説明

発光素子

【課題】高効率発光が可能で、塗布型プロセスで形成可能な発光素子を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)に示す銅複核錯体を発光材料として用いる発光素子。


[配位子Aは配位原子である窒素を含むピリジン誘導体から選ばれる。
Xはハロゲン原子であり、Cl、BrまたはIから選ばれる。
PR3はPが配位原子である3級フォスフィンであり、下記構造式(2)に示すものから選ばれる。


2とR3は、炭素原子数6以下の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅を用いた銅複核錯体を発光材料に用いた発光素子に関するものであり、さらに詳しくはハロゲン架橋された複核錯体を、好ましくは発光ドーパントに用いた、有機EL素子等の発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記化学式(4)に示す発光性の複核銅錯体は、非特許文献1に記載されている。
【0003】
【化1】

【0004】
非特許文献1によると、上記構造式中のピリジン環の置換基やハロゲン原子を変更することにより発光波長を制御できることが示されている。また、発光量子収率は0.1以上と高い値を示す。
【0005】
また、上記化学式(4)と類似の構造で高分子銅錯体が知られている(非特許文献2)。
【0006】
【非特許文献1】First International Symposium on the Photofunctional Chemistry of Complex Systems(ISPCCS)、[Kona,Hawaii,USA,12−14 December 2005] 講演番号:IL−05 Emissions of molecular copper dinuclear complexes with halide bridges Yuko Chishina,Kiyoshi Tsuge,Yoichi Sasaki,Shoji Ishizaka,Noboru Kitamura
【非特許文献2】H.Araki,K.Tsuge,Y.Sasaki,S.Ishizaka,and N.Kitamura,InorganicChemistry,2005;44(26);9667−9675.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1では、上記化学式(4)で示す銅複核錯体の発光特性を議論している。しかしながら、これらの錯体を発光素子に用いる発光材料としての応用に関する記述はなく、分子構造や光物理特性の研究に限定されたものである。
【0008】
また、非特許文献2に開示されている銅錯体は高い発光特性を持つが、一般的な有機溶媒に不溶である。従って、発光素子を作成するのに必要な薄膜を形成することが困難で、発光素子への応用が難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、高効率発光が可能で、塗布型プロセスで形成可能な発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の発光素子は、下記一般式(1)に示す銅複核錯体を発光材料として用いることを特徴とする。
【0011】
【化2】

【0012】
[但し、配位子Aは配位原子である窒素を含むピリジン誘導体から選ばれ、それらは置換基を有していても良い。該置換基は、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基から選ばれる。
【0013】
Xはハロゲン原子であり、Cl、BrまたはIから選ばれる。
【0014】
PR3はPが配位原子である3級フォスフィンであり、下記構造式(2)に示すものから選ばれる。
【0015】
【化3】

【0016】
但し、上記構造式(2)中、フェニル基の水素原子はハロゲン原子または炭素原子数6以下の分岐または直鎖状のアルキル基、アルコキシル基に置換されても良い。
【0017】
2とR3は、炭素原子数6以下の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基である。]
【発明の効果】
【0018】
本発明の銅複核錯体は、一般的な有機溶媒に可溶である。そのため、本発明の銅複核錯体を用いた発光素子は塗布型プロセスで形成することができる。
【0019】
また、本発明の銅複核錯体は、室温で安定な高効率発光が得られるため、これを用いた発光素子は、高効率発光が可能である。
【0020】
更に、本発明の銅複核錯体を発光ドーパントとして用いる場合、ホスト材料中に均一に分散することが可能で、濃度消光が回避され高効率の発光が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の素子の発光材料に用いる銅複核錯体は、上記一般式(1)で示され、配位子Aが、以下の構造式(3)に示す化合物から選ばれることが好ましい。
【0023】
【化4】

