説明

発光装置

【課題】複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、コントラスト及び表示ダイナミックレンジを十分に得るようにする。
【解決手段】発光装置は、複数の電流効率の異なるR、G、B発光素子から構成されるR画素5、G画素6、B画素7と、R画素用電圧電流変換部2と、G画素用電圧電流変換部3と、B画素用電圧電流変換部4とを備える。電圧電流変換部2〜4は、電圧電流変換用トランジスタT1と、電圧電流変換用トランジスタT1のゲートを第1の電位V1に設定するゲート電位設定回路とを備える。G画素用電圧電流変換部3は、電圧電流変換用トランジスタT1のソースを第2の電位V4に設定する設定用トランジスタT4と、第2の電位V2を調整する調整手段(Vin4)を有する。第2の電位V2は、電圧電流変換用トランジスタT1のゲートに保持容量C2を介して結合している端子の電位V3とは異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電流効率の異なる発光素子より構成された電子写真装置の露光装置や表示装置等の発光装置に用いられ、電圧信号である映像信号を各画素に電流信号として供給するために信号転送経路に配置される電圧電流変換装置を有する発光装置に関する。特に、本発明は、構成素子の特性ばらつきから生じる出力電流の不均一性の補正と、電圧設定により多階調電流駆動及び極低電流駆動とが必要な発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置として表示装置を例に挙げる。近年、注目されているフラットパネルディスプレイの一つである有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置には、各画素に配置された発光素子としての有機EL素子がデータ信号源から供給される電流値によって発光輝度が決定されるタイプのものがある。このタイプにおいては、電圧電流変換装置をデータ信号源に配置して電圧信号である映像信号を電流信号に変換する必要がある。
【0003】
このような電圧電流変換装置としては、例えば特許文献1で提案されているものが知られている。以下に、特許文献1に開示されている電圧電流変換装置について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本装置の回路構成、図11は、図10の装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【0004】
図10において、T0〜T6はn型トランジスタ、T7はp型トランジスタである(以下、必要に応じて、T0を入力制御トランジスタ、T1〜T7をそれぞれ第1〜第7トランジスタとも呼ぶ)。また、C1、C2はそれぞれ第1及び第2容量、S1〜S6は、それぞれトランジスタT0、T2〜T5のゲートに供給される独立した制御信号である。また、V1〜V5はそれぞれ入力端子から供給される各々の電位源の電位(以下、第1〜第5電位と呼ぶ)である。さらに、Vinは入力端子から印加される入力電圧、Ioutは出力端子から出力される出力電流である。
【0005】
第1トランジスタT1は、本装置の電圧電流変換用トランジスタに対応する。図10の例では、第1トランジスタT1のゲート電位VG(T1)を第1電位V1に設定するゲート電位設定回路と、第1トランジスタT1のソース電位VG(T1)を第2電位V2、第3電位V3に設定するソース電位設定回路とが設けられる。ゲート電位設定回路は、第2トランジスタT2、第3トランジスタT3、及びp型トランジスタT7を含む。ソース電位設定回路は、第4及び第5トランジスタT4、T5を含む。
【0006】
図11において、まず、時刻t0において入力端子から印加される入力電圧Vinがゼロの値に設定された後、時刻t1において、制御信号S1〜S4がそれぞれハイレベルHになり、第1〜第4トランジスタT1〜T4がオンとなる。これにより、ソース電位VS(T1)は、ソース電位設定回路により、第4トランジスタT4を介して第2電位V2に設定される。また、ゲート電位VG(T1)は、ゲート電位設定回路により、第2、第3トランジスタT2、T3を介して第1電位V1よりプリチャージされ、第1電位V1となる。
【0007】
次いで、時刻t2において、制御信号S3がローレベルLとなり、第3トランジスタT3がオフとなる。すると、第1トランジスタT1はターンオン電圧へと自己バイアスがかかり、ゲート電位VG(T1)がなだらかな曲線を描いて放電動作が行われる。この時、ソース電位設定回路により、ソース電位VS(T1)は第2電位V2に設定されている。よって、ゲート電位VG(T1)が「VG(T1)=第1トランジスタT1の閾値Vth−第2電位V2」になるまで、短時間で電荷の放電が行われる。
【0008】
次いで、時刻t3において、制御信号S2がローレベルLになると、第2トランジスタT2がオフとなり、第1トランジスタT1の放電が終了する。このときのゲート電位VG(T1)は十分低い、即ち絶対値の小さな電位Vaになっている。
【0009】
次いで、時刻t4において、制御信号S4がローレベルLになり第4トランジスタT4がオフ、制御信号S5がハイレベルHになり第5トランジスタT5がオンになると、ソース電位VS(T1)は、第3電位V3に設定される。これと同時に、ゲート電位VG(T1)は、Vbとなる。ここで、「Vb=第1トランジスタT1の閾値Vth+自己バイアス残留電圧Vr−(第3電位V3−第2電位V2)+入力電圧VinのC1、C2容量分割電圧」である。
【0010】
次いで、時刻t5で制御信号S1がハイレベルHとなると、入力制御トランジスタT0がオンになり、時刻t6において、制御信号S1はローレベルLとなり、入力制御トランジスタT0がオフとなる。これ以降、適当な時刻(図中ではt6)において、制御信号S6をハイレベルHとし、第6トランジスタT6をオンする。そうすると、該第6トランジスタT6及び第1トランジスタT1を介して、時刻t4〜t6で設定された第1トランジスタT1のゲート電位VG(T1)に対応した出力電流Ioutが得られる。
【0011】
