発光装置
【課題】 セラミックス基板の窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置において、発光素子が発する光をムラなく効率良く取り出すことができ、しかも放熱性に優れた発光装置を提供する。
【解決手段】 セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置において、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方に備えられた第2基底面上に載置された構成とする。
【解決手段】 セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置において、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方に備えられた第2基底面上に載置された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子がセラミックス基板の窪み内に載置された、いわゆるセラミックスパッケージ型の発光装置に関し、特に、発光素子から発光される光の取出し効率が高く、放熱性にも優れた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDディスプレイ等に使用されているLEDチップとして、セラミックス基板で構成されたセラミックスパッケージを用いた発光装置が知られている。
従来の発光装置としては、例えば図15に示すように、窪み103が形成されたセラミックス基板102と、該窪み103の内部に配されたLEDチップ106と、該LEDチップ106に電力を供給するための導電体層105と、窪み103の側面に光の反射効率を高めるために形成された反射層104とを備えてなり、導電体層105の上にLEDチップ106が載置された状態で構成されたものが開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】実開平4−105562 しかしながら、斯かる構成の発光装置によれば、LEDチップ106から横方向へ発せられた光の一部が窪み103の側面に露出したセラミックス基板102へと透過してしまい、LEDチップ106からの光の取出し効率が低下するという問題がある。
【0003】
これに対し、下記特許文献2記載の如く、側面の反射層を窪みの基底面にまで延在させ、横方向へ発せられる光を反射させる構成の発光装置も開示されている。
【特許文献2】特開2002−232017
【0004】
しかしながら、この種の発光装置においては、LEDチップに電力を供給する導電体層としてのカソードおよびアノードをそれぞれ離間させ、しかも、該導電体層と前記反射層とも離間させるように構成する必要があるため、前記特許文献2記載の発光装置によれば、LEDチップの載置面においてセラミックス基板が表面に露出した状態となりやすい。
そうすると、該特許文献2記載の発光装置によれば、反射層を介して光を有効に取り出すことはできるが、LEDチップの載置面において光がセラミックス基板へと透過しやすく、光の取出し効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、LEDの載置面に設けた導電体層はセラミックス基板に比して熱伝導性に優れ、放熱作用による発光装置の冷却効果をも奏しうるものであるが、該導電体層の面積が減少すると発光面側からの放熱効果が低下してしまい、キャビティー内部の温度上昇を招いてLEDチップの寿命に悪影響を及ぼす虞もある。
【0006】
一方、下記特許文献3記載の如く、導電体層を構成するカソードおよびアノードをそれぞれ窪みの側面全体に延長させるようにして形成し、これらのカソードおよびアノードを反射層として機能させることにより、光の反射する面積を拡大させた構成の発光装置も開示されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平9−45965
【0007】
しかしながら、斯かる構成の発光装置では、導電体層をカソードおよびアノードとして機能させる必要があるため、カソードとアノードとの間に隙間を設ける必要が生じ、該反射層にセラミックス基板の露出した溝が形成されることとなる。
そうすると、斯かる構成の発光装置では、露出したセラミックス基板へ光が透過して、光の取出し効率が低下するという問題が生じるのみならず、反射層によって反射される光にムラが生じるという問題をも招くこととなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、セラミックス基板の窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置において、発光素子が発する光を効率良く且つムラなく取り出すことができ、しかも放熱性にも優れた発光装置を提供することを一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決すべく、本発明の発光装置は、セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように少なくとも前記窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方側に備えられた第2基底面上に載置されてなることを特徴とする。
【0010】
斯かる構成の発光装置によれば、発光素子が反射層と導電体層との隙間よりも上方側に位置するように窪みの基底面よりも上方側に載置されているため、発光素子から横方向へ向かって発せられる光が、セラミックス基板に吸収されずに反射層によって反射することとなり、光の取出し効率が改善される。
また、窪みの側面に形成された反射層が、窪みの下端側基底面には接しないように設けられているため、導電体層を下端側基底面の広い範囲にわたって形成することが可能となり、該導電体層を介しての光の反射効率を高め、しかも放熱性にも優れた発光装置とすることができる。
【0011】
また、該発光装置においては、好ましくは前記発光素子が、前記第2基底面上に形成された第2の反射層の上に載置されたものとする。発光素子が、第2基底面上に形成された第2の反射層の上に載置されていれば、該発光素子から下方へ発せられる光をも効果的に反射させ、光の取出し効率を更に高めることができる。
【0012】
また、本発明の発光装置は、セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも下方側に位置するように前記下端側基底面に形成された凹部内に載置されてなることを特徴とする。
【0013】
斯かる構成の発光装置によれば、発光素子が反射層と導電体層との隙間よりも下方側に位置するように窪みの基底面に形成された凹部内に載置されているため、発光素子から横方向へ向かって発せられる光が、セラミックス基板に吸収されずに反射層又は導電体層によって反射することとなるため、光の取出し効率が改善される。
また、窪みの側面に形成された反射層が、窪みの下端側基底面には接しないように設けられているため、導電体層を下端側基底面の広い範囲にわたって形成することが可能となり、該導電体層を介しての光の反射効率を高め、しかも放熱性にも優れた発光装置とすることができる。
【0014】
さらに、該発光装置においては、好ましくは前記凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われたものとする。凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われていると、発光素子から発せられる光を全て上方へ向けて反射させることができ、発光素子からの光の取出し効率を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る発光装置によれば、発光素子が発する光を効率良く取り出すことができ、しかも放熱性にも優れたものとなる。さらに、該発光装置の側面に設けられた反射層には、セラミックス基板の露出した溝を設ける必要がなく、セラミックス基板の略全域を覆うような形状とすることができるため、ムラのない光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第一実施形態)
図1は、本発明の発光装置の第一実施形態を示した平面図であり、図2は、図1における2−2線断面図、図3は、図1における3−3線断面図である。
図1〜3に示すように、第一実施形態に係る発光装置1は、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された第1の反射層4aとを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0017】
第一実施形態において、前記窪み3は、その水平方向断面が楕円となるような略円筒形状に形成されており、前記第1の反射層4aは、前記下端側基底面3aと接する部分を除く該窪みの側面3b全体を覆うように前記セラミックス基板2上に被着されている。
【0018】
前記窪み3の下端側基底面3aに形成された導電体層5は、発光素子であるLEDチップ6に電力を供給するためのものであり、該窪み3の外部から導通された一対のカソードおよびアノードとして構成されている。該カソードおよびアノードは、前記窪みの下端側基底面3aの両端(図1において左右両端、以下、これを結ぶ方向をX軸方向ともいう)から中央に向かってそれぞれ矩形状に形成されている。また、カソードおよびアノードは、それぞれ、下端側基底面3aと後述する凸部10とを合わせた窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されている。
【0019】
また、該第一実施形態の発光装置1では、下端側基底面3aにはLEDチップ6を載置するための平板状の凸部10が形成されている。該凸部10は、導電体層5が形成された下端側基底面3aよりも上方に突出した状態で形成されており、その上面は、前記側面3bに形成された第1の反射層4aの下端と同じ高さとなるように構成されている。
【0020】
さらに、該凸部10の中央、即ち、前記カソードとアノードとの間の領域には、第2の反射層4bが形成されており、該第2の反射層4bは、発光素子であるLEDチップ6が載置される領域を含み、その両端(図1において上下両端、以下、これを結ぶ方向をY軸方向ともいう)が窪み3の側面3bにまで達するように形成されており、側面3bに達した部分、即ち、下端側基底面3aと側面3bとの境界部分では、該第2の反射層4bは前記第1の反射層4aと接合され、セラミックス基板2が完全に被覆された状態となっている。また、第2の反射層4bは、下端側基底面3bと凸部10とを合わせた窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されている。
