説明

発光装置および照明装置

【課題】発光装置の発光面側全面から発光しているように見える発光装置および照明装置を提供する。
【解決手段】発光装置は、上側主面に発光素子2が収容される凹部1cが設けられた基体1と、凹部1cに搭載された発光素子2と、凹部1cの内側に発光素子2を覆うように設けられた封止透光性部材6と、発光素子2の上方に配置された蛍光体を含有するシート状透光性部材5と、を具備して成り、シート状透光性部材5を基体1の上側主面から上方に突出するように設置するとともに、基体1の上側主面からシート状透光性部材5の側面にかけて接合透光性部材7が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子が発する光を蛍光体で波長変換し、外部に放射する発光装置および照明装置に関し、発光装置の発光面側全面を光らせる発光装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)等を用いた発光装置を照明用として利用する動きがある。
【0003】
従来の発光ダイオード等の発光素子が発する光を枠体の内周面で良好に反射させ外部に均一に効率よく放射させる発光装置を図9に示す。図9において、発光装置は、上面に発光素子12の搭載部11aを有する絶縁体から成る基体11と、基体11の上面外周部に搭載部11aを取り囲むように接合されるとともに、内周面13bが発光素子12から発光される光を反射する反射面とされている枠状の反射部材13と、反射部材13の内側に発光素子12を被覆するように形成された封止透光性部材16と、封止透光性部材16を被覆するように設けられ、蛍光体が内部に層状に偏在しているシート状透光性部材15と、搭載部11aに載置固定された発光素子12とから構成されている。
【0004】
枠体13は、上側開口が下側開口より大きい貫通孔とされることによって、貫通孔の内周面13bは、上方に向かって外側に広がる傾斜面とされ、発光素子12から発光される光を上方に反射する反射面とされている。
【0005】
以上により、発光素子12から発光される光を反射部材13の内周面13bで良好に反射させるとともに、シート状透光性部材15内に導き、シート状透光性部材15に含まれる蛍光体によって変換した所望の波長の光を外部に放射させ得る高輝度な発光装置が構成されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−93399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シート状透光性部材15の全面から均一に蛍光が放出されたとしても、シート状透光性部材15の周囲の反射部材13の上側主面からは蛍光が放出されないため、シート状透光性部材15の周囲に影が生じてしまい、発光装置の上面全体で発光しているように見えないという問題点があった。すなわち、複数個の発光装置を隣接するようにして配置し照明装置とした際、照明装置の発光面全体が均一に発光しているように見えず、点状の光の集まりに見えてしまうという問題点がある。
【0008】
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光装置の発光面側全面から発光しているように見える発光装置および照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置は、上側主面に発光素子が収容される凹部が設けられた基体と、前記凹部に搭載された発光素子と、前記凹部の内側に前記発光素子を覆うように設けられた封止透光性部材と、前記発光素子の上方に配置された蛍光体を含有するシート状透光性部材
を具備して成り、前記シート状透光性部材を前記基体の上側主面から上方に突出するように設置するとともに、前記基体の上側主面から前記シート状透光性部材の側面にかけて接合透光性部材が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光装置は、発光装置の上面全体が発光しているように見える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の発光装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の発光装置のX−X’面における実施の形態の例を示す断面図である。
【図3】図1の発光装置のX−X’面における実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図5】本発明の照明装置の実施の形態の一例を示す上面図である。
【図6】本発明の照明装置の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図7】本発明の照明装置の実施の形態の一例を示す回路図である。
