説明

発光装置および電子機器、発光装置の製造方法

【課題】薄膜封止が行なわれる発光装置において発光素子の導電性が低下することを抑制する。
【解決手段】第1基板10と、第1基板10上に形成された光反射層14と、光反射層14上に形成されて透過性を有する第1電極16と、第1電極16上に形成された発光機能層18と、発光機能層18上に形成されて半透過反射性を有する第2電極20と、第2電極20上に形成されて当該第2電極20への応力を緩和するための応力緩和層22と、応力緩和層22上に形成されて無機材料からなるパシベーション層24と、を具備し、第2電極20はMgAgからなり、当該第2電極20を形成するMgおよびAgの蒸着速度比は、1:3〜1:50の範囲であることを特徴とする発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の発光素子を利用した発光装置、及びそのような発光装置を備えた電子機器、ならびに発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(electroluminescent)素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(organic light emitting diode、以下「OLED」という)素子などの発光素子を用いた発光装置が各種提案されている。このような発光装置においては、基板上に設けられた発光素子に外気や水分等が浸入して当該発光素子が劣化することを防ぐために封止が行なわれる。この封止の技術として、極薄の無機化合物膜で発光素子を覆う薄膜封止技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成された発光機能層と、発光機能層上に形成された第2電極としての陰極と、陰極上に形成されて無機材料からなるパシベーション膜とを備える発光装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−332019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、陰極がMgAgで形成される場合、Ag原子間には互いに結合しようとする力(凝集しようとする力)が働くから、陰極におけるAgの含有率が高くなると、Ag原子同士の凝集によって凹凸部が発生する。このような場合において、無機化合物膜が陰極上に形成されると、当該無機化合物膜の荷重が陰極に与えられる。そして、陰極上の凹凸部に対する応力が過大になると、陰極が破損してしまい、発光素子の導電性が著しく低下するという問題があった。
【0005】
また、無機化合物膜の成膜時の加重から保護するための応力緩和層を形成する場合、材料の選択によっては発光装置として黒を表示する場合に僅かに発光してコントラストを低下させる可能性があるという問題があった。
【0006】
このような事情を背景として、本発明は、薄膜封止が行なわれる発光装置において発光素子の導電性が低下することを、コントラストを低下させることなく解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に形成された光反射層と、光反射層上に形成されて透過性を有する第1電極と、第1電極上に形成された発光機能層と、発光機能層上に形成されて半透過反射性を有する第2電極と、第2電極上に形成されて当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、応力緩和層上に形成されて無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、第2電極はMgAgからなり、当該第2電極を形成するMgおよびAgの原子数比は、1:3〜1:50の範囲であることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、第2電極を形成するMgおよびAgの原子数比が1:3〜1:50の範囲内であるために第2電極におけるAgの含有率が高く、Ag原子同士の凝集によって凹凸部が発生する。また第2電極とその上に形成するパシベーション層とは材質が異なる為、熱膨張係数などの物理定数が異なる。従ってこれらの層の間には応力が発生してしまう。とくにAg比率が高まると応力が大きくなり、この応力が膜剥がれを生じ、さらには導通不良を起こし、点灯不良となる。しかしながら、本発明においては、第2電極は応力緩和層によって覆われ、当該応力緩和層上にパシベーション層が形成されるから、パシベーション層の荷重は応力緩和層に分散される。これにより、応力による第2電極の破損を抑制できる。従って、発光素子の導電性が低下することを抑制できる。
【0010】
[適用例2]本発明に係る発光装置として、発光機能層は、電子注入層を含み、応力緩和層は、電子注入層と同じ材料からなる態様とすることができる。より具体的には、応力緩和層は、LiF、Li2O、Liq、MgO、MgF2、CaF2、SrF2、NaF、WFの何れかからなる態様とすることができる。
【0011】
[適用例3]本発明に係る発光装置において、第2電極の膜厚を10nm〜30nmの範囲に設定することが好適である。これは、第2電極の膜厚が10nmより薄いと、当該第2電極の抵抗値が増大してしまうために十分な導電性を得ることができず、30nmより厚いと第2電極の透過性を十分に確保することができないためである。
【0012】
[適用例4]本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に形成された光反射層と、光反射層上に形成されて透過性を有する第1電極と、第1電極上に形成された発光機能層と、発光機能層上に形成された電子注入層と、電子注入層上に形成されて当該電子注入層を形成する電子注入材料を還元するための還元性金属材料からなる還元層と、還元層上に形成されて半透過反射性を有する第2電極と、第2電極上に形成されて当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、応力緩和層上に形成されて無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、第2電極はAgのみからなることを特徴とする。
【0013】
本発明では、還元性金属材料からなる還元層を第2電極の下地とすることにより、Ag原子同士が凝集して島状になることを抑制できるから、第2電極を連続性のある膜とすることができる。また、当該第2電極は応力緩和層によって覆われ、当該応力緩和層上にパシベーション層が形成されるから、応力による第2電極の破損を抑制できる。
【0014】
[適用例5]本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に形成された光反射層と、光反射層上に形成されて透過性を有する第1電極と、第1電極上に形成された発光機能層と、発光機能層上に形成されるとともに電子注入材料と当該電子注入材料を還元するための還元性金属材料とが混合された混合層と、混合層上に形成されて半透過反射性を有する第2電極と、第2電極上に形成されて当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、応力緩和層上に形成されて無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、第2電極はAgのみからなることを特徴とする。
【0015】
本発明では、電子注入材料と当該電子注入材料を還元するための還元性金属材料とが混合された混合層を第2電極の下地とすることにより、Ag原子同士が凝集して島状になることを抑制できるから、第2電極を連続性のある膜とすることができる。また、当該第2電極は応力緩和層によって覆われ、当該応力緩和層上にパシベーション層が形成されるから、応力による第2電極の破損を抑制できる。
