説明

発光装置及び方法

【課題】 透光性を有するケースに納められた複数個の発光部に全体として独特で興趣ある発光を行なわせることが出来るようにする。
【解決手段】 この発明では発光部とスイッチとの新しい組み合わせ構造によって興趣ある発光方法を実現する。即ちスイッチと、透光性を有するケースに納められた複数個のLEDや電球などの発光部と、前記スイッチがON状態に成った時に前記発光部を所定の順序で点灯させる制御回路と、これ等に電力を供給する電源部とから成る発光装置に於いて、前記スイッチを複数個備えており、複数個の発光部の各々に対応する位置に前記スイッチが設けられていることを特徴とする発光装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は透光性を有するケースに納められた複数個の発光部を、このケースに取り付けられた複数個のスイッチの何れかがON状態に成った時に、所定の順序で点灯させるようにしたことを特徴とする発光装置及び発光方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特開2001−052502の「ロープ状電飾具」のような透光性を有するチューブの中にLEDや電球などの発光部を並べて納めておき、これ等の発光部を所定の順序で点灯させるように構成した発光装置がある。
【0003】
またおもちゃの分野では実登3050644や実登3089640の「剣おもちゃ」のような透光性を有するブレードの中に前記の発光部を並べて納めておくと共に握柄部にはスイッチを取り付けておき、このスイッチがON状態に成った時に前記発光部が点灯するように構成された発光装置などがある。
【特許文献1】特開2001−052502号公報
【特許文献2】実登3050644号公報
【特許文献3】実登3089640号公報
【特許文献4】特開平08−328497号公報
【特許文献5】特開2003−240493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の発光装置では、1個のスイッチをON状態にした時に制御回路によって、複数個の発光部が一斉に或いは所定の順序で点灯するだけであり、今では何等面白みのないものとなっている。上記のチューブやブレードのようなケースには入っていないものの、複数個の発光部が配線コードで繋げられているクリスマス用の電飾ライトなどでも、制御回路に規定された所定の順序で点灯するだけのものでしかない。制御回路では点灯パターンを各種設定可能ではあるが、1個のスイッチを利用するのみでは限界がある。
【0005】
そこでこの発明は、複数個の発光部に全体として独特で興趣ある発光を行なわせることが出来るようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、スイッチと、透光性を有するケースに納められた複数個のLEDや電球などの発光部と、前記スイッチがON状態に成った時に前記発光部を所定の順序で点灯させる制御回路と、これ等に電力を供給する電源部とから成る発光装置に於いて、前記スイッチを複数個備えており、複数個の発光部の各々に対応する位置に前記スイッチが設けられていることを特徴とする発光装置とすることにより達成される。即ちこの発明では、発光部とスイッチとの新しい組み合わせ構造によって興趣ある発光方法を実現したのである。
【0007】
点灯パターンの自由度はスイッチの数に応じて増える性質のものであり、従来のような1個のスイッチだけのものとは大きく異り、独特で面白みのある発光が可能となっている。例えば前記複数個のLEDや電球などの発光部の各々に対応する位置に前記スイッチが設けられているため、この何れかのスイッチがON状態に成った時には、先ずスイッチの位置に対応する発光部を点灯させることができ、引き続いて別のスイッチの位置に対応する発光部を点灯させることなどが可能である。或いは逆に何れかのスイッチがON状態に成った時には、この位置に対応していない発光部を点灯させることも可能である。1個のスイッチを利用する従来のものでも制御回路の設定次第で自由に発光させることができるのであるから、この発明のように複数個のスイッチを備えていれば制御回路の設定次第でより多くのパターンを設定することができることになる。
【0008】
また加速度センサをスイッチとして用い、振動などのショックが加えられるとON状態となるように構成することができる。この場合、隣り合う加速度センサが同時にON状態となることがあるため、このような場合には加速度センサからの出力を比較して、一番大きな出力のあるものをON状態に成ったスイッチとする制御を行なうとよい。
【0009】