従って、上記電圧電流変換装置において、入力電圧Vinが0の場合、第1トランジスタT1のゲート電位VG(T1)は、「VG(T1)=第1トランジスタT1の閾値Vth+自己バイアス残留電圧Vr−(第3電位V3−第2電位V2)」となる。ここで、第2電位V2は、「(第3電位V3−第2電位V2)≧自己バイアス残留電圧Vr」となるように設定されている。このため、入力電圧Vinがゼロの場合、ゲート電位VG(T1)は第1トランジスタT1の閾値Vthよりも低くなり、第1トランジスタT1は十分に遮断される。
【0012】
上記の電圧電流変換装置においては、自己バイアス期間に応じて第2電位V3と第3電位V2とを所定の関係に設定すれば、入力電圧Vinがゼロの時の自己バイアス残留電圧Vrの影響を排除して出力電流Ioutを略ゼロとすることができる。また、上記の電圧電流変換装置を複数個並列に用いた場合に生じるトランジスタの閾値のばらつきによる補正効果は維持される。
【特許文献1】特開2005−318573号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters、75巻、1999年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献1で提案されている電圧電流変換装置により、TFTの自己バイアスで補正制御を行なう電圧電流変換回路において、入力電圧がゼロの時の出力電流を確実にゼロに遮断することは可能となる。
【0014】
しかしながら、例えば電流で駆動される有機エレクトロルミネッセンスでは、近年、駆動電流が数nA程度から発光するようになってきている。このため、前記したように、入力電圧がゼロの時に、自己バイアス残留電圧を略「トランジスタ閾値≧ゲート電位」とすると、低電流側の電流制御が十分でなくなる場合が生じるようになってきた。このことを図8及び図9を参照して説明する。
【0015】
図8は、横軸に時間、縦軸に第1トランジスタT1のゲート電位VG(T1)をとり、補正許容時間(図9の例では時刻t2〜t4)の経過に伴うゲート電位VG(T1)の変化を示すものである。図9は、横軸に電流i、縦軸に輝度Lをとり、R、G、Bの各発光素子の電流効率(輝度/電流)の違いによる特性を説明するものである。図9に示すように、電流効率はGの発光素子が最も高い。
【0016】
たとえば、図8に示されるように、第2電位V2を高く設定して、ソース電位VS(T1)の残留電圧が大きいときには、ゲート電位VG(T1)は補正許容時間を経過しても閾値Vthより高い(図中のVS(T1)大で示す曲線参照)。このため、入力電圧Vinが0Vのときでも、出力電流Ioutが流れてしまう。そうすると、この出力電流Ioutに電流駆動型の発光素子を接続した場合には、図9に示すように、入力電圧Vinが0Vのときでも、高電流効率のGの発光素子ではLgのような発光が起こってしまうことになる。この場合、黒レベルでの入力電圧Vinでの発光により、コントラストが小さくなってしまう。
【0017】
一方、図8に示されるように、V2電位を低く設定して、ソース電位VS(T1)の残留電圧が大きいときには、ゲート電位VG(T1)は補正許容時間を経過すると閾値Vthよりも低くなる(図中のVS(T1)小で示す曲線参照)。このため、入力電圧Vinが0V以上のときでも出力電流Ioutが流れない範囲が生じる。そうすると、この出力電流Ioutに電流駆動型の発光素子を接続した場合には、入力電圧Vinが0V以上のときでも、ある程度の値になるまで発光が起こらなくなってしまうことになる。
【0018】
いずれの場合も、図9に示すように、R、G、Bの各色の適正な表示ダイナミックレンジRDr、RDg、及びRDbは、Dr、Dg、及びDbのように狭められてしまう。その結果、表示ダイナミックレンジ電流範囲全体での本来の色再現範囲やホワイトバランスが得られなくなる。図9のような場合、特に高電流効率のGの発光素子のDgでは、必要なダイナミックレンジが得られない。
【0019】
上述したように、従来例の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置では、電流効率の高い発光素子の低輝度側の発光制御が困難になり、入力電圧が数階調に及ぶまで電流が流れず、ダイナミックレンジを狭める場合が生じるようになった。
【0020】
本発明は、上記課題を解決するもので、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、コントラスト及び表示ダイナミックレンジを十分に得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に係る発光装置は、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、入力された電圧信号を電流信号に変換して前記発光素子に供給する電圧電流変換回路を有する。前記電圧電流変換回路は、第1及び第2の電圧電流変換回路を有する。前記第1及び第2の電圧電流変換回路は、前記電圧信号を受けるゲート、前記電流信号を出力するドレイン、及びソースを有する電圧電流変換用トランジスタと、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートを第1の電位に設定するゲート電位設定回路と、を備える。前記第1の電圧電流変換回路は、前記電圧電流変換用トランジスタのソースを第2の電位に設定する設定用トランジスタを有し、かつ、前記第2の電位を調整する調整手段を備える。前記第2の電位は、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートに保持容量を介して結合している端子の第3の電位とは異なる。
【0022】
これによれば、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、高いコントラストを確保することができる。
【0023】
本発明において、前記第1の電圧電流変換回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子のうちゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こる電流効率の発光素子に接続されてもよい。