【図8】本発明の発光装置から放出される光束を計測した結果を示す線図である。
【図9】従来の発光装置の実施の形態の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発光装置および照明装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の発光装置の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1の発光装置のX−X’面における縦断面図、図3は図1の発光装置のX−X’において実施の形態の他の例を示す縦断面図である。図4は本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す上面図である。また、図5は本発明の照明装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、図6は本発明の照明装置の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【0013】
これらの図において、1は基体、1aは基体1の底部、1bは基体1の側壁部、1cは基体1の凹部、1dは側壁部1bの内周面、1eは凹部1cに設けられた発光素子2が載置される発光素子2の搭載部、1fは基体1(側壁部1b)の上側主面、3は段差部、3aは段差部3の内底面、3bは段差部3の内側面、1gは面取り部、5は蛍光体を含有するシート状透光性部材、5aはシート状透光性部材5の外周側面、6は封止透光性部材、7は接合透光性部材、8は空隙、9は凸部、10は凹部である。主として基体1,発光素子2およびシート状透光性部材5で発光素子2から発せられる光が外部に放射される本発明の発光装置および照明装置が構成される。
【0014】
本発明の発光装置は、図1〜3に示すように、上側主面に発光素子2が収容される凹部1cが設けられた基体1と、凹部1cに搭載された発光素子2と、発光素子2の上方に配置された蛍光体を含有するシート状透光性部材5とを具備して成り、平面視において、シート状透光性部材5の大きさが基体1の大きさよりも小さく、シート状透光性部材5が基体1の上側主面3aから上方に突出するように設置されることにより、シート状透光性部材5の外周側面が凹部1cの周囲の基体1の上側主面1fに面しているものである。
【0015】
本発明における基体1は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、エポキシ樹脂等の樹脂、または金属等から成る。また、基体1は凹部1c内の凹部1cの底面に発光素子2を載置する搭載部1eを有しており、搭載部1eには発光素子2の電極が電気的に接続されるタングステン(W),モリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等から成る金属を主成分とする導体層による接続パッド1hや、銅(Cu),鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子が樹脂と一体にモールド成型された接続パッド1h
が導出されている。
【0016】
接続パッド1hの上面には発光素子2の電極が半田等の電気接続手段を介して電気的に接続される。接続パッド1hは、基体1内部に形成された配線導体(図示せず)を介して発光装置の外表面に導出され、さらに外部電気回路基板に接続されることにより、発光素子2と外部電気回路とが電気的に接続されることとなる。
【0017】
発光素子2には、LED(Light Emitting Diode),レーザーダイオード(LD),エレクトロルミネッセンス(EL)素子,その他の固体発光素子等が用いられる。
【0018】
発光素子2を接続パッド1hに接続する方法としては、ボンディングワイヤを介して接続する方法、または、発光素子2の下面で金属ボール、半田バンプ等の電気接続手段により接続するフリップチップボンディング方式を用いた方法等が用いられる。好ましくは、図2,図3に示すように、フリップチップボンディング方式により接続するのがよい。これにより、接続パッド1hを発光素子2の直下に設けることができるため、発光素子2の周辺の基体1の上面に接続パッド1hを設けるためのスペースを設ける必要がなくなる。よって、発光素子2から発光された光がこの基体1の接続パッド1hで吸収されて軸上光度が低下するのを抑制することができる。
【0019】
この接続パッド1hとなる導体層は、例えば、W,Mo,Cu,Ag等の金属粉末のメタライズ層を基体1の表面および内部に形成することによって、または、Fe−Ni−Co合金等のリード端子を基体1に埋設し一端を搭載部1eに露出させることによって、または、導体層が形成された絶縁体から成る入出力端子を金属等から成る基体1に設けた貫通孔に嵌着接合させることによって設けられる。