なお前記電源部からは発光装置上の電力を必要とする箇所、すなわち前記発光部や前記制御回路に電力が供給されている。前記複数個のスイッチは制御回路を動作させるためのトリガーとなる。
【0010】
複数個のスイッチと複数個の発光部との対応に付いては位置的な対応が取れていれば良いのであるから、例えば1個のスイッチに付いて3個の発光部を対応させたり、2個のスイッチに付いて1個の発光部を対応させたり、或いは前記発光部と前記スイッチとを一対一(1個対1個)対応させたりすることができる。
【0011】
従って例えば一対一対応の場合に、この何れかのスイッチがON状態に成った時に先ずこのスイッチの位置に対応する発光部を点灯させ、続いて他の位置の発光部が一斉にまたはランダムに光るようにすることができる。これによればどのスイッチがON状態になったかが一目で分かる。
【0012】
また例えば上記一対一対応の場合に、この何れかのスイッチがON状態に成った時に先ずこのスイッチの位置に対応する発光部を点灯させ、続いて他の位置の発光部が、このスイッチに対応する位置の発光部に近い発光部から遠い発光部へと順次光るようにすることができる。例えばスイッチを一列に並べたり網目状に配設することにより、発光が押されたスイッチの位置にある発光部から隣や周囲に波及して行く状態を作り出すことが可能である。
【0013】
このように発光部とスイッチとの組み合わせ構造を一対一対応とする方が上記自由度をより高める設定が可能となる。
【0014】
なお前記ケースがおもちゃの剣の刃の部分を構成しているものとすることができる。刃の部分を透明、半透明、レンチキュラーレンズ様などの透光性を有するケースとすることにより、この内部に納めた複数個のLEDや電球などの発光部からの光を、前記ケースの状態に応じた光を剣の刃の外から見ることができる。この時に複数個のスイッチを刃の部分の外側に設けておくことにより、遊戯としてのバトルの際の刃と刃のぶつかり合いによってその位置のスイッチがON状態となり、対応する位置の発光部を発光させることができるのである。なお複数個のスイッチ及び発光部をケースの長手方向へ一列に配設するようにすると良い。またスイッチに振動センサを用いる場合などでは、前記ケースの内部に納めることも可能である。
【0015】
また前記ケースがおもちゃのバットの打撃部を構成しているものとすることができる。これによればバットのボールが当たった箇所とそうでない箇所との違いが、発光部の発光により容易に分かるという効果がある。また打撃によって光るため、おもちゃのバットとして興趣がある。
【発明の効果】
【0016】
これまで詳述して来たように、スイッチを複数個備えており、複数個の発光部の各々に対応する位置に前記スイッチが設けられている構造の発光装置としたものである。
【0017】
この結果、複数個の発光部に独特の発光を行なわせることが出来るようになっている。特に前記発光部と前記スイッチとを一対一対応させた構造とした場合では、この何れかのスイッチがON状態に成った時に先ずスイッチの位置に対応する発光部を点灯させ、続いて他の位置の発光部を設定に従って点灯させるなどが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下この発明の実施形態を図面を参照しつつ説明するが、この発明はこれ等の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0019】
第1実施形態(おもちゃの刀)
図1乃至図4はこの実施形態の刀1を表わす。この刀1は透明な合成樹脂製の刃部10と、握り易いように凹凸が形成された柄部11とから構成されている。前記刃部10の刃となる側は7つのブロックに分割されて、パッド2が押し込み自在に且つ常にはバネ力によって戻るように取り付けられている。各々のパッド2は刃部10の内部に設けられたスイッチ20のキーパッドとして取り付けられている。前記スイッチ20は取付基板30にハンダ付けされており、この取付基板30の反対側の面にはLED(Light Emitted Diode)3が透明な刃部10の内部空洞部に位置するようにハンダ付けされている。従って各々のスイッチ20と各々のLED3とは、一つの取付基板30上に一対一対応されて取り付けられている(図2)。
【0020】
これ等7つの取付基板30はリード線21によって前記柄部11の内部に設けた制御部4に接続されている。またこれ等の電源として乾電池を納めた電源部5が前記柄部11の内部に設けられている。なお図1の中で符号40は制御部4に接続された電源スイッチを指す。図3から明かとなるように、7つのスイッチ群20と7つのLED群3とは前記リード線21によって制御部4に接続されている。なお当該制御部4には集積回路(IC)などの当業者には公知の任意の部品が含まれる。
【0021】
