発光装置及びそれを用いた照明装置
【課題】固体発光素子(LED)を用いた発光装置において、施工面側へ光を照射させ、アンビエント照度を向上させる。
【解決手段】発光装置1は、固体発光素子(LED2)と、LED2が実装される基板3と、LED2の光導出方向に設けられた光学部材4と、を備え、光学部材4は、LED2及び基板3を覆うように配され、且つ基板3の周縁部よりも外周側に延設されており、LED2と対向する入射面41と、入射面41と対峙する第1の透過面42と、第1の透過面42の外周側に位置する全反射面43と、基板3の周縁部の外周側に位置する第2の透過面44と、を有する。この構成によれば、入射面41から入射された光は、第1の透過面42から、又は全反射面43で全反射されて第2の透過面44から出射されるので、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。
【解決手段】発光装置1は、固体発光素子(LED2)と、LED2が実装される基板3と、LED2の光導出方向に設けられた光学部材4と、を備え、光学部材4は、LED2及び基板3を覆うように配され、且つ基板3の周縁部よりも外周側に延設されており、LED2と対向する入射面41と、入射面41と対峙する第1の透過面42と、第1の透過面42の外周側に位置する全反射面43と、基板3の周縁部の外周側に位置する第2の透過面44と、を有する。この構成によれば、入射面41から入射された光は、第1の透過面42から、又は全反射面43で全反射されて第2の透過面44から出射されるので、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として複数の固体発光素子を用いた発光装置及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED)は、低電力で高輝度の発光が可能であり、しかも長寿命であることから、白熱灯や蛍光灯に代替する照明装置用の光源として注目されている。照明装置に用いられるLEDとして、青色光を出射する青色LEDチップに、この青色光を黄色光に波長変換する蛍光体層を被覆させて、青色光と黄色光との混光にとり白色光を生成する白色LEDパッケージが知られている。
【0003】
この種のLEDパッケージは、一般的に、搭載される蛍光体層の発光面が、平面又は半球状で形成されているので、LEDの前方への指向性が高い配光となる。そのため、このようなLEDパッケージを、拡散透過パネルを備えた照明装置に搭載したとき、拡散透過パネルの出射面において、LEDの直上部の輝度が局所的に高くなり易く、輝度分布が不均一となり、グレアが生じることがある。
【0004】
そこで、LEDパッケージからの光の配光を広角配光とするレンズを備えた発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光装置は、LEDの光出射方向に設けられた、断面形状が双山状となったレンズを用いて、LEDからの光を屈折及び反射させて出射することにより、出射光の配光を広角配光とすると共に、輝度分布を均一化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−34770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、照明装置においては、輝度分布の均一化やグレアの低減だけでなく、空間の明るさ感を効果的に向上させることも重要な要素になっている。そして、空間の明るさ感を向上させる照明技術として、天井や壁面等の周囲を均一に明るくする、いわゆるアンビエント照度を向上させることが挙げられる。しかしながら、上記特許文献1に示される発光装置においては、レンズの基板と対向する面が乱反射面として形成されているので、発光装置の施工面側へ光を照射させることができず、アンビエント照度を向上させることができない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる発光装置及びこの発光装置を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光装置は、固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子の光導出方向に設けられた光学部材と、を備え、前記光学部材は、前記固体発光素子及び前記基板を覆うように配され、且つ前記基板の周縁部よりも外周側に延設されており、前記固体発光素子と対向して、該固体発光素子からの出射光を入射する入射面と、前記入射面と対峙し、該入射面から入射された光を透過する第1の透過面と、前記第1の透過面の外周側に位置し、前記入射面から入射された光を全反射する全反射面と、前記基板の周縁部の外周側に位置し、前記全反射面で全反射された光を透過する第2の透過面と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記発光装置において、前記入射面は、前記固体発光素子を収納する凹状の収容部を有し、前記第1の透過面は、前記固体発光素子方向に凹状となる凹状湾曲面を有し、前記全反射面は、前記固体発光素子の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面を有することが好ましい。
【0010】
上記発光装置において、前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、前記光学部材は、前記複数の固体発光素子のうち少なくとも前記基板の周縁部に近接する固体発光素子に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記発光装置において、前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、前記光学部材は、複数の前記固体発光素子を覆うように設けられていることが好ましい。
【0012】
上記発光装置において、前記第2の透過面は、内周側から外周側へ前記基板を含む平面から次第に離間するように湾曲されていることが好ましい。
【0013】
上記発光装置において、前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、前記保持部材は、施工面から突出しており、前記光学部材を前記施工面から所定距離の位置で保持するように構成されていることが好ましい。
【0014】
上記発光装置において、前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、前記保持部材が、施工面に埋め込まれるように構成されていることが好ましい。
【0015】
上記発光装置は、照明装置に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発光装置によれば、光学部材の入射面から入射された光は、第1の透過面から、又は全反射面で全反射されて基板の周縁部より外周側にある第2の透過面から出射されるので、基板を施工面側としたとき、この施工面側へ光が照射され、アンビエント照度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の側断面図。
【図2】同発光装置の斜視図。
【図3】(a)(b)は同発光装置における光学部材の第1の透過面及び全反射面の形状を説明するための図。
【図4】同発光装置に用いられる固体発光装置の詳細な構成を示す側断面図。
【図5】同上実施形態の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図6】(a)別の変形例に係る発光装置の側断面図、(b)は更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図7】更に別の変形例に係る発光装置の斜視図。
【図8】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る発光装置及びこれを用いた照明装置の側断面図。
【図10】同上実施形態の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図11】別の変形例に係る発光装置の斜視図。
【図12】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図13】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置及びそれを用いた照明装置について、図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態の発光装置1は、図1及び図2に示すように、固体発光素子としての発光ダイオード(以下、LED)2と、LED2が実装される配線基板(以下、基板)3と、LED2から放射された光の配光を調整する光学部材4と、を備える。発光装置1は、基板3側を施工面とすればよく、基板3の下面と施工面との間に、アンビエント照明用の空間が設けられる。
【0019】
光学部材4は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又はガラス等の透光性材料から形成されたレンズであり、LED2及び基板3を覆うように配され、且つ基板3の周縁部よりも外周側に延設されている。例えば、基板3が矩形状であり、その対角線の長さが3cmであれば、光学部材4の外径はφ9cmとされるが、光学部材4の外周が基板3の周縁部よりも十分に大きければよく、上記サイズに限られない。なお、固体発光素子は、LEDに限らず、例えば、有機EL素子等であってもよい。
【0020】
また、光学部材4は、LED2からの光を入射する入射面41と、入射面41からの光を透過する第1の透過面42と、入射面41からの光を全反射する全反射面43と、全反射面43で全反射された光を透過する第2の透過面44と、を有する。
【0021】