【0020】
なお、接続パッド1hの露出する表面には、Niや金(Au)等の耐食性に優れる金属を1〜20μm程度の厚さで被着させておくのが良く、接続パッド1hの酸化腐食を有効に防止し得るともに、発光素子2と接続パッド1hとの接続を強固にし得る。従って、接続パッド1hの露出表面には、例えば、厚さ1〜10μm程度のNiメッキ層と厚さ0.1〜3
μm程度のAuメッキ層とが電解メッキ法や無電解メッキ法により順次被着されているのがより好ましい。
【0021】
また、基体1は、底部1aおよび側壁部1bを別体として作製し、これらを接合したものとして形成してもよい。この場合、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、エポキシ樹脂等の樹脂、または金属等から成る平板状の底部1aの上面には、側壁部1bがエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の接合材4、または、金属ロウ材等の接合材4により取着される。好ましくは、接合材4が樹脂接着剤から成るのがよく、接合材4が弾力性のある樹脂接着剤から成ることにより、接合材4が底部1aと側壁部1bとの熱膨張の差を吸収緩和し、底部1aまたは側壁部1bにクラック等の破損が発生することを防止できる。
【0022】
側壁部1bは、中央部に貫通孔が上方の外側に向かって傾斜面となるように形成されているとともに、貫通孔の内周面3bが発光素子2の発する光を反射する反射面とされている。そして、内周面3bが発光素子2を取り囲むように底部1a上面に取着される。
【0023】
側壁部1bは、金属やセラミックス,樹脂等から成り、切削加工や金型成形等を行なうことにより形成される。さらに、貫通孔の内周面3bに形成される反射面は、光を反射するものであれば特に限定されないが、より高い反射率とするために、貫通孔の内周面3bを研磨したり、金型を押し付ける等によって平滑化したり、あるいは、貫通孔の内周面3bに、例えば、メッキや蒸着等によりAl,Ag,Au,白金(Pt),チタン(Ti)
,クロム(Cr),Cu等の高反射率の金属薄膜層を形成することにより反射面が形成される。なお、平面視における貫通孔の形状は、多角形,円形,楕円形のいずれでもよい。
【0024】
反射面となる内周面3bは、例えば、縦断面形状が、上側に向かうにともなって外側に広がった図2,図3に示すような直線状の傾斜面、上側に向かうにともなって外側に広がった曲面状の傾斜面、例えば、発光素子2位置が焦点位置となる放物面、あるいは途中で傾斜角度の変化する直線状の傾斜面等の形状が挙げられる。
【0025】
図1〜3に示すように、基体1の上側主面1fには蛍光体を含有するシート状透光性部材5が凹部1cの開口を覆うように載置される。シート状透光性部材5の平面視における大きさは基体1の外周の平面視における大きさよりも小さく、したがって、シート状透光性部材5の外周側面5aから外側の全周には基体1の上側主面1fが露出して配置される。また、シート状透光性部材5は基体1の上側主面1fから突出するように載置される。これによって、シート状透光性部材5の外周側面5aは、少なくともその一部が上側主面1fよりも上方になるように配置され、さらに外周側面5aと上側主面1fとは略直角に向かい合うように面している。このように、シート状透光性部材5の外周側面5aから放射された光によってシート状透光性部材5の周囲の基体1の上側主面1fが照射されるように配置されているため、上側主面1fに照射された光は、その後上方に反射され、シート状透光性部材5の周囲に影が生じないようにすることができる。
【0026】
シート状透光性部材5は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂に発光素子2が発する光により励起されて長波長の蛍光に変換する蛍光体を含有させたものである。シート状透光性部材5は、金型によるモールド成型で、平面視における基体1の上側主面1fの外周形状と相似形のシート状に成形する、または、シート状透光性部材5となるシート状の透明樹脂をあらかじめ準備し、打ち抜き金型を用い打ち抜き加工を施すことによってシート状透光性部材5を上側主面1fの外周形状と相似形に形成する。そして、このシート状のシート状透光性部材5を基体1の上側に載置して固定することにより枠状の側壁部1bの上側主面1fに設置する。シート状透光性部材5の平面視形状を側壁部1bの上側主面1fの平面視形状と相似形とすることにより、発光装置の周囲に生じる影を少なくすることができる。
【0027】
ここで、シート状透光性部材5は一定厚みにされるとともに粒状の蛍光体が均一に分散されているのが望ましい。これにより、発光素子2が発する光を蛍光体により長波長側に効率よく波長変換し、所望の波長スペクトルを有する光とすることができる。また、蛍光体は、発光素子2が発する光の一部を隣接する蛍光体に散乱するので、シート状透光性部材5から均一な蛍光を放射させることができる。そして、蛍光体によって波長変換された光は、蛍光体から四方八方に放射され、シート状透光性部材5の外周側面5aからも全方位に向けて放射される。
