説明

発光装置及びその作製方法

【課題】発光装置の作製方法に関して、歩留まりがよく発光装置を得る技術を提供することを課題とする。
【解決手段】凹部607a及び凹部608aを有する第二の基板600aで発光装置を作製することで、シールパターン605bの幅を細く保つことができ、また、シール材のしみ出しを防止できる。よって、発光装置の狭額縁化が可能となる。さらに、凹部から端面までの第二の基板の一部を分断する作製方法により、発光装置の狭額縁化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間に発光性の材料を挟んだ素子(以下、発光素子という)を用いた発光装置に関する。具体的には発光装置の狭額縁化の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子を用いた発光装置の開発が進んでいる。発光装置は発光素子自体に発光能力があるため、液晶ディスプレイに用いられているようなバックライトが不要である。よって、薄型化、軽量化が可能である。さらに視野角が広いため、屋外での用途に適している。
【0003】
発光装置にはパッシブ型(単純マトリックス型)とアクティブ型(アクティブマトリックス型)の2種類があり、どちらも盛んに開発が行われている。特に現在はアクティブ型発光装置が注目されている。また、発光素子の発光層となる材料は、有機材料と無機材料があり、さらに有機材料は低分子系(モノマー系)有機材料と高分子系(ポリマー系)有機材料とに分けられる。両者とも盛んに研究されており、低分子系有機材料は主に真空蒸着法により、高分子系有機材料は主にスピンコート法によって形成される。
【0004】
有機材料は無機材料と比べて発光効率が高く、低電圧で駆動することが可能であるという特徴がある。また、有機化合物であるので、様々な新しい物質を設計し、作成することが可能である。よって、将来の材料設計の進展によって、より高い効率で発光する素子が発見される可能性がある。
【0005】
シール材のしみ出しが生じた発光装置の一例を図20に示す。図20(A)はシール材のしみ出しが生じた装置の点線部A-A'における断面図であり、図20(B)はその上面図である。発光素子1208は陽極1202、有機層1203および陰極1204から成り、陽極1202と陰極1204で有機層1203を挟み込むように形成される。第一の基板1201上に直接形成するのは、陽極でも陰極でも良いが、作製上の容易さから、第一の基板1201の上に陽極を形成するのが一般的である。発光素子は陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機層1203の発光中心で再結合して励起子を形成し、その励起子が基底状態に戻るときにエネルギーを放出して発光する。また、第一の基板1201上には、配線部1209及び駆動回路1212が設けられている。配線部とは、駆動回路と電気的に接続する配線の集まりである。図示はしていないが、駆動回路1212及び発光素子1208も配線により電気的に接続している。
【0006】
次に発光素子の封止について述べる。現在、封止缶またはガラス基板による封止法が考案されている。現在製品化されているパネルは金属の封止缶に乾燥剤をいれ、封止缶の周辺に接着材を塗布し、硬化させて封止している。(有機ELとディスプレイ, シーエムシー, p.250,2001)該封止缶または該ガラス基板をまとめて、第二の基板1200とする。また、該接着材はシール材に相当する。すなわち、第二の基板1200にシール材が塗布され、第一の基板1201と第二の基板1200はシールパターン1205を介して貼り合わせられている。シール材とは、第一の基板と第二の基板とを貼り合わせ、その中に発光素子を封入するための接着・封止の材料であって、パネルの周辺部に配置される材料である。シールパターンとは、シール材の形状、位置、幅が規程されたものである。発光素子1208は第一の基板1201、第二の基板1200およびシールパターン1205、駆動回路1212で囲まれた密閉された空間にある。発光素子は水分や酸素によって劣化するので、密閉された空間は不活性ガス1206(窒素分子もしくは希ガス)により満たされている。本明細書では、第一の基板、第二の基板、シールパターン、発光素子に囲まれた領域を密閉された空間という。本明細書において、第一の基板とは発光素子が形成された基板を言い、第二の基板とは水分や酸素によって劣化しやすい発光素子を守るためにシールパターンを介して第一の基板に貼り合わせた基板を言う。乾燥剤については図示は省略している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20のように、発光装置は発光素子が形成された第一の基板1201と第二の基板1200とがシールパターン1205を介して貼り合わされた構成になっている。シール材の塗布しシールパターン1205が形成された第二の基板1200と第一基板1201とを貼り合わせた後、シール材は押し潰されて拡がってしまい、表示部が見える方向からみてシールパターン1205の幅は太くなってしまう。本明細書では、表示部とは、第一の基板の法線方向からみた発光素子の領域に相当する。そうすると、シールパターンの形成されるべき場所からシール材がしみ出し1207がおこってしまい、ディスプレイの表示部や基板の端面にかかってしまう場合がある。シール材のしみ出しの原因としては、次のようなことが考えられる。第一の基板と第二の基板との貼り合わせ工程後の熱プレスでは一般的にパネルの温度を150〜200℃まで加熱して硬化反応を進行させ、硬化が終了したところで室温までパネルの温度を下げる。150℃〜200℃においては、硬化反応が始まる直前にシール材の粘度が低下し、かなり流動的な状態になるため、毛細管現象のためにほんのすこしでも第一の基板と第二の基板との間隔が薄くなっている部分によりシール材が流れていくようになり、さらに時間が経過すると今度は硬化反応が始まるのでシール材の粘度が急激に増加し、一旦広がってしまったシール材がもとの状態に戻ることなくそのまま固まってしまう。
【0008】
第一の基板の端面と第二の基板の端面との間にシール材があると、貼り合わせた基板の分断が行いにくいことがある。また、第一の基板と第二の基板との間に形成されたシールパターンの付近の基板の部分は分断が行いにくいことがある。
よって、発光装置の狭額縁化の技術に歯止めがかかっていた。狭額縁化とは、表示部が見える方向からみて発光素子1208と端面1211との距離を短くすることである。また、ディスプレイの狭額縁化を実現するために、単にシールパターンの幅を狭くするように、シール材の塗布量を調整することが考えられる。しかしながら、シールパターンの幅を狭くした場合、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少やシール剥がれの原因ともなりうる。
【0009】
近年、携帯電話などの携帯機器においてはディスプレイの小型化が要求されている一方、動画を対応とするために高精細化が望まれている。高精細化のために、解像度を高く(画素数が多くなる)し、画素ピッチは小さくする必要がある。
しかし、例えば、文字表示としては画素ピッチは約300μm程度でよく、高精細化のためには、画素数を増やさなければならず、携帯機器における表示部の占める割合を大きくする必要がある。よって、ディスプレイの狭額縁化は、深刻な課題となっている。
【0010】