入射面41は、光学部材4の底面の略中央部であって、LED2と対向する位置に形成されている。また、入射面41は、LED2を収納する凹状の収容部41aを有する。この収容部41aの内表面(入射面41)の形状は、LED2から一定の距離を持つように、例えば、半球状に形成されている。また、入射面41の形状は、LED2から放射状に出射された光を全反射することなく効率的に光学部材4内に導入できるように、平滑面とされる。また、収容部41aには、例えば、光学部材4を構成する樹脂材料と同じ材料等が適宜に充填されていてもよい。本実施形態においては、収容部41aの周囲に、基板3を収容する凹部41bが形成される。この凹部41bは、基板3の大きさ及び厚みと略同じ大きさ及び深さに形成され、基板3のLED2が実装されていない面と、光学部材4の底面(第2の透過面44)とが面一な面とされる。
【0022】
第1の透過面42は、光学部材4の光出射面の略中央部であって、入射面41と対峙する位置に形成されている。また、第1の透過面42は、LED2の方向に凹状となる凹状湾曲面42aを有する。この凹状湾曲面42aによって、入射面41からの光は、第1の透過面42の界面で外周側へ屈折して、光学部材4外へ放射されるので、LED2からの出射光の配光を広角にすることができる。
【0023】
図例では、第1の透過面42が平滑な面として形成された例を示すが、これに限らず、第1の透過面42は粗面として形成されていてもよい。すなわち、第1の透過面42の表面を粗面化することによって、入射面41からの光が、第1の透過面42を透過するときに拡散されるので、グレアの発生を抑制することができる。粗面化は、例えば、小さな砂等の光学部材4よりも硬度の高い材料を表面に当てるブラスト処理等によって行われる。このとき、第1の透過面42の表面に当てる砂の量又は砂粒のサイズを適宜に調整することにより粗度を任意に設定することができる。また、第1の透過面42上において、粗度に分布を持たせてもよい。例えば、第1の透過面42におけるLED2の直上部は、特に輝度が高くなるので、この部分の粗度を高くすることにより、グレアの発生を効果的に抑制することができる。
【0024】
全反射面43は、第1の透過面42の外周側の位置に設けられ、その外径は基板3の周縁部より十分に大きく、光学部材4の周縁部を成す。また、全反射面43は、LED2の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面43aを有する。入射面41からの光は、凸状湾曲面43a(全反射面43)の界面で全反射されて、光学部材4内における基板3の周縁部よりも外周側の領域へ導光される。
【0025】
第2の透過面44は、基板3の周縁部の外周側に位置するように設けられる。本実施形態において、第2の透過面44は、基板3のLED2が実装された面とは反対側の面と面一となる平坦な面として形成され、その外周縁が全反射面43の周縁部と連結されている。第2の透過面44の表面も、上記第1の透過面42と同様に、粗面化されていてもよい。こうすれば、全反射面43からの光が、第2の透過面44を透過するときに拡散されるので、広範囲に光を照射することができる。また、第2の透過面44の表面に微細の凹凸構造を形成してもよく、この場合も粗面化と同様の効果が得られる。
【0026】
ここで、光学部材4の第1の透過面42及び全反射面43の詳細な形状について図3(a)(b)を参照して説明する。光学部材4の全反射面43は、等角螺旋形状、又はそれに準じた形状に形成されることが好ましい。ここで、等角螺旋とは、図3(a)に示すように、ある原点と等角螺旋上の点を通る直線と、その等角螺旋上の点の接線とのなす角(以下、角αという)が常に一定である曲線をいう。上記原点にLED2の発光部を配置し、角(90°−α)、すなわち、LED2(原点)からの光の全反射面43(等角螺旋)への入射角を、臨界角以上の角度にすれば、LED2(原点)から出た光は理論上、全て全反射面43の界面で全反射する。つまり、図3(b)に示すように、全反射面43は、角αが所定の角度以下である等角螺旋を含む曲面から形成される。一方、第1の透過面42は、角αが所定の角度以上となる曲線を含む曲面から形成される。例えば、光学部材4がポリカーボネート樹脂によって形成されている場合、ポリカーボネート樹脂の屈折率は1.585であり、臨界角は約39°であるから、角α=51°(=90°−39°)となる。つまり、この例において、全反射面43は、角α=51°以下となる等角螺旋を含む曲面から形成され、一方、第1の透過面42は、角α=51°以上となる曲線を含む曲面から形成される。また、これら第1の透過面42及び全反射面43が、滑らかに連続する曲面として形成されることにより、これら曲率が変化する領域における光ムラの発生を抑制することができる。
【0027】
LED2は、図4に示すように、LED2の出射光の波長を変換する波長変換部材21が被覆されて、LEDパッケージとして構成される。このLEDパッケージの大きさは、例えば、2mmとされる。LED2は、発光装置1として所望の光色の発光を可能とする光源であれば特に限定されないが、発光ピーク波長が460nmの青色光を放射するGaN系青色LEDチップが好適に用いられる。本実施形態において、LED2には、素子上面に陽極及び陰極の各電極が設けられた、いわゆるフェイスアップ型の素子が用いられる。LED2の実装方法としては、LED2が基板3上に、ダイボンド材31によって接合され、LED2の素子上面に設けられた各電極を、基板3上に設けられた配線パターン32に、ワイヤ33を用いて結線させる。これにより、LED2と配線パターン32とが電気的に接続される。ダイボンド材31としては、例えば、シリコーン系樹脂、銀ペースト、その他高耐熱のエポキシ系樹脂材等が用いられる。なお、ここでは、LED2の実装方法として、フェイスアップ式の素子をワイヤボンディング実装する例を示したが、LED2は下面側に電極を配したフェイスダウン式の素子であってもよく、この場合、例えば、フリップチップ実装によりLED2が実装される。
【0028】
基板3は、母材として、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の汎用の基板用板材が好適に用いられる。アルミナや窒化アルミ等のセラミック基板、表面に絶縁層が設けられた金属基板であってもよい。この基板3上に、LED2に給電するための配線パターン32が設けられている。基板3の形状は、LED2及び波長変換部材21等の搭載部材を搭載できるサイズ及び形状であればよく、厚みは、取り扱い時に撓み等の変形を生じない強度を有する程度であればよい。
【0029】
基板3上に形成された配線パターン32は、例えば、Au表面でメッキ法により形成される。メッキ法は、Auに限られず、例えば、Ag、Cu、Ni等であってもよい。また、各パターン部の表面のAuは、基板3との接着力を向上させるために、例えば、Au/Ni/Agといった積層構造とされてもよい。なお、配線パターン32は、その表面に光反射処理が施され、LED2からの基板3側へ出射された光を反射するように構成されていてもよい。また、基板3及び配線パターン32の表面は、ワイヤ33の結線やLED2の実装に必要な領域を除き、白色レジストによって覆われていることが好ましい。この白色レジストは、例えば、リフトオフ法等により形成される。こうすれば、白色レジストによって各パターン部が保護されるので、配線の安定性が向上し、しかも、発光装置1を照明装置に組み込む際の取り扱いが容易となり、装置の製造効率が良くなる。
【0030】
ワイヤ33には、例えば、汎用の金ワイヤが用いられる。また、アルミワイヤ、銀ワイヤ又は銅ワイヤ等であってもよい。ワイヤ33は、熱接合又は超音波接合等の公知の接合方法により、LED2の各電極及び配線パターン32に接合される。
【0031】
波長変換部材21は、透光性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂)に、LED2から出射された青色光によって励起され、黄色光を放射する粒子状の黄色蛍光体を分散させた混合材料を、上述した形状に形成加工して作製された光学部材である。透光性を有する樹脂材料は、例えば、屈折率が1.2〜1.5のシリコーン樹脂が用いられる。
【0032】
蛍光体には、LED2から出射された青色光の一部を吸収して励起され、波長500〜650nmの波長域にピーク波長を有する周知の黄色蛍光体が好適に用いられる。この黄色蛍光体は、発光ピーク波長が黄色波長域内にあり、且つ、発光波長域が赤色波長域を含むものである。黄色蛍光体としては、イットリウム(Yttrium)とアルミニウム(Aluminum)の複合酸化物のガーネット(Garnet)構造の結晶から成る、いわゆるYAG系蛍光体が挙げられるが、これに限られない。例えば、色温度や演色性を調整するため等に、複数色の蛍光体を混色させて用いてもよく、赤色蛍光体と緑色蛍光体を適宜に混合させることにより、演色性の高い白色光を得ることができる。なお、波長変換部材21を構成する樹脂材料には、上記蛍光体に加えて、例えば、光拡散材又はフィラー等が添加されてもよい。
【0033】
波長変換部材21には、図示した半球形状のものが用いられる。また、縦断面視においてはLED2の側方方向の厚さよりも上方方向の厚さが厚く、光導出方向に頂点部を有する縦長の凸形状であって、縦断面が高さ方向に長径を有する半楕円形状となるように形成されていてもよい。このような波長変換部材21を、LED2に被覆させれば、LED2からの出射光の波長を変換して、任意の光色の光を出射するだけでなく、LED2及びワイヤ33を保護することができる。
【0034】
