説明

発光装置、その製造方法、画像印刷装置および画像読取装置

【課題】 発光素子からの出射光の利用効率を向上させる。
【解決手段】 各々が光透過性を有する陽極31と陰極34との間に発光層33を介在させた発光素子30が基板20の表面上に配置される。発光素子30を挟んで基板20の反対側には基材40が配置される。基材40の表面のうち発光層33と対向する位置には窪み401が形成される。基材40の表面を覆うように形成された反射層41のうち窪み401の内面に沿った凹面411は、発光層33から基板20とは反対側に出射した光を基板20側に反射させる凹面鏡として機能する。反射層41によって覆われた窪み401の内側には光透過部材42が充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料を利用した発光装置、その製造方法、ならびにこの発光装置を利用した画像印刷装置および画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発光装置は表示装置や露光装置などの光学デバイスとして各種の電子機器に使用される。例えば、特許文献1には、感光体ドラムなどの像担持体に静電潜像を形成するためのヘッド部として、多数の発光素子がアレイ状に配列された発光装置を利用した画像印刷装置(例えばプリンタ)が提案されている。
【特許文献1】特開2000−77188号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、各発光素子からの出射光はその進行に従って拡散していく。したがって、像担持体の特定の領域に充分な光量を到達させることは困難である。発光素子の輝度を増大させれば像担持体の表面に相当の光量を到達させることも可能であるが、この場合には発光装置の消費電力の増大や発光素子の短寿命化といった問題が生じ得る。また、各発光素子からの出射光の拡散により、感光体の表面のうちひとつの画素に相当する狭い領域のみに対して選択的に発光素子からの出射光を到達させることが困難となり、これが画像の高精細化を妨げる要因となり得る。
【0004】
なお、発光素子からの出射光を集光するためのレンズが発光素子と像担持体との間に配置された構成も提案されているが、この構成においても発光素子からの出射光がレンズに到達するまでに拡散することに変わりはないから、レンズに充分な光量を入射させることは困難であり、光利用効率の低下に対する根本的な解決策とはなり得ない。なお、ここでは画像印刷装置を例示して従来の技術の問題点に言及したが、発光装置を利用した画像読取装置や表示装置においても同様の問題が生じ得る。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光素子からの出射光の利用効率を向上させるという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、各々が光透過性を有する第1電極および第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在する発光層と、第1電極を挟んで発光層の反対側に配置されて凹面が発光層に対向する凹面鏡とを具備することを特徴としている。なお、本発明における発光層とは、電気的なエネルギの作用によって発光する性質の材料からなる膜体である。例えば、有機EL材料や無機EL材料からなる膜体や層状の発光ダイオード素子などが本発明にいう発光層の概念に含まれる。
本発明においては、発光層からの出射光が凹面鏡にて反射したうえで第1電極と発光層と第2電極とを透過して発光装置から出射する。この凹面鏡における反射光は、平面的な鏡面での反射光と比較して光束幅が絞られる。したがって、本発明によれば、発光装置からの出射光の拡散を抑制してその利用の効率を向上させることができる。例えば、感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するためのヘッド部として本発明の発光装置を採用した構成においては、発光素子から出射した光量のうち像担持体の所定の領域に到達する光量の割合を充分に維持することができる。換言すると、像担持体に所期の光量を到達させるために発光層に要求される出射光量を低減することができるから、発光素子にて消費される電力を低減するとともに発光素子の経時的な劣化を抑制することができる。また、凹面鏡での反射光が絞られることにより感光体の表面の狭い領域に発光装置からの光を到達させることができる。したがって、例えば本発明の発光装置をヘッド部として採用した画像印刷装置においては、各画素が精細で解像度の高い画像を形成することができる。
【0006】
本発明における凹面鏡とは、発光層からの光を反射させる表面が発光素子に対して凹状とされた反射体である。この凹面は、典型的には、球体の内面に相当する形状とされるが、本発明における凹面鏡の形状はこれに限られない。例えば、本発明における凹面鏡の凹面は、球体の内面に相当する形状の一部が平面とされた形状であってもよいし(図15参照)、円柱の内面に相当する形状であってもよい(図16参照)。すなわち、本発明における凹面鏡の凹面は、この凹面にて反射した発光層からの光が単純な平面での反射光と比較して絞られるように(すなわち光束幅が縮小するように)形状が決定された部分を含んでいれば足りる。例えば、発光層に垂直な方向の平行光が凹面に入射したと仮定すると、その凹面における反射光が当該凹面に到達するまでの平行光よりも絞られるように凹面鏡の凹面の形状が選定される。