【0016】
[適用例6]本発明に係る発光装置として、応力緩和層は電子注入材料からなる態様とすることができる。この態様において、応力緩和層は、LiF、Li2O、Liq、MgO、CaF2、SrF2、NaF、WFの何れかで形成することができる。より具体的には、応力緩和層はLiFからなり、還元性金属材料はAlからなる態様とすることができる。
【0017】
[適用例7]本発明に係る発光装置において、第2電極の膜厚を10nm〜30nmの範囲に設定することが好適である。これは、第2電極の膜厚が10nmより薄いと、当該第2電極の抵抗値が増大してしまうため十分な導電性を得ることができず、30nmより厚いと第2電極の透過性を十分に確保することができないためである。
【0018】
[適用例8]本発明に係る発光装置の製造方法は、基板上に光反射層を形成する工程と、光反射層上に第1電極を形成する工程と、第1電極上に発光機能層を形成する工程と、発光機能層上に第2電極を形成する工程と、第2電極上に応力緩和層を形成する工程と、応力緩和層上にパシベーション層を形成する工程と、を備え、発光機能層上に第2電極を形成する工程では、MgとAgとを発光機能層上に共蒸着させて第2電極を形成し、MgおよびAgの蒸着速度比は、1:3〜1:50の範囲であることを特徴とする。
【0019】
[適用例9]本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に形成された光反射層と、上記光反射層上に形成された透過性を有する第1電極と、上記第1電極上に形成された発光機能層と、上記発光機能層上に形成された半透過反射性を有する第2電極と、上記第2電極上に形成された当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、上記応力緩和層上に形成された無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、上記第2電極はAgを原子数比において75%以上含む合金からなり、上記応力緩和層は仕事関数が4.2V以上かつAg以外の材料からなる、ことを特徴とする。
【0020】
このような構成の発光装置であれば、黒表示時のコントラストの低下を抑制しつつ、パシベーション層形成時の応力等による第2電極の破損を抑制でして、発光素子の導電性が低下することを抑制できる。なお、上記の「Ag以外の材料」とは、金属のみでなく誘電体も含まれる。
【0021】
[適用例10]本発明に係る発光装置において、上記応力緩和層は、Zn、Al、Au、SnO2、ZnO2、SiO2の何れかからなる態様とすることができる。
【0022】
かかる材料により応力緩和層を形成することで、黒表示時のコントラストの低下を充分に抑制して、発光装置の表示品質を向上できる。
【0023】
[適用例11]本発明に係る発光装置において、上記第2電極は、Mg、Cu、Zn、Pd、Nd、Alの何れかと、Agと、の合金からなる態様とすることができる。
【0024】
かかる構成によれば、非常に薄くかつ表面が平滑な膜層を形成できる。したがって、表面の反射性と導電性とを兼ね備えた第2電極を形成でき、発光装置の表示品質を向上できる。
【0025】
[適用例12]本発明に係る発光装置において、上記第2電極の膜厚は10nm〜30nmの範囲である、0nmの範囲に設定することが好適である。
【0026】
これは、第2電極の膜厚が10nmより薄いと、当該第2電極の抵抗値が増大してしまうため十分な導電性を得ることができず、30nmより厚いと第2電極の透過性を十分に確保することができないためである。
【0027】
[適用例13]本発明に係る発光装置の製造方法は、基板上に光反射層を形成する工程と、上記光反射層上に透過性を有する第1電極を形成する工程と、上記第1電極上に発光機能層を形成する工程と、上記発光機能層上に半透過反射性を有する第2電極を形成する工程と、上記第2電極上に当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層を形成する工程と、上記応力緩和層上に無機材料からなるパシベーション層を形成する工程と、を含む発光装置の製造方法であって、上記応力緩和層を形成する工程は、該応力緩和層を蒸着法により形成する工程であり、上記パシベーション層を形成する工程は、該パシベーション層をプラズマ発生装置を含む装置で形成する工程である、ことを特徴とする。
【0028】
かかる製造方法によれば、下地となる発光機能層及び第2電極にダメージを与えることを抑制でき、信頼性が向上した発光装置を得ることができる。
【0029】
[適用例14]本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器である。この種の機器としては、パーソナルコンピューターや携帯電話機などがある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の断面図。
【図2】サンプルが破損しているか否かを判定するための装置の平面図。
【図3】サンプルが破損しているか否かを判定するための装置の断面図。
【図4】サンプルの上にパシベーション層が直接形成された場合、サンプルの上にLiFからなる応力緩和層を介してパシベーション層が形成された場合の各々について、測定された抵抗値を示す図。
【図5】応力緩和層としてCaF2が採用された場合の測定結果を示す図。
【図6】応力緩和層としてLi2Oが採用された場合の測定結果を示す図。
【図7】応力緩和層としてMgF2が採用された場合の測定結果を示す図。
【図8】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための工程図。
【図9】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための工程図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る発光装置の断面図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る発光装置の断面図。
【図12】本発明の第4実施形態に係る発光装置の断面図。
【図13】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図。
【図14】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図。
【図15】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図。
【図16】本発明の第5実施形態に係る発光装置の断面図。
【図17】本発明の第6実施形態に係る発光装置の断面図。
【図18】第5実施形態に係る発光装置の低電流時の輝度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<A:第1実施形態>
<A−1:発光装置の構造>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置D1の構造を示す断面図である。図1に示すように、発光装置D1は複数の発光素子U(Ur,Ug,Ub)が第1基板10の面上に配列された構成となっている。各発光素子Uは複数の色彩(赤色・緑色・青色)の何れかに対応した波長の光を発生する要素である。本実施形態では、発光素子Urは赤色光を出射し、発光素子Ugは緑色光を出射し、発光素子Ubは青色光を出射する。本実施形態における発光装置D1は、各発光素子Uにて発生した光が第1基板10とは反対側に向かって進行するトップエミッション型である。したがって、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を第1基板10として採用することができる。