よって、ディスプレイの狭額縁化を実現するために、シールパターンの幅を狭くした場合においても、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることを可能とする発光装置を提供することを課題とする。また、しみ出したシール材を溜めることを可能とする凹部を有する発光装置を提供することを課題とする。さらに、シールパターンの一部が第二の基板の端部上に形成され、頑丈な発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発光装置を構成する第二の基板において、シール材を塗布し、シールパターンを形成しようとする部分に凹部を形成する。形成されたシールパターンの幅を細く保ちながらも、該凹部を有する基板を用いれば、該シールパターンと第二の基板との接触する面積が大きくなるので第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えるといった効果があり、発光装置の狭額縁化が可能となる。また、シールパターンの一部を第二の基板の凹部の一部に形成することにより、熱プレス時に流動的に流れ出したシール材を凹部に溜めることができるので、第一の基板と第二の基板を貼り合わせたときのシール材のしみ出しを抑制することができ、発光装置の狭額縁化が可能となる。ただし、シールパターンを硬化させる熱プレス工程は、第一の基板を上側に、第二の基板を下側に設置されて行われることが好ましい。凹部のかわりにスクライブラインでよいということになるかもしれないが、図21のように基板2100に形成されたスクライブラインの幅が約2μm、幅が約200μmである一方、シール材には概略球状の材料(充填材)が混入され、みかけの粘度を増加させているが、この充填材の平均粒径は最小でも約3μmであるので、スクライブラインは十分にシール材のしみ出しを抑制するほどの大きさを有していない。さらに、シール材の一部が凹部に形成されるように、シール材の塗布量を調整しシール材を塗布する場合は、裏面または表面にスクライブラインを形成した第一の基板を用意し、第一の基板または第二の基板の法線方向からみて該凹部と該スクライブラインとが重なるように第一の基板と第二の基板とを貼り合わせ、該凹部及び該スクライブラインから亀裂を生じさせることが可能となるので、さらに、発光装置の狭額縁化が可能となる。シールパターンの一部が第二の基板の端部上に形成されるので、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。第二の基板に設けられる凹部は単数でも複数でもよい。
【0012】
よって、本明細書で開示する発明の構成は、第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシール材と、凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シール材を介して貼り合わせられた発光装置において、前記凹部に前記シール材が充填されていることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターンの幅を狭くする場合でも、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなるので、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0013】
また、他の発明の構成は、第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシールパターンと、凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シールパターンを介して貼り合わせられた発光装置において、前記凹部の一部に前記シールパターンの一部が形成されている発光装置である。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなり、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。また、本発明の発光装置を用いた場合、熱プレス時に流動的に流れ出したシール材を凹部に溜めることができるので、シール材のしみ出しを抑えることができ、発光素子と端面との距離を小さくできる。
【0014】
また、他の発明の構成は、スクライブラインの一部を有する第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシールパターンと、凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シールパターンを介して貼り合わせられた発光装置において、前記凹部の一部に前記シールパターンの一部が形成されていることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置は、スクライブラインを形成した第一の基板を用意し、第一の基板又は第二の基板の法線方向からみて該凹部と該スクライブラインとが重なるように第一の基板と第二の基板とを貼り合わせ、該凹部及び該スクライブラインから亀裂を生じさせることにより、作製される。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなり、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。また、本発明の発光装置を用いる場合、シール材のしみ出しを抑えることが可能となる。さらに、本発明の発光装置を用いることにより、シールパターンの一部が第二の基板の端部上に形成され、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。
【0015】
また、他の発明の構成は、第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシール材と、凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シール材を介して貼り合わせられた発光装置において、前記凹部のうち少なくとも一つの凹部には前記シール材が充填されていることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターンの幅を狭くする場合でも、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなるので、第一の基板と第二のとの接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0016】
また、他の発明の構成は、第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシールパターンと、複数の凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シールパターンを介して貼り合わせられた発光装置において、前記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部には前記シールパターンの一部が形成されていることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなり、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。また、本発明の発光装置を用いた場合、熱プレス時に流動的に流れ出したシール材を凹部に溜めることができるので、シール材のしみ出しを抑えることができ、発光素子と端面との距離を小さくできる。
【0017】