【0007】
本発明の望ましい態様においては、表面に窪みが形成された基材がさらに設けられ、基材の窪みの内面を覆う反射層の表面が凹面鏡として利用される。この態様によれば、凹面鏡の凹面の形状を基材の窪みの形状と略相似の形状とすることができる。さらに、反射層を、基材の表面のうち窪みとそれ以外の平面部とを覆う導電性の膜体とし、平面部を覆う部分を第1電極に導通させることが望ましい。この構成によれば、反射層を第1電極とともに配線として機能させることができるから、配線全体としての抵抗値を低減することができる。
【0008】
また、本発明の他の態様においては、光透過性を有する材料によって凹面鏡の凹面内に光透過部材が形成される。この構成によれば、発光素子の機械的な強度を向上させることができる。ただし、凹面鏡の凹面内は空洞とされていてもよい。なお、この光透過部材と第1電極とは、屈折率が略等しい材料によって形成されることが望ましい。この構成によれば、光透過部材と第1電極との境界面における光の全反射を防止することができる。
【0009】
本発明に係る発光装置は、各種の電子機器において露光装置や表示装置として使用される。例えば、本発明に係る画像印刷装置は、像担持体と、像担持体を帯電する帯電器と、像担持体の帯電された面に発光層からの光を照射して潜像を形成する本発明の発光装置と、潜像にトナーを付着させることにより像担持体に顕像を形成する現像器とを具備する。また、本発明に係る画像読取装置は、本発明の発光装置と、発光装置から出射して読取対象で反射した光を電気信号に変換する受光装置とを具備する。また、本発明に係る発光装置は、携帯電話機やパーソナルコンピュータといった各種の電子機器の表示装置や照明装置としても利用される。これらの電子機器には、複数の発光素子が面状に配列された発光装置が特に好適である。
【0010】
本発明に係る発光装置を製造する第1の方法は、発光層と平行な平面から当該発光層とは反対側に突出する光透過部材を、当該発光層に対応する位置に、光透過性を有する材料によって形成する第1工程と、光反射性を有する膜体を光透過部材の表面に形成することにより、光透過部材の表面と略相似な凹面を有する凹面鏡を形成する第2工程とを有する。この方法によれば、光透過部材の表面の形状を適宜に選定することによって凹面鏡の凹面の形状が制御される。さらに、光透過部材の形成に液滴吐出法(インクジェット法)などの低廉な手法を採用することができるという利点もある。もっとも、光透過部材を作成する方法はこれに限られない。例えば、樹脂材料からなる膜体を発光素子に対向する領域に形成し、この膜体の角部を加熱によって丸めることによっても、表面が滑らかな曲面である光透過部材を形成することができる。なお、第2の製造方法において、発光素子が配設される時機は任意である。例えば、発光素子が既に形成された基板の表面上に光透過部材を形成してもよいし、基板の表面上に光透過部材を形成してからその裏面に発光素子を形成してもよい。
【0011】
本発明に係る発光装置を製造する第2の方法は、基材の表面に窪みを形成する第1工程と、光反射性を有する材料によって窪みの内面を覆う膜体を形成することにより、窪みの内面と略相似な凹面を有する凹面鏡を形成する第2工程と、膜体を挟んで基材の反対側にて凹面鏡に対向する位置に発光素子を配置する第3工程とを有する。この方法によれば、窪みの形状を適宜に選定することによって凹面鏡の凹面の形状を制御することができる。第2の方法においては、凹面鏡の凹面内に光透過製を有する材料を充填して光透過部材を形成する工程をさらに実施してもよい。なお、本発明に係る発光装置の製造方法は、以上に例示した第1および第2の方法に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照しながら本発明の様々な実施の形態を説明する。なお、以下の各図面においては、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に相違している。
【0013】
図1は、本実施形態に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、この画像印刷装置は、発光装置10と集束性レンズアレイ15と感光体ドラム110とを有する。発光装置10は、アレイ状に配列された多数の発光素子を有する。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像に応じて選択的に発光する。集束性レンズアレイ15は、発光装置10と感光体ドラム110との間に配置される。この集束性レンズアレイ15は、各々の光軸を発光装置10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集束性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。発光装置10の各発光素子から発せられた光は集束性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過して感光体ドラム110の表面に到達する。この露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像が形成される。