【0021】
そして、該第2の反射層4bの中央部、即ち、下端側基底面3aの中央部には、発光素子であるLEDチップ6が接着剤層(図示せず)を介して着接されており、該LEDチップ6と前記アノードおよびカソードとしての導電体層5とは、ボンディングワイヤ7によってそれぞれ電気的に接続されている。
さらに、該窪み3の内部は、光透過性の樹脂で満たされた状態となっている。
【0022】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が凸部10の上に載置され、第1の反射層4aの下端よりも上方に位置した状態となっているため、LEDチップ6から発せられる水平方向の光は、全て該第1の反射層4aによって反射されることとなる。
さらに、該第一実施形態では、凸部10のY軸方向両端に於いて、前記第1の反射層4aと第2の反射層4bとが接合され、セラミックス基板2が完全に被覆された状態となっているため、LEDチップ6からY軸方向に向けて発せられる光は完全に反射されることとなる。
【0023】
また、該第一実施形態では、窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成された第2の反射層4bと、同じく窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されたカソードおよびアノードとしての導電体層5が形成されているため、該LEDチップ6から下方に向けて発せられる光も、これら第2の反射層4bおよび導電体層5によって有効に反射されることとなる。
【0024】
さらに、上述のように、第2の反射層4bが広い範囲にわたって形成されていれば、LEDチップから発生する熱を効果的に発散させることができ、該LEDチップ6の過熱を防止することが可能となる。
【0025】
また、上記第一実施形態においては、図4に示すように、第2の反射層4bの下に熱伝導性の良好な穴埋めスルーホール15を設けることにより、LEDチップ6で発生する熱を、該穴埋めスルーホール15を介して裏面側より外部へ放出させる構成としてもよい。
斯かる穴埋めスルーホール15を構成する材料としては、例えば、タングステン、銅、銀などの金属部材を使用できるほか、導電性部材が使用できない場合には、エポキシ樹脂などの絶縁性部材を使用することができる。
【0026】
さらに、発光装置の裏面側には、前記穴埋めスルーホール15と接続された金属面を形成することもでき、これによって裏面側からの放熱性をより一層高めることができる。
【0027】
(第二実施形態)
図5は、本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図であり、図6は、図5における6−6線断面図、図7は、図5における7−7線断面図である。
図5〜7に示すように、第二実施形態に係る発光装置1は、前記第一実施形態に係る発光装置とその基本構成を同じくするものであり、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5(カソード又はアノードの何れか一方)と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0028】
本実施形態では、図5および6に示されているように、前記下端側基底面3aは窪み3の一端側の約1/3の領域を占めるように形成されており、他端側の約2/3の領域は、該下端側基底面3aよりも高い位置に形成された第2基底面3cとなっている。該第2基底面3cには、前記下端側基底面3aとは逆の電極(カソード又はアノードの何れか他方)である導電体層5が形成されている。さらに、本実施形態では、該第2基底面3cに形成された導電体層5は、窪みの側面3bの全域に延びるようにして形成されており、第2基底面3cから側面3bに延びるように形成された導電体層5が、反射層4を兼ねた構成となっている。言い換えれば、窪みの側面3bに形成された反射層4は、導電体層5の一方(カソード又はアノード)を兼ねた構成となっている。ただし、側面3bに形成された反射層4は、第2基底面3cよりも下方側には形成されておらず、この第2基底面3cと下端側基底面3aとの間においては、セラミックス基板2が露出した構成となっている。そして、LEDチップ6は、この第2基底面3c上に形成された導電体層5の上に載置された構成となっている。
【0029】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が反射層4と導電体層5との隙間よりも上方側に位置するように第2基底面3cの上に載置された状態となっているため、LEDチップ6から発せられる水平方向の光は、全て反射層4によって反射されることとなる。
【0030】
さらに、上記構成の発光装置1によれば、第2基底面から側面3bに延びるように形成された導電体層5が、反射層4をも兼ねた構成となっているため、セラミックス基板2の露出した領域が極めて少なく、発光素子から発せられる光をより一層効率的に反射させることができる。しかも、本実施形態に係る発光装置1では、反射層4が導電体層5を兼ねているにも拘らず、窪み3の側面3b全域に反射層4が形成されているため、従来の発光装置のように反射層によって反射される光にムラが生じるという問題を招くことがない。
【0031】
(第三実施形態)
図8は、本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図であり、図9は、図8における9−9線断面図、図10は、図8における10−10線断面図である。
図8〜10に示すように、第三実施形態に係る発光装置1も、上記実施形態に係る発光装置とその基本構成を同じくするものであり、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0032】
該第三実施形態の発光装置1では、下端側基底面3aの中央領域に、さらに凹部11が形成されている。該凹部11は、LEDチップ6を載置するための底面11aと、該底面11aから凹部11の開口端側に向かって広がるように形成された側面11bとを備えている。また、該凹部11の底面11aおよび側面11bの全体には、導電体層5としてのアノード(又はカソード)が被着されており、該凹部11内においてはセラミックス基板2が導電体層5によって完全に被覆された状態となっている。
そして、発光素子であるLEDチップ6は、該凹部11の底面11aに被着された導電体層5の上に、接着剤層(図示せず)を介して着接されている。
【0033】
また、凹部11に形成された導電体層5は、凹部11の開口端を越えて下端側基底面3aにまで至るように広い範囲で形成されており、その一端は、窪み3の側面3bにまで達するように延びて形成されている。
【0034】
導電体層5のもう一方であるアノード(又はカソード)は、下端側基底面3aに被着されており、LEDチップ6は、前記第一実施形態と同様に、ボンディングワイヤ7によってこれらアノードおよびカソードと電気的に接続されている。
【0035】
さらに、窪み3の側面3bには、前記第一実施形態と同じく反射層4が形成されている。該反射層4は側面3bの全周を覆うように形成され、その下端は、下端側基底面3aに形成された前記導電体層5と離間するように、例えば0.1mm程度の僅かな隙間をあけて形成されている。
【0036】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が凹部11の内部に載置されているため、LEDチップ11から横方向又は下方向へ向けて発せられる光は、全て凹部内面に形成された導電体層5によって反射されることとなる。
また、該LEDチップ6から斜め上方へ向けて発せられる光は、側面3bの全周を覆うように形成された反射層4によって反射されることとなる。
よって、該第三実施形態に係る発光装置1では、側面3bに形成された反射層5と下端側基底面3aに形成された導電体層5との間には隙間があり、その部分ではセラミックス基板2が露出する構成となっているにも拘らず、LEDチップ6から発せられる光が該セラミックス基板6に透過することを有効に防止しうるものとなる。
【0037】
尚、該第三実施形態においては、図11に示すように、カソードとアノードとを絶縁しうる最小限度の間隔を確保していれば、導電体層5は、下端側基底面3aの略全域(例えば、95%以上)を占めるように、さらに広範囲にわたって形成することも可能である。
【0038】
(第四実施形態)
図12は、本発明の発光装置の第四実施形態を示した平面図であり、図13は、図12における13−13線断面図、図14は、図12における14−14線断面図である。
図12〜14に示すように、第四実施形態に係る発光装置1は、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、下端側基底面3aの中央領域には凹部11が形成されてなり、該凹部11は、LEDチップ6を載置するための底面11aと、該底面11aから凹部11の開口端側に向かって広がるように形成された側面11bとを備え、該凹部11の底面11aに被着された導電体層5の上に、発光素子であるLEDチップ6が載置されている点において、前記第三実施形態と同じ構成である。
【0039】
該第四実施形態の発光装置1では、側面3bに形成された反射層4が下端側基底面3aにまで達するように形成され、一方、下端側基底面3aに形成された導電体層5が側面3bから僅かに離間して形成され、これによって反射層4と導電体層5との絶縁が図られた構成となっている。
【0040】
斯かる構成の発光装置1においても、LEDチップ6が凹部11の内部に載置されているため、LEDチップ11から横方向又は下方向へ向けて発せられる光は、全て凹部内面に形成された導電体層5によって反射されることとなる。
また、該LEDチップ6から斜め上方へ向けて発せられる光は、側面3bの全周を覆うように形成された反射層4によって反射されることとなる。
よって、該第四実施形態に係る発光装置1によれば、下端側基底面3aにおいて僅かにセラミックス基板2が露出する構成となっているにも拘らず、LEDチップ6から発せられる光が該セラミックス基板6に透過することを有効に防止しうるものとなる。
【0041】
尚、本発明においては、窪みの内部の形状については特に限定されず、前記第一乃至第四実施形態に於いて示した形状と異なる形状とすることも可能である。例えば、凸部を設ける場合には、該凸部の上に載置される発光素子から水平方向に発せられる光が、側面に形成された反射層によって反射される程度の高さを備えたものであればよい。
また、凹部を設ける際には、該凹部の内側に載置される発光素子から該凹部の外側へと発せられる光が、側面に形成された反射層と下端側基底面に形成された導電体層との隙間に達しない程度の深さを備えたものであればよい。
【0042】