波長変換部材21の形成方法としては、例えば、上述した形状に成形された金型に、蛍光体含有樹脂を充填し、LED2が実装された基板3を、逆さまの状態で、金型内の樹脂上面に置載して、硬化させる方法が挙げられる。また、LED2が設置される空間に凹部を設けた碗形状の成形品を、蛍光体含有樹脂を用いて予め作成し、この凹部に成形品と同様の樹脂を充填してLED2を覆うように基板3上に置載して、硬化させる方法であってもよい。更に、LED2が実装された基板3上にディスペンサを用いて、比較的チクソ性の高い蛍光体含有樹脂を塗布して所望の形状を形成してもよい。また、この成形体を切削及び研磨することにより、上述した波長変換部材21の形状となるように形成加工する方法であってもよい。形成された波長変換部材21は、上述した樹脂が硬化する前に、その樹脂によって、又は硬化後には同様の樹脂によって、基板3上に接着される。
【0035】
LED2から発せられた光は、その発光部の略中心を通る光導出軸を中心として放射状に出射される。光の一部は、波長変換部材21に含まれる蛍光体に当たり、基底状態にある蛍光体を励起状態に遷移させ、励起状態となった蛍光体は、LED2からの光とは波長が異なる光を放出して基底状態に戻る。このとき放出された光と、LED2自体から出射された光とが混光されて、LED2(パッケージ)の発光面から、所定波長の光が放射される。
【0036】
次に、光学部材4によって、光がどのように配光制御されるか、上述した図1を参照して説明する。LED2から光学部材4の入射面41に入射した光のうち、LED2の直上方向へ向かう光は、第1の透過面42を屈折しながら透過して光学部材4外へ放射される。このとき、第1の透過面42が凹状碗曲面42aとなっていることにより、第1の透過面42に入射した光は外周側へ屈折して出射されるので、出射光の配光を広角にすることができる。次に、第1の透過面42よりも外周側へ向かう光は、全反射面43によって全反射される。この全反射面43によって全反射される光は、第2の透過面44に入射し、その入射角が臨界角以下である場合、第2の透過面44を屈折しながら透過する。その結果、発光装置1は、基板3の周縁部の外周側の領域に光を照射することができる。従って、本実施形態の発光装置1によれば、発光装置1の施工面側(図中下方向)へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。
【0037】
ところで、全反射面43によって全反射されて第2の透過面44に入射した光のうち、その入射角が臨界角以上である光(不図示)は、第2の透過面44の界面で全反射されて、再び全反射面43へ入射する。全反射面43は、凸状碗曲面43aとして構成されており、周縁部近傍ほど第2の透過面44との成す角が小さくなるので、この領域において第2の透過面44で全反射された光の全反射面43への入射角は小さくなり易い。従って、再び全反射面43へ入射した光は、この界面を屈折しながら透過して、発光装置1の側方方向へ出射される。
【0038】
本実施形態の変形例に係る発光装置について図5を参照して説明する。上記実施形態においては、光学部材4の入射面41の周囲に、基板3を収容する凹部41bが形成された例を示した。一方、本変形例の発光装置1は、図5に示すように、光学部材4が、基板3を収容する構造を有しておらず、フラットな底面を有し、基板3の周囲に、基板3と同じ厚みの透明基板45が設けられているものである。この透明基板45は、光学部材4と同じ材料又は同様の屈折率を有する材料で形成されており、光学部材4と透明基板45との界面に入射する光は全反射することなく、この界面を透過することができる。従って、本変形例においては、透明基板45の光学部材4とは反対側の面が、上記実施形態における第2の透過面44に相当する。この面は、粗面化されていてもよい。
【0039】
この構成によれば、光学部材4の底面がフラットであるため、光学部材4の成形加工が容易であり、これを用いた発光装置1の生産性を良くすることができる。
【0040】
次に、別の変形例に係る発光装置について図6を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、図6(a)に示すように、光学部材4の第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように湾曲されているものである。すなわち、第2の透過面44は、基板3の周縁部から、全反射面43の周縁部に掛けて次第に大きくなる逆テーパ形状に形成されている。他の構成は上記実施形態と同様である。また、第2の透過面44の表面が粗面化されていてもよい。
【0041】
この構成によれば、入射面41からの光のうち、全反射面43よりも更に外周側へ放射された光が、第2の透過面44に入射して、この界面で全反射されて、全反射面43へ向かい、全反射面43を透過して、光学部材4外へ放射される。つまり、全反射面43からも光が照射されるので、光学部材4の表面全体から光を照射することができる。また、本変形例においては、入射面41からの光は、全反射面43で全反射されて、第2の透過面44へ入射したとき、この界面での入射角が小さくなるので、第2の透過面44で全反射されることなく、この界面を屈折しながら透過する。従って、発光装置1の施工面側(図中下方向)の広い範囲に光を照射することができる。また、光学部材4の体積が小さいので、製造に必要な樹脂等の材料を少なくすることができ、材料コストを低減することができる。
【0042】
また、同図では、逆テーパ形状の第2の透過面44が、フラットな面として形成された例を示すが、図6(b)に示すように、第2の透過面44が、緩やかに湾曲した碗形状であってもよい。この構成によれば、全反射面43から出射される光の出射角度を、LED2の光導出方向に近いで角度にすることができる。このように、第2の透過面44の傾斜形状を変えることにより、側方方向への光の広がりを変化させることができる。
【0043】
更に別の変形例に係る発光装置について図7を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、基板3上に複数のLED2が実装され、複数のLED2のうち、基板3の周縁部に近接するLED2に、光学部材4が設けられているものである。他の構成は上記実施形態と同様である。なお、図例では、上記実施形態で示した光学部材4を用いた構成を示すが、上記図6に示した変形例の光学部材4を用いてもよい。
【0044】
また、図例では、LED2は、基板3上に格子状に配置されている構成を示すが、これに限らず、例えば、複数のLED2がアレイ状、同心円状、又は環状等(不図示)に配置されていてもよい。更に、基板3の中央寄りに配置されたLED2にも、基板3の周縁部に近接するLED2と同様に、光学部材4が設けられている構成を示す。なお、基板3の中央寄りに配置されたLED2には、出射光の配光を広角に配光制御し、基板3側へ光を出射しないように構成された別途の光学部材(不図示)が設けられていてもよい。
【0045】
この構成によれば、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度をより向上させることができる。しかも広範囲に亘ってアンビエント照度を高くすることができる。
【0046】
更に別の変形例に係る発光装置について図8を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、基板3上に複数のLED2が実装され、一つの光学部材4が、これら複数のLED2を覆うように設けられているものである。本変形例においては、基板3上に複数のLED2がアレイ状に配置されている。これに限らず、上記図7に示した変形例と同様に、複数のLED2が格子状に配置されていてもよいし、同心円状又は環状等(不図示)に配置されていてもよい。本変形例においては、光学部材4の入射面41にある収容部41aが、複数のLED2を収容できるように、大きく形成されている。なお、光学部材4の底面が、上記図5に示した変形例と同様にフラットに形成されていてもよく、この場合、光学部材4の底面に透明基板45(図5参照)が設けられる。また、光学部材4の周縁部が、上記図6で示した変形例と同様に、光学部材4の第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように、湾曲されているものであってもよい。他の構成は上記図7に示した変形例と同様である。
【0047】
この構成によれば、複数のLED2を密集させたLED群から成る光源を備えた発光装置1おいても、上記実施形態と同様に、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。また、本変形例のように、アレイ状に配置されている複数のLED2の夫々の出射光は、光学部材4の入射面41と基板3とで囲まれる収容部41a内で、複数回反射されて光学部材4に入射する。従って、発光装置1から照射される光の輝度ムラを低減することができ、また、LED光源特有の粒々感を低減することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について、図9を参照して説明する。本実施形態の発光装置1は、LED2、基板3及び光学部材4を保持する保持部材を備え、この保持部材は、天井等の施工面6から突出しており、光学部材4を施工面6から所定距離の位置で保持するように構成されているものである。本実施形態において、保持部材は、器具本体5の底面に組み込まれている。基板3は、ネジ51により器具本体5(保持部材)に固定される。光学部材4には、上記第1の実施形態の変形例で説明した透明基板45(図5参照)を用い、底面がフラットな光学部材4が用いられてもよい(不図示)。この発光装置1に、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。照明装置10は、ボルト61により施工面6に固定される。図例では、上記第1の実施形態で示した光学部材4を用いた構成を示すが、上記図6に示した光学部材4であってもよい。
【0049】
器具本体5は、所定の剛性を有するアルミニウム板又は鋼板等の板材を、上記形状にプレス加工したものであり、上記電源部が内蔵されている。この電源部からは正負極のリード線(不図示)が引き出されており、これらのリード線により、電源部が所定の外部給電部(不図示)に電気的に接続される。なお、施工面6は、天井に限らず、壁面等であってもよい。この施工面6の表面には、可視光に対する反射率が高い白色の壁紙等が貼着されていることが好ましい。