【0014】
<発光装置10の構成>
図2は、発光装置10の構成を示す断面図であり、図3は、この発光装置10のうち集束性レンズアレイ15に対向する表面の構成を示す平面図である。図3におけるII−II線からみた断面図が図2に相当する。図3に示されるように、発光装置10は、基板20の表面上に二列かつ千鳥状に配列された複数の発光素子30を有する。もっとも、発光素子30の配列のパターンはこれに限定されず、単列または三列以上であってもよいし他の適切なパターンで配列されていてもよい。各発光素子30から発せられた光は基板20を透過して集束性レンズアレイ15側(図2における上方)に出射する。すなわち、発光装置10はボトムエミッションタイプの発光パネルである。
【0015】
基板20は、光透過性を有する板状の部材であり、ガラスやプラスチックなどの材料によって形成される。この基板20のうち発光素子30が配置される表面はその全域にわたり下地層21によって覆われる。下地層21は酸化シリコンなどによって形成された光透過性を有する膜体である。図2に示されるように、各発光素子30は、陽極31と正孔注入層32と発光層33と陰極34とが基板20側からこの順番に積層された構成となっている。陽極31および陰極34は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する導電性の材料によって形成された電極である。陽極31は下地層21の表面上に発光素子30ごとに個別に形成される。一方、陰極34は、複数の発光素子30について共通の電極である。
【0016】
発光層33は、有機EL材料からなる膜体であり、陽極31および陰極34によって付与される電気エネルギに応じて発光する。発光層33は総ての方向に光を放射する。すなわち、発光層33によって発せられた光は、直接的に基板20側に向かうだけでなく、この発光層33から基板20とは反対側に向けて進行する。なお、発光素子30の積層構造は図2の構成に限られない。例えば、陰極34と発光層33との間に電子注入層や電子輸送層が介挿された構成や、陽極31と発光層33との間に正孔輸送層が介挿された構成、あるいは適切な位置に絶縁性の膜体が形成された構成も採用される。すなわち、陽極31と陰極34との間に発光層33が介在する構成であればよい。
【0017】
下地層21の表面上には絶縁層22が形成される。この絶縁層22の表面上には各発光素子30の間を仕切る隔壁23が形成される。正孔注入層32および発光層33は、隔壁23によって包囲されて陽極31を底面とする空間に形成される。絶縁層22の材料は例えば酸化シリコンや窒化シリコンであり、隔壁23の材料は例えばポリイミドまたはアクリルである。陰極34は発光層33および隔壁23を覆うように形成される。
【0018】
陰極34の表面上には基材40が配置される。この基材40は、基板20上に配列された総ての発光素子30を覆うように形成された光透過性を有する膜体であり、例えば、エポキシ系またはアクリル系といった紫外線硬化性ないし熱硬化性の樹脂材料によって形成される。基材40は、基板20と協働して発光素子30を封止し、これらの発光素子30を外気(水分や酸素)から隔離してその劣化を抑制する。
【0019】
基材40のうち基板20側の表面には発光素子30ごとに窪み401が形成される。図3に示されるように基板20に垂直な方向からみると、窪み401の周縁は、発光素子30の発光層33を包含する形状(本実施形態では円形)とされる。各窪み401の内面(内壁面)は、その全体にわたって連続する略半球状の曲面である。
【0020】
基材40の表面には、窪み401の内面を含む全域にわたって反射層41が形成される。窪み401は発光素子30と重なり合う位置に形成されるから、反射層41のうち窪み401の内面を覆う部分の表面(以下「凹面」という)411は発光素子30に対向する。この反射層41は、光反射性および導電性を有する膜体であり、例えばアルミニウムや銀や白金といった単体金属またはこれらの金属を主成分とする合金によって形成される。したがって、反射層41の凹面411は、発光素子30から基板20とは反対側に出射した光を基板20側に反射させる凹面鏡として機能する。
【0021】
反射層41によって覆われた基材40の窪み401には光透過部材42が充填される。この光透過部材42は、エポキシ系やアクリル系といった光透過性を有する樹脂材料によって形成された部分である。より具体的には、陰極34を構成する材料と屈折率が略等しい材料によって光透過部材42が形成される。反射層41のうち凹面411以外の部分と光透過部材42の表面とは陰極34の表面に接触する。この構成においては、反射層41と陰極34とが電気的に導通する。陰極34を構成するITOは比較的に抵抗値が高いものの、この陰極34に反射層41を導通させることによって全体としての抵抗値を低下させることができる。
【0022】