このおもちゃの刀1を2つ用いて対戦ゲームとしてのバトルを行なった場合の動作手順を、図4のフローチャートを用いて説明する。先ず始めに柄部11にある電源スイッチ40をON状態にすることによって制御部4が動作を開始する。刀1の刃同士が打ち合った時に、スイッチ群の内の何れかのパッド2が押されてこの部位のスイッチ20がON状態となる。そこで制御部4はどのスイッチ20がON状態となったかを特定する(STEP1)。スイッチ20が特定されたらこのスイッチに一対一対応するLED3に電力を供給して点灯させる(STEP2)。次いで制御部4はこのLED3を消灯させ、このLED以外のLED3を一斉に点灯させ(STEP3)、所定の時間が経過したか否かを監視して、所定の時間が経過したら点灯中のLED3を一斉に消灯させる(STEP4)。このような動作は対戦している相手の刀1でも同様に行なわれる。
【0022】
このようであるからこのおもちゃの刀によれば、LED3の最初の点灯で打ち合った箇所が一目瞭然となる。続くLED3の一斉点灯によって、バトルの華々しさを演出することができるのである。
【0023】
第2実施形態(おもちゃのバット)
図5及び図6はこの実施形態のバット6を表わす。このバット6は透明な合成樹脂製の打撃部60と、握り易くくびれた握部61とから構成されている。前記打撃部60には円筒形の外殻7が被せられて9つのブロックに分割されている。この外殻7は上述した第1実施形態に於けるキーパッド2の役目を担っており、外殻7は図示しないスイッチに接続されている。また各々の外殻7に一対一対応させてLED3が設けられている。LED3と前記スイッチとはバット6の内部空洞部を縦に貫くように納められた取付基板31にハンダ付けされている。なおこの取付基板31の握部61に近い方の端部には制御部4が設けられており、この制御部4でこの装置全体を制御している。また電源としての電池は図示しないが、前記握部61の中に納められている。
【0024】
このおもちゃのバット6を用いてバッティング練習を行なった場合の動作手順を図6のフローチャートを用いて説明する。先ず始めに図示しない電源スイッチをON状態にすることによって制御部4が動作を開始する。前記外殻7の何れかにボールがヒットすると、外殻7が押されてこの部位のスイッチがON状態となる。そこで制御部4はどのスイッチがON状態となったかを特定する(STEP5)。スイッチが特定されたらこのスイッチに一対一対応するLED3に電力を供給して1回だけ点灯させてから消灯させる(STEP6)。次いで制御部4はこのLED3に隣り合うLEDを1回だけ点滅させ、更に隣にLEDがあればこれを1回だけ点滅させると言う具合に、一番端のLEDまでこの動作を繰り返す(STEP7)。こうして一番端のLEDを消灯させたら、以上の動作を初めから3回繰り返して(STEP8)、終了する。
【0025】
このおもちゃのバット6によれば、LED3の最初の点灯でボールがヒットした箇所が一目で分かり、続くLED3のパターン点灯によって、ヒッティングの華々しさを見せることができる。この動作は合計4回繰り返されるので、ボールがヒットした箇所を見逃すことがない。
【0026】
なお電子音をLED3の点灯に合わせて鳴らすような構成も可能である。これは上述した第1実施形態のおもちゃの刀などでも同様である。
【0027】
第3実施形態(電飾用の光チューブ)
図7及び図8はこの実施形態の光チューブ8を表わす。この光チューブ8内部には取付基板32が当間隔に納められており、各々はリード線90にて接続されている。また取付基板32はスイッチとしての加速度センサー9が1個と、この1個の加速度センサー9に付いて3個のLED3がハンダ付けされている。なおこれ等の取付基板32の1つには、この光チューブの全体を制御するための制御部4が設けられている。また電源としての電池は図示しないが、光チューブ8の中に納められている。
【0028】
この電飾用の光チューブ8は風が吹いたり人が触れたりすることによって点灯するように構成されている。すなわち加速度センサー9はこのような動きを感知して信号を発生し、これを制御部4で捕らえてこの部位でスイッチがON状態になったものとして、LED3の点灯消灯の制御を行なうのである。なおこの際に複数の加速度センサー9が信号を発生した場合には、どの加速度センサー9からの信号が一番強いかの判定を行ない、一番強い信号を発した加速度センサー9の部位でスイッチがON状態になったものとする制御を行なう点が特徴である。
【0029】
