発光装置
【課題】発光素子を被覆する保護膜を比較的容易に形成すること。
【解決手段】基板10に設けたEL素子8(発光領域R)をパッシベーション膜14で覆い、そのパッシベーション膜14とともにEL素子8(発光領域R)を、封止基板22と基板10の間に封止材15によって全固体封止してなるELパネル1において、より少ないスパッタ電力で成膜可能なAl4BaO7−δ薄膜をパッシベーション膜14に適用することによって、パッシベーション膜14を形成し、そのパッシベーション膜14でEL素子8を良好に被覆して保護するようにした。
【解決手段】基板10に設けたEL素子8(発光領域R)をパッシベーション膜14で覆い、そのパッシベーション膜14とともにEL素子8(発光領域R)を、封止基板22と基板10の間に封止材15によって全固体封止してなるELパネル1において、より少ないスパッタ電力で成膜可能なAl4BaO7−δ薄膜をパッシベーション膜14に適用することによって、パッシベーション膜14を形成し、そのパッシベーション膜14でEL素子8を良好に被覆して保護するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を用いた発光装置であるELディスプレイ装置が用いられている。ELディスプレイ装置には複数のEL素子が備えられており、各EL素子に供給する電流を制御するアクティブマトリクス方式によって、ELディスプレイ装置は様々な画像や映像を表示する。
このELディスプレイ装置の発光表示性能を長期間安定させるために、EL素子が水蒸気などのガス成分によって劣化してしまわないように、EL素子をパッケージ内に封止する技術が知られており、特に基板と封止基板の間に封止するEL素子の周囲をさらに保護膜で被覆したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−270295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、保護膜にピンホールが生じてしまうと、ガス成分がピンホールを通じて保護膜を通過してしまうので、ピンホールが生じないように保護膜を成膜するために、成膜温度などの条件を厳密に管理する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、発光素子を被覆する保護膜を比較的容易に形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、
第一基板と、
前記第一基板の一面側に設けられ、複数の発光素子が配列されてなる発光領域と、
前記第一基板の前記一面側の、前記発光素子を被覆する保護膜と、
を備え、
前記保護膜は、Al4BaO7−δを含むことを特徴とする。
好ましくは、前記δは0以上で2未満の値を有する。
好ましくは、一面側が前記第一基板の前記一面側に対向して設けられた第二基板と、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間に設けられて、前記発光領域を封止する封止材と、を備える。
好ましくは、前記封止材は、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間の、少なくとも前記発光領域に対応する領域を空洞無く満たして、前記保護膜を被覆している。
好ましくは、前記保護膜は、スパッタリングによって形成されている。
好ましくは、前記保護膜の膜厚が、600nm以上1000nm以下である。
好ましくは、前記保護膜の膜応力が、−50MPa以上+50MPa以下である。
好ましくは、前記保護膜におけるAl4BaO7−δの酸化量を、その保護膜の厚さ方向に異ならせている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子を被覆する保護膜を比較的容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ELパネルの画素の配置構成を示す平面図である。
【図2】ELパネルの概略構成を示す平面図である。
【図3】ELパネルの1画素に相当する回路を示した回路図である。
【図4】ELパネルの1画素を示した平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った面の矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。
【図7】ELパネルの封止構造の概略を示す断面図である。
【図8】Al4BaO7−δの絶縁性に関する測定結果を示す説明図である。
【図9】Al4BaO7−δの成膜性に関する測定結果を示す説明図である。
【図10】Al4BaO7−δの膜応力に関する測定結果を示す説明図である。
【図11】ELパネルの封止構造の変形例を示す概略断面図である。
【図12】表示パネルにELパネルが適用された携帯電話機の一例を示す正面図である。
【図13】表示パネルにELパネルが適用されたデジタルカメラの一例を示す正面側斜視図(a)と、後面側斜視図(b)である。
【図14】表示パネルにELパネルが適用されたパーソナルコンピュータの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、発光装置であるELパネル1における複数の画素Pの配置構成を示す平面図であり、図2は、ELパネル1の概略構成を示す平面図である。
【0011】
図1、図2に示すように、ELパネル1には、複数の画素Pが所定のパターンでマトリクス状に配置されている。複数の画素Pは、R(赤)を発光する赤画素Pと、G(緑)を発光する緑画素Pと、B(青)を発光する青画素Pと、を有している。
このELパネル1には、複数の走査線2が行方向に沿って互いに略平行となるよう配列され、複数の信号線3が平面視して走査線2と略直交するよう列方向に沿って互いに略平行となるよう配列されている。また、隣り合う走査線2の間において電圧供給線4が走査線2に沿って設けられている。そして、これら互いに隣接する二本の走査線2と、互いに隣接する二本の信号線3と、によって囲われる範囲が、画素Pに相当する。
また、ELパネル1には、走査線2、信号線3、電圧供給線4の上方を覆うように、隔壁であるバンク13が設けられている。このバンク13は例えば格子状に設けられ、バンク13によって囲われてなる略長方形状の複数の開口部13aが画素Pごとに形成されている。このバンク13の開口部13a内に所定のキャリア輸送層(後述する正孔注入層8b、発光層8c)が設けられ、各画素Pにおける発光素子(後述するEL素子8)となる。キャリア輸送層とは、電圧が印加されることによって正孔又は電子を輸送する層である。そして、バンク13において開口部13aが配列され、画素Pが配列されてなる領域がELパネル1の発光領域Rに相当する。なお、バンク13は、上述のように、画素Pごとに開口部13aを設けるものに限るものではなく、信号線3上を覆い且つ列方向に沿って延在するとともに、列方向に並んだ後述する複数の画素Pの各画素電極8aの中央部をまとめて露出するようなストライプ状の開口部を有しているものであってもよい。
【0012】
図3は、アクティブマトリクス駆動方式で動作するELパネル1の1画素に相当する回路の一例を示した回路図である。
【0013】
図3に示すように、ELパネル1には、走査線2と、走査線2と交差する信号線3と、走査線2に沿う電圧供給線4とが設けられており、このELパネル1の1画素Pにつき、薄膜トランジスタであるスイッチトランジスタ5と、薄膜トランジスタである駆動トランジスタ6と、キャパシタ7と、EL素子8とが設けられている。
【0014】
各画素Pにおいては、スイッチトランジスタ5のゲートが走査線2に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの一方が信号線3に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの他方がキャパシタ7の一方の電極及び駆動トランジスタ6のゲートに接続されている。駆動トランジスタ6のソースとドレインのうちの一方が電圧供給線4に接続され、駆動トランジスタ6のソースとドレインのうち他方がキャパシタ7の他方の電極及びEL素子8のアノードに接続されている。なお、全ての画素PのEL素子8のカソードは、一定電圧Vcomに保たれている(例えば、接地されている)。
【0015】
また、このELパネル1の周囲において各走査線2が走査ドライバに接続され、各電圧供給線4が一定電圧を出力する電圧源又は適宜電圧信号を出力する電圧ドライバに接続され、各信号線3がデータドライバに接続されており、これらドライバによってELパネル1がアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。電圧供給線4には、電圧源による一定電圧又は電圧ドライバによる電圧信号が供給される。
【0016】
次に、ELパネル1と、その画素Pの回路構造について、図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、ELパネル1の1画素Pに相当する平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った面の矢視断面図、図6は、図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。なお、図4においては、電極及び配線を主に示す。
【0017】
図4に示すように、スイッチトランジスタ5及び駆動トランジスタ6は、信号線3に沿うように配列され、スイッチトランジスタ5の近傍にキャパシタ7が配置され、駆動トランジスタ6の近傍にEL素子8が配置されている。また、各画素Pにおいて、走査線2と電圧供給線4の間に、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7及びEL素子8が配置されている。
【0018】
図4〜図6に示すように、透明な第一基板である基板10上に信号線3とゲート電極5a、6aが設けられ、基板10上の一面にスイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6のゲート絶縁膜となる第一絶縁膜11が成膜されている。その第一絶縁膜11の上に走査線2及び電圧供給線4が形成され、スイッチトランジスタ5と駆動トランジスタ6及び走査線2と電圧供給線4を覆うように第二絶縁膜12が成膜されている。このため、信号線3は第一絶縁膜11と基板10との間に形成され、走査線2及び電圧供給線4は第一絶縁膜11と第二絶縁膜12との間に形成されている。