また、他の発明の構成は、スクライブラインの一部を有する第一の基板と、前記第一の基板上に形成された発光素子と、前記発光素子の周りに形成されたシールパターンと、複数の凹部が形成された第二の基板と前記第一の基板とが前記シールパターンを介して貼り合わせられた発光装置において、前記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部には前記シールパターンの一部が形成されていることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置は、裏面または表面にスクライブラインを形成した第一の基板を用意し、表示部の見える方向からみて該凹部と該スクライブラインとが重なるように第一の基板と第二の基板とを貼り合わせ、該凹部及び該スクライブラインから亀裂を生じさせることにより、作製される。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなり、第一の基板と第二の基板との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。また、本発明の発光装置を用いた場合、シール材のしみ出しを抑えることが可能となる。さらに、本発明の発光装置を用いることにより、シールパターンの一部が第二の基板の端部上に形成され、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光装置を用いることにより、第一の基板と第二の基板を貼り合わせる際に、シールパターンの幅を細く保つことができ、また、シール材のしみ出しを防止し、発光装置の狭額縁化が可能となる。
【0019】
また、本発明の発光装置を用いることにより、シールパターンの一部が基板の端部上に形成され、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明の発光装置の作製工程を用いた場合、第二の基板にスクライブラインを形成する工程が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の発光装置の断面図(A)及び上面図(B)
【図2】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図3】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図4】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図5】本発明の発光装置の断面図
【図6】本発明の発光装置の断面図(A)及び上面図(B)
【図7】本発明のアクティブ型発光装置の断面図
【図8】本発明のパッシブ型発光装置の断面図
【図9】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図10】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図11】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図12】本発明の発光装置の上面図
【図13】本発明の発光装置の上面図
【図14】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図15】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図16】本発明の発光装置の作製工程を示す図
【図17】本発明の電気器具を示す図
【図18】本発明の電気器具を示す図
【図19】本発明の電気器具を示す図
【図20】シール材のしみ出しが生じた発光装置の断面図及び上面図
【図21】スクライブラインを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の発光装置の作製方法について説明する。図1(A)に図1(B)の点線部A1-A1'における本発明の発光装置の断面図を、図1(B)に上面図を示す。
【0023】
第二の基板100においてシール材を塗布し、シールパターン105を形成する部分に凹部107を形成する。凹部の形成方法としては、第二の基板としてガラスを用いる場合には、ガラスのエッチングによって行う。
【0024】
第二の基板100にシール材を塗布し、シールパターン105を形成する。塗布の方法はディスペンサ方式、もしくはスクリーン印刷方式によって行われる。
図1(A)のように第二の基板に形成された凹部107に、かつ、図1(B)のように発光素子108の周りにシールパターン105を形成する。
【0025】
第二の基板100の材質としては、非晶質ガラス(ホウケイ酸塩ガラス、石英等)、結晶化ガラス、セラミックスガラス、ガラス、ポリマー等の絶縁性物質が好ましい。また、有機系樹脂(アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂もしくはエポキシ系樹脂)、シリコーン系樹脂ポリマーの絶縁性物質でもよい。セラミックスを用いてもよい。また、シール材が絶縁物であるのならステンレス合金等の金属材料を用いることも可能である。
【0026】
シール材の材質としては、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂等のシール材を用いることができる。熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂をシール材として用いることもできる。但し、シール材は可能な限り水分を透過しない材質であることが望ましい。
【0027】
第一の基板101の材質は、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板が用いられる。さらに、第一の基板101上には、配線部109、発光素子108及び駆動回路112が設けられている。配線部とは、駆動回路に電気的に接続する配線の集まりである。図示はしていないが、発光素子108と駆動回路112とは配線により電気的に接続している。
【0028】
第二の基板100と発光素子108が形成された第一の基板101とを貼り合わせる。貼り合わせの方法は、第二の基板100および第一の基板101に印を付けておき、CCD(チャージ カップルド デバイス)カメラによって位置を合わせ、貼り合わせを行う。発光素子の封止される密閉された空間を不活性ガスで満たすために、貼り合わせは不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中で行われる。雰囲気中の水分濃度は可能な限り低く抑える。具体的には、水分濃度が1ppm以下であることが望ましい。
【0029】
発光素子108が形成された第一の基板101と第二の基板100とをシールパターン105を介して貼り合わせた後、熱プレスにより、シール材を硬化させる。シール材が熱硬化性樹脂の場合クリーンオーブン中での熱プレスによって、シール材が光硬化性樹脂の場合紫外線ランプによる紫外線照射によって、シール材を硬化させる。いずれの場合も、硬化の際、発光素子にダメージがかかってしまう恐れがあるので注意が必要である。
【0030】
シール材が完全に硬化したら、スクライバーによって、第一の基板101および第二の基板100の分断すべき箇所に割れ目を付ける。その後、切れ目を入れた面の反対面から力を加えることによって所望の大きさに分断を行う。この際、ブレイカーと呼ばれる圧力を加える装置を用いてもよい。
【0031】