この電飾用の光チューブ8を用いて、例えばクリスマスの飾り付けを行なった場合の動作手順を図8のフローチャートを用いて説明する。先ず始めに図示しない電源スイッチをON状態にすることによって制御部4が動作を開始する。前記光チューブ8の何れかの部位に人が接触したとすると、その周辺の複数の加速度センサー9が信号を発生する。そこで制御部4はどの加速度センサーからの信号が最も強いかを特定してこの部位のスイッチがON状態なったものとする(STEP9)。加速度センサー9が特定されたらこれに一対一対応するLED3群に電力を供給して1回だけ一斉に点滅させる(STEP10)。次いで制御部4はこのLED3群に隣り合うLED群を1回だけ点滅させて、更に隣にLED群があればこれを1回だけ点滅させると言う具合に、一番端のLED群までこの動作を繰り返す(STEP11)。以上の動作を初めから繰り返すが、一方では所定の時間が経過したか否かを監視しており、所定の時間が経過した場合には一斉に消灯させるようにするのである(STEP12)。
【0030】
なお上記では制御部4は3個で一群のLED3を一斉に点滅させるように制御しているが、一斉にではなく個別に、ランダムにあるいはパターンに則って点滅させるように制御することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は上述した実施形態に限定されないから、スイッチにどのようなものを用いるかは任意であり、発光部には電球やEL(Electro Luminescence)板等々を任意に利用することが可能である。この発明の用途に付いても自由である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 第1実施形態の刀1の外観図である。
【図2】 同実施形態の内部構成を表わす模式図である。
【図3】 同実施形態の電気回路を表わすブロック図である。
【図4】 同実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
【図5】 第2実施形態のバット6の外観図である。
【図6】 同実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
【図7】 第3実施形態の光チューブ8の内部模式図である。
【図8】 同実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 刀
10 刃部
11 柄部
2 パッド
20 スイッチ
21 リード線
3 LED
30 取付基板
31 取付基板
32 取付基板
4 制御部
40 電源スイッチ
5 電源部
6 バット
60 打撃部
61 握部
7 外殻
8 光チューブ
9 加速度センサー
90 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、透光性を有するケースに納められた複数個のLEDや電球などの発光部と、前記スイッチがON状態に成った時に前記発光部を所定の順序で点灯させる制御回路と、これ等に電力を供給する電源部とから成る発光装置に於いて、前記スイッチを複数個備えており、複数個の発光部の各々に対応する位置に前記スイッチが設けられていることを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
前記スイッチに対応する位置の発光部が光るように設定されて成る、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
ON状態に成ったスイッチに対応する位置の発光部を光らせた後に、他の位置の発光部が発光するように設定されて成る、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
ON状態に成ったスイッチに対応する位置の発光部を光らせた後に、他の位置の発光部が、ON状態に成ったスイッチに対応する位置の発光部に近い発光部から遠い発光部へと順次光るように設定されて成る、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ケースがおもちゃの剣の刃の部分を構成している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記ケースがおもちゃのバットの打撃部を構成している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
複数個の発光部の各々に対応する位置に設けられた加速度センサスイッチの内、一番大きな出力のあるものをON状態に成ったスイッチとして、このスイッチに対応する発光部を他の発光部に先んじて点灯させることを特徴とする、発光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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