また、前記第一実施形態においては、凸部10に第2の反射層が形成された場合について説明したが、本発明は、斯かる構成に限定されるものではない。よって、例えば、前記凸部を窪み側面と離間するように下端側基底面の中央領域にのみ形成し、該第2の反射層の代わりにカソード又はアノードの何れか一方の導電体層5を凸部の上面にまで延在させるように形成してもよい。
【0043】
同様に、前記第三および第四実施形態においては、カソード又はアノードの何れか一方の導電体層を凹部内面にまで至るように形成された場合について説明したが、本発明は、斯かる構成に限定されるものではない。よって、例えば、前記凹部内面全体を覆うような第2の反射層を形成し、該第2の反射層と離間した状態で、下端側基底面上にカソードおよびアノードとしての導電体層を形成してもよい。
【0044】
また、本発明においては、反射層および導電体層を構成する材料については特に限定されない。
即ち、前記反射層は、発光素子から発せられる光を効率良く反射しうるものであれば特に限定されず、従来公知の材料および構成を採用することができる。反射層を構成する材料としては、例えば、金や銀、ニッケル等の金属材料を好適に使用することができる。
【0045】
また、導電体層についても、発光素子に電力を供給するための導電性を有するものあれば特に限定されないが、発光素子から発せられる光を効率良く反射させうるものや、熱伝導率の高いものを好適に採用することができる。該導電体層を構成する材料としては、例えば、タングステン、銅、金、ニッケル等の金属材料を好適に使用することができる。
【0046】
また、前記窪み3内には、蛍光体が含まれていることが好ましい。
窪み3内に蛍光体が含まれていれば、LEDチップ6から発せられた光の一部は、該蛍光体に照射・吸収され、該蛍光体からは、LEDチップから発せられた光とは異なる光が放出されることとなる。これにより、LEDチップ6から発せられた光と蛍光体12から発せられた光とが混合されることとなり、種々の色味の発光装置を提供することができる。例えば、青色に発光するLEDチップ6と、黄色に発光する蛍光体12とを用いることにより、白色系に発光する発光装置となる。
【0047】
蛍光体としては、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、希土類酸硫化物、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、窒化物系蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩、又は、Eu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M5(PO4)3X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、M2B5O9X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl2O4:R、Sr4Al14O25:R、CaAl2O4:R、BaMg2Al16O27:R、BaMg2Al16O12:R、BaMgAl10O17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
希土類酸硫化物蛍光体としては、La2O2S:Eu、Y2O2S:Eu、Gd2O2S:Euなどが挙げられる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、Y3Al5O12:Ce、(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ce、Y3(Al0.8Ga0.2)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12の組成式で表されるYAG系蛍光体などが挙げられる。
その他の蛍光体としては、ZnS:Eu、Zn2GeO4:Mn、MGa2S4:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などが挙げられる。また、M2Si5N8:Eu、MSi7N10:Eu、M1.8Si5O0.2N8:Eu、M0.9Si7O0.1N10:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)なども使用できる。
さらに、前記蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Ti等から選択される1種以上を含有させることもできる。
【0048】
また、他の蛍光体として、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一種の元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一種の元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一種の元素で付活された窒化物系蛍光体を採用することもできる。
【0049】
窒化物蛍光体は、Sr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O−N:Eu系窒化物蛍光体である。この蛍光体は、一般式LXSiYN(2/3X+4/3Y):Eu若しくはLXSiYOZN(2/3X+4/3Y-2/3Z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか。0.5≦X≦3、1.5≦Y≦8である。)で表される。一般式中、X及びYは、X=2、Y=5又は、X=1、Y=7であることが好ましいが、任意のものも使用できる。具体的には、(SrXCa1-X)2Si5N8:Eu、Sr2Si5N8:Eu、Ca2Si5N8:Eu、SrXCa1-XSi7N10:Eu、SrSi7N10:Eu、CaSi7N10:Euで表される蛍光体を使用することが好ましいが、この蛍光体の組成中には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が含有されていてもよい。
発光中心には、希土類元素であるユウロピウムEuを用いることが好ましい。ユウロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つ。蛍光体は、母体のアルカリ土類金属系窒化ケイ素に対して、Eu2+を付活剤として用いることが好ましい。Eu2+は、酸化されやすく、3価のEu2O3の組成で市販されている。しかし、市販のEu2O3では、Oの関与が大きく、良好な蛍光体が得られにくい。そのため、Eu2O3からOを、系外へ除去したものを使用することが好ましい。たとえば、ユウロピウム単体、窒化ユウロピウムを用いることが好ましい。但し、Bを添加した場合は、その限りではない。
添加物であるBは、Eu2+の拡散を促進し、発光輝度、エネルギー効率、量子効率等の発光効率の向上を図る。Bは、原料中に含有させるか、又は、製造工程中にB化合物を含有させ、原料と共に焼成する。
【0050】
窒化物蛍光体には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr、O及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有することもできる。これらの元素は、粒径を大きくしたり、発光輝度を高めたりする等の作用を有している。また、B、Al、Mg、Cr及びNiは、残光を抑えることができるという作用を有している。
【0051】
このような窒化物系蛍光体は、LEDチップ6によって発光された青色光の一部を吸収して黄から赤色領域の光を発光する。窒化物系蛍光体をYAG系蛍光体と共に上記の構成を有する発光装置に使用すれば、LEDチップ6により発光された青色光と、窒化物系蛍光体による黄色から赤色光とが混色により暖色系の白色に発光する発光装置を提供することができる。窒化物系蛍光体の他に加える蛍光体には、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質が含有されていることが好ましい。前記イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質を含有することにより、所望の色度に調節することができるからである。セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質は、LEDチップ6により発光された青色光の一部を吸収して黄色領域の光を発光する。こうして、LEDチップ6により発光された青色光と、イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質の黄色光とを混色させることにより、青白い白色に発光する発光装置を提供することができる。
【0052】
前記蛍光体としては、酸窒化物蛍光体を使用することもできる。酸窒化物蛍光体は、賦活剤に希土類元素を用いており、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素と、を少なくとも含有するものである。該元素の組合せは任意であるが、以下の組成のものを使用することが好ましい。該酸窒化物蛍光体は、LXMYOZN((2/3)X+(4/3)Y-(2/3)Z):R、又は、LXMYQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T-(2/3)Z):R(Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素である。Mは、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素である。Qは、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第III族元素である。Oは、酸素元素である。Nは、窒素元素である。Rは、希土類元素である。0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)の一般式で表される。前記X、前記Y、前記Zは、該範囲で高い輝度を示す。そのうち特に、一般式中、前記X、前記Y、前記Zが、X=1、Y=2、Z=2で表される酸窒化物蛍光体は高い輝度を示すため特に好ましい。但し、上記範囲に限定されず、任意のものも使用できる。具体的にはCaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、CaGe2O2N2:Eu、SrGe2O2N2:Eu、BaGe2O2N2:Eu、Ca0.5Sr0.5Si2O2N2:Eu、Ca0.5Ba0.5Si2O2N2:Eu、Ca0.5Zn0.5Si2O2N2:Eu、Sr0.5Mg0.5Si2O2N2:Eu、CaSi2B0.1O2N2:Eu、SrSi2B0.1O2N2:Eu、BaSi2B0.1O2N2:Eu、ZnSi2B0.1O2N2:Eu、CaGe2B0.01O2N2:Eu、SrGe2Ga0.01O2N2:Eu、CaSi2O2N2:Eu,Ce、SrSi2O2N2:Eu,Ce、BaSi2O2N2:Eu,Ce、CaGe2O2N2:Eu,Ce等で表される酸窒化物蛍光体を使用することできる。また、ここで示すように、本酸窒化物蛍光体は、OとNとの比を変化させることで、色調や輝度を調節することができる。また、(L+M)/(O+N)で示す陽イオンと陰イオンのモル比を変化させることでも、発光スペクトルや強度を調整することも可能である。これは、例えば、真空などの処理を施し、NやOを脱離させること等により可能であるが、この方法には、限定されない。この酸窒化物蛍光体の組成中には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mn、Re、Cu、Ag、Auの少なくとも1種以上含有されていてもよい。これらを添加することにより輝度、量子効率等の発光効率を調整することができるからである。また、その他の元素も特性を損なわない程度に入っていても良い。但し、本発明に用いる蛍光体は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0053】
