発光装置
【課題】開口率の高い発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、行方向及び列方向に配置された複数の画素30を備える。画素30は発光駆動トランジスタと、画素電極と、前記画素電極上に形成された発光層と、前記発光層上に形成された対向電極とを備える。電流供給ライン(電流供給ライン)Laは、画素30を行方向に接続し、電流供給ラインLaは同一方向に並んで配置される。隣接する電流供給ラインLaは、電流供給ラインLa間に位置する画素30の発光駆動トランジスタのドレイン電極を介して電気的に接続されており、これにより隣接する電流供給ラインLaが同電位とされる。
【解決手段】発光装置10は、行方向及び列方向に配置された複数の画素30を備える。画素30は発光駆動トランジスタと、画素電極と、前記画素電極上に形成された発光層と、前記発光層上に形成された対向電極とを備える。電流供給ライン(電流供給ライン)Laは、画素30を行方向に接続し、電流供給ラインLaは同一方向に並んで配置される。隣接する電流供給ラインLaは、電流供給ラインLa間に位置する画素30の発光駆動トランジスタのドレイン電極を介して電気的に接続されており、これにより隣接する電流供給ラインLaが同電位とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた表示装置の本格的な実用化、普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された例えば電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子では、発光層において正孔注入層から供給された正孔と電子注入層から供給された電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。また、このような有機EL素子は、特許文献1に開示されているように、表示装置として用いられており、例えば各画素に設けられたTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−195012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような表示装置では、有機EL素子を備える複数の画素が、一般に行方向及び列方向に並んでマトリクス状に配置されており、例えば各行毎の画素内のTFTが選択走査線により選択される場合、同一の行に配置されている複数の画素は、1本の電流供給ライン(給電ライン)を介して各有機EL素子に電流を流す電圧源に接続されている。このため、複数の画素が同時に発光する場合、1本の電流供給ラインから同一行の複数の画素に同時に電流を流すことになる。
【0006】
電圧階調指定や電流階調指定駆動のアクティブマトリクスの表示装置では、有機EL素子の発光量を規定する表示信号を、各画素を駆動する素子に書き込む際は、各画素に表示信号に応じた電流を流して書き込むため、同一の行に配置された画素の書き込み電流の総和が多い場合や、十分に電流供給ラインの抵抗が低くない場合は、電流供給ラインの電位が基準値から変位しやすい問題がある。これにより、電圧源と各画素との間の電流供給ラインの長さ、つまり各画素の位置によって電位が変動し、容量に対して書き込まれる電圧が変化し、所望の輝度の表示を得られないという問題がある。この問題は、大面積の表示装置ほど顕著に発生する。特に動画のように変調する画像では、各電流供給ラインの複数の画素への書き込み総量がフレーム毎に大幅に変わるので、不安定な表示になってしまいやすい。
【0007】
また、開口率の高い発光装置が求められている。
【0008】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、開口率の高い発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
画素電極と対向電極との間に発光層を有する発光素子を備える発光装置において、
ゲート電極がゲートラインに接続された第1選択トランジスタと、
ゲート電極が前記ゲートラインに接続され、ソース電極がデータラインに接続された第2選択トランジスタと、
ゲート電極が前記第1選択トランジスタのソース電極に接続され、ドレイン電極が前記第1選択トランジスタのドレイン電極に接続された発光駆動トランジスタと、
を有し、
前記発光駆動トランジスタのソース電極及び前記第2選択トランジスタのドレイン電極は互いに分離され、且つ前記画素電極を介して互いに接続されていることを特徴とする。
【0010】
前記発光駆動トランジスタの前記ソース電極は前記画素電極の第一の辺側に配置され、
前記第2選択トランジスタの前記ドレイン電極は前記画素電極の前記第一の辺に対向する第二の辺側に配置されてもよい。
【0011】
前記第1選択トランジスタは、前記第1の辺側に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開口率の高い発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図3】画素の平面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線断面図である。
【図5】図3に示すV−V線断面図である。
【図6】画素の回路構成及び駆動原理が示された等価回路図であり、(a)図には走査期間TSCの電流の流れが示されており、(b)図にはグループ発光電圧期間の電流の流れが示されている。
【図7】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図8】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図9】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図10】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図11】列方向連結配線を設けた場合と設けなかった場合とで電圧降下の程度を算出した図である。
【図12】実施形態2に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図13】実施形態2に係る画素の平面図である。
【図14】列方向連結配線を省略した画素の平面図である。
【図15】図13に示すXV−XV線断面図である。
【図16】図13に示すXVI−XVI線断面図である。
【図17】実施形態2に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図18】実施形態2に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図19】実施形態3に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図20】実施形態3に係る画素の平面図である。
【図21】(a)は、図20に示すXXIA−XXIA線断面図であり、(b)は、図20に示すXXIB−XXIB線断面図である。
【図22】変形例を示す図である。
【図23】変形例を示す図である。
【図24】実施形態4に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図25】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図26】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図27】実施形態5に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図28】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図29】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図30】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各実施形態に係る発光装置及び発光装置の製造方法について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL素子の光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1に係る発光装置及び発光装置の製造方法について図を用いて説明する。
【0016】
図1は実施形態1に係る発光装置として表示装置の構成例を示す図である。また、図2は発光装置の画素の駆動回路の等価回路である。図3は、画素の平面図であり、図4は図3に示すIV−IV線断面図であり、図5は図3に示すV−V線断面図である。図6は画素の書き込み、発光動作を示す図であり、図7はタイミングチャートを示す。
【0017】
発光装置10では、図1に示すように画素基板31(図4参照)上にそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に発する3つの画素30を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されるとともに、列方向(図1の上下方向)に同一色の画素が複数個、例えばn個配列されている。
【0018】
このようにRGBの各色を発する画素がマトリクス状に、m×n個配列される。また、各画素30はRGBそれぞれの光を発する有機EL素子(発光素子)21と、有機EL素子21をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。なお、赤(R)、緑(G)、青(B)の3画素30はデルタ配列であってもよい。
【0019】
画素回路DSは、図2に示すように、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13は、それぞれアモルファスシリコンを有する半導体層を備える逆スタガ型のnチャネル型TFT(Thin Film Transistor)である。
【0020】
発光装置10では、図1及び図2に示すように、所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数の電流供給ライン(アノードライン)Laと、例えば接地電位等の電圧Vssが印加され、全ての画素に対して単一の電極層により形成されたカソードである対向電極(第2電極)40と、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路DSに接続されたデータラインLdと、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSの第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12を選択する複数のゲートラインLgと、複数本の電流供給ラインLaを各画素間において互いに電気的に接続する列方向連結配線Lcと、が形成されている。
【0021】
電流供給ラインLaは、図示しない電源または電流供給ドライバに接続され、当該電源または電流供給ドライバは、図7で詳述するように、各単位ごとの複数の電流供給ラインLa群に対して一走査期間TSC中と発光期間TEM中とで印加電圧を、それぞれローレベルLとハイレベルHに変調させている。また、詳細に後述するように電流供給ラインLaと、列方向連結配線Lcとは、トランジスタTr11〜Tr13のソース電極、ドレイン電極となるソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極ともに形成される。
【0022】
データラインLdは、各トランジスタTr11〜Tr13のゲート電極となるゲート導電層によってこれらゲート電極とともに形成され、ゲートラインLgはソース−ドレイン導電層より上層に設けられた第3のメタル層を用いて形成される。これらの異なる層に設けられた配線と、トランジスタの各電極とは、絶縁膜32に設けられたコンタクト部41〜44を介して接続されている。
【0023】
図1〜図5に示すように、第1選択トランジスタTr11のゲート電極11gは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部42と第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gとを介してゲートラインLgに接続されており、電流供給ラインLaは、第1選択トランジスタTr11のドレイン電極11d上に積層されることによってドレイン電極11dに接続されている。また、第1選択トランジスタTr11のソース電極11sは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部43を介してキャパシタ電極Cs1に接続されている。
【0024】
また、第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dは、画素電極(第1電極)34を介して発光駆動トランジスタTr13のソース電極13sに接続されており、ソース電極12sは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部41を介してデータラインLdに接続される。また、第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gは、コンタクト部42を介してゲートラインLgと接続される。
【0025】
発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dは電流供給ラインLaに接続されており、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gは、コンタクト部44を介してキャパシタ電極Cs1と接続されており、更にキャパシタ電極Cs1を介して第1選択トランジスタTr11のソース電極11sに接続されている。また、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13sは、コンタクト部45において画素電極34と一部重なることによって接続されている。
【0026】
キャパシタCsは、キャパシタ電極Cs1と、他方のキャパシタ電極として機能する画素電極34と、キャパシタ電極Cs1と画素電極34との間に介在する誘導体となる窒化シリコン等の絶縁膜32によって構成される。
【0027】
本実施形態では、図1及び図2に示すように複数本の電流供給ラインLaを相互に電気的に結ぶ列方向連結配線Lcが、電流供給ラインLaの配列方向と直交する、各画素の列方向に形成される。本実施形態では、例えば図1に示すように、合計4行の電流供給ラインLa単位ごとに、各列に1本の列方向連結配線Lcが形成される。例えば、m×n個の画素が配列されている発光装置10の場合、4本の電流供給ラインLaに対して列方向連結配線Lcはm本形成され、発光装置10内に設けられる列方向連結配線Lcの総数はm×n/4本(nは4の整数倍)である。このように互いに隣接する電流供給ラインLaを、電流供給ラインLaの所定の本数単位毎に列方向連結配線Lcが電気的に連結することにより、全体として配線抵抗が低くなるので、電流供給ラインLa単体の抵抗に起因する電圧降下を抑制する。このため、各画素30は、電源または電流供給ドライバ(図示せず)との間の電流供給ラインLaの抵抗、つまり、発光装置10における位置に大きく依存することなく、電流供給ラインLaから各単位毎に均等な電圧が印加され、表示信号に応じた電流を有機EL素子21に流すことができる。なお、所望の程度、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができれば、相互に接続される複数の電流供給ラインLaの本数は2本以上の整数であれば4本に限らない。また相互に接続される複数の電流供給ラインLaに対して設けられている列方向連結配線Lcの数は任意であり、1本以上であればよく、例えば2本毎や6本毎に列方向連結配線Lcを設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、図3に示すように、各行の電流供給ラインLa上面並びに当該行の複数の画素30の各発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとの上面に、導電層48が設けられている。導電層48は、電流供給ラインLa上面において、電流供給ラインLaより幅広に形成されている。導電層48は、導電性材料から形成されている。この導電層48を設けることにより、更に電流供給ラインLaの低抵抗化を図ることができ、電圧降下を抑制することができる。特に、本実施形態では、詳細に後述するように、第3のメタル層を用いてゲートラインLgを形成する際に同時に導電層48を形成することにより、特に製造工程を増加させることなく、電流供給ラインLaの低抵抗化が可能となる。
【0029】
次に、有機EL素子21は、画素電極34と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、対向電極40と、を備える。正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38とが、それぞれ、電子や正孔がキャリアとなって輸送されるキャリア輸送層となる。キャリア輸送層は、列方向に配列された層間絶縁膜33、絶縁層35及び隔壁39の間に配置されている。
【0030】
各画素の画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極11g,12g,13gが形成されている。更に、各画素の画素基板31上には、キャパシタCsの一方の電極Cs1が形成され、各画素に隣接した画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されており、更にこれらを覆うように、ゲート絶縁膜やキャパシタCsの誘電体として機能する絶縁膜32が形成される。
【0031】
有機EL素子21が画素基板31側から表示光を出射するボトムエミッション型である場合、キャパシタ電極Cs1及び画素電極34は酸化錫が添加された酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や酸化亜鉛ドープされた酸化インジウム(Indium Zinc Oxide)等の透明電極となり、コンタクト部44において発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gがキャパシタ電極Cs1と重なるように形成されている。ゲート導電層がアルミを含み、キャパシタ電極Cs1がITOでできていれば、先にキャパシタ電極Cs1をパターニング形成後、ゲート導電層をパターニングすることによって電池反応の誘発を防止できる。また有機EL素子21が対向電極40側から表示光を出射するトップエミッション型である場合、対向電極40はITO等の透明電極となるが、キャパシタ電極Cs1は透明である必要がないので、キャパシタ電極Cs1はゲート導電層をパターニングすることによって発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gと一括して且つ一体的に形成することができる。ゲート導電層は、フォトリソグラフィによって一括してパターニングすることができるので、トップエミッション型であれば、これらの部材の製造工程を簡略化することができる。
【0032】
絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLdと、ゲート電極12g,13gと、キャパシタ電極Cs1と、を覆うように画素基板31上に形成される。絶縁膜32にはコンタクトホールとしてのコンタクト部が形成され、ゲート導電層とソースドレイン層とのコンタクトを図る。
【0033】
第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)である。それぞれのトランジスタは図4に示すように画素基板31上に形成される。図4に示すように、第2選択トランジスタTr12は、a−Siまたは微結晶シリコンを有する半導体層121と、保護絶縁膜122と、ドレイン電極12dと、ソース電極12sと、n型不純物を含むa−Siまたはn型不純物を含む微結晶シリコンを有するオーミックコンタクト層124,125と、ゲート電極12gと、を備える。また、発光駆動トランジスタTr13は、a−Siまたは微結晶シリコンを有する半導体層131と、保護絶縁膜132と、ドレイン電極13dと、ソース電極13sと、n型不純物を含むa−Siまたはn型不純物を含む微結晶シリコンを有するオーミックコンタクト層134,135と、ゲート電極13gと、を備える。なお、図示は省略しているが、第1選択トランジスタTr11も第2選択トランジスタTr12と同様の構成となっている。発光駆動トランジスタTr13は、有機EL素子21に電流を供給して発光させるために、第1選択トランジスタTr11よりもサイズが大きく、第2選択トランジスタTr12よりもサイズが大きい。つまり、発光駆動トランジスタTr13は、半導体層131のチャネル幅が第1選択トランジスタTr11の半導体層のチャネル幅よりも長く、第2選択トランジスタTr12の半導体層121のチャネル幅よりも長い。このため、発光駆動トランジスタTr13のソース、ドレイン電極13s、13dは、第1選択トランジスタTr11のソース、ドレイン電極11s、11dよりも長く、第2選択トランジスタTr12のソース、ドレイン電極12s、12dよりも長い。発光駆動トランジスタTr13のソース、ドレイン電極13s、13d及び半導体層131のチャネル幅は列方向に沿って延びている。