以上の工程を経て、本発明の発光装置が得られる。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターン105の幅を狭くする場合でも、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターン105と凹部107とが接する面積が大きくなるので、第一の基板100と第二の基板101との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0032】
凹部の形成方法として第二の基板にガラスを用いる場合はエッチングを用いたが、サンドブラスト、鋳型によるガラスの形成などによって行ってもよい。
【0033】
また、第二の基板に金属板が用いられる場合には、プレスによる成型、鋳型による金属板の形成などによって行ってもよい。
【0034】
密閉された空間を不活性ガスで満たしたが、有機樹脂で充填してもよい。
【0035】
本発明の発光装置の第二の基板400はシート状であるが、図5のように凹部307を有する第二の基板300が発光素子308の外寸よりも小さい内寸の凹部311(太線部)を有し、その凹部311に乾燥剤312が封止された発光装置にも本発明は適用可能である。フィルム313は、凹部311に乾燥剤312を閉じ込める役割を有している。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターン305の幅を狭くする場合でも、第二の基板に凹部を形成することにより、シールパターン305と凹部307とが接する面積が大きくなるので、第一の基板300と第二の基板301との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。さらに、凹部311に乾燥剤312が封止されているので、水分や酸素による発光素子308の劣化を抑えることが可能となる。
【0036】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
【実施例1】
【0037】
本発明を下面出射に適用した発光装置を図6に示す。本明細書では、光が第一の基板401を透過して出射することを下面出射という。光の方向を矢印で示す。図6(A)は図6(B)の点線部A2-A2'における本発明の発光装置の断面図であり、図6(B)は本発明の発光装置の上面図である。
【0038】
まず、図2(A)のように、ガラスからなる第二の基板400aにレジスト202をスピンコート法によって形成する。次いで、レジストのパターンは実際のシールパターンの幅よりも細くできるようなマスク203を用いて、レジスト202に露光する(図2(A)レジスト塗布/露光)。次いで、図2(B)のように、現像を行い、凹部を形成する部分のレジストを除去する。凹部を形成しない部分には、ガラスからなる第二の基板400a上にレジスト202aとレジスト202bが残っている(図2(B)現像)。次いで、図3(A)のように、エッチングを行うと、ガラスからなる第二の基板400aに凹部407が形成される。エッチャントとしては、フッ酸もしくはフッ酸を主成分とする溶液を用いる。
ウェットエッチングの場合には、等方的にエッチングが行われるので、エッチング後の形状は図3(A)のように断面の形状は一部曲線の形状を有している。また、ドライエッチングを用いてもよい。この場合は、断面の形状が長方形になり、0.3〜0.4mmの深さを有していることが好ましい。(図3(A)エッチング)。次いで、レジスト202aとレジスト202bを剥離し、洗浄すると図3(B)のように、凹部407が形成されたガラスからなる第二の基板400bが得られる。このガラスからなる第二の基板400bが、図6の第二の基板400に相当する。凹部407の幅が0.8〜1.0mm、凹部407の深さは0.08〜0.12mmの範囲にあればよい。凹部407の深さについては、エッチングの時間で調整すればよい(図3(B)剥離・洗浄)。
【0039】
一方、図6のように、第一の基板401には、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板が用いられる。さらに、第一の基板401上には、配線部409、駆動回路412が設けられている。配線部とは、駆動回路に電気的に接続する配線の集まりである。
【0040】
次いで、第一の基板401上に陽極402を形成する。第一の基板401の材質としては、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板が用いられる。陽極402の材質としては、仕事関数の大きな導電膜、代表的には透明導電膜(酸化インジウムと酸化スズの化合物など)、白金、金、ニッケル、パラジウム、イリジウムもしくはコバルトを用いる。陽極は、スパッタ法、真空蒸着法などの方法で形成され、フォトリソグラフィによってパターニングが行われる。
【0041】
第二の基板400においてシール材が塗布され、シールパターンの形成する部分に凹部407を形成する。凹部の形成方法としては、第二の基板としてガラスからなる第二の基板を用いる場合には、ガラスからなる第二の基板のエッチングによって行われる。
【0042】
次いで、不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、陽極402の上に有機層403を形成する。なお、有機層403としては、公知の材料を用いることができる。有機層403は主に積層構造で用いられる。有機層403は、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光層となる材料、電子輸送材料、電子注入材料等を用いて形成する。また、三重項励起状態から基底状態に戻る際のエネルギーを発光に変換しうる材料を有機層403に用いてもよい。
【0043】
不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、有機層403の上に陰極404を形成する。陰極404はメタルマスクを用いた真空蒸着法によって形成される。陰極404の材質としては、仕事関数の小さな金属、代表的には周期表の1族もしくは2族に属する元素(マグネシウム,リチウム,カリウム,バリウム、カルシウム、ナトリウムもしくはベリリウム)またはそれらに近い仕事関数を持つ金属を用いる。また、陰極の材質として、アルミニウムを用い、陰極のバッファー層としてアルミニウムの下にフッ化リチウムもしくはリチウムアセチルアセトネート錯体を形成しても良い。本明細書では、陽極と有機層と陰極とを積層した素子を発光素子という。
【0044】
次いで、図4のように発光素子408の封止が行われる。発光素子408を形成する領域の周りに、すなわち、第二の基板400に形成された凹部407に、シールパターン405aを形成する。シールパターン405aの一部は、凹部407に充填されている。本明細書では、シール材が凹部に充填されるとは、点線部及び凹部に囲まれた領域にシール材が密につまっていることをいう。シール材の硬化後、シールパターンの幅が1.1〜1.3mmの範囲になるように、また、第一の基板401と第二の基板400との間隔が10〜20μmの範囲になるように、シール材の塗布量を調整していればよい(図4(A)シールパターンの形成)。第一の基板401と第二の基板400との間隔は発光素子408の膜厚により決定され、シール材中に含有するフィラーの大きさにより制御される。
【0045】
第二の基板400と発光素子408の形成された第一の基板401とを貼り合わせる(図4(B)貼り合わせ)。図6のように、第一の基板401、第二の基板400、シールパターン405b、発光素子408、駆動回路412に囲まれた領域中に不活性ガス406が満たされる。次いで、熱プレスにより、シール材を硬化させる。
【0046】