【0032】
第1基板10には、発光素子Uに給電して発光させるための配線が配置されているが、配線の図示は省略する。また、第1基板10には、発光素子Uに給電するための回路が配置されているが、回路の図示は省略する。
【0033】
図1に示すように、第1基板10上には隔壁12(セパレーター)が形成される。この隔壁12は、第1基板10上の表面上の空間を発光素子Uごとに仕切るものであり、絶縁性の透明材料、例えばアクリル、ポリイミドなどにより形成されている。
【0034】
複数の発光素子Uの各々は、光反射層14、第1電極16、発光機能層18、第2電極20を有する。図1に示すように、第1基板10上には複数の光反射層14が形成される。これらの光反射層14は各発光素子Uに対応して配置される。各光反射層14は、光反射性を有する材料によって形成される。この種の材料としては、例えばアルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金などが好適に採用される。本実施形態では、光反射層14として、株式会社フルヤ金属製の商品名「APC」(銀の合金)が使用され、その膜厚は80nmである。
【0035】
図1に示す第1電極16は陽極であり、光反射層14上に形成されて隔壁12で包囲される。第1電極16は、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide、出光興産株式会社の登録商標)、またはZnO2のような透明酸化物導電材料から形成される。本実施形態では、第1電極16はITOで形成され、その膜厚は発光素子Uの発光色ごとに相違する。その詳細な内容については後述する。Agなどの反射層と第1電極16との間に透明層を挿入しても良い。該当する画素で要求される発光波長に最適な共振を生じるように光路長を最適化する場合、第1電極や、前述の透明層の厚みを最適化すればよい。各画素毎で後述する発光機能層の厚みを変えてもよい。
【0036】
発光機能層18は、各第1電極16および隔壁12を覆うように形成される。すなわち、発光機能層18は複数の発光素子Uにわたって連続しており、発光機能層18の特性は複数の発光素子Uについて共通である。詳細な図示は省略するが、発光機能層18は、第1電極16上に形成された正孔注入層と、正孔注入層上に形成された正孔輸送層と、正輸送層上に形成された発光層と、発光層上に形成された電子輸送層と、電子輸送層上に形成された電子注入層とからなる。
【0037】
本実施形態では、正孔注入層として、出光興産株式会社製の商品名「HI−406」が使用され、その膜厚は40nmである。また、正孔輸送層として、出光興産株式会社製の商品名「HT−320」が使用され、その膜厚は15nmである。なお、正孔注入層および正孔輸送層を、正孔注入層と正孔輸送層の機能を兼ねる単一の層で形成することもできる。
【0038】
発光層は、正孔と電子が結合して発光する有機EL物質から形成されている。本実施形態では、有機EL物質は低分子材料であって、白色光を発する。発光層のホスト材料としては出光興産株式会社製の商品名「BH−232」が使用され、そのホスト材料中に、赤色、緑色、青色のドーパントが混合されている。本実施形態では、赤色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「RD−001」が使用され、緑色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「GD−206」が使用され、青色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「BD−102」が使用される。本実施形態では、発光層の膜厚は65nmである。
【0039】
本実施形態では、電子輸送層はAlq3(トリス8−キノリノラトアルミニウム錯体)で形成され、その膜厚は10nmである。また、電子注入層はLiF(フッ化リチウム)で形成され、その膜厚は1nmである。なお、電子輸送層および電子注入層を、電子注入層と電子輸送層の機能を兼ねる単一の層で形成することもできる。
【0040】
図1に示す第2電極20は陰極であり、発光機能層18を覆うように形成される。すなわち、第2電極20は複数の発光素子Uにわたって連続している。第2電極20は、その表面に到達した光の一部を透過するとともに他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能し、例えばマグネシウムや銀などの単体金属、またはマグネシウムや銀を主成分とする合金から形成される。本実施形態では、第2電極20はMgAg(マグネシウム銀合金)で形成される。後述するように、本実施形態においては、MgおよびAgを発光機能層18上に共蒸着させて第2電極20を形成する。
【0041】
また、第2電極20の膜厚は、10nm〜30nmの範囲に設定されることが好ましい。これは、第2電極20の膜厚が10nmより薄いと、当該第2電極20の抵抗値が増大してしまうために十分な導電性を得ることができず、30nmより厚いと第2電極20の透過性を十分に確保することができないためである。本実施形態では、第2電極20の膜厚は10nmに設定される。
【0042】
発光機能層18および第2電極20は複数の発光素子Uに共通であるが、個々の第1電極16は他の第1電極16から離れているため、個々の第1電極16と第2電極20との間で電流が流れたときには、その第1電極16に重なった位置でのみ発光機能層18が発光する。つまり、隔壁12は複数の発光素子Uを区分している。
【0043】
本実施形態に係る発光装置D1においては、光反射層14と第2電極20との間で発光機能層18が発する光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光機能層18が発する光は光反射層14と第2電極20との間で往復し、共振によって特定の波長の光が強められて第2電極20を透過して観察側(図1の上方)に進行する(トップエミッション)。
【0044】
発光素子Urでは発光機能層18で発した白色光のうち赤色が強められ、発光素子Ugでは緑色が強められ、発光素子Ugでは青色が強められるように、各発光素子Uにおける第1電極16の膜厚が調整される。より具体的には、本実施形態においては、発光素子Urにおける第1電極16の膜厚は110nmに設定され、発光素子Ugにおける第1電極16の膜厚は70nmに設定され、発光素子Ubにおける第1電極16の膜厚は27nmに設定される。
【0045】
図1に示す応力緩和層22は、第2電極20への応力を緩和するための層であり、第2電極20を覆うように形成される。応力緩和層22は、光透過性および耐湿性を有するとともに、第2電極20や後述のパシベーション層24よりも軟らかい材料で形成される。応力緩和層22は、発光機能層18における電子注入層と同じ材料から形成され、例えばLiF、LiO2、Liq、MgO、MgF2、CaF2、SrF2、NaF、WFの何れかで形成することができる。本実施形態では、応力緩和層22はLiFで形成され、その膜厚は10nmである。
【0046】
図1に示すように、第2電極20上には、発光素子Uに対する水や外気の浸入を防ぐための保護層であって、無機材料からなるパシベーション層24が形成される。パシベーション層24は、窒化珪素や酸窒化珪素などのガス透過率が低い無機材料から形成される。本実施形態では、パシベーション層24は酸窒化珪素で形成され、その膜厚は400nmである。
【0047】
図1に示すように、本実施形態では、第1基板10上に形成された複数の発光素子Uと対向するように第2基板30が配置される。第2基板30はガラスなどの光透過性を有する材料で形成される。第2基板30のうち第1基板10との対向面には、カラーフィルター32および遮光膜34が形成される。遮光膜34は、各発光素子Uに対応して開口36が形成された遮光性の膜体である。開口36内にはカラーフィルター32が形成される。
