりエネルギーギャップED1を有して準位22a、22bをとる。一方アクセプター準位を形成する第2の不純物元素が混合原子価状態を有するので結晶場の強さが変わり、価電子バンドの準位20よりエネルギーギャップEA1を有して準位23a、エネルギーギャップEA2を有して準位23b(EA1<EA2)と複数の異なる準位をとる。よってドナー−アクセプター再結合型発光をするとアクセプター準位が準位23a、23bと異なるため、発光エネルギーがエネルギーhν1及びエネルギーhν2と異なり、得られる波長は、1つだけではなく2つの波長の光が得られ、結果、発光波長のスペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになる。これは、ドナー準位を形成する第1の不純物元素が混合原子価状態をする場合であっても、ドナー準位を形成する第1の不純物元素とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素の両方が混合原子価状態である場合でも、同様であり、発光波長のスペクトルはそれに伴い、ブロード、もしくは2つのピークを有することになる。従って、発光素子の発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がる。
【0047】
母体材料、及び発光中心である不純物元素を含み、発光中心である不純物元素が混合原子価化合物である発光層が設けられた発光素子における、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光の発光機構の理論図を図6に示す。図6は、ホットエレクトロンなどにより励起した発光中心の不純物元素のエネルギー準位を示している。
【0048】
不純物元素の混合原子価状態が2つの原子価をとるとすると、発光準位が準位42a、準位42bと2つの異なる準位を有することができる。励起準位41まで励起したエネルギーは、2つの発光準位、準位42a、準位42bから基底状態である基底準位40へ戻るので、発光エネルギーがエネルギーhν3及びエネルギーhν4と異なり、得られる波長は、1つだけではなく2つの波長の光が得られ、結果、発光波長のスペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになる。例えば、緑色の発光を持つ発光材料として、母体材料がMgGa2O4、不純物元素がMn(MgGa2O4:Mn2+)であるものや、母体材料がZn2SiO4、不純物元素がMn(Zn2SiO4:Mn2+)であるものがある。それらにおいてMnが混合原子価状態を有しMn3+やMn4+と価数を取るとすると、緑色の発光波長のスペクトルがよりブロード、もしくは2つのピークを有することになる。
【0049】
また母体材料がZnS、不純物元素がCu、Mn(ZnS:Cu、Mn)である場合、混合原子価状態をCuがとるとするとCu+1、Cu+2が存在する。このときCuの励起エネルギーがMnへエネルギー移動しMnが発光すると言われており、発光自体はMnによる発光波長スペクトルとなるが、Cuで+1価と+2価とが存在することで、母体材料の電荷移動度の向上やMnへのエネルギー移動性の高効率化が得られる。逆にMnが混合原子価状態を有する場合も考えられ、Mnの複数の発光準位を有し、その発光準位の差から発光スペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになるといえる。
【0050】
従って複数の価数を有する混合原子価化合物を有する無機発光材料を有する発光層においては、高い電荷移動性により発光中心となる不純物元素にエネルギーを効率よく移動でき、複数の波長を有する発光が得られ、ブロードな発光スペクトル、2波長以上のピークを有するスペクトルとすることができる。よって、発光素子の発光色の色度を調整することができ、さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。結果、発光色の選択性が広がる。従って低消費電力で、かつ発光色の色度調整及び混色発光によって、多彩な発光色を選択することができる。
【0051】
このような原子価状態はようするに酸化状態が複数ある状態であり、価数揺動とも言われる。混合原子価状態をとることができる化合物として、複数の価数が存在できる遷移金属と希土類金属で構成される化合物があるが、特に硫化物、酸化物などのカルコゲナイド化合物やハロゲン化合物など周期表では13〜17族で構成される化合物で混合原子価状態は現れ、またそれらの複合した化合物でも同様に混合原子価状態をとることができる。材料の組み合わせは自由に設定でき、目的の色や効果を得られるようにする。混合原子価化合物を含む無機発光材料が発光機能を有していればよい。
【0052】
さらに本発明に用いることのできる混合原子価状態を有する材料について具体的に述べる。混合原子価状態をとる元素はイオンの価数が複数とれるものであり、電子数を多く有する金属元素であればよく、特に遷移金属や希土類金属も好ましい。金属元素としては周期表で13〜15族の典型元素であるガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)などがある。また、遷移金属としては周期表で4〜12族であり、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)などがある。さらに、希土類金属としては周期表でランタノイド元素、アクチノイド元素をいい、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)などがある。
【0053】
発光材料において母体材料として利用、もしくは母体材料自体が発光する場合に本発明に用いることのできる混合原子価化合物としてはハロゲン化合物、酸化物、硫化物などが挙げられる。
【0054】
例えば酸化物ではLiWO3、Pb3O4、CeVO4、Sb2O4、Mn3O4、CuMn2O4、Co3O4、ZnxMn1−xO、IrO2、LaNiO3、NiO、V2O5、MoO3、WO3、CaWO4、YVO4、Fe3O4、NiFe2O4、MnFe2O4、NaV2O5、Eu3O4、LiTi2O4、SrTiO3、YBa2Cu3O7、LiV2O5などである。硫化物ではGaS、CuS、WS2、Eu3S4、Yb3S4、TlSなどがある。なお、酸化マンガン(Mn3O4)、硫化銅(CuXS)(xは1以上2以下)がより好ましい。その他にはハロゲン化合物としてハロゲン元素をXとするとInX2、GaX2、TlX2、Ta6Cl15、Tl4Cl6などがある。さらに窒化物としてInN、SnNなどや、Eu3As4、Yb3As4などもある。
【0055】
また、発光中心となる不純物元素として混合原子価元素を利用する場合も上記の元素が使用できる。例えば母体材料MXに不純物元素としてドナー準位を形成する第1の不純物元素(D)とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素(A)を添加した場合、MX:D,Aと表記することとする。この場合、不純物元素であるドナー準位を形成する第1の不純物元素(D)とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素(A)が発光に寄与する。発光材料に混合原子価元素が1つもしくは複数あってもよいが、例えば、母体材料として混合原子価元素が使用される場合や、もしくは発光中心となる不純物元素が混合原子価元素である場合は次のようなものがある。もちろん母体材料及び発光中心となる不純物元素両方に混合原子価化合物(混合原子価元素)があってもよい。本発明で用いることのできる無機発光材料としては、例えば、ZnS:Cu、ZnO:Cu、Y2O3:Eu、SiAlON:Eu、MgGa2O4:Mn、ZnS:Fe、MgS:Eu、SrS:Sm、CaS:Eu、ZnS:Tm、ZnS:Tb、CaGa2S4:Ce、SrGa2S4:Ce、CaGa2S4:Ce、SrGa2S4:Ce、Zn2SiO4:Mn、YVO4:Eu、ZnS:Mn、ZnxMg1−xS:Cu,Cl、SrS:Cuなどである。さらに酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すようになるものもある。
【0056】
化合物が混合原子価状態であるかどうかは、光学的方法、電気化学的方法、X線結晶学的方法などのいくつかの手法で調べることができる。例えば、メスバウアー、磁化率や、X線吸収端構造(XANES)、X線吸収微細構造(XAFS)などの観測原子の化合物中における吸収状態によって、有する価数が複数存在することを観測することができる。また、高精細なX線解析、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などにより混合原子価状態を判断することができる。
【0057】
本発明において、発光が生じる(発光領域である)発光層以外に、絶縁層を有していてもよい。絶縁層は複数有してもよく、さらに絶縁層自身を異なる薄膜の積層による積層としてもよい。
【0058】
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0059】
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、600〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。固相法は、比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0060】
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
【0061】
また混合原子価化合物を不純物元素として用いる場合、発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0062】
混合原子価化合物を母体材料として用いる場合、局在型発光の発光中心である不純物元素として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。上記ハロゲン元素は電荷補償として機能することができる。
【0063】
混合原子価化合物を母体材料として用いる場合、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0064】
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を、固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム(Al2S3)等を用いることができ、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅(Cu2S)、硫化銀(Ag2S)等を用いることができる。焼成温度は、600〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0065】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
【0066】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10mol%であればよく、好ましくは0.03〜3mol%の範囲である。
【0067】
図2(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図2(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層50、発光層52、第2の電極層53を含む。図2(A)乃至(C)において、発光層52に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有して形成する。
【0068】
図2(B)及び図2(C)に示す発光素子は、図2(A)の発光素子において、電極層と発光層間に絶縁層を設ける構造である。図2(B)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54を有し、図2(C)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54a、第2の電極層53と発光層52との間に絶縁層54bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0069】
また、図2(B)では第1の電極層50に接するように絶縁層54が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層53に接するように絶縁層54を設けてもよい。
【0070】
薄膜型無機ELの場合、発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0071】
図3(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図3(A)における発光素子は、第1の電極層60、発光層62、第2の電極層63の積層構造を有し、発光層62中にバインダ65によって保持された発光材料61を含む。図3(A)乃至(C)において、発光層62に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有して形成する。
【0072】
図3(B)及び図3(C)に示す発光素子は、図3(A)の発光素子において、電極層と発光層間に絶縁層を設ける構造である。図3(B)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64を有し、図3(C)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64a、第2の電極層63と発光層62との間に絶縁層64bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0073】
また、図3(B)では第1の電極層60に接するように絶縁層64が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層63に接するように絶縁層64を設けてもよい。
【0074】
分散型無機ELの場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の発光層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって発光層中に均一に分散し固定される。
【0075】
分散型無機ELの場合、発光層の形成方法は、選択的に発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0076】
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0077】
バインダに含まれる無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnSその他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
【0078】
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
【0079】
図2における絶縁層54、図3における絶縁層64のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。バインダ材料は、発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0080】
本実施の形態で示す発光素子は、発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0081】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0082】
なお、発光層は、単層でも、複数積層して形成していてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、電子注入用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
【0083】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0084】
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0085】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、素子基板へ張り合わせればよい。
【0086】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0087】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73は少なくとも光を取り出す一方を、透光性を有するように形成すればよい。第1の電極層及び第2の電極層両方に透光性を有する導電性材料を用いると、発光素子から放射される光は、第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73の両方より放射される両面放射構造とすることができる。
【0088】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。また、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、Ta、Al、Cu、Au、Ag、Mg、Ca、LiまたはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜も用いることができる。
【0089】
また、透光性を有さない上記金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73から光を放射することが可能となる。
【0090】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73の作製方法としては、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、CVD法、スピンコート法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いることができる。
【0091】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0092】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0093】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0094】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図20を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極層と第2の電極層との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0095】
図20において、第1の電極層501と第2の電極層502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極層501と第2の電極層502は実施の形態1と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態1と同様なものを適用することができる。従って第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512に設けられる発光層に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する構成とすればよい。具体的には実施の形態1で示す材料を用いて本発明を用いた本実施の形態の混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を形成することができる。
【0096】
第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。
【0097】
本実施の形態で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活性剤(または共付活性剤、副付活性剤も含む)である不純物元素において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び不純物元素両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。また、母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む場合、それらの少なくともどれか一種以上混合原子価化合物であればよく、もちろん母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素全てが混合原子価化合物であってもよい。無機発光材料において、副付活剤となる不純物元素も混合原子価化合物であってもよい。
【0098】
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、例えば、有機化合物とV2O5やMoO3やWO3等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0099】
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0100】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極層501と第2の電極層502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
【0101】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低くい発光装置を実現することができる。
【0102】
なお、本実施の形態は、実施の形態1と適宜組み合わせることが可能である。
【0103】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0104】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0105】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0106】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置の一構成例に関して図面を用いて説明する。より具体的には、発光装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0107】
発光装置は、基板750上に、第1の方向に延びた第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751c、第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cをそれぞれ覆って設けられたEL層752a、752b、752cと、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aとを有している(図25(A)参照。)。EL層752a、752b、752cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cと第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aとの間にEL層752a、752b、752cが設けられている。また、第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aを覆うように、保護膜として機能する絶縁層754を設けている(図25(B)参照。)。
【0108】
図25(C)は、図25(B)の変形例であり、基板790上に、第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791c、EL層792a、792b、792c、第2の電極層793b、保護層である絶縁層794を有している。EL層792a、792b、792cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。図25(C)の第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのように、第1の電極層は、テーパーを有する形状でもよく、曲率半径が連続的に変化する形状でもよい。第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのような形状は、液滴吐出法などを用いて形成することができる。このような曲率を有する曲面であると、積層する絶縁層や導電層のカバレッジがよい。
【0109】
また、第1の電極層の端部を覆うように隔壁(絶縁層)を形成してもよい。隔壁(絶縁層)は、他の発光素子間を隔てる壁のような役目を果たす。図26(A)、(B)に第1の電極層の端部を隔壁(絶縁層)で覆う構造を示す。
【0110】
図26(A)に示す発光素子の一例は、隔壁となる隔壁(絶縁層)775が、第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771cの端部を覆うようにテーパーを有する形状で形成されている。基板770上に設けられた第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771c上に、隔壁(絶縁層)775を形成し、EL層772a、772b、772c、第2の電極層773b、絶縁層774を形成する。EL層772a、772b、772cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0111】
図26(B)に示す発光素子の一例は、隔壁(絶縁層)765が曲率を有し、その曲率半径が連続的に変化する形状である。基板760上に設けられた第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761c、EL層762a、762b、762c、第2の電極層763b、絶縁層764が形成される。EL層762a、762b、762cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0112】