以上の工程を経て、本発明の発光装置が得られる。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターン405の幅を狭くする場合でも、第二の基板400に凹部407を形成することにより、シールパターン405と凹部407とが接する面積が大きくなるので、第一の基板400と第二の基板401との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0047】
本実施例では下面出射に適用した発光装置を示したが、第二の基板400に透明な材料を用いれば、上面出射に適用した発光装置を作製することが可能である。本明細書では、光が第二の基板400を透過して出射することを上面出射という。
【0048】
本実施例では、第二の基板に形成した単数の凹みにシールパターンの一部を形成したが、第二の基板に複数の凹みを形成し、シールパターンの一部を充填してもよい。凹部の幅は0.4〜0.5mm、凹部の深さは0.08〜0.12mmの範囲にあればよい。本発明の発光装置を用いた場合、シールパターンの幅を狭くする場合でも、第二の基板に複数の凹部を形成することにより、シールパターンと複数の凹部とが接する面積が大きくなるので、第一の基板と第二の基板との接着の強度を高めることが可能となる。
【実施例2】
【0049】
実施例1ではガラスのエッチングによる凹部の作製方法について言及したが、本実施例では、ガラスのサンドブラスト法による凹部の作製方法について述べる。その他の装置の作製方法は実施例1と同じであり、特に詳細な説明は省略する。
【0050】
ガラス基板において凹部を形成したい部分以外にレジストを形成する。サンドブラスト装置の中に入れ、砂をガラス基板に吹き付ける。次いで、レジストを除去するとガラスを削り取り凹部を形成した第二の基板を完成させる。この際、公知のサンドブラスト装置を用いればよい。
【0051】
次いで、配線部、駆動回路が設けられた第一の基板の上に発光素子を形成し、該基板と凹部を形成した第二の基板とをシール材によって貼り合わせ、所望の大きさに分断することにより、本発明の発光装置を完成させる。
【実施例3】
【0052】
実施例2ではガラスのサンドブラスト法による凹部の形成方法について述べたが、本実施例では、鋳型によるガラスの作製方法について述べる。その他の装置の作製方法は実施例1と同じであり、特に詳細な説明は省略する。
【0053】
鋳型によって凹部が形成されたガラス基板を形成する。ガラス基板に凹部が形成されるように凸の形の鋳型を作成し、その鋳型を使って凹部を形成した第二の基板を作製する。
【0054】
次いで、配線部、駆動回路が設けられた第一の基板の上に発光素子を形成し、該基板と凹部を形成した第二の基板とをシール材によって貼り合わせ、所望の大きさに分断することにより、本発明の発光装置を完成させる。
【実施例4】
【0055】
実施例1から実施例3についてはガラスを第二の基板に適用した例について述べたが、本実施例では金属を第二の基板に適用した例について述べる。本実施例では、プレスによる成型で凹部を形成した第二の基板の作製方法について述べる。
【0056】
まず、プレスによる成型で凹部を形成した第二の基板の作製を行う。
【0057】
次いで、配線部、駆動回路が設けられた第一の基板の上に発光素子を形成し、該基板と凹部を形成した第二の基板とをシール材によって貼り合わせ、所望の大きさに分断することにより、本発明の発光装置を完成させる。
【0058】
本実施例では凹部を形成した第二の基板の作製方法においてプレスによる成型を行ったが、鋳型による凹部を有する金属板の形成をおこなってもよい。
【実施例5】
【0059】
本発明はアクティブ型の発光表示装置にも適用することができる。本発明をアクティブ型の発光装置に適用した例を図7に示す。700は第二の基板、701は第一の基板、702は陽極、703は有機層、704は陰極、705はシールパターン、706は不活性ガス、707は凹部、708はスイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)(点線部内)、709は電流制御用のTFT(点線部内)、710及び711は絶縁膜である。画素の範囲を図7の矢印に示す。陽極702と陰極704とのショート防止のために、第一の基板701の法線方向から見て、陽極702の端部と絶縁膜711(丸点線内)とを重ねることが好ましい。
【実施例6】
【0060】
本発明はパッシブ型の発光装置にも適用することができる。本発明をパッシブ型の発光装置に適用する例を図8に示す。800は第二の基板、801は第一の基板、802は陽極、803は有機層、804は陰極、805はシールパターン、806は不活性ガス、807は凹部、808は絶縁膜である。画素の範囲を図8の矢印に示す。
【実施例7】
【0061】
実施例1〜6では、凹部にシール材が充填された発光装置の一例を示したが、本実施例では、凹部の一部にシールパターンの一部が形成された発光装置の例を示す。
【0062】
図9のように、第二の基板500aにその端面509に沿って、かつ、貼り合わせ後、発光素子508の外側にくるように凹部507aを形成する。凹部507a上の点線部からみて端面509と反対側に第二の基板500aの表面にシール材を塗布しシールパターン505aを形成する(図9(A) シールパターンの形成)。本実施例では、凹部507a上の点線部からみて発光素子508側にシールパターン505aを形成したが、端面509側にシールパターン505aを形成してもよい。
【0063】
一方、配線部(図示せず)と駆動回路(図示せず)とが設けられた第一の基板501aを用意する。不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、第二の基板500aと第一の基板501aとを貼り合わせた際、シールパターン505aはおしつぶされ、凹部507aに一部が形成されたシールパターン505bを形成することになる(図9(B) 貼り合わせ)。第一の基板501、第二の基板500、シールパターン505b、発光素子508、駆動回路(図示はしない)に囲まれた領域中に不活性ガス506が満たされる。シール材が熱硬化性樹脂の場合、クリーンオーブン中での熱プレスによって、シール材を硬化させる。
【0064】
第一の基板500aと第二の基板501aとの貼り合せ工程後の熱プレスでは一般的にパネルの温度を150〜200℃まで加熱して硬化反応を進行させ、硬化が終了したところで室温までパネルの温度を下げる。150℃〜200℃においては、硬化反応が始まる直前にシール材の粘度が低下し、かなり流動的な状態になるため、毛細管現象のためにほんのすこしでも第一の基板500aと第二の基板501aとの間隔が薄くなっている部分によりシール材が流れていくようになり、さらに時間が経過すると今度は硬化反応が始まるのでシール材の粘度が急激に増加し、一旦広がってしまったシール材がもとの状態に戻ることなくそのまま固まってしまう。熱プレス中、凹部507aが形成された第二の基板500aを下側、第一の基板501aを上側に設置することが好ましい。このような設置することにより、シール材がしみ出た場合においても、しみ出したシール材を凹部507aに溜めることができ、端面509にシール材がかかってしまうことを防ぐことができる。また、端面509側にシールパターンを形成する場合には、発光素子508にシール材がしみ出してしまうことを防ぐことができる(図示しない)。
【0065】
次いで、所望の大きさに分断することにより、本発明の発光装置を完成させる。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板500aに凹部507aを形成することにより、シールパターン505bと凹部507aとが接する面積が大きくなり、第一の基板401と第二の基板400との接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0066】