【0024】
また、前記第2の電圧電流変換回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子のうちゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こらない電流効率の発光素子に接続されてもよい。
【0025】
また、前記第2の電位は、前記電圧電流変換用トランジスタのリセット動作後に与えられるゲートの電位が前記電圧電流変換用トランジスタのドレイン及びソース間電流を遮断するような電位に設定されていてもよい。
【0026】
さらに、前記第3の電位は、前記入力端子から入力される電圧信号のコモン電位であってもよい。
【0027】
本発明に係る発光装置は、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、入力された電圧信号を電流信号に変換して前記発光素子に供給する電圧電流変換回路と、前記電圧信号を発生する電圧発生回路と、を有する。前記電圧電流変換回路は、前記電圧信号を受けるゲート、前記電流信号を出力するドレイン、及びソースを有する電圧電流変換用トランジスタと、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートを第1の電位に設定するゲート電位設定回路と、前記電圧電流変換用トランジスタのソースを第2の電位に設定する設定用トランジスタと、を具備する。前記第2の電位は、所定の電源に接続され、かつ、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートに保持容量を介して結合している端子の第3の電位とは異なる。前記電圧発生回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の電流効率により、前記電圧信号の最低電位及び最高電位が異なっている。
【0028】
これによれば、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、所望のダイナミックレンジを確保することができる。
【0029】
本発明において、前記電圧発生回路は、入力されたデジタル信号を、変換用リファレンス電位を基準とする最低電位及び最高電位をもつアナログ電圧信号に変換して出力するデジタル・アナログ変換回路で構成され、前記変換用リファレンス電位を可変して前記最低電位及び前記最高電位を制御する制御手段をさらに有してもよい。
【0030】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、該輝度を調光するように前記最低電位及び最高電位を制御する手段と、を有してもよい。
【0031】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、所定の輝度に調光するように前記最高電位を制御する手段と、を有してもよい。
【0032】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、該輝度を略0cd/mに調光するように前記最低電位を制御する手段と、を有してもよい。
【0033】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、前記発光素子の発光状態を所定の輝度に調光するように前記最低電位及び最高電位を制御する手段と、を有してもよい。
【0034】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子に対し所定のホワイトバランスに調光するように前記最高電位を制御してもよい。
【0035】
以上において、前記電圧電流変換用トランジスタ、前記設定用トランジスタ、及び前記ゲート電位設定回路を構成するトランジスタは、非晶質シリコン、多晶質シリコン、又は単晶質シリコンから構成された薄膜トランジスタであってもよい。
【0036】
前記複数の電流効率の異なる発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であってもよい。発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子以外の電流駆動型の発光素子であってもよい。
【0037】
前記複数の電流効率の異なる発光素子は、R、G、Bの各色の発光素子であってもよい。
【0038】
以上によれば、電流効率の高い発光素子の低輝度側の発光制御を可能とし、そして、コントラスト及びダイナミックレンジを確保することができる。これにより、電流効率の高い発光素子でもコントラスト及び表示ダイナミックレンジ電流範囲全体での本来の色再現範囲やホワイトバランスが適正に行なえるようにしている。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、コントラスト及び表示ダイナミックレンジを十分に得ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0041】
本実施形態に係る発光装置の回路構成を図1に示す。同図に示す発光装置1は、EL表示装置に適用されるもので、R発光素子を含むR画素5と、G発光素子を含むG画素6と、R発光素子を含むB画素7と、電圧電流変換装置(電圧電流変換回路)とを備える。R、G、Bの各発光素子は、電流駆動型の発光素子であり、後述する有機エレクトロルミネッセンス素子で構成される。
【0042】
R画素5、G画素6、及びB画素7は、画素を構成するサブ画素である。電圧電流変換装置は、R画素5のR発光素子に駆動電流を供給するR画素用電圧電流変換部2と、G画素6のG発光素子に駆動電流を供給するG画素用電圧電流変換部3と、B画素7のB発光素子に駆動電流を供給するB画素用電圧電流変換部4とを有する。
【0043】
図1に示す本実施形態の電圧電流変換装置が、前述した図10に示す従来例の電圧電流変換装置と異なる点は、発光素子の電流効率(輝度/電流)に応じて、回路構成の異なる電圧電流変換部を設けている点にある。