また、隔壁の他の例を図21に示す。図21(A)には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図、図21(B)には図21(A)における線X−Yの断面図を示す。図21において、基板781上には、第1の電極層782と第2の電極層786との間にはEL層785が設けられている。EL層785は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。第1の電極層782の端部は絶縁層783で覆われている。そして、絶縁層783上には隔壁(絶縁層)784が設けられている。隔壁(絶縁層)784の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁(絶縁層)784の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接する辺)の方が上辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁(絶縁層)784を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
【0113】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層752(752a、752b、752c)、762(762a、762b、762c)、772(772a、772b、772c)、785、792(792a、792b、792c)には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0114】
基板750、基板760、基板770、基板781、基板790としては、ガラス基板や可撓性基板の他、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板等を用いることができる。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)などを用いることもできる。また、この他にも、Si等の半導体基板上に形成された電界効果トランジスタ(FET)の上部や、ガラス等の基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT(Thin film transistor)ともいう)の上部に発光素子を設けることができる。
【0115】
本実施の形態で示した第1の電極層、第2の電極層、発光層を含むEL層の材料および形成方法は、上記実施の形態1で示した材料および形成方法のいずれかを用いて同様に行うことができる。
【0116】
隔壁(絶縁層)765、775、784としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる塗布膜やSOG膜なども用いることができる。
【0117】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行ってもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0118】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0119】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0120】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0121】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する発光装置について説明する。具体的には、発光装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0122】
発光装置の上面図を図27(A)に、図27(A)における線E−Fの断面図を図27(B)に示す。また、図27(A)にはEL層312、第2の電極層313及び絶縁層314は省略され図示されていないが、図27(B)で示すようにそれぞれ設けられている。EL層312は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0123】
第1の方向に延びた第1の配線305a、305c、317と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の配線302とがマトリクス状に設けられている。また、第1の配線305aはトランジスタ310aのソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第1の配線305cはトランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第1の配線317はトランジスタ310b’のソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第2の配線302はトランジスタ310b’のゲート電極に接続されている。さらに、第1の配線と接続されていないトランジスタ310a及びトランジスタ310bのソース電極層またはドレイン電極層に、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306bが接続され、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306b、EL層312、第2の電極層313の積層構造によって発光素子315a、発光素子315bが設けられている。隣接する各々の発光素子の間に隔壁(絶縁層)307を設けて、第1の電極層と隔壁(絶縁層)307上にEL層312および第2の電極層313を積層して設けている。第2の電極層313上に保護層となる絶縁層314を有している。また、トランジスタ310a、トランジスタ310bとして、薄膜トランジスタを用いている(図27(B)参照。)。
【0124】
図27(B)の発光素子は基板300上に設けられており、絶縁層301a、絶縁層301b、絶縁層308、絶縁層309、絶縁層311、トランジスタ310aを構成する半導体層304a、ゲート電極層302a、ソース電極層又はドレイン電極層を兼ねる配線305a、305b、トランジスタ310bを構成する半導体層304b、ゲート電極層302b、ソース電極層又はドレイン電極層を兼ねる配線305c、305dを有している。第1の電極層306a、第1の電極層306b、隔壁(絶縁層)307上にEL層312、第2の電極層313が形成されている。
【0125】
また、図11に示すように、単結晶半導体基板350上に設けられた電界効果トランジスタ360a、電界効果トランジスタ360bに発光素子365a、発光素子365bが接続されていてもよい。ここでは、電界効果トランジスタ360a及び電界効果トランジスタ360bのソース電極層又はドレイン電極層355a〜355dを覆うように絶縁層370を設け、絶縁層370上に第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁(絶縁層)367、EL層362a、EL層362b、第2の電極層363で発光素子365a、発光素子365bを構成する。EL層362a、EL層362bのようにEL層は、各発光素子のみに、マスク等を用いて選択的に設けてもよい。EL層362a、362bは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。また、図11に示す発光装置は、素子分離領域368、絶縁層369、絶縁層361、絶縁層364も有している。第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁367上にEL層362a、EL層362bが形成され、EL層362a及びEL層362b上に第2の電極層363が形成されている。
【0126】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層312、362a、362bには、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層312、362a、362bは、絶縁層を含んでいてもよい。具体的には実施の形態1で示す材料を用いて本発明を用いた本実施の形態の混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を形成することができる。
【0127】
図11のように、絶縁層370を設けて発光素子を形成することによって第1の電極層を自由に配置することができる。つまり、図27(B)の構成では、トランジスタ310a、トランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層を避けた領域に発光素子315a、発光素子315bを設ける必要があったが、上記構成とすることによって、例えば、トランジスタ310a、トランジスタ310bの上方に発光素子315a、発光素子315bを形成することが可能となる。その結果、発光装置をより高集積化することが可能となる。
【0128】
トランジスタ310a、トランジスタ310bはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。図27(A)では、絶縁性を有する基板上にプレーナ型の薄膜トランジスタを設けた例を示しているが、スタガ型や逆スタガ型等の構造でトランジスタを形成することも可能である。
【0129】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0130】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0131】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0132】
(実施の形態5)
本実施の形態における発光装置の作製方法を、図7、図8、図16、図17を用いて詳細に説明する。
【0133】
図16(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0134】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0135】
図16(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図17(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図17(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図17において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
【0136】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図16(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図16(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図16(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図16(C)は、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0137】
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜として、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより窒化酸化珪素膜を用いて下地膜101aを10〜200nm(好ましくは50〜150nm)形成し、酸化窒化珪素膜を用いて下地膜101bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0138】
また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて下地膜101a、下地膜101bを形成する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板、またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。プラスチック基板としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)からなる基板、可撓性基板としてはアクリル等の合成樹脂を用いることができる。本実施の形態で作製する発光装置は、基板100を通過させて発光素子よりの光を取り出す構成であるので、基板100は透光性を有する必要がある。
【0139】
下地膜としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。
【0140】
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで各種手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。本実施の形態では、非晶質半導体膜を、レーザ結晶化し、結晶性半導体膜とするものを用いるのが好ましい。
【0141】
半導体膜を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
【0142】
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪素を含む気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体膜としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
【0143】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0144】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体膜にレーザ光を照射すると非晶質半導体膜が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
【0145】
また、非晶質半導体膜を結晶化し、結晶性半導体膜を形成する結晶化工程で、非晶質半導体膜に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0146】
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0147】
結晶化を促進する元素を結晶性半導体膜から除去、又は軽減するため、結晶性半導体膜に接して、不純物元素を含む半導体膜を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体膜上に、希ガス元素を含む半導体膜を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体膜中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体膜中に移動し、結晶性半導体膜中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体膜を除去する。
【0148】
レーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
【0149】
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度を0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0150】
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0151】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
【0152】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができる。
【0153】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
【0154】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0155】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて発光装置を作製すると、その発光装置の特性は、良好かつ均一である。
【0156】
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射により半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
【0157】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0158】
本実施の形態では、下地膜101b上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させることによって結晶性半導体膜を形成する。
【0159】
非晶質半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を1nm〜5nm形成する。本実施の形態では、結晶化を助長する元素としてNiを用いる。Ni酢酸塩10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する。
【0160】
本実施の形態では、熱処理をRTA法により750℃で3分間行った後、半導体膜上に形成される酸化膜を除去し、レーザ光を照射する。非晶質半導体膜は以上の結晶化処理により結晶化し、結晶性半導体膜として形成される。
【0161】
金属元素を用いた結晶化を行った場合、金属元素を低減、又は除去するためにゲッタリング工程を施す。本実施の形態では、非晶質半導体膜をゲッタリングシンクとして金属元素を捕獲する。まず、結晶性半導体膜上に酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を形成する。酸化膜は加熱処理によって厚膜化することが望ましい。次いでプラズマCVD法(本実施の形態における条件350W、35Pa、成膜ガスSiH4(流量5sccm)、Ar(流量1000sccm))を用いて、非晶質半導体膜を50nmの膜厚で形成する。
【0162】
その後、RTA法により744℃で3分間熱処理を行い、金属元素を低減、又は除去する。熱処理は窒素雰囲気下で行ってもよい。そして、ゲッタリングシンクとなっていた非晶質半導体膜、及び非晶質半導体膜上に形成された酸化膜をフッ酸等により除去し、金属元素が低減、又は除去された結晶性半導体膜を得ることができる。本実施の形態では、ゲッタリングシンクとなった非晶質半導体膜の除去をTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)を用いて行う。
【0163】
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
【0164】
次に結晶性半導体膜を、所望な形状にエッチング加工し、半導体層を形成する。
【0165】
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0166】
本発明において、配線層若しくは電極層を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層などを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域にぬれ性や密着性を制御する処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
【0167】
本実施の形態において、用いるマスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いることもできる。或いは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストなどの感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよい。液滴吐出法を用いる場合、いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整する、界面活性剤等を加えるなどによって適宜調整する。
【0168】
半導体層を覆うゲート絶縁層107を形成する。ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。また、絶縁層は窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜の3層の積層、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。
【0169】
次いで、ゲート絶縁層107上にゲート電極層を形成する。ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層でも積層でもよい。
【0170】
本実施の形態ではゲート電極層をテーパー形状を有する様に形成するが、本発明はそれに限定されず、ゲート電極層を積層構造にして、一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。本実施の形態のように、テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0171】
ゲート電極層を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層107は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
【0172】
半導体層に不純物元素を添加し、不純物領域を形成する。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。
【0173】
本実施の形態では、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重なる領域をLov領域と示し、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重ならない領域をLoff領域と示す。図7では、不純物領域においてハッチングと白地で示されているが、これは、白地部分に不純物元素が添加されていないということを示すのではなく、この領域の不純物元素の濃度分布がマスクやドーピング条件を反映していることを直感的に理解できるようにしたためである。なお、このことは本明細書の他の図面においても同様である。
【0174】
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
【0175】
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う第1の層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜167と絶縁膜168との積層構造とする。絶縁膜167及び絶縁膜168は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜などを用いることができ、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
【0176】
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜167に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で加熱処理を行う。
【0177】
絶縁膜167、絶縁膜168としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0178】
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜167、絶縁膜168、ゲート絶縁層107に半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0179】
以上の工程で周辺駆動回路領域204にLov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ285、Lov領域にnチャネル型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ275を、画素領域206にLoff領域にn型不純物領域を有するマルチチャネル型のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ265、Lov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ245を有するアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0180】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0181】
次に第2の層間絶縁層として絶縁膜181を形成する。図7において、スクライブによる切り離しのための切り離し領域201、FPCの貼り付け部である外部端子接続領域202、周辺部の引き回し配線領域である配線領域203、周辺駆動回路領域204、画素領域206である。配線領域203には配線179a、配線179bが設けられ、外部端子接続領域202には、外部端子と接続する端子電極層178が設けられている。
【0182】
絶縁膜181としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、窒素を含む酸化アルミニウム(酸化窒化アルミニウムともいう)(AlON)、酸素を含む窒化アルミニウム(窒化酸化アルミニウムともいう)(AlNO)、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザン、低誘電率(Low−k)材料を用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。平坦化のために設ける層間絶縁層としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されるので、絶縁膜181の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
【0183】
絶縁膜181は、その他ディップ法、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜181を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
【0184】
画素領域206の絶縁膜181に微細な開口、つまりコンタクトホールを形成する。
【0185】
次に、ソース電極層又はドレイン電極層と接するように、第1の電極層185(画素電極層ともいう。)を形成する。第1の電極層185は陽極、または陰極として機能し、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0186】