【0028】
なお、本発明の目的から、基体1の少なくとも上側主面1fは、シート状透光性部材5に含まれる蛍光体の蛍光色に対して白色とするのが好ましい。すなわち、上側主面1fは、シート状透光性部材5が発する蛍光を吸収せずにできるだけ効率的に反射する面とする。また、発光装置から発せられる光は、発光素子2の直射光を殆ど含まないようにするのがよい。すなわち、発光装置から発せられる光は、シート状透光性部材5に含まれる蛍光体により発せられる蛍光であるのが好ましく、例えば、白色発光装置の場合は、シート状透光性部材5に赤,青,緑等の光の3原色を発する蛍光体を含ませる。そして、青色光または紫外光を発する発光素子2を用いて、蛍光体により長波長側に波長変換させる。
【0029】
そして、好ましくは、シート状透光性部材5の周囲に露出される基体1の上側主面1fの幅寸法Bは、全周にわたって均等にするのがよい。これによって、シート状透光性部材
5の周囲に枠状に配置される上側主面1fの輝度を、上側主面1fの周方向において、均一なものとできる。なお、幅寸法Bが全周にわたって均等とは、輝度の差が目立たない程度に一定の幅寸法にすればよいということである。
【0030】
さらに好ましくは、図1,図2,図3において、シート状透光性部材5の上側主面1fからの突出寸法Aを、シート状透光性部材5の周囲に全周にわたって露出した上側主面1fの幅寸法Bの0.75倍以上とするのがよい。
【0031】
図8は、上側主面1fの幅寸法Bに対してシート状透光性部材5の突出寸法Aを変化させたときの、本発明の発光装置の発光面側(上方)へ放射される光の光束を計測した結果を示す。図8は、突出寸法Aが大きくなるにしたがってシート状透光性部材5の外周側面5aから放射され、基体1の上側主面1fで反射される光の量が増えるので、突出寸法Aが幅寸法Bと同じ程度になるまで光束が増大し、突出寸法Aが幅寸法Bを超えてさらに大きくなると、やがて上側主面1fで反射されず、発光装置の上方へ向かわない光が増えてくるので、光束が次第に減少するという関係を示していると考えられる。
【0032】
そして、図8の示す結果から、上側主面1fの幅寸法Bに対して突出寸法Aが0.75倍のときに最大光束1.32(lm)に対して視覚上は殆ど差を感じない1.31(lm)に達することが分かる。したがって、上側主面1fの幅寸法Bに対して突出寸法Aが0.75倍以上とすることによって、実用上、発光面側から均一に面発光しているように見える発光装置とできることが分かる。0.75倍を境に突出寸法Aが減少するにしたがって急激に光束は小さくなる傾向にある。そして、突出寸法Aが幅寸法Bの2倍の大きさになるまでの範囲において、好適に用いることができる。さらに、突出寸法Aの寸法が幅寸法Bと等しい寸法以上であり、1.4倍以下の範囲とすれば、より好ましい発光装置とできる。
【0033】
これによって、図1に示すように、蛍光体を含有するシート状のシート状透光性部材5の外周側面5aから放射された光が、シート状透光性部材5の周囲にシート状透光性部材を取り囲むように枠状に配置された上側主面1fで全方向に向けて反射され、上方から発光装置を見たときに、発光装置の周囲に影が生じることなく発光装置の上面全面で均一に発光しているように見える発光装置とできる。
【0034】
また、図3に示すように、基体1の上側主面1fと内周面1dとの間に段差部3を形成するのがよい。蛍光体を含有するシート状透光性部材5を段差部3cの内底面3aに載置するようにすると、シート状透光性部材5を段差部3の内側面3bによって位置合わせしやすくなる。蛍光体を含有するシート状透光性部材5を基体1の上側主面1fに設置した
際に、シート状透光性部材5が面方向に位置ズレすると、シート状透光性部材5を透過してシート状透光性部材5の上方に漏れ出す発光素子2からの直接光の分布が不均等になり、色調異常を発生させる場合がある。
【0035】
この段差部3は、内底面3aが基体1の上側主面1fと平行に形成されるとともに、内側面3bが内底面3aに対して垂直に形成される。すなわち、段差部3が内周面3bを直角に切り欠くようにして形成されることによって、シート状透光性部材5の外周側面5aを段差部3の内側面3bに沿うようにして落とし込めば、シート状透光性部材5を段差部3の内側面3bによって正確に位置合わせ可能で、底面3a上に載置される。
【0036】
また、このような段差部3が形成されていることによって、基体1の凹部1cに封止透光性部材6を注入する場合、封止透光性部材6は段差部3の内底面3aを目印にして、内底面3aを越えないように凹部1cの内側に注入することができ、ディスペンサー等を用いて封止透光性部材6を注入する際の作業効率を改善できるとともに、封止透光性部材6