発光素子30から基板20とは反対側に出射した光は、陰極34と光透過部材42とを透過して反射層41に到達し、この凹面411にて反射して基板20側に進行する。陰極34と光透過部材42とは屈折率が略等しいから、両者の境界において光はほとんど全反射しない。ただし、陰極34は極めて薄く形成されるから、陰極34と光透過部材42との境界面における全反射がそれほど問題とならない場合もある。この場合には陰極34の屈折率と光透過部材42の屈折率が相違していてもよい。
【0023】
図4は、発光素子30からの出射光が凹面411にて反射する様子を模式的に示す断面図である。なお、同図においては発光素子30の中央の部分から発せられた光の経路のみが図示されているが、実際には他の部分からも基板20および基材40の双方に向けて光が発せられる。同図に示されるように、発光素子30から基板20とは反対側に出射した光は、拡散しながら反射層41の凹面411に向けて進行する。この凹面411の形状は、当該凹面411における反射光が凹面411への入射光よりも絞られるように(すなわち凹面411における反射光の光束幅が当該凹面411への到達前の光束幅よりも小さくなるように)選定されている。例えば、図4においては、発光素子30から基板20とは反対側に拡散しながら進行する光が、反射層41の凹面411で基板20の表面と垂直な方向(換言すると発光層33に垂直な方向である。以下では「光軸方向」という)DLに反射し、略平行光Lrとして基板20を透過する場合が例示されている。
【0024】
換言すると、反射層41の凹面411の形状は、基板20側から方向DLに進行する平行光が凹面411に到達したと仮定したときに、この凹面411での反射光が集束光となるように選定されている。以上のように凹面411の形状を選定すれば、単純な平面にて発光素子30からの出射光が反射する構成と比較して、集束性レンズアレイ15に向かう光の拡散を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、発光素子30から発せられた全光量のうち集束性レンズアレイ15を透過して感光体ドラム110に到達する光量の割合を充分に確保することができる。換言すれば、感光体ドラム110に所期の光量を到達させるために必要となる発光素子30の光量を低減することができるから、発光素子30にて消費される電力を低減するとともに発光素子30(特に発光層33)の寿命を長期化することができる。
【0025】
<発光装置10の製造方法>
次に、本実施形態に係る発光装置10を製造する方法について説明する。なお、以下では、基材40および光透過部材42を作成する手法が異なる2種類の製造方法を例示する。
【0026】
(1)第1の製造方法
図5に示すように、下地層21、陽極31、絶縁層22、隔壁23、正孔注入層32、発光層33および陰極34がこの順番に基板20の表面上に形成される。これらの要素は、公知である各種の方法によって形成されるため、その詳細な説明は省略する。
【0027】
次いで、図6に示すように、陰極34の表面に光透過部材42が形成される。この光透過部材42は、例えば液滴吐出法(インクジェット法)によって形成される。すなわち、樹脂材料を含む液滴を液滴吐出装置のノズルから吐出することによって陰極34の表面のうち発光素子30に対応した位置に到達させ、これを硬化させることによって光透過部材42が形成される。この方法によって形成された光透過部材42の表面は滑らかな曲面となる。
【0028】
続いて、図7に示すように、光透過部材42が形成された陰極34の全面を覆うように反射層41が形成される。この反射層41は、スパッタリングや真空蒸着といった各種の成膜技術によって形成される。この工程にて形成された反射層41の凹面411は、光透過部材42の表面と略相似の曲面(すなわち発光素子30とは反対側に窪んだ形状)となる。
【0029】
次いで、反射層41の全面を覆うように基材40が形成される。基材40は、エポキシ系やアクリル系といった樹脂材料をスピンコート法などの技術によって反射層41の表面に塗布することによって形成される。以上の工程によって図2の発光装置10が完成する。
【0030】
なお、発光素子30を外力から保護するための保護層が基材40の表面上に貼り付けられてもよい。この保護層は、例えばプラスチックからなるフィルム状の部材である。この構成においては、保護層を基板上に固定する接着剤として基材40を利用してもよい。
【0031】
以上に説明した製造方法によれば、凹面411を曲面とする光透過部材42が液滴吐出法などの低廉な方法によって形成されるから、例えば光透過部材42が型によって形成される方法と比較して製造コストを低く抑えることができる。
【0032】
(2)第2の製造方法
図8に示すように、ガラスやプラスチックからなる板材51の表面にレジスト52が形成される。このレジスト52のうち各発光素子30に対応する部分には当該レジスト52を厚さ方向に貫通する開口521が形成される。
【0033】
次いで、図9に示すように、エッチング液(例えばフッ化水素酸)を利用した板材51のエッチングによって、この板材51に窪み511が形成される。この工程においては、レジスト52の開口521を通じてエッチング液が板材51に徐々に導入される。これにより開口521の周囲の部分が徐々に溶解し、開口521を中心とする半球状の窪み511が形成される。
【0034】