また、本発明の発光装置を用いた場合、熱プレス時に流動的に流れ出したシール材を凹部に溜めることができるので、シール材のしみ出しを抑えることができ、発光素子508と端面509との距離を小さくできる。よって、発光装置の狭額縁化が可能となる。
【実施例8】
【0067】
実施例7で用いた凹部507aを有する第二の基板500を用いた発光装置の作製方法の他の例を示す。
【0068】
実施例7で作製した発光装置の狭額縁化を行うために、貼り合わせ・分断後、図11のように、シールパターン505bの一部が端部514上に存在する発光装置を作製する。
【0069】
シールパターン505a、凹部507a及び端面509を有する第二の基板500aを用意する(図10(A) シールパターンの形成)。図10(B)のように貼り合わせのため、第一の基板501cの表面に、かつ、図12において第二の基板500a及び第一の基板501cの法線方向からみて凹部507aと重なるようにスクライブライン512と、発光素子508を第一の基板501cに形成しておく。第二の基板500aと第一の基板501cと貼り合わせた上面図を図12に示す。図12中の点線A3−A3'における断面図が図10(B)に相当する。
【0070】
不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、第二の基板500aと第一の基板501cとを貼り合わせる(図10(B))。第一の基板501c、第二の基板500a、シールパターン505b、発光素子508、駆動回路(図示はしない)に囲まれた領域中に不活性ガス506が満たされる。
【0071】
次いで、図11(A)のようにブレイカーのブレークバーで、第二の基板500aの裏面を矢印方向に加圧すれば、第二の基板500aに矢印の方向に亀裂511aが生じる。亀裂511aが第二の基板500aの裏面にまで達すると、第二の基板500aから、亀裂511aの入った箇所から端面509のまでの第二の基板500aの一部が切り離され、端面513と凹部507dを有する第二の基板500dが形成される。凹部507dは、第二の基板500dの端部514と端部513aに沿って形成されている。これと同時に、スクライブライン512から亀裂511bが生じ、第一の基板501cから亀裂511bの入った箇所から端面515のまでの第一の基板501cの一部が切り離され、スクライブラインの一部512aが形成された第一の基板501d及び凹部507dが形成された第二の基板500dを有する発光装置を得る(図11(B) 分断後)。本明細書では、亀裂とはひびがはいってさけることをいう。スクライブライン512から端面515のまでの基板501cの一部が切り離されない場合は、ブレイカーのブレークバーにより、端面515の内側で、かつ、第一の基板501cの裏面を加圧すれば、第一の基板501cから、亀裂511bの入った箇所から端面のまでの第一の基板501cの一部が切り離され、スクライブラインの一部512aが形成された発光装置を得る。
【0072】
また、スクライブライン512は、第二の基板500aの裏面又は表面に、かつ、該基板の法線方向からみて凹部507aと重なるように形成することが好ましい。本明細書では、第一の基板及び第二の基板の表面とは、シールパターンと接する側の面をいう。また、本明細書では、第一の基板及び第二の基板の裏面とは、凹部、端面、シールパターンと接する側の面以外の面をいう。第二の基板から配線部側以外の三辺付近の端面から凹部までの第二の基板の一部を分断し、第一の基板から配線部側以外の三辺付近の端面からスクライブラインまでの第一の基板の部分についても分断することが好ましい。分断後(図11(B))の発光装置の上面図を図13に示す。図13中の点線A4−A4'における断面図が図11(B)に相当する。
【0073】
以上の工程を経て、本発明の発光装置を完成させる。本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板500dに凹部507dを形成することにより、シールパターンと凹部とが接する面積が大きくなり、第一の基板501dと第二の基板500dとの接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0074】
また、表示部の見える方向からみてスクライブライン512から端面515までの第一の基板501cの一部が第一の基板501cより切り離され、また、表示部の見える方向からみて凹部507aから端面509までの第二の基板500aの一部が第二の基板500aより切り離されることにより、観測者からみて端面と発光素子508との距離が小さくできるので、発光装置の狭額縁化が可能となる。
【0075】
さらに、本発明の発光装置を用いることにより、シールパターン505bの一部が第二の基板500dの表面の端部514上に形成され、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。本明細書では、端部とは、第一の基板又は第二の基板を構成する面と該面と接する凹部とが接する部分をいう。
【0076】
本実施例の作製工程を用いた場合、第二の基板にスクライブラインを形成する工程が不要となる。
【実施例9】
【0077】
実施例1〜8では、単数の凹部が形成された第二の基板を用いた発光装置の作製方法を示したが、本実施例では複数の凹部が形成された第二の基板を用いた発光装置の作製方法を示す。
【0078】
図14のように、第二の基板600aにその端面609に沿って、かつ、第一の基板601cと貼り合わせ後、発光素子610の外側にくるように、凹部607aと凹部608aを形成する。凹部607aと凹部608aの間の第二の基板600aの表面にシール材を塗布し、シールパターン605aを形成する(図14(A) シールパターンの形成)。不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、第二の基板600aを第一の基板601aと貼り合わせた(図14(B) 貼り合わせ)際、シールパターン605aはおしつぶされ、凹部607aと凹部608aにシールパターン605aの一部が形成される。
【0079】
第一の基板600aと第二の基板601aとの貼り合せ工程後の熱プレスでは一般的にパネルの温度を150〜200℃まで加熱して硬化反応を進行させ、硬化が終了したところで室温までパネルの温度を下げる。150℃〜200℃においては、硬化反応が始まる直前にシール材の粘度が低下し、かなり流動的な状態になるため、毛細管現象のためにほんのすこしでも第一の基板600aと第二の基板601aとの間隔が薄くなっている部分によりシール材が流れていくようになり、さらに時間が経過すると今度は硬化反応が始まるのでシール材の粘度が急激に増加し、一旦広がってしまったシール材がもとの状態に戻ることなくそのまま固まってしまう。熱プレス中は、凹部607a及び凹部608aを有する第二の基板600aを下側、第一の基板601aを上側にくるように設置することが好ましい。このような設置することにより、シール材がしみ出した場合においても、しみ出たシール材を凹部607a又は凹部608aに溜めることができ、端面609にシール材がかかっててしまうことや発光素子610にシール材がしみ出してしまうことを防ぐことができる。
【0080】