本実施の形態では、発光素子からの光を第1の電極層185側から取り出す構造のため、第1の電極層185が透光性を有する。第1の電極層185として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極層185を形成する。
【0187】
本発明においては、透光性電極層である第1の電極層185に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0188】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層185から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層185に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0189】
第1の電極層185は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、第1の電極層185として、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物を用いてスパッタリング法によって作製する。第1の電極層185は、好ましくは総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0190】
第1の電極層185は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層185の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0191】
第1の電極層185を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、第1の電極層185中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極層185は脱ガスなどを生じないため、第1の電極層上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0192】
次に、第1の電極層185の端部、ソース電極層又はドレイン電極層を覆う絶縁層186(隔壁、障壁などとも呼ばれる)を形成する。
【0193】
絶縁層186としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。また、絶縁層186の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0194】
絶縁層186は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法などを用いることもできる。
【0195】
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0196】
図7(A)に示す接続領域205において、第2の電極層と同工程、同材料で形成される配線層はゲート電極層と同工程、同材料で形成される配線層と電気的に接続する。
【0197】
第1の電極層185の上にはEL層188が形成される。EL層188は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。なお、図7では一画素しか図示していないが、本実施の形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL層を作り分けている。EL層188は、実施の形態1で示したように作製すればよい。
【0198】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層188には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層188は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0199】
次に、EL層188の上に導電膜からなる第2の電極層189が設けられる。第2の電極層189としては、Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、または窒化カルシウムを用いればよい。こうして第1の電極層185、EL層188及び第2の電極層189からなる発光素子190が形成される(図7(B)参照。)。
【0200】
図7に示した本実施の形態の発光装置において、発光素子190から発した光は、第1の電極層185側から、図7(B)中の矢印の方向に透過して射出される。
【0201】
本実施の形態では、第2の電極層189上にパッシベーション膜(保護膜)として絶縁層を設けてもよい。このように第2の電極層189を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
【0202】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低いEL層188の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、EL層188の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間にEL層188が酸化するといった問題を防止できる。
【0203】
このように発光素子190が形成された基板100と、封止基板195とをシール材192によって固着し、発光素子を封止する(図7参照。)。シール材192としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材193を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。本実施の形態は、下面射出型のため、充填材193は透光性を有する必要はないが、充填材193を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。以上の工程において、本実施の形態における、発光素子を用いた表示機能を有する発光装置が完成する。また充填材は、液状の状態で滴下し、発光装置内に充填することもできる。充填剤として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
【0204】
EL表示パネル内には素子の水分による劣化を防ぐため、乾燥剤が設置される。本実施の形態では、乾燥剤は、画素領域を取り囲むように封止基板に形成された凹部に設置され、薄型化を妨げない構成とする。また、ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成し、吸水面積を広く取っているので、吸水効果が高い。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。
【0205】
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
【0206】
図8に、本実施の形態で作製する図7の発光装置において、ソース電極層又はドレイン電極層と第1の電極層が直接接して電気的な接続を行うのではなく、配線層を介して接続する例を示す。図8の発光装置において、発光素子を駆動する薄膜トランジスタのソース電極層又はドレイン電極層と、第1の電極層395とは配線層199を介して電気的に接続している。また、図8では、配線層199の上に第1の電極層395が一部積層するように接続しているが、先に第1の電極層395を形成し、その第1の電極層395上に接するように配線層199を形成する構成でもよい。
【0207】
本実施の形態では、外部端子接続領域202において、端子電極層178に異方性導電層196によってFPC194を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。また発光装置の上面図である図7(A)で示すように、本実施の形態において作製される発光装置は信号線駆動回路を有する周辺駆動回路領域204、周辺駆動回路領域209のほかに、走査線駆動回路を有する周辺駆動回路領域207、周辺駆動回路領域208が設けられている。
【0208】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0209】
また、本発明の発光装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、発光装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0210】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0211】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0212】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0213】
(実施の形態6)
本発明を適用して発光素子を有する発光装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、両面射出型、上面射出型の例を、図9及び図19を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態5で作製した発光装置において、第2の層間絶縁層(絶縁膜181)を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0214】
図9に示す発光装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、薄膜トランジスタ1685、第1の電極層1617、EL層1619、第2の電極層1620、保護膜1621、充填材1622、シール材1632、絶縁膜1601a、絶縁膜1601b、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1611、絶縁膜1612、絶縁層1614、封止基板1625、配線層1633、端子電極層1681、異方性導電層1682、FPC1683によって構成されている。発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。充填材1622は、液状の組成物の状態で、滴下法によって形成することができる。滴下法によって充填材が形成された素子基板1600と封止基板1625を張り合わして発光装置を封止する。EL層1619は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0215】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層1619には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層1619は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0216】
図9の発光装置は、両面放射型であり、矢印の方向に素子基板1600側からも、封止基板1625側からも光を放射する構造である。よって、第1の電極層1617及び第2の電極層1620として透光性電極層を用いる。
【0217】
本実施の形態においては、透光性電極層である第1の電極層1617及び第2の電極層1620に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0218】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層1617及び第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層1617及び第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0219】
以上のように、図9の発光装置は、発光素子1605より放射される光が、第1の電極層1617及び第2の電極層1620両方を通過して、両面から光を放射する構成となる。
【0220】
図19の発光装置は、矢印の方向に上面射出する構造である。図19に示す発光装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375、薄膜トランジスタ1385、配線層1324、第1の電極層1317、EL層1319、第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、シール材1332、絶縁膜1301a、絶縁膜1301b、ゲート絶縁層1310、絶縁膜1311、絶縁膜1312、絶縁層1314、封止基板1325、配線層1333、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。EL層1319は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0221】
図9及び図19における発光装置において、端子電極層に積層していた絶縁層はエッチングによって除去されている。このように端子電極層の周囲に透湿性を有する絶縁層を設けない構造であると信頼性がより向上する。図19において発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。図19の発光装置は、前述の図9で示した両面射出型の発光装置において、第1の電極層1317の下に、反射性を有する金属層である配線層1324を形成する。配線層1324の上に透明導電膜である第1の電極層1317を形成する。配線層1324としては、反射性を有すればよいので、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、窒化チタン膜を用いる。また、第1の電極層1317にも導電膜を用いてもよく、その場合、反射性を有する配線層1324は設けなくてもよい。
【0222】
第1の電極層1317及び第2の電極層1320に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0223】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0224】
発光素子を用いて形成する発光装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0225】
封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0226】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
【0227】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0228】
第1の電極層1627及び第2の電極層1620は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、EB蒸着法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。
【0229】
また、第1の電極層1317および第2の電極層1320に関しても同様に、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング、湿式法などを用いることができる。本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と自由に組み合わせることが可能である。
【0230】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0231】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0232】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0233】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態を、図10を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態4で作製した発光装置において、薄膜トランジスタとしてチャネルエッチ型逆スタガ型薄膜トランジスタを用い、第1の層間絶縁層及び第2の層間絶縁層を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0234】
図10に示す発光装置は、基板600上に、周辺駆動回路領域255に、逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、画素領域256に逆スタガ型薄膜トランジスタ603、ゲート絶縁層605、絶縁膜606、絶縁層609、第1の電極層604と、EL層607と、第2の電極層608との積層である発光素子650、充填材611、封止基板610、封止領域にシール材612、端子電極層613、異方性導電層614、FPC615が設けられている。EL層607は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0235】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層607には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層607は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0236】
本実施の形態で作製される逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、逆スタガ型薄膜トランジスタ603のゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層は液滴吐出法によって形成されている。液滴吐出法は、液状の導電性材料を有する組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化し、導電層や電極層を形成する方法である。絶縁性材料を含む組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化すれば絶縁層も形成することができる。選択的に導電層や絶縁層などの発光装置の構成物を形成することができるので、工程が簡略化し、材料のロスが防げるので、低コストで生産性良く発光装置を作製することができる。
【0237】
液滴吐出法に用いる液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
【0238】
液滴吐出法を用いて膜(絶縁膜、又は導電膜など)を形成する場合、粒子状に加工された膜材料を含む組成物を吐出し、焼成によって融合や融着接合させ固化することで膜を形成する。このように導電性材料を含む組成物を吐出し、焼成することによって形成された膜においては、スパッタ法などで形成した膜が、多くは柱状構造を示すのに対し、多くの粒界を有する多結晶状態を示すことが多い。
【0239】
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Si、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当する。前記導電性材料はそれらの混合物であってもよい。また、透明導電膜は、透光性なので裏面露光時に光を透過してしまうが、光を透過しない材料と積層体として用いることはできる。これらの透明導電膜として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。但し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いるとことができる。
【0240】
吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものであるが、他にも分散剤や、熱硬化性樹脂が含まれている。特に熱硬化性樹脂に関しては、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。よって、形成される導電層には、有機材料が含まれることがある。含まれる有機材料は、加熱温度、雰囲気、時間により異なる。この有機材料は、金属粒子の熱硬化性樹脂、溶媒、分散剤、及び被覆剤として機能する有機樹脂などであり、代表的には、ポリイミド、アクリル、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等や、他の有機樹脂が挙げられる。
【0241】
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等、又は水を用いる。組成物の粘度は20mPa・s(cp)以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止する、吐出口から組成物を円滑に吐出するためである。また、組成物の表面張力は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・sに設定するとよい。
【0242】
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
【0243】
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下の粒子サイズが好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmである。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ましい。
【0244】
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
【0245】
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせたレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板600の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、該基板600を破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
【0246】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層を、液状の組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行えばよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0247】
本実施の形態では、半導体層として非晶質半導体を用いており、一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電型を有する半導体層として非晶質N型半導体層を積層する。またN型半導体層を形成し、Nチャネル型TFTのNMOS構造、P型半導体層を形成したPチャネル型TFTのPMOS構造、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとのCMOS構造を作製することができる。本実施の形態では、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ603をNチャネル型TFT、逆スタガ型薄膜トランジスタ602をPチャネル型TFTで形成しており、周辺駆動回路領域255において、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ602はCMOS構造となっている。
【0248】
また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、Nチャネル型TFT、Pチャネル型TFTを形成することもできる。N型半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
【0249】
また、半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法、ディスペンサ法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、ペンタセン等の低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
【0250】
本発明に適用できる発光素子の構成は、上記実施の形態で述べたような構成を用いることができる。
【0251】
本実施の形態は、実施の形態1乃至4とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
【0252】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0253】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0254】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0255】
(実施の形態8)
本発明によって形成される発光装置は表示を行う発光表示装置としても機能でき、本発明の発光表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。図18はテレビジョン装置(本実施の形態ではELテレビジョン装置)の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネルには、図16(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図17(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図17(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図16(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図16(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0256】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ884で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路885と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路886と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路887などからなっている。コントロール回路887は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路888を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0257】