【0050】
拡散透過パネル7は、器具本体5の施工面6に近接する基部52に固定され、光学部材4の第2の透過面44を覆う第1パネル71と、この第1パネル71に係止され、第2の透過面42及び全反射面43を覆う碗形状の第2パネル72と、を備える。第1パネル71は、器具本体5にネジ53によりネジ止めされており、主として、発光装置1の施工面6側に出射される光を拡散透過する。なお、この第1パネル72は、拡散性の無いクリアパネルであってもよい。第2パネル72は、第1パネル71とネジ又はツメ等により係止されており、発光装置1の施工面6とは反対側にある空間側に出射される光を拡散透過する。この拡散透過パネル7は、アクリル樹脂等の透光性樹脂に酸化チタン等の拡散粒子を添加した乳白色材料を、所定形状に形成加工した部材である。なお、拡散透過パネル7は、透明なガラス板又は樹脂板の表面又は裏面に、サンドブラスト処理を施して粗面としたもの、又はシボ加工を施したもの等であってもよい。
【0051】
この構成によれば、光学部材4の第2の透過面44から出射された光は、第1パネル71により拡散されて放射されるので、施工面6に輝度ムラ無く照射され、見栄えよくアンビエント照度を向上させることができる。また、光学部材4の第1の透過面42から出射された光は、第2パネル71により拡散されて放射されるので、室内に照射される光によるグレアの発生を抑制することができる。
【0052】
上記第2の実施形態の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図10を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、第2の透過面44から出射された光を側方方向へ反射する反射部材8が、器具本体5を囲うように設けられたものである。器具本体5は施工面6と近接する基部52の外周側に保持枠54が延設されている。本変形例において、器具本体5は箱形状であり、各側面に反射部材8が取り付けられている。この発光装置1に、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。拡散透過パネル7は、保持枠54の周縁部にネジ55により固定される。
【0053】
反射部材8は、光学部材4と器具本体5との接合箇所から保持枠54の周縁部を連接し、器具本体5の基部52に向けて凹状に湾曲した形状に形成されている。反射部材8は、上述した形状に形成されたアルミニウム等金属板、又は樹脂形成板に高反射性の白色塗料を塗装して作製された光拡散反射板等が好適に用いられる。反射部材8は、その表面により反射率の高い銀又はアルミニウムが蒸着されたものであってもよい。
【0054】
本変形例においては、拡散透過パネル7には、直方体箱形状のものが用いられるが、これに限らず、反射部材8を収容できるように形成されていればよい。拡散透過パネル7の周縁部にはネジ孔(不図示)が形成され、このネジ孔にネジ55が挿通されて、保持枠54の周縁部に固定される。このネジ孔には、ネジ55のネジ頭を収容する皿孔が形成されていることが好ましい。こうすれば、ネジ55のネジ頭が照射光を遮らないようにすることができる。
【0055】
この構成によれば、光学部材4の第2の透過面44から出射された光のうち、器具本体5の基部52の近傍に照射される光が、反射部材8によって側方方向へ反射されるので、施工面6のより広い範囲に光を照射することができ、広い空間のアンビエント照度を向上させることができる。
【0056】
別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図11を参照して説明する。本変形例に係る発光装置1は、上記図7に示した変形例のように、基板3上に複数のLED2が設けられ、基板3の周縁部に近接するLED2に光学部材4が配され、また、上記保持部材を更に設けたものである。また、基板3の周囲に上記図5に示した透明基板45が配されている。なお、上記図8に示した複数のLED2を覆う光学部材4が用いられてもよい。この発光装置1に、上記図10に示した拡散透過パネル7及び反射部材8が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。
【0057】
この構成によれば、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度をより向上させることができる、しかも広範囲に亘ってアンビエント照度を高くすることができる。
【0058】
更に別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図12を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、光学部材4が、上記図6に示した変形例と同様に、第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように湾曲されているものを用いたものである。また、LED2、基板3及び光学部材4を保持する保持部材を備え、この保持部材が、施工面6に埋め込まれるように構成されている。本例において、保持部材は、器具本体5の底面に組み込まれている。この発光装置1には、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が備えられて、照明装置10が構成される。本変形例の拡散透過パネル7は、光学部材4の第1の透過面42及び全反射面43と対向する面が平坦面73として構成され、第2の透過面44と対向する面が平坦面73の周縁部から器具本体5へテーパ状になるよう傾斜した傾斜面74として形成されている。他の構成は上記図9に示した変形例と同様である。
【0059】
この構成によれば、上記実施形態と同様に、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。また、器具本体5(保持部材)が施工面6に埋め込まれているので、照明装置10における施工面6から突出する部分が少なくなり、照明装置10の外観をスリム化することができる。
【0060】
更に別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図13を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、上記第図11に示した変形例と同様に、基板3上に複数のLED2が設けられ、各LED2に、上記図6,9に示し他変形例の光学部材4が用いられたものである。この発光装置1には、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が備えられて、照明装置10が構成される。他の構成は上記変形例と同様である。
【0061】
この構成によれば、上記変形例と同様に、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度を広範囲に亘って高くすることができ、また、照明装置10の外観をスリム化することができる。
【0062】
なお、本発明は、光学部材4が基板3の周縁部より外周側に延設され、この光学部材4の底面側から光を出射するように構成されたものであれば、上述した実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、図7,図8,図11及び図13に示した発光装置1においては、複数のLEDに発光色の異なるものを用い、各光色を光学部材4で混光させてもよい。また、LED2の設けられる波長変換部材21の出射面形状と、光学部材4の収容部41aの形状とを対応させて、波長変換部材21から出射される光が、光学部材4へ効率的に入射されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 発光装置
10 照明装置
2 LED(固体発光素子)
3 基板
4 光学部材
41 入射面
41a 収容部
42 第1の透過面
42a 凹状湾曲面
43 全反射面
43a 凸状湾曲面
44 第2の透過面
5 器具本体(保持部材)
6 施工面
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として複数の固体発光素子を用いた発光装置及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED)は、低電力で高輝度の発光が可能であり、しかも長寿命であることから、白熱灯や蛍光灯に代替する照明装置用の光源として注目されている。照明装置に用いられるLEDとして、青色光を出射する青色LEDチップに、この青色光を黄色光に波長変換する蛍光体層を被覆させて、青色光と黄色光との混光にとり白色光を生成する白色LEDパッケージが知られている。
【0003】
この種のLEDパッケージは、一般的に、搭載される蛍光体層の発光面が、平面又は半球状で形成されているので、LEDの前方への指向性が高い配光となる。そのため、このようなLEDパッケージを、拡散透過パネルを備えた照明装置に搭載したとき、拡散透過パネルの出射面において、LEDの直上部の輝度が局所的に高くなり易く、輝度分布が不均一となり、グレアが生じることがある。
【0004】