よって、発光装置の狭額縁化が可能となる。第二の基板600a(凹部608aの一部を含む)、第一の基板601a、シールパターン605b、発光素子608、駆動回路(図示はしない)に囲まれた領域中に不活性ガス606が満たされる。図14(B)の上面図については省略する。
【0081】
本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板600aに凹部607a及び凹部608aを形成することにより、シールパターン605bと凹部608a及び凹部608aとが接する面積が大きくなり、第一の基板601aと第二の基板600aとの接着の強度の減少を抑えることが可能となる。また、本発明の発光装置を用いた場合、熱プレス時に流動的に流れ出したシール材を凹部に溜めることができるので、シール材のしみ出しを抑えることができ、発光素子610と端面609との距離を小さくできる。
【実施例10】
【0082】
実施例9で用いた凹部607a及び凹部608aを有する第二の基板600を用いた発光装置の作製方法の他の例を示す。
【0083】
実施例9で作製した発光装置の狭額縁化を行うために、まず、シールパターン605a、凹部607a、凹部608a及び端面609を有する第二の基板600aを用意する(図15(A) シールパターンの形成)。貼り合わせ(図15(B))のため、第一の基板601cの表面に、かつ、第一の基板601cの法線方向からみて凹部607aと重なるようにスクライブライン612を形成した第一の基板601cに発光素子610を形成しておく。
【0084】
図16(A)(分断)に示すように、不活性ガス(窒素もしくは希ガス)雰囲気中、第二の基板600aと第一の基板601cとを貼り合わせる。第一の基板601c、第二の基板600a(凹部608aの一部を含む)、シールパターン605b、発光素子610、駆動回路(図示はしない)に囲まれた領域中に不活性ガス606が満たされる。次いで、ブレイカーのブレークバーにより、端面609と凹部607aの間の第二の基板600aの裏面を矢印の方向に加圧すれば、第二の基板600aに矢印の方向に亀裂611aが生じる。亀裂611aが第二の基板600aの裏面にまで達すると、第二の基板600aから、亀裂611aの入った箇所から端面609のまでの第二の基板600aの一部が切り離され、凹部607bを有する第二の基板600bが形成される。凹部607bは、端部613aと端部614に沿って形成されている。同時に、スクライブライン612から亀裂611bが生じ、第一の基板601cから、亀裂611bの入った箇所から端面615のまでの第一の基板601cの一部が切り離され、スクライブラインの一部612aが形成された第一の基板601d及び凹部607bが形成された第二の基板600bを有する発光装置を得る。スクライブライン612から端面615のまでの基板601cの一部が切り離されない場合は、ブレイカーのブレークバーにより、端面615とスクライブライン612の間の第二の基板601cの裏面を矢印の方向に加圧すれば、亀裂611bの入った箇所から端面615のまでの第一の基板601cの一部が切り離され、第一の基板601dが形成され、発光装置が完成する(図16(B) 分断後)。図16(B)(分断後)
の発光装置の上面図については省略する。
【0085】
本発明の発光装置を用いた場合、第二の基板600bに凹部607b及び凹部608aを形成することにより、シールパターン605bと凹部607b及び凹部608aとが接する面積が大きくなり、第一の基板601bと第二の基板600dとの接着の強度の減少を抑えることが可能となる。
【0086】
また、表示部の見える方向からみてスクライブライン612から端面615までの第一の基板601cの一部が第一の基板601cより切り離され、また、凹部607aから端面609までの第二の基板600aの一部が第二の基板600aより切り離されることにより、表示部の見える方向からみて端面と発光素子610との距離が小さくできるので、発光装置の狭額縁化が可能となる。
【0087】
さらに、本発明の発光装置を用いることにより、シールパターン605bの一部が第二の基板600bの端部614上に形成され、頑丈な発光装置を提供することが可能となる。
【0088】
本実施例の作製工程を用いた場合、第二の基板にスクライブラインを形成する工程が不要となる。
【実施例11】
【0089】
本発明の発光装置は、自発光型であるため液晶ディスプレイに比べて明るい場所での視認性に優れ、しかも視野角が広い。従って、様々な電気器具の表示部として用いることができる。例えば、TV放送等を大画面で鑑賞するには対角30インチ以上(典型的には40インチ以上)のディスプレイの表示部において本発明の発光装置を用いると良い。
【0090】
なお、ディスプレイには、パソコン用表示装置、TV放送受信用表示装置、広告表示用表示装置等の全ての情報表示用表示装置が含まれる。また、その他にも様々な電気器具の表示部に本発明の発光装置を用いることができる。
【0091】
その様な本発明の電気器具としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型のパーソナルコンピュータ、ゲーム機器(電子遊技機器)、車載用後方確認モニター、テレビ電話、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。これらの電気器具の具体例を図17〜図19に示す。本明細書では、車載用後方確認モニターとは運転席から死角となって見通しのきかないところをカメラ等を通して表示部に写し出す発光装置である。
【0092】
図17(A)はディスプレイであり、筐体901、支持台902、表示部903等を含む。本発明の発光装置は表示部903にて用いることができる。なお、本発明の発光装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。
【0093】
図17(B)はビデオカメラであり、本体911、表示部912、音声入力部913、操作スイッチ914、バッテリー915、受像部916等を含む。本発明の発光装置は表示部912にて用いることができる。
【0094】
図17(C)はヘッドマウントディスプレイの一部(右片側)であり、本体921、信号ケーブル922、頭部用の固定バンド923、表示部924、光学系925、表示装置926等を含む。本発明の発光装置は表示装置926にて用いることができる。
【0095】
図17(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVDプレーヤー)であり、本体931、記録媒体(DVD等)932、操作スイッチ933、表示部(a)934、表示部(b)935等を含む。表示部(a)934は主として画像情報を表示し、表示部(b)935は主として文字情報を表示するが、本発明の発光装置はこれら表示部(a)934、表示部(b)935にて用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0096】
図17(E)はゴーグル型発光装置(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体941、表示部942、アーム部943を含む。本発明の発光装置は表示部942にて用いることができる。
【0097】
図17(F)はパーソナルコンピュータであり、本体951、筐体952、表示部953、キーボード954等を含む。本発明の発光装置は表示部953にて用いることができる。
【0098】
なお、将来的に有機層の材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型あるいはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0099】