【0034】
各トランジスタTr11,Tr12,Tr13において、ゲート電極は、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択された不透明なゲート導電層から形成される。ゲート導電層によって形成された第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極11g,12g,13gは、有機EL素子21の発する光に対して不透明であるので、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13の下側から各半導体層に向かって進入してくる光を遮光することができる。また、ドレイン電極、ソース電極はそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCr等のソース−ドレイン導電層から形成されている。また、ドレイン電極及びソース電極と半導体層との間にはそれぞれ低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層が形成される。
【0035】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、発光駆動トランジスタTr13は、各列ごとにドレイン電極13dが接続され、ドレイン電極13dは列方向連結配線Lcの一部としても機能している。これにより、行方向に並ぶ4行の電流供給ラインLa及び列方向連結配線Lcは、行方向及び列方向に網目状に接続されることによって全体的に低抵抗化し、電圧降下を抑制することができる。このようにドレイン電極13dが電流供給ラインLaを接続する配線を兼ねていることにより、電流供給ラインLaを結ぶための配線を形成する領域を画素基板上に別途設ける必要がないため、有機EL素子の開口率(画素電極34と対向電極40との間に介在する発光層38の面積の割合)を低下させずに、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができる。なお、電流供給ラインLaと同一の方向に走るゲートラインLgは、トランジスタのソース電極、ドレイン電極を形成するソース−ドレイン導電層とは別の第3のメタル層を用いて形成している。行方向に沿って延びたゲートラインLgは、ゲートラインLgの下方に位置する層間絶縁膜33を介して列方向連結配線Lc(ドレイン電極13d)と交差するため、ゲートラインLgは、電流供給ラインLa及び列方向連結配線Lcと電気的に絶縁されている。更に、ドレイン電極13d上と電流供給ラインLa上の層間絶縁膜33にコンタクトホールであるコンタクト部49を設け、このコンタクト部49を介して導電層48をドレイン電極13d上及び電流供給ラインLa上に堆積させることによって相互に接続しているので、電流供給ラインLa、列方向連結配線Lc及び導電層48が相互に接続され、配線全体の抵抗をより低くさせることができ、電圧降下を抑制することができる。なお、導電層48は、ゲートラインLgと同層である第3のメタル層を用いて形成されるため、導電層48を形成するための工程を増やすことなく形成することができる。
【0036】
画素電極(アノード電極)34は、透光性を備える導電材料、例えば酸化錫が添加された酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や酸化亜鉛ドープされた酸化インジウム(Indium Zinc Oxide)等から構成される。各画素電極34は隣接する他の画素30の画素電極34と離間されている。
【0037】
層間絶縁膜33は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、各画素電極34の中央を開口する略方形の開口部33aを有し、画素電極34の周囲を囲むように隣接する画素電極34間に配置されている。また、層間絶縁膜33はトランジスタTr11,Tr12,Tr13、電流供給ラインLa等を覆うように形成される。層間絶縁膜33上には図5に示すようにゲートラインLg、導電層48が形成されており、更にゲートラインLg及び導電層48を覆うように、絶縁材料、例えばシリコン窒化膜を有する絶縁層35が形成される。絶縁層35には開口部33aと形状が略一致した開口部35aが形成されており、これら開口部33a、開口部35aによって画素電極34及び対向電極40との間に介在する発光層38、つまり画素30の発光領域が画される。更に隔壁39には列方向(図3の上下方向)に延びる溝状の開口部39bが複数の画素30にわたって形成されている。
【0038】
隔壁39は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜33及び絶縁層35上に形成される。隔壁39は、図3に示すようにストライプ状に形成されており、開口部39bを備える。隔壁39は、製造工程中、画素電極34上に形成されるR(赤)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液、G(緑)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液、B(青)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液を画素電極34上に塗布する際に、行方向に隣接する互いに異なる色を発する画素30に流出しないように仕切っており、発光層38の混色を防止する。なお、隔壁39の平面形状は、これに限られず格子状であってもよい。
【0039】
正孔注入層36は、画素電極34上に形成され、発光層38に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層36は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料や低分子系の材料、或いは無機化合物を有している。また、有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液としては、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布、乾燥して正孔注入層36を形成する。無機化合物としては、高抵抗の酸化モリブデンを画素電極34上及び隔壁39の表面に連続して成膜することによって正孔注入層36を形成する。
【0040】
インターレイヤ37は正孔注入層36上に形成される。インターレイヤ37は、正孔注入層36の正孔注入性を抑制して発光層38内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層38の発光効率を高めるために設けられている有機化合物層である。
【0041】
発光層38は、インターレイヤ37上に形成されている。発光層38は、アノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層38は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)を、連続した液流として吐出するノズルコート法や分離した複数の液滴として吐出するインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0042】
また、対向電極(カソード電極)40は、ボトムエミッション型の場合、発光層38側に設けられ、導電材料、例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、この層上に積層されたAl等の光反射性導電層を有する積層構造であり、トップエミッション型の場合、発光層38側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光透過性導電層を有する透明積層構造である。本実施形態では、対向電極40は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である共通電圧Vssが印加されている。
【0043】
次に、本実施形態の発光装置10の動作及び画素30の動作について、図6及び図7を用いて説明する。電流供給ラインLaがd行(dは2以上の整数)単位で相互に接続されているとき、1行目のゲートラインLgからn行目(n=c×dを満たす;ただしcは2以上の整数)の各ゲートラインLgの一走査期間TSCのうちの相互に接続されたd行分の走査期間、つまりi行目〜(i+d−1)行目のグループ(ここでi=d×k−(d−1)=d(k−1)+1;ただしkは自然数であって且つn/d以下)のゲートラインLgを各々選択する期間の合計を、図7において、d行分の各グループのグループ書込み電圧期間TWR(=d×TSC)とする。d行分の各グループでは、グループ書込み電圧期間TWR後に発光期間となるグループ発光電圧期間TEMが続き、その後、再びグループ書込み電圧期間TWR、グループグループ発光電圧期間TEMが繰り返される。
【0044】
制御回路から出力される制御信号群に従ってゲートドライバは、1行目のゲートラインLgからn行目のゲートラインLgへと順次ハイレベル(オンレベルON)のパルスを出力する。また、本実施形態では電流供給ラインLaは4本単位で列方向連結配線Lcによって相互に接続されているため、制御回路から出力される制御信号群に従って電源または電流供給ドライバは、”d=4”として1行目の電流供給ラインLaから4行ずつ、順次ローレベルLのパルスを出力する。
【0045】
ここで、図7に示すように、i〜(i+d−1)行のグループの各ゲートラインLgでは、ゲートラインLgのオンレベルONのパルスが出力される一走査期間TSCは相互にずれているが、各一走査期間TSCは、i〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaにローレベルLのパルスが出力されているグループ書込み電圧期間TWR内に設定されている。本実施形態ではi〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaは、列方向連結配線Lcによって相互に接続されているため、i〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaへのローレベルLのパルスの時間的長さは、i行から(i+d−1)行のゲートラインLgを順次オンレベルONのパルスを出力する各一走査期間TSCの和、つまりグループ書込み電圧期間TWRとなる。つまり、i〜(i+d−1)行のグループの電流供給ラインLaには、i行のゲートラインLgにオフレベルOFFからオンレベルONに切り替わるパルスが出力されてから、(i+d−1)行目のゲートラインLgにオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わるパルスが出力されるまでの間、ローレベルLのパルスが出力される。また、各行のゲートラインLgにオンレベルONのパルスが出力されている期間に、データドライバが、制御回路から出力される制御信号群に従って全列のデータラインLdに発光輝度階調に従ったシンク電流(つまり、データドライバに向かった電流)である表示信号を発生する。ここで、データドライバは、制御回路が受けた画像データに従った電流値となるような階調電流を流す電流ドライバ、或いは画像データに従った電流値の電流を流すための階調電圧を印加する電圧ドライバのいずれかであり、各列のデータラインLdに表示信号を出力してシンク電流を流す。
【0046】
各画素30の電流の流れ及び電圧の印加について詳細に説明する。
i行目の走査期間TSCの開始時刻tiでは、走査ドライバからi行目のゲートラインLgにハイレベル(オンレベルON)のパルスが出力されだして、時刻tiから時刻t(i+1)直前までの走査期間TSCの間、i行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧がi行目のゲートラインLgに印加される。続いて、(i+1)行目の走査期間TSCの開始時刻t(i+1)では、走査ドライバから(i+1)行目のゲートラインLgにハイレベル(オンレベルON)のパルスが出力されて、時刻t(i+1)から時刻t(i+2)直前までの間(i+1)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+1)行目のゲートラインLgに印加される。同様に、(i+2)行目の走査期間TSCである時刻t(i+2)から時刻t(i+3)直前までの間、(i+2)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+2)行目のゲートラインLgに印加され、(i+3)行目の走査期間TSCである時刻t(i+3)から時刻t(i+4)直前までの間、(i+3)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+3)行目のゲートラインLgに印加される。
【0047】
更に、i〜(i+d−1)行目のd行分のグループのグループ書込み電圧期間TWRの開始時刻tiでは、電源または電流供給ドライバからi〜(i+d−1)行目のグループの電流供給ラインLaにローレベルLのパルス信号が出力される。ローレベルLは、基準電位Vssと等電位或いはそれより低い。更に、各行の走査期間TSCに、データドライバは、制御回路が受けた画像データに従って、所定電流値のシンク電流を流す。
【0048】
まずi行目のゲートラインLgの走査期間TSCでは、第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12はオンするとともに、データドライバが、電圧値が基準電圧Vss以下の電流制御のためのシンク電流を各列のデータラインLdに流そうとする。このため、発光駆動トランジスタTr13のゲート及びソースの一端にシンク電流の電流値に応じた電圧が印加されて、図6(a)に示すように、データラインLd及び第2選択トランジスタTr12を介して発光駆動トランジスタTr13にシンク電流が流れる。
【0049】
発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gの電位はドレイン電極13dの電位と等しいので、発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間に電位差が生じ、データラインLdには、それぞれデータドライバで指定された電圧に従った電流値(つまり、画像データに従った電流値)のシンク電流Iが図6(a)に示す矢印Kに示す方向に流れる。なお、走査期間TSCでは、電流供給ラインLaの電源信号電圧が基準電圧H以下であるため、有機EL素子21のアノードの電位はカソードの電位より低くなり、有機EL素子21には逆バイアス電圧が印加されていることになる。そのため、有機EL素子21には電流供給ラインLaからの電流が流れない。
【0050】
このとき各画素30のコンデンサ13の両端は、データドライバにより制御された表示信号に基づいて発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13d−ソース電極13sを流れる電流の電流値に従った電圧になる。すなわち、各画素30のコンデンサ13には、各画素30の発光駆動トランジスタTr13にそれぞれ表示信号にしたがった電流Iを流れさせるような各発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間の電位差を生じさせる電荷がチャージされる。
【0051】
このような動作がi〜(i+d−1)行について各走査期間TSCごとに行われる。グループ書込み電圧期間TWRの終了時刻t(i+d)には、走査ドライバから(i+d−1)行目のゲートラインLgに出力されるパルスがオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わり、そして電源または電流供給ドライバからi〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaに出力される信号がローレベルLからハイレベルHに切り替わる。従って、i〜(i+d−1)行のグループでは、この終了時刻t(i+d)から次のグループ書込み電圧期間TWRの開始時刻tiまでのグループ発光電圧期間TEM中では、i〜(i+d−1)行目のゲートラインLgに第1選択トランジスタTr11のゲート及び第2選択トランジスタTr12のゲートにオフレベルOFF(ローレベル)の走査信号電圧が印加されるとともに、電流供給ラインLaに印加される電源信号電圧は基準電位Vss及びグループ書込み電圧期間TWRに出力された電位ローレベルLより十分高いハイレベルの電源電圧Hである。
【0052】
このため、図6(b)に示すように、グループ発光電圧期間TEMでは、非選択状態の行の第2選択トランジスタTr12がオフ状態になり、第2選択トランジスタTr12に電流が流れない。更に、グループ発光電圧期間TEMでは、第1選択トランジスタTr11がオフ状態になり、コンデンサ13は、その一端及び他端によりチャージされた電荷を保持し続けて、発光駆動トランジスタTr13はオン状態を維持し続ける。つまり、グループ発光電圧期間TEMとこのグループ発光電圧期間TEMの直前のグループ書込み電圧期間TWRとでは、発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧値VGSが等しい。そのため、グループ発光電圧期間TEMでも、発光駆動トランジスタTr13は画像データに従った電流値の電流を流し続けるので、グループ発光電圧期間TEMの電流Iの電流値はこのグループ発光電圧期間TEMの前のグループ書込み電圧期間TWRの電流Kの電流値に等しい。グループ発光電圧期間TEMの間、発光駆動トランジスタTr13を流れる電流Kは有機EL素子21に流れて、有機EL素子21が流れる電流Iの電流値に従った輝度で発光する。このように表示信号に従った輝度階調で有機EL素子21は発光する。
【0053】
また、i〜(i+d−1)行目のゲートラインLgのグループ書込み電圧期間TWRが終了すると、引き続き(i+d)行目〜(i+2d−1)行目のグループのゲートラインLgが順次選択されるグループ書込み電圧期間TWRになり、この間、電源または電流供給ドライバから(i+d)〜(i+2d−1)行の電流供給ラインLaに出力される信号がローレベルLからハイレベルHに切り替わる。このように、電流供給ラインLaが相互に接続されたd行単位のグループで書込みを行うように、電流供給ラインLaの電圧を切り替えて全行の書込みを終了すると、再び1行目のゲートラインLgから一走査期間TSCが開始し、書込みを繰り返す。
【0054】
次に、本実施形態にかかるボトムエミッション型発光装置の製造方法について図8〜図10を用いて説明する。なお、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12及び発光駆動トランジスタTr13は、チャネル幅の長さを除いて基本的な構造が同等であり、第1選択トランジスタTr11は、第2選択トランジスタTr12と同一工程により形成されるので以下においてその説明を省略する。
【0055】
まず、ガラス基板等を有する画素基板31を用意する。画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等によりITO等の透明導電膜を堆積後、フォトリソグラフィによってキャパシタ電極Cs1をパターン形成する。
【0056】
次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜の少なくとも何れかを含むゲート導電膜を形成し、これを図8(a)に示すようにトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、及びデータラインLdの形状にパターニングする。このとき、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gはコンタクト部44において、キャパシタ電極Cs1の一部と重なるように形成されるが、キャパシタ電極Cs1となるITO等の透明金属酸化物はAlとの接触抵抗が高いので、ゲート導電膜は、ITO等の透明金属酸化物との接触抵抗の比較的低いMo膜やMoNb合金膜が好ましい。なお、トップエミッション型の場合、キャパシタ電極Cs1は、透明である必要がないのでゲート導電膜をパターニングすることによって発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13g及び第1選択トランジスタTr11のソース電極11sと一体的に形成されるので、上述した透明導電膜の材料の制約がない。
【0057】