【0024】
以下に、本発明の素子の発光材料に用いる銅複核錯体の具体例を示す。式中、Xはハロゲン原子を示し、I、Br、Clから選ばれる。
【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
本発明の銅複核錯体は、2つのハロゲンによって架橋された[Cu22]ユニットを中心にもち、さらにフォスフィン配位子PR3とピリジン系配位子を持つ。本発明の銅複核錯体の発光スペクトルの代表例として、例示化合物001乃至006の発光スペクトルを図1に示す。図1に示す様に、ピリジン系の配位子の置換基を変更することにより、これら錯体の発光スペクトルを変化させることができる。図1(a)に示す様に、X=Iの場合、各錯体の発光ピーク波長は、435nm乃至627nmにわたり、これら錯体の発光は青色から赤色まで可視光領域の広い範囲をカバーしていることがわかる。
【0028】
本発明者らは、これら銅複核錯体を有機EL素子の発光ドーパントに用いることを検討し、高効率の発光素子を得たものである。
【0029】
本発明者等の検討により、本発明の銅複核錯体は、一般的な有機溶媒に可溶である。一般的な有機溶媒とは、例えば、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、酢酸エチルなどである。従って本発明の銅複核錯体を用いて発光素子を作成する場合、有機溶媒に溶解してそれを塗布して発光層を形成する塗布型プロセスを用いる発光素子に適している。
【0030】
塗布型プロセスには、スピンコーティング法、インクジェット法、印刷法、ディスペンサー法などの方法が挙げられる。
【0031】
通常、塗布型プロセスで発光層を形成する場合、ホスト材料と発光ドーパントの混合溶液を作成し、それを所望のパターンで塗布した後、乾燥させることで発光層に対応する膜を形成する。従って、発光層は、ホスト材料と本発明の銅複核錯体である発光ドーパントにより構成されることが好ましい。
【0032】
発光層のホスト材料として用いる有機化合物の具体例を以下に示した。ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリフルオレン(PF)やポリスチレン(PS)などのほかに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)なども用いることができる。また、これらポリマーの他にも、有機EL材料として用いられる以下に示した化合物群(オリゴフルオレン、TCTB、NPD、TPD)も本発明のホスト材料として有用である。
【0033】
【化7】

【0034】
これらの有機化合物中に本発明の銅複核錯体を均一に分散することで、濃度消光が回避され高効率の発光が可能になる。本発明の銅複核錯体は、室温で安定な高効率発光が得られるため、発光素子への応用が可能である。
【0035】
発光は励起状態からの励起エネルギーの輻射遷移であるため、励起状態の形成方法によって分類できる。
【0036】
1.電流励起によりホールと電子を結合させ励起状態を形成するエレクトロルミネッセンス素子
2.励起光源により励起状態を形成するフォトルミネッセンス素子
3.電子線により励起状態を形成するカソードルミネッセンス素子
がある。
【0037】
エレクトロルミネッセンス素子に関しては、有機LED素子の発光ドーパントとして本発明の銅複核錯体を用いる応用が可能である。その有機LED素子の素子構成の一例を図2に示した。図2に示した有機LED素子は、陽電極/ホール注入層/発光層/電子注入層/陰電極からなり、発光層は本発明の銅複核錯体をドープした有機化合物ホスト(図2ではPVK/PBD)からなる。PVKとPBDの分子構造式を以下に示した。
【0038】
【化8】