【0048】
本実施形態では、発光素子Urに対応する開口36内には赤色光を選択的に透過させる赤色用カラーフィルター32rが形成され、発光素子Ugに対応する開口36内には緑色光を選択的に透過させる緑色用カラーフィルター32gが形成され、発光素子Ubに対応する開口36内には青色光を選択的に透過させる青色用カラーフィルター32bが形成される。
【0049】
カラーフィルター32および遮光膜34が形成された第2基板30は、封止層26を介して第1基板10と貼り合わされる。封止層26は、透明の樹脂材料、例えばエポキシ樹脂などの硬化性樹脂から形成される。以上が本実施形態の発光装置D1の構造である。
【0050】
ところで、本実施形態のように第2電極20がMgAgで形成される場合、発光素子Uの導電性を向上させるためには、Mgよりも電気伝導性に優れたAgの比率を増加させることが好ましいが、Ag原子間には互いに結合しようとする力(凝集しようとする力)が働くから、第2電極20におけるAgの含有率が所定基準値を超えると、Ag原子同士が凝集して凹凸部が発生する。このような場合において、第2電極20上にパシベーション層24が直接形成されると、当該パシベーション層24の荷重が第2電極20に与えられる。そして、第2電極20における凹凸部に対する応力が過大になると、第2電極20が破損してしまい、発光素子Uの導電性が低下するという問題が起こる。
【0051】
本実施形態では、Agの蒸着速度の比率(分析装置XRFによれば原子数比に等しい)がMg:Ag=1:3を下回るときには、第2電極20上にパシベーション層24が直接形成されても第2電極20は破損しない一方で、Agの原子数比率がMg:Ag=1:3以上のときには、Ag原子同士が凝集して凹凸部が発生するため、第2電極20上にパシベーション層24が直接形成されると第2電極20が破損することを見出した。以上の知見から、本実施形態においては、第2電極20を形成するMgおよびAgの蒸着速度比(分析装置XRFによれば原子数比に等しい)を1:3〜1:50の範囲に設定したうえで、第2電極20を応力緩和層22で覆い、当該応力緩和層22上にパシベーション層24を形成する構成を採用している。
【0052】
本実施形態においては、Agの原子数比率がMg:Ag=1:3以上に設定されているために第2電極20には凹凸部が発生するが、当該第2電極20は応力緩和層22によって覆われ、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成されるから、パシベーション層24の荷重は応力緩和層22に分散される。これにより、応力による第2電極20の破損を抑制できるから、発光素子Uの導電性を良好な状態にすることができるという利点がある。
【0053】
図2は、MgおよびAgの原子数比を1:9に設定して製作された第2電極20のサンプルについて、当該サンプルが破損しているか否かを判定するための装置40の概要を示す平面図である。図3は、図2に示すA−A線から見た断面図である。
【0054】
装置40は、テスト用基板42と、テスト用基板42上に形成された4つのテスト用電極44(44a〜44d)と、4つのテスト用電極44を区分するための格子状の隔壁46と、テスト用電極44上の領域のうち隔壁46によって区分された領域(図2に示す開口部Bで囲まれた領域)および隔壁46上に形成されるテスト用金属薄膜48とからなる。テスト用金属薄膜48は、MgおよびAgの原子数比を1:9に設定して製作された第2電極20のサンプルである。
【0055】
本実施形態において、サンプルが破損しているか否かを判定する方法について、図3を参照しながら説明する。互いに隣り合うテスト用電極44aおよび44bの各々にテスターの端子を接触させることにより、テスト用電極44aからサンプル(テスト用金属薄膜48)を介してテスト用電極44bへ至るまでの電流経路(またはテスト用電極44bからサンプルを介してテスト用電極44aへ至るまでの電流経路)の抵抗値を測定する。サンプルが破損している場合には、テスターにて測定される抵抗値は著しく大きな値を示すから、当該抵抗値に基づいてサンプルが破損しているか否かを判定することができる。
【0056】
図4は、サンプル(テスト用金属薄膜48)の上にパシベーション層24が直接形成された場合、サンプルの上に膜厚が10nmの応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された場合、サンプルの上に膜厚が25nmの応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された場合、サンプルの上に膜厚が50nmの応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された場合の各々について、テスターによって測定された抵抗値を示す図である。図4の何れの場合においても、サンプルの膜厚は13nmに設定され、応力緩和層22の材料としてLiFが採用されている。
【0057】
図4に示すように、サンプルの上にパシベーション層24が直接形成された場合における抵抗値は著しく高い値(約10MΩ)となり、サンプルが破損していることが分かる。一方、サンプルの上にLiFからなる応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された場合における抵抗値は、応力緩和層22の膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合でほぼ同じような値を示し、何れも5Ω前後の値であるから、サンプルは破損していないことが分かる。
【0058】
図5は、応力緩和層22の材料としてLiFの代わりにCaF2が採用され、その膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値を示す図である。なお、図5に示す何れの場合も、サンプルの上に応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された構成としたうえで測定を行なっている。図5に示すように、CaF2の膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値は、ほぼ同じような値を示し、何れも5Ω前後の値となる。
【0059】
図6は、応力緩和層22の材料としてLi2Oが採用され、その膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値を示す図である。なお、図6に示す何れの場合も、サンプルの上に応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された構成としたうえで測定を行なっている。図6においても、Li2Oの膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値は、ほぼ同じような値を示し、何れも5Ω前後の値となる。
【0060】
図7は、応力緩和層22の材料としてMgF2が採用され、その膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値を示す図である。なお、図7に示す何れの場合も、サンプルの上に応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成された構成としたうえで測定を行なっている。図7においても、MgF2の膜厚が10nmの場合、25nmの場合、50nmの場合の各々における抵抗値は、ほぼ同じような値を示し、何れも5Ω前後の値となる。
【0061】
以上より、サンプルの上に応力緩和層22が形成され、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成される構成を採用することにより、応力によるサンプルの破損が抑制されることが分かる。