この後、レジスト52が板材51の表面から剥離されたうえで、板材51のうち窪み511側の表面から所定の厚さの部分(図9における破線Lよりも上方の部分)が削られる。板材51を削る方法は、機械的に研削および研磨する方法であってもよいし、エッチングのように化学的に削る方法であってもよい。後者の方法においては、窪み511がマスキングされたうえで板材51がエッチングされる。以上の工程により、図10に示すように表面に窪み401(窪み511の一部)が形成された基材40が完成する。
【0035】
次いで、図11に示すように、窪み401の内面を含む基材40の表面の全域にわたって反射層41が形成される。この反射層41は、スパッタリングや真空蒸着といった各種の成膜技術によって形成される。この工程にて形成された反射層41の凹面411は、基材40の窪み401の内面に沿った曲面となる。
【0036】
次に、図12に示すように、反射層41の表面に透明材料53が塗布される。この透明材料53は、光透過部材42となる材料であり、例えば、ガラスペーストや透明な紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂材料が使用される。そして、図12に示すように、基材40のうち窪み401が形成された表面に直板状のスキージ(均平器)54を接触させたうえで摺動させることによって、透明材料53を窪み401に充填させるとともに当該窪み401から溢れた余剰分を除去する。この後、窪み401に充填された透明材料53を硬化させることにより、図13に示されるように光透過部材42が形成される。スキージ54を使用した均平によって、反射層41のうち凹面411以外の部分の表面と光透過部材42の表面とは同一の平面内に揃う。
【0037】
一方、基板20の表面には、下地層21、陽極31、絶縁層22、隔壁23、正孔注入層32、発光層33および陰極34がこの順番に形成される(図5参照)。そして、基板20の陰極34と基材40に形成された反射層41および光透過部材42とを対向させた状態で基板20と基材40とが接着剤によって貼り合わされる。以上の工程によって図2の発光装置10が完成する。
【0038】
なお、本発明に係る発光装置10を製造する方法は以上に例示した2種類の方法に限定されない。例えば、第1の製造方法においては、型によって陰極34の表面上に光透過部材42を形成してもよいし、第2の製造方法においては、表面に窪み401が形成された基材40を型によって形成してもよい。このように型を利用した方法によれば、凹面411の形状を精度よく制御することができるという利点がある。
【0039】
<変形例>
以上の実施形態に対しては種々の変形が加えられる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下に示す各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0040】
(1)変形例1
実施形態においてはボトムエミッションタイプの発光装置10を例示したが、トップエミッションタイプの発光装置10にも本発明は適用される。図14は、本発明を適用したトップエミッションタイプの発光装置10の構成を示す断面図(図2に対応する断面図)である。集束性レンズアレイ15や感光体ドラム110は同図の上方に配置される。図14に示されるように、基板20の表面上には、下地層21や絶縁層22や隔壁23が形成されるとともに複数の発光素子30が配列される。これらの発光素子30は、エポキシ系やアクリル系といった樹脂材料からなる封止材36によって封止される。
【0041】
一方、基板20のうち発光素子30とは反対側の表面上には基材40が配置される。上述した実施形態と同様に、基材40の表面には発光素子30と重なり合う位置に窪み401が形成されており、この窪み401を含む基材40の全面にわたって反射層41が形成される。本変形例においても実施形態と同様の作用および効果が奏される。なお、発光素子30から発せられて反射層41の凹面411に到達するまでの光の拡散を抑制するために、基板20としてはボトムエミッションタイプの発光装置10よりも薄い部材が使用される。
【0042】
このように、本発明において発光素子30が配置される基板20は、実施形態のように発光素子30を挟んで基材40とは反対側に配置されていてもよいし、本変形例のように発光素子30と基材40との間に配置されていてもよい。また、図14においては発光素子30と基材40との間に基板20が介在する構成を例示したが、基材40の表面(より具体的には反射層41のうち凹面411以外の部分と光透過部材42の表面とからなる表面)に発光素子30が形成された構成も採用される。この構成において基板20は不要である。
【0043】
(2)変形例2
実施形態においては基材40の窪み401に光透過部材42が充填された構成を例示したが、この光透過部材42は必ずしも必要ではない。すなわち、反射層41の凹面411と陰極34とによって囲まれた空間が空洞とされた構成としてもよい。もっとも、実施形態のように光透過部材42を備えた構成によれば、陰極34や反射層41の剥離が防止されるとともに発光素子30の機械的な強度が高い水準に維持されるという利点がある。
【0044】
また、実施形態においては反射層41と陰極34とが電気的に導通する構成を例示したが、両者の導通は必ずしも必要ではない。したがって、反射層41は絶縁性の材料によって形成されていてもよい。