【0019】
図4、図6に示すように、スイッチトランジスタ5は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。このスイッチトランジスタ5は、ゲート電極5a、半導体膜5b、保護絶縁膜5d、不純物半導体膜5f,5g、ドレイン電極5h、ソース電極5i等を有するものである。
【0020】
ゲート電極5aは、基板10と第一絶縁膜11の間に形成されている。このゲート電極5aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。また、ゲート電極5aの上に絶縁性の第一絶縁膜11が成膜されており、その第一絶縁膜11によってゲート電極5aが被覆されている。
第一絶縁膜11は、例えば、光透過性を有し、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有する。この第一絶縁膜11上であってゲート電極5aに対応する位置に真性な半導体膜5bが形成されており、半導体膜5bが第一絶縁膜11を挟んでゲート電極5aと相対している。
半導体膜5bは、例えば、マイクロクリスタルシリコン(微結晶シリコン)からなるか、マイクロクリスタルシリコン及びアモルファスシリコンを含み、この半導体膜5bにチャネルが形成される。また、半導体膜5bの中央部上には、絶縁性の保護絶縁膜5dが形成されている。この保護絶縁膜5dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有することが好ましい。
また、半導体膜5bの一端部の上には、不純物半導体膜5fが一部保護絶縁膜5dに重なるようにして形成されており、半導体膜5bの他端部の上には、不純物半導体膜5gが一部保護絶縁膜5dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜5f,5gはそれぞれ半導体膜5bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜5f,5gはn型半導体であるが、これに限らず、スイッチトランジスタ5がp型トランジスタであれば、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜5fの上には、ドレイン電極5hが形成されている。不純物半導体膜5gの上には、ソース電極5iが形成されている。ドレイン電極5h,ソース電極5iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。
保護絶縁膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iの上には、絶縁性の第二絶縁膜12が成膜され、保護絶縁膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iが第二絶縁膜12によって被覆されている。そして、スイッチトランジスタ5は、第二絶縁膜12によって覆われるようになっている。第二絶縁膜12は、例えば、窒化シリコン又は酸化シリコンを含有する。
【0021】
図4、図5に示すように、駆動トランジスタ6は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。この駆動トランジスタ6は、ゲート電極6a、半導体膜6b、保護絶縁膜6d、不純物半導体膜6f,6g、ドレイン電極6h、ソース電極6i等を有するものである。
【0022】
ゲート電極6aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましく、ゲート電極5aと同様に基板10と第一絶縁膜11の間に形成されている。そして、ゲート電極6aは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含む第一絶縁膜11によって被覆されている。
この第一絶縁膜11の上であって、ゲート電極6aに対応する位置に、チャネルが形成される真性な半導体膜6bが設けられており、この半導体膜6bが第一絶縁膜11を挟んでゲート電極6aと相対している。半導体膜6bは、例えば、マイクロクリスタルシリコン(微結晶シリコン)からなるか、マイクロクリスタルシリコン及びアモルファスシリコンを含む。
半導体膜6bの中央部上には、絶縁性の保護絶縁膜6dが形成されている。この保護絶縁膜6dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有することが好ましい。
また、半導体膜6bの一端部の上には、不純物半導体膜6fが一部保護絶縁膜6dに重なるようにして形成されており、半導体膜6bの他端部の上には、不純物半導体膜6gが一部保護絶縁膜6dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜6f,6gはそれぞれ半導体膜6bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜6f,6gはn型半導体であるが、これに限らず、駆動トランジスタ6がp型トランジスタであれば、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜6fの上には、ドレイン電極6hが形成されている。不純物半導体膜6gの上には、ソース電極6iが形成されている。ドレイン電極6h,ソース電極6iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。
保護絶縁膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iの上には、絶縁性の第二絶縁膜12が成膜され、保護絶縁膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iが第二絶縁膜12によって被覆されている。そして、駆動トランジスタ6は、第二絶縁膜12によって覆われるようになっている。
【0023】
キャパシタ7は、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間に接続されている。具体的には、キャパシタ7の電極7aは、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに接続され、キャパシタ7の電極7bは、駆動トランジスタ6のソース電極6iに接続されている。そして、図4、図6に示すように、基板10と第一絶縁膜11との間にキャパシタ7の一方の電極7aが形成され、第一絶縁膜11と第二絶縁膜12との間にキャパシタ7の他方の電極7bが形成され、電極7aと電極7bが誘電体である第一絶縁膜11を挟んで相対している。
【0024】
なお、信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート電極5a及び駆動トランジスタ6のゲート電極6aは、基板10に一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで一括して形成されたものである。
また、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iは、第一絶縁膜11に一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで形成されたものである。
【0025】
また、第一絶縁膜11には、ゲート電極5aと走査線2とが重なる領域にコンタクトホール11aが形成され、ドレイン電極5hと信号線3とが重なる領域にコンタクトホール11bが形成され、ゲート電極6aとソース電極5iとが重なる領域にコンタクトホール11cが形成されており、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cがそれぞれ埋め込まれている。コンタクトプラグ20aによってスイッチトランジスタ5のゲート電極5aと走査線2が電気的に導通し、コンタクトプラグ20bによってスイッチトランジスタ5のドレイン電極5hと信号線3が電気的に導通し、コンタクトプラグ20cによってスイッチトランジスタ5のソース電極5iとキャパシタ7の電極7aが電気的に導通するとともにスイッチトランジスタ5のソース電極5iと駆動トランジスタ6のゲート電極6aが電気的に導通する。なお、コンタクトプラグ20a〜20cを介することなく、走査線2が直接ゲート電極5aと接触し、ドレイン電極5hが信号線3と接触し、ソース電極5iがゲート電極6aと接触してもよい。
また、駆動トランジスタ6のゲート電極6aがキャパシタ7の電極7aに一体に連なっており、駆動トランジスタ6のドレイン電極6hが電圧供給線4に一体に連なっており、駆動トランジスタ6のソース電極6iがキャパシタ7の電極7bに一体に連なっている。
【0026】
画素電極8aは、第一絶縁膜11を介して基板10上に設けられており、画素Pごとに独立して形成されている。画素電極8a側からEL素子8の光を出射するボトムエミッション構造であれば、この画素電極8aは透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)の中から選択された材料で形成されることが好ましい。また、対向電極8d側からEL素子8の光を出射するトップエミッション構造の場合、画素電極8aは、高い光反射性のアルミ等の単体又は合金層を下層として光反射性層とし、上層として上述の透明電極の積層構造とすることが好ましい。なお、画素電極8aは一部、駆動トランジスタ6のソース電極6iに重なり、画素電極8aとソース電極6iが接続している。
そして、図4、図5に示すように、第二絶縁膜12が、走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8aの周縁部、キャパシタ7の電極7b及び第一絶縁膜11を覆うように形成されている。つまり第二絶縁膜12には、各画素電極8aの中央部が露出するように開口部12aが形成されている。そのため、第二絶縁膜12は平面視して格子状に形成されている。
【0027】