【0062】
<A−2:発光装置の製造方法>
次に、図8および図9を参照しながら、本実施形態の発光装置D1、後述する第5実施形態の発光装置D5、同じく後述する第6実施形態の発光装置D6、の内の何れかの発光装置を製造する方法について説明する。
【0063】
先ず、公知の手法で第1基板10上に複数の光反射層14をマトリクス状に形成し(図8の工程P1)、光反射層14上に第1電極16を形成する(図8の工程P2)。続いて、隔壁12を格子状に形成する(図8の工程P3)。例えば隔壁12の材料となるアクリルまたはポリイミドに感光性材料を混合して、フォトリソグラフィーの手法で露光により隔壁12をパターニングすることができる。
【0064】
次に、蒸着などの公知の手法で隔壁12および第1電極16を覆うように発光機能層18を形成する(図8の工程P4)。さらに、発光機能層18上に第2電極20を形成する(図8の工程P5)。
【0065】
工程P5では、MgおよびAgを発光機能層18上に共蒸着させて第2電極20を形成する。上述したように、本実施形態では、MgおよびAgの蒸着速度比(分析装置XRFによれば原子数比に等しい)は1:3〜1:50の範囲に設定される。
【0066】
次いで、第2電極20上に応力緩和層22を形成し(図9の工程P6)、応力緩和層22上にパシベーション層24を形成する(図9の工程P7)。ここで、応力緩和層22は、蒸着法(加熱蒸着法)で形成することが好ましい。かかる方法によれば、下地となる発光機能層18及び第2電極20にダメージを与えることを抑制できる。また、パシベーション層24は、プラズマ発生装置を含む装置で形成することが好ましい。かかる方法によれば、緻密な膜層を形成でき、発光素子U及び発光装置D1(D5、D6)の信頼性を向上できる。
【0067】
さらに、パシベーション層24上に封止層26を塗布したうえで、カラーフィルター32および遮光膜34が形成された第2基板30を貼り合わせる(図9の工程P8)。以上が本実施形態の発光装置D1の製造方法である。
【0068】
<B:第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態に係る発光装置D2の構造を示す断面図である。上述の各実施形態では、発光機能層18は全ての発光素子Uに共通であるが、第2実施形態においては、発光機能層18が発光素子Uの発光色ごとに別個に形成される。
【0069】
図10に示すように、各発光機能層18(18r,18g,18b)は、第1電極16
上に形成された正孔注入層41と、正孔注入層41上に形成された正孔輸送層43と、正孔輸送層43上に形成された発光層45(45r,45g,45b)と、発光層45上に形成された電子輸送層47と、電子輸送層47上に形成された電子注入層49とからなる。発光素子Urの発光機能層18rはR(赤)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45rを含み、発光素子Ugの発光機能層18gはG(緑)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45gを含み、発光素子Ubの発光機能層18bはB(青)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45bを含む。図10に示すように、各発光機能層18は、隔壁12で区分された発光素子Uの区域ごとに形成され、隣の発光機能層18とはつながっていない。
【0070】
図10においては、発光素子Urでは赤色が強められ、発光素子Ugでは緑色が強められ、発光素子Ubでは青色が強められるように、各発光素子Uにおける正孔輸送層43の膜厚が調整される。なお、第2実施形態においては、各発光素子Uにおける正孔輸送層43の膜厚を調整することによって、各発光素子Uの発光色を強めているが、これに限らず、第1電極16、正孔注入層41、発光層45、電子輸送層47、電子注入層49の何れかの膜厚を調整することによっても各発光素子Uの発光色を強めることができる。
【0071】
第2実施形態においても、上述の各実施形態と同様、第2電極20を形成するMgおよびAgの蒸着速度比(原子数比)は1:3〜1:50の範囲に設定される。そして、第2電極20は応力緩和層22によって覆われ、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成されるから、パシベーション層24の荷重が応力緩和層22に分散される。これにより、応力による第2電極20の破損を抑制できる。
【0072】
<C:第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態に係る発光装置D3の構造を示す断面図である。詳細な図示は省略するが、発光機能層18は、第1電極16上に形成された正孔注入層と、正孔注入層上に形成された正孔輸送層と、正輸送層上に形成された発光層と、発光層上に形成された電子輸送層とからなる。
【0073】
図11に示すように、発光機能層18への電子注入効率を向上させるための電子注入層49が発光機能層18上に形成される。第3実施形態においては、電子注入層49はLiFで形成され、その膜厚は1nmである。
【0074】
図11に示すように、電子注入層49を形成する電子注入材料を還元するための還元性金属材料からなる還元層51が電子注入層49上に形成される。第3実施形態においては、還元層51はAlで形成され、その膜厚は2nmである。
【0075】
図11に示すように、第2電極20は還元層51上に形成される。第3実施形態では、第2電極20はAgのみからなる。第2電極20の膜厚は、上述の第1実施形態と同様、10nm〜20nmの範囲とすることが望ましく、第3実施形態では、第2電極20の膜厚は13nmに設定される。以上の点が、上述の第1実施形態の構成と異なる。その他の構成は上述の第1実施形態の構成と同じであるから、重複する部分については説明を省略する。
【0076】
第3実施形態においては、還元層51を形成する還元性金属材料(第3実施形態ではAl)を第2電極20の下地とすることにより、第2電極20を形成するAg原子同士が凝集して島状になる(膜が断裂する)ことを抑制できる。これにより、第2電極20を連続性のある膜とすることができる。ただし、Ag原子同士の凝集を完全に抑制することはできず、第3実施形態における第2電極20には凹凸部が発生する。また第2電極20とその上に形成するパシベーション層24とは材質が異なる為、熱膨張係数などの物理定数が異なる。従ってこれらの層の間には応力が発生してしまう。とくにAg比率が高まると応力が大きくなり、第2電極20が膜剥がれを生じ、発光素子Uの導電性が低下するという問題が起こる。
【0077】
第3実施形態においては、上述の第1実施形態と同様、第2電極20は応力緩和層22によって覆われ、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成されるから、パシベーション層24の荷重が応力緩和層22に分散される。これにより、応力による第2電極20の破損を抑制できる。
【0078】
なお、第3実施形態においては、発光機能層18は全ての発光素子Uに共通である構成が例示されているが、上述の第2実施形態と同様、発光機能層18が発光素子Uの発光色ごとに別個に形成される構成を採用することもできる。
【0079】
<D:第4実施形態>
図12は、本発明の第4実施形態に係る発光装置D4の構造を示す断面図である。第4実施形態では、電子注入材料と当該電子注入材料を還元するための還元性金属材料とが混合された混合層53が発光機能層18上に形成され、当該混合層53上に第2電極20が形成される点が、上述の第3実施形態の構成と異なる。その他の構成は上述の第3実施形態と同じであるから、重複する部分については説明を省略する。第4実施形態では、電子注入材料としてLiFが採用され、還元性金属材料としてAlが採用される。