そこで、LEDパッケージからの光の配光を広角配光とするレンズを備えた発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光装置は、LEDの光出射方向に設けられた、断面形状が双山状となったレンズを用いて、LEDからの光を屈折及び反射させて出射することにより、出射光の配光を広角配光とすると共に、輝度分布を均一化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−34770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、照明装置においては、輝度分布の均一化やグレアの低減だけでなく、空間の明るさ感を効果的に向上させることも重要な要素になっている。そして、空間の明るさ感を向上させる照明技術として、天井や壁面等の周囲を均一に明るくする、いわゆるアンビエント照度を向上させることが挙げられる。しかしながら、上記特許文献1に示される発光装置においては、レンズの基板と対向する面が乱反射面として形成されているので、発光装置の施工面側へ光を照射させることができず、アンビエント照度を向上させることができない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる発光装置及びこの発光装置を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光装置は、固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子の光導出方向に設けられた光学部材と、を備え、前記光学部材は、前記固体発光素子及び前記基板を覆うように配され、且つ前記基板の周縁部よりも外周側に延設されており、前記固体発光素子と対向して、該固体発光素子からの出射光を入射する入射面と、前記入射面と対峙し、該入射面から入射された光を透過する第1の透過面と、前記第1の透過面の外周側に位置し、前記入射面から入射された光を全反射する全反射面と、前記基板の周縁部の外周側に位置し、前記全反射面で全反射された光を透過する第2の透過面と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記発光装置において、前記入射面は、前記固体発光素子を収納する凹状の収容部を有し、前記第1の透過面は、前記固体発光素子方向に凹状となる凹状湾曲面を有し、前記全反射面は、前記固体発光素子の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面を有することが好ましい。
【0010】
上記発光装置において、前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、前記光学部材は、前記複数の固体発光素子のうち少なくとも前記基板の周縁部に近接する固体発光素子に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記発光装置において、前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、前記光学部材は、複数の前記固体発光素子を覆うように設けられていることが好ましい。
【0012】
上記発光装置において、前記第2の透過面は、内周側から外周側へ前記基板を含む平面から次第に離間するように湾曲されていることが好ましい。
【0013】
上記発光装置において、前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、前記保持部材は、施工面から突出しており、前記光学部材を前記施工面から所定距離の位置で保持するように構成されていることが好ましい。
【0014】
上記発光装置において、前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、前記保持部材が、施工面に埋め込まれるように構成されていることが好ましい。
【0015】
上記発光装置は、照明装置に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発光装置によれば、光学部材の入射面から入射された光は、第1の透過面から、又は全反射面で全反射されて基板の周縁部より外周側にある第2の透過面から出射されるので、基板を施工面側としたとき、この施工面側へ光が照射され、アンビエント照度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の側断面図。
【図2】同発光装置の斜視図。
【図3】(a)(b)は同発光装置における光学部材の第1の透過面及び全反射面の形状を説明するための図。
【図4】同発光装置に用いられる固体発光装置の詳細な構成を示す側断面図。
【図5】同上実施形態の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図6】(a)別の変形例に係る発光装置の側断面図、(b)は更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図7】更に別の変形例に係る発光装置の斜視図。
【図8】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る発光装置及びこれを用いた照明装置の側断面図。
【図10】同上実施形態の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図11】別の変形例に係る発光装置の斜視図。
【図12】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【図13】更に別の変形例に係る発光装置の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置及びそれを用いた照明装置について、図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態の発光装置1は、図1及び図2に示すように、固体発光素子としての発光ダイオード(以下、LED)2と、LED2が実装される配線基板(以下、基板)3と、LED2から放射された光の配光を調整する光学部材4と、を備える。発光装置1は、基板3側を施工面とすればよく、基板3の下面と施工面との間に、アンビエント照明用の空間が設けられる。
【0019】
光学部材4は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又はガラス等の透光性材料から形成されたレンズであり、LED2及び基板3を覆うように配され、且つ基板3の周縁部よりも外周側に延設されている。例えば、基板3が矩形状であり、その対角線の長さが3cmであれば、光学部材4の外径はφ9cmとされるが、光学部材4の外周が基板3の周縁部よりも十分に大きければよく、上記サイズに限られない。なお、固体発光素子は、LEDに限らず、例えば、有機EL素子等であってもよい。
【0020】
また、光学部材4は、LED2からの光を入射する入射面41と、入射面41からの光を透過する第1の透過面42と、入射面41からの光を全反射する全反射面43と、全反射面43で全反射された光を透過する第2の透過面44と、を有する。
【0021】
入射面41は、光学部材4の底面の略中央部であって、LED2と対向する位置に形成されている。また、入射面41は、LED2を収納する凹状の収容部41aを有する。この収容部41aの内表面(入射面41)の形状は、LED2から一定の距離を持つように、例えば、半球状に形成されている。また、入射面41の形状は、LED2から放射状に出射された光を全反射することなく効率的に光学部材4内に導入できるように、平滑面とされる。また、収容部41aには、例えば、光学部材4を構成する樹脂材料と同じ材料等が適宜に充填されていてもよい。本実施形態においては、収容部41aの周囲に、基板3を収容する凹部41bが形成される。この凹部41bは、基板3の大きさ及び厚みと略同じ大きさ及び深さに形成され、基板3のLED2が実装されていない面と、光学部材4の底面(第2の透過面44)とが面一な面とされる。
【0022】
第1の透過面42は、光学部材4の光出射面の略中央部であって、入射面41と対峙する位置に形成されている。また、第1の透過面42は、LED2の方向に凹状となる凹状湾曲面42aを有する。この凹状湾曲面42aによって、入射面41からの光は、第1の透過面42の界面で外周側へ屈折して、光学部材4外へ放射されるので、LED2からの出射光の配光を広角にすることができる。
【0023】
図例では、第1の透過面42が平滑な面として形成された例を示すが、これに限らず、第1の透過面42は粗面として形成されていてもよい。すなわち、第1の透過面42の表面を粗面化することによって、入射面41からの光が、第1の透過面42を透過するときに拡散されるので、グレアの発生を抑制することができる。粗面化は、例えば、小さな砂等の光学部材4よりも硬度の高い材料を表面に当てるブラスト処理等によって行われる。このとき、第1の透過面42の表面に当てる砂の量又は砂粒のサイズを適宜に調整することにより粗度を任意に設定することができる。また、第1の透過面42上において、粗度に分布を持たせてもよい。例えば、第1の透過面42におけるLED2の直上部は、特に輝度が高くなるので、この部分の粗度を高くすることにより、グレアの発生を効果的に抑制することができる。
【0024】
全反射面43は、第1の透過面42の外周側の位置に設けられ、その外径は基板3の周縁部より十分に大きく、光学部材4の周縁部を成す。また、全反射面43は、LED2の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面43aを有する。入射面41からの光は、凸状湾曲面43a(全反射面43)の界面で全反射されて、光学部材4内における基板3の周縁部よりも外周側の領域へ導光される。
【0025】
第2の透過面44は、基板3の周縁部の外周側に位置するように設けられる。本実施形態において、第2の透過面44は、基板3のLED2が実装された面とは反対側の面と面一となる平坦な面として形成され、その外周縁が全反射面43の周縁部と連結されている。第2の透過面44の表面も、上記第1の透過面42と同様に、粗面化されていてもよい。こうすれば、全反射面43からの光が、第2の透過面44を透過するときに拡散されるので、広範囲に光を照射することができる。また、第2の透過面44の表面に微細の凹凸構造を形成してもよく、この場合も粗面化と同様の効果が得られる。
【0026】