EL素子8は、図4、図5に示すように、アノードとなる画素電極8aと、画素電極8aの上に形成された化合物膜である正孔注入層8bと、正孔注入層8bの上に形成された化合物膜である発光層8cと、発光層8cの上に形成されたカソードとなる対向電極8dとを備えている。対向電極8dは全画素Pに共通の単一電極であって、全画素Pに連続して形成されている。
【0028】
正孔注入層8bは、例えば、導電性高分子であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)及びドーパントであるPSS(polystyrene sulfonate;ポリスチレンスルホン酸)からなる層であって、画素電極8aから発光層8cに向けて正孔を注入するキャリア注入層である。
発光層8cは、画素P毎にR(赤),G(緑),B(青)のいずれかを発光する材料を含み、例えば、ポリフルオレン系発光材料やポリフェニレンビニレン系発光材料からなる層であって、対向電極8dから供給される電子と、正孔注入層8bから注入される正孔との再結合に伴い発光する。このため、R(赤)を発光する画素P、G(緑)を発光する画素P、B(青)を発光する画素Pは互いに発光層8cの発光材料が異なる。なお、画素PのR(赤),G(緑),B(青)のパターンは格子パターンに限らず、デルタ配列であってもよく、また縦方向に同色画素が配列されるストライプパターンであってもよい。ストライプパターンの場合、バンク13の開口部13aは、列方向に沿って複数の画素Pの画素電極8aの中央部をまとめて露出するようなストライプ状となる。
【0029】
対向電極8dは、画素電極8aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、インジウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金の下層及びシート抵抗を下げるための上層の積層体で形成されている。上層は、対向電極8d側からEL素子8の光を出射するトップエミッション構造の場合、透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)の中から選択された材料で形成されることが好ましく、画素電極8a側からEL素子8の光を出射するボトムエミッションであれば、高い光反射性のアルミ等の単体又は合金層が好ましい。
この対向電極8dは全ての画素Pに共通した電極であり、発光層8cなどの化合物膜とともに後述するバンク13を被覆している。
【0030】
このように、第二絶縁膜12及びバンク13によって発光部位となる発光層8cが画素Pごとに仕切られている。
そして、バンク13の開口部13a内において、キャリア輸送層としての正孔注入層8b及び発光層8cが、画素電極8a上に積層されている。なお、正孔注入層8bは、複数の画素Pに跨るように連続して形成されていてもよい。この場合、正孔注入性のある酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0031】
具体的には、バンク13は、正孔注入層8bや発光層8cを湿式法により、バンク13で囲まれた画素Pに対応する所定の領域に形成するに際して、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体が、バンク13を介して隣接する画素Pに流出しないように堰き止める隔壁として機能する。
例えば、図5に示すように、第二絶縁膜12の上に設けられたバンク13の開口部13aの開口端は、第2絶縁膜12の開口部12aの開口端より内側に位置しているため、バンク13は、第2絶縁膜12の全面を覆っている。なお、第二絶縁膜12をバンク13よりも幅広とした構造にすることによって、開口部13aが開口部12aより幅広となり、第2絶縁膜12の開口部12の開口端における側面が、バンク13の開口部13aから露出するようにしてもよい。
そして、各開口部13aに囲まれた各画素電極8a上に、正孔注入層8bとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第1のキャリア輸送層である正孔注入層8bとなる。
さらに、各開口部13aに囲まれた各正孔注入層8b上に、発光層8cとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第2のキャリア輸送層である発光層8cとなる。
なお、この発光層8cとバンク13を被覆するように対向電極8dが設けられている。
【0032】
このバンク13の開口部13aに応じて、複数のEL素子8(画素P)が配列された領域が、ELパネル1の発光領域Rとなる。
そして、このELパネル1においては、ボトムエミッション構造の場合、画素電極8a、基板10及び第一絶縁膜11が透明であり、発光層8cから発した光が画素電極8a、第一絶縁膜11及び基板10を透過して出射する。そのため、基板10の裏面が表示面となる。
なお、基板10側ではなく、反対側が表示面となるトップエミッション構造でもよい。この場合、上述したように対向電極8dを透明電極とし、画素電極8aを反射電極として、発光層8cから発した光が対向電極8dを透過して出射する。
【0033】
また、図5から図7に示すように、基板10の上面側には、対向電極8d及びバンク13を被覆するパッシベーション膜14が設けられている。なお、図7に示すELパネル1においては、基板10上の第一絶縁膜11、第二絶縁膜12、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8a等の図示を省略しており、ELパネル1を簡略的に図示している。
【0034】
パッシベーション膜14は、絶縁性の保護膜であり、ELパネル1の発光領域Rを保護するように覆っている。
パッシベーション膜14は、例えば、Al4Ba(四アルミニウム化バリウム)をターゲットにしたスパッタリングにより形成された薄膜であり、Al4Baの酸化物であるAl4BaO7−δを含み、例えば、600nm以上1000nm以下の膜厚を有している。膜厚を600nm以上に成膜したパッシベーション膜14であれば、ピンホールが発生することは殆ど無く、水分が透過しない程度に緻密な保護膜となり、発光領域R(EL素子8)を良好に保護することができる。
このパッシベーション膜14の膜厚は600nm以上であるが、Al4BaO7−δを含んだパッシベーション膜14の膜応力は、−50MPa以上+50MPa以下であり、比較的広い範囲に成膜することに適した保護膜であるといえる。つまり、このパッシベーション膜14は、その膜応力の絶対値が50(MPa)以下であるため、亀裂などの膜損傷が生じ難いので、大型のELパネル1の基板10において比較的広い範囲に亘る発光領域R(複数のEL素子8)を保護する保護膜として適している。
さらに、パッシベーション膜14は、対向電極8dやELパネル1の周縁側に設けられた各種配線16を覆うので、電極や配線のショートを防ぐ上で絶縁性が要求される。このパッシベーション膜14の素材であるAl4BaO7−δは優れた絶縁性能を有しているので、Al4BaO7−δからなるパッシベーション膜14は、絶縁性の保護膜として好適に機能する。
【0035】
また、図5から図7に示すように、第二基板である封止基板22が、基板10の上面側の発光領域Rに対向する配置に封止材15によって固着されている。
封止材15は、パッシベーション膜14の表面全体を被覆するように設けられており、パッシベーション膜14の被膜性を補うように、保護膜の一部として機能する。
この封止材15は、封止基板22と基板10(パッシベーション膜14)の間を空洞無く満たしており、EL素子8(発光領域R)を封止基板22と基板10の間に封止している。つまり、EL素子8(発光領域R)は、封止基板22と基板10と封止材15とによるパッケージ内に全固体封止されている。
【0036】
なお、封止材15は当初、封止基板22の下面に配されたラミネートフィルム状の形体を成している。そのラミネートフィルムを溶融させた状態で基板10及びパッシベーション膜14に接触させるか、あるいはラミネートフィルムを基板10及びパッシベーション膜14に接触させつつ溶融させることで、封止基板22と基板10の間の凹凸に隙間無く封止材15を満たし、その後、封止材15を紫外線硬化や熱硬化などによって固化させることで全固体封止型のパッケージを形成して、ELパネル1を形成するようになっている。
【0037】
このELパネル1は、次のように駆動されて発光する。
各電圧供給線4に所定レベルの電圧が印加された状態で、走査ドライバによって走査線2に順次電圧が印加されることで、これら走査線2が順次選択される。選択された走査線2に対応する各画素Pのスイッチトランジスタ5はオンになる。
各走査線2が選択されている時に、データドライバによって階調に応じたレベルの電圧が全ての信号線3に印加されると、その選択されている走査線2に対応する各画素Pのスイッチトランジスタ5がオンになっていることから、その信号線3における電圧が駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加される。
この駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加された所定の階調に対応するレベルの電圧に応じて、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間の電位差が定まって、駆動トランジスタ6におけるドレイン−ソース電流の大きさが定まり、EL素子8がそのドレイン−ソース電流に応じた明るさで発光する。その後、その走査線2の選択が解除されると、スイッチトランジスタ5がオフとなるので、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加された電圧にしたがった電荷がキャパシタ7に蓄えられ、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6i間の電位差は保持される。このため、駆動トランジスタ6は選択時と同じ電流値のドレイン−ソース電流を流し続け、EL素子8の輝度を維持する。
つまり、スイッチトランジスタ5によって、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加される電圧が、信号線3に印加された所定階調レベルの電圧に切り替えられ、駆動トランジスタ6は、そのゲート電極6aに印加された電圧のレベルに応じた電流値のドレイン−ソース電流(駆動電流)を電圧供給線4からEL素子8に向けて流し、EL素子8を電流値(電流密度)にしたがった所定の階調で発光させる。