【0080】
第4実施形態のように、電子注入材料と還元性金属材料とが混合された混合層53を第2電極20の下地とすることによっても、第2電極20を形成するAg原子同士が凝集して島状になる(膜が断裂する)ことを抑制できる。また第2電極20とその上に形成するパシベーション層24とは材質が異なる為、熱膨張係数などの物理係数が異なる。従ってこれらの層の間には応力が発生してしまう。とくにAg比率が高まると応力が大きくなり、第2電極20が膜剥がれしてしまう。
【0081】
第4実施形態においても、上述の第3実施形態と同様、第2電極20は応力緩和層22によって覆われ、当該応力緩和層22上にパシベーション層24が形成されるから、パシベーション層24の荷重が応力緩和層22に分散される。これにより、応力による第2電極20の破損を抑制できる。
【0082】
なお、第4実施形態においては、発光機能層18は全ての発光素子Uに共通である構成が例示されているが、上述の第2実施形態と同様、発光機能層18が発光素子Uの発光色ごとに別個に形成される構成を採用することもできる。
【0083】
<E:第5実施形態>
図16は、本発明の第5実施形態に係る発光装置D5の構造を示す断面図である。本実施形態に係る発光装置D5は、上述の第1実施形態に係る発光装置D1と類似した構成を有している。すなわち、発光装置D5は3種類の発光素子U(Ur,Ug,Ub)が第1基板10の面上に配列されたトップエミッション型の発光装置である。発光素子Urは赤色光を出射し、発光素子Ugは緑色光を出射し、発光素子Ubは青色光を出射する。発光素子Uは、第1基板10上に光反射層14、第1電極16、発光機能層18、第2電極20が積層された構造を有している。
【0084】
3種類の発光素子U(Ur,Ug,Ub)は、共通の発光機能層18を備えている。出射する光の色は、光反射層14と第2電極20との間の共振による特定の波長範囲の光の強調効果と、カラーフィルター32(32r,32g,32b)による着色効果とで定められている。その他の構成も、上述の第1実施形態に係る発光装置D1と略共通している。そこで、かかる共通する要素については説明を省略する。
【0085】
本実施形態に係る発光装置D5は、上述の各実施形態に係る発光装置D(D1,D2,D3,D4)とは封止層が若干異なっている。上述の各実施形態における封止層が、有機緩衝層64とガスバリア層66と透明接着層68とで構成されている。ただし、かかる構成は、上述の各実施形態に係る発光装置D(D1,D2,D3,D4)にも適用可能である。
【0086】
ガスバリア層66はパシベーション層24と同様に外部からの水分等の滲入を抑制する層であり、層厚200nmないし400nmの酸化珪素からなる。有機緩衝層64はエポキシ樹脂(あるいはアクリル樹脂等)からなり、隔壁12等により生じた段差を平坦化している。透明接着層68はエポキシ樹脂からなり、第1基板10と第2基板30とを貼り合せている。
【0087】
また、本実施形態に係る発光装置D5の第2基板30のカラーフィルター32側の面には、該カラーフィルターを保護するオーバーコート層35が配置され、反対側の面には円偏光板70が配置されている。円偏光板70は偏光の回転方向が逆転する性質を利用して、光反射層14等の反射による表示品質の低下を抑制している。かかる双方の要素も、上述の各実施形態に係る発光装置D(D1,D2,D3,D4)に適用可能である。
【0088】
また、本実施形態に係る発光装置D5の、発光機能層18の最上層である電子注入層はLiFで形成されており、層厚は1nmである。電子注入層の形成材料は、LiFの他に、0.5nmないし2nm、好ましくは1nmの層厚に成膜したLi2O、MgO、CaF2等を用いることもできる。さらには,Liq(リチウムキノリノール)を1nm〜20nm積層して、電子輸送層と兼ねさせることもできる。
【0089】
また、本実施形態に係る発光装置D5の第2電極20の形成材料は、第1実施形態に係る発光装置D1と同様にMgAg(マグネシウム銀合金)を用いている。混合比率は、MG:Ag=1:20であり、層厚は10nmである。Agは反射性と導電性が高く、第2電極の形成材料としては好適である。しかし、層厚30nm以下の薄膜を蒸着法で成膜する場合、平坦ではなく粗い膜質となるため、反射性と導電性が低下する。他の金属を混合して用いると膜質を平坦にでき、同時に導電性を改善できる。
【0090】
なお、第2電極20の形成材料はMg以外の金属とAgとの合金、及び該合金の積層体を用いることもできる。具体的にはCu、Zn、Pd、Nd、Alの何れかと、Agとの合金を用いることができる。そして、該合金の積層体、例えばAgCuとAgPdとを積層した物を用いることもできる。
【0091】
本実施形態に係る発光装置D5は、応力緩和層22の形成材料が発光装置D1(及びD2,D3,D4)と大きく異なっている。すなわち、本実施形態に係る発光装置D5の応力緩和層22は、Zn、Al、Au、SnO2、ZnO2、SiO2等の、Agを除く仕事関数が4.2V以上の金属あるいは誘電体で形成されている。以下、その理由を示す。
【0092】
応力緩和層22の形成目的は、パシベーション層24の形成時における第2電極20への応力を緩和することである。また、パシベーション層24を形成する前に行うO2プラズマによって、第2電極20に含有されるAgが劣化(酸化による黒化、不透明化)することも抑制することも目的の一つである。そのため、上述の第1〜第4実施形態に係る発光装置(D1,D2,D3,D4)において、応力緩和層22の形成材料は、第2電極20及びパシベーション層24よりも軟らかいという条件で選択されている。もちろん、光透過性と耐湿性も必要とされている。
【0093】
しかし、その後の実験によって、応力緩和層22を仕事関数が4.2eV(エレクトロンボルト)未満の材料で形成すると、発光装置Dとして黒を表示する場合に発光素子Uが僅かに発光してしまい、コントラストが低下し得るということが判明した。そして、さらに実験をすることにより、応力緩和層22を仕事関数が4.2eV(エレクトロンボルト)以上の材料で形成することにより、上述の(黒表示時の)発光を抑制できることが判明した。本実施形態に係る発光装置D5は、かかる実験結果に基づき、応力緩和層22の形成材料としてZn(亜鉛)を選択している。具体的には、層厚3nmのZnを蒸着法で成膜して応力緩和層22としている。そして、かかる形成材料の選択により、本実施形態に係る発光装置D5は、上述の第1〜第4実施形態に係る発光装置(D1,D2,D3,D4)と同様に導電性及び透明性が良好な第2電極20を得ると共に、黒表示時における発光を低減し、コントラストを向上させている。
【0094】
図18は、本実施形態に係る発光装置D5の黒表示時における発光、すなわち低電流時の輝度を示す図である。具体的には、0.00033mA/cm2の電流を通電した場合の輝度(Cd/m2)を縦軸に示している。かかる低電流時の輝度を、以下、単に「輝度」と記載する。かかる輝度が低いほど、発光装置のコントラストを向上できる。また、比較としての応力緩和層22をZn以外の材料で形成し、他の構成要素は発光装置D5と同一の発光装置の輝度を示している。横軸は、各応力緩和層22の形成材料と層厚を示している。図示するように、本実施形態に係る発光装置D5の測定結果、すなわち応力緩和層22を層厚3nmのZnで形成した場合の測定結果は右端に記載されている。
【0095】