前記酸窒化物蛍光体に含まれる第II族元素の一部は、前記賦活剤Rで置換される。前記第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量に対して、前記賦活剤Rの量は、(前記第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量):(前記賦活剤Rの量)=1:0.001乃至1:0.8のモル比であることが好ましい。
Rは、希土類元素である。具体的には、Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。これら希土類元素のうち、Euが好ましい。また、Euと、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上の元素と、を含んでいるものも使用することができる。特に、賦活剤Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれるEuを必須とする少なくとも1種以上である希土類元素であることが好ましい。Eu以外の元素は、共賦活剤として、作用するためである。Rは、Euが50重量%以上含有されていることが好ましい。
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
これらの蛍光体は、LEDチップ6の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色、また、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する。これらの蛍光体は1種のみでも良いが、数種類を組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
例えば、紫外線発光のLEDチップ6を用い、緑色から黄色に発光するCaSi2O2N2:Eu、又はSrSi2O2N2:Euと、青色に発光する(Sr,Ca)5(PO4)3Cl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)2Si5N8:Euと、からなる蛍光体を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する発光装置を提供することができる。これは、色の三原色である赤・青・緑を使用しているため、蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
【0054】
上記蛍光体の粒径は、1μm〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは2μm〜8μmである。特に、5μm〜8μmが好ましい。2μmより小さい粒径を有する蛍光体は、凝集体を形成しやすい傾向にある。一方、5μm〜8μmの粒径範囲の蛍光体は、光の吸収率及び変換効率が高い。このように、光学的に優れた特徴を有する粒径の大きな蛍光体を含有させることにより、発光装置の量産性が向上する。
ここで粒径は、空気透過法で得られる平均粒径を指す。具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、1cm3分の試料を計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読みとり、平均粒径に換算した値である。本発明で用いられる蛍光体の平均粒径は2μm〜8μmの範囲であることが好ましい。また、この平均粒径値を有する蛍光体が、頻度高く含有されていることが好ましい。また、粒度分布も狭い範囲に分布しているものが好ましく、特に、微粒子2μm以下の少ないものが好ましい。このように粒径、及び粒度分布のバラツキが小さい蛍光体を用いることにより、より色ムラが抑制され、良好な色調を有する発光装置が得られる。
【0055】
発光装置1における蛍光体の配置場所は、LEDチップ6との位置関係において種々の場所に配置することができる。例えば、LEDチップ6を被覆するコーティング部材中に、蛍光体を含有させることができる。また、LEDチップ6と蛍光体とを、間隙をおいて配置しても良いし、LEDチップ6の上部に蛍光体を、直接載置しても良い。また、前記図5の凹部11に蛍光体を混入させたコーティング部材を配置し、その凹部を覆うように窪み3内に異なる若しくは同一のコーティング部材を配置してもよい。また、二種類以上の蛍光体を用いる場合、凹部11に長波長側の蛍光体を配置し、窪み3に短波長側の蛍光体を配置する。これによりLEDチップ6の光路長の近い方に長波長側の蛍光体を配置するため、短波長側の蛍光体の光が長波長側の蛍光体に吸収されることは少ないため、色度調整の容易な高輝度な発光装置を提供することができる。
【0056】
蛍光体は、有機材料である樹脂や無機材料であるガラスなど種々のコーティング部材(バインダー)を用いて、付着させることができる。コーティング部材は、蛍光体をLEDチップ6に固着させるためのバインダーとしての役割を有することもある。コーティング部材(バインダー)として有機物を使用する場合、具体的材料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンなどの耐候性に優れた透明樹脂が好適に用いられる。特に、シリコーンを用いると、信頼性に優れ、且つ蛍光体の分散性を向上させることができ好ましい。
また、無機物である結着剤をコーティング部材(バインダー)として用いることもできる。結着剤とは、いわゆる低融点ガラスであり、微細な粒子であり、且つ紫外から可視領域の輻射線に対して吸収が少なく、コーティング部材(バインダー)中にて極めて安定であることが好ましい。
また、粒径の大きな蛍光体をコーティング部材(バインダー)に付着させる場合、融点が高くても粒子が超微粉体である結着剤、例えば、シリカ、アルミナ、あるいは沈殿法で得られる細かい粒度のアルカリ土類金属のピロリン酸塩、正りん酸塩などを使用することが好ましい。これらの結着剤は、単独、若しくは互いに混合して用いることができる。
ここで、上記結着剤の塗布方法について述べる。結着剤は、結着効果を十分に高めるため、ビヒクル中に湿式粉砕して、スラリー状にして、結着剤スラリーとして用いることが好ましい。前記ビヒクルとは、有機溶媒あるいは脱イオン水に少量の粘結剤を溶解して得られる高粘度溶液である。例えば、有機溶媒である酢酸ブチルに対して粘結剤であるニトロセルロースを1wt%含有させることにより、有機系ビヒクルが得られる。
このようにして得られた結着剤スラリーに、蛍光体を含有させて塗布液を作製する。塗布液中のスラリーの添加量は、塗布液中の蛍光体量に対してスラリー中の結着剤の総量が、1〜3wt%程度とすることができる。光束維持率の低下を抑制するため、結着剤の添加量が少ない方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の発光装置の第一実施形態を示した平面図。
【図2】図1における2−2線断面図。
【図3】図1における3−3線断面図。
【図4】第一実施形態において、スルーホールを設けた状態を示した断面図。
【図5】本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図。
【図6】図5における6−6線断面図。
【図7】図5における7−7線断面図。
【図8】本発明の発光装置の第三実施形態を示した平面図。
【図9】図8における9−9線断面図。
【図10】図8における10−10線断面図。
【図11】第三実施形態において、導電体層をより広範囲に設けた状態を示した平面図。
【図12】本発明の発光装置の第四実施形態を示した平面図。
【図13】図12における13−13線断面図。
【図14】図12における14−14線断面図。
【図15】従来の発光装置を示した断面図。
【符号の説明】
【0058】
1 発光装置
2 セラミックス基板
3 窪み
3a 下端側基底面
3b 側面
3c 第2基底面
4 反射層
4a 第1の反射層
4b 第2の反射層
5 導電体層
6 発光素子(LEDチップ)
7 ボンディングワイヤ
10 凸部
11 凹部
15 穴埋めスルーホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子がセラミックス基板の窪み内に載置された、いわゆるセラミックスパッケージ型の発光装置に関し、特に、発光素子から発光される光の取出し効率が高く、放熱性にも優れた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDディスプレイ等に使用されているLEDチップとして、セラミックス基板で構成されたセラミックスパッケージを用いた発光装置が知られている。
従来の発光装置としては、例えば図15に示すように、窪み103が形成されたセラミックス基板102と、該窪み103の内部に配されたLEDチップ106と、該LEDチップ106に電力を供給するための導電体層105と、窪み103の側面に光の反射効率を高めるために形成された反射層104とを備えてなり、導電体層105の上にLEDチップ106が載置された状態で構成されたものが開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】実開平4−105562 しかしながら、斯かる構成の発光装置によれば、LEDチップ106から横方向へ発せられた光の一部が窪み103の側面に露出したセラミックス基板102へと透過してしまい、LEDチップ106からの光の取出し効率が低下するという問題がある。