このように、スイッチトランジスタ5と駆動トランジスタ6の駆動・制御によってEL素子8が発光して、ELパネル1が発光する。
【0038】
次に、EL素子8(発光領域R)を被覆して保護するパッシベーション膜14に用いるAl4BaO7−δについて説明する。
【0039】
まず、Al4BaO7−δの絶縁性について説明する。
Al4BaO7−δの薄膜を形成するため、340mm×90mmのサイズとしたAl4Baのターゲットを、基板から180mm離間した位置に対向配置して、反応性の対向ターゲットスパッタを行うことによって基板表面にAl4Baの酸化物(Al4BaO7−δ)を成膜した。
このスパッタリングは、20[cc]のArガスに所定量のO2を混ぜたO2/Ar混合ガスの雰囲気下において、放電時の電流4[A]、圧力0.4[Pa]の処理条件で行った。
また、比較のため、Alをターゲットにした同じ条件のスパッタを行い、Alの酸化膜を成膜し、それぞれの酸化膜の抵抗値を測定した。図8に、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜の比抵抗値[Ω・cm]と、Alをターゲットして成膜した酸化膜の比抵抗値[Ω・cm]の測定結果を示す。
【0040】
図8に示すように、Alをターゲットして成膜した酸化膜の場合、O2/Ar=0.5以上の条件で成膜した酸化膜の比抵抗値が測定困難となる高抵抗値を示した。
一方、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜の場合、O2/Ar=0.1以上の条件で成膜した酸化膜の比抵抗値が測定困難となる高抵抗値を示し、Alをターゲットした酸化膜より高抵抗であることがわかる。
このように、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜(Al4BaO7−δ)は、非常に高い比抵抗値を示したことから、絶縁性が良好な酸化膜であることがわかった。
【0041】
次に、Al4BaO7−δのスパッタによる成膜性について説明する。
Al4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧とO2/Ar比の相関と、Alをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧とO2/Ar比の相関を、図9に示す。なお、スパッタの処理条件は上述したスパッタと同様に、放電時の電流4[A]、圧力0.4[Pa]であった。
図9に示すように、Alをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧が350〜400[V]であることに対し、Al4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧は250[V]程度であり、Al4Baを用いてAl4BaO7−δを成膜する場合の方が、放電電圧が100[V]以上低いことがわかる。
ここで、AlとAl4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の両者のスパッタレートはほぼ同じで成膜速度は変わらないので、Al4BaO7−δを成膜する際に要するスパッタ電力の方が少ないことがわかる。
このように、Al4BaO7−δ薄膜はスパッタ成膜に適しており、より少ないスパッタ電力でAl4BaO7−δ薄膜を形成可能であるので、その成膜時に基板へ加わる熱エネルギーは少なく、基板の温度上昇は限られており、パッシベーション膜14を形成する際にEL素子8に作用するダメージは、Alの酸化膜をスパッタ成膜する場合にEL素子8に作用するダメージより少ない。つまり、Al4BaO7−δをパッシベーション膜14として形成することによれば、EL素子8に損傷を殆ど与えることなくパッシベーション膜14を好適に成膜することができるということがわかった。
【0042】
次に、Al4BaO7−δの膜応力について説明する。
O2/Ar比を0.25、放電時の電流を4[A]に固定して、スパッタ処理時の圧力を様々に調整して成膜した膜厚300nmのAl4BaO7−δと、膜厚600nmのAl4BaO7−δにおける、スパッタ処理圧力とAl4BaO7−δ薄膜の膜応力の相関を、図10に示す。
図10に示すように、膜厚が300nmのAl4BaO7−δ薄膜では、その膜応力の絶対値が50を超えてしまうことに対し、膜厚が600nmのAl4BaO7−δ薄膜であれば、その膜応力が−50MPa以上+50MPa以下で、その絶対値が50以下となることがわかる。
このように、パッシベーション膜14とするAl4BaO7−δ薄膜の膜厚を300nmよりも厚くして600nm以上にすれば、その膜応力の絶対値が50以下となるので、亀裂などの膜損傷が生じ難いパッシベーション膜14を成膜できることがわかった。
【0043】
また、スパッタの処理条件(例えば、放電時電流[A]、放電時圧力[Pa]、O2/Ar比等)を調節することによって、Al4Baをターゲットに用いて基板表面に成膜するAl4Baの酸化物(Al4BaO7−δ)の酸化量を調節できる。そして、Al4BaO7−δの酸化量を調節すること(例えば、0≦δ≦6)によって、パッシベーション膜14とするAl4BaO7−δ薄膜の膜応力を変化させることができる。
特に、パッシベーション膜14の成膜中にO2/Ar比の値を変化させて、Al4BaO7−δの厚さ方向に酸化量を異ならせるようにすることにより、パッシベーション膜14を酸化量が異なるAl4BaO7−δ薄膜の積層体とすることができ、一定の酸化量(δが一定)のAl4BaO7−δからなるパッシベーション膜14では得られない膜応力を有するパッシベーション膜14を形成することが可能になる。
【0044】
なお、パッシベーション膜14を構成する酸化物の分子式を、Al4BaO7−δ(例えば、0≦δ≦6)としたが、厳密にはAl4−xBaO7−δと表記すべきで、0≦x<2、0≦δ<2を満たすものである。
パッシベーション膜14がスパッタリングにより形成されるため、Al4BaからBaリッチのAl4−xBaが生成する可能性がある。しかしながら、Al2Baは不安定な物質であり、その酸化物は安定な組成にずれるので、xの範囲が0≦x<2となる。
また、AlとBaの典型的な酸化物がそれぞれAl2O3とBaOであるために、ストイキオメトリーな酸化物が形成された場合、δ=0となる。また、AlがAlOより酸素の少ない絶縁性酸化物を形成することは考えにくいため、δ<2となる。よって、δの範囲は0≦δ<2となる。
【0045】
以上のように、ELパネル1において、パッシベーション膜14により対向電極8dごとEL素子8(発光領域R)を被覆するとともに、そのEL素子8(発光領域R)を封止基板22と基板10と封止材15とにより全固体封止しているので、ELパネル1の外部から侵入する各種ガス成分などがEL素子8に到達しにくく、EL素子8が水分やガス成分によって劣化しにくくなっている。
特に、パッシベーション膜14は、より少ないスパッタ電力で成膜可能なAl4BaO7−δ薄膜であるので、スパッタリングによって比較的容易に形成できる。そして、そのパッシベーション膜14は、EL素子8を良好に被覆して保護することができる。
従って、Al4BaO7−δ薄膜であるパッシベーション膜14を備えるELパネル1は、EL素子8が水分やガス成分によって劣化しにくいように良好に封止されており、EL素子8の発光性能が悪化しにくいので、ELパネル1の発光表示性能が安定したものになる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図11に示すように、基板10と封止基板22の外周側に沿う枠状の封止材15aによって基板10と封止基板22を固着して、基板10と封止基板22の間にEL素子8(発光領域R)を封止し、封止基板22とパッシベーション膜14(基板10)の間に空間を設けた構造であってもよい。
【0047】
そして、以上のように形成されて製造されたELパネル1は、各種電子機器の表示パネルとして用いられる。
例えば、図12に示す、携帯電話機200の表示パネル1aや、図13(a)(b)に示す、デジタルカメラ300の表示パネル1bや、図14に示す、パーソナルコンピュータ400の表示パネル1cに、ELパネル1を適用することができる。
【0048】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 ELパネル(発光装置)
8 EL素子(発光素子)
10 基板(第一基板)
14 パッシベーション膜(保護膜)
15、15a 封止材
22 封止基板(第二基板)
P 画素
R 発光領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を用いた発光装置であるELディスプレイ装置が用いられている。ELディスプレイ装置には複数のEL素子が備えられており、各EL素子に供給する電流を制御するアクティブマトリクス方式によって、ELディスプレイ装置は様々な画像や映像を表示する。
このELディスプレイ装置の発光表示性能を長期間安定させるために、EL素子が水蒸気などのガス成分によって劣化してしまわないように、EL素子をパッケージ内に封止する技術が知られており、特に基板と封止基板の間に封止するEL素子の周囲をさらに保護膜で被覆したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−270295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、保護膜にピンホールが生じてしまうと、ガス成分がピンホールを通じて保護膜を通過してしまうので、ピンホールが生じないように保護膜を成膜するために、成膜温度などの条件を厳密に管理する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、発光素子を被覆する保護膜を比較的容易に形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、
第一基板と、
前記第一基板の一面側に設けられ、複数の発光素子が配列されてなる発光領域と、