【0044】
本実施形態では、電圧電流変換部3は、第1の電圧電流変換回路を構成し、そのゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こる電流効率の発光素子、すなわち電流効率の高いG画素6に接続されている。これに対し、R画素用電圧電流変換部2及びB画素用電圧電流変換部4は、第2の電圧電流変換回路を構成し、そのゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こらない電流効率の発光素子、すなわち電流効率の低いR画素5及びB画素7に接続されている。この理由については後述する。
【0045】
図14は、R画素用電圧電流変換部2とB画素用電圧電流変換部4の回路構成、図15は、電圧電流変換部3の回路構成をそれぞれ示す。なお、前者は、前述した特許文献1の図4に示される回路構成を、後者は特許文献1の図1に示される回路構成をそれぞれ適用しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0046】
図1及び図14に示すR画素用及びB画素用電圧電流変換部2、4において、T0、T1、T2、T3、T6はそれぞれn型トランジスタ、T7はp型トランジスタである。このうち、T0は入力制御トランジスタ、T1は電圧電流変換用トランジスタ、T6は出力制御トランジスタである。
【0047】
また、C1、C2はそれぞれ第1及び第2の容量、S1、S2、S3、S6はそれぞれ独立した制御信号である。V1、V3は第1、第2の電位であり、図示しない各々の電位源から提供される。VinRはR画素5への入力電圧(又は入力端子)、VinGはG画素6への入力電圧(又は入力端子)、VinBはB画素7への入力電圧(又は入力端子)、Ioutは出力電流(又は出力端子)である。
【0048】
電圧電流変換用トランジスタT1は、入力端子VinR、G、Bから入力される電圧信号を受けるゲートと、出力端子Ioutから電流信号を出力するためのドレインと、ソースとを有するが含まれる。また、電圧電流変換用トランジスタT1のゲートを第1の電位V1に設定するゲート電位設定回路を構成するn型トランジスタT2、T3、及びp型トランジスタT7も含まれる。
【0049】
電圧電流変換用トランジスタT1は、ゲートが入力電圧Vinが入力される第1の容量C1の他方の端子及び第2の容量C2の一方の端子にそれぞれ接続され、ドレインが出力電流Ioutの出力端子に接続される。
【0050】
トランジスタT2は、電圧電流変換用トランジスタT1のゲートとそのドレインとを接続する。すなわち、ソースが第1の容量C1の他方の端子及び電圧電流変換用トランジスタT1のゲートにそれぞれ接続され、ドレインが出力端子Ioutに接続され、ゲートが独立した制御信号S2によって制御される。
【0051】
トランジスタT3は、ソースまたはドレインがトランジスタT1のドレインに接続され、ドレインまたはソースが第1の電位V1に接続され、ゲートが独立した制御信号S3によって制御される。
【0052】
ソース電位設定回路は、第1の電位V1に設定された電圧電流変換用トランジスタT1のゲート電位がその絶対値がより一層小さくなるような電位まで、ゲート電位を遷移させている。
【0053】
図1及び図14に示すR画素用及びB画素用電圧電流変換部2、4においては、必要に応じて入力端子Vinと第1容量C1の一方の端子間に入力制御トランジスタT0を配置する。そして、独立した制御信号S1によって入力制御トランジスタT0のオン・オフを制御し、入力電圧Vinの入力タイミングを制御する。また、電圧電流変換用トランジスタT1のドレインとトランジスタT2のドレインと、出力端子Ioutとの間にも出力電流Ioutの出力タイミングを制御するために必要に応じて出力制御トランジスタT6を配置し、独立した制御信号S6によって制御する。
【0054】
さらに、図1及び図15に示すG画素用電圧電流変換部3には、電圧電流変換用トランジスタT1のソースを第2の電位V4に設定する設定用トランジスタT4が設けられる。また、第3の電位V3の端子と電圧電流変換用トランジスタT1のソースとを接続するトランジスタT5も設けられる。さらに、図示しない電源から第2の電位V4を入力するための入力端子Vin4も設けられる。これらが、第2の電位V4を調整する調整手段(調整回路)を構成している。
【0055】
設定用トランジスタT4は、ドレインが電圧電流変換用トランジスタT1のソースに接続され、ソースが第2の電位V4の端子に接続され、ゲートが独立した制御信号S4によって制御される。第2の電位V4は、電圧電流変換用トランジスタT1のゲートに保持容量C2を介して結合している端子の第3電位V3とは異なる電位であり、入力端子Vin4から与えられる。
【0056】
トランジスタT5は、ドレインが電圧電流変換用トランジスタT1のソースに接続され、ソースが第2の容量C2の他方の端子及び第3の電位V3の端子に接続され、ゲートが独立した制御信号S5によって制御される。
【0057】
ここで、第3の電位V3と第2の電位V4との電位差が、電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧以上となるように、第1の電位V1、第2の電位V4、及び第3の電位V3が設定されている。設定用トランジスタT4及びトランジスタT5により、自己バイアス期間における電圧電流変換用トランジスタT1のソース電位を第2電位V4に設定する。そして、該第2の電位V4を「第3の電位V3−第2の電位V4」が自己バイアス残留電圧Vr以上となるように第3の電位V3よりも低く設定する。すなわち、第2の電位V4は、電圧電流変換用トランジスタT1のリセット動作後に与えられるゲートの電位が電圧電流変換用トランジスタT1のドレイン及びソース間電流を遮断するような電位に設定されている。第3の電位V3は、入力電圧Vinのコモン電位とする。
【0058】
なお、上記のトランジスタは、多結晶半導体を用いて構成される薄膜トランジスタである。その他、非晶質シリコン、多晶質シリコン、又は単晶質シリコンを用いて構成される薄膜トランジスタであってもよい。
【0059】