チューナ884で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路889に送られ、その出力は音声信号処理回路890を経てスピーカ893に供給される。制御回路891は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部892から受け、チューナ884や音声信号処理回路890に信号を送出する。
【0258】
表示モジュールを、図12(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。FPCまで取り付けられた図7のような表示パネルのことを一般的にはEL表示モジュールともいう。よって図7のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0259】
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上面放射型の発光装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板、位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。偏光板、位相差板などは積層してもよい。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の発光装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
【0260】
図12(A)に示すように、筐体2001に発光素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0261】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0262】
図12(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、操作部であるキーボード部2012、表示部2011、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図12(B)の表示部は、わん曲可能な物質を用いているので、表示部がわん曲したテレビジョン装置となっている。このように表示部の形状を自由に設計することができるので、所望な形状のテレビジョン装置を作製することができる。
【0263】
本発明により、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置を形成できる。よって、低消費電力で信頼性の高い高画質なテレビジョン装置を作製することができる。
【0264】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
【0265】
本実施の形態は、実施の形態1乃至6とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
【0266】
(実施の形態9)
本実施の形態を図13を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態3乃至7で作製する発光装置を有するパネルを用いたモジュールの例を示す。
【0267】
図13(A)に示す情報端末のモジュールは、プリント配線基板986に、コントローラ901、中央処理装置(CPU)902、メモリ911、電源回路903、音声処理回路929及び送受信回路904や、その他、抵抗、バッファ、容量素子等の素子が実装されている。また、パネル900がフレキシブル配線基板(FPC)908を介してプリント配線基板986に接続されている。
【0268】
パネル900には、発光素子が各画素に設けられた画素部905と、前記画素部905が有する画素を選択する第1の走査線駆動回路906a、第2の走査線駆動回路906bと、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路907とが設けられている。
【0269】
プリント配線基板986に備えられたインターフェース(I/F)部909を介して、各種制御信号の入出力が行われる。また、アンテナとの間の信号の送受信を行なうためのアンテナ用ポート910が、プリント配線基板986に設けられている。
【0270】
なお、本実施の形態ではパネル900にプリント配線基板986がFPC908を介して接続されているが、必ずしもこの構成に限定されない。COG(Chip on Glass)方式を用い、コントローラ901、音声処理回路929、メモリ911、CPU902または電源回路903をパネル900に直接実装させるようにしても良い。また、プリント配線基板986には、容量素子、バッファ等の各種素子が設けられ、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることを防いでいる。
【0271】
図13(B)は、図13(A)に示したモジュールのブロック図を示す。このモジュール999は、メモリ911としてVRAM932、DRAM925、フラッシュメモリ926などが含まれている。VRAM932にはパネルに表示する画像のデータが、DRAM925には画像データまたは音声データが、フラッシュメモリには各種プログラムが記憶されている。
【0272】
電源回路903では、パネル900、コントローラ901、CPU902、音声処理回路929、メモリ911、送受信回路931に与える電源電圧が生成される。またパネルの仕様によっては、電源回路903に電流源が備えられている場合もある。
【0273】
CPU902は、制御信号生成回路920、デコーダ921、レジスタ922、演算回路923、RAM924、CPU用のインターフェース935などを有している。インターフェース935を介してCPU902に入力された各種信号は、一旦レジスタ922に保持された後、演算回路923、デコーダ921などに入力される。演算回路923では、入力された信号に基づき演算を行ない、各種命令を送る場所を指定する。一方デコーダ921に入力された信号はデコードされ、制御信号生成回路920に入力される。制御信号生成回路920は入力された信号に基づき、各種命令を含む信号を生成し、演算回路923において指定された場所、具体的にはメモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901などに送る。
【0274】
メモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901は、それぞれ受けた命令に従って動作する。以下その動作について簡単に説明する。
【0275】
入力手段930から入力された信号は、インターフェース909を介してプリント配線基板986に実装されたCPU902に送られる。制御信号生成回路920は、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段930から送られてきた信号に従い、VRAM932に格納してある画像データを所定のフォーマットに変換し、コントローラ901に送付する。
【0276】
コントローラ901は、パネルの仕様に合わせてCPU902から送られてきた画像データを含む信号にデータ処理を施し、パネル900に供給する。またコントローラ901は、電源回路903から入力された電源電圧やCPU902から入力された各種信号をもとに、Hsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)、切り替え信号L/Rを生成し、パネル900に供給する。
【0277】
送受信回路904では、アンテナ933において電波として送受信される信号が処理されており、具体的にはアイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路を含んでいる。送受信回路904において送受信される信号のうち音声情報を含む信号が、CPU902からの命令に従って、音声処理回路929に送られる。
【0278】
CPU902の命令に従って送られてきた音声情報を含む信号は、音声処理回路929において音声信号に復調され、スピーカー928に送られる。またマイク927から送られてきた音声信号は、音声処理回路929において変調され、CPU902からの命令に従って、送受信回路904に送られる。
【0279】
コントローラ901、CPU902、電源回路903、音声処理回路929、メモリ911を、本実施の形態のパッケージとして実装することができる。本実施の形態は、アイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路以外であれば、どのような回路にも応用することができる。
【0280】
(実施の形態10)
本実施の形態を図14を用いて説明する。図14は、実施の形態9で作製するモジュールを含む無線を用いた持ち運び可能な小型電話機(携帯電話)の一態様を示している。パネル900はハウジング981に脱着自在に組み込んでモジュール999と容易に組み合わせられるようにしている。ハウジング981は組み入れる電子機器に合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0281】
パネル900を固定したハウジング981はプリント配線基板986に嵌着されモジュールとして組み立てられる。プリント配線基板986には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されている。プリント配線基板986に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、その他、抵抗、バッファ、容量素子等のいずれかの機能を有する。さらに、マイクロフォン994及びスピーカー995を含む音声処理回路、送受信回路などの信号処理回路993が備えられている。パネル900はFPC908を介してプリント配線基板986に接続される。
【0282】
このようなモジュール999、ハウジング981、プリント配線基板986、入力手段998、バッテリー997は筐体996に収納される。パネル900の画素部は筐体996に形成された開口窓から視認できように配置されている。
【0283】
図14で示す筐体996は、電話機の外観形状を一例として示している。しかしながら、本実施の形態に係る電子機器は、その機能や用途に応じてさまざまな態様に変容し得る。以下に示す実施の形態で、その態様の一例を説明する。
【0284】
(実施の形態11)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図15を参照して説明する。
【0285】
図15(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯情報端末機器を提供することができる。
【0286】
図15(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質のデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0287】
図15(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯電話機を提供することができる。
【0288】
図15(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の発光装置を適用することができる。
【0289】
図15(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0290】
また、本発明の発光素子及び発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図22乃至図24を用いて説明する。
【0291】
図22は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図22に示した液晶表示装置は、筐体521、液晶層522、バックライト523、筐体524を有し、液晶層522は、ドライバIC525と接続されている。また、バックライト523は、本発明の発光装置が用いられおり、端子526により、電流が供給されている。
【0292】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、無機EL特有の長寿命なバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型であるため表示装置の薄型化も可能となる。
【0293】
また、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。
【0294】
図23は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図23に示す電気スタンドは、筐体2101と、光源2102を有し、光源2102として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。
【0295】
図24は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図12(A)(B)で説明したような、本発明に係るテレビジョン装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
【0296】
照明装置としては、図22、図23、図24で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
【0297】
このように、本発明の発光装置により、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の電子機器を提供することができる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0298】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図5】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図6】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の発光装置を説明する図。
【図10】本発明の発光装置を説明する図。
【図11】本発明の発光装置を説明する図。
【図12】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図13】本発明が適用されるモジュールを示す図。
【図14】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図15】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図16】本発明の発光装置の上面図。
【図17】本発明の発光装置の上面図。
【図18】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図19】本発明の発光装置を説明する図。
【図20】本発明の発光素子を説明する図。
【図21】本発明の発光装置を説明する図。
【図22】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図23】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図24】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図25】本発明の発光装置を説明する図。
【図26】本発明の発光装置を説明する図。
【図27】本発明の発光装置を説明する図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス基板上に薄膜トランジスタ(以下、「TFT」ともいう。)を集積化してなる液晶表示装置やエレクトロルミネセンス(Electro Luminescence)表示装置の開発が進んでいる。これらの表示装置は、いずれもガラス基板上に薄膜形成技術を用いて薄膜トランジスタを作り込み、その薄膜トランジスタで構成された様々な回路上に表示素子として液晶素子や発光素子(エレクトロルミネセンス(以下、「EL」ともいう。)素子)を形成して表示装置として機能させる。
【0003】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0004】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0005】
無機EL素子において、発光効率などの素子特性向上のため、EL素子内に設けられる発光層、絶縁層などにナノサイズの微粒子粉末を用いるといった素子構造が研究されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−259546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような発光素子において、駆動電圧の低下、また、多様な発光色を得るために発光色の微細な色度調整も必要とされており、さらなる改良が望まれている。
【0007】
本発明では、このような問題を鑑み、発光素子の駆動電圧を下げ、かつ微細な色度調整を行い多様な発光色を得ることを目的とする。そして、より消費電力の低く、高機能及び高信頼性を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することを特徴とする。本発明において、一対の電極層間に設けられた発光層及び絶縁層の積層をEL層とよぶ。また、本発明を用いて、発光装置を作製することができる。
【0009】
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。本発明の発光素子は、発光材料に無機発光材料を用いる無機EL素子である。
【0010】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜(薄膜形状)からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0011】
本発明で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活剤(または共付活剤、副付活剤も含む)において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び付活剤両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。
【0012】
母体材料に対して、発光中心となる不純物元素を付活剤ともいい、さらに添加される他の不純物元素を副活性剤ともいう。また、ドナー準位を形成する第1の不純物元素を共付活剤ともいい、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を付活剤ともいう。
【0013】
本発明を用いることのできる発光装置には、発光素子と薄膜トランジスタ(以下、TFT(Thin film transistor)ともいう)とが接続された発光装置などがある。
【0014】
ある化合物において、その化合物中に有する同一元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
【0015】
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、無機化合物である。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
【0016】
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその結晶構造(化合物)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましい。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
【0017】
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導(Pool−Frenkel伝導と呼ぶ場合もある)する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の発光層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0018】
また、価数は発光色に影響を与える。従って、価数により発光色を変化させることができるので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がり、そのような発光素子を用いた発光装置においては、多色な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0019】
このような原子価状態はようするに酸化状態が複数ある状態であり、価数揺動とも言われる。混合原子価状態をとることができる化合物として、複数の価数が存在できる遷移金属と希土類金属で構成される化合物があるが、特に硫化物、酸化物などのカルコゲナイド化合物やハロゲン化合物など周期表では13〜17族で構成される化合物で混合原子価状態は現れ、またそれらの複合した化合物でも同様に混合原子価状態をとることができる。材料の組み合わせは自由に設定でき、目的の色や効果を得られるようにする。混合原子価化合物を含む無機発光材料が発光機能を有していればよい。
【0020】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を設ける。
【0021】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、母体材料及び不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物である。
【0022】
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物である。
【0023】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有する。
【0024】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、母体材料及び不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物である。
【0025】
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物である。
【0026】
上記構成において、発光層の第1の電極層側及び第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0028】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0029】
よって、本発明を用いた発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態は、駆動電圧が低く低消費電力であり、かつ微細な色度調整を可能とした発光素子を提供することを目的とする。本実施の形態における発光素子を、図1乃至図6を用いて詳細に説明する。
【0032】
本発明における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することを特徴とする。
【0033】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0034】
本発明の発光素子を、図1の概念図を用いて説明する。図1においては、発光層の形態には言及せず無機発光材料を含む発光層とし、分散型無機EL素子及び薄膜型無機EL素子も含むこととする。
【0035】
図1に、第1の電極層70及び第2の電極層73の間に、発光層72を有するEL層が設けられた発光素子を示す。図1の発光素子はEL層に絶縁層などを有していない構成のため、EL層と発光層72は同じ層を示す。本発明では、発光層72に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する。
【0036】
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。本発明の混合原子価化合物におけるホッピング伝導の理論図を図4に示す。図4は、+n価の原子M(A)と+(n+1)価の原子M(B)との間での電子交換反応である。原子M(A)は、価数が+nであるため、Mn+(A)であり、準位30に電子32を有している。一方原子M(B)は、価数が+(n+1)であるため、Mn+1(B)であり、準位31に電子を有していない。
【0037】
電子32は励起され、M(A)の準位30より矢印33のようにM(B)の準位31に飛び移り、ホッピング伝導となる(図4(A)参照。)。ホッピング伝導後、原子M(A)の準位30には電子を有さず、原子M(A)は、+(n+1)価の原子Mn+1(A)となる。一方、原子M(B)の準位31には電子32を有し、+n価の原子Mn(B)となる(図4(B)参照。)。このようにホッピング伝導が生じる。
【0038】
よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を含む無機発光材料を素子の発光層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0039】
本発明で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。もちろん、母体材料自体が発光してもよい。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活性剤(または共付活性剤、副付活性剤も含む)である不純物元素において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び不純物元素両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。
【0040】
本明細書において、母体材料に対して、発光中心となる不純物元素を付活剤ともいい、さらに添加される他の不純物元素を副付活剤ともいう。また、ドナー準位を形成する第1の不純物元素を共付活剤ともいい、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を付活剤ともいう。無機発光材料において、副付活剤となる不純物元素も混合原子価化合物であってもよい。また、母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む場合、それらの少なくともどれか一種以上混合原子価化合物であればよく、もちろん母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素全てが混合原子価化合物であってもよい。
【0041】
母体材料が混合原子価化合物である場合、ホッピング伝導により電荷移動性が高い母体材料から、効率よくエネルギーが付活剤又は共付活剤である不純物元素に移動し、発光を得ることができるため、発光素子を低電圧で駆動することができる。