【0003】
これに対し、下記特許文献2記載の如く、側面の反射層を窪みの基底面にまで延在させ、横方向へ発せられる光を反射させる構成の発光装置も開示されている。
【特許文献2】特開2002−232017
【0004】
しかしながら、この種の発光装置においては、LEDチップに電力を供給する導電体層としてのカソードおよびアノードをそれぞれ離間させ、しかも、該導電体層と前記反射層とも離間させるように構成する必要があるため、前記特許文献2記載の発光装置によれば、LEDチップの載置面においてセラミックス基板が表面に露出した状態となりやすい。
そうすると、該特許文献2記載の発光装置によれば、反射層を介して光を有効に取り出すことはできるが、LEDチップの載置面において光がセラミックス基板へと透過しやすく、光の取出し効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、LEDの載置面に設けた導電体層はセラミックス基板に比して熱伝導性に優れ、放熱作用による発光装置の冷却効果をも奏しうるものであるが、該導電体層の面積が減少すると発光面側からの放熱効果が低下してしまい、キャビティー内部の温度上昇を招いてLEDチップの寿命に悪影響を及ぼす虞もある。
【0006】
一方、下記特許文献3記載の如く、導電体層を構成するカソードおよびアノードをそれぞれ窪みの側面全体に延長させるようにして形成し、これらのカソードおよびアノードを反射層として機能させることにより、光の反射する面積を拡大させた構成の発光装置も開示されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平9−45965
【0007】
しかしながら、斯かる構成の発光装置では、導電体層をカソードおよびアノードとして機能させる必要があるため、カソードとアノードとの間に隙間を設ける必要が生じ、該反射層にセラミックス基板の露出した溝が形成されることとなる。
そうすると、斯かる構成の発光装置では、露出したセラミックス基板へ光が透過して、光の取出し効率が低下するという問題が生じるのみならず、反射層によって反射される光にムラが生じるという問題をも招くこととなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、セラミックス基板の窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置において、発光素子が発する光を効率良く且つムラなく取り出すことができ、しかも放熱性にも優れた発光装置を提供することを一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決すべく、本発明の発光装置は、セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように少なくとも前記窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方側に備えられた第2基底面上に載置されてなることを特徴とする。
【0010】
斯かる構成の発光装置によれば、発光素子が反射層と導電体層との隙間よりも上方側に位置するように窪みの基底面よりも上方側に載置されているため、発光素子から横方向へ向かって発せられる光が、セラミックス基板に吸収されずに反射層によって反射することとなり、光の取出し効率が改善される。
また、窪みの側面に形成された反射層が、窪みの下端側基底面には接しないように設けられているため、導電体層を下端側基底面の広い範囲にわたって形成することが可能となり、該導電体層を介しての光の反射効率を高め、しかも放熱性にも優れた発光装置とすることができる。
【0011】
また、該発光装置においては、好ましくは前記発光素子が、前記第2基底面上に形成された第2の反射層の上に載置されたものとする。発光素子が、第2基底面上に形成された第2の反射層の上に載置されていれば、該発光素子から下方へ発せられる光をも効果的に反射させ、光の取出し効率を更に高めることができる。
【0012】
また、本発明の発光装置は、セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも下方側に位置するように前記下端側基底面に形成された凹部内に載置されてなることを特徴とする。
【0013】
斯かる構成の発光装置によれば、発光素子が反射層と導電体層との隙間よりも下方側に位置するように窪みの基底面に形成された凹部内に載置されているため、発光素子から横方向へ向かって発せられる光が、セラミックス基板に吸収されずに反射層又は導電体層によって反射することとなるため、光の取出し効率が改善される。
また、窪みの側面に形成された反射層が、窪みの下端側基底面には接しないように設けられているため、導電体層を下端側基底面の広い範囲にわたって形成することが可能となり、該導電体層を介しての光の反射効率を高め、しかも放熱性にも優れた発光装置とすることができる。
【0014】
さらに、該発光装置においては、好ましくは前記凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われたものとする。凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われていると、発光素子から発せられる光を全て上方へ向けて反射させることができ、発光素子からの光の取出し効率を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る発光装置によれば、発光素子が発する光を効率良く取り出すことができ、しかも放熱性にも優れたものとなる。さらに、該発光装置の側面に設けられた反射層には、セラミックス基板の露出した溝を設ける必要がなく、セラミックス基板の略全域を覆うような形状とすることができるため、ムラのない光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第一実施形態)
図1は、本発明の発光装置の第一実施形態を示した平面図であり、図2は、図1における2−2線断面図、図3は、図1における3−3線断面図である。
図1〜3に示すように、第一実施形態に係る発光装置1は、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された第1の反射層4aとを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0017】
第一実施形態において、前記窪み3は、その水平方向断面が楕円となるような略円筒形状に形成されており、前記第1の反射層4aは、前記下端側基底面3aと接する部分を除く該窪みの側面3b全体を覆うように前記セラミックス基板2上に被着されている。
【0018】
前記窪み3の下端側基底面3aに形成された導電体層5は、発光素子であるLEDチップ6に電力を供給するためのものであり、該窪み3の外部から導通された一対のカソードおよびアノードとして構成されている。該カソードおよびアノードは、前記窪みの下端側基底面3aの両端(図1において左右両端、以下、これを結ぶ方向をX軸方向ともいう)から中央に向かってそれぞれ矩形状に形成されている。また、カソードおよびアノードは、それぞれ、下端側基底面3aと後述する凸部10とを合わせた窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されている。
【0019】
また、該第一実施形態の発光装置1では、下端側基底面3aにはLEDチップ6を載置するための平板状の凸部10が形成されている。該凸部10は、導電体層5が形成された下端側基底面3aよりも上方に突出した状態で形成されており、その上面は、前記側面3bに形成された第1の反射層4aの下端と同じ高さとなるように構成されている。
【0020】
さらに、該凸部10の中央、即ち、前記カソードとアノードとの間の領域には、第2の反射層4bが形成されており、該第2の反射層4bは、発光素子であるLEDチップ6が載置される領域を含み、その両端(図1において上下両端、以下、これを結ぶ方向をY軸方向ともいう)が窪み3の側面3bにまで達するように形成されており、側面3bに達した部分、即ち、下端側基底面3aと側面3bとの境界部分では、該第2の反射層4bは前記第1の反射層4aと接合され、セラミックス基板2が完全に被覆された状態となっている。また、第2の反射層4bは、下端側基底面3bと凸部10とを合わせた窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されている。
【0021】
そして、該第2の反射層4bの中央部、即ち、下端側基底面3aの中央部には、発光素子であるLEDチップ6が接着剤層(図示せず)を介して着接されており、該LEDチップ6と前記アノードおよびカソードとしての導電体層5とは、ボンディングワイヤ7によってそれぞれ電気的に接続されている。
さらに、該窪み3の内部は、光透過性の樹脂で満たされた状態となっている。
【0022】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が凸部10の上に載置され、第1の反射層4aの下端よりも上方に位置した状態となっているため、LEDチップ6から発せられる水平方向の光は、全て該第1の反射層4aによって反射されることとなる。
さらに、該第一実施形態では、凸部10のY軸方向両端に於いて、前記第1の反射層4aと第2の反射層4bとが接合され、セラミックス基板2が完全に被覆された状態となっているため、LEDチップ6からY軸方向に向けて発せられる光は完全に反射されることとなる。
【0023】
また、該第一実施形態では、窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成された第2の反射層4bと、同じく窪み底面全体の1/5〜1/4を占めるような広い範囲にわたって形成されたカソードおよびアノードとしての導電体層5が形成されているため、該LEDチップ6から下方に向けて発せられる光も、これら第2の反射層4bおよび導電体層5によって有効に反射されることとなる。
【0024】
さらに、上述のように、第2の反射層4bが広い範囲にわたって形成されていれば、LEDチップから発生する熱を効果的に発散させることができ、該LEDチップ6の過熱を防止することが可能となる。
【0025】
また、上記第一実施形態においては、図4に示すように、第2の反射層4bの下に熱伝導性の良好な穴埋めスルーホール15を設けることにより、LEDチップ6で発生する熱を、該穴埋めスルーホール15を介して裏面側より外部へ放出させる構成としてもよい。
斯かる穴埋めスルーホール15を構成する材料としては、例えば、タングステン、銅、銀などの金属部材を使用できるほか、導電性部材が使用できない場合には、エポキシ樹脂などの絶縁性部材を使用することができる。