前記第一基板の前記一面側の、前記発光素子を被覆する保護膜と、
を備え、
前記保護膜は、Al4BaO7−δを含むことを特徴とする。
好ましくは、前記δは0以上で2未満の値を有する。
好ましくは、一面側が前記第一基板の前記一面側に対向して設けられた第二基板と、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間に設けられて、前記発光領域を封止する封止材と、を備える。
好ましくは、前記封止材は、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間の、少なくとも前記発光領域に対応する領域を空洞無く満たして、前記保護膜を被覆している。
好ましくは、前記保護膜は、スパッタリングによって形成されている。
好ましくは、前記保護膜の膜厚が、600nm以上1000nm以下である。
好ましくは、前記保護膜の膜応力が、−50MPa以上+50MPa以下である。
好ましくは、前記保護膜におけるAl4BaO7−δの酸化量を、その保護膜の厚さ方向に異ならせている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子を被覆する保護膜を比較的容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ELパネルの画素の配置構成を示す平面図である。
【図2】ELパネルの概略構成を示す平面図である。
【図3】ELパネルの1画素に相当する回路を示した回路図である。
【図4】ELパネルの1画素を示した平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った面の矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。
【図7】ELパネルの封止構造の概略を示す断面図である。
【図8】Al4BaO7−δの絶縁性に関する測定結果を示す説明図である。
【図9】Al4BaO7−δの成膜性に関する測定結果を示す説明図である。
【図10】Al4BaO7−δの膜応力に関する測定結果を示す説明図である。
【図11】ELパネルの封止構造の変形例を示す概略断面図である。
【図12】表示パネルにELパネルが適用された携帯電話機の一例を示す正面図である。
【図13】表示パネルにELパネルが適用されたデジタルカメラの一例を示す正面側斜視図(a)と、後面側斜視図(b)である。
【図14】表示パネルにELパネルが適用されたパーソナルコンピュータの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、発光装置であるELパネル1における複数の画素Pの配置構成を示す平面図であり、図2は、ELパネル1の概略構成を示す平面図である。
【0011】
図1、図2に示すように、ELパネル1には、複数の画素Pが所定のパターンでマトリクス状に配置されている。複数の画素Pは、R(赤)を発光する赤画素Pと、G(緑)を発光する緑画素Pと、B(青)を発光する青画素Pと、を有している。
このELパネル1には、複数の走査線2が行方向に沿って互いに略平行となるよう配列され、複数の信号線3が平面視して走査線2と略直交するよう列方向に沿って互いに略平行となるよう配列されている。また、隣り合う走査線2の間において電圧供給線4が走査線2に沿って設けられている。そして、これら互いに隣接する二本の走査線2と、互いに隣接する二本の信号線3と、によって囲われる範囲が、画素Pに相当する。
また、ELパネル1には、走査線2、信号線3、電圧供給線4の上方を覆うように、隔壁であるバンク13が設けられている。このバンク13は例えば格子状に設けられ、バンク13によって囲われてなる略長方形状の複数の開口部13aが画素Pごとに形成されている。このバンク13の開口部13a内に所定のキャリア輸送層(後述する正孔注入層8b、発光層8c)が設けられ、各画素Pにおける発光素子(後述するEL素子8)となる。キャリア輸送層とは、電圧が印加されることによって正孔又は電子を輸送する層である。そして、バンク13において開口部13aが配列され、画素Pが配列されてなる領域がELパネル1の発光領域Rに相当する。なお、バンク13は、上述のように、画素Pごとに開口部13aを設けるものに限るものではなく、信号線3上を覆い且つ列方向に沿って延在するとともに、列方向に並んだ後述する複数の画素Pの各画素電極8aの中央部をまとめて露出するようなストライプ状の開口部を有しているものであってもよい。
【0012】
図3は、アクティブマトリクス駆動方式で動作するELパネル1の1画素に相当する回路の一例を示した回路図である。
【0013】
図3に示すように、ELパネル1には、走査線2と、走査線2と交差する信号線3と、走査線2に沿う電圧供給線4とが設けられており、このELパネル1の1画素Pにつき、薄膜トランジスタであるスイッチトランジスタ5と、薄膜トランジスタである駆動トランジスタ6と、キャパシタ7と、EL素子8とが設けられている。
【0014】
各画素Pにおいては、スイッチトランジスタ5のゲートが走査線2に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの一方が信号線3に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの他方がキャパシタ7の一方の電極及び駆動トランジスタ6のゲートに接続されている。駆動トランジスタ6のソースとドレインのうちの一方が電圧供給線4に接続され、駆動トランジスタ6のソースとドレインのうち他方がキャパシタ7の他方の電極及びEL素子8のアノードに接続されている。なお、全ての画素PのEL素子8のカソードは、一定電圧Vcomに保たれている(例えば、接地されている)。
【0015】
また、このELパネル1の周囲において各走査線2が走査ドライバに接続され、各電圧供給線4が一定電圧を出力する電圧源又は適宜電圧信号を出力する電圧ドライバに接続され、各信号線3がデータドライバに接続されており、これらドライバによってELパネル1がアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。電圧供給線4には、電圧源による一定電圧又は電圧ドライバによる電圧信号が供給される。
【0016】
次に、ELパネル1と、その画素Pの回路構造について、図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、ELパネル1の1画素Pに相当する平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った面の矢視断面図、図6は、図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。なお、図4においては、電極及び配線を主に示す。
【0017】
図4に示すように、スイッチトランジスタ5及び駆動トランジスタ6は、信号線3に沿うように配列され、スイッチトランジスタ5の近傍にキャパシタ7が配置され、駆動トランジスタ6の近傍にEL素子8が配置されている。また、各画素Pにおいて、走査線2と電圧供給線4の間に、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7及びEL素子8が配置されている。
【0018】
図4〜図6に示すように、透明な第一基板である基板10上に信号線3とゲート電極5a、6aが設けられ、基板10上の一面にスイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6のゲート絶縁膜となる第一絶縁膜11が成膜されている。その第一絶縁膜11の上に走査線2及び電圧供給線4が形成され、スイッチトランジスタ5と駆動トランジスタ6及び走査線2と電圧供給線4を覆うように第二絶縁膜12が成膜されている。このため、信号線3は第一絶縁膜11と基板10との間に形成され、走査線2及び電圧供給線4は第一絶縁膜11と第二絶縁膜12との間に形成されている。
【0019】
図4、図6に示すように、スイッチトランジスタ5は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。このスイッチトランジスタ5は、ゲート電極5a、半導体膜5b、保護絶縁膜5d、不純物半導体膜5f,5g、ドレイン電極5h、ソース電極5i等を有するものである。
【0020】
ゲート電極5aは、基板10と第一絶縁膜11の間に形成されている。このゲート電極5aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。また、ゲート電極5aの上に絶縁性の第一絶縁膜11が成膜されており、その第一絶縁膜11によってゲート電極5aが被覆されている。
第一絶縁膜11は、例えば、光透過性を有し、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有する。この第一絶縁膜11上であってゲート電極5aに対応する位置に真性な半導体膜5bが形成されており、半導体膜5bが第一絶縁膜11を挟んでゲート電極5aと相対している。
半導体膜5bは、例えば、マイクロクリスタルシリコン(微結晶シリコン)からなるか、マイクロクリスタルシリコン及びアモルファスシリコンを含み、この半導体膜5bにチャネルが形成される。また、半導体膜5bの中央部上には、絶縁性の保護絶縁膜5dが形成されている。この保護絶縁膜5dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有することが好ましい。
また、半導体膜5bの一端部の上には、不純物半導体膜5fが一部保護絶縁膜5dに重なるようにして形成されており、半導体膜5bの他端部の上には、不純物半導体膜5gが一部保護絶縁膜5dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜5f,5gはそれぞれ半導体膜5bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜5f,5gはn型半導体であるが、これに限らず、スイッチトランジスタ5がp型トランジスタであれば、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜5fの上には、ドレイン電極5hが形成されている。不純物半導体膜5gの上には、ソース電極5iが形成されている。ドレイン電極5h,ソース電極5iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。