【0042】
付活剤又は共付活剤である不純物元素が混合原子価化合物である場合、発光に寄与する不純物元素が複数の価数を有している混合原子価状態なために、発光が単色ではなく、発光色の波長スペクトルはよりブロードなものや、2波長以上のピークを有するものとなる。従って、発光素子の発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がる。
【0043】
また、不純物元素が、複数の価数を有する混合原子価状態である場合、励起されると、複数の価数間でエネルギーの移動が生じ、どちらか一方の価数の状態(原子価)となり、その価数からの発光のみを得るということもある。このエネルギーの移動は、同元素内の異なる価数において生じるのみでなく、異なる元素間でも生じる。例えば、母体材料に複数の不純物元素を添加した場合、一方の不純物元素が混合原子価状態となり励起し、もう一方の不純物元素にエネルギー移動し、エネルギーを得た不純物元素が発光するという場合である。
【0044】
このように、発光は、励起した原子価状態の方からの発光である場合もあり、ある原子価状態が励起し、もう一方の他の原子価状態(又は他の不純物元素)にエネルギー移動し、エネルギーを得た原子価状態が発光する場合もある。
【0045】
母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含み、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素が混合原子価化合物である発光層が設けられた発光素子における発光機構の理論図を図5に示す。図5は、アクセプター準位を形成する第2の不純物元素を励起し、さらに原子が結晶場分裂をした後のエネルギー状態を示している。
【0046】
母体材料の価電子バンドに正孔26、伝導バンドに電子25が存在する。母体材料のバンドギャップが価電子バンドの準位20から伝導バンドの準位21までのEgであるとすると、ドナー準位を形成する第1の不純物元素は原子価が1つの状態であるため、原子が異なっても伝導バンドの準位21よりエネルギーギャップED1を有して準位22a、22bをとる。一方アクセプター準位を形成する第2の不純物元素が混合原子価状態を有するので結晶場の強さが変わり、価電子バンドの準位20よりエネルギーギャップEA1を有して準位23a、エネルギーギャップEA2を有して準位23b(EA1<EA2)と複数の異なる準位をとる。よってドナー−アクセプター再結合型発光をするとアクセプター準位が準位23a、23bと異なるため、発光エネルギーがエネルギーhν1及びエネルギーhν2と異なり、得られる波長は、1つだけではなく2つの波長の光が得られ、結果、発光波長のスペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになる。これは、ドナー準位を形成する第1の不純物元素が混合原子価状態をする場合であっても、ドナー準位を形成する第1の不純物元素とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素の両方が混合原子価状態である場合でも、同様であり、発光波長のスペクトルはそれに伴い、ブロード、もしくは2つのピークを有することになる。従って、発光素子の発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光色の選択性が広がる。
【0047】
母体材料、及び発光中心である不純物元素を含み、発光中心である不純物元素が混合原子価化合物である発光層が設けられた発光素子における、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光の発光機構の理論図を図6に示す。図6は、ホットエレクトロンなどにより励起した発光中心の不純物元素のエネルギー準位を示している。
【0048】
不純物元素の混合原子価状態が2つの原子価をとるとすると、発光準位が準位42a、準位42bと2つの異なる準位を有することができる。励起準位41まで励起したエネルギーは、2つの発光準位、準位42a、準位42bから基底状態である基底準位40へ戻るので、発光エネルギーがエネルギーhν3及びエネルギーhν4と異なり、得られる波長は、1つだけではなく2つの波長の光が得られ、結果、発光波長のスペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになる。例えば、緑色の発光を持つ発光材料として、母体材料がMgGa2O4、不純物元素がMn(MgGa2O4:Mn2+)であるものや、母体材料がZn2SiO4、不純物元素がMn(Zn2SiO4:Mn2+)であるものがある。それらにおいてMnが混合原子価状態を有しMn3+やMn4+と価数を取るとすると、緑色の発光波長のスペクトルがよりブロード、もしくは2つのピークを有することになる。
【0049】
また母体材料がZnS、不純物元素がCu、Mn(ZnS:Cu、Mn)である場合、混合原子価状態をCuがとるとするとCu+1、Cu+2が存在する。このときCuの励起エネルギーがMnへエネルギー移動しMnが発光すると言われており、発光自体はMnによる発光波長スペクトルとなるが、Cuで+1価と+2価とが存在することで、母体材料の電荷移動度の向上やMnへのエネルギー移動性の高効率化が得られる。逆にMnが混合原子価状態を有する場合も考えられ、Mnの複数の発光準位を有し、その発光準位の差から発光スペクトルがブロード、もしくは2つのピークを有することになるといえる。
【0050】
従って複数の価数を有する混合原子価化合物を有する無機発光材料を有する発光層においては、高い電荷移動性により発光中心となる不純物元素にエネルギーを効率よく移動でき、複数の波長を有する発光が得られ、ブロードな発光スペクトル、2波長以上のピークを有するスペクトルとすることができる。よって、発光素子の発光色の色度を調整することができ、さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。結果、発光色の選択性が広がる。従って低消費電力で、かつ発光色の色度調整及び混色発光によって、多彩な発光色を選択することができる。
【0051】
このような原子価状態はようするに酸化状態が複数ある状態であり、価数揺動とも言われる。混合原子価状態をとることができる化合物として、複数の価数が存在できる遷移金属と希土類金属で構成される化合物があるが、特に硫化物、酸化物などのカルコゲナイド化合物やハロゲン化合物など周期表では13〜17族で構成される化合物で混合原子価状態は現れ、またそれらの複合した化合物でも同様に混合原子価状態をとることができる。材料の組み合わせは自由に設定でき、目的の色や効果を得られるようにする。混合原子価化合物を含む無機発光材料が発光機能を有していればよい。
【0052】
さらに本発明に用いることのできる混合原子価状態を有する材料について具体的に述べる。混合原子価状態をとる元素はイオンの価数が複数とれるものであり、電子数を多く有する金属元素であればよく、特に遷移金属や希土類金属も好ましい。金属元素としては周期表で13〜15族の典型元素であるガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)などがある。また、遷移金属としては周期表で4〜12族であり、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)などがある。さらに、希土類金属としては周期表でランタノイド元素、アクチノイド元素をいい、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)などがある。
【0053】
発光材料において母体材料として利用、もしくは母体材料自体が発光する場合に本発明に用いることのできる混合原子価化合物としてはハロゲン化合物、酸化物、硫化物などが挙げられる。
【0054】
例えば酸化物ではLiWO3、Pb3O4、CeVO4、Sb2O4、Mn3O4、CuMn2O4、Co3O4、ZnxMn1−xO、IrO2、LaNiO3、NiO、V2O5、MoO3、WO3、CaWO4、YVO4、Fe3O4、NiFe2O4、MnFe2O4、NaV2O5、Eu3O4、LiTi2O4、SrTiO3、YBa2Cu3O7、LiV2O5などである。硫化物ではGaS、CuS、WS2、Eu3S4、Yb3S4、TlSなどがある。なお、酸化マンガン(Mn3O4)、硫化銅(CuXS)(xは1以上2以下)がより好ましい。その他にはハロゲン化合物としてハロゲン元素をXとするとInX2、GaX2、TlX2、Ta6Cl15、Tl4Cl6などがある。さらに窒化物としてInN、SnNなどや、Eu3As4、Yb3As4などもある。
【0055】
また、発光中心となる不純物元素として混合原子価元素を利用する場合も上記の元素が使用できる。例えば母体材料MXに不純物元素としてドナー準位を形成する第1の不純物元素(D)とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素(A)を添加した場合、MX:D,Aと表記することとする。この場合、不純物元素であるドナー準位を形成する第1の不純物元素(D)とアクセプター準位を形成する第2の不純物元素(A)が発光に寄与する。発光材料に混合原子価元素が1つもしくは複数あってもよいが、例えば、母体材料として混合原子価元素が使用される場合や、もしくは発光中心となる不純物元素が混合原子価元素である場合は次のようなものがある。もちろん母体材料及び発光中心となる不純物元素両方に混合原子価化合物(混合原子価元素)があってもよい。本発明で用いることのできる無機発光材料としては、例えば、ZnS:Cu、ZnO:Cu、Y2O3:Eu、SiAlON:Eu、MgGa2O4:Mn、ZnS:Fe、MgS:Eu、SrS:Sm、CaS:Eu、ZnS:Tm、ZnS:Tb、CaGa2S4:Ce、SrGa2S4:Ce、CaGa2S4:Ce、SrGa2S4:Ce、Zn2SiO4:Mn、YVO4:Eu、ZnS:Mn、ZnxMg1−xS:Cu,Cl、SrS:Cuなどである。さらに酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すようになるものもある。
【0056】
化合物が混合原子価状態であるかどうかは、光学的方法、電気化学的方法、X線結晶学的方法などのいくつかの手法で調べることができる。例えば、メスバウアー、磁化率や、X線吸収端構造(XANES)、X線吸収微細構造(XAFS)などの観測原子の化合物中における吸収状態によって、有する価数が複数存在することを観測することができる。また、高精細なX線解析、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などにより混合原子価状態を判断することができる。
【0057】
本発明において、発光が生じる(発光領域である)発光層以外に、絶縁層を有していてもよい。絶縁層は複数有してもよく、さらに絶縁層自身を異なる薄膜の積層による積層としてもよい。
【0058】
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0059】
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、600〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。固相法は、比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0060】
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
【0061】
また混合原子価化合物を不純物元素として用いる場合、発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0062】
混合原子価化合物を母体材料として用いる場合、局在型発光の発光中心である不純物元素として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。上記ハロゲン元素は電荷補償として機能することができる。
【0063】
混合原子価化合物を母体材料として用いる場合、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0064】
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を、固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム(Al2S3)等を用いることができ、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅(Cu2S)、硫化銀(Ag2S)等を用いることができる。焼成温度は、600〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0065】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
【0066】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10mol%であればよく、好ましくは0.03〜3mol%の範囲である。
【0067】
図2(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図2(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層50、発光層52、第2の電極層53を含む。図2(A)乃至(C)において、発光層52に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有して形成する。
【0068】
図2(B)及び図2(C)に示す発光素子は、図2(A)の発光素子において、電極層と発光層間に絶縁層を設ける構造である。図2(B)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54を有し、図2(C)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54a、第2の電極層53と発光層52との間に絶縁層54bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0069】
また、図2(B)では第1の電極層50に接するように絶縁層54が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層53に接するように絶縁層54を設けてもよい。
【0070】
薄膜型無機ELの場合、発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
【0071】
図3(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図3(A)における発光素子は、第1の電極層60、発光層62、第2の電極層63の積層構造を有し、発光層62中にバインダ65によって保持された発光材料61を含む。図3(A)乃至(C)において、発光層62に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有して形成する。
【0072】
図3(B)及び図3(C)に示す発光素子は、図3(A)の発光素子において、電極層と発光層間に絶縁層を設ける構造である。図3(B)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64を有し、図3(C)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64a、第2の電極層63と発光層62との間に絶縁層64bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
【0073】
また、図3(B)では第1の電極層60に接するように絶縁層64が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層63に接するように絶縁層64を設けてもよい。
【0074】
分散型無機ELの場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の発光層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって発光層中に均一に分散し固定される。
【0075】
分散型無機ELの場合、発光層の形成方法は、選択的に発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
【0076】
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
【0077】
バインダに含まれる無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnSその他の無機材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
【0078】
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
【0079】
図2における絶縁層54、図3における絶縁層64のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。バインダ材料は、発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0080】
本実施の形態で示す発光素子は、発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0081】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0082】
なお、発光層は、単層でも、複数積層して形成していてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、電子注入用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
【0083】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0084】
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0085】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、素子基板へ張り合わせればよい。
【0086】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0087】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73は少なくとも光を取り出す一方を、透光性を有するように形成すればよい。第1の電極層及び第2の電極層両方に透光性を有する導電性材料を用いると、発光素子から放射される光は、第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73の両方より放射される両面放射構造とすることができる。
【0088】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。また、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、Ta、Al、Cu、Au、Ag、Mg、Ca、LiまたはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜も用いることができる。
【0089】
また、透光性を有さない上記金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73から光を放射することが可能となる。
【0090】
第1の電極層50、60、70及び第2の電極層53、63、73の作製方法としては、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、CVD法、スピンコート法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いることができる。
【0091】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0092】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0093】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0094】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図20を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極層と第2の電極層との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0095】
図20において、第1の電極層501と第2の電極層502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極層501と第2の電極層502は実施の形態1と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態1と同様なものを適用することができる。従って第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512に設けられる発光層に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する構成とすればよい。具体的には実施の形態1で示す材料を用いて本発明を用いた本実施の形態の混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を形成することができる。
【0096】
第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。
【0097】
本実施の形態で用いることのできる無機発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。不純物元素は複数種有することもでき、例えば、ドナー−アクセプター再結合型発光の場合、発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。本発明では、発光層に含まれる母体材料及び付活性剤(または共付活性剤、副付活性剤も含む)である不純物元素において少なくとも一種以上混合原子価化合物を含むものとする。もちろん発光層に含まれる母体材料及び不純物元素両方が混合原子価化合物を含むものであってもよい。また、母体材料、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む場合、それらの少なくともどれか一種以上混合原子価化合物であればよく、もちろん母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素全てが混合原子価化合物であってもよい。無機発光材料において、副付活剤となる不純物元素も混合原子価化合物であってもよい。
【0098】
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、例えば、有機化合物とV2O5やMoO3やWO3等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0099】
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0100】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極層501と第2の電極層502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
【0101】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低くい発光装置を実現することができる。
【0102】
なお、本実施の形態は、実施の形態1と適宜組み合わせることが可能である。
【0103】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0104】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0105】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0106】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置の一構成例に関して図面を用いて説明する。より具体的には、発光装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0107】
発光装置は、基板750上に、第1の方向に延びた第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751c、第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cをそれぞれ覆って設けられたEL層752a、752b、752cと、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aとを有している(図25(A)参照。)。EL層752a、752b、752cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cと第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aとの間にEL層752a、752b、752cが設けられている。また、第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aを覆うように、保護膜として機能する絶縁層754を設けている(図25(B)参照。)。
【0108】
図25(C)は、図25(B)の変形例であり、基板790上に、第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791c、EL層792a、792b、792c、第2の電極層793b、保護層である絶縁層794を有している。EL層792a、792b、792cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。図25(C)の第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのように、第1の電極層は、テーパーを有する形状でもよく、曲率半径が連続的に変化する形状でもよい。第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのような形状は、液滴吐出法などを用いて形成することができる。このような曲率を有する曲面であると、積層する絶縁層や導電層のカバレッジがよい。