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、及びデータラインLd上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0058】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングして図8(b)に示すようにオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。
【0059】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0060】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクト部41、43を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくとも何れかを含むソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図3、図8(b)に示すようにドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLa、列方向連結配線Lcを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。このように発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dは、画素電極34を介して接続されるので、第2選択トランジスタTr12と発光駆動トランジスタTr13との間で相互に接続する引き回し配線が不要となり、画素の開口率を高くすることができる。なお、コンタクト部41,43とともに、ゲートドライバと接続するための各ゲートラインLgの接続端子部及びデータドライバと接続するための各データラインLdの接続端子部をそれぞれ露出するコンタクトホールを絶縁膜32に形成してもよい。また、画素電極34となる導電膜を、これらコンタクトホール及びコンタクト部41、43を形成後に堆積してから、フォトリソグラフィによってパターニングすれば、画素電極34が形成されるとともに、コンタクト部41、43において、ゲート導電膜とソース−ドレイン導電膜との間に画素電極34となる導電膜を介在する三層構造の接続部を形成することができる。
【0061】
続いて、図8(c)に示すようにトランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。
【0062】
層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等によりコンタクト部49とコンタクト部42となる開口を形成する。続いて、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有する金属膜を、真空蒸着法、スパッタ法によって形成する。次に、フォトリソグラフィによってパターニングして図3、図9(a)に示すようにコンタクト部49を介して列方向連結配線Lc及び電流供給ラインLaに接続された導電層48と、コンタクト部42を介して第2選択トランジスタTr12のゲート電極12g及び第1選択トランジスタTr11のゲート電極11gに接続されたゲートラインLgとを形成する。続いて、導電層48とゲートラインLgとを覆うように、シリコン窒化膜等を有する絶縁層35を形成する。次に、絶縁層35と層間絶縁膜33とに、図9(b)に示すように、画素電極34を露出する開口35aを形成する。
【0063】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33と絶縁層35とを覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、図10(a)に示すように隔壁39を形成する。
【0064】
続いて、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を、連続して流すノズルプリンティング装置や個々に独立した複数の液滴として吐出するインクジェット装置、或いはロール式印刷装置によって開口部35aで囲まれた画素電極34上に選択的に塗布する。続いて、画素基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層36を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。なお上記湿式成膜以外でも蒸着によって正孔注入層36を形成してもよい。
【0065】
続いて、ノズルプリンティング装置、インクジェット装置、或いはロール式印刷装置を用いてインターレイヤ37となる材料を含有する有機化合物含有液を正孔注入層36上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ37を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0066】
次に、発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、同様にノズルプリンティング装置、インクジェット装置、或いはロール式印刷装置により塗布して窒素雰囲気中で加熱して残留溶媒の除去を行い、発光層38を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0067】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0068】
次に、複数の画素30が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、図10(b)に示すように発光装置10が製造される。
【0069】
本実施形態では、複数の行の単位で発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dが相互に接続するように列方向連結配線Lcを形成することで、行方向に形成された複数本の電流供給ラインLaを網目状に結ぶ。これにより、電流供給ラインLaに印加された電圧の配線抵抗による降下を抑制することが可能となり、良好に複数の有機EL素子を発光させることができる。特に本実施形態では、ドレイン電極13dを画素の列方向に延伸させることによって列方向連結配線Lcを形成しているので、ドレイン電極13dとは別途に電流供給ラインLaを接続するための配線を形成する領域を画素基板31上に設ける必要がない。これにより、画素30の開口率を低下させることなく、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、ドレイン電極13dを延伸させる構成であるため、ドレイン電極13dと交差するゲートラインLgを、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層とは、別の第3のメタル層によって形成している。このゲートラインLgを形成する際に、電流供給ラインLa及びドレイン電極13d上に、第3のメタル層を形成することにより、特に工程を増加させることなく、電流供給ラインLaの厚みを増やすことができ、電流供給ラインLaの低抵抗化を実現することができる。
【0071】
図11にシミュレーション結果を示す。図11では、図1に示すように、データライン、電流供給ライン、画素が配置されている例で、各行の電流供給ラインを電気的に独立している場合と、2つの行の電流供給ラインを相互に接続する場合と、4つの行の電流供給ラインを相互に接続する場合と、で電圧降下の程度を算出した。また、1画素に対応する長さ(隣接するデータライン間の長さに相当)の電流供給ラインの配線抵抗をR1と設定し、1画素の対応する長さ(隣接する電流供給ライン間の長さの相当)の列方向連結配線の抵抗をR2とする。なお、図11に示す例では、R1を5Ω、R2を100Ωとし、各データラインから1μAの電流を引き込んだときの各画素における電位を示す。なお、画素は横方向(行方向)に320個あると設定し、電源または電流供給ドライバにより近い方(より配線抵抗の低い方)の画素が段数がより小さいように設定されている。1個目の画素が設置されている方向からのみ電源または電流供給ドライバを供給するものとしてシミュレーションを行った。
【0072】
図11から明らかなように、電流供給ラインを接続しない場合は、1段目の画素と比べて320段目の画素では約0.25Vの電圧降下となった。これに対して電流供給ラインを列方向に相互に接続した例では、いずれも電圧降下を抑制することができており、2本ずつ接続した場合は、約半分の0.12V程度、4本ずつ接続した場合は、0.06V程度の低下であった。このように図11からも電流供給ラインを列方向連結配線で接続することで、電圧降下の抑制することができると言える。特にデータドライバが、画像データに従った電流値の電流を流すための階調電圧をデータラインLdに印加する電圧ドライバの場合、発光駆動トランジスタTr13のドレイン−ソース間を流れる電流の電流値は、各画素30における電流供給ラインLaでの電圧のばらつきが大きいほど、ばらつきが大きくなるので本実施形態のような構造にすることによって顕著な効果を奏する。
【0073】
(実施形態2)
実施形態2に係る発光装置及び発光装置の製造方法を図を用いて説明する。本実施形態の発光装置が上述した実施形態1と異なるのは、実施形態1では、ゲートラインLgをソース−ドレイン導電層上の第3のメタル層から形成する構成であったが、本実施形態では列方向連結配線が第3のメタル層から形成されている点にある。実施形態1と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0074】
図12は実施形態2に係る発光装置50の構成例を示す図である。図13は、実施形態2に係る発光装置の画素51を示す平面図であり、図14は、画素51の列方向連結配線Lcを省略して示す平面図である。また、図15は図13に示すXV−XV線断面図であり、図16は、図13に示すXVI−XVI線断面図である。
【0075】
本実施形態の発光装置50は、図12に示すように実施形態1と同様に画素基板31上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素51を一組として、この組が行方向(図12の左右方向)に繰り返し複数配列されるとともに、列方向(図12の上下方向)に同一色の画素が複数配列されている。各画素51は、実施形態1と同様にRGBそれぞれの光を発する有機EL素子21と、有機EL素子21をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。画素回路DSは、実施形態1と同様に第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。有機EL素子21は、実施形態1と同様に画素電極34と、隔壁39と、層間絶縁膜33と、絶縁層35と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、対向電極40と、を備える。
【0076】
本実施形態の画素51では、図12及び図13に示すように、列方向連結配線Lcは、列方向に隣接する画素51の電流供給ラインLaを接続する。また、列方向連結配線Lcは、図15及び図16に示すように、ソース−ドレイン導電層上に形成された第3のメタル層から形成される。ゲートラインLg、電流供給ラインLa及び発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとは、同一のソース−ドレイン導電層を用いて形成されている。このため、列方向連結配線Lcは、図13に示すように発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dに沿うように形成され、図15に示すようにドレイン電極13d上と電流供給ラインLa上では、層間絶縁膜33に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部47を介してドレイン電極13dと電流供給ラインLaに接触するように形成される。また、列方向連結配線LcとゲートラインLgとが交差する領域では層間絶縁膜33によって絶縁されている。なお、本実施形態では、列方向連結配線Lcを、ドレイン電極13dに沿うように直線状に形成する構成を例に挙げているが、電流供給ラインLaとドレイン電極13dは同電位であるため、実施形態1のように、電流供給ラインLaにも沿うように行方向にも形成し、電流供給ラインLaの低抵抗化を図ることも可能である。
【0077】
また、本実施形態では、ゲートラインLgと第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gとは、図16に示すように、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部55を介して接続される。
【0078】
次に、本実施形態の発光装置50の製造方法を図17及び図18を用いて説明する。キャパシタ電極Cs1をパターン形成する。次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択されたゲート導電膜を形成し、これを図17(a)に示すようにトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、及びデータラインLdの形状にパターニングする。CVD法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、及びデータラインLd上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0079】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングしてオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0080】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクト部41、43を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有するソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングしてドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLa、ゲートラインLgを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。
【0081】
続いて、図17(a)に示すようにトランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。
【0082】
層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等によりゲートラインLg上を除いた列方向連結配線Lcに対応する開口を形成する。続いて、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択された第3メタル層を、真空蒸着法、スパッタ法によって形成する。次に、フォトリソグラフィによってパターニングして図17(b)に示すように列方向連結配線Lcを形成する。なお、列方向連結配線Lcは、ドレイン電極13dと電流供給ラインLaとは接触するが、ゲートラインLgとは層間絶縁膜33によって絶縁するように形成される。
【0083】
続いて、列方向連結配線Lcを覆うように、シリコン窒化膜等を有する絶縁層35を形成する。次に、絶縁層35と層間絶縁膜33とに画素電極34を露出する開口35aを形成する。
【0084】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33と絶縁層35とを覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、図18(a)に示すように隔壁39を形成する。
【0085】
続いて、実施形態1と同様に、ノズルプリンティング装置、インクジェット装置或いはロール式印刷装置によって開口部35aで囲まれた画素電極34上に正孔注入層36を形成する。なお上記湿式成膜以外でも蒸着によって正孔注入層36を形成してもよい。次に、正孔注入層36上にインターレイヤ37を形成し、インターレイヤ37上に発光層38を形成する。
【0086】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0087】
次に、複数の画素51が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、図18(b)に示すように発光装置50が製造される。
【0088】
上述したように、本実施形態では、画素51の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと、列方向に隣接する画素51の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとを接続するように列方向連結配線Lcを形成する。これにより、複数本の電流供給ラインLaを接続することができ、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。
【0089】
(実施形態3)
実施形態3にかかる発光装置60を図を用いて説明する。上述した実施形態1及び実施形態2では、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層、第3のメタル層によって、電流供給ラインLa、データラインLd、ゲートラインLgの各配線を形成していたが、実施形態3では、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層の2層のみでこれらの配線を形成する点が異なる。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0090】
図19は実施形態3に係る発光装置60の構成例を示す図である。図20は、実施形態3に係る発光装置の画素61を示す平面図であり、図21(a)は、図20に示すXXIA−XXIA線断面図であり、(b)は、図20に示すXXIB−XXIB線断面図である。
【0091】
本実施形態の発光装置60は、実施形態1と同様に画素基板31上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素61を一組として、この組が行方向(図20の左右方向)に繰り返し複数配列されるとともに、列方向(図20の上下方向)に同一色の画素が複数配列されている。各画素61はRGBそれぞれの光を発する有機EL素子21と、有機EL素子をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。画素回路DSは、実施形態1と同様に第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。有機EL素子21は、実施形態1と同様に画素電極34と、層間絶縁膜33と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、隔壁39と、対向電極40と、を備える。
【0092】
本実施形態では、図20に示すように、発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dを列方向に延伸させ、隣接する画素61のドレイン電極13dと接続させ、ドレイン電極13dを列方向連結配線Lcとして機能させる。このようにドレイン電極13dが複数の画素にわたって延びるように形成されるため、本実施形態では列方向連結配線Lc(ドレイン電極13d)とゲートラインLgとが交わることがないよう、ゲートラインLgをデータラインLdと同層であり、絶縁膜32下に形成されたゲート導電層を用いて形成する。なお、ゲートラインLgをゲート導電層を用いて形成すると、図20の左下に示すようにゲートラインLgとデータラインLdとが交差する領域が生ずる。このため、図21(b)に示すように、絶縁膜32に設けられたコンタクト部66,67と、ソース−ドレイン導電層から形成する迂回配線65と、を用いることでゲートラインLgを絶縁膜32上に迂回させ、ゲートラインLgとデータラインLdとの絶縁を図っている。
【0093】
次に、本実施形態の発光装置60の製造方法を説明する。
まず、キャパシタ電極Cs1をパターン形成する。次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくとも何れかを含むゲート導電膜を形成し、これをトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、データラインLd、及びゲートラインLgの形状にパターニングする。次に、CVD法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、データラインLd、及びゲートラインLg上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0094】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングしてオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0095】