保護絶縁膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iの上には、絶縁性の第二絶縁膜12が成膜され、保護絶縁膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iが第二絶縁膜12によって被覆されている。そして、スイッチトランジスタ5は、第二絶縁膜12によって覆われるようになっている。第二絶縁膜12は、例えば、窒化シリコン又は酸化シリコンを含有する。
【0021】
図4、図5に示すように、駆動トランジスタ6は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。この駆動トランジスタ6は、ゲート電極6a、半導体膜6b、保護絶縁膜6d、不純物半導体膜6f,6g、ドレイン電極6h、ソース電極6i等を有するものである。
【0022】
ゲート電極6aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましく、ゲート電極5aと同様に基板10と第一絶縁膜11の間に形成されている。そして、ゲート電極6aは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含む第一絶縁膜11によって被覆されている。
この第一絶縁膜11の上であって、ゲート電極6aに対応する位置に、チャネルが形成される真性な半導体膜6bが設けられており、この半導体膜6bが第一絶縁膜11を挟んでゲート電極6aと相対している。半導体膜6bは、例えば、マイクロクリスタルシリコン(微結晶シリコン)からなるか、マイクロクリスタルシリコン及びアモルファスシリコンを含む。
半導体膜6bの中央部上には、絶縁性の保護絶縁膜6dが形成されている。この保護絶縁膜6dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有することが好ましい。
また、半導体膜6bの一端部の上には、不純物半導体膜6fが一部保護絶縁膜6dに重なるようにして形成されており、半導体膜6bの他端部の上には、不純物半導体膜6gが一部保護絶縁膜6dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜6f,6gはそれぞれ半導体膜6bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜6f,6gはn型半導体であるが、これに限らず、駆動トランジスタ6がp型トランジスタであれば、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜6fの上には、ドレイン電極6hが形成されている。不純物半導体膜6gの上には、ソース電極6iが形成されている。ドレイン電極6h,ソース電極6iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成されることが好ましい。
保護絶縁膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iの上には、絶縁性の第二絶縁膜12が成膜され、保護絶縁膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iが第二絶縁膜12によって被覆されている。そして、駆動トランジスタ6は、第二絶縁膜12によって覆われるようになっている。
【0023】
キャパシタ7は、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間に接続されている。具体的には、キャパシタ7の電極7aは、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに接続され、キャパシタ7の電極7bは、駆動トランジスタ6のソース電極6iに接続されている。そして、図4、図6に示すように、基板10と第一絶縁膜11との間にキャパシタ7の一方の電極7aが形成され、第一絶縁膜11と第二絶縁膜12との間にキャパシタ7の他方の電極7bが形成され、電極7aと電極7bが誘電体である第一絶縁膜11を挟んで相対している。
【0024】
なお、信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート電極5a及び駆動トランジスタ6のゲート電極6aは、基板10に一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで一括して形成されたものである。
また、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iは、第一絶縁膜11に一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで形成されたものである。
【0025】
また、第一絶縁膜11には、ゲート電極5aと走査線2とが重なる領域にコンタクトホール11aが形成され、ドレイン電極5hと信号線3とが重なる領域にコンタクトホール11bが形成され、ゲート電極6aとソース電極5iとが重なる領域にコンタクトホール11cが形成されており、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cがそれぞれ埋め込まれている。コンタクトプラグ20aによってスイッチトランジスタ5のゲート電極5aと走査線2が電気的に導通し、コンタクトプラグ20bによってスイッチトランジスタ5のドレイン電極5hと信号線3が電気的に導通し、コンタクトプラグ20cによってスイッチトランジスタ5のソース電極5iとキャパシタ7の電極7aが電気的に導通するとともにスイッチトランジスタ5のソース電極5iと駆動トランジスタ6のゲート電極6aが電気的に導通する。なお、コンタクトプラグ20a〜20cを介することなく、走査線2が直接ゲート電極5aと接触し、ドレイン電極5hが信号線3と接触し、ソース電極5iがゲート電極6aと接触してもよい。
また、駆動トランジスタ6のゲート電極6aがキャパシタ7の電極7aに一体に連なっており、駆動トランジスタ6のドレイン電極6hが電圧供給線4に一体に連なっており、駆動トランジスタ6のソース電極6iがキャパシタ7の電極7bに一体に連なっている。
【0026】
画素電極8aは、第一絶縁膜11を介して基板10上に設けられており、画素Pごとに独立して形成されている。画素電極8a側からEL素子8の光を出射するボトムエミッション構造であれば、この画素電極8aは透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)の中から選択された材料で形成されることが好ましい。また、対向電極8d側からEL素子8の光を出射するトップエミッション構造の場合、画素電極8aは、高い光反射性のアルミ等の単体又は合金層を下層として光反射性層とし、上層として上述の透明電極の積層構造とすることが好ましい。なお、画素電極8aは一部、駆動トランジスタ6のソース電極6iに重なり、画素電極8aとソース電極6iが接続している。
そして、図4、図5に示すように、第二絶縁膜12が、走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8aの周縁部、キャパシタ7の電極7b及び第一絶縁膜11を覆うように形成されている。つまり第二絶縁膜12には、各画素電極8aの中央部が露出するように開口部12aが形成されている。そのため、第二絶縁膜12は平面視して格子状に形成されている。
【0027】
EL素子8は、図4、図5に示すように、アノードとなる画素電極8aと、画素電極8aの上に形成された化合物膜である正孔注入層8bと、正孔注入層8bの上に形成された化合物膜である発光層8cと、発光層8cの上に形成されたカソードとなる対向電極8dとを備えている。対向電極8dは全画素Pに共通の単一電極であって、全画素Pに連続して形成されている。
【0028】
正孔注入層8bは、例えば、導電性高分子であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)及びドーパントであるPSS(polystyrene sulfonate;ポリスチレンスルホン酸)からなる層であって、画素電極8aから発光層8cに向けて正孔を注入するキャリア注入層である。
発光層8cは、画素P毎にR(赤),G(緑),B(青)のいずれかを発光する材料を含み、例えば、ポリフルオレン系発光材料やポリフェニレンビニレン系発光材料からなる層であって、対向電極8dから供給される電子と、正孔注入層8bから注入される正孔との再結合に伴い発光する。このため、R(赤)を発光する画素P、G(緑)を発光する画素P、B(青)を発光する画素Pは互いに発光層8cの発光材料が異なる。なお、画素PのR(赤),G(緑),B(青)のパターンは格子パターンに限らず、デルタ配列であってもよく、また縦方向に同色画素が配列されるストライプパターンであってもよい。ストライプパターンの場合、バンク13の開口部13aは、列方向に沿って複数の画素Pの画素電極8aの中央部をまとめて露出するようなストライプ状となる。
【0029】
対向電極8dは、画素電極8aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、インジウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金の下層及びシート抵抗を下げるための上層の積層体で形成されている。上層は、対向電極8d側からEL素子8の光を出射するトップエミッション構造の場合、透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)の中から選択された材料で形成されることが好ましく、画素電極8a側からEL素子8の光を出射するボトムエミッションであれば、高い光反射性のアルミ等の単体又は合金層が好ましい。
この対向電極8dは全ての画素Pに共通した電極であり、発光層8cなどの化合物膜とともに後述するバンク13を被覆している。
【0030】
このように、第二絶縁膜12及びバンク13によって発光部位となる発光層8cが画素Pごとに仕切られている。