【0109】
また、第1の電極層の端部を覆うように隔壁(絶縁層)を形成してもよい。隔壁(絶縁層)は、他の発光素子間を隔てる壁のような役目を果たす。図26(A)、(B)に第1の電極層の端部を隔壁(絶縁層)で覆う構造を示す。
【0110】
図26(A)に示す発光素子の一例は、隔壁となる隔壁(絶縁層)775が、第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771cの端部を覆うようにテーパーを有する形状で形成されている。基板770上に設けられた第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771c上に、隔壁(絶縁層)775を形成し、EL層772a、772b、772c、第2の電極層773b、絶縁層774を形成する。EL層772a、772b、772cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0111】
図26(B)に示す発光素子の一例は、隔壁(絶縁層)765が曲率を有し、その曲率半径が連続的に変化する形状である。基板760上に設けられた第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761c、EL層762a、762b、762c、第2の電極層763b、絶縁層764が形成される。EL層762a、762b、762cは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0112】
また、隔壁の他の例を図21に示す。図21(A)には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図、図21(B)には図21(A)における線X−Yの断面図を示す。図21において、基板781上には、第1の電極層782と第2の電極層786との間にはEL層785が設けられている。EL層785は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。第1の電極層782の端部は絶縁層783で覆われている。そして、絶縁層783上には隔壁(絶縁層)784が設けられている。隔壁(絶縁層)784の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁(絶縁層)784の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接する辺)の方が上辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁(絶縁層)784を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
【0113】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層752(752a、752b、752c)、762(762a、762b、762c)、772(772a、772b、772c)、785、792(792a、792b、792c)には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0114】
基板750、基板760、基板770、基板781、基板790としては、ガラス基板や可撓性基板の他、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板等を用いることができる。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)などを用いることもできる。また、この他にも、Si等の半導体基板上に形成された電界効果トランジスタ(FET)の上部や、ガラス等の基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT(Thin film transistor)ともいう)の上部に発光素子を設けることができる。
【0115】
本実施の形態で示した第1の電極層、第2の電極層、発光層を含むEL層の材料および形成方法は、上記実施の形態1で示した材料および形成方法のいずれかを用いて同様に行うことができる。
【0116】
隔壁(絶縁層)765、775、784としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる塗布膜やSOG膜なども用いることができる。
【0117】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行ってもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0118】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0119】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0120】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0121】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する発光装置について説明する。具体的には、発光装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0122】
発光装置の上面図を図27(A)に、図27(A)における線E−Fの断面図を図27(B)に示す。また、図27(A)にはEL層312、第2の電極層313及び絶縁層314は省略され図示されていないが、図27(B)で示すようにそれぞれ設けられている。EL層312は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0123】
第1の方向に延びた第1の配線305a、305c、317と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の配線302とがマトリクス状に設けられている。また、第1の配線305aはトランジスタ310aのソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第1の配線305cはトランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第1の配線317はトランジスタ310b’のソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第2の配線302はトランジスタ310b’のゲート電極に接続されている。さらに、第1の配線と接続されていないトランジスタ310a及びトランジスタ310bのソース電極層またはドレイン電極層に、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306bが接続され、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306b、EL層312、第2の電極層313の積層構造によって発光素子315a、発光素子315bが設けられている。隣接する各々の発光素子の間に隔壁(絶縁層)307を設けて、第1の電極層と隔壁(絶縁層)307上にEL層312および第2の電極層313を積層して設けている。第2の電極層313上に保護層となる絶縁層314を有している。また、トランジスタ310a、トランジスタ310bとして、薄膜トランジスタを用いている(図27(B)参照。)。
【0124】
図27(B)の発光素子は基板300上に設けられており、絶縁層301a、絶縁層301b、絶縁層308、絶縁層309、絶縁層311、トランジスタ310aを構成する半導体層304a、ゲート電極層302a、ソース電極層又はドレイン電極層を兼ねる配線305a、305b、トランジスタ310bを構成する半導体層304b、ゲート電極層302b、ソース電極層又はドレイン電極層を兼ねる配線305c、305dを有している。第1の電極層306a、第1の電極層306b、隔壁(絶縁層)307上にEL層312、第2の電極層313が形成されている。
【0125】
また、図11に示すように、単結晶半導体基板350上に設けられた電界効果トランジスタ360a、電界効果トランジスタ360bに発光素子365a、発光素子365bが接続されていてもよい。ここでは、電界効果トランジスタ360a及び電界効果トランジスタ360bのソース電極層又はドレイン電極層355a〜355dを覆うように絶縁層370を設け、絶縁層370上に第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁(絶縁層)367、EL層362a、EL層362b、第2の電極層363で発光素子365a、発光素子365bを構成する。EL層362a、EL層362bのようにEL層は、各発光素子のみに、マスク等を用いて選択的に設けてもよい。EL層362a、362bは混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。また、図11に示す発光装置は、素子分離領域368、絶縁層369、絶縁層361、絶縁層364も有している。第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁367上にEL層362a、EL層362bが形成され、EL層362a及びEL層362b上に第2の電極層363が形成されている。
【0126】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層312、362a、362bには、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層312、362a、362bは、絶縁層を含んでいてもよい。具体的には実施の形態1で示す材料を用いて本発明を用いた本実施の形態の混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を形成することができる。
【0127】
図11のように、絶縁層370を設けて発光素子を形成することによって第1の電極層を自由に配置することができる。つまり、図27(B)の構成では、トランジスタ310a、トランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層を避けた領域に発光素子315a、発光素子315bを設ける必要があったが、上記構成とすることによって、例えば、トランジスタ310a、トランジスタ310bの上方に発光素子315a、発光素子315bを形成することが可能となる。その結果、発光装置をより高集積化することが可能となる。
【0128】
トランジスタ310a、トランジスタ310bはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。図27(A)では、絶縁性を有する基板上にプレーナ型の薄膜トランジスタを設けた例を示しているが、スタガ型や逆スタガ型等の構造でトランジスタを形成することも可能である。
【0129】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0130】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0131】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0132】
(実施の形態5)
本実施の形態における発光装置の作製方法を、図7、図8、図16、図17を用いて詳細に説明する。
【0133】
図16(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0134】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0135】
図16(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図17(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図17(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図17において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
【0136】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図16(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図16(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図16(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図16(C)は、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0137】
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜として、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより窒化酸化珪素膜を用いて下地膜101aを10〜200nm(好ましくは50〜150nm)形成し、酸化窒化珪素膜を用いて下地膜101bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0138】
また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて下地膜101a、下地膜101bを形成する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板、またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。プラスチック基板としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)からなる基板、可撓性基板としてはアクリル等の合成樹脂を用いることができる。本実施の形態で作製する発光装置は、基板100を通過させて発光素子よりの光を取り出す構成であるので、基板100は透光性を有する必要がある。
【0139】
下地膜としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。
【0140】
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで各種手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。本実施の形態では、非晶質半導体膜を、レーザ結晶化し、結晶性半導体膜とするものを用いるのが好ましい。
【0141】
半導体膜を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
【0142】
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪素を含む気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体膜としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
【0143】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0144】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体膜にレーザ光を照射すると非晶質半導体膜が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
【0145】
また、非晶質半導体膜を結晶化し、結晶性半導体膜を形成する結晶化工程で、非晶質半導体膜に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0146】
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0147】
結晶化を促進する元素を結晶性半導体膜から除去、又は軽減するため、結晶性半導体膜に接して、不純物元素を含む半導体膜を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体膜上に、希ガス元素を含む半導体膜を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体膜中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体膜中に移動し、結晶性半導体膜中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体膜を除去する。
【0148】
レーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
【0149】
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度を0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0150】
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0151】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
【0152】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができる。
【0153】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
【0154】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0155】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて発光装置を作製すると、その発光装置の特性は、良好かつ均一である。
【0156】
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射により半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
【0157】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0158】
本実施の形態では、下地膜101b上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させることによって結晶性半導体膜を形成する。
【0159】
非晶質半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を1nm〜5nm形成する。本実施の形態では、結晶化を助長する元素としてNiを用いる。Ni酢酸塩10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する。
【0160】
本実施の形態では、熱処理をRTA法により750℃で3分間行った後、半導体膜上に形成される酸化膜を除去し、レーザ光を照射する。非晶質半導体膜は以上の結晶化処理により結晶化し、結晶性半導体膜として形成される。
【0161】
金属元素を用いた結晶化を行った場合、金属元素を低減、又は除去するためにゲッタリング工程を施す。本実施の形態では、非晶質半導体膜をゲッタリングシンクとして金属元素を捕獲する。まず、結晶性半導体膜上に酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を形成する。酸化膜は加熱処理によって厚膜化することが望ましい。次いでプラズマCVD法(本実施の形態における条件350W、35Pa、成膜ガスSiH4(流量5sccm)、Ar(流量1000sccm))を用いて、非晶質半導体膜を50nmの膜厚で形成する。
【0162】
その後、RTA法により744℃で3分間熱処理を行い、金属元素を低減、又は除去する。熱処理は窒素雰囲気下で行ってもよい。そして、ゲッタリングシンクとなっていた非晶質半導体膜、及び非晶質半導体膜上に形成された酸化膜をフッ酸等により除去し、金属元素が低減、又は除去された結晶性半導体膜を得ることができる。本実施の形態では、ゲッタリングシンクとなった非晶質半導体膜の除去をTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)を用いて行う。
【0163】
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
【0164】
次に結晶性半導体膜を、所望な形状にエッチング加工し、半導体層を形成する。
【0165】
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0166】
本発明において、配線層若しくは電極層を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層などを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域にぬれ性や密着性を制御する処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
【0167】
本実施の形態において、用いるマスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いることもできる。或いは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストなどの感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよい。液滴吐出法を用いる場合、いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整する、界面活性剤等を加えるなどによって適宜調整する。
【0168】
半導体層を覆うゲート絶縁層107を形成する。ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。また、絶縁層は窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜の3層の積層、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。
【0169】
次いで、ゲート絶縁層107上にゲート電極層を形成する。ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層でも積層でもよい。
【0170】
本実施の形態ではゲート電極層をテーパー形状を有する様に形成するが、本発明はそれに限定されず、ゲート電極層を積層構造にして、一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。本実施の形態のように、テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0171】
ゲート電極層を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層107は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
【0172】
半導体層に不純物元素を添加し、不純物領域を形成する。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。
【0173】
本実施の形態では、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重なる領域をLov領域と示し、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重ならない領域をLoff領域と示す。図7では、不純物領域においてハッチングと白地で示されているが、これは、白地部分に不純物元素が添加されていないということを示すのではなく、この領域の不純物元素の濃度分布がマスクやドーピング条件を反映していることを直感的に理解できるようにしたためである。なお、このことは本明細書の他の図面においても同様である。
【0174】
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
【0175】
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う第1の層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜167と絶縁膜168との積層構造とする。絶縁膜167及び絶縁膜168は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜などを用いることができ、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
【0176】
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜167に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で加熱処理を行う。
【0177】
絶縁膜167、絶縁膜168としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0178】
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜167、絶縁膜168、ゲート絶縁層107に半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0179】
以上の工程で周辺駆動回路領域204にLov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ285、Lov領域にnチャネル型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ275を、画素領域206にLoff領域にn型不純物領域を有するマルチチャネル型のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ265、Lov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ245を有するアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0180】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0181】