次に、発光効率の異なるR画素5、G画素6、及びB画素7に対応して、G画素用電圧電流変換部3にのみに第2の電位V4を調整する調整手段を設けた理由を詳細に説明する。
【0060】
本実施形態で用いるR、G、Bの各発光素子は、電流駆動型の発光素子であり、有機EL素子から構成される。この有機EL素子の一例として、本実施形態では、以下の有機EL素子が用いられる。
【0061】
近年、電極から注入された電子、正孔の75%を形成する占有確率の高い3重項の励起子(残り25%は1重項励起子を形成)からの発光を利用するIr錯体などの発光素子が注目されている(非特許文献1参照)。ここで、1重項励起状態からの遷移による発光は蛍光を、3重項励起状態からの発光は燐光を用いている。
【0062】
例えば、図12は、コダック(Kodak)社のシー ダブリュ タン(C.W.Tang)らによって開発された蛍光を主に用いたEL発光材料Alq3の分子図である。Alq3は緑色発光材料であり、1重項状態から蛍光を発光する。
【0063】
一方、図13は、プリンストン(Prinston)のエム エイ バルド(M.A.Baldo)らによって開発されたIr(ppy)の分子図である。Ir(ppy)はAlq3と同様に緑色発光材料であるが、3重項状態から燐光を発光し、Alq3の数倍の効率を得ることが可能である。
【0064】
本実施形態では、このようにR、G、Bの発色をおこなう発光効率の異なる発光材料によりなる有機EL素子を用いて、それぞれR画素5、G画素6、B画素7を構成している。具体的には、蛍光を発するマトリックス上に配置された複数のR画素5、燐光を発するG画素6、及び蛍光を発するB画素7に対してそれぞれ、独立の電圧電流変換部2、3、及び4が接続されている。この電圧電流変換部2、3、及び4から供給される電極間の電流に応じて、発光装置1は面状に自発光する。
【0065】
この時のR画素5、G画素6、B画素7の電流効率は、夫々、「G画素電流効率>R画素電流効率>B画素電流効率」となった。燐光の発光であるG画素6の電流効率は、R画素5及びB画素7のそれと比べ非常に高い。
【0066】
これらのサブ画素を発光させるための電流は、前記したようにR画素用、G画素用、B画素用電圧電流変換部2、3、及び4からそれぞれ個別に供給される。ここで、G画素用電圧電流変換部3において、第2の電位V4を第3の電位V3のコモン電位とした場合に、電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧は、R画素用及びB画素用電圧電流変換部2、4と略同じとなる。この残留電圧は、電流効率による程度の差はあるが、前述した従来例の図8のように輝度の浮き又は黒潰れとして観察される。
【0067】
本実施形態では、第2電位V4を第3電位V3と同電位に設定したところ、本実施形態では、R、G、Bの各発光素子の階調数を各色256とし、そのうち階調0に対応する入力電圧Vinのときに、電流効率の一番高いG画素6だけが光って視認された。そのため、本実施形態では、R画素用及びB画素用電圧電流変換部2、4は、第3の電位V3を固定とし、第2の電位V4を調整する調整回路(入力端子Vin4)を設けなかった。そして、入力端子Vin4により、G画素用電圧電流変換部3に接続された第2の電位V4だけを第3の電位V3より低い電位に設定した。
【0068】
この設定により、G画素用電圧電流変換部3の電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧は、図2に示すVS(T1)、つまり、電圧電流変換用トランジスタT1の略閾値電圧Vthに収束するようになった。そして、図3に示すように、R、G、B画素の全てが階調0に対応する入力電圧Vinのときに輝度は、夫々、Lr、Lg、及びLbとなって光は視認外であることが確認された。
【0069】
従って、本実施形態によれば、上記のように発光素子の電流効率に応じて回路構成の異なる電圧電流変換部を設けたため、電流効率の異なる発光素子よりなる画素で構成される発光装置1において、従来例と比べ、コントラストを十分に得ることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、G画素6の電流効率が高いため、G画素用電圧電流変換部3において、第2の電位V4のみを調整する調整回路を設けたが、実際に使用するR画素5、B画素7の電流効率によっては、上記の第2の電位V4のみのとり方に限らない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0071】
前述した第1の実施形態では、電流効率の高いG画素6の最高輝度は所望輝度より低下することが確認された。これは、G画素用電圧電流変換部3の電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧を少なくしたためである。すなわち、階調0に対応する入力電圧VinGのときに出力電流Ioutが減るとともに階調255に対応するVinGのときの出力電流Ioutも減ったためである。ここで、夫々のサブ画素に必要とされる所望輝度は、白表示をおこなうためのホワイトバランスの関係から決められる。第1の実施形態では、「R画素の輝度:G画素の輝度:B画素の輝度」を略「3:6:1」となるように決めた。そのため、発光素子1のコントラストは上がったが、W及びGの最高輝度は下がってしまった。また、全階調域でのホワイトバランスはとれなくなってしまった。
【0072】
この点をより一層改善するため、本実施形態では、図4に示す構成を採用している。
【0073】