【0045】
さらに、実施形態においては基板20側に陽極31が形成されるとともに基材40側に陰極34が形成された構成を例示したが、これとは逆に、基板20側に陰極34が形成されて基材40側に陽極31が形成された構成も採用される。したがって、反射層41と電気的に導通する電極は陽極31および陰極34の何れであってもよい。
【0046】
(3)変形例3
反射層41の凹面411の形状は実施形態にて説明したものに限定されない。例えば、凹面411(あるいは窪み401)の内面の形状を、図15に示されるように略半球状の形状の底部が部分的に平面とされた形状や、円錐台状(中心軸と平行な方向における断面が台形である立体)の内面に相当する形状としてもよい。これらの構成によれば、実施形態と同様の効果に加えて、凹面411がその全体にわたって略半球状とされた実施形態の構成と比較して基材40を薄型化することができるという利点がある。
【0047】
また、実施形態においては発光素子30や凹面411の平面形状(基板20に垂直な方向からみたときの形状)が円形とされた構成を例示したが、例えば図16に示されるように、これらの要素の平面形状を略矩形状としてもよい。この構成においては、反射層41の凹面411(あるいは窪み401)は円柱の内面に相当する形状となる。この構成においても、図16のII’−II’線からみた断面は図2の構成と同様となるから、実施形態と同様の作用および効果が奏される。以上のように、本発明における凹面鏡の凹面は、その総ての部分が曲面である必要はない。すなわち、凹面411は、反射光が発光層からの入射光よりも絞られるように当該入射光を反射させる部分を含む面であれば足り、このような部分を含むのであれば部分的に平面を含んでいてもよい。
【0048】
(4)変形例4
実施形態においてはひとつの発光素子30に対してひとつの凹面411(あるいは基材40の窪み401)が形成された構成を例示したが、発光素子30と凹面411との対応関係はこれに限られない。例えば、図17に示されるように、複数の発光素子30に対してひとつの窪み401や凹面411が形成された構成も採用される。同図に示される構成においては、基材40のうち3個の発光素子30と対向する領域の全部にわたってひとつの窪み401が形成される。したがって、この基材40の表面に形成された反射層41においては、3個の発光素子30に対向するひとつの凹面411が凹面鏡として機能することになる。特に、赤色と緑色と青色とからなるカラー画像を表示するための表示装置として発光装置10を使用した場合には、これらの3色に対応する3個の発光素子30からなるグループごとにひとつの窪み401および凹面411を形成した構成が採用される。
【0049】
(5)変形例5
実施形態においては有機EL材料からなる発光層33を例示したが、この発光層33は無機EL材料によって形成されていてもよい。また、LED(Light Emitting Diode)を発光層33として採用することもできる。すなわち、本発明における発光層は、電気エネルギの付与によって発光する材料によって形成された膜体であれば足りる。
【0050】
<画像印刷装置>
図1に示したように、以上の各態様に係る発光装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして利用され得る。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。図18は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0051】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、以上に例示した何れかの態様に係る発光装置10である。
【0052】
図18に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0053】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0054】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数の発光素子30の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子30によって感光体ドラムに光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0055】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0056】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0057】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図19は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図19に示す画像印刷装置において、感光体ドラム165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0058】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、以上に例示した各態様の発光装置10であり、複数の発光素子30の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子30から感光体ドラム165に光を照射することにより行う。