次に第2の層間絶縁層として絶縁膜181を形成する。図7において、スクライブによる切り離しのための切り離し領域201、FPCの貼り付け部である外部端子接続領域202、周辺部の引き回し配線領域である配線領域203、周辺駆動回路領域204、画素領域206である。配線領域203には配線179a、配線179bが設けられ、外部端子接続領域202には、外部端子と接続する端子電極層178が設けられている。
【0182】
絶縁膜181としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、窒素を含む酸化アルミニウム(酸化窒化アルミニウムともいう)(AlON)、酸素を含む窒化アルミニウム(窒化酸化アルミニウムともいう)(AlNO)、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザン、低誘電率(Low−k)材料を用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。平坦化のために設ける層間絶縁層としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されるので、絶縁膜181の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
【0183】
絶縁膜181は、その他ディップ法、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜181を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
【0184】
画素領域206の絶縁膜181に微細な開口、つまりコンタクトホールを形成する。
【0185】
次に、ソース電極層又はドレイン電極層と接するように、第1の電極層185(画素電極層ともいう。)を形成する。第1の電極層185は陽極、または陰極として機能し、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSiXNY、WSiX、窒化タングステン、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0186】
本実施の形態では、発光素子からの光を第1の電極層185側から取り出す構造のため、第1の電極層185が透光性を有する。第1の電極層185として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極層185を形成する。
【0187】
本発明においては、透光性電極層である第1の電極層185に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0188】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層185から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層185に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0189】
第1の電極層185は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、第1の電極層185として、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物を用いてスパッタリング法によって作製する。第1の電極層185は、好ましくは総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
【0190】
第1の電極層185は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層185の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0191】
第1の電極層185を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、第1の電極層185中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極層185は脱ガスなどを生じないため、第1の電極層上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0192】
次に、第1の電極層185の端部、ソース電極層又はドレイン電極層を覆う絶縁層186(隔壁、障壁などとも呼ばれる)を形成する。
【0193】
絶縁層186としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。また、絶縁層186の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0194】
絶縁層186は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法などを用いることもできる。
【0195】
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0196】
図7(A)に示す接続領域205において、第2の電極層と同工程、同材料で形成される配線層はゲート電極層と同工程、同材料で形成される配線層と電気的に接続する。
【0197】
第1の電極層185の上にはEL層188が形成される。EL層188は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。なお、図7では一画素しか図示していないが、本実施の形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL層を作り分けている。EL層188は、実施の形態1で示したように作製すればよい。
【0198】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層188には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層188は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0199】
次に、EL層188の上に導電膜からなる第2の電極層189が設けられる。第2の電極層189としては、Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、または窒化カルシウムを用いればよい。こうして第1の電極層185、EL層188及び第2の電極層189からなる発光素子190が形成される(図7(B)参照。)。
【0200】
図7に示した本実施の形態の発光装置において、発光素子190から発した光は、第1の電極層185側から、図7(B)中の矢印の方向に透過して射出される。
【0201】
本実施の形態では、第2の電極層189上にパッシベーション膜(保護膜)として絶縁層を設けてもよい。このように第2の電極層189を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
【0202】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低いEL層188の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、EL層188の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間にEL層188が酸化するといった問題を防止できる。
【0203】
このように発光素子190が形成された基板100と、封止基板195とをシール材192によって固着し、発光素子を封止する(図7参照。)。シール材192としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材193を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。本実施の形態は、下面射出型のため、充填材193は透光性を有する必要はないが、充填材193を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。以上の工程において、本実施の形態における、発光素子を用いた表示機能を有する発光装置が完成する。また充填材は、液状の状態で滴下し、発光装置内に充填することもできる。充填剤として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
【0204】
EL表示パネル内には素子の水分による劣化を防ぐため、乾燥剤が設置される。本実施の形態では、乾燥剤は、画素領域を取り囲むように封止基板に形成された凹部に設置され、薄型化を妨げない構成とする。また、ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成し、吸水面積を広く取っているので、吸水効果が高い。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。
【0205】
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
【0206】
図8に、本実施の形態で作製する図7の発光装置において、ソース電極層又はドレイン電極層と第1の電極層が直接接して電気的な接続を行うのではなく、配線層を介して接続する例を示す。図8の発光装置において、発光素子を駆動する薄膜トランジスタのソース電極層又はドレイン電極層と、第1の電極層395とは配線層199を介して電気的に接続している。また、図8では、配線層199の上に第1の電極層395が一部積層するように接続しているが、先に第1の電極層395を形成し、その第1の電極層395上に接するように配線層199を形成する構成でもよい。
【0207】
本実施の形態では、外部端子接続領域202において、端子電極層178に異方性導電層196によってFPC194を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。また発光装置の上面図である図7(A)で示すように、本実施の形態において作製される発光装置は信号線駆動回路を有する周辺駆動回路領域204、周辺駆動回路領域209のほかに、走査線駆動回路を有する周辺駆動回路領域207、周辺駆動回路領域208が設けられている。
【0208】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0209】
また、本発明の発光装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、発光装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0210】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0211】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0212】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0213】
(実施の形態6)
本発明を適用して発光素子を有する発光装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、両面射出型、上面射出型の例を、図9及び図19を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態5で作製した発光装置において、第2の層間絶縁層(絶縁膜181)を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0214】
図9に示す発光装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、薄膜トランジスタ1685、第1の電極層1617、EL層1619、第2の電極層1620、保護膜1621、充填材1622、シール材1632、絶縁膜1601a、絶縁膜1601b、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1611、絶縁膜1612、絶縁層1614、封止基板1625、配線層1633、端子電極層1681、異方性導電層1682、FPC1683によって構成されている。発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。充填材1622は、液状の組成物の状態で、滴下法によって形成することができる。滴下法によって充填材が形成された素子基板1600と封止基板1625を張り合わして発光装置を封止する。EL層1619は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0215】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層1619には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層1619は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0216】
図9の発光装置は、両面放射型であり、矢印の方向に素子基板1600側からも、封止基板1625側からも光を放射する構造である。よって、第1の電極層1617及び第2の電極層1620として透光性電極層を用いる。
【0217】
本実施の形態においては、透光性電極層である第1の電極層1617及び第2の電極層1620に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0218】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層1617及び第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層1617及び第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0219】
以上のように、図9の発光装置は、発光素子1605より放射される光が、第1の電極層1617及び第2の電極層1620両方を通過して、両面から光を放射する構成となる。
【0220】
図19の発光装置は、矢印の方向に上面射出する構造である。図19に示す発光装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375、薄膜トランジスタ1385、配線層1324、第1の電極層1317、EL層1319、第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、シール材1332、絶縁膜1301a、絶縁膜1301b、ゲート絶縁層1310、絶縁膜1311、絶縁膜1312、絶縁層1314、封止基板1325、配線層1333、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。EL層1319は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0221】
図9及び図19における発光装置において、端子電極層に積層していた絶縁層はエッチングによって除去されている。このように端子電極層の周囲に透湿性を有する絶縁層を設けない構造であると信頼性がより向上する。図19において発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。図19の発光装置は、前述の図9で示した両面射出型の発光装置において、第1の電極層1317の下に、反射性を有する金属層である配線層1324を形成する。配線層1324の上に透明導電膜である第1の電極層1317を形成する。配線層1324としては、反射性を有すればよいので、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、窒化チタン膜を用いる。また、第1の電極層1317にも導電膜を用いてもよく、その場合、反射性を有する配線層1324は設けなくてもよい。
【0222】
第1の電極層1317及び第2の電極層1320に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0223】
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
【0224】
発光素子を用いて形成する発光装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
【0225】
封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
【0226】
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
【0227】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0228】
第1の電極層1627及び第2の電極層1620は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、EB蒸着法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。
【0229】
また、第1の電極層1317および第2の電極層1320に関しても同様に、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング、湿式法などを用いることができる。本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と自由に組み合わせることが可能である。
【0230】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0231】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0232】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0233】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態を、図10を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態4で作製した発光装置において、薄膜トランジスタとしてチャネルエッチ型逆スタガ型薄膜トランジスタを用い、第1の層間絶縁層及び第2の層間絶縁層を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0234】
図10に示す発光装置は、基板600上に、周辺駆動回路領域255に、逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、画素領域256に逆スタガ型薄膜トランジスタ603、ゲート絶縁層605、絶縁膜606、絶縁層609、第1の電極層604と、EL層607と、第2の電極層608との積層である発光素子650、充填材611、封止基板610、封止領域にシール材612、端子電極層613、異方性導電層614、FPC615が設けられている。EL層607は混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層を有している。
【0235】
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層607には、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられている。また、EL層607は、実施の形態1において図2及び図3で示したように絶縁層を含んでいてもよい。本発明を用いた本実施の形態の発光素子は、具体的には実施の形態1で示す構造、材料及び方法を用いて形成することができる。
【0236】
本実施の形態で作製される逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、逆スタガ型薄膜トランジスタ603のゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層は液滴吐出法によって形成されている。液滴吐出法は、液状の導電性材料を有する組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化し、導電層や電極層を形成する方法である。絶縁性材料を含む組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化すれば絶縁層も形成することができる。選択的に導電層や絶縁層などの発光装置の構成物を形成することができるので、工程が簡略化し、材料のロスが防げるので、低コストで生産性良く発光装置を作製することができる。
【0237】
液滴吐出法に用いる液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
【0238】
液滴吐出法を用いて膜(絶縁膜、又は導電膜など)を形成する場合、粒子状に加工された膜材料を含む組成物を吐出し、焼成によって融合や融着接合させ固化することで膜を形成する。このように導電性材料を含む組成物を吐出し、焼成することによって形成された膜においては、スパッタ法などで形成した膜が、多くは柱状構造を示すのに対し、多くの粒界を有する多結晶状態を示すことが多い。
【0239】
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Si、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当する。前記導電性材料はそれらの混合物であってもよい。また、透明導電膜は、透光性なので裏面露光時に光を透過してしまうが、光を透過しない材料と積層体として用いることはできる。これらの透明導電膜として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。但し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いるとことができる。
【0240】
吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものであるが、他にも分散剤や、熱硬化性樹脂が含まれている。特に熱硬化性樹脂に関しては、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。よって、形成される導電層には、有機材料が含まれることがある。含まれる有機材料は、加熱温度、雰囲気、時間により異なる。この有機材料は、金属粒子の熱硬化性樹脂、溶媒、分散剤、及び被覆剤として機能する有機樹脂などであり、代表的には、ポリイミド、アクリル、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等や、他の有機樹脂が挙げられる。
【0241】
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等、又は水を用いる。組成物の粘度は20mPa・s(cp)以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止する、吐出口から組成物を円滑に吐出するためである。また、組成物の表面張力は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・sに設定するとよい。
【0242】
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
【0243】
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下の粒子サイズが好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmである。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ましい。
【0244】
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
【0245】
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせたレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板600の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、該基板600を破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
【0246】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層を、液状の組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行えばよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
【0247】
本実施の形態では、半導体層として非晶質半導体を用いており、一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電型を有する半導体層として非晶質N型半導体層を積層する。またN型半導体層を形成し、Nチャネル型TFTのNMOS構造、P型半導体層を形成したPチャネル型TFTのPMOS構造、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとのCMOS構造を作製することができる。本実施の形態では、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ603をNチャネル型TFT、逆スタガ型薄膜トランジスタ602をPチャネル型TFTで形成しており、周辺駆動回路領域255において、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ602はCMOS構造となっている。
【0248】
また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、Nチャネル型TFT、Pチャネル型TFTを形成することもできる。N型半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
【0249】
また、半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法、ディスペンサ法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、ペンタセン等の低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
【0250】
本発明に適用できる発光素子の構成は、上記実施の形態で述べたような構成を用いることができる。