上述の輝度測定に用いた各発光装置の電子注入層と第2電極20は、参考として記載した左端の「標準」の発光装置を除き、電子注入層がLiF1nmで第2電極20がMgAg(1:20)である。「標準」の発光装置の電子注入層は層厚1nmのLiFであり、第2電極20は、MgAg(10:1)である。かかる(「標準」の発光装置)の電子注入層と第2電極20の組み合わせは、輝度は低いものの光取出し効率が低いため、トップエミッション型の発光装置には不適である。そのため、本発明の各実施形態の発光装置D(D1,D2,D3,D4,D5)においては、第2電極20をAg単体若しくはAgを主体とした材料で形成している。
【0096】
本実施形態に係る発光装置D5の輝度は、0.00033Cd/m2である。応力緩和層22を層厚5nmのSnO2(酸化錫)で形成した発光装置の輝度は、0.00032Cd/m2と、さらに優れている。一方、応力緩和層22を層厚3nmのAlで形成した発光装置の輝度は0.00312Cd/m2であり、ZnあるいはSnO2を用いた場合の略10倍の値を示している。ここで上記各材料の仕事関数を見ると、Znが4.9eV、SnO2が5.0eV、Alが4.2eVである。したがって、応力緩和層22の形成材料は、仕事関数が4.2eV以上の材料で形成することが好ましいことが判る。
【0097】
層厚5nmのLiFを用いた場合の輝度は、0.00053Cd/m2である。L(リチウム)自体の仕事関数は低いが、LiFとした場合の仕事関数は5.0eV、と大きいため、このような低い輝度となっていると考えられる。他の材料、例えばAu(仕事関数が4.8eV)、SiO2(仕事関数が5.0eV)、等の材料を用いた場合でも良好な結果が得られると考えられる。一方、単体のMgを用いた場合は、Alを用いた場合よりもさらに輝度が高く、応力緩和層22の形成材料としては好ましくないことが判る。ただし、Mg単体ではなく、MgOやMgF2のように、他の材料との化合物として用いる場合はこの限りではない。
【0098】
以上、本実施形態に係る発光装置D5は、上述の第1実施形態に係る発光装置D1(及びD2,D3,D4)と同様に、第2電極20とパシベーション層24との間に応力緩和層22を備えることで、発光時の光取出し効率が向上した第2電極20を得ている。そして、応力緩和層22を仕事関数が4.9eVのZnで形成することで、黒表示時における発光を低減し、コントラストを向上させている。したがって、表示品質がより一層向上している。
【0099】
<F:第6実施形態>
図17は、本発明の第6実施形態に係る発光装置D6の構造を示す断面図である。上述の第5実施形態では、発光機能層18は全ての発光素子Uに共通であるが、本実施形態に係る発光装置D6においては、上述の第2実施形態に係る発光装置D2と同様に、発光機能層18が発光素子Uの発光色ごとに別個に形成されている。
【0100】
すなわち、図17に示すように、各発光機能層18(18r,18g,18b)は、第1電極16上に形成された正孔注入層41と、正孔注入層41上に形成された正孔輸送層43と、正孔輸送層43上に形成された発光層45(45r,45g,45b)と、発光層45上に形成された電子輸送層47と、電子輸送層47上に形成された電子注入層49とからなる。
【0101】
発光素子Urの発光機能層18rはR(赤)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45rを含み、発光素子Ugの発光機能層18gはG(緑)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45gを含み、発光素子Ubの発光機能層18bはB(青)の波長領域の光を発生する有機EL物質から形成される発光層45bを含む。
【0102】
また、発光装置D2と同様に、本実施形態に係る発光装置D6においては、正孔輸送層43の膜厚が、各発光素子U(Ur,Ug,Ub)の夫々が出射する光の色を強調できるように調整されている。その他の各構成要素の態様は、上述の第5実施形態に係る発光装置D5における各構成要素と同一である。すなわち、応力緩和層22は、層厚3nmのZnで形成されている。したがって、各構成要素の説明の記載は省略する。
【0103】
本実施形態に係る発光装置D6は、上述の第5実施形態に係る発光装置D5と同様に、第2電極20とパシベーション層24との間に応力緩和層22を備えることで、発光時の光取出し効率が向上した第2電極20を得ている。そして、応力緩和層22を仕事関数が4.9eVのZnで形成することで、黒表示時における発光を低減し、コントラストを向上させている。したがって、表示品質がより一層向上している。
【0104】
<E:変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0105】
(1)変形例1
上述の各実施形態においては、発光機能層18における発光層の有機EL物質は低分子材料であるが、高分子材料の有機EL物質で発光層を形成することもできる。この場合、発光層は、インクジェットまたはスピンコートによって隔壁12で画定された空間内に配置される。
【0106】
(2)変形例2
上述の各実施形態においては、放出光の純度を高めるために光が放出される側にカラーフィルター32が設けられているが、例えばカラーフィルター32を設けない構成とすることもできる。
【0107】
<F:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。図13は、第1実施形態に係る発光装置D1を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、表示装置としての発光装置D1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置D1はOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。なお、図13の構成における表示装置として、第2実施形態に係る発光装置D2、第3実施形態に係る発光装置D3、第4実施形態に係る発光装置D4、第5実施形態に係る発光装置D5、第6実施形態に係る発光装置D6を採用することもできる。
【0108】
図14に、第1実施形態に係る発光装置D1を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置D1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置D1に表示される画面がスクロールされる。なお、図14の構成における表示装置として、第2実施形態に係る発光装置D2、第3実施形態に係る発光装置D3、第4実施形態に係る発光装置D4、第5実施形態に係る発光装置D5、第6実施形態に係る発光装置D6を採用することもできる。
【0109】
図15に、第1実施形態に係る発光装置D1を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置D1を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置D1に表示される。なお、図15の構成における表示装置として、第2実施形態に係る発光装置D2、第3実施形態に係る発光装置D3、第4実施形態に係る発光装置D4、第5実施形態に係る発光装置D5、第6実施形態に係る発光装置D6を採用することもできる。
【0110】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図13から図15に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0111】