【0039】
この素子に電圧を2V乃至20V程度印加することによりガラス基板側にEL発光が確認される。
【0040】
フォトルミネセンス素子は、有機または無機LEDを励起光源とした発光色変換材料としての応用が可能である。フォトルミネッセンス素子の構成の一例を図3に示した。例えば紫外光発光をする無機LED素子に電界を印加することにより、無機LED素子から紫外光(発光ピーク波長=250nm乃至400nm)を発光させる。その前面に設置した本発明の銅複核錯体を含む発光層を持つフォトルミネセンス素子に、無機LEDからの光が照射される。フォトルミネッセンス素子がこの光を吸収して励起状態を形成し、その励起状態からの発光が外部から観察されることになる。
【0041】
カソードルミネッセンス素子としては、カソードレイチューブ(CRT)の蛍光体などへの応用が可能である。
【0042】
また、本発明の銅複核錯体は、特に混色または白色発光材料に応用可能である。
【実施例】
【0043】
<合成実験例>
最初に本発明の銅複核錯体の合成実験例を示す。
【0044】
(1)まず、本発明の銅錯体の原料となる錯体[Cu22(PPh33]の合成法を示す。この方法は、参考文献1で報告されている。
(参考文献1:G.Costa,E.Reisenhofer,L.StefaniJ.Inorg.Nucl.Chem.,1965,27,2581.)
【0045】
CHCl320mlにPPh3104.9mg(0.4mmol)を溶かす。ここにCuI38.1mg(0.2mmol)を加え、約4時間撹拌する。約1mlまでエバポレーターで濃縮した後、エーテル蒸気を拡散させると、無色結晶が析出する(収量58.4mg(収率50%v.s.PPh3))。
【0046】
元素分析の結果は以下であり、得られた化合物が錯体[Cu22(PPh33]であることが確認できた。
【0047】
Found(%) C:55.77,H:3.97,N:0.00
Calcd.(%)for[Cu22(PPh33] C:55.54,H:3.88,N:0
【0048】
(2)原料錯体[Cu2Br2(PPh33]の合成法を示す。
【0049】
CHCl320mlにPPh3104.9mg(0.4mmol)を溶かす。ここにCuBr28.7mg(0.2mmol)を加え、約4時間撹拌する。約1mlまでエバポレーターで濃縮した後エーテル蒸気を拡散させると、無色結晶が析出する(収量65.2mg(収率60.7%v.s.PPh3))。
【0050】
元素分析の結果は以下であり、得られた化合物が錯体[Cu2Br2(PPh33]であることが確認できた。
【0051】
Found C:60.67,H:4.30,N:0.00
Calcd.for[Cu2Br2(PPh33] C:60.40,H:4.22,N:0
【0052】
(3)(1)及び(2)で合成した[Cu22(PPh33]を出発化合物とした[Cu22(PPh32(L)2]の合成
適切な溶媒中で、[Cu22(PPh33]に10倍量のピリジン類縁体配位子Lを反応させることにより[Cu22(PPh32(L)2]が得られる。具体的な合成例を以下に示す。
【0053】
(3−1)銅複核錯体[Cu22(PPh32(4−Mepy)2](例示化合物002(X=I))の合成
[Cu22(PPh33]35mg(0.03mmol)をCHCl31.0mlに溶かし、ここに4−Mepy30μl(0.3mmol)を加えて静置すると、数日後、無色結晶が析出する(収量22.2mg(収率67.8%)。
【0054】
元素分析の結果は以下であり、得られた化合物が目的の錯体であることが確認できた。
【0055】
Found C:52.68,H:4.00,N:2.50
Calcd.for[Cu22(PPh32(3−Mepy)2] C:52.81,H:4.06,N:2.57
【0056】
(3−2)銅複核錯体[Cu2Br2(PPh32(3−Mepy)2](例示化合物003(X=Br))の合成
[Cu2Br2(PPh33]53.7mg(0.05mmol)をCHCl31.0mlに溶かし、ここに3−Mepy50μl(0.5mmol)を加え、hexaneを加えて静置すると、数日後、無色結晶が析出する(収量26.8mg(収率53.7%))。
【0057】
元素分析の結果は以下であり、得られた化合物が目的の錯体であることが確認できた。
【0058】
Found C:57.64,H:4.40,N:2.85
Calcd.for[Cu2Br2(PPh32(3−Mepy)2] C:57.78,H:4.45,N:2.81
【0059】