続いて、絶縁膜32の所定の領域に、コンタクト部66,67に対応する貫通孔を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有するソース−ドレイン導電層をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングする。これにより、コンタクト部66,67、迂回配線65、ドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLaを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。
【0096】
続いて、トランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。次に、層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等により、開口35aを形成し、画素電極34を露出させる。
【0097】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33を覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、隔壁39を形成する。続いて、実施形態1と同様に、開口部35aで囲まれた画素電極34上に正孔注入層36を形成する。次に、正孔注入層36上にインターレイヤ37を形成し、インターレイヤ37上に発光層38を形成する。
【0098】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0099】
次に、複数の画素61が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、発光装置60が製造される。
【0100】
上述したように、本実施形態では、画素61の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dを延伸するように形成し、列方向に隣接する画素61の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと接続させ、列方向連結配線Lcとして機能させる。これにより、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。更に、本実施形態では、ゲートラインLgを、データラインLdを形成するゲート導電層を用いて形成し、ゲートラインLgとデータラインLdとが交差する領域では、ソース−ドレイン導電層を用いて形成された迂回配線65によってゲートラインLgを迂回させる。このように、ゲートラインLgを迂回させることにより、ゲート導電層とソース−ドレイン導電層との2つの金属層のみで、電流供給ラインLaを列方向連結配線Lcによって接続することができ、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。
【0101】
なお、上述した実施形態3では、ゲートラインLgをゲート導電層を用いて形成する場合を例に挙げたが、これに限られず、例えば図22に示すように、ゲートラインLgを上述した実施形態2と同様に、ソース−ドレイン導電層を用いて形成し、列方向連結配線Lc及び電流供給ラインLaをソース−ドレイン導電層を用いて形成してもよい。この場合は、図20の右下に相当する領域で、列方向連結配線LcとゲートラインLgとが交差することとなるため、ゲートラインLgを列方向連結配線Lc付近で断線させ、列方向連結配線Lcの左右にそれぞれ位置するゲートラインLgの各端同士を、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部を介して実施形態3と同様にゲート導電層を用いてパターニングされた迂回配線71に接続させるとよい。
【0102】
また、データラインLdと列方向連結配線Lcについては、有機EL素子の発光を制御する表示信号の伝達に直接関連しており、電圧降下が生じないことが好ましい配線であるが、有機EL素子の発光に影響が少ない場合は、例えば実施形態3で、ゲートラインLgではなくデータラインLdを迂回させることも可能であるし、図23に示すように、ソース−ドレイン導電層を用いて形成された列方向連結配線Lcを、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部を介して、ゲート導電層を用いて形成された迂回配線72によって迂回させることも可能である。
【0103】
(実施形態4)
実施形態4にかかる発光装置70を図24〜図26を用いて説明する。実施形態4では、隣接する行間の列方向連結配線Lcにスイッチング素子としてスイッチトランジスタTr14を設けている点で実施形態1〜実施形態3と異なる。また、電流供給ラインLaは、d行(dは2以上の整数)単位で分割されておらず、行間の列方向連結配線Lc及びスイッチトランジスタTr14を介して全行が連結されている。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
i行目のスイッチトランジスタTr14は、ドレイン電極がi行目の電流供給ラインLaに接続された列方向連結配線Lcに接続され、ソース電極が(i+1)行目の電流供給ラインLaに接続された列方向連結配線Lcに接続され、ゲート電極がi行目の制御配線Lsに接続されている。すなわち、制御配線Lsは画素がn行の場合、(n−1)本配置されている。このため、i行目の制御配線Lsに、オンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLa及び(i+1)行目の電流供給ラインLaが導通し、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLa及び(i+1)行目の電流供給ラインLaが導通しなくなる。ここで電流供給ラインLaがd行(dは2以上の整数)単位で相互に接続するようにするためには、図26に示すように、i行目のゲートラインLgがオンレベルONの走査信号電圧が印加されているときに、i行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されてi行目の電流供給ラインLaが(i+1)行目の電流供給ラインLaと導通しなくなり、且つ(i−d)行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されて(i−d)行目の電流供給ラインLaが(i−d−1)行目の電流供給ラインLaと導通しなくなり、且つi行目及び(i−d)行目以外の全ての制御配線LsにはオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加される。
【0105】
そして、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLaに印加される電圧はハイレベルHからローレベルLに切り替わり、その後、(i+d−1)行目のゲートラインLgに印加される走査信号電圧がオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わるまでの間、ローレベルLの電圧が印加され続けるよう電源または電流供給ドライバが設定されている。そして、(i+d)行目のゲートラインLgに印加される走査信号電圧がオフレベルOFFからオンレベルONに切り替わると、i行目の電流供給ラインLaに印加される電圧はローレベルLからハイレベルHに切り替わるよう電源または電流供給ドライバが設定されている。
【0106】
換言すれば、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、(i−d+1)行目〜(i−1)行目の制御配線LsにオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されて、(i−d+1)行目〜i行目間の(d−1)個のスイッチトランジスタTr14がONされるため(i−d+1)行目〜i行目間の列方向連結配線Lcが導通するので(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaが相互に導通し、ローレベルLの電位が印加される。そしてi行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、(i−d)行目及びi行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されて、(i−d)行目及びi行目のスイッチトランジスタTr14がOFFされるため、(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaは、それ以外の行の電流供給ラインLaと導通しない。また、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、1行目〜(i−d−1)行目の制御配線Ls及び(i+1)行目〜(n−1)行目の制御配線LsにはオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されて1行目〜(i−d−1)行目の制御配線Ls及び(i+1)行目〜(n−1)行目のスイッチトランジスタTr14がONされるため、1行目〜(i−d)行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位が印加され、(i+1)行目〜n行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位が印加される。
【0107】
このように、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されている間、d本の(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaが相互に接続されるので、グループ書込み電圧期間TWRに印加されるローレベルLの電位の電圧降下を抑制でき、さらに、1行目〜(i−d)行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位の電圧降下を抑制でき、(i+1)6行目〜n行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位の電圧降下を抑制できる。
【0108】
(実施形態5)
実施形態5にかかる発光装置80を図27〜図29を用いて説明する。実施形態5では、列方向連結配線Lcにおいて、d行(dは2以上の整数)毎に1つのスイッチトランジスタTr14がスイッチング素子として設けられている。(p×d)行目の画素30(pは正の整数)と(p×d+1)行目の画素30との間列方向連結配線Lc、具体的には、d行目の画素30と(d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、2d行目の画素30と(2d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、3d行目の画素30と(3d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、……にそれぞれスイッチトランジスタTr14が設けられ、各スイッチトランジスタTr14のソース、ドレイン電極が上下の列方向連結配線Lcにそれぞれ接続されている。このため、各スイッチトランジスタTr14は、(p×d)行目の電流供給ラインLaと{p×(d+1)}行目の電流供給ラインLaとの導通、非導通を制御する(pは正の整数)。図27〜図29は、dを4とした例の図である。また、電流供給ラインLaは、列方向連結配線Lc及びスイッチトランジスタTr14を介して列方向に接続されている。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0109】
電流供給ラインLaに接続される電流供給ドライバは、図29に示すように、d行分の電流供給ラインLaを単位として同じ電圧を印加する。すなわち、電流供給ドライバは、d行分の電流供給ラインLa毎にグループ書込み電圧期間TWRにローレベルの電圧Lを出力した後、グループ発光電圧期間TEMにハイレベルの電圧Hを出力する。グループ書込み電圧期間TWRは、{(p−1)×d+1}行目〜p×d行目、つまり、1行目〜d行目、(d+1)行目〜2d行目、(2d+1)行目〜3d行目、……、(n−d+1)〜n行目毎に順次シフトされる。
各制御配線Lsは、電源または制御配線ドライバに接続され、電源または制御配線ドライバは、(p×d)行目の電流供給ラインLaと{p×(d+1)}行目の電流供給ラインLaとの間の列方向連結配線LcのスイッチトランジスタTr14のゲート電極に接続された制御配線Lsに対して、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び次のグループの(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWRに、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧を出力し、それ以外の期間にオンレベルONのスイッチ信号電圧を出力する。
【0110】
(p×d)行目の制御配線Lsに、オンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されると、(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目の電流供給ラインLaが導通し、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されると、(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目の電流供給ラインLaが導通しなくなる。
このため、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaは、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び次のグループの(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaと非導通になる。したがって、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaは、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、それぞれ電圧をローレベルL、ハイレベルHに維持することができ、(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、それぞれ電圧をハイレベルH、ローレベルLに維持することができる。
【0111】
(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaにおいて見ると、その上のグループの(p−1)×d+1行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaに対して、(p−1)×d+1行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び当該(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、印加電圧が異なるように、(p×d)行のトランジスタTr14をオフし、その下のグループの{(p+1)×d+1}行目〜{(p+2)×d}行目の電流供給ラインLaに対して、当該(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び{(p+1)×d+1}行目〜{(p+2)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、印加電圧が異なるように、{(p+1)×d}行のスイッチトランジスタTr14をオフする。換言すれば、あるグループの電流供給ラインLaは隣接するグループの電流供給ラインLaに対して異なる電位であれば、隣接するグループ間のスイッチトランジスタTr14をオフして相互に非導通にし、同電位であれば、隣接するグループ間のスイッチトランジスタTr14をオンして相互に導通し低抵抗化を図ることができる。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態1では、導電層48を電流供給ラインLaを全て覆うように形成し、且つ発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13d上に形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、導電層48は電流供給ラインLa上において各画素ごとに分離するように形成しても良い。また、ドレイン電極13dのみを覆うように形成しても良い。
【0113】
また、上述した実施形態2では、列方向連結配線Lcを発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと重なるように列方向に形成する例を挙げて説明したが、上述した実施形態1の導電層48のように、列方向連結配線Lcを電流供給ラインLa上にも形成してもよい。
【0114】
上述した各実施形態では、画素回路DSは第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13の合計3つのトランジスタを備える例を挙げて説明したが、これに限られず、図30に示す画素回路DS2のように、選択トランジスタTr21と、発光駆動トランジスタTr22との、2つのトランジスタを備えるものであってもよい。
【0115】
また、上述した各実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子21の表示光を対向電極40を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。
【0116】
上述した各実施形態では、発光装置は表示装置であったが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッドにも適用できる。
【0117】
上記した各実施形態では、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38とを備えた有機EL素子であったが、キャリア輸送層の組合せはこれに限らず、例えば正孔注入層36及び発光層38のみのように2層構造でもよく、発光層が正孔注入層を兼ねた単層構造でもよく、発光層を含むキャリア輸送層が4層以上の層構造であってもよい。
上記した各実施形態では、有機EL素子21を適用したが、LED等その他の発光素子を適用してもよい。
【0118】
上記した各実施形態は、整合性がある限り各実施形態の構成を任意の組合せてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10,50,60,70,80・・・発光装置、30,51,61・・・画素、21・・・有機EL素子、31・・・画素基板、32・・・絶縁膜、33・・・層間絶縁膜、34・・・画素電極、35・・・絶縁層、36・・・正孔注入層、37・・・インターレイヤ、38・・・発光層、39・・・隔壁、40・・・対向電極、41,42,43,44,49,55,66,67・・・コンタクト部、48・・・導電層、Cs・・・キャパシタ、Cs1・・・キャパシタ電極、La・・・電流供給ライン、Lc・・・列方向連結配線、Ld・・・データライン、Lg・・・ゲートライン、Tr11・・・第1選択トランジスタ、Tr12・・・第2選択トランジスタ、Tr13・・・発光駆動トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた表示装置の本格的な実用化、普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された例えば電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子では、発光層において正孔注入層から供給された正孔と電子注入層から供給された電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。また、このような有機EL素子は、特許文献1に開示されているように、表示装置として用いられており、例えば各画素に設けられたTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−195012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような表示装置では、有機EL素子を備える複数の画素が、一般に行方向及び列方向に並んでマトリクス状に配置されており、例えば各行毎の画素内のTFTが選択走査線により選択される場合、同一の行に配置されている複数の画素は、1本の電流供給ライン(給電ライン)を介して各有機EL素子に電流を流す電圧源に接続されている。このため、複数の画素が同時に発光する場合、1本の電流供給ラインから同一行の複数の画素に同時に電流を流すことになる。