ここで、光学部材4の第1の透過面42及び全反射面43の詳細な形状について図3(a)(b)を参照して説明する。光学部材4の全反射面43は、等角螺旋形状、又はそれに準じた形状に形成されることが好ましい。ここで、等角螺旋とは、図3(a)に示すように、ある原点と等角螺旋上の点を通る直線と、その等角螺旋上の点の接線とのなす角(以下、角αという)が常に一定である曲線をいう。上記原点にLED2の発光部を配置し、角(90°−α)、すなわち、LED2(原点)からの光の全反射面43(等角螺旋)への入射角を、臨界角以上の角度にすれば、LED2(原点)から出た光は理論上、全て全反射面43の界面で全反射する。つまり、図3(b)に示すように、全反射面43は、角αが所定の角度以下である等角螺旋を含む曲面から形成される。一方、第1の透過面42は、角αが所定の角度以上となる曲線を含む曲面から形成される。例えば、光学部材4がポリカーボネート樹脂によって形成されている場合、ポリカーボネート樹脂の屈折率は1.585であり、臨界角は約39°であるから、角α=51°(=90°−39°)となる。つまり、この例において、全反射面43は、角α=51°以下となる等角螺旋を含む曲面から形成され、一方、第1の透過面42は、角α=51°以上となる曲線を含む曲面から形成される。また、これら第1の透過面42及び全反射面43が、滑らかに連続する曲面として形成されることにより、これら曲率が変化する領域における光ムラの発生を抑制することができる。
【0027】
LED2は、図4に示すように、LED2の出射光の波長を変換する波長変換部材21が被覆されて、LEDパッケージとして構成される。このLEDパッケージの大きさは、例えば、2mmとされる。LED2は、発光装置1として所望の光色の発光を可能とする光源であれば特に限定されないが、発光ピーク波長が460nmの青色光を放射するGaN系青色LEDチップが好適に用いられる。本実施形態において、LED2には、素子上面に陽極及び陰極の各電極が設けられた、いわゆるフェイスアップ型の素子が用いられる。LED2の実装方法としては、LED2が基板3上に、ダイボンド材31によって接合され、LED2の素子上面に設けられた各電極を、基板3上に設けられた配線パターン32に、ワイヤ33を用いて結線させる。これにより、LED2と配線パターン32とが電気的に接続される。ダイボンド材31としては、例えば、シリコーン系樹脂、銀ペースト、その他高耐熱のエポキシ系樹脂材等が用いられる。なお、ここでは、LED2の実装方法として、フェイスアップ式の素子をワイヤボンディング実装する例を示したが、LED2は下面側に電極を配したフェイスダウン式の素子であってもよく、この場合、例えば、フリップチップ実装によりLED2が実装される。
【0028】
基板3は、母材として、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の汎用の基板用板材が好適に用いられる。アルミナや窒化アルミ等のセラミック基板、表面に絶縁層が設けられた金属基板であってもよい。この基板3上に、LED2に給電するための配線パターン32が設けられている。基板3の形状は、LED2及び波長変換部材21等の搭載部材を搭載できるサイズ及び形状であればよく、厚みは、取り扱い時に撓み等の変形を生じない強度を有する程度であればよい。
【0029】
基板3上に形成された配線パターン32は、例えば、Au表面でメッキ法により形成される。メッキ法は、Auに限られず、例えば、Ag、Cu、Ni等であってもよい。また、各パターン部の表面のAuは、基板3との接着力を向上させるために、例えば、Au/Ni/Agといった積層構造とされてもよい。なお、配線パターン32は、その表面に光反射処理が施され、LED2からの基板3側へ出射された光を反射するように構成されていてもよい。また、基板3及び配線パターン32の表面は、ワイヤ33の結線やLED2の実装に必要な領域を除き、白色レジストによって覆われていることが好ましい。この白色レジストは、例えば、リフトオフ法等により形成される。こうすれば、白色レジストによって各パターン部が保護されるので、配線の安定性が向上し、しかも、発光装置1を照明装置に組み込む際の取り扱いが容易となり、装置の製造効率が良くなる。
【0030】
ワイヤ33には、例えば、汎用の金ワイヤが用いられる。また、アルミワイヤ、銀ワイヤ又は銅ワイヤ等であってもよい。ワイヤ33は、熱接合又は超音波接合等の公知の接合方法により、LED2の各電極及び配線パターン32に接合される。
【0031】
波長変換部材21は、透光性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂)に、LED2から出射された青色光によって励起され、黄色光を放射する粒子状の黄色蛍光体を分散させた混合材料を、上述した形状に形成加工して作製された光学部材である。透光性を有する樹脂材料は、例えば、屈折率が1.2〜1.5のシリコーン樹脂が用いられる。
【0032】
蛍光体には、LED2から出射された青色光の一部を吸収して励起され、波長500〜650nmの波長域にピーク波長を有する周知の黄色蛍光体が好適に用いられる。この黄色蛍光体は、発光ピーク波長が黄色波長域内にあり、且つ、発光波長域が赤色波長域を含むものである。黄色蛍光体としては、イットリウム(Yttrium)とアルミニウム(Aluminum)の複合酸化物のガーネット(Garnet)構造の結晶から成る、いわゆるYAG系蛍光体が挙げられるが、これに限られない。例えば、色温度や演色性を調整するため等に、複数色の蛍光体を混色させて用いてもよく、赤色蛍光体と緑色蛍光体を適宜に混合させることにより、演色性の高い白色光を得ることができる。なお、波長変換部材21を構成する樹脂材料には、上記蛍光体に加えて、例えば、光拡散材又はフィラー等が添加されてもよい。
【0033】
波長変換部材21には、図示した半球形状のものが用いられる。また、縦断面視においてはLED2の側方方向の厚さよりも上方方向の厚さが厚く、光導出方向に頂点部を有する縦長の凸形状であって、縦断面が高さ方向に長径を有する半楕円形状となるように形成されていてもよい。このような波長変換部材21を、LED2に被覆させれば、LED2からの出射光の波長を変換して、任意の光色の光を出射するだけでなく、LED2及びワイヤ33を保護することができる。
【0034】
波長変換部材21の形成方法としては、例えば、上述した形状に成形された金型に、蛍光体含有樹脂を充填し、LED2が実装された基板3を、逆さまの状態で、金型内の樹脂上面に置載して、硬化させる方法が挙げられる。また、LED2が設置される空間に凹部を設けた碗形状の成形品を、蛍光体含有樹脂を用いて予め作成し、この凹部に成形品と同様の樹脂を充填してLED2を覆うように基板3上に置載して、硬化させる方法であってもよい。更に、LED2が実装された基板3上にディスペンサを用いて、比較的チクソ性の高い蛍光体含有樹脂を塗布して所望の形状を形成してもよい。また、この成形体を切削及び研磨することにより、上述した波長変換部材21の形状となるように形成加工する方法であってもよい。形成された波長変換部材21は、上述した樹脂が硬化する前に、その樹脂によって、又は硬化後には同様の樹脂によって、基板3上に接着される。
【0035】
LED2から発せられた光は、その発光部の略中心を通る光導出軸を中心として放射状に出射される。光の一部は、波長変換部材21に含まれる蛍光体に当たり、基底状態にある蛍光体を励起状態に遷移させ、励起状態となった蛍光体は、LED2からの光とは波長が異なる光を放出して基底状態に戻る。このとき放出された光と、LED2自体から出射された光とが混光されて、LED2(パッケージ)の発光面から、所定波長の光が放射される。
【0036】
次に、光学部材4によって、光がどのように配光制御されるか、上述した図1を参照して説明する。LED2から光学部材4の入射面41に入射した光のうち、LED2の直上方向へ向かう光は、第1の透過面42を屈折しながら透過して光学部材4外へ放射される。このとき、第1の透過面42が凹状碗曲面42aとなっていることにより、第1の透過面42に入射した光は外周側へ屈折して出射されるので、出射光の配光を広角にすることができる。次に、第1の透過面42よりも外周側へ向かう光は、全反射面43によって全反射される。この全反射面43によって全反射される光は、第2の透過面44に入射し、その入射角が臨界角以下である場合、第2の透過面44を屈折しながら透過する。その結果、発光装置1は、基板3の周縁部の外周側の領域に光を照射することができる。従って、本実施形態の発光装置1によれば、発光装置1の施工面側(図中下方向)へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。
【0037】
ところで、全反射面43によって全反射されて第2の透過面44に入射した光のうち、その入射角が臨界角以上である光(不図示)は、第2の透過面44の界面で全反射されて、再び全反射面43へ入射する。全反射面43は、凸状碗曲面43aとして構成されており、周縁部近傍ほど第2の透過面44との成す角が小さくなるので、この領域において第2の透過面44で全反射された光の全反射面43への入射角は小さくなり易い。従って、再び全反射面43へ入射した光は、この界面を屈折しながら透過して、発光装置1の側方方向へ出射される。
【0038】
本実施形態の変形例に係る発光装置について図5を参照して説明する。上記実施形態においては、光学部材4の入射面41の周囲に、基板3を収容する凹部41bが形成された例を示した。一方、本変形例の発光装置1は、図5に示すように、光学部材4が、基板3を収容する構造を有しておらず、フラットな底面を有し、基板3の周囲に、基板3と同じ厚みの透明基板45が設けられているものである。この透明基板45は、光学部材4と同じ材料又は同様の屈折率を有する材料で形成されており、光学部材4と透明基板45との界面に入射する光は全反射することなく、この界面を透過することができる。従って、本変形例においては、透明基板45の光学部材4とは反対側の面が、上記実施形態における第2の透過面44に相当する。この面は、粗面化されていてもよい。