をほぼ正確に所定の量だけ注入することが可能となる。
【0037】
また、内周面1dの上側に段差部3が形成されることにより、内周面1d上を這い上がるように濡れ広がろうとする封止透光性部材6を内底面3aで阻止することができ、凹部1cの内側に注入される封止透光性部材6の上面の表面形状を安定させることができる。その結果、発光素子2から発光される光の封止透光性部材6の上面から放射される光の放射角度を一定にすることができるとともに、封止透光性部材6の上面から放射される光の出力がばらつくことなく光の放射強度を一定にできる。
【0038】
また、平面視において、内側面3bはシート状透光性部材5の外形よりも少し大きく形成される。内側面3bの隅は、互いに隣接する内側面3bの面の間に角ができないように円弧状や直線状等の面取り形状で結ぶ。そして、シート状透光性部材5を段差部3に載置した場合に、シート状透光性部材5の外周側面5aと段差部3の内側面3bとの間に空隙8が設けられ、シート状透光性部材5の角部において、段差部3の面取り形状に設けた隅と軽く接触させるようにするのがよい。空隙8は、動作温度範囲において熱膨張差によってシート状透光性部材5の外周側面と内側面3bとが接触しない大きさとし、例えば、段差部3の差し渡し寸法0.2mmに対し、0.05mm〜0.1mm程度とすればよい。
【0039】
これによって、シート状透光性部材5を段差部3の上面から挿入すれば、シート状透光性部材5を容易に位置合わせすることができるとともに、発光素子2の作動時に発光素子2から発生する熱で基体1とシート状透光性部材5との間に熱膨張差が発生しても、この熱膨張差を空隙8で吸収させることができ、シート状透光性部材5に反り変形が生じたり、シート状透光性部材5が基体1から剥離したりするのを防止できる。また、シート状透光性部材5が圧縮されるように変形することもなく、内部に含まれる蛍光体密度が不均一になることもない。したがって、発光装置から放射される光に強度むらが生じるのを有効に防止することができる。
【0040】
段差部3および内底面3aは、基体1または基体1の側壁部1bと一体に設けられ、基体1または基体1の側壁部1bを作製する際に切削加工や金型成形等を行なうことにより形成される。または、側壁部1bを、段差部3を境に上下別体として作製し、これらを重ねて接合することによって形成される。
【0041】
好ましくは、図2,図3に示すように、凹部1c内に発光素子2を覆うように封止透光性部材6を配するのがよい。封止透光性部材6は、未硬化の液状のものをディスペンサー等の注入機で発光素子2の上面に注いだ後に硬化させることにより形成する。封止透光性部材6が設けられることにより、発光素子2を保護することができるとともに、発光素子2から発する光を外部へ導き出し易くすることができる。
【0042】
すなわち、封止透光性部材6が充填されていない場合、発光素子2から凹部1c内の空気中に光が放射されることとなり、発光素子2の屈折率と空気の屈折率との違いが大きく、発光素子2から発する光が発光素子2内部に戻ってしまう場合がある。封止透光性部材6が充填されている場合、封止透光性部材6は、発光素子2の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を持つので、発光素子2の発する光を発光素子2の外部へ導き出し易くできる。
【0043】
封止透光性部材6にはエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂、ゾルゲルガラス等から成る透明部材が用いられる。シート状透光性部材5と同じ材質であっても異なる種類の材質であってもよい。なお、シート状透光性部材5の上面から放射される光と、シート状透光性部材5の外周側面5aから放射される光とが同じ強度の同じ色であるようにするのが好ましいので、蛍光体は、シート状透光性部材5にのみ含ませるのが好ましく、封止
透光性部材6は透明な樹脂やガラスである方がよい。
【0044】
ここで、好ましくは、封止透光性部材6の厚みは発光素子2の厚みの2倍以上であるのがよい。これにより、発光素子2の表面に確実に封止透光性部材6が設けられ、発光素子2の発する光を発光素子2の外部へ導き出し易くできる。封止透光性部材6の厚みが発光素子2の厚みの2倍未満である場合、ディスペンサー等の注入機で発光素子2の上面に注ぐ際に生じる量のばらつきにより、発光素子2の表面に封止透光性部材6が設けられないという問題が生じるおそれがある。
【0045】