【0006】
電圧階調指定や電流階調指定駆動のアクティブマトリクスの表示装置では、有機EL素子の発光量を規定する表示信号を、各画素を駆動する素子に書き込む際は、各画素に表示信号に応じた電流を流して書き込むため、同一の行に配置された画素の書き込み電流の総和が多い場合や、十分に電流供給ラインの抵抗が低くない場合は、電流供給ラインの電位が基準値から変位しやすい問題がある。これにより、電圧源と各画素との間の電流供給ラインの長さ、つまり各画素の位置によって電位が変動し、容量に対して書き込まれる電圧が変化し、所望の輝度の表示を得られないという問題がある。この問題は、大面積の表示装置ほど顕著に発生する。特に動画のように変調する画像では、各電流供給ラインの複数の画素への書き込み総量がフレーム毎に大幅に変わるので、不安定な表示になってしまいやすい。
【0007】
また、開口率の高い発光装置が求められている。
【0008】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、開口率の高い発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
画素電極と対向電極との間に発光層を有する発光素子を備える発光装置において、
ゲート電極がゲートラインに接続された第1選択トランジスタと、
ゲート電極が前記ゲートラインに接続され、ソース電極がデータラインに接続された第2選択トランジスタと、
ゲート電極が前記第1選択トランジスタのソース電極に接続され、ドレイン電極が前記第1選択トランジスタのドレイン電極に接続された発光駆動トランジスタと、
を有し、
前記発光駆動トランジスタのソース電極及び前記第2選択トランジスタのドレイン電極は互いに分離され、且つ前記画素電極を介して互いに接続されていることを特徴とする。
【0010】
前記発光駆動トランジスタの前記ソース電極は前記画素電極の第一の辺側に配置され、
前記第2選択トランジスタの前記ドレイン電極は前記画素電極の前記第一の辺に対向する第二の辺側に配置されてもよい。
【0011】
前記第1選択トランジスタは、前記第1の辺側に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開口率の高い発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図3】画素の平面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線断面図である。
【図5】図3に示すV−V線断面図である。
【図6】画素の回路構成及び駆動原理が示された等価回路図であり、(a)図には走査期間TSCの電流の流れが示されており、(b)図にはグループ発光電圧期間の電流の流れが示されている。
【図7】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図8】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図9】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図10】実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図11】列方向連結配線を設けた場合と設けなかった場合とで電圧降下の程度を算出した図である。
【図12】実施形態2に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図13】実施形態2に係る画素の平面図である。
【図14】列方向連結配線を省略した画素の平面図である。
【図15】図13に示すXV−XV線断面図である。
【図16】図13に示すXVI−XVI線断面図である。
【図17】実施形態2に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図18】実施形態2に係る発光装置の製造方法を示す図である。
【図19】実施形態3に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図20】実施形態3に係る画素の平面図である。
【図21】(a)は、図20に示すXXIA−XXIA線断面図であり、(b)は、図20に示すXXIB−XXIB線断面図である。
【図22】変形例を示す図である。
【図23】変形例を示す図である。
【図24】実施形態4に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図25】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図26】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図27】実施形態5に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図28】画素の駆動回路を示す等価回路図である。
【図29】動作が示されたタイミングチャート図である。
【図30】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各実施形態に係る発光装置及び発光装置の製造方法について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL素子の光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1に係る発光装置及び発光装置の製造方法について図を用いて説明する。
【0016】
図1は実施形態1に係る発光装置として表示装置の構成例を示す図である。また、図2は発光装置の画素の駆動回路の等価回路である。図3は、画素の平面図であり、図4は図3に示すIV−IV線断面図であり、図5は図3に示すV−V線断面図である。図6は画素の書き込み、発光動作を示す図であり、図7はタイミングチャートを示す。
【0017】
発光装置10では、図1に示すように画素基板31(図4参照)上にそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に発する3つの画素30を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されるとともに、列方向(図1の上下方向)に同一色の画素が複数個、例えばn個配列されている。
【0018】
このようにRGBの各色を発する画素がマトリクス状に、m×n個配列される。また、各画素30はRGBそれぞれの光を発する有機EL素子(発光素子)21と、有機EL素子21をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。なお、赤(R)、緑(G)、青(B)の3画素30はデルタ配列であってもよい。
【0019】
画素回路DSは、図2に示すように、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13は、それぞれアモルファスシリコンを有する半導体層を備える逆スタガ型のnチャネル型TFT(Thin Film Transistor)である。
【0020】
発光装置10では、図1及び図2に示すように、所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数の電流供給ライン(アノードライン)Laと、例えば接地電位等の電圧Vssが印加され、全ての画素に対して単一の電極層により形成されたカソードである対向電極(第2電極)40と、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路DSに接続されたデータラインLdと、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSの第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12を選択する複数のゲートラインLgと、複数本の電流供給ラインLaを各画素間において互いに電気的に接続する列方向連結配線Lcと、が形成されている。
【0021】
電流供給ラインLaは、図示しない電源または電流供給ドライバに接続され、当該電源または電流供給ドライバは、図7で詳述するように、各単位ごとの複数の電流供給ラインLa群に対して一走査期間TSC中と発光期間TEM中とで印加電圧を、それぞれローレベルLとハイレベルHに変調させている。また、詳細に後述するように電流供給ラインLaと、列方向連結配線Lcとは、トランジスタTr11〜Tr13のソース電極、ドレイン電極となるソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極ともに形成される。
【0022】
データラインLdは、各トランジスタTr11〜Tr13のゲート電極となるゲート導電層によってこれらゲート電極とともに形成され、ゲートラインLgはソース−ドレイン導電層より上層に設けられた第3のメタル層を用いて形成される。これらの異なる層に設けられた配線と、トランジスタの各電極とは、絶縁膜32に設けられたコンタクト部41〜44を介して接続されている。
【0023】
図1〜図5に示すように、第1選択トランジスタTr11のゲート電極11gは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部42と第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gとを介してゲートラインLgに接続されており、電流供給ラインLaは、第1選択トランジスタTr11のドレイン電極11d上に積層されることによってドレイン電極11dに接続されている。また、第1選択トランジスタTr11のソース電極11sは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部43を介してキャパシタ電極Cs1に接続されている。
【0024】
また、第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dは、画素電極(第1電極)34を介して発光駆動トランジスタTr13のソース電極13sに接続されており、ソース電極12sは、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部41を介してデータラインLdに接続される。また、第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gは、コンタクト部42を介してゲートラインLgと接続される。
【0025】
発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dは電流供給ラインLaに接続されており、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gは、コンタクト部44を介してキャパシタ電極Cs1と接続されており、更にキャパシタ電極Cs1を介して第1選択トランジスタTr11のソース電極11sに接続されている。また、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13sは、コンタクト部45において画素電極34と一部重なることによって接続されている。
【0026】
キャパシタCsは、キャパシタ電極Cs1と、他方のキャパシタ電極として機能する画素電極34と、キャパシタ電極Cs1と画素電極34との間に介在する誘導体となる窒化シリコン等の絶縁膜32によって構成される。
【0027】
本実施形態では、図1及び図2に示すように複数本の電流供給ラインLaを相互に電気的に結ぶ列方向連結配線Lcが、電流供給ラインLaの配列方向と直交する、各画素の列方向に形成される。本実施形態では、例えば図1に示すように、合計4行の電流供給ラインLa単位ごとに、各列に1本の列方向連結配線Lcが形成される。例えば、m×n個の画素が配列されている発光装置10の場合、4本の電流供給ラインLaに対して列方向連結配線Lcはm本形成され、発光装置10内に設けられる列方向連結配線Lcの総数はm×n/4本(nは4の整数倍)である。このように互いに隣接する電流供給ラインLaを、電流供給ラインLaの所定の本数単位毎に列方向連結配線Lcが電気的に連結することにより、全体として配線抵抗が低くなるので、電流供給ラインLa単体の抵抗に起因する電圧降下を抑制する。このため、各画素30は、電源または電流供給ドライバ(図示せず)との間の電流供給ラインLaの抵抗、つまり、発光装置10における位置に大きく依存することなく、電流供給ラインLaから各単位毎に均等な電圧が印加され、表示信号に応じた電流を有機EL素子21に流すことができる。なお、所望の程度、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができれば、相互に接続される複数の電流供給ラインLaの本数は2本以上の整数であれば4本に限らない。また相互に接続される複数の電流供給ラインLaに対して設けられている列方向連結配線Lcの数は任意であり、1本以上であればよく、例えば2本毎や6本毎に列方向連結配線Lcを設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、図3に示すように、各行の電流供給ラインLa上面並びに当該行の複数の画素30の各発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとの上面に、導電層48が設けられている。導電層48は、電流供給ラインLa上面において、電流供給ラインLaより幅広に形成されている。導電層48は、導電性材料から形成されている。この導電層48を設けることにより、更に電流供給ラインLaの低抵抗化を図ることができ、電圧降下を抑制することができる。特に、本実施形態では、詳細に後述するように、第3のメタル層を用いてゲートラインLgを形成する際に同時に導電層48を形成することにより、特に製造工程を増加させることなく、電流供給ラインLaの低抵抗化が可能となる。
【0029】
次に、有機EL素子21は、画素電極34と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、対向電極40と、を備える。正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38とが、それぞれ、電子や正孔がキャリアとなって輸送されるキャリア輸送層となる。キャリア輸送層は、列方向に配列された層間絶縁膜33、絶縁層35及び隔壁39の間に配置されている。
【0030】
各画素の画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極11g,12g,13gが形成されている。更に、各画素の画素基板31上には、キャパシタCsの一方の電極Cs1が形成され、各画素に隣接した画素基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されており、更にこれらを覆うように、ゲート絶縁膜やキャパシタCsの誘電体として機能する絶縁膜32が形成される。
【0031】
有機EL素子21が画素基板31側から表示光を出射するボトムエミッション型である場合、キャパシタ電極Cs1及び画素電極34は酸化錫が添加された酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や酸化亜鉛ドープされた酸化インジウム(Indium Zinc Oxide)等の透明電極となり、コンタクト部44において発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gがキャパシタ電極Cs1と重なるように形成されている。ゲート導電層がアルミを含み、キャパシタ電極Cs1がITOでできていれば、先にキャパシタ電極Cs1をパターニング形成後、ゲート導電層をパターニングすることによって電池反応の誘発を防止できる。また有機EL素子21が対向電極40側から表示光を出射するトップエミッション型である場合、対向電極40はITO等の透明電極となるが、キャパシタ電極Cs1は透明である必要がないので、キャパシタ電極Cs1はゲート導電層をパターニングすることによって発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gと一括して且つ一体的に形成することができる。ゲート導電層は、フォトリソグラフィによって一括してパターニングすることができるので、トップエミッション型であれば、これらの部材の製造工程を簡略化することができる。
【0032】
絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLdと、ゲート電極12g,13gと、キャパシタ電極Cs1と、を覆うように画素基板31上に形成される。絶縁膜32にはコンタクトホールとしてのコンタクト部が形成され、ゲート導電層とソースドレイン層とのコンタクトを図る。
【0033】
第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)である。それぞれのトランジスタは図4に示すように画素基板31上に形成される。図4に示すように、第2選択トランジスタTr12は、a−Siまたは微結晶シリコンを有する半導体層121と、保護絶縁膜122と、ドレイン電極12dと、ソース電極12sと、n型不純物を含むa−Siまたはn型不純物を含む微結晶シリコンを有するオーミックコンタクト層124,125と、ゲート電極12gと、を備える。また、発光駆動トランジスタTr13は、a−Siまたは微結晶シリコンを有する半導体層131と、保護絶縁膜132と、ドレイン電極13dと、ソース電極13sと、n型不純物を含むa−Siまたはn型不純物を含む微結晶シリコンを有するオーミックコンタクト層134,135と、ゲート電極13gと、を備える。なお、図示は省略しているが、第1選択トランジスタTr11も第2選択トランジスタTr12と同様の構成となっている。発光駆動トランジスタTr13は、有機EL素子21に電流を供給して発光させるために、第1選択トランジスタTr11よりもサイズが大きく、第2選択トランジスタTr12よりもサイズが大きい。つまり、発光駆動トランジスタTr13は、半導体層131のチャネル幅が第1選択トランジスタTr11の半導体層のチャネル幅よりも長く、第2選択トランジスタTr12の半導体層121のチャネル幅よりも長い。このため、発光駆動トランジスタTr13のソース、ドレイン電極13s、13dは、第1選択トランジスタTr11のソース、ドレイン電極11s、11dよりも長く、第2選択トランジスタTr12のソース、ドレイン電極12s、12dよりも長い。発光駆動トランジスタTr13のソース、ドレイン電極13s、13d及び半導体層131のチャネル幅は列方向に沿って延びている。
【0034】
各トランジスタTr11,Tr12,Tr13において、ゲート電極は、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択された不透明なゲート導電層から形成される。ゲート導電層によって形成された第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極11g,12g,13gは、有機EL素子21の発する光に対して不透明であるので、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13の下側から各半導体層に向かって進入してくる光を遮光することができる。また、ドレイン電極、ソース電極はそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCr等のソース−ドレイン導電層から形成されている。また、ドレイン電極及びソース電極と半導体層との間にはそれぞれ低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層が形成される。