図4に示す発光装置1の構成は、第1の実施形態の構成と同じである。本実施形態では、発光装置1の各入力端子VinR、VinG、及びVinBには、それぞれの電圧信号を発生する電圧発生回路、すなわちR画像信号電圧発生部8、G画像信号電圧発生部9、及びB画像信号電圧発生部10が接続される。各電圧発生部8、9、10には、入力されたデジタル信号(画像データ)を、変換用リファレンス電位を基準とする最低出力電圧(最低電位)及び最高出力電圧(最高電位)をもつアナログ電圧信号に変換するデジタル・アナログ変換回路が設けられる。デジタル・アナログ変換回路は、画像信号D/A変換部11、12、及び13で構成される。また、デジタル・アナログ変換回路の変換用リファレンス電位を可変して、電圧信号の最低出力電圧及び最高出力電圧を制御する制御手段が設けられる。制御手段は、消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部15、17、及び19と、ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部14、16、及び18とで構成される。
【0074】
第1の実施形態では、各入力端子VinR、VinG、及びVinBの入力信号が0Vにおいて、図3に示されるLr、Lg、及びLbが視認外ではあるが発光していた。これを解決するために、各入力端子VinR、VinG、及びVinBの入力信号が0Vにおいて、図3に示されるLr、Lg、及びLbが発光しない(黒潰れしていてもよい)ように、第1の電位V1、第2の電位V4、及び第3の電位V3を低い電位に設定した。
【0075】
次に、VinR、VinG、及びVinBの入力信号が0Vにおいて、図7のLr、Lg、及びLbに成るように、黒レベル調整データにより、各消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部15、17、及び19の各出力電圧を高い電位に設定した。
【0076】
また、第1の実施形態では、図3に示すように各色のダイナミックレンジDr、Dg、及びDbが適正表示ダイナミックレンジRDr、RDg、及びRDbよりも狭くなっていた。これを解決するために、ダイナミックレンジ調整データにより、各ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部15、16、及び18の各出力電圧を各色の発光画素の適正ダイナミックレンジを満たす0V以上の数値に設定した。これにより、図7に示すように、各色のダイナミックレンジDr、Dg、及びDbは、適正表示ダイナミックレンジRDr、RDg、及びRDbと略同じレンジが取れるようになった。
【0077】
この結果、G画像信号電圧発生部9における画像信号D/A変換部12の最高出力電圧が高くなり、G画素用電圧電流変換部3の出力電流Ioutの最高電流が多くとれるようになった。そして、G画素6の輝度は所望の輝度まで光るようになった。また、R画素5、B画素7に関しても、同様に適正なダイナミックレンジがとれるようになり、全色の階調数が256得られるようになった。また、全階調域でのホワイトバランスを合わせることも可能となった。
【0078】
なお、本実施形態では、R、G、及びBの発光制御を全て行なったが、視認性の観点から、例えば、1番電流効率が高いG画素6のダイナミック調整用リファレンス電圧制御D/A変換部16のみ設定手段を用いてもよい。
【0079】
また、本実施形態で用いるD/A変換部の構成は、変換用リファレンス電位を可変して供給最低電位及び最高電位を制御することで、コントラスト(黒レベル)及びダイナミックレンジを個別に設定可能なものであれば、いずれの回路構成でも適用可能である。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図5を用いて説明する。
【0080】
本実施形態の発光装置1の構成と、R画像信号電圧発生部8、G画像信号電圧発生部9、及びB画像信号電圧発生部10の構成とは、第2の実施形態と同じである。
【0081】
本実施形態では、第2の実施形態の制御手段で用いた消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部15、17、及び19の設定値と、ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部14、16、及び18の設定値とを自動制御する構成が付加される。
【0082】
すなわち、本実施形態の制御手段には、R画素5、G画素6、及びB画素7内にそれぞれ光検出部(光検出手段)を構成する光検出用センサ(フォトダイオード)20、21、及び22を作り込んでいる。そして、各光検出用センサ20、21、及び22により検出された光信号と、設定された入力電圧VinR、VinG、VinBの値とから、適正なコントラストとダイナミックレンジが取れるような値を演算する演算処理部23、24、及び25が設けられる。
【0083】
演算処理部23、24、及び25には、演算された適正なダイナミックレンジの値を記憶するラッチ部26、28、30と、演算された適正なコントラストの値を記憶するラッチ部27、29、31とが接続される。ラッチ部26、28、30の出力側は、R画像信号電圧発生部8、G画像信号電圧発生部9、B画像信号電圧発生部10の各ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部に接続される。ラッチ部27、29、31の出力側は、R画像信号電圧発生部8、G画像信号電圧発生部9、B画像信号電圧発生部10の各消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部に接続される。
【0084】
ここで、Rを例に挙げて、本実施形態の制御手段を構成する光検出用センサ20、演算処理部23、及びラッチ部26、27の一連の動作を説明する。
【0085】
まず、R画素の画像信号32には階調0のコードを設定し、R画像信号電圧発生部8でその階調0のコードに対応するVinRの最小階調電圧信号を発生し、R画素用電圧電流変換部2に設定する。また、ラッチ部27にはコード0を設定しておく。これにより、R画素5は消灯し、光検出用センサ20は、R画素5の光信号を検出し、演算処理部23に供給する。
【0086】