【0026】
さらに、発光装置の裏面側には、前記穴埋めスルーホール15と接続された金属面を形成することもでき、これによって裏面側からの放熱性をより一層高めることができる。
【0027】
(第二実施形態)
図5は、本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図であり、図6は、図5における6−6線断面図、図7は、図5における7−7線断面図である。
図5〜7に示すように、第二実施形態に係る発光装置1は、前記第一実施形態に係る発光装置とその基本構成を同じくするものであり、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5(カソード又はアノードの何れか一方)と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0028】
本実施形態では、図5および6に示されているように、前記下端側基底面3aは窪み3の一端側の約1/3の領域を占めるように形成されており、他端側の約2/3の領域は、該下端側基底面3aよりも高い位置に形成された第2基底面3cとなっている。該第2基底面3cには、前記下端側基底面3aとは逆の電極(カソード又はアノードの何れか他方)である導電体層5が形成されている。さらに、本実施形態では、該第2基底面3cに形成された導電体層5は、窪みの側面3bの全域に延びるようにして形成されており、第2基底面3cから側面3bに延びるように形成された導電体層5が、反射層4を兼ねた構成となっている。言い換えれば、窪みの側面3bに形成された反射層4は、導電体層5の一方(カソード又はアノード)を兼ねた構成となっている。ただし、側面3bに形成された反射層4は、第2基底面3cよりも下方側には形成されておらず、この第2基底面3cと下端側基底面3aとの間においては、セラミックス基板2が露出した構成となっている。そして、LEDチップ6は、この第2基底面3c上に形成された導電体層5の上に載置された構成となっている。
【0029】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が反射層4と導電体層5との隙間よりも上方側に位置するように第2基底面3cの上に載置された状態となっているため、LEDチップ6から発せられる水平方向の光は、全て反射層4によって反射されることとなる。
【0030】
さらに、上記構成の発光装置1によれば、第2基底面から側面3bに延びるように形成された導電体層5が、反射層4をも兼ねた構成となっているため、セラミックス基板2の露出した領域が極めて少なく、発光素子から発せられる光をより一層効率的に反射させることができる。しかも、本実施形態に係る発光装置1では、反射層4が導電体層5を兼ねているにも拘らず、窪み3の側面3b全域に反射層4が形成されているため、従来の発光装置のように反射層によって反射される光にムラが生じるという問題を招くことがない。
【0031】
(第三実施形態)
図8は、本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図であり、図9は、図8における9−9線断面図、図10は、図8における10−10線断面図である。
図8〜10に示すように、第三実施形態に係る発光装置1も、上記実施形態に係る発光装置とその基本構成を同じくするものであり、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、窪み3の内部には発光素子としてのLEDチップ6が載置されている。
【0032】
該第三実施形態の発光装置1では、下端側基底面3aの中央領域に、さらに凹部11が形成されている。該凹部11は、LEDチップ6を載置するための底面11aと、該底面11aから凹部11の開口端側に向かって広がるように形成された側面11bとを備えている。また、該凹部11の底面11aおよび側面11bの全体には、導電体層5としてのアノード(又はカソード)が被着されており、該凹部11内においてはセラミックス基板2が導電体層5によって完全に被覆された状態となっている。
そして、発光素子であるLEDチップ6は、該凹部11の底面11aに被着された導電体層5の上に、接着剤層(図示せず)を介して着接されている。
【0033】
また、凹部11に形成された導電体層5は、凹部11の開口端を越えて下端側基底面3aにまで至るように広い範囲で形成されており、その一端は、窪み3の側面3bにまで達するように延びて形成されている。
【0034】
導電体層5のもう一方であるアノード(又はカソード)は、下端側基底面3aに被着されており、LEDチップ6は、前記第一実施形態と同様に、ボンディングワイヤ7によってこれらアノードおよびカソードと電気的に接続されている。
【0035】
さらに、窪み3の側面3bには、前記第一実施形態と同じく反射層4が形成されている。該反射層4は側面3bの全周を覆うように形成され、その下端は、下端側基底面3aに形成された前記導電体層5と離間するように、例えば0.1mm程度の僅かな隙間をあけて形成されている。
【0036】
斯かる構成の発光装置1によれば、LEDチップ6が凹部11の内部に載置されているため、LEDチップ11から横方向又は下方向へ向けて発せられる光は、全て凹部内面に形成された導電体層5によって反射されることとなる。
また、該LEDチップ6から斜め上方へ向けて発せられる光は、側面3bの全周を覆うように形成された反射層4によって反射されることとなる。
よって、該第三実施形態に係る発光装置1では、側面3bに形成された反射層5と下端側基底面3aに形成された導電体層5との間には隙間があり、その部分ではセラミックス基板2が露出する構成となっているにも拘らず、LEDチップ6から発せられる光が該セラミックス基板6に透過することを有効に防止しうるものとなる。
【0037】
尚、該第三実施形態においては、図11に示すように、カソードとアノードとを絶縁しうる最小限度の間隔を確保していれば、導電体層5は、下端側基底面3aの略全域(例えば、95%以上)を占めるように、さらに広範囲にわたって形成することも可能である。
【0038】
(第四実施形態)
図12は、本発明の発光装置の第四実施形態を示した平面図であり、図13は、図12における13−13線断面図、図14は、図12における14−14線断面図である。
図12〜14に示すように、第四実施形態に係る発光装置1は、窪み3を有するように構成されたセラミックス基板2と、該窪み3の上端開口部に対向する下端側基底面3aに形成された導電体層5と、該窪み3の側面3bに形成された反射層4とを備え、下端側基底面3aの中央領域には凹部11が形成されてなり、該凹部11は、LEDチップ6を載置するための底面11aと、該底面11aから凹部11の開口端側に向かって広がるように形成された側面11bとを備え、該凹部11の底面11aに被着された導電体層5の上に、発光素子であるLEDチップ6が載置されている点において、前記第三実施形態と同じ構成である。
【0039】
該第四実施形態の発光装置1では、側面3bに形成された反射層4が下端側基底面3aにまで達するように形成され、一方、下端側基底面3aに形成された導電体層5が側面3bから僅かに離間して形成され、これによって反射層4と導電体層5との絶縁が図られた構成となっている。
【0040】
斯かる構成の発光装置1においても、LEDチップ6が凹部11の内部に載置されているため、LEDチップ11から横方向又は下方向へ向けて発せられる光は、全て凹部内面に形成された導電体層5によって反射されることとなる。
また、該LEDチップ6から斜め上方へ向けて発せられる光は、側面3bの全周を覆うように形成された反射層4によって反射されることとなる。
よって、該第四実施形態に係る発光装置1によれば、下端側基底面3aにおいて僅かにセラミックス基板2が露出する構成となっているにも拘らず、LEDチップ6から発せられる光が該セラミックス基板6に透過することを有効に防止しうるものとなる。
【0041】
尚、本発明においては、窪みの内部の形状については特に限定されず、前記第一乃至第四実施形態に於いて示した形状と異なる形状とすることも可能である。例えば、凸部を設ける場合には、該凸部の上に載置される発光素子から水平方向に発せられる光が、側面に形成された反射層によって反射される程度の高さを備えたものであればよい。
また、凹部を設ける際には、該凹部の内側に載置される発光素子から該凹部の外側へと発せられる光が、側面に形成された反射層と下端側基底面に形成された導電体層との隙間に達しない程度の深さを備えたものであればよい。
【0042】
また、前記第一実施形態においては、凸部10に第2の反射層が形成された場合について説明したが、本発明は、斯かる構成に限定されるものではない。よって、例えば、前記凸部を窪み側面と離間するように下端側基底面の中央領域にのみ形成し、該第2の反射層の代わりにカソード又はアノードの何れか一方の導電体層5を凸部の上面にまで延在させるように形成してもよい。
【0043】
同様に、前記第三および第四実施形態においては、カソード又はアノードの何れか一方の導電体層を凹部内面にまで至るように形成された場合について説明したが、本発明は、斯かる構成に限定されるものではない。よって、例えば、前記凹部内面全体を覆うような第2の反射層を形成し、該第2の反射層と離間した状態で、下端側基底面上にカソードおよびアノードとしての導電体層を形成してもよい。
【0044】
また、本発明においては、反射層および導電体層を構成する材料については特に限定されない。
即ち、前記反射層は、発光素子から発せられる光を効率良く反射しうるものであれば特に限定されず、従来公知の材料および構成を採用することができる。反射層を構成する材料としては、例えば、金や銀、ニッケル等の金属材料を好適に使用することができる。
【0045】
また、導電体層についても、発光素子に電力を供給するための導電性を有するものあれば特に限定されないが、発光素子から発せられる光を効率良く反射させうるものや、熱伝導率の高いものを好適に採用することができる。該導電体層を構成する材料としては、例えば、タングステン、銅、金、ニッケル等の金属材料を好適に使用することができる。
【0046】
また、前記窪み3内には、蛍光体が含まれていることが好ましい。
窪み3内に蛍光体が含まれていれば、LEDチップ6から発せられた光の一部は、該蛍光体に照射・吸収され、該蛍光体からは、LEDチップから発せられた光とは異なる光が放出されることとなる。これにより、LEDチップ6から発せられた光と蛍光体12から発せられた光とが混合されることとなり、種々の色味の発光装置を提供することができる。例えば、青色に発光するLEDチップ6と、黄色に発光する蛍光体12とを用いることにより、白色系に発光する発光装置となる。
【0047】