【0035】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、発光駆動トランジスタTr13は、各列ごとにドレイン電極13dが接続され、ドレイン電極13dは列方向連結配線Lcの一部としても機能している。これにより、行方向に並ぶ4行の電流供給ラインLa及び列方向連結配線Lcは、行方向及び列方向に網目状に接続されることによって全体的に低抵抗化し、電圧降下を抑制することができる。このようにドレイン電極13dが電流供給ラインLaを接続する配線を兼ねていることにより、電流供給ラインLaを結ぶための配線を形成する領域を画素基板上に別途設ける必要がないため、有機EL素子の開口率(画素電極34と対向電極40との間に介在する発光層38の面積の割合)を低下させずに、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができる。なお、電流供給ラインLaと同一の方向に走るゲートラインLgは、トランジスタのソース電極、ドレイン電極を形成するソース−ドレイン導電層とは別の第3のメタル層を用いて形成している。行方向に沿って延びたゲートラインLgは、ゲートラインLgの下方に位置する層間絶縁膜33を介して列方向連結配線Lc(ドレイン電極13d)と交差するため、ゲートラインLgは、電流供給ラインLa及び列方向連結配線Lcと電気的に絶縁されている。更に、ドレイン電極13d上と電流供給ラインLa上の層間絶縁膜33にコンタクトホールであるコンタクト部49を設け、このコンタクト部49を介して導電層48をドレイン電極13d上及び電流供給ラインLa上に堆積させることによって相互に接続しているので、電流供給ラインLa、列方向連結配線Lc及び導電層48が相互に接続され、配線全体の抵抗をより低くさせることができ、電圧降下を抑制することができる。なお、導電層48は、ゲートラインLgと同層である第3のメタル層を用いて形成されるため、導電層48を形成するための工程を増やすことなく形成することができる。
【0036】
画素電極(アノード電極)34は、透光性を備える導電材料、例えば酸化錫が添加された酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や酸化亜鉛ドープされた酸化インジウム(Indium Zinc Oxide)等から構成される。各画素電極34は隣接する他の画素30の画素電極34と離間されている。
【0037】
層間絶縁膜33は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、各画素電極34の中央を開口する略方形の開口部33aを有し、画素電極34の周囲を囲むように隣接する画素電極34間に配置されている。また、層間絶縁膜33はトランジスタTr11,Tr12,Tr13、電流供給ラインLa等を覆うように形成される。層間絶縁膜33上には図5に示すようにゲートラインLg、導電層48が形成されており、更にゲートラインLg及び導電層48を覆うように、絶縁材料、例えばシリコン窒化膜を有する絶縁層35が形成される。絶縁層35には開口部33aと形状が略一致した開口部35aが形成されており、これら開口部33a、開口部35aによって画素電極34及び対向電極40との間に介在する発光層38、つまり画素30の発光領域が画される。更に隔壁39には列方向(図3の上下方向)に延びる溝状の開口部39bが複数の画素30にわたって形成されている。
【0038】
隔壁39は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜33及び絶縁層35上に形成される。隔壁39は、図3に示すようにストライプ状に形成されており、開口部39bを備える。隔壁39は、製造工程中、画素電極34上に形成されるR(赤)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液、G(緑)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液、B(青)の画素30の発光層38となる材料を含有する含有液を画素電極34上に塗布する際に、行方向に隣接する互いに異なる色を発する画素30に流出しないように仕切っており、発光層38の混色を防止する。なお、隔壁39の平面形状は、これに限られず格子状であってもよい。
【0039】
正孔注入層36は、画素電極34上に形成され、発光層38に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層36は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料や低分子系の材料、或いは無機化合物を有している。また、有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液としては、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布、乾燥して正孔注入層36を形成する。無機化合物としては、高抵抗の酸化モリブデンを画素電極34上及び隔壁39の表面に連続して成膜することによって正孔注入層36を形成する。
【0040】
インターレイヤ37は正孔注入層36上に形成される。インターレイヤ37は、正孔注入層36の正孔注入性を抑制して発光層38内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層38の発光効率を高めるために設けられている有機化合物層である。
【0041】
発光層38は、インターレイヤ37上に形成されている。発光層38は、アノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層38は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)を、連続した液流として吐出するノズルコート法や分離した複数の液滴として吐出するインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0042】
また、対向電極(カソード電極)40は、ボトムエミッション型の場合、発光層38側に設けられ、導電材料、例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、この層上に積層されたAl等の光反射性導電層を有する積層構造であり、トップエミッション型の場合、発光層38側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光透過性導電層を有する透明積層構造である。本実施形態では、対向電極40は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である共通電圧Vssが印加されている。
【0043】
次に、本実施形態の発光装置10の動作及び画素30の動作について、図6及び図7を用いて説明する。電流供給ラインLaがd行(dは2以上の整数)単位で相互に接続されているとき、1行目のゲートラインLgからn行目(n=c×dを満たす;ただしcは2以上の整数)の各ゲートラインLgの一走査期間TSCのうちの相互に接続されたd行分の走査期間、つまりi行目〜(i+d−1)行目のグループ(ここでi=d×k−(d−1)=d(k−1)+1;ただしkは自然数であって且つn/d以下)のゲートラインLgを各々選択する期間の合計を、図7において、d行分の各グループのグループ書込み電圧期間TWR(=d×TSC)とする。d行分の各グループでは、グループ書込み電圧期間TWR後に発光期間となるグループ発光電圧期間TEMが続き、その後、再びグループ書込み電圧期間TWR、グループグループ発光電圧期間TEMが繰り返される。
【0044】
制御回路から出力される制御信号群に従ってゲートドライバは、1行目のゲートラインLgからn行目のゲートラインLgへと順次ハイレベル(オンレベルON)のパルスを出力する。また、本実施形態では電流供給ラインLaは4本単位で列方向連結配線Lcによって相互に接続されているため、制御回路から出力される制御信号群に従って電源または電流供給ドライバは、”d=4”として1行目の電流供給ラインLaから4行ずつ、順次ローレベルLのパルスを出力する。
【0045】
ここで、図7に示すように、i〜(i+d−1)行のグループの各ゲートラインLgでは、ゲートラインLgのオンレベルONのパルスが出力される一走査期間TSCは相互にずれているが、各一走査期間TSCは、i〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaにローレベルLのパルスが出力されているグループ書込み電圧期間TWR内に設定されている。本実施形態ではi〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaは、列方向連結配線Lcによって相互に接続されているため、i〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaへのローレベルLのパルスの時間的長さは、i行から(i+d−1)行のゲートラインLgを順次オンレベルONのパルスを出力する各一走査期間TSCの和、つまりグループ書込み電圧期間TWRとなる。つまり、i〜(i+d−1)行のグループの電流供給ラインLaには、i行のゲートラインLgにオフレベルOFFからオンレベルONに切り替わるパルスが出力されてから、(i+d−1)行目のゲートラインLgにオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わるパルスが出力されるまでの間、ローレベルLのパルスが出力される。また、各行のゲートラインLgにオンレベルONのパルスが出力されている期間に、データドライバが、制御回路から出力される制御信号群に従って全列のデータラインLdに発光輝度階調に従ったシンク電流(つまり、データドライバに向かった電流)である表示信号を発生する。ここで、データドライバは、制御回路が受けた画像データに従った電流値となるような階調電流を流す電流ドライバ、或いは画像データに従った電流値の電流を流すための階調電圧を印加する電圧ドライバのいずれかであり、各列のデータラインLdに表示信号を出力してシンク電流を流す。
【0046】
各画素30の電流の流れ及び電圧の印加について詳細に説明する。
i行目の走査期間TSCの開始時刻tiでは、走査ドライバからi行目のゲートラインLgにハイレベル(オンレベルON)のパルスが出力されだして、時刻tiから時刻t(i+1)直前までの走査期間TSCの間、i行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧がi行目のゲートラインLgに印加される。続いて、(i+1)行目の走査期間TSCの開始時刻t(i+1)では、走査ドライバから(i+1)行目のゲートラインLgにハイレベル(オンレベルON)のパルスが出力されて、時刻t(i+1)から時刻t(i+2)直前までの間(i+1)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+1)行目のゲートラインLgに印加される。同様に、(i+2)行目の走査期間TSCである時刻t(i+2)から時刻t(i+3)直前までの間、(i+2)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+2)行目のゲートラインLgに印加され、(i+3)行目の走査期間TSCである時刻t(i+3)から時刻t(i+4)直前までの間、(i+3)行目のゲートラインLgには第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12がオン状態となるようなオンレベルONの走査信号電圧が(i+3)行目のゲートラインLgに印加される。
【0047】
更に、i〜(i+d−1)行目のd行分のグループのグループ書込み電圧期間TWRの開始時刻tiでは、電源または電流供給ドライバからi〜(i+d−1)行目のグループの電流供給ラインLaにローレベルLのパルス信号が出力される。ローレベルLは、基準電位Vssと等電位或いはそれより低い。更に、各行の走査期間TSCに、データドライバは、制御回路が受けた画像データに従って、所定電流値のシンク電流を流す。
【0048】
まずi行目のゲートラインLgの走査期間TSCでは、第1選択トランジスタTr11及び第2選択トランジスタTr12はオンするとともに、データドライバが、電圧値が基準電圧Vss以下の電流制御のためのシンク電流を各列のデータラインLdに流そうとする。このため、発光駆動トランジスタTr13のゲート及びソースの一端にシンク電流の電流値に応じた電圧が印加されて、図6(a)に示すように、データラインLd及び第2選択トランジスタTr12を介して発光駆動トランジスタTr13にシンク電流が流れる。
【0049】
発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gの電位はドレイン電極13dの電位と等しいので、発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間に電位差が生じ、データラインLdには、それぞれデータドライバで指定された電圧に従った電流値(つまり、画像データに従った電流値)のシンク電流Iが図6(a)に示す矢印Kに示す方向に流れる。なお、走査期間TSCでは、電流供給ラインLaの電源信号電圧が基準電圧H以下であるため、有機EL素子21のアノードの電位はカソードの電位より低くなり、有機EL素子21には逆バイアス電圧が印加されていることになる。そのため、有機EL素子21には電流供給ラインLaからの電流が流れない。
【0050】
このとき各画素30のコンデンサ13の両端は、データドライバにより制御された表示信号に基づいて発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13d−ソース電極13sを流れる電流の電流値に従った電圧になる。すなわち、各画素30のコンデンサ13には、各画素30の発光駆動トランジスタTr13にそれぞれ表示信号にしたがった電流Iを流れさせるような各発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間の電位差を生じさせる電荷がチャージされる。
【0051】
このような動作がi〜(i+d−1)行について各走査期間TSCごとに行われる。グループ書込み電圧期間TWRの終了時刻t(i+d)には、走査ドライバから(i+d−1)行目のゲートラインLgに出力されるパルスがオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わり、そして電源または電流供給ドライバからi〜(i+d−1)行の電流供給ラインLaに出力される信号がローレベルLからハイレベルHに切り替わる。従って、i〜(i+d−1)行のグループでは、この終了時刻t(i+d)から次のグループ書込み電圧期間TWRの開始時刻tiまでのグループ発光電圧期間TEM中では、i〜(i+d−1)行目のゲートラインLgに第1選択トランジスタTr11のゲート及び第2選択トランジスタTr12のゲートにオフレベルOFF(ローレベル)の走査信号電圧が印加されるとともに、電流供給ラインLaに印加される電源信号電圧は基準電位Vss及びグループ書込み電圧期間TWRに出力された電位ローレベルLより十分高いハイレベルの電源電圧Hである。
【0052】
このため、図6(b)に示すように、グループ発光電圧期間TEMでは、非選択状態の行の第2選択トランジスタTr12がオフ状態になり、第2選択トランジスタTr12に電流が流れない。更に、グループ発光電圧期間TEMでは、第1選択トランジスタTr11がオフ状態になり、コンデンサ13は、その一端及び他端によりチャージされた電荷を保持し続けて、発光駆動トランジスタTr13はオン状態を維持し続ける。つまり、グループ発光電圧期間TEMとこのグループ発光電圧期間TEMの直前のグループ書込み電圧期間TWRとでは、発光駆動トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧値VGSが等しい。そのため、グループ発光電圧期間TEMでも、発光駆動トランジスタTr13は画像データに従った電流値の電流を流し続けるので、グループ発光電圧期間TEMの電流Iの電流値はこのグループ発光電圧期間TEMの前のグループ書込み電圧期間TWRの電流Kの電流値に等しい。グループ発光電圧期間TEMの間、発光駆動トランジスタTr13を流れる電流Kは有機EL素子21に流れて、有機EL素子21が流れる電流Iの電流値に従った輝度で発光する。このように表示信号に従った輝度階調で有機EL素子21は発光する。
【0053】
また、i〜(i+d−1)行目のゲートラインLgのグループ書込み電圧期間TWRが終了すると、引き続き(i+d)行目〜(i+2d−1)行目のグループのゲートラインLgが順次選択されるグループ書込み電圧期間TWRになり、この間、電源または電流供給ドライバから(i+d)〜(i+2d−1)行の電流供給ラインLaに出力される信号がローレベルLからハイレベルHに切り替わる。このように、電流供給ラインLaが相互に接続されたd行単位のグループで書込みを行うように、電流供給ラインLaの電圧を切り替えて全行の書込みを終了すると、再び1行目のゲートラインLgから一走査期間TSCが開始し、書込みを繰り返す。
【0054】
次に、本実施形態にかかるボトムエミッション型発光装置の製造方法について図8〜図10を用いて説明する。なお、第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12及び発光駆動トランジスタTr13は、チャネル幅の長さを除いて基本的な構造が同等であり、第1選択トランジスタTr11は、第2選択トランジスタTr12と同一工程により形成されるので以下においてその説明を省略する。
【0055】
まず、ガラス基板等を有する画素基板31を用意する。画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等によりITO等の透明導電膜を堆積後、フォトリソグラフィによってキャパシタ電極Cs1をパターン形成する。
【0056】
次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜の少なくとも何れかを含むゲート導電膜を形成し、これを図8(a)に示すようにトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、及びデータラインLdの形状にパターニングする。このとき、発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13gはコンタクト部44において、キャパシタ電極Cs1の一部と重なるように形成されるが、キャパシタ電極Cs1となるITO等の透明金属酸化物はAlとの接触抵抗が高いので、ゲート導電膜は、ITO等の透明金属酸化物との接触抵抗の比較的低いMo膜やMoNb合金膜が好ましい。なお、トップエミッション型の場合、キャパシタ電極Cs1は、透明である必要がないのでゲート導電膜をパターニングすることによって発光駆動トランジスタTr13のゲート電極13g及び第1選択トランジスタTr11のソース電極11sと一体的に形成されるので、上述した透明導電膜の材料の制約がない。
【0057】
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、及びデータラインLd上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0058】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングして図8(b)に示すようにオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。
【0059】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0060】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクト部41、43を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくとも何れかを含むソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図3、図8(b)に示すようにドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLa、列方向連結配線Lcを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。このように発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dは、画素電極34を介して接続されるので、第2選択トランジスタTr12と発光駆動トランジスタTr13との間で相互に接続する引き回し配線が不要となり、画素の開口率を高くすることができる。なお、コンタクト部41,43とともに、ゲートドライバと接続するための各ゲートラインLgの接続端子部及びデータドライバと接続するための各データラインLdの接続端子部をそれぞれ露出するコンタクトホールを絶縁膜32に形成してもよい。また、画素電極34となる導電膜を、これらコンタクトホール及びコンタクト部41、43を形成後に堆積してから、フォトリソグラフィによってパターニングすれば、画素電極34が形成されるとともに、コンタクト部41、43において、ゲート導電膜とソース−ドレイン導電膜との間に画素電極34となる導電膜を介在する三層構造の接続部を形成することができる。
【0061】
続いて、図8(c)に示すようにトランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。
【0062】