演算処理部23は、供給された光信号の輝度に対応する値が暗時に対応する値ならば、ラッチ部27には1加算した値を設定し、その光信号の輝度に対応する値が光を検出した時に対応する値ならば、ラッチ部27にはそのままの値を設定する。上記光信号の輝度に対応する値が暗時に対応する値の場合には、同様の動作を光検出用センサ20が光を検出するまで繰り返す。そして、光が検出された1つ前のコードをラッチ部27に設定する。これにより、ラッチ部27には、消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部の設定値として、適正なコントラストが取れる値が設定される。この設定値が、黒レベル調整データとして、R画像信号電圧発生部8に供給され、これにより消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部の設定値が自動制御される。
【0087】
次に、R画素の画像信号32には階調255のコードを設定し、R画像信号電圧発生部8でその階調255のコードに対応するVinRの最大階調電圧信号を発生し、R画素用電圧電流変換部2に設定する。また、ラッチ部26には、予め前記の所望の輝度に近い値が得られるようにR画素の値を設定しておく。これにより、R画素5は所望の輝度に近い発光値を示すはずであるが、電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧の上記制御により設定された輝度と異なる値を示す場合が多い。R画素5は、上記誤差を含んだ値で点灯し、光検出用センサ20は画素の光信号を演算処理部23に供給する。
【0088】
演算処理部23は、供給された光信号の輝度に対応する値が所望の輝度に対応する値より低い場合、ラッチ部26には1加算した値を設定し、その光信号の輝度に対応する値が所望の輝度に対応する値より高い場合、ラッチ部26に1減算した値を設定する。同様の動作を、「光検出センサ20の光信号−所望輝度信号」の減算値の正負の符号が切り替わるまで繰り返す。そして、符号が変わる1つ前のコードをラッチ部26に設定する。これにより、ラッチ部26には、ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部の設定値として、適正なダイナミックレンジが取れる値に設定される。この設定値が、黒レベル調整データとして、R画像信号電圧発生部8に供給され、これによりダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部の設定値が自動制御される。
【0089】
上記の動作はRの場合であるが、G、Bに関しても同様である。
【0090】
上述の一連の動作で、コントラストと、ダイナミックレンジとの自動制御を行なうことができる。なお、電圧電流変換用トランジスタT1の自己バイアス後にゲート電位に残留する電圧が閾値Vthより高い場合は、消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部では画像信号D/A変換部が負電圧を出力できなければ、上記制御を遂行することができない。この場合は、各入力端子VinR、VinG、及びVinBの入力信号が0Vにおいて、図3に示されるLr、Lg、及びLbが発光しない(黒潰れしていてもよい)ように、第1の電位V1、第2の電位V4、及び第3の電位V3を低い電位に設定する。
【0091】
また、上記の実施形態で用いる制御手段は、次のように構成してもよい。
【0092】
1)R、G、Bの発光素子の輝度を検出し、その検出値に応じて、該輝度を調光するようにVinR、VinG、及びVinBの最低電位及び最高電位を制御する。
【0093】
2)R、G、Bの発光素子の輝度を検出し、その検出値に応じて、所定の輝度に調光するようにVinR、VinG、及びVinBの最高電位を制御する。
【0094】
3)R、G、Bの発光素子の輝度を検出し、その検出値に応じて、該輝度を略0cd/mに調光するようにVinR、VinG、及びVinBの最低電位を制御する。
【0095】
4)R、G、Bの発光素子の輝度を検出し、その検出値に応じて、発光素子の発光状態を所定の輝度に調光するようにVinR、VinG、及びVinBの最低電位及び最高電位を制御する。
【0096】
5)R、G、Bの発光素子に対し所定のホワイトバランスに調光するようにVinR、VinG、及びVinBの最高電位を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、複数の電流効率の異なる発光素子より構成された電子写真装置の露光装置や表示装置等の発光装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の効果を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の効果を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2及び第3の実施形態に係る発光装置の効果を説明する図である。
【図7】本発明の第2及び第3の実施形態に係る発光装置の効果を説明する図である。
【図8】従来例の発光装置で用いられる電圧電流変換装置の課題を説明するための図である。
【図9】従来例の発光装置で用いられる電圧電流変換装置の課題を説明するための図である。
【図10】従来例の電圧電流変換部の構成を示す図である。
【図11】従来例の電圧電流変換部のタイミングを示す図である。
【図12】蛍光を発光するEL発光材料Alq3の分子図である。
【図13】燐光を発光するEL発光材料Ir(ppy)の分子図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る発光装置で用いられるR画素用及びB画素用電圧電流変換部の構成を示す回路図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る発光装置で用いられるG画素用電圧電流変換部の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0099】
1 発光装置
2 R画素用電圧電流変換部
3 G画素用電圧電流変換部
4 B画素用電圧電流変換部
5 R画素
6 G画素
7 B画素
8 R画像信号電圧発生部
9 G画像信号電圧発生部
10 B画像信号電圧発生部
11〜14 D/A変換部
14、16、18 ダイナミックレンジ調整用リファレンス電圧制御D/A変換部
15、17、19 消光調整用リファレンス電圧制御D/A変換部