【0039】
この構成によれば、光学部材4の底面がフラットであるため、光学部材4の成形加工が容易であり、これを用いた発光装置1の生産性を良くすることができる。
【0040】
次に、別の変形例に係る発光装置について図6を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、図6(a)に示すように、光学部材4の第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように湾曲されているものである。すなわち、第2の透過面44は、基板3の周縁部から、全反射面43の周縁部に掛けて次第に大きくなる逆テーパ形状に形成されている。他の構成は上記実施形態と同様である。また、第2の透過面44の表面が粗面化されていてもよい。
【0041】
この構成によれば、入射面41からの光のうち、全反射面43よりも更に外周側へ放射された光が、第2の透過面44に入射して、この界面で全反射されて、全反射面43へ向かい、全反射面43を透過して、光学部材4外へ放射される。つまり、全反射面43からも光が照射されるので、光学部材4の表面全体から光を照射することができる。また、本変形例においては、入射面41からの光は、全反射面43で全反射されて、第2の透過面44へ入射したとき、この界面での入射角が小さくなるので、第2の透過面44で全反射されることなく、この界面を屈折しながら透過する。従って、発光装置1の施工面側(図中下方向)の広い範囲に光を照射することができる。また、光学部材4の体積が小さいので、製造に必要な樹脂等の材料を少なくすることができ、材料コストを低減することができる。
【0042】
また、同図では、逆テーパ形状の第2の透過面44が、フラットな面として形成された例を示すが、図6(b)に示すように、第2の透過面44が、緩やかに湾曲した碗形状であってもよい。この構成によれば、全反射面43から出射される光の出射角度を、LED2の光導出方向に近いで角度にすることができる。このように、第2の透過面44の傾斜形状を変えることにより、側方方向への光の広がりを変化させることができる。
【0043】
更に別の変形例に係る発光装置について図7を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、基板3上に複数のLED2が実装され、複数のLED2のうち、基板3の周縁部に近接するLED2に、光学部材4が設けられているものである。他の構成は上記実施形態と同様である。なお、図例では、上記実施形態で示した光学部材4を用いた構成を示すが、上記図6に示した変形例の光学部材4を用いてもよい。
【0044】
また、図例では、LED2は、基板3上に格子状に配置されている構成を示すが、これに限らず、例えば、複数のLED2がアレイ状、同心円状、又は環状等(不図示)に配置されていてもよい。更に、基板3の中央寄りに配置されたLED2にも、基板3の周縁部に近接するLED2と同様に、光学部材4が設けられている構成を示す。なお、基板3の中央寄りに配置されたLED2には、出射光の配光を広角に配光制御し、基板3側へ光を出射しないように構成された別途の光学部材(不図示)が設けられていてもよい。
【0045】
この構成によれば、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度をより向上させることができる。しかも広範囲に亘ってアンビエント照度を高くすることができる。
【0046】
更に別の変形例に係る発光装置について図8を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、基板3上に複数のLED2が実装され、一つの光学部材4が、これら複数のLED2を覆うように設けられているものである。本変形例においては、基板3上に複数のLED2がアレイ状に配置されている。これに限らず、上記図7に示した変形例と同様に、複数のLED2が格子状に配置されていてもよいし、同心円状又は環状等(不図示)に配置されていてもよい。本変形例においては、光学部材4の入射面41にある収容部41aが、複数のLED2を収容できるように、大きく形成されている。なお、光学部材4の底面が、上記図5に示した変形例と同様にフラットに形成されていてもよく、この場合、光学部材4の底面に透明基板45(図5参照)が設けられる。また、光学部材4の周縁部が、上記図6で示した変形例と同様に、光学部材4の第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように、湾曲されているものであってもよい。他の構成は上記図7に示した変形例と同様である。
【0047】
この構成によれば、複数のLED2を密集させたLED群から成る光源を備えた発光装置1おいても、上記実施形態と同様に、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。また、本変形例のように、アレイ状に配置されている複数のLED2の夫々の出射光は、光学部材4の入射面41と基板3とで囲まれる収容部41a内で、複数回反射されて光学部材4に入射する。従って、発光装置1から照射される光の輝度ムラを低減することができ、また、LED光源特有の粒々感を低減することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について、図9を参照して説明する。本実施形態の発光装置1は、LED2、基板3及び光学部材4を保持する保持部材を備え、この保持部材は、天井等の施工面6から突出しており、光学部材4を施工面6から所定距離の位置で保持するように構成されているものである。本実施形態において、保持部材は、器具本体5の底面に組み込まれている。基板3は、ネジ51により器具本体5(保持部材)に固定される。光学部材4には、上記第1の実施形態の変形例で説明した透明基板45(図5参照)を用い、底面がフラットな光学部材4が用いられてもよい(不図示)。この発光装置1に、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。照明装置10は、ボルト61により施工面6に固定される。図例では、上記第1の実施形態で示した光学部材4を用いた構成を示すが、上記図6に示した光学部材4であってもよい。
【0049】
器具本体5は、所定の剛性を有するアルミニウム板又は鋼板等の板材を、上記形状にプレス加工したものであり、上記電源部が内蔵されている。この電源部からは正負極のリード線(不図示)が引き出されており、これらのリード線により、電源部が所定の外部給電部(不図示)に電気的に接続される。なお、施工面6は、天井に限らず、壁面等であってもよい。この施工面6の表面には、可視光に対する反射率が高い白色の壁紙等が貼着されていることが好ましい。
【0050】
拡散透過パネル7は、器具本体5の施工面6に近接する基部52に固定され、光学部材4の第2の透過面44を覆う第1パネル71と、この第1パネル71に係止され、第2の透過面42及び全反射面43を覆う碗形状の第2パネル72と、を備える。第1パネル71は、器具本体5にネジ53によりネジ止めされており、主として、発光装置1の施工面6側に出射される光を拡散透過する。なお、この第1パネル72は、拡散性の無いクリアパネルであってもよい。第2パネル72は、第1パネル71とネジ又はツメ等により係止されており、発光装置1の施工面6とは反対側にある空間側に出射される光を拡散透過する。この拡散透過パネル7は、アクリル樹脂等の透光性樹脂に酸化チタン等の拡散粒子を添加した乳白色材料を、所定形状に形成加工した部材である。なお、拡散透過パネル7は、透明なガラス板又は樹脂板の表面又は裏面に、サンドブラスト処理を施して粗面としたもの、又はシボ加工を施したもの等であってもよい。
【0051】
この構成によれば、光学部材4の第2の透過面44から出射された光は、第1パネル71により拡散されて放射されるので、施工面6に輝度ムラ無く照射され、見栄えよくアンビエント照度を向上させることができる。また、光学部材4の第1の透過面42から出射された光は、第2パネル71により拡散されて放射されるので、室内に照射される光によるグレアの発生を抑制することができる。
【0052】
上記第2の実施形態の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図10を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、第2の透過面44から出射された光を側方方向へ反射する反射部材8が、器具本体5を囲うように設けられたものである。器具本体5は施工面6と近接する基部52の外周側に保持枠54が延設されている。本変形例において、器具本体5は箱形状であり、各側面に反射部材8が取り付けられている。この発光装置1に、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。拡散透過パネル7は、保持枠54の周縁部にネジ55により固定される。
【0053】
反射部材8は、光学部材4と器具本体5との接合箇所から保持枠54の周縁部を連接し、器具本体5の基部52に向けて凹状に湾曲した形状に形成されている。反射部材8は、上述した形状に形成されたアルミニウム等金属板、又は樹脂形成板に高反射性の白色塗料を塗装して作製された光拡散反射板等が好適に用いられる。反射部材8は、その表面により反射率の高い銀又はアルミニウムが蒸着されたものであってもよい。
【0054】
本変形例においては、拡散透過パネル7には、直方体箱形状のものが用いられるが、これに限らず、反射部材8を収容できるように形成されていればよい。拡散透過パネル7の周縁部にはネジ孔(不図示)が形成され、このネジ孔にネジ55が挿通されて、保持枠54の周縁部に固定される。このネジ孔には、ネジ55のネジ頭を収容する皿孔が形成されていることが好ましい。こうすれば、ネジ55のネジ頭が照射光を遮らないようにすることができる。