そして、バンク13の開口部13a内において、キャリア輸送層としての正孔注入層8b及び発光層8cが、画素電極8a上に積層されている。なお、正孔注入層8bは、複数の画素Pに跨るように連続して形成されていてもよい。この場合、正孔注入性のある酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0031】
具体的には、バンク13は、正孔注入層8bや発光層8cを湿式法により、バンク13で囲まれた画素Pに対応する所定の領域に形成するに際して、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体が、バンク13を介して隣接する画素Pに流出しないように堰き止める隔壁として機能する。
例えば、図5に示すように、第二絶縁膜12の上に設けられたバンク13の開口部13aの開口端は、第2絶縁膜12の開口部12aの開口端より内側に位置しているため、バンク13は、第2絶縁膜12の全面を覆っている。なお、第二絶縁膜12をバンク13よりも幅広とした構造にすることによって、開口部13aが開口部12aより幅広となり、第2絶縁膜12の開口部12の開口端における側面が、バンク13の開口部13aから露出するようにしてもよい。
そして、各開口部13aに囲まれた各画素電極8a上に、正孔注入層8bとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第1のキャリア輸送層である正孔注入層8bとなる。
さらに、各開口部13aに囲まれた各正孔注入層8b上に、発光層8cとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第2のキャリア輸送層である発光層8cとなる。
なお、この発光層8cとバンク13を被覆するように対向電極8dが設けられている。
【0032】
このバンク13の開口部13aに応じて、複数のEL素子8(画素P)が配列された領域が、ELパネル1の発光領域Rとなる。
そして、このELパネル1においては、ボトムエミッション構造の場合、画素電極8a、基板10及び第一絶縁膜11が透明であり、発光層8cから発した光が画素電極8a、第一絶縁膜11及び基板10を透過して出射する。そのため、基板10の裏面が表示面となる。
なお、基板10側ではなく、反対側が表示面となるトップエミッション構造でもよい。この場合、上述したように対向電極8dを透明電極とし、画素電極8aを反射電極として、発光層8cから発した光が対向電極8dを透過して出射する。
【0033】
また、図5から図7に示すように、基板10の上面側には、対向電極8d及びバンク13を被覆するパッシベーション膜14が設けられている。なお、図7に示すELパネル1においては、基板10上の第一絶縁膜11、第二絶縁膜12、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8a等の図示を省略しており、ELパネル1を簡略的に図示している。
【0034】
パッシベーション膜14は、絶縁性の保護膜であり、ELパネル1の発光領域Rを保護するように覆っている。
パッシベーション膜14は、例えば、Al4Ba(四アルミニウム化バリウム)をターゲットにしたスパッタリングにより形成された薄膜であり、Al4Baの酸化物であるAl4BaO7−δを含み、例えば、600nm以上1000nm以下の膜厚を有している。膜厚を600nm以上に成膜したパッシベーション膜14であれば、ピンホールが発生することは殆ど無く、水分が透過しない程度に緻密な保護膜となり、発光領域R(EL素子8)を良好に保護することができる。
このパッシベーション膜14の膜厚は600nm以上であるが、Al4BaO7−δを含んだパッシベーション膜14の膜応力は、−50MPa以上+50MPa以下であり、比較的広い範囲に成膜することに適した保護膜であるといえる。つまり、このパッシベーション膜14は、その膜応力の絶対値が50(MPa)以下であるため、亀裂などの膜損傷が生じ難いので、大型のELパネル1の基板10において比較的広い範囲に亘る発光領域R(複数のEL素子8)を保護する保護膜として適している。
さらに、パッシベーション膜14は、対向電極8dやELパネル1の周縁側に設けられた各種配線16を覆うので、電極や配線のショートを防ぐ上で絶縁性が要求される。このパッシベーション膜14の素材であるAl4BaO7−δは優れた絶縁性能を有しているので、Al4BaO7−δからなるパッシベーション膜14は、絶縁性の保護膜として好適に機能する。
【0035】
また、図5から図7に示すように、第二基板である封止基板22が、基板10の上面側の発光領域Rに対向する配置に封止材15によって固着されている。
封止材15は、パッシベーション膜14の表面全体を被覆するように設けられており、パッシベーション膜14の被膜性を補うように、保護膜の一部として機能する。
この封止材15は、封止基板22と基板10(パッシベーション膜14)の間を空洞無く満たしており、EL素子8(発光領域R)を封止基板22と基板10の間に封止している。つまり、EL素子8(発光領域R)は、封止基板22と基板10と封止材15とによるパッケージ内に全固体封止されている。
【0036】
なお、封止材15は当初、封止基板22の下面に配されたラミネートフィルム状の形体を成している。そのラミネートフィルムを溶融させた状態で基板10及びパッシベーション膜14に接触させるか、あるいはラミネートフィルムを基板10及びパッシベーション膜14に接触させつつ溶融させることで、封止基板22と基板10の間の凹凸に隙間無く封止材15を満たし、その後、封止材15を紫外線硬化や熱硬化などによって固化させることで全固体封止型のパッケージを形成して、ELパネル1を形成するようになっている。
【0037】
このELパネル1は、次のように駆動されて発光する。
各電圧供給線4に所定レベルの電圧が印加された状態で、走査ドライバによって走査線2に順次電圧が印加されることで、これら走査線2が順次選択される。選択された走査線2に対応する各画素Pのスイッチトランジスタ5はオンになる。
各走査線2が選択されている時に、データドライバによって階調に応じたレベルの電圧が全ての信号線3に印加されると、その選択されている走査線2に対応する各画素Pのスイッチトランジスタ5がオンになっていることから、その信号線3における電圧が駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加される。
この駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加された所定の階調に対応するレベルの電圧に応じて、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間の電位差が定まって、駆動トランジスタ6におけるドレイン−ソース電流の大きさが定まり、EL素子8がそのドレイン−ソース電流に応じた明るさで発光する。その後、その走査線2の選択が解除されると、スイッチトランジスタ5がオフとなるので、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加された電圧にしたがった電荷がキャパシタ7に蓄えられ、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6i間の電位差は保持される。このため、駆動トランジスタ6は選択時と同じ電流値のドレイン−ソース電流を流し続け、EL素子8の輝度を維持する。
つまり、スイッチトランジスタ5によって、駆動トランジスタ6のゲート電極6aに印加される電圧が、信号線3に印加された所定階調レベルの電圧に切り替えられ、駆動トランジスタ6は、そのゲート電極6aに印加された電圧のレベルに応じた電流値のドレイン−ソース電流(駆動電流)を電圧供給線4からEL素子8に向けて流し、EL素子8を電流値(電流密度)にしたがった所定の階調で発光させる。
このように、スイッチトランジスタ5と駆動トランジスタ6の駆動・制御によってEL素子8が発光して、ELパネル1が発光する。
【0038】
次に、EL素子8(発光領域R)を被覆して保護するパッシベーション膜14に用いるAl4BaO7−δについて説明する。
【0039】
まず、Al4BaO7−δの絶縁性について説明する。
Al4BaO7−δの薄膜を形成するため、340mm×90mmのサイズとしたAl4Baのターゲットを、基板から180mm離間した位置に対向配置して、反応性の対向ターゲットスパッタを行うことによって基板表面にAl4Baの酸化物(Al4BaO7−δ)を成膜した。
このスパッタリングは、20[cc]のArガスに所定量のO2を混ぜたO2/Ar混合ガスの雰囲気下において、放電時の電流4[A]、圧力0.4[Pa]の処理条件で行った。
また、比較のため、Alをターゲットにした同じ条件のスパッタを行い、Alの酸化膜を成膜し、それぞれの酸化膜の抵抗値を測定した。図8に、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜の比抵抗値[Ω・cm]と、Alをターゲットして成膜した酸化膜の比抵抗値[Ω・cm]の測定結果を示す。
【0040】
図8に示すように、Alをターゲットして成膜した酸化膜の場合、O2/Ar=0.5以上の条件で成膜した酸化膜の比抵抗値が測定困難となる高抵抗値を示した。
一方、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜の場合、O2/Ar=0.1以上の条件で成膜した酸化膜の比抵抗値が測定困難となる高抵抗値を示し、Alをターゲットした酸化膜より高抵抗であることがわかる。
このように、Al4Baをターゲットして成膜した酸化膜(Al4BaO7−δ)は、非常に高い比抵抗値を示したことから、絶縁性が良好な酸化膜であることがわかった。
【0041】
次に、Al4BaO7−δのスパッタによる成膜性について説明する。
Al4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧とO2/Ar比の相関と、Alをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧とO2/Ar比の相関を、図9に示す。なお、スパッタの処理条件は上述したスパッタと同様に、放電時の電流4[A]、圧力0.4[Pa]であった。