20〜22 光検出用センサ
23〜25 演算処理部
26〜31 ラッチ部
32〜34 画像信号
T1 電圧電流変換用トランジスタ
T4 設定用トランジスタ
V1 第1の電位
V3 第3の電位
V4 第2の電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、
入力された電圧信号を電流信号に変換して前記発光素子に供給する電圧電流変換回路を有し、
前記電圧電流変換回路は、第1及び第2の電圧電流変換回路を有し、
前記第1及び第2の電圧電流変換回路は、
前記電圧信号を受けるゲート、前記電流信号を出力するドレイン、及びソースを有する電圧電流変換用トランジスタと、
前記電圧電流変換用トランジスタのゲートを第1の電位に設定するゲート電位設定回路と、を備え、
前記第1の電圧電流変換回路は、
前記電圧電流変換用トランジスタのソースを第2の電位に設定する設定用トランジスタを有し、かつ、前記第2の電位を調整する調整手段を備え、
前記第2の電位は、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートに保持容量を介して結合している端子の第3の電位とは異なることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の電圧電流変換回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子のうちゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こる電流効率の発光素子に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の電圧電流変換回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子のうちゼロ電流設定時に視認されうる発光が起こらない電流効率の発光素子に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2の電位は、前記電圧電流変換用トランジスタのリセット動作後に与えられるゲートの電位が前記電圧電流変換用トランジスタのドレイン及びソース間電流を遮断するような電位に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第3の電位は、前記入力端子から入力される電圧信号のコモン電位であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
複数の電流効率の異なる発光素子を備えた発光装置において、
電圧信号を電流信号に変換して前記発光素子に供給する電圧電流変換回路と、
前記電圧信号を発生する電圧発生回路と、を有し、
前記電圧電流変換回路は、
前記電圧信号を受けるゲート、前記電流信号を出力するドレイン、及びソースを有する電圧電流変換用トランジスタと、
前記電圧電流変換用トランジスタのゲートを第1の電位に設定するゲート電位設定回路と、
前記電圧電流変換用トランジスタのソースを第2の電位に設定する設定用トランジスタと、を備え、
前記第2の電位は、所定の電源に接続され、かつ、前記電圧電流変換用トランジスタのゲートに保持容量を介して結合している端子の第3の電位とは異なり、
前記電圧発生回路は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の電流効率により、前記電圧信号の最低電位及び最高電位が異なっていることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記電圧発生回路は、入力されたデジタル信号を、変換用リファレンス電位を基準とする最低電位及び最高電位をもつアナログ電圧信号に変換して出力するデジタル・アナログ変換回路で構成され、
前記変換用リファレンス電位を可変して前記最低電位及び前記最高電位を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、該輝度を調光するように前記最低電位及び最高電位を制御する手段と、を有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、所定の輝度に調光するように前記最高電位を制御する手段と、を有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、該輝度を略0cd/mに調光するように前記最低電位を制御する手段と、を有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子の輝度を検出する光検出手段と、その検出値に応じて、前記発光素子の発光状態を所定の輝度に調光するように前記最低電位及び最高電位を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記複数の電流効率の異なる発光素子に対し所定のホワイトバランスに調光するように前記最高電位を制御することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項13】
前記電圧電流変換用トランジスタ、前記設定用トランジスタ、及び前記ゲート電位設定回路を構成するトランジスタは、非晶質シリコン、多晶質シリコン、又は単晶質シリコンから構成された薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記複数の電流効率の異なる発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記複数の電流効率の異なる発光素子は、R、G、Bの各色の発光素子であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−225189(P2008−225189A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65065(P2007−65065)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】