10…第1基板、12…隔壁、14…光反射層、16…第1電極、18…発光機能層、20…第2電極、22…応力緩和層、24…パシベーション層、26…封止層、30…第2基板、32…カラーフィルター、34…遮光膜、35…オーバーコート層、64…有機緩衝層、66…ガスバリア層、68…透明接着層、70…円偏光板、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2010…本体部、3000…携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…情報携帯端末、4001…操作ボタン、4002…電源スイッチ、D1,D2,D3,D4,D5,D6…発光装置、U…発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された光反射層と、
前記光反射層上に形成された透過性を有する第1電極と、
前記第1電極上に形成された発光機能層と、
前記発光機能層上に形成された半透過反射性を有する第2電極と、
前記第2電極上に形成された当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、
前記応力緩和層上に形成された無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、
前記第2電極はMgAgからなり、当該第2電極を形成するMgおよびAgの原子数比は、1:3〜1:50の範囲である、
発光装置。
【請求項2】
前記発光機能層は、電子注入層を含み、
前記応力緩和層は、前記電子注入層と同じ材料からなる、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記応力緩和層は、LiF、Li2O、Liq、MgO、MgF2、CaF2、SrF2、NaF、WFの何れかからなる、
請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2電極の膜厚は10nm〜30nmの範囲である、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成された光反射層と、
前記光反射層上に形成された透過性を有する第1電極と、
前記第1電極上に形成された発光機能層と、
前記発光機能層上に形成された電子注入層と、
前記電子注入層上に形成された当該電子注入層を形成する電子注入材料を還元するための還元性金属材料からなる還元層と、
前記還元層上に形成された半透過反射性を有する第2電極と、
前記第2電極上に形成された当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、
前記応力緩和層上に形成された無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、
前記第2電極はAgのみからなる、
発光装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に形成された光反射層と、
前記光反射層上に形成された透過性を有する第1電極と、
前記第1電極上に形成された発光機能層と、
前記発光機能層上に形成されるとともに電子注入材料と当該電子注入材料を還元するための還元性金属材料とが混合された混合層と、
前記混合層上に形成された半透過反射性を有する第2電極と、
前記第2電極上に形成された当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、
前記応力緩和層上に形成された無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、
前記第2電極はAgのみからなる、
発光装置。
【請求項7】
前記応力緩和層は、前記電子注入材料からなる、
請求項5または請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記応力緩和層は、LiF、Li2O、Liq、MgO、CaF2、SrF2、NaF、WFの何れかからなる、
請求項5から請求項7の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記応力緩和層はLiFからなり、
前記還元性金属材料はAlからなる、
請求項5から請求項8の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2電極の膜厚は10nm〜20nmの範囲である、
請求項5から請求項9の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
請求項1に記載の発光装置を製造する方法であって、
前記基板上に前記光反射層を形成する工程と、
前記光反射層上に前記第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に前記発光機能層を形成する工程と、
前記発光機能層上に前記第2電極を形成する工程と、
前記第2電極上に前記応力緩和層を形成する工程と、
前記応力緩和層上に前記パシベーション層を形成する工程と、を備え、
前記発光機能層上に前記第2電極を形成する工程では、MgとAgとを前記発光機能層上に共蒸着させて前記第2電極を形成し、MgおよびAgの蒸着速度比は、1:3〜1:50の範囲である、
発光装置の製造方法。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に形成された光反射層と、
前記光反射層上に形成された透過性を有する第1電極と、
前記第1電極上に形成された発光機能層と、
前記発光機能層上に形成された半透過反射性を有する第2電極と、
前記第2電極上に形成された当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層と、
前記応力緩和層上に形成された無機材料からなるパシベーション層と、を具備し、
前記第2電極はAgを原子数比において75%以上含む合金からなり、
前記応力緩和層は仕事関数が4.2V以上かつAg以外の材料からなる、
発光装置。
【請求項13】
前記応力緩和層は、Zn、Al、Au、SnO2、ZnO2、SiO2の何れかからなる、
請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第2電極は、Mg、Cu、Zn、Pd、Nd、Alの何れかと、Agと、の合金からなる、
請求項12又は請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記第2電極の膜厚は10nm〜30nmの範囲である、
請求項12から請求項14の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項16】
請求項12から請求項15の何れか一項に記載の発光装置を製造する方法であって、
基板上に光反射層を形成する工程と、
前記光反射層上に透過性を有する第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に発光機能層を形成する工程と、
前記発光機能層上に半透過反射性を有する第2電極を形成する工程と、
前記第2電極上に当該第2電極への応力を緩和するための応力緩和層を形成する工程と、
前記応力緩和層上に無機材料からなるパシベーション層を形成する工程と、
を含む発光装置の製造方法であって、
前記応力緩和層を形成する工程は、該応力緩和層を蒸着法により形成する工程であり、
前記パシベーション層を形成する工程は、該パシベーション層をプラズマ発生装置を含む装置で形成する工程である、
発光装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16の何れか一項に記載の発光装置を具備する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−141285(P2010−141285A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158522(P2009−158522)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】