さらに、図2,図3に示すように、蛍光体を含有するシート状透光性部材5が外周側面5aにおいて基体1の上側主面1fに、接合透光性部材7により固定されているのがよい。シート状透光性部材5が基体1の上側主面1fに、接合透光性部材7によって強固に固定されるとともに、接合透光性部材7が、蛍光体を含有するシート状透光性部材5の外周側面5aから発する光をシート状透光性部材5の周囲の全周にわたって配される上側主面1fに導く作用を為す。したがって、上側主面1fに照射される光量が増し、上側主面1fを明るく見せることができる。
【0046】
また、シート状透光性部材5の突出寸法Aと上側主面1fの幅寸法Bとを同程度の寸法とした場合は、接合透光性部材7の表面は、シート状透光性部材5の外周側面5a上端から上側主面1fの外周端にかけて、平均45°の傾斜面となり、シート状透光性部材5の外周側面5aから発する光を上側主面1fに導光する効果を高めることができる。
【0047】
なお、接合透光性部材7には、蛍光体を含有させないのが好ましい。これは、接合透光性部材7に蛍光体を含有させると、接合透光性部材7を基体1の上側主面1fに注ぐ際に、沈殿等の色調変化をおこし、色調バラツキが起き易くなってしまうからである。また、沈殿することを考慮に置き、時間を置き硬化させる方法もあるが、未硬化の接合透光性部材7が基体1の外周部に流れてしまい、結果として色調バラツキが生じてしまうこともある。
【0048】
本発明の発光装置において、図4に示すように、基体1は、平面視における基体1の外周角部の少なくとも1箇所に面取り部1gが設けられているのがよい。これは、発光装置を外部電気回路基板に実装する際に、外部電気回路基板に設けられた正極および負極の電極に対して発光装置の実装方向を容易に判別する目印とするためである。面取り部1gは、基体1の外周角部の一箇所に設ければ十分である。
【0049】
また、図4に示すように発光装置は、平面視における基体1の外周形状が、対向する辺が平行な多角形、例えば、長方形,正方形または六角形等であるのがよい。これにより、複数個の発光装置を隣接させて隙間なく敷き詰めるように配列させて駆動部に搭載することができ、面発光照明装置とすることができる。
【0050】
本発明の照明装置は、発光装置が搭載され発光装置を駆動する電気配線を有する基板と、複数個が隣接するように配列されて基板上に実装された上記構成の発光装置とを備えている。これにより、発光素子が配列された方向に発光面全面が均一に発光する面発光照明装置とすることができる。
【0051】
例えば、図5に示すように、複数個の発光装置が回路基板等の駆動部に列状に配置された場合、発光装置の列に沿って、連続的な線状の光源が点灯しているように見えるようになる。なお、発光装置の実装を実装機で行なう場合、発光装置同士の間に若干のスペースを設ける必要がある。
【0052】
また、図6に示すように基体1の外周部の一辺に凸部9を設け、この一辺に対向する平行な辺に凹部10を設け、そして、この発光装置を複数個一列に配列するとともに、凹部10に隣接する発光装置の凸部9を嵌合させるように配列することにより、発光装置を列状に連結するのが容易となる。また、凸部9および凹部10は、発光装置の実装方向を判定する目印としても用いることができる。
【0053】
さらに、これら一列に配列した発光装置を複数列隣接するように配置すれば、平面状に発光するように見える照明装置とすることもできる。また、図5,図6において、発光装置の外周形状が四角形の場合を示したが、例えば、六角形とし、一辺およびそれに隣接する2辺に凸部9を設け、これら辺に対向する2辺に凹部10を設け、これら凸部9および凹部10を嵌合させるように平面状に敷き詰めるように配列して用いることもできる。このように六角形状の発光装置を配列させた場合、いわゆる千鳥配置のように、一列に配列された各発光装置が隣接する列に配列される各発光装置の間に配置されることになり、より均一な面発光であるように見える照明装置とすることができる。
【0054】
また、図5,図6に示す照明装置において、暖色系の光を発光する発光装置(暖色系発光装置)と昼光色系の光(やや青みを帯びたように見える光)を発光する発光装置(昼光色系発光装置)とが交互に並ぶようにして配置してもよい。この場合、暖色系発光装置と昼光色系発光装置とが、例えば、図7に示すような回路に接続される。そして、GND1のスイッチを入れることで昼光色系発光装置が発光し、GND2のスイッチを入れることで暖色系発光装置が発光する。また、GND1とGND2の両方のスイッチを入れることで昼光色系発光装置と暖色系の発光装置の両方が発光し、昼光色系と暖色系との中間色が発光しているように見える。即ち、図7に示すような回路とされることで、3パターンの色調での発光が可能な照明装置となる。
【0055】
なお、図5〜図7において、Dはダイオード、Rは抵抗を示す。ダイオードDは、図7に示すように、順方向に接続された発光装置に対し逆方向に並列接続される。これにより、発光装置に過電圧が加わるのを防止して、発光装置に搭載されている発光素子2が電気的に破損するのを防止する。また、図7に示すように抵抗Rが発光装置と直列接続されていることにより、発光装置に流れる電流を安定なものとし、発光装置の発光強度を一定のものとすることができる。