【0251】
本実施の形態は、実施の形態1乃至4とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
【0252】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極層間に混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられたEL層を有することにより、発光層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
【0253】
また、価数によって発光色も変化するので、価数の種類や比率を制御することによって、発光色の色度を調整することができる。さらに、補色同士を混色として白色発光を行うこともできる。従って発光素子の発光色の選択性が広がる。そのような発光素子を用いた発光装置においては、多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0254】
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置とすることができる。
【0255】
(実施の形態8)
本発明によって形成される発光装置は表示を行う発光表示装置としても機能でき、本発明の発光表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。図18はテレビジョン装置(本実施の形態ではELテレビジョン装置)の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネルには、図16(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図17(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図17(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図16(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図16(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0256】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ884で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路885と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路886と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路887などからなっている。コントロール回路887は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路888を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0257】
チューナ884で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路889に送られ、その出力は音声信号処理回路890を経てスピーカ893に供給される。制御回路891は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部892から受け、チューナ884や音声信号処理回路890に信号を送出する。
【0258】
表示モジュールを、図12(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。FPCまで取り付けられた図7のような表示パネルのことを一般的にはEL表示モジュールともいう。よって図7のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0259】
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上面放射型の発光装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板、位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。偏光板、位相差板などは積層してもよい。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の発光装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
【0260】
図12(A)に示すように、筐体2001に発光素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0261】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0262】
図12(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、操作部であるキーボード部2012、表示部2011、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図12(B)の表示部は、わん曲可能な物質を用いているので、表示部がわん曲したテレビジョン装置となっている。このように表示部の形状を自由に設計することができるので、所望な形状のテレビジョン装置を作製することができる。
【0263】
本発明により、消費電力の低い高信頼性であり、かつ多彩な発光色を有する高画質な発光装置を形成できる。よって、低消費電力で信頼性の高い高画質なテレビジョン装置を作製することができる。
【0264】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
【0265】
本実施の形態は、実施の形態1乃至6とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
【0266】
(実施の形態9)
本実施の形態を図13を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態3乃至7で作製する発光装置を有するパネルを用いたモジュールの例を示す。
【0267】
図13(A)に示す情報端末のモジュールは、プリント配線基板986に、コントローラ901、中央処理装置(CPU)902、メモリ911、電源回路903、音声処理回路929及び送受信回路904や、その他、抵抗、バッファ、容量素子等の素子が実装されている。また、パネル900がフレキシブル配線基板(FPC)908を介してプリント配線基板986に接続されている。
【0268】
パネル900には、発光素子が各画素に設けられた画素部905と、前記画素部905が有する画素を選択する第1の走査線駆動回路906a、第2の走査線駆動回路906bと、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路907とが設けられている。
【0269】
プリント配線基板986に備えられたインターフェース(I/F)部909を介して、各種制御信号の入出力が行われる。また、アンテナとの間の信号の送受信を行なうためのアンテナ用ポート910が、プリント配線基板986に設けられている。
【0270】
なお、本実施の形態ではパネル900にプリント配線基板986がFPC908を介して接続されているが、必ずしもこの構成に限定されない。COG(Chip on Glass)方式を用い、コントローラ901、音声処理回路929、メモリ911、CPU902または電源回路903をパネル900に直接実装させるようにしても良い。また、プリント配線基板986には、容量素子、バッファ等の各種素子が設けられ、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることを防いでいる。
【0271】
図13(B)は、図13(A)に示したモジュールのブロック図を示す。このモジュール999は、メモリ911としてVRAM932、DRAM925、フラッシュメモリ926などが含まれている。VRAM932にはパネルに表示する画像のデータが、DRAM925には画像データまたは音声データが、フラッシュメモリには各種プログラムが記憶されている。
【0272】
電源回路903では、パネル900、コントローラ901、CPU902、音声処理回路929、メモリ911、送受信回路931に与える電源電圧が生成される。またパネルの仕様によっては、電源回路903に電流源が備えられている場合もある。
【0273】
CPU902は、制御信号生成回路920、デコーダ921、レジスタ922、演算回路923、RAM924、CPU用のインターフェース935などを有している。インターフェース935を介してCPU902に入力された各種信号は、一旦レジスタ922に保持された後、演算回路923、デコーダ921などに入力される。演算回路923では、入力された信号に基づき演算を行ない、各種命令を送る場所を指定する。一方デコーダ921に入力された信号はデコードされ、制御信号生成回路920に入力される。制御信号生成回路920は入力された信号に基づき、各種命令を含む信号を生成し、演算回路923において指定された場所、具体的にはメモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901などに送る。
【0274】
メモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901は、それぞれ受けた命令に従って動作する。以下その動作について簡単に説明する。
【0275】
入力手段930から入力された信号は、インターフェース909を介してプリント配線基板986に実装されたCPU902に送られる。制御信号生成回路920は、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段930から送られてきた信号に従い、VRAM932に格納してある画像データを所定のフォーマットに変換し、コントローラ901に送付する。
【0276】
コントローラ901は、パネルの仕様に合わせてCPU902から送られてきた画像データを含む信号にデータ処理を施し、パネル900に供給する。またコントローラ901は、電源回路903から入力された電源電圧やCPU902から入力された各種信号をもとに、Hsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)、切り替え信号L/Rを生成し、パネル900に供給する。
【0277】
送受信回路904では、アンテナ933において電波として送受信される信号が処理されており、具体的にはアイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路を含んでいる。送受信回路904において送受信される信号のうち音声情報を含む信号が、CPU902からの命令に従って、音声処理回路929に送られる。
【0278】
CPU902の命令に従って送られてきた音声情報を含む信号は、音声処理回路929において音声信号に復調され、スピーカー928に送られる。またマイク927から送られてきた音声信号は、音声処理回路929において変調され、CPU902からの命令に従って、送受信回路904に送られる。
【0279】
コントローラ901、CPU902、電源回路903、音声処理回路929、メモリ911を、本実施の形態のパッケージとして実装することができる。本実施の形態は、アイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路以外であれば、どのような回路にも応用することができる。
【0280】
(実施の形態10)
本実施の形態を図14を用いて説明する。図14は、実施の形態9で作製するモジュールを含む無線を用いた持ち運び可能な小型電話機(携帯電話)の一態様を示している。パネル900はハウジング981に脱着自在に組み込んでモジュール999と容易に組み合わせられるようにしている。ハウジング981は組み入れる電子機器に合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0281】
パネル900を固定したハウジング981はプリント配線基板986に嵌着されモジュールとして組み立てられる。プリント配線基板986には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されている。プリント配線基板986に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、その他、抵抗、バッファ、容量素子等のいずれかの機能を有する。さらに、マイクロフォン994及びスピーカー995を含む音声処理回路、送受信回路などの信号処理回路993が備えられている。パネル900はFPC908を介してプリント配線基板986に接続される。
【0282】
このようなモジュール999、ハウジング981、プリント配線基板986、入力手段998、バッテリー997は筐体996に収納される。パネル900の画素部は筐体996に形成された開口窓から視認できように配置されている。
【0283】
図14で示す筐体996は、電話機の外観形状を一例として示している。しかしながら、本実施の形態に係る電子機器は、その機能や用途に応じてさまざまな態様に変容し得る。以下に示す実施の形態で、その態様の一例を説明する。
【0284】
(実施の形態11)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図15を参照して説明する。
【0285】
図15(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯情報端末機器を提供することができる。
【0286】
図15(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質のデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0287】
図15(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯電話機を提供することができる。
【0288】
図15(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の発光装置を適用することができる。
【0289】
図15(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0290】
また、本発明の発光素子及び発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図22乃至図24を用いて説明する。
【0291】
図22は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図22に示した液晶表示装置は、筐体521、液晶層522、バックライト523、筐体524を有し、液晶層522は、ドライバIC525と接続されている。また、バックライト523は、本発明の発光装置が用いられおり、端子526により、電流が供給されている。
【0292】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、無機EL特有の長寿命なバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型であるため表示装置の薄型化も可能となる。
【0293】
また、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。
【0294】
図23は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図23に示す電気スタンドは、筐体2101と、光源2102を有し、光源2102として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。
【0295】
図24は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図12(A)(B)で説明したような、本発明に係るテレビジョン装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
【0296】
照明装置としては、図22、図23、図24で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
【0297】
このように、本発明の発光装置により、より消費電力の低く、高信頼性及び高画質の電子機器を提供することができる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0298】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図5】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図6】本発明の発光素子のモデルを説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の発光装置を説明する図。
【図10】本発明の発光装置を説明する図。
【図11】本発明の発光装置を説明する図。
【図12】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図13】本発明が適用されるモジュールを示す図。
【図14】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図15】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図16】本発明の発光装置の上面図。
【図17】本発明の発光装置の上面図。
【図18】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図19】本発明の発光装置を説明する図。
【図20】本発明の発光素子を説明する図。
【図21】本発明の発光装置を説明する図。
【図22】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図23】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図24】本発明が適用される電子機器を説明する図。
【図25】本発明の発光装置を説明する図。
【図26】本発明の発光装置を説明する図。
【図27】本発明の発光装置を説明する図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層
を設けることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、
前記母体材料及び前記不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物であることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、
前記母体材料、前記第1の不純物元素、及び前記第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物であることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料の薄膜形状であることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料がバインダ中に分散された形状であることを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記発光層の前記第1の電極層側及び前記第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けることを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は遷移金属元素を有することを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は希土類金属元素を有することを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
【請求項11】
第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有することを特徴とする発光装置。
【請求項12】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、
前記母体材料及び前記不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物であることを特徴とする発光装置。
【請求項13】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、
前記母体材料、前記第1の不純物元素、及び前記第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物であることを特徴とする発光装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料の薄膜形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項15】
請求項11乃至13のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料がバインダ中に分散された形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか一項において、前記発光層の前記第1の電極層側及び前記第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けることを特徴とする発光装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は遷移金属元素を有することを特徴とする発光装置。
【請求項18】
請求項11乃至16のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は希土類金属元素を有することを特徴とする発光装置。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
【請求項20】
請求項11乃至18のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
【請求項1】
第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層
を設けることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、
前記母体材料及び前記不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物であることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられ、
前記母体材料、前記第1の不純物元素、及び前記第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物であることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料の薄膜形状であることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料がバインダ中に分散された形状であることを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記発光層の前記第1の電極層側及び前記第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けることを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は遷移金属元素を有することを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は希土類金属元素を有することを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
【請求項11】
第1の電極層及び第2の電極層間に、混合原子価化合物を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有することを特徴とする発光装置。
【請求項12】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料及び不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、
前記母体材料及び前記不純物元素のうち少なくとも一方が混合原子価化合物であることを特徴とする発光装置。
【請求項13】
第1の電極層及び第2の電極層間に、母体材料、第1の不純物元素、及び第2の不純物元素を含む無機発光材料を有する発光層が設けられた発光素子を有し、
前記母体材料、前記第1の不純物元素、及び前記第2の不純物元素のうち少なくとも一つ以上が混合原子価化合物であることを特徴とする発光装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料の薄膜形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項15】
請求項11乃至13のいずれか一項において、前記発光層は前記無機発光材料がバインダ中に分散された形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか一項において、前記発光層の前記第1の電極層側及び前記第2の電極層側の少なくとも一方に絶縁層を設けることを特徴とする発光装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は遷移金属元素を有することを特徴とする発光装置。
【請求項18】
請求項11乃至16のいずれか一項において、前記混合原子価化合物は希土類金属元素を有することを特徴とする発光装置。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
【請求項20】
請求項11乃至18のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−251531(P2008−251531A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54313(P2008−54313)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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