蛍光体としては、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、希土類酸硫化物、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、窒化物系蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩、又は、Eu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M5(PO4)3X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、M2B5O9X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl2O4:R、Sr4Al14O25:R、CaAl2O4:R、BaMg2Al16O27:R、BaMg2Al16O12:R、BaMgAl10O17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などが挙げられる。
希土類酸硫化物蛍光体としては、La2O2S:Eu、Y2O2S:Eu、Gd2O2S:Euなどが挙げられる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、Y3Al5O12:Ce、(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ce、Y3(Al0.8Ga0.2)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12の組成式で表されるYAG系蛍光体などが挙げられる。
その他の蛍光体としては、ZnS:Eu、Zn2GeO4:Mn、MGa2S4:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などが挙げられる。また、M2Si5N8:Eu、MSi7N10:Eu、M1.8Si5O0.2N8:Eu、M0.9Si7O0.1N10:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)なども使用できる。
さらに、前記蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Ti等から選択される1種以上を含有させることもできる。
【0048】
また、他の蛍光体として、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一種の元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一種の元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一種の元素で付活された窒化物系蛍光体を採用することもできる。
【0049】
窒化物蛍光体は、Sr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O−N:Eu系窒化物蛍光体である。この蛍光体は、一般式LXSiYN(2/3X+4/3Y):Eu若しくはLXSiYOZN(2/3X+4/3Y-2/3Z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか。0.5≦X≦3、1.5≦Y≦8である。)で表される。一般式中、X及びYは、X=2、Y=5又は、X=1、Y=7であることが好ましいが、任意のものも使用できる。具体的には、(SrXCa1-X)2Si5N8:Eu、Sr2Si5N8:Eu、Ca2Si5N8:Eu、SrXCa1-XSi7N10:Eu、SrSi7N10:Eu、CaSi7N10:Euで表される蛍光体を使用することが好ましいが、この蛍光体の組成中には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が含有されていてもよい。
発光中心には、希土類元素であるユウロピウムEuを用いることが好ましい。ユウロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つ。蛍光体は、母体のアルカリ土類金属系窒化ケイ素に対して、Eu2+を付活剤として用いることが好ましい。Eu2+は、酸化されやすく、3価のEu2O3の組成で市販されている。しかし、市販のEu2O3では、Oの関与が大きく、良好な蛍光体が得られにくい。そのため、Eu2O3からOを、系外へ除去したものを使用することが好ましい。たとえば、ユウロピウム単体、窒化ユウロピウムを用いることが好ましい。但し、Bを添加した場合は、その限りではない。
添加物であるBは、Eu2+の拡散を促進し、発光輝度、エネルギー効率、量子効率等の発光効率の向上を図る。Bは、原料中に含有させるか、又は、製造工程中にB化合物を含有させ、原料と共に焼成する。
【0050】
窒化物蛍光体には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr、O及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有することもできる。これらの元素は、粒径を大きくしたり、発光輝度を高めたりする等の作用を有している。また、B、Al、Mg、Cr及びNiは、残光を抑えることができるという作用を有している。
【0051】
このような窒化物系蛍光体は、LEDチップ6によって発光された青色光の一部を吸収して黄から赤色領域の光を発光する。窒化物系蛍光体をYAG系蛍光体と共に上記の構成を有する発光装置に使用すれば、LEDチップ6により発光された青色光と、窒化物系蛍光体による黄色から赤色光とが混色により暖色系の白色に発光する発光装置を提供することができる。窒化物系蛍光体の他に加える蛍光体には、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質が含有されていることが好ましい。前記イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質を含有することにより、所望の色度に調節することができるからである。セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質は、LEDチップ6により発光された青色光の一部を吸収して黄色領域の光を発光する。こうして、LEDチップ6により発光された青色光と、イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質の黄色光とを混色させることにより、青白い白色に発光する発光装置を提供することができる。
【0052】
前記蛍光体としては、酸窒化物蛍光体を使用することもできる。酸窒化物蛍光体は、賦活剤に希土類元素を用いており、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素と、を少なくとも含有するものである。該元素の組合せは任意であるが、以下の組成のものを使用することが好ましい。該酸窒化物蛍光体は、LXMYOZN((2/3)X+(4/3)Y-(2/3)Z):R、又は、LXMYQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T-(2/3)Z):R(Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素である。Mは、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素である。Qは、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第III族元素である。Oは、酸素元素である。Nは、窒素元素である。Rは、希土類元素である。0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)の一般式で表される。前記X、前記Y、前記Zは、該範囲で高い輝度を示す。そのうち特に、一般式中、前記X、前記Y、前記Zが、X=1、Y=2、Z=2で表される酸窒化物蛍光体は高い輝度を示すため特に好ましい。但し、上記範囲に限定されず、任意のものも使用できる。具体的にはCaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、CaGe2O2N2:Eu、SrGe2O2N2:Eu、BaGe2O2N2:Eu、Ca0.5Sr0.5Si2O2N2:Eu、Ca0.5Ba0.5Si2O2N2:Eu、Ca0.5Zn0.5Si2O2N2:Eu、Sr0.5Mg0.5Si2O2N2:Eu、CaSi2B0.1O2N2:Eu、SrSi2B0.1O2N2:Eu、BaSi2B0.1O2N2:Eu、ZnSi2B0.1O2N2:Eu、CaGe2B0.01O2N2:Eu、SrGe2Ga0.01O2N2:Eu、CaSi2O2N2:Eu,Ce、SrSi2O2N2:Eu,Ce、BaSi2O2N2:Eu,Ce、CaGe2O2N2:Eu,Ce等で表される酸窒化物蛍光体を使用することできる。また、ここで示すように、本酸窒化物蛍光体は、OとNとの比を変化させることで、色調や輝度を調節することができる。また、(L+M)/(O+N)で示す陽イオンと陰イオンのモル比を変化させることでも、発光スペクトルや強度を調整することも可能である。これは、例えば、真空などの処理を施し、NやOを脱離させること等により可能であるが、この方法には、限定されない。この酸窒化物蛍光体の組成中には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mn、Re、Cu、Ag、Auの少なくとも1種以上含有されていてもよい。これらを添加することにより輝度、量子効率等の発光効率を調整することができるからである。また、その他の元素も特性を損なわない程度に入っていても良い。但し、本発明に用いる蛍光体は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0053】
前記酸窒化物蛍光体に含まれる第II族元素の一部は、前記賦活剤Rで置換される。前記第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量に対して、前記賦活剤Rの量は、(前記第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量):(前記賦活剤Rの量)=1:0.001乃至1:0.8のモル比であることが好ましい。