図9に示すように、Alをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧が350〜400[V]であることに対し、Al4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の放電電圧は250[V]程度であり、Al4Baを用いてAl4BaO7−δを成膜する場合の方が、放電電圧が100[V]以上低いことがわかる。
ここで、AlとAl4Baをターゲットして酸化膜を成膜した際の両者のスパッタレートはほぼ同じで成膜速度は変わらないので、Al4BaO7−δを成膜する際に要するスパッタ電力の方が少ないことがわかる。
このように、Al4BaO7−δ薄膜はスパッタ成膜に適しており、より少ないスパッタ電力でAl4BaO7−δ薄膜を形成可能であるので、その成膜時に基板へ加わる熱エネルギーは少なく、基板の温度上昇は限られており、パッシベーション膜14を形成する際にEL素子8に作用するダメージは、Alの酸化膜をスパッタ成膜する場合にEL素子8に作用するダメージより少ない。つまり、Al4BaO7−δをパッシベーション膜14として形成することによれば、EL素子8に損傷を殆ど与えることなくパッシベーション膜14を好適に成膜することができるということがわかった。
【0042】
次に、Al4BaO7−δの膜応力について説明する。
O2/Ar比を0.25、放電時の電流を4[A]に固定して、スパッタ処理時の圧力を様々に調整して成膜した膜厚300nmのAl4BaO7−δと、膜厚600nmのAl4BaO7−δにおける、スパッタ処理圧力とAl4BaO7−δ薄膜の膜応力の相関を、図10に示す。
図10に示すように、膜厚が300nmのAl4BaO7−δ薄膜では、その膜応力の絶対値が50を超えてしまうことに対し、膜厚が600nmのAl4BaO7−δ薄膜であれば、その膜応力が−50MPa以上+50MPa以下で、その絶対値が50以下となることがわかる。
このように、パッシベーション膜14とするAl4BaO7−δ薄膜の膜厚を300nmよりも厚くして600nm以上にすれば、その膜応力の絶対値が50以下となるので、亀裂などの膜損傷が生じ難いパッシベーション膜14を成膜できることがわかった。
【0043】
また、スパッタの処理条件(例えば、放電時電流[A]、放電時圧力[Pa]、O2/Ar比等)を調節することによって、Al4Baをターゲットに用いて基板表面に成膜するAl4Baの酸化物(Al4BaO7−δ)の酸化量を調節できる。そして、Al4BaO7−δの酸化量を調節すること(例えば、0≦δ≦6)によって、パッシベーション膜14とするAl4BaO7−δ薄膜の膜応力を変化させることができる。
特に、パッシベーション膜14の成膜中にO2/Ar比の値を変化させて、Al4BaO7−δの厚さ方向に酸化量を異ならせるようにすることにより、パッシベーション膜14を酸化量が異なるAl4BaO7−δ薄膜の積層体とすることができ、一定の酸化量(δが一定)のAl4BaO7−δからなるパッシベーション膜14では得られない膜応力を有するパッシベーション膜14を形成することが可能になる。
【0044】
なお、パッシベーション膜14を構成する酸化物の分子式を、Al4BaO7−δ(例えば、0≦δ≦6)としたが、厳密にはAl4−xBaO7−δと表記すべきで、0≦x<2、0≦δ<2を満たすものである。
パッシベーション膜14がスパッタリングにより形成されるため、Al4BaからBaリッチのAl4−xBaが生成する可能性がある。しかしながら、Al2Baは不安定な物質であり、その酸化物は安定な組成にずれるので、xの範囲が0≦x<2となる。
また、AlとBaの典型的な酸化物がそれぞれAl2O3とBaOであるために、ストイキオメトリーな酸化物が形成された場合、δ=0となる。また、AlがAlOより酸素の少ない絶縁性酸化物を形成することは考えにくいため、δ<2となる。よって、δの範囲は0≦δ<2となる。
【0045】
以上のように、ELパネル1において、パッシベーション膜14により対向電極8dごとEL素子8(発光領域R)を被覆するとともに、そのEL素子8(発光領域R)を封止基板22と基板10と封止材15とにより全固体封止しているので、ELパネル1の外部から侵入する各種ガス成分などがEL素子8に到達しにくく、EL素子8が水分やガス成分によって劣化しにくくなっている。
特に、パッシベーション膜14は、より少ないスパッタ電力で成膜可能なAl4BaO7−δ薄膜であるので、スパッタリングによって比較的容易に形成できる。そして、そのパッシベーション膜14は、EL素子8を良好に被覆して保護することができる。
従って、Al4BaO7−δ薄膜であるパッシベーション膜14を備えるELパネル1は、EL素子8が水分やガス成分によって劣化しにくいように良好に封止されており、EL素子8の発光性能が悪化しにくいので、ELパネル1の発光表示性能が安定したものになる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図11に示すように、基板10と封止基板22の外周側に沿う枠状の封止材15aによって基板10と封止基板22を固着して、基板10と封止基板22の間にEL素子8(発光領域R)を封止し、封止基板22とパッシベーション膜14(基板10)の間に空間を設けた構造であってもよい。
【0047】
そして、以上のように形成されて製造されたELパネル1は、各種電子機器の表示パネルとして用いられる。
例えば、図12に示す、携帯電話機200の表示パネル1aや、図13(a)(b)に示す、デジタルカメラ300の表示パネル1bや、図14に示す、パーソナルコンピュータ400の表示パネル1cに、ELパネル1を適用することができる。
【0048】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 ELパネル(発光装置)
8 EL素子(発光素子)
10 基板(第一基板)
14 パッシベーション膜(保護膜)
15、15a 封止材
22 封止基板(第二基板)
P 画素
R 発光領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板の一面側に設けられ、複数の発光素子が配列されてなる発光領域と、
前記第一基板の前記一面側の、前記発光素子を被覆する保護膜と、
を備え、
前記保護膜は、Al4BaO7−δを含むことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記δは0以上で2未満の値を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
一面側が前記第一基板の前記一面側に対向して設けられた第二基板と、
前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間に設けられて、前記発光領域を封止する封止材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記封止材は、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間の、少なくとも前記発光領域に対応する領域を空洞無く満たして、前記保護膜を被覆していることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記保護膜は、スパッタリングによって形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記保護膜の膜厚が、600nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記保護膜の膜応力が、−50MPa以上+50MPa以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記保護膜におけるAl4BaO7−δの酸化量を、その保護膜の厚さ方向に異ならせていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板の一面側に設けられ、複数の発光素子が配列されてなる発光領域と、
前記第一基板の前記一面側の、前記発光素子を被覆する保護膜と、
を備え、
前記保護膜は、Al4BaO7−δを含むことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記δは0以上で2未満の値を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
一面側が前記第一基板の前記一面側に対向して設けられた第二基板と、
前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間に設けられて、前記発光領域を封止する封止材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記封止材は、前記第一基板の前記一面側と前記第二基板の前記一面側との間の、少なくとも前記発光領域に対応する領域を空洞無く満たして、前記保護膜を被覆していることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記保護膜は、スパッタリングによって形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記保護膜の膜厚が、600nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記保護膜の膜応力が、−50MPa以上+50MPa以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記保護膜におけるAl4BaO7−δの酸化量を、その保護膜の厚さ方向に異ならせていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−64479(P2012−64479A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208739(P2010−208739)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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