また、上記電気器具はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。有機層の材料の応答速度は非常に高いため、本発明の発光装置は動画表示に好ましい。
【0100】
図18(A)は携帯電話であり、表示用パネル1001、操作用パネル1002、接続部1003、表示部1004、音声出力部1005、操作スイッチ1006、電源スイッチ1007、音声入力部1008、アンテナ1009を含む。
本発明の発光装置は表示部1004にて用いることができる。なお、表示部1004は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0101】
図18(B)は音響再生装置、具体的にはカーオーディオであり、本体1011、表示部1012、操作スイッチ1013、操作スイッチ1014を含む。本発明の発光装置は表示部1012にて用いることができる。また、本実施例では車載用オーディオを示すが、携帯型や家庭用の音響再生装置に用いても良い。なお、表示部1014は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型の音響再生装置において特に有効である。
【0102】
図18(C)はデジタルカメラであり、本体1021、表示部(A)1022、接眼部1023、操作スイッチ1024、表示部(B)1025、バッテリー1026を含む。本発明の発光装置は、表示部(A)1022、表示部(B)1025にて用いることができる。また、表示部(B)1025を、主に操作用パネルとして用いる場合、黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えることができる。
【0103】
図19(A)は車載用後方確認モニターであり、本体3201、表示部3202、車との接続部3203、中継ケーブル3204、カメラ3205、鏡3206等を含む。本発明の発光装置は表示部3202に適用することができる。本願では、鏡3206に表示部3202が内臓されているものを示したが、鏡と表示部が分離しているものでもよい。
【0104】
図19(B)はテレビ電話であり、本体3301、表示部3302、受像部3303、キーボード3304、操作スイッチ3305、受話器3306、等を含む。本発明の発光装置は表示部3303に適用することができる。
【0105】
図19(C)はカーナビゲーションであり、本体3401、表示部3402、操作スイッチ3403等を含む。本発明の発光装置は表示部3402に適用することができる。表示部3402には、道等の絵図が示されることとなる。
【0106】
図19(D)は電子手帳であり、本体3501、表示部3502、操作スイッチ3503、電子ペン3504等を含む。本発明の発光装置は表示部3502に適用することができる。
【0107】
本実施例にて示した携帯型電気器具においては、消費電力を低減するための方法としては、外部の明るさを感知するセンサ部を設け、暗い場所で使用する際には、表示部の輝度を落とすなどの機能を付加するなどといった方法が挙げられる。
【0108】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜実施例10に示したいずれの構成を適用しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板との間に形成された発光素子と、
前記発光素子の周りに形成され、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせるシール材と、を有し、
前記第2の基板には、前記発光素子の外側にくるように第1の凹部が形成されており、
前記第2の基板には、前記第1の凹部の外側にくるように第2の凹部が形成されており、
前記シール材は、前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に形成されており、
前記第1の凹部及び前記第2の凹部の一部には、前記シール材が形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の基板の法線方向に対して、前記第2の凹部に重なるスクライブラインが形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記発光素子の封止される密閉された空間が不活性ガスで満たされていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置を備えたことを特徴とする電気器具。
【請求項5】
第1の基板に発光素子を形成する工程と、
第2の基板に第1の凹部及び第2の凹部を形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを前記シール材によって、前記シール材が前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に形成されるように貼り合わせる工程とを有し、
前記シール材は、前記発光素子の周りに形成され、
前記発光素子の外側にくるように前記第2の基板に前記第1の凹部を形成し、
前記第1の凹部の外側にくるように前記第2の基板に前記第2の凹部を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板との貼り合せ時、前記シール材の一部が、前記第1の凹部と前記第2の凹部に溜めることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項6】
第1の基板に発光素子を形成する工程と、
第2の基板に第1の凹部及び第2の凹部を形成する工程と、
前記第1の基板に、前記発光素子の周りにスクライブラインを形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを前記シール材によって、前記シール材が前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に形成され、かつ、前記スクライブラインと前記第2の凹部とが重なるように貼り合わせる工程と、
前記第1の基板及び前記第2の基板を、前記スクライブライン及び前記第2の凹部に沿って分断する工程とを有し、
前記シール材は、前記発光素子の周りに形成され、
前記発光素子の外側にくるように前記第2の基板に前記第1の凹部を形成し、
前記第1の凹部の外側にくるように前記第2の基板に前記第2の凹部を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板との貼り合せ時、前記シール材の一部が、前記第1の凹部と前記第2の凹部に溜めることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、
前記第2の基板の表面をエッチングすることで、前記第1の凹部及び前記第2の凹部をそれぞれ形成することを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−82193(P2011−82193A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12527(P2011−12527)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【分割の表示】特願2001−133285(P2001−133285)の分割
【原出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】