Rは、希土類元素である。具体的には、Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。これら希土類元素のうち、Euが好ましい。また、Euと、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上の元素と、を含んでいるものも使用することができる。特に、賦活剤Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれるEuを必須とする少なくとも1種以上である希土類元素であることが好ましい。Eu以外の元素は、共賦活剤として、作用するためである。Rは、Euが50重量%以上含有されていることが好ましい。
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
これらの蛍光体は、LEDチップ6の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色、また、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する。これらの蛍光体は1種のみでも良いが、数種類を組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
例えば、紫外線発光のLEDチップ6を用い、緑色から黄色に発光するCaSi2O2N2:Eu、又はSrSi2O2N2:Euと、青色に発光する(Sr,Ca)5(PO4)3Cl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)2Si5N8:Euと、からなる蛍光体を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する発光装置を提供することができる。これは、色の三原色である赤・青・緑を使用しているため、蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
【0054】
上記蛍光体の粒径は、1μm〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは2μm〜8μmである。特に、5μm〜8μmが好ましい。2μmより小さい粒径を有する蛍光体は、凝集体を形成しやすい傾向にある。一方、5μm〜8μmの粒径範囲の蛍光体は、光の吸収率及び変換効率が高い。このように、光学的に優れた特徴を有する粒径の大きな蛍光体を含有させることにより、発光装置の量産性が向上する。
ここで粒径は、空気透過法で得られる平均粒径を指す。具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、1cm3分の試料を計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読みとり、平均粒径に換算した値である。本発明で用いられる蛍光体の平均粒径は2μm〜8μmの範囲であることが好ましい。また、この平均粒径値を有する蛍光体が、頻度高く含有されていることが好ましい。また、粒度分布も狭い範囲に分布しているものが好ましく、特に、微粒子2μm以下の少ないものが好ましい。このように粒径、及び粒度分布のバラツキが小さい蛍光体を用いることにより、より色ムラが抑制され、良好な色調を有する発光装置が得られる。
【0055】
発光装置1における蛍光体の配置場所は、LEDチップ6との位置関係において種々の場所に配置することができる。例えば、LEDチップ6を被覆するコーティング部材中に、蛍光体を含有させることができる。また、LEDチップ6と蛍光体とを、間隙をおいて配置しても良いし、LEDチップ6の上部に蛍光体を、直接載置しても良い。また、前記図5の凹部11に蛍光体を混入させたコーティング部材を配置し、その凹部を覆うように窪み3内に異なる若しくは同一のコーティング部材を配置してもよい。また、二種類以上の蛍光体を用いる場合、凹部11に長波長側の蛍光体を配置し、窪み3に短波長側の蛍光体を配置する。これによりLEDチップ6の光路長の近い方に長波長側の蛍光体を配置するため、短波長側の蛍光体の光が長波長側の蛍光体に吸収されることは少ないため、色度調整の容易な高輝度な発光装置を提供することができる。
【0056】
蛍光体は、有機材料である樹脂や無機材料であるガラスなど種々のコーティング部材(バインダー)を用いて、付着させることができる。コーティング部材は、蛍光体をLEDチップ6に固着させるためのバインダーとしての役割を有することもある。コーティング部材(バインダー)として有機物を使用する場合、具体的材料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンなどの耐候性に優れた透明樹脂が好適に用いられる。特に、シリコーンを用いると、信頼性に優れ、且つ蛍光体の分散性を向上させることができ好ましい。
また、無機物である結着剤をコーティング部材(バインダー)として用いることもできる。結着剤とは、いわゆる低融点ガラスであり、微細な粒子であり、且つ紫外から可視領域の輻射線に対して吸収が少なく、コーティング部材(バインダー)中にて極めて安定であることが好ましい。
また、粒径の大きな蛍光体をコーティング部材(バインダー)に付着させる場合、融点が高くても粒子が超微粉体である結着剤、例えば、シリカ、アルミナ、あるいは沈殿法で得られる細かい粒度のアルカリ土類金属のピロリン酸塩、正りん酸塩などを使用することが好ましい。これらの結着剤は、単独、若しくは互いに混合して用いることができる。
ここで、上記結着剤の塗布方法について述べる。結着剤は、結着効果を十分に高めるため、ビヒクル中に湿式粉砕して、スラリー状にして、結着剤スラリーとして用いることが好ましい。前記ビヒクルとは、有機溶媒あるいは脱イオン水に少量の粘結剤を溶解して得られる高粘度溶液である。例えば、有機溶媒である酢酸ブチルに対して粘結剤であるニトロセルロースを1wt%含有させることにより、有機系ビヒクルが得られる。
このようにして得られた結着剤スラリーに、蛍光体を含有させて塗布液を作製する。塗布液中のスラリーの添加量は、塗布液中の蛍光体量に対してスラリー中の結着剤の総量が、1〜3wt%程度とすることができる。光束維持率の低下を抑制するため、結着剤の添加量が少ない方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の発光装置の第一実施形態を示した平面図。
【図2】図1における2−2線断面図。
【図3】図1における3−3線断面図。
【図4】第一実施形態において、スルーホールを設けた状態を示した断面図。
【図5】本発明の発光装置の第二実施形態を示した平面図。
【図6】図5における6−6線断面図。
【図7】図5における7−7線断面図。
【図8】本発明の発光装置の第三実施形態を示した平面図。
【図9】図8における9−9線断面図。
【図10】図8における10−10線断面図。
【図11】第三実施形態において、導電体層をより広範囲に設けた状態を示した平面図。
【図12】本発明の発光装置の第四実施形態を示した平面図。
【図13】図12における13−13線断面図。
【図14】図12における14−14線断面図。
【図15】従来の発光装置を示した断面図。
【符号の説明】
【0058】
1 発光装置
2 セラミックス基板
3 窪み
3a 下端側基底面
3b 側面
3c 第2基底面
4 反射層
4a 第1の反射層
4b 第2の反射層
5 導電体層
6 発光素子(LEDチップ)
7 ボンディングワイヤ
10 凸部
11 凹部
15 穴埋めスルーホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、
該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、
該下端側基底面に接しないように少なくとも前記窪みの側面に形成された反射層とを備え、
前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方側に備えられた第2基底面上に載置されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光素子が、導電体層と離間した第2の反射層の上に載置されてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、
該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、
該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、
前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも下方側に位置するように前記下端側基底面に形成された凹部内に載置されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われていることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項1】
セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、
該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、
該下端側基底面に接しないように少なくとも前記窪みの側面に形成された反射層とを備え、
前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも上方側に位置するように前記下端側基底面よりも上方側に備えられた第2基底面上に載置されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光素子が、導電体層と離間した第2の反射層の上に載置されてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
セラミックス基板に形成された窪み内に発光素子が載置されてなる発光装置であって、
該窪みの上端側開口部に対向する下端側基底面に形成された導電体層と、
該下端側基底面に接しないように該窪みの側面に形成された反射層とを備え、
前記発光素子が前記反射層と前記導電体層との隙間よりも下方側に位置するように前記下端側基底面に形成された凹部内に載置されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記凹部の内面全体が、導電体層又は第2の反射層によって覆われていることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−13157(P2006−13157A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188557(P2004−188557)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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