【0059】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0060】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0061】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0062】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0063】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0064】
図18および図19に例示した画像印刷装置は、発光層33を含む発光素子30を書込手段(露光手段)として利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式にの画像印刷装置にも本発明の発光装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【0065】
<画像読取装置>
以上に説明した各態様の発光装置10は、読取の対象に光を照射するためのライン型の光ヘッドとして画像読取装置に使用される。このような画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読む二次元画像コードリーダがある。
【0066】
図20は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた画像読取装置の一例を示す縦断面図である。この画像読取装置のキャビネット201の上部には、平板状のプラテンガラス202が設けられており、プラテンガラス202には読取対象たる原稿203がその画像面を下方に向けて載置される。そして、図示しないプラテンカバーが原稿203をプラテンガラス202に向けて押さえる。
【0067】
キャビネット201の内部には、高速キャリッジ204と低速キャリッジ205が横方向に移動可能に配置されている。高速キャリッジ204には原稿203を照射する有機ELアレイ露光ヘッド206(以上に説明した何れかの態様に係る発光装置10)と反射鏡207が搭載されており、低速キャリッジ205には二つの反射鏡208,209が搭載されている。これらの有機ELアレイ露光ヘッド206および反射鏡207,208,209は図20の紙面垂直方向(主走査方向)に延びている。また、有機ELアレイ露光ヘッド206は、複数の発光素子30の配列方向が主走査方向に沿うように設置される。
【0068】
また、キャビネット201の内部の固定位置には、原稿読み取り器210が配置されている。この原稿読み取り器210は、結像レンズ212と、多数の感光画素(電荷結合素子)から構成されるラインセンサ(受光装置)213を備える。ラインセンサ213は図20の紙面垂直方向(主走査方向)に延びており、複数の感光画素の配列方向が主走査方向に沿うように設置される。
【0069】
有機ELアレイ露光ヘッド206(発光装置10)から発した光は、プラテンガラス202を透過して原稿203の下面で反射する。原稿203からの反射光は、プラテンガラス202を透過し、反射鏡207〜209で反射した後、結像レンズ212によりラインセンサ213で結像する。高速キャリッジ204は横方向に移動して、原稿203の全面が有機ELアレイ露光ヘッド206で照射されるようにし、低速キャリッジ205は高速キャリッジ204の半分の速度で移動して、原稿203からラインセンサ213に到る反射光路の長さを一定に維持する。
【0070】
なお、本発明の発光装置が採用される画像読取装置の構成は図20に示したものに限られない。例えば、照明装置としての発光装置10とともに受光装置が移動してもよいし、受光装置および発光装置10とがともに固定されたうえで読取対象が移動して読み取られるようにしてもよい。
【0071】
また、本発明に係る発光装置が適用される電子機器は画像印刷装置や画像読取装置に限定されない。例えば、各種の電子機器における表示装置や照明装置としても本発明の発光装置が採用される。このような電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯型情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。これらの電子機器には、複数の発光素子を面状に配列した発光装置が好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図2】発光装置の構成を示す断面図である。
【図3】発光装置のうち集束性レンズアレイに対向する表面の構成を示す平面図である。
【図4】発光層からの出射光が反射層の凹面にて反射する様子を示す断面図である。
【図5】第1の製造方法にて基板上に発光素子が形成された様子を示す断面図である。
【図6】第1の製造方法のうち光透過部材が形成される工程を示す断面図である。