層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等によりコンタクト部49とコンタクト部42となる開口を形成する。続いて、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有する金属膜を、真空蒸着法、スパッタ法によって形成する。次に、フォトリソグラフィによってパターニングして図3、図9(a)に示すようにコンタクト部49を介して列方向連結配線Lc及び電流供給ラインLaに接続された導電層48と、コンタクト部42を介して第2選択トランジスタTr12のゲート電極12g及び第1選択トランジスタTr11のゲート電極11gに接続されたゲートラインLgとを形成する。続いて、導電層48とゲートラインLgとを覆うように、シリコン窒化膜等を有する絶縁層35を形成する。次に、絶縁層35と層間絶縁膜33とに、図9(b)に示すように、画素電極34を露出する開口35aを形成する。
【0063】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33と絶縁層35とを覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、図10(a)に示すように隔壁39を形成する。
【0064】
続いて、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を、連続して流すノズルプリンティング装置や個々に独立した複数の液滴として吐出するインクジェット装置、或いはロール式印刷装置によって開口部35aで囲まれた画素電極34上に選択的に塗布する。続いて、画素基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層36を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。なお上記湿式成膜以外でも蒸着によって正孔注入層36を形成してもよい。
【0065】
続いて、ノズルプリンティング装置、インクジェット装置、或いはロール式印刷装置を用いてインターレイヤ37となる材料を含有する有機化合物含有液を正孔注入層36上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ37を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0066】
次に、発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、同様にノズルプリンティング装置、インクジェット装置、或いはロール式印刷装置により塗布して窒素雰囲気中で加熱して残留溶媒の除去を行い、発光層38を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0067】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0068】
次に、複数の画素30が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、図10(b)に示すように発光装置10が製造される。
【0069】
本実施形態では、複数の行の単位で発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dが相互に接続するように列方向連結配線Lcを形成することで、行方向に形成された複数本の電流供給ラインLaを網目状に結ぶ。これにより、電流供給ラインLaに印加された電圧の配線抵抗による降下を抑制することが可能となり、良好に複数の有機EL素子を発光させることができる。特に本実施形態では、ドレイン電極13dを画素の列方向に延伸させることによって列方向連結配線Lcを形成しているので、ドレイン電極13dとは別途に電流供給ラインLaを接続するための配線を形成する領域を画素基板31上に設ける必要がない。これにより、画素30の開口率を低下させることなく、電流供給ラインLaの電圧降下を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、ドレイン電極13dを延伸させる構成であるため、ドレイン電極13dと交差するゲートラインLgを、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層とは、別の第3のメタル層によって形成している。このゲートラインLgを形成する際に、電流供給ラインLa及びドレイン電極13d上に、第3のメタル層を形成することにより、特に工程を増加させることなく、電流供給ラインLaの厚みを増やすことができ、電流供給ラインLaの低抵抗化を実現することができる。
【0071】
図11にシミュレーション結果を示す。図11では、図1に示すように、データライン、電流供給ライン、画素が配置されている例で、各行の電流供給ラインを電気的に独立している場合と、2つの行の電流供給ラインを相互に接続する場合と、4つの行の電流供給ラインを相互に接続する場合と、で電圧降下の程度を算出した。また、1画素に対応する長さ(隣接するデータライン間の長さに相当)の電流供給ラインの配線抵抗をR1と設定し、1画素の対応する長さ(隣接する電流供給ライン間の長さの相当)の列方向連結配線の抵抗をR2とする。なお、図11に示す例では、R1を5Ω、R2を100Ωとし、各データラインから1μAの電流を引き込んだときの各画素における電位を示す。なお、画素は横方向(行方向)に320個あると設定し、電源または電流供給ドライバにより近い方(より配線抵抗の低い方)の画素が段数がより小さいように設定されている。1個目の画素が設置されている方向からのみ電源または電流供給ドライバを供給するものとしてシミュレーションを行った。
【0072】
図11から明らかなように、電流供給ラインを接続しない場合は、1段目の画素と比べて320段目の画素では約0.25Vの電圧降下となった。これに対して電流供給ラインを列方向に相互に接続した例では、いずれも電圧降下を抑制することができており、2本ずつ接続した場合は、約半分の0.12V程度、4本ずつ接続した場合は、0.06V程度の低下であった。このように図11からも電流供給ラインを列方向連結配線で接続することで、電圧降下の抑制することができると言える。特にデータドライバが、画像データに従った電流値の電流を流すための階調電圧をデータラインLdに印加する電圧ドライバの場合、発光駆動トランジスタTr13のドレイン−ソース間を流れる電流の電流値は、各画素30における電流供給ラインLaでの電圧のばらつきが大きいほど、ばらつきが大きくなるので本実施形態のような構造にすることによって顕著な効果を奏する。
【0073】
(実施形態2)
実施形態2に係る発光装置及び発光装置の製造方法を図を用いて説明する。本実施形態の発光装置が上述した実施形態1と異なるのは、実施形態1では、ゲートラインLgをソース−ドレイン導電層上の第3のメタル層から形成する構成であったが、本実施形態では列方向連結配線が第3のメタル層から形成されている点にある。実施形態1と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0074】
図12は実施形態2に係る発光装置50の構成例を示す図である。図13は、実施形態2に係る発光装置の画素51を示す平面図であり、図14は、画素51の列方向連結配線Lcを省略して示す平面図である。また、図15は図13に示すXV−XV線断面図であり、図16は、図13に示すXVI−XVI線断面図である。
【0075】
本実施形態の発光装置50は、図12に示すように実施形態1と同様に画素基板31上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素51を一組として、この組が行方向(図12の左右方向)に繰り返し複数配列されるとともに、列方向(図12の上下方向)に同一色の画素が複数配列されている。各画素51は、実施形態1と同様にRGBそれぞれの光を発する有機EL素子21と、有機EL素子21をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。画素回路DSは、実施形態1と同様に第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。有機EL素子21は、実施形態1と同様に画素電極34と、隔壁39と、層間絶縁膜33と、絶縁層35と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、対向電極40と、を備える。
【0076】
本実施形態の画素51では、図12及び図13に示すように、列方向連結配線Lcは、列方向に隣接する画素51の電流供給ラインLaを接続する。また、列方向連結配線Lcは、図15及び図16に示すように、ソース−ドレイン導電層上に形成された第3のメタル層から形成される。ゲートラインLg、電流供給ラインLa及び発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとは、同一のソース−ドレイン導電層を用いて形成されている。このため、列方向連結配線Lcは、図13に示すように発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dに沿うように形成され、図15に示すようにドレイン電極13d上と電流供給ラインLa上では、層間絶縁膜33に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部47を介してドレイン電極13dと電流供給ラインLaに接触するように形成される。また、列方向連結配線LcとゲートラインLgとが交差する領域では層間絶縁膜33によって絶縁されている。なお、本実施形態では、列方向連結配線Lcを、ドレイン電極13dに沿うように直線状に形成する構成を例に挙げているが、電流供給ラインLaとドレイン電極13dは同電位であるため、実施形態1のように、電流供給ラインLaにも沿うように行方向にも形成し、電流供給ラインLaの低抵抗化を図ることも可能である。
【0077】
また、本実施形態では、ゲートラインLgと第2選択トランジスタTr12のゲート電極12gとは、図16に示すように、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部55を介して接続される。
【0078】
次に、本実施形態の発光装置50の製造方法を図17及び図18を用いて説明する。キャパシタ電極Cs1をパターン形成する。次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択されたゲート導電膜を形成し、これを図17(a)に示すようにトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、及びデータラインLdの形状にパターニングする。CVD法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、及びデータラインLd上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0079】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングしてオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0080】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクト部41、43を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有するソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングしてドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLa、ゲートラインLgを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。
【0081】
続いて、図17(a)に示すようにトランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。
【0082】
層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等によりゲートラインLg上を除いた列方向連結配線Lcに対応する開口を形成する。続いて、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくともいずれかから選択された第3メタル層を、真空蒸着法、スパッタ法によって形成する。次に、フォトリソグラフィによってパターニングして図17(b)に示すように列方向連結配線Lcを形成する。なお、列方向連結配線Lcは、ドレイン電極13dと電流供給ラインLaとは接触するが、ゲートラインLgとは層間絶縁膜33によって絶縁するように形成される。
【0083】
続いて、列方向連結配線Lcを覆うように、シリコン窒化膜等を有する絶縁層35を形成する。次に、絶縁層35と層間絶縁膜33とに画素電極34を露出する開口35aを形成する。
【0084】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33と絶縁層35とを覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、図18(a)に示すように隔壁39を形成する。
【0085】
続いて、実施形態1と同様に、ノズルプリンティング装置、インクジェット装置或いはロール式印刷装置によって開口部35aで囲まれた画素電極34上に正孔注入層36を形成する。なお上記湿式成膜以外でも蒸着によって正孔注入層36を形成してもよい。次に、正孔注入層36上にインターレイヤ37を形成し、インターレイヤ37上に発光層38を形成する。
【0086】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0087】
次に、複数の画素51が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、図18(b)に示すように発光装置50が製造される。
【0088】
上述したように、本実施形態では、画素51の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと、列方向に隣接する画素51の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dとを接続するように列方向連結配線Lcを形成する。これにより、複数本の電流供給ラインLaを接続することができ、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。
【0089】
(実施形態3)
実施形態3にかかる発光装置60を図を用いて説明する。上述した実施形態1及び実施形態2では、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層、第3のメタル層によって、電流供給ラインLa、データラインLd、ゲートラインLgの各配線を形成していたが、実施形態3では、ゲート導電層、ソース−ドレイン導電層の2層のみでこれらの配線を形成する点が異なる。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0090】
図19は実施形態3に係る発光装置60の構成例を示す図である。図20は、実施形態3に係る発光装置の画素61を示す平面図であり、図21(a)は、図20に示すXXIA−XXIA線断面図であり、(b)は、図20に示すXXIB−XXIB線断面図である。
【0091】
本実施形態の発光装置60は、実施形態1と同様に画素基板31上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素61を一組として、この組が行方向(図20の左右方向)に繰り返し複数配列されるとともに、列方向(図20の上下方向)に同一色の画素が複数配列されている。各画素61はRGBそれぞれの光を発する有機EL素子21と、有機EL素子をアクティブ動作させる画素回路DSとを備える。画素回路DSは、実施形態1と同様に第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13、キャパシタCs、有機EL素子21と、を備える。有機EL素子21は、実施形態1と同様に画素電極34と、層間絶縁膜33と、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38と、隔壁39と、対向電極40と、を備える。
【0092】
本実施形態では、図20に示すように、発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dを列方向に延伸させ、隣接する画素61のドレイン電極13dと接続させ、ドレイン電極13dを列方向連結配線Lcとして機能させる。このようにドレイン電極13dが複数の画素にわたって延びるように形成されるため、本実施形態では列方向連結配線Lc(ドレイン電極13d)とゲートラインLgとが交わることがないよう、ゲートラインLgをデータラインLdと同層であり、絶縁膜32下に形成されたゲート導電層を用いて形成する。なお、ゲートラインLgをゲート導電層を用いて形成すると、図20の左下に示すようにゲートラインLgとデータラインLdとが交差する領域が生ずる。このため、図21(b)に示すように、絶縁膜32に設けられたコンタクト部66,67と、ソース−ドレイン導電層から形成する迂回配線65と、を用いることでゲートラインLgを絶縁膜32上に迂回させ、ゲートラインLgとデータラインLdとの絶縁を図っている。
【0093】
次に、本実施形態の発光装置60の製造方法を説明する。
まず、キャパシタ電極Cs1をパターン形成する。次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、AlNdTi合金膜、MoNb合金膜等の少なくとも何れかを含むゲート導電膜を形成し、これをトランジスタTr12及びTr13のゲート電極12g,13g、データラインLd、及びゲートラインLgの形状にパターニングする。次に、CVD法等によりゲート電極12g,13g、キャパシタ電極Cs1、データラインLd、及びゲートラインLg上に絶縁膜32、アモルファスシリコン膜、窒化シリコン膜を連続して堆積し、窒化シリコン膜をパターニングして保護絶縁膜122,132を形成する。
【0094】
次にn型不純物が含まれたアモルファスシリコン膜をCVD法等により堆積後、パターニングしてオーミックコンタクト層124,125,134,135を形成し、アモルファスシリコン膜をパターニングしてトランジスタTr12及びTr13の半導体層121,131を形成する。次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ボトムエミッション型の場合、ITO等の透明導電膜を、トップエミッション型の場合、光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34を形成する。
【0095】
続いて、絶縁膜32の所定の領域に、コンタクト部66,67に対応する貫通孔を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等を有するソース−ドレイン導電層をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングする。これにより、コンタクト部66,67、迂回配線65、ドレイン電極12d、13d及びソース電極12s,13s、電流供給ラインLaを形成する。このとき、発光駆動トランジスタTr13のソース電極13s及び第2選択トランジスタTr12のドレイン電極12dはそれぞれ画素電極34の一部と重なるように形成される。
【0096】
続いて、トランジスタTr12,Tr13等を覆うようにシリコン窒化膜を有する層間絶縁膜33をCVD法等により形成する。次に、層間絶縁膜33に、フォトリソグラフィ等により、開口35aを形成し、画素電極34を露出させる。
【0097】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜33を覆うように塗布し、隔壁39の形状に対応するマスクを介して露光、現像、焼成することによってパターニングし、隔壁39を形成する。続いて、実施形態1と同様に、開口部35aで囲まれた画素電極34上に正孔注入層36を形成する。次に、正孔注入層36上にインターレイヤ37を形成し、インターレイヤ37上に発光層38を形成する。
【0098】
ボトムエミッション型の場合、発光層38まで形成した画素基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する層と、Al等の光反射性導電層を有する2層構造の対向電極40を形成する。トップエミッション型の場合、対向電極40は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料を有する光透過性低仕事関数層と、その上に形成された100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造となる。
【0099】