【0055】
この構成によれば、光学部材4の第2の透過面44から出射された光のうち、器具本体5の基部52の近傍に照射される光が、反射部材8によって側方方向へ反射されるので、施工面6のより広い範囲に光を照射することができ、広い空間のアンビエント照度を向上させることができる。
【0056】
別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図11を参照して説明する。本変形例に係る発光装置1は、上記図7に示した変形例のように、基板3上に複数のLED2が設けられ、基板3の周縁部に近接するLED2に光学部材4が配され、また、上記保持部材を更に設けたものである。また、基板3の周囲に上記図5に示した透明基板45が配されている。なお、上記図8に示した複数のLED2を覆う光学部材4が用いられてもよい。この発光装置1に、上記図10に示した拡散透過パネル7及び反射部材8が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が設けられて、照明装置10が構成される。
【0057】
この構成によれば、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度をより向上させることができる、しかも広範囲に亘ってアンビエント照度を高くすることができる。
【0058】
更に別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図12を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、光学部材4が、上記図6に示した変形例と同様に、第2の透過面44が、この第2の透過面44の内周側から外周側へ向けて、基板3を含む平面から次第に離間するように湾曲されているものを用いたものである。また、LED2、基板3及び光学部材4を保持する保持部材を備え、この保持部材が、施工面6に埋め込まれるように構成されている。本例において、保持部材は、器具本体5の底面に組み込まれている。この発光装置1には、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が備えられて、照明装置10が構成される。本変形例の拡散透過パネル7は、光学部材4の第1の透過面42及び全反射面43と対向する面が平坦面73として構成され、第2の透過面44と対向する面が平坦面73の周縁部から器具本体5へテーパ状になるよう傾斜した傾斜面74として形成されている。他の構成は上記図9に示した変形例と同様である。
【0059】
この構成によれば、上記実施形態と同様に、発光装置1の施工面側へ光を照射させることができ、アンビエント照度を向上させることができる。また、器具本体5(保持部材)が施工面6に埋め込まれているので、照明装置10における施工面6から突出する部分が少なくなり、照明装置10の外観をスリム化することができる。
【0060】
更に別の変形例に係る発光装置及びこれを用いた照明装置について図13を参照して説明する。本変形例の発光装置1は、上記第図11に示した変形例と同様に、基板3上に複数のLED2が設けられ、各LED2に、上記図6,9に示し他変形例の光学部材4が用いられたものである。この発光装置1には、光学部材4を覆うように拡散透過パネル7が取り付けられ、更に電源部等(不図示)が備えられて、照明装置10が構成される。他の構成は上記変形例と同様である。
【0061】
この構成によれば、上記変形例と同様に、複数のLED2を用いているので、アンビエント照度を広範囲に亘って高くすることができ、また、照明装置10の外観をスリム化することができる。
【0062】
なお、本発明は、光学部材4が基板3の周縁部より外周側に延設され、この光学部材4の底面側から光を出射するように構成されたものであれば、上述した実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、図7,図8,図11及び図13に示した発光装置1においては、複数のLEDに発光色の異なるものを用い、各光色を光学部材4で混光させてもよい。また、LED2の設けられる波長変換部材21の出射面形状と、光学部材4の収容部41aの形状とを対応させて、波長変換部材21から出射される光が、光学部材4へ効率的に入射されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 発光装置
10 照明装置
2 LED(固体発光素子)
3 基板
4 光学部材
41 入射面
41a 収容部
42 第1の透過面
42a 凹状湾曲面
43 全反射面
43a 凸状湾曲面
44 第2の透過面
5 器具本体(保持部材)
6 施工面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子の光導出方向に設けられた光学部材と、を備え、
前記光学部材は、
前記固体発光素子及び前記基板を覆うように配され、且つ前記基板の周縁部よりも外周側に延設されており、
前記固体発光素子と対向して、該固体発光素子からの出射光を入射する入射面と、
前記入射面と対峙し、該入射面から入射された光を透過する第1の透過面と、
前記第1の透過面の外周側に位置し、前記入射面から入射された光を全反射する全反射面と、
前記基板の周縁部の外周側に位置し、前記全反射面で全反射された光を透過する第2の透過面と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記入射面は、前記固体発光素子を収納する凹状の収容部を有し、
前記第1の透過面は、前記固体発光素子方向に凹状となる凹状湾曲面を有し、
前記全反射面は、前記固体発光素子の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、
前記光学部材は、前記複数の固体発光素子のうち少なくとも前記基板の周縁部に近接する固体発光素子に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の発光装置。
【請求項4】
前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、
前記光学部材は、複数の前記固体発光素子を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の発光装置。
【請求項5】
前記第2の透過面は、内周側から外周側へ前記基板を含む平面から次第に離間するように湾曲されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、施工面から突出しており、前記光学部材を前記施工面から所定距離の位置で保持するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材が、施工面に埋め込まれるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光装置を用いた照明装置。
【請求項1】
固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子の光導出方向に設けられた光学部材と、を備え、
前記光学部材は、
前記固体発光素子及び前記基板を覆うように配され、且つ前記基板の周縁部よりも外周側に延設されており、
前記固体発光素子と対向して、該固体発光素子からの出射光を入射する入射面と、
前記入射面と対峙し、該入射面から入射された光を透過する第1の透過面と、
前記第1の透過面の外周側に位置し、前記入射面から入射された光を全反射する全反射面と、
前記基板の周縁部の外周側に位置し、前記全反射面で全反射された光を透過する第2の透過面と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記入射面は、前記固体発光素子を収納する凹状の収容部を有し、
前記第1の透過面は、前記固体発光素子方向に凹状となる凹状湾曲面を有し、
前記全反射面は、前記固体発光素子の光導出方向に凸状となる凸状湾曲面を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、
前記光学部材は、前記複数の固体発光素子のうち少なくとも前記基板の周縁部に近接する固体発光素子に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の発光装置。
【請求項4】
前記基板上に複数の固体発光素子が実装され、
前記光学部材は、複数の前記固体発光素子を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2の発光装置。
【請求項5】
前記第2の透過面は、内周側から外周側へ前記基板を含む平面から次第に離間するように湾曲されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、施工面から突出しており、前記光学部材を前記施工面から所定距離の位置で保持するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記固体発光素子、前記基板及び前記光学部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材が、施工面に埋め込まれるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光装置を用いた照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−244070(P2012−244070A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115107(P2011−115107)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]