【図7】第1の製造方法のうち反射層が形成される工程を示す断面図である。
【図8】第2の製造方法のうち板材の表面にレジストが形成される工程を示す断面図である。
【図9】第2の製造方法のうち板材がエッチングされる工程を示す断面図である。
【図10】第2の製造方法によって作成される基材の形状を示す断面図である。
【図11】第2の製造方法のうち基材の表面に反射層が形成される工程を示す断面図である。
【図12】第2の製造方法のうち基材の窪みに樹脂材料が充填される工程を示す断面図である。
【図13】第2の製造方法にて基材の窪みに光透過部材が形成された様子を示す断面図である。
【図14】変形例1に係るトップエミッションタイプの発光装置の構成を示す断面図である。
【図15】変形例3に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図16】変形例3に係る他の発光装置のうち反射層の凹面の形状を示す斜視図である。
【図17】変形例4に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図18】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図19】本発明に係る発光装置を利用した他の画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図20】本発明に係る発光装置を利用した画像読取装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10……発光装置、15……集束性レンズアレイ、110……感光体ドラム、20……基板、21……下地層、22……絶縁層、23……隔壁、30……発光素子、31……陽極、32……正孔注入層、33……発光層、34……陰極、40……基材、401……窪み、41……反射層、411……凹面、42……光透過部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光透過性を有する第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に介在する発光層と、
前記第1電極を挟んで前記発光層の反対側に配置されて凹面が前記発光層に対向する凹面鏡と
を具備する発光装置。
【請求項2】
表面に窪みが形成された基材を具備し、
前記凹面鏡は、前記基材の窪みの内面を覆う反射層の表面である
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記反射層は、前記基材の表面のうち前記窪みとそれ以外の平面部とを覆う導電性の膜体であり、前記平面部を覆う部分が前記第1電極に導通する
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
光透過性を有する材料によって前記凹面鏡の凹面内に形成された光透過部材を具備する
請求項1から請求項3の何れかに記載の発光装置。
【請求項5】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
前記像担持体の帯電された面に前記発光層からの光を照射して潜像を形成する請求項1から請求項4の何れかに記載の発光装置と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と
を具備する画像印刷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れかに記載の発光装置と、
前記発光装置から出射して読取対象で反射した光を電気信号に変換する受光装置と
を具備する画像読取装置。
【請求項7】
各々が光透過性を有する第1電極および第2電極と、両電極の間に介在する発光層とを具備する発光装置を製造する方法であって、
前記発光層とは反対側に突出する光透過部材を、当該発光層に対応する位置に、光透過性を有する材料によって形成する第1工程と、
光反射性を有する膜体を前記光透過部材の表面に形成することにより、前記光透過部材の表面と略相似な凹面を有する凹面鏡を形成する第2工程と
を有する発光装置の製造方法。
【請求項8】
各々が光透過性を有する第1電極および第2電極と、両電極の間に介在する発光層とを具備する発光装置を製造する方法であって、
基材の表面に窪みを形成する第1工程と、
光反射性を有する材料によって前記窪みの内面を覆う膜体を形成することにより、前記窪みの内面と略相似な凹面を有する凹面鏡を形成する第2工程と、
前記膜体を挟んで前記基材の反対側にて前記凹面鏡に対向する位置に発光素子を配置する第3工程と
を有する発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記凹面鏡の凹面内に光透過性を有する材料を充填する工程
を有する請求項8に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−221902(P2006−221902A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32776(P2005−32776)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】