【0056】
暖色系発光装置と昼光色系発光装置は、シート状透光性部材5に含有される蛍光体の配合を変えることによって製造することができる。また、蛍光体を赤,青,緑色の蛍光色を発光する発光装置を用いることにより、本発明の照明装置をカラーディスプレイとすることもできる。
【0057】
また、照明装置は、発光面となる発光装置のシート状透光性部材の上方に、透明な紫外線カットフィルム(図示せず)を発光装置を覆うように設けるとよい。これによって、発光素子から発せられる光に含まれる紫外線を遮蔽することができる。例えば、紫外線カットフィルムを設けた照明装置を展示用照明器具として用いることによって、展示物に日焼け等の紫外劣化が生じるのを防止することができる。
【0058】
このような照明装置としては、例えば、室内や室外で用いられる、一般照明用器具、シャンデリア用照明器具、住宅用照明器具、オフィス用照明器具、店装,展示用照明器具、街路灯用照明器具、誘導灯器具および信号装置、舞台およびスタジオ用の照明器具、広告灯、照明用ポール、水中照明用ライト、ストロボ用ライト、スポットライト、電柱等に埋め込む防犯用照明、非常用照明器具、懐中電灯、電光掲示板等や、調光器、自動点滅器、ディスプレイ等のバックライト、動画装置、装飾品、照光式スイッチ、光センサ、医療用ライト、車載ライト等が挙げられる。
【0059】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を行なうことは何等支障ない。
【0060】
また、上記実施の形態の説明において上下左右という用語は、単に図面上の位置関係を説明するために用いたものであり、実際の使用時における位置関係を意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1:基体
1a:底部
1b:側壁部
1c:凹部
1d:内周面
1e:搭載部
1f:上側主面
1g:面取り部
2:発光素子
3:段差部
3a:(段差部の)内底面
3b:(段差部の)内側面
5:シート状透光性部材
5a:(シート状透光性部材の)外周側面
6:封止透光性部材
7:接合透光性部材
8:空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側主面に発光素子が収容される凹部が設けられた基体と、
前記凹部に搭載された発光素子と、
前記凹部の内側に前記発光素子を覆うように設けられた封止透光性部材と、
前記発光素子の上方に配置された蛍光体を含有するシート状透光性部材とを具備して成り、
前記シート状透光性部材を前記基体の上側主面から上方に突出するように設置するとともに、
前記基体の上側主面から前記シート状透光性部材の側面にかけて接合透光性部材が配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記封止透光性部材が、前記シート状透光性部材と間をあけて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記封止透光性部材の上面が凹状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基体の凹部開口部に、凹部が外側に向けて拡がるように段差部が設けられ、前記段差部に前記シート状透光性部材が載置されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記シート状透光性部材の外周側面と、前記段差部の内側面との間に空隙が設けられていることを特徴とする請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
複数個が隣接するように配列された請求項1乃至請求項5記載の発光装置と、前記発光装置を駆動する電気配線を有する基板とを具備することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記発光装置の前記シート状透光性部材の上方に紫外線カットフィルムが設けられていることを特徴とする請求項6記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−69975(P2012−69975A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243190(P2011−243190)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−349197(P2006−349197)の分割
【原出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】