(3−3)銅複核錯体[Cu2Br2(PPh32(4−Phpy)2](例示化合物006(X=Br))の合成
[Cu2Br2(PPh33]32.2mg(0.03mmol)をCHCl30.8mlに溶かし、ここに4−Phpy46.5mg(0.3mmol)を加えてしばらく静置した後、hexaneを加えると、淡黄色結晶が析出する(収量18.6mg(収率55.3%))。
【0060】
元素分析の結果は以下であり、得られた化合物が目的の錯体であることが確認できた。
【0061】
Found C:62.24,H:4.41,N:2.45
Calcd.for[Cu2Br2(PPh32(4−Phpy)2] C:62.09,H:4.31,N:2.50
【0062】
上記合成実験例の合成法によって得られる銅複核錯体の固体粉末の室温における発光スペクトルを図1に示した。図1(a)にはヨウ素原子を含む[Cu22(PPh32(L)2](例示化合物001乃至006(X=I))の発光スペクトル、図1(b)には臭素原子を含む[Cu2Br2(PPh32(L)2](例示化合物001乃至006(X=Br))の発光スペクトルを示した。各錯体の発光ピーク波長は、X=Iの場合、435nm乃至627nmであり、また、X=Brの場合、472nm乃至650nmである。配位子を変化させることにより、可視光領域の広い範囲の領域をカバーできることがわかる。同じ配位子を持つヨウ素錯体と臭素錯体を比べると、ヨウ素錯体の方が発光ピーク波長が短いことがわかる。
【0063】
2時間以上励起光によって発光させていても輝度の高い発光を得ることができ、本発明の銅錯体は安定な発光が得られることが判った。
【0064】
<実施例1>
上に述べた合成実験例で合成した錯体を含む本発明の銅複核錯体(例示化合物002乃至006(X=Br))をポリマー中に分散して、励起光源を用いるフォトルミネセンス素子を作成した。
【0065】
クロロホルム中に14重量%の濃度でポリスチレン(ACROS ORGANIC社製)を溶解させた。また、銅錯体を同じ1.4重量%の濃度で溶解した。その後このポリスチレン溶液と銅錯体溶液を1:1の割合で混合した。この溶液をアセトンで洗浄したガラス基板上に数滴滴下し、2時間乾燥させてキャスト膜を形成した。このポリスチレン−銅錯体混合膜に波長355nmの励起光でフォトルミネッセンスのスペクトルを測定した。また、ポリスチレンのみのキャスト膜についても同様にスペクトルを測定した。その発光スペクトルを図4に示した。
【0066】
それぞれの発光スペクトルは、ポリスチレンのみのキャスト膜からの発光とは異なり、銅複核錯体由来の発光スペクトルであることがわかる。発光波長が大きな例示化合物004(X=Br)、及び例示化合物005(X=Br)は、発光スペクトルが短波長側にも伸びている。これは、ポリスチレンからの励起エネルギーのエネルギー転移が不十分なため、銅錯体の発光に付随してポリスチレン由来の発光も同時に観測されていると考えられる。従って、銅錯体とホスト化合物を適切に選択することによりホスト材料の発光との混色による多色発光または白色発光を得ることができる。
【0067】
発光は、キャスト膜全体に均一な発光が確認され、クロロホルムに溶解することが可能な銅錯体を用いることで、ポリスチレン中に銅錯体を均一に分散できたためと考えられる。本実施例から、ホストに分散して銅錯体を発光させることにより励起光による高輝度の安定したフォトルミネッセンスを得ることができ、本発明の銅複核錯体は励起光源を持つフォトルミネッセンス素子に有用であることを明らかにした。
【0068】
<実施例2>
本実施例では、銅錯体を用いて有機EL素子を作成した。
【0069】
素子構成を図2に示す。素子構成は、
ITO/PEDOT(30nm)/発光層(100nm)/Cs2CO3(2nm)/Al(70nm)
である。PEDOTは、ベイトロン社製AI1083を用いた。
【0070】
発光層は、PVKとPBDの混合ホスト材料に銅錯体を混合して用いた。ここで銅錯体は、例示化合物005(X=Br)である。PVKは、ホール輸送性であり、PBDは電子輸送性である。従って、これらを混合して発光層を形成することにより、電圧印加時に電子とホールを効率良く発光層に注入することができる。発光層中のこれら材料の混合比は、混合ホスト材料の混合重量比は、PVK:PBD=7:3とした。この混合ホスト材料に対して、例示化合物005(X=Br)を3重量%、5重量%及び10重量%の割合で混合した発光層を持つ素子をそれぞれ作成した。
【0071】