次に、複数の画素61が形成された表示領域の外側において、画素基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂を有する封止樹脂を塗布し、画素基板31と封止基板とを貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて画素基板31と封止基板とを接合する。
以上の工程により、発光装置60が製造される。
【0100】
上述したように、本実施形態では、画素61の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dを延伸するように形成し、列方向に隣接する画素61の発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと接続させ、列方向連結配線Lcとして機能させる。これにより、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。更に、本実施形態では、ゲートラインLgを、データラインLdを形成するゲート導電層を用いて形成し、ゲートラインLgとデータラインLdとが交差する領域では、ソース−ドレイン導電層を用いて形成された迂回配線65によってゲートラインLgを迂回させる。このように、ゲートラインLgを迂回させることにより、ゲート導電層とソース−ドレイン導電層との2つの金属層のみで、電流供給ラインLaを列方向連結配線Lcによって接続することができ、電流供給ラインLaの電圧降下を良好に抑制することができる。
【0101】
なお、上述した実施形態3では、ゲートラインLgをゲート導電層を用いて形成する場合を例に挙げたが、これに限られず、例えば図22に示すように、ゲートラインLgを上述した実施形態2と同様に、ソース−ドレイン導電層を用いて形成し、列方向連結配線Lc及び電流供給ラインLaをソース−ドレイン導電層を用いて形成してもよい。この場合は、図20の右下に相当する領域で、列方向連結配線LcとゲートラインLgとが交差することとなるため、ゲートラインLgを列方向連結配線Lc付近で断線させ、列方向連結配線Lcの左右にそれぞれ位置するゲートラインLgの各端同士を、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部を介して実施形態3と同様にゲート導電層を用いてパターニングされた迂回配線71に接続させるとよい。
【0102】
また、データラインLdと列方向連結配線Lcについては、有機EL素子の発光を制御する表示信号の伝達に直接関連しており、電圧降下が生じないことが好ましい配線であるが、有機EL素子の発光に影響が少ない場合は、例えば実施形態3で、ゲートラインLgではなくデータラインLdを迂回させることも可能であるし、図23に示すように、ソース−ドレイン導電層を用いて形成された列方向連結配線Lcを、絶縁膜32に設けられたコンタクトホールであるコンタクト部を介して、ゲート導電層を用いて形成された迂回配線72によって迂回させることも可能である。
【0103】
(実施形態4)
実施形態4にかかる発光装置70を図24〜図26を用いて説明する。実施形態4では、隣接する行間の列方向連結配線Lcにスイッチング素子としてスイッチトランジスタTr14を設けている点で実施形態1〜実施形態3と異なる。また、電流供給ラインLaは、d行(dは2以上の整数)単位で分割されておらず、行間の列方向連結配線Lc及びスイッチトランジスタTr14を介して全行が連結されている。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
i行目のスイッチトランジスタTr14は、ドレイン電極がi行目の電流供給ラインLaに接続された列方向連結配線Lcに接続され、ソース電極が(i+1)行目の電流供給ラインLaに接続された列方向連結配線Lcに接続され、ゲート電極がi行目の制御配線Lsに接続されている。すなわち、制御配線Lsは画素がn行の場合、(n−1)本配置されている。このため、i行目の制御配線Lsに、オンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLa及び(i+1)行目の電流供給ラインLaが導通し、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLa及び(i+1)行目の電流供給ラインLaが導通しなくなる。ここで電流供給ラインLaがd行(dは2以上の整数)単位で相互に接続するようにするためには、図26に示すように、i行目のゲートラインLgがオンレベルONの走査信号電圧が印加されているときに、i行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されてi行目の電流供給ラインLaが(i+1)行目の電流供給ラインLaと導通しなくなり、且つ(i−d)行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されて(i−d)行目の電流供給ラインLaが(i−d−1)行目の電流供給ラインLaと導通しなくなり、且つi行目及び(i−d)行目以外の全ての制御配線LsにはオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加される。
【0105】
そして、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されると、i行目の電流供給ラインLaに印加される電圧はハイレベルHからローレベルLに切り替わり、その後、(i+d−1)行目のゲートラインLgに印加される走査信号電圧がオンレベルONからオフレベルOFFに切り替わるまでの間、ローレベルLの電圧が印加され続けるよう電源または電流供給ドライバが設定されている。そして、(i+d)行目のゲートラインLgに印加される走査信号電圧がオフレベルOFFからオンレベルONに切り替わると、i行目の電流供給ラインLaに印加される電圧はローレベルLからハイレベルHに切り替わるよう電源または電流供給ドライバが設定されている。
【0106】
換言すれば、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、(i−d+1)行目〜(i−1)行目の制御配線LsにオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されて、(i−d+1)行目〜i行目間の(d−1)個のスイッチトランジスタTr14がONされるため(i−d+1)行目〜i行目間の列方向連結配線Lcが導通するので(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaが相互に導通し、ローレベルLの電位が印加される。そしてi行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、(i−d)行目及びi行目の制御配線LsにオフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されて、(i−d)行目及びi行目のスイッチトランジスタTr14がOFFされるため、(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaは、それ以外の行の電流供給ラインLaと導通しない。また、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されるとき、1行目〜(i−d−1)行目の制御配線Ls及び(i+1)行目〜(n−1)行目の制御配線LsにはオンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されて1行目〜(i−d−1)行目の制御配線Ls及び(i+1)行目〜(n−1)行目のスイッチトランジスタTr14がONされるため、1行目〜(i−d)行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位が印加され、(i+1)行目〜n行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位が印加される。
【0107】
このように、i行目のゲートラインLgにオンレベルONの走査信号電圧が印加されている間、d本の(i−d+1)行目〜i行目の電流供給ラインLaが相互に接続されるので、グループ書込み電圧期間TWRに印加されるローレベルLの電位の電圧降下を抑制でき、さらに、1行目〜(i−d)行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位の電圧降下を抑制でき、(i+1)6行目〜n行目の電流供給ラインLaが互いに導通してハイレベルHの電位の電圧降下を抑制できる。
【0108】
(実施形態5)
実施形態5にかかる発光装置80を図27〜図29を用いて説明する。実施形態5では、列方向連結配線Lcにおいて、d行(dは2以上の整数)毎に1つのスイッチトランジスタTr14がスイッチング素子として設けられている。(p×d)行目の画素30(pは正の整数)と(p×d+1)行目の画素30との間列方向連結配線Lc、具体的には、d行目の画素30と(d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、2d行目の画素30と(2d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、3d行目の画素30と(3d+1)行目の画素30との間の列方向連結配線Lc、……にそれぞれスイッチトランジスタTr14が設けられ、各スイッチトランジスタTr14のソース、ドレイン電極が上下の列方向連結配線Lcにそれぞれ接続されている。このため、各スイッチトランジスタTr14は、(p×d)行目の電流供給ラインLaと{p×(d+1)}行目の電流供給ラインLaとの導通、非導通を制御する(pは正の整数)。図27〜図29は、dを4とした例の図である。また、電流供給ラインLaは、列方向連結配線Lc及びスイッチトランジスタTr14を介して列方向に接続されている。上述した各実施形態と共通する部分については同一の引用番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0109】
電流供給ラインLaに接続される電流供給ドライバは、図29に示すように、d行分の電流供給ラインLaを単位として同じ電圧を印加する。すなわち、電流供給ドライバは、d行分の電流供給ラインLa毎にグループ書込み電圧期間TWRにローレベルの電圧Lを出力した後、グループ発光電圧期間TEMにハイレベルの電圧Hを出力する。グループ書込み電圧期間TWRは、{(p−1)×d+1}行目〜p×d行目、つまり、1行目〜d行目、(d+1)行目〜2d行目、(2d+1)行目〜3d行目、……、(n−d+1)〜n行目毎に順次シフトされる。
各制御配線Lsは、電源または制御配線ドライバに接続され、電源または制御配線ドライバは、(p×d)行目の電流供給ラインLaと{p×(d+1)}行目の電流供給ラインLaとの間の列方向連結配線LcのスイッチトランジスタTr14のゲート電極に接続された制御配線Lsに対して、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び次のグループの(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWRに、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧を出力し、それ以外の期間にオンレベルONのスイッチ信号電圧を出力する。
【0110】
(p×d)行目の制御配線Lsに、オンレベルONのスイッチ信号電圧が印加されると、(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目の電流供給ラインLaが導通し、オフレベルOFFのスイッチ信号電圧が印加されると、(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目の電流供給ラインLaが導通しなくなる。
このため、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaは、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び次のグループの(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaと非導通になる。したがって、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLa及び(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaは、{(p−1)×d+1}行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、それぞれ電圧をローレベルL、ハイレベルHに維持することができ、(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、それぞれ電圧をハイレベルH、ローレベルLに維持することができる。
【0111】
(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaにおいて見ると、その上のグループの(p−1)×d+1行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaに対して、(p−1)×d+1行目〜(p×d)行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び当該(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、印加電圧が異なるように、(p×d)行のトランジスタTr14をオフし、その下のグループの{(p+1)×d+1}行目〜{(p+2)×d}行目の電流供給ラインLaに対して、当該(p×d+1)行目〜{(p+1)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR及び{(p+1)×d+1}行目〜{(p+2)×d}行目の電流供給ラインLaのグループ書込み電圧期間TWR中、印加電圧が異なるように、{(p+1)×d}行のスイッチトランジスタTr14をオフする。換言すれば、あるグループの電流供給ラインLaは隣接するグループの電流供給ラインLaに対して異なる電位であれば、隣接するグループ間のスイッチトランジスタTr14をオフして相互に非導通にし、同電位であれば、隣接するグループ間のスイッチトランジスタTr14をオンして相互に導通し低抵抗化を図ることができる。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態1では、導電層48を電流供給ラインLaを全て覆うように形成し、且つ発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13d上に形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、導電層48は電流供給ラインLa上において各画素ごとに分離するように形成しても良い。また、ドレイン電極13dのみを覆うように形成しても良い。
【0113】
また、上述した実施形態2では、列方向連結配線Lcを発光駆動トランジスタTr13のドレイン電極13dと重なるように列方向に形成する例を挙げて説明したが、上述した実施形態1の導電層48のように、列方向連結配線Lcを電流供給ラインLa上にも形成してもよい。
【0114】
上述した各実施形態では、画素回路DSは第1選択トランジスタTr11、第2選択トランジスタTr12、発光駆動トランジスタTr13の合計3つのトランジスタを備える例を挙げて説明したが、これに限られず、図30に示す画素回路DS2のように、選択トランジスタTr21と、発光駆動トランジスタTr22との、2つのトランジスタを備えるものであってもよい。
【0115】
また、上述した各実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子21の表示光を対向電極40を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。
【0116】
上述した各実施形態では、発光装置は表示装置であったが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッドにも適用できる。
【0117】
上記した各実施形態では、正孔注入層36と、インターレイヤ37と、発光層38とを備えた有機EL素子であったが、キャリア輸送層の組合せはこれに限らず、例えば正孔注入層36及び発光層38のみのように2層構造でもよく、発光層が正孔注入層を兼ねた単層構造でもよく、発光層を含むキャリア輸送層が4層以上の層構造であってもよい。
上記した各実施形態では、有機EL素子21を適用したが、LED等その他の発光素子を適用してもよい。
【0118】
上記した各実施形態は、整合性がある限り各実施形態の構成を任意の組合せてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10,50,60,70,80・・・発光装置、30,51,61・・・画素、21・・・有機EL素子、31・・・画素基板、32・・・絶縁膜、33・・・層間絶縁膜、34・・・画素電極、35・・・絶縁層、36・・・正孔注入層、37・・・インターレイヤ、38・・・発光層、39・・・隔壁、40・・・対向電極、41,42,43,44,49,55,66,67・・・コンタクト部、48・・・導電層、Cs・・・キャパシタ、Cs1・・・キャパシタ電極、La・・・電流供給ライン、Lc・・・列方向連結配線、Ld・・・データライン、Lg・・・ゲートライン、Tr11・・・第1選択トランジスタ、Tr12・・・第2選択トランジスタ、Tr13・・・発光駆動トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と対向電極との間に発光層を有する発光素子を備える発光装置において、
ゲート電極がゲートラインに接続された第1選択トランジスタと、
ゲート電極が前記ゲートラインに接続され、ソース電極がデータラインに接続された第2選択トランジスタと、
ゲート電極が前記第1選択トランジスタのソース電極に接続され、ドレイン電極が前記第1選択トランジスタのドレイン電極に接続された発光駆動トランジスタと、
を有し、
前記発光駆動トランジスタのソース電極及び前記第2選択トランジスタのドレイン電極は互いに分離され、且つ前記画素電極を介して互いに接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光駆動トランジスタの前記ソース電極は前記画素電極の第一の辺側に配置され、
前記第2選択トランジスタの前記ドレイン電極は前記画素電極の前記第一の辺に対向する第二の辺側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1選択トランジスタは、前記第1の辺側に配置されることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項1】
画素電極と対向電極との間に発光層を有する発光素子を備える発光装置において、
ゲート電極がゲートラインに接続された第1選択トランジスタと、
ゲート電極が前記ゲートラインに接続され、ソース電極がデータラインに接続された第2選択トランジスタと、
ゲート電極が前記第1選択トランジスタのソース電極に接続され、ドレイン電極が前記第1選択トランジスタのドレイン電極に接続された発光駆動トランジスタと、
を有し、
前記発光駆動トランジスタのソース電極及び前記第2選択トランジスタのドレイン電極は互いに分離され、且つ前記画素電極を介して互いに接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光駆動トランジスタの前記ソース電極は前記画素電極の第一の辺側に配置され、
前記第2選択トランジスタの前記ドレイン電極は前記画素電極の前記第一の辺に対向する第二の辺側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1選択トランジスタは、前記第1の辺側に配置されることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−65178(P2011−65178A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248249(P2010−248249)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2009−157185(P2009−157185)の分割
【原出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2009−157185(P2009−157185)の分割
【原出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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