素子作成は、まず、ITO上に4000回転/分(60秒)でPEDOTをスピンコートし、200℃10分間で乾燥した。次に、混合ホスト材料(混合重量比はPVK:PBD=7:3)に対して例示化合物005(X=Br)を3重量%、5重量%及び10重量%を加えたオルトジクロロベンゼン混合溶液をそれぞれ調整した。これらの溶液をそれぞれPEDOT上に1000回転/分(60秒)でスピンコートし、70℃30分間で乾燥した。その後、真空蒸着装置にこの基板をセットし、Cs2CO3とアルミニウムを連続して蒸着した。
【0072】
これらの素子における電圧印加時のエレクトロルミネッセンス(EL)特性を評価した。まず、図5に銅錯体(例示化合物005(X=Br))の濃度が3重量%、5重量%及び10重量%のELスペクトルを示す。図5において420nm付近にある発光バンドはPVKに由来するものであり、550nm付近の発光バンドは、例示化合物005(X=Br)由来の発光である。例示化合物005(X=Br)の濃度が高い方が、PVKの発光強度に対する例示化合物005(X=Br)の発光強度が相対的に強くなっていることがわかる。
【0073】
この発光スペクトルから、銅錯体の濃度を変化させることにより、ホスト材料と銅錯体からの発光の比率を変化させることができ、混色による発光色を変化させることができる。また、銅錯体の比率を適切に選択することにより白色発光がえられる。
【0074】
図6に銅錯体のドーピング濃度5%と10%の電圧−輝度カーブと、電流−パワー効率カーブを示した。濃度5%と10%のこれらの特性には大きな差はない。EL発光効率は、最大で0.7lm/(5%)0.4lm/W(10%)が得られた。この結果から、本発明の銅複核錯体は、有機EL素子の発光ドーパントとして有用なことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】例示化合物001乃至006の発光スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の有機LED素子の素子構成の一例を示す図である。
【図3】本発明のフォトルミネッセンス素子の構成の一例を示す図である。
【図4】実施例で製造したフォトルミネッセンス素子の発光スペクトルを示す図である。
【図5】実施例で製造した有機EL素子の発光スペクトルを示す図である。
【図6】実施例で製造した有機EL素子の電圧−輝度カーブと、電流−パワー効率カーブを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示す銅複核錯体を発光材料として用いることを特徴とする発光素子。
【化1】

[但し、配位子Aは配位原子である窒素を含むピリジン誘導体から選ばれ、それらは置換基を有していても良い。該置換基は、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基から選ばれる。
Xはハロゲン原子であり、Cl、BrまたはIから選ばれる。
PR3はPが配位原子である3級フォスフィンであり、下記構造式(2)に示すものから選ばれる。
【化2】

但し、上記構造式(2)中、フェニル基の水素原子はハロゲン原子または炭素原子数6以下の分岐または直鎖状のアルキル基、アルコキシル基に置換されても良い。
2とR3は、炭素原子数6以下の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基である。]
【請求項2】
前記配位子Aが、以下の構造式(3)に示す化合物から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【化3】

【請求項3】
発光層を有し、該発光層は、発光ドーパントとホスト材料の混合物により形成され、該発光ドーパントとして前記一般式(1)に示す銅複核錯体を用い、該ホスト材料として有機化合物を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記発光ドーパント及び前記ホスト材料が同時に発光し、混色した発光を得ることを特徴とする請求項3に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−63399(P2008−63399A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241148(P2006−241148)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】